光学活性シ夕ロプラムの製造方法、 その中間体及びその製造方法
技術分野
本発明は、 抗うつ剤として有用な光学活性シタロプラムの製造方法、 その合成中間 体及びその製造方法に関する。
背景技術
抗うつ剤として有用な式 (Χ ' )
で示される光学活性シ夕ロプラムの製造方法として、 例えば JP-H02 -036177Aに開 示される方法が提案されている。
しかしながら、 従来法は何れも光学分割法により得られる光学活性な中間体を経由 する方法であり、 不要なェナンチォマ一は捨てることになるためァトムェコノミ一が 低く、 環境及びコスト上有利な方法ではなかった。
発明の開示
本発明の目的は、 新規な立体選択的反応を開発してアトムエコノミーの向上を図る ことにより、 光学活性シタロプラムを効率的に製造できる方法を提供することにある。 本発明者らは、 上記課題を解決するため鋭意研究した結果、 本発明に至った。
すなわち、 本発明は以下のとおりである。
< 1 > 式 (II) :
(式中、 Xはシァノ基またはシァノ基に変換可能な基を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (II) と記すことがある。 ) 。
< 2 > 式 (I)
(式中、 Xはシァノ基またはシァノ基に変換可能な基を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (I) と記すことがある。 ) を酸化することを含む 工程を包含する化合物 (II) の製造方法。
< 3 > 式 (IV)
(式中、 R 1および; 2はそれぞれ独立して、 置換基を有していてもよい低級アルキ ル基を示し、 nは 0〜3の整数を示し、 *は不斉炭素を示す。 Xは前記と同義を示 す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (IV) と記すことがある。 ) 。
< 4 > 化合物 (II) を、 酸の存在下、 式 (III)
OH OH
丄 丄 (in)
R1 *>V R2
(式中、 R1 R2、 n及び *は前記と同義を示す。 )
で示される光学活性ジオール化合物 (以下、 光学活性ジオール化合物 (III) と記す ことがある。 ) と反応させることを含む工程を包含する化合物 (IV) の製造方法。 <5> 化合物 (II) が、 化合物 (I) を酸化することを含む工程により得られる < 4 >に記載の方法。
<6> 式 (VI)
(式中、 Y1はジメチルァミノ基またはジメチルァミノ基に変換可能な基を示し、 X、 R R2、 n及び *は前記と同義を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (VI) と記すことがある。 ) またはその塩。
<7> 化合物 (IV) を、 式 (V)
M'^^Y1 (V)
(式中、 Mは L iまたは MgX1を示す。 X1はハロゲン原子を示す。 Y1は前記と同 義を示す。 )
で示される有機金属試薬 (以下、 有機金属試薬 (V) と記すことがある。 ) と反応さ せることを含む工程を包含する化合物 (VI) またはその塩の製造方法。
<8> 化合物 (IV) が、 化合物 (II) を、 酸の存在下、 光学活性ジオール化合物
(in) と反応させることを含む工程により得られるく Ί >に記載の方法。
(式中、 Y2は、 ジメチルァミノ基またはジメチルァミノ基に変換可能な基を示し、 X及び *は前記と同義を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (VII) と記すことがある。 ) またはその塩。 <10> 化合物 (VI) またはその塩を脱保護することを含む工程を包含する化合 物 (VII) またはその塩の製造方法。
<11> 化合物 (VI) が、 化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反応させること を含む工程により得られる <10>に記載の方法。
<12> 化合物 (VII) またはその塩を還元することを含む工程を包含する式 (VIII)
(式中、 Υ3は、 ジメチルァミノ基またはジメチルァミノ基に変換可能な基を示し、 Xおよび *は前記と同義を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (VIII) と記すことがある。 ) またはその塩の製 造方法。
く 13> 化合物 (VII) またはその塩が、 化合物 (VI) またはその塩を脱保護する ことにより得られる <12>に記載の方法。
<14> (i) 化合物 (VII) またはその塩を、 環化還元して式 (IX)
(式中、 Y4は、 ジメチルァミノ基またはジメチルァミノ基に変換可能な基を示し、 X及び *は前記と同義を示す。 )
で示される化合物 (以下、 化合物 (IX) と記すことがある。 ) またはその塩を得る ことを含む工程、 (ii) Xがシァノ基でない場合は、 Xをシァノ基に変換する工程、 および (iii) Y4がジメチルァミノ基でない場合は、 Y4をジメチルァミノ基に変換 する工程を含む式 (X)
(式中、 *は前記と同義を示す。 )
で示される光学活性シ夕ロプラム (以下、 化合物 (X) と記すことがある。 ) または その酸付加塩の製造方法。
<1 5> 化合物 (VII) またはその塩が、 化合物 (VI) またはその塩を脱保護する ことを含む工程により得られる < 14 >に記載の方法。
<16> 化合物 (VI) またはその塩が、 化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反 応させることを含む工程により得られる <15>に記載の方法。
<17> ( i ) 化合物 (VIII) またはその塩を、 環化反応に付して、 フタラン環 を形成する工程、 (ii) Xがシァノ基でない場合は、 シァノ基に変換する工程、 お よび (iii) Y3がジメチルァミノ基でない場合は、 ジメチルァミノ基に変換するェ 程を含む化合物 (X) またはその酸付加塩の製造方法。
<18> 化合物 (VIII) またはその塩が、 化合物 (VII) またはその塩を還元す ることを含む工程により得られる <17〉に記載の方法。
< 1 9 > 化合物 (VII) またはその塩が、 化合物 (VI) またはその塩を脱保護する ことを含む工程により得られるく 1 8 >に記載の方法。
< 2 0 > 化合物 (VI) またはその塩が、 化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反 応させることを含む工程により得られる < 1 9〉に記載の方法。
< 2 1 > 化合物 (I) を酸化することを含む工程、
化合物 (II) を、 酸の存在下、 光学活性ジオール化合物 (III) と反応させるること を含む工程、
化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反応させることを含む工程、
化合物 (VI) またはその塩を脱保護することを含む工程、
化合物 (VII) またはその塩を還元することを含む工程、 及び
化合物 (VII) またはその塩を環化還元することを含む工程
から選ばれる少なくとも 1つの工程を含む化合物 (X) またはその酸付加塩の製造方 法。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
Xはシァノ基またはシァノ基に変換可能な基を示す。 「シァノ基に変換可能な基」 とは、 1または 2以上の工程により選択的にシァノ基に変換できる置換基であり、 例 えば八ロゲン原子 (例、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子等) 、 保護された水酸基、 保護されたヒドロキシメチル基、 保護されたァミノ基、 保護されたホルミル基、 保護 された力ルポキシル基等が挙げられ、 例えば化合物 (IV) を化合物 (VI) に変換す る反応において用いられる有機金属試薬 (V) との反応を抑える点、 およびシァノ基 への変換しやすさの点から、 ハロゲン原子、 保護された水酸基、 保護されたカルボキ シル基が好ましい。
