JPWO2019073979A1 - 光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法 - Google Patents

光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法 Download PDF

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Abstract

特定の基を末端に有するウレタンオリゴマーを含有する光硬化性粘着剤組成物であって、空気中等の酸素存在下でも光重合が迅速に進行し、長時間の光照射や酸素遮断設備が不要な光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法を提供する。光硬化性粘着剤組成物は、(A)下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、(C)光開始剤とを含有する。【化1】(一般式(1)中、一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示す。)

Description

本発明は、光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法に関する。特に、本発明は、空気中であっても迅速に光硬化する光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法に関する。
特許文献1には光重合性アクリル酸エステルを含有する光硬化性組成物を一方の被着体に塗布した後、紫外線を照射して、アクリル酸エステルを重合して粘度を上げ(Bステージ化といわれており、粘着性を付与していると考えられる)、この状態で他方の被着体を接着固定する方法が開示されている。具体例として、一方の被着体としてアンテナ部品を用い、他方の被着体としてICチップを用いた、無線周波数識別(RFID)タグの製造が示されている。なお、特許文献1では光硬化性組成物に更に湿気硬化性樹脂を用い、接着を確実にしている。
このように光重合性アクリル酸エステルを含有する光硬化性組成物を一方の被着体に塗布し、光照射することによりアクリル酸エステルを重合して粘着性を付与した後、他方の被着体を接着する方法は、特に電子機器の製造において有用であると考えられる。このような方法によれば、一旦接着した被着体を位置合せ等のために剥離することが容易であるためである。また、粘着シートや粘着テープを用いても同様の方法が可能であるものの、粘着シートや粘着テープを所定の形状にして所定の場所に載置することは困難な場合が多い一方で、上記の接着方法によれば、未硬化の光硬化性組成物を所定の場所に塗布することが比較的容易だからである。
しかしながら、アクリル酸エステルは光重合性を有しているものの、空気中のような酸素存在下では重合が阻害されることが知られており、重合が進行しなかったり、長時間の光照射が必要であったり、強い光を照射する必要があった。実際に特許文献1の実施例1においてはアクリル酸エステルとしてフェノキシエチルアクリレートを使用しているが、光重合するのに1時間以内の時間を必要としている。電子機器の製造においては生産性の観点から光重合の進行は秒単位の時間が望ましいと考えられる。しかし、酸素阻害の影響が大きい場合、粘着性が不十分となるだけでなく、部材の貼り合わせすら困難となってしまう場合がある。そこで、酸素阻害の問題を解決するために、窒素雰囲気下で光を照射することや、透明カバーフィルムを用いて酸素を遮断した状態で光を照射する等、酸素阻害対策のための設備を導入したり、酸素阻害を低減する方法の検討が必要だった。
また、特許文献2には、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応物であるイソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の水酸基及び、飽和アルコール(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体[A]、及びエチレン性不飽和単量体[B]を含有してなる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている。特許文献2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、高圧水銀ランプによる紫外線照射により硬化する組成物であり、基材との接着性と耐候性のバランスが良好になっている。
特許文献2に記載の高圧水銀ランプによる紫外線照射によれば、低波長の紫外線を含んでいるので表面硬化性が良好な光重合開始剤が効率よく分解し、酸素阻害を受けにくい面はある。しかしながら、高圧水銀ランプを用いる場合は発生するオゾンを排除するダクトを要することから広いスペースが必要になる。また、高圧水銀ランプから発せられる紫外線のエネルギーが高いことから、被着体にダメージが生じたり、高圧水銀ランプからの熱が被着体に熱ダメージを与えることがあり、ダメージに強い被着体を選定しなければならない。
特表2009−530441号公報 特開2003−155455号公報
本発明が解決しようとする課題は、特定の基を末端に有するウレタンオリゴマーを含有する光硬化性粘着剤組成物であって、空気中等の酸素存在下でも光重合が迅速に進行し、長時間の光照射や酸素遮断設備が不要で、長波長の光の照射でも十分に硬化する光硬化性粘着剤組成物を用いた光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、(A)下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、(C)光開始剤とを含有する光硬化性粘着剤組成物が提供される。
Figure 2019073979
上記一般式(1)中、一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。
また、上記光硬化性粘着剤組成物が、(B)単官能(メタ)アクリレートを更に含有してもよい。
また、上記光硬化性粘着剤組成物が、(D)粘着付与樹脂を更に含有してもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記いずれか1つの光硬化性粘着剤組成物の硬化物を有する製品が提供される。
また、本発明は、上記目的を達成するため、複数の被着体を接着する方法であって、(A)下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、(C)光開始剤とを含有する光硬化性粘着剤組成物を少なくとも一方の被着体に塗布する塗布工程と、一方の被着体に塗布された光硬化性粘着剤組成物に酸素存在下でLEDから発せられる光を照射する光照射工程と、一方の被着体に塗布され、光が照射された光硬化性粘着剤組成物に他方の被着体(ただし、他方の被着体として粘着面の保護用シートを除く)を接着する工程とを備える接着方法が提供される。
Figure 2019073979
上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。
また、上記接着方法において、光硬化性粘着剤組成物が、(B)単官能(メタ)アクリレートを更に含有してもよい。
また、上記接着方法において、光硬化性粘着剤組成物が、(D)粘着付与樹脂を更に含有してもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記いずれか1つに記載の接着方法を用いて製造される接着体の製造方法が提供される。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法によれば、特定の基を末端に有するウレタンオリゴマーを含有する光硬化性粘着剤組成物を用いて、空気中等の酸素存在下でも光重合が迅速に進行し、長時間の光照射や酸素遮断設備が不要で、長波長の光の照射でも十分に硬化する光硬化性粘着剤組成物を用いた光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法を提供することができる。
本発明の光硬化性粘着剤組成物は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)から発せられる活性エネルギー線等の光の照射によりすばやく粘着性を発揮する組成物である。すなわち、光硬化性粘着剤組成物は、環境中の酸素による酸素阻害を抑制し得る特定の構造を有する基である(A)ウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、(C)光開始剤とを含有する。具体的に、本発明の光硬化性粘着剤組成物は、A成分としての下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、(C)光開始剤とを含有する。また、光硬化性粘着剤組成物は、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び/又は(D)粘着付与樹脂を更に含有してもよい。本発明においてはA成分として酸素阻害を抑制する特定の基を有するウレタンオリゴマーを用いているので、空気中での光硬化であっても、優れた粘着性を発揮する。
Figure 2019073979
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。
(A成分:ウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマー)
A成分であるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーは、オリゴマー末端又は側鎖が(メタ)アクリロイル化された、数平均分子量が1,000以上のウレタン結合を有する(メタ)アクリレートオリゴマーであり、粘着力を向上させる。
