JPWO2019172218A1 - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

基材(11)と、粘着剤層(12)と、を有し、粘着剤層(12)のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、粘着剤層(12)のひずみ100%応力S[Pa]とし、ひずみ300%応力S[Pa]としたとき、下記数式(数1)で算出される応力上昇率が、25%未満である、ことを特徴とする粘着シート(10)。
応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数1)

Description

本発明は、粘着シートに関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、及び高機能化が進んでいる。電子機器に搭載される半導体装置にも、小型化、薄型化、及び高密度化が求められている。半導体チップは、そのサイズに近いパッケージに実装されることがある。このようなパッケージは、チップスケールパッケージ(Chip Scale Package;CSP)と称されることもある。CSPの一つとして、ウエハレベルパッケージ(Wafer Level Package;WLP)が挙げられる。WLPにおいては、ダイシングにより個片化する前に、ウエハに外部電極などを形成し、最終的にはウエハをダイシングして、個片化する。WLPとしては、ファンイン(Fan−In)型とファンアウト(Fan−Out)型が挙げられる。ファンアウト型のWLP(以下、「FO−WLP」と略記する場合がある。)においては、半導体チップを、チップサイズよりも大きな領域となるように封止部材で覆って半導体チップ封止体を形成し、再配線層や外部電極を、半導体チップの回路面だけでなく封止部材の表面領域においても形成する。
例えば、特許文献1には、半導体ウエハから個片化された複数の半導体チップについて、その回路形成面を残し、モールド部材を用いて周りを囲んで拡張ウエハを形成し、半導体チップ外の領域に再配線パターンを延在させて形成する半導体パッケージの製造方法が記載されている。特許文献1に記載の製造方法において、個片化された複数の半導体チップをモールド部材で囲う前に、エキスパンドシートに貼り替え、エキスパンドシートを展延して複数の半導体チップの間の距離を拡大させている。
国際公開第2010/058646号
上記のようなFO−WLPの製造方法では、半導体チップ外の領域に上述した再配線パターン等を形成するために、エキスパンドシートを拡張させて半導体チップ同士を十分に離間させ、拡張後の半導体チップの位置ずれも抑制したいという課題があった。このような課題は、半導体チップに限らず、その他の被着体においても、同様にあった。
本発明は、複数の被着体の間隔を拡張させ易く、かつ、拡張後における複数の被着体の位置ずれを抑制できる、粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、基材と、粘着剤層と、を有し、前記粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、前記粘着剤層のひずみ100%応力S[Pa]とし、ひずみ300%応力S[Pa]としたとき、下記数式(数1)で算出される応力上昇率が、25%未満である、ことを特徴とする粘着シートが提供される。
応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数1)
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性樹脂を含有することが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記エネルギー線硬化性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体をさらに含み、前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記エネルギー線硬化性樹脂とは異なることが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記(メタ)アクリル系共重合体は、エネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記粘着剤層は、前記エネルギー線硬化性樹脂を、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、10質量部以上、80質量部以下の割合で含有することが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記基材は、熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記基材は、ウレタン系エラストマーを含有することが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、23℃において前記基材のMD方向及びCD方向の引張弾性率が、それぞれ10MPa以上、350MPa以下であり、23℃において前記基材のMD方向及びCD方向の100%応力が、それぞれ3MPa以上、20MPa以下であることが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記粘着シートの復元率が、70%以上、100%以下であることが好ましい。
前記復元率は、前記粘着シートを150mm×15mmに切り出した試験片において、長さ方向の両端を、つかみ具間の長さが100mmとなるようにつかみ具でつかみ、その後、つかみ具間の長さが200mmとなるまで200mm/minの速度で引張り、つかみ具間の長さが200mmに拡張された状態で1分間保持し、その後、つかみ具間の長さが100mmとなるまで200mm/minの速度で長さ方向に戻し、つかみ具間の長さが100mmに戻された状態で1分間保持し、その後、60mm/minの速度で長さ方向に引張り、引張力の測定値が0.1N/15mmを示した時のつかみ具間の長さを測定し、当該長さから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL2(mm)とし、前記拡張された状態におけるつかみ具間の長さ200mmから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL1(mm)としたとき、下記数式(数2)で算出される。
復元率(%)={1−(L2÷L1)}×100 ・・・(数2)
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記基材は、第一の基材面と、前記第一の基材面とは反対側の第二の基材面とを有し、前記第一の基材面には、第一の粘着剤層として前記粘着剤層が設けられ、前記第二の基材面には、第二の粘着剤層が設けられている、ことが好ましい。
本発明の一態様にかかる粘着シートにおいて、前記粘着シートは、半導体加工に用いられる、ことが好ましい。
本発明によれば、複数の被着体の間隔を拡張させ易く、かつ、拡張後における複数の被着体の位置ずれを抑制できる、粘着シートを提供できる。
本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着シートの使用方法の第一態様を説明する断面図である。 実施例で使用した2軸延伸エキスパンド装置を説明する平面図である。 チップ整列性の測定方法を説明するための概略図である。 本発明の別の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
[粘着シート]
本実施形態に係る粘着シートは、基材と、粘着剤層と、を有する。粘着シートの形状は、例えば、テープ状(長尺の形態)、及びラベル状(枚葉の形態)等、あらゆる形状をとり得る。
(粘着剤層のヤング率及び応力上昇率)
本実施形態に係る粘着シートにおいて、粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、粘着剤層のひずみ100%応力S[Pa]とし、ひずみ300%応力S[Pa]としたとき、下記数式(数1)で算出される応力上昇率が、25%未満である。
応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数1)
粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であれば、複数の被着体の間隔を拡張させ易い。すなわち、粘着シートの拡張性が向上する。
粘着剤層のヤング率は、9.5×10[Pa]以下であることが好ましい。
粘着剤層のヤング率は、5.0×10[Pa]以上であることが好ましく、1.0×10[Pa]以上であることがより好ましい。
粘着剤層のヤング率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
粘着剤層の応力上昇率が、25%未満であれば、粘着シートを拡張後、複数の被着体の位置ずれを抑制できる。すなわち、複数の被着体の整列性が向上する。
粘着剤層の応力上昇率は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
粘着剤層の応力上昇率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(基材)
前記基材は、第一の基材面と、第一の基材面とは反対側の第二の基材面とを有することが好ましい。
本実施形態の粘着シートにおいて、本実施形態に係る粘着剤層が、第一の基材面及び第二の基材面の一方の面に設けられていることが好ましく、他方の面には粘着剤層が設けられていないことが好ましい。
基材の材料は、大きく延伸させ易いという観点から、熱可塑性エラストマー、またはゴム系材料であることが好ましく、熱可塑性エラストマーであることがより好ましい。