「保護された水酸基」 および 「保護されたヒドロキシメチル基」 における保護基と しては、 例えば、 2—テトラヒドロピラエル基、 2—テトラヒドロフラニル基、 1一 エトキシェチル基、 ベンジル基、 メトキシメチル基、 ベンジルォキシメチル基、 t e r t一プチルジメチルシリル基等が挙げられ、 例えば化合物 (iv) を化合物 (VI)
に変換する反応において用いられる有機金属試薬 (V) との反応を抑える点では、 2 ーテトラヒドロピラニル基及び 1一エトキシェチル基が好ましい。
「保護されたァミノ基」 としては、 例えば、 ベンジルォキシカルポニルァミノ基、 t e r t一ブトキシカルポニルァミノ基、 エトキシカルポニルァミノ基、 メトキシカ ルポニルァミノ基等が挙げられ、 例えば化合物 (IV) を化合物 (VI) に変換する反 応において用いられる有機金属試薬 (V) との反応を抑える点では、 ベンジルォキシ 力ルポニルァミノ基及び t e r t一ブトキシカルポニルァミノ基が好ましい。
「保護されたホルミル基」 としては、 例えば、 ジメトキシメチル基、 1, 3—ジォ キソラン一 2—ィル基、 1 , 3—ジォキサン一 2—ィル基、 1 , 3—ジチオラン一 2 ーィル基、 1 , 3—ジチアン一 2—ィル基等が挙げられ、 例えば化合物 (IV) を化 合物 (VI) に変換する反応において用いられる有機金属試薬 (V) との反応を抑える 点は、 ジメトキシメチル基及び 1, 3—ジォキソラン一 2—ィル基が好ましい。
「保護されたカルボキシル基」 としては、 例えば、 力ルバモイル基、 置換基を有し ていてもよいォキサゾリン一 2 _ィル基 (例えば、 ォキサゾリン— 2—ィル基、 4 , 4一ジメチルーォキサゾリン一 2—ィル基等) 等が挙げられ、 例えば化合物 (IV) を化合物 (VI) に変換する反応において用いられる有機金属試薬 (V) との反応を抑 える点では、 4, 4—ジメチルーォキサゾリン— 2—ィル基が好ましい。
R 1および R 2はそれぞれ独立して、 置換基を有していてもよい低級アルキル基を 示す。 「低級アルキル基」 としては、 通常炭素数 1〜 1 2の、 好ましくは炭素数 1〜 6の直鎖状または分枝状のアルキル基、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 ィ ソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 s e c _ブチル基、 t e r t _ブチル基、 ペンチル基、 イソペンチル基、 ネオペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル 基、 ノニル基、 デシル基、 ゥンデシル基、 ドデシル基等が挙げられ、 好ましくはメチ ルまたはェチルである。
当該低級アルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、 炭素数 1〜8の直 鎖状または分枝状のアルコキシ基 (例、 メトキシ基、 エトキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキシ基、 イソブトキシ基、 s e c一ブトキシ基、 t e r t一ブトキシ基、 ペンチ ルォキシ基、 イソペンチルォキシ基、 ネオペンチルォキシ基、 へキシルォキシ基、 へ
プチルォキシ基、 ォクチルォキシ基等) 、 炭素数 2〜 8の直鎖状または分枝状のアル ケニルォキシ基 (例、 ビニルォキシ基、 ァリルォキシ基、 2—プロぺニルォキシ基 等) 、 炭素数 6〜1 4のァリール基 (例、 フエニル基、 1または 2—ナフチル基、 2 一、 3—又は 4一トルィル基等) 、 炭素数 7〜1 4のァラルキルォキシ基 (例、 ベン ジルォキシ基、 1または 2—ナフチルメチルォキシ基、 4ーメトキシベンジルォキシ 基、 4—ニトロベンジルォキシ基等) 等が挙げられ、 好ましくは炭素数 1〜8の直鎖 状または分枝状のアルコキシ基、 炭素数 2〜 8の直鎖状または分枝状のアルケニルォ キシ基及び炭素数?〜 1 4のァラルキルォキシ基であり、 さらに好ましくはべンジル ォキシ基である。
R 1および R 2における置換基を有していてもよい低級アルキル基としては、 メチ ル基、 低級アルコキシメチル基、 低級アルケニルォキシメチル基及びァラルキルォキ シメチル基が好ましく、 さらに好ましくはメチル基、 ベンジルォキシメチル基である。
X 1はハロゲン原子を示す。 該ハロゲン原子としては、 例えば塩素原子、 臭素原子 及びヨウ素原子が挙げられ、 塩素原子及び臭素原子が好ましい。
Y 1 , Y 2、 Υ 3および Υ 4は、 同一または異なって、 「ジメチルァミノ基またはジ メチルァミノ基に変換可能な基」 を示す。 当該 「ジメチルァミノ基に変換可能な基」 とは、 1または 2以上の工程を経て選択的にジメチルァミノ基に変換できる置換基で あり、 例えば、 保護基を有していてもよい水酸基 (例えば、 水酸基、 2—テトラヒド ロビラニルォキシ基、 2—テトラヒドロフラニルォキシ基、 1一エトキシエトキシ基、 ベンジルォキシ基、 メトキシメトキシ基、 ベンジルォキシメトキシ基、 t e r t—ブ チルジメチルシリルォキシ基等) 、 保護基を有してもよいアミノ基 (例えば、 ァミノ 基、 ベンジルォキシカルポニルァミノ基、 t e r tーブトキシカルポニルァミノ基 等) 等が挙げられる。 Y 1で示される 「ジメチルァミノ基に変換可能な基」 は、 化合 物 (IV) を化合物 (VI) に変換する反応において用いられる有機金属試薬 (V) と反 応しない保護基を有する水酸基 (例えば、 2—テトラヒドロビラニルォキシ基、 2— テトラヒドロフラニルォキシ基等) が好ましい。
Υ 2、 Υ 3および Υ 4は、 Υ 1と同一であっても異なっていてもよい。 例えば、 化合 物 (VI) を化合物 (VI I) に変換する反応、 化合物 (VII) を化合物 (VIII) に変
換する反応或いは化合物 (VII) を化合物 (IX) に変換する反応において、 Y 1また は Y 2が、 保護基を有する水酸基または保護基を有するアミノ基から水酸基またはァ ミノ基等に変換されてもよい。
化合物 (VI) 、 (VII ) , (VIII) および (IX) がジメチルァミノ基を有する場合 は塩を形成してもよい。 そのような塩としては、 例えば、 無機酸塩 (例えば塩酸塩、 硫酸塩、 硝酸塩、 リン酸塩、 臭化水素酸塩等) または有機酸塩 (例えば酢酸塩、 プロ ピオン酸塩、 メタンスルホン酸塩、 4一トルエンスルホン酸塩、 シユウ酸塩、 マレイ ン酸塩等) 等が挙げられる。
化合物 (X) の酸付加塩、 すなわち光学活性シ夕ロプラムの酸付加塩としては、 薬 理的に許容される非毒性酸付加塩が好ましく、 例えば、 マレイン酸塩、 フマル酸塩、 安息香酸塩、 ァスコルビン酸塩、 パモイン酸塩、 コハク酸塩、 シユウ酸塩、 サリチル 酸塩、 メタンスルホン酸塩、 ェタンジスルホン酸塩、 酢酸塩、 プロピオン酸塩、 酒石 酸塩、 クェン酸塩、 ダルコン酸塩、 乳酸塩、 リンゴ酸塩、 マンデリン酸塩、 ケィ皮酸 塩、 シトラコン酸塩、 ァスパラギン酸塩、 ステアリン酸塩、 パルミチン酸塩、 ィ夕コ ン酸塩、 グリコール酸塩、 P—ァミノ安息香酸塩、 グルタミン酸塩、 ベンゼンスルホ ン酸塩、 テオフィリン酢酸塩、 8ーハロテオフィリン (例えば 8—ブロモテオフィリ ン等) 等の有機酸との塩;塩酸、 臭化水素酸、 スルフィン酸、 スルファミン酸、 リン 酸、 硝酸等の無機酸との塩等が挙げられる。
化合物 (III) 、 化合物 (IV) 、 (VI) 、 (VII) 、 (VIII) 、 (IX) および (X) の構造式中に示される *の印は、 該印が付された炭素原子が光学活性な不斉炭 素であることを示し、 不斉炭素を二つ以上有する化合物は、 可能なあらゆる立体異性 体またはその混合物をも包含する。
本発明において光学活性化合物とは、 それが、 不斉炭素の立体配置が異なる異性体 の等量混合物 (例えば、 ラセミ体) でないことを意味し、 1つの立体異性体が他の異 性体より過剰に存在する場合 (例えば、 6 : 4の混合物) であれば、 その化合物は光 学活性化合物であると定義される。
化合物 (X) の製造方法の好ましい形態として、 下記反応スキームが示される。
(式中、 X、 R R2、 Y Y2、 Y3、 Y4、 n及び *は前記と同義を示す。 ) 本発明は以下の工程 (a) 〜 (g) の少なくとも一の工程を含む、 化合物 (II) 、
