明 細 書
アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体
技術分野
[0001] 本発明は、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体に関する。さらに詳 しくは、化粧品等の増粘剤として好適に使用し得るアルキル変性カルボキシル基含 有水溶性共重合体に関する。
背景技術
[0002] 化粧品等の増粘剤、パップ剤等の保湿剤、乳化剤や懸濁物等の懸濁安定剤等に 用いられる、(メタ)アクリル酸と (メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体として、 種々の共重合体が知られている。例えば、特定量のォレフィン系不飽和カルボン酸 単量体と特定量の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が 10〜3 0)とを反応させた共重合体 (特許文献 1参照)、特定量のォレフィン系不飽和カルボ ン酸単量体と特定量の (メタ)アクリル酸アルキルエステル (アルキル基の炭素数が 10 〜30)と架橋剤とを反応させた共重合体 (特許文献 2参照)、ォレフィン系不飽和カル ボン酸単量体と (メタ)アクリル酸アルキルエステル (アルキル基の炭素数が 8〜30)と を反応させた共重合体 (特許文献 3参照)等が知られて ヽる。これら (メタ)アクリル酸 と (メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体は、通常、水等に溶解させた後、ァ ルカリで中和して 0. 1〜1重量%程度の中和粘稠液とすることにより、上記の各用途 に用いられる。
[0003] この中和粘稠液は、製品を構成する種々の原料や添加物として用いられる電解質 が共存する場合、それらが比較的低濃度であっても、粘度や透過率が低下したり、 共重合体の一部が析出するといつた問題があった。
[0004] 特に、近年、化粧品等の分野においては、透明感等の見栄えの良さやべたつきの ない使用感といった種々の特性に加え、さらに差別ィ匕を図るため、ミネラル成分等を 高配合した化粧品等が注目を浴びており、比較的高濃度の電解質の存在下であつ ても、高粘度で高 、透過率を有する中和粘稠液を形成することができる増粘剤の提 案が待ち望まれている。
[0005] 特許文献 1 :特開昭 51—6190号公報
特許文献 2:特開昭 59 - 232107号公報
特許文献 3:米国特許第 5004598号明細書
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、比較的高濃度の電解質の存在下であっても粘度が十分に高ぐ非常に 高 ヽ透過率とべたつきのな!/ヽみずみず ヽ質感を有する中和粘稠液を形成すること のできるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体およびそれを含む増粘 剤を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、以下に示すとおりの、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合 体に関する。
[0008] 項 1. (メタ)アクリル酸 100重量部と、(メタ)アクリル酸ラウリル 5〜10重量部と、 0〜 0. 1重量部のエチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物とを重合させて得られる アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体であって、 1重量%中和粘稠液 の粘度が lOOOmPa ' s以下であり透過率が 95%以上、かつ、当該中和粘稠液 100 重量部に対して 1〜7重量部の塩ィ匕ナトリウムを添加したときの最高粘度が 10000〜 30000mPa · sであり透過率が 95%以上であるアルキル変性カルボキシル基含有水 溶性共重合体。
[0009] 項 2.エチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物が、ペンタエリトリトールァリルェ 一テル、ジエチレングリコールジァリノレエーテル、ポリエチレングリコールジァリノレエ一 テルおよびポリアリルサッカロース力もなる群より選ばれた少なくとも 1種である、項 1 に記載のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体。
[0010] 項 3.項 1または 2に記載のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を含 む増粘剤。
[0011] 以下、本発明を詳細に説明する。
[0012] なお、本発明にお 、て、アクリル酸およびメタクリル酸を総称して (メタ)アクリル酸と いう。
[0013] また、本発明において、中和粘稠液の中和とは、当該液の pHが 6. 5〜7. 5である ことを意味する。
[0014] 本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体は、(メタ)アクリル酸と
(メタ)アクリル酸ラウリルと必要に応じてエチレン性不飽和基を 2個以上有する化合 物とを重合させて得られるものである。
