JPWO2020121939A1 - シリコーン感圧接着剤組成物およびその用途 - Google Patents

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Abstract

実質的に溶剤をほとんど含有しなくても塗工可能な粘度を有し、硬化性に優れ、良好な接着特性を有する感圧接着層を形成する、シリコーン感圧接着剤組成物およびその用途を提供する。本発明は、(A)脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有し、シロキサン重合度が5〜250の範囲である、鎖状オルガノポリシロキサン、(B)分子鎖両末端のみにケイ素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)オルガノポリシロキサン樹脂、(D)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有し、(B)成分中のSiHに対するSiH/Vi比が、0.90〜1.30の範囲にあり、(B)成分と(D)成分を合わせたSiHに対するSiH/Vi比が、0.95〜1.35の範囲であり、粘度が1,000〜300,000mPa・sの範囲であり、かつ、有機溶媒の含有量が組成物全体の20質量%未満である、シリコーン感圧接着剤組成物、を提供する。

Description

本発明は、シリコーン感圧接着剤組成物に関する。また、本発明は、当該組成物を硬化させてなる接着剤層または弾性粘着部材、当該組成物を硬化させてなる接着剤層を含む積層体等の用途に関する。
ポリシロキサン系感圧接着剤組成物は、アクリル系やゴム系の感圧接着剤組成物と比較して、電気絶縁性、耐熱性、耐寒性、各種被着体に対する粘着性に優れるので、耐熱性粘着テープ、電気絶縁性粘着テープ、ヒートシールテープ、メッキマスキングテープ等に使用されている。これらのポリシロキサン系感圧接着剤組成物は、その硬化機構により、付加反応硬化型、縮合反応硬化型、パーオキサイド硬化型などに分類される。室温放置もしくは加熱によって速やかに硬化し、副生物を発生しないので、付加反応硬化型の感圧接着剤組成物が汎用されている。
ポリシロキサン系感圧接着剤の上記特性および必要に応じて高い透明性を実現できる性質を生かし、近年、スマートデバイス等の先端エレクトロニクス材料および表示素子分野への応用が検討されている。このようなデバイスは、電極層、表示層を含む複数層からなるフィルムを透明基材の間に挟みこんだ構造をとっており、電極層、表示層の保護および層間の接着性改良を目的に、耐熱・耐寒性に優れるポリシロキサン系感圧接着剤が有効に作用することが期待される。
しかしながら、ポリシロキサン系感圧接着剤は、一般的に有機溶剤に溶解して商品化されていることから、その用途が限定されていた。特に近年、世界各国の環境規制強化の方向性から、無溶剤型のポリシロキサン系感圧接着剤の開発が強く望まれている。例えば特許文献1〜4には、無溶剤型のポリシロキサン系感圧接着剤が開示されているが、溶剤型のポリシロキサン系感圧接着剤と比較すると、各種特性において改善が望まれていた。
特公平6−84494号公報 特開2006−160923号公報 特許5130995号公報 特開2012−41505号公報
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、低溶剤型または無溶剤型の組成物として、実質的に溶剤をほとんど含有しなくても塗工可能な粘度を有し、硬化性に優れ、硬化反応により形成したポリオルガノシロキサン系感圧接着剤が、良好な接着強度、タック、高温保持力をバランス良く有する感圧接着層を形成する、シリコーン感圧接着剤組成物を提供することを目的とする。ここで感圧接着剤の高温保持力とは、感圧接着剤を用いて2つの基材を接着させたときに、高温においても基材間で接着位置のずれや、2つの基材の分離が起こらずに接着力を維持できる性質をいう。さらに、本発明は、当該シリコーン感圧接着剤組成物の硬化物の感圧接着層としての使用、広汎な用途における弾性粘着部材としての使用およびそれらを備えた機器または装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的の一つは、
[1](A)一分子中に少なくとも2個の、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有し、そのシロキサン重合度が5〜250の範囲である、直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)分子鎖両末端のみにケイ素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)分子内にRSiO1/2(式中、Rは互いに独立して一価有機基を表す)で表されるシロキサン単位(M単位)、及び、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含むオルガノポリシロキサン樹脂、
(D)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(E)ヒドロシリル化反応触媒
を含有し、
(B)成分中のケイ素結合水素原子のモル数の(A)成分中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数に対する比が、0.90〜1.30の範囲にあり、
(B)成分と(D)成分を合わせたケイ素結合水素原子のモル数の(A)成分中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数に対する比が、0.95〜1.35の範囲であり、
25℃における組成物全体の粘度が1,000〜300,000mPa・sの範囲であり、かつ、
有機溶媒の含有量が組成物全体の20質量%未満である、
シリコーン感圧接着剤組成物
により達成される。
また、本発明の課題は、以下のシリコーン感圧接着剤組成物により好適に解決されうる。
[2] (A)成分〜(D)成分の合計量を100質量部としたとき、
(A)成分および(B)成分の合計量が、10〜80質量部の範囲であり、
(C)成分の量が10〜80質量部の範囲であり、
(D)成分の量が、0.01〜10質量部の範囲であることを特徴とする、
[1]のシリコーン感圧接着剤組成物。
[3] (D)成分が、
(D1)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(D2)分子鎖末端にケイ素結合水素原子を有さず、分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン
からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、
[1]または[2]のシリコーン感圧接着剤組成物。
[4] 当該組成物の硬化により得られる厚み40μmの感圧接着層の、SUS基板に対する、JIS Z 0237に従う180°引き剥がし試験方法を用いて引張速度300mm/minにより測定された粘着力が100〜2500gf/inchの範囲であることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
[5] 有機溶媒の含有量が組成物全体の0〜5質量%の範囲にあり、無溶媒型ないし低溶媒型の組成物である、[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
同様に、本発明の課題は、以下の感圧接着剤層、積層体、弾性粘着部材およびそれを以下の用途に用いることにより好適に解決されうる。
[6] [1]乃至[5]のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着剤層。
[7] フィルム状基材上に、[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着剤層を備えた積層体。
[8] 1または2以上のフィルム状基材を含み、前記フィルム状基材上に当該感圧接着剤層に対する剥離層が設けられている、[7]に記載の積層体。
[9] フィルム状基材、
該フィルム状基材上に形成された第1剥離層、
該剥離層上に[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を塗工し硬化させて形成された感圧接着層、及び
該感圧接着層上に積層された第2剥離層
を含む、[7]または[8]の積層体。
[10] [1]乃至[5]のいずれか1項記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる、弾性粘着部材。
[11] [10]に記載の弾性粘着部材を含む電子機器または電気的装置。
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、低溶剤型または無溶剤型の組成物として、実質的に溶剤をほとんど含有しなくても塗工可能な粘度を有し、ヒドロシリル化反応による硬化性に優れ、かつ、硬化して、実用上十分な粘着力、タック、高温保持力を備え、かつ、硬化後の接着層の機械的強度、伸びに優れ、実用上十分な接着性を有する感圧接着層を形成することができる。さらに、当該シリコーン感圧接着剤組成物の硬化物は、感圧接着層、電子材料または表示装置用部材として好適に使用することができ、それらを備えた電気・電子部品または表示装置は、幅広い温度領域において接着層の粘弾性が十分であるので、低温から室温を含む温度領域において、電子部品等の基材に対する密着不良の問題を生じにくい感圧接着層を形成することができるため、電子部品等の工業化が容易であり、かつ、得られる電子部品等の性能改善が期待されるという利点を有する。
[シリコーン感圧接着剤組成物]