(IV) 、 (VI) 、 (VII) 、 (VIII) 、 (IX) 、 及び化合物 (X) すなわち光学活 性シタロプラムまたはその酸付加塩の製造方法を含む。
工程 (a) :化合物 (I) を酸化して、 化合物 (II) を得る工程;
工程 (b) :化合物 (II) を、 酸の存在下、 光学活性ジオール化合物 (ill) と反応 させて、 化合物 (IV) を得る工程;
工程 (C) :化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反応させて、 化合物 (VI) また はその塩を得る工程;
工程 (d) :化合物 (vi) またはその塩を脱保護し、 化合物 (VII) またはその塩を 得る工程;
工程 (e) :化合物 (VII) またはその塩を還元して、 化合物 (VIII) またはその 塩を得る工程;
工程 (f) :化合物 (VIII) またはその塩を、 以下の工程 (i) 〜 (iii) に付し て、 化合物 (X) またはその酸付加塩を得る工程;
( i ) 化合物 (VIII) またはその塩を環ィ匕反応に付して、 フタラン環を形成するェ 程;
(ϋ) Xがシァノ基でない場合は、 Xをシァノ基に変換する工程;
(iii) Y3がジメチルァミノ基でない場合は、 Y3をジメチルァミノ基に変換するェ 程;
工程 (g) :化合物 (VII) またはその塩を、 以下の工程 (i ) 〜 (iii) に付して、 化合物 (X) またはその酸付加塩を得る工程;
( i) 化合物 (VII) またはその塩を環化還元して化合物 (IX) 得る工程;
(ii) Xがシァノ基でない場合は、 Xをシァノ基に変換する工程;
(iii) Y4がジメチルァミノ基でない場合は、 Y4をジメチルァミノ基に変換するェ 程。 以下、 工程 (a) 〜 (g) について詳細に説明する。
なお、 水酸基、 アミノ基、 ホルミル基、 力ルポキシル基等への保護基の導入または 脱保 s¾は、 「P:rotective Groups in Organic Synthesis 3rd editiorU
(1999年、 セォドア グリーン (Theodora Greene) 等著、 ジョンウィリー &サ ンズ社 (John Wiley & Sons Inc) 発行) に記載の方法により行うことができる。 1. 工程 (a)
工程 (a) は、 化合物 (I) を酸ィ匕して、 化合物 (II) を得る工程である。
この工程における酸化反応は、 化合物 (I) のヒドロキシメチル基をホルミル基に 酸化し得る方法であれば特に限定はなく、 従来公知の酸化反応を制限なく適用できる。
そのような酸化反応としては、 例えば TEMPO酸化 (Org. Synth., 69, 212(1990)参照) 、 スワン酸化 (J. Org. Chem. , 43, 2480 ( 1978 )参照) 、 デ スマーティン試薬を用いる方法 (J.Org. Chem. , 48, 4156 ( 1983 )参照) 、 二酸 化マンガン酸化 (Synthesis, 1976, 65参照) 、 TRAP酸化 (Chem. Soc. Rev. , 21, 179(1992)参照) 等が挙げられるが、 収率および選択性の観点からは、 TEMPO酸化、 二酸化マンガン酸化、 TRAP酸化等が好ましい。 以下に好ましい 態様である TEMPO酸化について説明する。
工程 (a) における TEMPO酸化では、 例えば溶媒中、 化合物 (I) を、 TEM P〇類の存在下、 次亜ハロゲン酸塩で酸化することにより、 化合物 (II) が得られ る。
ここで TEMPO類とは、 2, 2, 6, 6—テトラメチル一 1—ピペリジニルォキ シ (TEMPOともいう) およびその誘導体を意味する。 具体的には、 TEMPO、 4—ヒドロキシ一 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 1—ォキシル (4—ヒ ドロキシ一TEMPOともいう) 、 4_ォキソ _ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピぺ リジン一 1—ォキシル (4—ォキソ一 TEMPOともいう) 、 4ーヒドロキシ一 2, 2, 6, 6ーテトラメチルピペリジン一 1ーォキシルのエステル (例えば、 4一 (ベ ンゾィルォキシ) 一 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン— 1ーォキシル、 4— (メタクリロイルォキシ) —2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン— 1—ォキシ ル (4一 (メタクリロイルォキシ) —TEMPOともいう) 、 4— (メタンスルホ二 ルォキシ) -2, 2, 6, 6ーテトラメチルピペリジン一 1一才キシル等) 、 4-7 ミノ— 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 1—ォキシルのアミドもしくはィ ミド (例えば、 4ーァセ卜アミノー 2, 2, 6, 6ーテトラメチルピペリジン一 1一 ォキシル、 4—マレイミドー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 1一ォキシ ル等) 等が挙げられ、 好ましくは TEMPO、 4ーヒドロキシ一TEMPO等である。
TEMPO酸化において試薬の添加順序は特に限定はなく、 化合物 (I) および各 試薬を同時または順次添加すればよいが、 操作性がよいため、 予め溶媒中に仕込んだ 化合物 (I) および TEMPO類に、 次亜ハロゲン酸塩溶液を添加 (好ましくは滴 下) するのが好ましい。
TEMPO類の使用量は触媒量でよく、 酸化速度の点及び経済性の点から、 化合物 (I) 1モルに対し、 通常 0. 005〜0. 2モル、 好ましくは 0. 02〜0. 1モ ルである。
TEMPO酸化で使用される次亜ハロゲン酸塩としては、 次亜塩素酸塩、 次亜臭素 酸塩及び次亜ヨウ素酸塩が挙げられる。 次亜塩素酸塩としては、 次亜塩素酸ナトリウ ム、 次亜塩素酸カリウム、 次亜塩素酸カルシウムなどが例示される。 次亜臭素酸塩と しては、 次亜臭素酸ナトリウム、 次亜臭素酸カリウム、 次亜臭素酸カルシウムなどが 例示される。 次亜ヨウ素酸塩としては、 次亜ヨウ素酸ナトリウム、 次亜ヨウ素酸カリ ゥム、 次亜ヨウ素酸カルシウムなどが例示される。 次亜ハロゲン酸塩は、 市販のもの を適宜使用してもよいし、 苛性アルカリとハロゲンとから調製してもよい。 経済的な 観点から次亜塩素酸ナトリゥムが好ましい。
次亜ハロゲン酸塩の使用量は、 反応の完結及びさらなる酸化の進行防止の点から、 化合物 (I) 1モルに対し、 通常 0. 8〜1. 5モルであり、 好ましくは 1〜1. 2 モルである。
TEMPO酸化においては、 金属臭素化物 (例えば臭ィ匕カリウム、 臭化ナトリウム 等) 等を添加してもよい。 当該金属臭素化物の使用量は、 化合物 (I) 1モルに対し、 通常 0. 01〜0. 2モルであり、 好ましくは 0. 02〜0. 1モルである。
また TEMPO酸化においては、 反応促進のため、 反応中の pHを pH3〜l 3に 調整するのが好ましく、 pH7〜l 1に調整するのがより好ましい。 反応中の pHを 調整するためには、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム水酸化ナト リゥム、 水酸化力リゥム等の塩基を pHが上記範囲になるように添加すればよいが、 通常の該塩基の量は、 化合物 (I) 1モルに対し、 0. 1〜 3モルの範囲である。
TEMPO酸化に用いられる溶媒としては、 水および水と混和しない溶媒 (例えば、 酢酸ェチル、 メチルイソプチルケトン、 トルエン等が挙げられ、 これらは 2種以上の 混合物であってもよい。 ) との二相系溶媒が挙げられ、 好ましくは水と酢酸ェチルの 二相系溶媒である。 二相系溶媒とする場合、 水と水と混和しない溶媒の混合比 (V/ V) は特に制限はないが、 好ましくは 5 : 1〜1 : 5 (v/v) の範囲である。
溶媒の使用量は、 化合物 (I) 1 k gに対して通常 1〜20Lである。
