JPWO2019171915A1 - 熱電材料素子、発電装置、光センサおよび熱電材料の製造方法 - Google Patents

熱電材料素子、発電装置、光センサおよび熱電材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

熱電材料素子は、動作時において第一の結晶相および第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む熱電材料からなる熱電材料部と、熱電材料部に接触して配置される第一電極と、熱電材料部に接触し、第一電極と離れて配置される第二電極とを備える。熱電材料部は、動作時において、第一の温度を有する第一温度領域と、第一温度領域よりも低い第二の温度を有する第二温度領域とを含む。第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。

Description

本開示は、熱電材料素子、発電装置、光センサおよび熱電材料の製造方法に関するものである。本出願は、2018年3月8日に出願した日本特許出願である特願2018−042280号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
近年、石油などの化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして、再生可能なエネルギーが注目されている。再生可能なエネルギーには、太陽光、水力および風力を利用した発電のほか、温度差を利用した熱電変換による発電が含まれる。熱電変換においては、熱が電気へと直接変換されるため、変換の際に余分な廃棄物が排出されない。また、熱電変換は、モータなどの駆動部を必要としないため、装置のメンテナンスが容易であるなどの特長がある。
熱電変換を実施するための材料(熱電変換材料)を用いた温度差(熱エネルギー)の電気エネルギーへの変換効率ηは以下の式(1)で与えられる。
η=ΔT/T・(M−1)/(M+T/T)・・・(1)
ここで、ηは変換効率、ΔT=T−T、Tは高温側の温度、Tは低温側の温度、M=(1+ZT)1/2、ZT=αST/κ、ZTは無次元性能指数、αはゼーベック係数、Sは導電率、κは熱伝導率である。このように、変換効率はZTの単調増加関数である。ZTを増大させることが、熱電変換材料の開発において重要である。
ここで、熱電材料としてSi、Ge、Auを積層した後のアニールにより、SiGe(シリコンゲルマニウム)ナノ粒子を形成する技術が報告されている(例えば、非特許文献1)。
Japanese Journal of Applied Physics 50 (2011) 041301
本開示に従った熱電材料素子は、動作時において第一の結晶相および第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む熱電材料からなる熱電材料部と、熱電材料部に接触して配置される第一電極と、熱電材料部に接触し、第一電極と離れて配置される第二電極とを備える。熱電材料部は、動作時において、第一の温度を有する第一温度領域と、第一温度領域よりも低い第二の温度を有する第二温度領域と、を含む。第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。
図1は、本願の一実施形態に係る熱電材料素子の構造のある例を示す概略断面図である。 図2は、本願の一実施形態に係る熱電材料素子の構造の別の例を示す概略断面図である。 図3は、熱電材料部のゼーベック係数を測定する際の構成を示す概略図である。 図4は、熱電材料部のゼーベック係数と温度との関係を示すグラフである。 図5は、抵抗率と温度との関係を示すグラフである。 図6は、熱伝導率と温度との関係を示すグラフである。 図7は、熱電材料部のゼーベック係数と温度との関係を示すグラフである。 図8は、図3に示す熱電材料部におけるキャリアの拡散状態を概念的に示す図である。 図9は、第一のヒータと第二のヒータとの配置を異ならせた状態を示す図である。 図10は、熱電材料の製造方法における代表的な工程を示すフローチャートである。 図11は、本願の他の実施の形態に係る発電モジュールの構造の一例を示す図である。 図12は、赤外線センサを平面的に見た図である。 図13は、図12中のXIII−XIIIで示す領域を切断した場合の断面図である。 図14は、赤外線センサを構成する熱電材料部と金属線との接触部分の断面を拡大して示す拡大断面図である。
[本開示が解決しようとする課題]
昨今、温度差を利用した熱電変換において、熱電変換の効率のさらなる向上が求められている。上記した非特許文献1に開示の技術では、このような要求に十分に応えることはできない。
そこで、本開示は、熱電変換の効率を向上させた熱電材料素子を提供することを目的の1つとする。
[本開示の効果]
上記熱電材料素子によれば、熱電変換の効率を向上させることができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本願の熱電材料素子は、動作時において第一の結晶相および第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む熱電材料からなる熱電材料部と、熱電材料部に接触して配置される第一電極と、熱電材料部に接触し、第一電極と離れて配置される第二電極とを備える。熱電材料部は、動作時において、第一の温度を有する第一温度領域と、第一温度領域よりも低い第二の温度を有する第二温度領域と、を含む。第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。
本願の熱電材料素子は、熱電材料部に接触して配置される第一電極と、熱電材料部に接触し、第一電極と離れて配置される第二電極とを備える。このような構成により、第一電極および第二電極を利用して熱電材料部により温度差、すなわち、熱エネルギーを変換して得られた電気エネルギーを出力することができる。
ここで、本願発明者らは、熱電材料素子における熱電変換の効率を向上させるべく、熱電材料素子を構成する熱電材料に着目し、無次元性能指数であるZTを高めるべく鋭意検討した。そして、熱電材料について、動作時において第一の結晶相および第二の結晶相を含む構成とし、結晶構造の遷移、すなわち、結晶の相変態中にゼーベック係数が高くなることに着目した。そして、本願の熱電材料素子を得るに至った。
すなわち、本願の熱電材料素子によると、熱電材料部は、動作時において第一の温度を有する第一温度領域と、第一温度領域よりも低い第二の温度を有する第二温度領域とを含む。そして、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。こうすることにより、動作時に結晶を相変態させ、結晶の相変態中における高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を上げることができる。したがって、このような熱電材料素子は、熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、第一温度領域は、最も温度の高い最高温度部を含み、第二温度領域は、最も温度の低い最低温度部を含み、最高温度部から最低温度部に近づくにつれ、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、少なくなることとしてもよい。このように構成することにより、相変態が行われる領域を広く確保して、より確実に高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子では、動作時において、第一電極と熱電材料部とが接触する領域から第二電極と熱電材料部とが接触する領域へ向かう方向に対して、最高温度部から最低温度部へ向かう方向が傾斜していてもよい。こうすることにより、複数の結晶相を共存させる領域を広く確保することが容易となり、高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、熱電材料部を構成する化合物について、第一の結晶相に含まれるカチオン原子の割合と第二の結晶相に含まれるカチオン原子の割合とは、異なっていてもよい。こうすることにより、第一電極と第二電極との間に発生する電圧が高くなり、熱電変換の効率を向上させることができる。カチオン原子の割合は、第二の結晶相の方が第一の結晶相よりも大きくてもよい。カチオン原子としては、例えば、Cu、Sn、Agが挙げられる。