[0015] 本発明に用いられる (メタ)アクリル酸と (メタ)アクリル酸ラウリルとの組み合わせは、 それぞれ単独のものを組み合わせてもよいし、どちらか一方、または両者について 2 種を併用して組み合わせてもよい。これらの組み合わせの中でも、常温で液体であり 取り扱 、が容易であることや、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共 重合体の中和粘稠液および電解質存在下における当該液の粘度特性や透過率が 優れて 、ることから、アクリル酸とメタクリル酸ラウリルの組み合わせが好まし 、。
[0016] 本発明における (メタ)アクリル酸ラウリルの使用量は、(メタ)アクリル酸 100重量部 に対して 5〜: LO重量部であり、より好ましくは 6〜9. 1重量部である。(メタ)アクリル酸 ラウリルの使用量が、(メタ)アクリル酸 100重量部に対して 5重量部未満である場合 には、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体の中和粘稠液の 電解質存在下における粘度が不十分になるおそれがあり、一方、 10重量部を超える 場合には、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体の水への溶 解性を損なうおそれがある。
[0017] 本発明にお 、て必要に応じて用いられるエチレン性不飽和基を 2個以上有するィ匕 合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン性不飽和基がァリ ル基である化合物が好ましぐこれらの中でも、ペンタエリトリトールジァリルエーテル 、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラァリルエーテ ル等のペンタエリトリトールァリルエーテルや、ジエチレングリコールジァリルエーテル 、ポリエチレングリコールジァリルエーテル並びにポリアリルサッカロースがさらに好ま しい。なお、これらエチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物は、それぞれ単独で 、あるいは 2種以上を併用してもよい。
[0018] 本発明において、エチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物を使用する場合の 使用量は、(メタ)アクリル酸 100重量部に対して 0. 001-0. 1重量部、より好ましく
は 0. 001-0. 044重量部である。エチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物の 使用量が 0. 1重量部を超える場合、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶 性共重合体の中和粘稠液の電解質存在下における透過率が損なわれたり白濁する おそれがある。
[0019] 本発明において、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸 100重量部に対して 5〜: L0 重量部の (メタ)アクリル酸ラウリルと、必要に応じて (メタ)アクリル酸 100重量部に対 して 0〜0. 1重量部の、エチレン性不飽和基を 2個以上有する化合物とを重合させて アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を得る方法は、特に限定されず、 これらの原料を不活性ガス雰囲気下、溶媒中で攪拌し、重合開始剤を用いて重合さ せる方法等の通常の方法を用いることができる。
[0020] 不活性ガス雰囲気を得るための不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴン ガス等を挙げることができる
前記溶媒は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ラウリルやエチレン性不飽和基を 2 個以上有する化合物を溶解するが、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶 性共重合体を溶解しな 、ものであって、当該反応を阻害しな!、ものであれば特に限 定されるものではない。溶媒の具体例としては、ノルマルペンタン、ノルマルへキサン 、ノルマルヘプタン、シクロペンタンおよびシクロへキサン等が挙げられ、これらの中 でもノルマルへキサンおよびノルマルぺプタンが好適に用いられる。
[0021] 溶媒の使用量は、攪拌操作性を向上させる観点および経済性の観点から、(メタ) アクリル酸 100重量部に対して、 300〜5000重量部であることが好ましい。
[0022] 前記重合開始剤は、例えば、ラジカル重合開始剤が好ましぐ具体例としては、 a , a,—ァゾイソブチロニトリル、 2, 2,—ァゾビス— 2, 4—ジメチルバレロニトリルおよび 2, 2'ーァゾビスメチルイソブチレート等を挙げることができる。これらの中でも、高分 子量のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体が得られる観点から、 2,
2'—ァゾビスメチルイソブチレートが好適に用いられる。
[0023] 重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル酸 1モルに対して 0. 00003〜0. 002モル であることが望ましい。重合開始剤の使用量が 0. 00003モル未満の場合、反応速 度が遅くなるため経済的でなくなるおそれがある。また、重合開始剤の使用量が 0. 0
