明細書
新規腫瘍抗原蛋白質及びその利用 技術分野
本発明は、 fl重瘍抗原タンパク質および該タンパク質由来のペプチドの、 癌免疫分 野における利用に関する。 更に本発明は、 癌疾患の診断に有用な疾患マーカ一、 該 疾患マーカーを利用して、 癌疾患の予防、 改善または治療薬として有効な物質をス クリーニングする方法、 および該方法によって得られる物質を有効成分とする癌疾 患の予防、 改善または治療薬に関する。 背景技術
癌の治療法は、 大きく 「局所療法」 と 「全身療法」 に分けることができる。 局所 療法は 「手術療法」 と 「放射線療法」 があり、 全身療法は抗癌剤、 ホルモン剤など の薬剤を、 内服や静脈内注射などで投与する薬物療法が主体になる。 現状では、 局 所療法による治療で 40%前後が治癒し、 7〜10%で何らかの形で抗癌剤の寄与によ り治癒している。 つまり約 50%の人は手術療法、 放射線療法あるいは化学療法で治 癒可能であるが、 それ以外は治らないというのが現状であり、 今後残り 50%の人の 治療を目的として、 大きく 2種の対策が急務であると考えられる。
一つは早期発見により局所治療で治療できる割合を増加させる。 もう一方は、 新 しい治療法を開発し、 全身療法で治療できる割合を増加させることである。 そこで 、 早期発見のため、 現在用いられている癌マーカー以上に特異性を有した各種癌特 異的な癌マーカーの開発が望まれる。
新しい治療法としては、 近年これまでの抗癌剤で認められた骨髄抑制に代表され る重篤な副作用を持たない治療薬として、 新しいコンセプトを有した分子標的治療 薬が多く開発、 上市されている。 乳癌で高発現する Her2分子に対する抗体薬である ハーセプチン、 また肺癌で高発現する上皮成長因子受容体 (EGF-R)のチロシンキナ ーゼ阻害剤であるィレッサ等がある。 その効果は顕著であり、 強い抗腫瘍効果が報 告されている。
しかしながら、 従来の抗癌剤で認められる骨髄抑制等の副作用は認められないよ 差替え用紙(麵 IJ26)
うであるが、 当初期待されていたほど有害事象が少なくなく、 また間質性肺炎など 重篤な副作用が報告されていることから、 分子標的治療薬とはいえ、 未だ満足でき る薬剤が無いのが現状であり、 新たな癌特異的な分子を標的とした薬剤、 あるいは 新たな治療法の研究、 開発が望まれている。
一方、 新たな治療法として、 近年生体の免疫力を利用した癌免疫療法の研究 ·開 発が活発に進められている。 生体による腫瘍の排除には、 免疫系、 特に自己の腫瘍 細胞を認識する細胞傷害性 T細胞 (C T L ) が重要な役割を果たしており、 C T Lは、 T細胞受容体 (T C R ) を用いて、 腫瘍抗原ペプチドと呼ばれるぺプチ ドと主要組織適合遺伝子複合体クラス I抗原 (MH Cクラス I抗原、 ヒ トの場合は H L A抗原と呼ばれる) との複合体を認識することにより、 自己の腫瘍細胞を攻撃 していることが知られている。
この腫瘍抗原ペプチドあるいは腫瘍抗原タンパク質をいわゆる癌ワクチンとして 利用することにより、 腫瘍患者の体内の腫瘍特異的 C T Lを増強させる治療法が可 能となった。
腫瘍抗原タンパク質としては、 1991年に T. Boonらが初めて MA G Eと名付けたタ ンパク質をヒ トメラノ一マ細胞から同定した (Science , 254: 1643, 1991) 。 その 後、 レ、くつかの腫瘍抗原タンパク質が、 主にメラノーマ細胞から同定されている。 腫瘍抗原タンパク質や腫瘍抗原べプチドを腫瘍の治療や診断に応用するために、 メラノ"マに比べて発生頻度が圧倒的に高い腺癌 (肺癌等) などに幅広く適応可能 な新たな腫瘍抗原タンパク質および腫瘍抗原べプチドの同定が望まれている状況に ある。
尚、 ASKは、 出芽酵母で同定された Dbf4のヒ トホモログであり、 ヒ ト Cdc7を用い た two-hybrid法によりヒ ト Cdc7に結合する分子としてクローユングされた。 ASKの 発現は白血病、 バーキットリンパ腫、 大腸癌、 メラノーマ由来の細胞株で高発現が 報告されている (Kumagai, H.ら、 Mol. Cell. Biol. , 19, 5083—5095, ( 1999) )
GPR87は EST (expressed sequence tag)あるレヽは genome database searchによりク ローニングされた GPCR (G蛋白共役型受容体; G-protein coupled receptor)である 力 そのリガンドを含め、 生理的機能については不明である。
、 ' CKS1は、 p27K i p lのュビキチン化を担う酵素 (SCFS k p 2複合体ュビキチンリガーゼ (E3) ) の構成因子の 1種である Skp2に結合し、 p27K i p lと SkP2との結合能力を高める ことが示されている (Ganoth, D.ら、 Nature Cell Biol. , 3, 321-324, (2001) ) 。 また CKS1ノックアウトマウス (Spruck, C.ら、 Mol. Cell, 7, 639 - 650, (2001) ) では p27K i p lが異常に蓄積していること等から、 p27K i p lのュビキチン化による分 解調節において重要な制御分子であると考えられている。 CKS1の癌細胞増殖との直 接的な関連性については何も知られていない。
MELKをコードする MELK (maternal embryonic leucine zipper kinase 遑 1 子( マウス未受精卵と着床前の胚の間で発現のパターンの異なる遺伝子として同定され ると共に、 骨髄性白血病細胞株におけるランダムシークェンスによってもクロー二 ングされた (Nagase, T.ら、 DM Res., 3, 17-24. (1996) ) 。 MELK遣伝子は、 その 0歹1 Jより leucine zipperモチ一フ及び serine/threonine kinaseトメインを有する ことが示されているが、 機能については何も知られていない。
STK12をコードする STK12遺伝子は結腸癌で高発現する kinaseとして PCRスクリ一 ユング法を用いて同定された (Bischoff, J. R.ら、 EMB0 J. , 17, 3052-3065. (19 98) ) 。 STK12遺伝子は chromosome instabi l ityに関与し、 また細胞内での STK12遺 伝子の咼 '発現は chromosome number instabil ityを弓 |き起こすと共に、 in vivoにお いて造腫瘍性を上昇させ、 癌細胞形質への関与が示唆されている(0 , T.ら、 Can cer Res., 62, 5168-5177, (2002)) 。 しかし STK12の癌細胞増殖への影響等について は何も知られていない。
TTK (あるいは ESK)遺伝子は MPS1 (Monopolar Spindle 1) fami lyのヒ ト MPS1遺伝子 としてクローユングされたが、 もともと***酵母の MPS1遺伝子は、 ***酵母の muta nt phenotypeを用レヽた解析により、 細胞周期の spindle pole body (centrosome)の 複製に関与する分子としてクローユングされたものである (Winey, M.ら、 J. Cel 1 Biol. , 114, 745-754. (1991) ) 。 ヒ ト MPS1を用いた検討では、 microtubule dep olymerizationに対する checkpoint arrestに関与する可能性力示されてレヽる力 S、 ¾ 疾患との関連性については何も知られていない。 発明の開示
本発明は、 癌疾患の診断および治療に有用な疾患マーカー、 該疾患マーカーを利 用した癌疾患の検出方法 (遺伝子診断方法)、 該疾患の予防、 改善または治療に有効 な薬物をスクリーニングする方法、 並びに該疾患の予防、 改善または治療に有効な 薬物を提供することを目的とする。
更に本発明は、 該疾患マーカーに係る物質 (タンパク質) およびそれら由来の部 分べプチドの、 癌免疫分野における利用を提供することを目的とする。
本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意研究を行っていたところ、 正常の 組織における発現量に比して癌組織における発現量および Zあるいは発現頻度が有 意に促進されている遺伝子を同定した。
また、 本発明者は、 これら遺伝子がコードするタンパク質を調べ、 Activator of S-phase kinase (以下、 本明細書において 「ASKJ という。 :)、 CDC2 - associated pr otein CKS1 (以下、 本明細書において 「CKS1」 という。 )、 maternal emnryonic leu cine zipper kinase (以下、 本明細書において 「MELK」 という。 )、 serine/threoni ne protein kinase 12 (以下、 本明細書において 「STK12」 という。 )、 TTK protein kinase (以下、 本明糸田書 ίこお!/ヽて 「ΤΤΚ」 とレヽう。 )、 G protein— coupled receptor 87 (以下、 本明細書において 「GPR87」 という。 )であることを見出した。
更に、 本発明者は、 癌細胞株における上記遺伝子の発現を抑制することにより癌 細胞株の増殖が抑制されることを明らかにした。
また、 上記遺伝子がコードするタンパク由来のペプチドが、 IN VIVOでペプチド 特異的細胞傷害性 T細胞誘導能を有することを見出した。
これらのことから、 本発明者は、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子および GPR87遺伝子、 若しくはこれらの発現産物 (タンパク質) が 癌疾患患者に特異的に見いだされる癌疾患の疾患マーカーで癌細胞増殖に必要な分 子であること、 およびこれらの発現産物 (タンパク質) が新規な腫瘍抗原タンパク 質としての活性を有し、 これら腫瘍抗原タンパク質由来のペプチドが腫瘍抗原ぺプ チドとしての活性を有するとの確信を得た。
上記遺伝子の発現抑制や、 当該遺伝子によりコードされる蛋白質 (ASK、 CKS1、 M ELK, STK12、 TTKまたは GPR87) の発現抑制や機能 (活性) 抑制を指標としたスクリ 一二ング系は、 新たなメカニズムに基づく癌疾患の予防、 改善または治療薬の探索
、 - に有効である。
さらに、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87、 若しくはこれらタンパク質 由来のペプチドは癌ワクチンとして用いることができ、 肺癌等の腫瘍に対して予防 、 治療または改善効果を発揮するため有用である。 これらの腫瘍抗原は癌細胞増殖 に必要な分子であることから、 癌細胞の免疫逃避による抗原の発現欠失を生じる可 能性が低い、 より有望な抗原として用いることが可能である。
本発明は、 以上のような知見を基礎として完成されたものである。
本発明の要旨は、 下記に掲げるものである。
( 1 ) ASK ^activator of S— phase kinaseノ逾 1Z5十、 し KS1 (CDC2一 associated protein kinase)遺 子、 ELK (maternal embryonic leucine zipper kinaseノ ig izs十、 STK1
2 (serine/threonine protein kinase 12)遺 is子、 TTK (TTK protein kinase)退伝卞 または GPR87 (G protein-coupled receptor 87)遺伝子の塩基配列において、 連続す る少なくとも 15塩基を有するポリヌクレオチドおよびノまたは該ポリヌクレオチド に相補的なポリヌクレオチドである癌疾患の疾患マーカー、
( 2 ) 癌疾患の検出においてプローブまたはプライマーとして使用される前記 (1
) に記載の疾患マーカー、
( 3 ) 下記の工程 (a)、 (b)および (c)を含む癌疾患の検出方法:
(a)被験者の生体試料から調製された RNAまたは該 RNAから転写された相補的ポリヌ クレオチドと前記 (1 ) または (2 ) に記載の疾患マーカーとを結合させる工程、 (b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来の RNAまたは該 R Aから転写された相補 的ポリヌクレオチドを、 上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c)上記 (b)の測定結果に基づいて、 癌疾患の罹患を判断する工程、
( 4 ) 工程 (c)における癌疾患の罹患の判断が、 被験者について得られる測定結果 を正常者について得られる測定結果と対比して、 疾患マーカ一^■の結合量が増大し ていることを指標として行われるものである前記 (3 ) に記載の癌疾患の検出方法
( 5 ) ASK、 CKS1、 MELK、 STK12 TTKまたは GPR87を認識する抗体を含有する、 癌疾 患の疾患マーカー、
( 6 ) 癌疾患の検出においてプローブとして使用される前記 (5 ) に記載の疾患マ
( 7 ) 下記の工程 (a)、 (b)および (c)を含む癌疾患の検出方法:
(a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と前記 (5 ) または (6 ) に記載 の疾患マーカーとを結合させる工程、
(b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来の蛋白質またはその部分べプチドを、 上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c)上記 (b)の測定結果に基づいて、 癌疾患の罹患を判断する工程、
( 8 ) 工程 (c)における癌疾患の罹患の判断が、 被験者について得られる測定結果 を正常者について得られる測定結果と対比して、 疾患マーカーへの結合量が増大し ていることを指標として行われるものである前記 (7 ) に記載の癌疾患の検出方法
( 9 ) 下記の工程 (a)、 (b)および(c)を含む、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子 、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子および GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子の発現を抑制す る物質のスクリーニング方法:
(a)被験物質と ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかを発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞の、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現量を測定し、 該発現量を 被験物質を接触させない対照細胞における上記対応する遺伝子の発現量と比較する 工程、
(c)上記 (b)の比較結果に基づいて、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現量を減少させる被験物質 を選択する工程、
( 1 0 ) 下記の工程(a)、 (b)および(c)を含む ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKおよび GPR87のいずれかの発現量を低下させる物質のスクリ一ユング方法:
(a)被験物質と ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR87のいずれかを発現可能な細 胞または該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞または細胞画分における ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 T TK及び GPR87のいずれかの発現量を測定し、 該発現量を被験物質を接触させない対
照細胞もしくは細胞画分における上記既タンパク質の発現量と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK及び GPR87のいず れかの発現量を低下させる被験物質を選択する工程、
( 1 1 ) 下記の工程(a)、 (b)および(c)を含む、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよ び GPR87のいずれかの活性 (機能) を阻害する活性を有する物質をスクリーニング する方法:
(a)被験物質を ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87のいずれかに接触させる 工程、 (b)上記(a)の工程に起因して生じる ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR 87のいずれかの活性 (機能) を測定し、 該活性 (機能) を、 被験物質を接触させな い場合の既タンパク質の活性 (機能) と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87のい ずれかの活性 (機能) の低下をもたらす被験物質を選択する工程、
( 1 2 ) 次の工程(a)、 (b)及び(c)を含む TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体 の kinase活性を抑制する物質をスクリーニングする方法:
(a) 被験物質の存在下で、 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体、 基質及び ATP を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で生じる基質のリン酸化量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程、
、1 3 ) fe質力 myeline basic proteinまたは poly (tyr - Glu) peptideである、 TTK の kinase活性を抑制する物質をスクリーニングする前記 (1 2 ) 記載の方法、
( 1 4 ) 基質が histone H3あるいはこれに由来するペプチドである、 STK12の kinas e活性を抑制する物質をスクリーニングする前記 (1 2 ) 記載の方法、
( 1 5 ) 基質が myeline basic proteinである、 MELKの kinase活性を抑制する物質 をスクリーニングする前記 (1 2 ) 記載の方法、
( 1 6 ) 基質が MCMである、 Cdc7/ASK複合体の kinase活性を抑制する物質をスクリ 一二ングする前記 (1 2 ) 記載の方法、
( 1 7 ) CKS1の活性が E3/CKS1複合体による基質のュビキチン化活性である、 前記
· (1 1) 記載のスクリーニング方法、
(1 8) 次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含む GPR87の活性を抑制する物質のスクリー二 ング方法:
(a) 被験物質の存在下で GPR87および GTPを接触させる工程、
(b) 上記反応の結果生じる GTP結合量を測定し、 当該結合量を、 被験物質非存在下 で上記 (a)の反応を行って生じる GTP結合量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 GTP結合量の減少をもたらす被験物質を選択す る工程、
(1 9) 次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含む GPR87の活性を抑制する物質のスクリー二 ング方法:
(a) GPR87と被験物質を接触させる工程、
(b) 上記の反応の結果生じる GPCRを介した生理活性を測定し、 当該生理活性を、 被 験物質非存在下での GPCRを介した生理活性と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 GPCRを介した生理活性を低下させる被験物質 を選択する工程、
(20) 癌疾患の予防、 改善または治療剤の有効成分を探索するための方法である 、 前記 (9) 乃至 (1 9) のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(2 1) ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子および GPR 87遺伝子のいずれかの発現を抑制する物質を有効成分とする癌疾患の予防、 改善ま たは治療剤、
(2 2) ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子および GPR 87遺伝子のいずれかの発現を抑制する物質が、 前記 (9) 記載のスクリーニング法 により得られるものである、 癌疾患の予防、 改善または治療剤、
(2 3) ASK, CKS1、 MELK, STK12、 TTKおよび GPR87のいずれかの発現量、 機能また は活性を抑制する物質が、 前記 (9) 乃至 (1 9) のいずれかに記載のスクリー二 ング法により得られるものである、 前記 (2 2) 記載の癌疾患の予防、 改善または 治療剤、
(24) ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR 87遺伝子の塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列またはその一部を
含有するアンチセンスポリヌクレオチド、
(25) 配列番号: 26、 配列番号: 28、 配列番号: 30、 配列番号: 32、 配列番号: 34または配列番号: 36に記載のポリヌクレオチド配列を含有する、 前記 (24) 記 載のアンチセンスポリヌクレオチド、
(26) ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87のいずれかを有効成分として含 有する細胞傷害性 Τ細胞 (以下、 CTL) の誘導剤、
(27) ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87のいずれかの部分ペプチドであ つて、 かつ HLA抗原と結合して CTLにより認識されるぺプチド、
(28) HLA抗原が HLA— A24である、 前記 (27) 記載のペプチド、 (29) 配列番号: 37〜配列番号: 225のいずれかに記載のァミノ酸配列を含有す る、 前記 (28) 記載のペプチド、
(30) 配列番号: 39、 75、 95、 131、 157、 161、 165、 192、 194、 195、 210および 222〜225のいずれかに記載のアミノ酸配列を含有する、 前記 (29) 記載のぺプチ ド、、
(31) 配列番号: 37〜配列番号: 225のいずれかに記載のァミノ酸配列の第 2位 のアミノ酸をチロシン、 フエ二ルァラニン、 メチォニンまたはトリプトファンに置 換し、 及び Z又は C末端のアミノ酸をフエ二ルァラニン、 ロイシン、 イソロイシン 、 トリブトファンまたはメチォニンに置換したァミノ酸配列を含有するペプチド、 (32) 酉己列番号: 39、 75、 95、 131、 157、 161、 165、 192、 194、 195、 210および 222〜225のいずれかに記載のアミノ酸配列の第 2位のアミノ酸をチロシン、 フエ二 ルァラニン、 メチォニンまたはトリプトファンに置換し、 及び Z又は C末端のアミ ノ酸をフエ二ルァラニン、 ロイシン、 イソロイシン、 トリプトファンまたはメチォ ニンに置換したアミノ酸配列を含有する、 前記 (31) 記載のペプチド、
(33) 前記 (27) ~ (32) のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含 有する CTLの誘導剤、
(34) 配列番号: 13〜18いずれかに記載のアミノ酸配列と同一または実質的 に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有 する核酸を含有してなる、 CTLの誘導剤、
(35) 前記 (27) 〜 (32) のいずれかに記載のペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを含有する核酸、
(36) 前記 (35) 記載の核酸を含有してなる CTLの誘導剤、
(37) 以下の (a) 〜 (d) :
(a) 配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と同一または実質的 に同一のァミノ酸配列を含有するタンパク質、
(b) 上記 (a) 記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する核酸
(c) 前記 (27) 〜 (32) のいずれかに記載のペプチド、 および
(d) 上記 (c) 記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する核酸、 のいずれかと、 抗原提示能を有する細胞とをイン · ビトロで接触させることを特徴 とする、 抗原提示細胞の製造方法、
(38) 前記 37記載の製造方法により製造される抗原提示細胞、
(39) 以下の (a) 〜 (d) :
(a) 配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と同一または実質的 に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、
(b) 上記 (a) 記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する核酸
(c) 前記 (27) 〜 (32) のいずれかに記載のペプチド、 および
(d) 上記 (c) 記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する核酸、 のいずれかと、 末梢血リンパ球とをイン · ビトロで接触させることを特徴とする、
CTLの誘導方法、
(40) 前記 (39) 記載の誘導方法により誘導される CTL、
(41) 前記 (27) 〜 (32) のいずれかに記載のペプチドに特異的に結合する 抗体。
上記のように、 本発明によれば、 癌疾患の疾患マーカー、 該疾患の検出系、 ASK 遺伝子、 GPR87遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子および TTK遺伝子の いずれかの遺伝子発現を抑制する物質のスクリーニング系、 ASK、 CKS1、 MELK, STK 12、 TTKおよび GPR87のいずれかの発現、 機能若しくは活性を抑制する物質のスクリ 一ユング系、 およびこれらの物質を有効成分とする癌疾患の予防、 改善および治療
剤が提供される。
更に、 本発明によれば、 ASK、 GPR87、 CKS1、 MELK、 STK12および TTK、 及びこれら に由来するぺプチドを有効成分として含有する C T Lの誘導剤が提供される。
本発明は、 前述するように ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子およぴ GPR87遺伝子が、 癌疾患の患者組織において発現量およぴ あるレ、 は発現頻度が有意に上昇し、 しかも、 これらの遺伝子の発現を抑制することにより 癌細胞増殖が抑制されることを見出したことに基づくものである。
従って、 これらの遺伝子及びその発現産物 [タンパク質、 (ポリ) (オリゴ) ぺプ チド] は癌疾患の解明、 診断、 予防及び治療に有効に利用することができ、 かかる 利用によって医学並びに臨床学上、 有用な情報や手段を得ることができる。 さらに 、 個体 (生体組織) における、 上記遺伝子の発現またはその発現産物の検出、 また は該遺伝子の変異またはその発現不全の検出は、 癌疾患の解明や診断に有効に利用 することができる。
また、 これらの遺伝子及びその発現産物並びにそれらからの派生物 (例えば、 遺 伝子断片、 抗体など) は、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TT K遺伝子または GPR87遺伝子の発現を抑制する物質、 および ASK、 CKS1、 MELK, STK12 、 TTKまたは GPR87の発現量、 機能若しくは活性を抑制する物質のスクリーニングに 有用であり、 該スクリーニングによって得られる物質は、 癌疾患の予防、 改善及び 治療薬として有効である。 さらに、 これらの遺伝子のアンチセンス核酸 (アンチセ ンスポリヌクレオチド) 及び siRNAは、 癌疾患の予防、 改善及び治療薬として有用 である。
更に、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKおよび GPR87、 及びこれら由来のペプチドは 、 C T L誘導剤として用いることができるので、 癌疾患の予防、 改善及び治療薬と して有用である。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 8において使用した siRNAのトランスフエクシヨン効率を検討し た結果である。 各ヒ ト肺癌細胞株 (H0P62、 H0P92、 PC- 8、 11-18) 細胞の位相差顕 微鏡による明視野の像 (Phase-contrast)と蛍光顕微鏡による喑視野の像 (Fluoresce
nce)、 及び位相差と蛍光を重ね合わせた像 (Merge)をそれぞれ左より右の順に示し た。
図 2は、 実施例 1 4において使用した腫瘍抗原べプチドのぺプチド特異的な細胞 傷害性 T細胞 (C T L ) 誘導能を検討した結果である。 横軸に評価した腫瘍抗原べ プチド (カツコ内はペプチド配列の 1残基目のアミノ酸配列番号) を、 縦軸にスポ ット数 / 2 X 106 cellsを示す。 .