上記熱電変換材料において、動作時における第二の結晶相のキャリア濃度は、動作前の第二の結晶相のキャリア濃度よりも低いことが好ましい。相変態によって、異なる二相が共存することで化学ポテンシャル(フェルミ準位)が異なり、第二の結晶相から第一の結晶相へキャリアが拡散する。これによって、相変態時、つまり動作時における第二の結晶相のキャリア濃度は、相変態前、つまり動作前における第二の結晶相のキャリア濃度よりも低くなる。これによって、高いゼーベック係数を得ることができる。動作前とは、例えば室温時(25℃)である。
上記熱電材料素子において、熱電材料部の表面の少なくとも一部は、減圧下に曝されているよう構成してもよい。このような構成によれば、熱電材料部における熱伝導を抑制することができ、熱電材料における温度差の形成を容易にすることができる。また、熱電材料を構成する構成元素が離脱しやすくなり、空孔の生成が容易となる。これにより、高いゼーベック係数を利用して、熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、熱電材料部の表面の少なくとも一部は、10Pa未満の気圧下に曝されていてもよい。このような熱電材料素子は、より確実に高いゼーベック係数を利用して、熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子では、動作時において、第一電極と熱電材料部とが接触する領域と、第二電極と熱電材料部とが接触する領域との温度差は、2K未満であることが好ましい。こうすることにより、第一電極と熱電材料部とが接触する領域と、第二電極と熱電材料部とが接触する領域との温度勾配を小さくして、複数の結晶相の共存をより容易にすることができる。したがって、より高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上することができる。なお、上記温度差は、1K以下であることがさらに好ましい。
上記熱電材料素子において、熱電材料部は、カルコゲン化物で構成されていてもよい。このような材料を用いて相変態を生じさせて、高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる。また、熱伝導率が低いため、熱電変換の効率をより向上させることができる。さらにこのような材料は、減圧下において空孔が生成しやすいため、より高いゼーベック係数を利用して、熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、熱電材料部は、CuSe、SnSe、AgSe、AgTe、またはCuSe、SnSe、AgSe、AgTeのいずれかに遷移金属元素を添加した化合物から構成されるから構成されてもよい。このような材料は、相変態を利用することが可能であり、また熱伝導率が低いので、より確実に熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、熱電材料部は、CuSeにNi、Ti、またはZrを添加した化合物であってもよい。また、熱電材料部は、SnSeにSc、Ti、またはZrを添加した化合物であってもよい。このような構成の熱電材料であれば、より確実に熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、熱電材料部は、CuSeから構成されており、動作時の温度は、50℃から130℃の範囲内であってもよい。また、上記熱電材料素子において、熱電材料部は、SnSeから構成されており、動作時の温度は、130℃から530℃の範囲内であってもよい。このような熱電材料素子は、より確実に熱電変換の効率を向上させることができる。
上記熱電材料素子において、第一の結晶相は、立方晶または直方晶であってもよい。このような構成によると、第一温度領域に含まれる割合の多い第一の結晶相を対称性が高い立方晶または直方晶として、より熱電変換の効率を向上させることができる。
本願の発電装置は、上記した熱電材料素子を含む。本願の発電装置によれば、熱電変換の効率に優れた発電装置を得ることができる。
本願の光センサは、上記した熱電材料素子を含む。本願の光センサによれば、熱電変換の効率を向上させた上記熱電材料素子が採用される。その結果、本願の光センサを、高感度とすることができる。
本願の熱電材料の製造方法は、カルコゲン化物の原料となる粉末を固めて圧粉体を得る工程と、圧粉体の一部を加熱して結晶化させる工程と、圧粉体の一部を結晶化させた後に加熱を停止し、結晶化の進行に伴う圧粉体の自己発熱により圧粉体の残部を結晶化させる工程とを備える。このような構成の熱電材料の製造方法によれば、高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる熱電材料素子を、より確実に製造することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態に係る熱電材料素子を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
本願に係る熱電材料素子の一実施の形態である実施の形態1を、図1および図2を参照しつつ説明する。なお、理解の容易の観点から、図1および図2において断面を示すハッチングを一部省略している。
本願の一実施形態に係る熱電材料素子の構造のある例を示す概略断面図である図1を参照して、本願の一実施形態に係る熱電材料素子11は、いわゆるI型(ユニレグ)熱電材料素子11である。I型熱電材料素子11は、熱電材料部12と、金属線13と、高温側電極14と、第一低温側電極15と、第二低温側電極16と、配線17とを備える。熱電材料部12は、図1に示す断面において矩形状であり、矢印Aで示す方向が矢印Aで示す方向よりも長く構成されている。
熱電材料部12としては、例えば、カルコゲナイト系材料であるカルコゲン化物が用いられる。具体的には、熱電材料部12は、例えば、CuSe、SnSe、AgSe、AgTe、またはCuSe、SnSe、AgSe、AgTeのいずれかに遷移金属元素を添加した化合物から構成される。より具体的には、熱電材料部12は、CuSeにNi、Ti、またはZrを添加した化合物である。さらに具体的には、熱電材料部12は、CuSeにNiを添加した化合物から構成される。なお、熱電材料部12は、SnSeにSc、Ti、またはZrを添加した化合物から構成されていてもよい。
金属線13の材質は、例えばBi、コンスタンタン、またはAlである。金属線13は、導電性であれば良く、好ましくは熱伝導率が低い方が良い。
