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Description
本発明は、電気又は電子システムの特徴温度を決定する方法と、電気又は電子システムとに関する。
電気又は電子システム又は装置では、特定の特徴温度は、例えば信頼性、寿命、又は劣化速度への影響のために、特に関心が高い場合がある。場合によっては、特定の絶対限界を超える特徴温度が装置又はシステムの破壊につながるおそれもある。したがって、システム又は装置の作動中に特徴温度を決定又は監視することが重要であるか、少なくとも望ましい場合がある。
しかしながら、多くの場合、対象となる特徴温度は、例えば過酷な環境のために、実用的でないか、実行不可能な場合がある。特に、これは電力の接合部温度の場合に当てはまる可能性がある。半導体装置は、動作中は通常、電気的に「ライブ」であり、非常にノイズの多い環境にあるためである。他の例には、電力変圧器又は反応器の巻線温度、又は負荷時タップ切換器内の特徴温度、例えば抵抗器温度が含まれる。
このような特徴温度を間接的に推定するための既存のアプローチでは、個々のシステム又は装置を事前に較正する必要がある。これは、産業的適用では実用的ではなく、特に半導体装置の場合は事実上不可能である。他のアプローチでは、システム又は装置の特定の実験室の設定又は専用の操作モードが必要であり、場合によっては特定の互換性のある負荷も必要である。
したがって、本発明の課題は、システム又は装置の通常の動作中に実行してよい、あるいは動作前の較正を必要としない、電気又は電子システムの特徴温度を決定する改良された概念を提供することである。
この課題は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる実装形態及び態様は、従属請求項の主題である。
改良された概念は、TSEPモデルと熱モデルの出力に基づくシステムの熱モデルに基づいて特徴温度を推定し、温度感受性の電気的変数、TSEPの第1値を予測することにより、システムの自動較正又は自己較正を実装するという考えに基づく。第1値は、計測に基づいてTSEPの第2値と比較される。そして、TSEPの前記の2つの値に一致するよう、熱モデル及び/又はTSEPモデルが適合される。
改良された概念によれば、電気又は電子システムの特徴温度を決定する方法が提供される。この方法は、システムの動作中にシステムの1つ又は複数の特性変数、特に電気変数及び/又は熱変数及び/又は温度を計測し、システムの熱モデルに基づいて及び計測された変数の第1サブセットに基づいて、システムの特徴温度を推定することを備える。それから、TSEPの第1値は、TSEPモデルと推定された特徴温度に基づいて予測される。TSEPの第2値は、計測された変数の第2サブセットに基づいて決定される。それから、TSEPの第1値がTSEPの第2値と比較され、比較の結果に基づいて熱モデル及び/又はTSEPモデルが適合される。
第1及び第2のサブセットは、それぞれ、1つ又は複数の変数を含むことがある。サブセットは重複しているか、互いに素であってよい。代替的に、サブセットは同一であってよい、特に同一で、それぞれ1つの変数のみを含むものでもよい。
TSEPモデルは、事前に決定されたモデルである場合がある。同じことが熱モデルにも当てはまる。熱モデルには、システムの熱インピーダンスを決定するためのモデルが含まれる場合がある。熱モデルは、例えば、有限要素法、低次元モデル、熱抵抗器-コンデンサネットワークモデルに基づくか、又はそれらを含み得る。特に、低次元モデル又は熱抵抗コンデンサネットワークモデルを有限要素モデルに適合させたものでもあり得る。
動作中にこの方法、特に計測を実行することは、システムが対象とする通常又は生産的な動作の間にそれを実行することを意味する。特に、システム又は装置の製造中、試験環境、又は専用の較正モードで実行される必要がない。
