WO2007088760A1 - シート材切断装置およびプリンタ - Google Patents

Description

シート材切断装置およびプリンタ 技術分野

この発明は、 固定刃に可動刃が摺接してシート材を切断するシート材切断装置に 明

関し、 詳しくはシート材に切残し部を残して切断するパーシャルカツトを行うこと ができるシート材切断装置に関する。

田 背景技術

従来、 この種のシート材切断装置としては、 特開平 6— 4 7 6 9 6号公報および 特開 2 0 0 5— 7 4 5 9 8号公報に開示されたものが知られている。

特開平 6— 4 7 6 9 6号公報に開示されたシート切断装置は、 可動刃を刃先線が

V字形に窪んだ切刃を有する薄板状の刃物鋼で形成してあり、 切刃の中央部には切 欠溝が加工されている。 この可動刃の往復移動量を制御することで、 シート切断装 置は、 切り欠き溝でシートの一部を切り残すパーシャルカット （部分カット） と、 フルカット （全幅カット） を行えるようになつている。

また、 特開 2 0 0 5— 7 4 5 9 8号公報に開示されたカツタは、 可動刃の刃部が 一対の斜辺からなる略 V字形状に形成されており、 それら刃部を形成する斜辺に切 欠部を有している。 この切欠部は、 用紙の切り残し部を形成するためのものである, この切欠部の入り口のうち可動刃の中央寄りの部分には、 尖った尖状部が形成され ている。 尖状部は、 用紙の切断を再度開始する際に、 用紙を突き刺し円滑に切断動 作を開始させるためのものである。 この尖状部は、 斜辺の切欠部から中央の切欠部 にかけて、 刃部を傾斜面に加工することで形成されている （特開 2 0 0 5— 7 4 5 9 8号公報の図 1 2参照） 。

上述した特開平 6— 4 7 6 9 6号公報に開示されたように、 可動刃に切欠溝を有 するシート切断装置にあっては、 固定刃と可動刃とが協働してシートを切断してい P2007/051110

2 くが、 固定刃が可動刃の切欠き溝と交叉した瞬間にシートに対する剪断作用がなく なる。 そして、 シートは固定刃に押し付けられて、 切欠溝の開口端部分にてシート を引きちぎるように破断する。

このため、 パーシャルカットしたにもかかわらず、 前後のシートが切り離されて しまったり、 その後、 切り残し部分を切断する際にシート内側へ向かって破断が進 み、 シートを綺麗に切り離すことができない等の問題が生じていた。

また、 特開 2 0 0 5— 7 4 5 9 8号公報に開示されたカツタにあっても、 切欠部 の入り口のうち可動刃の中央寄りの部分には、 尖った尖状部が形成されているもの の、 当該部分に対向する側は切欠部の入り口に厚みのあるエッジが残存しているの で、 上記特開平 6— 4 7 6 9 6号公報の切欠溝と同様の問題を生じさせるおそれが あった。

しかも、 特開 2 0 0 5— 7 4 5 9 8号公報に開示された尖状部は、 斜辺の切欠部 から中央の切欠部にかけて、 刃部を傾斜面に加工することで形成されているので、 かかる傾斜面の加工に煩雑な研磨作業が必要であった。 そして、 シート切断装置は、 刃部を傾斜面とすることで刃こぼれが生じやすくなり、 耐久性が低下する問題を有 していた。

本発明は、 このような事情に鑑みてなされたもので、 製作が容易で刃部の耐久性 も高く、 しかもシート材をパーシャルカツトした際に良好な切り残し部を形成でき るようにすることを目的とする。 発明の開示

上記目的を達成するために、 本発明は、 固定刃と、 可動刃とを有し、 固定刃に可 動刃が摺接してシート材を切断するとともに、 シート材に切残し部を形成するため の切欠溝を、 可動刃の刃部端面から切断動作方向へ一定の深さで形成してあり、 可動刃の固定刃と対向しない側の表面、 当該表面と直交している刃部端面、 およ ぴ切欠溝の内周面の各面の交点である角部に、 斜面または湾曲面を形成したことを

