JPWO2019207958A1 - 原子線発生装置、接合装置、表面改質方法及び接合方法 - Google Patents
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Abstract
原子線発生装置10は、原子線を放出可能な照射口23が設けられた放出面22を有する筐体である陰極20と、陰極20の内部に配設され、陰極20との間でプラズマを発生させる陽極40と、第1磁場B1を発生させる第1磁場発生部61と第2磁場B2を発生させる第2磁場発生部62とを有し、放出面22側から第1磁場を第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが第1磁場では左向きで第2磁場では右向きとなるように放出面22に平行な第1磁場及び第2磁場を陰極20内に発生させて、陰極20内で生成した陽イオンを放出面に導く磁場発生部61,62と、を備えている。
Description
本発明は、原子線発生装置、接合装置、表面改質方法及び接合方法に関する。
従来、原子線発生装置として、筐体となる陰極とその内部に配設される陽極とを備えたものが広く知られている。こうした原子線発生装置では、希薄ガスを導入し、陰極と陽極との間に電圧を印加して放電空間を形成すると、プラズマが発生する。プラズマ内で生成したガスイオンは、電場によって加速される。このうち、筐体の一部に設けられた照射口に向かって運動するガスイオンは、照射口壁から電子を受け取って中性化し、照射口から原子線として放出される。こうした原子線発生装置において、例えば、端面に照射口が設けられた筒状陰極の内部に陰極の中心軸と平行な2本の棒状陽極を配設し、陰極の外周に中心軸と垂直な磁場を印加することが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、陰極から放出された電子は陽極を中心として陰極間で振動し、その途中で多くのガス分子と衝突してイオンを生じる。さらに、放電空間内の電子は磁力線に絡みつくようにらせん運動するため、電子の実効的な飛程が大きくなりガス分子との衝突により放電空間内に大量のイオンが生成されるとしている。また例えば、端面に照射口が設けられた筒状陰極の内部に陰極と同軸の環状陽極を配設し、軸に沿った磁場を印加することが提案されている(非特許文献1参照)。非特許文献1では、軸に沿った磁場を受けて軸周りに電子がらせん運動をするようになるため、電子の移動距離が増加し、電子がガス分子と衝突して多量の陽イオンが生成する。これらの陽イオンは陰極に向けて加速され、その多くが高速原子となるとされている。
J. Appl. Phys. 72(1), 1 July 1992, pp13-17
しかしながら、特許文献1や非特許文献1の原子線発生装置では、多量の陽イオンが生成するものの、生成した陽イオンは陰極に向けてあらゆる方向に加速するため、照射口に向かわないものも多く、照射口から放出される原子の量が十分でないことがあった。このため、より多くの原子を放出することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、原子線発生装置において、より多くの原子を放出することを主目的とする。
すなわち、本発明の原子線発生装置は、
原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
第1磁場を発生させる第1磁場発生部と第2磁場を発生させる第2磁場発生部とを有し、前記放出面側から前記第1磁場を前記第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させて、前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導く磁場発生部と、
を備えたものである。
原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
第1磁場を発生させる第1磁場発生部と第2磁場を発生させる第2磁場発生部とを有し、前記放出面側から前記第1磁場を前記第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させて、前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導く磁場発生部と、
を備えたものである。
この原子線発生装置では、放出面に平行で所定方向を向いた第1磁場及び第2磁場を発生させることで、筐体である陰極で発生し放出面に略平行な経路で陽極に向かって移動する電子が、磁場によってローレンツ力を受けて放出面に向けて移動するようになる。この電子の電荷に引き寄せられて陽イオンが放出面に導かれ、結果として、照射口からより多くの原子を放出できる。なお、本明細書において、放出面に平行な磁場とは、放出面と完全に平行な磁場のほか、陰極で発生し陽極に向かって移動する電子がその磁場によって放出面に向けて移動できる程度に略平行な磁場を含む。また、右向きの磁場とは、右向きの成分を有している磁場をいい、右向きの成分のみを有していて完全に右を向いている磁場のほか、右向きの成分の他に上向きや下向きの成分を有している磁場をも含む。右向きの磁場は、例えば、略右向きの磁場や、完全に右を向いている磁場に対して±45°以内の範囲で傾いている磁場などを含む。左向きの磁場も同様である。また、第1磁場は少なくとも第1磁場発生部のN極とS極との間の領域において放出面に平行で所定の方向を向いているものとしてもよい。同様に、第2磁場は少なくとも第2磁場発生部のN極とS極との間の領域において放出面に平行で所定の方向を向いていものとしてもよい。
本発明の原子線発生装置において、前記磁場発生部は、前記放出面側から見たときに前記陽極から離れた位置に前記陽極を挟むように前記第1磁場及び前記第2磁場を発生させるものとしてもよい。こうすれば、陽極を挟んだ両側の陰極で発生した電子を、磁場によって放出面に向けて移動させることができるため、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
本発明の原子線発生装置において、前記磁場発生部は、前記陰極の内部空間のうち、前記放出面寄りに配設されているものとしてもよい。こうすれば、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
本発明の原子線発生装置において、前記陽極は、前記放出面に垂直な所定の仮想平面で面対称となるように配設され、前記磁場発生部は、前記仮想平面を挟むように前記第1磁場及び前記第2磁場を発生させるものとしてもよい。なお、陰極内において、放出面側から第1磁場を第2磁場よりも上にして見たときの磁場のベクトルの全てで、仮想平面に平行な成分が、仮想平面よりも上側では左向きで前記仮想平面よりも下側では右向きであるものとしてもよい。
本発明の原子線発生装置において、前記陽極は、棒状の第1陽極と棒状の第2陽極とを備え、前記第1陽極及び前記第2陽極の軸は前記仮想平面に平行であるものとしてもよい。こうすれば、放出面に略平行な経路で陰極から陽極に向かって移動する電子のうちのより多くの電子が第1磁場や第2磁場に入射するため、より多くの電子を放出面に向けて移動させることができる。