02モルを超える場合、重合が急激に進行し、反応の制御が困難になるおそれがある
[0024] 反応温度は、 50〜90°Cであるのが好ましぐ 55°C〜75°Cであるのがより好ましい。
反応温度が 50°C未満の場合、反応溶液の粘度が上昇し、均一に攪拌することが困 難になるおそれがある。また、反応温度が 90°Cを超える場合、反応が急激に進行し 、反応の制御が困難になるおそれがある。反応時間は、反応温度によって異なるの で一概にはいえないが、通常、 0. 5〜5時間である。
[0025] 反応終了後、反応溶液を例えば 80〜130°Cに加熱して前記溶媒を揮散除去する ことにより、本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を得ることが できる。加熱温度が 80°C未満の場合、乾燥に長時間を要するおそれがあり、 130°C を超える場合、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体の水への 溶解性を損なうおそれがある。
[0026] 力べして得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体は、 1重量% 中和粘稠液の粘度が lOOOmPa' s以下であり透過率が 95%以上、かつ、当該中和 粘稠液 100重量部に対して 1〜7重量部の塩ィ匕ナトリウムを添加したときの最高粘度 力 OOOO〜30000mPa · sであり透過率が 95%以上と!/、う際立った特徴を有する。 通常、透過率が 95%以上であると、顕著な透明感を有するものと認識される。
[0027] なお、前記粘度の測定方法は、当該共重合体の所定量を攪拌下で適当量の純水 に溶解させた後、これに所定濃度の水酸ィ匕ナトリウム水溶液の所定量を添加して、 p Hが 6. 5〜7. 5の 1重量%中和粘稠液を調製した後、あるいは必要に応じてさらに 所定量の塩ィ匕ナトリウムを添加'攪拌して電解質添加溶液を調製した後、 1時間静置 したものを測定試料とし、 BH型回転粘度計を用いて、スピンドルローター No. 6の回 転速度を毎分 20回転として 1分後の粘度を 25°Cにおいて測定するものである。
[0028] また本発明における透過率の測定方法は、前記粘度の測定試料を遠心分離器に て脱泡した後、光路長 lcmのセルを用いて、測定波長を 425nmとして測定するもの である。
[0029] 本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体は、例えば、脱イオン 水等の純水に溶解し、アルカリで中和して、当該共重合体濃度が 1重量%程度で pH
が 6. 5〜7. 5である中和粘稠液とすることにより、化粧品等の増粘剤として用いること 力 Sできる。中和するためのアルカリとしては、特に制限されるものではなぐ水酸化ナ トリウム等のアルカリ金属水酸化物や、トリエタノールァミン、ジイソプロパノールァミン 等のアミン類等を挙げることができ、これらの中でも水酸ィ匕ナトリウムが好適に用いら れる。
[0030] 本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を用いて得られた中 和粘稠液は、電解質が存在しな 、状態では非常に低粘度であるのにも拘わらず電 解質の添カ卩により粘度が大幅に増大し、さらに比較的高濃度の電解質の存在下であ つても粘度が十分に高ぐ非常に高 、透過率とべたつきのな 、みずみずし!/、質感を 有する。
[0031] 本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体力 このような特性を 有する理由は詳らかではな!/、が、(メタ)アクリル酸ラウリルを特定量使用することによ りアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体に導入された互いのラウリル基 力 水溶液中で疎水性相互作用により会合体を形成し、そのため増粘性が増し、電 解質の影響を変質させて ヽるものと推察される。
[0032] したがって、本発明のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を用いる ことにより、添加物等としての種々の電解質を比較的高濃度に配合しているのにも拘 わらず透明感が非常に優れ、ベたつきのないみずみずしい質感を有する化粧品等 の製造が可能となる。
そのような化粧品としては、例えば、化粧水、乳液、美容液、クリーム、クリームパッ ク、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングジエル、洗顔フォーム、 日 焼け止め、スタイリングジエル、アイライナー、マスカラ、口紅、ファンデーションなどが 挙げられる。
[0033] また、電解質の存在しな!、状態では低粘度であることから、化粧品等の製造効率上 、非常に有用な増粘剤であるといえる。すなわち、製品の各種製造工程において、 電解質の添加前溶液の粘度が低ぐまた電解質を添加する工程をより後段の工程と することにより、電解質添加前の反応工程、移送工程、加熱工程、調合工程等の作 業効率を格段に向上させることができる。
発明の効果