Peptide (+) :ぺプチド添加群、 Peptide (-) :ぺプチド非添加群
図 3は、 図 2と同様実施例 1 4において使用した腫瘍抗原べプチドのぺプチド特 異的な細胞傷害性 T細胞 (C T L ) 誘導能を検討した結果である。 横軸に評価した 腫瘍抗原ぺプチド (力ッコ内はぺプチド配列の 1残基目のアミノ酸配列番号) を、 縦軸にスポッ ト数/ 2 X 106 cellsを示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本明細書において、 アミノ酸、 (ポリ)ペプチド、 (ポリ)ヌクレオチドなど の略号による表示は、 IUPAC- IUBの規定 〔IUPAC- IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem. , 138: 9 (1984)〕 、 「塩基配列又はアミノ酸配 列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」 ( 本国特許庁編)および当該分野 における慣用記号に従う。
本明細書において 「遺伝子」 または 「DNA」 とは、 2本鎖 DNAのみならず、 それを 構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖という各 1本鎖 DNAを包含する趣旨で用いら れる。 またその長さによって特に制限されるものではない。 従って、 本明細書にお いて遺伝子 (DNA)とは、 特に言及しない限り、 ヒトゲノム DNAを含む 2本鎖 DNAおよび cDNAを含む 1本鎖 DNA (正鎖)並びに該正鎖と相補的な配列を有する 1本鎖 DNA (相補鎖) 、 およびこれらの断片のいずれもが含まれる。 なお、 遺伝子または DNAは、 機能領 域の別を問うものではなく、 例えば発現制御領域、 コード領域、 ェキソン、 または イントロンを含むことができる。
また当該 「遺伝子」 または 「DNA」 には、 配列番号: 1〜12のいずれかで示され る特定塩基配列の 「遺伝子」 または 「DNA」 だけでなく、 これらによりコードされ るタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質 (例えば同族体 (ホモログや
スプライスバリアントなど) 、 変異体及び誘導体) をコードする 「遺伝子」 または 「DNA」 が包含される。 かかる同族体、 変異体または誘導体をコードする 「遺伝子 」 または 「DNA」 としては、 具体的には、 後述の(1-1)項に記載のス トリンジェント な条件下で、 前記の配列番号: 1〜12のいずれかに示される特定塩基配列の相補配 列とハイブリダィズする塩基配列を有する 「遺伝子」 または 「DNA」 を挙げること ができる。
例えばヒ ト由来のタンパク質のホモログをコードする遺伝子としては、 当該タン パク質をコードするヒト遺伝子に対応するマウスゃラットなど他生物種の遺伝子が 例示できる。 これらの遺伝子 (ホモログ) は、 HomoloGene (http : //ww . ncbi. nlm. nih. gov/HomoloGene/) により同定することができる。 具体的には、 特定ヒ ト塩基 配列を BLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877, 1993、 http:〃 www. ncb L nlm. nih. gov/BLAST/) にかけて一致する (Scoreが最も高く、 E- valueが 0でかつ I dentityが 100%を示す) 配列のァクセッション番号を取得する。 そのァクセッショ ン番号を UniGene (http: //www. ncbi. nlm. nih. gov/UniGene/) に入力して得られた U niGene Cluster ID (Hs.で示す番号) を HomoloGeneに入力する。 結果として得られ た他生物種遺伝子とヒ ト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストカゝら、 ヒ ト遺伝子に該当するマウスゃラットなど他生物種の遺伝子を選抜することができる 。 なお、 遺伝子または DNAは、 機能領域の別を問うものではなく、 例えば発現制御 領域、 コード領域、 ェキソン、 またはイントロンを含むことができる。
従って本明細書において 「ASK遺伝子」 または 「ASKの DNA」 といった用語を用い る場合、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 1) で示されるヒ ト ASK遺伝 子 (DNA) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA) を包 含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 1に記載のヒ ト ASK遺伝子 (GenB ank Accession No. N _006716) や、 そのマウスホモログである配列番号: 7に記載 のマウス ASK遺伝子 (GenBank Accession No. N _013726) などが包含される。
また本明細書において 「CKS1遺伝子」 または 「CKS1の DNA」 といった用語を用い る場合も、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 2) で示されるヒ ト CKS1 遺伝子 (DNA) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA) を包含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 2に記載のヒ ト CKS1遺伝子
(GenBank Accession No. NM— 001826) や、 そのマウスホモログである酉己列番号: 8 に記載のマウス CKS1遺伝子 (GenBank Accession No. NM_016904) などが包含され る。
また本明細書において 「MELK遺伝子」 または 「MELKの DNA」 といった用語を用い る場合も、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 3) で示されるヒ ト MELK 遺伝子 (DM) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA) を包含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 3に記載のヒ ト MELK遺伝子
(GenBank Accession No. NM_014791) や、 そのマウスホモログである酉己列番号: 9 に記載のマウス MELK遺伝子 (GenBank Accession No. NM_010790) などが包含され る。
また本明細書において 「STK12遺伝子」 または 「STK12の DNA」 といった用語を用 いる場合も、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 4) で示されるヒ ト STK 12遺伝子 (DNA) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA ) を包含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 4に記載のヒ ト STK12遺伝 子 (GenBank Accession No. NM_004217) や、 そのマウスホモログである酉己列番号 : 10に記載のマウス STK12遺伝子 (GenBank Accession No. U69107) などが包含さ れる。
また本明細書において 「TTK遺伝子」 または 「ΤΤΚの DNA」 といった用語を用いる 場合も、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 5) で示されるヒ ト TTK遺伝 子 (DNA) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA) を包 含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 5に記載のヒ ト TTK遺伝子 (GenB ank Accession No. NM_003318) や、 そのマウスホモログである配列番号: 11に記 載のマウス TTK遺伝子 (GenBank Accession No. M86377) などが包含される。
また本明細書において 「GPR87遺伝子」 または 「GPR87の DNA」 といった用語を用 いる場合も、 特に言及しない限り、 特定塩基配列 (配列番号 6) で示されるヒ ト GPR 87遺伝子 (DNA) や、 その同族体、 変異体及び誘導体などをコードする遺伝子 (DNA ) を包含する趣旨で用いられる。 具体的には、 配列番号: 6に記載のヒ ト GPR87遺伝 子 (GenBank Accession No. NM_023915) や、 そのマウスホモログである配列番号 : 12に記載のマウス GPR87遺伝子 (GenBank Accession No. 删_032399) などが包含
される。
本明細書において 「ポリヌクレオチド」 とは、 R Aおよび DNAのいずれをも包含す る趣旨で用いられる。 なお、 上記 DNAには、 cDNA、 ゲノム DNAおよび合成 DNAのいず れもが含まれる。 また上記 R Aには、 total RNA, tnR Aおよび合成の RNAのいずれも が含まれる。
本明細書において 「タンパク質」 または 「 (ポリ) ペプチド」 には、 配列番号: 13〜24のいずれかで示される特定のアミノ酸配列の 「タンパク質」 または 「 (ポリ ) ペプチド」 だけでなく、 これらと生物学的機能が同等であることを限度として、 同族体 (ホモログゃスプライスバリアント) 、 変異体、 誘導体およびアミノ酸修飾 体などが包含される。 ここでホモログとしては、 ヒ トのタンパク質に該当するマウ スゃラットなど他生物種のタンパク質が例示でき、 これらは HomoloGene (http: //w ww. ncbi. nlm. nih. gov/HomoloGene/) により同定された遺伝子 (ホモログ) の塩基 配列から演繹的に同定することができる。 また、 上記変異体には、 天然に存在する アレル変異体、 天然に存在しない変異体、 及び人為的に欠失、 置換、 付加および挿 入されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。 なお 、 かかる変異体としては、 変異のないタンパク質または (ポリ) ペプチドと、 少な くとも 70%、 好ましくは 80%、 より好ましくは 95%、 さらにより好ましくは 97%相 同なものを挙げることができる。 またアミノ酸修飾体には、 天然に存在するァミノ 酸修飾体、 天然に存在しないアミノ酸修飾体が包含され、 具体的にはアミノ酸のリ ン酸化体が挙げられる。
従って本明細書において 「ASKタンパク質」 または 「ASK」 といった用語を用いる 場合、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 13) で示されるヒ ト ASK や、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (MoL Cell. Biol.,20, 5010- 5 018 (2000)、 J. Biol. Chera. , 276, 993-998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いられる 。 具体的には、 配列番号: 13に記載のヒ ト ASK (GenBank Accession No. NP_006707 ) や、 そのマウスホモログである配列番号: 19に記載のマウス ASK (GenBank Acces sion No. P—038754) などが包含される。
また本明細書において 「CKS1タンパク質」 または 「CKS1」 といった用語を用いる 場合も、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 14) で示されるヒ ト CK
■ SIや、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (Mol. Cell. Biol.,20, 501 0-5018 (2000)、 J. Biol. Chem., 276, 993-998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いられ る。 具体的には、 配列番号: Uに記載のヒ ト CKS1 (GenBank Accession No. NP_00 1817) や、 そのマウスホモログである配列番号: 20に記載のマウス CKS1 (GenBank Accession No. NP_058600) などが包含される。
また本明細書において 「MELKタンパク質」 または 「MELK」 といった用語を用いる 場合も、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 15) で示されるヒ ト ME LKや、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (Mol. Cell. Biol.,20, 501 0-5018 (2000)、 J. Biol. Chem. , 276, 993-998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いられ る。 具体的には、 配列番号: 15に記載のヒ ト MELK (GenBank Accession No. NP— 055 606) や、 そのマウスホモログである配列番号: 21に記載のマウス MELK (GenBank A ccession No. NP— 034920) などが包含される。
また本明細書において 「STK12タンパク質」 または 「STK12」 といった用語を用い る場合も、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 16) で示されるヒ ト STK12や、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (Mol. Cell. Biol.,20, 5 010-5018 (2000)、 J. Biol. Chem. , 276, 993- 998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いら れる。 具体的には、 酉己列番号: 16に記載のヒ ト STK12 (GenBank Accession No. NP— 004208) や、 そのマウスホモログである配列番号: 22に記載のマウス STK12 (GenBa nk Accession No. 070126, AAC12683) などが包含される。
また本明細書において 「TTKタンパク質」 または 「ΤΤΚ」 といった用語を用いる場 合も、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 17) で示されるヒ ト ΤΤΚ や、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (Mol. Cell. Biol. , 20, 5010 - 5 018 (2000)、 J. Biol. Chem. , 276, 993-998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いられる 。 具体的には、 配列番号: 17に記載のヒ ト TTK (GenBank Accession No. NP— 003309 ) や、 そのマウスホモログである配列番号: 23に記載のマウス TTK (GenBank Acces sion No. AAA37578) などが包含される。
また本明細書において 「GPR87タンパク質」 または 「GPR87j といった用語を用い る場合も、 特に言及しない限り、 特定アミノ酸配列 (配列番号 18) で示されるヒ ト GPR87や、 その同族体、 変異体、 誘導体及びアミノ酸修飾体 (Mol. Cell. Biol.,20, 5
010-5018 (2000)、 J. Biol. Chem. , 276, 993-998 (2001) ) などを包含する趣旨で用いら れる。 具体的には、 配列番号: 18に記載のヒ ト GPR87 (GenBank Accession No. NP_ 076404) や、 そのマウスホモログである配列番号: 24に記載のマウス GPR87 (GenBa nk Accession No. NP_115775) などが包含される。
本明細書でいう 「抗体」 には、 ポリクロ一ナル抗体、 モノクローナル抗体、 キメ ラ抗体、 一本鎖抗体、 および Fabフラグメント、 Fab発現ライブラリーなどによって 生成されるフラグメントのような抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される さらに本明細書において 「疾患マーカー」 とは、 癌疾患の罹患の有無もしくは罹 患の程度若しくは改善の有無や改善の程度を診断するために、 また癌疾患の予防、 改善または治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、 直接または間接的 に利用されるものをいう。 これには、 癌疾患の罹患に関連して生体内での発現が変 動する遺伝子またはタンパク質を特異的に認識するか、 またはこれらと結合するこ とのできる、 (ポリ)(オリゴ)ヌクレオチドまたは抗体が包含される。 これらの(ポ リ)(オリゴ)ヌクレオチドおよび抗体は、 上記性質に基づいて、 生体内、 組織や細 胞内などで発現した上記遺伝子およびタンパク質を検出するためのプローブとして 、 また(オリゴ)ヌクレオチドは生体内で発現した上記遺伝子を増幅するためのブラ イマ一として有効に利用することができる。
本明細書において 「癌疾患」 とは、 例えば、 肺腺癌、 肺扁平上皮癌、 乳癌、 結腸 癌、 直腸癌、 腎臓癌、 肝臓癌、 卵巣癌、 膝臓癌、 前立腺癌および胃癌を挙げること ができるがこれに限定されない。 好ましくは、 肺腺癌、 肺扁平上皮癌、 卵巣癌、 陴 臓癌、 より好ましくは、 肺腺癌、 肺扁平上皮癌などの肺癌である。
さらに本明細書において診断対象となる 「生体組織」 とは、 癌疾患に伴い、 本発 明の ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝 子のいずれかの遺伝子が発現上昇する組織を指す。 具体的には、 肺、 乳、 結腸、 直 腸、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 膝臓、 前立腺及び胃などを指す。
本発明は前述するように、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKおよび GPR87をコードす る遺伝子が、 正常の組織における発現量に比して癌組織における発現量および Zあ るいは発現頻度が有意に促進されており、 更に、 これら遺伝子の発現を抑制するこ
とにより癌細胞株の増殖が抑制されることを見いだしたことに基づくものである。 従って、 これらの遺伝子およびその発現産物 〔タンパク質、 (ポリ) (オリゴ) ペプチド〕 は、 癌疾患の解明、 診断、 予防および治療に有効に利用することができ 、 かかる利用によって医学並びに臨床上、 有用な情報や手段を得ることができる。 また、 これらの遺伝子およびその発現産物並びにそれらからの派生物 (例えばぺプ チド、 抗体など) は、 上記癌疾患の治療、 並びに該治療に有効に用いられる薬剤の 開発に好適に利用することができる。 更に上記遺伝子の発現又はその発現産物の検 出、 または該遺伝子の変異又はその発現不全の検出は癌疾患の解明や診断に有効に 利用することができる。
以下、 これらのポリヌクレオチド、 並びにこれらの 現産物やそれらの派生物に ついて、 具体的な用途を説明する。
(1)癌疾患の疾患マーカーおよびその応用
(1-1) ポリヌクレオチド
前述のようにヒト由来の ASK遺伝子は公知の遺伝子であり、 その取得方法につい ても Kumagai, H.ら、 Mol. Cell. Biol. , 19, 5083 - 5095, (1999) に記載されるよ うに公知である。
また、 ヒト由来の CKS1遺伝子も公知の遺伝子であり、 その取得方法についても Ri chardson, H. E.ら、 Genes Dev., 4, 1332-1344, (1990)に記載されるように公知 である。 ·
ヒト由来の MELK遺伝子も公知の遺伝子であり、 その取得方法についても Nagase, T.ら、 DNA Res. , 3, 17-24. (1996)に記載されるように公知である。
ヒト由来の STK12遺伝子も公知の遺伝子であり、 その取得方法についても Bischof f, J. R.ら、 EMB0 J. , 17, 3052-3065. (1998)に記載されるように公知である。 ヒト由来の ΤΤΚ遺伝子も公知の遺伝子であり、 その取得方法についても Lindberg, R. A.ら、 Oncogene, 8, 351-359. (1993) .並びに Mills, G. B.ら、 J. Biol. Chem ., 267, 16000-16006. (1992)に記載されるように公知である。
ヒ ト由来の GPR87遺伝子も公知の遺伝子であり、 その取得方法についても Wittenb erger T.ら、 J. Mol. Biol. , 307 (3) , 799-813. (2001)、 並びに Lee D. K.ら、 Gene , 275 (1) , 83-91. (2001)に記載されるように公知である。
本発明は、 前述するように、 癌疾患に罹患した患者の組織においては、 正常な組 織に比して、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子また は GPR87遺伝子の発現量および Zまたは発現頻度が特異的に増大するという知見を 発端に、 これら遺伝子の発現の有無や発現の程度を検出することによって、 上記癌 疾患の罹患の有無、 罹患の程度、 回復の程度などが特異的に検出でき、 該疾患の診 断を正確に行うことができるという発想に基づくものである。
すなわち、 本発明は、 被験者における上記遺伝子の発現の有無またはその程度を 検出することによって、 被験者について癌疾患の罹患の有無又は罹患の程度を診断 することのできるツール (疾患マーカー) として有用なポリヌクレオチドを提供す るものである。
また、 上記のポリヌクレオチドは、 後述の(3-1)項に記載するような癌疾患の予 防、 改善または治療に有用な候補物質のスクリーニングにおいて、 ASK遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現変動を検 出するためのスクリーニングツール (疾患マーカー) としても有用である。
本発明の疾患マーカ一は、 前記 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝 子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列において、 連続する少なくとも 15塩基 を有するポリヌクレオチドぉよび/または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌク レオチドからなることを特徴とするものである。
具体的には、 本発明の疾患マーカーは、 配列番号ほたは配列番号 7に記載の ASK 遺伝子の塩基配列、 配列番号 2または配列番号 8に記載の CKS 1遺伝子の塩基配列、 配 列番号 3または配列番号 9に記載の MELK遺伝子の塩基配列、 配列番号 4または配列番 号 10に記載の STK12遺伝子の塩基配列、 配列番号 5または配列番号 1 1に記載の TTK遺 伝子の塩基配列、 または配列番号 6または配列番号 12に記載の GPR87遺伝子の塩基配 列において、 連続する少なくとも 15塩基を有するポリヌクレオチド及ぴ Zまたはそ れに相補的なポリヌクレオチドからなるものを挙げることができる。
ここで相補的なポリヌクレオチド (相補鎖、 逆鎖)とは、 上記各配列番号に示され る塩基配列からなるポリヌクレオチドの全長配列、 または該塩基配列において少な くとも連続した 15塩基長の塩基配列を有するその部分配列(ここでは便宜上、 これ らを 「正鎖」 ともいう)に対して、 A : Tおよび G : Cといった塩基対関係に基づき
、 塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味するものである。 ただし、 かかる相補鎖は、 対象とする正鎖の塩基配列と完全に相補配列を形成する場合に限 らず、 対象とする正鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイスすることができ る程度の相補関係を有するものであってもよい。 なお、 ここでストリンジェントな 条件は、 Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques Met hods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego CA) に示されるよう に、 複合体或いはプローブと結合する核酸の融解温度 (Tm)に基づいて決定すること ができる。 例えば、 ハイブリダィズ後の洗浄条件として、 通常 「1 X SS (:、 0. 1%SDS 、 37°C」 程度の条件を挙げることができる。 相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象 とする正鎖とハイブリダィズ状態を維持するものであることが好ましい。 特に制限 されないが、 より厳しいハイブリダィズ条件としては 「0. 5 X SSC、 0. 1%SDS、 42°C 」 程度、 さらに厳しいハイブリダィズ条件としては 「0. 1 X SSC、 0. 1%SDS、 65°CJ 程度の洗浄条件を挙げることができる。 具体的には、 このような相補鎖として、 対 象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖並びに該鎖と 少なくとも 90%、 好ましくは 95%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示する ことができる。
また、 正鎖側のポリヌクレオチドには、 前記 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝 子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列、 またはその部分配列 を有するものだけでなく、 上記相補鎖の塩基配列に対してさらに相補的な関係にあ る塩基配列からなる鎖を含めることができる。
上記正鎖のポリヌクレオチドおよび相補鎖 (逆鎖)のポリヌクレオチドは、 各々一 本鎖の形態で疾患マーカーとして使用されても、 また二本鎖の形態で疾患マーカー として使用されてもよい。
本発明の癌疾患の疾患マーカーは、 具体的には ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺 伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列(全長配列)からなる ポリヌクレオチドであ てもよいし、 その相補配列からなるポリヌクレオチドであ つてもよい。 また、 ASK遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチド、 CKS 1遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチド、 MELK遺伝子もしくは該遺 伝子に由来するポリヌクレオチド、 STK12遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリ
、 . ヌクレオチド、 TTK遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチド、 または G PR87遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチドを選択的に(特異的に)認 識するものであれば、 上記全長配列もしくはその相補配列の部分配列からなるポリ ヌクレオチドであってもよい。 この場合、 部分配列としては、 上記全長配列もしく はその相補配列の塩基配列から任意に選択される少なくとも 15個の連続した塩基長 を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
なお、 ここで 「選択的に(特異的に)認識する」 とは、 例えばノーザンプロット法 においては、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子、 GPR 87遺伝子またはこれらの遺伝子に由来するポリヌクレオチドが特異的に検出できる こと、 また RT-PCR法においては、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝 子、 TTK遺伝子、 GPR87遺伝子またはこれらに由来するポリヌクレオチドが特異的に 生成されることを意味するが、 それらに限定されず、 当業者が上記検出物または生 成物がこれらの遺伝子に由来するものであると判断できるものであればよい。
本発明疾患マーカーは、 例えば配列番号 1で示される ASK遺伝子、 配列番号 2で示 される CKS1遺伝子、 配列番号 3で示される MELK遺伝子、 配列番号 4示される STK12遺 伝子、 配列番号 5示される TTK遺伝子、 または配列番号 6示される GPR87遺伝子の塩基 目 d歹1 Jをもとに、 例 _ iprimer 3 (http: //www. genome. wi. mit. edu/cgi-bin/primer/ pritner3. cgi)あるいはベクター NTI (Inforaax社製)を利用して設計することができる 。 具体的には前記 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子 または GPR87遺伝子の塩基配列を primer 3またはベクター NTIのソフトウェアにかけ て得られる、 プライマーまたはプローブの候補配列、 もしくは少なくとも該配列を 一部に含む配列をプライマーまたはプローブとして使用することができる。
本発明で用いる疾患マーカーは、 上述するように連続する少なくとも 15塩基の長 さを有するものであればよく、 具体的にはマーカーの用途に応じて、 その長さを適 宜選択し設定することができる。
(1-2)プローブまたはプライマーとしてのポリヌクレオチド
本発明において癌疾患の検出 (診断) は、 被験者の生体組織、 特に肺、 胃、 乳、 前立腺、 肝、 腎、 卵巣、 膝組織等における ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 S TK12遺伝子、 TTK遺伝子および GPR87遺伝子の少なくとも 1つの発現の有無または発
現レベル (発現量) を評価することによって行われる。 この場合、 上記本発明の疾 患マーカーは、 上記各遺伝子の発現によって生じた R Aまたはそれに由来するポリ ヌクレオチドを特異的に認識し増幅するためのプライマーとして、 または該 RNAま たはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に検出するためのプローブとして利 用することができる。
上記疾患マーカーを癌疾患の検出(遺伝子診断)においてプライマーとして用いる 場合には、 通常 15bp-100bp、 好ましくは 15bp- 50bp、 より好ましくは 15bp-35bpの塩 基長を有するものが例示できる。 また検出プローブとして用いる場合には、 通常 15 bp-全配列の塩基数、 好ましくは 15bp- lkb、 より好ましくは lOObp- lkbの塩基長を有 するものが例示できる。
本発明疾患マーカーは、 ノーザンプロット法、 RT-PCR法、 in situハイブリダ一 ゼーシヨン法などの、 特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、 常法に 従ってプライマーまたはプローブとして利用することができる。 これによつて癌疾 患に関連する ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子また は GPR87遺伝子の発現の有無または発現レベル (発現量)を評価することができる。 なお、 測定対象とする試料は、 使用する検出法の種類に応じて適宜選択すること ができる。 該試料は、 例えば、 被験者の肺組織などの一部をバイオプシなどで採取 し、 そこから常法に従って調製した total RNAであってもよいし、 該 RNAをもとにし て調製される各種のポリヌクレオチドであってもよい。
また、 生体組織における ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TT K遺伝子または GPR87遺伝子の発現レベルは、 DNAチップを利用して検出あるいは定 量することができる。 この場合、 本発明疾患マーカーは当該 DNAチップのプローブ として使用することができる(例えば、 Affymetrix社の Gene Chip Human Genome U9 5 A, B, C, D, Eの場合、 25bpの長さのポリヌクレオチドプローブとして用いられる)。 本発明の疾患マーカーをプローブとする DNAチップを、 生体組織から採取した RNAを もとに調製される標識 DNAまたは RNAとハイブリダィズさせることにより、 本発明疾 患マーカー (プローブ) と標識 DNAまたは RNAとの複合体が形成される。 該複合体を 、 該標識 DNAまたは RNAの標識を指標として検出することにより、 ASK遺伝子、 CKS1 遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現の有無ま
-たは発現レベル (発現量)が評価できる。
上記 DNAチップは、 ASK遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝 子または GPR87遺伝子と結合し得る 1種または 2種以上の本発明疾患マーカーを含ん でいればよい。 複数の疾患マーカーを含む DNAチップの利用によれば、 ひとつの生 体試料について、 同時に複数の遺伝子の発現の有無または発現レベルの評価が可能 である。
本発明の疾患マーカーは、 癌疾患の診断、 検出(罹患の有無、 罹患の程度の診断) に有用である。 具体的には、 該疾患マーカーを利用した癌疾患の診断は、 被験者の 生体組織と正常者の生体組織における ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12 遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベルの違いを判定することに よって行うことができる。
この場合、 遺伝子発現レベルの違いには、 発現のあるノなしの違いだけでなく、 被験者の生体組織と正常者の生体組織の両者ともに発現がある場合でも、 両者間の 発現量の格差が 1. 5倍以上、 好ましくは 2倍以上、 更に好ましくは 3倍以上の場合が 含まれる。 具体的には、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK 遺伝子または GPR87遺伝子は、 癌疾患患者において特異的な発現量および/または 発現頻度の上昇が認められるので、 被験者の生体組織において発現されており、 該 発現量が正常者の生体組織における発現量と比べて 1. 5倍以上、 好ましくは 2倍以上 、 より好ましくは 3倍以上多ければ、 該被験者について癌疾患の罹患が疑われる。
( 1-3) 抗体