光硬化性粘着剤組成物が含有するA成分としては、環境中の酸素による酸素阻害を抑制して良好な粘着性を発揮し得る化合物を用いることが好ましい。本発明のA成分は、複数の電子吸引性基を有する化合物であり、複数の電子吸引性基に挟まれた部分に活性ラジカルが生じやすい化合物である。そして、本発明のA成分は、複数の電子吸引性基を有し、複数の電子吸引性基に挟まれた部分に活性ラジカルが生じやすい化合物である。本発明者は、このような構造を有する化合物が酸素による重合阻害を抑制し得ると推測し、様々な化合物を用いた光硬化性粘着剤組成物の特性を研究した結果、本発明に係る光硬化性粘着剤組成物のA成分が好適であることを見出した。すなわち、A成分として、複数の−CH基(具体的には2つの−CH基)に挟まれた部分に配置される2級水酸基と、分子端に位置する電子吸引性基とを含む基をウレタン結合を介して有するウレタンオリゴマーが好ましいことを見出した。具体的に、A成分としては、上記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーが挙げられる。
ここで、酸素による重合阻害を抑制するメカニズムとしては、以下のメカニズムが推測される。すなわち、ラジカル重合においては酸素による重合阻害が起こり、モノマーの反応率が低下する。特に、空気に触れる表面層において反応率の低下が発生する。酸素阻害は、光開始剤から生成する開始ラジカルやモノマーの重合過程で生成する重合末端ラジカルが酸素にトラップされて生成するパーオキシラジカルの重合能力が低く、重合反応が停止することによって起こる。ここで、系に連鎖移動剤としての機能を有する本発明のA成分であるウレタンオリゴマーが存在する場合、水素引き抜き能を有するパーオキシラジカルが当該ウレタンオリゴマーから水素を引き抜くことで、新たに生成する2級水酸基のα炭素ラジカルが重合を開始すると考えられる。また、生成した2級水酸基のα炭素ラジカルは酸素を補足することもできるため、系内の酸素濃度を低減させる効果も考えられる。これらのメカニズムにより、酸素阻害が抑制されると推測される。
ウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマー(以下、単に「A成分」若しくは「A成分のウレタンオリゴマー」という場合がある。)の数平均分子量は粘着剤の良好な伸び特性を確保する観点からGPCにおけるポリスチレン換算において2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点から数平均分子量は100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。また、他の成分と配合する場合における取扱い易さを確保する観点からは、50℃で液状を示すことが好ましく、20℃で液状を示すことがより好ましく、0℃で液状を示すことが更に好ましい。粘着剤に低温時における柔軟性を与え、粘着力を維持・向上させる観点から、ガラス転移点(Tg)が10℃以下のA成分が好ましく、0℃以下のA成分がより好ましく、−10℃以下のA成分が更に好ましい。
A成分は、ウレタンプレポリマー(水酸基含有オリゴマーと過剰な有機ポリイソシアネートを反応させて得られる、分子末端にイソシアネート基を有するオリゴマー)に、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できる。
[水酸基含有オリゴマー]
水酸基含有オリゴマーとしては、数平均分子量が約1,000〜50,000である、ポリエーテル系水酸基含有オリゴマー、ポリエステル系水酸基含有オリゴマー、非芳香族ポリカーボネート系水酸基含有オリゴマー、アクリル系水酸基含有オリゴマー、及びジエン重合体系水酸基含有オリゴマー等が挙げられる。硬化物に柔軟性を付与する観点からはジオール及びモノオールが好ましく、硬化性の観点からはジオールが好ましい。また、配合時の取扱いの易さ、及び組成物の取扱い易さからは、50℃で液状の水酸基含有オリゴマーが好ましい。これらの水酸基含有オリゴマーは単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
(ポリエーテル系水酸基含有オリゴマー)
ポリエーテル系水酸基含有オリゴマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。硬化物に柔軟性を付与する観点からはポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)が好ましい。硬化物に柔軟性を付与する観点からは、ポリプロピレンモノオールがより好ましい。硬化物の架橋度を向上させる場合は、トリオール、テトラオールが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOH等のアルカリ触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によればMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。ポリプロピレンポリオールは、組成物の塗布作業性を向上させる観点(粘度を低下させる観点)からは、Mw/Mnが1.6以下であることが好ましい。硬化物に柔軟性を付与する観点からは、数平均分子量6,000以上のポリプロピレンポリオールを用いることが好ましい。
(ポリエステル系水酸基含有オリゴマー)
ポリエステル系水酸基含有オリゴマーとしては、例えば、ジオール成分と多価カルボン酸との反応生成物、ジオール成分とラクトンとの付加反応生成物を挙げることができる。液状のポリエステル系水酸基含有オリゴマーが好ましく、ジオール成分としては、ネオペンチルグリコール(NPG)、2−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)等の炭素数5以上の分岐脂肪族グリコールが好ましい。また、多価カルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数5以上のジカルボン酸が好ましい。
(非芳香族ポリカーボネート系水酸基含有オリゴマー)
非芳香族ポリカーボネート系水酸基含有オリゴマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール等のジオール成分から選択される成分と、炭酸ジメチル等の短鎖炭酸ジアルキルとの反応によって得ることができるポリカーボネートジオールとを挙げることができる。特に、異なるユニット鎖長のモノマーを共重合した(1,6−ヘキサンジオール/1,5−ペンタンジオール共重合、1,6−ヘキサンジオール/1,4−ブタンジオール共重合等)非晶性の20℃で液状の非芳香族ポリカーボネート系水酸基含有オリゴマーが好ましい。
(アクリル系水酸基含有オリゴマー)
アクリル系水酸基含有オリゴマーとしては、水酸基の位置がオリゴマー主鎖骨格の末端にあるアクリル系水酸基含有オリゴマーであることが好ましく、20℃で液状のアクリル系水酸基含有オリゴマーであることが好ましい。アクリル系水酸基含有オリゴマーの主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数を共重合させてもよい。
更に、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用することで、アクリル系水酸基含有オリゴマーの主鎖中に架橋性ケイ素基を導入することができる。硬化物の柔軟性が良いことから、炭素数4〜8のアクリル酸アルキルエステル、炭素数10、12のメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましく、アクリル酸n−ブチルが最も好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
アクリル系水酸基含有オリゴマーの製造方法としては、分子量分布が狭く、粘度の低いアクリル系水酸基含有オリゴマーであって、分子鎖末端に水酸基を有するアクリル系水酸基含有オリゴマーを得る観点から、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
また、片末端に水酸基を有するアクリル系水酸基含有オリゴマーを得る場合、特開2000−344823号公報記載の2−メルカプトエタノール等の水酸基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応を用いることができ、特開2000−128911号公報記載のチオグリセロール(3−メルカプト−1,2−プロパンジオール)等のチオール基と2級水酸基とを有する化合物を用いた反応を用いることもできる。なお、硬化物の柔軟性が良く、粘着力を維持・向上させる観点から、片末端に2個の水酸基を有するアクリル系水酸基含有オリゴマーが好ましい。
アクリル系水酸基含有オリゴマーの数平均分子量は粘着剤の良好な柔軟性を確保する観点から、2,000以上が好ましく、5,000以上が好ましく、8,000以上が更に好ましい。組成物の適切な粘度を確保し、良好な作業性を確保する観点からは、数平均分子量は100,000程度以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましい。
(ジエン重合体系水酸基含有オリゴマー)
ジエン重合体系水酸基含有オリゴマーとしては、例えば1,2−ポリブタジエンジオール、1,2−ポリブタジエンジオールの水素添加物、1,4−ポリブタジエンジオール等が挙げられる。
[有機ポリイソシアネート]
本発明で用いることができる有機ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式ポリイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
[架橋性ケイ素基を含有する、ウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマー]
本発明において、A成分には架橋性ケイ素基が含まれていてもよい。架橋性ケイ素基は、上記主鎖骨格の重合体中、及び/又は末端に含まれる。すなわち、A成分は、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH=CR’C(=O)O−;R’は水素又はメチル基を表す。))と架橋性ケイ素基との双方を含有することができる。この場合において組成物は、光反応による硬化後に暗反応により架橋性ケイ素基が湿気硬化する。これにより、架橋性ケイ素基による接着性の向上、及び架橋点増加による耐熱性の向上が望める。
[架橋性ケイ素基]
架橋性ケイ素基はケイ素原子に結合した水酸基や加水分解性基を有しシラノール縮合反応により架橋することができる基である。架橋性ケイ素基としては、式(2)で表される架橋性ケイ素基が挙げられる。
Figure 2019073979