熱電材料部12を構成する熱電材料は、動作時において第一の結晶相および第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む。ここで、動作時について、具体的には、I型熱電材料素子11を動作させる際に所定の温度まで加熱する場合には、所定の温度まで加熱された時に熱電材料部12を構成する熱電材料は第一の結晶相と第二の結晶相とを含むことをいう。熱電材料部12がCuSeから構成される場合、例えば、動作時の温度範囲は、50℃から130℃の範囲内である。第一の結晶相は、例えば立方晶である。第二の結晶相は、例えば単斜晶である。
熱電材料部12と金属線13とは、間隔をおいて並べて配置される。第一電極としての高温側電極14は、熱電材料部12の一方の端部21から金属線13の一方の端部22まで延在するように配置される。高温側電極14は、熱電材料部12の一方の端部21および金属線13の一方の端部22の両方に接触するように配置される。高温側電極14は、熱電材料部12の一方の端部21と金属線13の一方の端部22とを接続するように配置される。なお、熱電材料部12の一方の端部21の一部、具体的には、金属線13が配置されていない側の端部21の一部(すなわち端部21における金属線13からより遠い側の一部)は、露出している。高温側電極14は、導電材料、例えば金属からなっている。高温側電極14は、熱電材料部12および金属線13にオーミック接触している。
第二電極としての第一低温側電極15は、熱電材料部12の他方の端部23に接触して配置されている。第一低温側電極15は、高温側電極14と離れて配置される。なお、熱電材料部12の他方の端部23の一部、具体的には、金属線13が配置されている側の端部23の一部(すなわち端部23における金属線13からより近い側の一部)は、露出している。第一低温側電極15は、導電材料、例えば金属からなっている。第一低温側電極15は、熱電材料部12にオーミック接触している。
また、本願の一実施形態に係る熱電材料素子の構造の別の例を示す概略断面図である図2を参照して、本願の一実施形態に係る熱電材料素子11において、熱電材料部12の高温側電極14または第一低温側電極15と接していない表面の少なくとも一部(すなわち一部または全部)は、高温側電極14および第一低温側電極15に比べて熱伝導率の低い被覆材料19で覆われていてもよい。被覆材料19は、熱電材料部12を被覆しかつ高温側電極14および第一低温側電極15に比べて熱伝導率の低い材料であれば特に制限はなく、シリカガラス、ジルコニア、エポキシ樹脂などが用いられる。
同じく第二電極としての第二低温側電極16は、金属線13の他方の端部24に接触して配置される。第二低温側電極16は、高温側電極14および第一低温側電極15と離れて配置される。第二低温側電極16は、導電材料、例えば金属からなっている。第二低温側電極16は、金属線13にオーミック接触している。
配線17は、金属などの導電体からなる。配線17は負荷(抵抗)を介して、第一低温側電極15と第二低温側電極16とを電気的に接続する。
ここで、熱電材料部12は、動作時において第一の温度を有する第一温度領域18aと、第一温度領域18aよりも低い第二の温度を有する第二温度領域18bとを含む。第一温度領域18aは、高温側電極14側に配置される。第二温度領域18bは、第一低温側電極15側に配置される。なお、第一温度領域18aにおいて、高温側電極14と接触する端部21のうち、最も金属線13に近い部分が最も温度の高い部分となる。すなわち、第一温度領域18aは、最も温度の高い最高温度部25bを含む。また、第二温度領域18bにおいて、第一低温側電極15と接触する端部23のうち、最も金属線13から遠い部分が最も温度の低い部分となる。すなわち、第二温度領域18bは、最も温度の低い最低温度部25cを含む。なお、第一温度領域18aと第二温度領域18bのおおよその境界25aを、破線で示している。また、最高温度部25bから最低温度部25cに向かう線を一点鎖線で示している。熱電材料部12に形成される温度分布は、例えばサーモビュア(日本アビオニクス株式会社製:Thermo Tracer TH9100WB)で観測することができる。
また、動作時において、第一電極である高温側電極14と熱電材料部12とが接触する領域である端部21から第二電極である第一低温側電極15と熱電材料部12とが接触する領域である端部23へ向かう方向に対して、最高温度部25bから最低温度部25cへ向かう方向が傾斜している。この場合、最高温度部25bから最低温度部25cへ向かう方向は、矢印Aで示される。なお、端部21から端部23へ向かう方向については、端部21および端部23が面で接触している場合、端部21と端部23とを結ぶ線が最短の距離になる時の線の延びる方向をいう。この場合、矢印Aに示す方向となる。なお、図1および図2に示す断面において、矢印Aで示す方向と垂直な方向を矢印Aで示す。
ここで、熱電材料部12において、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域18bよりも第一温度領域18aの方が多く構成されている。すなわち、動作時において、単斜晶に対する立方晶の割合は、第二温度領域18bよりも第一温度領域18aの方が多く構成されている。そして、最高温度部25bから最低温度部25cに近づくにつれ、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、少なくなる。すなわち、動作時において、単斜晶に対する立方晶の割合は、第二温度領域18bよりも第一温度領域18aの方が多く構成されている。そして、最高温度部25bから最低温度部25cに近づくにつれ、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、少なくなっていく構成である。これら結晶相の割合の測定は、例えば、ステージ温度を変化させた温度可変のX線回折測定(例えば、あいちシンクロトロン光センターのビームラインBL2S1を用いた測定)により行うことができる。
図1および図2に示すI型熱電材料素子11において、例えば熱電材料部12の一方の端部21および金属線13の一方の端部22の側が高温、熱電材料部12の他方の端部23および金属線13の他方の端部24の側が低温、となるように温度差が形成されると、熱電材料部12においては、一方の端部21側から他方の端部23側に向けてキャリア(例えばp型となった場合、正孔)が移動する。このとき、金属線13においては、一方の端部22側から他方の端部24側に向けて異なるタイプのキャリア(例えば電子)が移動する。その結果、配線17には、矢印Iの向きに電流が流れる。このようにして、I型熱電材料素子11において、第一電極としての高温側電極14、第二電極としての第一低温側電極15および第二低温側電極16を利用して熱電材料部12および金属線13により温度差、すなわち、熱エネルギーを変換して得られた電気エネルギーを出力することができる。すなわち、I型熱電材料素子11において、温度差を利用した熱電変換による発電が達成される。この場合、I型熱電材料素子11は、発電装置である。
ここで、熱電材料部12において、第二の結晶相である単斜晶に対する第一の結晶相である立方晶の割合は、第二温度領域18bよりも第一温度領域18aの方が多く構成されている。このような熱電材料部12は、結晶構造の遷移、すなわち、結晶の相変態中の高いゼーベック係数を利用して、熱電効率を向上させることができる。したがって、上記した構成の熱電材料部12および金属線13を備えるI型熱電材料素子11は、熱電変換の効率を向上させることができる。