本発明の原子線発生装置において、前記第1陽極及び前記第2陽極は、軸が前記仮想平面上に位置するように配設されるものとしてもよい。こうすれば、第1陽極には第1陽極の両側の陰極から電子が移動し、第2陽極には第2陽極の両側の陰極から電子が移動するため、より多くの電子を第1磁場や第2磁場に入射させることができる。
本発明の原子線発生装置において、前記第1陽極及び前記第2陽極は、軸が前記放出面に平行であるものとしてもよい。
本発明の原子線発生装置において、前記照射口は、前記仮想平面が横切る位置に設けられているものとしてもよい。こうすれば、第1磁場によって放出面に導かれる陽イオン及び第2磁場によって放出面に導かれる陽イオンの両方が照射口付近に導かれるため、照射口からより多くの原子を放出できる。
本発明の原子線発生装置において、前記照射口は、前記放出面側から見たときに、前記第1磁場発生部のN極と前記第2磁場発生部のS極とを結ぶ直線と、前記第1磁場発生部のS極と前記第2磁場発生部のN極とを結ぶ直線と、の間に設けられていてもよい。こうした範囲には、第1磁場及び第2磁場によってより多くの陽イオンが導かれると考えられるため、そうした範囲に照射口を設けることで、照射口からより多くの原子を放出できると考えられる。
本発明の原子線発生装置は、前記陽極として、前記放出面から離れた位置に配設された棒状の第1陽極と、前記放出面からさらに離れた位置に配設された棒状の第2陽極と、を備えているものとしてもよい。こうすれば、陰極から放出面に略平行な経路で陽極に向かって移動する電子の割合が多いため、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
本発明の接合装置は、上述した原子線発生装置を備えている。この接合装置では、原子線発生装置の照射口から放出される原子の数をより増加させることができるため、より短時間で接合できる。
本発明の表面改質方法は、
原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
を備えた原子線発生装置を用い、
前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導くように、前記放出面側から第1磁場を第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させた状態で前記原子線を照射対象材に照射して前記照射対象材の表面を改質するものである。
原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
を備えた原子線発生装置を用い、
前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導くように、前記放出面側から第1磁場を第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させた状態で前記原子線を照射対象材に照射して前記照射対象材の表面を改質するものである。
この表面改質方法では、原子線発生装置の放出面に平行で所定方向を向いた第1磁場及び第2磁場を発生させることで、筐体である陰極で発生し放出面に略平行な経路で陽極に向かって移動する電子が、磁場によってローレンツ力を受けて放出面に向けて移動するようになる。この電子の電荷に引き寄せられて陽イオンが放出面に導かれ、結果として、照射口からより多くの原子を放出できる。これにより、照射対象材の表面をより短時間で改質できる。改質には、例えば、清浄化、活性化、非晶質化、除去などが含まれる。
本発明の接合方法は、上述した表面改質方法を用いて前記照射対象材としての第1部材及び第2部材の表面を改質する改質工程と、改質した面同士を重ね合わせて前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合工程と、を含むものである。この接合方法では、第1部材及び第2部材の表面をより短時間で改質できるため、第1部材と第2部材とをより効率よく接合できる。
次に、本発明の好適な一実施形態を、図面を用いて説明する。
[原子線発生装置]
図1は原子線発生装置10の構成の概略を示す斜視図、図2はヨーク63の構成の概略を示す斜視図、図3は陰極20の内部の構成を概略を示す斜視図である。図3では、陰極20の内壁面及び陰極20の内壁面に存在する部分を破線で示した。また、図4は原子線発生装置10の構成の概略を示す正面図、図5は図4のA−A断面図(陰極20及びその内部のみ)であり、図6は陰極20及びその内部を図5のB−B断面から見た断面図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1に示した通りとする。
図1は原子線発生装置10の構成の概略を示す斜視図、図2はヨーク63の構成の概略を示す斜視図、図3は陰極20の内部の構成を概略を示す斜視図である。図3では、陰極20の内壁面及び陰極20の内壁面に存在する部分を破線で示した。また、図4は原子線発生装置10の構成の概略を示す正面図、図5は図4のA−A断面図(陰極20及びその内部のみ)であり、図6は陰極20及びその内部を図5のB−B断面から見た断面図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1に示した通りとする。
原子線発生装置10は、筐体である陰極20と、陰極20の内部に配設された陽極40と、磁場を陰極20内に発生させる磁場発生部60と、を備えている。原子線発生装置10は、例えば、高速原子ビームガン(FABガン)として用いられる。
陰極20は、陽極40との間でプラズマを発生させるものであり、図示しない直流電源の低電位側(接地側)に接続されている。陰極20は、原子線を放出可能な照射口23が設けられた放出面22を有する箱状の部材であり、その内部にプラズマが発生する。陰極20は、炭素材料が内張りされた金属製の水冷ジャケットで構成されている。陰極20には、ガス管30に接続されたガス導入口24が設けられ、このガス導入口24を通じてプラズマ生成に必要なガス(例えばアルゴンガス)が陰極20内に導入される。照射口23は、陰極20の放出面22の壁にあいた貫通孔であり、照射口23の寸法や数、配置などは、陰極20内の圧力(気圧)を安定なプラズマ生成に必要な圧力に保持でき、かつ、所望の範囲に所望量の原子線を照射できるように設定されている。
陽極40は、陰極20内に配設され、陰極20との間でプラズマを発生させるものであり、図示しない直流電源の高電位側に接続されている。この陽極40は、放出面22から離れた位置に配設された棒状の第1陽極41と、放出面22からさらに離れた位置に配設された棒状の第2陽極42と、で構成されている。第1,2陽極41,42は、各々、陰極20の外部に配設された支持部材43,44に片持ちで固定され、陰極20の壁に設けられた図示しない貫通口から陰極20の内部に挿入されている。この貫通口は、図1の前後方向に伸びる長穴であり、第1,2陽極41,42が陰極20の所定の位置に配設されたのちに図示しない絶縁材料で封止されている。この絶縁材料により、第1陽極41と陰極20の壁との間や第2陽極42と陰極20の壁との間の絶縁が確保されている。支持部材43は陰極20の背面に固定された移動軸47に沿って前後に移動する移動部材45に固定されており、支持部材44は陰極20の背面に固定された移動軸48に沿って前後に移動する移動部材46に固定されている。移動部材45,46を前後に移動させることにより、第1,2陽極41,42の位置や両者の間隔を変化させることができる。この陽極は、炭素材料で構成されている。