まず、本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物について説明する。当該組成物は、低溶剤型または無溶剤型の組成物として、実質的に有機溶媒を含有しない組成であっても実用上十分な塗工性を有し、ヒドロシリル化反応を含む硬化反応により速やかに硬化し、実用上十分な粘着力を有し、感圧接着剤層が機械的強度、伸びに優れる感圧接着層を形成するものである。以下、その各構成成分、技術的特徴であるオルガノポリシロキサン範囲、その鎖状オルガノポリシロキサンに対するオルガノポリシロキサンレジンの質量比、および感圧接着層の特性について説明する。
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2個の、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有し、そのシロキサン重合度が5〜250の範囲である、直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)分子鎖両末端のみにケイ素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)分子内にRSiO1/2(式中、Rは互いに独立して一価有機基を表す)で表されるシロキサン単位(M単位)、及び、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含むオルガノポリシロキサン樹脂、
(D)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(E)ヒドロシリル化反応触媒
を含有してなり、有機溶媒の含有量が組成物全体の20質量%未満であり、取扱作業性の見地から、さらに、所望する場合は(F)硬化遅延剤を含有してもよく、本発明の目的に反しない範囲で、その他の添加剤を含むものであってよい。以下、各成分について説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、一分子中に少なくとも2個の、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有し、そのシロキサン重合度が5〜250の範囲である、直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサンであり、本組成物の主剤(ベースポリマー)である。シロキサン重合度が5〜250の範囲である(A)成分を使用することで、組成物の全体粘度を低減することができ、低溶媒型または無溶媒型の組成物を設計し、実質的に有機溶媒を含有しなくても、組成物全体として実用上十分な塗工性を実現することができる。(A)成分は、単一のオルガノポリシロキサンであってもよく、2種以上のオルガノポリシロキサンの混合物でもよい。
このような(A)成分であるオルガノポリシロキサンのシロキサン重合度は5〜250の範囲であり、5〜200が好ましく、5〜180の範囲が更により好ましい。また、(A)成分は、(A1)シロキサン重合度が5〜50の範囲であるオルガノポリシロキサンであってよく、(A1)成分と(A2)シロキサン重合度が51〜250の範囲、好適には51〜200の範囲であるオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。(A)成分のシロキサン重合度が前記上限を超えると、組成物全体の粘度が上昇する傾向があり、有機溶媒を多量に用いないと塗工が困難となる場合がある。一方、(A)成分のシロキサン重合度が前記下限未満では組成物の硬化性および粘着性能が低下する場合がある。本発明の技術的効果の見地から、(A)成分の50質量%以上が、(A1)シロキサン重合度が5〜50の範囲であるオルガノポリシロキサンであることが好ましく、これにより組成物の全体粘度を低減することができる利点がある。
(A)成分は、分子内に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有する。このような脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基としては、アルケニル基、アルケニルオキシアルキル基、アクリロキシアルキル基又はメタクリロキシアルキル基が例示され、特にアルケニル基が好ましい。具体的には、アルケニル基は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等であり、ビニル基またはヘキセニル基が特に好ましい。また、これらの脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基はケイ素原子に結合していることが好ましい。
脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基はシロキサン分子鎖末端及び分子鎖側鎖のいずれに存在してもよく、或いは、これらの両方に存在してもよい。
脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基の含有量は、(A)成分の質量に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜8.50質量%が好ましく、0.01〜7.5質量%がより好ましい。特に、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基中のビニル(CH=CH−)部分の含有量(以下、「ビニル含有量」という)が、0.005〜10.0質量%の範囲が好ましく、0.005〜8.50質量%の範囲が特に好ましい。
(A)成分は、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基以外の有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などを含んでもよい。工業的見地から、特に、メチル基、フェニル基を含むことが好ましい。
このような(A)成分としては、一般式:
SiO(R SiO)m1SiR
で表される直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。ただし、(A)成分は、その一部に、RSiO3/2で表される分岐シロキサン単位及びSiO4/2で表される分岐シロキサン単位からなる群から選択される単位を一分子当たり平均0〜5個の範囲で含んでいてもよく、したがって分岐鎖状のオルガノポリシロキサンであってもよい。
式中、各Rは独立に、置換又は非置換の、一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては既述した脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基及びその他の有機基が例示される。但し、一分子中、少なくとも2個のRは脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基であり、好ましくはアルケニル基、より好ましくはビニル基またはヘキセニル基である。また、式中、“m1+2”であるシロキサン重合度は5〜230の範囲内の数であることが好ましく、5〜200の範囲の数であることがより好ましく、5〜190の範囲の数であることが、特に好ましい。なお、“+2”は直鎖状分子の両末端のシロキサン単位を加算したものであり、さらに、0〜5個の範囲で、RSiO3/2で表される分岐シロキサン単位及びSiO4/2で表される分岐シロキサン単位から選択される単位を含んでもよい。なお、RSiO3/2で表される分岐シロキサン単位に対しては1個の、SiO4/2で表される分岐シロキサン単位に対しては2個のR SiO1/2単位が分子内に追加されて、当該分岐シロキサン単位に対応する分子鎖末端を形成する。
上の一般式において、両末端のR SiO1/2単位における、Rは脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基以外の有機基であることが好ましく、これらの両末端におけるRはアルキル基であることが好ましく、工業的見地から、特に、メチル基が好ましい。
(A)成分の室温における性状はオイル状であり、(A)成分の粘度は25℃において1mPa・s以上であることが好ましい。特に、本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物を低溶媒型または無溶媒型の組成物として設計する場合、塗工性の見地から、(A)成分の粘度が25℃において1mPa・s以上、100000mPa・s以下であることが好ましい。
なお、これらのアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、接点障害防止等の見地から、揮発性または低分子量のシロキサンオリゴマー(オクタメチルテトラシロキサン(D4)、デカメチルペンタシロキサン(D5)等)が低減ないし除去されていることが好ましい。その程度は所望により設計可能であるが、成分(A)全体の1質量%未満、各シロキサンオリゴマーごとに0.1質量%未満としてもよく、必要に応じ、ガスクロマトグラフにて検出限界付近まで低減してもよい。
(B)成分は、分子鎖両末端のみにケイ素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、ヒドロシリル化反応において、主に(A)成分の鎖長延長剤として機能し、硬化反応物(粘着剤層)の伸びおよび柔軟性を改善する成分である。このような(B)成分を、(A)成分中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基に対して特定量使用することで、本組成物を硬化して得られる硬化反応物中に分子鎖長が延伸された構造が一定以上含まれ、弾性粘着部材としての接着性および保持力が著しく改善される。