式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3を示す。式(2)の架橋性ケイ素基においてaが2又は3である場合が好ましい。aが3の場合、aが2の場合よりも硬化速度が大きくなる。
上記Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシメチル基等の置換アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が好ましく、硬化速度が大きくなる観点ではα炭素が極性基で置換された置換アルキル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられる。式(2)で示される架橋性ケイ素基の場合、硬化性を考慮するとaは2以上が好ましい。
架橋性ケイ素基の具体的な例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基(−Si(OR);メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基(−SiR(OR)が挙げられる。ここでRは前記と同じであり、Rはメチル基やエチル基等のアルキル基である。架橋性ケイ素基としては、反応性が高い点からトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基が更に好ましい。柔軟性を有する硬化物を得る観点からメチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が好ましい。
架橋性ケイ素基が含まれる位置としては、十分な柔軟性を有する粘着剤を得る観点からは重合体の末端が好ましい。架橋性ケイ素基の比率は(メタ)アクリロイルオキシ基及び架橋性ケイ素基の総個数に対して、湿気硬化後の耐熱性の向上の観点から1割以上が好ましく、2割以上がより好ましく、4割以上が更に好ましい。また、光照射直後の硬化性の観点からは、9割以下が好ましく、8割以下がより好ましく、7割以下が更に好ましい。
架橋性ケイ素基を含有するA成分は、前記ウレタンプレポリマーに、グリセリンモノ(メタ)アクリレート及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の架橋性ケイ素基とイソシアネート反応性基を有する化合物とを反応させることによって合成できる。また、水酸基及び架橋性ケイ素基含有オリゴマーと有機ポリイソシアネートとの反応物に、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを反応させることによって合成することもできる。なお、水酸基及び架橋性ケイ素基含有オリゴマーは水酸基含有オリゴマーに、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等の架橋性ケイ素基とイソシアネート基を有する化合物とを反応させることによって合成することができる。
(B成分:単官能(メタ)アクリレート)
B成分である単官能(メタ)アクリレートは、光硬化性粘着剤組成物に添加すると、粘着性を低下させずに粘度を低下させるので、組成物の塗布性(作業性)を向上させる観点から好ましい。単官能(メタ)アクリレートとしては、数平均分子量が1,000以下の単官能(メタ)アクリレートを用いることができる。単官能(メタ)アクリレートは、配合の容易性等の観点からは50℃で液状であることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(3)で表される単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH=CRCOO(C2mO)・・・(3)
ただし、一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、mは2〜4の整数、nは1〜20の整数、Rは水素原子又は非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のフェニル基を示す。
具体的に、単官能(メタ)アクリレートとして、一般式(3)でRが水素原子の化合物、脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;一般式(3)でRが非置換若しくは置換のアルキル基の化合物等のアルコキシ基を有する(メタ)アクリレート;一般式(3)でRが非置換若しくは置換のフェニル基の化合物、アリール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート;脂環式(メタ)アクリレート;複素環基を有する(メタ)アクリレート;アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。粘着剤の粘着性が優れている点で、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート、及び/又は一般式(3)の化合物が好ましく、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートが最も好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(4)で示される、極性連結基Aで連結された、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を一個有するモノマー(以後、「3Ac2HPM」と記す。)が挙げられ、酸素阻害が起きにくい観点から好ましい。
Figure 2019073979
一般式(4)中、Rは水素原子又はメチル基、Aは極性連結基、Rは有機基を示す。
極性連結基としては、(チオ)エーテル連結基、エステル(−O−CO−)連結基、ウレタン(−O−CO−NH−)連結基、アミン(−NR −)連結基(Rは置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を示す。2個のR基は同一でも異なっていてもよく、連結して環構造を有してもよい。)が挙げられる。連結基としては、酸素による重合阻害を抑制する観点から、エーテル(−O−)連結基、エステル連結基、ウレタン連結基が好ましく、エーテル連結基、ウレタン連結基がより好ましい。入手のし易さからエーテル連結基が最も好ましい。
の有機基としては、置換若しくは非置換のアルキレン基、置換若しくは非置換のフェニル基及び下記一般式(5)の基が挙げられる。
−(C2mO)・・・(5)
一般式(5)中、mは2〜4の整数、nは1〜20の整数、Rは水素原子又は非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のフェニル基を示す。Rの有機基としては炭素数が8〜18のアルキル基が好ましい。また、Rの有機基として3−トリエトキシシリルプロピル基等の架橋性ケイ素基含有基は、デュアルキュア(後硬化)し、接着性、及び高温時の粘着性を向上させる観点から好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例は以下の通りである。まず、炭素数が8〜20の長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
芳香族(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びo−フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;アルコキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等を挙げることができる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸のマイケル付加型多量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物等が挙げられる。
複素環基を有する(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられ、アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートとしては、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキセンオキサイド含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基、カルボキシル基、フェノキシ基等の極性基を有する(メタ)アクリレートは、粘着剤の凝集力を高め、粘着強度を向上させるので好ましい。
脂環式基を有する(メタ)アクリレートは硬化性が良く、粘着力が低下しにくく、性能バランスが良い点で好ましい。
B成分の配合割合は、A成分による粘着力を向上させる効果を発揮させる観点から、A成分(若しくは、A成分と後述のA成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体との合計)100質量部に対して2,000質量部以下が好ましく、1,000質量部以下がより好ましく、300質量部以下が最も好ましい。組成物の塗布作業性を向上させる観点から、100質量部に対して2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が最も好ましい。
(C成分:光開始剤)
(C)光開始剤としては、光ラジカル発生剤や、光塩基発生剤、光酸発生剤等を用いることができる。光ラジカル発生剤は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させる化合物である。本発明の組成物において、重合開始剤として(C)光開始剤を用いる場合、熱に弱い部材に対しても好適に用いることができるため、様々な用途に用いることができる。
[光ラジカル発生剤]
光ラジカル発生剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルケタール系、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアセトフェノン系、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のα−アミノアセトフェノン系、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系、1.2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル系、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン系、ベンゾインエーテル系、トリアジン系、ボレート系、カルバゾール系、イミダゾール系等、及びそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。