訂正された用 ¾ (規則 91) 特徴とする。

上記本発明によれば、 可動刃は刃部端面が表面と直交しているため、 刃部の刃こ ぼれが生じにくく、 高い耐久性を保持することができる。 そして、 可動刃の固定刃 と対向しない側の表面、 可動刃の刃部端面、 および切欠溝の内周面の各面の交点で ある角部に、 斜面または湾曲面を形成したことにより、 切欠溝の開口端の厚みが少 なくなる。 その結果、 切欠溝の開口端部分で、 シート材を引きちぎって破断させて しまうおそれがなくなり、 良好な切り残し部を形成できる。

さらに、 本発明では、 上記角部のみに斜面または湾曲面を形成するので、 プレス 加工によって容易にその加工を行うことができる。 図面の簡単な説明

図 1は、 本発明の実施形態に係るプリンタの概要を示す斜視図である。

図 2は、 本実施形態に係るシート材切断装置の構成を簡略して示す正面図である。 図 3 A、 図 3 B、 図 3 Cは、 シート材切断装置によるパーシャルカットおょぴフ ルカットの動作説明図である。

図 4は、 可動刃 2 0の斜視図である。

図 5は、 可動刃 2 0に形成した切欠溝 2 5の部分を拡大して示す図である。

図 6は、 切欠溝 2 5の開口端角部 2 7に斜面 2 8を形成していない比較対象を示 す図である。

図 7は、 図 5に示す可動刃 2 0で切断した記録紙の切り残し部を示す平面図であ る。

図 8は、 図 6に示す可動刃 2 0で切断した記録紙の切り残し部を示す平面図であ る。

図 9 A、 図 9 Bは、 本発明の変形例を示す拡大断面である。 発明を実施するための最良の形態

以下、 この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。

まず、 図 1を参照して、 本実施形態に係るシート材切断装置が組み込まれるプリ ンタの概要を説明する。

図 1に示すプリンタは、 ケース本体 1内に、 印字部 2、 インクリボンカートリツ ジの装着部 3、 記録紙装着部 （図示せず） 等のプリンタ主要部を備えている。 プリ ンタは、 ケース本体 1に回動自在に設けられた前部蓋体 4を開くと、 印字部 2およ びカートリッジ装着部 3を視認することができ、 この状態でカートリツジ装着部 3 へのインクリポンカートリッジの着脱操作が可能となる。 印字部 2には、 プラテン 6と印字へッド 7とが対向して設けられている。 記録紙装着部は、 後部蓋体 5の下 方に設けられており、 後部蓋体 5を開いた状態で、 この記録紙装着部にシート材か らなる記録紙のロールを装着することができる。

記録紙の先端は、 ケース本体 1の後方からプラテン 6と印字へッド 7との間に引 き出され、 プラテン 6とロール紙装着部との間に配設された図示しない送紙ローラ (記録紙搬送機構） の回転に伴い上方に排出される。 印字部 2では、 印字ヘッド 7 が幅方向に往復移動するとともに、 インクリボンカートリッジに保持されたィンク リポンが記録紙と印字ヘッド 7の間を巡回移動し、 記録紙の表面に印字を行う。 こ こで、 プラテン 6と印字ヘッド 7は、 記録紙にデータを印字する印字機構を構成し ている。

ケース本体 1には、 印字部 2の上方位置に用紙排出口 8が形成されており、 印字 された記録紙はこの用紙排出口 8からケース本体 1の外部へ排出される。 本実施形 態のプリンタは、 前部蓋体 4と後部蓋体 5との境界部分にこの用紙排出口 8が形成 されている。

印字部 2から用紙排出口 8へ至る記録紙の排出経路には、 印字済みの記録紙を切 断する記録紙切断機構 9が組み込まれている。 この記録紙切断機構 9は、 本実施形 態に係るシート材切断装置によって構成されている。