磁場発生部60は、陰極20内で生成した陽イオンを放出面22に導くように放出面22に平行な磁場B1,B2を陰極20内に発生させるものである。この磁場発生部60は、第1磁場B1を発生させる第1磁場発生部61と第2磁場B2を発生させる第2磁場発生部62とを備えおり、第1磁場発生部61及び第2磁場発生部62は、各々異なるヨーク63で構成されている。磁場発生部60では、放出面22側から第1磁場B1を第2磁場B2よりも上にして見たときの磁場の向きが第1磁場B1では左向きで第2磁場B2では右向きとなるように放出面22に平行な第1磁場B1及び第2磁場B2を陰極20内に発生させる。
ヨーク63は、図2に示すように、鉄製の本体64と、本体64の途中に配設されたネオジム製の2つの永久磁石69とを備えている。また、本体64の左右両側には、肩65で直角下向きに曲がった上腕66、上腕66から肘67で直角内向きに曲がった前腕68とが設けられている。これらも本体64と同様に鉄製である。上腕66は鉛直方向、前腕は水平方向を向いている。一方、前腕68の端部はN極側端部63N、もう一方の前腕68の端部はS極側端部63Sであり、両者は同じ高さ(上下方向の位置が同じ)で所定の間隔をあけて互いに向かい合っている。第1磁場発生部61を構成するヨーク63のN極側端部及びS極側端部を、それぞれN極側端部61N、S極側端部61Sと称する。また、第2磁場発生部62を構成するヨーク63のN極側端部及びS極側端部を、それぞれN極側端部62N、S極側端部62Sと称する。
第1磁場発生部61を構成するヨーク63は、本体64が陰極20の外部上方に配設され、N極側端部61Nが右側から、S極側端部61Sが左側から、陰極20内に挿入されている。第2磁場発生部62を構成するヨーク63は、本体64が陰極20の外部下方に配設され、N極側端部62Nが左側から、S極側端部62Sが右側から、陰極20内に挿入されている。これにより、陰極20の外部に配設された永久磁石69の磁力を陰極20内に導くことができる。N極側端部61NとS極側端部61Sとの間の領域や、N極側端部62NとS極側端部62Sとの間の領域では、N極側端部からS極側端部に向けて真っ直ぐな磁場B1,B2が発生する(図5,6参照)。
第1磁場発生部61と第2磁場発生部62とは、ヨーク63による上述した真っ直ぐな磁場B1,B2が、放出面22側からみたときに陽極40から離れた位置に陽極40を挟むように、また、放出面22に平行になるように、配設されている(図6参照)。また、第1磁場発生部61では、図5の紙面手前から紙面奥に向かう第1磁場B1を発生させ、第2磁場発生部62では、図5の紙面奥から紙面手前に向かう第2磁場B2を発生させるように、S極とN極とが配設されている。これにより、図5に示すように、陰極20から放出された電子にローレンツ力が働き、電子は放出面22や放出面22に設けられた照射口23に向かって移動する。
また、第1磁場発生部61及び第2磁場発生部62は、磁場を印加しない場合にプラズマが発生するプラズマ領域80と陰極20の壁との間に存在するシース領域81(図7参照)に、放出面22に平行な磁場B1,B2を発生させるように配設されている。ここで、図7を用いて、プラズマ領域80及びシース領域81について説明する。磁場を印加しない場合に陰極20と陽極40との間に生成するプラズマは、図7に示すように、第1陽極41の軸及び第2陽極42の軸を含む仮想平面P1を挟んで対称で、かつ、第1陽極41及び第2陽極42からの距離が等しく放出面22に平行な仮想平面P2を挟んで対称に形成されている。また、このプラズマは、プラズマ領域80と、シース領域81とを有している。シース領域81はプラズマ領域80と陰極20の壁との間の領域である。シース領域81は、基本的にはプラズマ領域よりも暗い。シース領域81は、例えば、プラズマ領域80の周囲に存在し第1暗部82と、第1暗部82の周囲に存在し第1暗部82よりも明るい明部83と、明部83の周囲に存在することがあり明部83よりも暗い第2暗部84とで形成されている。磁場B1,B2は、シース領域81のうち、プラズマ領域80寄りに印加されていることが好ましく、例えば、第1暗部82や、明部83などに印加されていることがより好ましい。陰極20内部のA−A断面に平行な断面では、他の断面でも、磁場を印加しない場合には同様のプラズマが観察される。
第1磁場発生部61を構成するヨーク63は、陰極20の左右両端に固定されたC字状部材70に、C字状部材の上側の左右の腕部71を左右の腕で抱えるようにして係止されている。また、第2磁場発生部62を構成するヨーク63は、陰極20の左右両端に固定されたC字状部材70に、C字状部材の下側の左右の腕部71を左右の腕で抱えるようにして係止されている。C字状部材70は、腕部71が水平方向を向き、C字の開いた部分が前を向くように陰極20に固定されている。ヨーク63は、C字状部材の腕部71に沿って前後方向に移動可能であり、ヨーク63を放出面22に近づけたり、放出面22から遠ざけたりすることができる。ヨーク63が所望の位置に配設されると、固定部材72によってその位置が固定される。
次に、原子線発生装置10を用いて処理対象材としてのウェハの表面を改質する表面改質方法(表面改質体の製造方法)について、表面改質装置100を用いる場合を例として説明する。ここでは、照射する原子がアルゴン原子である場合について説明する。図9は、表面改質装置100の構成の概略を示す説明図である。表面改質装置100は、チャンバー110と、載置台120と、原子線発生装置10と、を備えている。チャンバー110は、内部を環境から密閉する真空容器である。チャンバー110には排気口112が設けられ、排気口112に図示しない真空ポンプが接続されており、排気口112を介してチャンバー110の内部の気体が排出される。原子線発生装置10は、載置台120に載置されたウェハWに向けて原子線を照射できる位置に配設されている。
この表面改質方法では、まず、ウェハWを載置台120にセットし、チャンバー110の内部を真空雰囲気とする。その際、排気口112からの排気を調整しながら原子線発生装置10にアルゴンガスを導入し、チャンバー110内及び原子線発生装置10内を所定の圧力にする。チャンバー110内の圧力は、例えば1Pa程度が好ましく、原子線発生装置10内の圧力は3Pa以上が好ましい。原子線発生装置10内の圧力は、照射口23による圧損や、アルゴンガスの導入量、チャンバー110内の圧力のバランスによって決まる。そこで、例えば、チャンバー110の内部を1Paに保ったまま、原子線発生装置10内の圧力が3Pa以上になるように、アルゴンガスの導入量を調整してもよい。なお、チャンバー110の内部を1Paに保ったまま原子線発生装置10内の圧力を4Paとするときのアルゴンガス導入量は、一例では60sccm程度である。但し好適な圧力とアルゴン導入量は、真空排気能力や照射口での圧損により異なるため、適宜変更すればよい。