また、基材の材料としては、大きく延伸させ易いという観点から、ガラス転移温度(Tg)が比較的低い樹脂を使用することが好ましい。このような樹脂のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びアミド系エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、大きく延伸させ易いという観点から、ウレタン系エラストマーを使用することが好ましい。
ウレタン系エラストマーは、一般に、長鎖ポリオール、鎖延長剤、及びジイソシアネートを反応させて得られる。ウレタン系エラストマーは、長鎖ポリオールから誘導される構成単位を有するソフトセグメントと、鎖延長剤とジイソシアネートとの反応から得られるポリウレタン構造を有するハードセグメントとからなる。
ウレタン系エラストマーを、長鎖ポリオールの種類によって分類すると、ポリエステル系ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー、及びポリカーボネート系ポリウレタンエラストマー等に分けられる。ウレタン系エラストマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態では、ウレタン系エラストマーは、大きく延伸させ易いという観点から、ポリエステル系ポリウレタンエラストマーまたはポリエーテル系ポリウレタンエラストマーであることが好ましい。
長鎖ポリオールの例としては、ラクトン系ポリエステルポリオール、及びアジペート系ポリエステルポリオール等のポリエステルポリオール;ポリプロピレン(エチレン)ポリオール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。本実施形態では、長鎖ポリオールは、大きく延伸させ易いという観点から、アジペート系ポリエステルポリオールであることが好ましい。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。本実施形態では、ジイソシアネートは、大きく延伸させ易いという観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートであることが好ましい。
鎖延長剤としては、低分子多価アルコール(例えば、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等)、及び芳香族ジアミン等が挙げられる。これらのうち、大きく延伸させ易いという観点から、1,6−ヘキサンジオールを使用することが好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、ブテン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・ブテン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・ブテン−αオレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−α・オレフィン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、及びスチレン・エチレン・ブチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むエラストマーが挙げられる。オレフィン系エラストマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
オレフィン系エラストマーの密度は、特に限定されない。例えば、オレフィン系エラストマーの密度は、0.860g/cm以上、0.905g/cm未満であることが好ましく、0.862g/cm以上、0.900g/cm未満であることがより好ましく、0.864g/cm以上、0.895g/cm未満であることが特に好ましい。オレフィン系エラストマーの密度が上記範囲を満たすことで、基材は、被着体としての半導体ウエハを粘着シートに貼付する時の凹凸追従性等に優れる。
オレフィン系エラストマーは、このエラストマーを形成するために用いた全単量体のうち、オレフィン系化合物からなる単量体の質量比率(本明細書において「オレフィン含有率」ともいう。)が50質量%以上、100質量%以下であることが好ましい。
オレフィン含有率が過度に低い場合には、オレフィンに由来する構造単位を含むエラストマーとしての性質が現れにくくなり、基材は、柔軟性及びゴム弾性を示し難くなる。
柔軟性及びゴム弾性を安定的に得る観点から、オレフィン含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−共役ジエン共重合体、及びスチレン−オレフィン共重合体等が挙げられる。スチレン−共役ジエン共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体等の未水添スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の水添加物)、及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物)等の水添スチレン−共役ジエン共重合体等を挙げることができる。また、工業的には、スチレン系エラストマーとしては、タフプレン(旭化成株式会社製)、クレイトン(クレイトンポリマージャパン株式会社製)、住友TPE−SB(住友化学株式会社製)、エポフレンド(株式会社ダイセル製)、ラバロン(三菱ケミカル株式会社製)、セプトン(株式会社クラレ製)、及びタフテック(旭化成株式会社製)等の商品名が挙げられる。スチレン系エラストマーは、水素添加物でも未水添物であってもよい。スチレン系エラストマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゴム系材料としては、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム等が挙げられる。ゴム系材料は、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
基材は、上記のような材料(例えば、熱可塑性エラストマー、またはゴム系材料)からなるフィルムが、複数、積層された積層フィルムでもよい。また、基材は、上記のような材料(例えば、熱可塑性エラストマー、またはゴム系材料)からなるフィルムと、その他のフィルムとが積層された積層フィルムでもよい。
基材は、上記の樹脂系材料を主材料とするフィルム内に、添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、及びフィラー等が挙げられる。顔料としては、例えば、二酸化チタン、及びカーボンブラック等が挙げられる。また、フィラーとしては、メラミン樹脂のような有機系材料、ヒュームドシリカのような無機系材料、及びニッケル粒子のような金属系材料が例示される。こうした添加剤の含有量は特に限定されないが、基材が所望の機能を発揮し得る範囲に留めることが好ましい。
基材は、第一の基材面及び第二の基材面の少なくともいずれかに積層される粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、表面処理、またはプライマー処理が施されていてもよい。表面処理としては、酸化法、及び凹凸化法等が挙げられる。プライマー処理としては、基材表面にプライマー層を形成する方法が挙げられる。酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、及び紫外線照射処理等が挙げられる。凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、及び溶射処理法等が挙げられる。
粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤を含有する場合、基材は、エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材は、紫外線に対して透過性を有することが好ましい。エネルギー線として電子線を用いる場合には、基材は、電子線の透過性を有することが好ましい。
基材の厚さは、粘着シートが所望の工程において適切に機能できる限り、限定されない。基材の厚さは、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。また、基材の厚さは、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
また、基材の第一の基材面または第二の基材面の面内方向において2cm間隔で複数箇所の厚さを測定した際の、基材の厚さの標準偏差は、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。当該標準偏差が2μm以下であることで、粘着シートは、精度の高い厚さを有しており、粘着シートを均一に延伸することが可能となる。
23℃において基材のMD方向及びCD方向の引張弾性率が、それぞれ10MPa以上、350MPa以下であり、23℃において基材のMD方向及びCD方向の100%応力が、それぞれ3MPa以上、20MPa以下であることが好ましい。
引張弾性率及び100%応力が上記範囲であることで、粘着シートを大きく延伸することが可能となる。
基材の100%応力は、次のようにして得られる値である。150mm(長さ方向)×15mm(幅方向)の大きさの試験片を基材から切り出す。切り出した試験片の長さ方向の両端を、つかみ具間の長さが100mmとなるようにつかみ具でつかむ。つかみ具で試験片をつかんだ後、速度200mm/minで長さ方向に引張り、つかみ具間の長さが200mmとなったときの引張力の測定値を読み取る。基材の100%応力は、読み取った引張力の測定値を、基材の断面積で除算することで得られる値である。基材の断面積は、幅方向長さ15mm×基材(試験片)の厚みで算出される。当該切り出しは、基材の製造時における流れ方向(MD方向)またはMD方向に直交する方向(CD方向)と、試験片の長さ方向とが一致するように行う。なお、この引張試験において、試験片の厚さは特別に制限されず、試験の対象とする基材の厚さと同じであってよい。
23℃において基材のMD方向及びCD方向の破断伸度が、それぞれ100%以上であることが好ましい。
基材のMD方向及びCD方向の破断伸度が、それぞれ100%以上であることで、破断が生じることなく、粘着シートを大きく延伸することが可能となる。