これらの中でもベンジルケタール系、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、及びチタノセン系の光重合開始剤は感度が高く、添加量が少なくて良いため好ましい。光源としてメタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、高圧水銀ランプ等の短波長(200nm以上280nm以下程度の波長)の紫外線を含有する光源を用いる場合、表面硬化性が良好で酸素阻害が発生しにくい観点から、短波長の紫外線に反応しやすいベンジルケタール系、α−ヒドロキシアセトフェノン系の光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。また、光源として比較的長波長の紫外線(280nmを超え、450nm以下程度の波長)を照射する紫外線を発光する発光ダイオード用いる場合(以下、紫外線発光ダイオードを「UV−LED」と称する。)、すなわち、長波長の紫外線(i線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)等)に対する感度が高く、比較的低い光エネルギーであっても十分に開裂反応が進行するα−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、及びチタノセン系の光ラジカル開始剤を用いることが好ましく、α−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、及びオキシムエステル系の光ラジカル開始剤は可視光に対する感度が低いため取り扱いやすいことから最も好ましい。
特に、光源としては、低消費電力で長寿命であり、オゾンが発生しないことからダクトが不要で、照射時の発熱が小さいことから被着体への熱ダメージが少なく、かつ、照射時のみ点灯させればよいメリットを有するUV−LEDを用いることが好ましいことから、長波長の活性エネルギー線に対する感度が高いα−アミノアセトフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系、及びチタノセン系の光重合開始剤を用いることが好ましい。一般的に、長波長の活性エネルギー線で光硬化性粘着剤組成物を硬化させる場合、短波長の活性エネルギー線で光硬化性粘着剤組成物を硬化させる場合と比べ、表面硬化性が悪く、酸素阻害の影響を受けやすい。しかし、本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、長波長の活性エネルギー線で硬化させる場合であっても、表面硬化性が良好であり、酸素阻害の影響を低減することができる。
[光塩基発生剤]
光塩基発生剤は、光を照射すると架橋性ケイ素基の硬化触媒としても作用するため、特に、A成分が架橋性ケイ素基を含有する場合や、光硬化性粘着剤組成物が(B)単官能(メタ)アクリレートを含み、当該(B)単官能(メタ)アクリレートが架橋性ケイ素基を含有する場合に高い効果を奏する。
光塩基発生剤としては、様々な光塩基発生剤を用いることができる。活性エネルギー線の作用によりアミン化合物を発生する光潜在性アミン化合物が好ましい。光潜在性アミン化合物としては、活性エネルギー線の作用により第1級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第1級アミン、活性エネルギー線の作用により第2級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第2級アミン、及び活性エネルギー線の作用により第3級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第3級アミンのいずれも用いることができる。発生塩基が高い触媒活性を示す点からは、光潜在性第3級アミンがより好ましい。
光潜在性第1級アミン及び光潜在性第2級アミンとしては、例えば、WO2015/088021号公報記載のオルトニトロベンジルウレタン系化合物;ジメトキシベンジルウレタン系化合物;カルバミン酸ベンゾイン類;o−アシルオキシム類;o−カルバモイルオキシム類;N−ヒドロキシイミドカルバマート類;ホルムアニリド誘導体;芳香族スルホンアミド類;コバルトアミン錯体等が挙げられる。
光潜在性第3級アミンとしては、例えば、WO2015−088021号公報記載のα−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体、ベンジルアミン誘導体、ベンジルアンモニウム塩誘導体、α−アミノアルケン誘導体、α−アンモニウムアルケン誘導体、アミンイミド類、光によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体、及びカルボン酸と3級アミンとの塩等が挙げられる。光塩基発生剤の中でも、発生塩基が高い触媒活性を示す点から光潜在性第3級アミンが好ましく、塩基の発生効率が高いこと及び組成物としての貯蔵安定性が良いこと等から、ベンジルアンモニウム塩誘導体、ベンジル置換アミン誘導体、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体が好ましい。
光開始剤を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。光開始剤は、その添加量は特に制限はないが、添加量が少ないと硬化が深部まで進行せず、硬化不良が生じる場合があるので、「A成分」又は「A成分及び後述するA成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体」100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、1重量部以上が更に好ましい。また、開始剤が多いと開始剤が残存し、硬化物性に悪影響が生じる場合があるので、添加量は「A成分」又は「A成分及び後述するA成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体」100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が更に好ましい。なお、本発明においてA成分は、A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体を含まなくてもよい。
(A成分、及び/又はB成分が架橋性ケイ素基を含有する場合)
また、A成分、及び/又はB成分が架橋性ケイ素基を含有する化合物である場合、組成物は、光開始剤として光塩基発生剤を含有することが好ましい。また、硬化促進剤として、Si−F結合を有するケイ素化合物を更に添加することもできる。組成物が含有するA成分、及び/又はB成分が架橋性ケイ素基を有することにより、組成物が光硬化した後、空気中の水分により組成物を後硬化させることができる。
Si−F結合を有するケイ素化合物としては、Si−F結合を有するケイ素基(以下、フルオロシリル基と称することがある)を含む様々な化合物を用いることができる。Si−F結合を有するケイ素化合物として無機化合物及び有機化合物のいずれも用いることができる。Si−F結合を有するケイ素化合物としてはフルオロシリル基を有する有機化合物が好ましく、フルオロシリル基を有する有機重合体が、安全性が高くより好適である。また、組成物が低粘度となる点からフルオロシリル基を有する低分子有機ケイ素化合物が好ましい。
Si−F結合を有するケイ素化合物の例としては、WO2015−088021号公報に記載のフルオロシラン、WO2015−088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する化合物、及びWO2015−088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する有機重合体等が挙げられる。
(D成分:粘着付与樹脂)
D成分である粘着付与樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ロジンエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、キシレンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂等の極性基を有する樹脂や、比較的極性の小さい芳香族系、脂肪族−芳香族共重合体系、又は脂環式系等の各種石油樹脂、若しくはクマロン樹脂、低分子量ポリエチレン樹脂、テルペン樹脂、及びこれらを水素添加した樹脂等の通常の粘着付与樹脂を用いることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの樹脂の具体例としては、芳香族系石油樹脂として、α−メチルスチレン単一重合樹脂[FTR Zeroシリーズ、三井化学(株)製]、スチレン系モノマー単一重合樹脂[FTR 8000シリーズ、三井化学(株)製]、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合系樹脂[FMRシリーズ、三井化学(株)製]、α−メチルスチレン/スチレン共重合系樹脂[FTR 2000シリーズ、三井化学(株)製]等の芳香族系スチレン樹脂が挙げられる。脂肪族−芳香族共重合体系石油樹脂として、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合系樹脂[FTR 6000シリーズ、三井化学(株)製]、スチレン系モノマー/α−メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合系樹脂[FTR 7000シリーズ、三井化学(株)製]等の脂肪族−芳香族共重合体系スチレン樹脂が挙げられる。