次に、原子線発生装置10の陰極20と陽極40との間に直流電源を用いて高電圧を印加する。これにより、原子線発生装置10内に、陰極20と陽極40との間の高電場によって、アルゴンイオンを含むプラズマが生成し、その後プラズマが安定化する。設定した電流に応じ、原子線発生装置10の陰極20と陽極40との間の距離や、原子線発生装置10内のガス圧力、印加する電圧は決まる。電流は、電子やプラズマ中のアルゴンイオン(Ar+やAr2+)を介して流れる。
プラズマに含まれるアルゴンイオンは正電荷を持つため、電場に沿って陰極20の中心部から陰極20に向かって、放射状に運動する。そのうち、照射口23に達したアルゴンイオンのビームのみが、照射口23で近傍の電子との衝突により電気的に中和されて(Ar++e-→ArやAr2++2e-→Ar)、中性原子のビームとして、原子線発生装置10から放出される。ここで、陰極20の内表面で発生した電子は、陽極40に向かって運動するが、フレミングの左手の法則に従って磁場B1,B2の作用によって放出面22に向けて移動するようになる(図5参照)。この電子の電荷に引き寄せられたアルゴンイオンが放出面22に導かれ、結果として、照射口23から放出されるアルゴン原子の数が増加する。こうして、原子線発生装置10では、より多くのアルゴン原子を照射することができる。
こうして、ウェハに向けて原子線発生装置10からアルゴン原子の原子線を照射すると、ウェハの表面に形成された酸化物等が除去されたり、ウェハの表面に付着している不純物が除去されたり、結合が切れて活性化したり、非晶質化したりして、表面が改質され、表面改質体が得られる。
以上説明した原子線発生装置10及びそれを用いた表面改質方法では、放出面22に平行で所定方向を向いた第1磁場B1及び第2磁場B2を発生させることで、陰極20で発生し陽極40に向かって移動する電子が、磁場B1,B2によって放出面22に向けて移動するようになる。この電子の電荷に引き寄せられて陽イオンが放出面22に導かれ、結果として、照射口23から多くの原子を放出できるため、ウェハWの処理時間が短縮され、ウェハWの表面を効率よく改質できる。また、磁場B1,B2によって陽イオンが放出面22に導かれるため、陰極20や陽極40に衝突する陽イオンを減らすことができ、陰極20や陽極40がスパッタされるのを抑制できると考えられる。これにより、原子線発生装置10の寿命が長くなるし、陰極20や陽極40がスパッタされて生じたスパッタ粒子によってウェハが汚染されることを抑制できる。また、放出面22に平行な磁場B1,B2を発生させることで、プラズマの位置や状態が好適になるため、照射口23から放出される原子の数を増加させることができると考えられる。
また、放出面22側から見たときに陽極40から離れた位置に陽極40を挟むように磁場B1,B2を発生させるため、陽極40を挟んだ両側の陰極20で発生した電子を、磁場B1,B2によって放出面22に向けて移動させることができる。これにより、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
また、陰極20の内部空間のうち、放出面22寄りに磁場発生部60が配設されているため、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
また、放出面22から離れた位置に配設された棒状の第1陽極41と、放出面22からさらに離れた位置に配設された棒状の第2陽極42と、を備えているため、陰極から放出面22に略平行な経路で陽極に向かって移動する電子の割合を増やすことができる。これにより、照射口から放出される原子の数をより増加させることができる。
また、陽極40は、放出面22に垂直な所定の仮想平面P0で面対称となるように配設され、棒状の第1陽極41と棒状の第2陽極42とを備え、第1陽極41及び第2陽極42の軸は仮想平面P0に平行であり、磁場発生部60は、仮想平面P0を挟むように第1磁場B1及び第2磁場B2を発生させる。このため、放出面に略平行な経路で陰極から陽極に向かって移動する電子のうちのより多くの電子が第1磁場や第2磁場に入射するため、より多くの電子を放出面に向けて移動させることができる。また、第1陽極41及び第2陽極42は、軸が仮想平面P0上に位置するように配設されるため、第1陽極41には第1陽極41の両側の陰極20から電子が移動し、第2陽極42には第2陽極42の両側の陰極20から電子が移動するため、より多くの電子を第1磁場41や第2磁場42に入射させることができる。
また、照射口23は、仮想平面P0が横切る位置に設けられているため、第1磁場B1によって放出面22に導かれる陽イオン及び第2磁場B2によって放出面22に導かれる陽イオンの両方が照射口23付近に導かれるため、照射口23からより多くの原子を放出できる。
また、照射口23は、放出面22側から見たときに、第1磁場発生部61のN極と第2磁場発生部62のS極とを結ぶ直線と、第1磁場発生部61のS極と第2磁場発生部62のN極とを結ぶ直線と、の間の領域を含むように設けられている。こうした範囲には、第1磁場B1及び第2磁場B2によってより多くの陽イオンが導かれると考えられるため、そうした範囲に照射口23を設けることで、照射口23からより多くの原子を放出できると考えられる。
なお、本発明の原子線発生装置及び表面改質方法は、上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、陰極20は、上述したものに限定されず、プラズマを所望の範囲に安定に生成し、電子を運動させる所望の電場を生成するように、陽極の形状、寸法、配置、照射対象材の形状、寸法、配置等に応じて適宜構成すればよい。また、陽極40は、上述したものに限定されず、プラズマを所望の範囲に安定に生成し、電子を運動させる所望の電場を生成するように、陰極の形状、寸法、配置、照射対象材の形状、寸法、配置等に応じて適宜構成すればよい。なお、所望の電場とは、磁場発生部60による磁場が作用しやすいように電子が運動するような電場である。
上述した実施形態では、陰極20は箱状としたが、筒状などとしてもよい。筒状の場合、照射口は筒面に設けられていてもよいし、筒底面に設けられていてもよい。陰極20の形状や寸法は、プラズマを所望の範囲に安定に生成できるような内部空間を有するものが好ましく、陽極の形状、寸法、配置、照射対象材の形状、寸法、配置等に応じて適宜設定すればよい。
上述した実施形態では、陰極20は、炭素材料が内張りされた金属製の水冷ジャケットで構成されているものとしたが、金属製の水冷ジャケットを省略してもよいし、炭素材料以外の材料を用いてもよい。炭素材料以外の材料としては、導電性を有し、陽イオン(例えばアルゴンイオン)のスパッタに耐久性がある材料が好ましく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、それらの化合物、それらの合金のいずれかに例示される。より具体的には、タングステン(W)、タングステン合金(W合金)、炭化タングステン(WC)、モリブデン(Mo)、モリブデン合金(Mo合金)、ほう化チタン(TiB)が挙げられる。また、陰極20の炭素材料の表面が、陽イオンのスパッタに耐久性がある上述した材料で被覆されていてもよい。