この場合、熱電材料部12において、第一温度領域18aは、最も温度の高い最高温度部25bである端部21を含み、第二温度領域18bは、最も温度の低い最低温度部25cである端部23を含み、最高温度部25bから最低温度部25cに近づくにつれ、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、少なくなる。したがって、熱電材料部12において相変態が行われる領域を広く確保して、より確実に高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる。
また、この場合、動作時において、第一電極である高温側電極14と熱電材料部12とが接触する領域である端部21から第二電極である第一低温側電極15と熱電材料部12とが接触する領域である端部23へ向かう方向に対して、最高温度部25bから最低温度部25cへ向かう方向が傾斜しているため、複数の結晶相を共存させる領域を広く確保することが容易となる。すなわち、熱電材料部12には、境界25aに示すように熱電材料部12の長軸方向であるAで示す方向だけでなく短軸方向であるAで示す方向にも温度勾配が形成される。図1および図2に示す形状の熱電材料部12の場合、形成されるこれら2軸の温度勾配により、境界25aの長さを長く確保することができる。したがって、高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態において、熱電材料部12は熱電材料であり、金属線13は金属であることとしたが、これに限らず、熱電材料部12の極性に合わせて、金属線13を、例えば、n型熱電材料部もしくはp型熱電材料部として構成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、熱電材料素子11は、例えばp型およびn型を対にしたπ型の熱電材料素子等、他の構造を有する熱電材料素子としてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、熱電材料部12は、CuSeから構成されており、動作時の温度は、50℃から130℃の範囲内であることとしたが、これに限らない。例えば、熱電材料部12は、SnSeから構成されており、動作時の温度は、130℃から530℃の範囲内であってもよい。このような熱電材料素子11は、より確実に熱電変換の効率を向上させることができる。さらに、熱電材料部12を構成する熱電材料と、第一の結晶相と、第二の結晶相と、遷移温度、すなわち相変態する温度と、使用温度範囲との関係については、表1に示すものとしてもよい。
Figure 2019171915
なお、上記したI型熱電材料素子11において、熱電材料部12の表面の少なくとも一部は、減圧下に曝されているよう構成してもよい。具体的には、例えば、I型熱電材料素子11を100Pa以下、好ましくは10−1Pa以下の例えば1×10−2〜1×10−4Paの圧力下とした領域に設置させるとよい。このような構成によれば、熱電材料を構成する構成元素が離脱しやすくなり、空孔の生成が容易となる。こうすることにより、さらに高いゼーベック係数を利用して、熱電変換の効率を向上させることができる。
また、熱電材料部12の表面が曝される環境について、減圧されている方が断熱に関して有利であり、上記した2軸の温度勾配を材料に形成しやすく好適である。そのため、高温相と低温相の2相共存を実現しやすくなるので、好適である。これについては、後述する。
ここで、上記したI型熱電材料素子11に備えられる熱電材料部の詳細について説明する。
まず、ゼーベック係数αの測定方法について説明する。ゼーベック係数とは、温度差ΔTを材料に与え、その際に発生する電圧ΔVを測定することで、材料の有する熱起電力、つまりゼーベック係数αを与えるもので、α=ΔV/ΔTで与えられる。この場合、材料内に、複数の結晶相があっても良い。
図3は、導電型を調整する前の熱電材料部のゼーベック係数αを測定する際の構成を示す概略図である。図3を参照して、熱電材料部31を構成する熱電材料については、例えば、CuSeや、CuSeにNiを添加した化合物を用いる。
熱電材料部31には、第一の熱電対32aおよび第二の熱電対32bが接続される。この熱電対32a、32bは、例えばPt−PtRh系でよい。これらの熱電対32a、32bのPt型の端子を出力端子として使用することで、その間に発生する電圧を測定する。つまり、熱電対32a、32bは、温度を測定する熱電対として使用するだけでなく、電圧を測定する出力端子としても使用する。ゼーベック係数αを算出する温度は、熱電材料部31の表面の熱電対32a、32bの平均値である。これは、熱電対32a、32bの中間地点の温度でもある。同様に、図1および図2の熱電材料部12の温度は、端部21と端部23の中間地点における材料の表面の温度を指す。
熱電材料部31には、第一のヒータ33aおよび第二のヒータ33bが取り付けられる。第一のヒータ33aおよび第二のヒータ33bは、熱電材料部31を構成する第一の面34aと接触しない第二の面34bに取り付けられる。第一のヒータ33aと第二のヒータ33bとは、それぞれ間隔をあけて第二の面34bに取り付けられる。
第一の熱電対32aおよび第二の熱電対32bは、それぞれ間隔をあけて、熱電材料部31を構成する第一の面34aに接触するようにして設けられる。第一の熱電対32aは、第一のヒータ33aの上方側に位置する第一の点35aに取り付けられる。第二の熱電対32bは、第二のヒータ33bの上方側に位置する第二の点35bに取り付けられる。
第一のヒータ33aおよび第二のヒータ33bによって熱電材料部31は加熱される。ここで、第一のヒータ33aによる加熱温度は、第二のヒータ33bによる加熱温度よりも高く構成されている。そうすると、第一のヒータ33aに接触している領域側の温度の方が第二のヒータ33bに接触している領域側の温度よりも高くなる。また、第二の面34bから第一の面34aに向かって温度は低下していく。この場合、熱電材料部31の温度は第二の面34bから第一の面34aに向かって徐々に温度が低下していく。なお、この場合の最低温度部37bは、熱電材料部31と第二のヒータ33bとが接触している領域の上方に位置し、第一のヒータ33aから最も遠い表面に位置する部分となる。また、この場合の最高温度部37aは、熱電材料部31と第一のヒータ33aとが接触している領域において、最低温度部37bから最も遠い部分となる。このように、第一のヒータ33aによって加熱される温度を、第二のヒータ33bによって加熱される温度よりも高くして、熱電材料部31に温度差、すなわち、比較的高温である第一温度領域36aおよび比較的低温である第二温度領域36bが形成される。なお、熱電材料部31における高温の程度を、図3におけるドットの密度で示している。図3においてドットが密集している程、相対的に高温の領域であることを表している。
熱電材料部31においては、第一のヒータ33aおよび第二のヒータ33bにより、温度勾配が矢印Aで示す方向と矢印Aで示す方向の2軸で形成されている。これにより、効果的に2相を共存させることができるので、高いゼーベック係数を発生させることできる。