基材の引張弾性率(MPa)及び基材の破断伸度(%)は、次のようにして測定できる。基材を15mm×140mmに裁断して試験片を得る。当該試験片について、JIS K7161:2014及びJIS K7127:1999に準拠して、23℃における破断伸度及び引張弾性率を測定する。具体的には、上記試験片を、引張試験機(株式会社島津製作所製,製品名「オートグラフAG−IS 500N」)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、破断伸度(%)及び引張弾性率(MPa)を測定する。なお、測定は、基材の製造時の流れ方向(MD)及びこれに直角の方向(CD)の双方で行う。
(粘着剤層)
本実施形態に係る粘着シートにおいて、粘着剤層は、前述したヤング率及び応力上昇率の範囲を満たす限り、特に限定されない。前述したヤング率及び応力上昇率の範囲を満たすように、粘着剤層を構成する材料を、例えば、以下に説明する材料の中から適宜選択して配合することができる。
・エネルギー線硬化性樹脂(a1)
粘着剤層は、エネルギー線硬化性樹脂(a1)を含有することが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、分子内に、エネルギー線硬化性の二重結合を有する。
エネルギー線硬化性樹脂を含有する粘着剤層は、エネルギー線照射により硬化して粘着力が低下する。被着体と粘着シートとを分離したい場合、エネルギー線を粘着剤層に照射することにより、容易に分離できる。
エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましく、紫外線硬化性の(メタ)アクリル系樹脂であることがより好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、エネルギー線の照射を受けると重合硬化する樹脂である。エネルギー線としては、例えば、紫外線、及び電子線等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂(a1)の例としては、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能のモノマー、多官能のモノマー、単官能のオリゴマー、及び多官能のオリゴマー)が挙げられる。エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、及びイソボルニルアクリレート等の環状脂肪族骨格含有アクリレート、並びにポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物が用いられる。エネルギー線硬化性樹脂(a1)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
エネルギー線硬化性樹脂(a1)の分子量は、通常、100以上、30000以下であり、300以上、10000以下程度であることが好ましい。
・(メタ)アクリル系共重合体(b1)
本実施形態に係る粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(b1)をさらに含んでいることが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体は、前述したエネルギー線硬化性樹脂(a1)とは異なる。
(メタ)アクリル系共重合体(b1)は、エネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。すなわち、本実施形態において、粘着剤層は、エネルギー線硬化性樹脂(a1)と、エネルギー線硬化性の(メタ)アクリル系共重合体(b1)とを含有することが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(b1)100質量部に対し、エネルギー線硬化性樹脂(a1)を10質量部以上の割合で含有することが好ましく、20質量部以上の割合で含有することがより好ましく、25質量部以上の割合で含有することがさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(b1)100質量部に対し、エネルギー線硬化性樹脂(a1)を80質量部以下の割合で含有することが好ましく、70質量部以下の割合で含有することがより好ましく、60質量部以下の割合で含有することがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であることが好ましく、15万以上であることがより好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
また、(メタ)アクリル系共重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は、150万以下であることが好ましく、100万以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル系共重合体(b1)は、側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体(b2)(以下「エネルギー線硬化性重合体(b2)」という場合がある。)であることが好ましい。
エネルギー線硬化性重合体(b2)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(b21)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(b22)とを反応させて得られる共重合体であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
アクリル系共重合体(b21)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または(メタ)アクリル酸エステルモノマーの誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
アクリル系共重合体(b21)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、官能基と、を分子内に有するモノマーであることが好ましい。官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、及びエポキシ基等からなる群から選択される少なくともいずれかの官能基であることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、及びシトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、及びn−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アクリル系共重合体(b21)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1以上、20以下であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1以上、18以下であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等がより好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。脂環式構造含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アクリル系共重合体(b21)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、1質量%以上の割合で含有することが好ましく、5質量%以上の割合で含有することがより好ましく、10質量%以上の割合で含有することがさらに好ましい。
また、アクリル系共重合体(b21)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、35質量%以下の割合で含有することが好ましく、30質量%以下の割合で含有することがより好ましく、25質量%以下の割合で含有することがさらに好ましい。
さらに、アクリル系共重合体(b21)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、50質量%以上の割合で含有することが好ましく、60質量%以上の割合で含有することがより好ましく、70質量%以上の割合で含有することがさらに好ましい。
また、アクリル系共重合体(b21)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、99質量%以下の割合で含有することが好ましく、95質量%以下の割合で含有することがより好ましく、90質量%以下の割合で含有することがさらに好ましい。
アクリル系共重合体(b21)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られる。
アクリル系共重合体(b21)は、上述のモノマーの他にも、ジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、及びスチレン等からなる群から選択される少なくともいずれかの構成単位を含有していてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(b21)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(b22)と反応させることにより、エネルギー線硬化性重合体(b2)が得られる。
不飽和基含有化合物(b22)が有する官能基は、アクリル系共重合体(b21)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(b21)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(b22)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(b21)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(b22)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