上述した実施形態では、陰極20の照射口23は、陰極20のうちの一面に設けられたものとしたが、陰極20のうちの複数の面に設けられていてもよい。正方形の照射口23が等間隔で設けられているものとしたが、照射口の形状は、例えば円形や楕円形、多角形としてもよいし、等間隔で設けられていなくてもよい。これらを調整することで、原子線の照射の分布を変化させることもできる。
上述した実施形態では、陰極20内にアルゴンガスを導入する場合について主に説明したが、陰極20内に導入するガスは、プラズマを形成するガスであればアルゴンに限定されないが、不活性ガスが好ましい。不活性ガスは、例えばヘリウム、ネオン、キセノンなどとしてもよい。
上述した実施形態では、陽極40において、第2陽極42は第1陽極41よりも放出面22から離れた位置に配設されたものとしたが、第1陽極41と第2陽極42とは放出面22から同じ距離だけ離れた位置に配設されていてもよい。その場合、第1陽極41と第2陽極42は、上下方向に離れた位置に配設される。また、第1陽極41と第2陽極22とは、両者が平行で、放出面22から見たときに両者が重なるように配設されているものとしたが、両者は平行でなくてもよいし、放出面22から見たときに両者が重ならなくてもよい。また、第1陽極41及び第2陽極42は、放出面22に平行に配設されているものとしたが、放出面22に垂直に配設されていてもよいし、放出面22に対して傾斜して配設されていてもよい。また、第1陽極41及び第2陽極42の軸は仮想平面P0に平行としたが、仮想平面P0に垂直でもよいし、仮想平面P0に対して傾斜していてもよい。また、第1陽極41及び第2陽極42は、丸棒としたが、断面形状は丸に限定されず、楕円や、多角形などとしてもよいし、凹凸のある形状としてもよい。また、第1陽極41及び第2陽極42の2本の棒状陽極を用いるものとしたが、棒状陽極の数は特に限定されない。
上述した実施形態では、陽極40は、棒状の第1陽極41と棒状の第2陽極42とを備えているものとしたが、図8に示すように環状陽極50を備えていてもよい。なお、図8では、環状陽極50を水平に配設することによって、環の外径の一端が放出面22から離れた位置に配設され環の外径の他端が放出面22からさらに離れた位置に配設されたものとしたが、環状陽極50を垂直に配設してもよいし、傾けて配設してもよい。また、図8では、環状陽極50は、放出面22から見たときに環の外径の一端と他端とが重なるように配設されているものとしたが、放出面22から見たときに両者が重ならなくてもよい。
上述した実施形態では、陽極40は、炭素材料で構成されているものとしたが、炭素材料以外の材料を用いてもよい。炭素材料以外の材料としては、導電性を有し、陽イオン(例えばアルゴンイオン)のスパッタに耐久性がある材料が好ましく、陰極20で例示したものが挙げられる。また、陽極40の炭素材料の表面が、陽イオンのスパッタに耐久性がある材料で上述した材料で被覆されていてもよい。
また例えば、磁場発生部60は、上述したものに限定されず、筐体21内で生成した陽イオンを放出面22に導くような、放出面22に平行な方向の磁場が得られるように適宜構成すればよい。磁場の強さは、電子の運動を所望量だけ変化させられるように設定すればよい。
上述した実施形態では、磁場発生部60は第1磁場発生部61と第2磁場発生部62とを備えているものとしたが、新たな磁場発生部を追加してもよい。各磁場発生部が発生させる磁場の強さは、同じでも異なってもよい。また、磁場発生部60は、陰極20の内部空間のうち、放出面22とその反対側の面との中央に配設されているものとしたが、放出面22寄りに配設されていてもよいし、放出面22とは反対側の面よりに配設されていてもよい。放出面22寄りに配設されているものでは、照射口23から放出される原子の数をより増加させることができる。また、磁場発生部60は、放出面22に平行な磁場B1,B2をシース領域81に発生させるものとしたが、プラズマ領域80に発生させてもよい。なお、プラズマ領域80に発生させる場合、図7の好適領域内、すなわち、シース領域81に近い領域に発生させることが好ましい。
上述した実施形態では、磁場発生部60は、ヨーク63で構成されているものとしたが、ヨーク63を省略してヨークのN極側端部とS極側端部の位置に各々磁石のN極とS極を配設してもよい。また、磁場発生部60ではヨーク63に代えて又は永久磁石69に代えて電磁石を備えたものとしてもよい。電磁石を利用すれば、磁場の強さの調整が容易であり、また、磁場の強さを経時的に変化させることもできる。このため、電圧・電流・ガス量・陰極20内の圧力などに応じて、より適切な磁場を加えることができる。
上述した実施形態では、磁場発生部60において、ヨーク63の永久磁石69以外の構成は、鉄製のもとのしたが、磁性体であればとくに限定されず、鋼などとしてもよい。また、永久磁石69は、ネオジム磁石としたが、サマリウムコバルト磁石などとしてもよい。ネオジム磁石はより強い磁場を印加できるため好ましい。一方、原子線発生装置10の温度が300℃以上などの高温となる場合には、キュリー温度が700〜800℃と高いサマリウムコバルト磁石が好ましい。
上述した実施形態では、陽極40や磁場発生部60は、移動可能なものとしたが、固定されていてもよい。
上述した実施形態では、表面改質方法は、原子線発生装置10を用いてウェハの表面を改質するものとしたが、磁場発生部60を省略した原子線発生装置10を用いてもよい。この場合、別途準備した磁石や磁場発生装置等を用いて、陰極20内で生成した陽イオンを放出面22に導くように放出面22に平行な磁場B1,B2を陰極20内に発生させ、その状態で、原子線をウェハに照射してウェハの表面を改質すればよい。
[接合装置]
次に、上述した原子線発生装置10を用いた接合装置200について説明する。図10は、接合装置200の構成の概略を示す断面図である。この接合装置200は、常温接合装置として構成されているものとしてもよい。
次に、上述した原子線発生装置10を用いた接合装置200について説明する。図10は、接合装置200の構成の概略を示す断面図である。この接合装置200は、常温接合装置として構成されているものとしてもよい。
接合装置200は、チャンバー210と、第1載置台220と、第2載置台230と、第1原子線発生装置270と、第2原子線発生装置280と、を備えている。
チャンバー210は、内部を環境から密閉する真空容器である。チャンバー210には排気口212が設けられ、排気口212に真空ポンプ214が接続されており、排気口212を介してチャンバー210の内部の気体が排出される。
第1載置台220は、チャンバー210の底面に配設されている。第1載置台220は、その上面に誘電層を備え、その誘電層とウェハW1との間に電圧を印加し、静電力によってウェハW1をその誘電層に吸着する静電チャックとして構成されている。
