JP2005247710A - 光学活性シタロプラムの製造方法、その中間体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、抗うつ剤として有用である光学活性シタロプラムの製造方法、その合成中間体およびその製造方法に関する。
一般式(X’):
で表される光学活性シタロプラムは抗うつ剤として有用であり、様々な製造方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来、光学分割法により得られる光学活性な中間体を経由する方法が知られているのみであり、不要なエナンチオマーを半分捨てることになり、アトムエコノミーが低いため、環境およびコスト上の問題があり、有利な製造方法とは言えなかった。
特開平2−36177号公報
しかしながら、従来、光学分割法により得られる光学活性な中間体を経由する方法が知られているのみであり、不要なエナンチオマーを半分捨てることになり、アトムエコノミーが低いため、環境およびコスト上の問題があり、有利な製造方法とは言えなかった。
本発明の目的は、新規な立体選択的反応を開発してアトムエコノミーの向上を図ることにより、光学活性シタロプラムを効率的に製造できる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、後掲の一般式(II)で表される新規中間体のホルミル基を後掲の一般式(III)で表される光学活性ジオールで保護することにより後掲の一般式(IV)で表される光学活性中間体を得、これを用いて有機金属法などで側鎖部を導入すると、光学活性シタロプラムの不斉中心を選択的かつ効率的に誘起できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]一般式(II):
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]一般式(II):
(式中、Xはシアノ基またはシアノ基に変換可能な基を示す。)で表される化合物(以下、化合物(II)ともいう。)。
[2]一般式(I):
[2]一般式(I):
(式中、Xは前記と同義を示す。)で表される化合物(以下、化合物(I)ともいう。)を酸化する工程を含むことを特徴とする、化合物(II)の製造方法。
[3]一般式(IV):
[3]一般式(IV):
(式中、Xは前記と同義を示し、R1およびR2は、同一または異なって、それぞれ独立して置換基を有していてもよい低級アルキル基を示し、nは0または1〜3の整数を示し、*は不斉炭素を示す。)で表される化合物(以下、化合物(IV)ともいう。)。
[4]化合物(II)を、酸の存在下、一般式(III):
[4]化合物(II)を、酸の存在下、一般式(III):
(式中、各記号は前記と同義を示す。)で表される光学活性ジオール化合物(以下、光学活性ジオール化合物(III)ともいう。)と反応させる工程を含むことを特徴とする、化合物(IV)の製造方法。
[5]上記[2]記載の方法により得られる化合物(II)を用いる、上記[4]記載の製造方法。
[6]一般式(VI):
[5]上記[2]記載の方法により得られる化合物(II)を用いる、上記[4]記載の製造方法。
[6]一般式(VI):
(式中、Y1はジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、他の各記号は前記と同義を示す。)で表される化合物(以下、化合物(VI)ともいう。)またはその塩。
[7]化合物(IV)を、一般式(V):
[7]化合物(IV)を、一般式(V):
(式中、Y1は前記と同義を示し、MはLiまたはMgX1(ここで、X1はハロゲン原子を示す。)を示す。)で表される有機金属試薬(以下、有機金属試薬(V)ともいう。)と反応させる工程を含むことを特徴とする、化合物(VI)またはその塩の製造方法。
[8]上記[4]または[5]記載の方法により得られる化合物(IV)を用いる、上記[7]記載の製造方法。
[9]一般式(VII):
[8]上記[4]または[5]記載の方法により得られる化合物(IV)を用いる、上記[7]記載の製造方法。
[9]一般式(VII):
(式中、Y2は、Y1と同一または異なって、ジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Xおよび*は前記と同義を示す。)で表される化合物(以下、化合物(VII)ともいう。)またはその塩。
[10]化合物(VI)またはその塩を脱保護する工程を含むことを特徴とする、化合物(VII)またはその塩の製造方法。
[11]上記[7]または[8]記載の方法により得られる化合物(VI)を用いる、上記[10]記載の製造方法。
[12]化合物(VII)またはその塩を還元する工程を含むことを特徴とする、一般式(VIII):
[10]化合物(VI)またはその塩を脱保護する工程を含むことを特徴とする、化合物(VII)またはその塩の製造方法。
[11]上記[7]または[8]記載の方法により得られる化合物(VI)を用いる、上記[10]記載の製造方法。
[12]化合物(VII)またはその塩を還元する工程を含むことを特徴とする、一般式(VIII):
(式中、Y3は、Y1およびY2と同一または異なって、ジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Xおよび*は前記と同義を示す。)で表される化合物(以下、化合物(VIII)ともいう。)またはその塩の製造方法。
[13]上記[10]または[11]記載の方法により得られる化合物(VII)を用いる、上記[12]記載の製造方法。
[14]化合物(VII)またはその塩を環化還元する工程を含むことを特徴とする、一般式(IX):
[13]上記[10]または[11]記載の方法により得られる化合物(VII)を用いる、上記[12]記載の製造方法。
[14]化合物(VII)またはその塩を環化還元する工程を含むことを特徴とする、一般式(IX):
(式中、Y4は、Y1およびY2と同一または異なって、ジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、X及び*は前記と同義を示す。)で表される化合物(以下、化合物(IX)ともいう。)またはその塩の製造方法。
[15]上記[10]または[11]記載の方法により得られる化合物(VII)を用いる、上記[14]記載の製造方法。
[16]上記[12]または[13]記載の方法により得られる化合物(VIII)またはその塩を、(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する工程、(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する工程、および(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する工程を含むことを特徴とする、式(X):
[15]上記[10]または[11]記載の方法により得られる化合物(VII)を用いる、上記[14]記載の製造方法。
[16]上記[12]または[13]記載の方法により得られる化合物(VIII)またはその塩を、(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する工程、(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する工程、および(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する工程を含むことを特徴とする、式(X):
で表される化合物(以下、化合物(X)ともいう。)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)またはその酸付加塩の製造方法。
[17]上記[14]または[15]記載の方法により得られる化合物(IX)またはその塩を、(i)Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換する工程および(ii)Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換する工程を含むことを特徴とする、化合物(X)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)またはその酸付加塩の製造方法。
[18]上記[2]、[4]、[7]、[10]、[12]および[14]記載の製造方法から選ばれる少なくとも一つの方法を含むことを特徴とする、化合物(X)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)またはその酸付加塩の製造方法。
[17]上記[14]または[15]記載の方法により得られる化合物(IX)またはその塩を、(i)Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換する工程および(ii)Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換する工程を含むことを特徴とする、化合物(X)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)またはその酸付加塩の製造方法。
[18]上記[2]、[4]、[7]、[10]、[12]および[14]記載の製造方法から選ばれる少なくとも一つの方法を含むことを特徴とする、化合物(X)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)またはその酸付加塩の製造方法。
本発明の製造方法によれば、光学活性シタロプラムの不斉中心を高選択的かつ効率的に誘導することができ、光学分割法のように不要なエナンチオマーを捨てる必要がないため、従来法より高いアトムエコノミーで、光学活性シタロプラムを製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で用いられている記号の定義を説明する。
まず、本発明で用いられている記号の定義を説明する。
Xで示される「シアノ基に変換可能な基」とは、1または2以上の工程を経てシアノ基に変換できるものであれば特に限定はなく、例えばハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、保護された水酸基、保護されたヒドロキシメチル基、保護されたアミノ基、保護されたホルミル基、保護されたカルボキシル基等が挙げられ、有機金属試薬(V)との反応を回避する必要がある点、およびシアノ基への変換しやすさの点から、ハロゲン原子、保護された水酸基、保護されたカルボキシル基が好ましい。
