JPWO2019073876A1 - ナノカーボン分離装置、ナノカーボンの分離方法 - Google Patents

ナノカーボン分離装置、ナノカーボンの分離方法 Download PDF

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Abstract

ナノカーボンを含む分散液を保持可能な多孔構造と、前記多孔構造の上端の少なくとも一部に接触するように配置された第1の電極と、前記多孔構造の下端の少なくとも一部に接触するように配置された第2の電極と、を備えることを特徴とするナノカーボン分離装置。

Description

本発明は、ナノカーボン分離装置およびナノカーボンの分離方法に関する。
近年、ナノメートル領域のサイズを有する炭素材料(以下、「ナノカーボン」という。)は、その機械的特性、電気的特性、化学的特性等から様々な分野への適用が期待されている。
ナノカーボンは、製造の段階で、性質の異なるナノカーボンが同時に生成される場合がある。電気的特性の異なるナノカーボンが混合した状態で、そのナノカーボンを電子材料として用いた場合、特性の低下等の問題が生じる可能性がある。そこで、性質の異なるナノカーボンを分離することが必要である。
ナノカーボンを分離するために、特許文献1には、導入配置する工程と、分離する工程と、を含むナノカーボン材料分離方法が記載されている。導入配置する工程は、異なる複数の電荷を持つナノカーボンミセル群に分散した、ナノカーボン材料の分散溶液と、該ナノカーボン材料と異なる比重を持つ保持溶液とを、電気泳動槽内に所定の方向に積層して導入配置する工程である。分離する工程は、該積層して導入配置した分散溶液と保持溶液に、直列方向に電圧を印加することにより、該ナノカーボンミセル群を2以上のナノカーボンミセル群に分離する工程である。
国際公開第2010/150808号
しかし、特許文献1に記載の分離方法では、分離の開始時や終了時の分離溶液の導入・回収において、攪乱無く精緻に液体を出し入れする必要がある。そのため、分離溶液の導入・回収時に必要な時間が長くなる、という課題があった。
本発明は、性質の異なるナノカーボンの分離において、電気泳動槽内への分離溶液の導入・回収時の攪乱等による影響を抑制し、導入・回収を効率的に行えるようにした、ナノカーボン分離装置およびナノカーボンの分離方法を提供することを目的とする。
本発明のナノカーボン分離装置は、ナノカーボンを含む分散液を保持可能な多孔構造と、前記多孔構造の上端の少なくとも一部に接触するように設けられた第1の電極と、前記多孔構造の下端の少なくとも一部に接触するように設けられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に直流電圧を印加する直流電源と、を備える。
本発明のナノカーボンの分離方法は、ナノカーボンを含む分散液を多孔構造に保持させる工程と、前記多孔構造の上端の少なくとも一部に第1の電極を接触させ、前記多孔構造の下端の少なくとも一部に第2の電極を接触させる工程と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に直流電圧を印加して、前記分散液に含まれる金属型ナノカーボンを前記第1の電極側に移動させるとともに、前記分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを前記第2の電極側に移動させて、前記金属型ナノカーボンと前記半導体型ナノカーボンを分離する工程と、を有する。
本発明によれば、性質の異なるナノカーボンの分離において、電気泳動槽内への分離溶液の導入・回収時の攪乱等による影響を抑制し、導入・回収を効率的に行うことが可能となる。
第1の実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。 第1の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第1の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第1の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第1の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第1の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 実施形態のナノカーボンの分離方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。 第2の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第2の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第2の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第2の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第2の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第3の実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。 第3の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第3の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第3の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第3の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第4の実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。 第4の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第4の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第4の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第4の実施形態のナノカーボンナノカーボンの分離方法を示す模式図である。 第5の実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。
本発明のナノカーボン分離装置およびナノカーボンの分離方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[第1の実施形態]