このような(B)成分は、下式で示される分子鎖両末端にSiH基を含有するポリオルガノシロキサンであってよい。
Figure 2020121939
式中、Rは、アルケニル基を除く炭素数1〜10の一価炭化水素基である。nは0〜50の範囲の数である。アルケニル基以外のケイ素原子に結合した炭素数1〜10の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
(B)成分の具体例として、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物が例示される。
更に、このような(B)成分として、更に次のようなオルガノポリシロキサンも例示される。なお、式中、Me、Phは、それぞれ、メチル基、フェニル基を示し、m2は1〜100の整数であり、n2は1〜50の整数である。
HMeSiO(MeSiO)m2SiMe
HMeSiO(PhSiO)m2SiMe
HMePhSiO(PhSiO)m2SiMePhH
HMePhSiO(PhSiO)m2(MePhSiO)n2SiMePhH
HMePhSiO(PhSiO)m2(MeSiO)n2SiMePhH
なお、これらの(B)成分は、接点障害防止等の見地から、揮発性または低分子量のシロキサンオリゴマー(オクタメチルテトラシロキサン(D4)、デカメチルペンタシロキサン(D5)等)が低減ないし除去されていることが好ましい。その程度は所望により設計可能であるが、(B)成分全体の1質量%未満、各シロキサンオリゴマーごとに0.1質量%未満としてもよく、必要に応じ、検出限界付近まで低減してもよい。
前記の(B)成分中のケイ素結合水素原子の含有量は特に限定されるものではないが、本発明の技術的効果の見地から、SiH基中のH含有量が、0.01〜3.0質量%の範囲が好ましく、0.05〜2.00質量%の範囲が特に好ましい。
[(A)成分と(B)成分のSiH/Vi比]
上記のとおり、(B)成分は、分子鎖両末端のみにヒドロシリル化反応可能なケイ素結合水素原子を有する直鎖状シロキサンであって、硬化物における鎖長延長剤として機能し、硬化物の伸びおよび柔軟性を改善する。当該技術的効果は、(B)成分中のケイ素結合水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基等の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数との比(物質量比)が、0.90〜1.30の範囲にあることが必要であり、0.90〜1.10の範囲、0.90〜1.00の範囲にあることが特に好ましい。当該下限未満では、糊残り等の原因となる場合があり、当該上限を超えると粘着力が不十分となる場合がある。
[(C)成分]
(C)成分はオルガノポリシロキサン樹脂であり、基材への粘着力を付与する粘着付与成分であり、当該成分の使用量により、本組成物の硬化物の粘着力および感圧接着性能を微粘着〜強粘着性まで調整することが可能である。
(C)成分は、分子内に(a)RSiO1/2(式中、Rは、互いに独立して一価有機基を表す)で表されるシロキサン単位(M単位)、及び、(b)SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含むオルガノポリシロキサン樹脂である。M単位対Q単位のモル比は、0.5〜2.0(M単位/Q単位)であることが好ましい。このモル比が0.5未満である場合には基材への粘着力が低下することがあり、2.0より大きい場合には粘着層を構成する物質の凝集力が低下するからである。
特に、(a)M単位と(b)Q単位のモル比はM単位:Q単位=0.50:1.00〜1.50:1.00の範囲にあることが好ましく、0.55:1.00〜1.20:1.00の範囲がより好ましく、0.60:1.00〜1.10:1.00が更により好ましい。上記モル比は、29Si核磁気共鳴によって容易に測定することができる。
(C)成分は一般単位式:(RSiO1/2(SiO4/2(式中、Rは互いに独立して一価有機基であり、a及びbはそれぞれ正数であり、a+b=1、a/b=0.5〜1.5である)で表されるオルガノポリシロキサン樹脂であることが好ましい。
(C)成分は(a)M単位と(b)Q単位のみから構成されてもよいが、RSiO2/2単位(D単位)、及び/又は、RSiO3/2単位(T単位)を含んでもよい。なお、式中、Rは、互いに独立して一価有機基を表す。(C)成分中の(a)M単位と(b)Q単位の合計含有量は好ましくは50重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは100重量%である。
一価有機基は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基、及び、脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基に分けることができ、(C)成分の一価有機基はそれぞれが独立にいずれかであることができる。
脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基、及び、脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基には、それぞれ、一価不飽和炭化水素基及び酸素原子含有一価不飽和炭化水素基、並びに、一価飽和炭化水素基及び酸素原子含有一価飽和炭化水素基が含まれる。
一価不飽和又は飽和炭化水素基としては、例えば、炭素原子数2〜12の、好ましくは炭素原子数2〜8の、より好ましくは炭素原子数2〜6の、置換若しくは非置換の、一価不飽和炭化水素基、並びに、炭素原子数1〜12の、置換若しくは非置換の、一価飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数2〜12の、好ましくは炭素原子数2〜8の、より好ましくは炭素原子数2〜6の、非置換一価不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられる。炭素原子数2〜12の、好ましくは炭素原子数2〜8の、より好ましくは炭素原子数2〜6の、置換一価不飽和炭化水素基としては、例えば、これらの一価不飽和炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)等によって置換されたものが挙げられる。
炭素原子数1〜12の非置換一価飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、α−メチルスチリル基及び2−フェニルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。炭素原子数1〜12の置換一価飽和炭化水素基としては、例えば、これらの一価不飽和炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)等によって置換されたものが挙げられる。具体的には、フッ化一価飽和炭化水素基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロブチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等のパーフロロアルキル基;塩素化一価飽和炭化水素基、例えば3−クロロプロピル基等のクロロアルキル基、ジクロロフェニル基等のクロロフェニル基が挙げられる。
一価飽和炭化水素基としては、炭素原子数1〜12の置換若しくは非置換のアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜12の置換若しくは非置換のアルキル基としてはメチル基が好ましい。一価不飽和炭化水素基としては、炭素原子数2〜12の置換若しくは非置換のアルケニル基が好ましい。炭素原子数2〜12の置換若しくは非置換のアルケニル基としてはビニル基が好ましい。
酸素原子含有一価不飽和又は飽和炭化水素基としては、例えば、炭素原子数2〜12の、置換若しくは非置換の、酸素原子含有一価不飽和炭化水素基、並びに、炭素原子数1〜12の、置換若しくは非置換の、酸素原子含有一価飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数2〜12の、置換若しくは非置換の酸素原子含有一価不飽和炭化水素基としては、例えば、アルケニルオキシアルキル基、アクリロキシアルキル基、メタクリロキシアルキル基等が挙げられる。
アルケニルオキシアルキル基としては、例えば、アリルオキシメチル基、3−アリルオキシプロピル基等が挙げられる。アクリロキシアルキル基としては、例えば、アクリロキシメチル基、3−アクリロキシプロピル基等が挙げられる。メタクリロキシアルキル基としては、例えば、メタクリロキシメチル基、3−メタクリロキシプロピル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜12の、置換若しくは非置換の、酸素原子含有一価飽和炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルコキシ基等が挙げられる。
炭素原子数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
[水酸基または加水分解性基の低減]
(C)成分中の水酸基またはアルコキシ基等の加水分解性基は、レジン構造中のシロキサン単位のうち、T単位またはQ単位などのケイ素原子に直接結合しており、原料となるシラン由来またはシランが加水分解した結果、生じた基であるので、合成したオルガノポリシロキサンレジンをトリメチルシラン等のシリル化剤で加水分解処理することで水酸基または加水分解性基の含有量を低減することができる。これにより、硬化物中において分子量の大きいオルガノポリシロキサンレジン構造が形成されることを抑制し、当該組成物の低温における硬化性および得られる感圧接着層の貯蔵弾性率をさらに改善できる場合がある。