「保護された水酸基」および「保護されたヒドロキシメチル基」の保護基としては特に限定はなく、例えば、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられ、有機金属試薬(V)と反応の反応を回避するためには、2−テトラヒドロピラニル基、1−エトキシエチル基が好ましい。
「保護されたアミノ基」は特に限定はなく、例えば、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、有機金属試薬(V)と反応の反応を回避するためには、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基が好ましい。
「保護されたホルミル基」は特に限定はなく、例えば、ジメトキシメチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基、1,3−ジオキサン−2−イル基、1,3−ジチオラン−2−イル基、1,3−ジチアン−2−イル基等が挙げられ、有機金属試薬(V)と反応の反応を回避するためには、ジメトキシメチル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基が好ましい。
「保護されたカルボキシル基」は特に限定はなく、例えば、カルバモイル基、置換基を有していてもよいオキサゾリン−2−イル基(例えば、オキサゾリン−2−イル基、4,4−ジメチル−オキサゾリン−2−イル基等)等が挙げられ、有機金属試薬(V)と反応の反応を回避するためには、4,4−ジメチル−オキサゾリン−2−イル基が好ましい。
R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい低級アルキル基」の「低級アルキル基」としては、炭素数1〜12好ましくは炭素数1〜6の直鎖状または分枝状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、好ましくはメチルまたはエチルである。
当該低級アルキル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜8の直鎖状または分枝状の低級アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状または分枝状の低級アルケニルオキシ基(例、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル基、1または2−ナフチル基、2−、3−又は4−トルイル基等)、炭素数7〜14のアラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ基、1または2−ナフチルメチルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、4−ニトロベンジルオキシ基等)等が挙げられ、好ましくは低級アルコキシ基、低級アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基であり、さらに好ましくはベンジルオキシ基である。
R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい低級アルキル基」としては、メチル基、低級アルコキシメチル基、低級アルケニルオキシメチル基またはアラルキルオキシ基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、ベンジルオキシメチル基である。
X1で示される「ハロゲン原子」としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子または臭素原子が好ましい。
Y1、Y2、Y3およびY4は、同一または異なって、「ジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基」を示し、当該「ジメチルアミノ基に変換可能な基」とは、1または2以上の工程を経てジメチルアミノ基に変換できるものであれば特に限定はなく、例えば、保護基を有していてもよい水酸基(例えば、水酸基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、1−エトキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、ベンジルオキシメトキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、保護基を有してもよいアミノ基(例えば、アミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基等)等が挙げられる。Y1で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」は、有機金属試薬(V)を安定に調製する必要があるため、有機金属試薬と反応し得ない保護基を有する水酸基(例えば、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基等)が好ましい。
Y2、Y3およびY4は、Y1と同一であってもよいが、上記に列挙されたジメチルアミノ基に変換し得る基である限り、化合物(VI)が化合物(VII)、化合物(VIII)および化合物(IX)に変換する反応条件によって、脱保護等を受けて水酸基またはアミノ基等に変換したものであってもよい。
Y2、Y3およびY4は、Y1と同一であってもよいが、上記に列挙されたジメチルアミノ基に変換し得る基である限り、化合物(VI)が化合物(VII)、化合物(VIII)および化合物(IX)に変換する反応条件によって、脱保護等を受けて水酸基またはアミノ基等に変換したものであってもよい。
化合物(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)は塩基性のジメチルアミノ基を有する場合は塩を形成してもよい。そのような塩としては、例えば、無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等)または有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等)等が挙げられる。
化合物(X)すなわち光学活性シタロプラムの酸付加塩としては、薬理的に許容される非毒性酸付加塩が好ましく、例えば、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、パモイン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マンデリン酸塩、ケイ皮酸塩、シトラコン酸塩、アスパラギン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、イタコン酸塩、グリコール酸塩、P−アミノ安息香酸塩、グルタミン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、テオフィリン酢酸塩、8−ハロテオフィリン(例えば8−ブロモテオフィリン等)等の有機酸との塩または塩酸、臭化水素酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩が挙げられる。
光学活性ジオール化合物(III)、化合物(IV)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)および(X)に構造式中に示される*は、付された炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを示し、当該不斉炭素が二つ以上存在する化合物は、存在し得るあらゆるジアステレオマーまたはその混合物をも包含する。
本発明において光学活性とは、不斉炭素においてその立体配置が異なる異性体の等量混合物(例えば、ラセミ体)でないことを意味し、一方の立体異性体が過剰に存在する場合(例えば、6:4の混合物)であれば、光学活性と定義される。
本発明の製造方法は、下記反応スキームに示される。
本発明において光学活性とは、不斉炭素においてその立体配置が異なる異性体の等量混合物(例えば、ラセミ体)でないことを意味し、一方の立体異性体が過剰に存在する場合(例えば、6:4の混合物)であれば、光学活性と定義される。
本発明の製造方法は、下記反応スキームに示される。
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
すなわち、本発明は以下の工程(a)〜(h)の少なくとも一の工程を含む、化合物(II)、(IV)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)、並びに化合物(X)すなわち光学活性シタロプラムのフリー塩基またはその酸付加塩の製造方法である。
工程(a):化合物(I)を酸化して、化合物(II)を得る;
工程(b):化合物(II)を、酸の存在下、光学活性ジオール化合物(III)と反応させて、化合物(IV)を得る;
工程(c):化合物(IV)を、有機金属試薬(V)と反応させて、化合物(VI)またはその塩を得る;
工程(d):化合物(VI)またはその塩を脱保護し、化合物(VII)またはその塩を得る;
工程(e):化合物(VII)またはその塩を還元して、化合物(VIII)またはその塩を得る;
工程(f):化合物(VII)またはその塩を環化還元して、化合物(IX)またはその塩を得る;
工程(g):化合物(VIII)またはその塩を、以下の工程(i)〜(iii)に付して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る;
(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する;
(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する;
(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する;
工程(h):化合物(IX)またはその塩を、(i)Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換し、(ii)Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る。