B成分に対する相溶性の観点から、Hoyの定数を用いてSmall法により算出した溶解度パラメータ(以下、原則「SP値」と略記する)は、7.9〜11.0が好ましく、8.2〜9.8がより好ましく、8.5〜9.5が最も好ましい。粘着剤の粘着力の観点から、被着体の極性に合わせた極性を有する樹脂を選択することが好ましい。粘着付与樹脂を極性の低い被着体に用いる場合は、極性の低い粘着付与樹脂を用いることが好ましく、極性の高い被着体に用いる場合は、極性の高い粘着付与樹脂を用いることが好ましい。極性が高い被着体から極性の低い被着体まで幅広い被着体に粘着付与樹脂を用いる場合には、極性の低い粘着付与樹脂と極性の高い粘着付与樹脂とを混合して用いることが好ましい。なお、テルペンフェノール樹脂の極性(SP値)は、YSポリスター(ヤスハラケミカル社製)のUシリーズがSP値8.69、TシリーズがSP値8.81、SシリーズがSP値8.98、GシリーズがSP値9.07、KシリーズがSP値9.32である。極性(SP値)を選択することにより、極性の低い被着体から極性の高い被着体まで、様々な極性の被着体に適応できる。
粘着付与樹脂としては、B成分との相溶性がよい観点からテルペンフェノール樹脂や芳香族系石油樹脂が好ましい。芳香族系石油樹脂としては芳香族系スチレン樹脂、脂肪族−芳香族共重合体系スチレン樹脂が好ましく、テルペンフェノール樹脂、脂肪族−芳香族共重合体系スチレン樹脂がより好ましい。粘着力が優れている観点からは、テルペンフェノール樹脂が最も好ましい。また、VOCの観点からは、脂肪族−芳香族共重合体系スチレン樹脂を用いることが好ましい
粘着付与樹脂の配合割合は、A成分、又はA成分及びB成分の100質量部に対して5〜200質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましい。粘着力を発揮させる観点から、5質量部以上が好ましく、硬化物の硬さを適正範囲に保ち、十分な粘着力を発揮させ、良好な作業性を確保する観点から200質量部以下が好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の組成物には、必要に応じて、A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体、多官能(メタ)アクリレート、アミド基を有するビニル系化合物、N−ビニル化合物、(メタ)アクリロイル(置換)アミノ基(CH=CR’C(=O)NR’’−;R’は水素又はメチル基を表し、R’’は水素又はアルキル基を表す))を有する化合物、シランカップリング剤、アミノ基含有シラン類、光アミノシラン発生化合物、増量剤、可塑剤、水分吸収剤、縮合反応促進触媒、光増感剤、光重合促進剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料、フィラー、希釈剤、重合禁止剤、固体ポリマー等の各種添加剤を加えてもよい。
(A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体)
A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体は、オリゴマー/ポリマー末端又は側鎖が(メタ)アクリロイル化された、数平均分子量が1,000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーである。
A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体としては、A成分を除くウレタン(メタ)アクリレート、アクリル系(メタ)アクリレート(例えば、カネカ社製の「RC−100C」、「RC−200C」、「RC−300C」、「RC−500C」、「MM110C」;特許第4786921号記載の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系重合体等)、ポリイソプレン(メタ)アクリレート(例えば、クラレ社製の「UC−1」;ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物等)等が挙げられる。
A成分を除くウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本合成社製「UV−3700B」、「UV−6100B」)、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート(例えば、日本合成社製「UV−2000B」、「UV−3000B」、「UV−7000B」、根上工業社製「KHP−11」、「KHP−17」)、非芳香族ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、根上工業社製「アートレジンUN−9200A」)、アクリル系(メタ)ウレタンアクリレート、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製「TE−2000」、「TEA−1000」)、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートの水素添加物(例えば、日本曹達社製「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製「BAC−45」)等が挙げられる。
A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体は、重量平均分子量が1,000〜50,000であり、硬化した粘着剤の柔軟性の観点からは、3,000〜45,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、低温時の柔軟性の維持・向上の観点から、10℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。他の成分と配合する場合における取扱い易さを確保する観点からは、50℃で液状を示すことが好ましく、20℃で液状を示すことがより好ましく、0℃で液状を示すことが更に好ましい。
(多官能(メタ)アクリレート)
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、又はペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの分子量は1,000未満である。多官能(メタ)アクリレートの配合割合は、A成分による酸素阻害の抑制効果を発揮させる観点から、A成分(若しくは、A成分とA成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体との合計)100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下が最も好ましい。高温条件下における十分な凝集力を確保する観点からは、100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が最も好ましい。
アミド基を有するビニル系化合物、N−ビニル化合物を用いた場合、粘着剤の凝集力をより向上させ、粘着性をより向上させることができる。本発明においては、アミド基を有するビニル系化合物、N−ビニル化合物は、反応性の点や、酸素阻害が生じにくい点から好ましい。
(アミド基を有するビニル系化合物)
アミド基を有するビニル系化合物としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム等のN−ビニル環状アミド;N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、(メタ)アクリルロイルモルフォリン等のアクリルアミド類が挙げられる。硬化性、物性及び安全性のバランスが良い点から、アクリロイルモルホリンが好ましい。
(N−ビニル化合物)
N−ビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。硬化性及び物性のバランスが良い点からN−ビニルピロリドンが好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は接着性付与剤として作用する。シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アミノ基含有シラン類と上記のシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性した変性アミノ基含有シラン類を用いてもよい。
(アミノ基含有シラン類)
アミノ基含有シラン類はシラノール縮合触媒として作用する。また、ケチミン型シラン類は水分の存在下でアミノ基含有シラン類を生成し、シラノール縮合触媒として作用する。したがって、アミノ基含有シラン類やケチミン型シラン類以外のシランカップリング剤を用いることが好ましい。また、アミノ基含有シラン類やケチミン型シラン類を用いる場合、それらの種類及び/又は使用量は、本発明の目的や効果が達成される範囲内で調整される。
(光アミノシラン発生化合物)
アミノ基含有シラン類やケチミン型シラン類は本発明において使用が制限される場合がある。しかし、接着性付与剤としてアミノ基含有シラン類やケチミン型シラン類を用いることが望ましい場合には、光照射前にはアミノ基を有する化合物を発生せず、光照射によりアミノ基含有シラン類を発生する化合物(以下、光アミノシラン発生化合物とも称する)を用いることができる。光アミノシラン発生化合物としては、WO2015/088021号公報記載の光官能基が、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、オキシム残基、ベンジル基、及びベンゾイル基や置換されたこれらの基等である化合物が挙げられる。光官能基がo−ニトロベンジル基である光アミノシラン発生化合物としては、2−ニトロベンジル−N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメイト、2−ニトロベンジル−N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバメイト、3,4−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメイト等が挙げられる。光官能基がp−ニトロベンジル基である光アミノシラン発生化合物としては、4−ニトロベンジル−N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメイト等が挙げられる。光官能基がベンジル基である光アミノシラン発生化合物としては、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル−N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメイト等が挙げられる。光官能基がオキシム残基である光アミノシラン発生化合物としては、ベンゾフェノンO−{[3−(トリメトキシシリル)プロピル]}オキシム等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合割合は特に制限はないが、組成物中に0.01〜20質量%が好ましく、0.025〜10質量%がより好ましい。これらシランカップリング剤は単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