ここで、第一電極と熱電材料部31とが接触する領域に相当する第一の点35aと、第二電極と熱電材料部31とが接触する領域に相当する第二の点35bとの温度差は、2K未満の方が好ましく、さらには1K以下の方が好ましい。これは、小さな温度差において、2相の共存がより容易になるためであり、こうすることにより、相変態を利用した高いゼーベック係数の発生をより効果的に得ることができる。
一方、矢印Aの方向には、30K以上、好ましくは40K以上の温度差を印加するとよい。これにより、矢印Aの方向に2相を分離させることができる。したがって、より高いゼーベック係数を発生させることができる。
測定環境を真空環境、例えば、熱電材料部31が配置される空間を1×10−2〜1×10−4Paの圧力下とし、第一の熱電対32aの出力端子と第二の熱電対32bの出力端子間に発生する電圧Vを測定した。測定された電圧V、そして第一の点35aにおける温度と第二の点35bにおける温度を測定し、その温度差からゼーベック係数αを算出した。
図4は、熱電材料部31のゼーベック係数αと温度との関係を示すグラフである。図4は、熱電材料としてNiCu1.97−xSeを用い、xの値を種々変更したものをプロットしている。ここで、Niを添加元素としているが、Niを添加しない系(x=0.000)もプロットしている。図4において、縦軸はゼーベック係数α(μVK−1)を示し、横軸は温度(K)を示す。図4において、四角印は、x=0の場合(Niを添加しない場合)を示し、白丸印は、x=0.005の場合を示し、上向き三角印は、x=0.01の場合を示し、下向き三角印は、x=0.02の場合を示す。なお、図4においては、x=0、x=0.005、x=0.01およびx=0.02のいずれの場合も、各温度におけるゼーベック係数αの傾向は同様である。
図4を参照して、300K程度から温度を上昇させると、325Kから345K辺りで一度ゼーベック係数αが正の値から大きく負の値にまで低くなる。ここでは、−1mVK−1まで大幅に低くなる。この時のZTの値については、n型熱電材料部として利用した場合、おおよそ最大値として15程度となる。その後、温度上昇に伴い、負の値から大きく正の値まで高くなる。この350Kから400Kにおいて、ゼーベック係数は+400μVK−1まで高くなる。この時のZTの値については、p型熱電材料部として利用した場合、おおよそ最大値として7程度となる。すなわち、345K付近といった比較的低い温度領域において、n型熱電材料部として利用した場合でも、p型熱電材料部として利用した場合でも、大きなZTの値を得ることができる。
この挙動は、CuSeの結晶相の相変態に由来すると考えられる。つまり、同一材料内に、低温相と高温相の2相が共存していることが特徴となると考えられる。本材料では、325Kから400Kにおいて、CuSe材料内に低温相と高温相の2相共存となっているために、その温度範囲においてゼーベック係数が高くなったと考えられる。
上記の低温相と高温相におけるCu原子(すなわちカチオン原子)の濃度を電子線マイクロアナライザで測定すると、異なっていることが把握できる。このCu原子の偏りにより、第一電極と第二電極との間に発生する電圧が高くなり、高いゼーベック係数を発生させたと考えられる。
測定において形成した温度差は、1K以下の方が高いゼーベック係数となり、2Kを超えるとゼーベック係数は1Kの場合と比較して低くなった。これは、小さな温度差において、2相の共存がより容易になるためであり、それにより相変態を利用した高いゼーベック係数の発生をより効果的に得ることができるためと考えられる。
なお、上記した熱電材料部31について抵抗率ρおよび熱伝導率κを測定した。図5は、抵抗率と温度との関係を示すグラフである。図5において、縦軸は抵抗率ρ(mΩ・cm)を示し、横軸は温度(K)を示す。図5において、線30aは、x=0の場合(Niを添加しない場合)を示し、線30bは、x=0.005の場合を示し、線30cは、x=0.01の場合を示し、線30dは、x=0.02の場合を示し、線30eは、x=0.03の場合を示す。線30a〜線30eのいずれの場合も抵抗率ρの傾向は同様である。図6は、熱伝導率と温度との関係を示すグラフである。図6において、縦軸は熱伝導率κ(mWm−1−1)を示し、横軸は温度(K)を示す。図6において、四角印は、x=0の場合(Niを添加しない場合)を示し、三角印は、x=0.005の場合を示す。x=0、x=0.005のいずれの場合も、熱伝導率κの傾向は同様である。
まず図5を参照して、温度が300K付近から380K付近に至るまで、抵抗率ρは上昇しているが、上記した図4に示すゼーベック係数が正の値から負の値に変わる345K付近では特に大きな抵抗率ρの変動はない。すなわち、抵抗率ρの逆数で表される導電率の変動はないと考えられる。また、図6を参照して、温度が300Kから400K付近に至るまで、熱伝導率κは徐々に低下していっているが、上記した図4に示すゼーベック係数が正の値から負の値に変わる345K付近では特に大きな熱伝導率κの変動はない。よって、ゼーベック係数αが増大する温度領域において、他にZTを低下させるパラメータは見受けられない。
したがって、このような熱電材料素子11によると、高いゼーベック係数αを利用して、熱電効率を向上させることができる。
なお、減圧下におけるゼーベック係数については、以下の通りである。図7は、大気圧(1013hPa)下と真空(1×10−2〜1×10−4Pa)下における温度とゼーベック係数との関係を示すグラフである。図7において、縦軸はゼーベック係数α(μVK−1)を示し、横軸は温度(K)を示す。丸印が大気圧下の場合を示し、四角印が真空下の場合を示す。
図7を参照して、大気圧下の場合には、350K付近から徐々にゼーベック係数が増加していき、380K辺りでゼーベック係数は+150μVK−1を示す。その後、温度を上昇させると、ゼーベック係数は0に近づく。真空下の場合、325K辺りからゼーベック係数が低下し、340K辺りで−750μVK−1を示す。その後、温度を上昇させると、ゼーベック係数は上昇し、負の値から正の値になり、350K付近で250μVK−1を超える。
温度環境が330Kの場合、気圧が10Paの時にゼーベック係数αは70μVK−1である。気圧が10Paから下がるとゼーベック係数αは大きく減少し、正の値から負の値となる。気圧を小さくしていき、気圧が1×10−4Paとなった場合もゼーベック係数αが−750μVK−1の値となる。
温度環境が380Kの場合、気圧が1×10−4Paの時にゼーベック係数αは180μVK−1であり、大きい値である。この値は、p型熱電材料として用いた場合、ZTとして7程度の大きな値となる。気圧が10Paから上がっていくと、ゼーベック係数αは、約100μVK−1となる。
なお、このように上記した構成において高いゼーベック係数αを有することになる一つの要因としては、以下の現象が生じているものと考えられる。
相変態によって、異なる二相が共存することで化学ポテンシャル(フェルミ準位)が異なり、第二の結晶相から第一の結晶相へキャリアが拡散したと考えられる。これによって、動作時(つまり相変態中)における第二の結晶相のキャリア濃度は、動作前における第二の結晶相のキャリア濃度よりも低くなる。これによって、高いゼーベック係数を得ることができると考えられる。
このキャリア濃度、すなわち、抵抗の測定は、例えば広がり抵抗顕微鏡(SSRM:Scanning Spread Resistance Microscope)で測定可能である。