以下、工程(a)〜(h)について詳細に説明する。
なお、水酸基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基等への保護基の導入または脱保護は、「Protective Groups in Organic Synthesis 3rd edition」、1999年、セオドア グリーン(Theodora Greene)等著、ジョンウィリー&サンズ社(John Wiley & Sons Inc)に記載の方法により行うことができる。
すなわち、本発明は以下の工程(a)〜(h)の少なくとも一の工程を含む、化合物(II)、(IV)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)、並びに化合物(X)すなわち光学活性シタロプラムのフリー塩基またはその酸付加塩の製造方法である。
工程(a):化合物(I)を酸化して、化合物(II)を得る;
工程(b):化合物(II)を、酸の存在下、光学活性ジオール化合物(III)と反応させて、化合物(IV)を得る;
工程(c):化合物(IV)を、有機金属試薬(V)と反応させて、化合物(VI)またはその塩を得る;
工程(d):化合物(VI)またはその塩を脱保護し、化合物(VII)またはその塩を得る;
工程(e):化合物(VII)またはその塩を還元して、化合物(VIII)またはその塩を得る;
工程(f):化合物(VII)またはその塩を環化還元して、化合物(IX)またはその塩を得る;
工程(g):化合物(VIII)またはその塩を、以下の工程(i)〜(iii)に付して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る;
(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する;
(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する;
(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する;
工程(h):化合物(IX)またはその塩を、(i)Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換し、(ii)Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る。
以下、工程(a)〜(h)について詳細に説明する。
なお、水酸基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基等への保護基の導入または脱保護は、「Protective Groups in Organic Synthesis 3rd edition」、1999年、セオドア グリーン(Theodora Greene)等著、ジョンウィリー&サンズ社(John Wiley & Sons Inc)に記載の方法により行うことができる。
1.工程(a)
工程(a)は、化合物(I)を酸化して、化合物(II)を得る方法である。
当該酸化反応は、化合物(I)のヒドロキシメチル基をホルミル基に酸化し得る方法であれば特に限定はなく、従来公知の酸化反応を制限なく適用できる。そのような酸化反応としては、例えばTEMPO酸化(Org. Synth., 69, 212(1990)参照)、スワン酸化(J. Org. Chem., 43, 2480(1978)参照)、デスマーティン試薬を用いる方法(J.Org. Chem., 48, 4156(1983)参照)、二酸化マンガン酸化(Synthesis, 1976, 65参照)、TRAP酸化(Chem. Soc. Rev., 21, 179(1992)参照)等が挙げられるが、収率および選択性の観点からは、TEMPO酸化、二酸化マンガン酸化、TRAP酸化等が好ましい。以下に好ましい態様であるTEMPO酸化について説明するが、工程(a)は当該態様に限定されるものではない。
工程(a)は、化合物(I)を酸化して、化合物(II)を得る方法である。
当該酸化反応は、化合物(I)のヒドロキシメチル基をホルミル基に酸化し得る方法であれば特に限定はなく、従来公知の酸化反応を制限なく適用できる。そのような酸化反応としては、例えばTEMPO酸化(Org. Synth., 69, 212(1990)参照)、スワン酸化(J. Org. Chem., 43, 2480(1978)参照)、デスマーティン試薬を用いる方法(J.Org. Chem., 48, 4156(1983)参照)、二酸化マンガン酸化(Synthesis, 1976, 65参照)、TRAP酸化(Chem. Soc. Rev., 21, 179(1992)参照)等が挙げられるが、収率および選択性の観点からは、TEMPO酸化、二酸化マンガン酸化、TRAP酸化等が好ましい。以下に好ましい態様であるTEMPO酸化について説明するが、工程(a)は当該態様に限定されるものではない。
工程(a)におけるTEMPO酸化では、例えば溶媒中、化合物(I)を、TEMPO類の存在下、次亜ハロゲン酸塩で酸化することにより、化合物(II)が得られる。
ここでTEMPO類とは、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPOともいう)およびその誘導体を意味する。具体的には、TEMPO、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPOともいう)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−オキソ−TEMPOともいう)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのエステル(例えば、4−(ベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(メタクリロイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−(メタクリロイルオキシ)−TEMPOともいう)、4−(メタンスルホニルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのアミドもしくはイミド(例えば、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等)等が挙げられ、好ましくはTEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO等である。
ここでTEMPO類とは、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPOともいう)およびその誘導体を意味する。具体的には、TEMPO、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPOともいう)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−オキソ−TEMPOともいう)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのエステル(例えば、4−(ベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(メタクリロイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−(メタクリロイルオキシ)−TEMPOともいう)、4−(メタンスルホニルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルのアミドもしくはイミド(例えば、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等)等が挙げられ、好ましくはTEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO等である。
TEMPO酸化において試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(I)および各試薬を同時または順次添加すればよいが、操作性がよいため、予め溶媒中に仕込んだ化合物(I)およびTEMPO類に、次亜ハロゲン酸塩溶液を添加(好ましくは滴下)するのが好ましい。
TEMPO類の使用量は触媒量でよく、化合物(I)1モルに対し、通常0.005モル〜0.2モルであるが、好ましくは0.02モル〜0.1モルである。TEMPO類の使用量がこの範囲より少ないと酸化が遅くなる傾向があり、またこの範囲を越えて使用しても使用量に対する効果が少なくなり経済的に不利になる傾向がある。
TEMPO酸化に使用する次亜ハロゲン酸塩としては、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩が挙げられる。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが例示される。次亜臭素酸塩としては、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウムなどが例示される。次亜ヨウ素酸塩としては、次亜ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウム、次亜ヨウ素酸カルシウムなどが例示される。次亜ハロゲン酸塩は、市販のものを適宜使用してもよいし、苛性アルカリとハロゲンとから調製してもよい。経済的な観点より、中でも次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
次亜ハロゲン酸塩の使用量は、化合物(I)1モルに対し、通常0.8モル〜1.5モルであるが、好ましくは1.0モル〜1.2モルである。次亜ハロゲン酸塩の使用量がこの範囲より少ないと酸化が完結しにくくなり、またこの範囲を越えて使用した場合、カルボキシル基まで酸化が進行する虞がある。
TEMPO酸化においては、金属臭素化物(例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム等)等を添加してもよい。当該金属臭素化物の使用量は、化合物(I)1モルに対し、通常0.01モル〜0.2モルであるが、好ましくは0.02モル〜0.1モルである。