TEMPO酸化の反応温度は、 通常は一 20〜十 50°Cであり、 このましくは一 1 0〜2 0 である。 反応時間は、 通常 2〜24時間である。
反応終了後、 必要に応じ、 残存する亜ハロゲン酸塩を分解するため、 還元剤 (例えば、 重亜硫酸ナトリウム、 チォ硫酸ナトリウム、 ピロ亜硫酸ナトリウム、 八イド口サルフ アイトナトリウム、 硫化ナトリウム等) で反応混合物を処理したのち、 常法により得 られる化合物 (II) を単離、 精製することができる。 例えば、 有機層を分離し、 水 洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (II) を単離し、 さらにシリカゲルカラム クロマトグラフィーによつて精製することができるが、 これに限定されるものではな い。 また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。
工程 (a) で得られる化合物 (II) は新規化合物であり、 光学活性シ夕ロプラム
(化合物 (X) ) の有用な合成中間体である。
工程 (a) の原料である化合物 (I) は公知化合物であり、 例えば、 後掲の参考例 1で示すように、 5—シァノフ夕リドに 4 _フルオロフェニルマグネシウムブロミド を反応させることにより調製することができる。
2. 工程 (b)
工程 (b) は、 化合物 (II) を、 酸の存在下、 光学活性ジオール化合物 (in) と 反応させて、 化合物 (IV) を得る工程であり、 例えば溶媒中、 化合物 (II) を酸の 存在下、 光学活性ジオール化合物 (III) と反応させる方法により化合物 (IV) が得 られる。 工程 (b) において試薬の添加順序は特に限定はなく、 化合物 (II) およ び各試薬を同時または順次添加すればよレ。
工程 (b) に使用される光学活性ジオール化合物 (i ) の R1および R2は同一で あっても異なっていてもよいが、 同一である場合はメソ体とならないように、 二つの 不斉炭素の絶対配置が同一、 すなわち R配置と R配置または S配置と S配置である必 要がある。
光学活性ジオール化合物 (III) の二つの不斉炭素の立体配置は、 所望の立体配置 の化合物 (IV) を得るために必要である立体配置を適宜選択して決めればよい。 光 学活性ジオール化合物 (ill) として、 具体的には、 1, 4ージー O—べンジルー D
ースレイトール、 1, 4—ジー〇—ベンジル— L_スレィトール、 ( 2R, 4R)— (一) 一 2, 4一ペン夕ンジオール、 ( 2 S, 4 S )- ( + ) -2, 4一ペン夕ンジ オール等が好ましく用いられる。
光学活性ジオール化合物 (III) の量は、 化合物 (II) 1モルに対して、 通常 0. 9〜2モルであり、 好ましくは 1〜1. 5モルである。
工程 (b) で用いる酸としては、 例えば、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 p—トルエンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、 硫酸、 塩化亜鉛、 三フッ化ホウ素等が挙げられ、 好ましくはメタンスルホン酸及び p—トル エンスルホン酸である。
酸の使用量は、 反応速度及び経済性の点から、 化合物 (II) 1モルに対し、 通常 0. 001〜0. 2モルであり、 好ましくは 0. 01〜0. 1モルである。
工程 (b) に用いられる溶媒としては、 反応を阻害しないものであれば特に限定は なく、 例えばトルエン、 キシレン、 テトラヒドロフラン (THF) 、 モノクロ口ベン ゼン、 ジクロロメタン、 クロ口ホルム等が挙げられ、 これらは単独または混合して用 いられる。 好ましくはトルエンである。
溶媒の量は、 化合物 (II) 1 kgに対して、 通常 0. 1〜10Lである。
工程 (b) における反応温度は、 通常は 0〜150°Cであり、 好ましくは 20〜1 20°Cである。 また、 ディ一ンスタ一ク管等を用いて共沸脱水しながら行うのが好ま しい。 反応時間は、 通常 1〜24時間である。
得られる化合物 (IV) は、 常法により単離、 精製することができる。 例えば、 反 応混合物を水洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (IV) を単離し、 さらにシリ 力ゲルカラムクロマ卜グラフィ一によって精製することができるが、 これに限定され るものではない。
また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。
工程 (b) で得られる化合物 (IV) は新規化合物であり、 光学活性シ夕ロプラム (化合物 (X) ) の有用な合成中間体である。
3. 工程 (c)
工程 (C) は、 化合物 (IV) を、 有機金属試薬 (V) と反応させて、 化合物 (VI) またはその塩を得る工程であり、 例えば溶媒中、 化合物 (IV) を、 有機金属試薬
(V) と反応させる方法により化合物 (VI) またはその塩が得られる。 工程 (C) に おいて試薬の添加順序は特に限定はなく、 化合物 (IV) および有機金属試薬 (V) を 同時または順次添加すればよいが、 操作性および反応の選択性を上げるために、 溶媒 中の化合物 (IV) に、 有機金属試薬 (V) の溶液を滴下するのが好ましい。
工程 (C) に使用される有機金属試薬 (V) は、 例えば、 式
(式中、 X1及び Y1は、 前記と同義を示す。 )
で示される化合物を、 金属リチウムとエーテル系溶媒 (例えば THF、 ジェチルエー テル、 メチル t e r t—プチルェ一テル (MTBE) 等) 中、 一 20〜60°Cで反応 させるか、 あるいは該化合物とマグネシウムとを通常のグリニャール試薬を生成させ る条件で反応させることにより調製することができる。
有機金属試薬 (V) の量は、 反応の完結の点及び副反応の進行防止の点から、 化合 物 (IV) 1モルに対して、 通常 0. 9〜50モルであり、 好ましくは 1. 5〜35 モルである。
工程 (c) に用いられる溶媒としては、 反応を阻害しないものであれば特に制限は なく、 例えば THF、 メチル t e r t一ブチルエーテル (MTBE) 、 1, 4—ジォ キサン、 1, 2—ジメトキシェタン等のェ一テル類;ベンゼン、 トルエン、 キシレン 等の芳香族炭化水素類;ヘプタン、 へキサン、 オクタン等の脂肪族炭化水素類等が挙 げられ、 これらは単独で或いは 2種以上を混合して使用できる。 中でも THF、 M T BE及びトルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、 化合物 (IV) 1 kgに対して通常 0. 1〜10Lである。
工程 (c) における反応温度は、 通常は一 20〜十 80°Cであり、 0〜40 が好 ましい。 反応時間は、 通常 1〜24時間である。
得られる化合物 (VI) は、 常法により単離、 精製することができる。 例えば、 反 応混合物を希酸性水 (例、 塩化アンモニゥム水溶液等) に注ぎ、 分液後、 有機層を水 洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (VI) を単離し、 さらにシリカゲルカラム
クロマトグラフィーによって精製することができるが、 これに限定されるものではな レ^ また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。
さらに、 化合物 (VI) が結晶である場合は、 必要により再結晶するか、 または、 常法により、 酒石酸、 ジー o—トルオイル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン 酸との塩にした後再結晶することにより、 光学純度を上げることもできる。
工程 (C ) で得られる化合物 (VI) は新規化合物であり、 光学活性シ夕ロプラム (化合物 (X) ) の有用な合成中間体であ 。
4. 工程 (d )
工程 (d ) は、 化合物 (VI) またはその塩を脱保護して、 化合物 (VII) を得る方 法であり、 通常、 溶媒中において、 酸の存在下、 加水分解することによって行うこと ができる。