また、上記した構成において高いゼーベック係数αを有することになる他の要因としては、以下の現象が生じているものと考えられる。図8は、図3に示す熱電材料部31におけるキャリア等の拡散状態を概念的に示す図である。理解の容易の観点から、図8中において、キャリア38および複合欠陥39は、模式的に図示している。
図8を参照して、熱電材料部31における温度に矢印Aで示す方向および矢印Aで示す方向の2軸の傾斜があり、相変態中であると、熱電材料部31中のキャリア38の拡散のみならず、空孔やイオンのように電荷を有する格子間原子、もしくは空孔と格子間原子の複合欠陥39の拡散、原子変位等も生じることとなる。すなわち、図8中の白抜きの矢印で示す方向にキャリア38や複合欠陥39等が拡散する。その結果、第一の熱電対32aと第二の熱電対32bとの間の電位差が大きくなり、ゼーベック係数αが大きく変化したと考えられる。
なお、ヒータの配置を以下のようにして温度差を形成することにしてもよい。図9は、第一のヒータと第二のヒータとの配置を異ならせた状態を示す図である。図9を参照して、熱電材料部41は、図9に示す断面において、矩形状である。熱電材料部41には、高温側の第一のヒータ42と、低温側の第二のヒータ43と、配線44とが取り付けられている。配線44は、第一の点45aおよび第二の点45bのそれぞれにおいて熱電材料部41と接触するように取り付けられている。ここで、第二のヒータ43については、第一の点45aおよび第二の点45bが取り付けられた面46aと接しない面46bに接触するようにして取り付けられている。また、第一のヒータ42については、面46aと面46bとの双方に交わる面46cに接触するように取り付けられている。このような構成とすれば、矢印Aで示す方向および矢印Aで示す方向に温度差を形成することができる。
次に、上記した熱電材料素子の製造方法の一例について説明する。熱電材料素子の製造方法は、まず、熱電材料部31を構成する熱電材料を以下の工程で製造する。図10は、熱電材料の製造方法における代表的な工程を示すフローチャートである。図10を参照して、熱電材料の製造方法は、カルコゲン化物の原料となる粉末を固めて圧粉体を得る工程と、圧粉体の一部を加熱して結晶化させる工程と、圧粉体の一部を結晶化させた後に加熱を停止し、結晶化の進行に伴う圧粉体の自己発熱により圧粉体の残部を結晶化させる工程とを備える。
まず具体的には、カルコゲン化物の原料となる粉末であるCuの粉末と同じくカルコゲン化物の原料となる粉末であるSeの粉末とを準備する(図10において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。そして、これらを混合してプレスし、ペレット状に固めた圧粉体を得る(S12)。なお、必要に応じて、カルコゲン化物の原料となる粉末であるNi、Ti、Zr等の粉末を添加してもよい。次に、得られたペレット状の圧粉体の一部を加熱して結晶化させる(S13)。
圧粉体の一部の加熱は、例えば加熱ヒータを有する減圧したチャンバー内で行う。チャンバー内の真空度を例えば1×10−4Pa程度にし、圧粉体を加熱ヒータでおおよそ1秒程度加熱する。変化点に達すると圧粉体の一部が結晶化する。その後、圧粉体の一部を結晶化させた後に加熱を停止する。この場合、改めて加熱を行わなくとも、自己発熱により結晶化が促進される。すなわち、結晶化の進行に伴う圧粉体の自己発熱により圧粉体の残部を結晶化させる(S14)。このようにして熱電材料部を構成する熱電材料を製造する。得られた熱電材料部に第一電極および第二電極を取り付けて、熱電材料素子が製造される。
(実施の形態2)
なお、以下の構成としてもよい。図11は、本願の他の実施の形態に係る発電モジュール49の構造の一例を示す図である。図11を参照して、本実施の形態の発電モジュール49は、熱電材料部12と、金属線13と、第一低温側電極15および第二低温側電極16に対応する低温側電極15、16と、高温側電極14と、低温側絶縁体基板26と、高温側絶縁体基板27とを備える。熱電材料部12および金属線13は、上記したI型熱電材料素子11に備えられる熱電材料部12および金属線13と同様の構成である。低温側絶縁体基板26および高温側絶縁体基板27は、アルミナなどのセラミックからなる。熱電材料部12と金属線13とは、交互に並べて配置される。低温側電極15、16は、上述のI型熱電材料素子11と同様に熱電材料部12および金属線13に接触して配置される。高温側電極14は、上述のI型熱電材料素子11と同様に熱電材料部12および金属線13に接触して配置される。熱電材料部12は、一方側に隣接する金属線13と共通の高温側電極14により接続される。また、熱電材料部12は、上記一方側とは異なる側に隣接する金属線13と共通の低温側電極15、16により接続される。このようにして、全ての熱電材料部12と金属線13とが直列に接続される。
低温側絶縁体基板26は、板状の形状を有する低温側電極15、16の熱電材料部12および金属線13に接触する側とは反対側の主面側に配置される。低温側絶縁体基板26は、複数の(全ての)低温側電極15、16に対して1枚配置される。高温側絶縁体基板27は、板状の形状を有する高温側電極14の熱電材料部12および金属線13に接触する側とは反対側に配置される。高温側絶縁体基板27は、複数の(全ての)高温側電極14に対して1枚配置される。
直列に接続された熱電材料部12および金属線13のうち両端に位置する熱電材料部12または金属線13に接触する高温側電極14または低温側電極15、16に対して、配線28、29が接続される。そして、高温側絶縁体基板27側が高温、低温側絶縁体基板26側が低温となるように温度差が形成されると、直列に接続された熱電材料部12および金属線13により、上記I型熱電材料素子11の場合と同様に矢印Iの向きに電流が流れる。このようにして、発電モジュール49において、温度差を利用した熱電変換による発電が達成される。
この場合、熱電材料部12および金属線13について、動作時に結晶を相変態させ、結晶の相変態中における高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を上げることができる。したがって、このような発電モジュール49は、熱電変換の効率を向上させることができる。
(実施の形態3)
次に、本願のさらに他の実施形態に係る熱電材料素子を用いた光センサとしての赤外線センサの構成について説明する。図12、図13および図14は、赤外線センサ51の構成を示す図である。図12は、赤外線センサを平面的に見た図である。図13は、図12中のXIII−XIIIで示す領域を切断した場合の断面図である。図14は、赤外線センサを構成する熱電材料部と金属線との接触部分の断面を拡大して示す拡大断面図である。
図12、図13および図14を参照して、赤外線センサ51は、板状のベース層52と、厚肉部53と、赤外線吸収部54(特に図14参照)と、保護膜55と、熱電材料素子57とを備える。ベース層52は、SiO/SiN/SiO膜から構成されている。すなわち、ベース層52は、SiOとSiNとSiOとを積層させた構成である。ベース層52の厚みTは、およそ1.1μmである。ベース層52は、Z軸方向、すなわち、ベース層52の厚み方向から平面的に見て矩形状に構成されている。具体的には、X軸方向の長さの方がY軸方向の長さよりも若干長く構成されている。ベース層52の厚み方向の一方の主面56a上に熱電材料素子57が設けられている。熱電材料素子57に備えられる第一電極としての第一のパッド電極58aおよび第二電極としての第二のパッド電極58bは、ベース層52の厚み方向の一方の主面56a上に設けられている。これら第一のパッド電極58aおよび第二のパッド電極58bにより、赤外線センサ51の出力として電圧が出力される。第一のパッド電極58aおよび第二のパッド電極58bの材質としては、例えば金(Au)、チタン(Ti)、白金(Pt)等が採用される。
