明 細 書 ポリプロピレン樹脂,袓成物 技術分野
本発明は、 ポリプロピレン樹脂組成物に関する。 詳しくは特定の組成分布を有 するキシレン可溶分を含有するポリプロピレン樹脂組成物に関する。 さらに詳し くは、 透明性に優れ、 かつ低温での耐衝撃性および耐熱性 ·剛性に優れたポリプ 口ピレン樹脂組成物に関する。 背景技術
ポリプロピレンを用いた成形品は経済性に優れ、 多岐の分野にわたり使用され ている。
し力 し、 一般にプロピレン単独重合体を用いた成形品は高い剛性を有する反面 、 耐衝撃性、 特に低温での耐衝撃性に劣るという欠点がある。
そのため、 耐衝擊性を向上させるために多くの提案がなされてきた。 例えば、 最初にプロピレンホモポリマ一を製造した後にエチレン一プロピレン共重合体ェ ラストマ一を製造したプロピレンブロック共重合体が挙げられる。 このプロピレ ン系ブロック共重合体を用いた成形品は耐衝撃性が優れるために、 自動車、 家電 分野などの各産業分野で広く用いられている。
しかしながら、 このプロピレンプロック共重合体は低温での耐衝撃性、 剛性に 優れるものの、 透明性が悪く、 透明性が要求される用途には適用されず、 用途に 制約がある欠点があった。
そこでさらに、 その欠点を解消すべく種々の検討がなされている。 例えば、 特 開平 6— 9 3 0 6 1号公報、 特開平 6— 3 1 3 0 4 8号公報、 特開平 7— 2 8 6 0 2 0号公報および特開平 8— 2 7 2 3 8号公報には、 結晶性ポリプロピレンと プロピレン共重合体エラストマ一のそれぞれの粘度、 その粘度比およびその含有 量を制御したプロピレンプロック共重合体が開示されている。
しかしながら、 それらにおいても耐衝撃性と剛性のバランスゃ透明性は十分と
はいえず、 さらにこれらをフィルムの分野で使用した場合にはヒートシール強度 が充分でな!/、という問題があった。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、 低温での耐衝撃性と剛性 のバランスおよび透明性に優れ、 さらにフィルムにした場合のヒートシール強度 に優れるポリプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とするものである。 発明の開示
本発明者らは上記従来技術の課題を解決すベくキシレン可溶分の組成分布に着 目し鋭意検討した結果、 特定の組成分布のキシレン可溶分を有するプロピレンブ ロック共重合体が、 低温での耐衝撃性と剛性のバランスおよび透明性に優れるの みならず、 フィルムにした場合のヒートシール強度に優れる事を見出し本発明を 完成するに至った。
すなわち本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、 (A) ポリプロピレン成分 5 0〜80質量%と、 (B) プロピレンとエチレン及び 又は炭素数 4〜12の α —ォレフインとの共重合体エラストマ一成分 50〜20質量%とを含有した組成 物であって、
メルトフローレートが 0. 1〜1 5.0 g 10分の範囲、
前記 (B) 共重合体エラストマ一成分におけるプロピレンに由来する単位が 5 0〜85質量。/。、 かつ、
キシレン可溶分 X sが下記 (I) 〜 (V) の要件を満たすことを特徴とするも のである。
(I) プロピレン含量 F pが 50〜80質量0 /0。
(II) キシレン可溶分 X sの極限粘度 [77]Xsが 1.4〜5 d L/g。
(III) 極限粘度 [ 7]]Xsとキシレン不溶分 X iの極限粘度 [ 7)]Xiの比が、 0. 7 〜 1.5。
(IV) 2サイトモデルにより定義される高プロピレン含量成分のプロピレン含 量 (Pp) が 60質量0 /。以上 95質量%未満、 低プロピレン含量成分のプロピレ ン含量 (P'p) が 20質量%以上 60質量%未満。
(V) 2サイトモデルにより定義される高プロピレン含量成分のプロピレン含
量 (Pp) と低プロピレン含量成分のプロピレン含量 (P'p) 、 高プロピレン含 量成分の前記 F pに占める割合 (Pfl) 、 および低プロピレン含量成分の前記 F pに占める割合 (1— Pfl) が下記式 (1) および (2) を満たす。
2.00<Pfl/ ( 1 -Pfl) < 6.00 … (2)
このようなポリプロピレン樹脂組成物によれば、 これを用いた成形体は、 特に 低温での耐衝撃性と剛性のバランスおよび透明性に優れ、 さらにフィルムにした 場合のヒートシール強度に優れる。 従って、 自動車や家電分野を始め、 より広範 囲な用途に利用することができる。
ここで、 キシレン可溶分 X sのプロピレン含量 F pは 60質量0 /0を超えること が望ましい。 キシレン可溶分 X sのプロピレン含量 F pが 60質量%を超えたも のとすることにより、 透明性とヒートシール強度とをさらに高めることができる また、 キシレン不溶分 X iの屈折率が 1.490〜1.510であり、 キシレン 可溶分 X sの屈折率が 1.470〜1.490の範囲であることが望ましい。 キシ レン不溶分 X iの屈折率及びキシレン可溶分 X sの屈折率を特定範囲内のものと することにより、 透明性、 耐衝撃性、 剛性および耐熱性をより高次元でバランス させることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 プロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の13 C— NMRスぺク ト ルの一例である。