(水分吸収剤)
水分吸収剤としては、前述したシランカップリング剤やシリケートを用いることが好ましい。シリケートとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラアルコキシシラン等、及びその部分加水分解縮合物が挙げられる。
(縮合反応促進触媒)
光塩基発生剤を除く他の架橋性ケイ素基の縮合反応促進触媒としては、公知の硬化触媒を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、有機金属化合物、アミン類、脂肪酸、有機酸性リン酸エステル化合物等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましい。シラノール縮合触媒としては、例えば、有機錫化合物;ジアルキルスズオキサイド;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;チタン酸エステル類;有機アルミニウム化合物類;チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;有機酸ビスマス等が挙げられる。これらの硬化触媒を用いる場合、光照射によらず架橋性ケイ素基の縮合反応が進行する場合があるため、本発明の目的や効果を達成できる範囲内で用いることが好ましい。
(光増感剤)
光増感剤としては、225−310kJ/molの三重項エネルギーを有するカルボニル化合物が好ましく、例えば、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントンとその誘導体、9,10−ジブトキシアントラセン等のジアルコキシアントラセン誘導体、2−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノンとその誘導体、3−アシルクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン等のクマリン誘導体等が挙げられ、チオキサントンとその誘導体及びクマリン誘導体が好ましく、チオキサントンとその誘導体、ベンゾフェノンとその誘導体、及びクマリン誘導体がより好ましい。
光増感剤の配合割合は特に制限はないが、組成物中に0.01〜5質量%が好ましく、0.025〜2質量%がより好ましい。これら光増感剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(光重合促進剤)
光重合開始剤による硬化反応を促進させる目的で光重合促進剤を開始剤と併用することができる。光重合促進剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の第3級アミン類;トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン類、トリフェニルホスフィンオキシド等のアリールホスフィンオキシド類、トリフェニルホスファイト等のアリールホスファイト類、トリフェニルホスフェート等のアリールホスフェート類等を含むホスフィン類(アリール基は置換を有することもできる。);β−チオグリコールで代表されるチオール類等を挙げることができる。好ましいホスフィン類は三官能性ホスフィン誘導体であり、トリアリールホスフィンがより好ましく、トリフェニルホスフィンが最も好ましい。
(フィラー)
フィラーとしては樹脂フィラー(樹脂微粉末)や無機フィラー、及び機能性フィラーを用いることができる。フィラーに、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン等で表面処理を施してもよい。樹脂フィラーとしては、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーを用いることができる。例えば、樹脂フィラーとして、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の有機質微粒子を用いることができる。なお、液晶表示装置の周辺部等の遮光性が要求される用途に用いる場合は、樹脂フィラーが黒色の樹脂フィラーを含んでいてもよい。長波長のLEDランプ等を用いた場合においても良好な深部硬化性を得ることができ、優れた遮光性と深部硬化性とを達成できる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ素、含水ケイ素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。
機能性フィラーとしては、例えば、特開2013−14734、特開2017−2267、特表2011−508012等に記載の導電性フィラー;特開2016−199668等に記載の断熱性や軽量性等に優れる中空粒子;特開2016−199669等に記載の遮音性、及び制振性等に優れるコアシェル粒子;特開2016−199670等に記載のガスバリア等に優れる層状ケイ酸塩;特開2016−199671等に記載の光反射性フィラー;特開2016−199750等に記載の電磁波遮蔽材等を用いることができる。
(希釈剤)
本発明では、引火点(開放式)が50℃以上の溶剤を希釈剤とする。希釈剤を含有することにより、粘度等の物性を調整できる。希釈剤としては、様々な希釈剤を用いることができる。希釈剤としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤、リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等のα−オレフィン誘導体、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
得られる組成物の安全性を考慮する場合、組成物の引火点が高い方が望ましく、組成物からの揮発物質が少ない方が好ましい。したがって、希釈剤の引火点は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。しかし、一般的に引火点が高い希釈剤は組成物に対する希釈効果が低くなる傾向があるので、引火点が250℃以下である希釈剤を用いることが好ましい。なお、2種類以上の希釈剤を混合する場合、混合液の引火点が上記の引火点である。
組成物の安全性、希釈効果の双方を考慮する場合、希釈剤としては、飽和炭化水素系溶剤が好ましく、ノルマルパラフィン、イソパラフィンがより好ましい。ノルマルパラフィン、イソパラフィンの炭素数は10〜16であることが好ましい。
希釈剤の配合割合は、A成分100質量部、若しくはA成分及びA成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体100質量部に対して、0〜50質量部の範囲で配合することが好ましく、0.1〜30質量部の範囲で配合することがより好ましく、0.1〜15質量部の範囲で配合することが更に好ましい。希釈剤は単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
組成物全体に対して液状媒体(揮発性溶剤、水)の含有量が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましく、液状媒体を実質的に含有しない組成(すなわち、実質的に無溶剤の組成)が最も好ましい。ここで液状媒体を「実質的に含有しない」とは、組成物が液状媒体を全く含有しないか、あるいはその含有量が組成物の0.1質量%以下であることをいう。ここでは、引火点が50℃以下の溶剤を揮発性溶剤とする。なお、例えば、液状媒体を含む形態の組成物では、支持体に付与した組成物を乾燥させた後に活性エネルギー線を照射することが好ましい。
(重合禁止剤)
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等のラジカル捕捉剤、リン系第二次酸化劣化防止剤、ジエチルヒドロキシルアミン、硫黄、t−ブチルカテコール、三ヨウ化カリウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等が挙げられる。重合禁止剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(固体ポリマー)
固体ポリマーとしては20℃において固体のポリマーを用いることができる。固体ポリマーとしては、各種モノマーの中から、その1種を単独で重合したホモポリマー、又は2種以上を共重合したコポリマー(ランダムポリマー又はブロックポリマー)が挙げられる。
コポリマーとしては、ガラス転移温度が0℃以上、好ましくは30℃以上の硬質ポリマーブロックAと、ガラス転移温度が0℃未満、好ましくは−10℃以下の軟質ポリマーブロックBとのブロックポリマーを用いることが好ましい。
係る硬質ポリマーブロックAと軟質ポリマーブロックBとのブロックポリマーとしては、スチレン系ポリマーブロックAと共役ジエン系ポリマー又はその水素添加物からなるポリマーブロックBとからなる非アクリル系ブロック共重合体が挙げられる。具体的には、スチレンとブタジエンやイソプレン等の共役ジエンとのブロック共重合体、若しくはその水素添加物が挙げられる。
また、ブロックポリマーとしては、スチレン又はその誘導体、メタクリル酸メチル等の硬質ポリマーブロックAと、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系ポリマーブロックBとからなる特開2003−277521号公報記載のアクリル系ブロック共重合体が特に好ましい。