本発明は、 癌疾患の疾患マーカーとしての ASK遺伝子の発現産物(タンパク質) ( これを本明細書においては 「ASK」 または 「ASKタンパク質」 ともいう) 、 CKS1遺伝 子の発現産物(タンパク質) (これを本明細書においては 「CSK1」 または 「CKS1タン パク質」 ともいう) 、 MELK遺伝子の発現産物(タンパク質) (これを本明細書におい ては 「MELK」 または 「MELKタンパク質」 ともいう) 、 STK12遺伝子の発現産物(タン パク質) (これを本明細書においては 「STK12」 または 「STK12タンパク質」 ともい う) 、 TTK遺伝子の発現産物(タンパク質) (これを本明細書においては 「TTK」 また は 「ΤΤΚタンパク質」 ともいう) 、 または GPR87遺伝子の発現産物(タンパク質) (こ れを本明細書においては 「GPR87J または 「GPR87タンパク質」 ともいう) を特異的
に認識することができる抗体を提供する。
当該抗体として、 具体的には、 配列番号 13または配列番号 19に記載のアミノ酸配 列を有する ASKタンパク質、 配列番号 14または配列番号 20に記載のァミノ酸配列を 有する CKS1タンパク質、 配列番号 15または配列番号 21に記載のァミノ酸配列を有す る MELKタンパク質、 配列番号 16または配列番号 22に記載のアミノ酸配列を有する ST K12タンパク質、 配列番号 17または配列番号 23に記載のアミノ酸配列を有する TTKタ ンパク質、 または配列番号 18または配列番号 24に記載のアミノ酸配列を有する GPR8 7タンパク質を特異的に認識することのできる抗体を挙げることができる。
本発明は、 前述するように、 癌疾患の患者のガン組織において、 正常な細胞や組 織に比して、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子およ び GPR87遺伝子が特異的に発現量および Zまたは発現頻度が上昇しているという知 見を発端に、 これらのタンパク発現の有無や発現の程度を検出することによって上 記癌疾患の罹患の有無や罹患の程度が特異的に検出でき、 該疾患の診断を正確に行 うことができるという発想に基づくものである。
上記抗体は、 従って、 被験者における上記タンパク質の発現の有無またはその程 度を検出することによって、 該被験者が癌疾患に罹患しているか否か、 またはその 疾患の程度を診断することのできるツール (疾患マーカー) として有用である。 また上記抗体は、 後述の(3-2)項に記載するような癌疾患の予防、 改善または治 療に有用な候補物質のスクリーニングにおいて、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKお よび GPR87のいずれかの発現変動を検出するためのスクリーニングツール (疾患マ 一力一) としても有用である。
前記のように、 ヒ ト由来の ASKは公知のタンパク質であり、 その取得方法につい ても Kumagai, H.ら、 Mol. Cell. Biol. , 19, 5083-5095, (1999)に記載されるよ うに公知である。
またヒ ト由来の CKS1は公知のタンパク質であり、 その取得方法についても Richar dson, H. E.ら、 Genes Dev. , 4, 1332-1344, (1990)に記載されるように公知であ る。
ヒ ト由来の MELKは公知のタンパク質であり、 その取得方法についても Nagase, T. ら、 DNA Res. , 3, 17-24. (1996)に記載されるように公知である。
ヒ ト由来の STK12は公知のタンパク質であり、 その取得方法についても Bischoff, J. R.ら、 EMBO J. , 17, 3052-3065. (1998)に記載されるように公知である。
ヒ ト由来の ΤΤΚは公知のタンパク質であり、 その取得方法についても Lindberg, R . A.ら、 Oncogene, 8, 351-359 (1993) .並びに Mills, G. B.ら、 J. Biol. Chem. , 267, 16000-16006 (1992)に記載されるように公知である。
ヒ ト由来の GPR87は公知のタンパク質であり、 その取得方法についても Wittenber ger T.ら、 J. Mol. Biol. , 2001, 307 (3) , 799-813、 並びに Lee D. K.ら、 Gene, 20 01, 275 (1) : 83 - 91に記載されるように公知である。
本発明の抗体は、 その形態に特に制限はなく、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKま たは GPR87を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、 またそのモノクロ一 ナル抗体であってもよく、 更には当該タンパク質を構成するァミノ酸配列のうち少 なくとも連続する、 通常 8アミノ酸、 好ましくは 15アミノ酸、 更に好ましくは 20ァ ミノ酸からなるポリぺプチドに対して抗原結合性を有する抗体も、 本発明の抗体に 含まれる。
これらの抗体の製造方法は、 すでに周知であり、 本発明抗体も、 これらの常法に 従って製造すること; 3、でき (Current protocols in Molecular Biology edit. Au subel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 12—11. 13)。 具 体的には、 ポリクローナル抗体は、 常法に従って大腸菌などで発現し精製した ASK 、 CKS1、 MELK、 STK12, TTKまたは GPR87タンパク質を用いて、 あるいは常法に従つ て当該 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の部分アミノ酸配列を有するオリ ゴペプチドを合成して、 家兎などの非ヒ ト動物に免疫し、 該免疫動物の血清から常 法に従って得ることが可能である。 一方、 モノクローナル抗体は、 常法に従って大 腸菌などで発現し精製した ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87、 あるいはこ れらタンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマウスなどの非ヒ ト 動物に免疫し、 得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイプ リ K一マ細月包の中力、ら得ることカでさる(Current protocols in Molecular Biolog y edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 4-1 1. 11)。
抗体の作製に免疫抗原として使用される ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR
87タンパク質は、 本発明により提供される配列番号: 1〜12のいずれかの遺伝子配 列情報に基づいて、 DNAクローニング、 各プラスミ ドの構築、 宿主へのトランスフ ェクシヨン、 形質転換体の培養および培養物からのタンパク質の回収の操作により 得ることができる。 これらの操作は、 当業者に既知の方法、 文献記載の方法 (Molec ular Cloning, T. Maniatis et al. , CSH Laboratory (1983) , DNA Cloning, DM. G lover, IRL PRESS (1985) )などに準じて行うことができる。
具体的には、 ASKヽ CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87をコードする遺伝子が所 望の宿主細胞中で発現できる組み換え DNA (発現ベクター)を作製し、 これを宿主細 胞に導入して形質転換し、 該形質転換体を培養して、 得られる培養物から、 目的タ ンパク質を回収することによって、 本発明抗体の製造のための免疫抗原としてのタ ンパク質を得ることができる。 また、 これらの ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまた は GPR87の部分ペプチドは、 本発明により提供されるアミノ酸配列の情報 (配列番 号 3〜24) に つて、 一般的な化学合成法 (ペプチド合成)によって製造すること もできる。
なお、 本発明の ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87には、 配列番号: 13〜
24のいずれかに示す各ァミノ酸配列に関わるタンパク質のみならず、 その相同物も 包含される。 該相同物としては、 上記遺伝子によってコードされるタンパク質のァ ミノ酸配列において、 1もしくは複数 (通常数個)のアミノ酸が欠失、 置換または付 加されたアミノ酸配列からなり、 且つ、 それぞれのタンパク質の公知の機能と同等 の免疫学的活性を有するタンパク質を挙げることができる。
ここで、 同等の免疫学的活性を有するタンパク質としては、 適当な動物あるいは その細胞において特定の免疫反応を誘発し、 かつ ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKま たは GPR87に対する抗体と特異的に結合する能力を有するタンパク質を挙げること ができる。
なお、 タンパク質におけるアミノ酸の変異数および変異部位は、 その免疫学的活 性が保持される限り制限はない。 免疫学的活性を消失することなくァミノ酸残基が 、 どのように、 何個置換、 挿入あるいは欠失されればよいかを決定する指標は、 当 業者に周知のコンピュータプログラム、 例えば DNA Star softwareを用いて見出す ことができる。 例えば変異数は、 典型的には、 全アミノ酸の 10%以内であり、 好ま
、 ' しくは全アミノ酸の 5%以内であり、 さらに好ましくは全アミノ酸の 1%以内である 。 また置換されるアミノ酸は、 置換後に得られるタンパク質が、 ASK、 CKS1、 MELK 、 STK12、 TTKまたは GPR87と同等の免疫学的活性を保持している限り、 特に制限さ れない。 この置換されるアミノ酸は、 タンパク質の構造保持の観点から、 アミノ酸 の極性、 電荷、 可溶性、 疎水性、 親水性、 両親媒性などにおいて置換前のアミノ酸 と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。 例えば、 Ala、 Val、 Leu、 lie 、 Pro, Met、 Pheおよび Trpは互いに非極性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、 Gly、 Ser、 Thr、 Cys、 Tyr、 Asnおよび Ginは互いに非荷電性アミノ酸に分類される アミノ酸であり、 Aspおよび Gluは互いに酸性ァミノ酸に分類されるアミノ酸であり 、 また Lys、 Argおよび Hisは互いに塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸である。 ゆえに、 これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選択することができる。 本発明の抗体は、 また、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87の部分アミノ 酸配列を有するオリゴペプチドを用いて調製されるものであってもよい。 かかる抗 体誘導のために用いられるオリゴペプチドは、 機能的な生物活性を有することは要 しないが、 各々対応する上記タンパク質と同様の免疫原特性を有するものであるこ とが望ましい。 好ましくはこの免疫原特性を有し、 且つ ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87のァミノ酸配列において、 少なくとも連続する 8ァミノ酸、 好まし くは 15アミノ酸、 より好ましくは 20アミノ酸からなるオリゴぺプチドを例示するこ とがでぎる。
かかるオリゴペプチドに対する抗体の製造は、 宿主に応じて種々のアジュバント を用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。 限定はされないが 、 そのようなアジュバントには、 フロイントアジュバント、 水酸化アルミニウムの ようなミネラルゲル、 並びにリゾレシチン、 プル口ニックポリオル、 ポリア二オン 、 ペプチド、 油乳剤、 キーホールリンペットへモシァニンおよびジニトロフエノー ルのような表面活性物質、 BCG (カルメットーゲラン桿菌)やコリネバタテリゥム-パ ノレヴムなどのヒ トアジュバントが含まれる。
また、 既に市販されている抗体である、 抗 MELK抗体 (Goat ant i -Human KIAA0175 Kinase, Serotec Ltd. ) 、 抗 STK12抗体 (Rabbit anti-Aurora-B, Zymed Laborato ries Inc. ) 、 または抗 TTK抗体 (Mouse anti-Mpsl, Zymed Laboratories Inc. ) な
どを、 本発明抗体として用いることもできる。
本発明抗体は、 ASK、 CKS MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87に特異的に結合する性 質を有することから、 該抗体を利用することによって、 被験者の組織内に発現した 上記タンパク質(その相同物を含む)を特異的に検出することができる。 すなわち、 当該抗体は被験者の組織内における ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の発 現の有無およびその発現の程度を検出するためのプローブとして有用である。
具体的には、 患者の生体組織 (肺、 結腸、 直腸、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 脖臓、 胃な ど) の一部をバイオプシなどで採取し、 そこから常法に従って調製した組織抽出物 やタンパク質を用いて、 例えばウェスタンプロット法、 ELISA法など公知の検出方 法において、 本発明抗体を常法に従ってプローブとして使用することによって、 AS K、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を検出することができる。
癌疾患の診断に際しては、 被験者の組織などに存在する ASK、 CKS1、 MELK、 STK12 、 TTKおよび GPR87のいずれか少なくとも 1つの量と、 正常者の組織に存在する当該 タンパク質の量と対比して、 その違いを判定すればよい。 この場合、 タンパク質の 量の違いには、 タンパク質のある なしと共に、 タンパク質の量の違いが 2倍以上 、 好ましくは 3倍以上の場合が含まれる。 具体的には、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 ME LK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子は癌組織において有意な発 現量および Zまたは発現頻度の上昇を示すので、 被験者の組織に該遺伝子の発現産 物が存在しており、 該存在量が正常な組織における発現産物量と比べて 2倍以上、 好ましくは 3倍以上多いことが判定されれば癌疾患の罹患が疑われる。
(2)癌疾患の検出方法 (診断方法)
本発明は、 前述した本発明疾患マーカーを利用した癌疾患の検出方法 (診断方法) を提供する。
具体的には、 本発明の検出方法は、 被験者の生体試料、 例えば、 肺、 結腸、 直腸 、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 陴臓、 胃などの組織の一部を、 バイオプシなどで採取し、 そ こに含まれる癌疾患に関連する ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子 、 TTK遺伝子および GPR87遺伝子のうち少なくとも 1つの発現レベル (発現量)、 また は該遺伝子に由来するタンパク質である ASK、 CKS 1、 MELK, STK12、 TTKおよび GPR87 のうち少なくとも 1のタンパク質を検出、 測定することにより、 癌疾患の罹患の有
無またはその程度を検出(診断)するものである。 また、 本発明の検出(診断)方法は 、 例えば癌疾患患者において、 該疾患の改善のために治療薬などを投与した場合に おける、 該疾患の改善の有無またはその程度を検出 (診断) することもできる。 本発明の検出方法は、 次の(a)、 (b)および (c)の工程を含むものである :
(a) 被験者の生体試料と本発明疾患マーカーを接触させる工程、
(b) 生体試料中の MELK遺伝子、 TTK遺伝子、 STK12遺伝子、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子 または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベル、 あるいは MELK、 TTK、 STK12、 ASK、 CKS1ま たは GPR87のタンパク質の量を、 上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c) 上記 (b)の結果をもとに、 癌疾患の罹患を判断する工程。
ここで用いられる生体試料は、 被験者の生体組織 (肺、 結腸、 直腸、 腎臓、 肝臓 、 卵巣、 膝臓、 胃など) から調製される試料を挙げることができる。 具体的には、 該組織から調製される R A含有試料、 もしくはそれらから更に調製されるポリヌク レオチドを含む試料、 または上記組織から調製されるタンパク質を含む試料を挙げ ることができる。 これらの RNA、 ポリヌクレオチドまたはタンパク質を含む試料は 、 例えば被験者の生体組織の一部をバイオプシなどで採取後、 常法に従って調製す ることができる。
本発明の診断方法は、 測定対象として用いる生体試料の種類に応じて、 具体的に は下記のようにして実施される。
(2-1) 測定対象の生体試料として RNAを利用する場合
測定対象物として RNAを利用する場合、 癌疾患の検出は、 具体的に下記の工程 ( a ) 、 (b) 及び (c) を含む方法によって実施することができる :
(a)被験者の生体試料から調製された RNAまたはそれらから転写された相補的ポリヌ クレオチドと、 前記本発明の疾患マーカー (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子
、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列において連続する少なく とも 15塩基を有するポリヌクレオチド及び Z又は該ポリヌクレオチドに相補的なポ リヌクレオチド) 'とを結合させる工程、
(b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来の R Aまたは該 RNAから転写された相補 的ポリヌクレオチドを、 上記疾患マーカ一を指標として測定する工程、
(c)上記 (b)の測定結果に基づいて、 癌疾患の罹患を判断する工程。
測定対象物として RNAを利用する場合、 本発明検出方法 (診断方法)は、 該 RNA中の ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子 の発現レベルを検出し、 測定することによって実施される。 具体的には、 前述のポ リヌクレオチドからなる本発明疾患マーカー (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子 、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列において連続する少なく とも 15塩基を有するポリヌクレオチドおよび/またはその相補的なポリヌクレオチ ド)をプライマーまたはプローブとして用いて、 ノーザンプロッ ト法、 RT-PCR法、 D NAチップ解析法、 in situハイブリダイゼーション解析法などの公知の方法を行う ことにより実施できる。
ノーザンプロット法を利用する場合、 本発明疾患マーカーをプローブとして用い ることによって、 RNA中の、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 T TK遺伝子または GPR87遺伝子の発現の有無ゃ宪現レベルを検出、 測定することがで きる。 具体的には、 まず本発明疾患マーカー (相補鎖)を放射性同位元素 (32P、 33P など: RI)、 蛍光物質などで標識する。 次いで、 得られる標識疾患マーカーを常法 に従ってナイロンメンプレンなどにトランスファーした被験者の生体組織由来の RN Aとハイブリダィズさせる。 その後、 形成された標識疾患マーカー (DNA)と R Aとの 二重鎖を、 該標識疾患マーカーの標識物 (RI、 蛍光物質など)に由来するシグナルを 放射線検出器 (BAS-1800II、 富士フィルム社製)、 蛍光検出器などで検出、 測定する 方法を例示することができる。 また、 AlkPhos Direct Labelling and Detection S ystem (Amersham Pharamcia Biotech社製)を用レヽて、 該プロトコ一ノレに従って疾患 マーカー(プローブ DNA)を標識し、 被験者の生体組織由来の RNAとハイブリダィズさ せた後、 疾患マーカーの標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメージヤー ST 0RM860 . (Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出、 測定する方法を採用すること もできる。
RT-PCR法を利用する場合、 本発明疾患マーカーをプライマーとして用いて、 RNA 中の、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87 遺伝子の発現の有無や発現レベルを検出、 測定することができる。 具体的には、 ま ず被験者の生体組織由来の RNAから常法に従って cDNAを調製し、 これを錄型として 標的の ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87
遺伝子の領域が増幅できるように、 本発明の疾患マーカーから調製した一対のブラ ィマー(上記 cDNA (—鎖)に結合する正鎖、 +鎖に結合する逆鎖)をこれとハイブリダ ィズさせる。 その後、 常法に従って PCR法を行い、 得られた増幅二本鎖 DNAを検出す る。 増幅された二本鎖 DNAの検出には、 予め RI、 蛍光物質などで標識しておいたプ ライマーを用いて上記 PCRを行うことによって産生される標識二本鎖 DNAを検出する 方法、 産生された二本鎖 DNAを常法に従ってナイロンメンブレンなどにトランスフ ァーさせて、 標識した疾患マーカーをプローブとして使用してこれとハイブリダィ ズさせて検出する方法などを用いることができる。 なお、 生成された標識二本鎖 DN A産物はァジレント 2100バイオアナライザ (横河アナリティカルシステムズ社製)な どで測定することができる。 また、 SYBR Green RT-PCR Reagents (Applied Biosys tems社製)で該プロトコールに従って RT-PCR反応液を調製し、 ABI PRIME 7700 Sequ ence Detection System (Applied Biosystems 社製)で反心させて、 該反応物を検 出することもできる。
DNAチップ解析を利用する場合、 本発明疾患マーカーを DNAプローブ(1本鎖または 2本鎖)として貼り付けた DNAチップを用意し、 これに被験者の生体組織由来の RNAか ら常法によつて調製された cRNAをハイブリダイズさせ、 形成された DNAと cRNAとの 二本鎖を、 本発明疾患マーカーから調製される標識プローブと結合させて検出する 方法を挙げることができる。 また、 上記 DNAチップとして、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子 、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベルを 検出、 測定可能な DNAチップを用いることもできる。 かかる ASK遺伝子、 CKS1遺伝子 、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現レベルを検出、 測定することができる DNAチップとしては、 例えば Affymetrix社の Gene Chip Human Genome U95 A, B, C, D, Eを挙げることができる。 かかる DNAチップを用いた、 被 験者 RNA中の ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベルの検出、 測定については、 実施例に詳述する。
(2-2) 測定対象の生体試料としてタンパク質を用いる場合- 測定対象としてタンパク質を用いる場合、 本発明検出 (診断)方法は、 生体試料中 の ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を検出し、 その量(レベル)を測定する ことによって実施される。 具体的には、 下記の工程 (a)、 (b)及び (c)を含む方法に
よって実施することができる。
(a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と抗体に関する本発明の疾患マー カー (ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を認識する抗体) とを結合させる 工程、
(b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、 上記疾患マーカーを 指標として測定する工程、
(c)上記 (b)の測定結果に基づいて、 癌疾患の罹患を判断する工程。
より具体的には、 抗体に関する本発明の疾患マーカーとして抗体 (ASK、 CKS1、
ELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を認識する抗体) を用いて、 ウェスタンブロット法な どの公知方法で、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12, TTKまたは GPR87を検出、 定量する方法 を挙げることができる。
ウェスタンプロット法は、 一次抗体として本発明疾患マーカーである上記抗体を 用いた後、 二次抗体として1 2 5 1などの放射性同位元素、 蛍光物質などで標識した標 識抗体 (一次抗体に結合する標識抗体)を用い、 得られる標識結合物の放射性同位元 素、 蛍光物質などに由来するシグナルを放射線測定器 (BAS-1800II:富士フィルム 社製など)、 蛍光検出器などで検出し、 測定することによって実施できる。 また、 一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、 ECL Plus Western Blotting Detc tion System (Amersham Pharmacia Biotech 社製)を用レヽて、 該プロトコ一ノレ tこ従 つて検出し、 マノレチバイオイメージヤー ST0RM860 (Amersham Pharmacia Biotech 社製)で測定することもできる。
なお、 上記において測定対象とする ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の 機能又は活性は既に知られており、 該タンパク質の量と機能 活性とは一定の相関 関係を有している。 従って、 上記タンパク質の量の測定に代えて、 該タンパク質の 機能又は活性の測定を行うことによつても、 本発明の癌疾患の検出 (診断) を実施 することができる。 すなわち、 本発明は、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR 87の機能又は活性を指標として、 これを公知の方法 (具体的には後述の(3-3)項を 参照) に従って測定、 評価することからなる、 癌疾患の検出(診断)方法をも包含す る。
(2 - 3)癌疾患の診断
癌疾患の診断は、 被験者の生体組織 (肺、 結腸、 直腸、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 脖臓
、 胃など) における ASK遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝 子または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベル、 もしくは ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK または GPR87タンパク質の量、 機能もしくは活性 (以下これらをあわせて 「タンパ ク質レベル」 ということがある) を、 対応する正常な組織における当該遺伝子発現 レベルまたは当該タンパク質レベルと比較し、 両者の違いを判定することによって 行うことができる。
この場合、 正常な組織などから採取、 調製した生体試料 (RNAまたはタンパク質) が必要であるが、 これは癌疾患に罹患していなレ、人の組織あるいは癌疾患に罹患し ている人の非癌部正常組織などをバイォプシなどで採取したり、 死後に本人の同意 に基づいて採取された組織から得ることができる。 なお、 ここで 「癌疾患に罹患し ていない人」 とは、 少なくとも癌疾患の自覚症状がなく、 好ましくは他の検査方法 、 例えば X線検査などによる検査の結果、 癌疾患でないと診断された人をいう。 な お、 当該 「癌疾患に罹患していない人」 を、 以下、 本明細書では単に正常者という 場合もある。
被験者の生体組織と正常な生体組織 (癌疾患に罹患していない人の生体組織ある いは癌疾患に罹患している人の非癌部正常組織)との遺伝子発現レベルまたはタン パク質レベルの比較は、 被験者の生体試料と正常者の生体試料を対象とした測定を 並行して行うことで実施できる。 また、 並行して行わなくても、 複数 (少なくとも 2 、 好ましくは 3以上、 より好ましくは 5以上)の正常な生体組織を用いて均一な測定 条件で測定して得られた ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK 遺伝子または GPR87遺伝子の遺伝子発現レベル、 もしくは ASK、 CKS1、 MELK, STK12 、 TTKまたは GPR87タンパク質レベルの平均値または統計的中間値を、 正常者の遺伝 子発現レベルもしくはタンパク質の量として比較に用いることができる。
被験者が、 癌疾患であるかどうかの判断は、 該被験者の組織における ASK遺伝子 、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の遺伝子 発現レベル、 またはその発現産物である ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87 のタンパク質レベルが、 正常者のそれらと比較して 2倍以上、 好ましくは 3倍以上多 いことを指標として行うことができる。 被験者の遺伝子発現レベルまたはタンパク
、 .質レベルが正常者のそれらのレベルに比べて多ければ、 該被験者は癌疾患であると 判断できるか、 該疾患の罹患が疑われる。
より具体的には、 被験者の肺、 腎臓、 肝臓、 卵巣または胃の組織において、 上記 遺伝子のうち MELK遺伝子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質の量が、 正常な対応 する組織に比べて多い場合、 癌疾患が疑われる。 TTK遺伝子の遺伝子発現レベルま たはタンパク質の量が、 被験者の肺、 結腸、 直腸、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 膝臓または 胃の組織において、 正常な対応する組織に比べて多い場合は癌疾患が疑われる。 ST K12遺伝子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質の量が、 被験者の肺、 肝臓、 卵巣 または胃の組織において、 正常な対応する組織に比べて多い場合は癌疾患が疑われ る。 ASK遺伝子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質の量が、 被験者の肺、 直腸の 組織において、 正常な対応する組織に比べて多い場合は癌疾患が疑われる。 CKS 1遺 伝子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質の量が、 被験者の肺、 卵巣の組織におい て、 正常な対応する組織に比べて多い場合は癌疾患が疑われる。 GPR87遺伝子の遺 伝子発現レベルまたはタンパク質の量が、 被験者の肺、 卵巣、 膝臓の組織において 、 正常な対応する組織に比べて多い場合は癌疾患が疑われる。
(3)候補薬のスクリーニング方法
(3-1)遺伝子発現レベルを指標とするスクリーニング方法
本発明は、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び G PR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現を抑制する物質をスクリーニングする方法を提 供する。
本発明のスクリーニング方法は、 次の工程 (a)、 (b)および (c)を含む:
(a)被験物質と ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかを発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞における ASK遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK1 2遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現量を測定し、 該発現 量を被験物質を接触させない対照細胞における上記対応する遺伝子の発現量と比較 する工程、
(c)上記 (b)の比較結果に基づいて、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現量を減少させる被験物質
- を選択する工程。.
かかるスクリーニングに用いられる細胞としては、 内在性および外来性を問わず 、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子 のいずれかを発現可能な細胞を挙げることができる。 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MEL K遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現は、 公 知のノーザンプロット法ゃ RT-PCR法にてこれらの遺伝子発現を検出することにより 、 容易に確認することができる。 当該細胞としては、 例えば、 ASK遺伝子、 CKS1遺 伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかが発現し 得る肺、 結腸、 直腸、 腎臓、 肝臓、 卵巣、 瞎臓または胃の組織から取得される細胞 、 またはこれらの組織に由来する細胞等を挙げることができる。 具体的には、 ヒト 肺癌細胞株である H0P62細胞 (Natinal Cancer Institute) 、 H0P92細胞 (Natinal Cancer Institute) 、 PC-8細胞および 11- 18細胞 (東北大学加齢医学研究所細胞株 : Cat. No. TKG0177) などを挙げることができる。
なお、 本発明スクリーニング法に用いられる細胞には、 細胞の集合体である組織 も含まれる。
本発明のスクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質 (候補物質) は、 制限されないが、 核酸 (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 T TK遺伝子又は GPR87遺伝子のアンチセンスポリヌクレオチドを含む)、 ぺプチド、 タ ンパク質、 有機化合物、 無機化合物などであり、 本発明スクリーニングは、 具体的 にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料 (被験試料)を上記細胞および Zまた は組織と接触させることにより行われる。 被験試料としては、 被験物質を含む、 細 胞抽出液、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 合成低分子化合物、 合成ペプチド、 天 然化合物、 およびこれらの混合物などが挙げられるが、 これに制限されない。