(ナノカーボン分離装置)
図1は、本実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。
本実施形態のナノカーボン分離装置10は、ナノカーボンを含む分散液を保持可能な多孔構造11と、多孔構造11の上端(上面)11aに接触するように配置された第1の電極12と、多孔構造11の下端(下面)11bに接触するように配置された第2の電極13と、を備える。また、本実施形態のナノカーボン分離装置10は、第1の電極12と第2の電極13との間に直流電圧を印加する直流電源14を備えていてもよい。直流電源14は、ケーブル15を介して第1の電極12に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極13に電気的に接続されている。
多孔構造11は、例えば、図1に示すように、内部に細かな孔(以下、「細孔」と言う。)が無数に空いた多孔質の柔らかい物体であるスポンジからなる。
多孔構造11の外形は、ナノカーボンを含む分散液(以下、「ナノカーボンの分散液」と言う。)を浸潤させて、そのナノカーボンの分散液を保持可能な外形であれば、特に限定されない。多孔構造11の外形としては、例えば、円柱形状、三角柱状、四角柱状、五角以上の多角柱状等が挙げられる。
多孔構造11をなすスポンジは、特に限定されない。スポンジの材質は、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンとを含む分散液(以下、「ナノカーボンの分散液」と言う。)に対して安定であり、かつ絶縁性の材質であれば特に限定されない。スポンジは、内部に細かな孔が無数に空いた多孔質体である。スポンジとしては、天然の海綿からなるもの、合成樹脂からなる人造のスポンジ等が挙げられる。また、多孔構造11には、スポンジの代わりに、ゲル、軽石等が用いられてもよい。
また、多孔構造11は、厚さ方向に沿って積み重ねられた複数の領域を有していてもよい。すなわち、多孔構造11は、所定の厚みの板状の単位が複数積層されてなるものであってもよい。厚さ方向は、例えば、図1における上下方向である。換言すると、厚さ方向は、例えば、ナノカーボンが分離する方向である。複数の単位(領域)は、互いに厚みが等しくてもよく、厚みが異なっていてもよい。多孔構造11が、厚さ方向に沿って積み重ねられた複数の領域を有していれば、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離した後、それぞれのナノカーボンが含まれる領域のみを取り出すことができる。
多孔構造11の大きさ(高さ、外径、体積等)は、特に限定されず、多孔構造11に保持させるナノカーボンの分散液の量に応じて、適宜調整される。
多孔構造11における多孔率(多孔度)は、ナノカーボンミセルが通過でき、かつ、連続的に孔がつながり、上下の電極間に対して電位勾配が形成されるならば、いかなる多孔率をとっても良い。例えば、合成スポンジを用いた多孔構造11における多孔率(多孔度)は、80%以上99.9%以下であることが好ましく、90%以上99%以下であることがより好ましい。一例を挙げるならば、空孔率98.5%であるウレタンフォーム製吸水用スポンジ(そのような例;トラスコ中山TRUSCO 吸水スポンジ)を用いることができる。
多孔構造11における多孔率が80%以上であれば、多孔構造11の全域において、細孔が連通する。このため、ナノカーボン分離装置10を用いたナノカーボンの分散液の分離において、多孔構造11が、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの移動を妨げることがない。これにより、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを効率的に分離することができる。一方、多孔構造11における多孔率が99.9%以下であれば、多孔構造11に浸潤させたナノカーボンの分散液を、多孔構造11へと安定に保持可能である。
多孔構造11の多孔率は、多孔構造11の総体積に対して、多孔構造11の細孔が占める割合である。多孔構造11の多孔率は、例えば、下記の式(1)で表わされる。
a1/A1×100・・・(1)
すなわち、多孔構造11の多孔率は、多孔構造11の細孔の全体積a1と、細孔を含む多孔構造11の全体積A1との比の百分率で表わされる。
多孔構造11の多孔率を求める方法としては、例えば、細孔を含む多孔構造11の見かけの比重d1と、含む多孔構造11の真の比重D1とを求め、それらの比重に基づいて、多孔構造11の多孔率を算出する方法が挙げられる。この方法では、下記の式(2)に基づいて、多孔構造11の多孔率を算出する。
(D1−d1)/D1×100・・・(2)
多孔構造11の細孔の大きさ、すなわち、細孔の内径は、40nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。また、多孔構造11の細孔の内径は、1cm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。
多孔構造11の細孔の内径が40nm以上であれば、ナノカーボン分離装置10を用いたナノカーボンの分散液の分離において、多孔構造11が、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの移動を妨げることがない。これにより、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを効率的に分離することができる。
なお、多孔構造11の細孔の形状は、不定形であり、例えば、球体状、回転楕円体状等をなしている。そのため、多孔構造11の細孔の内径とは、細孔が球体状をなす場合には球体の直径、細孔が回転楕円体状をなす場合には回転楕円体の長径、細孔が球体状および回転楕円体状以外の形状をなす場合にはその形状の最も長い部分の長さのこととする。
多孔構造11の細孔の大きさを求める方法としては、例えば、多孔構造11を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で観察し、その顕微鏡像から細孔の大きさを実測する方法等が挙げられる。
多孔構造11は、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの分離状態を確認し易くするために、透明、乳白色半透明(裏が透けて見える白色)、乳白色(裏が透けない、透明ではない白色)であることが好ましい。金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの分離が進行すると、ナノカーボンの直径とカイラリティに応じて、ナノカーボンの分散液は呈色する。そこで、多孔構造11の色を背景として、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの分離状態を、目視にて確認することが好ましい。