図 2は、 連鎖分布由来の各炭素の名称を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、 (A) ポリプロピレン成分と (B) 共 重合体エラストマ一成分とを含有した組成物である。
本発明における (A) ポリプロピレン成分は、 プロピレン単独重合体、 または エチレン及び Z又は炭素数 4〜12の α—ォレフインとの共重合
体、 およびこれらの混合物の中から選ばれる。 ここで、 炭素数 4〜12の α—ォ レフインとしては、 1ーブテン、 1一ペンテン、 1一へキセン、 1—ヘプテン、 1— ォクテン、 1—デセン、 4—メチル—1—ペンテンなど任意のものが使用可能であ る。 これらの重合体は、 それぞれ単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよ い。
但し、 本発明における (Α) ポリプロピレン成分とは、 プロピレンに由来する 単位が 95質量%以上あるものをいい、 これら共重合成分の含有量は 5.0質量 %以下である。 さらに好ましくは、 共重合成分は 0.1〜3.5質量%である。 ェ チレン及びノ又は炭素数 4〜12の α—ォレフインの含量が 5質量%より多いと 成形品における剛性および耐熱性が顕著に低下するので好ましくない。
これらの重合体は、 例えば、 公知のチーグラー ·ナッタ系触媒やメタ口セン触 媒を用い、 公知の重合方法によって製造されるものである。
(Α) ポリプロピレン成分は、 剛性と耐熱性が特に要求される場合にはプロピ レン単独重合体であることが好ましく、 また、 耐衝撃性と透明性が特に要求され る場合にはプロピレンとエチレンおよび/または ct—ォレフィンの共重合体であ ることが好ましい。
(A) ポリプロピレン成分は、 その極限粘度 [ 77 ] 力 S、 2.0〜4.8 dL/g であることが望ましい。 より好ましくは、 2.5〜4.5 dLZg、 さらに好まし くは、 2.8〜4.0 d L/gの範囲である。 極限粘度 [ 7] ] が 4.8 d LZgを 超える場合、 成形時の押出し不良や成形品の透明性の低下が起こることがある。 また、 極限粘度 [rj] が 2.0 dLZg未満である場合、 成形時の押出し不良や 透明性の低下は起こりにくくなるものの、 製品の剛性および耐衝撃性が低下する ことがある。
本発明における (B) 共重合体エラストマ一成分は、 プロピレンとエチレン及 び Z又は炭素数 4〜12の α—ォレフインとの共重合体エラストマ一成分である 。 共重合体エラストマ一成分を構成する炭素数 4〜12の α—ォレフィンとして は任意のものが使用でき、 具体的に 1—プテン、 1_ペンテン、 1—へキセン、 1_ ヘプテン、 1—ォクテン、 1—デセン、 4一メチル一1—ペンテン等が例示される
本発明において (B) 共重合体エラストマ一成分とは、 プロピレンに由来する 単位が 50〜85質量0 /0のものをいう。 好ましくは 55〜85質量0 /0、 さらに好 ましくは 55〜 80質量%である。 85質量%を超えると低温での耐衝撃性が不 十分となり、 50質量%未満では、 透明性が低下したりヒートシール強度が低下 したりすることがある。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、 前記 (A) ポリプロピレン成分 50〜 80質量%および前記 (B) 共重合体エラストマ一成分 50〜20質量%を含有 する。 本発明の組成物において (B) 共重合体エラストマ一成分の含有量が 20 質量%未満では耐衝撃性に劣り、 50質量%を超えると剛性や耐熱性に劣ること となる。 (B) 共重合体エラストマ一成分の含有量は好ましくは 45〜 20質量 %の範囲であり、 更に好ましくは 40〜23質量%の範囲である。
本発明のポリプロピレン榭脂組成物は、 そのメルトフローレート (以下、 MF Rと記すことがある。 ) 力 SO. 1〜: 1 5.0 g/10分の範囲であり、 成形品の透明 性、 剛性および耐衝擊性の観点から好ましくは、 0.5〜: 10.0 g/10分の範囲 、 さらに好ましくは 0.7〜7. 0 gZlO分の範囲である。 MFRが0. 1 gZlO 分未満である場合、 押出機による混練時あるいは成形時に各成分の分散不良や吐 出不良を起こすことがあり、 その結果として成形品の耐衝撃性、 剛性あるいは透 明性を低下させることがある。 また、 MFRが 1 5.0 g/10分を超える場合、 耐衝撃性や透明性を低下させることがある。 なお MFRは、 J I S K7210 に準拠し、 230°C、 2. 16 k g荷重で測定した値である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、 20〜50質量%のキシレン可溶分 X sを含有する。 キシレン可溶分 X sは好ましくは 20〜45質量%の範囲であり 、 更に好ましくは 23〜40質量。 /0の範囲である。