いくつかの実装形態では、この方法は、例えば、システムの初期、特に初期の通常の動作の前に、トレーニングシーケンスを通して電気又は電子システム又はその一部を実行することを備える。トレーニングシーケンスは、改良された概念に従って自動較正の収束を改善するだろう。
TSEPは、システム、特にシステムが備える電気又は電子装置のTSEPである。
適合されるTSEPモデルは、例えば、特徴温度に基づいてTSEPを予測するために使用される変数、例えば、適合変数又は回帰変数が適合されていることを意味し得る。
適合される熱モデルは、例えば、熱インピーダンスを決定するために使用される変数が適合されることを意味し得る。
TSEPの第1値と第2値を比較することは、例えば、これらの値の間の差を決定することを含み得る。比較の結果は、例えば、差異を含み得る。
説明した改良された概念による方法によって、熱モデリングに基づく温度シミュレーションと計測されたTSEPに基づく温度推定の両方のアプローチの欠点が克服される。特に、両方のアプローチの特徴温度は比較されないが、代替的にそれぞれのTSEP値が比較される。このようにして、計測されたTSEPに基づいて温度推定値を較正する必要がなくなる。TSEPの第2値を推定する精度は、システムの寿命を通じて変化しないため、劣化や計測回路のドリフトなどによる電気的及び熱的変数の変化を正しく追跡する。一方、TSEPの第1値を推定すると、システムの周囲温度又はその他の温度が、特徴温度やシステムの電力損失などに影響を与えることを正しく反映する。これは、熱モデルを使用してTSEPを較正するか、計測値を使用して熱モデルを正しく追跡していると見なせる。いずれにせよ、完全な電熱システムが特徴付けられる。つまり、効果的な電気較正と熱特徴化の両方である。
この方法の最終結果は、例えば、TSEPの第1値と第2値が一致する場合に有効となる特徴温度によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、この方法は、さらなるTSEPモデル及び推定した特徴温度に基づいて、特にシステム又はシステムの装置のさらなるTSEPの第1値を予測することを備える。さらなるTSEPの第2値は、計測された変数の第2サブセットに基づいて決定される。さらなるTSEPの第1値は、さらなるTSEPの第2値と比較される。熱モデル又はTSEPモデルの適合は、TSEPの第1値と第2値の比較の結果、及びTSEPの第1値と第2値の比較の結果に基づく。
上記のモデルを適応させることによって2つの独立したTSEPを一致させると、温度推定の精度がさらに向上する可能性がある。
いくつかの実施形態によれば、この方法は、複数の特性変数を計測し、特徴温度を推定し、特徴温度の第1値を予測するステップを少なくとも、繰り返すことをさらに備える。繰り返しには、熱モデルに替えて適合熱モデルが使用され、及び/又はTSEPモデルに替えて適合TSEPモデルが使用される。
温度推定を改善するために、繰り返されるステップを数回繰り返してもよい。繰り返しごとに、前の繰り返しの適合された熱モデル又はTSEPモデルが使用される。例えば、TSEPの第1値と第2値の差が事前に定義されたしきい値より小さくなるまで、適用可能であれば、さらなるTSEPの第1値と第2値の差が事前定義された追加のしきい値より小さくなるまで、繰り返しのステップが繰り返されてもよい。
いくつかの実施形態によれば、特徴温度は、システムが備える電気又は電子装置の特徴温度である。
いくつかの実施形態によれば、電気又は電子システムは、パワーエレクトロニクスシステム、例えば、電力変換器であり、特徴温度は、システムが備えるパワー半導体装置の特徴温度、特に接合部温度である。
いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数の計測された特性変数の第1サブセットは、
パワー半導体装置のオン状態、すなわち順方向電流及び/又は
パワー半導体装置のオン状態、すなわち順方向の電圧及び/又は
パワー半導体装置のオフ状態の電圧及び/又は
それぞれの計測間隔内のパワー半導体装置のオン状態の合計期間及び/又は