図 2は記録紙切断機構を構成するシート材切断装置の構成を簡略して示す正面図 である。

シート材切断装置は、 固定刃 1 0と可動刃 2 0とを備えており、 可動刃 2 0が駆 動モータ 3 0からの動力をもって固定刃 1 0に摺接して往復移動する。 記録紙 （シ 一ト材） Pは、 固定刃 1 0と可動刃 2 0の間に搬送され、 可動刃 2 0の往動に伴い 固定刃 1 0と可動.刃 2 0による剪断作用を受けて切断される。

可動刃 2 0の刃部端面 2 1は、 一対の斜面 2 2によって中央を底部とする略 V字 形状に形成してある。 そして、 刃部端面 2 1は、 各斜面 2 2の適所および各斜面 2 2が交わる中央底部に、 それぞれ切欠溝 2 5が形成してある。 切欠溝 2 5は、 記録 紙 Pに切り残し部を形成するためのもので、 可動刃 2 0の刃部端面 2 1から切断動 作方向^ ^一定の深さで形成してある。

本実施形態に係るシート材切断装置は、 駆動モータ 3 0を制御して可動刃 2 0の 往復動作量を変えることにより、 記録紙に切残し部を形成するパーシャルカツトと、 記録紙に切残し部を形成せず全幅すベてを切断するフルカツトとを、 いずれも行う ことができる構成となっている。 駆動モータ 3 0の制御は、 プリンタに内蔵された 制御部 （図示せず） によって行われる。 なお、 制御部は、 プリンタの印字機構や記 録紙搬送機構も併せて制御している。

図 3 A、 図 3 B、 図 3 Cに示すように、 シート切断装置は、 固定刃 1 0と可動刃 2 0が開放状態にある位置 （図 3 A) から可動刃 2 0を往動させて、 固定刃 1 0の 刃部 1 0 aが可動刃 2 0に形成した切欠溝 2 5の底部手前の位置 （図 3 B ) までき たとき可動刃 2 0の往動を停止させる。 これにより、 パーシャルカットが実現する。 一方、 シート切断装置は、 固定刃 1 0と可動刃 2 0が開放状態にある位置 （図 3 A) から可動刃 2 0を往動させて、 固定刃 1 0の刃部 1 0 aが可動刃 2 0に形成し た切欠溝 2 5の底部を越える位置 （図 3 C) まできたとき、 可動刃 2 0の往動を停 止させれば、 フルカットが実現する。

図 4は可動刃の斜視図である。 可動刃 2 0の刃部端面 2 1は、 表面と直交して形 成してあり、 この刃部端面 2 1と直交する方向に可動刃 2 0が移動して固定刃 1 0 と摺接し、 記録紙の切断動作を実行する。 このように、 刃部端面 2 1が表面と直交 して形成してある結果、 可動刃 2 0は刃部の厚みが充分に確保され、 よって刃部に 07 051110

6 過大な外力が作用しても刃こぼれしにくく、 耐久性が向上する。

図 5は可動刃に形成した切欠溝の部分を拡大して示す図である。 本実施形態の可 動刃 2 0は、 固定刃 1 0と対向しない側の表面 2 6、 前記可動刃 2 0の刃部端面 2 1、 および前記切欠溝 2 5の内周面 2 5 aの各面の交点である角部 2 7に斜面 2 8 を形成した構成となっている。 この斜面 2 8は、 プレス加工によって容易に形成す ることができる。 このように斜面 2 8を形成することで、 切欠溝 2 5の開口端の厚 み D 1は小さくなる。