[(C1)硬化反応性オルガノポリシロキサン樹脂]
本発明の一態様では、(C)成分の少なくとも一部が、(C1)分子内に(Alk)R’SiO1/2(式中、Alkは互いに独立して脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を表し、R’は互いに独立して脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基を表す)で表されるシロキサン単位(M単位)、及び、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を少なくとも含む硬化反応性オルガノポリシロキサン樹脂であってよい。
上記の態様では、Alkである脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基は、既述した、アルケニル基、アルケニルオキシアルキル基、アクリロキシアルキル基及びメタクリロキシアルキル基からなる群から独立に選択される基であることが好ましい。また、R’である脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基は、既述した、アルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から独立に選択される基であることが好ましい。また、これらの基の一部はハロゲン原子等によって置換されていてもよい。工業的見地からは、Alkである脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基は、ビニル基、アリル基又はヘキセニル基であってよく、R’である脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基は独立にメチル基、フェニル基等であることが好ましい。
上記の態様において、(C1)硬化反応性オルガノポリシロキサン樹脂以外の(C)成分が存在する場合は当該(C)成分は非硬化反応性であることが好ましい。この場合、非硬化反応性(C)成分のRは既述した脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基であることが好ましく、独立に、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であることがより好ましい。また、これらの基の一部はハロゲン原子等によって置換されていてもよい。工業的見地からは、Rである脂肪族不飽和炭素−炭素結合不含基は独立に、メチル基、フェニル基等であることが好ましい。
(C)成分に占める(C1)硬化反応性オルガノポリシロキサン樹脂の割合は特に限定されるものではないが、本発明の組成物又はその硬化物に感圧接着剤として適度な硬さを実現するためには、(C)成分全体を100質量%とした場合、(C)成分の50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下が更により好ましい。好適には、(C)成分中に占める(C1)成分の含有量は、0〜20質量%の範囲であり、0〜15質量%の範囲が特に好ましく、本発明の組成物又はその硬化物からなる感圧接着剤が、表示装置や太陽電池モジュール等の接着層として適度な硬さと柔軟性を備えることができる。
本発明において、(C)成分は一般単位式:(RSiO1/2(SiO4/2(式中、Rは互いに独立して一価有機基であり、a及びbはそれぞれ正数であり、a+b=1、a/b=0.5〜1.5である)で表されるオルガノポリシロキサン樹脂であって、Rの90モル%以上が独立に炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、Rの95〜100モル%が独立にメチル基またはフェニル基であることが特に好ましく、(C)成分中の水酸基または加水分解性基の含有量が全ケイ素に対して0〜7モル%(水酸基として0.0〜1.50質量%)の範囲であるレジン(MQレジンとも呼ばれる)を使用することが最も好ましい。
このような(C)成分として、例えば、
(Me3SiO1/2)0.45(SiO4/2)0.55(HO1/2)0.05
(Me3SiO1/2)0.40(SiO4/2)0.60(HO1/2)0.10
(Me3SiO1/2)0.52(SiO4/2)0.48(HO1/2)0.01
(Me3SiO1/2)0.40(MeViSiO1/2)0.05 (SiO4/2)0.55(HO1/2)0.05
(Me3SiO1/2)0.45(SiO4/2)0.55(MeO1/2)0.10
(Me3SiO1/2)0.25(Me2PhSiO1/2)0.20(SiO4/2)0.55(HO1/2)0.05
(Me3SiO1/2)0.40(Me2SiO2/2)0.05(SiO4/2)0.55(HO1/2)0.05
(Me3SiO1/2)0.40(MeSiO3/2)0.05(SiO4/2)0.55(HO1/2)0.05
(Me3SiO1/2)0.40(Me2SiO2/2)0.05(MeSiO3/2)0.05(SiO4/2)0.50(HO1/2)0.05
(Me:メチル基、Ph:フェニル基、Vi:ビニル基、MeO:メトキシ基、HO:ケイ素原子結合水酸基。なお、ケイ素原子に対する水酸基の相対量を表すために、ケイ素原子含有単位の添字の合計量を1としており、(HO)1/2単位の添字が当該相対量を示す)
を挙げることができる。なお、接点障害防止等の見地から、(C)成分中の低分子量のシロキサンオリゴマーが低減ないし除去されていても良い。
(C)成分は、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物に粘着力を付与する成分であるから、その配合量は組成物の(A)〜(D)成分の質量の総和を100質量部とした場合、10〜80質量部の範囲が好ましい。(C)成分の配合量が前記下限未満では、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物に十分な粘着力を付与できない場合がある。一方、(C)成分の配合量が前記上限を超えると、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物が硬くなりすぎるため、特に感圧接着剤としての使用に適さない場合がある。ただし、微粘着性の組成設計が求められる場合、(C)成分の含有量を10質量部以下に抑制してもよい。
[(D)成分]
(D)成分は、(B)成分と異なり、一分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分/(D)成分とのヒドロシリル化反応において、架橋剤として機能し、その添加量に応じて硬化物の硬さを調整する成分である。一般に3個のケイ素結合水素原子はそれぞれが異なるケイ素原子と結合している。このような(D)成分を(A)成分に対して一定の量的範囲で使用することにより、組成物全体の硬化反応性を改善して良好な硬化特性と適度な硬さ(架橋密度)を実現し、かつ、硬化物の粘着力および硬化後の表面タックを実用上良好な範囲に設計することができる。
このような(D)成分は、(D1)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび(D2)分子鎖末端にケイ素結合水素原子を有さず、分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上であってよい。また、(D)成分は上記の(D1)または(D2)成分のいずれかのカテゴリーのみに属する2種類以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる混合物であってもよい。
(D1)成分である環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、たとえば、下記式:
[(RHSiO)m3(R SiO)m4
で表される。ここで、m3+m4は3〜20の範囲の数であり、m3は3以上の数であり、m4は0以上の数である。Rは、アルケニル基を除く炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、Rと同様の基が例示でき、好適には、メチル基及びフェニル基から独立に選択される基である。
(D2)成分である分子鎖末端にケイ素結合水素原子を有さず、分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、側鎖部分に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有し、分子鎖末端がトリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基等で封鎖されたポリオルガノハイドジェンシロキサンまたはオルガノハイドジェンシロキサン・ジオルガノシロキサンコポリマー等のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。そのシロキサン重合度は5〜500の範囲であり、5〜200の範囲であることが好ましい。
具体的には、(D)成分として、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジ(3−グリシドキシプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−(3−グリシドキシプロピル)−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシシラン)、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が例示される。