[0034] 本発明によると、電解質が存在しない状態では非常に低粘度であるのにも拘わら ず電解質の添カ卩により粘度が大幅に増大し、比較的高濃度の電解質の存在下であ つても粘度が十分に高ぐさらに非常に高 、透過率とべたつきのな 、みずみずし!/、 質感を有する中和粘稠液を形成することのできるアルキル変性カルボキシル基含有 水溶性共重合体が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0035] 以下に実施例、比較例および参考例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発 明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
[0036] 実施例 1
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた 500mL容の四つロフラ スコに、アクリル酸 45g (0. 625モル)、メタクリル酸ラウリル 2. 7g、ノルマルへキサン 150gおよび 2, 2'—ァゾビスメチルイソブチレ一卜0. 081g (0. 00035モル)を仕込 んだ。引き続き、均一に攪拌、混合した後、反応容器の上部空間、原料および溶媒 中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、 窒素雰囲気下、 60〜65°Cに保持して 4時間反応させた。反応終了後、生成したスラ リーを 90°Cに加熱して、ノルマルへキサンを留去し、さらに、 110°C、 lOmmHgにて 8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有 水溶性共重合体 45gを得た。
[0037] 実施例 2
実施例 1において、メタクリル酸ラウリルの使用量を 4. lgに変更した以外は実施例 1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 46gを得た。
[0038] 実施例 3
実施 f列: Uこお ヽて、アタリノレ酸 45g(0. 625モノレ)、メタクリノレ酸ラウリノレ 2. 7g、ノノレ マルへキサン 150g、 2, 2,—ァゾビスメチルイソブチレート 0. 081g (0. 00035モル )に加えて、ペンタエリトリトールァリルエーテル 0. 02gを用いた以外は実施例 1と同 様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 45g
を得た。
[0039] 実施例 4
実施例 3において、メタクリル酸ラウリルの使用量を 4. lgに変更した以外は実施例 3と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 46gを得た。
[0040] 比較例 1
実施例 1において、メタクリル酸ラウリルの使用量を 1. 8gに変更した以外は実施例 1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 44gを得た。
[0041] 比較例 2
実施例 1において、メタクリル酸ラウリルの使用量を 5. 4gに変更した以外は実施例 1と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 47gを得た。
[0042] 比較例 3
実施例 3において、ペンタエリトリトールァリルエーテルの使用量を 0. 13gに変更し た以外は実施例 3と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有 水溶性共重合体 45gを得た。
[0043] 比較例 4
実施例 3において、メタクリル酸ラウリル 2. 7gに代えてメタクリル酸ステアリル 4. lg を用いた以外は実施例 3と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル 基含有水溶性共重合体 47gを得た。
[0044] 比較例 5
実施例 3において、メタクリル酸ラウリル 2. 7gに代えてメタクリル酸ステアリル 0. 9g を、ペンタエリトリトールトリエーテル 0. 02gに代えて 0. 09gを用いた以外は実施例 3 と同様にして、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 4 4gを得た。
[0045] 実施例 1〜4および比較例 1〜 5にお 、て使用した主要原料とその使用量を表 1〜 2に示す。
[0046] [表 1]
なお、括弧内は、使用したアクリル酸の重量を 100重量部とした場合の各原料の重 量部を示す。
[0047] [表 2]
なお、括弧内は、使用したアクリル酸の重量を 100重量部とした場合の各原料の重 量部を示す。
[0048] 評価
実施例 1〜4および比較例 1〜 5で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶 性共重合体の増粘剤としての特性を評価するため、それぞれの 1重量%中和粘稠液 、およびそれらに塩ィ匕ナトリウムを添加'攪拌して調製した電解質添加溶液について 、粘度および透過率を測定した。さらにこれらの電解質添加溶液のうち、最高粘度を 示したものについて、みずみずしさの質感官能試験を実施した。
[0049] (1)評価試料の調製
実施例 1〜4および比較例 1〜 5で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶 性共重合体 3gをそれぞれ純水 (脱イオン水) 280gに攪拌下、徐々に投入して溶解さ せた後、さらに攪拌しながら 6重量%水酸ィ匕ナトリウム 17gをカ卩えて、 pHが 6. 5〜7.