それぞれの計測間隔内のパワー半導体装置のオフ状態の合計期間及び/又は
パワーエレクトロニクスシステムの基準温度
を備える。
パワー半導体装置のオン状態、すなわち順方向電流及び/又は
パワー半導体装置のオン状態、すなわち順方向の電圧及び/又は
パワー半導体装置のオフ状態の電圧及び/又は
それぞれの計測間隔内のパワー半導体装置のオン状態の合計期間及び/又は
それぞれの計測間隔内のパワー半導体装置のオフ状態の合計期間及び/又は
パワーエレクトロニクスシステムの基準温度
を備える。
いくつかの実施形態によれば、基準温度は、パワーエレクトロニクスシステムのベースプレート温度又はサーミスタ温度である。
いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数の計測される特性変数の第2のサブセットは、パワー半導体装置のオン状態の電流及び/又はオン状態の電圧を備える。
いくつかの実施形態によれば、TSEP及び/又はさらなるTSEPは、
パワー半導体装置のオン状態の電圧、特に電力の事前定義されたオン状態の電流における電圧、
パワー半導体装置の電力のゲートしきい値電圧、
パワー半導体装置の内部ゲート抵抗、又は
パワー半導体装置の特徴的な切替変数、特に事前定義されたオン状態の電圧又はオフ状態の電圧又はオン状態の電流における切替変数
によって与えられる。
パワー半導体装置のオン状態の電圧、特に電力の事前定義されたオン状態の電流における電圧、
パワー半導体装置の電力のゲートしきい値電圧、
パワー半導体装置の内部ゲート抵抗、又は
パワー半導体装置の特徴的な切替変数、特に事前定義されたオン状態の電圧又はオフ状態の電圧又はオン状態の電流における切替変数
によって与えられる。
いくつかの実装形態では、特徴的な切替変数は、時間di/dtに対する電流の変化率、時間dv/dtに対する電圧の変化率、切替ピーク電流又は切替ピーク電圧によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、特徴温度を推定するステップは、装置による電力損失を決定し、電力損失を熱モデルへの入力として使用することを備える。
いくつかの実施形態によれば、電力損失は、パワー半導体装置の切替電力損失及び/又は伝導電力損失を含む。
いくつかの実施形態によれば、特徴温度を推定するステップは、システムのさらなる装置又はいくつかのさらなる装置によるクロスカップリング電力損失を決定し、入力として、特に熱モデルへのさらなる入力としてクロスカップリング電力損失を使用することを備える。
改良された概念によれば、電気又は電子システムも提供される。このシステムは、電気又は電子装置と、計測ユニットと、計算ユニットとを備える。計測ユニットは、電気又は電子システムの動作中に装置の1つ又は複数の特性変数を計測するように構成されている。
計算ユニットは、システムの熱モデル及び計測された変数の第1サブセットに基づいて装置の特徴温度を推定し、TSEPモデル及び推定された特徴温度に基づいてTSEPの第1値を予測するように構成されている。計測された変数の第2サブセットに基づいてTSEPの第2値を決定し、TSEPの第1値と第2値を比較し、比較の結果に基づいて熱モデル又はTSEPモデルを適合させるように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、電気又は電子システムは、変圧器、特に、例えば、絶縁剤、特に液体絶縁剤で満たされる電力変圧器を備える。電気又は電子装置は、変圧器の巻線を備え、特徴温度は、変圧器の巻線温度、特にホットスポット巻線温度によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、電気又は電子システムは、反応器、例えばシャント反応器、又は例えば絶縁媒体で満たされるインダクタを備える。電気又は電子装置は、反応器の巻線を備え、特徴温度は、反応器の巻線温度、特にホットスポット巻線温度によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、電気又は電子システムは、負荷時タップ切換器、例えば、抵抗器タイプの負荷時タップ切換器を備える。特徴温度は、負荷時タップ切換器内の温度、例えば負荷時タップ切換器の抵抗器の温度によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、電気又は電子システムは、パワー電子システムを備え、電気又は電子装置は、パワー半導体装置を備える。特徴温度は、パワー半導体装置の接合部温度によって与えられる。