一方、 図 6に示すように角部 2 7を残したままでは、 切欠溝 2 5の開口端の厚み D 2は大きい。 固定刃 1 0によって切欠溝 2 5の深さ方向へ押し付けられた記録紙 は、 切欠溝 2 5の厚み方向に延びる開口端縁 2 5 bにより引きちぎられて破断する。 その結果、 図 8に示すように、 切り残し部 Cの両側部分が不規則に破断したり、 場 合によっては引きちぎられて切り残し部 Cが残存しなくなったりする問題が生じる。 本実施形態では、 上述したように斜面 2 8を形成することで、 切欠溝 2 5の開口 端の厚み D 1が小さくなるため、 固定刃 1 0によって切欠溝 2 5の深さ方向へ押し 付けられた記録紙は、 斜面 2 8のエッジ 2 8 aで滑らかに切断される。 このため、 図 7に示すように、 可動刃 2 0は、 両側部分が直線状に切断された良好な切り残し 部 Cを形成することができる。

なお、 本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。

例えば、 図 9 Aに示すように、 シート切断装置は、 切欠溝 2 5の開口端の厚み D を残さないように （すなわち、 D = 0 ) 、 上記斜面 2 8を形成してもよい。 もっと も、 このような形状にした場合は、 尖端部分 2 8 bが欠け易くなるため、 耐久性が 低下することは否めない。

また、 図 9 Bに示すように、 シート切断装置は、 上記斜面 2 8に代えて湾曲面 2 9を上記角部 2 7に形成しても、 斜面 2 8と同様に、 良好な切り残し部を形成する ことができる。 産業上の利用可能性

以上説明したように、 本発明によれば、 刃部の耐久性が高く、 しかもシート材を パーシャルカツトした際に良好な切り残し部を形成できる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 固定刃と、 可動刃とを有し、 前記固定刃に前記可動刃が摺接してシート材を 切断するとともに、 シート材に切残し部を形成するための切欠溝を、 前記可動刃の 刃部端面から切断動作方向へ一定の深さで形成してあり、

前記可動刃の前記固定刃と対向しない側の表面、 当該表面と直交している刃部端 面、 および前記切欠溝の内周面の各面の交点である角部に、 斜面または湾曲面を形 成したことを特徴とするシート材切断装置。

2 . 前記可動刃の刃部端面は、 一対の斜面によって中央を底部とする略 V字形状 に形成してあり、 少なくとも一対の斜面が交わる中央底部に、 前記切欠溝が形成し てある請求項 1のシート材切断装置。

3 . 前記可動刃の往復動作量を変えることにより、 シート材に切残し部を形成す るパーシャルカット、 またはシート材に切残し部を形成しないフルカッ トの、 いず れか一方の切断形態を選択して実行する構成である請求項 1のシート材切断装置。

4 . 前記可動刃の前記固定刃と対向しない側の表面、 前記可動刃の刃部端面、 お よび前記切欠溝の内周面の各面の交点である角部に、 プレス加工によつて前記斜面 または湾曲面を形成したことを特徴とする請求項 1のシート材切断装置。

5 . シート材からなる記録紙にデータを印字する印字機構と、

前記記録紙を搬送する記録紙搬送機構と、

前記印字済みの記録紙を切断する記録紙切断機構と、

前記印字機構、 前記記録紙搬送機構および前記記録紙切断機構を制御する制御部 とを有するプリンタであって、

前記記録紙切断機構は、

固定刃と、 可動刃とを有し、 前記固定刃に前記可動刃が摺接して記録紙を切断す るとともに、 記録紙に切残し部を形成するための切欠溝を、 前記可動刃の刃部端面 から切断動作方向へ一定の深さで形成してあり、

さらに、 前記可動刃の前記固定刃と対向しない側の表面、 当該表面と直交してい る刃部端面、 および前記切欠溝の内周面の各面の交点である角部に、 斜面または湾 曲面を形成したことを特徴とするプリンタ。

6 . 前記制御部からの指令に基づき、 前記可動刃の往復動作量を変更し、 記録紙 に切残し部を形成するパーシャルカツト、 または記録紙に切残し部を形成しないフ ルカットの、 いずれか一方の切断形態を選択可能である請求項 5のプリンタ。