5の 1重量%中和粘稠液とする。また、電解質存在下でのこれら中和粘稠液の特性を 評価するために、これらと同様にして得た 1重量%中和粘稠液 300gに対し、塩ィ匕ナ トリウムの 3g、 6g、 9g、 12g、 15g、 18gおよび 21gをそれぞれ添加'攪拌して、 1〜7 重量%電解質添加溶液とする。
[0050] 下記評価では、これら 1重量%中和粘稠液および各重量%電解質添加溶液を 1時 間静置したものを評価試料として用いた。
[0051] (2)粘度測定
各評価試料について、 BH型回転粘度計を用いて、スピンドルローター No. 6の回 転速度を毎分 20回転として 1分後の粘度を 25°Cで測定した。測定結果を表 3〜7に 示す。
[0052] (3)透過率測定
各評価試料につ!、て、遠心分離器にて毎分 2000回転で 30分間の操作により脱 泡した後、光路長 lcmのセルを用いて、測定波長を 425nmとして透過率を測定した 。通常、透過率が 95%以上であれば目視において非常に透明であるといえる。測定 結果を表 3〜7に示す。
[0053] (4)質感官能試験
実施例 1〜4および比較例 1〜 5で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶 性共重合体それぞれにつ 、て実施した上記(2)粘度測定にお!、て、最高粘度を示 した各評価試料について、男女各 5人のパネラーの皮膚上に適当量を載せ、指で伸 ばした際の感触を質感として評価した。評価の基準は次の通りである。
◎:みずみずしい。
〇:ややみずみずしい。
△:何ともない。
X:べたつく。
[0054] なお、通常、 70%以上のパネラー力 「◎:みずみずしい。」および「〇:ややみず みずしい。」と感じれば、当該評価試料はみずみずしい質感を有するものといえる。 評価結果を表 8〜9に示す。
[0055] [表 3]
実施例 実施例
添加量 粘度 透過率 粘度 透過率
備考 備考 」 [%] 」 [%]
官能試験試料 官能試験試料
[0059] [表 7]
N a C 1 比較例 5
添加量 粘度 透過率
備考
[ g ] [ m P a ■ s ] [% ]
0 6 8 0 0 9 5
3 9 5 5 0 8 7 官能試験試料
6 6 1 5 0 6 3
9 1 7 0 0 1 3
1 2 4 0 0 4
1 5 相分離
1 8 相分離
2 1 相分離
[0060] [表 8]
[0062] 表 3〜9から、実施例 1〜4で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共 重合体は、電解質が存在しない状態では非常に低粘度であるのにも拘わらず電解 質の添カ卩により粘度が大幅に増大し、比較的高濃度の電解質の存在下であっても粘 度が十分に高く、さらに非常に高 、透過率とべたつきのな!/、みずみずし!/、質感を有 する中和粘稠液を形成することがわかる。
[0063] このように、前記実施例 1〜4で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性 共重合体は、前記のごとき優れた特性を有する増粘剤として利用できることが示され た。
[0064] 参考例 1
以下に示した成分 1〜6をそれぞれの割合で加えて均一に攪拌し、さらに成分 7〜 10を加え、均一に攪拌し、可溶化して化粧水を調製した。
1.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 4 ) 0. 1
2.水酸化ナトリウム 0.2 3 ,ァスコノレビン酸 2—グノレコシド 2.0
4.クェン酸 0.0
5. リン酸一水素ナトリウム 0. 1 6.精製水 合計で 100 %となる割合
7.エタノール 8.0%
8. P0E (30) POP (6) デシノレテトラデシルエーテル 0.3% 9.防腐剤 適量 10.香料 適量 参考例 2
以下に示した成分 1〜8をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 9〜 17をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続いて、 攪拌しながら冷却し、乳液を調製した。
1.モノステアリン酸 P0E (20) ソノレビタン 1. 0
2.テトラオレイン酸 P0E (40) ソルビトール 1. 5
3.親油型モノステアリン酸グリセリル 1. 0
4.ステアリン酸 0. 5
5. ベへ; = レアノレコーノレ 1. 5
6.スクヮラン 5. 0
7. 2—ェチルへキサン酸セチル 5. 0 % % % 81
8.メチルポリシロキサン 0. 5 % % % %