いくつかの実施形態によれば、パワー半導体は、トランジスタ、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、IGBT、又はバイポーラ接合トランジスタ、BJT、又はMOS電界効果トランジスタ、MOSFET、又は接合型電界効果トランジスタ、JFET、又は高電子移動度トランジスタ、HEMTを備える。
いくつかの実施形態によれば、パワー半導体は、サイリスタ又はダイオード、例えば、ショットキーダイオード又はPINダイオードを備える。
いくつかの実施形態によれば、パワーエレクトロニクスシステムは、電力変換器を含み、電力変換器は、電力半導体装置を備える。
いくつかの実施形態によれば、パワーエレクトロニクスシステムは、ソリッドステート回路ブレーカー、ソリッドステートリレー、サイリスタスイッチ、又はパワー半導体装置を備える静的VAR補償器を備える。
改良された概念による電子システムのさらなる実装及び態様は、改良された概念による方法の様々な実施形態及び実施形態から容易に続くものであり、逆もまた同様である。特に、電気又は電子システムに関して説明された個々の又はいくつかの構成要素又は配置は、改善されたシステムによる方法を実行するためにそれに応じて実装され得る。
以下では、本発明は、図面を参照することにより、例示的な実装に関して詳細に説明される。機能的に同一又は同一の効果を持つ部材は、同一の参照記号で示される場合がある。同一の部材又は同一の機能又は効果を持つ部材は、それらが最初に発生する図に関してのみ説明する場合がある。それらの説明は、後続の図で必ずしも繰り返されるわけではない。
図面は、以下のものである。
図1は、改良された概念による方法の例示的な実装の流れ図を示す。
示される例示的かつ非限定的な場合において、電気又は電子システムは、パワー半導体装置を持つ電力変換器を備える。図1に関する以下の説明は、しかしながら、例えば図3に関して説明するように、他のタイプの電気又は電子システムにも同様に適用される。電力変換器の動作中に、システムの1つ又は複数の特性変数が計測される。示されている例では、電力変換器の基準温度Tbと、パワー半導体装置の合計オフ状態の合計持続時間toffと、パワー半導体装置のオン状態の合計持続時間tonと、パワー半導体装置のオン状態の電流Ionと、パワー半導体装置のオフ状態の電圧Voffと、パワー半導体装置のオン状態の電圧Vonとは、持続時間Tiの所定の計測間隔内で計測される。
例えば、オン状態の持続時間tonと、オフ状態の持続時間toffと、オン状態の電流Ionと、オフ状態の電圧Voffとから、切替電力損失Pswは決定される。
例えば、オン状態の持続時間tonと、オフ状態の持続時間toffと、オン状態の電流Ionと、オン状態の電圧Vonとから、例えば関係に従って、伝導電力損失Pcondは決定される。
伝導電力損失Pcondと切替電力Psw損失を合計してよく、それらの合計を熱モデルM_thの入力として使用してよい。この合計は、パワー半導体装置であるPshの自己発熱による消費電力に相当する。選択的に、パワー半導体装置の接合部温度Tjに影響を及ぼし得る電力変換器のさらなる装置によるクロスカップリング電力損失Pccが決定され、熱モデルM_thへの追加入力として使用されてもよい。
熱モデルM_thの出力は、接合部温度Tjと基準温度Tbとの間の温度差Tj-bを表すものとしてよく、これは、例えば、ベースプレート温度又は電力変換器の内部サーミスタの温度であり得る。したがって、基準温度Tbを熱モデルM_thの出力に追加して、接合部温度Tjの推定値を得る。