前記キシレン可溶分のプロピレン含量 F pは 50〜80質量0 /。であり、 好まし くは、 60〜80質量%である。 特には、 60質量%超である。 さらにより好ま しくは、 65〜80質量%、 さらには、 70〜80質量%の範囲、 さらにより好 ましくは 70〜 78質量0 /。である。 キシレン可溶分のプロピレン含量が 50質量 %未満であると透明性が低下し、 さらにはフィルムにした場合のヒートシール強 度が低下することもある。 また、 プロピレン含量 F pが 80質量%を超えると低
温での耐衝撃性が低下する。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物におけるキシレン可溶分の極限粘度 [ 77 ]XS は 1.4〜5.0 d LZgの範囲であり、 好ましくは 2.0〜4.5 d L/gの範囲 、 さらに好ましくは、 2.5〜4.0 d LZgの範囲である。 極限粘度 [ 77 ] Xsが 5.0 d L/gを越えると、 耐衝撃性は向上するものの透明性が低下する。 また 、 極限粘度 [ 77 ] Xsが 1.4 d LZg未満であると耐衝撃性が低下するので好ま しくない。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物においては、 ポリプロピレン樹脂組成物の キシレン可溶分の極限粘度 [ ] Xsとキシレン不溶分の極限粘度 [ 77 ] Xiの比 ( [ η ] XS/[ T] ]Xi) が 0.7〜1.5の範囲である。 好ましくは 0.7〜: 1.3の範囲、 さ らに好ましくは 0.8〜1.2の範囲である。 該比が 0.7未満であると透明性は 向上するものの低温での耐衝撃性が低下し、 1.5を超えると透明性が低下する キシレン可溶分の屈折率は、 1.470〜1.490であることが望ましレ、。 好 ましくは 1.470〜: 1.485、 より好ましくは、 1.473〜: 1.485である 。 キシレン可溶分の屈折率が 1.490より大きいと透明性は、 向上するものの 耐衝撃性が低下することがある。 また、 1.470未満であると耐衝撃性は向上 するものの、 透明性が低下しやすい。
また、 キシレン不溶分の屈折率は 1.490〜1.510であることが望ましい 。 好ましくは 1.493〜: L.505、 より好ましくは 1.495〜: 1.503の範 囲である。 キシレン不溶分の屈折率が 1.490より小さいと透明性およぴ耐衝 擊性は向上するものの剛性および耐熱性が低下することがある。 他方、 1.51 0より大きいと剛性及び耐熱性は向上するものの、 耐衝擊性は低下しゃすくなる 前記キシレン可溶分 X sにおける、 2サイ トモデルにより定義される高プロピ レン含量成分のプロピレン含量 Ppと低プロピレン含量成分のプロピレン含量 P' p、 高プロピレン含量成分の前記 F pに占める割合 Pfl、 および低プロピレン含量 成分の前記 F pに占める割合 (1— Pfl) が式 (1) および (2) を満たす。
Pノ P'D≥ 1.90 … (1)
2.00<Pfl/ (1一 Pfl) < 6.00 … (2)
PPZP'Pが 1. 90未満である場合、 または PflZ (1 - Pfl) が 2.00以下 である場合には、 キシレン可溶分とキシレン不溶分との界面強度が低下するため 、 ヒートシール強度の低下をもたらすこととなる。 また、 PflZ (1— Pfl) が 6.00以上であると、 前記界面強度は向上するものの剛性ゃ耐衝撃性が低下す る。 これらの式はキシレン可溶分の組成分布を表す指標であり、 前記式 (1) は 前記二つの活性点より生成する成分の組成差の尺度であり、 前記式 (2) は前記 二つの活性点より生成する成分の生成量についての尺度である。
尚、 高プロピレン含量成分のプロピレン含量 (Pp) は 60質量%以上 95質 量%未満である。 好ましくは 65〜 90質量%であり、 より好ましくは 70〜 9 0質量。/。である。 低プロピレン含量成分のプロピレン含量 (P'p) は 20質量0 /0 以上 60質量%未満である。 好ましくは 25〜55質量。 /。であり、 より好ましく は 30〜50質量%である。
2サイトモデルについては、 H.N.CHENG、 Jounal of Applied Polymer Sience, Vol.35 pl639-1650(1988)にその定義が述べられている。 すなわち、 プロピレン を優先的に重合する活性点 (P) とエチレンを優先的に重合する活性点 (Ρ') の 2つを仮定し、 この 2つの活性点における反応確率、 即ち、 プロピレン含量 Ρ ρおよび Ρ'ρと、 プロピレンが優先的に重合する活性点 (P) の活性点全体に占 める割合 Pflをパラメータとし、 表 1の確率方程式を用い、 実際の13 C— NMR のスぺクトルの相対強度とこの確率方程式が一致するように、 上記 3つのパラメ ータを最適化することにより求められる。 このようにして、 求めた Pp、 P'pお よび Pflと、 プロピレン含量 Fpは、 次式 (3) の関係を満たす。
F p = PpXPfl+P'pX (1 - Pfl) … (3)
Ppおよび P'pは好ましくは下式 (4) 、 さらに好ましくは下式 (5) を満た す。
1. 95≤Pp/P'p≤ 2.40 … (4)
