JPWO2020138318A1 - 電池、電池パック、電子機器、電動車両および電力システム - Google Patents

電池、電池パック、電子機器、電動車両および電力システム Download PDF

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Abstract

電池は、正極と、負極と、電解質層とを備え、電解質層は、電解液と、電解液を保持する第1の高分子化合物と、極性基を有する化合物が表面に保持された無機粒子とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、電池、電池パック、電子機器、電動車両および電力システムに関する。
近年、電解液、高分子化合物および無機粒子を含む電解質層を用いた電池について、電池特性を向上するために種々の検討がなされている。特許文献1には、通常のゲル電解質にナノ粒子の無機物を複合させることにより、高温および低温特性に優れたゲル電解質が得られることが記載されている。
特開2002−8724号公報
近年では、電池は種々の電子機器や電気自動車等の電源として使用されているため、さらなる特性改善が望まれている。上記電解質層を用いた電池では、保存特性およびフロート特性を向上することが望まれている。
本発明の目的は、保存特性およびフロート特性を向上することができる電池、電池パック、電子機器、電動車両および電力システムを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の電池は、正極と、負極と、電解質層とを備え、電解質層は、電解液と、電解液を保持する第1の高分子化合物と、極性基を有する化合物が表面に保持された無機粒子とを含む。
本発明の電池パックは、本発明の電池と、この電池を制御する制御部とを備える。
本発明の電子機器は、本発明の電池を備え、この電池から電力の供給を受ける。
本発明の電動車両は、本発明の電池と、この電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置とを備える。
本発明の電力システムは、本発明の電池を備え、この電池から電力の供給を受ける。
本発明によれば、保存特性およびフロート特性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成の一例を示す分解斜視図である。 図1のII線−II線に沿った断面図である。 応用例1としての電子機器の構成の一例を示すブロック図である。 応用例2としての車両の構成の一例を示す概略図である。 応用例3としての蓄電システムの構成の一例を示す概略図である。 70℃保存試験の残存容量率を示すグラフである。 70℃保存試験のOCV低下率を示すグラフである。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施形態、応用例、実施例および変形例について以下の順序で説明する。
1 実施形態(ラミネート型電池の例)
2 応用例1(電池パックおよび電子機器の例)
3 応用例2(電動車両の例)
4 応用例3(蓄電システムの例)
5 実施例
6 変形例
<1 実施形態>
[電池の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池(以下単に「電池」という。)の構成の一例を示す。電池は、いわゆるラミネート型電池であり、正極リード11および負極リード12が取り付けられた巻回型の電極体20と、この電極体20を収容するフィルム状の外装材10とを備えたものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ、外装材10の内部から外部に向かい、例えば同一方向に導出されている。正極リード11および負極リード12は、例えば、Al、Cu、Niまたはステンレス鋼等の金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装材10は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装材10は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極体20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着または接着剤により互いに密着されている。外装材10と正極リード11および負極リード12との間には、外気の侵入を抑制するための密着フィルム13が挿入されている。密着フィルム13は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装材10は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレン等の高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成されていてもよい。あるいは、アルミニウム製フィルムを心材として、その片面または両面に高分子フィルムを積層したラミネートフィルムにより構成されていてもよい。
図2は、図1に示した電極体20のII−II線に沿った断面図である。電極体20は、長尺状を有する正極21と、長尺状を有する負極22と、正極21および負極22の間に設けられ、長尺状を有するセパレータ23と、正極21およびセパレータ23の間および負極22およびセパレータ23の間に設けられた電解質層24とを備える。電極体20は、正極21と負極22とをセパレータ23および電解質層24を介して積層し、扁平状かつ渦巻状になるように長手方向に巻回された構成を有しており、最外周部は保護テープ25により保護されている。
以下、電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23および電解質層24について順次説明する。
(正極)
正極21は、例えば、正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面に設けられた正極活物質層21Bとを備える。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔またはステンレス箔等の金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の正極活物質を含む。正極活物質層21Bは、必要に応じてバインダーおよび導電剤のうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
(正極活物質)
正極活物質としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物またはリチウムを含む層間化合物等のリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩等が挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、Co、Ni、MnおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩等が挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiCoO2、LiNiO2、LiNiaCo1-a2(0<a<1)、LiMn24またはLiFePO4等がある。