またTEMPO酸化においては、反応促進のため、反応中のpHをpH3〜13に調整するのが好ましく、pH7〜11に調整するのがより好ましい。反応中のpHを調整するためには、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基をpHが上記範囲になるように添加すればよいが、通常は、化合物(I)1モルに対し、0.1モル〜3モルの範囲で使用される。
TEMPO酸化に用いられる溶媒としては、水および水と混和しない溶媒(例えば、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いてもよい。)との二相系溶媒が挙げられ、好ましくは水と酢酸エチルの二相系溶媒である。二相系溶媒とする場合、水と水と混和しない溶媒の混合比(v/v)は特に制限はないが、好ましくは5:1〜1:5(v/v)の範囲である。
溶媒の使用量は、化合物(I)1kgに対して通常1L〜20Lである。
溶媒の使用量は、化合物(I)1kgに対して通常1L〜20Lである。
TEMPO酸化の反応温度は、通常は−20℃〜50℃であるが、−10℃〜20℃が好ましい。反応時間は、通常2〜24時間である。
得られる化合物(II)は、酸化終了後、必要に応じ、残存する亜ハロゲン酸塩を分解するため、還元剤(例えば、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、硫化ナトリウム等)で処理したのち、常法により単離、精製することができる。例えば、有機層を分離し、水洗、乾燥後、濃縮することにより単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。
工程(a)で得られる化合物(II)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。
工程(a)の原料である化合物(I)は公知化合物であり、例えば、後掲の参考例1のように5−シアノフタリドに4−フルオロフェニルマグネシウムブロミドを反応させることにより調製することができる。
2.工程(b)
工程(b)は、例えば溶媒中、化合物(II)を酸の存在下、光学活性ジオール化合物(III)と反応させて化合物(IV)を得る方法である。工程(b)において試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(II)および各試薬を同時または順次添加すればよい。
工程(b)は、例えば溶媒中、化合物(II)を酸の存在下、光学活性ジオール化合物(III)と反応させて化合物(IV)を得る方法である。工程(b)において試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(II)および各試薬を同時または順次添加すればよい。
工程(b)に使用される光学活性ジオール化合物(III)のR1およびR2は同一であっても異なっていてもよいが、同一である場合はメソ体とならないように、二つの不斉炭素の絶対配置が同一、すなわちR体とR体またはS体とS体である必要がある。
光学活性ジオール化合物(III)の二つの不斉炭素の立体配置は、所望の立体配置の化合物(IV)を得るために必要とする立体配置を適宜選択すればよく、具体的には、1,4−ジ−O−ベンジル−D−スレイトール、1,4−ジ−O−ベンジル−L−スレイトール、(2R,4R)−(−)−2,4−ペンタンジオール、(2S,4S)−(+)−2,4−ペンタンジオール等が好ましく用いられる。
光学活性ジオール化合物(III)の二つの不斉炭素の立体配置は、所望の立体配置の化合物(IV)を得るために必要とする立体配置を適宜選択すればよく、具体的には、1,4−ジ−O−ベンジル−D−スレイトール、1,4−ジ−O−ベンジル−L−スレイトール、(2R,4R)−(−)−2,4−ペンタンジオール、(2S,4S)−(+)−2,4−ペンタンジオール等が好ましく用いられる。
光学活性ジオール化合物(III)の使用量は、化合物(II)1モルに対して、通常0.9モル〜2モルであり、好ましくは1モル〜1.5モルである。
工程(b)で用いる酸としては、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素等が挙げられ、好ましくはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸である。
酸の使用量は、化合物(II)1モルに対し、通常0.001モル〜0.2モルであるが、好ましくは0.01モル〜0.1モルである。酸の使用量がこの範囲より少ないと反応が遅くなる傾向があり、またこの範囲を越えて使用しても使用量に対する効果が少なくなり経済的に不利になる傾向がある。
酸の使用量は、化合物(II)1モルに対し、通常0.001モル〜0.2モルであるが、好ましくは0.01モル〜0.1モルである。酸の使用量がこの範囲より少ないと反応が遅くなる傾向があり、またこの範囲を越えて使用しても使用量に対する効果が少なくなり経済的に不利になる傾向がある。
工程(b)に用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はなく、例えばトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、モノクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム等の単独または混合溶媒が挙げられ、トルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(II)1kgに対して通常0.1L〜10Lである。
溶媒の使用量は、化合物(II)1kgに対して通常0.1L〜10Lである。
工程(b)の反応温度は、通常は0℃〜150℃であるが、20℃〜120℃が好ましく、ディーンスターク管を用いて共沸脱水しながら行うのがさらに好ましい。反応時間は、通常1〜24時間である。
得られる化合物(IV)は、常法により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を水洗、乾燥後、濃縮することにより化合物(IV)を単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。
工程(b)で得られる化合物(IV)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。
工程(b)で得られる化合物(IV)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。
3.工程(c)
工程(c)は、例えば溶媒中、化合物(IV)を、有機金属試薬(V)と反応させて、化合物(VI)またはその塩を得る方法である。工程(c)において試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(IV)および有機金属試薬(V)を同時または順次添加すればよいが、操作性および反応の選択性を上げるために、溶媒中の化合物(IV)に、有機金属試薬(V)の溶液を滴下するのが好ましい。
工程(c)は、例えば溶媒中、化合物(IV)を、有機金属試薬(V)と反応させて、化合物(VI)またはその塩を得る方法である。工程(c)において試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(IV)および有機金属試薬(V)を同時または順次添加すればよいが、操作性および反応の選択性を上げるために、溶媒中の化合物(IV)に、有機金属試薬(V)の溶液を滴下するのが好ましい。
工程(c)に使用される有機金属試薬(V)は、一般式:X1(CH2)3Y1で表される化合物を、金属リチウムとエーテル系溶媒(例えばTHF、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)等)中、−20〜60℃で反応させるか、あるいはマグネシウムと通常のグリニャール試薬を生成させる条件で反応させることにより調製することができる。
有機金属試薬(V)の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、通常0.9モル〜50モルであり、好ましくは1.5モル〜35モルである。有機金属試薬(V)の使用量がこの範囲より少ないと反応が完結しにくくなり、またこの範囲を越えて使用した場合、副反応が進行する虞がある。
工程(c)に用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、例えばTHF、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘプタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類等の単独または混合溶媒が挙げられ、THF、MTBE、トルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(IV)1kgに対して通常0.1L〜10Lである。
溶媒の使用量は、化合物(IV)1kgに対して通常0.1L〜10Lである。
工程(c)の反応温度は、通常は−20℃〜80℃であるが、0℃〜40℃が好ましい。反応時間は、通常1〜24時間である。
得られる化合物(VI)は、常法により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を希酸性水(例、塩化アンモニウム水溶液等)に注ぎ、有機層を水洗、乾燥後、濃縮することにより化合物(VI)を単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。
さらに、化合物(VI)が結晶である場合は、必要により再結晶するか、または、常法により、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にした後再結晶することにより、光学純度を上げることができる。
工程(c)で得られる化合物(VI)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。
さらに、化合物(VI)が結晶である場合は、必要により再結晶するか、または、常法により、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にした後再結晶することにより、光学純度を上げることができる。