アクリル系ブロック共重合体としては、溶解性、接着性、及び透明性の観点から、ポリメチルメタクリレート−ポリn−ブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレートのトリブロックコポリマーが好ましい。
(光硬化性粘着剤組成物を用いた接着方法)
本発明の接着方法は、粘着シートや粘着テープ等の粘着製品の製造方法ではなく、光照射により粘着剤となる原料を被着体に直接塗布し、被着体上に粘着剤を生成させ、これに他方の被着体を接着する方法である。すなわち、本発明の接着方法においては、光硬化性粘着剤組成物をテープ等の形体に成形してから用いることはなく、一方の被着体に直接塗布してそのまま他方の被着体への接着に用いる(つまり、他方の被着体は剥離ライナー等のようなフィルム等ではなく、実際に一方の被着体に接着される被着体である。)。
そして、本発明の接着方法の用途としては、電子・電気部品等の接着に用いることができ、特に電子部品の接着に適している。ここで、本発明において「現場施工用」とは、電子部品等を製造する現場において光硬化性粘着剤組成物をそのまま貼り合せのために用いることを指す。すなわち、本発明においては、粘着剤をテープ等の形状に加工して成型体を作製し、加工場所と異なる場所において当該成型体を用いるのではなく、本発明の光硬化性粘着剤組成物を一方の被着体にそのまま塗布し、その状態で(若しくはその現場で)他方の被着体に一方の被着体を貼り付ける用途を指す。
(光硬化性粘着剤組成物の製造方法)
光硬化性粘着剤組成物を製造する方法は特に制限はなく、例えば、A成分、及びC成分を所定量配合し、また、必要に応じてB成分及び/又は他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造できる。各成分及び他の配合物質の配合順は特に制限はなく、適宜決定できる。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は光照射により粘着性を発揮して硬化する組成物であって、常温(例えば、23℃)、空気中で硬化可能であり、常温光硬化型硬化性粘着剤として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、光照射されると粘着性を発揮して硬化する。この硬化により粘着剤を得ることができる。また、本発明に係る光硬化性粘着剤組成物を用い、電子回路、電子部品、建材、自動車等の様々な粘着剤含有製品を製造できる。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物に対し、光を照射する条件としては特に制限はないが、硬化時に活性エネルギー線を照射する場合、活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線による硬化が利用できる。なお、紫外線には、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等も含まれる。活性エネルギー線源としては、特に限定されないが、用いる光開始剤の反応波長に応じ、適宜、選択できる。例えば、光源としては、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ(インジウム等を含有する)、無電極ランプ(フュージョンランプ)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、水銀−キセノンランプ、アルゴンレーザー、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、LED等が挙げられる。
これらの光源は、各々放射波長、及びエネルギー分布が異なる。したがって、これらの光源は光開始剤の反応波長等に応じて選択することが好ましい。また、活性エネルギー線を間欠的に照射できるキセノン−フラッシュランプやLEDは、被着体への熱の影響を最小限に抑えることができることから好ましい。特に、低消費電力で長寿命等のメリットを有するUV−LEDは、他の紫外線ランプに比べて放射熱が低く、サイズが小さく光照射装置の設計の自由度が高いことからより好ましい。UV−LEDの発光波長としては、光重合開始剤との組み合わせに応じて選択できるが、280nm以上450nm以下が好ましく、300nm以上450nm以下がより好ましく、350nm以上450nm以下が更に好ましい。また、LEDは前述したメリットを有し、また、互いに発光波長の異なる複数のLEDを組合わせることもできることから、光源としてはUV−LEDが最も好ましい。
照射エネルギーとしては、例えば紫外線の場合、10〜20,000mJ/cmが好ましく、20〜10,000mJ/cmがより好ましく、50〜5,000mJ/cmが更に好ましい。10mJ/cm未満では硬化性が不十分となる場合があり、20,000mJ/cmより大きいと、必要以上に光照射しても時間とコストが無駄になり、基材を傷めてしまう場合がある。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物の被着体への塗布方法は特に制限はないが、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロール印刷、ディスペンサー塗布、スピンコート等の塗布方法が好適に用いられる。
また、光硬化性粘着剤組成物の被着体への塗布及び光照射の時期に制限はない。例えば、光硬化性粘着剤組成物に光を照射させた後、被着体と接合し、製品(すなわち、接着体)を製造できる。また、光硬化性粘着剤組成物を被着体に塗布し、光を照射することにより光硬化性粘着剤組成物を硬化させて製品を製造できる。
また、例えば、被着体同士を貼り合わせる場合、少なくとも一方の被着体に本発明に係る光硬化性粘着剤組成物を塗布する(塗布工程)。塗布工程においては、一方の被着体に光硬化性粘着剤組成物を塗布しても、又は双方の被着体のそれぞれに光硬化性粘着剤組成物を塗布してもよい。なお、塗布工程を簡略化する観点からは、一方の被着体のみに光硬化性粘着剤組成物を塗布することができる。次に、この光硬化性粘着剤組成物に光を照射する(光照射工程)。光照射により光硬化性粘着剤組成物が粘着性を発揮する。続いて、光照射後、一方の被着体に塗布され、光が照射された光硬化性粘着剤組成物に他方の被着体を接触させる。すなわち、一方の被着体に塗布された光硬化性粘着剤組成物を他方の被着体で挟むことで、一方の被着体に他方の被着体が貼り合わされる(貼り合せ工程)。そして、一方の被着体に他方の被着体を接着させる(接着工程)。これにより、被着体同士が接着された製品(すなわち、接着体)が製造される。ただし、他方の被着体としては、粘着面の保護用シート等の保護部材を除く。これは、本発明の接着方法に用いる光硬化性粘着剤組成物が現場施工用に好適であり、一方の被着体と他方の被着体とが光硬化性粘着剤組成物で直接、接着されるからである。
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、作業性に優れた速硬化型の組成物であり、その硬化物を粘着剤として好適に用いることができる。
(実施の形態の効果)
本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、光照射前は液状のため被着体に直接塗布でき、形状が複雑な被着体に対しても容易に塗布できる。そして、光硬化性粘着剤組成物は、外気から遮断しなくても(酸素存在下であっても)、光照射によりすばやく粘着性を発揮する。したがって、本発明に係る光硬化性粘着剤組成物によれば、一方の被着体に光硬化性粘着剤組成物を塗布、光照射した後、粘着性を発揮した光硬化性粘着剤組成物に他方の被着体を貼り合わせることができるので、被着体が紫外光等の光を透過しない場合であっても、複数の被着体同士を容易に貼り合わせることができる。
すなわち、本発明に係る光硬化性粘着剤組成物は、活性エネルギー線未照射時は硬化せず、外気から遮断せずに酸素存在下であっても(すなわち、フィルム等で覆わなくても)活性エネルギー線照射により硬化する組成物であって、活性エネルギー線照射後の立ち上がり粘着性に優れた速硬化性を有する組成物である。したがって、光照射後に所定の貼り合わせ可能時間を確保できる。更に、本発明では光源としてUV−LEDを用いることができ、この場合、被着体に対するダメージを軽減できる。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1:C12MAcの合成)
C12、13混合アルコールグリシジルエーテルとアクリル酸とを1mol:2molの比率で、特開2013−82895号公報の実施例1に準じて合成した。過剰のアクリル酸を除去して、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル基を有するC12−13混合アルコールのエーテル(C2nOCHCH(OH)CHOC(=O)CH=CH;n=12、13)を主成分とした常温で液状のC12MAcを得た。この化合物のIRスペクトル測定の結果、カルボン酸由来の−OH伸縮の吸収が消失していることが確認された。また、グリシジル基開環に起因する−OH伸縮ピークが生じていることが確認された。
上記合成反応中に、C12、13混合アルコールグリシジルエーテルのエポキシ基は開環し、アクリル酸とエステル結合を生じて結合する。この開環はα位及びβ位のいずれでも起こるが、α位で開環したα付加体が主成分となり、β位で開環したβ付加体が副成分となる。通常、α付加体とβ付加体との生成割合は、モル比で100/0.01〜100/70であり、好ましくは100/0.1〜100/50である。合成例1では、通常はα付加体である化合物を主成分とし、β付加体を副成分とした生成物が得られる。主成分であるα付加体を単離する場合、生成物を公知の分離方法によって分離することで単離できる。合成例1においては、α付加体とβ付加体とを含む混合物をA成分のモノアクリレートとして得ている。すなわち、合成例1で得られる生成物は、上記合成法で得られる生成物にβ付加体の全部又は一部を残したものであり、α付加体を主成分とする組成物である。ここで、「主成分」は、生成物中に60モル%以上含む成分をいい、「副成分」は、40モル%以下含む成分をいう。
(合成例2:ウレタンアクリレート(BO−3U)の合成)