また、 本発明スクリーニングに際して、 被験物質と細胞とを接触させる条件は、 特に制限されないが、 該細胞が死滅せず且つ ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子 、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかを発現できる培養条件(温度 、 PH、 培地組成など)を選択するのが好ましい。
実施例に示すように、 癌疾患に罹患した患者の癌組織では、 対応する正常な組織 に比して、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子および G
PR87遺伝子の発現レベルおよび Zまたは発現頻度の上昇 (遺伝子発現の誘導 ·増大 ) が認められる。 また、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK 遺伝子および GPR87遺伝子の発現を抑制することにより癌細胞株の増殖が抑制され る。 これらの知見から、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK 遺伝子および GPR87遺伝子の発現レベルの上昇は癌疾患と因果関係があると考えら れる。 そのため、 本発明スクリーニング方法には、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK 遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現レベル を指標として、 その発現を抑制する物質 (発現レベルを正常レベルに戻す物質)を探 索する方法が包含される。 このスクリーニング方法によって、 癌疾患の予防、 改善 乃至治療薬の有効成分となる候補物質を提供することができる。
すなわち本発明のスクリーニング方法は、 ASK遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子 、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現を抑制する物 質を探索することによって、 癌疾患の予防薬、 改善薬又は治療薬の有効成分となる 候補物質を提供するものである。
候補物質の選別は、 具体的には、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかが発現している細胞を用いる場合は、 被験物質 (候補物質) を添カ卩した細胞における上記各遺伝子の発現レベルが、 被験 物質 (候補物質)を添加しない細胞のそのレベルに比して低くなることを持って、 行 うことができる。
より具体的には、 例えば、 ヒト肺癌細胞株である H0P62細胞、 H0P92細胞、 PC-8細 胞または 11- 18細胞を用いて癌疾患の予防薬、 改善薬又は治療薬の有効成分となる 候補物質をスクリーニングするには、 被験物質を加え、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 M ELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現レべ ルの減少を指標として候補物質を選別することができる。
このような本発明のスクリーユング方法における遺伝子の発現レベルの検出およ び定量は、 前述した細胞から調製した RNAまたは該 RNAから転写された相補的ポリヌ クレオチドと、 本発明疾患マーカーとを用いて、 前記 (2-1)項に記述したように、 ノーザンプロット法、 RT-PCR法など公知の方法、 DNAチップなどを利用する方法な どに従って実施できる。 指標とする遺伝子発現レベルの低下 (抑制 ·减少)の程度は
-、 被験物質(候補物質)を添加した細胞における ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝 子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現が、 被験物 質 (候補物質)を添加しない対照細胞での発現量と比較して、 10%、 好ましくは 30%、 特に好ましくは 50%以上の低下 (抑制 ·減少)を例示することができる。
また ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遣 伝子のいずれかの遺伝子発現レベルの検出および定量は、 当該遺伝子の発現を制御 する遺伝子領域 (発現制御領域)に、 例えばルシフユラーゼ遺伝子などのマーカー遺 伝子をつないだ融合遺伝子を導入した細胞株を用いて、 マーカー遺伝子由来のタン パク質の活性を測定することによつても実施できる。 本発明の ASK遺伝子、 CKS1遺 伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子 発現抑制物質のスクリーニング方法には、 かかるマーカー遺伝子の発現量を指標と して標的物質を探索する方法も包含されるものである。 この意味において、 請求項
9、 請求項 2 0および請求項 2 1に記載の 「ASK遺伝子」 、 「CKS1遺伝子」 、 「MEL K遺伝子」 、 「STK12遺伝子」 、 「TTK遺伝子」 及び 「GPR87遺伝子」 の概念には、 該 遺伝子の発現制御領域とマーカー遺伝子との融合遺伝子が含まれる。
上記マーカー遺伝子としては、 発光反応や呈色反応を触媒する酵素の構造遺伝子 が好ましい。 具体的には、 上記ルシフェラーゼ遺伝子、 分泌型アルカリフォスファ ターゼ遺伝子、 クロラムフエ二コール 'ァセチルトランスフェラーゼ遺伝子、 eグ ルクロニダーゼ遺伝子、 0ガラクトシダーゼ遺伝子、 エタオリン遺伝子などのレポ 一タ一遺伝子を例示できる。
また、 ここで ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子又 は GPR87遺伝子の発現制御領域は、 例えば(i) 5'-RACE法 (例えば、 5, full Race Cor e Kit (宝酒造社製)等を用いて実施される) 、 オリゴキヤップ法、 S1プライマーマ ッビング等の通常の方法により、 5'末端を決定するステップ; (ii) Genome Walke r Kit (クローンテック社製)等を用いて 5,-上流領域を取得し、 得られた上流領域に ついて、 プロモーター活性を測定するステップ;を含む手法等により同定すること ができる。 なお、 ASK遺伝子の発現調節に関しては Yamada M.ら、 Biol. Chem. , 277 (31) , 27668-27681. (2002)などに記載されている。 また融合遺伝子の作成、 お よびマーカー遺伝子由来の活性測定は、 公知の方法で行うことができる。
本発明スクリーニング方法により選択される物質ほ、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 M ELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの遺伝子発現抑制 剤として位置づけることができる。 これらの物質は、 生体内において ASK遺伝子、 C KS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のいずれかの発 現を抑制 ·減少することによって、 癌疾患を緩和、 抑制(改善、 治療)する薬物の有 力な候補物質となる。
(3-2) タンパク質の発現量を指標とするスクリーニング方法
本発明は、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK及び GPR87のいずれかの発現量を抑制す る物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明スクリーニング方法は、 次の工程 (a)、 (b)および (c)を含む:
(a) 被験物質と ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK及び GPR87のいずれかを発現可能な細 胞とを接触させる工程、
(b) 被験物質を接触させた細胞における ASK、 CKS 1、 MELK、 STK12、 TTK及び GPR87の いずれかの発現量を測定し、 該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における 上記発現量と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK及び GPR87のい ずれかの発現量を抑制する被験物質を選択する工程。
本発明スクリーニングに用いられる細胞は、 内在性および外来性を問わず、 ASK 遺伝子、 CKS 1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子及び GPR87遺伝子のい ずれかを発現し、 発現産物としての ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR87のいず れかを有する細胞を挙げることができる。 ASK、 CKS MELK, STK12、 TTK及び GPR87 のいずれかの発現は、 遺伝子産物であるタンパク質を公知のウェスタン法にて検出 することにより、 容易に確認することができる。 該細胞としては、 具体的には、 前 記(3-1)項に記載した肺癌細胞株である H0P62細胞、 H0P92細胞、 PC-8細胞または 11 - 18細胞などが挙げられる。 また当該細胞には、 細胞に由来する各種の画分を意味し 、 これには、 例えば、 細胞膜画分、 細胞質画分、 細胞核画分などが含まれる。
実施例に示すように、 癌疾患に罹患した患者の癌組織では、 正常な組織に比して 、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝 子の発現及び/または発現頻度の上昇が観察される。 また、 癌細胞株において ASK
遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の 発現を抑制すると癌細胞株増殖抑制が認められる。 これらの知見から、 ASK、 CKS1 、 MELK, STK12、 TTK又は GPR87の発現量は、 癌疾患と因果関係があると考えられる 。 よって本発明スクリーニング方法には、 この ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び G PR87のいずれかのタンパク発現レベルを指標として、 該タンパク質の発現量を低下 させる物質 (発現レベルを正常に戻す物質) を探索する方法が包含される。 このス クリーニング方法によって、 癌疾患の緩和ノ抑制作用を有する (癌疾患に対して、 改善 治療効果を発揮する) 候補物質を提供することができる。
すなわち本発明のスクリーニング方法は、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR 87のいずれかのタンパク発現量を低下させる物質を探索することによって、 癌疾患 の予防薬、 改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである。 候補物質の選別は、 具体的には、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR87のいず れかを発現産生している細胞を用いる場合は、 被験物質 (候補物質) を添加した細 胞における ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR87のいずれかのタンパク量 (レべ ル) 力 被験物質 (候補物質)を添加しない細胞のその量 (レベル) に比して低くな ることを指標として行うことができる。
より具体的には、 例えば、 ヒ ト肺癌細胞株である H0P62細胞、 H0P92細胞、 PC- 8細 胞または 1 1-18細胞を用いて候補物質をスクリーニングするには、 被験物質を加え 、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及びノ又は GPR87のタンパク産生量 (レベル) を比 較し、 その産生量 (レベル) の減少を指標として候補物質を選別することができる 本発明のスクリーニング方法にかかる ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTK及び GPR87の いずれかの産生量は、 前述したように、 例えば、 本発明疾患マーカーとして抗体( 例えばヒ ト ASKタンパク質又はそのホモログ、 ヒ ト CKS 1タンパク質又はそのホモ口 グ、 ヒト MELKタンパク質又はそのホモログ、 ヒ ト STK12タンパク質又はそのホモ口 グ、 ヒ ト TTKタンパク質又はそのホモログあるいはヒ ト GPR87タンパク質又はそのホ モ口グを認識する抗体)を用いたウェスタンプロット法などの公知方法に従って定 量できる。 ウェスタンプロット法は、 一次抗体として本発明疾患マーカ一を用いた 後、 二次抗体として1 2 5 1などの放射性同位元素、 蛍光物質などで標識した一次抗体
に結合する抗体を用いて標識し、 これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器 (B AS-1800II:富士フィルム社製など)、 蛍光検出器などで測定することによって実施 できる。 また、 一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、 ECL Plus Western Blotting Detction System (Amersham Pharmacia Biotech社製)を禾 lj用.して、 該 プロトコールに従って検出し、 マルチバイオイメージヤー ST0RM860 (Amersham Phar macia Biotech社製)で測定することもできる。
本発明スクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質 (候補物質)は 、 制限されないが、 核酸 (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TT K遣伝子又は GPR87遺伝子のアンチセンスポリヌクレオチドを含む) 、 ペプチド、 タ ンパク質、 有機化合物、 無機化合物などであり、 本発明スクリーニングは、 具体的 にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料 (被験試料)を上記細胞または細胞画 分と接触させることにより行われる。 被験試料としては、 被験物質を含む、 細胞抽 出液、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 合成低分子化合物、 合成ペプチド、 天然化 合物などが挙げられるが、 これらに制限されない。
(3 - 3)タンパク質の活性 (機能) を阻害する物質のスクリーニング方法
本発明は、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の活性 (機能) を抑制する 物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法は次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含む:
(a)被験物質を ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87に接触させる工程、
(b)上記(a)の工程に起因して生じる ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の活 性 (機能) を測定し、 該活性 (機能) を被験物質を接触させない場合の ASK、 CKS1
、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の活性 (機能) と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の活 性 (機能) の低下をもたらす被験物質を選択する工程。
本発明のスクリーニング方法においては、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは G PR87の公知の機能 ·活性に基づく如何なる機能 ·活性測定方法をも利用することが できる。 すなわち、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の公知の機能 '活性 測定系に被験物質を添加し、 当該 ASK、 CKS MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87の公知 の機能 ·活性を抑制,阻害する被験物質を、 癌 (悪性腫瘍) に対して予防、 改善
治療効果を有する候補物質として選択するスクリーニング方法であれば、 本発明の スクリーニング方法の範疇に含まれる。
前記本発明のスクリーニングは、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を含 む水溶液、 細胞または該細胞から調製した細胞画分と、 被験物質とを接触させるこ とにより行うことができる。 ここで ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を含 む水溶液としては、 例えば ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を含む通常の 水溶液の他、 これらのタンパク質を含む細胞溶解液、 細胞破砕液、 核抽出液あるい は細胞の培養上清などを例示することができる。
また、 本発明のスクリーニング方法に用いられる細胞としては、 内在性及び外来 性を問わず、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87を発現し得る細胞を挙げる ことができる。 該細胞としては、 具体的には、 前記 (3-1)項に示されるような、 本 発明遺伝子を発現するヒ ト及びその他の動物由来の癌組織初代培養細胞若しくは株 化細胞などを用いることができる。 また、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 S TK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換され た形質転換細胞も用いることができる。 該形質転換に用いられる宿主細胞としては 、 例えば C0S、 CH0、 Sf9などの周知の細胞が挙げられる。 また細胞画分とは、 上記 細胞に由来する各種の画分を意味し、 これには、 例えば細胞膜画分、 細胞質画分、 細胞核画分などが含まれる。
前記スクリーニングにおいて用いられる ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR 87は、 いずれも公知のタンパク質であり、 前述したように、 本発明により提供され る遺伝子の配列情報 (配列番号: 1〜12) に基づいて、 D N Aクローユング、 各プ ラスミ ドの構築、 宿主へのトランスフエクシヨン、 形質転換細胞の培養、 およぴ必 要に応じて培養物からのタンパク質の回収の操作により得ることができる。 これら の操作は、 当業者に既知の方法、 あるいは文献記載の方法 (Molecular Cloning, T . Maniatis et al., CSH Laboratory (1983) , DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRES S (1985) ) などに準じて行うことができる。
実施例に示すように、 癌 (悪性腫瘍) に罹患した患者の癌組織では、 正常な対応 する組織に比して、 特異的に ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現上昇および Zまたは発現頻度上昇が認められる
。 また ASK遺伝子.、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87 遺伝子の発現を抑制することにより癌細胞株増殖が抑制される。 これらの知見から 、 これらの遺伝子の発現産物 (タンパク質) の機能 (活性) 亢進は、 癌 (悪性腫瘍 ) 細胞増殖と関連していると考えられる。 よって本発明のスクリーニング方法には 、 これら ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87の機能 (活性) を指標として、 該タンパク質の機能 (活性) を抑制する物質を探索する方法が包含される。 本発明 スクリーニング方法によれば、 ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87の機能ま たは活性を抑制する物質を探索でき、 かく して癌 (悪性腫瘍) 細胞増殖の緩和 抑 制作用を有する (癌に対して改善 治療効果を発揮する) 候補物質が提供される。 すなわち本発明のスクリーニング方法は、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは G
PR87の機能または活性を抑制する物質を探索することによって、 癌 (悪性腫瘍) の 改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである。
本発明スクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質 (候補物質)は 、 制限されないが、 核酸、 ペプチド、 蛋白質 (ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまた は GPR87に対する抗体を含む) 、 有機化合物、 無機化合物などであり、 本発明スク リーニングは、 具体的にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料 (被験試料)を 上記水溶液、 細胞または細胞画分と接触させることにより行われる。 被験試料とし ては、 被験物質を含む、 細胞抽出液、 遺伝子ライプラリーの発現産物、 合成低分子 化合物、 合成ペプチド、 天然化合物などが挙げられるが、 これらに制限されない。 以下、 本発明の各タンパク質の機能または活性に基づくスクリーニング方法につ いて、 具体的に例示する。
(3- 3- 1) TTK、 STK12、 MELKおよび ASKの機能 (活性) に基づくスクリーニング方法
TTK、 STK12及ひ ^MELKはいずれも kinaseファミリ一に属することが知られている ( Winey, M.ら、 Oncogene, 21, 6161—6169. (1991) , Bischoff, J. ら、 Trends C ell Biol. , 9, 454-459. (1999) , Heyer, B. S.ら、 Mol. Reprod. Dev. , 47, 148- 156. (1997) . ) 。 従って、 これら TTK、 STK12または MELKの公知の機能または活性の 低下をもたらす被験物質 (候補物質) のスクリーニングは、 TTK、 STK12または MELK の kinase活性により生じた基質のリン酸化量を指標にして行うことができる。 また 、 ASKにおいても、 Cdc7/ASK複合体が kinase活性を示すため、 Cdc7/ASK複合体の kin
ase活性を指標としてスクリーニングをすることができる。 候補物質は、 例えば、 被験物質 (候補物質)の存在下で TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体に、 基質と ATPとを反応させて生じた基質のリン酸ィヒ量が、 被験物質 (候補物質)の非存在下で 反応させて生じた基質のリン酸化量に比して減少する(低下する)場合に、 選択する ことができる。
TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の kinase活性に基づく本発明のスクリー ユング方法としては、 次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体、 基質及び ATP を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で生じる基質のリン酸化量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程。
ここで用いられる TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体としては、 (i) TTK、 ST K12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の精製物 (単離物) 、 (ii) TTK、 STK12、 MELKまた は Cdc7/ASK複合体を含有する細胞あるいは該細胞画分、 を例示することができる。 (ii)の TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体を含有する細胞としては、 例えば、 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体を天然に発現している細胞、 あるいは TTK 遺伝子、 STK12遺伝子、 MELK遺伝子または Cdc7/ASK複合体遺伝子を細胞に導入して 作製した形質転換細胞などを挙げることができるが、 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7 /ASK複合体が基質特異的な明確な kinase活性を有さない場合には、 精製物 (単離物 ) を用いるのが望ましい。
前記形質転換細胞は、 Molecular Cloning 2nd Edt., Cold Spring Harbor Labor atory Press (1989)等の基本書に従い、 当業者にとって公知の方法で調製すること ができる。 例えば、 TTK遺伝子、 STK12遺伝子、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体遺伝子を pcDNA3. 1誘導体 (インビトロジェン社) 、 FLAG expression vector (シグマァノレド リッチ社) 、 pGEX vector (アマシャムバイオサイエンス社) などの公知の TTK、 ST K12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体のみを発現可能なベクターあるいは、 精製物 (単 離物) 精製用のタグとの融合蛋白を発現可能な発現ベクターに挿入する。 その後、
適当な宿主に導入し、 培養することにより、 導入した TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7 /ASK複合体の D N Aに対応するタンパク質を発現させた形質転換細胞を作製するこ とができる。 宿主としては、 例えば、 一般的に広く普及している、 C H O細胞、 C 1 2 7細胞、 B H K 2 1細胞、 C O S細胞などを挙げることができるが、 これらに 限定されず、 酵母、 細菌、 昆虫細胞などを用いるてもよい。 またタグとしては、 例 えば、 M y cタグ、 H i sタグ、 F L A Gタグ、 GSTタグなどの従来公知のタグを 挙げることができる。
TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の c DNAを有する発現ベクターの宿主細 胞への導入方法としては、 公知の発現ベクターの宿主細胞への導入方法であれば、 どのような方法でもよく、 例えばリン酸カルシウム法 (J. Virol. , 52, 456-467 (1 973) ) 、 LT-1 (Panvera社製) を用いる方法、 遺伝子導入用リピッド (Lipofectami ne、 Lipofectin;インビトロジェン社製) を用いる方法などが挙げられる。
前記 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体を天然に発現する細胞、 あるいは TT K、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体を発現する形質転換細胞は、 そのままスクリ 一ユングに用いることができるが、 これらの細胞から単離、 精製された TTK、 STK12 、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の精製物 (単離物) をスクリーニングに用いることも できる。 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の精製物 (単離物) を得るために は、 公知の一般的な方法で TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体を単離、 精製す ればよレ、。 例えば、 細胞に溶解液を添加して細胞を可溶化後、 ホモジナイズし、 遠 心分離することにより kinaseを含有する可溶化画分 (上清) を得る。 この得られた 可溶化画分を、 前記 kinase特異的抗体あるいは融合蛋白のタグ部分を特異的に認識 する抗体を結合させたカラム、 ビーズ等により常法で単離、 精製することができる 本発明スクリーニングで用いられる基質としては、 公知の酵素特異的基質、 MBP ( myelin basic protein) , またはペプチド等を挙げることができる。 例えば、 TTKで あれば myeline basic protein, STK12であれば histon H3あるレヽはこれに由来する ぺプチド、 MELKであれば myelin basic protein, Cdc7/ASK複合体であれは *MCM等を 挙げることができる。 または前記 TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体と同様の 手法で調製された形質転換細胞から、 常法により組換えタンパクを回収することに
、 - より得ることもできる。
これら基質は、 未標識で用いても良いし、 任意の標識物質で標識されたものを用 いることもできる。
基質を未標識で用いる場合には、 トレーサーとして y 3 2 P-ATPあるいは γ 3 3 Ρ- ATP を用いることもできる。 ここで標識物質として、 放射性同位体 (32Ρ、 3 3 Ρ等) 、 蛍 • 光物質 (Chromagen¾hNorthernLight (登録商標) 、 StarBright (登録商標) 、 Gree n Fluorophore Protein Labeling Kit等) およびビォチン (Pierce社 EZ- Link Biot inylation Kits等) などを例示することができる。
TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の kinase活性の測定は、 TTK、 STK12、 ME LKまたは Cdc7/ASK複合体を含有する水溶液.(通常緩衝液が用いられる) に、 10一3〜 10— 1 Q Mの適当な濃度に調製した被験化合物溶液 (通常溶媒には水もしくは緩衝液が 用いられるが、 溶解度に応じてエタノールゃ DMS0を添加することもできる)を加え た後、 基質 (特異的基質蛋白質あるいはペプチド) 、 0. lm y 3 2 P-ATP、 0. ImM ATP 、 10mM Mg (C2 H302 ) 2、 8mM Mops, pH7. 0、 0. 2m EDTAを加え、 反応 (通常、 30。Cで 10 分〜 1時間) させる。 その後、 上清を phosphocellulose paperにスポットし、 50mM リン酸で数回洗浄後乾燥させ、 放射活性を測定することにより、 リン酸化された基 質量を計測することができる。
上記の数値を、 被験化合物の代わりに溶媒をブランクとして用いて実施した場合 の値 (対照リン酸化量) と比較することにより、 被験化合物が、 前記 kinaseの kina se活性を阻害するか否かを評価することができる。 すなわち候補物質のスクリー二 ングは、 被験物質存在下でのリン酸化基質量が、 被験物質非存在下でのリン酸化基 質量に比して、 減少するか否かを指標にして行うことができる。
阻害率 (%) については、 例えば、 以下の式:
{1- (被験物質を添カ卩した場合の本発明タンパク質による基質のリン酸化量) I (被 験物質非添加時における本発明タンパク質による基質のリン酸化量) } X100 で算出することによって求めることができる。
以下に、 更に具体的な TTK、 STK12、 MELKまたは Cdc7/ASK複合体の kinase活性に基 づく本発明のスクリーニング方法を例示する。
TTKの有する kinase活性に基づく本発明のスクリーユングとしては、 次の工程(a)
·、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 TTKを発現する細胞又は該細胞から精製した TTK蛋白、 放 射線標識した ATPおよび基質を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で生じる基質のリン酸化量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程。
ここで TTKの基質としては myeline basic proteinまたは poly (tyr-Glu) peptide などを挙げることができる。
STK12の有する kinase活性に基づく本発明のスクリーニングとしては、 次の工程( a)、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 STK12を発現する細胞又は該細胞から精製した STK12蛋白 、 放射線標識した ATPおよび基質を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で生じる基質のリン酸化量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程。
ここで STK12の基質としては histone H3あるいはこれに由来するペプチドなどを 挙げることができる。
MELKの有する kinase活性に基づく本発明のスクリーニングとしては、 次の工程(a
)、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 MELKを発現する細胞又は該細胞から精製した MELK蛋白、 放射線標識した ATPおよび基質を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で生じる基質のリン酸化量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程。
ここで MELKの基質としては myeline basic protein等を挙げることができる。 ASKの有する kinase活性に基づく本発明のスクリーニングとしては、 次の工程 (a)
、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 Cdc7/ASK複合体を発現する細胞又は該細胞から精製した Cdc7/ASK複合体蛋白、 放射線標識した ATPおよび基質を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる基質のリン酸化量を測定し、 当該基質のリン 酸化量を、 被験物質非存在下で上記 (a)の反応を行って生じる基質のリン酸化量と 比較する工程、
(c) 上記 (b)の比較結果に基づいて、 基質のリン酸化量の減少 (低下) をもたらす 被験物質を選択する工程。
ここで Cdc7/ASK複合体の基質としては MCM等を挙げることができる。
(3- 3- 2) CKS1の機能 (活性) に基づくスクリーニング
CKS1については、 E3/CKS1複合体が p27K i p lをュビキチン化する性質が知れられて いる。 そのため、 CKS1の公知の機能 (活性) の低下をもたらす被験物質 (候補物質 ) のスクリーニングは、 E3/CKS1複合体が基質 p27K i p lをュビキチン化する性質を利 用して行うことができる。
従って、 本発明のスクリーニングは、 E3/CKS1複合体の基質 p27K i p lに対するュビ キチン化活性を被験物質 (候補物質) が阻害 (抑制) するか否かを測定することに よって行うことができ、 次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