厚肉部53は、Siから構成されている。厚肉部53は、ベース層52の外縁に沿って設けられている。厚肉部53は、ベース層52を平面的に見た場合の中央領域を避けた位置に設けられている。中央領域については、後述する破線で示す境界62の内側の領域に相当する。厚肉部53は、いわゆる異方性ウェットエッチングで形成されており、厚肉部53の内方側の壁面61については、開口側が広いテーパ状になっている。ベース層52の他方の主面56bとの境界62は、矩形状であり、図12における破線で示している。
保護膜55は、厚肉部53のうち、ベース層52が配置される位置とベース層52の厚み方向の反対側に設けられている。保護膜55の厚みTについても厚みTと同様の厚みである。そして、厚肉部53の厚みTについては、厚みT、厚みTよりも十分に厚く構成されている。
熱電材料素子57は、熱電材料部63aおよび金属線63bから構成されている。熱電材料部63aは、動作時、すなわち、赤外線センサ51の使用時において第一の結晶相および第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む熱電材料からなる。具体的には、熱電材料部63aは、Cu2Seの薄膜で構成されている。金属線63bは、Biの薄膜で構成されている。
熱電材料部63aおよび金属線63bは、いわゆる対で構成されており、熱電材料素子57には、合計100対の熱電材料部63aおよび金属線63bが設けられている。100対の熱電材料部63aおよび金属線63bは、Z軸方向から平面的に見て主面56a上の破線で示すベース層52の中央領域に設けられた正方形状の領域64内にほぼ収まるように設けられている。熱電材料部63aは、主面56a上にX軸で示す方向またはY軸で示す方向に真っ直ぐに沿って、それぞれ間隔をあけて設けられている。金属線63bは、隣り合う熱電材料部63aの内方側の端部と外方側の端部とを接続するように、X軸で示す方向に対して傾斜して設けられている。この場合、金属線63bについても、それぞれ間隔をあけて設けられることになる。熱電材料部63aおよび金属線63bは、交互に接続されて配置されている。この場合、100対の熱電材料部63aおよび金属線63bは、直列で接続されて構成されている。なお、第一のパッド電極58aは、100対連なる熱電材料部63aおよび金属線63bのうちの最も端部に位置する熱電材料部63aに接続されている。第二のパッド電極58bは、100対連なる熱電材料部63aおよび金属線63bのうちの最も端部に位置する金属線63bに接続されている。なお、第二のパッド電極58bに接続される金属線63bについては、X軸方向に真っ直ぐに延びるように構成されている。なお、平面的に見た場合の熱電材料部63aおよび金属線63bの幅については、5μm以下である。
次に、熱電材料部63aと金属線63bとの接触部分の構成について説明する。主に図14を参照して、主面56a上には、熱電材料部63aが配置される。熱電材料部63aの厚みは、0.2μm以下である。そして、熱電材料部63aの上に、赤外線吸収部54および金属線63bが形成される。金属線63bのうちの最も薄い部分の厚みは、0.2μm以下である。赤外線吸収部54は、SiOから構成されている。赤外線吸収部54は、熱電材料部63aと金属線63bとを絶縁する絶縁部としても機能する。金属線63bは、熱電材料部63aの両端部に接触し、中央部において赤外線吸収部54が配置されるように設けられる。そして、金属線63bの上にも、赤外線吸収部54が形成される。なお、領域64内においては、熱電材料部63aおよび金属線63bの上に赤外線吸収部54が覆われている構成であるが、理解の容易の観点から、図12および図13において赤外線吸収部54の図示を省略している。
このような構成の赤外線センサ51については、ベース層52の内方側の領域65の厚みは、ベース層52の外方側の領域66の厚みよりも薄く構成されている。なお、領域65の厚みは厚みTで表され、領域66の厚みは厚みTよりも大きい方が好ましい。このような構成とすれば、領域65に照射された赤外線が熱に変換され、その熱が蓄積されやすくなるため、高感度なセンサとなり得るためである。この内方側の領域65には、熱電材料素子57の内方側に位置する部分が配置されることとなる。
このような構成の赤外線センサ51の動作の一例について説明する。赤外線センサ51において、保護膜55側にヒータを配置して加熱する。そして、赤外線センサ51の動作時の温度となるよう調整する。
その後、主面56a側から赤外線が照射された場合は、以下のようになる。すなわち、赤外線センサ51には、赤外線吸収部54が領域64内に設けられているため、内方側の領域65内に配置される熱電材料部63aおよび金属線63bの部分は、比較的高温となり、第一温度領域を形成する。そして、外方側の領域66に配置される熱電材料部63aおよび金属線63bの部分は、厚肉部53がいわゆるヒートシンクの機能を発揮し、比較的低温となり、第二温度領域を形成する。すなわち、この場合、内方側の領域65に配置される部分に第一温度領域が形成され、外方側の領域66に配置される部分に第二温度領域が形成されることとなる。そして熱電材料部63aについて、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。したがって、動作時、すなわち、赤外線センサ51の動作時に結晶を相変態させ、結晶の相変態中における高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を上げることができる。この場合、100対の熱電材料部63aおよび金属線63bによって、第一のパッド電極58aおよび第二のパッド電極58bによって出力される電圧が増幅されることとなる。よって、赤外線センサ51を高感度とすることができる。
また、次のような温度環境を赤外線センサ51に与えて、使用しても良い。すなわち、赤外線センサ51において、保護膜55側にヒータを配置して加熱する。そして、赤外線センサ51の動作時の温度となるよう調整する。この場合、厚肉部53から熱が伝わり、外方側の領域66に配置される熱電材料部63aおよび金属線63bの部分は、比較的高温となり、第一温度領域を形成する。すなわち、この場合、内方側の領域65に配置される部分に第二温度領域が形成され、外方側の領域66に配置される部分に第一温度領域が形成されることとなる。そして熱電材料部63aについて、第二の結晶相に対する第一の結晶相の割合は、第二温度領域よりも第一温度領域の方が多い。したがって、動作時、すなわち、赤外線センサ51の使用時に結晶を相変態させ、結晶の相変態中における高いゼーベック係数を利用して熱電変換の効率を上げることができる。この場合、100対の熱電材料部63aおよび金属線63bによって、第一のパッド電極58aおよび第二のパッド電極58bによって出力される電圧が増幅されることとなる。よって、赤外線センサ51を高感度とすることができる。
なお、上記の実施の形態において、赤外線センサ51を複数配列させて構成することにしてもよい。この場合、一方向に一列に配置してもよいし、二次元的にマトリックス状に配置してもよい。