不飽和基含有化合物(b22)は、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を、1分子中に少なくとも1個含み、1個以上、6個以下含むことが好ましく、1個以上、4個以下含むことがより好ましい。
不飽和基含有化合物(b22)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアナトエチルメタクリレート)、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
不飽和基含有化合物(b22)は、アクリル系共重合体(b21)の官能基含有モノマーのモル数に対して、50モル%以上の割合(付加率)で用いられることが好ましく、60モル%以上の割合で用いられることがより好ましく、70モル%以上の割合で用いられることが更に好ましい。
また、不飽和基含有化合物(b22)は、アクリル系共重合体(b21)の官能基含有モノマーモル数に対して、95モル%以下の割合で用いられることが好ましく、93モル%以下の割合で用いられることがより好ましく、90モル%以下の割合で用いられることがさらに好ましい。
アクリル系共重合体(b21)と不飽和基含有化合物(b22)との反応においては、アクリル系共重合体(b21)が有する官能基と不飽和基含有化合物(b22)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、及び触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(b21)が有する官能基と、不飽和基含有化合物(b22)が有する官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(b21)の側鎖に導入され、エネルギー線硬化性重合体(b2)が得られる。
エネルギー線硬化性重合体(b2)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であることが好ましく、15万以上であることがより好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
また、エネルギー線硬化性重合体(b2)の重量平均分子量(Mw)は、150万以下であることが好ましく、100万以下であることがより好ましい。
・光重合開始剤(C)
粘着剤層が紫外線硬化性の化合物(例えば、紫外線硬化性樹脂)を含有する場合、粘着剤層は、光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
粘着剤層が光重合開始剤(C)を含有することにより、重合硬化時間及び光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。これら光重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、粘着剤層にエネルギー線硬化性樹脂(a1)、及び(メタ)アクリル系共重合体(b1)を配合する場合には、エネルギー線硬化性樹脂(a1)、及び(メタ)アクリル系共重合体(b1)の合計量100質量部に対して0.1質量部以上の量で用いられることが好ましく、0.5質量部以上の量で用いられることがより好ましい。
また、光重合開始剤(C)は、粘着剤層にエネルギー線硬化性樹脂(a1)、及び(メタ)アクリル系共重合体(b1)を配合する場合には、エネルギー線硬化性樹脂(a1)、及び(メタ)アクリル系共重合体(b1)の合計量100質量部に対して10質量部以下の量で用いられることが好ましく、6質量部以下の量で用いられることがより好ましい。
粘着剤層は、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、架橋剤(E)等が挙げられる。
・架橋剤(E)
架橋剤(E)としては、(メタ)アクリル系共重合体(b1)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、及び反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
架橋剤(E)の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(b1)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.03質量部以上であることがより好ましく、0.04質量部以上であることがさらに好ましい。
また、架橋剤(E)の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(b1)100質量部に対して、8質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層の厚さは、特に限定されない。粘着剤層の厚さは、例えば、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、粘着剤層の厚さは、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る粘着シートの復元率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。本実施形態に係る粘着シートの復元率は、100%以下であることが好ましい。復元率が上記範囲であることで、粘着シートを大きく延伸することができる。
前記復元率は、前記粘着シートを150mm(長さ方向)×15mm(幅方向)に切り出した試験片において、長さ方向の両端を、つかみ具間の長さが100mmとなるようにつかみ具でつかみ、その後、つかみ具間の長さが200mmとなるまで200mm/minの速度で引張り、つかみ具間の長さが200mmに拡張された状態で1分間保持し、その後、つかみ具間の長さが100mmとなるまで200mm/minの速度で長さ方向に戻し、つかみ具間の長さが100mmに戻された状態で1分間保持し、その後、60mm/minの速度で長さ方向に引張り、引張力の測定値が0.1N/15mmを示した時のつかみ具間の長さを測定し、当該長さから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL2(mm)とし、前記拡張された状態におけるつかみ具間の長さ200mmから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL1(mm)としたとき、下記数式(数2)で算出される。
復元率(%)={1−(L2÷L1)}×100 ・・・(数2)
復元率が上記範囲である場合、粘着シートは大きく延伸された後においても復元し易いことを意味する。一般に、降伏点を有するシートを降伏点以上に延伸すると、シートは塑性変形を起こし、塑性変形を起こした部分、即ち極端に延伸された部分が偏在した状態となる。そのような状態のシートをさらに延伸すると、上記の極端に延伸された部分から破断が生じたり、破断が生じなくても、エキスパンドが不均一になる。また、ひずみをx軸、伸びをy軸にそれぞれプロットした応力−ひずみ線図において、傾きdx/dyが、正の値から0または負の値に変化する応力値をとらず、明確な降伏点を示さないシートであっても、引張量が大きくなるにつれてシートは塑性変形を起こし、同様に破断が生じたり、エキスパンドが不均一になる。一方、塑性変形ではなく弾性変形が生じる場合には、応力を取り除くことでシートが元の形状に復元し易い。そこで、十分大きい引張量である100%伸長後にどの程度復元するかを表す指標である復元率が、上記範囲であることにより、粘着シートを大きく延伸する際に、フィルムの塑性変形が最小限に抑えられ、破断が生じ難く、且つ均一なエキスパンドが可能となる。
(剥離シート)
本実施形態に係る粘着シートは、その粘着面を被着体(例えば、半導体チップ等)に貼付するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着面に剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートの構成は任意である。剥離シートの例としては、剥離剤等により剥離処理したプラスチックフィルムが例示される。
プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエステルフィルム、及びポリオレフィンフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート等のフィルムが挙げられる。ポリオレフィンフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、又はポリエチレン等のフィルムが挙げられる。
剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、及び長鎖アルキル系等を用いることができる。これら剥離剤の中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
剥離シートの厚さについては、特に限定されない。剥離シートの厚さは、通常、20μm以上、250μm以下である。
(粘着シートの製造方法)
本実施形態に係る粘着シートは、従来の粘着シートと同様に製造できる。
粘着シートの製造方法は、前述の粘着剤層を基材の一の面に積層できれば、特に詳細には限定されない。
粘着シートの製造方法の一例としては、次のような方法が挙げられる。まず、粘着剤層を構成する粘着性組成物、及び所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製する。次に、塗工液を、基材の一の面上に、塗布手段により塗布して塗膜を形成する。塗布手段としては、例えば、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、及びナイフコーター等が挙げられる。次に、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成できる。塗工液は、塗布を行うことが可能であれば、その性状は特に限定されない。塗工液は、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、粘着剤層を形成するための成分を分散質として含有する場合もある。