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z ・・・(A)
(但し、式(A)中、M1は、Ni、Mnを除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素以外の16族元素および17族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
LiaM2bPO4 ・・・(B)
(但し、式(B)中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k ・・・(C)
(但し、式(C)中、M3は、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M4n(2-p)q ・・・(D)
(但し、式(D)中、M4は、Co、Mn、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、SrおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LirCo(1-s)M5s(2-t)u ・・・(E)
(但し、式(E)中、M5は、Ni、Mn、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、SrおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-wM6wxy ・・・(F)
(但し、式(F)中、M6は、Co、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、SrおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM7PO4 ・・・(G)
(但し、式(G)中、M7は、Co、Mg、Fe、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、WおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoS等のリチウムを含まない無機化合物を用いることもできる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質は、上記以外のものであってもよい。また、上記で例示した正極活物質は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
(バインダー)
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、およびこれら樹脂材料のうちの1種を主体とする共重合体等からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
(導電剤)
導電剤としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブおよびグラフェン等からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素材料を用いることができる。なお、導電剤は導電性を有する材料であればよく、炭素材料に限定されるものではない。例えば、導電剤として金属材料または導電性高分子材料等を用いるようにしてもよい。また、導電剤の形状としては、例えば、粒状、鱗片状、中空状、針状または筒状等が挙げられるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。
(負極)
負極22は、例えば、負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面に設けられた負極活物質層22Bとを備える。負極集電体22Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔またはステンレス箔等の金属箔により構成されている。負極活物質層22Bは、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の負極活物質を含む。負極活物質層22Bは、必要に応じてバインダーおよび導電剤のうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
なお、この電池では、負極22または負極活物質の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、理論上、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっていることが好ましい。
(負極活物質)
負極活物質としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維または活性炭等の炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークス等がある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。さらにまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
また、高容量化が可能な他の負極活物質としては、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素(例えば、合金、化合物または混合物)として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物またはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
このような負極活物質としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、Mg、B、Al、Ti、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、PdまたはPtが挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
このような負極活物質としては、短周期型周期表における4B族の金属元素または半金属元素を構成元素として含むものが挙げられ、その中で好ましいのはSiおよびSnの少なくとも一方を構成元素として含むものである。SiおよびSnは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。このような負極活物質としては、例えば、Siの単体、合金または化合物や、Snの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
Siの合金としては、例えば、Si以外の第2の構成元素として、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Nb、Mo、Al、P、GaおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが挙げられる。Snの合金としては、例えば、Sn以外の第2の構成元素として、Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Nb、Mo、Al、P、GaおよびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが挙げられる。