工程(c)で得られる化合物(VI)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。
4.工程(d)
工程(d)は、化合物(VI)またはその塩を脱保護して、化合物(VII)を得る方法であり、通常、溶媒中において、酸の存在下、加水分解することによって行うことができる。
工程(d)は、化合物(VI)またはその塩を脱保護して、化合物(VII)を得る方法であり、通常、溶媒中において、酸の存在下、加水分解することによって行うことができる。
工程(d)で用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、好ましくは塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸である。
酸の使用量は、化合物(VI)1モルに対し、通常0.01モル〜100モルである。酸の使用量がこの範囲より少ないと反応が遅くなる傾向があり、またこの範囲を越えて使用しても使用量に対する効果が少なくなるばかりか、ラセミ化が進行する虞がある。
酸の使用量は、化合物(VI)1モルに対し、通常0.01モル〜100モルである。酸の使用量がこの範囲より少ないと反応が遅くなる傾向があり、またこの範囲を越えて使用しても使用量に対する効果が少なくなるばかりか、ラセミ化が進行する虞がある。
工程(d)に用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はなく、例えばTHF、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を単独または混合して使用することができ、THFが好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(VI)1kgに対して通常1L〜50Lである。
溶媒の使用量は、化合物(VI)1kgに対して通常1L〜50Lである。
工程(d)の反応温度は、通常は0℃〜100℃であるが、20℃〜60℃が好ましい。反応時間は、通常1〜20時間である。
得られる化合物(VII)は、常法により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を水洗、乾燥後、濃縮することにより化合物(VII)を単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。さらに、化合物(VII)が結晶である場合は、必要により再結晶するか、または、常法により、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にした後再結晶することにより、光学純度を上げることができる。
工程(d)で得られる化合物(VII)は新規化合物であり、光学活性シタロプラムの有用な合成中間体である。なお、化合物(VII)は、一般式(VII’):
(式中、各記号は前記と同義を示す。)で表されるラクトール体(以下、ラクトール(VII’)ともいう。)と平衡にあり、化合物(VII)はラクトール(VII’)を包含するものである。
5.工程(e)
工程(e)は、化合物(VII)またはその塩を還元して、化合物(VIII)またはその塩を得る方法であり、通常、溶媒中、還元剤と反応させることにより行うことができる。試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(VII)および還元剤を同時または順次添加すればよい。
工程(e)は、化合物(VII)またはその塩を還元して、化合物(VIII)またはその塩を得る方法であり、通常、溶媒中、還元剤と反応させることにより行うことができる。試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(VII)および還元剤を同時または順次添加すればよい。
工程(e)で使用される還元剤としては、化合物(VII)のホルミル基をヒドロキシメチル基に還元し得るものであれば特に限定はなく、具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムである。
還元剤の使用量は、化合物(VII)1モルに対し、通常0.25モル〜2モルであるが、好ましくは0.3モル〜1.6モルである。
還元剤の使用量は、化合物(VII)1モルに対し、通常0.25モル〜2モルであるが、好ましくは0.3モル〜1.6モルである。
上記還元反応に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、THF、MTBE、ジメトキシエタン、ジグライム、1,4−ジオキサン等の単独または混合溶媒が挙げられ、メタノール、エタノール、メタノールとTHFの混合溶媒、エタノールとTHFの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(VII)1kgに対して通常5L〜50Lである。
溶媒の使用量は、化合物(VII)1kgに対して通常5L〜50Lである。
工程(e)の反応温度は、通常は−20℃〜80℃であるが、0℃〜50℃が好ましい。反応時間は、通常1〜24時間である。
得られる化合物(VIII)は、常法により単離、精製することができる。例えば、反応混合物を希酸性水(例、塩化アンモニウム水溶液等)に注ぎ、トルエン等の有機溶媒で抽出し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮することにより化合物(VIII)を単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。さらに、化合物(VIII)が結晶である場合は、必要により再結晶するか、または、常法により、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にした後再結晶することにより、光学純度を上げることができる。
6.工程(f)
工程(f)は、化合物(VII)またはその塩を環化還元して、化合物(IX)またはその塩を得る方法である。ここで、化合物(VII)の環化還元とは下記スキームに示されるように、化合物(VII)の環化体であるラクトール(VII’)のフタラン環の水酸基を水素原子に還元することを意味する。
工程(f)は、化合物(VII)またはその塩を環化還元して、化合物(IX)またはその塩を得る方法である。ここで、化合物(VII)の環化還元とは下記スキームに示されるように、化合物(VII)の環化体であるラクトール(VII’)のフタラン環の水酸基を水素原子に還元することを意味する。
当該環化還元反応は、例えば、溶媒中、化合物(VII)を還元剤と反応させることにより行うことができる。試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(VII)および還元剤を同時または順次添加すればよい。また、パラジウム炭素、水酸化パラジウム等を触媒として用いた水素添加反応で行うこともできる。
環化還元反応に用いられる還元剤としては、トリアルキルシラン(例、トリエチルシラン、トリブチルシラン等)、トリクロロシラン、トリアルコキシシラン(例、トリエトキシシラン等)、ジボラン、ボラン・THF錯体、水素化ホウ素ナトリウムとルイス酸(特に、三フッ化ホウ素)との組み合わせ、水素化ホウ素ナトリウムとヨウ素の組み合わせ等が挙げられ、トリエチルシラン、水素化ホウ素ナトリウムと三フッ化ホウ素の組み合わせが好ましい。
還元剤の使用量は、化合物(VII)1モルに対して、通常0.25モル〜2.0モルであるが、好ましくは0.3モル〜1.5モルである。
トリアルキルシラン、トリアルコキシシランを用いる場合は、反応中にトリフルオロ酢酸等の酸を添加するのが好ましく、当該酸の使用量としては、トリアルキルシランに対して0.1当量〜10当量が好ましい。
環化還元反応の反応温度は、通常は−20℃〜100℃であるが、0℃〜70℃が好ましい。反応時間は、通常1〜24時間である。
環化還元反応を水素添加反応で行う場合は、化合物(VII)を溶媒(例、エタノール、酢酸、酢酸エチル等)中、0.001〜0.1当量の触媒の存在下、1〜30気圧の水素雰囲気下で、通常0〜80℃で、1〜24時間反応させる。
得られる化合物(IX)は常法により単離、精製することができる。例えば、有機層を分離し、水洗、乾燥後、濃縮することにより単離し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができるが、これに限定されるものではない。また、精製することなく、次工程に供することもできる。さらに、化合物(IX)が結晶である場合は、必要により再結晶するか、または、常法により、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にした後再結晶することにより、光学純度を上げることができる。
7.工程(g)
工程(g)は、化合物(VIII)またはその塩を、以下の工程(i)〜(iii)に付して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る方法である。但し、Xがシアノ基の場合は下記工程(ii)に付する必要はなく、Y3がジメチルアミノ基である場合は下記工程(iii)に付する必要はない。
(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する(以下、工程(g−1)ともいう。);
(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する(以下、工程(g−2)ともいう。);
(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する(以下、工程(g−3)ともいう。)。
工程(g)は、化合物(VIII)またはその塩を、以下の工程(i)〜(iii)に付して、化合物(X)のフリー塩基またはその酸付加塩を得る方法である。但し、Xがシアノ基の場合は下記工程(ii)に付する必要はなく、Y3がジメチルアミノ基である場合は下記工程(iii)に付する必要はない。
(i)環化反応に付して、フタラン環を形成する(以下、工程(g−1)ともいう。);
(ii)Xがシアノ基でない場合は、シアノ基に変換する(以下、工程(g−2)ともいう。);
(iii)Y3がジメチルアミノ基でない場合は、ジメチルアミノ基に変換する(以下、工程(g−3)ともいう。)。