また、粘着シートの製造方法の別の一例としては、次のような方法が挙げられる。まず、前述の剥離シートの剥離面上に塗工液を塗布して塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて粘着剤層と剥離シートとからなる積層体を形成する。次に、この積層体の粘着剤層における剥離シート側の面と反対側の面に、基材を貼付して、粘着シートと剥離シートとの積層体を得てもよい。この積層体における剥離シートは、工程材料として剥離してもよいし、粘着剤層に被着体(例えば、半導体チップ、及び半導体ウエハ等)が貼付されるまで、粘着剤層を保護していてもよい。
塗工液が架橋剤を含有する場合には、塗膜の乾燥の条件(例えば、温度、及び時間等)を変えることにより、または加熱処理を、別途、行うことにより、塗膜内の(メタ)アクリル系共重合体(b1)と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上述の方法等によって基材に粘着剤層を積層させた後、得られた粘着シートを、例えば、23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
本実施形態に係る粘着シートの厚さは、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、粘着シートの厚さは、400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
[粘着シートの使用方法]
本実施形態に係る粘着シートは、様々な被着体に貼着できるため、本実施形態に係る粘着シートを適用できる被着体は、特に限定されない。例えば、被着体としては、半導体チップ、及び半導体ウエハであることが好ましい。
本実施形態に係る粘着シートは、例えば、半導体加工用に用いることができる。
さらに、本実施形態に係る粘着シートは、片面に貼着された複数の半導体チップの間隔を拡げるために使用することができる。
複数の半導体チップの拡張間隔は、半導体チップのサイズに依存するため、特に制限されない。本実施形態に係る粘着シートは、粘着シートの片面に貼着された複数の半導体チップにおける、隣り合う半導体チップの相互の間隔を、200μm以上拡げるために使用することが好ましい。なお、当該半導体チップの相互の間隔の上限は、特に制限されない。当該半導体チップの相互の間隔の上限は、例えば、6000μmであってもよい。
また、本実施形態に係る粘着シートは、少なくとも2軸延伸によって、粘着シートの片面に積層された複数の半導体チップの間隔を拡げる場合にも使用することができる。この場合、粘着シートは、例えば、互いに直交するX軸及びY軸における、+X軸方向、−X軸方向、+Y軸方向、及び−Y軸方向の4方向に張力を付与して引き延ばされ、より具体的には、基材におけるMD方向及びCD方向にそれぞれ引き延ばされる。
上記のような2軸延伸は、例えば、X軸方向、及びY軸方向に張力を付与する離間装置を使用して行うことができる。ここで、X軸及びY軸は直交するものとし、X軸に平行な方向のうちの1つを+X軸方向、当該+X軸方向に反対の方向を−X軸方向、Y軸に平行な方向のうちの1つを+Y軸方向、当該+Y軸方向に反対の方向を−Y軸方向とする。
上記離間装置は、粘着シートに対して、+X軸方向、−X軸方向、+Y軸方向、及び−Y軸方向の4方向に張力を付与し、この4方向のそれぞれについて、複数の保持手段と、それらに対応する複数の張力付与手段とを備えることが好ましい。各方向における、保持手段及び張力付与手段の数は、粘着シートの大きさにもよるが、例えば、3個以上、10個以下程度であってもよい。
ここで、例えば+X軸方向に張力を付与するために備えられた、複数の保持手段と複数の張力付与手段とを含む群において、それぞれの保持手段は、粘着シートを保持する保持部材を備え、それぞれの張力付与手段は、当該張力付与手段に対応した保持部材を+X軸方向に移動させて粘着シートに張力を付与することが好ましい。そして、複数の張力付与手段は、それぞれ独立に、保持手段を+X軸方向に移動させるように設けられていることが好ましい。また、−X軸方向、+Y軸方向及び−Y軸方向にそれぞれ張力を付与するために備えられた、複数の保持手段と複数の張力付与手段とを含む3つの群においても、同様の構成を有することが好ましい。これにより、上記離間装置は、各方向に直交する方向の領域ごとに、粘着シートに対して異なる大きさの張力を付与することができる。
一般に、4つの保持部材を用いて粘着シートを、+X軸方向、−X軸方向、+Y軸方向及び−Y軸方向の4方向からそれぞれ保持し、当該4方向に延伸する場合、粘着シートにはこれら4方向に加え、これらの合成方向(例えば、+X軸方向と+Y軸方向との合成方向、+Y軸方向と−X軸方向との合成方向、−X軸方向と−Y軸方向との合成方向及び−Y軸方向と+X軸方向との合成方向)にも張力が付与される。その結果、粘着シートの内側領域における半導体チップの間隔と外側領域における半導体チップとの間隔に違いが生じることがある。
しかしながら、上述した離間装置では、+X軸方向、−X軸方向、+Y軸方向及び−Y軸方向のそれぞれの方向において、複数の張力付与手段がそれぞれ独立に粘着シートに張力を付与することができるため、上述したような粘着シートの内側と外側との間隔の違いが解消されるように、粘着シートを延伸することができる。
その結果、半導体チップの間隔を正確に調整することができる。
上記離間装置は、半導体チップの相互間隔を測定する測定手段をさらに備えることが好ましい。ここにおいて、上記張力付与手段は、測定手段の測定結果を基に、複数の保持部材を個別に移動可能に設けられていることが好ましい。上記離間装置が測定手段を備えることにより、上記測定手段による半導体チップの間隔の測定結果に基づいて、当該間隔をさらに調整することが可能となる結果、半導体チップの間隔をより正確に調整することが可能となる。
なお、上記離間装置において、保持手段としては、チャック手段、及び減圧手段が挙げられる。チャック手段としては、例えば、メカチャック、及びチャックシリンダ等が挙げられる。減圧手段としては、例えば、減圧ポンプ、及び真空エジェクタ等が挙げられる。また、上記離間装置において、保持手段としては、接着剤、もしくは磁力等で粘着シートを支持する構成であってもよい。また、チャック手段における保持部材としては、例えば、粘着シートを下から支持する下支持部材と、下支持部材に支持された駆動機器と、駆動機器の出力軸に支持され、駆動機器が駆動することで粘着シートを上から押さえつけることが可能な上支持部材とを備えた構成を有する保持部材を使用することができる。当該駆動機器としては、例えば、電動機器、及びアクチュエータ等が挙げられる。電動機器としては、例えば、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、及び多関節ロボット等が挙げられる。アクチュエータとしては、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ、及びロータリシリンダ等が挙げられる。
また、上記離間装置において、張力付与手段は、駆動機器を備え、当該駆動機器により保持部材を移動させてもよい。張力付与手段が備える駆動機器としては、上述した保持部材が備える駆動機器と同様の駆動機器を使用することができる。例えば、張力付与手段は、駆動機器としての直動モータと、直動モータと保持部材との間に介在する出力軸とを備え、駆動した直動モータが出力軸を介して保持部材を移動させる構成であってよい。
本実施形態に係る粘着シートを用いて半導体チップの間隔を拡げる場合、半導体チップ同士が接触した状態、または半導体チップの間隔が殆ど拡げられていない状態からその間隔を拡げてもよく、あるいは、半導体チップ同士の間隔が既に所定の間隔まで拡げられた状態から、さらにその間隔を拡げてもよい。
半導体チップ同士が接触した状態、または半導体チップの間隔が殆ど拡げられていない状態からその間隔を拡げる場合としては、例えば、ダイシングシート上において半導体ウエハを分割することで複数の半導体チップを得た後、当該ダイシングシートから本実施形態に係る粘着シートに複数の半導体チップを転写し、続いて、当該半導体チップの間隔を拡げることができる。あるいは、本実施形態に係る粘着シート上において半導体ウエハを分割して複数の半導体チップを得た後、当該半導体チップの間隔を拡げることもできる。
半導体チップ同士の間隔が既に所定の間隔まで拡げられた状態から、さらにその間隔を拡げる場合としては、その他の粘着シート、好ましくは本実施形態に係る粘着シート(第一延伸用粘着シート)を用いて半導体チップ同士の間隔を所定の間隔まで拡げた後、当該シート(第一延伸用粘着シート)から本実施形態に係る粘着シート(第二延伸用粘着シート)に半導体チップを転写し、続いて、本実施形態に係る粘着シート(第二延伸用粘着シート)を延伸することで、半導体チップの間隔をさらに拡げることができる。なお、このような半導体チップの転写と粘着シートの延伸は、半導体チップの間隔が所望の距離となるまで複数回繰り返してもよい。
[半導体ウエハレベルパッケージ(FO−WLP)の製造方法]
本実施形態に係る粘着シートは、半導体チップの間隔を比較的大きく離間させることが求められる用途への使用が好ましく、このような用途の例としては、ファンアウト型の半導体ウエハレベルパッケージ(FO−WLP)の製造方法が好ましく挙げられる。このようなFO−WLPの製造方法の例として、以下に説明する第一態様が挙げられる。
(第一態様)
以下、本実施形態に係る粘着シートを使用したFO−WLPの製造方法の第一態様を説明する。なお、この第一態様において、本実施形態に係る粘着シートは、後述する第一の粘着シート10として使用される。
図1Aには、第一の粘着シート10と、第一の粘着シート10に貼着された複数の半導体チップCPが示されている。