[(A)成分に対する(B)成分および(D)成分中のSiH/Vi比]
本発明の組成物は、(B)成分と(A)成分のSiH/Vi比に加えて、組成物全体における(B)成分および(D)成分中のケイ素結合水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基等の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数との比(物質量比)が、0.95〜1.35の範囲にあることが必要である。当該範囲内において、全体の架橋密度が適度に調整され、(B)成分との関係で伸びおよび粘弾性に優れ、かつ、(D)成分との関係で適度な硬さを備え、硬化後の表面タックが好適な範囲にある粘着層が実現可能である。SiH/Vi比(ケイ素結合水素原子のモル数/脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数)が当該下限未満では、糊残り等の原因となる場合があり、当該上限を超えると粘着力が不十分となる場合がある。
[(E)成分]
(E)成分として本発明にかかる無溶剤又は低溶剤型シリコーン感圧接着剤組成物は、ヒドロシリル化反応触媒を含む。ヒドロシリル化反応触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、本組成物の硬化を著しく促進できることから白金系触媒が好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体が例示され、特に、白金−アルケニルシロキサン錯体が好ましい。このアルケニルシロキサンとしては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチル基の一部をニトリル類、アミド類、ジオキソラン類、及びスルホラン類からなる群から選択される基、エチル基、フェニル基等で置換したアルケニルシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキセニル基等で置換したアルケニルシロキサンが例示される。特に、この白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンであることが好ましく、アルケニルシロキサン溶液の形態で添加することが好ましい。加えて、取扱作業性および組成物のポットライフの改善の見地から、これらのヒドロシリル化反応触媒は、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂中に分散あるいはカプセル化した触媒である、ヒドロシリル化反応触媒含有熱可塑性樹脂微粒子、特に、白金含有ヒドロシリル化反応触媒を含む熱可塑性樹脂微粒子であってもよい。なお、ヒドロシリル化反応を促進する触媒としては、鉄、ルテニウム、鉄/コバルトなどの非白金系金属触媒を用いてもよい。
本発明において、ヒドロシリル化反応触媒の含有量は特に制限されるものではないが、組成物中の固形分の合計量に対し、上述した金属、特に白金系金属量が0.1〜200pmの範囲となる範囲であり、0.1〜150ppm、0.1〜100ppmの範囲であってよく、0.1〜50ppmの範囲であってもよい。ここで、白金系金属は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウムからなるVIII族の金属元素であるが、実用上、ヒドロシリル化反応触媒の配位子を除いた白金系金属の含有量が上記範囲であることが好ましい。なお、固形分とは、本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物を硬化反応させた場合に、硬化層を形成する成分(主として主剤、接着付与成分、架橋剤、触媒およびその他の不揮発性成分)であり、加熱硬化時及び場合によっては加熱硬化後に揮発する溶媒等の揮発性成分を含まない。
本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物中の白金系金属の含有量が50ppm以下(45ppm以下,35ppm以下,30ppm以下,25ppm以下または20ppm以下)である場合、硬化後、あるいは加熱や紫外線等の高エネルギー線に暴露した場合、特に、透明な感圧接着層の変色や着色を抑制できる場合がある。一方、オルガノポリシロキサン組成物の硬化性の見地から、白金系金属の含有量は、0.1ppm以上であり、当該下限を下回ると硬化不良の原因となる場合がある。
[(F)成分]
(F)成分は硬化遅延剤であり、組成物中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基とケイ素結合水素原子との架橋反応を抑制して、常温での可使時間を延長し、保存安定性を向上するために配合するものである。硬化遅延剤は、本発明の硬化性のシリコーン感圧接着剤組成物の可使時間を長くしたい場合に用いることが好ましい。特に、実用上は、本発明の無溶剤又は低溶剤型シリコーン感圧接着剤組成物には、一般に、硬化遅延剤を用いることが好ましい。
具体的には、(F)成分はアセチレン系化合物、エンイン化合物、有機窒素化合物、有機燐化合物、オキシム化合物、リン系化合物が例示される。具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、フェニルブチノール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−イン等のエンイン化合物;2−エチニル−4−メチル−2−ペンテン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のメチルアルケニルシクロシロキサン;ベンゾトリアゾールが例示される。
組成物の硬化挙動の見地から、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、組成物の調製後室温で8時間後に粘度の増大が1.5倍以内であり、80〜200℃で硬化可能であることが好ましい。増粘が抑制されていることは、取扱作業性、ポットライフ、硬化後の特性の見地から重要であり、一定以上の高温(80〜200℃)で硬化させることで硬化性を確保することができるためである。なお、このような組成物は上記の各成分およびヒドロシリル化触媒と(F)成分の好適な組み合わせおよび配合量を選択することで、実現可能である。
[低溶剤型/無溶剤型組成物]
本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物は、その構成成分が比較的低粘度であるので、低溶剤型乃至無溶剤型の組成物が設計可能であり、有機溶剤の含有量が少量乃至実質的に有機溶剤を含有しない組成であっても、実用上十分な塗工性を実現することができる。具体的には、有機溶媒の含有量が組成物全体の20質量%未満であり、15質量%未満であり、実質的に0〜5質量%の範囲内であることが特に好ましい。一方、本組成物の基材への濡れ性改良を目的とする場合、あるいは(B)成分に付随する溶媒として不可避的に(B)成分に含まれる場合、有機溶剤を特に前述した範囲で少量含むことは可能である。有機溶剤は、塗工作業性などを考慮してその種類及び配合量を調整するが、無溶剤型又は低溶剤型シリコーン感圧接着剤の組成設計の見地から、有機溶剤の使用量は極力少量とすることが好ましい。有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロプルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素系溶剤、溶剤揮発油などが挙げられ、これらから選択される1種以上を用いることができ、シート状基材への濡れ性などに応じて2種以上を組み合わせてもよい。
本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物は、本発明の技術的効果を損なわない範囲で、任意で、上記成分以外の成分を含むことができる。例えば、接着促進剤;ポリジメチルシロキサンまたはポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のオルガノポリシロキサン;フェノール系、キノン系、アミン系、リン系、ホスファイト系、イオウ系、またはチオエーテル系などの酸化防止剤;トリアゾール系またはベンゾフェノン系などの光安定剤;リン酸エステル系、ハロゲン系、リン系、またはアンチモン系などの難燃剤;カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、または非イオン系界面活性剤などからなる1種類以上の帯電防止剤などを含むことができる。なお、これらの成分のほか、顔料、染料、無機微粒子(補強性フィラー、誘電性フィラー、導電性フィラー、熱伝導性フィラー)などを任意で配合することもできる。
[(A´)分子内に炭素−炭素二重結合含有反応性基を含まない鎖状オルガノポリシロキサン]
本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物には、アルケニル基、アクリル基、メタクリル基等の炭素−炭素二重結合含有反応性基もケイ素結合水素原子も含まないポリジメチルシロキサンまたはポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のオルガノポリシロキサンを配合することができ、これにより、後述する感圧接着層の損失係数(tanδ)、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を改善することができる場合がある。例えば、水酸基末端を有するポリジメチルシロキサンまたはポリジメチルジフェニルシロキサンの使用により、感圧接着層の損失係数を増加させることができ、そのような組成物は、本発明の範囲に包含される。