Snの化合物またはSiの化合物としては、例えば、OまたはCを構成元素として含むものが挙げられる。これらの化合物は、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、Sn系の負極活物質としては、Coと、Snと、Cとを構成元素として含み、結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。
その他の負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物等も挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti512)等のLiとTiとを含むリチウムチタン酸化物、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデン等が挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロール等が挙げられる。
(バインダー)
バインダーとしては、正極活物質層21Bと同様のものを用いることができる。
(導電剤)
導電剤としては、正極活物質層21Bと同様のものを用いることができる。
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による短絡を防止すると共に、リチウムイオンを透過させる絶縁性の多孔質膜である。セパレータ23の空孔には電解液が保持されるため、セパレータ23は、電解液に対する耐性が高く、反応性が低く、膨張しにくいという特性を有することが好ましい。
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、または、これらの樹脂をブレンドした樹脂からなる多孔質膜によって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。その中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレンは溶融温度が適当であり、入手が容易なので好適に用いられる。他にも、化学的安定性を備えた樹脂を、ポリエチレンまたはポリプロピレンと共重合またはブレンド化した材料を用いることができる。あるいは、多孔質膜は、ポリプロピレン層と、ポリエチレン層と、ポリプロピレン層を順次に積層した3層以上の構造を有していてもよい。セパレータ23の作製方法としては、湿式、乾式を問わない。
セパレータ23としては、不織布を用いてもよい。不織布を構成する繊維としては、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、またはナイロン繊維等を用いることができる。また、これら2種以上の繊維を混合して不織布としてもよい。
(電解質層)
電解質層24は、電解液と、電解液を保持する保持体となる高分子化合物と、1または2以上の極性基を有する化合物が表面に保持された無機粒子とを含む。電解質層24が無機粒子を含むことで、電解質層24の強度、耐酸化性および耐熱性等を向上することができる。また、1または2以上の極性基を有する化合物が無機粒子の表面に保持されていることで、電解質層24の形成工程において、無機粒子の分散性を向上することができる。したがって、電解質層24内の無機粒子濃度のばらつきを抑制することができるため、保存特性およびフロート特性等の電池特性を向上することができる。電解質層24は、ゲル状を有していることが好ましい。電解質層24がゲル状を有していると、高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を抑制することができる。
ここでは、正極21とセパレータ23の間に設けられた電解質層24、および負極22とセパレータ23の間に設けられた電解質層24の両方が、無機粒子を含む場合について説明するが、これらの電解質層24の一方が、無機粒子を含むようにしてもよい。但し、電池特性の向上の観点からすると、これらの電解質層24の両方が、無機粒子を含むことが好ましい。
電解液は、いわゆる非水電解液であり、有機溶媒(非水溶媒)と、この有機溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。電解液が、電池特性を向上するために、公知の添加剤を含んでいてもよい。
有機溶媒としては、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレン等の環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性をさらに向上させることができるからである。
有機溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸メチルプロピル等の鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
有機溶媒としては、さらにまた、2,4−ジフルオロアニソールまたは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量をさらに向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性をさらに向上させることができるので好ましい。
これらの他にも、有機溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドまたはリン酸トリメチル等が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、ジフルオロ[オキソラト−O,O']ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、またはLiBr等が挙げられる。中でも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性をさらに向上させることができるので好ましい。
電解液を保持する保持体となる高分子化合物(第1の高分子化合物)としては、例えば、フッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンおよびポリカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。特に電気化学的な安定性の点からすると、これらの高分子化合物のうちでも、フッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリロニトリル、ポリヘキサフルオロプロピレンおよびポリエチレンオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、フッ化ビニリデン系重合体を用いることが特に好ましい。フッ化ビニリデン系重合体としては、ポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデンの単独重合体)、およびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。なお、フッ化ビニリデン系重合体の側鎖または末端等の一部が変性されていてもよい。