次に、推定された接合部温度Tjは、TSEPモデルM_TSEPへの入力として使用してよい。TSEPモデルM_TSEPの出力は、電力変換器、特にパワー半導体装置の1つ又は複数のTSEPの第1値VIを表す。1つ又は複数のTSEPは、オン状態の電圧Vonと、ゲート閾値電圧と、内部ゲート抵抗と、パワー半導体装置の特徴的な切替変数との少なくとも1つを含み得る。
TSEPモデルM_TSEPは、例えば、パワー半導体装置の定常状態において、一定の電力損失のために、接合部温度Tjの変化率が基準温度Tbの変化率に等しいという事実を使用するだろう。したがって、接合部温度Tjは、オフセットを使用して基準温度Tbに従ってよい。オフセットは、それぞれの熱抵抗に一定の電力損失を掛けたものに対応してよい。さらに、オン状態の電圧Vonは、スケール要因はあるが、温度変化の速度に従う。
1つ又は複数のTSEPの第2値V2は、計測された変数のサブセットから得られる。示されている例では、オン状態の電流Ion及び/又はオン状態の電圧Vonから得られる(計算ブロックCALCを参照)。簡単な例では、第2値V2はオン状態の電圧Vonのみに依存するとしてもよく、あるいはオン状態の電圧Vonに等しいとしてもよい。後者の場合、計算ステップCALCが不要である。ただし、より複雑なTSEPの代替ケース、例えばパワー半導体装置の切替変数では、オン状態の電流Ionと計算ステップCALCも必要になる場合がある。
TSEPのそれぞれの第1及び第2の値V1、V2が互いに比較され、特にそれぞれの差が決定される。差に依存して、熱モデルM_thの熱変数P_th及び/又はTSEPモデルM_TSEPのTSEP変数P_TSEPが適合され、それに応じてモデルM_th、M_TSEPを適合させるために使用される。
第1値V1、第2値V2の差が十分に小さい場合、例えば、全てがそれぞれの閾値を下回っている場合、接合部温度Tjは、接合部温度決定の最終結果と見なされてもよい。それ以外の場合、接合部温度Tjは、適合モデルM_th、M_TSEPなどに基づいて再度決定するようにしてよい。
図2Aは、改良された概念による電気又は電子システムの例示的な実施形態のブロック図を示す。
このシステムは、1つ又は複数(簡単のために1つだけ図示されている)パワー半導体装置PS、例えば、IGBT、BJT、MOSFET、HEMT、JFET、サイリスタ又はダイオードを備える電力変換器PCを備える。IGBTの回路記号は、非限定的な例としてのみ図2Aに示す。
電力変換器PCは、電力変換器PC、特にパワー半導体装置PSの、例えば、図1に関して説明される1つ又は複数の計測される変数を含む電気的変数を決定する計測ユニットMUをさらに備える。
電力変換器PCはまた、図1に関して説明される1つ又は複数の計算ステップを実行する計算ユニットCUを備える。
計算ユニットCU及び計測ユニットMUは、例えば、電力変換器PCの駆動ユニット(図示せず)又は制御ユニット(図示せず)に備えられてもよく、あるいはパワー変換器PCの別個の回路(図示せず)の一部であってもよい。
図2Bは、改良された概念による電気又は電子システムのさらなる例示的な実施形態のブロック図を示す。
図2Bのシステムは、計算ユニットCU及び計測ユニットMUの配置を除いて、図2Aのシステムと同じである。特に、計算ユニットCU及び計測ユニットMUは、電力変換器PCの一部ではなく、電力変換器PCに結合された回路Cに備えられたものである。この回路は、例えば、計算ユニットCUを備えるマイクロプロセッサ(図示せず)を備えてよい。
図3は、改良された概念による電気又は電子システムのさらなる例示的な実施形態のブロック図を示す。
このシステムは、タンクTを備えた電力変圧器又は反応器、特にシャント反応器を備える。1つ又は複数の巻線W1、W2、W3は、タンクT内に配置される。タンクTは、例えば変圧器油の、絶縁剤IM、例えば満たされているか、部分的に満たされている。