特開2000−128911号公報記載のチオグリセロールを用いた反応で得られたアクリル酸n−ブチル(BA)骨格の水酸基含有オリゴマー(PBA1;数平均分子量10,000、片末端に1級及び2級水酸基が各一個存在している。)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)3.8gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のBA骨格のウレタンプレポリマー(PU−BA)103.8gにグリセリンモノメタクリレート3.7gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が22,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基が片末端に2個ついたBA骨格のウレタンアクリレート(BO−3U)得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。なお、数平均分子量は送液システムとして東ソー製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK−GELHタイプを用い、溶媒はTHFを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算分子量である。
(合成例3:ウレタンアクリレート(BO−2U)の合成)
特開2000−344823号公報記載の2−メルカプトエタノール及びメタロセン化合物を用いた反応で得られたアクリル酸n−ブチル(BA)骨格の水酸基含有オリゴマー(PBA2;数平均分子量12,000、片末端に1級水酸基が存在している。)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)1.7gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のBA骨格のウレタンプレポリマー(PU−BA2)101.7gにグリセリンモノメタクリレート1.6gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が14,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基が片末端に1個ついたBA骨格のウレタンアクリレート(BO−2U)得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(合成例4:ウレタンアクリレート(PPG3000)の合成)
PPG(ポリプロピレングリコール、Mw/Mn=1.0、数平均分子量:3,000)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)6.3gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のPPG骨格のウレタンプレポリマー(PU−PPG3000)106.3gにグリセリンモノメタクリレート5.9gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が8,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基両末端のPPG骨格のウレタンアクリレート(PPG3000)を得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(合成例5:ウレタンアクリレート(DL−10000)の合成)
PPG(ポリプロピレングリコール、Mw/Mn=1.1、数平均分子量:10,000)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)4.0gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のPPG骨格のウレタンプレポリマー(PU−PPG10000)104.0gにグリセリンモノメタクリレート3.9gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が32,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基両末端のPPG骨格のウレタンアクリレート(DL−10000)を得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(合成例6:ウレタンアクリレート(T6000)の合成)
PPT(ポリプロピレントリオール、Mw/Mn=1.1、数平均分子量:6,000)100gにキシリレンジイソシアネート(XDI)9.9gを反応させて得た、イソシアネート基両末端のPPT骨格のウレタンプレポリマー(PU−PPT6000)109.9gにグリセリンモノメタクリレート9.7gと重合禁止剤(ヒドロキノン)0.05gとを加え、70℃で24時間反応させ、数平均分子量が19,000であり、常温で液状のメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル基両末端のPPT骨格のウレタンアクリレート(T6000)を得た。IRスペクトル測定の結果、イソシアネート基由来の−NCOの吸収が消失し、水酸基由来の−OH伸縮の吸収が残っていることが確認された。
(実施例1)
表1に示す配合割合で、攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管、及び水冷コンデンサーを装着したフラスコに、各配合物質をそれぞれ添加し、混合撹拌して実施例1に係る光硬化性粘着剤組成物を調製した。
Figure 2019073979
表1において、各配合物質の配合量の単位は「g」である。また、配合物質の詳細は下記の通りである。なお、各A成分は上記合成例2〜6で合成した化合物を用いた。また、B成分のC12MAcは、上記合成例1で合成した化合物を用いた。
(A’成分:A成分を除く(メタ)アクリロイルオキシ基含有重合体)
RC−500C(カネカXMAP RC−500C;株式会社カネカ製、両末端に(メタ)アクリル基を有するポリブチルアクリレート)
MM110C(カネカXMAP MM110C;株式会社カネカ製、片末端に(メタ)アクリル基を有するポリブチルアクリレート)
(B成分:単官能(メタ)アクリレート)
HPPA(アロニックスM−5700;東亞合成株式会社製、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート)
M−5300(アロニックスM−5300;東亞合成株式会社製、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒ 2)モノアクリレート)
4−HBA(4−HBA;大阪有機化学工業株式会社製、4−ヒドロキシブチルアクリレート)
IBXA(IBXA;大阪有機化学工業株式会社製、イソボルニルアクリレート)
(C成分:光開始剤)
IrgTPO(IrgacureTPO;BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
(D成分:粘着付与樹脂)
YS−K125(YSポリスターK125;ヤスハラケミカル社製;テルペンフェノール樹脂)
(剥離接着強さ試験)
実施例1に係る光硬化性粘着剤組成物を第1の被着材(PETフィルム)にガラス棒を用いて厚さが200μmとなるように塗布した。次に、第1の被着材上の光硬化性粘着剤組成物に紫外線(UV)を照射した[照射条件:UV−LEDランプ(波長365nm、照度:1000mW/cm)、積算光量:3000mJ/cm]。UV照射後、直ちに、25mm×80mmの面積で第2の被着材(オーステナイト系ステンレス)を、UV照射された光硬化性粘着剤組成物を挟むように第1の被着材に貼り合わせ、2kgのローラーを用いて圧力を加えた。これにより試験片を作製した。そして、試験片に圧力を加えた直後に、JIS K6854−2(接着剤―剥離接着強さ試験方法 第2部:180度剥離方法)に準拠し、試験速度200mm/分で剥離強度を測定した。試験結果を表1に示す。実施例2〜14、及び比較例1〜2についても同様に試験した。
表1を参照すると分かるように、実施例1〜14においては、剥離接着強さ試験において少なくとも15(N/25mm)以上の良好な特性を示した。一方、比較例1〜2においてはいずれも、剥離強度が10(N/25mm)を超えなかった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、
    (C)光開始剤と
    を含有する光硬化性粘着剤組成物。
    Figure 2019073979
    (一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
  2. (B)単官能(メタ)アクリレートを更に含有する請求項1に記載の光硬化性粘着剤組成物。
  3. (D)粘着付与樹脂を更に含有する請求項1又は2に記載の光硬化性粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性粘着剤組成物の硬化物を有する製品。
  5. 複数の被着体を接着する方法であって、
    (A)下記一般式(1)で表されるウレタン結合を介して連結される3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基を末端に有するウレタンオリゴマーと、
    (C)光開始剤と
    を含有する光硬化性粘着剤組成物を少なくとも一方の被着体に塗布する塗布工程と、
    前記一方の被着体に塗布された光硬化性粘着剤組成物に酸素存在下でLEDから発せられる光を照射する光照射工程と、
    前記一方の被着体に塗布され、前記光が照射された前記光硬化性粘着剤組成物に他方の被着体(ただし、他方の被着体として粘着面の保護用シートを除く)を接着する工程と
    を備える接着方法。
    Figure 2019073979
    (一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
  6. 前記光硬化性粘着剤組成物が、(B)単官能(メタ)アクリレートを更に含有する請求項5に記載の接着方法。
  7. 前記光硬化性粘着剤組成物が、(D)粘着付与樹脂を更に含有する請求項5又は6に記載の接着方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の接着方法を用いて製造される接着体の製造方法。
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