無機粒子は、電気的に正または負に偏りがある箇所を表面に有している。このように無機粒子が電気的に正または負に偏りがある箇所を表面に有することで、正または負に偏りがある箇所と、上記化合物が有する1または2以上の極性基とが相互作用し、1または2以上の極性基を有する化合物が無機粒子の表面に吸着等により保持される。
無機粒子は、例えば、無機化合物粒子および金属粒子のうちの少なくとも1種を含み、無機酸化物粒子を含むことが特に好ましい。無機酸化物粒子の表面のヒドロキシ基等の極性基と、上記化合物が有する極性基とが水素結合等することにより、無機酸化物粒子の表面に吸着保持される。ここで、金属粒子の金属には、半金属が含まれるものと定義する。
無機化合物粒子は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物および金属硫化物等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。金属酸化物は、酸化アルミニウム(アルミナ、Al23)、ベーマイト(水和アルミニウム酸化物)、酸化マグネシウム(マグネシア、MgO)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO2)、酸化ケイ素(シリカ、SiO2)および酸化イットリウム(イットリア、Y23)等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。金属窒化物は、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)および窒化チタン(TiN)等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。金属炭化物は、炭化ケイ素(SiC)および炭化ホウ素(B4C)等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。金属硫化物は、硫酸バリウム(BaSO4)等を含むことが好ましい。また、ゼオライト(M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O、Mは金属元素、x≧2、y≧0)等の多孔質アルミノケイ酸塩、層状ケイ酸塩、チタン酸バリウム(BaTiO3)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の鉱物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。中でも、酸化アルミニウム、酸化チタン(特にルチル型構造を有するもの)、酸化ケイ素および酸化マグネシウム等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化アルミニウムを含むことが特に好ましい。金属粒子は、例えば、Ag、Pt、Au、Ni、Cu、Pd、Al、Fe、CoおよびSi等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
無機粒子は耐酸化性および耐熱性を備えているため、無機粒子を含有する正極対向側面の電解質層24は、充電時の正極近傍における酸化環境に対しても強い耐性を有する。無機粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、板状、繊維状、キュービック状およびランダム形状等のいずれも用いることができる。
無機粒子の平均粒径は、1nm以上1μm以下であることが好ましい。無機粒子の平均粒径が1nm未満であると、入手が困難であり、また入手できたとしてもコスト的に見合わない。一方、無機粒子の平均粒径が1μm以下であると、電解質層を形成するための塗料の塗工性を向上し、電解質層24内の無機粒子濃度のばらつきをさらに抑制することができる。
1または2以上の極性基を有する化合物としては、電解質層24の形成工程における無機粒子の分散性を向上する観点からすると、1または2以上の極性基を有する重合体(第2の高分子化合物)を用いることが好ましい。極性基は、例えば、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシ基およびエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。保存特性の向上の観点からすると、これらの極性基のうちでも、カルボン酸基およびカルボン酸エステル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
重合体は、単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、共重合体(コポリマー)であってもよい。重合体の重量平均分子量の下限値は、電解質層24の形成工程における無機粒子の分散性を向上する観点からすると、好ましくは3万以上、より好ましくは30万以上、さらにより好ましくは50万以上、特に好ましくは90万以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、電解液への溶解性の観点からすると、200万以下であることが好ましい。なお、上記の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により求められる。
重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル系重合体およびポリエーテル系重合体等からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体の1または2以上の基を極性基で置換したものを用いることができる。
上記フッ化ビニリデン系重合体としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデンの単独重合体)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記アクリロニトリル系重合体としては、例えば、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、およびアクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記ポリエーテル系重合体としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、およびエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
なお、重合体としては、電解液を保持する保持体として例示した高分子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の1または2以上の基を、極性基で置換したものを用いてもよい。
1または2以上の極性基を有する化合物は、例えば、直鎖状を有していてもよいし、分岐状を有していてもよい。極性基は、化合物の末端に設けられていてもよいし、化合物の側鎖に設けられていてもよいし、化合物の末端および側鎖の両方に設けられていてもよい。
1または2以上の極性基を有する化合物の含有量は、無機粒子100質量部に対して2質量部以上5質量部以下であることが好ましい。上記化合物の含有量が2質量%以上であると、電解質層24の形成工程における無機粒子の分散性を特に向上することができる。一方、上記化合物の含有量が5質量部を越えると、無機粒子の分散性向上効果が低下し、保存特性およびフロート特性の改善効果が低下する虞がある。