(a) 被験物質の存在下で、 E3/CKS1複合体を発現する細胞から精製した E3/CKS1複合 体蛋白と放射線標識した基質 ρ27κ 1 1及び、 その他のュビキチン化に必要な分子と を接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じるュビキチン化基質 p27K i p l量を測定し、 当該ュ ビキチン化基質量を、 被験物質非存在下で上記 (a)の反応を行って生じるュビキチ ン化基質量と比較する工程、
(c) 上記 (b)の結果に基づいて、 対照ュビキチン化基質量に比してュビキチン化基 質量を低下させる被験物質を選択する工程。
E3/CKS1複合体による基質 p27K i p lのュビキチン化活性の測定は、 例えば、 Sitry, D.ら、 J. Biol. Chem. , 277, 42233-42240, 2002に記載の方法を参考にして行う ことができる。
本発明スクリーニングで用いる E3/CKS1複合体各分子は、 精製物 (単離物) であ
ることが望ましい。 当該 E3/CKS1複合体を天然に発現している細胞、 あるいは当該 E 3/CKS1複合体をコードする遺伝子を細胞に導入して作製した形質転換細胞から前述 の公知の方法で精製することができる。
前記形質転換細胞は、 Molecular Cloning 2nd Edt. , Cold Spring Harbor Labor atory Press (1989)等の基本書に従い、 当業者にとって公知の方法で調製すること ができる。 例えば、 前記 E3/CKS1複合体の各因子の c D NAを pcDNA3. 1誘導体 (ィ ンビトロジェン社) 、 FLAG expression vector (シグマアルドリツチ社) 、 pGEX v ector (アマシャムバイオサイエンス社) などの公知の前記 E3/CKS1複合体各因子蛋 白のみを発現可能なベクターあるいは、 精製物 (単離物) 精製用のタグとの融合蛋 白を発現可能な発現ベクターに挿入する。 .その後、 適当な宿主に導入し、 培養する ことにより、 導入した受容体の D N Aに対応するタンパク質を発現させた形質転換 細胞を作製することができる。 宿主としては、 一般的に広く普及している、 C H O 細胞、 C 1 2 7細胞、 B H K 2 1細胞、 C O S細胞などを用いることができるが、 これに限定されることなく、 酵母、 細菌、 昆虫細胞などを用いることもできる。 ま たタグとしては、 例えば M y cタグ、 H i sタグ、 F L A Gタグ、 GSTタグなどの 従来公知のタグを挙げることができる。
E3/CKS1複合体各因子タンパク質の c DNAを有する発現ベクターの宿主細胞への導 入方法としては、 公知の発現ベクターの宿主細胞への導入方法であれば、 どのよう な方法でもよく、 例えばリン酸カルシウム法 (J. Virol. , 52, 456-467 (1973) ) 、 LT-1 (Panvera社製) を用いる方法、 遺伝子導入用リピッド (Lipofectamine、 Lipo fectin;インビトロジェン社製) を用いる方法などが挙げられる。
前記 E3/CKS1複合体各因子を天然に発現する細胞、 または E3/CKS1複合体各因子を 発現する形質転換細胞より E3/CKS1複合体の精製物 (単離物) を得るには、 前述の ように公知の常法で精製することができる。
本発明スクリーニングで用いられる基質も、 前記 E3/CKS1複合体と同様の手法で 調製された形質転換細胞から、 常法により組換えタンパクを回収することにより得 ることができる。 これら基質は、 任意の標識物質で標識されたものを用いることが できる。 標識物質としては、 放射性同位体 (3 5 S等) 、 蛍光物質 (ChromagenftNort hernLight (登録商標) 、 StarBright (登録商標) 、 Green Fluorophore Protein L
abel ing Kit等) などを例示することができる。
(3-3-3) GPR87の機能 (活性) に基くスクリーニング方法
本発明タンパク質のうち、 GPR87は GPCR (G蛋白共役型受容体; G-protein coupled receptor)であることが知られているが (Wittenberger T.ら、 J. Mol. Biol. , 20 01, 307 (3) : 799- 813、 Lee D. K.ら、 Gene, 2001, 275 ( 1) : 83- 91) 、 現在そのリガン ドは不明である。
そのため、 本発明タンパク質 GPR87の機能または活性の低下をもたらす被験物質 (候補物質) のスクリーニング方法としては、 例えば、 具体的には GPR87と GTPとの 結合活性に基づくスクリ一ユング、 又は GPR87の GPCRとしての生理活性に基づくス クリーニングを挙げることができる。
GPR87と GTPとの結合活性に基づくスクリーニングは、 GPR87が GDP存在下で GTPァ ナログである GTP y Sと結合する性質を利用して行うことが出来る。 すなわち本発明 のスクリーニングは、 GPR87と GTP y Sとの結合 (より具体的には、 GPR87と Gタンパ ク質との複合体と GTP y Sとの結合) を被験物質が阻害 (抑制) するか否かを測定す ることによって行うことができ、 例えば次の工程 (a)、 (b)及び (c)を含むものが例 示される :
(a) GPR87、 被験物質および GTP y Sを接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる GTP y S結合量を測定し、 当該結合量を、 被験 物質非存在下で GPR87、 PGTP y Sを接触させることによって得られる GTP γ S結合量と 比較する工程、 及び
(c) 上記 (b)の結果に基づいて、 対照結合量に比して GTP y S結合量を低下させる被 験物質を選択する工程。
本発明タンパク質 GPR87のリガンドが不明であるが、 GPR87および Gタンパク質の 融合タンパク質を発現させた形質転換細胞、 GPCRに mutaionを入れた形質転換細胞 、 あるいは GPR87を過剰発現させた形質転換細胞等を用いることにより、 リガンド 非存在下でスクリーニングを実施することができる。 具体的には、 Methods in Enz ymology. 343 : 260-73, 2002, J Biol Chem, 276 : 35883- 90, 2001に記載された方法 に従って実施することができる。 ここで用いられる Gタンパク質は、 通常 Gタンパク 質の αサブユニットであり、 4種類のクラス (ct S、 a i/0、 a q , α 1 2 ) が挙げ
、 . られる。 具体的な Gタンパク質としては、 Gqファミリーの Ge 16、 Giファミリーの G c i2、 GSファミリーの GaS2が挙げられる。 すなわち、 それぞれの Gタンパク質と GP R87との融合タンパク質を発現させ、 細胞内 cAMPを上昇させる活性等の GPCRの活性 化に伴う生理活性を測定することによって、 最もスクリーニングに適した Gタンパ ク質を選択することができる。
すなわち、 当業者に公知の方法を用いて、 前記 GPCRの発現ベクターを作製し、 CH 0-K1細胞 · HEK293細胞等に過剰発現させた形質転換細胞を準備する。 ここで、 必要 に応じて、 Gタンパク質の発現ベクターを共発現させることもできる。 次に、 前記 細胞から遠心分離等の操作により、 調製した細胞膜画分を、 適当な緩衝液などの溶 媒中で、 被験物質とともに混合し、 一定時間 (例えば、 30分〜 2時間) インキュべ ートする。 更に、 [35S]-GTPySを混合し、 一定時間 (例えば、 30分〜 2時間) イン キュベート後に、 グラスフィルタ一上で緩衝液で洗浄することにより結合反応を終 了させた後、 フィルター上の放射活性を測定することにより、 前記 GPCRと Gタンパ ク質との複合体に結合した [35S]-GTPvS 量を算出することができる。 候補物質の スクリーニングは、 被験物質存在下での [35S]- GTPYS結合量が、 被験物質非存在下 での [35S]_GTP 7 S結合量に比して、 減少するか否かを指標にして行うことができる なお、 GPR87の GPCRとしての生理活性に基づくスクリーユングとしては、 GPR87お よび Gタンパク質の融合タンパク質を発現させた形質転換細胞、 GPCRに mutaionをい れた形質転換細胞、 あるいは過剰発現させた形質転換細胞等を用いることにより、 リガンド非存在下でスクリーニングを実施することができる。
ここで用いられる Gタンパク質は、 通常 Gタンパク質の αサブユニットであり、 4 種類のクラス (a S、 Q!i/0、 a q α 1 2) が挙げられる。 具体的な Gタンパク質 としては、 Gqファミリーの Get 16、 Giファミ リーの Go:i2、 GSファミリ一の Ga S2が 挙げられる。 すなわち、 それぞれの Gタンパク質と GPR87との融合タンパク質を発現 させ、 細胞内 cAMPを上昇させる活性等の GPCRの活性化に伴う生理活性を測定するこ とによって、 最もスクリーニングに適した Gタンパク質を選択することができる。 例えば GPR87の GPCRとしての生理活性に基づくスクリ一ユングとしては、 次のェ 程 (a)、 (b)及び (c)を含むものが例示される :
- (a) GPR87と被験物質とを接触させる工程、
(b) 上記 (a)の工程に起因して生じる GPCRを介した生理活性を測定し、 当該生理活 性を、 被験物質非存在下の GPCRを介した生理活性と比較する工程、
(c) 上記 (b)の結果に基づいて、 対照生理活性に比して生理活性を低下させる被験 物質を選択する工程。
なお、 GPR87は GPCRであるため、 GPCRを介した生理活性である、 例えばァラキド ン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内カルシウムイオン濃度、 細胞内 cAMP濃度、 細胞内 cGMP濃度、 イノシト"ルリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内タンパク質の リン酸化または c-fos活性化などを指標としてスクリーニングを実施することがで きる。
該生理活性は、 公知の方法、 または市販の測定用キットを用いて測定することが できる。 すなわち、 GPR87を含有する細胞をマルチウエルプレート等に培養する。 新鮮な培地、 あるいは細胞毒性を示さない適当なバッファーに交換し、 被験化合物 を添加して一定時間インキュベートした後、 細胞を抽出、 あるいは上清液を回収し て生成した産物をそれぞれ該当する方法に従って定量する。 生理活性の指標とする 物質 (例えばァラキドン酸など) の生成が、 細胞が含有する分解酵素によって測定 不能な場合は、 該分解酵素に対する阻害剤を併用することもできる。 また、 cAMP産 生抑制などの活性については、 フオルスコリンなどで細胞の産生量を増大させて、 感度良く測定することもできる。
具体的な測定手順としては、 Fluorescent imaging plate reader (FLIPR)を用い て、 細胞内カルシウム濃度の変動を検出することなどが挙げられる。 GPR87が、 Gq 蛋白ではなく Gs蛋白もしくは Gi蛋白と共役して存在する場合でも、 そのシグナルを Gqタイプのシグナルに変換し、 細胞内カルシウムイオン量を測定することにより、 スクリーニングを行うことができる。 具体的には、 該スクリーニング方法は、 以下 の 1)〜3)の工程からなるものである。
1 ) GPR87遺伝子の発現ベクターと、 Gq蛋白、 もしくは Gqs5蛋白 (Gqs5とは、 C末端 に、 Gs蛋白の C末端アミノ酸 5残基を置換した Gq蛋白を意味する。 ) 、 もしくは Gqi 5蛋白 (Gqi5とは、 C末端に、 Gi蛋白の C末端アミノ酸 5残基を置換した Gq蛋白を意 味する。 ) の発現ベクターを作製する。 ここで、 細胞株としては、 CH0- K1細胞等を
用いることができ、 上記発現ベクターを遺伝子導入試薬 Lipofectoamine (Invitroge n社)等を用いて共導入することができる。
2 ) 次に該細胞を、 robenecid (色素を細胞内に保持するために、 multiple drug- resistance pumpの阻害剤として用いる。 ) 、 および Fluo - 3 AM (Molecular Probe社 )等のカルシウムイオンによって蛍光活性を示す色素を含む F12培養培地中で、 C02 インキュベータ一にて一定時間 (例えば 3 0分〜 2時間) 培養する。
3 ) 被験物質を probenecidを含む HBSS等の培養培地に溶解した溶液を、 添加し、 2 分後まで FLIPRにて計測する。 検出は、 488nmのアルゴンレーザーで細胞を励起し、 カルシゥムイオンが結合した Fluo- 3の蛍光を 500- 560 の波長でとらえることによ つて行う。
候補物質の選択は、 被験物質の存在下におけるカルシウムイオン量が、 被験物質 非存在下におけるカルシウムイオン量に比して減少するか否かを指標にして行うこ とができる。
また、 GPR87にリガンドが結合して生じるシグナル伝達により活性化される cAMP の cAMP応答性エレメント (CRE) の下流に^/シフェラーゼ、 クロラムフエニコーノレ ァセチルトランスフェラーゼ、 アルカリホスファターゼ、 成長ホルモン、 GFPなど のレポーター遺伝子を連結し、 レポータージーンアツセィでスクリーユングを行う こともできる。 該スクリーニング方法は、 以下の 1 ) 〜 3 ) の工程からなるもので ある。
1) GPR87遺伝子 (GPR87および Gタンパク質の融合遺伝子、 GPCRに mutaionをいれた遣 伝子等) の発現ベクターと、 Gタンパク (Gs、 Gi) の発現ベクター、 および cAMP応 答性エレメント (CRE) の下流にルシフェラーゼ、 クロラムフエニコールァセチル トラン フェラーゼ、 アルカリホスファターゼ、 成長ホルモン、 GFPなどのレポ一 ター遺伝子を連結した遺伝子を作製する。 ここで、 細胞株としては、 CH0-K1細胞等 を用いることができ、 上記発現ベクターを遺伝子導入試薬 Lipofectoamine (Invit rogen社)等を用いて共導入することができる。 また、 前記 Gタンパクを発現してい る細胞を用いる場合は、 前記 GPCRの遺伝子発現ベクターおよびレポーターベクター のみを導入する。
2 ) 次に該細胞を、 適当な培地中で、 C02インキュベータ一にて一定時間 (例えば 4
〜8時間) 培養する。
3 ) 培地交換後、 被験物質を適当な培養培地に溶解した溶液を添カ卩し、 一定時間 ( 4時間〜 24時間) 後、 公知の常法にてレポーター活性を測定する。 例えばルシフエ ラーゼの場合は、 細胞溶解液で細胞を溶かし、 その一部分を用いてルシフェラーゼ 基質溶液 (プロメガ社 Luciferase assay system等) と反応させた際の発光をルミ ノメーターで測定する。
候補物質の選択は、 被験物質の存在下におけるレポーター活性が、 被験物質非存 在下におけるレポーター活性に比して減少するか否かを指標にして行うことができ る。
上記 (3,1)乃至 (3- 3-3)に記載する本発明スクリーニング方法によって選別された 候補物質は、 さらに癌疾患モデル動物を用いた薬効試験、 安全性試験、 癌疾患患者 への臨床試験に供してもよく、 これらの試験を実施することによって、 より実用的 な癌疾患改善または治療薬を取得することができる。 このようにして選別された物 質は、 さらにその構造解析結果に基づいて、 化学的合成、 生物学的合成 (発酵) ま たは遺伝子学的操作によって、 工業的に製造することができる。
なお、 上記 (3-1)乃至(3-3- 3)に記載する本発明スクリーニング方法は、 癌疾患の 改善又は治療薬の候補物質を選別するのみならず、 癌疾患の改善又は治療薬 (候補 薬) 1 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR 87遺伝子の発現を抑制するか否か、 あるいは ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは G PR87の発現若しくは機能 ·活性を抑制するか否かを評価、 確認するためにも用いる ことができる。 すなわち、 本発明のスクリーニング方法の範疇には、 候補物質の探 索のみならず、 このような評価あるいは確認を目的とするものも含まれる。
(4)本発明のアンチセンスポリヌクレオチド
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝 子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列に相補的な、 または実 質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するものであり、 ASK遺伝子、 CKS1遺 伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現を抑制し得 る作用を有するものであれば、 いずれのアンチセンスポリヌクレオチドであっても よく、 アンチセンス R N A、 アンチセンス D N Aなどが含まれる。
ここで、 実質的に相補的な塩基配列とは、 例えば、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MEL K遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配 列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以上、 最も 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。 特に、 ASK 遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の 塩基配列の N末端部位をコードする部分の塩基配列 (例えば、 開始コドン付近の塩 基配列など) の相補鎖と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは 約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアンチセンスポリヌ クレオチドが好適である。
具体的には、 配列番号: 1〜12のいずれかに記載の塩基配列に相補的な、 もしく は実質的に相補的な配列、 またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチ ドなどが挙げられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、 10〜1000個程度、 好ましくは 15〜500個 程度、 更に好ましくは 16〜30個程度の塩基から構成される。 ヌクレアーゼなどの加 水分解酵素による分解を防ぐために、 アンチセンス D N Aを構成する各ヌクレオチ ドのリン酸残基 (ホスフェート) は、 例えば、 ホスホロチォエート、 メチルホスホ ネート、 ホスホロジチォネートなどの化学修飾リン酸残基に置換されていてもよい 。 これらのアンチセンスポリヌクレオチドは、 公知の D N A合成装置などを用いて 製造することができる。
かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子 、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の R N Aとハイブリダイズすること ができ、 該 R N Aの合成または機能を阻害することができる力 \ あるいは該 R N A との相互作用を介して ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺 伝子または GPR87遺伝子の発現を調節 ·制御することができる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 生体内および生体外で本発明のタン パク質遺伝子の発現を調節 ·制御するのに有用であり、 また病気などの治療または 診断に有用である。 タンパク質遺伝子の 5 ' 端ヘアピンループ、 5 ' 端 6—ベース ペア ' リピート、 5 ' 端非翻訳領域、 ポリペプチド翻訳開始コドン、 タンパク質コ ード領域、 O R F翻訳終止コドン、 3 ' 端非翻訳領域、 3 ' 端パリンドローム領域
または 3, 端ヘアピンループなどは、 好ましい対象領域として選択しうるが、 タン パク質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。 目的核酸と、 対象領域の 少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係については、 目的核酸が対象 領域とハイブリダィズすることができる場合は、 その目的核酸は、 当該対象領域の ポリヌクレオチドに対して 「アンチセンス」 であるということができる。
アンチセンスポリヌクレオチドは、 2—デォキシ一 D—リボースを含有している ポリヌクレオチド、 D—リボースを含有しているポリヌクレオチド、 プリンまたは ピリミジン塩基の N—ダリコシドであるその他のタイプのボリヌクレオチド、 非ヌ クレオチド骨格を有するその他のポリマー (例えば、 市販のタンパク質核酸および 合成配列特異的な核酸ポリマー) または特殊な結合を贪有するその他のポリマー ( 但し、 該ポリマーは D N Aや R N A中に見出されるような塩基のペアリングや塩基 の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する) などが挙げられる。 それら は、 2本鎖 D N A、 1本鎖 D N A、 2本鎖 R N A、 1本鎖 R N A、 D NA: R N A ハイブリッドであってもよく、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリ ゴヌクレオチド) 、 公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた標識 のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然のヌク レオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば 非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネート、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデ ート、 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合または硫黄含有結合 (例 、 ホスホロチォエート、 ホスホロジチォエートなど) を持つもの、 例えばタンパク 質 (例、 ヌクレアーゼ、 ヌクレアーゼ 'インヒビター、 トキシン、 抗体、 シグナル ペプチド、 ポリ一 L一リジンなど) や糖 (例、 モノサッカライドなど) などの側鎖 基を有しているもの、 インターカレント化合物 (例、 アタリジン、 ソラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化 性の金属など) を含有するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を 持つもの (例えば、 αァノマー型の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌクレオ シド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン塩基を含 有するのみでなく、 修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでい て良い。 このような修飾物は、 メチル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化
されたプリンおよびピリミジン、 あるいはその他の椟素環を含むものであってよい 。 修飾されたヌクレオチドぉよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾され ていてよく、 例えば、 1個以上の水酸基がハロゲンと力、 脂肪族基などで置換され ていたり、 またはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。 本発明の アンチセンスポリヌクレオチドは、 R N A、 D N Aまたは修飾された核酸 (R N A 、 D NA) である。 修飾された核酸の具体例としては、 核酸の硫黄誘導体、 チォホ スフエート誘導体、 ポリヌクレオシドアミ ドゃォリゴヌクレオシドアミ ドの分 #に 抵抗性のものなどが挙げられる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 例えば、 以下のように設計されうる 。 すなわち、 細胞内でのアンチセンスポリヌクレオチドをより安定なものにする、 アンチセンスポリヌクレオチドの細胞透過性をより高める、 目標とするセンス鎖に 対する親和性をより大きなものにする、 また、 もし毒性があるような場合はアンチ センスポリヌクレオチドの毒性をより小さなものにする。 このような修飾は、 例え ば Pharm Tech Japan, 8卷, 247頁または 395頁, 1992年、 Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993年などで数多く報告されている。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 リボゾーム、 ミクロスフエアのよう な特殊な形態で供与されたり、 遺伝子治療により適合した、 付加された形態で供与 されてもよい。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷 を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との相互作用を 高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例、 ホスホリピド、 コレステ ロールなど) などの疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂質としては 、 コレステロールやその誘導体 (例、 コレステリルクロ口ホルメート、 コール酸な ど) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3 ' 端または 5 ' 端に付着させること ができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端または 5 ' 端に特異的に配置されたキャップ用 の基で、 ェキソヌクレアーゼ、 R N a s eなどのヌクレアーゼによる分解を阻止す るためのものが挙げられる。 こうしたキャップ用の基としては、 ポリエチレンダリ コール、 テトラエチレンダリコールなどのダリコールをはじめとした当該分野で知 られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それに限定されるものではない。 アンチセ
ンスポリヌクレオチドの阻害活性は、 本発明のスクリーニング方法を用いて調べる ことができる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、 前述のように 2本鎖であってもよく 、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87をコードする R N Aに結合し、 該 R N Aを破壊またはその機能を抑制するものであればよい。 すなわち、 ASK、 CKS1、 MEL K、 STK12、 TTKまたは GPR87をコードする R N Aの一部とそれに相補的な R N Aを含 有する 2本鎖 R N A等も本発明のアンチセンスポリヌクレオチドに含まれる。 該 2 本鎖 R N Aとしては、 例えば、 配列番号 25と配列番号 26、 配列番号 27と配列番号 28 、 配列番号 29と配列番号 30、 配列番号 31と配列番号 32、 あるいは配列番号 33と配列 番号 34からなる 2本鎖 R N Aを挙げることができる。
(5)癌疾患の改善 ·治療剤
本発明は、 癌疾患の改善および治療剤を提供するものである。
本発明は、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子、 GPR 87遺伝子、 およびこれらの遺伝子にコードされるタンパク質が、 癌疾患と関連して いるという新たな知見から、 ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子の発現を抑制する物質、 あるいは ASK、 CKS1、 MELK, S TK12、 TTKまたは GPR87の発現若しくは機能 (活性)を抑制する物質が、 上記疾患の改 善又は治療に有効であるという考えに基づくものである。 すなわち、 本発明の癌疾 患の改善'治療剤は ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝 子または GPR87遺伝子の発現を抑制する物質、 あるいは ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 T TKまたは GPR87のタンパク質発現若しくは機能 (活性)を抑制する物質を有効成分と するものである。
当該有効成分となる ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺 伝子または GPR87遺伝子の発現抑制物質、 あるいは ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKま たは GPR87の発現若しくは機能 (活性)阻害物質は、 上記の本発明スクリ一ユング方 法を利用して選別されたもののみならず、 この選別された物質に関する情報に基づ いて常法に従って化学 ·生化学的手法により、 もしくは工業的に製造されたもので あってもよい。
当該有効成分は、 そのままもしくは自体公知の薬学的に許容される担体 (賦形剤
、 .、 増量剤、 結合剤、 滑沢剤などが含まれる)、 慣用の添加剤などと混合して医薬組 成物として調製することができる。 当該医薬組成物は、 調製する形態 (錠剤、 丸剤 、 カプセル剤、 散剤、 顆粒剤、 シロップ剤などの経口投与剤;注射剤、 点滴剤、 外 用剤、 坐剤などの非経口投与剤)などに応じて経口投与または非経口投与すること ができる。 また投与量は、 有効成分の種類、 投与経路、 投与対象または患者の年齢 、 体重、 症状などによって異なり一概に規定できない。 通常、 1日投与用量として 、 数 mg-2g程度、 好ましくは数十 mg程度を、 1日 1回投与することもでき、 また数回 に分けて投与することができる。
また、 上記有効成分物質が DNAによりコードされるものである場合は、 該 DNAを遺 伝子治療用ベクターに組込み、 遺伝子治療を行うこと 考えられる。
更に、 上記有効成分物質が本発明のアンチセンスポリヌクレオチドの場合は、 そ のままもしくは遺伝子治療用ベクターにこれを組込むことにより、 遺伝子治療を行 うこともできる。 これらの場合も、 遺伝子治療用組成物の投与量、 投与方法は患者 の体重、 年齢、 症状などにより変動し、 当業者であれば適宜選択することが可能で ある。
上記アンチセンスポリヌクレオチドを利用する遺伝子治療にっき詳述すれば、 該 遺伝子治療は、 通常のこの種の遺伝子治療と同様にして、 例えばアンチセンスオリ ゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体を直接患者の体内に投与することにより目 的遺伝子の発現を制御する方法、 もしくはアンチセンス RNAを患者の標的細胞に導 . 入することにより該細胞による目的遺伝子の発現を制御する方法により実施できる アンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学的修飾体は、 細胞内でセンス鎖 mR NAに結合して、 目的遺伝子の発現、 即ち ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87 の発現を制御することができ、 力べして ASK、 CKS 1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87 の機能 (活性)を制御することができる。
アンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学的修飾体を直接生体内に投与する 方法において、 用いられるアンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学修飾体は 、 好ましくは 10〜1000塩基、 さらに好ましくは 15〜500塩基、 最も好ましくは 16〜3 0塩基の長さを有するものとすればよい。 その投与に当たり、 アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドまたはその化学的修飾体は、 通常慣用きれる安定化剤、 緩衝液、 溶媒 などを用いて製剤化され得る。
アンチセンス RNAを患者の標的細胞に導入する方法において、 用いられるアンチ センス RNAは、 好ましくは 10塩基以上、 より好ましくは 15塩基以上、 さらに好まし くは 16塩基以上の長さを有するものとすればよい。 また、 この方法は、 生体内の細 胞にアンチセンス遺伝子を導入する in vivo法および一旦体外に取り出した細胞に アンチセンス遺伝子を導入し、 該細胞を体内に戻す ex vivo法を包含する(日経サイ エンス, 1994年 4月号, 20-45頁、 月刊薬事, 36 (1) , 23-48 (1994)、 実験医学増刊 , 12 (15) , 全頁 (1994)など参照)。 この內では in vivo法が好ましく、 これには、 ウィルス的導入法 (組換えウィルスを用いる方法)と非ウィルス的導入法がある (前 記各文献参照) 。
上記組換えウィルスを用いる方法としては、 例えばレトロウイルス、 レンチウイ ルス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルス、 ヘルぺスウィルス、 センダイウィル ス、 ワクシニアウィルス、 ポリオウイルス、 シンビスウィルスなどのウイノレスゲノ ムに本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを組込んで生体内に導入する方法が挙 げられる。 この中では、 レトロウイルス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルスな どを用いる方法が特に好ましい。 非ウィルス的導入法としては、 リボソーム法、 リ ポフエクチン法などが挙げられ、 特にリボソーム法が好ましい。 他の非ウィルス的 導入法としては、 例えばマイクロインジェクション法、 リン酸カノレシゥム法、 エレ ク トロポレーシヨン法なども挙げられる。
遺伝子治療用製剤組成物は、 上述したアンチセンスポリヌクレオチドまたはその 化学修飾体、 これらを含む組換えウィルスおよびこれらウィルスが導入された感染 細胞などを有効成分とするものである。 該組成物の患者への投与形態、 投与経路な どは、 治療目的とする疾患、 症状などに応じて適宜決定できる。 例えば注射剤など の適当な投与形態で、 静脈、 動脈、 皮下、 筋肉内などに投与することができ、 また 患者の疾患対象部位に直接投与、 導入することもできる。 in vivo法を採用する場 合、 遺伝子治療用組成物は、 本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含む注射剤 などの投与形態の他に、 例えば本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含有する ウィルスベクターをリボソームまたは膜融合リボソームに包埋した形態(センダイ