このようなシステムでは、特徴温度は、巻線W1、W2、W3のいずれかの巻線温度又はホットスポット温度である。
図1の説明に関しては、巻線温度が接合部温度Tjに置き換わる。変圧器又は反応器の周囲温度又は絶縁剤IMの温度が、図1のベースプレート温度Tbを置き換える場合がある。
図1の、オン状態の合計持続時間tonと、オフ状態の合計持続時間toffと、オン状態の電圧Vonと、オフ状態の電圧Voffと、オン状態の電流Ionとは、変圧器又は反応器の消費電力に影響を与える適切な量に置き換えてもよい。実際、変圧器又は反応器の熱モデルM_thに必要な全ての入力は、事情によるので、熟練した読者が知っているか、直接導き出してよい。第1及び第2の値V1、V2が決定されるTSEPは、変圧器又は反応器(rector)の任意の温度感受性変数、例えば、巻線W1、W2、W3のうちの1つの電気抵抗によって置き換えてよい。
図1の、オン状態の合計持続時間tonと、オフ状態の合計持続時間toffと、オン状態の電圧Vonと、オフ状態の電圧Voffと、オン状態の電流Ionとは、変圧器又は反応器の消費電力に影響を与える適切な量に置き換えてもよい。実際、変圧器又は反応器の熱モデルM_thに必要な全ての入力は、事情によるので、熟練した読者が知っているか、直接導き出してよい。第1及び第2の値V1、V2が決定されるTSEPは、変圧器又は反応器(rector)の任意の温度感受性変数、例えば、巻線W1、W2、W3のうちの1つの電気抵抗によって置き換えてよい。
これら又は他の適切な交換により、図1に関して説明された方法はまた、変圧器又は反応器に対して同様に実行され得る。
それぞれの適切な交換により、図1に関して説明した方法は、負荷時タップ切換器に対しても同様に実行してよい。
改良された概念による方法又はシステムによって、事前の較正なしに、及びシステムの通常の動作中に、電気又は電子システムの特徴温度を決定可能である。これは、シミュレーション及び推定のハイブリッドアプローチを使用することによって実現される。TSEPの(複数の)決定値を強制的に一致させると、システム全体が簡単にアクセスできる数量に基づいて特徴付けられる。改良された概念は、変数の適切な選択のみを必要とする多くの種類の電気又は電子システムに広く適用可能である。
システム又は装置の温度感受性の効果的な再較正が、システムの寿命を通して達成される。したがって、電気的及び熱的変数の長期的な変化は、装置の寿命全体にわたって追跡される。これは、状況監視が本質的に提供されることを意味する。
改良された概念の別の有利点は、TSEP特性の概算を除いて、装置特性の事前知識が要求されないことである。後者は、最小二乗フィッティング、適応フィルタリング、カルマンフィルタリング、主成分分析など、使用されている数学モデルに依存する場合がある。データシート変数でも十分な場合がある。
電力変換器の場合、電力変換器モジュールに変更を加える必要はない。特に、モジュール内に追加の接続やセンサーは不要である。
改良された概念に従った実装には、パワー半導体装置の接合部温度推定が含まれる場合がある。これは、次世代の「スマート」電力変換器のいくつもの特徴を可能にする。そのような特徴には、動的定格制御(インテリジェントなオーバーレート/ディレート)、最適化された並列インバータースタックの電流共有、状況監視(摩耗と異常動作の検出、予知保全の提供)、温度サイクルのカウントと残りの耐用年数の見積もり、開発及びタイプテスト中のインバータースタック設計の検証の改善、過熱検出の改善が含まれる。
電力変換器の製造業者にもたらされる有利点は、例えばマージンの削減によるコストに対する最適化されたパフォーマンス(例えば、電流定格又は効率)を含むだろう。電力変換器のエンドユーザーにとっての有利点には、異常な動作の早期検出や潜在的な運用費用の削減がある。