[電池の動作]
上述の構成を有する電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解質層24を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解質層24を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
[電池の製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る電池の製造方法の一例について説明する。
(正極の作製工程)
正極21は次のようにして作製される。まず、例えば、正極活物質と、バインダーと、導電剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を得る。
(負極の作製工程)
負極22は次のようにして作製される。まず、例えば、負極活物質と、バインダーとを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を得る。
(電解質層の形成工程)
電解質層24は次のようにして作製される。まず、例えば、電解液25〜35質量部と、電解液を保持する保持体としての高分子化合物1〜3質量部と、無機粒子0.3〜7.0質量部と、有機溶剤55〜70質量部と、1または2以上の極性基を有する化合物(無機粒子100質量部に対して2〜5質量部)とを混合することにより、混合溶液を得る。次に、例えばホモジナイザーを用いて混合溶液を加熱撹拌することにより、高分子化合物を溶解させるとともに、極性基を有する化合物を無機粒子の表面に保持させることで、無機粒子を分散させたゾル状の前駆体溶液を調製する。この際、無機粒子表面の電気的に正または負に偏りがある箇所と、上記化合物に含まれる極性基とが相互作用することで、上記のように無機粒子の表面に極性基を有する化合物が保持される。次に、この前駆体溶液を正極21および負極22の両面に均一に塗布して含浸させる。その後、希釈溶剤を気化させて除去することにより、電解質層24を形成する。
(巻回工程)
電極体20は次のようにして作製される。まず、正極集電体21Aの端部に正極リード11を溶接により取り付けると共に、負極集電体22Aの端部に負極リード12を溶接により取り付ける。次に、電解質層24が形成された正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して電極体20を得る。
(封止工程)
電極体20は外装材10により次のようにして封止される。まず、例えば、柔軟性を有する外装材10の間に電極体20を挟み込む。この際、正極リード11および負極リード12と外装材10との間には密着フィルム13を挿入する。なお、正極リード11、負極リード12にそれぞれ密着フィルム13を予め取り付けておいてもよい。また、外装材10に予めエンボス成型を施し、電極体20を収容する収容空間としての凹部を形成しておいてもよい。次に、外装材10の外縁部同士を熱融着等により密着させて封止する。以上により、外装材10により電極体20が収容された電池が得られる。封止後、必要に応じて、ヒートプレスにより電池を成型するようにしてもよい。
[効果]
一実施形態に係る電池では、極性基を有する化合物が無機粒子の表面に保持されているため、電解質層24の形成工程において無機粒子の分散性を向上し、電解質層24内の無機粒子濃度のばらつきの発生を抑制することができる。これにより、電解質層24内において局所的に無機粒子濃度が低い箇所が減少するので、微小短絡が発生することを抑制することができる。よって、保存特性およびフロート特性等の電池特性を向上することができる。
<2 応用例1>
応用例1では、上述の一実施形態に係る電池を備える電子機器について説明する。
図3は、応用例1としての電子機器100の構成の一例を示す。電子機器100は、電子機器本体の電子回路110と、電池パック120とを備える。電池パック120は、正極端子123aおよび負極端子123bを介して電子回路110に対して電気的に接続されている。電子機器100は、電池パック120を着脱自在な構成を有していてもよい。
電子機器100としては、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォン等)、携帯情報端末(Personal Digital Assistants:PDA)、表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電子ペーパ等)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナーまたは信号機等が挙げられるが、これらに限定されるものでなない。
(電子回路)
電子回路110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、周辺ロジック部、インターフェース部および記憶部等を備え、電子機器100の全体を制御する。
(電池パック)
電池パック120は、組電池121と、充放電回路122とを備える。電池パック120が、必用に応じて組電池121および充放電回路122を収容する外装材(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。
組電池121は、複数の二次電池121aを直列および/または並列に接続して構成されている。複数の二次電池121aは、例えばn並列m直列(n、mは正の整数)に接続される。なお、図3では、6つの二次電池121aが2並列3直列(2P3S)に接続された例が示されている。二次電池121aとしては、上述の一実施形態に係る電池が用いられる。
ここでは、電池パック120が、複数の二次電池121aにより構成される組電池121を備える場合について説明するが、電池パック120が、組電池121に代えて1つの二次電池121aを備える構成を採用してもよい。
充放電回路122は、組電池121の充放電を制御する制御部である。具体的には、充電時には、充放電回路122は、組電池121に対する充電を制御する。一方、放電時(すなわち電子機器100の使用時)には、充放電回路122は、電子機器100に対する放電を制御する。
外装材としては、例えば、金属、高分子樹脂またはこれらの複合材料等より構成されるケースを用いることができる。複合材料としては、例えば、金属層と高分子樹脂層とが積層された積層体が挙げられる。
<3 応用例2>
応用例2では、上述の一実施形態に係る電池を備える電動車両について説明する。
図4は、応用例2としてのハイブリッド車両200の構成の一例を示す。ハイブリッド車両200は、電動車両用の蓄電システムとしてシリーズハイブリッドシステムを採用したものである。シリーズハイブリッドシステムは、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行するシステムである。
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、蓄電装置208、車両制御装置209、各種センサ210および充電口211が搭載されている。蓄電装置208は、上述の一実施形態に係る電池を1または2以上備える。