、 - ウィルス(HVJ) -リボソームなど)とすることができる。 これらのリボソーム製剤形 態には、 懸濁剤、 凍結剤、 遠心分離濃縮凍結剤などが含まれる。 また、 遺伝子治療 用組成物は、 上記本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含有するベクターを導 入されたウイルスで感染された細胞培養液の形態とすることもできる。 これら各種 形態の製剤中の有効成分の投与量は、 治療目的である疾患の程度、 患者の年齢、 体 重などにより適宜調節することができる。 通常、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKま たは GPR87遺伝子に対するアンチセンスポリヌクレオチドの場合は、 患者成人 1人当 たり約 0. 0001- 100mg、 好ましくは約 0. 001- lOmgが数 ないし数力月に 1回投与され る量とすればよい。 アンチセンスポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター の場合は、 レトロウイルス力価として、 1日患者体重 lkg当たり約 l X 103 pfu- 1 X 101 5 pfuとなる量範囲から選ぶことができる。 アンチセンスポリヌクレオチドを導入し た細胞の場合は、 1 X 104細胞 /body- I X 101 5細胞/ body程度を投与すればよい。
さらに、 本発明は、 (i) 本発明のタンパク質をコードする R N Aの一部とそれ に相補的な R N Aを含有する二重鎖 R N A、 (ii) 前記二重鎖 R NAを含有してな る医薬、 (iii) 本発明のタンパク質をコードする R NAの一部を含有するリボザ ィム、 (iv) 前記リボザィムを含有してなる医薬、 (V) 前記リボザィムをコード する遺伝子 (D NA) を含有する発現ベクターなども提供する。 上記アンチセンス ポリヌクレオチドと同様に、 二重鎖 R NA、 リボザィムなども、 本発明の D N Aか ら転写される R N Aを破壊またはその機能を抑制することができる。 本発明のタン パク質 Aまたはそれをコードする D N Aの機能を抑制することができる二重鎖 R N A、 リボザィムなどは、 例えば、 癌疾患 (例えば^ ί癌など) などの予防,治療剤な どとして使用することができる。
二重鎖 R NAは、 公知の方法 (例、 Nature, 411卷, 494頁, 2001年) に準じて、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。 リボザィ ムは、 公知の方法 (例、 TRENDS in Molecular Medicine, 7卷, 221頁, 2001年) に 準じて、 本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。 例えば、 公知のリボザィムの配列の一部を本発明のタンパク質をコードする R N A の一部に置換することによって製造することができる。 本発明のタンパク質をコー ドする R N Aの一部としては、 公知のリボザィムによって切断され得るコンセンサ
ス配列 NU X (式中、 Nはすべての塩基を、 Xは G以外の塩基を示す) の近傍の配 列などが挙げられる。 上記の二重鎖 R N Aまたはリボザィムを上記予防 ·治療剤と して使用する場合、 アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、 投与す ることができる。 また、 前記 (V) の発現ベクターは、 公知の遺伝子治療法などと 同様に用い、 上記予防 ·治療剤として使用する。
(6)本発明の腫瘍抗原タンパク質
本発明は、 ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87 (以下、 本発明の腫瘍抗原 タンパク質と称する場合がある) を有効成分として含有する細胞傷害性 Τ細胞 (以 下、 C T L ) の誘導剤を提供する。 具体的には、 配列番号: 13〜18のいずれかに記 載のアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する C T Lの誘 導剤を提供する。 本発明の CTLの誘導剤の有効成分である腫瘍抗原タンパク質は、 天然物 (例えば肺癌細胞株) に由来するタンパク質であってもよく、 また組換えタ ンパク質であっても良い。
前記において 「配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と同一のアミ ノ酸配列を含有するタンパク質 (配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配 列を含有するタンパク質) 」 とは、 具体的には、 配列番号: 13〜18のいずれかに記 載のアミノ酸配列からなるタンパク質、 または配列番号: 13〜18のいずれかに記載 のァミノ酸配列を含有し、 その Ν末端側及び/又は C末端側に他のァミノ酸配列の 付加されたァミノ酸配列からなるタンパク質などが挙げられる。
また前記において 「配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と実質的 に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質」 とは、 具体的には以下の (a)〜(c)に 挙げるタンパク質が挙げられる :
(a)配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列において 1若しくは複数の ァミノ酸が欠失、 置換及び/又は付加されたァミノ酸配列を含有するタンパク質で あって、 かつ当該タンパク質を発現させた細胞が C T Lにより認識される特徴を有 するタンパク質、
(b)配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と 7 0 %以上の配列同一性 を示すアミノ酸配列を含有するタンパク質であって、 かつ当該タンパク質を発現さ せた細胞が C T Lにより認識される特徴を有するタンパク質、
(c)配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオ チドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダィズするポリヌクレ ォチドによりコードされるタンパク質であって、 かつ当該タンパク質を発現させた 細胞が C T Lにより認識される特徴を有するタンパク質。
好ましくは、 配列番号: 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列と実質的に同一 のアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。 当該配列番号: 13〜18のいずれ かに記載のァミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列からなるタンパク質として は、 以下の (a' ;)〜 (c' :)に挙げるタンパク質が挙げられる :
(a' )配列番号: 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列において 1若しくは複数 のアミノ酸が欠失、 置換及び Z又は付加されたアミノ醉配列からなるタンパク質で あって、 かつ当該タンパク質を発現させた細胞が C T Lにより認識される特徴を有 するタンパク質、
(b' )配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列と 7 0 %以上の配列同一 性を示すアミノ酸配列からなるタンパク質であって、 かつ当該タンパク質を発現さ せた細胞が C T Lにより認識される特徴を有するタンパク質、
(c' )配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレ ォチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダィズするポリヌク レオチドによりコードされるタンパク質であって、 かつ当該タンパク質を発現させ た細胞が C T Lにより認、識される特徴を有するタンパク質。
前記 (a)における 「配列番号: 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列において 1若しくは複数のァミノ酸が欠失、 置換及び Z又は付加されたァミノ酸配列を含有 するタンパク質」 とは、 人為的に作製したいわゆる改変タンパク質や、 生体内に存 在するアレル変異体等のタンパク質を意味する。
ここでタンパク質におけるアミノ酸の変異数や変異部位は、 本発明タンパク質の 活性が保持される限り制限はない。 このように活性を喪失することなくアミノ酸残 基が、 どのように、 何個欠失、 置換及び/又は付加されればよいかを決定する指標 は、 当業者に周知のコンピュータプログラム、 例えば DNA Star softwareを用いて 見出すことができる。 例えば変異数は、 典型的には、 全アミノ酸の 10%以内であり 、 好ましくは全アミノ酸の 5%以内である。 また置換されるアミノ酸は、 タンパク
、 - 質の構造保持の観点から、 残基の極性、 電荷、 可溶性、 疎水性、 親水性並びに両親 媒性など、 置換前のァミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。 例えば、 Ala、 Val、 Leu、 Ile、 Pro, Met, Phe及び Trpは互いに非極性アミノ酸に分 類されるアミノ酸であり、 Gly、 Ser、 Thr、 Cys、 Tyr、 Asn及び Ginは互いに非荷電 性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、 Asp及び Gluは互いに酸性アミノ酸に分 類されるアミノ酸であり、 また Lys、 Arg及び Hisは互いに塩基性アミノ酸に分類さ れるアミノ酸である。 ゆえに、 これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選 択することができる。
前記 (b)における 「配列番号: 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列と 70%以 上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含有するタンパク質」 とは、 例えば配列番号 : 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列と約 70%以上、 より好ましくは約 80%以 上、 さらに好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の配列同一性を示す アミノ酸配列を含有するタンパク質が挙げられる。 具体的には、 配列番号: 13〜18 のいずれかに記載のァミノ酸配列の部分配列からなるタンパク質などが挙げられる 。
ここで 「配列同一性」 とは、 2つのタンパク質間の、 配列の同一性及び相同性を いう。 当該 「配列同一性」 は、 比較対象の配列の領域にわたって、 最適な状態にァ ラインメントされた 2つの配列を比較することにより決定される。 ここで、 比較対 象のタンパク質は、 2つの配列の最適なアラインメントにおいて、 付加又は欠失 ( 例えばギャップ等) を有していてもよい。 このような配列同一性に関しては、 例え ば、 Vector NTIを用いて、 ClustalWアルゴリズム (Nucleic Acid Res.,22(22):4673-468 0(1994))を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。 尚、 配列同一性は、 配列解析ソフト、 具体的には Vector NTI、 GE ETYX-MACや 公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。 前記公共データ ベースは、 例えば、 ホームページアドレス http:〃 www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、 一般 的に利用可能である。
前記 (c)における 「配列番号: 13〜18のいずれかに記載のァミノ酸配列をコード するポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイ ズするポリヌクレオチド」 とは、 例えば配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミ
、 ' ノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約 40%以上、 好ましくは約 60%以上、 よ り好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 さらに好ましくは約 90%以 上、 最も好ましくは約 95%以上の配列同一性を有する塩基配列を含有するポリヌク レオチドが挙げられる。
ハイブリダィゼ一シヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば
Molecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等の基本書 に記載の方法に従って行うことができる。 また市販のライブラリーを使用する場合 、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
ここで 「ストリンジェントな条件」 とは、 前述の (1) 項に記載の条件である。 本発明の腫瘍抗原タンパク質は、 配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸 配列からなるタンパク質と実質的に同質の活性を有する。 ここで実質的に同質の活 性とは、 本発明の腫瘍抗原タンパク質を発現させた細胞が CTLにより認識される、 すなわち当該細胞が CTLに反応性を示す、 換言すれば本発明の腫瘍抗原タンパク質 若しくは該タンパク質に由来する抗原べプチドが CTLを活性化する若しくは CTLを 誘導するという性質を示す。
前記において細胞とは、 HLA抗原を発現する細胞であることが好ましい。 従って 前記実質的に同質の活性とは、 より具体的には、 例えば HLA-A24等の HLA抗原を 発現する細胞において本発明の腫瘍抗原タンパク質を発現させることにより、 本発 明タンパク質由来の抗原べプチドと HLA抗原との複合体が細胞表面に提示され、 そ の結果、 当該細胞が CTLに認識される、 すなわち CTLが活性化される (CTLが誘導 される) という性質を指す。
このような本発明タンパク質の性質は、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方 法 (例えば5 1 Crリリースアツセィ (J.ImmunoL, 159:4753, 1997) 、 LDHリリースアツ セィ (LDH Cytotoxicity Detection Kit (タカラバイオ) 、 サイトカイン量の測定等 ) により容易に測定することができる。 以下に具体的なアツセィ法を例示する。 まず、 293-EBNA細胞 (Invitrogen社) 等の宿主細胞に対し、 本発明タンパク質を コードする DNAを含有する発現ベクターと、 HLA抗原をコードする DNAを含有す る発現ベクターとをトランスフエクトする。 ここで用いる HLA抗原をコードする D NAとしては、 例えば HLA-A24抗原をコードする DNA挙げられる。 HLA-A24抗原を
コードする DNAとしては HLA-A2402の cDNA (Cancer Res., 55: 4248-4252 (1995)、 Genbank Accession No.M64740) 力挙げられる。
前記トランスフエク トは、 例えばリボフエタ トァミン試薬 (GfflCO BRL社製) を用いたリポフエクチン法などにより行うことができる。 その後、 用いた HLA抗原 に拘束性の CTLを加えて作用させ、 該 CTLが反応 (活性化) して産生する種々のサ ィ トカイン、 例えば IFN- γの量を、 例えば E L I S A法などで測定することにより 調べることができる。 ここで CTLとしては、 ヒ トの末梢血リンパ球を配列番号: 13 〜 18のいずれかに記載の本発明タンパク質で刺激することにより調製された CTLや 、 Int. J. Cancer, 39, 390-396, 1987, N. Eng. J. Med, 333, 1038-1044, 1995等に記載 の方法により樹立した CTLを用いることができる。
また本発明の腫瘍抗原タンパク質は、 例えばヒ トモデル動物を用いたアツセィ ( WO 02/47474 号公報、 Int J. Cancer: 100,565-570 (2002)) に供することにより、 in vivoでの CTL誘導活性を調べることができる。
本発明の腫瘍抗原タンパク質は、 天然物 (例えば骨肉種細胞株、 腎癌細胞株など ) から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造することもできるし、 また後 述する本発明の腫瘍抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する核酸 を含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
(7) 本発明のペプチド
本発明は、 前記本発明の腫瘍抗原タンパク質の部分ペプチドであって、 かつ HLA 抗原と結合して CTLにより認識される腫瘍抗原ペプチド (以下、 本発明のペプチド と称する場合がある) を有効成分として含有する CTLの誘導剤を提供する。 具体的 には、 本発明の CTLの誘導剤の有効成分であるペプチドは、 本発明の腫瘍抗原タン パク質のアミノ酸配列の一部よりなるペプチドであって、 かつ、 該ペプチドと H L A抗原との結合複合体が CTLにより認識されるようなぺプチドであれば、 本発明の 腫瘍抗原タンパク質のァミノ酸配列中の如何なる位置に存する如何なる長さのぺプ チドであっても良い。
このような本発明のぺプチドは、 本発明の JB瘍抗原タンパク質の一部よりなる候 補べプチドを合成し、 該候補べプチドと H L A抗原との複合体が CTLにより認、識さ れるか否か、 すなわち候補べプチドが腫瘍抗原べプチドとしての活性を有するか否
かをアツセィすることにより、 同定することができる。
ここで、 ペプチドの合成については、 通常のペプチド化学において用いられる方 法に準じて行うことができる。 該公知方法としては文献 (ぺプタイド · シンセシス
(Peptide Synthesis) , Interscience, New York, 1966;ザ 'プロティンズ (The Pro teins) , Vol 2, Academic Press Inc., New York, 1976;ぺプチド合成, 丸善 (株 ) , 1975;ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) , 1985 ;医薬品の開発 続 第
1 4卷'ペプチド合成, 広川書店, 1991) などに記載されている方法が挙げられる 次に、 本発明の腫瘍抗原ペプチドの同定方法につき、 以下に記述する。
HLA-A1, -A0201, -A0204, -A0205, -A0206, -A0207, -Al l, -A24, -A31, -A6801, - B7, -B8, -B2705, -B37, -Cw0401, -Cw0602などの H L Aの型については、 該 H L A に結合して提示される抗原ペプチドの配列の規則性 (モチーフ) が判明している ( 例えば Immunogenetics,41:pl78,1995などを参照のこと) 。 例えば HLA-A24のモチー フとしては、 8〜 11アミノ酸よりなるぺプチドのうちの第 2位のァミノ酸がチロシ ン、 フエ二ルァラニン、 メチォニンまたはトリプトファンであり、 C末端のァミノ 酸がフエ二ルァラニン、 ロイシン、 イソロイシン、 トリプトファンまたはメチォ二 ンとなることが知られている (J.Immunol.,152,p3913,1994、 Immunogenetics,41 :p 178, 1995、 J.Immunol , 155 :p4307, 1994) 。 また HLA-A2のモチーフについては、 以下の表 1に示したモチーフが知られている (Immunogenetics,41,pl78,1995、 J.Immunol., 15 5:p4749,1995) 。
表 1
HLA-A2のタイプ N末端から 2番目のアミノ酸 C未端のアミノ酸
HLA-A0201 L , M V, L
HLA-A0204 L L
HLA-A0205 V, L, I , M L
HLA-A0206 V, Q V, L
HLA-A0207 し し
(ペプチドの長さは 8〜11ァ さらに近年、 H L A抗原に結合可能と予想されるペプチド配列を、 インターネッ ト上、 NIHの BIMASのソフトを使用することにより検索することができる (http:〃 b
imas. dcrt. nih. gov/molbio/hla_bind/ ) 0
ぺプチドの長さとしては、 各種 HLA分子に結合している抗原べプチドの解析によ り (I隱 unogenetics, 41:178, 1995) 、 通常 8〜14アミノ酸程度であることが明ら かにされている (ただし HLA-DR、 -DP、 -DQについては、 14アミノ酸以上の長さ の抗原ペプチドも認められる) 。
これらのモチーフに関わるペプチド部分を本発明の腫瘍抗原タンパク質のァミノ 酸配列中から選び出すのは容易である。 例えば、 前記 BI ASソフトでの検索により 、 HLA抗原に結合可能と予想される配列を容易に選び出すことができる。 選び出 された候補べプチドを前述の方法にて合成し、 該候補べプチドが HLA抗原と結合 して CTLにより認識されるか否か、 すなわち候補べプチドが腫瘍抗原べプチドと しての活性を有するか否かを測定することにより、 本発明のぺプチドを同定するこ とができる。
本発明の腫瘍抗原べプチドの具体的な同定法としては、 例えば J. Immunol. , 154, p2257, 1995に記載の方法が挙げられる。 すなわち、 候補ペプチドを提示すると考え られるタイプの HLA抗原が陽性のヒ トから末梢血リンパ球を単離し、 in vitroで 該候補べプチドを添カ卩して刺激した場合に、 該候補べプチドをパルスした HLA抗原 陽性細胞を特異的に認識する CTLが誘導された場合は、 該候補べプチドが腫瘍抗原 ペプチドに成り得ることが示される。 ここで CTLの誘導の有無は、 例えば、 抗原べ プチド提示細胞に反応して CTLが産生する種々のサイ ト力イン (例えば IFN-γ) の 量を、 例えば ELISA法、 ELISP0T法などによって測定することにより、 調べることが できる。 また51 Crで標識した抗原べプチド提示細胞に対する CTLの傷害性を測定す る方法 (5lCrリリースアツセィ、 Int. J. Cancer, 58: p317, 1994) によっても調べる ことができる。
さらに、 候補べプチドを提示すると考えられるタイプの HL A抗原をコードする c DNAを発現する発現プラスミ ドを、 例えば 293- EBNA細胞 (Invitrogen社) に 導入した細胞に対して候補ペプチドをパルスし、 この細胞に対して、 前記候補ぺプ チドを提示すると考えられるタイプの HLA抗原に拘束性の CTLを反応させ、 該 CTL が産生する種々のサイ ト力イン (例えば IFN-γ) の量を測定することによつても、 調べることができる (J. Exp. Med. , 187: 277, 1998) 。
ここで HLA抗原としては、 HLA- A24抗原が挙げられる。 HLA-A24拘束性の腫瘍抗原 ぺプチドを選択する場合には、 前記 HLA抗原をコードする c D NAとしては HLA- A24 02の cD NA (Cancer Res., 55: 4248 - 4252 (1995)、 Genbank Accession No. M6474 0) を用いることができる。
また前記 CTLとしては、 ヒ トの末梢血リンパ球のペプチド刺激により調製される 場合の他、 Int. J. Cancer, 39, 390-396, 1987, N. Eng. J. Med, 333, 1038-104 4, 1995等に記載の方法により樹立した CTLを用いることができる。
また本発明のペプチドは、 例えばヒ トモデル動物を用いたアツセィ (W0 02/4747 4 号公報、 Int J. Cancer : 100, 565- 570 (2002) ) に供することにより、 in vivoで の活性を調べることができる。
以上のような本発明のぺプチドの具体例としては、 配列番号: 13〜18のいずれか に記載のァミノ酸配列からなる本発明腫瘍抗原タンパク質の部分べプチドであって 、 かつ HLA抗原と結合して CTLにより認識されるペプチドが挙げられる。 また、 本発 明のぺプチドが結合する HLA抗原の観点からは、 HLA-A24抗原に結合する本発明のぺ プチドを挙げることができる。
より具体的には、 例えば HLA- A24結合性の腫瘍抗原ペプチドとしては、 以下の表 2 (ASKの部分ペプチド) 、 表 3 (CKS1の部分ペプチド) 、 表 4 (MELKの部分ぺプ チド) 、 表 5 (STK12の部分ペプチド) 、 表 6 (TTKの部分ペプチド) および表 7 ( GPR87の部分ペプチド) に記載のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド (配列 番号: 37〜225のいずれかに記載のァミノ酸配列からなるぺプチド) であって、 HL A-A24抗原に結合して CTLに認識されるペプチドが挙げられる。
-表 2
位置 アミノ酸配列(配列番号) 置 アミノ酸配列(配列番号)
302-310 ' KYEDLETHL (配列番号: 37) 390-398 TTVKEQNFL (配列番号: 53)
277-285 KYGGTSIQL (配列番号: 38) 624-632 TSEEKSEFL (配列番号: 54)
228-236 LYRPFYLQL (配列番号: 39) 611-619 CSSPVQSLL (配列番号: 55)
DFPSNSIL (配列番号: 40) 469-477 LSENDLEEL (配列番号: 56)
445-453 RQNFTQLPL (配列番号: 41 ) 525-533 SIFTHDSGL (配列番号: 57)
63-71 KLQKD1KDL (配列番号: 42) 526-534 IFTHDSGLI (配列番号: 58)
21-29 KNEKNRPSL (配列番号: 43) 238-246 NMPFINYSI (配列番号: 59)
51-59 FYLDLPSVT (配列番号: 44) 641-649 SGICNVLDI (配列番号: 60)
323-331 QYQWDDIV (配列番号: 45) 358-366 LSPVSASVL (配列番号: 61 )
94-102 KFAQTLGRK配列番号: 46) 404-412 ETEKKLLFI (配列番号: 62)
24-32 KNRPSLKSL (配列番号: 47) 234-242 LQLTNMPFI (配列番号: 63)
350-358 RIKYSVGSL (配列番号: 48) 390-398 TTVKEQNFL (配列番号: 64)
429-437 KMSNKCSML (配列番号: 49) 456-464 NKQEGILDI (配列番号: 65)
401-409 ETQETEKKL (配列番号: 50) 79-87 LSKDISYU (配列番号: 66)
186-194 LYLLKKSST (配列番号: 51) 181-189 QKKKELYLL (配列番号: 67)
326-334 VVDDIVSKL (配列番号: 52)
表 3
位置 アミノ酸配列(配列番号) 位置 アミノ酸配列(配列番号)
16-24 EFEYRHVML (配列番号: 68) 18-26 EYRHV LPK (配列番号: 81 )
11-19 KYDDEEFEY (配列番号: 69) 29-37 AKLVPKTHL (配列番号: 82)
23-31 MLPKDIAKL (配列番号: 70) 7-15 YYSDKYDDE (配列番号: 83)
65-73 HILLFRRPL (配列番号: 71 ) 6-14 IYYSDKYDD (配列番号: 84)
38-46 MSESEWRNL (配列番号: 72) 20-28 RHVMLPKDI (配列番号: 85)
61-69 EPEPHILLF (配列番号: 73) 4-12 KQIYYSDKY (配列番号: 86)
30-38 KLVPKTHLM (配列番号: 74) 9-17 SDKYDDEEF (配列番号: 87)
51-59 SQGWVHYMI (配列番号: 75) 47-55 GVQQSQGWV (配列番号: 88)
58-66 MIHEPEPH1 (配列番号: 76) 45-53 NLGVQQSQG (配列番号: 89)
56-64 HYMIHEPEP (配列番号: 77) 46-54 LGVQQSQGW (配列番号: 90)
50-58 QSQGWVHYM (配列番号: 78) 44-52 RNLGVQQSQ (配列番号: 91 )
59-67 IHEPEPHIL (配列番号: 79) 48-56 VQQSQGWVH (配列番号: 92)
60-68 HEPEPH1LL (配列番号: 80) 10-18 DKYDDEEFE (配列番号: 93)
' 表 4
位置 アミノ酸配列 (配列番号) 位置 アミノ酸配列(配列番号)
96-104 DYHSQDRL (配列番号: 94) 502-510 RCRSVELDL (配列番号: 112)
199-207 LYVL CGFL (配列番号: 95) 574-582 LLNEIMSIL(配列番号:113)
560-568 HYNVTTTRL (配列番号: 96) 114-122 RQIVSAVAY (配列番号:114)
373-381 DYDWCEDDL (配列番号: 97) 581-589 ILPKKHVDF (配列番号: 115)
9-17 KYYELHETI (配列番号: 98) 112-120 VFRQIVSAV (配列番号:116)
87-95 EYCPGGELF (配列番号: 99) 263-271 IMQDYNYPV (配列番号:117)
637-645 VYKRLVEDI (配列番号: 100) 568-576 LVNPDQLLN (配列番号:118)
588-596 DFVQKGYTL (配列番号: 101 ) 596-604 LKGQTQSDF (配列番号:119)
610-618 QFELEVCQL (配列番号: 102) 364-372 DKNYVAGU (配列番号: 120)
526-534 VFGSLERGL (配列番号: 103) 236-244 SILLLQQ L (配列番号:121 )
567-575 RLVNPDQLL (配列番号: 104) 130-138 HRDLKPENL (配列番号: 122)
603-611 DFGKVTMQF (配列番号: 105) 266-274 DYNYPVEWQ (配列番号: 123)
326-334 RGKPVRLRL (配列番号: 106) . 232-240 LSPSSILLL (配列番号: 124)
522-530 KGAKVFGSL (配列番号: 107) 231-239 WLSPSS1LL (配列番号: 125)
450-458 KNQHKRE1L (配列番号: 108) 313-321 LTATYLLLL (配列番号: 126)
395-403 KYWTESNGV (配列番号: 109) 143-151 YHKLKUDF (配列番号: 127)
230-238 KWLSPSSIL (配列番号: 110) 638-646 YKRLVEDIL (配列番号: 128)
145-153 KLKUDFGL (配列番号:111 ) 201-209 VLMCGFLPF (配列番号: 222)
78-86 TANKIFMVL (配列番号: 223) 300-308 TMEDUSLW (配列番号: 224)
436-444 EEYF FPEP (配列番号: 225)
表 5
位置 アミノ酸配列 (配列番号) 位置 アミノ酸配列(配列番号)
144-152 . FYDRRRIYL (配列番号: 129) 295-303 SVPTGAQDL (配列番号: 143) 189-197 MYCHGKKVI (配列番号: 130) 16-24 TAPSGLSTし (配列番号: 144) 142-150 NYFYDRRR1 (配列番号: 131 ) 310-318 HNPSERLPL (配列番号: 145) 100-108 HFIVALKVL (配列番号: 132) 259-267 IGVLGYELL (配列番号: 146) 202-210 KPENLLLGL (配列番号: 133) 155-163 EYAPRGELY (配列番号: 147) 176-184 RTAT1MEEL (配列番号: 134) 211-219 KGELKIADF (配列番号: 148) 299-307 GAQDUSKL (配列番号: 135) 101 -109 FIVALKVLF (配列番号: 149) 284-292 RIVKVDLKF (配列番号: 136) 15-23 QTAPSGLST (配列番号: 150) 180-188 IMEEU\DAL (配列番号: 137) 14-22 RQTAPSGLS (配列番号: 151 ) 91-99 VYLAREKKS (配列番号: 138) 32-40 EPVTPSALV (配列番号: 152) 248-256 RMHNEKVDL (配列番号: 139) 333-341 RVLPPSALQ (配列番号: 153) 85 - 93 KGKFGNVYL (配列番号: 140) 237-245 LDYLPPEMI (配列番号: 154) 206-214 LLLGLKGEL (配列番号: 141 ) 265-273 ELLVGNPPF (配列番号: 155) 162-170 LYKELQKSC (配列番号: 142)
位置 アミノ酸配列 (配列番号) 位置 アミノ酸配列(配列番号)
90-98 RYSQAEAL (配列番号: 156) 596-604 QYIYMVMEG. (配列番号: 174) 567-575 SYRNEIAYL (配列番号: 157) 535-543 GSSKVFQVL (配列番号: 175) 549-557 IYAIKYVNL (配列番号: 158) 490- 498 CFQQQQHQK配列番号: 176) 590-598 DYEITDQYI (配列番号: 159) 491- 499 FQQQQHQIL (配列番号: 177) 652-660 NFLIVDGML (配列番号: 160) 15-23 SIMNKVRDI (配列番号: 178) 141-149 KFAFVHISF (配列番号: 161 ) 49-57 SGTVNQIMM (配列番号: 179) 214-222 SFSGSLGHL (配列番号: 162) 734-742 FQQHNQIS (配列番号: 180) 28-36 KNEDLTDEU配列番号: 163) 524-532 IYSILKQIG (配列番号:181 ) 111-119 RIQVRFAEL (配列番号: 164) 573-581 AYLNKLQQH (配列番号: 182) 108-116 SFARIQVRF (配列番号: 165) 654-662 UVDGMLKL (配列番号: 183) 71-79 . KLEKNSVPL (配列番号: 166) 501-509 TPLQNLQVL (配列番号: 184) 201-209 KNLSASTVL (配列番号: 167) 588-596 LYDYEITDQ (配列番号: 185) 467-475 RTPWKNDF (配列番号: 168) 172-180 RGAVPLEML (配列番号: 186) 102-110 KYGQNESFA (配列番号: 169) 645-653 HSDLKPANF (配列番号: 187) 19-27 KVRDIKNKF (配列番号: 170) 76-84 SVPLSDALL (配列番号: 188) 777-785 KQRIS1PEL (配列番号: 171 ) 712-720 SPKSDVWSL (配列番号: 189) 75-83 NSVPLSDAL (配列番号: 172) 810-818 KYVLGQLVG (配列番号:190) 605-613 GNIDLNSWL (配列番号: 173) 254-262 GYRNSLRQT (配列番号: 191 ) 表 7
位置 アミノ酸配列 (配列番号) 位置 アミノ酸配列 (配列番号)
139-147 RYLKVVKPF (配列番号: 192) 50-58 UIFVAS1L (配列番号: 207)