第一の粘着シート10は、第一の基材11と、第一の粘着剤層12とを有する。第一の基材11は、本実施形態に係る粘着シートの基材に対応する。第一の粘着剤層12は、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層に対応する。第一の基材11は、第一の基材面11Aと、第一の基材面11Aとは反対側の第二の基材面11Bとを有する。第一の粘着剤層12は、第一の基材面11Aに設けられている。第二の基材面11Bには、粘着剤層が設けられていない。
本実施形態では、第一の粘着シート10がエキスパンドシートとして用いられる。
半導体チップCPは、回路面W1と、回路面W1とは反対側の裏面W3と、を有する。回路面W1には、回路W2が形成されている。
複数の半導体チップCPは、例えば、半導体ウエハをダイシングにより個片化することで形成されることが好ましい。
ダイシングは、ダイシングシート等に貼着された半導体ウエハに対して実施されることが好ましい。ダイシングには、ダイシングソーなどの切断手段が用いられる。
ダイシングは、上述の切断手段を用いる代わりに、半導体ウエハに対してレーザ光を照射して行ってもよい。例えば、レーザ光の照射により、半導体ウエハを完全に分断し、複数の半導体チップに個片化してもよい。
あるいは、レーザ光の照射により半導体ウエハ内部に改質層を形成した後、後述するエキスパンド工程において、粘着シートを引き延ばすことで、半導体ウエハを改質層の位置で破断して、半導体チップCPに個片化してもよい。このようにして半導体チップに個片化する方法をステルスダイシングという場合がある。ステルスダイシングの場合、レーザ光の照射は、例えば、赤外域のレーザ光を、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束されるように照射する。また、これらの方法においては、レーザ光の照射は、半導体ウエハのいずれの側から行ってもよい。
ダイシング後、複数の半導体チップCPは、エキスパンドシートに一括転写されることが好ましい。
本実施形態では、個片化された複数の半導体チップCPは、ダイシングシートから第一の粘着シート10に転写される。複数の半導体チップCPは、その回路面W1を第一の粘着剤層12に向けて貼着されている。
図1Bには、複数の半導体チップCPを保持する第一の粘着シート10を引き延ばす工程(以下「エキスパンド工程」という場合がある。)を説明する図が示されている。
第一の粘着シート10を引き延ばして、複数の半導体チップCP間の間隔を拡げる。また、ステルスダイシングを行った場合には、第一の粘着シート10を引き延ばすことで、半導体ウエハを改質層の位置で破断し、複数の半導体チップCPに個片化するとともに、複数の半導体チップCP間の間隔を拡げることができる。
エキスパンド工程において第一の粘着シート10を引き延ばす方法は、特に限定されない。第一の粘着シート10を引き延ばす方法としては、例えば、環状または円状のエキスパンダを押し当てて第一の粘着シート10を引き延ばす方法、及び把持部材などを用いて第一の粘着シート10の外周部を掴んで引き延ばす方法などが挙げられる。後者の方法としては、例えば、前述した離間装置等を使用して2軸延伸する方法が挙げられる。これらの方法の中でも、半導体チップCP間の間隔をより大きく拡げることが可能となるという観点から、2軸延伸する方法が好ましい。
図1Bに示されているように、エキスパンド後の半導体チップCP間の距離をD1とする。距離D1としては、半導体チップCPのサイズに依存するため、特に制限されない。距離D1としては、例えば、それぞれ独立に、200μm以上、6000μm以下とすることが好ましい。
エキスパンド工程の後、第一の粘着シート10にエネルギー線を照射して、第一の粘着剤層12を硬化させる工程(以下「エネルギー線照射工程」という場合がある。)を実施する。第一の粘着剤層12が紫外線硬化性である場合、エネルギー線照射工程においては、第一の粘着シート10に紫外線を照射する。エキスパンド工程の後に第一の粘着剤層12を硬化させることで、延伸後の第一の粘着シート10の形状保持性が向上する。その結果、第一の粘着剤層12に貼着された複数の半導体チップCPの整列性が維持され易い。
図2Aには、エキスパンド工程の後に、複数の半導体チップCPを第二の粘着シート20に転写する工程(以下「転写工程」という場合がある。)を説明する図が示されている。第一のエキスパンド工程の後に、第一の粘着剤層12を硬化させたので、第一の粘着剤層12の粘着力が低下し、第一の粘着シート10を半導体チップCPから剥離し易くなる。
第一の粘着シート10を引き延ばして複数の半導体チップCPの間隔を拡げて、距離D1とした後、半導体チップCPの裏面W3に第二の粘着シート20を貼着する。ここで、当該第二の粘着シート20として、複数の半導体チップCPを保持できれば特に限定されない。複数の半導体チップCP間の距離D1をさらに拡張させたい場合には、第二の粘着シート20として、エキスパンドシートを用いることが好ましく、本実施形態の粘着シートを用いることがより好ましい。
第二の粘着シート20は、第二の基材21と、第三の粘着剤層22とを有する。
第二の粘着シート20として本実施形態の粘着シートを用いる場合は、第二の基材21は、本実施形態に係る粘着シートの基材に対応し、第三の粘着剤層22は、本実施形態に係る粘着シートの粘着剤層に対応する。
第二の粘着シート20は、複数の半導体チップCPとともに、第二のリングフレームに貼着されていてもよい。この場合、第二の粘着シート20の第三の粘着剤層22の上に、第二のリングフレームを載置し、これを軽く押圧し、固定する。その後、第二のリングフレームの環形状の内側にて露出する第三の粘着剤層22を半導体チップCPの裏面W3に押し当てて、第二の粘着シート20に複数の半導体チップCPを固定する。
図2Bには、第二の粘着シート20の貼着後、第一の粘着シート10を剥離する工程を説明する図が示されている。
第二の粘着シート20を貼着した後、第一の粘着シート10を剥離すると、複数の半導体チップCPの回路面W1が露出する。第一の粘着シート10を剥離した後も、エキスパンド工程において拡張させた複数の半導体チップCP間の距離D1が維持されていることが好ましい。
第二の粘着シート20がエキスパンドシートである場合は、第一の粘着シート10を剥離後、第二の粘着シート20を引き延ばす工程(以下「第二のエキスパンド工程」という場合がある。)を実施してもよい。この場合、第一の粘着シート10を引き延ばすエキスパンド工程のことを、第一のエキスパンド工程と称する場合もある。
第二のエキスパンド工程では、複数の半導体チップCP間の間隔をさらに拡げる。
第二の粘着シート20が本実施形態に係る粘着シートである場合、第三の粘着剤層22のヤング率及び応力上昇率が所定の範囲内であるため、貼着された複数の半導体チップCPの間隔を拡張させ易く、かつ、拡張後における複数の半導体チップCPの位置ずれを抑制できる。
第二のエキスパンド工程において第二の粘着シート20を引き延ばす方法は、特に限定されない。例えば、第二のエキスパンド工程も、第一のエキスパンド工程と同様に実施できる。
なお、第二のエキスパンド工程後の半導体チップCP間の間隔をD2とする。距離D2としては、半導体チップCPのサイズに依存するため、特に制限されないが、距離D2は、距離D1よりも大きい。距離D2としては、例えば、それぞれ独立に、200μm以上、6000μm以下とすることが好ましい。
図2Cには、第二の粘着シート20に貼着されていた複数の半導体チップCPを、第三の粘着シート30に転写する工程(以下「転写工程」という場合がある。)を説明する図が示されている。図2Cには、第二のエキスパンド工程を実施せずに、第二の粘着シート20から第三の粘着シート30に転写した状態が示されている。
第三の粘着シート30は、複数の半導体チップCPを保持できれば特に限定されない。
第二の粘着シート20から第三の粘着シート30に転写された複数の半導体チップCPは、半導体チップCP間の距離D1が維持されていることが好ましい。第二のエキスパンド工程を実施した場合には、半導体チップCP間の距離D2が維持されていることが好ましい。
第一のエキスパンド工程の後、転写工程及びエキスパンド工程を任意の回数繰り返すことで、半導体チップCP間の距離を所望の距離とし、半導体チップCPを封止する際の回路面の向きを所望の向きとすることができる。
第三の粘着シート30上の複数の半導体チップCPを封止したい場合には、第三の粘着シート30として、封止工程用の粘着シートを用いることが好ましく、耐熱性を有する粘着シートを用いることがより好ましい。
第三の粘着シート30は、第三の基材31と、第四の粘着剤層32とを有する。
また、第三の粘着シート30として耐熱性を有する粘着シートを用いる場合は、第三の基材31及び第四の粘着剤層32は、それぞれ、封止工程で課される温度に耐え得る耐熱性を有する材料で形成されていることが好ましい。第三の粘着シート30の別の態様としては、第三の基材、第三の粘着剤層、及び第四の粘着剤層を備えた粘着シートが挙げられる。この粘着シートは、第三の粘着剤層と第四の粘着剤層との間に第三の基材を含み、第三の基材の両面に粘着剤層を有する。
第二の粘着シート20から第三の粘着シート30に転写された複数の半導体チップCPは、回路面W1を第四の粘着剤層32に向けて貼着されている。
図2Dには、封止部材60を用いて複数の半導体チップCPを封止する工程(以下「封止工程」という場合がある。)を説明する図が示されている。
本実施形態において、封止工程は、複数の半導体チップCPが第三の粘着シート30に転写された後に実施される。
封止工程において、回路面W1が第三の粘着シート30に保護された状態で、複数の半導体チップCPを封止部材60によって覆うことにより封止体3が形成される。複数の半導体チップCPの間にも封止部材60が充填されている。第三の粘着シート30により回路面W1及び回路W2が覆われているので、封止部材60で回路面W1が覆われることを防止できる。
封止工程により、所定距離ずつ離間した複数の半導体チップCPが封止部材60に埋め込まれた封止体3が得られる。封止工程においては、複数の半導体チップCPは、エキスパンド工程を実施した後の距離が維持された状態で、封止部材60により覆われることが好ましい。