工程 (d ) で用いる酸としては、 例えば、 塩酸、 硫酸、 リン酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 p—トルエンスルホン酸等が挙げられ、 好ましくは塩酸、 硫酸、 メタンスルホン酸及び!)—トルエンスルホン酸である。
酸の使用量は、 反応速度の点及びラセミ化の進行防止の点から、 化合物 (VI) 1 モルに対し、 通常 0 1〜1 0 0モルである。
工程 (d ) に用いられる溶媒としては、 反応を阻害しないものであれば特に限定は なく、 例えば TH F、 メタノール、 エタノール、 イソプロピルアルコール、 水、 ァセ トン、 N, N—ジメチルホルムアミド (DM F ) 、 N, N—ジメチルァセトアミド
(DMA c ) 、 ジメチルスルホキシド (DM S O) 等を挙げることができ、 これらは 単独で、 或いは 2種以上を混合して使用することができる。 TH Fが好ましい。
溶媒の量は、 化合物 (VI) 1 k gに対して通常 1〜5 0 Lである。
工程 (d ) の反応温度は、 通常は 0〜1 0 0 °Cであり、 2 0〜6 0 °Cが好ましい。 反応時間は、 通常 1〜 2 0時間である。
反応終了後、 常法により化合物 (VII) を単離、 精製することができる。 例えば、 反応混合物を水洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (VII) を単離し、 さらにシ リカゲルカラムクロマトグラフィーによつて精製することができるが、 これに限定さ
れるものではない。 また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。 さらに、 化合物 (VII) が結晶である場合は、 必要により再結晶するか、 または、 常法により、 酒石酸、 ジー o—トルオイル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にし た後再結晶することにより、 光学純度を上げることができる。
工程 (d ) で得られる化合物 (VII) は新規化合物であり、 光学活性シ夕ロプラム
(化合物 (X) ) の有用な合成中間体である。 なお、 式 (VII ' )
(式中、 X、 Y 2及び *は前記と同義を示す。 )
で示されるラクトール体 (以下、 ラクトール (VII ' ) と記すことがある。 ) は、 化 合物 (VII) と平衡関係にあり、 化合物 (VII) はラクトール (VII ' ) を包含するも のである。
5 . 工程 (e )
工程 (e ) は、 化合物 (VII) またはその塩を還元して化合物 (VIII) またはそ の塩を得る工程であり、 通常、 溶媒中、 化合物 (VII) またはその塩を還元剤と反応 させることにより行うことができる。 試薬の添加順序は特に限定はなく、 化合物 (VI I) またはその塩および還元剤を同時または順次添加すればよい。
工程 (e ) で使用される還元剤としては、 化合物 (VII) のホルミル基をヒドロキ シメチル基に還元し得るものであれば特に限定はなく、 具体的には、 水素化ホウ素ナ トリウム、 水素化ホウ素リチウム、 水素化リチウムアルミニウム、 水素化ジイソプチ ルアルミニウム、 水素化ビス (2—メトキシェトキシ) アルミニウムナトリウム等の アル力リ金属の水素化物が挙げられ、 好ましくは水素化ホウ素ナトリゥムである。 還元剤の量は、 化合物 (VII) 1モルに対し、 通常 2 5〜2モルであり、 好ま しくは 0 . 3〜1 . 6モルである。
用いられる溶媒としては、 例えば、 水、 メタノール、 エタノール、 イソプロピルァ ルコール、 t一ブチルアルコール、 THF、 MTBE、 ジメ卜キシェタン、 ジグライ ム、 1 ,4一ジォキサン等を挙げることができ、 これらは単独で、 或いは混合して使 用することができる。 メタノール、 エタノール、 メタノールと THFの混合溶媒、 ェ 夕ノールと THFの混合溶媒が好ましい。
溶媒の量は、 化合物 (VII) 1 k gに対して通常 5〜50 Lである。
工程 (e) の反応温度は、 通常は _20〜十 80°Cであり、 0〜50°Cが好ましい。 反応時間は、 通常 1〜24時間である。
常法により化合物 (VIII) を単離、 精製することができる。 例えば、 反応混合物 を希酸性水 (例、 塩化アンモニゥム水溶液等) に注ぎ、 トルエン等の有機溶媒で抽出 し、 有機層を水洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (VIII) を単離し、 さらに シリカゲルカラムクロマトグラフィーによつて精製することができるが、 これに限定 されるものではない。 また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。 さら に、 化合物 (VIII) が結晶である場合は、 必要により再結晶するか、 または、 常法 により、 酒石酸、 ジ _0_トルオイル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン酸と の塩にした後再結晶することにより、 光学純度を上げることができる。
6. 工程 (f )
工程 (f ) は、 化合物 (VIII) またはその塩を、 以下の (i ) 〜 (iii) の工程 に付すことより化合物 (X) またはその酸付加塩を得る工程である。 但し、 Xがシァ ノ基の場合は下記 (ii) に付す必要はなく、 Y3がジメチルァミノ基である場合は下 記 (iii) に付す必要はない。
( i ) 化合物 (VIII) またはその塩を環化反応に付して、 フタラン環を形成するェ 程 (以下、 工程 (f 一 1) ともいう。 ) ;
(ii) Xがシァノ基でない場合は、 化合物 (VIII) またはその塩における或いは化 合物 (IX) またはその酸付加塩における Xをシァノ基に変換する工程 (以下、 工程 (f -2) ともいう。 ) ;
(iii) Y3がジメチルァミノ基でない場合は、 化合物 (VIII) またはその塩におけ る或いは化合物 (IX) またはその酸付加塩における Y3をジメチルァミノ基に変換す る工程 (以下、 工程 (f 一 3) ともいう。 ) 。
工程 (Π においては、 化合物 (VIII) を工程 (f— l) 〜 (f— 3) に付す順 序は特に限定はないが、 副生成物を抑えるためには、 工程 (f — 1) → (f 一 3) → (f -2) または工程 (f _3) → (f - 1) → (f -2) の順序が好ましい。
以下、 工程 ( f 一 1 ) 〜 ( f 一 3 ) について説明する。 なお、 工程 ( f 一 1 ) 〜 (f — 3) の順番により、 工程 (f — 2) および (f — 3) に付される化合物は化合 物 (VIII) の場合と化合物 (IX) の場合があり得るが、 以下の説明においては便宜 上、 化合物 (VIII) として説明する。 また、 工程 (: f — 1) で得られる化合物
(IX) において、 Xがシァノ基で、 Y4がジメチルァミノ基である場合が、 化合物
(X) である。
6- 1. 工程 (f 一 1)
工程 (f — 1) の環化反応は、 例えば溶媒中において、 化合物 (VIII) を、 塩基 の存在下、 酸ハライドと反応させることにより行うことができる。 試薬の添加の順序 は特に限定はなく、 化合物 (VIII) および各試薬を同時または順次添加すればよい。 工程 (f — 1) に使用される塩基としては、 例えば、 トリェチルァミン、 ジメチル ァニリン、 ピリジン等が挙げられ、 卜リエチルァミンが好ましい。
塩基の使用量は、 化合物 (VIII) 1モルに対して、 通常 0. 9〜 2モルであり、 好ましくは 1〜: 1. 5モルである。
使用される酸ハライドとしては化合物 (VIII) のヒドロキシメチル基を脱離性の エステルに変換しうるものが好ましく、 例えばメタンスルホニルクロリド、 p—トル エンスルホニルクロリド、 10—ショウノウスルホニルクロリド、 トリフルォロアセ チルクロリド、 トリフルォロメタンスルホニルクロリド等が挙げられ、 メタンスルホ ニルクロリドが好ましい。
酸ハライドの量は、 化合物 (VIII) 1モルに対して、 通常 0. 9〜1. 8モルで あり、 好ましくは 1〜1. 4モルである。