1.95≤PP/P'P≤2. 35 … (5)
Pfl/ (1一 Pfl) は好ましくは下式 (6) 、 さらに好ましくは下式 (7) 、 を満たす。
2.50≤Pfl/ (1 - Pfl) < 5.50 … (6)
3.00 < Pfl/ ( 1 -Pfl) く 5.00 … (7)
なお、 Pp、 P'p、 F pおよび Pflは、 13C_NMRスペク トルの統計解析によ つて得ることができる。
シグナル 2サイトモデルの確率方程式
(1) So? Pp2xPf1+P'p 2x(1-Pfi)
(2) Sa r (-2Pp3+2Pp 2) x Pf1 +(-2P'p3+2P'p 2) x (1一 Pf1)
(3) Sad (2Pp 3-4Pp2+2Pp) x Pf1 +(2Ρ'ρ3-4Ρ'ρ2+2Ρ·ρ) x (1 -Pfi)
(4) Τδ d (Pp3-2Pp2+Pp) x Pf1+(P'p 3-2P'p2+P'p) x (1 -Pfi)
(5) s +τβ δ (Pp4-4Pp3+3Pp 2) x Pfi + (P'p4-4Pp3+3P'p 2) x (1一 Pf1)
O
(6) srd (-2Pp4+6Pp3-6Pp2+2Pp) x Pf1 + (—2P'p 4+6P'p 3—6P'p2+2P'p) x (1 -Pfi)
(7) δ (Pp4-5Pp3+9Pp2-7Pp+2) x Pfi+(P'p4-5P'p3+9P'p2-7P'p+2) x (1 -Pfi)
(8) Τβ β PP 3xPfi+P'p3x(1-Pfi)
(9) 5β δ (2Pp 3-4Pp2+2Pp) x Pf1+(2P'p3-4P'p2+2P'p) x (1 -Pfi)
ms$ (-Pp3+2PP 2) x Pf1 + (— P'p3+P'p 2) x (1 -Pn)
以下 (B) 成分がプロピレン—エチレン共重合体エラストマ一の場合を例に挙 げてこの手法を説明する。
図 1は典型的なプロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の13 C— NMRス ベク トルであり、 スペク トルは連鎖分布 (エチレンとプロピレンの並び方) の違 いで 10個の異なるピークを与える。 この連鎖の名称は Macromolecules,Vol.10, p536-544(1977)に述べられており、 図 2のように命名されている。 このような連 鎖は共重合の反応機構を仮定すると、 反応確率の積として表すことができる。 し たがって、 全体のピーク強度を 1にしたときの各(1)〜(10)のピークの相対強度 は、 反応確率および各サイ トの存在比をパラメータとしたべルヌーィ (Bernoull i) 統計による確率方程式として表現することができる。 (1)Sひ ひの場合は、 プ ロピレン単位を記号 P、 エチレン単位を記号 Eとすると、 これを取りうる連鎖は [PPPP] 、 [P PEE] 、 [EPPE] の 3通りであり、 これらをそれぞれ 反応確率で表し、 足し合わせる。 残りの(2)〜(10)のピークについても同様な方 法で式をたて、 これら 10個の式と実際測定したピーク強度が最も近くなるよう にパラメータ、 即ち前記 Pp、 P'pおよび Pflを最適化することにより求めること ができる。 最適化に際しては、 最小自乗法によりピーク強度の測定値と表 1に示 す各式より得られる理論値の残差が 1 X 10— 5以下となるまで回帰計算を行う。 このような回帰計算を行うアルゴリズム等は、 例えば、 H.N.CHENG、 Jounal of A pplied Polymer Sience, Vol.35 pl639-1650(1988)に記載されている。
次に本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法について述べる。 本発明の ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、 公知の方法を採用する ことができる。 例えば、 (A) 成分と (B) 成分とをリボンプレンダー、 タンブ ラー、 ヘンシェルミキサーなどを用いて各成分を混合した後、 170〜280°C 、 好ましくは 190〜260°Cの温度でニーダー、 ミキシングロール、 バンバリ 一ミキサー、 単軸あるいは二軸押出機などを用いて溶融混練することで得られる また、 本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、 (A) 成分と (B) 成分とを多 段重合方法により一つの重合系内で製造したものであってもよい。 さらには (A ) 成分と (B) 成分とを多段重合方法により一つの重合系内で製造したのち、 (
A) 成分および/または (B) をさらに添加したものであってもよい。
前記ポリプロピレン成分 (A) および共重合体エラストマ一成分 (B) は公知 の方法により製造できる。 具体的には、 チーグラー触媒やメタ口セン触媒を用い てプロピレンを重合もしくはプロピレンとその他のォレフィンを共重合すること で製造することができる。 チーグラー触媒としては、 三塩化チタン系触媒ゃマグ ネシゥム担持型チタン触媒が挙げられる。 マグネシウム担持型触媒系としては、