工程(g)においては、化合物(VIII)を工程(g−1)〜(g−3)に付する順序は特に限定はなくが、副生成物を抑えるためには、工程(g−1)→(g−3)→(g−2)または工程(g−3)→(g−1)→(g−2)の順序が好ましい。
以下、工程(g−1)〜(g−3)について説明する。なお、工程(g−1)〜(g−3)の順番により、各工程に付される化合物(VIII)が異なることがあり得るが、便宜上化合物(VIII)として説明する。
7−1.工程(g−1)
工程(g−1)の環化反応は、例えば溶媒中において、化合物(VIII)を、塩基の存在下、酸ハライドと反応させることにより行うことができる。試薬の添加の順序は特に限定はなく、化合物(VIII)および各試薬を同時または順次添加すればよい。
工程(g−1)の環化反応は、例えば溶媒中において、化合物(VIII)を、塩基の存在下、酸ハライドと反応させることにより行うことができる。試薬の添加の順序は特に限定はなく、化合物(VIII)および各試薬を同時または順次添加すればよい。
工程(g−1)に使用される塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられ、トリエチルアミンが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常0.9モル〜2モルであり、好ましくは1モル〜1.5モルである。
塩基の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常0.9モル〜2モルであり、好ましくは1モル〜1.5モルである。
工程(g−1)に使用される酸ハライドとしては化合物(VIII)のヒドロキシメチル基を脱離性のエステルに変換しうるものが好ましく、例えばメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、10−ショウノウスルホニルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド等が挙げられ、メタンスルホニルクロリドが好ましい。
酸ハライドの使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常0.9モル〜1.8モルであり、好ましくは1モル〜1.4モルである。
酸ハライドの使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常0.9モル〜1.8モルであり、好ましくは1モル〜1.4モルである。
工程(g−1)に用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はなく、例えばトルエン、キシレン、THF、MTBE、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン等の単独または混合溶媒が挙げられ、トルエンまたはTHFが好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(VIII)1kgに対して通常1L〜50Lである。
溶媒の使用量は、化合物(VIII)1kgに対して通常1L〜50Lである。
工程(g−1)の反応温度は、通常は−20℃〜50℃であるが、−10℃〜30℃が好ましい。反応時間は、通常1〜12時間である。
7−2.工程(g−2)
工程(g−2)は、Xで示される「シアノ基に変換可能な基」の態様により、シアノ基に変換する方法が異なる。
例えば、Xがハロゲン原子である場合は、溶媒(例、DMF、DMSO等)中において、化合物(VIII)を0.9〜2.5当量のシアン化第一銅またはパラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)存在下、0.9〜2.5当量の金属シアン化物(例、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等)と、30℃〜150℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
工程(g−2)は、Xで示される「シアノ基に変換可能な基」の態様により、シアノ基に変換する方法が異なる。
例えば、Xがハロゲン原子である場合は、溶媒(例、DMF、DMSO等)中において、化合物(VIII)を0.9〜2.5当量のシアン化第一銅またはパラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)存在下、0.9〜2.5当量の金属シアン化物(例、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等)と、30℃〜150℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
Xが保護された水酸基である場合は、脱保護した後、溶媒(例、ジクロロメタン、トルエン、THF等)中、塩基(例、トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下、トリフルオロメタンスルホニルクロリドまたは無水トリフルオロメタンスルホニルと反応させることにより脱保護された水酸基をトリフルオロメタンスルホニルオキシ基に変換し、得られたトリフルオロメタンスルホネートをXがハロゲン原子である上記と同様の条件で反応させることにより行うことができる。
Xが保護されたアミノ基である場合は、脱保護した後、亜硝酸ナトリウムとハロゲン化第一銅によるいわゆるサンドマイヤー反応(Org. Syn., Coll. Vol. 3, 185参照)によって、脱保護されたアミノ基をハロゲン原子に変換し、さらにXがハロゲン原子である上記と同様の条件で反応させることにより行うことができる。
あるいは、亜硝酸ナトリウムとシアン化第一銅による改変サンドマイヤー反応(Org. Syn., Coll. Vol. 1, 514参照)により、脱保護されたアミノ基をシアノ基に変換することができる。
あるいは、亜硝酸ナトリウムとシアン化第一銅による改変サンドマイヤー反応(Org. Syn., Coll. Vol. 1, 514参照)により、脱保護されたアミノ基をシアノ基に変換することができる。
Xが保護されたホルミル基である場合は、脱保護した後、ヒドロキシルアミンと反応させて、ホルミル基を対応するオキシムに変換した後、脱水剤(例、塩化チオニル、オキシ塩化リン、無水酢酸等)と反応させることにより、ホルミル基をシアノ基に変換することができる(Org. Syn., Coll. Vol. 2, 622 参照)。
Xが保護されたヒドロキシメチル基である場合は、脱保護した後、例えば、上記工程(a)と同様の方法によりヒドロキシメチル基をホルミル基に変換した後、Xが保護されたホルミル基である上記と同様の条件で反応させることにより行うことができる。
Xが保護されたカルボキシル基である場合は、脱保護した後、カルボキシル基を常法(保護基導入と同様の方法)により、カルバモイル基または1,3−オキサゾリン−2−イル基に変換し、さらに脱水剤(例、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五酸化リン等)と反応させることにより、ホルミル基をシアノ基に変換することができる(Org. Syn., Coll. Vol. 4, 436, 486参照)。特に保護されたカルボキシル基がカルバモイル基またはオキサゾリン−2−イル基である場合は、脱保護を要することなく行うことができる。
7−3.工程(g−3)
工程(g−3)は、Y3で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」の態様により、ジメチルアミノ基に変換する方法が異なる。
工程(g−3)は、Y3で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」の態様により、ジメチルアミノ基に変換する方法が異なる。
たとえば、Y3が保護基を有していてもよい水酸基である場合は、必要により脱保護した後、当該水酸基を脱離性エステルに変換後、ジメチルアミンと反応させることにより行うことができる。
水酸基を脱離性エステルに変換する方法としては、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE等)中において、0.9〜1.5当量の酸ハライド(例、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、10−ショウノウスルホニルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド等)と、−20℃〜80℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
さらにジメチルアミンとの反応においては、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)中において、0.9〜5当量のジメチルアミン(好ましくは水溶液)と、0℃〜80℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
工程(g−3)の他の態様として、Y3が保護基を有していてよいアミノ基である場合は、必要により脱保護した後、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE等)中において、2〜4当量のメチル化剤(例、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル等)と、−20℃〜80℃で、0.5〜12時間反応させることにより行うことができる。
工程(g)で得られる化合物(X)の単離、精製は常法により行うことができ、必要に応じて、工程(g−1)〜工程(g−3)の各工程において単離、精製してもよい。さらに、化合物(X)を必要により再結晶に付することにより、光学純度を上げることができる。
8.工程(h)
工程(h)は、化合物(IX)またはその塩を、Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換し(以下、工程(h−1)ともいう。)、Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換して(以下、工程(h−2)ともいう。)、化合物(X)を得る方法である。但し、Xがシアノ基の場合は工程(h−1)に付する必要はなく、Y4がジメチルアミノ基である場合は工程(h−2)に付する必要はない。