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。蓄電装置208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)変換または逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203として交流モータおよび直流モータのいずれも使用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサ等が含まれる。
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力を蓄電装置208に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力が蓄電装置208に蓄積される。
蓄電装置208は、充電口211を介して外部電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
なお、上述の応用例では、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車両を例として説明したが、本発明に係る電池を使用可能な車両はこれに限定されるものではない。例えば、エンジンとモータを駆動源として使用し、エンジンのみで走行、モータのみで走行、およびエンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車両であってもよいし、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する電動車両であってもよい。
<4 応用例3>
応用例3では、上述の一実施形態に係る電池を備える住宅用の蓄電システムについて説明する。
図5は、応用例3としての蓄電システムの構成の一例を示す。住宅301用の蓄電システム300においては、火力発電302a、原子力発電302b、水力発電302c等の集中型電力系統302から電力網309、情報網312、スマートメータ307、パワーハブ308等を介し、電力が蓄電装置303に供給される。これと共に、家庭内発電装置304等の独立電源から電力が蓄電装置303に供給される。蓄電装置303に供給された電力が蓄電される。蓄電装置303を使用して、住宅301で使用する電力が給電される。住宅301に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅301には、家庭内発電装置304、電力消費装置305、蓄電装置303、各装置を制御する制御装置310、スマートメータ307、各種情報を取得するセンサ311が設けられている。各装置は、電力網309および情報網312によって接続されている。家庭内発電装置304として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置305および/または蓄電装置303に供給される。電力消費装置305は、冷蔵庫305a、空調装置305b、テレビジョン受信機305c、風呂305d等である。さらに、電力消費装置305には、電動車両306が含まれる。電動車両306は、電気自動車306a、ハイブリッドカー306b、電気バイク306cである。
蓄電装置303は、上述の一実施形態に係る電池を1または2以上備える。スマートメータ307は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網309は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
各種のセンサ311は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ311により取得された情報は、制御装置310に送信される。センサ311からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置305を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置310は、住宅301に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
パワーハブ308によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置310と接続される情報網312の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBee(登録商標)は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置310は、外部のサーバ313と接続されている。このサーバ313は、住宅301、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていてもよい。サーバ313が送受信する情報は、例えば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(例えばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(例えば、携帯電話機等)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、例えば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されてもよい。
各部を制御する制御装置310は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置303に格納されている。制御装置310は、蓄電装置303、家庭内発電装置304、電力消費装置305、各種センサ311、サーバ313と情報網312により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていてもよい。
以上のように、電力が火力発電302a、原子力発電302b、水力発電302c等の集中型電力系統302のみならず、家庭内発電装置304(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置303に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置304の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置303に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置303に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置303によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置310が蓄電装置303内に格納される例を説明したが、スマートメータ307内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム300は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
<5 実施例>
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により求められたものである。
[実施例1]
(正極の作製工程)