(a) チタン、 マグネシウム、 ハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分 、 (b) 有機アルミニウム化合物および (c) 電子供与性化合物から構成される 触媒系が挙げられる。 これらは特開昭 57-63310号、 特開昭 57— 633 1 1号、 特開昭 58— 83006号、 特開昭 58— 1 38708号、 特開昭 62 — 20507号、 特開昭 6 1— 296006号、 特開平 2— 229806号、 特 開平 2— 33103号、 特開平 2_ 70708号各公報などに記載されている。 また、 これらは各成分の製造に先立って少量のォレフィンを重合した予備重合触 媒として使用しても良い。
本発明における' (B) 成分の製造に当たっては、 本発明の組成物の規定を充足 するような製造条件であれば特に制限はないが、 具体的には下記方法が例示され る。
1. 上記触媒のうち組成分布、 立体規則性分布、 あるいは分子量分布の比較的 広い重合体を与える触媒を用いて (B) 成分を製造する方法。
2. 組成分布、 立体規則性分布、 あるいは分子量分布が比較的広くなる条件で 上記触媒を調製する方法、 すなわち電子供与性化合物や有機アルミニウム化合物 の使用量を変化させたり複数の電子供与性化合物を使用して調製した触媒を使用 して (B) 成分を製造する方法。
3. 組成分布、 立体規則性分布、 あるいは分子量分布が比較的広くなる重合条 件で製造する方法、 即ち、 (ィ) 多段重合により各段の温度、 モノマー組成比な どの重合条件を変化させて (B) 成分を製造する方法、 (口) 一般的に得られる 重合体の組成によって組成分布が変化することから、 目的の組成分布が得られる ように共重合体エラストマ一の組成を調節して (B) 成分を製造する方法。
4. メタロセン触媒等により得られる均一な組成分布を有しつつプロピレン含
有量の異なる各成分を複数使用する方法。
これらの方法により製造された (B ) 成分を用いることで、 前記キシレン可溶 分の組成分布が調節されたポリプロピレン樹脂組成物を容易に得ることがで.きる 前記各成分の製造にあたってはへキサン、 ヘプタン、 灯油などの不活性炭化水 素またはプロピレンなどの液化 α—才レフイン溶媒の存在下で行うスラリ一重合 、 塊状重合、 あるいは溶液重合や気相重合などの重合方法が採用され、 室温から 2 0 0 °C、 好ましくは 3 0〜: 1 5 0 °Cの温度範囲、 0. 2〜 5. '0 MP a圧力範囲 で行われる。 重合工程における反応器は、 当該技術分野で通常用いられるものが 適宜利用でき、 例えば、 攪拌層型反応器、 流動床型反応器、 循環式反応器を用い て連続式、 半回分式、 回分式の何れの方法でもよい。 また、 重合時には、 例えば 、 水素などを添加することで得られる重合体の分子量を調節することができる。 本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、 他の榭脂ゃ添加剤などを本発明の目 的を損なわない範囲で配合できる。 これら他の添加剤としては酸化防止剤、 耐候 性安定剤、 帯電防止剤、 滑剤、 ブロッキング防止剤、 防曇剤、 染料、 顔料、 オイ ル、 ワックス等が例示される。
本発明の樹脂組成物は公知の成形方法により、 フィルム、 シート、 チューブ、 ボトルなどに成形することができる。 また、 単体で使用することもできるし、 他 の材料と積層して用いることもできる。 フィルムおよびシートの製造方法として は公知の方法が可能であり、 水冷式、 又は空冷式押出しインフレーション法、 T ダイ法などが挙げられる。 他の材料と積層する場合も上記方法の共押出し法及び ドライラミネーシヨン法、 押出しラミネーシヨン法が挙げられる。 チューブの製 造法としては、 通常の押出し中空成形法が挙げられる。 チューブは、 使用分野に よって適当な厚さ、 直径に成形される。 実施例
以下、 本発明を実施例により詳細に説明するが、 本発明はこれらに限定される ものではない。
尚、 諸物性の測定方法は次の通りである。
メルトフローレート (MFR) の測定:
J I S-K7210に準拠し、 温度 230°C、 荷重 2160 gの条件で測定し た。
13C— NMRの測定 (Pp、 P'pおよび Pflの算出) :
日本電子製の J NM-GS X 400により測定し (測定モード:プロトンデカ ップリング法、 パルス幅: 8.0 //s、 パルス繰り返し時間: 3.0 s、 積算回数 : 10000回、 測定温度: 120°C、 内部標準:へキサメチルジシロキサン、 溶媒: 1, 2, 4—トリクロ口ベンゼン/ベンゼン一 d 6 (容量比 3Z1) 、 試 料濃度: 0. l gZm l ) 、 その統計解析により、 前述に従い Pp、 P'pおよび Pf tを求めた。
キシレン可溶分量 X sの測定:
オルトキシレン 250m lにサンプル 2. 5 gを入れ、 加熱しながら攪拌して 沸騰温度まで昇温し、 30分以上かけて完全溶解させる。 完全溶解を確認した後 、 攪拌を行いながら 100°C以下になるまで放冷し、 さらに 25°Cに保った恒温 槽にて 2時間保持する。 その後析出した成分 (キシレン不溶分 X i) をろ紙によ りろ別した。 ついでこのろ液を加熱しながら窒素気流下でキシレンを溜去、 乾燥 することでキシレン可溶分 X sを得た。