[組成物全体の粘度]
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、25℃における組成物全体の粘度が1,000〜300,000mPa・sの範囲であり、組成物全体の粘度が1,000〜250,000mPa・sの範囲であることが好ましい。特に、有機溶媒の含有量を組成物全体の20質量%未満とした場合に、組成物全体の粘度が1,000〜100,000mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明にかかるシリコーン感圧接着剤組成物の調製方法は特に限定されず、それぞれの成分を均質に混合することによって行われる。必要に応じて上述した量の範囲内で少量の有機溶剤を加えてもよく、公知の攪拌機または混練機を用いて、0〜200℃の温度で混合して調製してもよい。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、基材上に塗工することによって塗膜を形成し、80〜200℃の温度条件下、好適には、90〜190℃の温度条件下で加熱することによって硬化物とする。塗工方法としては、グラビアコート、オフセットコート、オフセットグラビア、ロールコート、リバースロールコート、エアナイフコート、カーテンコート、及びコンマコートが例示される。
[感圧接着性および粘着力の範囲]
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、ヒドロシリル化反応により当該組成物を硬化させてなる硬化層が感圧接着性であることを特徴とする。本発明の感圧接着層は、上記の構成を有し、実用上十分な粘着力を発現することから、公知のシリコーン感圧接着剤を所望により置き換えて利用可能である。
具体的には、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化させてなる厚み40μmの感圧接着層の、SUS基剤に対する、JIS Z 0237に従う180°引き剥がし試験方法を用いて引張速度300mm/minにより測定された粘着力が100〜2500gf/inchの範囲にある感圧接着層を設計可能であり、500〜2250gf/inchの範囲にある感圧接着層が好適である。なお、上記の厚み(40μm)は、本発明にかかる硬化層の粘着力を客観的に定義するための基準となる硬化層自体の厚みであり、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は厚み40μmに限らず、任意の厚みの硬化層または感圧接着層として利用することができることは言うまでもない。
[感圧接着剤層としての使用]
本発明の硬化物は、特に、感圧接着剤層として使用することができる。また、被着体との密着性を向上させるために、感圧接着剤層または基材の表面に対してプライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、プラズマ処理等の表面処理を行ってもよい。ただし、本発明の感圧接着剤層は、上記のとおり、表示デバイス等の基材への密着性に優れることから、必要に応じ、これらの工程を加えてさらに被着体との密着性を向上させてもよく、これらの工程を省くことにより、より高い生産効率を実現してもよい。
本発明に係るシリコーン感圧接着剤組成物は、剥離ライナーに塗工した後、上記の温度条件下で加熱することにより硬化させ、剥離ライナーを剥がしてフィルム状基材、テープ状基材、またはシート状基材(以下、「フィルム状基材」という)と貼り合せたり、フィルム状基材に塗工した後、上記の温度条件下で加熱することにより硬化させ、前記基材の表面に感圧接着剤層を形成することができる。これらのフィルム状基材上に本発明に係るオルガノポリシロキサン組成物を硬化してなる硬化層、特にフィルム状の感圧接着剤層を備えた積層体は、粘着テープ、絆創膏、低温支持体、転写フィルム、ラベル、エンブレム及び装飾又は説明用の標示に使用してもよい。更に、本発明に係るオルガノポリシロキサン組成物を硬化してなる硬化層は、自動車部品、玩具、電子回路、又はキーボードの組み立てに使用してもよい。あるいは、本発明に係るオルガノポリシロキサン組成物を硬化してなる硬化層、特にフィルム状の感圧接着剤層は、積層タッチスクリーン又はフラットパネルディスプレイの構築に使用してもよい。
基材の種類として、板紙,ダンボール紙,クレーコート紙,ポリオレフィンラミネート紙,特にはポリエチレンラミネート紙,合成樹脂フィルム・シート,天然繊維布,合成繊維布,人工皮革布,金属箔が例示される。特に、合成樹脂フィルム・シートが好ましく、合成樹脂として、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロポリオレフィン、ナイロン(登録商標)が例示される。特に耐熱性が要求される場合には、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン等の耐熱性合成樹脂のフィルムが好適である。一方、表示デバイス等視認性が求められる用途においては、透明基材、具体的にはポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、PEN等の透明材料が好適である。
上記基材はフィルム状またはシート状であることが好ましい。その厚さは特に制限されず、用途に応じて所望の厚さで設計することができる。さらに、支持フィルムと感圧接着層の密着性を向上させるために、プライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、プラズマ処理された支持フィルムを用いてもよい。また、フィルム状基材の感圧接着層面と反対面には、傷つき防止、汚れ防止、指紋付着防止、防眩、反射防止、帯電防止などの処理などの表面処理されたものであってもよい。
シリコーン感圧接着剤組成物の基材への塗工方法としては、グラビアコート、オフセットコート、オフセットグラビア、オフセット転写ロールコーター等を用いたロールコート、リバースロールコート、エアナイフコート、カーテンフローコーター等を用いたカーテンコート、コンマコート、マイヤーバー、その他公知の硬化層を形成する目的で使用される方法が制限なく使用できる。
基材へのシリコーン感圧接着剤組成物の塗工量は表示装置等の用途に応じて所望の厚さで設計することができ、一例として、硬化したあとの感圧接着層の厚みとして1〜1,000μmであり、5〜900μmであってよく、10〜800μmであってよいが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る感圧接着層は、その要求特性に応じて単層であっても2層以上の感圧接着層を積層してなる複層であってもよい。複層の感圧接着層は、一層ずつ作成した感圧接着剤フィルムを貼り合わせてもよく、剥離層を備えたフィルム基材上等で、感圧接着層形成性オルガノポリシロキサン組成物を塗工して硬化させる工程を複数回行ってもよい。
本発明に係る感圧接着層は、部材間の接着ないし粘着機能のほか、誘電層、導電層、放熱層、絶縁層、補強層等から選ばれる他の機能層としての役割を付与されていてもよい。
本発明の無溶剤型又は低溶剤型シリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる硬化層が感圧接着層、特に、感圧接着剤フィルムである場合、当該硬化層は、剥離コーティング能を有する剥離層を備えたフィルム基材上に、剥離可能な状態で粘着した積層体フィルムとして取り扱うことが好ましい。剥離層は剥離ライナー、セパレーター、離型層あるいは剥離コーティング層と呼ばれることもあり、好適には、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキド系剥離剤、またはフルオロシリコーン系剥離剤等の剥離コーティング能を有する剥離層である。あるいは、剥離層なしに、基材表面に物理的に微細な凹凸を形成させた基材または本発明の感圧接着層と付着しにくい材料からなる基材自体の上に感圧接着剤層を形成してもよい。特に本発明にかかる積層体においては、剥離層として、硬化性のフルオロシリコーン系剥離剤を硬化させてなる剥離層の使用が好ましい。
本発明の無溶剤型又は低溶剤型シリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる硬化物は、上記のような粘弾性と接着力を併せ持つため、弾性粘着部材として、各種の電子機器または電気的装置の部材として有用である。特に、電子材料、表示装置用部材またはトランスデューサー用部材(センサ、スピーカー、アクチュエーター、およびジェネレーター用を含む)として有用であり、当該硬化物の好適な用途は、電子部品または表示装置の部材である。本発明にかかる硬化物は透明でも不透明であってもよいが、フィルム形状の硬化物、特に実質的に透明な感圧接着剤フィルムは、表示パネルまたはディスプレイ用の部材として好適であり、特に、画面を指先等で接触することにより機器、特に電子機器を操作可能な所謂タッチパネル用途に特に有用である。また、不透明な弾性粘着層は、透明性が要求されず、粘着層自体に一定の伸縮性または柔軟性が求められるセンサ、スピーカー、アクチュエーター等に用いられるフィルム状またはシート状部材の用途に特に有用である。
[粘着テープとしての使用]
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物からなる感圧接着剤を含む物品は、粘着テープであってよく、上記の合成樹脂フィルム・シート、金属箔、織布、不織布、紙等の繊維製品からなるシート状部材と上記の粘着層を備えることを特徴とする。このような粘着テープの種類は、特に制限されるものではなく、絶縁テープ、耐熱テープ、ハンダマスキングテープ、マイカテープバインダー、仮止めテープ(シリコーンゴム部品等の仮止めテープを特に含む)、スプライシングテープ(シリコーン剥離紙用スプライシングテープを特に含む)があげられる。