まず、正極活物質としてLiCoO296質量部と、正極バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部と、正極導電剤としてカーボンブラック1質量部とを混合することにより、正極合剤とした。次に、正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。次に、コーティング装置を用いて正極集電体(15μm厚のアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層を形成した。次に、ロールプレス機を用いて正極活物質層を圧縮成型したのち、その正極活物質層が形成された正極集電体を48mm×300mmの帯状に切断した。
(負極の作製工程)
まず、負極活物質として人造黒鉛90質量部と、負極バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部とを混合することにより、負極合剤とした。次に、負極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとした。次に、コーティング装置を用いて負極集電体(15μm厚の銅箔)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層を形成した。次に、ロールプレス機を用いて負極活物質層を圧縮成型したのち、その負極活物質層が形成された負極集電体を50mm×310mmの帯状に切断した。
(電解質層の形成工程)
まず、炭酸エチレン(EC)と炭酸プロピレン(PC)とを、質量比でEC:PC=50:50となるように混合して混合溶媒を調製した。次に、この混合溶媒に、電解質塩(LiPF6)を1mol/kgとなるように溶解させて電解液を調製した。次に、電解液31質量部と、高分子化合物としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)2質量部と、無機粒子としてアルミナ粒子0.45質量部と、有機溶剤として炭酸ジメチル66.55質量部と、極性官能基を有する共重合体(無機粒子100質量部に対して5質量部)とを混合することにより、混合溶液を得た。なお、極性官能基を有する共重合体としては、ポリフッ化ビニリデンの一部の官能基がカルボン酸エステル基(極性官能基)で置換されており、重量平均分子量90万を有するものを用いた。
次に、ホモジナイザーを用いて混合溶液を加熱撹拌(80℃、攪拌時間30分間〜1時間)することにより、高分子化合物を溶解させるとともに、無機粒子を分散させたゾル状の前駆体溶液を調製した。この際、無機粒子表面のヒドロキシ基等の極性官能基と共重合体の極性官能基とが相互作用することで、無機粒子表面に極性官能基を含む共重合体が吸着保持された。次に、正極および負極の両面に前駆体溶液を塗布したのち、その前駆体溶液を乾燥させることにより、ゲル状の電解質層を形成した。
(巻回工程)
まず、正極集電体に正極リードを溶接すると共に、負極集電体に負極リードを溶接した。次に、セパレータ(23μm厚の微孔性ポリプロピレンフィルム)を介して、電解質層が形成された正極および負極を積層したのち、その積層物を長手方向に巻回し、最外周部に保護テープを貼り付けることにより、巻回型の電極体を得た。
(封止工程)
まず、柔軟性を有する外装材の間に電極体20を挟み込むようにして、外装材を折り畳んだ。この際、正極リードと外装材との間に密着フィルムを挿入すると共に、負極リードと外装材との間に密着フィルムを挿入した。次に、折り畳んだ外装材の外周縁部同士を熱融着することにより、外装材により電極体を封入した。以上により、目的とする電池が得られた。
[実施例2]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体として、フッ化ビニリデン系共重合体の一部の官能基がカルボン酸基で置換されており、重量平均分子量90万を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。
[実施例3]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体として、ポリエーテル系重合体の一部の官能基がリン酸基で置換されており、重量平均分子量3万を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。
[実施例4]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体として、ポリエーテル系重合体の一部の官能基がスルホン酸エステル基で置換されており、重量平均分子量30万を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。
[実施例4]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体として、ポリエーテル系重合体の一部の官能基がアミノ基で置換されており、重量平均分子量30万を有するものを用いたこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。
[比較例1]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体を添加せずに混合溶液を得たこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。
[比較例2]
電解質層の形成工程において、極性官能基を含む共重合体に代えて、極性官能基を含まない共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして電池を得た。なお、極性官能基を含まない共重合体としては、重量平均分子量60万を有するフッ化ビニリデン系重合体を用いた。
[評価]
(無機粒子の状態の観察)
上述の電解質層の作製工程において、作製したゲル状の電解質層をサンプリングし、光学顕微鏡で観察した。その結果、極性官能基を有する共重合体を添加していない電解質層(比較例1、2)では、極性官能基を有する共重合体を添加した電解質層(実施例1〜5)に比べて、より大きな無機粒子の凝集物が観測された。
(70℃保存試験)
上述のようにして得られた電池について、70℃保存試験における残存容量率を以下のようにして求めた。まず、4.4Vまで電池を充電したのち放電し、保存試験前の電池容量(放電容量)を求めた。続いて、4.4Vまで電池を再び充電し、70℃の恒温槽において14日間保存したのち、電池を放電し電池容量(放電容量)を求めた。次に、以下の式から残存容量率を求めた。その結果を表1および図6に示す。
残存容量率[%]=((保存試験後の電池容量)/(保存試験前の電池容量))×100
また、上述のようにして得られた電池について、70℃保存試験におけるOCV(Open Circuit Voltage)低下率を以下のようにして求めた。まず、4.4Vまで電池を充電し、初期のOCVを測定した、続いて、70℃の恒温槽において電池を保存し、所定期間保存後のOCVを測定した。次に、以下の式から各保存期間に対するOCV低下率を求めた。その結果を表1および図7に示す。
OCV低下率[%]=(((初期のOCV)−(所定期間保存後のOCV))/(初期のOCV))×100
(65℃フロート試験)
上述のようにして得られた電池について、膨れ率を以下のようにして求めた。まず、1.14mAで4.4Vまで電池を充電し、初期の電池体積を測定した。続いて、充電した電池を恒温槽に搬送し、65℃の恒温槽において4.4V、0.285mAの条件で充電し続けたのち、試験開始から3日経過後の電池体積を測定した。次に、以下の式からフロート試験後の膨れ率を求めた。その結果を表1に示す。