292- 300 . LYYCKEITL (配列番号: 193) 208-216 TYVNSGLFV (配列番号: 208) 225-233 CYIAISRYK配列番号: 194) 78-86 FYLKNIVVA (配列番号: 209)
293- 301 YYCKEITLF (配列番号: 195) 75-83 SF1FYLKN1 (配列番号: 210) 313-321 IYFFMGRSF (配列番号: 196) 126- 134 YTSIVFLGL (配列番号: 211 ) 121-129 FYANMYTSI (配列番号: 197) 258-266 VAVFFTCFL (配列番号: 212) 214-222 LFVAVLV1L (配列番号: 198) 298- 306 1丁1^し5八0 配列番号:213) 2-10 . GFNLTLAKL (配列番号: 199) 299- 307 1"し し5 01^(配列番号:214) 276-284 TFSHLDRLL (配列番号: 200) 300- 308 1^し5 01^0(配列番号:215) 272-280 RIPFTFSHL (配列番号: 201 ) 260-268 1"0「し 丫(配列番号:216) 115-123 RYTSVLFYA (配列番号: 202) 127- 135 丁51 し01_1(配列番号:217) 103-111 GFGPWYFKF (配列番号: 203) 228-236 AISRY1HKS (配列番号: 218) 48-56 LYUIFVAS (配列番号: 204) 72-80 ^^丁5 《^し(配列番号:219) 267-275 PYHLCRIPF (配列番号: 205) 125-133 MYTSIVFLG (配列番号: 220) 133-141 GUS1DRYL (配列番号: 206) 221-229 1UGCYIAI (配列番号: 221 )
、 ' 本発明においては、 前記の如き配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配 列の一部からなるペプチドのみならず、 配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミ ノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列を含有する本発明タンパク質の一部からな るペプチドも、 HLA抗原と結合して CTLにより認識されるという性質を有する限り、 本発明のペプチドの範疇に含まれる。 すなわち、 本発明タンパク質のアミノ酸配列 、 より具体的には配列番号: 13〜18のいずれかに記載のアミノ酸配列の一部からな る本発明のペプチドのアミノ酸配列に対して、 1又はそれ以上のアミノ酸残基の改 変を施した改変ペプチドであって、 かつ H L A抗原と結合して C T Lにより認識さ れるという腫瘍抗原べプチドとしての活性を有するものも、 本発明のペプチドの範 疇に含まれる。
ここで、 アミノ酸残基の 「改変」 とは、 アミノ酸残基の置換、 欠失、 及び Z又は 付加 (ペプチドの N末端、 C末端へのアミノ酸の付加も含む) を意味し、 好ましく はアミノ酸残基の置換が挙げられる。 アミノ酸残基の置換に係る改変の場合、 置換 されるアミノ酸残基の数および位置は、 腫瘍抗原べプチドとしての活性が維持され る限り、 任意であるが、 前記したように通常、 腫瘍抗原ペプチドの長さが 8〜1 4 ァミノ酸程度であることから、 1個から数個の範囲が好ましい。
本発明の改変ペプチドの長さとしては、 8〜 1 4アミノ酸程度が好ましい (ただ し HLA-DR、 -DP, _DQについては、 14アミノ酸以上の長さの場合もある。 )
先に記載したように、 HLA-A1, - A0201, - A0204, -A0205, -A0206, - A0207, -All , -A24, -A31, - A6801, - B7, - B8, - B2705, - B37, - Cw0401, - Cw0602などの H L A の型については、 該 H L Aに結合して提示される抗原ペプチドの配列の規則性 (モ チーフ) が判明している。 また前記したように、 HLA抗原に結合可能と予想される ペプチド配列をィンターネット上検索することができる (http:〃 bimas, dcrt. nih. gov/molbio/hla— bind/ ) 。 従って、 該モチーフ等に基づき、 前記改変ペプチドを 作製することが可能である。
例えば HLA-A24に結合して提示される抗原ペプチドのモチーフとしては、 前記し たように、 8〜11アミノ酸よりなるペプチドのうちの第 2位のアミノ酸がチロシン、 フエ二ルァラニン、 メチォニンまたはトリプトファンであり、 C末端のアミノ酸が フエ二ルァラニン、 ロイシン、 イソロイシン、 トリプトファンまたはメチォニンで
あることが知られている (J. Immunol. , 152 : p3913, 1994、 I瞧 unogenetics, 41 : pl78 , 1995、 J. Immunol. , 155 : p4307, 1994) 。 また HLA- A2の場合は、 前記の表 1に記載の モチーフが知られている。 またインターネット上で HLA抗原に結合可能と予想され るぺプチド配列が示されており (http:〃 bimas. dcrt. nih. gov/tnolbio/hla_bind/) 、 例えば前記モチーフ上とり得るアミノ酸に類似の性質を持つアミノ酸が許容され る。 従って、 これらモチーフ上アミノ酸の置換が可能な位置 (HLA - A24、 HLA- A2に おいてはペプチドの第 2位と C末端) にあるアミノ酸を他のアミノ酸 (好ましくは 前記インターネット上で結合可能と予想されているアミノ酸) に置換したアミノ酸 配列を含むものであって、 かつ H L A抗原と結合して C T Lにより認識されるとい う活性を持つ改変ペプチドを挙げることができる。
より好ましくは、 該位置において、 前記モチーフ上知られたアミノ酸残基のいず れかに置換したアミノ酸配列を含有するペプチドであって、 かつ前記活性を有する 改変べプチドが挙げられる。 すなわち配列番号: 37〜225に示されるような HLA - A24 結合性のペプチドの場合、 その第 2位のアミノ酸をチロシン、 フエ二ルァラニン、 メチォニンまたはトリブトフアンに置換し、 及び Z又は C末端のアミノ酸をフエ二 ルァラニン、 ロイシン、 イソロイシン、 トリプトファンまたはメチォニンに置換し た改変ペプチドであって、 かつ前記活性を有する改変ペプチドが挙げられる。 この うち第 2位のァミノ酸をチ口シンに置換したべプチドがより好ましい。
さらに、 本発明のペプチドの N末端アミノ酸のアミノ基、 または C末端アミノ酸 のカルボキシル基を修飾することも可能であり、 このような修飾に係るぺプチドも 本発明のぺプチドの範疇に含まれる。
ここで N末端アミノ酸のァミノ基の修飾基としては、 例えば 1〜 3個の炭素数 1 から 6のァノレキル基、 フエ二ノレ基、 シクロアルキル基、 ァシル基が挙げられ、 ァシ ル基の具体例としては炭素数 1から 6のアルカノィル基、 フエニル基で置換された 炭素数 1から 6のアルカノィル基、 炭素数 5から 7のシクロアルキル基で置換され たカルボ ル基、 炭素数 1から 6のアルキルスルホニル基、 フエニルスルホニル基 、 炭素数 2から 6のアルコキシカルボニル基、 フエニル基で置換されたアルコキシ カルボニル基、 炭素数 5から 7のシクロアルコキシで置換されたカルボニル基、 フ エノキシカルボニル基等が挙げられる。
C末端ァミノ酸のカルボキシル基を修飾したぺプチドとしては、 例えばエステル 体およびアミ ド体が挙げられ、 エステル体の具体例としては、 炭素数 1から 6のァ ルキルエステル、 フエニル基で置換された炭素数 0から 6のアルキルエステル、 炭 素数 5から 7のシクロアルキルエステル等が挙げられ、 アミ ド体の具体例としては 、 アミ ド、 炭素数 1から 6のアルキル基の 1つまたは 2つで置換されたアミ ド、 フ ェニル基で置換された炭素数 0から 6のアルキル基の 1つまたは 2つで置換された アミ ド、 アミ ド基の窒素原子を含んで 5から 7員環のァザシクロアルカンを形成す るアミ ド等が挙げられる。
(8) 本発明の腫瘍抗原タンパク質またはべプチドをコ一ドするポリヌクレオチ ド、 およびそれを含有する核酸
本発明の C T Lの誘導剤に含有される核酸 (以下、 本発明の核酸と称する場合が ある) は、 前記 (6 ) 記載の本発明の腫瘍抗原タンパク質をコードするポリヌクレ ォチド (以下、 本発明のポリヌクレオチドと称する場合がある) を含有する。
本発明のポリヌクレオチドは、 種々の細胞や組織、 例えば骨肉種ゃ腎癌等に由来 する細胞や組織の cDNAや mRNA、 cRNA、 ゲノム DNA、 または合成 DNAのいずれであつ ても良い。 また 1本鎖、 2本鎖のいずれの形態であっても良い。
本発明のポリヌクレオチドを含有する核酸は、 1本鎖および 2本鎖のいずれの形 態もとることができる。 本発明のポリヌクレオチドが 2本鎖の場合、 前記本発明の ポリヌグレオチドを発現ベクターに挿入することにより、 本発明のタンパク質を発 現するための組換え発現ベクターを作製することができる。 すなわち本発明の核酸 の範疇には、 本発明の 2本鎖型ポリヌクレオチドを発現ベクターに揷入して作製さ れた組換え発現ベクターも含まれる。
ここで用いる発現ベクターとしては、 用いる宿主や目的等に応じて適宜選択する ことができ、 プラスミ ド、 ファージベクター、 ウィルスベクター等が挙げられる。 例えば、 宿主が大腸菌の場合、 ベクターとしては、 pUC118、 pUC119、 pBR322、 pC R3等のプラスミ ドベクター、 λ ΖΑΡΠ、 gtllなどのファ"ジベクターが挙げられ' る。 宿主が酵母の場合、 ベクターとしては、 pYES2、 pYEUra3などが挙げられる。 宿 主が昆虫細胞の場合には、 pAcSGHisNT- Aなどが挙げられる。 宿主が動物細胞の場合 には、 pCEP4、 pKCR pCDM8、 pGL2、 pcDNA3. 1、 pRc/RSV、 pRc/CMVなどのプラスミ ド
ベクターや、 レトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノ関連ウイ ルスベクターなどのウィルスベクターが挙げられる。
前記ベクターは、 発現誘導可能なプロモーター、 シグナル配列をコードする遺伝 子、 選択用マーカー遺伝子、 ターミネータ一などの因子を適宜有していても良い。 また、 単離精製が容易になるように、 チォレドキシン、 Hisタグ、 あるいは GST ( ダルタチオン S-トランスフェラーゼ) 等との融合タンパク質として発現する配列が 付加されていても良い。 この場合、 宿主細胞内で機能する適切なプロモーター (la c、 tac、 trc、 trp、 CMV、 SV 初期プロモーターなど) を有する GST融合タンパクべ クタ一 (pGEX4Tなど) や、 Myc、 Hisなどのタグ配列を有するベクター (pcDNA3. 1/M yc- Hisなど) 、 さらにはチォレドキシンおよび Hisタグとの融合タンパク質を発現 するベクター (pET32a) などを用いることができる。
前記で作製された発現ベクターで宿主を形質転換することにより、 当該発現べク ターを含有する形質転換細胞を作製することができる。
ここで用いられる宿主としては、 大腸菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細胞などが挙げ られる。 大腸菌としては、 E. coli K- 12系統の HB101株、 C600株、 JM109株、 DH5 a株 、 AD494 (DE3)株などが挙げられる。 また酵母としては、 サッカロミセス ·セルビジ ェなどが挙げられる。 動物細胞としては、 L929細胞、 BALBん 3T3細胞、 C127細胞、 C H0細胞、 COS細胞、 Vero細胞、 Hela細胞、 293- EBNA細胞などが挙げられる。 昆虫細 胞としては sf9などが挙げられる。
宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、 前記宿主細胞に適合した通常の 導入方法を用いれば良い。 具体的にはリン酸カルシウム法、 DEAE-デキストラン法 、 エレクト口ポレーシヨン法、 遺伝子導入用リピッド (Lipofectamine、 Lipofecti n ; Gibco- BRL社) を用いる方法などが挙げられる。 導入後、 選択マーカーを含む通 常の培地にて培養することにより、 前記発現ベクターが宿主細胞中に導入された形 質転換細胞を選択することができる。
以上のようにして得られた形質転換細胞を好適な条件下で培養し続けることによ り、 本発明のタンパク質を製造することができる。 得られたタンパク質は、 一般的 な生化学的精製手段により、 さらに単離 ·精製することができる。 ここで精製手段 としては、 塩析、 イオン交換クロマトグラフィー、 吸着クロマトグラフィー、 ァフ
ィニティークロマトグラフィー、 ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げられる。 ま た本発明のタンパク質を、 前述のチォレドキシンや Hisタグ、 GST等との融合タンパ ク質として発現させた場合は、 これら融合タンパク質やタグの性質を利用した精製 法により単離 ·精製することができる。
本発明の核酸の範疇には、 前記 (7 ) 記載の本発明のペプチドをコードするポリ ヌクレオチドを含有する核酸も含まれる。
本発明のぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドは、 DNAの形態であっても RNAの 形態であっても良い。 これら本発明のポリヌクレオチドは、 本発明のペプチドのァ ミノ酸配列情報およびそれによりコードされる DNAの配列情報に基づき容易に製造 することができる。 具体的には、 通常の DNA合成や PCR.による増幅などによって、 製 造することができる。
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、 具体的には、 前記ェピトー プぺプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する核酸は、 1本鎖およ び 2本鎖のいずれの形態もとることができる。 本発明のポリヌクレオチドが 2本鎖 の場合、 前記本発明のポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入することにより、 本 発明のペプチド (ェピトープペプチド) を発現するための組換え発現ベクターを作 製することができる。
ここで用レ、る発現べクタ一や宿主細胞、 宿主細胞の形質転換方法等については、 前述の記載と同様である。
(9) 本発明の腫瘍抗原タンパク質を有効成分とする CTLの誘導剤
本発明は、 本発明の腫瘍抗原タンパク質を有効成分として含有する CTLの誘導剤 を提供する。
本発明の腫瘍抗原タンパク質を含有する細胞は CTLに認識されるという特徴を有 する。 すなわち本発明の腫瘍抗原タンパク質は CTLの誘導剤である。 誘導された CTL は、 細胞傷害作用ゃリンフォ力インの産生を介して抗腫瘍作用を発揮することがで きる。 従って本発明の腫瘍抗原タンパク質は、 腫瘍の治療または予防のための医薬 (癌ワクチン) の有効成分とすることができる。 本発明の腫瘍抗原タンパク質を有 効成分として含有する CTLの誘導剤は、 本発明の腫瘍抗原タンパク質を腫瘍患者に
投与することで、 腫瘍を治療または予防し得るものである。 当該タンパク質を腫瘍 患者に投与すると、 抗原提示細胞内に取り込まれ、 その後、 細胞内分解を受けて生 じた腫瘍抗原べプチドが H L A抗原と結合して複合体を形成し、 該複合体が抗原提 示細胞表面に提示され、 この複合体に特異的な C T Lが体内で効率的に増殖し、 腫 瘍細胞を破壊する。 以上のようにして、 腫瘍の治療又は予防が達成される。
本発明の腫瘍抗原タンパク質を有効成分とする CTLの誘導剤は、 配列番号: 13〜1 8に記載の ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87陽性の如何なる腫瘍患者に対 しても使用することができる。 具体的には、 例えば肺癌、 乳癌、 前立腺癌、 大腸癌 などの癌 (腫瘍) の予防または治療のために使用することができる。
本発明の腫瘍抗原タンパク質を有効成分として含有する CTLの誘導剤は、 細胞性 免疫が効果的に成立するように、 医薬として許容されるキャリアー、 例えば適当な アジュバントと混合して投与、 又は併用して投与することができる。
アジュバントとしては、 文献 (Clin. Microbiol. Rev. , 7 : 277-289, 1994) に記 載のものなどが応用可能であり、 具体的には、 菌体由来成分又はその誘導体、 サイ トカイン、 植物由来成分又はその誘導体、 海洋生物由来成分又はその誘導体、 水酸 化アルミニウムの如き鉱物ゲル、 リソレシチン、 プル口ニックポリオールの如き界 面活性剤、 ポリア二オン、 ペプチド、 または油乳濁液 (エマルシヨン製剤) などを 挙げることができる。 また、 リボソーム製剤、 直径数 μ πι のビーズに結合させた粒 子状の製剤、 リピッドを結合させた製剤、 マイクロスフェア一製剤、 マイクロカブ セル製剤なども考えられる。
前記において菌体由来成分又はその誘導体とは、 具体的には、 例えば(i)細菌の 死菌、 (ii)細菌由来の細胞壁骨格 (Cell Wall Skeleton, CWSと略する) 、 (iii)菌 体由来の特定の成分又はその誘導体等に分類される。
ここで(i)細菌の死菌としては、 例えば溶連菌粉末 (例えばピシバニール;中外 製薬株式会社) 、 死菌浮遊物カクテル (例えばブロンカスマ ·ベルナ;三和化学研 究所) 、 あるいはヒ ト型結核菌の死菌等が挙げられる。
(ii)細菌由来の CWSとしては、 マイクバクテリア属由来の CWS (例えばマイコバク テリア属ゥシ型結核菌である BCG株の CWS) 、 ノカルディア属由来の CTS (例えばノ カルディア .ノブラの CWS) 、 あるいはコリネバクテリア属由来の CWS等が挙げられ
——る。
(iii)菌体由来の特定の成分又はその誘導体としては、 例えば菌体由来多糖類で あるヒ ト型結核菌由来多糖類成分 (例えばアンサー;ゼリア新薬工業株式会社) や 担子菌由来多糖類 (例えばレンチナン;味の素、 クレスチン;三共株式会社、 担子 菌カワラタケ) 、 またムラミルジペプチド (MD P ) 関連化合物、 リポ多糖 (L P S ) 、 リピド A関連化合物 (M P L ) 、 糖脂質トレハロースジマイコレート (T D M) 、 細菌由来の D N A (例えば C p Gオリゴヌクレオチド) 、 あるいはこれらの 誘導体などが挙げられる。
これら菌体由来成分及びその誘導体は、 既に市販されているものであればそれを 入手するか、 又は公知文献 (例えば Cancer Res.,33, 2187- 2195 (1973)、 J. Natl. Can cer Inst.,48, 831-835 (1972)、 J. Bacterid. , 94, 1736-1745 (1967) , Gann, 69, 619 - 6 26 (1978)、 J. Bacterid. , 92, 869-879 (1966) , J. Natl. Cancer Inst. , 52, 95- 101 (197 4) ) 等に基き単離又は製造することが可能である。
前記において 「サイ トカイン」 とは、 例えば IFN- α、 - 12、 GM-CSF、 IL- 2、 IF Ν- γ、 IL- 18、 あるいは IL- 15などが挙げられる。 これらのサイト力インは、 天然品 であっても遺伝子組換え品であっても良い。 これらのサイ ト力インは、 既に市販さ れていればそれを入手して使用することができる。 また遺伝子組換え品であれば、 例えば GenBank、 EMBL、 あるいは DDBJ等のデータベースにおいて登録されている各 塩基配列に基き、 常法により所望の遺伝子をクローユングし、 適当な発現べクタ一 に連結して作製された組換え発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより、 発現 ·生産することができる。
前記において 「植物由来成分又はその誘導体」 とは、 例えばサポニン由来成分で ある Qui.l A (Accurate Chemical&Scientif ic Corp; 、 QS-21 (Aquila Biopharmac euticals inc. ) 、 あるいはグリチルリチン (SIG A-ALDRICHなど) などが挙げられ る。
前記において 「海洋生物由来成分又はその誘導体」 とは、 例えば海綿由来の糖脂 質である α -ガラクトシルセラミ ドなどが挙げられる。
前記において油乳濁液 (エマルシヨン製剤) とは、 例えば油中水型 (w/ o ) ェ マルシヨン製剤、 水中油型 (o Zw) エマルシヨン製剤、 水中油中水型 (wZ o Z
' w) エマルシヨン製剤などが挙げられる。
ここで油中水型 (wZ o ) エマルシヨン製剤は、 有効成分を水の分散相に分散さ せた形態をとる。 水中油型 (o Zw) エマルシヨン製剤は、 有効成分を水の分散媒 に分散させた形態をとる。 また水中油中水型 (wZ o W ) エマルシヨン製剤は、 有効成分を最内相の水の分散相に分散させた形態をとる。 このようなエマルシヨン 製剤の調製は、 例えば、 特開平 8— 9 8 5号公報、 特開平 9— 1 2 2 4 7 6号公報 等を参考にして行うことができる。
前記においてリポソーム製剤とは、 有効成分を脂質二重膜構造のリボソームで水 相内または膜内に包み込んだ形の微粒子である。 リポソームを作るための主要な脂 質としては、 ホスファチジルコリン、 スフインゴミエリン等が挙げられ、 これにジ セチルホスフェート、 ホスファチジン酸、 ホスファチジルセリン等を加えてリポソ ームに荷電を与えて安定化させる。 リボソームの調製方法としては、 超音波法、 ェ タノール注入法、 エーテル注入法、 逆相蒸発法、 フレンチプレスェクストラクショ ン法等が挙げられる。
前記においてマイクロスフェアー製剤は、 均質な高分子マトリックスから構成さ れ、 該マトリックス中に有効成分が分散された形の微粒子である。 マトリ ックスの 材料としては、 アルブミン、 ゼラチン、 キチン、 キトサン、 デンプン、 ポリ乳酸、 ポリアルキルシアノアクリレート等の生分解性高分子が挙げられる。 マイクロスフ エアー製剤の調製方法としては公知の方法 (Eur. J. Pharm. Biopharm. 50: 129-14 6, 2000、 Dev. Biol. Stand. 92 : 63—78, 1998、 Pharm. Biotechnol. 10 : 1—43, 199 7) 等に従えばよく特に限定されない。
前記においてマイクロカプセル製剤は、 有効成分を芯物質として被膜物質で覆つ た形の微粒子である。 被膜物質に用いられるコーティング材料としては、 カルボキ シメチノレセノレロース、 セノレロースアセテートフタレート、 ェチノレセルロース、 ゼラ チン、 ゼラチン 'アラビアゴム、 ニトロセノレロース、 ポリビュルアルコーゾレ、 ヒ ド ロキシプロピルセル ース等の膜形成性高分子が挙げられる。 マイクロカプセル製 剤の調製方法は、 コアセルべーシヨン法、 界面重合法等が挙げられる。
投与方法としては、 皮内投与、 皮下投与、 筋肉内投与、 静脈内投与などが挙げら れる。 製剤中の本発明の腫瘍抗原タンパク質の投与量は、 治療目的の疾患、 患者の
年齢、 体重等により適宜調整することができるが、 通常 0. 0001mg〜1000mg、 好まし くは 0. 001mg〜100mg、 より好ましくは 0. 01mg〜10mgであり、 これを数日ないし数 月に 1回投与するのが好ましい。
(10) 本発明のペプチドを有効成分とする CTLの誘導剤
本発明は、 本発明のペプチドを有効成分として含有する CTLの誘導剤を提供する 本発明のぺプチドは CTL誘導活性を有する CTLの誘導剤である。 誘導された CTLは 、 細胞傷害作用ゃリンフォ力インの産生を介して抗腫瘍作用を発揮することができ る。 従って本発明のペプチドは、 腫瘍の治療または予防のための医薬の有効成分と することができる。 本発明のペプチドを有効成分として含有する CTLの誘導剤を腫 瘍患者に投与すると、 抗原提示細胞の H L A抗原に本発明のぺプチドが提示され、 提示された H L A抗原とぺプチドとの結合複合体特異的 C T Lが増殖して腫瘍細胞 を破壊することができ、 従って、 患者の腫瘍を治療又は予防することができる。 本発明のペプチドを有効成分とする CTLの誘導剤は、 配列番号: 13〜18いずれか に記載の ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87タンパク陽性の如何なる腫瘍患 者に対しても使用することができる。 具体的には、 例えば肺癌、 乳癌、 前立腺癌、 大腸癌などの癌 (腫瘍) の予防または治療のために使用することができる。
本発明のぺプチドを有効成分とする CTLの誘導剤は、 細胞性免疫が効果的に成立 するように、 医薬として許容されるキャリアー、 例えば適当なアジュバントと混合 して投与、 又は併用して投与することができる。
アジュバントとしては、 文献 (Clin. Microbiol. Rev. , 7 : 277-289, 1994) に記 載のものなどが応用可能であり、 具体的には、 菌体由来成分又はその誘導体、 サイ トカイン、 植物由来成分又はその誘導体、 海洋生物由来成分又はその誘導体、 水酸 化アルミニウムの如き鉱物ゲル、 リソレシチン、 プル口ニックポリオールの如き界 面活性剤、 ポリア二オン、 ペプチド、 または油乳濁液 (エマルシヨン製剤) などを '挙げることができる。 また、 リボソーム製剤、 直径数 /z m のビーズに結合させた粒 子状の製剤、 リピッドを結合させた製剤、 マイクロスフェアー製剤、 マイクロカブ セル製剤なども考えられる。 これらアジュバントの具体例については、 前記 「 (9 ) 本発明の腫瘍抗原タンパク質を有効成分とする CTLの誘導剤」 の項を参照された
' い。
投与方法としては、 皮内投与、 皮下投与、 筋肉内投与、 静脈内投与などが挙げら れる。 製剤中の本発明のペプチドの投与量は、 治療目的の疾患、 患者の年齢、 体重 等により適宜調整することができるが、 通常 0. 0001mg〜1000mg、 好ましくは 0. 001 mg〜1000mg、 より好ましくは 0. lmg 〜10mgであり、 これを数日ないし数月に 1回投 与するのが好ましい。
(11) 本発明の核酸を有効成分とする CTLの誘導剤
本発明の核酸を発現させた細胞は、 CTLに認識されるという特徴を有する。 すな わち本発明の核酸は CTLの誘導剤である。 誘導された CTLは、 細胞傷害作用やリンフ ォカインの産生を介して抗腫瘍作用を発揮することができる。 従って本発明の核酸 は、 腫瘍の治療または予防のための医薬の有効成分とすることができる。 本発明の 核酸を有効成分として含有する CTLの誘導剤は、 例えば、 本発明の核酸を腫瘍患者 に投与し発現させることで、 腫瘍を治療または予防し得るものである。
例えば発現ベクターに組み込まれた本発明の核酸を以下の方法により腫瘍患者に 投与すると、 抗原提示細胞内で腫瘍抗原タンパク質が高発現する。 その後、 細胞内 分解を受けて生じた腫瘍抗原ペプチドが H L A抗原と結合して複合体を形成し、 該 複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示されることにより、 腫瘍特異的 C T Lが 体内で効率的に増殖し、 腫瘍細胞を破壊する。 以上のようにして、 腫瘍の治療また は予防力達成される。
本発明の核酸を有効成分とする CTLの誘導剤は、 配列番号: 1に記載の ASK遺伝子 および当該遺伝子の発現産物である ASK陽性の如何なる腫瘍患者、 配列番号: 2に 記載の CKS1遺伝子および当該遺伝子の発現産物である CKS1陽性の如何なる腫瘍患者 、 配列番号: 3に記載の MELK遺伝子および当該遺伝子の発現産物である MELK陽性の 如何なる腫瘍患者、 配列番号: 4に記載の STK12遺伝子および当該遺伝子の発現産 物である STK12陽性の如何なる腫瘍患者、 配列番号: 5に記載の TTK遺伝子および当 該遺伝子の発現産物である TTK陽性の如何なる腫瘍患者、 または配列番号: 6に記 載の GPR87遺伝子および当該遺伝子の発現産物である GPR87陽性の如何なる腫瘍患者 に対しても使用することができる。 具体的には、 例えば肺癌または腎癌などの癌 ( 悪性腫瘍) の予防または治療のために使用することができる。
本発明の核酸を投与し細胞内に導入する方法としては、 ウィルスベクターによる 方法およびその他の方法 (日経サイエンス, 1994年 4月号, 20-45頁、 月刊薬事, (1) , 23-48 (1994)、 実験医学増刊, 12 (15) , (1994)、 およびこれらの引用文献等) のいずれの方法も適用することができる。
ウィルスベクタ一による方法としては、 例えばレトロウイルス、 アデノウイルス
、 アデノ関連ウィルス、 ヘルぺスウィルス、 ワクシニアウィルス、 ボックスウイノレ ス、 ポリオウイルス、 シンビスウィルス等の D N Aウィルス又は R N Aウィルスに 本発明の D N Aを組み込んで導入する方法が挙げられる。 この中で、 レトロウィル ス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルス、 ワクシニアウィルス等を用いた方法が 特に好ましい。
その他の方法としては、 発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法 (D N Aヮ クチン法) 、 リボソーム法、 リポフエクチン法、 マイクロインジェクション法、 リ ン酸カルシウム法、 エレク ト口ポレーシヨン法等が挙げられ、 特に D N Aワクチン 法、 リポソ一ム法が好ましい。
本発明の核酸を実際に医薬として作用させるには、 当該核酸を直接体内に導入す る in vivo法、 およぴヒ トからある種の細胞を採集し体外で核酸を該細胞に導入し その細胞を体内に戻す ex vivo法がある (日経サイエンス, 1994年 4月号, 20- 45頁 、 月刊薬事, ^(1) , 23-48 (1994)、 実験医学増刊, 1^(15), (1994)、 およびこれら の引用文献等) 。 in vivo法がより好ましい。
in vi.vo法により投与する場合は、 治療目的の疾患、 症状等に応じた適当な投与 経路により投与され得る。 例えば、 静脈、 動脈、 皮下、 皮内、 筋肉内等に投与する ことができる。 in vivo法により投与する場合は、 例えば、 液剤等の製剤形態をと りうるが、 一般的には有効成分である本発明の核酸を含有する注射剤等とされ、 必 要に応じて、 医薬上許容されるキャリアー (担体) を加えてもよい。 また、 本発明 の核酸を含有するリボソームまたは膜融合リボソーム (センダイウィルス (H V J
) 一リボソーム等) においては、 懸濁剤、 凍結剤、 遠心分離濃縮凍結剤等のリポソ ーム製剤の形態とすることができる。
製剤中の本発明の核酸の含量は、 治療目的の疾患、 患者の年齢、 体重等により適 宜調整することができるが、 通常、 核酸中のポリヌクレオチドの含量として、 0. 00
- ' 01mg〜100mg、 好ましくは 0. 001mg〜10mgの本発明の核酸を、 数日ないし数月に 1回 投与するのが好ましい。
また近年、 複数の CTLェピトープ (腫瘍抗原ペプチド) を連結したェピトープぺ プチドをコ一ドするポリヌクレオチド、 あるいは CTLェピトープとヘルパーェピト 一プとを連結させたェピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドが、 in viv oで効率的に CTL誘導活性を有することが示されている。 例えば Journal of Immunol ogy 1999, 162 : 3915- 3925には、 HBV由来 HLA-A2拘束性抗原ペプチド 6種類、 HLA - A 11拘束性抗原べプチド 3種類、 およびヘルパーェピトープを連結したェピトープぺ プチドをコードする DNA (ミニジーン) 力 イン ' ビボでそれぞれのェピトープに 対する CTLを効果的に誘導したことが記載されている。.
従って、 本発明のぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドを 1種または 2種以上 連結させることにより、 また場合によっては他のペプチドをコードするポリヌクレ ォチドも連結させることにより作製されたポリヌクレオチドを、 適当な発現べクタ 一に組み込むことにより、 CTLの誘導剤の有効成分とすることができる。 このよう な CTLの誘導剤も、 前記と同様の投与方法および投与形態をとることができる。
(12) 本発明の抗原提示細胞
前記した本発明のタンパク質、 ペプチドおよび核酸は、 腫瘍患者の治療において ' 、 以下のようにイン · ビトロで利用することができる。 すなわち本発明のタンパク 質、 ペプチドおよび核酸のいずれかと抗原提示能を有する細胞とをイン ' ビトロで 接触させることにより、 抗原提示細胞を作製することができる。 具体的には本発明 は、 腫瘍患者由来の単離された抗原提示能を有する細胞と、 本発明のタンパク質、 ペプチドおよび核酸のいずれかとをイン . ビトロで接触させることにより、 当該細 胞の細胞表面に H L A抗原と本発明のぺプチドとの複合体を提示させた抗原提示細 胞、 およびその製造方法を提供するものである。
ここで 「抗原提示能を有する細胞」 とは、 本発明のペプチドを提示することの可 能な H L A抗原を細胞表面に発現する細胞であれば特に限定されないが、 特に抗原 提示能が高いとされる樹状細胞が好ましい。
また、 前記抗原提示能を有する細胞から本発明の抗原提示細胞を調製するために 添加される物質としては、 本発明のタンパク質、 ペプチドおよび核酸のいずれであ
' つても良い。
本発明の抗原提示細胞は、 腫瘍患者から抗原提示能を有する細胞を単離し、 該細 胞に本発明のタンパク質またはペプチドをイン ' ビトロでパルスして、 H L A抗原 と本発明のぺプチドとの複合体を提示させることにより得られる(Cancer Immunol. I醜 unother., 46 : 82, 1998、 J . Immunol. , 158, pl796, 1997、 Cancer Res., 59, pi 184, 1 999) 。 樹状細胞を用いる場合は、 例えば、 腫瘍患者の末梢血からフイコール法に よりリンパ球を分離し、 その後非付着細胞を除き、 付着細胞を GM-CSFおよび IL-4存 在下で培養して樹状細胞を誘導し、 当該樹状細胞を本発明のタンパク質またはぺプ チドと共に培養してパルスすることなどにより、 本発明の抗原提示細胞を調製する ことができる。
また、 前記抗原提示能を有する細胞に本発明の核酸を導入することにより本発明 の抗原提示細胞を調製する場合は、 当該核酸は、 D N Aの形態であっても、 R N A の形態であっても良い。 具体的には、 D N Aの場合は Cancer Res. , 56 : p5672, 1996 や J. Immunol. , 161 : p5607, 1998などを参考にして行うことができ、 また R N Aの 場合は J. Exp. Med. , 184: p465, 1996などを参考にして行うことができる。
前記抗原提示細胞は CTLの誘導剤の有効成分とすることができる。 当該抗原提示 細胞を有効成分として含有する CTLの誘導剤は、 抗原提示細胞を安定に維持するた めに、 生理食塩水、 リン酸緩衝生理食塩水 ( P B S ) 、 培地等を含むことが好まし レ、。 投与方法としては、 静脈内投与、 皮下投与、 皮内投与が挙げられる。 このよう な抗原提示細胞を有効成分として含有してなる CTLの誘導剤を患者の体内に戻すこ とにより、 本発明の ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTKまたは GPR87陽性の患者の体内で 効率良く特異的な C T Lが誘導され、 腫瘍を治療することができる。
(13) 本発明の CTL
本発明のタンパク質、 ペプチドおよび核酸は、 腫瘍患者の治療において、 以下の ようにイン · ビトロで利用することができる。 すなわち本発明のタンパク質、 ぺプ チドおよび核酸のいずれかと末梢血リンパ球とをイン · ビトロで接触させることに より、 CTLを誘導することができる。 具体的には本発明は、 腫瘍患者由来の末梢血 リンパ球と、 本発明のタンパク質、 ペプチドおよび核酸のいずれかとをイン ' ビト 口で接触させることにより誘導された C T L、 およびその誘導方法を提供するもの