特に、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着層は、従来のシリコーン感圧接着層と同等の感圧接着特性を実現可能であり、かつ、硬化不良や硬化性の低下の問題を生じることなく、表示デバイス等の基材への密着性を改善できる。
[積層体および感圧接着シート]
次に、本発明に係る積層体および上記の感圧接着層の一種である感圧接着シートについて説明する。
本発明の積層体は、上記のフィルム状基材上に、上記のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着剤層を備えた積層体であり、好適には、これらのフィルム状基材に当該感圧接着剤層に対する剥離層が設けられている。
本発明の積層体では、シート状基材が少なくとも1つの剥離層を備えており、当該剥離層が感圧接着層と接触していることが好ましい。これにより、感圧接着層をシート状基材から容易に剥離することができる。剥離層に含まれる剥離剤は特には限定されるものではなく、上記同様、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキド系剥離剤、及びフルオロシリコーン系剥離剤等を挙げることができる。
特に、本発明の積層体は、フィルム状基材から分離した感圧接着剤層を単独で取り扱うことができてもよく、フィルム状基材は二つであってもよい。
具体的には、
フィルム状基材、
該フィルム状基材上に形成された第1剥離層、
該剥離層上に上記のシリコーン感圧接着剤組成物を塗工し硬化させて形成された感圧接着層、及び
該感圧接着層上に積層された第2剥離層
を備えるものであってよい。
同様に、上記の形態の積層体は、例えば、上記のシリコーン感圧接着剤組成物をフィルム状基材上に形成された一方の剥離層上に塗工し硬化させることにより、感圧接着層を形成させ、当該感圧接着層上に、他の剥離層を積層して形成させてもよい。
また、上記の形態の積層体は、例えば、上記のシリコーン感圧接着剤組成物を第1のフィルム状基材及び第2のフィルム状基材に挟み、加熱しつつ、プレス又はロールで一定の厚みに成形した後、前記組成物を硬化させることによって製造してもよい。
第1のシート基材は第1の剥離層を備えていてもよく、或いは、第1のシート基材自体が剥離性を備えるものであってもよい。同様に、第2のシート基材は第2の剥離層を備えていてもよく、或いは、第2のシート基材自体が剥離性を備えるものであってもよい。第1のシート基材及び/又は第2のシート基材が第1の剥離層及び/又は第2の剥離層を備える場合は、感圧接着層は第1の剥離層及び/又は第2の剥離層に接触することが好ましい。
剥離性を有するシート基材としては、例えば、フッ素樹脂製フィルム等の剥離性を有する材質からなるシート基材、或いは、ポリオレフィンフィルム等の剥離性がないか若しくは低い材質にシリコーン、フッ素樹脂等の剥離剤を添加したものからなるシート基材が挙げられる。一方、剥離層を備えるシート基材としては、例えば、シリコーン、フッ素樹脂等の剥離剤をコーティングしたポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
本発明の積層体は、例えば、感圧接着層を被着体に適用後に、被着体に接着したフィルム状基材から感圧接着層を剥離することにより使用することができる。
感圧接着層の厚みは、5〜10000μmであるのが好ましく、中でも10μm以上或いは8000μm以下、その中でも20μm以上或いは5000μmであるのが特に好ましい。
[表示パネルまたはディスプレイ用の部材]
本発明の組成物を硬化してなる硬化物は、積層タッチスクリーン又はフラットパネルディスプレイの構築に使用することができ、その具体的な使用方法は、感圧接着剤層(特に、シリコーンPSA(感圧接着剤))の公知の使用方法を特に制限なく用いることができる。
例えば、本発明の組成物を硬化してなる硬化物は、前記の特表2014−522436号または特表2013−512326等で開示された光学的に透明なシリコーン系感圧接着剤フィルムあるいは粘着剤層として、タッチパネル等の表示デバイスの製造に用いることができる。具体的には、本発明の組成物を硬化してなる硬化物は、特表2013−512326に記載の粘着層または粘着フィルムとして、特に制限なく用いることができる。
一例として、本発明にかかるタッチパネルは、一面に導電層が形成されている伝導性プラスチックフィルム等の基材、及び当該導電層が形成された側またはその反対側の面に付着されている本発明の組成物を硬化してなる硬化層を含むタッチパネルであってよい。当該基材は、シート状またはフィルム状基材であることが好ましく、樹脂フィルムまたはガラス板が例示される。また、前記伝導層が形成されている基材は、一面にITO層が形成されている樹脂フィルムまたはガラス板、特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムであってよい。これらは、前記の特表2013−512326等に開示されている。
その他、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる硬化物は、タッチパネル等の表示デバイスの製造に用いる偏光板用接着フィルムとして用いてもよく、特開2013−065009号公報に記載のタッチパネルとディスプレイモジュール間の貼合に用いる感圧接着層として用いてもよい。
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物、それを硬化してなる硬化物の用途としては、上記に開示した他に何ら制約はなく、当該組成物を硬化してなる硬化物を備えてなる感圧接着フィルムはテレビ受像機、コンピューター用モニター、携帯情報端末用モニター、監視用モニター、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、自動車などの計器盤用ディスプレイ、種々の設備・装置・機器の計器盤用ディスプレイ、自動券売機、現金自動預け払い機、車載用表示装置、車載用透過型スクリーンなど、文字や記号、画像を表示するための種々の表示装置に利用可能である。このような表示装置の表面形状は、平面ではなく曲面状ないし湾曲した形状であってもよく、各種フラットパネルディスプレイ(FPD)のほか、自動車(電気自動車含む)や航空機等に利用される曲面ディスプレイまたは曲面透過型スクリーンが例示される。さらに、これらの表示装置は、スクリーンやディスプレイ上に機能またはプログラムを実行するためのアイコンや、電子メール・プログラム等の通知表示、カーナビゲーション装置、スピーカー用のメンブレン、オーディオ装置、空調装置などの各種装置の操作ボタンを表示することができ、これらのアイコンや通知表示、操作ボタンに指を触れることで、入力操作が可能となるタッチパネル機能が付加されていてもよい。装置としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、表面電解ディスプレイ(SED)、電界放出型ディスプレイ(FED)などの表示装置や、これらを利用したタッチパネルに応用が可能である。また、当該組成物を硬化してなる硬化物は、接着性と粘弾性特性に優れるため、スピーカー用のメンブレン等のトランスデューサー用部材(センサ、スピーカー、アクチュエーター、およびジェネレーター用を含む)であるフィルム又はシート状部材として利用できるほか、さらに、二次電池、燃料電池または太陽電池モジュールに用いる封止層または接着剤層として利用することができる。
本発明のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着層は、実質的に透明であってよく、硬化不良や硬化性の低下の問題を生じることなく、かつ、各種表示デバイス等の基材への密着性に優れることから、長期間にわたって表示内容の視認性および操作性が良好な車両用表示装置、特に、曲面スクリーンまたは曲面ディスプレイを備え、任意でタッチパネル機能を有する車両用表示装置に好適に利用できる。例えば、特開2017-047767号公報、特開2014-182335号公報、特開2014-063064号公報、特開2013-233852号公報等には曲面状の表示面を備えた車両用表示装置が開示されているが、本発明にかかる感圧接着層は、これらの文献中の透明性が求められる接着層または粘着層の一部又は全部として好適に適用乃至置き換えが可能である。さらに、本発明のシリコーン感圧接着剤組成物は、他の公知の曲面状の表示装置についても、現在使用されている透明性が求められる接着層または粘着層を置き換えて利用できることは言うまでもなく、本発明の感圧接着剤の利点をさらに活用するために表示装置の設計や部材の厚みを公知の手法により調整することが好ましい。
なお、本発明の感圧接着層を備えた透明なフィルム状基材を、これらの、ディスプレイ表面の傷つき防止、汚れ防止、指紋付着防止、帯電防止、反射防止、のぞき見防止などの目的で使用してもよい。
(実施例1〜11、比較例1〜3)
以下に、本発明の実施例及び比較例を記す。なお、各実施例、比較例において「硬化させた」とは、各々の硬化条件により、各組成物が完全に硬化したことを意味するものである。
(シリコーン感圧接着剤組成物の調製)
表1(実施例1〜11)、表2(比較例1〜3)に示す各成分を用いて、各実施例・比較例に示すシリコーン感圧接着剤組成物を調製した。なお、表1および表2における%は全て質量%であり、各成分において、Meはメチル基であり、Viはビニル基を各々表すものである。さらに、当該組成物は、実質的に無溶剤型の組成物である。