工程 (f 一 1) に用いられる溶媒としては、 反応を阻害しないものであれば特に限 定はなく、 例えばトルエン、 キシレン、 THF、 MTBE、 ジクロロメタン、 モノク ロロベンゼン等を挙げることができ、 それらは単独で、 或いは 2種以上を混合して使 用することができる。 トルエンまたは THFが好ましい。
溶媒の量は、 化合物 (VIII) 1 kgに対して通常 1〜50Lである。
工程 (f 一 1) の反応温度は、 通常は— 20〜十 50°Cであり、 — 10〜十 3 が好ましい。 反応時間は、 通常 1〜12時間である。
6-2. 工程 ( f - 2)
工程 (f 一 2) においては、 Xで示される 「シァノ基に変換可能な基」 の態様によ り、 シァノ基に変換する方法が異なる。
Xがハロゲン原子である場合は、 例えば、 溶媒 (例、 DMF、 DMS〇等) 中で、 化合物 (VIII) を、 化合物 (VIII) l g当量あたり 0. 9〜2. 5 g当量のシアン 化第一銅と、 またはパラジウム触媒 (例えば、 テトラキス (トリフエニルホスフィ ン) パラジウム) 存在下同基準で 0. 9〜2. 5 g当量の金属シアン化物 (例、 シァ ン化ナトリウム、 シアン化カリウム等) と、 30〜150°Cで、 1〜24時間反応さ せることにより行うことができる。
Xが保護された水酸基である場合は、 例えば、 公知の方法で脱保護した後、 溶媒 (例、 ジクロロメタン、 トルエン、 THF等) 中、 塩基 (例、 トリェチルァミン、 ピ リジン等) の存在下、 トリフルォロメタンスルホニルク口リドまたは無水トリフルォ ロメ夕ンスルホニルと反応させることにより脱保護された水酸基をトリフルォロメ夕 ンスルホニルォキシ基に変換し、 得られたトリフルォロメタンスルホネートを Xがハ ロゲン原子である上記と同様の条件で反応させることにより行うことができる。
Xが保護されたァミノ基である場合は、 例えば、 公知の方法で脱保護した後、 亜硝 酸ナトリウムとハロゲン化第一銅によるいわゆるサンドマイヤ一反応 (Org. Syn. , Coll. Vol. 3, 185参照) によって、 脱保護されたアミノ基をハロゲン原子に変 換し、 さらに Xがハ口ゲン原子である上記と同様の条件で反応させることにより行う ことができる。 あるいは、 公知の方法で脱保護した後、 亜硝酸ナトリウムとシアン化
第一銅による改変サンドマイヤー反応 (Org. Syn. , Coll. Vol. 1, 514参 照) により、 脱保護されたアミノ基をシァノ基に変換することができる。
Xが保護されたホルミル基である場合は、 例えば、 公知の方法で脱保護した後、 ヒ ドロキシルァミンと反応させて、 ホルミル基を対応するォキシムに変換し、 脱水剤 (例、 塩化チォニル、 ォキシ塩化リン、 無水酢酸等) と反応させることにより、 シァ ノ基に変換することができる (Org. Syn. , Coll. Vol. 2, 622 参照) 。
Xが保護されたヒドロキシメチル基である場合は、 例えば、 公知の方法で脱保護し た後、 上記工程 (a) と同様の方法によりヒドロキシメチル基をホルミル基に変換し、 Xが保護されたホルミル基である上記と同様の条件で反応させることにより行うこと ができる。
Xが保護された力ルポキシル基である場合は、 例えば、 公知の方法で脱保護した後、 力ルポキシル基を常法 (保護基導入と同様の方法) により、 力ルバモイル基または 1, 3—ォキサゾリン一 2—ィル基に変換し、 さらに脱水剤 (例、 塩化チォニル、 ォキシ 塩ィ匕リン、 五酸化リン等) と反応させることにより、 シァノ基に変換することができ る (Org. Syn. , Coll. Vol. 4, 436, 486参照ヽ) 。 特に保護されたカ レポキ シル基が力ルバモイル基またはォキサゾリンー 2—ィル基である場合は、 脱保護を要 することなく行うことができる。
6-3. 工程 ( f - 3)
工程 (f — 3) においては、 Y3で示される 「ジメチルァミノ基に変換可能な基」 の態様により、 ジメチルァミノ基に変換する方法が異なる。
たとえば、 Y3が保護基を有していてもよい水酸基である場合は、 例えば、 必要に より公知の方法で脱保護した後、 当該水酸基を脱離性エステル (例えばメタンスルホ ン酸エステル、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸エステル、 p—トルエンスルホン酸ェ ステル等) に変換し、 該変換体をジメチルァミンと反応させることにより行うことが できる。
水酸基を脱離性エステルに変換する方法としては、 例えば、 溶媒 (例、 トルエン、 キシレン、 THF、 MTBE等) 中、 化合物 (VIII) l g当量に対し 0. 9〜1.
5 g当量の酸ハライド (例、 メタンスルホニルクロリド、 p—トルエンスルホエルク 口リド、 10—ショウノウスルホニルクロリド、 トリフルォロアセチルクロリド、 ト リフルォロメタンスルホニルクロリド等) と、 一 20〜十 80 で、 1〜24時間反 応させることにより行うことができる。
さらにジメチルァミンとの反応においては、 溶媒 (例、 トルエン、 キシレン、 TH F、 MTBE、 メタノール、 エタノール、 イソプロパノール等) 中、 前記変換体 l g 当量あたり 0. 9〜 5 g当量のジメチルァミン (好ましくは水溶液) と、 0〜80°C で、 1〜24時間反応させることにより行うことができる。
工程 (f 一 3) の他の態様として、 Y3が保護基を有していてよぃァミノ基である 塲合は、 例えば、 必要により脱保護した後、 溶媒 (例、 トルエン、 キシレン、 THF、 MTBE等) 中で、 化合物 1 g当量あたり 2〜4 g当量のメチル化剤 (例、 ヨウ化メ チル、 硫酸ジメチル等) と、 — 20〜十 80°Cで、 0. 5〜12時間反応させること により行うことができる。
工程 (f ) で得られる化合物 (X) の単離、 精製は常法により行うことができ、 必 要に応じて、 工程 (f 一 1) 〜工程 (f 一 3) の各工程において単離、 精製してもよ い。 さらに、 化合物 (X) を必要により再結晶に付することにより、 光学純度を上げ ることができる。
7. 工程 (g)
工程 (g) は、 化合物 (VII) またはその塩を、 以下の (i ) 〜 (iii) の工程 に付すことより化合物 (X) またはその酸付加塩を得る工程である。 但し、 Xがシァ ノ基の場合は下記工程 (ii) に付す必要はなく、 Y4がジメチルァミノ基である場合 は下記工程 (iii) に付す必要はない。
( i ) 化合物 (VII) またはその塩を環化還元して、 化合物 (IX) またはその塩を得 る工程 (以下、 工程 (g— 1) ともいう。 ) ;
(ϋ) Xがシァノ基でない場合は、 化合物 (VII) またはその塩における或いは化合 物 (IX) またはその酸付加塩における Xをシァノ基に変換する工程 (以下、 工程
(g-2) ともいう。 ) ;
(iii) Y4がジメチルァミノ基でない場合は、 化合物 (VII) またはその塩におけ る或いはィ匕合物 (IX) またはその酸付加塩における Y4をジメチルァミノ基に変換す る工程 (以下、 工程 (g_3) ともいう。 ) 。
工程 (g) においては、 化合物 (VIII) を工程 (g— 1) 〜 (g— 3) に付す順 序は特に限定はないが、 副生成物を抑えるためには、 工程 (g— 1) → (g-3) → (g-2) の順が好ましい。
以下、 工程 (g— l) 〜 (g— 3) について説明する。 なお、 工程 (g— 1) 〜 (g-3) の順番により、 工程 (g_2) および (g—3) に付される化合物は化合 物 (VII) の場合と化合物 (IX) の場合があり得るが、 以下の説明においては便宜上、 化合物 (VII) として説明する。 また、 工程 (g— 1) で得られる化合物 (IX) にお いて、 Xがシァノ基で、 Y4がジメチルァミノ基である場合が、 化合物 (X) である。
7-1. 工程 (g_ l)
工程 (g— 1) は、 化合物 (VII) またはその塩を環化還元して、 化合物 (IX) ま たはその塩を得る工程である。 ここで、 化合物 (VII) の環化還元とは下記スキーム に示されるように、 化合物 (VII) の環化体であるラクトール (VII ') のフタラン 環の水酸基が水素原子に還元されることを意味する。