プロピレン含量の測定:
前記13 C— NMRの結果をもとに算出した。
極限粘度の測定:
デカリン中、 135 °Cにおいて測定した。
屈折率の測定:
キシレン可溶分 X sおよびキシレン不溶分 X iについて、 それぞれ厚さ 50〜 80 jumのフィルムをプレス成形 (230°Cで 5分予熱、 30秒脱気、 6MP a で 1分間加圧、 30。Cのプレスで 3分間冷却) により製造した。 得られたフィル ムを常温にて 24時間状態調整を行った後、 中間液としてサリチル酸ェチルを用 ぃァタゴ社製ァッべ屈折計で測定を行った。
(A) 成分および (B) 成分の製造
以下に従い多段重合の第 1段目で (A) 成分を製造し、 引き続き第 2段目で (
B) 共重合体エラストマ一成分を製造した。 これら各成分の物性値を表 2、 3に 示す。
[??ー1の製造]
固体触媒の調製
無水塩化マグネシウム 56.8 gを、 無水エタノール 100 g、 出光興産 (株 ) 製のワセリンオイル 「CP 15N」 500mlおよび信越シリコーン (株) 製 のシリコーン油 「KF96」 500ml中、 窒素雰囲気下、 120°Cで完全に溶 解させた。 この混合物を、 特殊機化工業 (株) 製の TKホモミキサーを用いて 1 20°C、 5000回転 分で 2分間攪拌した。 攪拌を保持しながら、 2リットル の無水ヘプタン中に 0°Cを越えないように移送した。 得られた白色固体は無水へ ブタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥し、 さらに窒素気流下で部分的に脱エタ ノール化した。 得られた Mg C 12♦ 1.2C2H5OHの球状固体 30 gを無水ヘプ タン 20 Om 1中に懸濁させた。 0°Cで攪拌しながら、 四塩化チタン 500ml を 1時間かけて滴下した。 次に、 加熱を始めて 40°Cになったところで、 フタル 酸ジィソプチノレ 4.96 gを加えて、 100°Cまで約 1時間で昇温させた。 10 0°Cで 2時間反応させた後、 熱時ろ過にて固体部分を採取した。 その後、 この反 応物に四塩化チタン 500mlを加え攪拌させた後、 120°Cで 1時間反応させ た。 反応終了後、 再度、 熱時ろ過にて固体部分を採取し、 60°Cのへキサン 1. 0リツトルで 7回、 室温のへキサン 1.0リツトルで 3回洗浄して固体触媒を得 た。 得られた固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、 2.36質量% であった。
1) 予備重合
窒素雰囲気下、 3リッ トルのオートクレーブ中に、 n—ヘプタン 50 Om 1、 トリエチルアルミニウム 6.0 g、 シクロへキシルメチルジメ トキシシラン 0.9 9 gおよび、 上記得られた重合触媒 10 gを投入し、 0〜5 °Cの温度範囲で 5分 間攪拌した。 次に、 重合触媒 1 g当たり 10 gのプロピレンが重合するようにプ ロピレンをオートクレープ中に供給し、 0〜5°Cの温度範囲で 1時間予備重合し た。 得られた予備重合触媒は n—ヘプタン 50 Om 1で 3回洗浄を行い、 以下の 重合に使用した。
2) 本重合
第 1段目 : (A) ポリプロピレン成分の製造
窒素雰囲気下、 内容積 60リツトルの攪拌機付きオートクレープに上記の方法 で調製された予備重合固体触媒 2.0 g、 トリェチルアルミニウム 11.4 g、 シ クロへキシルメチルジメ トキシシラン 1.88 gを入れ、 次いでプロピレン 1 8 k g、 プロピレンに対して 500 Omo 1 p pmになるように水素を装入し、 7 0°Cまで昇温させ 1時間の重合を行った。 1時間後、 未反応のプロピレンを除去 し、 重合を終結させた。
第 2段目 : (B) プロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の製造 上記のごとく、 第 1段目の重合が終結した後、 液体プロピレンを除去し、 温度 75°Cでエチレンノプロピレン = 26 74 (質量比) の混合ガス 2. 2 Nm3/ 時間、 水素を、 エチレン、 プロピレン及び水素の合計量に対して 40, 00 Om o 1 p pmになるように供給し、 60分間重合した。 40分後未反応ガスを除去 し、 重合を終結させた。 その結果、 6.6 k gの重合体が得られた。
[PP— 2の製造]
第 2段目 : (B) プロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の製造において 水素の使用量を 50, 00 Omo 1 p p mとなるように供給したほかは、 PP— 1の製造と同様に重合を行った。 その結果、 6. 3 k gの重合体が得られた。
[PP-3の製造]
第 2段目 : (B) プロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の製造において 水素の使用量を 20, 00 Omo 1 p p mとなるように供給したほかは、 PP— 1の製造と同様に重合を行った。 その結果、 5.8 k gの重合体が得られた。
[PP— 4の製造]
第 1段目 : (A) ポリプロピレン成分の製造