改良された概念が利用されない場合の較正不足の影響を実証するために、電力変換器で使用するためのIGBTの製品変形態様を例として検討する。通常、IGBTのオン状態の電圧降下又はゲートしきい値電圧は、生産バッチの95%で±100mV以上の変動範囲を持つ可能性がある。1mV/Kから10mV/Kの一般的なTSEP感度と組み合わせると、10℃から100°Cの範囲で誤差が生じ、接合部温度の推定が無意味になる。これは、改良された概念の有利な点を強調する。
Tb ベースプレート温度
Ton オン状態の合計期間
toff オフ状態の合計期間
Ion オン状態の電流
Von オン状態の電圧
Voff オフ状態の電圧
Tj 接合部温度
Tj-b 温度差
Psw 切替電力損失
Pcond 伝導電力損失
Psh 自己発熱電力損失
Pcc クロスカップリング電力損失
V1、V2 TSEPの値
M_th 熱モデル
M_TSEP TSEPモデル
CALC 計算ステップ
P_th 熱変数
P_TSEP TSEP変数
PC 電力変換器
CU 計算ユニット
MU 計測ユニット
C 回路
PS パワー半導体装置
T タンク
IM 絶縁剤
W1、W2、W3 変圧器又は反応器の巻線
Ton オン状態の合計期間
toff オフ状態の合計期間
Ion オン状態の電流
Von オン状態の電圧
Voff オフ状態の電圧
Tj 接合部温度
Tj-b 温度差
Psw 切替電力損失
Pcond 伝導電力損失
Psh 自己発熱電力損失
Pcc クロスカップリング電力損失
V1、V2 TSEPの値
M_th 熱モデル
M_TSEP TSEPモデル
CALC 計算ステップ
P_th 熱変数
P_TSEP TSEP変数
PC 電力変換器
CU 計算ユニット
MU 計測ユニット
C 回路
PS パワー半導体装置
T タンク
IM 絶縁剤
W1、W2、W3 変圧器又は反応器の巻線
Claims (15)
- 電気又は電子システムの特徴温度(Tj)を決定する方法において、前記方法が、
前記システムの動作中に前記システムの1つ又は複数の特性変数を計測することと、
前記システムの熱モデル(M_th)に基づいて及び前記計測された変数の第1サブセットに基づいて、特徴温度(Tj)を推定することと、
温度感受性の電気的変数TSEPの第1値(V1)を、TSEPモデル(M_TSEP)と前記推定された特徴温度(Tj)に基づいて予測することと、
前記TSEPの第2値(V2)を、前記計測された変数の第2サブセットに基づいて決定することと、
前記TSEPの前記第1値(V1)と前記第2値(V2)とを比較することと、
比較の結果に基づいて前記熱モデル(M_th)又は前記TSEPモデル(M_TSEP)を適合することと
を備える、方法。 - さらなるTSEPモデル(M_TSEP)と前記推定された特徴温度(Tj)とに基づいて、さらなるTSEPの第1値(V1)を予測することと、
前記計測された変数の前記第2サブセットに基づいて、さらなるTSEPの第2値(V2)を決定することと、
前記さらなるTSEPの第1値(V1)と第2値(V2)とを比較することと
を備え、
前記熱モデル(M_th)又は前記TSEPモデル(M_TSEP)を適合することは、前記さらなるTSEPの第1値(V1)及び第2値(V2)の前記比較の結果に基づく、請求項1に記載の方法。 - 前記方法は、
複数の前記特性変数を計測し、前記特徴温度(Tj)を推定し、TSEPの前記第1値(V1)を予測するステップを少なくとも繰り返すことをさらに備え、
前記繰り返しには、前記熱モデル(M_th)に替えて適合熱モデルが使用され、及び/又は前記TSEPモデル(M_TSEP)に替えて適合TSEPモデルが使用される、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記特徴温度(Tj)は、前記システムが備える電気又は電子装置の特徴温度(Tj)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記システムは、パワーエレクトロニクスシステムであり、
前記特徴温度(Tj)は、前記システムが備えるパワー半導体装置(PS)の特徴温度(Tj)、特に接合部温度(Tj)である、請求項4に記載の方法。 - 前記第1サブセットは、