第2載置台230は、チャンバー210内の第1載置台220に対向する位置に配設されており、圧接機構234に接続された支持部材232によって、鉛直方向に移動可能に支持されている。圧接機構234の動作によって、第2載置台230は、ウェハW2に原子線を照射するための照射位置から、ウェハW2をウェハW1に押しつけて接合するための接合位置に移動したり、接合位置から照射位置に移動したりする。第2載置台230は、その下面に誘電層を備え、その誘電層とウェハW2との間に電圧を印加し、静電力によってウェハW2をその誘電層に吸着する静電チャックとして構成されている。
第1原子線発生装置270は、上述した原子線発生装置10と同様に構成されている。第1原子線発生装置270は、第1載置台220に載置されたウェハW1に向けて原子線を照射できる位置に配設されている。
第2原子線発生装置280は、上述した原子線発生装置10と同様に構成されている。第2原子線発生装置280は、第2載置台230が照射位置にあるときに、第2載置台230に載置されたウェハW2に向けて原子線を照射できる位置に配設されている。
次に、接合装置200を用いて照射対象材であるウェハW1(第1部材)とウェハW2(第2部材)とを接合する接合方法(接合体の製造方法)について説明する。ここでは、照射する原子がアルゴン原子である場合について説明する。この接合方法は、(a)改質工程、(b)接合工程、を含む。
(a)改質工程
この工程では、まず、ウェハW1を第1載置台220にセットし、ウェハW2を第2載置台230にセットし、チャンバー210の内部を真空雰囲気とする。その際、排気口212からの排気を調整しながら、第1,2原子線発生装置270,280にアルゴンガスを導入し、チャンバー210内及び第1,2原子線発生装置270,280内を所定の圧力にする。チャンバー内の圧力や、第1,2原子線発生装置270,280内の圧力は、上述した表面改質方法と同様とすることができる。
この工程では、まず、ウェハW1を第1載置台220にセットし、ウェハW2を第2載置台230にセットし、チャンバー210の内部を真空雰囲気とする。その際、排気口212からの排気を調整しながら、第1,2原子線発生装置270,280にアルゴンガスを導入し、チャンバー210内及び第1,2原子線発生装置270,280内を所定の圧力にする。チャンバー内の圧力や、第1,2原子線発生装置270,280内の圧力は、上述した表面改質方法と同様とすることができる。
次に、第2載置台230が照射位置にない場合には圧接機構234によって第2載置台を照射位置に移動させる。そして、第1,2原子線発生装置270,280の陰極20と陽極40との間に直流電源を用いて高電圧を印加する。印加する電流や電圧は、上述した表面改質方法と同様とすることができる。こうして、上述した表面改質方法と同様に、第1,2原子線発生装置270,280では、より多くのアルゴン原子を照射することができる。
こうして、第1載置台220に載置されたウェハW1に向けて原子線発生装置270から原子線を照射し、第2載置台230に載置されたウェハW2に向けて原子線発生装置280からアルゴン原子の原子線を照射する。アルゴン原子が照射された面では、ウェハW1,W2の表面に形成された酸化物等が除去されたり、ウェハW1,W2の表面に付着している不純物が除去されたりして、表面が改質され、各々の表面改質体が得られる。
(b)接合工程
この工程では、圧接機構234を動作させて第2載置台230を接合位置まで移動させて、ウェハW1,W2の改質した面同士を重ねあわせる。これにより、第1ウェハW1と第2ウェハW2とが接合され、接合体が製造される。
この工程では、圧接機構234を動作させて第2載置台230を接合位置まで移動させて、ウェハW1,W2の改質した面同士を重ねあわせる。これにより、第1ウェハW1と第2ウェハW2とが接合され、接合体が製造される。
以上説明した接合装置200及びそれを用いた接合方法では、上述した原子線発生装置10や表面改質方法を用いるため、これらと同様の効果が得られる。そして、この接合方法では、第1部材及び第2部材の表面をより短時間で改質できるため、第1部材と第2部材とをより効率よく接合できる。
なお、本発明の接合装置200及びそれを用いた接合方法は、上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、接合装置200は、第1原子線発生装置270と第2原子線発生装置280の2つの原子線発生装置を備えているものとしたが、原子線発生装置を1つだけ備えていてもよい。この場合、例えば、原子線発生装置を移動させたり、第1,2載置台220,230の少なくとも一方を移動させたりして、ウェハW1の表面改質とウェハW2の表面改質とを順次行うようにすればよい。また、原子線発生装置を3つ以上備えていてもよい。複数の原子線発生装置で1枚のウェハの表面改質を行うことで、より短時間で表面改質を行うことができる。複数の原子線発生装置で1枚のウェハの表面改質を行う場合、原子線発生装置毎にウェハ表面の異なる領域を表面改質するものとしてもよい。また、第1原子線発生装置270及び第2原子線発生装置280は、原子線発生装置10と同様に構成されているものとしたが、上述した他の態様の原子線発生装置と同様に構成されているものとしてもよい。
上述した実施形態では、接合方法は、接合装置200を用いてウェハW1とウェハW2とを接合するものとしたが、接合装置200を用いなくてもよい。例えば、改質工程では、磁場発生部60を備えた原子線発生装置270,280を用いてウェハW1,W2の表面を改質するものとしたが、磁場発生部60を省略した原子線発生装置を用いてもよい。この場合、別途準備した磁石や磁場発生装置等を用いて、陰極20内で生成した陽イオンを放出面22に導くように放出面22に平行な磁場B1,B2を陰極20内に発生させ、その状態で、原子線をウェハに照射してウェハの表面を改質すればよい。例えば、接合工程では、圧接機構234を動作させて第2載置台230を接合位置まで移動させて、ウェハW1,W2の改質した面同士を重ねあわせたが、圧接機構234等を用いることなくウェハW1,W2の改質した面同士を重ねあわせてもよい。
以下には、原子線発生装置10を用いてウェハWにアルゴン原子の原子線を照射した例について、実施例として説明する。なお、本発明は、以下の実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
1.磁場を印加しない原子線発生装置との比較
[実施例1]
図9に示すように、原子線発生装置10(図1〜6参照)を用い、チャンバー110内で、ウェハWにアルゴンの原子線を照射し、酸化膜の除去プロファイルを測定した。なお、ウェハWとしては、あらかじめ酸化膜を付与した4インチのSiウェハから1/4を切り出したものを用い、載置台120ではなく床面に載置した。チャンバー内の圧力は1.2Paとした。電極間に印加する電流は100mA、電圧は750mVとし、Ar流量は80sccmとし、Arの照射時間は1時間とした。なお、ここでは、原子線発生装置10や載置台120を固定した状態で処理を行った。ヨーク63は、永久磁石69以外が鉄製で、永久磁石69が450mTのネオジム製であるものとした。この原子線発生装置10で発生する磁場のシミュレーション結果を図11,12に示す。図11は磁力線の様子を示すシミュレーション結果であり、図12は電場の強さを示すシミュレーション結果である。図12では、図の右側に示すように、磁場が10mTを基準として、磁場が強くなるほど、あるいは磁場が弱くなるほど、濃淡が濃く示されている。なお、図12では、左右両端部と、中央部と、中央部の上方及び下方で中央部から離れた部分の磁場が弱く、それ以外の部分の磁場が強い。作用点での磁場の強さをテスラメーターで実測した結果は25〜40mTであった。実施例1では、陽極間隔P及び磁場の印加位置Qは、後述する実施例2と同じとした。