封止工程の後、第三の粘着シート30を剥離する。半導体チップCPの回路面W1及び封止体3の第三の粘着シート30と接触していた面3Aが露出する。
封止体3から粘着シートを剥離した後、この封止体3に対して、半導体チップCPと電気的に接続する再配線層を形成する再配線層形成工程と、再配線層と外部端子電極とを電気的に接続する接続工程とが順に行われる。再配線層形成工程及び外部端子電極との接続工程によって、半導体チップCPの回路と外部端子電極とが電気的に接続される。
外部端子電極が接続された封止体3を半導体チップCP単位で個片化する。封止体3を個片化させる方法は、特に限定されない。封止体3を個片化することで、半導体チップCP単位の半導体パッケージが製造される。半導体チップCPの領域外にファンアウトさせた外部電極を接続させた半導体パッケージは、ファンアウト型のウエハレベルパッケージ(FO−WLP)として製造される。
本実施形態に係る粘着シートは、貼着された複数の被着体の間隔を拡張させ易く、かつ、拡張後における複数の被着体の位置ずれを抑制できる。そのため、以上説明したような、複数の半導体チップの間隔を大きく拡げ、拡張後における複数の半導体チップの位置ずれを抑制する必要がある用途に好適に使用することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲で、上述の実施形態を変形した態様などを含む。
例えば、半導体ウエハや半導体チップにおける回路等は、図示した配列や形状等に限定されない。半導体パッケージにおける外部端子電極との接続構造等も、前述の実施形態で説明した態様に限定されない。前述の実施形態では、FO−WLPタイプの半導体パッケージを製造する態様を例に挙げて説明したが、本発明は、ファンイン型のWLP等のその他の半導体パッケージを製造する態様にも適用できる。
上述した第一態様に係るFO−WLPの製造方法は、一部の工程を変更したり、一部の工程を省略したりしてもよい。
前記実施形態では、前記実施形態に係る粘着剤層が第一の基材面及び第二の基材面の一方の面に設けられ、他方の面には粘着剤層が設けられていない態様の粘着シートを例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。
例えば、基材の両面に粘着剤層が設けられた粘着シートが挙げられ、少なくとも一方の粘着剤層が、前記実施形態に係る粘着剤層である。
例えば、図5には、粘着シート10Aが示されている。粘着シート10Aは、基材110と、第一の粘着剤層12と、第二の粘着剤層13とを有する。粘着シート10Aは、第一の粘着剤層12と第二の粘着剤層13との間に基材110を含む。
基材110の第一の基材面11Aには、第一の粘着剤層12が設けられ、第二の基材面11Bには、第二の粘着剤層13が設けられている。
基材110は、前記実施形態における第一の基材11と同様である。
第一の粘着剤層12は、前記実施形態に係る粘着シートの粘着剤層に対応し、前述のヤング率及び応力上昇率が所定の範囲を満たす。
第二の粘着剤層13は、特に限定されない。第二の粘着剤層13の粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、第二の粘着剤層13のひずみ100%応力S[Pa]とし、ひずみ300%応力S[Pa]としたとき、下記数式(数5)で算出される応力上昇率が、25%未満であることが好ましい。
応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数5)
第一の粘着剤層12及び第二の粘着剤層13の組成は、同じであっても、異なっていてもよい。
第一の粘着剤層12及び第二の粘着剤層13の厚さは、同じであっても、異なっていてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
(粘着シートの作製)
[実施例1]
ブチルアクリレート(BA)52質量部、メタクリル酸メチル(MMA)20質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)28質量部を共重合してアクリル系共重合体を得た。このアクリル系共重合体に対して、2−イソシアナートエチルメタクリレート(昭和電工株式会社製、製品名「カレンズMOI」(登録商標))を付加した樹脂(アクリルA)の溶液(粘着剤主剤、固形分35.0質量%)を調製した。付加率は、アクリル系共重合体の2HEA100モル%に対して、2−イソシアナートエチルメタクリレートを90モル%とした。
得られた樹脂(アクリルA)の重量平均分子量(Mw)は、60万、Mw/Mnは4.5であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnを測定し、それぞれの測定値から分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
この粘着剤主剤に、UV樹脂A(10官能ウレタンアクリレート、日本合成化学工業株式会社製、製品名「UV−5806」、Mw=1740、光重合開始剤を含む。)、及び架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名「コロネートL」)を添加した。粘着剤主剤中の固形分100質量部に対して、UV樹脂Aを50質量部添加し、架橋剤を0.2質量部添加した。添加後、30分間攪拌して、粘着剤組成物A1を調製した。
次いで、調製した粘着剤組成物A1の溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)系剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、厚さ40μmの粘着剤層を剥離フィルム上に形成した。
当該粘着剤層に、基材としてのポリエステル系ポリウレタンエラストマーシート(シーダム株式会社製,製品名「ハイグレスDUS202」,厚さ100μm)を貼り合わせた後、幅方向における端部の不要部分を裁断除去して粘着シートSA1を作製した。
[実施例2]
実施例1に係る樹脂(アクリルA)の溶液(粘着剤主剤、固形分35.0質量%)に、UV樹脂B(3官能ウレタンアクリレート、大日精化工業株式会社製、製品名「EXL810TL」、Mw=5000、光重合開始剤を含む。)、及び架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名「コロネートL」)を添加した。粘着剤主剤中の固形分100質量部に対して、UV樹脂Bを50質量部添加し、架橋剤を0.2質量部添加した。添加後、30分間攪拌して、粘着剤組成物A2を調製した。
以降、粘着剤組成物A2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る粘着シートSA2を作製した。
[比較例1]
実施例1に係る樹脂(アクリルA)の溶液(粘着剤主剤、固形分35.0質量%)に、架橋剤としてトリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名「コロネートL」)を添加した。粘着剤主剤中の固形分100質量部に対して、架橋剤を0.2質量部添加した。添加後、30分間攪拌して、粘着剤組成物A3を調製した。
以降、粘着剤組成物A3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る粘着シートSA3を作製した。
[比較例2]
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)20質量部を共重合してアクリル系共重合体を得た。このアクリル系共重合体に対して、2−イソシアナートエチルメタクリレート(製品名「カレンズMOI」(登録商標)、昭和電工株式会社製)を2HEA100モル%に対して付加率が80モル%となるように付加した樹脂(アクリルB)の溶液(粘着剤主剤、固形分35.0質量%)を調製した。得られた樹脂(アクリルB)の重量平均分子量(Mw)は、45万、Mw/Mnは4.2であった。
比較例2に係る樹脂(アクリルB)の溶液(粘着剤主剤、固形分35.0質量%)に、架橋剤としてトリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名「コロネートL」)を添加した。粘着剤主剤中の固形分100質量部に対して、架橋剤を0.2質量部添加した。添加後、30分間攪拌して、粘着剤組成物A4を調製した。
以降、粘着剤組成物A4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る粘着シートSA4を作製した。
(ヤング率の測定方法)
剥離フィルム(リンテック株式会社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の剥離処理面にナイフコーターを用いて、実施例1及び2、並びに比較例1及び2で調製した粘着剤組成物を塗布した。剥離フィルムは、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面に剥離処理面を有し、この剥離処理面は、当該フィルムの片面にシリコーン処理により剥離処理が施された面である。
塗布した粘着剤組成物を120℃で乾燥させ、厚さが40μmの粘着剤層を得た。得られた粘着剤層の露出面には、さらに上記と同じ剥離フィルムを、その剥離処理面に粘着剤層を接触させて貼り合わせ、粘着剤層の両面に前記剥離フィルムが設けられた積層体を得た。
この積層体を複数、作製し、一方の剥離フィルムを剥離して厚さ40μmの粘着剤層を露出させ、露出させた粘着剤層に、さらに別の露出させた40μmの粘着剤層を積層させ、厚さ80μmの粘着剤層を形成した。
このような積層を繰り返して、厚さ200μmの粘着剤層を有する積層体を得た。
厚さ200μmの粘着剤層を幅15mm、長さ70mmに切断して試験片を得た。JIS K7161:2014及びJIS K7127:1999に準拠して、万能試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAG−IS500N」)を用いて引張試験を行った。引張試験において、つかみ具間の距離を50mmとなるように試験片を固定し、引張速度50mm/分で行った。
そして、このときの応力ひずみ曲線を作成して、試験初期の応力ひずみ曲線の傾きからヤング率を算出した。