前記パワー半導体装置(PS)のオン状態の電流(Ion)と、
前記パワー半導体装置(PS)のオン状態の電圧(Von)と、
前記パワー半導体装置(PS)のオフ状態の電圧(Voff)と、
それぞれの計測間隔内の前記パワー半導体装置(PS)のオン状態の合計期間(ton)と、それぞれの計測間隔内の前記パワー半導体装置(PS)のオフ状態の合計期間(toff)と、
前記パワーエレクトロニクスシステムの基準温度(Tb)と
の中の少なくとも1種類を備える、請求項5に記載の方法。 - 前記第2サブセットは、前記パワー半導体装置(PS)のオン状態の電流(Ion)と、オン状態の電圧(Von)との少なくとも一方を備える、請求項5又は6に記載の方法。
- 前記TSEPは、
前記パワー半導体装置(PS)のオン状態の電圧(Von)、特にパワー半導体装置(PS)の電力の事前定義されたオン状態の電流(Ion)におけるオン状態の電圧(Von)と、
前記パワー半導体装置(PS)の電力のゲートしきい値電圧と、
前記パワー半導体装置(PS)の内部ゲート抵抗、又は
前記パワー半導体装置(PS)の特徴的な切替変数、特に事前定義されたオン状態の電圧(Von)又はオフ状態の電圧(Voff)又はオン状態の電流(Ion)における切替変数と
のいずれかによって与えられる、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。 - 前記特徴温度(Tj)を推定するステップは、
前記装置(PS)による電力損失(Psh)を決定することと、
電力損失(Psh)を熱モデル(M_th)への入力として使用することと
を備える、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。 - 前記電力損失(Psh)は、前記パワー半導体装置(PS)の切替電力損失(Psw)又は伝導電力損失(Pcond )を含む、請求項9に記載の方法。
- 前記特徴温度(Tj)を推定するステップは、
前記システムのさらなる装置によるクロスカップリング電力損失(Pcc)を決定することと、
前記熱モデル(M_th)への入力としてクロスカップリング電力損失(Pcc)を使用することと
を備える、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。 - 電気又は電子装置と、
電気又は電子システムの動作中に前記装置の1つ又は複数の特性変数を計測するように構成されている計測ユニット(MU)と、
前記システムの熱モデル(M_th)及び計測された前記変数の第1サブセットに基づいて前記装置の特徴温度(Tj)を推定し、
温度感受性の電気的変数TSEPの第1値(V1)を、TSEPモデル(M_TSEP)及び前記推定された特徴温度(Tj)に基づいて予測し、
前記計測された変数の第2サブセットに基づいて前記TSEPの第2値(V2)を決定し、
前記TSEPの第1値(V1)と第2値(V2)を比較し、比較の結果に基づいて前記熱モデル(M_th)又は前記TSEPモデル(M_TSEP)を適合させる
ように構成されている計算ユニット(CU)と、
を備える、電気又は電子システム。 - 前記システムは、パワー変換器又は反応器を備え、
前記装置は、変換器又は反応器の巻線(W1、W2、W3)を備え、
前記特徴温度(Tj)は、前記変換器又は前記反応器の巻線温度によって与えられる、請求項12に記載の電気又は電子システム。 - 前記システムは、パワーエレクトロニクスシステムを備え、
前記装置は、パワー半導体装置(PS)を備え、
前記特徴温度(Tj)は、前記パワー半導体装置(PS)の接合部温度(Tj)によって与えられる、請求項12に記載の電気又は電子システム。 - 前記パワーエレクトロニクスシステムは、電力変換器(PC)を備え、
前記パワー半導体装置(PS)は前記電力変換器(PC)に備えられている、請求項14に記載の電気又は電子システム。
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