本実施形態のナノカーボン分離装置10において、第1の電極12が陰極、第2の電極13が陽極である。この場合、第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加すると、電界の向きが多孔構造11の下端11bから上端11aへ向かう。
第1の電極12および第2の電極13は、電気泳動法に用いることができ、ナノカーボンの分散液に対して安定なものであれば特に限定されない。第1の電極12および第2の電極13としては、例えば、白金電極等が挙げられる。
第1の電極12は、多孔構造11の上端11aに接触して、多孔構造11の上端11aに固定されている。第2の電極13は、多孔構造11の下端11bに接触して、多孔構造11の下端11bに固定されている。
第1の電極12および第2の電極13の構造は、特に限定されず、多孔構造11の形状や大きさ等に応じて適宜選択される。第1の電極12および第2の電極13の構造としては、例えば、多孔構造11の平面視において、円環状、円板状、棒状等が挙げられる。また、第1の電極12および第2の電極13の構造としては、例えば、多数の微細孔が均質に設けられた多孔板状が挙げられる。
なお、図1では、多孔構造11の上端11aのほぼ全面に第1の電極12が設けられ、多孔構造11の下端11bのほぼ全面に第2の電極13が設けられた場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置10はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置10では、第1の電極12と第2の電極13との間に充分に直流電圧を印加することができれば、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極12が設けられていればよく、また、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極13が設けられていればよい。
図1に示すように、多孔構造11が平板等の基板20の面20a上に配置された状態で、多孔構造11の上端11aに設けられた第1の電極12上に錘17が配置されていることが好ましい。このようにすれば、多孔構造11と、第1の電極12および第2の電極13との密着度を高くすることができる。
また、多孔構造11と、第1の電極12および第2の電極13との密着度を高くするためには、次のように構成されることが好ましい。すなわち、多孔構造11の上端11aに第1の電極12が接触して設けられ、かつ多孔構造11の下端11bに第2の電極13が接触して設けられた状態で、第1の電極12および第2の電極13を多孔構造11の厚み方向に挟み込む手段が設けられることが好ましい。
直流電源14は、第1の電極12と第2の電極13との間に直流電圧を印加することができるものであれば特に限定されない。
本実施形態のナノカーボン分離装置10では、第1の電極12が陰極、第2の電極13が陽極である場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置10はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置10にあっては、第1の電極12が陽極、第2の電極13が陰極であってもよい。
本実施形態のナノカーボン分離装置10によれば、第1の電極12と第2の電極13の間に、ナノカーボンの分散液を保持可能な多孔構造11を設ける。これにより、例えば、後述するナノカーボンの分離方法を実施する、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程において、次のことを実現できる。すなわち、攪乱や精緻な作業を行わずに、速やかに電極間にナノカーボン分散液を導入し、分離を開始することができる。また、分離終了後の回収においても、分散溶液の攪乱による混合の影響を受けることなく、速やかに回収することができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図1〜図7を用いて、ナノカーボン分離装置10を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、ナノカーボン分離装置10の作用を説明する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、保持工程と、接触工程と、分離工程とを有する。保持工程では、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させる。接触工程では、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極12を接触させ、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極13を接触させる。分離工程では、第1の電極12と第2の電極13との間に直流電圧を印加して、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンを第1の電極12側に移動させるとともに、ナノカーボンの分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを第2の電極13側に移動させて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する。
また、本実施形態のナノカーボンの分離方法は、分離工程の後に、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを回収する工程(以下、「回収工程」と言う。)を有していてもよい。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、ナノカーボンとは、例えば、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイス卜、グラフェン、フラーレン等の主に炭素から構成される炭素材料を意味する。本実施形態のナノカーボンの分離方法では、ナノカーボンとして単層カーボンナノチューブを含むナノカーボンの分散液から、半導体型単層カーボンナノチューブと、金属型単層カーボンナノチューブと、を分離する場合について詳述する。
単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き方によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分かれることが知られている。従来の製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する金属型単層カーボンナノチューブと半導体的な性質を有する半導体型単層カーボンナノチューブが統計的に1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合物が得られる。