窒素雰囲気下、 内容積 60リ ツトルの攪拌機付きオートクレープに PP— 1の 方法で調製された予備重合固体触媒 2· 0 g、 トリェチルアルミニウム 1 1.4 g 、 シクロへキシルメチルジメ トキシシラン 1.88 gを入れ、 次いでプロピレン 18 k g, エチレン 120 L、 プロピレンに対して 650 Omo 1 p pmになる ように水素を装入し、 70°Cまで昇温させ 1時間の重合を行った。 1時間後、 未
反応のプロピレンを除去した。
第 2段目 : (B) プロピレン—エチレン共重合体エラストマ一の製造 水素を 40, 00 Omo 1 p pmになるように供給し、 40分間重合した以外 は P P_ 1の製造と同様に重合を行った。 その結果、 5. 7 k gの重合体が得ら れた。
[P P— 5の製造]
第 2段目の重合において、 エチレン Zプロピレン混合ガスの質量比を 26/7 4とし、 水素を 30, 000mo l p p mになるように供給しながら 45分間重 合を行った以外は PP— 1の製造と同様に重合を行った。 その結果、 6. 1 k g の重合体が得られた。
[P P— 6の製造]
P P- 1の製造においてエチレン/プロピレン混合ガスの質量比を 50/50 とした以外は同様に重合を行った。
[PP— 7の製造]
P P- 1の製造においてエチレン/プロピレン混合ガスの質量比を 38/62 とした以外は同様に重合を行った。
[P P— 8および P P— 9の製造]
塩化マグネシウム上に四塩化チタンを担持した固体触媒、 有機アルミニウム化 合物および電子供与性化合物からなる触媒により表 3に示す比較例 3、 4のポリ プロピレン樹脂組成物を製造した。
[PP- 10の製造]
T i C 14[C6H4 (COO i C4H9) 2]の調製
四塩化チタン 19 gを含むへキサン 1.0リツトルの溶液に、 フタル酸ジィソ プチル: C6H4 (COO i C4H9) 227.8 gを、 温度 0 °Cを維持しながら約 30 分で滴下した。 滴下終了後、 40°Cに昇温し 30分間反応させた。 反応終了後、 固体部分を採取しへキサン 500m 1で 5回洗浄し目的物を得た。
固体触媒の調製
PP- 1の製造方法において得られた固体触媒 20 gをトルエン 300m 1に 懸濁させ、 温度 25でで、 上記得られた T i C 14 [C6H, (COO i C4H9) 2]
を加えて 1時間攪拌し、 熱時ろ過にて固体部分を採取した。 その後、 この反応物 を 90°Cのトルエン 50 Om 1で 3回、 室温のへキサン 5 O Omlで 3回洗浄し た。 得られた固体触媒成分中のチタン含有率は、 1.78質量%であった。
予備重合
窒素雰囲気下のもと内容量 3リットルのオートクレーブ中に、 n—ヘプタン 5 00ml、 トリェチルアルミニウム 6.0 g、 ジシクロペンチルジメ トキシシラ ン 3.98 g、 および、 上記で得られた固体触媒 10 gを投入し、 0〜5°Cの温 度範囲で 5分間攪拌した。 次に、 重合触媒 1 gあたり 10 gのプロピレンが重合 するようにプロピレンをオートクレーブ中に供給し、 0〜5°Cの温度範囲で 1時 間予備重合した。 得られた予備重合固体触媒は、 n—ヘプタン 50 Om 1で 3回 洗浄を行い、 以下の重合に使用した。 第一段目 : ホモポリプロピレンの製造
窒素雰囲気下、 内容積 60リツトルの攪拌機付きオートクレープに上記の方法 で調製された予備重合固体触媒 2.0 g、 トリェチルアルミニウム 11.4 g、 ジ シク口ペンチルジメ トキシシラン 6.84 gを入れ、 次いでプロピレン 18 K g 、 プロピレンに対して 1.4mo 1 %になるように水素を装入し、 70°Cまで昇 温させ 1時間重合を行った。 1時間後、 未反応のプロピレンを除去した。
第二段目 :プロピレン一エチレン共重合体エラストマ一の製造
上記の第一段目の重合後、 温度 75°Cでエチレンノプロピレン =40ノ 60 ( 質量比) の混合ガス 2.2 Nm3/時間、 水素 2 ONL/時間の供給速度で、 40 分間共重合した。 40分後、 未反応ガスを除去し、 重合を終結させた。
ポリプロピレン樹脂組成物およびフィルムの製造
[実施例 1 ]
上記で得られた P P— 1の 100質量部に、 フエノール系酸化防止剤 0.30 質量部、 ステアリン酸カルシウム 0. 1質量部を添加し、 ヘンシ; ルミキサーに より室温下で 3分間混合した。 この混合物をスクリュー口径 4 Ommの押出機 ( 中谷 VSK型 40讓押出機) によりシリンダー設定温度 210 °Cで混練することで組 成物のペレツトを得た。
ついで、 このペレッ トを Tダイを取り付けた押出機 (東芝機械社製押出機、 ダ ブルフライ トスクリュー、 スクリュー径 65mm、 L/D 26.2, ダイス温度 260°C、 シリンダー温度 260°C) を用い、 スクリュー回転数 80 r pm、 引 取り速度 12 m/秒、 チルロール温度 50°Cの条件で製膜し厚さ約 70; umのフ イノレムを成形した。
[実施例 2〜5、 比較例:!〜 5]
実施例 1にお 、て P P— 1の代わりにそれぞれ表 2、 3記載のものを用いた以 外は同様に行レ、、 樹脂組成物およびフィルムを製造した。