である。
例えばメラノーマにおいては、 患者本人の腫瘍内浸潤 T細胞を体外で大量に培養 して、 これを患者に戻す養子免疫療法に治療効果が認められている (J.Natl.Cance r. Inst. ,86:1159 、 1994) 。 またマウスのメラノーマにおいては、 脾細胞をイン ' ビト口で腫瘍抗原べプチド T R P— 2で刺激し、 腫瘍抗原べプチドに特異的な C T Lを増殖させ、 該 CTLをメラノ一マ移植マウスに投与することにより、 転移抑制 が認められている (J.Exp.Med., 185:453, 1997 ) 。 これは、 抗原提示細胞の HLA 抗原と腫瘍抗原べプチドとの複合体を特異的に認識する C T Lをイン · ビトロで増 殖させた結果に基づくものである。 従って、 本発明のタンパク質、 ペプチドまたは 核酸を用いて、 イン ' ビトロで患者末梢血リンパ球を刺激して腫瘍特異的 CTLを 増やした後、 この CTLを患者に戻す治療法は有用であると考えられる。
当該 C T Lは腫瘍の治療剤または予防剤の有効成分とすることができる。 該治療 剤または予防剤は、 CTLを安定に維持するために、 生理食塩水、 リン酸緩衝生理 食塩水 (PBS) 、 培地等を含むことが好ましい。 投与方法としては、 静脈内投与 、 皮下投与、 皮内投与が挙げられる。 このような CTLを有効成分として含有して なる腫瘍の治療または予防剤を患者の体内に戻すことにより、 本発明の PBF陽性の 患者の体内で C T Lによる腫瘍細胞の傷害作用が促進され、 腫瘍細胞を破壊するこ とにより、 腫瘍を治療することができる。
(14) 本発明のペプチドに対する抗体
本発明は、 本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。 本発明の抗体 は、 その形態に特に制限はなく、 本発明のペプチドを免疫抗原とするポリクローナ ル抗体であっても、 またモノクローナノレ抗体であっても良い。
本発明の抗体は前記のように本発明のぺプチドに特異的に結合するものであれば 特に制限されないが、 具体的には、 配列番号: 37〜225のいずれかに記載のァミノ 酸配列からなる腫瘍抗原ペプチドに特異的に結合する抗体を挙げることができる。 これらの抗体の製造方法は、 すでに周知であり、 本発明の抗体もこれらの常法に ¾Eつて製造することカでさる (Current protocols in Molecular Biology edit. A usubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12〜1L 13、 A ntibodies; A Laboratory Manual, Lane, H, D.ら編, Cold Spring Harber Labora
tory Press 出版 New York 1989) 。
具体的には、 本発明のペプチド (例えば配列番号: 37〜225のいずれかに記載の アミノ酸配列からなる腫瘍抗原ペプチド) を免疫原として用い、 家兎等の非ヒ ト動 物を免疫し、 該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。 一方、 モ ノクローナル抗体の場合には、 本発明のぺプチド (例えば配列番号: 37〜225のい ずれかに記載のアミノ酸配列からなる腫瘍抗原ペプチド) をマウス等の非ヒ ト動物 に免疫し、 得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイプリ ド 一マ糸田包の中力 ら得ること力でさる (Current protocols in Molecular Biology e dit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 4~11. 11) 。
本発明のペプチドに対する抗体の作製は、 宿主に応じて種々のアジュバントを用 いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。 そのようなアジュバン トには、 フロイントアジュバント、 水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、 並 びにリゾレシチン、 プル口ニックポリオル、 ポリア二オン、 ペプチド、 油乳剤、 キ 一ホールリンぺットへモシァニンおよびジニトロフエノールのような表面活性物質 、 B C G (カルメット一ゲラン桿菌) やコリネバタテリゥム-パルヴムなどのヒ ト アジュバントなどがある。
以上のように本発明のぺプチドを用いて常法により適宜動物を免疫することによ り、 ペプチドを認識する抗体、 さらにはその活性を中和する抗体が容易に作製でき る。 抗体の用途としては、 ァフィ二ティークロマトグラフィー、 免疫学的診断等が 挙げられる。 免疫学的診断は、 ィムノブロット法、 放射免疫測定法 (R I A) 、 酵 素免疫測定法 (E L I S A) 、 蛍光あるいは発光測定法等より適宜選択できる。 こ のような免疫学的診断は、 本発明の ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺 伝子、 TTK遺伝子または GPR87遺伝子が発現している癌、 例えば肺癌ゃ腎癌等の癌 ( 悪性腫瘍) の診断において有効である。 実施例
次に、 本発明を実施例により更に具体的に説明する。 しカゝし、 本発明はこれらの 実施例になんら限定されるものではない。
実施例 1
ヒ ト組織サンプル及び、 ヒ ト癌細胞株からのトータル RNAの調製
以下のヒ トの主要臓器由来癌 .正常組織サンプル、 肺腺癌組織 57サンプル、 肺正 常組織 (肺腺癌患者由来) 48サンプル、 肺扁平上皮癌組織 49サンプル、 肺正常組織 (肺扁平上皮癌患者由来) 19サンプル、 結腸癌組織 117サンプル、 結腸正常組織 ( 結腸癌患者由来) 119サンプル、 直腸癌組織 46サンプル、 直腸正常組織 (直腸癌患 者由来) 34サンプル、 胃癌組織 40サンプル、 胃正常組織 (胃癌患者由来) 14サンプ ノレ、 乳癌組織 241サンプル、 乳正常組織 (乳癌患者由来) 46サンプル、 卵巣癌組織 3 7サンプル、 卵巣正常組織 (卵巣癌患者由来) 5サンプル、 前立腺癌組織 91サンプ ル、 前立腺正常組織 (前立腺癌患者由来) 53サンプル、 肝癌組織 20サンプル、 肝正 常組織 (肝癌患者由来) 8サンプル、 腎癌組織 91サンプル、 腎正常組織 (腎癌患者 由来) 67サンプル、 膝癌組織 57サンプル、 鸱正常組織 (膝癌患者由来) 16サンプル か 、 それぞれ常法に従いトータル RNA を調製した。 更に下記実施例 に用い る癌細胞株の遺伝子発現量解析のため、 4種の肺癌細胞株、 H0P92、 HOP62、 11-18 、 PC-8より上記と同様トータル RNA を調製した。
実施例 2
DNAチップ解析
実施例 1に示したサンプルより調製した total RNAを用いて、 DNAチップ解析を行 つた。 なお、 DNAチップ解析は Affytnetrix社 Gene Chip Human Genome U 133セットを 用いて行った。 具体的には、 解析は、 (1) total RNAから cDNAの調製、 (2) 該 cDNA からラベル化 cRNAの調製、 (3) ラベル化 cR Aのフラグメント化、 (4) フラグメント ィ匕 cRNAとプローブアレイとのハイブリダィズ、 (5) プローブアレイの染色、 (6) プ ローブアレイのスキャン、 及び (7) 遺伝子発現解析、 の手順で行った。
(1) total RNAから cDNAの調製
実施例 1で得られた各 total RNA 10 μ gと T7- (dT) 24プライマー(Amersham社製) 10
Opmolを含む 11 // Lの混合液を、 70°C、 10分間加熱した後、 氷上で冷却した。 冷却後 、 Superscript Choice System for cDNA Synthesis (Gibco_BRL社製)に含まれる 5 X First Strand cDNA Buffer 4 レ 該キッ卜に含まれる 0. 1M DTT (dithiothreitol ) I 該キットに含まれる lOmM dNTP Mix 1 // Lを添加し、 42°Cで 2分間加熱した
。 更に、 該キットに含まれる Super Scriptll RT 2μ L(400U)を添加し、 42°Cで 1時 間加熱した後、 氷上で冷却した。 冷却後、 DEPC処理水 (ナカライテスタ社製) 滅菌 蒸留水 91 L、 該キットに含まれる 5XSecond Strand Reaction Buffer 30 μ L、 10m M dNTP Mix 3/iL、 該キットに含まれる E. coli DNA Ligase l/ L(10U)、 該キット に含まれる Ε· coli DNA Polymerase I 4μ L(40U)X 該キットに含まれる E. coli RN aseH 1 U2U)を添加し、 16°Cで 2時間反応させた。 次いで、 該キットに含まれる T4 DNA Polymerase 2 / L (10U)を加え、 16°Cで 5分間反応させた後、 0.5M EDTA 10/ L を添加した。 次いで、 フエノール/クロ口ホルム/イソァミルアルコーノレ溶液 (ニッ ボンジーン社製) 162 / Lを添加し、 混合した。 該混合液を、 予め室温、 14,000rpm 、 30秒間遠心分離しておいた Phase Lock Gel Light (エツペンドルフ社製)に移し、 室温で 14, 000rpm、 2分間遠心分離した後、 145 Lの水層をエツペンドルフチューブ に移した。 得られた溶液に、 7.5M酢酸アンモニゥム溶液 72.5// L、 エタノール 362.5 /■tLを加えて混合した後、 4°Cで 14, 000rpm、 20分間遠心分離した。 遠心分離後、 上 清を捨て、 作製した cDNAを含むペレッ トを得た。 その後、 該ペレッ トに 80%ェタノ ール 0.5mLを添加し、 4°Cで 14, 000rPm、 5分間遠心分離した後、 上清を捨てた。 再度 同様の操作を行った後、 該ペレットを乾燥させ、 DEPC処理水 12 / Lに溶解した。 以 上の操作により実施例 1で調製した各トータル RNAから、 各 cDNAを取得した。
(2) cDNAからラベル化 cR Aの調製
各 cDNA溶液 5/zLに、 DEPC処理水 17// L、 BioArray High Yield RNA Transcript La beling Kit (ENZ0社製)に含まれる 10XHY Reaction Buffer 4juL、 該キットに含ま れる lOXBiotin Labeled Ribonucleotides 4/iL、 該キットに含まれる 10XDTT μ レ 該キットに含まれる lOXRNase Inhibitor Mix 4μί、 該キットに含まれる 20ΧΤ 7 RNA Polymerase を混合し、 37°Cで 5時間反応させて、 ラベル化 cRNAを調製し た。 反応後、 該反応液に DEPC処理水 60; Lを加えたのち、 RNeasy Mini Kit (GIAGEN 社製) を用いて添付プロトコールに従い、 調製したラベル化 cRNAを精製した。
(3) ラベル化 cRNAのフラグメント化
各ラベル化 cRNA 20jLi gを含む溶液に、 5 X Fragmentation Buffer (200mMトリス一 酢酸 pH8.1 (Sigma社製)、 500mM酢酸力リウム(Sigma社製)、 150mM酢酸マグネシゥ ム(Sigma社製)) 8 しを加えた反応液 40 //Lを、 94°Cで 35分間加熱した後、 氷中に置
、 . いた。 これによつて、 ラベル化 cRNAをフラグメント化した。
(4) フラグメント化 cRNAとプローブアレイとのハイブリダィズ
各フラグメント化 cRNA 40 μ ίに、 5nM Control Ol igo B2 (Amersham社製) Α μ Ι, 100 X Control cRNA Cocktai l 4 juレ Herring sperm腿 (Protnega社製) 40 μ g、 Ac etylated BSA (Gibco-BRL社製) 200 μ g, 2 X MES Hybridization Buffer (200mM MES 、 2M [Na+ ] , 40mM EDTA、 0. 02% Tween20 (Pierce社製)、 pH6. 5〜6· 7) 200 レ 及 び DEPC処理水 を混合し、 400 μ Lのハイプリカクテルを得た。 得られた各ハイ プリカクテルを 99°Cで 5分間加熱し、 更に 45°Cで 5分間加熱した。 加熱後、 室温で 14 , 000rPm、 5分間遠心分離し、 ハイプリカクテル上清を得た。
一方、 1 X MESハイブリダイゼーションバッフ了一で満たした Human genome U133 プローブアレイ (Affymetrix社製) を、 ハイブリオーブン内で、 45°C、 60rpmで 10 分間回転させた後、 1 X MESハイブリダィゼーションバッファーを除去してプローブ アレイを調製した。 上記で得られたハイプリカクテル上清 200 Lを該プロ一プアレ ィにそれぞれ添加し、 ハイプリオーブン内で 45°C、 60rpmで 16時間回転させ、 フラ グメント化 cRNAとハイブリダィズしたプローブアレイを得た。
(5) プローブアレイの染色
上記で得られたハイブリダイズ済みプローブァレイそれぞれからハイプリカクテ ルを回収除去した後、 Non-Stringent Wash Buffer (6 X SSPE (20 X SSPE (ナカラィテ スク社製)を希釈)、 0. 01%Tween20、 0. 005 AntifoamO-30 (Sigma社製))で満たした。 次に Non- Stringent Wash Bufferおよび Stringent Wash Buffer (lOOmM MES、 0. 1M N aCl、 0. 01%Tween20)をセットした GeneChip Fluidics Station 400 (Affymetrix社製 )の所定の位置にフラグメント化 cRNAとハイブリダィズしたプローブアレイを装着 した。 その後染色プロトコール EuKGE-WS2に従って、 1次染色液(10 /x g/tnL Strepta vidin Phycoerythrin (SAPE) (MolecuLar Probe社製)、 2mg/mL Acetylated BSA、 10 Om MES、 1M NaCl (Ambion社製)、 0. 05%Tween20、 0. 005%AntifoamO- 30)、 2次染色 液 (100 /i g/mL Goat IgG (Sigma社製)、 3 μ g/mL Biotinylated Anti-Streptavidin antibody (Vector Laboratories社製)、 2mg/mL Acetylated BSA、 lOOmM MES、 1M NaCl、 0. 05%Tween20、 0. 005%Antifoam0-30) により染色した。
(6) プローブアレイのスキャン、 及び (7) 遺伝子発現量解析
染色した各プローブアレイを HP GeneArray Scanner (Af fymetrix社製)に供し、 染 色ノヽ。ターンを読み取った。 染色ノヽ0ターンをもと tこ GeneChip Workstation System (Af fymetrix社製)によってプローブアレイ上の遺伝子の発現を解析した。 次に、 解析 プロトコールに従って Normalizationを行ったのち、 各サンプルにおける各プロ一 ブ (各遺伝子) の発現量 (average difference) 及び発現の有無を算出した。 同一 のプローブにっき、 サンプルの種類ごとに遺伝子発現量の平均値を求め、 さらに各 サンプノレ種類間における発現量、 発現頻度の変化率を求めた。
実施例 3
発現変動解析
各種主要臓器 (肺、 結腸、 直腸、 胃、 乳、. 前立腺、 肝、 腎、 卵巣、 膝) 由来の正 常組織に比較し、 癌組織で発現量 '発現頻度が増加している遺伝子を、 以下のよう にして選択した。
腿チップ解析による遺伝子発現の解析結果から、 各種正常組織に比べて対応す る癌組織で発現量 '発現頻度が増加しているプローブセットのうち、 多くの癌組織 特異的発現量 ·発現頻度の上昇の認められたプローブを選択した。 次にこれら選択 されたプローブの対応遺伝子を調べ、 これらの遺伝子の中から、 さらに薬剤ターグ ットとなる機能を有する遺伝子を選別した。 その結果、 MELK遺伝子、 TTK遺伝子、 S TK12遺伝子、 ASK遺伝子、 CKS1B遺伝子、 GPR87遺伝子の計 6遺伝子が選択された。 表 8 -
遺伝子名 肝臓癌 卵巣癌 匪癌 前立腺癌 胃癌 Accession No.
MELK 7.5 3.1 1.5 1.5 2.5 NM_014791
TTK 4.1 5.0 2.3 1.2 2.5 ,-003318
STK12 2.1 3.0 1.3 1.0 2.6 NM-004217
ASK 1.9 1.5 1.0 1.3 1.6 NM— 006716
CKS1B 1.9 2.6 1.5 0.9 1.8 ,—001826
GPR87 1.0 2.9 2.6 0.6 0.8 NM— 023915
9
- 表 9
表 8中、 Human U133プローブ名は Human Genome U133 Chi におけるプローブ名 、 Accession Noは GenBankデータベースにおけるァクセッション番号を示している 。 また表 8中、 数値は各種癌の対応する正常組織に対する発現変動倍率を示し、 Hu man Genome U133 Chipで解析した各種正常組織の遺伝子発現量を 1とした場合にお ける同組織由来の癌組織での遺伝子発現量を示した。
なお、 表 9の数値は、 各種癌 ·正常組織での各遺伝子の発現頻度 (%) を示して いる。
以上のように、 選別された前記 6個の遺伝子は、 各種主要臓器由来正常組織と比 較して、 対応する癌組織で特異的に発現量及び、 発現頻度が上昇する遺伝子であつ た。 従ってこれら 6遺伝子およびその発現産物 (タンパク質) は、 癌に関する疾患 マーカーとして応用可能であると考えられた。 また、 これらの遺伝子またはその発 現産物 (タンパク質) を用いることによって、 癌細胞増殖を緩和、 抑制する治療薬 の候補薬をスクリ一二ングすることが可能であると考えられた。
更には、 これら癌特異的発現遺伝子の産物は、 腫瘍抗原タンパク質を有効成分と
、 -する CTLの誘導剤としても用いることが可能であると考えられた。
実施例 4
標的遺伝子配列特異的 siRNA (small interfering RNA)を用いた癌細胞増殖との関連 性検討
上記同定した 6種の癌特異的発現遺伝子の癌細胞増殖との関連性を直接的に解析 . するために各遺伝子配列特異的 siRNAを設計 ·作製後、 各遺伝子が高発現する癌細 胞株に遺伝子導入することで標的遺伝子 mRNAの発現を抑制し、 導入後 5日後の細胞 増殖能への影響を検討することで、 各遺伝子の癌細胞増殖との関連の有無を解析し た。
実施例 5
標的遺伝子配列特異的 siRNA (small interfering RNA)の設計、 及び作製
表 8に示す 6種の各遺伝子について、 1種の特異的な siRNA配列を設定し、 sense 鎖と antisense鎖により二本鎖が形成された siRNA を PR0LIG0社より購入した。 作製した各 siRNAの配列を表 1 0に示した。 各 siRNA名は、 遺伝子の略号を用いて示 した。
表 1 0
siRNA名 配列 (配列番号)
MELK sense : 5 ' ' -CAGGCAAACAAUGGAGGAUUU-3 ' (配列番号: 25)
MELK ant isense : 5 ' ' -AUCCUCCAUUGUUUGCCUGUU-3 ' (配列番号: 26)
TTK sense : 5 ' ' -GACACCAAGCAGCAAUACCUU-3 ' (配列番号: 27)
TT antisense : 5 ' ' -GGUAUUGCUGCUUGGUGUCUU-3 ' (配列番号: 28)
STK12_C sense : 5 ' ' -CAUCCUGCGUCUCUACAACUA-3 ' (配列番号: 29)
STK12— C anti sense : 5 ' ' -GUUGUAGAGACGCAGGAUGUU-3 ' (配列番号: 30)
ASK sense : 5 ' ' -CAGAAGUCAGAUACUGUGCUU-3 ' (配列番号: 31)
ASK arit i sense : 5 ' ' -GCACAGUAUCUGACUUCUUU-3 ' (配列番号: 32)
CKS1B sense : 5 ' ' -UGAAGCUGGCAAGCUACUUUU-3 ' (配列番号: 33)
CKS1B ant i sense : 5 ' ' -AAGUAGCUUGCCAGCUUCAUU-3 ' (配列番号: 34)
GPR87 sense : 5 ' ' -UGGUUUAGCAGUGUGGAUCUU-3 ' (配列番号: 35)
GPR87 anti sense : 5 ' -GAUCCACACUGCUAAACCAUU- 3 ' (配列番号: 36) 実施例 6
ヒト肺癌細胞株の培養
H0P62、 H0P92、 PC-8、 および 11- 18の 4種のヒ ト肺癌細胞株は、 10% Fetal Bovine Serum (Invitrogen社)及ぴぺニシリン .ス トレプトマイシン (それぞれ 50 U/ml · 50 μ g/ml; Invitrogen社) を含む RPMI 1640培地 (Invitrogen社) を用いて培養し た。
実施例 7
ヒ ト肺癌細胞株における各遺伝子の発現変動解析
前記 H0P62細胞、 H0P92細胞、 PC- 8細胞および 11-18細胞の 4種のヒ ト肺癌細胞株に ついて、 表 1 1で示した対応する遺伝子に関し、 実施例 1および実施例 2で記載の DNAチップ解析による遺伝子発現の解析結果を基に、 各細胞株の肺正常組織に対す る発現変動倍率を解析した。 Human Genome U133 Chipで解析した肺正常組織の遺伝 子発現量を 1とした場合における各肺癌細胞株での遺伝子発現量を表 1 1に示した 。 各遺伝子について、 対応する細胞株での高発現を確^:した。
実施例 8
標的遺伝子配列特異的 si RNAの各種癌細胞株への遺伝子導入
トランスフエクシヨンする前日にぺニシリン ' ストレプトマイシン不含の培地で
24ゥエルプレートの 1ゥエルあたり、 H0P62 を 0. 5 X 105個、 H0P92 を 0. 75 x 10s 個 (あるいは 0. 5 X 105個) 、 PC-8 を 0. 4 X 105個、 そして 11-18 を 1. 5 x 105個 の細胞数で培養した。 トランスフエクシヨンの当 Sにぺニシリン 'ス トレプトマイ シン不含の 0. 3 ml の各細胞に対応する培地に交換し、 GeneSilencer siRNA Transf ection Reagent (Gene Therapy Systems社)を用いて、 製品の説明書に従い、 実施 例 5で示した各遺伝子特異的 siRNAをトランスフエクシヨンした。 ただし、 無血清 培地は、 OptiMEM (Invitrogen社) を使用し、 1ウエノレあたり 20 の siRNA を 3 μ ΐ使用した。 ネガティブコン卜ローノレとして、 Scramble II (Dharmacon Research 丰土)、 Control (non-silencing siRNA (Qiagen-Xeragon¾n および Silencer Nega tive Control #1 siRNA (Ambion社)の 3種の siRNA中の 1種を各検討について使用し た。
実施例 9
トランスフニクシヨン効率解析 (蛍光顕微鏡観察法を用いて)
siRNAの各ヒ ト肺癌細胞株 (H0P62、 H0P92、 PC-8, 11-18) に対する遺伝子導入効
率を確認する目的で、 Fluorescein Labeled Luc if erase GL2 Duplex (Dharmacon R esearch社) を各細胞株に実施例 8記載と同様な条件でトランスフエクシヨンした 。 トランスフエクシヨンして 24時間後に 10% 中性ホルマリンを用いて室温で 10分間 固定した。 蛍光顕微鏡観察法は Zeiss Axiovert 135 (Zeiss社) を使用し、 写真は Hamamatsu Color Chi l led 3CCD Camera C5810 を用いて撮影した。 画像処理は Ad obe Photoshop 6. 0 (Adobe Systems社) を使用した。 図 1に各細胞の位相差顕微鏡 による明視野の像と蛍光顕微鏡による喑視野の像、 及び位相差と蛍光を重ね合わせ た像をそれぞれ左より右の順に示した。 いずれの細胞株においても、 高い割合の細 胞で蛍光が認めら、 少なくとも 50%以上のトランスフエクシヨン効率が得られるこ とが示された。
実施例 1 0
癌細胞増殖測定
実施例 8で示した各遺伝子特異的 siRNAの各ヒト肺癌細胞株へのトランスフエク シヨン 5 後に、 10%アラマーブノレ一(TREK Diagnostic Systems社)を含む各細胞 株の対応する培地に交換し、 45分- 2時間、 3 7 °Cでインキュベーションし、 蛍光プ レー トリーダー Fluoroskan Asent (Labsystems社)で蛍光強度を測定し、 細胞増殖 能を評価した。
実施例 1 1
癌細胞増殖能変動解析
実施例 3にて同定した各遺伝子について、 その特異的 siRNAを遺伝子導入した肺 癌細胞株の増殖能を siRNA未処理の細胞の増殖能を 100 % として計算した。 表 1 1 では、 各遺伝子について siRNAを導入した高発現する細胞株名、 及ぴその細胞株で の各遺伝子の肺正常組織に対する発現変動倍率を示した。 また実施例 8に示した陰 性対照の siRNAによる各癌細胞株増殖への影響を同様に発現変動倍率で示した。
'表 1 1
その結果、 各遺伝子について、 これを高発現する細胞株において siRNA (配列番 号: 25〜36) を用いてその発現を抑制してその活性を抑制すると、 6種の遺伝子共 に癌細胞株の増殖抑制が観察された。
これらの結果により、 同定した 6遺伝子またはその発現産物 (タンパク質) を用 いることによって、 癌細胞増殖を緩和、 抑制する治療薬の候補薬をスクリーニング することが可能であることが強く示された。
また、 この同定した 6種の遺伝子に対する阻害剤スクリーニングにより得られる 阻害物質は、 この遺伝子の発現が癌特異的発現を示すことから、 癌細胞選択的な増 殖阻害剤となりえる可能性が考えられた。
実施例 1 2
腫瘍抗原由来べプチドによる C T L誘導
ぺプチ.ドで C T Lを誘導し、 その C T Lの活性を評価する方法は、 既知のヒ トモ デル動物を用いたアツセィ方法等に準じて行うことが出来る (W0 02/47474 号公報 、 Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002) ) 。 例えば、 癌抗原由来のペプチドを適当な 剤形を用いて、 ヒ ト HLAを発現したトランスジエニックマウスに投与し、 約 1週間 後に脾臓細胞、 あるいはその他のリンパ系組織を得る。 得られた細胞を、 投与した ものと同様のペプチドで in vitroで抗原刺激を行い、 更に約 5 0間培養する。 得ら れた細胞を CTL画分とし、 5 1 Cr等の放射性物質、 あるいはその他の非放射性物質で 標識した標的細胞 (投与ペプチドが結合する HLAを発現し、 更に投与ペプチドをコ ードする癌抗原、 あるいは投与ペプチドを発現する細胞、 あるいはペプチドを事前 に添加した細胞) と共培養し、 CTLによる標的細胞の破壊を培養上清中の放射性物 質、 非放射性物質の量で測定、 CTLの活性を評価する。
、 ■ なお、 CTLの活性については、 CTL細胞が標的細胞と反応した結果、 培養上清中に 産生する IFN ") を ELISA法あるいは ELISPOT法にて測定することで評価することも可 能である。
実施例 1 3
候補べプチドの選択および合成
(1)候補ペプチドの選択
HLA分子に結合して提示される抗原ペプチドの配列には規則性 (モチーフ) があ り、 HLA-A24の場合、 8〜11アミノ酸よりなるペプチドの第 2位のアミノ酸がチロシ ン、 フエ二ルァラニン、 メチォニン又はトリプトファンであり、 C末端のアミノ酸 がフエ二ルァラニン、 トリプトファン、 ロイシン、 イソロイシン又はメチォニンで あることが知られている (I隱 unogenetics, 41 : 178, 1995、 J . Immunol. , 152 : 391 3, 1994、 J . Immunol. , 155 : 4307, 1994) 。 このようなモチーフに従い、 本発明の 腫瘍抗原タンパク質 6種のアミノ酸配列 (配列番号: 13〜配列番号: 18) から、 HL Α - Α24結合モチーフを有する 8〜11ァミノ酸よりなるぺプチド部分を選択した。 これ らぺプチドのァミノ酸配列を、 配列番号: 37〜配列番号: 225に示す。
(2)ペプチド合成
前記のぺプチド (配列番号: 37〜配列番号: 225) のうち、 6種の腫瘍抗原タン パクについて各 1種以上のペプチド、 すなわち配列番号: 39、 75、 95、 131、 157、 161、 165、 192、 194、 195、 210、 222〜225に示されるペプチドを、 Fmoc法にて合成 した。
ここで、 配列番号: 39に示されるペプチドは ASK由来の腫瘍抗原ペプチド、 配列 番号: 75に示されるぺプチドは CKS1由来の腫瘍抗原べプチド、 配列番号: 95, 222- 225に示されるぺプチドは MELK由来の腫瘍抗原べプチド、 配列番号: 131に示される ペプチドは STK12由来の腫瘍抗原ペプチド、 配列番号: 157, 161, 165に示されるぺ プチドは TTK由来の腫瘍抗原ペプチド、 配列番号: 192, 194, 195, 210に示される ペプチドは GPR87由来の腫瘍抗原ペプチドである。
実施例 1 4
CTL誘導能の検討
上記べプチドが腫瘍抗原べプチドであるか否かの同定は、 H L A— A 2 4 0 2 /
Kb トランスジエニックマウスを用いて行った。 当該トランスジエニックマウスの 作製およびイン ' ビボ免疫原性の測定については、 W0 02/47474 号公報および Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002) に詳細に記述されており、 当該文献に記載の方 法を参考に実施した。 すなわち、 上記ペプチドを適当な剤形を用いて HL A— A 2 402 Kbトランスジエニックマウスに投与し、 1週間後に脾臓細胞を得た。 得 られた細胞を投与したものと同一のペプチドで in vitroで抗原刺激を行った。 そし て約 1 6時間後に得られた細胞を CTL画分とし、 IFNvを産生する細胞数を ELISPOT 法を用いて測定し、 抗原特異的な CTL誘導活性の有無を評価した。
(1) ペプチドの薬剤調製と投与
各合成べプチド (配列番号: 39、 75、 95, 131、 157、 161、 165、 192、 194、 195 、 210、 222〜225) をそれぞれ 4 Om g/m 1に DMS Oにて調整し、 さらに生理 食塩水で 2. 4m g/m 1にそれぞれ希釈した。 次に、 ガラスシリンジを用いて、 1. 2 7倍量のフロイントの不完全アジュバント ( I SA5 1) と混合することに より w a t e r— i n— o i lエマルシヨンを作製し、 200 μ 1の当該薬剤を Η LA-A2402/Kb トランスジエニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
(2) 脾細胞の調製
免疫 7日後に脾臓を摘出し、 スライ ドガラスのフロス ト部分にて擦り破壊し、 脾 細胞を回収■調製した。 A CKバッファー (0.15 NH4C1、 lOm KHC03、 0. ImM EDTA , H7.2-7.4) にて溶血処理した 2 X107 cells/ml濃度の脾細胞を、 事前に準備した ELISPOTのプレートに ΙΟΟμΙ/well ( 2 X 106 cells) で Triplicateで添加した。 ぺプ チド添加群については 5 g/mlのぺプチド濃度となるよう投与べプチドと同一のぺ プチドを添カ卩し、 未添加群には培地のみを添加し、 37°C, 5% C02で約 1 6時間培養 した。 この際の培地として、 RPMI— 1 640培地に 1 0%FCS、 抗生剤を加 えたものを用いた。
(3) IFNv ELISPOTアツセィ
市販の Mouse IFNy EL I SPOTキット (Mouse IFN gamma ELISPOT Set, Catalogue No. BD-551083, BD Pharmingen社) を用いて実施した。 添付のマニュアルに従い実 施し、 結果のスポット数/ wellは KS Elispot Reader Compact (Carl Zeiss社)を用い て測定した。 ぺプチド特異性を検討するため、 C T L反応時にぺプチドを添加した
、 ' 群 (Peptide (+) ) と、 ペプチド非添加群(Peptide (-) )で、 それぞれの IFN y産生細 胞数を評価した。
結果を図 1および図 2に示す。 縦軸はスポッ ト数 (IFN yを産生する細胞数) / 2 X 106 cellsを示しており、 横軸には用いた腫瘍抗原ペプチドを示している。 なお 図において腫瘍抗原ペプチドは、 由来する腫瘍抗原タンパク名で記載しており、 力 ッコ内はペプチド配列の 1残基目のアミノ酸配列番号を示している。 そのため、 例 えば、 配列番号 39に示される ASK由来の腫瘍抗原ペプチドであれば、 ASK (228)と表 示している。
図 1および図 2に示されるように、 6種のタンパク (ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK、 GPR87) について各 1種以上の部分ペプチド、 合計 1 5種のペプチドのいずれ によってもぺプチド特異的 CTLが誘導されたため、 これらのぺプチドは腫瘍抗原べ プチドであることが明らかになった。
以上のように、 6種のタンパク (ASK、 CKS1、 MELK、 STK12、 TTK、 GPR87) は腫瘍 抗原タンパクであり、 これらの部分べプチドは腫瘍抗原ぺプチドであることが判明 した。 産業上の利用可能性
本発明によって、 癌疾患で発現量および Ζまたは発現頻度が特異的に増大してい る遺伝子 (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺伝子および G PR87遺伝子) が明らかとなった。 力、かる遺伝子は癌疾患の遺伝子診断に用いられる マーカー遺伝子(プローブ、 プライマー)として有用である。
また、 上記遺伝子 (ASK遺伝子、 CKS1遺伝子、 MELK遺伝子、 STK12遺伝子、 TTK遺 伝子または GPR87遺伝子) の発現を抑制すると、 癌細胞増殖が抑制されることより 、 これら遺伝子の発現の抑制、 またはこれらの遺伝子がコードするタンパク質の発 現や機能 (活性)の抑制を指標とすることによって、 癌疾患の治療薬となりえる候補 薬をスクリーニングし選別することが可能である。
更に本発明により、 タンパク質 (ASK、 CKS1、 MELK, STK12、 TTKまたは GPR87) を 新規腫瘍抗原と利用することができ、 これら腫瘍抗原タンパク質由来の腫瘍抗原ぺ プチドも提供される。 これらは C T Lの誘導剤として癌免疫分野において利用する
ことができる。 配列表フリーテキスト
配列番号: 25に記載の塩基配列は MELK senseである。
配列番号: 26に記載の塩基配列は MELK antisenseである。 配列番号: 27に記載の塩基配列は TTK senseである。
配列番号: 28に記載の塩基配列は TTK antisenseである。 配列番号: 29に記載の塩基配列は STK12 senseである。 配列番号: 30に記載の塩基配列は STK12 antisenseである。 配列番号: 31に記載の塩基配列は ASK senseである。 . 配列番号: 32に記載の塩基配列は ASK antisenseである。 配列番号: 33に記載の塩基配列は CKSl senseである。
配列番号: 34に記載の塩基配列は CKSl antisenseである。 配列番号: 35に記載の塩基配列は GPR87 senseである。 配列番号: 36に記載の塩基配列は GPR87 antisenseである。