膨れ率[%]=((3日後の電池体積)/(初期の電池体積))×100
表1は、実施例1〜5、比較例1、2の電池の構成および評価結果を示す。
Figure 2020138318
電解質層形成用の混合溶液に、極性官能基を有する共重合体を添加し、共重合体を無機粒子の表面に保持させた実施例1〜5の電池では、保存試験において、OCVの低下を抑制し、かつ、残存容量率を向上することができる。また、フロート試験において、膨れ率の上昇を抑制することができる。特に、極性官能基としてカルボン酸エステル基またはカルボン酸基を添加した実施例1、2では、OCV低下の抑制および残存容量率の向上の効果が顕著である。
保存試験におけるOCV低下の抑制および残存容量率の向上は、以下の理由によるものである。すなわち、共重合体を無機粒子の表面に保持させることで、電解質層の作製工程において、共重合体の立体障害により前駆体溶液の塗膜中の無機粒子の分散性が向上する。このため、ゲル状の電解質層内の無機粒子濃度のばらつきを抑制され、保存試験における微小短絡が軽減される。これにより、OCVの低下が抑制され、かつ、残存容量率が向上する。
また、フロート試験における膨れ率上昇の抑制は、上述のようにゲル状の電解質層内の無機粒子濃度のばらつきを抑制されることで、電流の流れが均一化され、電解液の分解が抑制されることによるものである。
電解質層形成用の混合溶液に、極性官能基を含む共重合体を添加していない比較例1の電池、および電解質層形成用の混合溶液に、極性官能基を含まない共重合体を添加した比較例2の電池では、保存試験において、OCVが低下し、かつ、残存容量率が低下する。また、フロート試験において、膨れ率が上昇する。
保存試験におけるOCV低下および残存容量率の低下は、以下の理由によるものである。すなわち、共重合体が無機粒子の表面に保持されていないため、電解質層の作製工程において、前駆体溶液の塗膜中の無機粒子の分散性が悪化し、ゲル状の電解質層内の無機粒子濃度にばらつきが生じ、局所的に無機粒子濃度が低い箇所ができてしまう。このため、ゲル状電解質の無機粒子濃度が低いところでは、抵抗が低くなり、保存試験において微小短絡が生じる。これにより、OCVが低下し、かつ、残存容量率が低下する。
また、フロート試験における膨れ率上昇は、以下の理由によるものである。すなわち、上述のようにゲル状の電解質層内の無機粒子濃度にばらつきが生じることで、電解質層内の無機粒子濃度の低い箇所で電流が良く流れる。このため、電解液の分解反応が促進され、ガスが発生することで、電池が膨れる。
<6 変形例>
以上、本発明の実施形態、応用例および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態、応用例および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態、応用例および実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、化合物等の化学式は代表的なものであって、同じ化合物の一般名称であれば、記載された価数等に限定されない。
また、上述の実施形態、応用例および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態、応用例および実施例では、ラミネート型の電池を例に挙げて説明したが、電池の形状はこれらに限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型またはボタン型等の種々の形状に本発明を適用することも可能である。また、スマートウオッチおよびヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末に搭載されるフレキシブル電池等に本発明を適用することも可能である。
また、上述の実施形態および実施例では、巻回型の電池に対して本発明を適用した例について説明したが、電池の構造はこれに限定されるものではなく、例えば、正極および負極をセパレータを介して積層した積層型の電池(スタック型の電池)、またはセパレータを間に挟んだ正極および負極を折り畳んだ電池等に対しても本発明は適用可能である。
また、上述の実施形態および実施例では、正極および負極の両面に前駆体溶液を塗布して電解質層を形成する場合について説明したが、セパレータの両面に前駆体溶液を塗布して電解質層を形成するようにしてもよい。
10 外装材
11 正極リード
12 負極リード
13 密着フィルム
20 電極体
21 正極
21A 正極集電体
21B 正極活物質層
22 負極
22A 負極集電体
22B 負極活物質層
23 セパレータ
24 保護テープ
100 電子機器
120 電池パック
200 ハイブリッド車両
208 蓄電装置
300 蓄電システム

Claims (13)

  1. 正極と、負極と、電解質層とを備え、
    前記電解質層は、
    電解液と、
    前記電解液を保持する第1の高分子化合物と、
    極性基を有する化合物が表面に保持された無機粒子と
    を含む電池。
  2. 前記極性基が、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシ基およびエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電池。
  3. 前記極性基を有する前記化合物が、第2の高分子化合物である請求項1に記載の電池。
  4. 前記第2の高分子化合物の重量平均分子量が、3万以上200万以下である請求項3に記載の電池。
  5. 前記無機粒子が、酸化アルミニウムを含む請求項1に記載の電池。
  6. 前記第1の高分子化合物が、フッ化ビニリデン系重合体を含む請求項1に記載の電池。
  7. 前記電解質層が、ゲル状を有する請求項1に記載の電池。
  8. 前記無機粒子が、電気的に正または負に偏りがある箇所を前記表面に有し、
    前記箇所と前記極性基との相互作用により、前記極性基を有する前記化合物が前記表面に保持されている請求項1に記載の電池。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の前記電池と、
    前記電池を制御する制御部と
    を備える電池パック。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の前記電池を備え、
    前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  11. 請求項1から8のいずれか1項に記載の前記電池と、
    前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と
    を備える電動車両。
  12. 前記電池に関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置をさらに備える請求項11に記載の電動車両。
  13. 請求項1から8のいずれか1項に記載の前記電池を備え、
    前記電池から電力の供給を受ける電力システム。
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