(応力上昇率の測定方法)
上記引張試験で得られた粘着剤層の応力ひずみ曲線におけるひずみ100%応力S[Pa]、及びひずみ300%応力S[Pa]から応力上昇率を算出した。応力上昇率の算出は、下記数式(数1)で算出した。
応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数1)
(チップ間隔の測定方法)
実施例1及び2、並びに比較例1及び2で得られた粘着シートを210mm×210mmに切断し試験用シートを得た。このとき、裁断後のシートの各辺が、粘着シートにおける基材のMD方向と平行または垂直となるように裁断した。
6インチシリコンウエハをダイシングして、3mm×3mmのサイズのチップがX軸方向に5列、及びY軸方向に5列となるように、計25個のチップを切り出した。
試験用シートの剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層の中心部に、上述の通り切り出した計25個のチップを貼付した。このとき、チップがX軸方向に5列、及びY軸方向に5列で並んでいた。
次に、チップが貼付された試験用シートを、2軸延伸可能なエキスパンド装置(離間装置)に設置した。図3には、当該エキスパンド装置100を説明する平面図が示される。図3中、X軸及びY軸は、互いに直交する関係にあり、当該X軸の正の方向を+X軸方向、当該X軸の負の方向を−X軸方向、当該Y軸の正の方向を+Y軸方向、当該Y軸の負の方向を−Y軸方向とする。試験用シート200は、各辺がX軸またはY軸と平行となるように、エキスパンド装置100に設置した。その結果、試験用シート200における基材のMD方向は、X軸またはY軸と平行となる。なお、図3中、チップは省略されている。
図3に示されるように、エキスパンド装置100は、+X軸方向、−X軸方向、+Y軸方向及び−Y軸方向のそれぞれに5つの保持手段101(計20個の保持手段101)を備える。各方向における5つの保持手段101のうち、保持手段101Aは、両端に位置し、保持手段101Cは、中央に位置し、保持手段101Bは、保持手段101Aと保持手段101Cとの間に位置する。試験用シート200の各辺を、これらの保持手段101によって把持させた。
ここで、図3に示されるように、試験用シート200の一辺は210mmである。また、各辺における保持手段101同士の間隔は40mmである。また、試験用シート200の一辺における端部(シートの頂点)と、当該辺に存在し、当該端部に最も近い保持手段101Aとの間隔は25mmである。
続いて、保持手段101のそれぞれに対応する、図示されていない複数の張力付与手段を駆動させて、保持手段101をそれぞれ独立に移動させた。試験用シートの四辺をつかみ治具で固定し、X軸方向、及びY軸方向にそれぞれ5mm/sの速度で、200mmの拡張量で試験用シートをエキスパンドした。その後、リングフレームにより試験用シート200の拡張状態を保持した。
拡張状態を保持した状態で、各チップ間の距離をデジタル顕微鏡で測定し、各チップ間の距離の平均値をチップ間隔とした。
チップ間隔が1800μm以上であれば合格「A」と判定し、チップ間隔が1800μm未満であれば不合格「B」と判定した。
(チップ整列性の測定方法)
上記チップ間隔を測定したワークのX軸及びY軸方向の隣り合うチップの中心線からのズレ率を測定した。
図4に具体的な測定方法の概略図を示す。
X軸方向に5個のチップが並んだ一つの列を選び、当該列の中で、チップの最上端と、チップの最下端との距離Dyをデジタル顕微鏡で測定した。Y軸方向のズレ率は、下記数式(数3)に基づいて算出した。Syは、Y軸方向のチップサイズであり、本実施例では、3mmとした。
Y軸方向のズレ率[%]=[(Dy−Sy)/2]/Sy×100 ・・・(数3)
X軸方向に5個のチップが並んだその他の4列についても、同様にしてY軸方向のズレ率を算出した。
Y軸方向に5個のチップが並んだ一つの列を選び、当該列の中で、チップの最左端と、チップの最右端との距離Dxをデジタル顕微鏡で測定した。X軸方向のズレ率は、下記数式(数4)に基づいて算出した。Sxは、X軸方向のチップサイズであり、本実施例では、3mmとした。
X軸方向のズレ率[%]=[(Dx−Sx)/2]/Sx×100 ・・・(数4)
Y軸方向に5個のチップが並んだその他の4列についても、同様にしてX軸方向のズレ率を算出した。
数式(数3)及び(数4)において、2で除するのは、拡張後におけるチップの所定位置からずれた最大距離を絶対値にて表現するためである。
X軸方向及びY軸方向のすべての列(計10列)において、ズレ率が±10%未満の場合を合格「A」と判定し、1つ以上の列において±10%以上であれば不合格「B」と判定した。
作製した粘着剤層及び粘着シートの評価結果を表1に示す。
Figure 2019172218
表1に示すように、実施例1及び実施例2においては、粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、かつ、応力上昇率が、25%未満であったため、粘着シートの拡張性及び整列性に優れていた。
10…第一の粘着シート、11…第一の基材、12…第一の粘着剤層、13…第二の粘着剤層、110…基材。

Claims (13)

  1. 基材と、粘着剤層と、を有し、
    前記粘着剤層のヤング率が、1.0×10[Pa]未満であり、
    前記粘着剤層のひずみ100%応力S[Pa]とし、ひずみ300%応力S[Pa]としたとき、下記数式(数1)で算出される応力上昇率が、25%未満である、
    ことを特徴とする粘着シート。
    応力上昇率[%]={(S−S)/S}×100 ・・・(数1)
  2. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性樹脂を含有する、
    ことを特徴とする粘着シート。
  3. 請求項2に記載の粘着シートにおいて、
    前記エネルギー線硬化性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂である、
    ことを特徴とする粘着シート。
  4. 請求項2または請求項3に記載の粘着シートにおいて、
    前記エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂である、
    ことを特徴とする粘着シート。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体をさらに含み、
    前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記エネルギー線硬化性樹脂とは異なる、
    ことを特徴とする粘着シート。
  6. 請求項5に記載の粘着シートにおいて、
    前記(メタ)アクリル系共重合体は、エネルギー線硬化性の炭素−炭素二重結合を有する、
    ことを特徴とする粘着シート。
  7. 請求項5または請求項6に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層は、前記エネルギー線硬化性樹脂を、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、10質量部以上、80質量部以下の割合で含有する、
    ことを特徴とする粘着シート。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    前記基材は、熱可塑性エラストマーを含有する、
    ことを特徴とする粘着シート。
  9. 請求項8に記載の粘着シートにおいて、
    前記基材は、ウレタン系エラストマーを含有する、
    ことを特徴とする粘着シート。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    23℃において前記基材のMD方向及びCD方向の引張弾性率が、それぞれ10MPa以上、350MPa以下であり、
    23℃において前記基材のMD方向及びCD方向の100%応力が、それぞれ3MPa以上、20MPa以下である、
    ことを特徴とする粘着シート。
  11. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着シートの復元率が、70%以上、100%以下であり、
    前記復元率は、前記粘着シートを150mm×15mmに切り出した試験片において、長さ方向の両端を、つかみ具間の長さが100mmとなるようにつかみ具でつかみ、その後、つかみ具間の長さが200mmとなるまで200mm/minの速度で引張り、つかみ具間の長さが200mmに拡張された状態で1分間保持し、その後、つかみ具間の長さが100mmとなるまで200mm/minの速度で長さ方向に戻し、つかみ具間の長さが100mmに戻された状態で1分間保持し、その後、60mm/minの速度で長さ方向に引張り、引張力の測定値が0.1N/15mmを示した時のつかみ具間の長さを測定し、当該長さから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL2(mm)とし、前記拡張された状態におけるつかみ具間の長さ200mmから初期のつかみ具間の長さ100mmを引いた長さをL1(mm)としたとき、下記数式(数2)で算出される、
    ことを特徴とする粘着シート。
    復元率(%)={1−(L2÷L1)}×100 ・・・(数2)
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    前記基材は、第一の基材面と、前記第一の基材面とは反対側の第二の基材面とを有し、
    前記第一の基材面には、第一の粘着剤層として前記粘着剤層が設けられ、
    前記第二の基材面には、第二の粘着剤層が設けられている、
    ことを特徴とする粘着シート。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着シートは、半導体加工に用いられる、
    ことを特徴とする粘着シート。
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