[実施例1]
図9に示すように、原子線発生装置10(図1〜6参照)を用い、チャンバー110内で、ウェハWにアルゴンの原子線を照射し、酸化膜の除去プロファイルを測定した。なお、ウェハWとしては、あらかじめ酸化膜を付与した4インチのSiウェハから1/4を切り出したものを用い、載置台120ではなく床面に載置した。チャンバー内の圧力は1.2Paとした。電極間に印加する電流は100mA、電圧は750mVとし、Ar流量は80sccmとし、Arの照射時間は1時間とした。なお、ここでは、原子線発生装置10や載置台120を固定した状態で処理を行った。ヨーク63は、永久磁石69以外が鉄製で、永久磁石69が450mTのネオジム製であるものとした。この原子線発生装置10で発生する磁場のシミュレーション結果を図11,12に示す。図11は磁力線の様子を示すシミュレーション結果であり、図12は電場の強さを示すシミュレーション結果である。図12では、図の右側に示すように、磁場が10mTを基準として、磁場が強くなるほど、あるいは磁場が弱くなるほど、濃淡が濃く示されている。なお、図12では、左右両端部と、中央部と、中央部の上方及び下方で中央部から離れた部分の磁場が弱く、それ以外の部分の磁場が強い。作用点での磁場の強さをテスラメーターで実測した結果は25〜40mTであった。実施例1では、陽極間隔P及び磁場の印加位置Qは、後述する実施例2と同じとした。
[比較例1]
原子線発生装置10に代えて、磁場を印加しない従来の原子線発生装置を用いた以外は、実施例1と同様とした。なお、実施例1で用いた原子線発生装置では、放出面に平行な面を挟んで2本の陽極が対向するように陽極を配設したが、比較例1で用いた原子線発生装置では、放出面に垂直な面を挟んで2本の陽極が対向するように陽極を配設した。
原子線発生装置10に代えて、磁場を印加しない従来の原子線発生装置を用いた以外は、実施例1と同様とした。なお、実施例1で用いた原子線発生装置では、放出面に平行な面を挟んで2本の陽極が対向するように陽極を配設したが、比較例1で用いた原子線発生装置では、放出面に垂直な面を挟んで2本の陽極が対向するように陽極を配設した。
[実験結果]
図13に、実施例1及び比較例1の実験結果を示す。膜厚分布は、ウェハWの酸化膜の膜厚分布であり、濃淡の濃い部分ほど膜厚が薄く、酸化膜が多く除去されている。また、膜厚グラフは、膜厚分布の図の破線で示された断面でのウェハWの酸化膜の膜厚を示すグラフである。図13より、放出面の面に平行な方向に磁場を印加した実施例1では、磁場を印加していない比較例よりも、多くのアルゴン原子を放出面から放出でき、酸化膜を多く除去できることがわかった。原子線発生装置10では、陰極から放出され、磁場によって放出面に向かう方向に運動方向が変えられた電子e-の電荷に引き寄せられてアルゴンイオンが放出面に向けて移動するため、より多くのアルゴン原子を放出面から放出することができたと推察された。
図13に、実施例1及び比較例1の実験結果を示す。膜厚分布は、ウェハWの酸化膜の膜厚分布であり、濃淡の濃い部分ほど膜厚が薄く、酸化膜が多く除去されている。また、膜厚グラフは、膜厚分布の図の破線で示された断面でのウェハWの酸化膜の膜厚を示すグラフである。図13より、放出面の面に平行な方向に磁場を印加した実施例1では、磁場を印加していない比較例よりも、多くのアルゴン原子を放出面から放出でき、酸化膜を多く除去できることがわかった。原子線発生装置10では、陰極から放出され、磁場によって放出面に向かう方向に運動方向が変えられた電子e-の電荷に引き寄せられてアルゴンイオンが放出面に向けて移動するため、より多くのアルゴン原子を放出面から放出することができたと推察された。
ところで、磁場を印加しない場合には、比較例1のように、一方の陽極側と他方の陽極側とでほぼ対称となるようにプラズマが形成される。一方、実施例1では、放出面寄りにプラズマが形成されている。これは、アルゴンイオンが放出面側に多く存在していることを示していると推察される。例えば、電子e-の運動方向が磁場によって放出面に向かう方向に変化し、その電子にアルゴンイオンが引き寄せられたり、その電子との衝突によりアルゴン原子がイオン化されたりして、放出面側のアルゴンイオン濃度が高まったと推察される。このように、実施例1では、アルゴンイオンが放出面側に多く存在していることにより、多くのアルゴン原子を放出面から放出できると考えられる。なお、実施例1のプラズマの様子の図では、ヨークや陽極支持部に隠れてプラズマの全体が現れていないが、ヨークや陽極支持部のない左右上方などにおいてもプラズマがほとんど見られないことから、プラズマが放出面寄りに形成されているといえる。
2.陽極間隔及び磁場の印加位置の検討
[実施例2〜10]
図9に示すように、原子線発生装置10を用い、チャンバー110内で、載置台120に載置したウェハWにアルゴンの原子線を照射し、酸化膜の除去プロファイルを測定した。ウェハWとしては、あらかじめ酸化膜を付与した3インチのSiウェハを用いた。チャンバー内の圧力は1.2Paとした。電極間に印加する電流は100mAとし、Ar流量は80sccmとし、Arの照射時間は1時間とした。作用点での磁場の強さをテスラメーターで実測した結果は25〜40mTであった。実施例2では、陽極間隔Pを1mm、ヨーク位置Q(磁場の印加位置)を−15mmとした。陽極間隔Pは、陽極同士が最も近づく部分の距離である。ヨーク位置Qは、ヨークの中心の位置であり、陰極の内部空間の中央を基準(0mm)とし、放出面側にあるときをマイナス、放出面の反対側にあるときをプラスとした。
[実施例2〜10]
図9に示すように、原子線発生装置10を用い、チャンバー110内で、載置台120に載置したウェハWにアルゴンの原子線を照射し、酸化膜の除去プロファイルを測定した。ウェハWとしては、あらかじめ酸化膜を付与した3インチのSiウェハを用いた。チャンバー内の圧力は1.2Paとした。電極間に印加する電流は100mAとし、Ar流量は80sccmとし、Arの照射時間は1時間とした。作用点での磁場の強さをテスラメーターで実測した結果は25〜40mTであった。実施例2では、陽極間隔Pを1mm、ヨーク位置Q(磁場の印加位置)を−15mmとした。陽極間隔Pは、陽極同士が最も近づく部分の距離である。ヨーク位置Qは、ヨークの中心の位置であり、陰極の内部空間の中央を基準(0mm)とし、放出面側にあるときをマイナス、放出面の反対側にあるときをプラスとした。
実施例3では、陽極間隔Pを18mmとした以外は実施例2と同様とした。実施例4では、陽極間隔Pを32mmとした以外は、実施例2と同様とした。
実施例5では、ヨーク位置Qを0mmとした以外は、実施例2と同様とした。実施例6では、陽極間隔Pを18mmとした以外は実施例5と同様とした。実施例7では、陽極間隔Pを32mmとした以外は実施例5と同様とした。