9.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 2) 0. 1
10.キサンタンガム 0. 1
1 1.水酸化ナトリウム 0. 0
1 2.乳酸ソーダ 1. 0
1 3.クェン酸 0. 0
14.リン酸一水素ナトリウム 0. 1
1 5. 1, 3—ブチレングリコール 7. 0
1 6.防腐剤 適量
1 7.精製水 合計で 100%となる割合 参考例 3
以下に示した成分 1〜11をそれぞれの割合で常温にて混合溶解し、攪拌しながら 粘稠性液体とし、美容液を調製した。
1.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 1 ) 0. 2
2.水酸化ナトリウム 0. 0 3. リン酸 Lーァスコルビン酸マグネシウム 3. 0
4.タエン酸ナトリウム 0. 5
5.ェデト酸 4ナトリウム 0. 1 6. 1, 3—ブチレングリコール 7. 0 7. グリセリ ン 8. 0
8.精製水 合計で 1 0 0 %となる割合
9.美容成分 適量
1 0.防腐剤 適量
1 1.ェタノ一ノレ 5. 0 % 参考例 4
以下に示した成分 1〜6をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 7〜 14をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続いて、 攪拌しながら冷却し、クリームを調製した。
1 .ペンタォレイン酸デ力グリセリノレ 3. 0 %
2 . ミツロウ 2. 0 %
3 .セタノーノレ 2. 0 %
4 .スクヮラン 5. 0 %
5 . トリー 2—ェチルへキサン酸グリセリル 2. 0 %
6 .メチノレポリシロキサン 0. 5 %
7 .グリセリン 5. 0 %
8 . リン酸 Lーァスコノレビノレマグネシウム 3. 0 %
9 .タエン酸ナトリウム 0. 5 %
1 0.ェデト酸 4ナトリウム 0. 1 % % % % % % % %%%%%%%%%% 856
% % %
1 1.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 3 ) 0. 1 5 %
1 2.水酸化ナトリウム 0. 0 6 %
1 3.防腐剤 適量
1 4.精製水 合計で 1 0 0%となる割合 参考例 5
以下に示した成分 1〜4をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 5〜 12をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続いて、 攪拌しながら冷却し、クリームパックを調製した。
1. POE (2 0) POP (4) セチルエーテル 0. 8 %
2 .モノステアリン酸ジグリセリル 0. 2 %
3 . トリー 2—ェチルへキサン酸グリセリル 1. 0 %
4 .メ ドウホーム油 1. 0 %
5 .グリセリン 5. 0 %
6 . 1, 3—ブチレングリコール 3. 0 %
7 .アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 2 ) 0. 1 %
8 .水酸化ナトリウム 0. 2 8 %
9 , ヒドロキシ'ェチル 'セノレ口ース 0. 3 %
1 0.ァスコノレビン酸 2 ダルコシド 2. 0 %
1 1.防腐剤 適量
1 2.精製水 合計で 1 0 0%となる割合 参考例 6
以下に示した成分 1〜7をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 8〜: 13をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続いて、 攪拌しながら冷却し、マッサージクリームを調製した。
1 . P0E (2 0) セチルエーテル
2 .親油型モノステアリン酸グリセリル
3 .セタノーノレ
4 .白色ワセリン 6. 0%
5 .スクヮラン 3 0. 0 %
6 . トリー 2—ェチルへキサン酸グリセリル
7 .メチルポリシロキサン
寸 0. 5%
8 .アルキル変性力ルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 4 ) 0 t. 1 % o Ο
9 .水酸化ナトリウム 0. 0 ο o σ % % % % % % % % % 8ό 4. %
ミさ %
1 0.グリセリン
1 1.PCAソーダ 1. 0%
1 2.防腐剤 適量
1 3.精製水 合計で 1 0 0%となる割合 参考例 7