当該環化還元反応は、 例えば、 溶媒中、 化合物 (VII) を還元剤と反応させること により行うことができる。 試薬の添加順序は特に限定はなく、 化合物 (VII) および 還元剤を同時または順次添加すればよい。 また、 パラジウム炭素、 水酸化パラジウム 等の触媒存在下における化合物 (VII) への水素添加反応により行うこともできる。 環化還元反応が化合物 (VII) と還元剤との反応である場合に用いられる還元剤と しては、 トリアルキルシラン (例、 1、リエチルシラン、 トリプチルシラン等) 、 トリ クロロシラン、 トリアルコキシシラン (例、 トリエトキシシラン等) 、 ジポラン、 ポ
ラン ' THF錯体、 水素化ホウ素ナトリウムとルイス酸 (特に、 三フッ化ホウ素) と の組み合わせ、 水素化ホウ素ナトリウムとョゥ素の組み合わせ等のポランを発生させ る還元剤が挙げられ、 トリェチルシラン、 水素化ホウ素ナトリウムと三フッ化ホウ素 の組み合わせが好ましい。
還元剤の量は、 化合物 (VII) 1モルに対して、 通常 0. 2 5〜2モルであり、 好 ましくは 0. 3〜1. 5モルである。
トリアルキルシラン、 トリアルコキシシランを用いる場合は、 反応中にトリフルォ 口酢酸等の酸を添加するのが好ましく、 当該酸の量としては、 トリアルキルシラン 1 g当量に対して 0. 1〜1 0 g当量が好ましい。
化合物 (VII) と還元剤との反応における反応温度は、 通常は一 20〜十 1 0 0°C であり、 0〜7 0 が好ましい。 反応時間は、 通常 1〜24時間である。
環化還元反応を水素添加反応で行う場合は、 化合物 (VII) を溶媒 (例、 エタノー ル、 酢酸、 酢酸ェチル等) 中、 化合物 (VII) l g当量に対し通常 0. 0 0 1〜0. 1 g当量の触媒の存在下、 1〜 30気圧の水素雰囲気下で、 通常 0〜 80 °Cで、 1〜 24時間反応させる。
反応後、 常法により化合物 (IX) を単離、 精製することができる。 例えば、 有機 層を分離し、 水洗、 乾燥後、 濃縮することにより化合物 (VII) を単離し、 さらにシ リカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、 これに限定さ れるものではない。 また、 精製することなく、 次工程に供することもできる。 さらに、 化合物 (IX) が結晶である場合は、 必要により再結晶するか、 または、 常法により、 酒石酸、 ジー o—トルオイル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にし た後再結晶することにより、 光学純度を上げることができる。
7 - 2. 工程 (g— 2) 及び (g - 3)
工程 (g— 2) は上記工程 (f 一 2) と同様の条件で行うことができ、 工程 (g— 3) は上記工程 (f 一 3) と同様の条件で行うことができる。
工程 (g) で得られる化合物 (X) の単離、 精製は常法により行うことができ、 必 要に応じて、 工程 (g— 1) 〜工程 (g— 3) の各工程において単離、 精製してもよ
レ^ さらに、 化合物 (X) を必要により再結晶に付することにより、 光学純度を上げ ることができる。 工程 (f) または (g) によって得られる化合物 (X) (光学活性シタロプラム) は、 必要により酸付加塩にすることができる。
当該酸付加塩は、 従来公知の方法により製造することができ、 例えば、 水と混和し うる溶媒中 (例、 アセトン、 エタノール、 メタノール、 イソプロパノール等) 、 化合 物 (X) を有機酸 (例、 マレイン酸、 フマル酸、 安息香酸、 ァスコルビン酸、 パモ酸、 コハク酸、 シユウ酸、 サリチル酸、 メタンスルホン酸、 ェタンジスルホン酸、 酢酸、 プロピオン酸、 酒石酸、 クェン酸、 ダルコン酸、 乳酸、 リンゴ酸、 マンデリン酸、 ケ ィ皮酸、 シトラコン酸、 ァスパラギン酸、 ステアリン酸、 パルミチン酸、 ィタコン酸、 グリコール酸、 p—ァミノ安息香酸、 グルタミン酸、 ベンゼンスルホン酸、 テオフィ リン酢酸、 8—ハロテオフィリン等) 又は無機酸 (例、 塩酸、 臭化水素酸、 スルフィ ン酸、 スルファミン酸、 リン酸、 硝酸等) と反応させ、 濃縮または冷却によって析出 した酸付加塩を濾過等により単離するか、 あるいはェチルエーテル、 酢酸ェチル又は ジクロロメタン等の貧溶媒中で反応させ、 析出した酸付加塩を単離することにより行 うことができる。 得られた該酸付加塩は、 必要により再結晶に付することにより、 光 学純度を上げることができる。 以下、 本発明について、 実施例を挙げてさらに具体的に説明する。 本発明はこれら により何ら限定されるものではない。
参考例 1 : 4— (4 '_フルォ口べンゾィル) — 3—ヒドロキシメチルベンゾニトリ ルの合成
窒素下、 マグネシウム (2. 8 g, 115mmo 1 ) を THF (8mL) に分散さ せ、 ヨウ素 (0. 01 g) を添加した後、 4 _ブロモフルォロベンゼン (0. 35 g, 2mmo 1) 加え、 温度上昇を確認後、 THF (4 OmL) を流入した。 その後、 4 一ブロモフルォロベンゼン (19 g, 109mmo 1 ) を 45°C以下で滴下し、 室温 まで冷却した。
この溶液を、 5—シァノフタリド (16 g, l O Ommo l) を THF (100m L) に分散させた溶液中に一 1 付近で滴下し、 15時間同温度で攪拌した。 反応 液を 20%塩ィヒアンモニゥム水溶液 (1 5 OmL) に注ぎ、 1Mクェン酸水溶液 (2 5mL) を加えた後、 有機相を分取した。 水 (10 OmL) で 2回洗浄し、 溶媒を留 去することにより、 表題化合物 (25 g) を得た。 実施例 1 : 4— (4 '一フルォ口べンゾィル) - 3—ホルミルべンゾニトリルの合成 4- (4 '―フルォ口べンゾィル) 一 3—ヒドロキシメチルベンゾニトリル (25 g, 98mmo 1) を酢酸ェチル (10 OmL) に溶解させた溶液に、 炭酸水素ナト リウム (4 g, 54mmo 1 ) 、 臭化カリウム (0. 7 g, 6mmo 1 ) 、 4—ヒド ロキシ一 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 1—ピぺリジン一 1一ィルォキシフリーラ ジカル (H〇— TEMPO) (0. 6 g, 3. 5mmo 1 ) 及び水 (5 OmL) を加 え、 0〜51で 1 3%次亜塩素酸ナトリウム水溶液 (31 g, 54mmo 1) を滴下 し、 さらに同温度で HO— TEMPO (0. 4 g, 2. 3mmo 1) と 13%次亜塩 素酸ナトリウム水溶液 (31 g, 54mmo 1) を滴下し、 終夜攪拌した。 反応混合 物に 2%亜硫酸曹達水 (2 OmL) を加え攪拌した後、 有機相を分取した。 10%食 塩水 2 OmLで洗浄後、 減圧濃縮、 シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製 することにより、 表題化合物 (7. 2 g) を得た。
½-腿 R(CDC13, 400MHz) d ppm 7.18(2H, t, J=9Hz) , 7.62(lH,d,
J=8Hz) , 7.81(2H, dd, J=9Hz, J=6Hz) , 7.98(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz) , 8.31(1H, d, J=2Hz) , 10.00 (1H, s) . 実施例 2 : 3 - [ (4R, 5 R) _4, 5 -ビス (ベンジルォキシメチル) — 1, 3 —ジォキソラン一 2 _ィル] -4- (4 '一フルォ口べンゾィル) ベンゾニトリルの 合成
4― (4 '一フルォ口べンゾィル) 一 3—ホルミルべンゾニトリル (0. 8 g, 3. 2 mm o 1 ) をトルエン (3mL) に溶解させ、 メタンスルホン酸 (0. 01 g, 0. 1 mm o 1 ) を加え、 さらに 1, 4ージー 0—ベンジルー D—スレイトール (1· 2