単層カーボンナノチューブの混合物は、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを含むものであれば特に制限されない。また、本実施形態における単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ単体であってもよいし、一部の炭素が任意の官能基で置換された単層カーボンナノチューブや、任意の官能基で修飾された単層カーボンナノチューブであってもよい。
まず、単層カーボンナノチューブの混合物が、界面活性剤とともに分散媒に分散した単層カーボンナノチューブ分散液(図2に示すナノカーボンの分散液30)が調製される。
分散媒としては、単層カーボンナノチューブの混合物を分散させることができるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、水(軽水)、重水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。これらの分散媒の中でも、単層カーボンナノチューブが変質しないという理由から、水または重水が好適に用いられる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等が用いられる。単層カーボンナノチューブにナトリウムイオン等のイオン性の不純物が混入することを防ぐためには、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、イオン化しない親水性部位とアルキル鎖等の疎水性部位とを有する非イオン性界面活性剤が用いられる。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このような非イオン性界面活性剤としては、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。
CnH2n(OCH2CH2)mOH (1)
(但し、n=12〜18、m=20〜100である。)
上記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(商品名:BrijL23、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(商品名:BrijC20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(商品名:BrijS20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(商品名:BrijO20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:BrijS100、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(分子式:C64H126O26、商品名:Tween60、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子式:C24H44O6、商品名:Tween85、シグマアルドリッチ社製)、オクチルフェノールエトキシレート(分子式:C14H22O(C2H4O)n、n=1〜10、商品名:TritonX−100、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(分子式:C8H17C6H40(CH2CH20)40H、商品名:TritonX−405、シグマアルドリッチ社製)、ポロキサマー(分子式:C5H10O2、商品名:Pluronic、シグマアルドリッチ社製)、ポリビニルピロリドン(分子式:(C6H9NO)n、n=5〜100、シグマアルドリッチ社製)等を用いることもできる。
単層カーボンナノチューブ分散液における非イオン性界面活性剤の含有量は、0.1wt%以上5wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以上2wt%以下であることがより好ましい。
非イオン性界面活性剤の含有量が0.1wt%以上であれば、電気泳動法によって、分離槽20内にて、単層カーボンナノチューブ分散液のpH勾配を形成することができる。
一方、非イオン性界面活性剤の含有量が5wt%以下であれば、単層カーボンナノチューブ分散液の粘度が高くなり過ぎることがない。このため、電気泳動法によって容易に、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離することができる。
単層カーボンナノチューブ分散液における単層カーボンナノチューブの含有量は、1μg/mL以上100μg/mL以下であることが好ましく、5μg/mL以上40μg/mL以下であることがより好ましい。
単層カーボンナノチューブの含有量が上記の範囲であれば、電気泳動法によって容易に、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離することができる。
単層カーボンナノチューブ分散液を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、単層カーボンナノチューブの混合物と界面活性剤を含む分散媒の混合液を超音波処理して、分散媒に、単層カーボンナノチューブの混合物を分散させる方法が挙げられる。この超音波処理により、凝集していた金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが充分に分離する。これにより、単層カーボンナノチューブ分散液は、分散媒に金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが均一に分散したものとなる。したがって、後述する電気泳動法により、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離し易くなる。なお、超音波処理により分散しなかった金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブは、超遠心分離により分離、除去することが好ましい。
次いで、保持工程にて、多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液を保持させる工程が行われる(図7のST1)。
保持工程では、図2に示すように、分散液槽40内に多孔構造11が配置される。続いて、分散液槽40内に単層カーボンナノチューブ分散液が注入され、分散液槽40内の多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液が浸潤し、多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液が保持される。