以下に示した成分 1〜7をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 8〜: 13をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続いて、 攪拌しながら冷却し、クレンジングクリームを調製した。
1.モノステアリン酸 P0E (20) ソノレビタン 2.0%
2 .テトラオレイン酸 P0E (40) ソルビトール 1.0%
3 .自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 2.0 %
4 -ステアリン酸 4.0 %
5 .セタノーノレ 2.0 %
6 .流動ノ ラフィン 30.0%
7 . トリー 2—ェチルへキサン酸グリセリル 10.0%
8 . 1, 3—ブチレングリコーノレ 5.0 %
9 .アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 2 ) 0. 1 %
1 0.水酸化ナトリウム 0.04%
1 1.Lーセリン 1.0%
1 2.防腐剤 適量
1 3.精製水 合計で 1 00%となる割合 参考例 8
以下に示した成分 1〜: LOをそれぞれの割合で常温にて均一混合し、ジエル状とな し、クレンジングジエルを調製した。
1 .ァクペック HV— 501E (カルボキシビュルポリマー) 0. 1 %
2 .アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 1 ) 0. 1 %
3 .水酸化ナトリウム 0.08%
4 . PCAソーダ 1.0%
5 . ヒ ドロキシプロピノレセノレロース 0. 5 %
6 . P0E (30) セチルエーテル 1 6.0%
7 . P0E (5 ) ラウリルエーテル 1 2.0%
8 . 1, 3—ブチレングリコール 1 0.0%
9 .精製水 合計で 100 %となる割合
%%%%%%%%%%4
1 0.防腐剤 適量 % 参考例 9
以下に示した成分 1〜8をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成分 9〜 14をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、混合する。続いて、攪拌しながら 冷却し、洗顔フォームを調製した。
1. ミリスチン酸 15. 0
2.パノレミチン酸 5. 0
3.ステアリン酸 3. 0 4. ミツロウ 3. 0
5.ポリエチレングリコール 6000 2. 0
6.ジステアリン酸エチレングリコール 2. 0
7.ヤシ油脂酸ジエタノールアミ ド 3. 0
8.濃グリセリン 15. 0 9.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 3 ) 0. 1
1 0.水酸化ナトリウム 0. 0
1 1.水酸化力リウム 5. 5
1 2. PCAソーダ 0. 5
1 3. N—ラウロイルサルコシンナトリウム 10. 0 1 4.精製水 合計で 100 %となる割合 参考例 10
以下に示した成分 1〜: L0をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成 分 11〜16をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続い て、攪拌しながら冷却し、 日焼け止めを調製した。
1.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 4 ) 0. 1
2.カルボキシメチルセルロースナトリ ウム 0. 3
3.水酸化ナトリウム 0. 2
4.ァスコノレビン酸 2—グノレコシド 2. 0
6. リン酸一水素ナトリウム 0. 1
7.防腐剤 適量 %%%%%%%%%%%%4
% % % 8. 1, 3—プチレンダリコール 7. 0%
9.グリセリン 8. 0%
1 0.精製水 合計で 100 %となる割合
1 1.モノステアリン酸ソルビタン 0. 5%
1 2.モノォレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン P0E( 20) 0. 5%
1 3.セスキォレイン酸ソルビタン 0. 5% 1 4.セタノール 2. 0 % 1 5.パラメ トキシケィ皮酸 2—ェチルへキシノレ 1 0. 0% 1 6.ェタノール 1 0. 0% 参考例 11
以下に示した成分 1〜6をそれぞれの割合で常温にて溶解させ、攪拌しながら均一 混合し、スタイリングジエルを調製した。
1.ァクペック HV— 505 E (カルホキシビュルポリマー) 0. 1