(オルガノポリシロキサン成分の分子量の測定)
Waters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として、標準ポリスチレン換算で、オルガノポリシロキサンレジン等のオルガノポリシロキサン成分の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。
(粘着力測定、膜表面)
各組成物を、PETフィルム(株式会社東レ製、製品名ルミラー(登録商標)S10、厚さ50μm)に硬化後の厚みが40μmとなるように塗工し、150℃で3分間硬化させた。1日放置後、同試料を幅20mmに切断し、粘着層面をSUS板(パルテック製)にローラーを用いて貼り合せて試験片とした。試験片は、オリエンテック社製RTC−1210引っ張り試験機を用いてJIS Z0237に準じて180°引き剥がし試験方法を用いて引張速度300mm/minにて粘着力(20mm幅での測定を表示単位gf/インチに換算)を測定した。また、引き剥がした際の、膜表面について観察し、SUS板に粘着剤が残っている組成を、糊残り有りと判断した。
(高温保持力)
シリコーン感圧接着剤剤組成物を、ポリイミド樹脂フィルム上に、40μmの厚さになるように塗工した後、150℃で3分間乾燥し、接着剤フィルムを作成した。感圧接着剤面側をSUS板に貼り付け、SUS板の下部に200g重りをつるし、200℃のオーブンで30分間エージングした。エージング後にポリイミド樹脂フィルムに対してSUS板が移動している距離を測定した。
(組成物の全体粘度)
[粘度]
粘度(mPa・s)は、JIS K7117−1に準拠した回転粘度計を使用して測定した値であり、動粘度(mm/s)は、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定した値である。
(ボールタック)
[粘着力:ボールタック値]上記と同様に作成した粘着シートを、水平方向からの角度が30°である斜面に設置し、規定のステンレス製ボールを上方から3回転がした。3回中2回以上、粘着シート上の転がり距離が10cm以内であったボール番号のうち、最大のものをボールタック値とした。
表1に無溶剤型シリコーン感圧接着剤組成物の材料を示す。なお、各成分の粘度は以下の方法により、室温(25℃)において測定した。
[粘度]
粘度(mPa・s)は、JIS K7117−1に準拠した回転粘度計を使用して測定した値である。
表1の各成分として、次のシリコーンを使用した。(A)成分〜(B)成分をあらかじめ混合したものに(C)成分のシリコーンレジンのキシレン溶液を添加し、減圧下でキシレンを留去したものを用いた。
(A1成分)
下式で表されるアルケニル基含有ポリシロキサン(ビニル基含有量:6.3質量%)
Figure 2020121939
(A2成分)
下式で表されるアルケニル基含有ポリシロキサン(ビニル基含有量:0.44質量%)
Figure 2020121939
(B1成分)
下式で表されるSiH基含有ポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有量:0.124質量%)
Figure 2020121939
(B2成分)
下式で表されるSiH基含有ポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有量:0.072質量%)
Figure 2020121939
(C1成分)
(CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位および水酸基からなるMQシリコーン樹脂、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw) 6500、OH含有量4.5モル%(1.0質量%)、キシレン溶液(固形分70質量%)
(C2成分)
(CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位および水酸基からなるMQシリコーン樹脂、Mw 3300、OH含有量3.5モル%(0.8質量%)、キシレン溶液(固形分75.5質量%)
(D1成分)
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサン共重合体、ケイ素原子結合水素原子含有量1.58質量%
(D2成分)
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、ケイ素原子結合水素原子含有量0.70質量%
(D3成分)
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)1600、ケイ素原子結合水素原子含有量0.73質量%
Figure 2020121939
Figure 2020121939
[総括]
実施例1〜11にかかるシリコーン感圧接着剤組成物は、実質的に無溶剤型であるが、実用上、塗工可能な粘度範囲にあり、かつ、得られる粘着剤層の硬化性および粘着特性において実用上十分に優れるものであった。一方、(B)成分に対するSiH/Vi比が本発明の下限未満である比較例1、2においては、硬化物の被着体に対する糊残りが発生した。さらに、組成物全体のSiH/Vi比が本発明の上限を超える比較例3においては、十分な粘着力を実現できないものであった。

Claims (11)

  1. (A)一分子中に少なくとも2個の、脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基を有し、そのシロキサン重合度が5〜250の範囲である、直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン、
    (B)分子鎖両末端のみにケイ素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)分子内にRSiO1/2(式中、Rは互いに独立して一価有機基を表す)で表されるシロキサン単位(M単位)、及び、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含むオルガノポリシロキサン樹脂、
    (D)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
    (E)ヒドロシリル化反応触媒
    を含有し、
    (B)成分中のケイ素結合水素原子のモル数の(A)成分中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数に対する比が、0.90〜1.30の範囲にあり、
    (B)成分と(D)成分を合わせたケイ素結合水素原子のモル数の(A)成分中の脂肪族不飽和炭素−炭素結合含有基のモル数に対する比が、0.95〜1.35の範囲であり、
    25℃における組成物全体の粘度が1,000〜300,000mPa・sの範囲であり、かつ、
    有機溶媒の含有量が組成物全体の20質量%未満である、
    シリコーン感圧接着剤組成物。
  2. (A)成分〜(D)成分の合計量を100質量部としたとき、
    (A)成分および(B)成分の合計量が、10〜80質量部の範囲であり、
    (C)成分の量が10〜80質量部の範囲であり、
    (D)成分の量が、0.01〜10質量部の範囲であることを特徴とする、
    請求項1に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
  3. (D)成分が、
    (D1)分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
    (D2)分子鎖末端にケイ素結合水素原子を有さず、分子内に少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、
    請求項1または請求項2に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
  4. 当該組成物の硬化により得られる厚み40μmの感圧接着層の、SUS基板に対する、JIS Z 0237に従う180°引き剥がし試験方法を用いて引張速度300mm/minにより測定された粘着力が100〜2500gf/inchの範囲であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
  5. 有機溶媒の含有量が組成物全体の0〜5質量%の範囲にあり、無溶媒型ないし低溶媒型の組成物である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着剤層。
  7. フィルム状基材上に、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる感圧接着剤層を備えた積層体。
  8. 1または2以上のフィルム状基材を含み、前記フィルム状基材上に当該感圧接着剤層に対する剥離層が設けられている、請求項7に記載の積層体。
  9. フィルム状基材、
    該フィルム状基材上に形成された第1剥離層、
    該剥離層上に請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコーン感圧接着剤組成物を塗工し硬化させて形成された感圧接着層、及び
    該感圧接着層上に積層された第2剥離層
    を含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のシリコーン感圧接着剤組成物を硬化してなる、弾性粘着部材。
  11. 請求項10に記載の弾性粘着部材を含む電子機器または電気的装置。
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