保持工程により単層カーボンナノチューブ分散液を保持した多孔構造11は、保持された分散液が失われない限り、多孔構造11のまま用いられても良いし、その多孔構造の周囲に液体の蒸散を防ぐ構造(被覆材)を取り付けられても良い。液体の蒸散を防ぐ被覆材の例としては、溶媒が通り抜けないものならばいかなる物も用いることができる。被覆材として、例えば、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリアクリロニトリルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムのような高分子フィルムや、油紙やパラフィルムなどの紙、ゴムフィルム、ゴムチューブ、ガラス膜による筐体やガラスチューブ、薄いプラスチック筐体、を用いることができる。また、多孔構造11の上部、下部と周辺部の被膜材が、それぞれ分割されている構造をとることにより、後に示す接触工程において、上部及び下部へと用意に電極を接触させることができる。
次いで、接触工程にて、図3に示すように、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極12を接触させ、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極13を接触させる工程が行われる(図7のST2)。
ここでは、予め、直流電源14が、ケーブル15を介して第1の電極12に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極13に電気的に接続されている。
また、多孔構造11と、第1の電極12および第2の電極13との密着度を高くするためには、多孔構造11の上端11aに設けられた第1の電極12上に錘17を配置することが好ましい。
次いで、分離工程にて、図4に示すように、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブを第1の電極12側に移動させるとともに、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる半導体型単層カーボンナノチューブを第2の電極13側に移動させる工程が行われる。これにより、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離する(図7のST3)。
第1の電極12と第2の電極13に、所定時間(例えば、1時間〜24時間)、直流電圧を印加することにより、多孔構造11内にて、電界が形成される。具体的には、電界の向きが多孔構造11の下方から上方へ向かうように電界が形成される。この電界と、単層カーボンナノチューブの電荷とにより生じる電気泳動力により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる単層カーボンナノチューブの混合物が、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとに分離される。
界面活性剤を含む単層カーボンナノチューブ分散液中では、金属型単層カーボンナノチューブが正電荷を有し、半導体型単層カーボンナノチューブが極めて弱い負電荷を有する。
したがって、第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加すると、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる単層カーボンナノチューブの混合物のうち、金属型単層カーボンナノチューブが第1の電極12(陰極)側に移動し、半導体型単層カーボンナノチューブが第2の電極13(陽極)側に移動する。その結果として、図5に示すように、単層カーボンナノチューブ分散液は、分散液相Aと、分散液相Bと、分散液相Cとの3相に相分離する。分散液相Aは、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Bは、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Cは、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液相である。
本実施形態では、第1の電極12側に分散液相Aが形成され、第2の電極13側に分散液相Bが形成される。
第1の電極12と第2の電極13に印加する直流電圧は、特に限定されず、第1の電極12と第2の電極13との間の距離や単層カーボンナノチューブ分散液における単層カーボンナノチューブの混合物の含有量等に応じて適宜調整される。
単層カーボンナノチューブ分散液の分散媒として、水または重水を用いた場合、第1の電極12と第2の電極13に印加する直流電圧を、0Vより大きく、1000V以下の間の任意の値とする。
例えば、第1の電極12と第2の電極13の距離(電極間距離)が30cmである場合、第1の電極12と第2の電極13に印加する直流電圧は、15V以上450V以下であることが好ましく、30V以上300V以下であることがより好ましい。
第1の電極12と第2の電極13に印加する直流電圧が15V以上であれば、多孔構造11内にて、単層カーボンナノチューブ分散液のpH勾配が形成され、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離することができる。一方、第1の電極12と第2の電極13に印加する直流電圧が450V以下であれば、水または重水の電気分解による影響を抑えられる。
また、第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加したとき、第1の電極12と第2の電極13の間の電界は、0.5V/cm以上15V/cm以下であることが好ましく、1V/cm以上10V/cm以下であることがより好ましい。
第1の電極12と第2の電極13の間の電界が0.5V/cm以上であれば、多孔構造11内にて、単層カーボンナノチューブ分散液のpH勾配が形成され、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離することができる。一方、第1の電極12と第2の電極13の間の電界が15V/cm以下であれば、水または重水の電気分解による影響を抑えられる。
分離工程における、多孔構造11に保持されている単層カーボンナノチューブ分散液の温度は、単層カーボンナノチューブ分散液の分散媒が変質したり、蒸発したりしない温度であれば特に限定されない。