工程(h)は、化合物(IX)またはその塩を、Xがシアノ基でない場合はシアノ基に変換し(以下、工程(h−1)ともいう。)、Y4がジメチルアミノ基でない場合はジメチルアミノ基に変換して(以下、工程(h−2)ともいう。)、化合物(X)を得る方法である。但し、Xがシアノ基の場合は工程(h−1)に付する必要はなく、Y4がジメチルアミノ基である場合は工程(h−2)に付する必要はない。
化合物(IX)を工程(h−1)および工程(h−2)に付する順番は特に限定はないが、副生成物を抑制するためには、工程(h−2)→(h−1)の順序が好ましい。
工程(h−1)は上記工程(g−2)と同様の条件で行うことができ、工程(h−2)は上記工程(g−3)と同様の条件で行うことができる。
工程(g)または(h)によって得られる化合物(X)のフリー塩基(光学活性シタロプラム)は、必要により酸付加塩にすることができる。
当該酸付加塩は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、水と混和しうる溶媒中(例、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール等)、化合物(X)のフリー塩基を有機酸(例、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、シュウ酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデリン酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、テオフイリン酢酸、8−ハロテオフイリン等)又は無機酸(例、塩酸、臭化水素酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等)と反応させ、濃縮または冷却によって析出した酸付加塩を濾過等により単離するか、あるいはエチルエーテル、酢酸エチル又はジクロロメタン等の貧溶媒中で反応させ、析出した酸付加塩を単離することにより行うことができる。得られた該酸付加塩は、必要により再結晶に付することにより、光学純度を上げることができる。
当該酸付加塩は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、水と混和しうる溶媒中(例、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール等)、化合物(X)のフリー塩基を有機酸(例、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、シュウ酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデリン酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、テオフイリン酢酸、8−ハロテオフイリン等)又は無機酸(例、塩酸、臭化水素酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等)と反応させ、濃縮または冷却によって析出した酸付加塩を濾過等により単離するか、あるいはエチルエーテル、酢酸エチル又はジクロロメタン等の貧溶媒中で反応させ、析出した酸付加塩を単離することにより行うことができる。得られた該酸付加塩は、必要により再結晶に付することにより、光学純度を上げることができる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
参考例1:4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ヒドロキシメチルベンゾニトリルの合成
窒素下、マグネシウム(2.8g,115mmol)をTHF(8mL)に分散させ、ヨウ素(0.01g)を添加した後、4−ブロモフルオロベンゼン(0.35g,2mmol)加え、温度上昇を確認後、THF(40mL)を流入した。その後、4−ブロモフルオロベンゼン(19g,109mmol)を45℃以下で滴下し、室温まで冷却した。この溶液を、5−シアノフタリド(16g,100mmol)をTHF(100mL)に分散させた溶液中に−10℃付近で滴下し、15時間同温度で攪拌した。反応液を20%塩化アンモニウム水溶液(150mL)に注ぎ、1Mクエン酸水溶液(25mL)を加えた後、有機相を分離し、水(100mL)で2回洗浄し、溶媒を留去することにより、表題化合物(25g)を得た。
窒素下、マグネシウム(2.8g,115mmol)をTHF(8mL)に分散させ、ヨウ素(0.01g)を添加した後、4−ブロモフルオロベンゼン(0.35g,2mmol)加え、温度上昇を確認後、THF(40mL)を流入した。その後、4−ブロモフルオロベンゼン(19g,109mmol)を45℃以下で滴下し、室温まで冷却した。この溶液を、5−シアノフタリド(16g,100mmol)をTHF(100mL)に分散させた溶液中に−10℃付近で滴下し、15時間同温度で攪拌した。反応液を20%塩化アンモニウム水溶液(150mL)に注ぎ、1Mクエン酸水溶液(25mL)を加えた後、有機相を分離し、水(100mL)で2回洗浄し、溶媒を留去することにより、表題化合物(25g)を得た。
実施例1:4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ホルミルベンゾニトリルの合成
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ヒドロキシメチルベンゾニトリル(25g,98mmol)を酢酸エチル(100mL)に溶解させた溶液に、炭酸水素ナトリウム(4g,54mmol)、臭化カリウム(0.7g,6mmol)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1―ピペリジン−1−イルオキシフリーラジカル(HO−TEMPO)(0.6g,3.5mmol)、水(50mL)を加え、0〜5℃で13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(31g,54mmol)を滴下、さらに同温度でHO−TEMPO(0.4g,2.3mmol)と13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(31g,54mmol)を滴下し、終夜攪拌した。反応混合物に2%亜硫酸曹達水(20mL)を加え攪拌した後、有機相を分離し、10%食塩水20mLで洗浄後、減圧濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、表題化合物(7.2g)を得た。
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ヒドロキシメチルベンゾニトリル(25g,98mmol)を酢酸エチル(100mL)に溶解させた溶液に、炭酸水素ナトリウム(4g,54mmol)、臭化カリウム(0.7g,6mmol)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1―ピペリジン−1−イルオキシフリーラジカル(HO−TEMPO)(0.6g,3.5mmol)、水(50mL)を加え、0〜5℃で13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(31g,54mmol)を滴下、さらに同温度でHO−TEMPO(0.4g,2.3mmol)と13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(31g,54mmol)を滴下し、終夜攪拌した。反応混合物に2%亜硫酸曹達水(20mL)を加え攪拌した後、有機相を分離し、10%食塩水20mLで洗浄後、減圧濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、表題化合物(7.2g)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ ppm 7.18(2H, t, J=9Hz), 7.62(1H,d, J=8Hz), 7.81(2H, dd, J=9Hz, J=6Hz), 7.98(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz), 8.31(1H, d,J=2Hz), 10.00 (1H, s).
実施例2:3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルの合成
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ホルミルベンゾニトリル(0.8g,3.2mmol)をトルエン(3mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.01g,0.1mmol)を加え、さらに1,4−ジ−O−ベンジル−D−スレイトール(1.2g,4mmol)を加え、終夜反応させた。反応液にトリエチルアミン(0.1g)を加え、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(1.2g)を得た。
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ホルミルベンゾニトリル(0.8g,3.2mmol)をトルエン(3mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.01g,0.1mmol)を加え、さらに1,4−ジ−O−ベンジル−D−スレイトール(1.2g,4mmol)を加え、終夜反応させた。反応液にトリエチルアミン(0.1g)を加え、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(1.2g)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δppm 3.45-3.57(4H, m), 3.98-4.03(1H,m), 4.13-4.18(1H, m), 4.46(4H, s), 7.08(2H, t, J=8Hz), 7.2-7.38(11H, m),7.70(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz), 7.75(2H, dd, J=8Hz, J=4Hz), 8.06(1H, d, J=2Hz).