上記実施例 1〜5、 比較例 1〜5で得られた各フィルムについて、 ヒートシ一 ル強度、 フィルムインパク ト (低温衝撃強度) 、 引張弾性率 (ヤング率) 、 透明 性を測定した。 測定結果を表 2、 3に示した。 測定方法は次の通りである。 ヒートシール強度:
接着性樹脂が積層された厚み 60ミクロンの PETフィルムと上記ポリプロピ レン樹脂組成物製フィルムを重ねたものを、 該ポリプロピレン樹脂組成物フィル ムが内側になるよう 2組重ね、 テスター産業社製のヒートシール機を用いてヒー トシールした (ヒートシールバーの幅 5 mm、 シール温度 160°Cおよび 170 °C、 0.21^ 3で1秒加圧、 成形時の樹脂の流動方向 (MD) に対して直角方 向) 。
室温で 48時間状態調整を行った後、 ヒートシールされたフィルムを幅 15m mにサンプリングし、 チャック間 50mm、 引張速度 300 mm/分の速度にて ヒートシール部を 180° に開く方向でヒートシール部が破断するまでの引張荷 重を加え、 その間の平均強度を求めた。 その平均強度 7点の平均値をヒートシ一 ル強度とした。
フィルムインパク トの測定 (低温衝撃強度) :
フィルムを 10 cmX l mの大きさにサンプリングし、 一 5°Cの恒温室に 2時 間放置した。 その後、 この恒温室内で (株) 東洋精機製作所製のフィルムインパ クトテスターに半径 1Z2インチの撃芯を取り付け、 一つのサンプルに付き 10 回試験を行い、 衝撃エネルギーを測定した。 これら衝撃エネルギーの値をフィル ムの厚みで除して、 その 10点の平均値をフィルムインパクトとし耐衝撃性の尺
度とした。
引張弾性率 (ヤング率) :
J I S K7127の方法に従い、 サンプル幅 20mm、 チャック間 250m m、 引っ張り速度 5 mm/分の条件で、 成形時の樹脂の流動方向 (MD) につい て測定した。
透明性:
J I S K7105の方法に準拠し、 全ヘイズを測定した。
表 2
秀カ也 リ 4 失力也 W'J 0
PP-1の 1段目 PP-2の 1段目 PP-3の 1段目 PP-4の 1段目 ΡΡ-5の 1段目
(A) エチレン含量 質量% 0 0 0 2.3 0
構成量 質量0 /0 70 70 70 78 75
ΡΡ-1の 2段目 ΡΡ-2の 2段目 PP-3の 2段目 ΡΡ-4の 2段目 PP-5の 2段目
(B) プロピレン含量 質量% 70.0 70.0 70.0 65.0 65.0
構成量 質量% 30 30 30 22 25
メ z卜フローレ一卜 g/1 Omin 1.2 1.2 0.8 o
Ί. i.U
Xs含有量 質量% 29.6 27.2 26.2 24.D Δ
[r?]Xi .D .O 9 .O
Xi
屈折率 1.OU 1.OUo 1.OU Ί .ουυ 1.OUO
["]Xs dL/g o
. 、 ( O.D
Pp 質量% Ol .O Q ΰに画 on ς
P'p 質量% 7 07 0
/ .
Xs (P p/P'p) £..£. . \ J ク. 1 .。リ
Pfi/(1-Pn) 4.72 3.60 3.97 3.09 3.22
屈折率 1.479 1.479 1.479 1.479 1.479
プロピレン含!: 質量% 73.9 72.9 73.4 71.5 71.5
[7?]Xs/[77]Xi 0.92 0.79 1.19 1.10 1.03
ヒートシール強度 160°C N/15mm 58.8 63.7 58.8 53.0 48.0
ヒートシール強度 170°C N/15mm 58.8 61.8 57.9 55.9 55.0
低温衝撃強度 J/mm 12.2 10.7 11.9 12.0 9.8
ヤング率 MD MP a 640 630 750 580 800
全ヘイズ % 20 31 38 22 32
表 2、 3から明らかなように、 本実施例のポリプロピレン樹脂組成物によるフ イルムでは、 ヒートシール強度、 フィルムインパク ト (低温衝撃強度) 、 引張弾 性率 (ヤング率) 、 透明性が、 バランスよく高められている。
し力 しながら、 (B ) 共重合体エラストマ一成分におけるプロピレンに由来す る単位が少ない比較例 1では、 透明性が低い。 また、 (2 ) 式の下限を満たさな い比較例 2、 及び (1 ) 式を満たさない比較例 3ではヒートシール強度が低い。 さらに、 X sのプロピレン含量 F pが多く、 (2 ) 式の上限を満たさない比較例 4では、 ヒートシール強度及び耐衝撃弹度が低い。 (2 ) 式の下限を満たさない 比較例 5ではヒートシール強度が低レ、。 産業上の利用可能性
上述したように、 本発明のポリプロピレン樹脂組成物によれば、 これを用いた 成形体は、 特に低温での耐衝撃性と剛性のバランスおよび透明性に優れ、 さらに フィルムにした場合のヒートシール強度に優れる。
従って、 自動車や家電分野を始め、 より広範囲な用途に利用することができる 特に、 キシレン可溶分 X sのプロピレン含量 F pが 6 0質量%を超えたものと することにより、 透明性とヒートシール強度とをさらに高めることができる。 また、 キシレン不溶分 X iの屈折率及びキシレン可溶分 X sの屈折率を特定範 囲内のものとすることにより、 透明性、 耐衝擊性、 剛性および耐熱性をより高次 元でバランスさせることができる。