上記した動作時とは、材料の相変態の遷移領域であり、結晶相が2相共存する状態である。温度で言うなら、相変態が生じている温度範囲のことである。例えば、CuSeの場合、325Kから400Kである。
また、上記の実施の形態においては、図10に示す工程で熱電材料を製造することとしたが、これに限らず、他の方法で熱電材料を製造してもよい。
なお、上記の実施の形態においては、第一の結晶相を立方晶とし、第二の結晶相を単斜晶とすることとしたが、これに限らず、第一の結晶相および第二の結晶相について、他の結晶構造であってもよい。また、さらに異なる第三の結晶相を熱電材料が含む構成としてもよい。
上記の実施の形態においては、熱電材料素子が配置される環境を真空(1×10−2〜1×10−4Pa)中としたが、これに限らず、断熱の効果を付与させるために、真空中ではなく、断熱効果のある材料の雰囲気下で動作させるようにしてもよい。例えば、熱電材料素子が配置される雰囲気として空気よりも熱伝導率の小さい二酸化硫黄ガス、塩素ガス、プロパンガス、クリプトンガス、キセノンガス、アルゴンガス、アセチレンガス、エチレンガス、パーライト等を用いてもよい。
また、上記の実施の形態においては、熱電材料素子が配置される環境を真空(1×10−2〜1×10−4Pa)中としたが、これに限らず、空孔を生成し得る環境の雰囲気下であってもよい。例えば、空気よりも材料の蒸気圧が高くなるような雰囲気であればよい。具体的には、例えば、熱電材料部の材料表面にNi、Ti、SiO、アモルファスSiがコーティングされていてもよい。このようなコーティング層があっても、例えばNiと熱電材料が反応し、熱電材料中の空孔の生成を促進することができる。
本願の熱電材料素子、発電装置、光センサおよび熱電材料の製造方法は、熱電変換の高い効率が要求される場合に、特に有利に適用され得る。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11,57 熱電材料素子、12,31,41,63a 熱電材料部、13,63b 金属線、14 高温側電極、15,16 低温側電極、17,28,29,44 配線、18a,36a 第一温度領域、18b,36b 第二温度領域、19 被覆材料、21,22,23,24 端部、25a,62 境界、25b,37a 最高温度部、25c,37b 最低温度部、26,27 絶縁体基板、30a,30b,30c,30d,30e 線、32a,32b 熱電対、33a,33b,42,43 ヒータ、34a,34b,46a,46b,46c 面、35a,35b,45a,45b 点、38 キャリア、39 複合欠陥、49 発電モジュール、51 赤外線センサ、52 ベース層、53 厚肉部、54 赤外線吸収部、55 保護膜、56a,56b 主面、58a,58b パッド電極、61 壁面、64,65,66 領域。

Claims (18)

  1. 動作時において第一の結晶相および前記第一の結晶相とは異なる第二の結晶相を含む熱電材料からなる熱電材料部と、
    前記熱電材料部に接触して配置される第一電極と、
    前記熱電材料部に接触し、前記第一電極と離れて配置される第二電極とを備え、
    前記熱電材料部は、動作時において、
    第一の温度を有する第一温度領域と、
    前記第一温度領域よりも低い第二の温度を有する第二温度領域と、を含み、
    前記第二の結晶相に対する前記第一の結晶相の割合は、前記第二温度領域よりも前記第一温度領域の方が多い、熱電材料素子。
  2. 前記第一温度領域は、最も温度の高い最高温度部を含み、
    前記第二温度領域は、最も温度の低い最低温度部を含み、
    前記最高温度部から前記最低温度部に近づくにつれ、前記第二の結晶相に対する前記第一の結晶相の割合は、少なくなる、請求項1に記載の熱電材料素子。
  3. 動作時において、
    前記第一電極と前記熱電材料部とが接触する領域から前記第二電極と前記熱電材料部とが接触する領域へ向かう方向に対して、前記最高温度部から前記最低温度部へ向かう方向が傾斜している、請求項2に記載の熱電材料素子。
  4. 前記熱電材料部を構成する化合物において、前記第一の結晶相に含まれるカチオン原子の割合と前記第二の結晶相に含まれるカチオン原子の割合とは、異なる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  5. 動作時における前記第二の結晶相のキャリア濃度は、動作前の前記第二の結晶相のキャリア濃度よりも低い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  6. 前記熱電材料部の表面の少なくとも一部は、減圧下に曝されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  7. 前記熱電材料部の表面の少なくとも一部は、10Pa未満の気圧下に曝されている、請求項6に記載の熱電材料素子。
  8. 動作時において、
    前記第一電極と前記熱電材料部とが接触する領域と、前記第二電極と前記熱電材料部とが接触する領域との温度差は、2K未満である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  9. 前記熱電材料部は、カルコゲン化物で構成されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  10. 前記熱電材料部は、CuSe、SnSe、AgSe、AgTe、または前記CuSe、前記SnSe、前記AgSe、前記AgTeのいずれかに遷移金属元素を添加した化合物から構成される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  11. 前記熱電材料部は、前記CuSeにNi、Ti、またはZrを添加した化合物から構成される、請求項10に記載の熱電材料素子。
  12. 前記熱電材料部は、前記SnSeにSc、Ti、またはZrを添加した化合物から構成される、請求項10に記載の熱電材料素子。
  13. 前記熱電材料部は、
    CuSeから構成されており、
    動作時の温度は、50℃から130℃の範囲内である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  14. 前記熱電材料部は、
    SnSeから構成されており、
    動作時の温度は、130℃から530℃の範囲内である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  15. 前記第一の結晶相は、立方晶または直方晶である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の熱電材料素子。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の熱電材料素子を含む、発電装置。
  17. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の熱電材料素子を含む、光センサ。
  18. カルコゲン化物の原料となる粉末を固めて圧粉体を得る工程と、
    前記圧粉体の一部を加熱して結晶化させる工程と、
    前記圧粉体の一部を結晶化させた後に加熱を停止し、結晶化の進行に伴う前記圧粉体の自己発熱により前記圧粉体の残部を結晶化させる工程とを備える、熱電材料の製造方法。
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