g, 4mmo 1 ) を加え、 終夜反応させた。 反応液にトリェチルァミン (0. 1 g) を加え、 溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製 し、 表題化合物 (1. 2 g) を得た。
腿 R(CDC13, 400MHz) dppm 3.45-3.57 ( 4H, m) , 3.98-4.03 ( lH,m) , 4.13-4.18(1H, m) , 4.46(4H, s), 7.08(2H, t, J=8Hz) , 7.2-7.38 ( 11H , m) ,7.70(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz) , 7.75(2H, dd, J=8Hz, J=4Hz) ,
8.06(1H, d, J=2Hz) . 実施例 3 : 3 - [ (4R, 5 R) -4, 5 -ビス (ベンジルォキシメチル) 一 1, 3 ージォキソラン— 2—ィル] 一 4一 [4ージメチルアミノー 1一 (4 '_フルオロフ ェニル) 一 1ーヒドロキシー 1一プチル] ベンゾニトリルの光学活性体の合成
3—ジメチルァミノプロピルクロリド塩酸塩 (2 0 g, 1 27 mm 0 1 ) を水酸化 ナトリウム水溶液で中和して、 トルエン (5mL) で抽出した溶液を無水炭酸力リウ ムで脱水後、 濾過、 THF (5mL) で洗浄する。 溶液をあわせて、 マグネシウム (2. 2 g, 9 Ommo 1 ) を THF (3mL) に分散させた溶液中に室温〜 6 5 °C で滴下し、 3時間反応させ、 3—ジメチルァミノプロピルマグネシウムクロリド溶液 を調製する。 3 _ [ (4R, 5 R) -4, 5—ビス (ベンジルォキシメチル) 一 1, 3—ジォキソラン一 2—ィル] -4- (4 '—フルォ口べンゾィル) ベンゾニトリル (0. 2 g, 0. 4mmo 1 ) を THF (2mL) に溶解させた溶液中に、 先に調製 した 3—ジメチルァミノプロピルマグネシウムクロリド溶液 (4 g, 1 2mmo 1 ) を滴下し、 室温で終夜攪拌する。 反応液を飽和塩化アンモニゥム水溶液に注ぎ、 分液 して有機相を得る。 有機相を 20 %酢酸水溶液で抽出し、 水層をさらに 2 0%水酸化 ナトリウム水溶液で PH 1 0以上に中和後、 トルエンで抽出し、 有機相を減圧濃縮し、 表題化合物を得る。 なお、 誘起された不斉中心の絶対配置は未決定である。 光学純度 は、 本化合物を再結晶するか、 または、 酒石酸、 ジー ο—トルオイル酒石酸、 マンデ ル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させるこ とができる。
実施例 4 : 4— [4ージメチルアミノー 1 _ (4'一フルオロフェニル) — 1ーヒド 口キシー 1一プチル] - 3一ホルミルべンゾニトリルの光学活性体の合成
3- [ (4R, 5 R) -4, 5—ビス (ベンジルォキシメチル) — 1, 3—ジォキ ゾラン一 2—ィル] -4- [4—ジメチルァミノ— 1一 (4 '一フルオロフェニル) 一 1ーヒドロキシー 1一プチル] ベンゾニトリルの光学活性体 ( 0. 2 g, 0. 3 m mo 1 ) を THF (2mL) に溶解させ、 6 N塩酸 (2mL) を加え、 室温〜 50°C で 3時間攪拌する。 トルエン (2mL) を加え、 抽出した有機相を良く水洗した後、 溶媒を留去し、 シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで表題化合 物を得る。 光学純度は、 本化合物を再結晶するか、 または、 酒石酸、 ジ一 o—トルォ ィル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶すること により向上させることができる。 実施例 5 : 4— [4ージメチルアミノー 1一 (4 '―フルオロフェニル) — 1—ヒド 口キシー 1一プチル] 一 3— (ヒドロキシメチル) ベンゾニトリルの光学活性体の合 成
4— [4ージメチルァミノ一 1— (4 '―フルオロフェニル) — 1ーヒドロキシ一 1一プチル] 一 3—ホルミルべンゾニトリルの光学活性体 (0. 1 g, 0. 3mmo 1) を THF (2mL) およびメタノール (2mL) に溶解させ、 水素化ホウ素ナト リウム (0. 02 g, 0. 53mmo 1) を加え、 室温で終夜攪拌する。 反応液は、 水 (5mL) に注ぎ、 トルエン (3mL) で抽出し、 水洗後、 溶媒を減圧留去した残 渣をシリカゲルカラムク口マトグラフィ一により精製することで、 表題化合物を得る。 光学純度は、 本化合物を再結晶するか、 または、 酒石酸、 ジ— o—トルオイル酒石酸、 マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上さ せることができる。 実施例 6 : 1 - ( 3 -ジメチルァミノプロピル) ― 1一 (4 '_フルオロフェニル) _ 1, 3—ジヒドロイソべンゾフラン一 5—力ルポ二トリルの光学活性体 (光学活性 シ夕ロプラム) およびそのシユウ酸塩の合成
実施例 5で得られる 4一 [4—ジメチルァミノ— 1一 (4 '_フルオロフェニル) 一 1—ヒドロキシ— 1ーブチル] 一 3— (ヒドロキシメチル) ベンゾニトリルの光学 活性体を用い、 特開平 1 1一 292867記載の方法と同様の方法で環化することに より光学活性シ夕ロプラムのフリー塩基を得、 さらに同文献記載の方法と同様の方法 により、 表題のシユウ酸塩を得る。 光学純度は、 該フリ一塩基を再結晶するか、 また は、 該シユウ酸塩を再結晶することにより向上させることができる。 実施例 7 : 3 - [ (4R, 6 R) 一 4, 6—ジメチルー 1, 3 _ジォキサン— 2—ィ ル] —4一 (4 '一フルォ口べンゾィル) ベンゾニトリルの合成
4- (4 '一フルォロベンゾィル) _ 3—ホルミルべンゾニトリル (4. 05 g,
16mmo 1) をトルエン (12mL) に溶解させ、 メタンスルホン酸 (0. 01 g, 0. 1 mm o 1 ) を加え、 さらに (2 R, 4R) ― (一) 一2, 4 _ペンタンジォー ル (2. 0 g, 19mmo 1 ) を加え、 終夜反応させた。 反応液にトリェチルァミン (0. 1 g) を加え、 溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ —により精製し、 表題化合物を 4. 5 g得た。
^- MRiCDCla, 400MHz ) dppm 1·01(3Η, d, J=6Hz) , 1.24(3H, d, J=8Hz) , 1.29-1.33 (1H, m) , 1.74-1.82 (1H, m) , 3.91-3.99 (1H, m) , 4.23- 4.30 (lH,m) , 7.13(2H, t, J=9Hz) , 7.34(1H, d, J=8Hz) , 7.68(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz) ,7.81(2H, dd, J=9Hz, J=5Hz) , 8.09(1H, d,
J=2Hz) . 実施例 8 : 1一 (3—ジメチルァミノプロピル) — 1— (4 '_フルオロフェニル) 一 1, 3—ジヒドロイソべンゾフラン— 5—力ルポ二トリルの光学活性体 (光学活性 シ夕ロプラム) およびそのシユウ酸塩の合成
3- [ (4R, 5 R) 一 4, 5一ビス (ベンジルォキシメチル) — 1, 3—ジォキ ゾラン一 2—ィル] -4- (4 '―フルォロベンゾィル) ベンゾニトリルの代わりに 3— [ (4R, 6 R) 一 4, 6一ジメチルー 1, 3—ジォキサン— 2—ィル] 一 4— (4 '_フルォ口べンゾィル) ベンゾニトリルを使用する以外は、 '実施例 3〜6と同
様の実験を行うことにより、 光学活性シタロプラム、 あるいはそのシユウ酸塩が得ら れる。 本発明の製造方法によれば、 光学活性シ夕ロプラムの不斉中心を高選択的かつ効率 的に誘導することができ、 光学分割法のように不要なェナンチォマーを捨てる必要が ないため、 従来法より高いアトムエコノミーで、 光学活性シタロプラムを製造するこ とができる。