2.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 3) 0. 1
3.水酸化ナトリウム 0. 0 4.ビエルピロリ ドン .酢酸ビエル共重合体液 (H) 1 10.0 5.PCAソーダ 1. 0 6.精製水 合計で 100 %となる割合 ·¾ 1 ISP社製 PVP/VAE— 735 参考例 12
以下に示した成分 1〜9をそれぞれの割合で常温にて溶解させ、攪拌しながら均一 混合し、アイライナーを調製した。
1.ァクリル酸アルキル共重合体ェマルジョン※ 2 30.0
2. 1, 3 プチレンダリコール 1 5.0
3.黒酸化鉄 1 5.0
4.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 1 ) 0. 1
5.水酸化ナトリウム 0.0
6.カルボキシメチルセルロースナトリ ウム 2.0
7.塩化ナトリウム 0. 5
8.防腐剤 適量
9.精製水 合計で 100 %となる割合 ※^ 日本 NSC社製 Y0D0S0L GH810 参考例 13
以下に示した成分 1〜: LOをそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成
% % % % 8 分 11〜16をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、攪拌しながら乳化する。続 % % % % % % 4 % %い て、攪拌しながら冷却し、マスカラを調製した。
1.ステアリン酸 2. 0
2.カノレナゥバロウ 2. 0 3. ミツロウ 3. 0 4.モノォレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン P0E(20) 1. 0 5.セスキォレイン酸ソノレビタン 0. 5
6.アクリル酸アルキル共重合体ェマルジヨン※ 2 1. 0
7. トリエタノールァミン 1. 1
8.プロピレングリコール 1. 0 9.黒酸化鉄 10.0
10.カオリン 10.0
1 1.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 1 ) 0. 2
1 2.水酸化ナトリウム 0. 0
1 3.カルボキシメチルセルロースナトリウム 2. 5
14.塩化ナトリウム 0. 1
1 5.防腐剤 適量
1 6.精製水 合計で 100 %となる割合 ※ 日本 NSC社製 Y0D0S0L GH810 参考例 14
以下に示した成分 1〜: L1をそれぞれの割合で加えてローラー処理にて分散する。 高温で型に流し込み、冷却し成型したものを容器に充填して口紅を調製した。
1.キヤンデリラワックス 5.0%
2.セレシン 5.0%
3.カルナバワックス 3.0%
4.マイクロクリスタリンワックス 3.0%
5. トリ一 2—ェチルへキサン酸グリセリノレ 20.0%% %%%%%%%%%%%∞%
6.イソノナン酸イソ トリデシル 20.0% %
7. リンゴ酸ジイソステアリノレ 合計で 100 %となる割合 8.アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 4 ) 1.0%
9.無水ケィ酸 1.0%
10.着色料 適量
1 1.防腐剤 適量 参考例 15
以下に示した成分 1〜: L1をそれぞれの割合で加えて 80°Cに加温する。さらに、成 分 12〜17をそれぞれの割合でカ卩えて 80°Cに加温し、混合する。続いて、攪拌しな がら冷却し、ファンデーションを調製した。
1.親油型モノステアリン酸グリセリル 1. 0%
2 .ステアリン酸
3 . ぺへニノレアノレコーノレ
4 .セタノーノレ 0. 5%
5 . スクヮラン
6 .酸化チタン
7 ,ベンガラ 適量
8 .黄酸化鉄 適量
9 .黒酸化鉄 適量
1 0.タノレク 4. 0 %
1 1.大豆リン脂質 0. 3%
1 2. 1 , 3—プチレングリコ一ノレ
1 3. トリエタノールァミン 1. 5%
1 4. アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体 (実施例 4) 0. 2%
1 5.水酸化ナトリウム 0. 08 %
1 6.PCAソーダ 1. 0%
1 7.精製水 合計で 100%となる割合 前記実施例 1から 4で得られたアルキル変性カルボキシル基含有水溶性重合体を 使用した化粧品は、ベたつきのないみずみずしい使用感を有していた。さらに、電解 質等を配合した化粧品等にぉ ヽても同様の特性を有して V、た。
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