実施例8では、ヨーク位置Qを+15mmとした以外は、実施例2と同様とした。実施例9では、陽極間隔Pを18mmとした以外は実施例8と同様とした。実施例10では、陽極間隔Pを32mmとした以外は実施例8と同様とした。
[実験結果]
図14に実施例2〜10の陽極間隔P及びヨーク位置Qの説明図を示し、図15に実施例2〜10のウェハWの処理深さの分布を示し、図16に実施例2〜10のウェハWの処理深さのグラフを示す。なお、図15では、処理深さは、図の右下部に示すように、中央値を50としたときに、中央値よりも浅くなる(0に近づく)ほど、また中央値よりも深くなる(100に近づく)ほど、濃淡が濃く示されている。図15では、ウェハWの中央部に向けて原子線を照射したため、ウェハWの中央部ほど処理深さが深い。また、図16では、右下部に示すX断面及びY断面での処理深さを示したが、両者に大きな違いは見られなかった。
図14に実施例2〜10の陽極間隔P及びヨーク位置Qの説明図を示し、図15に実施例2〜10のウェハWの処理深さの分布を示し、図16に実施例2〜10のウェハWの処理深さのグラフを示す。なお、図15では、処理深さは、図の右下部に示すように、中央値を50としたときに、中央値よりも浅くなる(0に近づく)ほど、また中央値よりも深くなる(100に近づく)ほど、濃淡が濃く示されている。図15では、ウェハWの中央部に向けて原子線を照射したため、ウェハWの中央部ほど処理深さが深い。また、図16では、右下部に示すX断面及びY断面での処理深さを示したが、両者に大きな違いは見られなかった。
図14〜16より、陽極間隔Pやヨーク位置Qによって、処理深さに差が見られることがわかった。実施例2〜10の中では、陽極間隔Pが最も狭くヨーク位置Qが放出面側にある実施例2が、アルゴン原子をより多く放出でき、好ましいことがわかった。また、ヨーク位置Qが放出面側や中央にある実施例2〜7においては、電極間隔Pが近いほど、アルゴン原子をより多く放出でき、好ましいことがわかった。一方、ヨーク位置Qが放出面から離れた位置にある実施例8〜10においては、電極間隔Pが18mm程度である場合に、アルゴン原子をより多く放出でき、好ましいことがわかった。
本出願は、2018年4月26日に出願された日本国特許出願第2018−84961号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、原子線を用いて材料の表面を改質したり、改質した表面同士を接合したりする技術の分野、例えば半導体製造分野などに利用可能である。
10 原子線発生装置、20 陰極、22 放出面、23 照射口、24 ガス導入口、30 ガス管、40 陽極、41 第1陽極、42 第2陽極、43,44 支持部材、45,46 移動部材、47,48 移動軸、50 環状陽極、60 磁場発生部、61 第1磁場発生部、62 第2磁場発生部、63 ヨーク、64 本体、65 肩、66 上腕、67 肘、68 前腕、69 永久磁石、70 C字状部材、71 腕部、72 固定部材、80 プラズマ領域、81 シース領域、82 第1暗部、83 明部、84 第2暗部、85 第3暗部、100 表面改質装置、110 チャンバー、112 排気口、120 載置台、200 接合装置、210 チャンバー、212 排気口、214 真空ポンプ、220 第1載置台、230 第2載置台、232 支持部材、234 圧接機構、270 第1原子線発生装置、280 第2原子線発生装置、B1 第1磁場、B2 第2磁場、P0,P1,P2 仮想平面、W,W1,W2 ウェハ。
Claims (13)
- 原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
第1磁場を発生させる第1磁場発生部と第2磁場を発生させる第2磁場発生部とを有し、前記放出面側から前記第1磁場を前記第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させて、前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導く磁場発生部と、
を備えた、原子線発生装置。 - 前記磁場発生部は、前記放出面側から見たときに前記陽極から離れた位置に前記陽極を挟むように前記第1磁場及び前記第2磁場を発生させる、請求項1に記載の原子線発生装置。
- 前記磁場発生部は、前記陰極の内部空間のうち、前記放出面寄りに配設されている、請求項1又は2に記載の原子線発生装置。
- 前記陽極は、前記放出面に垂直な所定の仮想平面で面対称となるように配設され、
前記磁場発生部は、前記仮想平面を挟むように前記第1磁場及び前記第2磁場を発生させる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の原子線発生装置。 - 前記陽極は、棒状の第1陽極と棒状の第2陽極とを備え、前記第1陽極及び前記第2陽極の軸は前記仮想平面に平行である、
請求項4に記載の原子線発生装置。 - 前記第1陽極及び前記第2陽極は、軸が前記仮想平面上に位置するように配設される、
請求項5に記載の原子線発生装置。 - 前記第1陽極及び前記第2陽極は、軸が前記放出面に平行である、
請求項5又は6に記載の原子線発生装置。 - 前記照射口は、前記仮想平面が横切る位置に設けられている、
請求項4〜7のいずれか1項に記載の原子線発生装置。 - 前記照射口は、前記放出面側から見たときに、前記第1磁場発生部のN極と前記第2磁場発生部のS極とを結ぶ直線と、前記第1磁場発生部のS極と前記第2磁場発生部のN極とを結ぶ直線と、の間に設けられている、請求項4〜8のいずれか1項に記載の原子線発生装置。
- 前記陽極として、前記放出面から離れた位置に配設された棒状の第1陽極と、前記放出面からさらに離れた位置に配設された棒状の第2陽極と、を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の原子線発生装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の原子線発生装置を備えた、接合装置。
- 原子線を放出可能な照射口が設けられた放出面を有する筐体である陰極と、
前記陰極の内部に配設され、前記陰極との間でプラズマを発生させる陽極と、
を備えた原子線発生装置を用い、
前記陰極内で生成した陽イオンを前記放出面に導くように、前記放出面側から第1磁場を第2磁場よりも上にして見たときの磁場の向きが前記第1磁場では左向きで前記第2磁場では右向きとなるように前記放出面に平行な前記第1磁場及び前記第2磁場を前記陰極内に発生させた状態で前記原子線を照射対象材に照射して前記照射対象材の表面を改質する、
表面改質方法。 - 請求項12に記載の表面改質方法を用いて前記照射対象材としての第1部材及び第2部材の表面を改質する改質工程と、
改質した面同士を重ね合わせて前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合工程と、
を含む、接合方法。
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