実施例3:3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]ベンゾニトリルの光学活性体の合成
3−ジメチルアミノプロピルクロリド塩酸塩(20g,127mmol)を水酸化ナトリウム水溶液で中和して、トルエン(5mL)で抽出した溶液を無水炭酸カリウムで脱水後、濾過、THF(5mL)で洗浄し、あわせた溶液を、マグネシウム(2.2g,90mmol)をTHF(3mL)に分散させた溶液中に室温〜65℃で滴下し、3時間反応させ、3−ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド溶液を調製する。3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリル(0.2g,0.4mmol)をTHF(2mL)に溶解させた溶液中に、先に調製した3−ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド溶液(4g,12mmol)を滴下し、室温で終夜攪拌する。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、有機相を分液した。有機相を20%酢酸水溶液で抽出、さらに20%水酸化ナトリウム水溶液でpH10以下に中和後、トルエンで抽出した有機相を減圧濃縮し、表題化合物を0.2g得る。なお、誘起された不斉中心の絶対配置は未決定である。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
3−ジメチルアミノプロピルクロリド塩酸塩(20g,127mmol)を水酸化ナトリウム水溶液で中和して、トルエン(5mL)で抽出した溶液を無水炭酸カリウムで脱水後、濾過、THF(5mL)で洗浄し、あわせた溶液を、マグネシウム(2.2g,90mmol)をTHF(3mL)に分散させた溶液中に室温〜65℃で滴下し、3時間反応させ、3−ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド溶液を調製する。3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリル(0.2g,0.4mmol)をTHF(2mL)に溶解させた溶液中に、先に調製した3−ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド溶液(4g,12mmol)を滴下し、室温で終夜攪拌する。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、有機相を分液した。有機相を20%酢酸水溶液で抽出、さらに20%水酸化ナトリウム水溶液でpH10以下に中和後、トルエンで抽出した有機相を減圧濃縮し、表題化合物を0.2g得る。なお、誘起された不斉中心の絶対配置は未決定である。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
実施例4:4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−ホルミルベンゾニトリルの光学活性体の合成
3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]ベンゾニトリルの光学活性体(0.2g,0.3mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、6N塩酸(2mL)を加え、室温〜50℃で3時間攪拌する。トルエン(2mL)を加え、抽出した有機相を良く水洗した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで表題化合物を0.1g得る。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]ベンゾニトリルの光学活性体(0.2g,0.3mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、6N塩酸(2mL)を加え、室温〜50℃で3時間攪拌する。トルエン(2mL)を加え、抽出した有機相を良く水洗した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで表題化合物を0.1g得る。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
実施例5:4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルの光学活性体の合成
4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−ホルミルベンゾニトリルの光学活性体(0.1g,0.3mmol)をTHF(2mL)およびメタノール(2mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(0.02g,0.53mmol)を加え、室温で終夜攪拌する。反応液は、水(5mL)に注ぎ、トルエン(3mL)で抽出し、水洗後、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、表題化合物を0.1g得る。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−ホルミルベンゾニトリルの光学活性体(0.1g,0.3mmol)をTHF(2mL)およびメタノール(2mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(0.02g,0.53mmol)を加え、室温で終夜攪拌する。反応液は、水(5mL)に注ぎ、トルエン(3mL)で抽出し、水洗後、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、表題化合物を0.1g得る。光学純度は、本化合物を再結晶するか、または、酒石酸、ジ−o−トルオイル酒石酸、マンデル酸等の光学活性カルボン酸との塩にしたものを再結晶することにより向上させることができる。
実施例6:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−(4’−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボニトリルの光学活性体(光学活性シタロプラム)およびそのシュウ酸塩の合成
実施例5で得られる4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルの光学活性体を用い、特開平11−292867記載の方法と同様の方法で環化することにより光学活性シタロプラムのフリー塩基を得、さらに同文献記載の方法と同様の方法により、表題のシュウ酸塩を得る。光学純度は、該フリー塩基を再結晶するか、または、該シュウ酸塩を再結晶することにより向上させることができる。
実施例5で得られる4−[4−ジメチルアミノ−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−ブチル]−3−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルの光学活性体を用い、特開平11−292867記載の方法と同様の方法で環化することにより光学活性シタロプラムのフリー塩基を得、さらに同文献記載の方法と同様の方法により、表題のシュウ酸塩を得る。光学純度は、該フリー塩基を再結晶するか、または、該シュウ酸塩を再結晶することにより向上させることができる。
実施例7:3−[(4R,6R)−4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルの合成
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ホルミルベンゾニトリル(4.05g,16mmol)をトルエン(12mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.01g,0.1mmol)を加え、さらに(2R,4R)−(−)−2,4−ペンタンジオール(2.0g,19mmol)を加え、終夜反応させた。反応液にトリエチルアミン(0.1g)を加え、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を4.5g得た。
4−(4’−フルオロベンゾイル)−3−ホルミルベンゾニトリル(4.05g,16mmol)をトルエン(12mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.01g,0.1mmol)を加え、さらに(2R,4R)−(−)−2,4−ペンタンジオール(2.0g,19mmol)を加え、終夜反応させた。反応液にトリエチルアミン(0.1g)を加え、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を4.5g得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δppm 1.01(3H, d, J=6Hz), 1.24(3H, d,J=8Hz), 1.29-1.33 (1H, m), 1.74-1.82 (1H, m), 3.91-3.99 (1H, m), 4.23-4.30 (1H,m), 7.13(2H, t, J=9Hz), 7.34(1H, d, J=8Hz), 7.68(1H, dd, J=8Hz, J=2Hz),7.81(2H, dd, J=9Hz, J=5Hz), 8.09(1H, d, J=2Hz).
実施例8:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−(4’−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボニトリルの光学活性体(光学活性シタロプラム)およびそのシュウ酸塩の合成
3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルの代わりに3−[(4R,6R)−4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルを使用したこと以外は、実施例3〜6と同様に行い、光学活性シタロプラムのフリー塩基およびそのシュウ酸塩を得る。
3−[(4R,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルの代わりに3−[(4R,6R)−4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル]−4−(4’−フルオロベンゾイル)ベンゾニトリルを使用したこと以外は、実施例3〜6と同様に行い、光学活性シタロプラムのフリー塩基およびそのシュウ酸塩を得る。
Claims (18)
- 請求項2記載の方法により得られる一般式(II)で表される化合物を用いる、請求項4記載の製造方法。
- 請求項4または5記載の方法により得られる一般式(IV)で表される化合物を用いる、請求項7記載の製造方法。
- 請求項7または8記載の方法により得られる一般式(VI)で表される化合物を用いる、請求項10記載の製造方法。
- 請求項10または11記載の方法により得られる一般式(VII)で表される化合物を用いる、請求項12記載の製造方法。
- 請求項10または11記載の方法により得られる一般式(VII)で表される化合物を用いる、請求項14記載の製造方法。
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JP2004056917A JP2005247710A (ja) | 2004-03-01 | 2004-03-01 | 光学活性シタロプラムの製造方法、その中間体およびその製造方法 |
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