金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離が進行すると、金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多いナノカーボンの分散液は黒色となり、単層カーボンナノチューブの直径とカイラリティに応じて、ナノカーボンの分散液は呈色する。そこで、多孔構造11の色を背景として、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離状態が、目視にて確認される。目視にて確認した場合に、単層カーボンナノチューブ分散液の色が変化しなくなった時点で分離工程が終了する。
単層カーボンナノチューブ分散液における呈色の状態は、カメラによる画像認識、あるいは、光吸収スペクトルの計測等を用いることにより、自動化することも可能である。
次いで、回収工程にて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを回収する工程が行われる。すなわち、多孔構造11から、分離した分散液相Aと分散液相Bとがそれぞれ回収(分取)される。
分散液相Aと分散液相Bの回収方法は、特に限定されず、分散液相Aと分散液相Bが拡散混合しない方法であればいかなる方法であってもよい。
回収方法としては、例えば、次のような方法が用いられる。
回収方法としては、例えば、図6に示すように、切断刃50を用いる方法が挙げられる。
この回収方法では、第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加したまま、切断刃50により、多孔構造11が、その高さ方向と垂直に切断され、多孔構造11が、その高さ方向において3つに分割される。すなわち、多孔構造11が、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とに分割される。また、分割と同時に、3つに分割した多孔構造11における、分散液相Aに相当する部分と分散液相Cに相当する部分の間に仕切り板等が挿入され、分散液相Cに相当する部分と分散液相Bに相当する部分の間に仕切り板等が挿入される。そして、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とがそれぞれ回収される。なお、切断刃50が仕切り板の一部として用いられてもよい。
回収した分散液を、再び、多孔構造11に保持させて、上述と同様にして、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する操作が繰り返し実施されてもよい。これにより、より純度が高い金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを得ることができる。
回収した分散液の分離効率は、顕微Raman分光分析法(Radial Breathing Mode(RBM)領域のRamanスペクトルの変化、Breit−Wigner−Fano(BWF)領域のRamanスペクトル形状の変化)、および紫外可視近赤外吸光光度分析法(吸収スペクトルのピーク形状の変化)等の手法により評価することができる。また、単層カーボンナノチューブの電気的特性について評価することによっても、分散液の分離効率を評価することができる。例えば、電界効果トランジスタを作製して、そのトランジスタ特性を測定することによって、分散液の分離効率を評価することができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置10を用いたナノカーボンの分離方法によれば、単層カーボンナノチューブ分散液を多孔構造11に保持させることによって、多孔構造11へ単層カーボンナノチューブ分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築する。そして、その担面へと電極を接触させ電圧を印加する方法を用いることにより、単層カーボンナノチューブ分散液による分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。
また、本実施形態のナノカーボン分離装置10を用いたナノカーボンの分離方法によれば、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離操作が終了した後、多孔構造11から、分離した金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、単層カーボンナノチューブの混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離する場合を例示した。ただし、本実施形態のナノカーボンの分離方法はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボンの分離方法は、例えば、多孔構造11内にて、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離した後、目的の性質を有する単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行われてもよい。
[第2の実施形態]
(ナノカーボン分離装置)
図8は、本実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。なお、図8において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボン分離装置100は、多孔構造11と、多孔構造11の上端11aに接触するように配置された第1の電極12と、多孔構造11の下端11bに接触するように配置された第2の電極13と、多孔構造11を収容する筐体110と、を備える。また、本実施形態のナノカーボン分離装置100は、直流電源14を備えていてもよい。直流電源14は、ケーブル15を介して第1の電極12に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極13に電気的に接続されている。
本実施形態のナノカーボン分離装置100では、筐体110内の上面110aに第1の電極12が設けられ、筐体110内の下面110bに第2の電極13が設けられている。
すなわち、本実施形態のナノカーボン分離装置100では、第1の実施形態のナノカーボン分離装置10のように、第1の電極12および第2の電極13が、多孔構造11に固定されていない。
筐体110内の形状は、多孔構造11の外形とほぼ同じ形状をなしている。これにより、筐体110内において、第1の電極12と第2の電極13の間に多孔構造11を配置すると、第1の電極12が多孔構造11の上端11aに接触するとともに、第2の電極13が多孔構造11の下端11bに接触するようになっている。また、多孔構造11は、筐体110と着脱可能な程度に、第1の電極12と第2の電極13の間に保持される。
筐体110の材質は、ナノカーボンの分散液に対して安定であり、かつ絶縁性の材質であれば特に限定されない。
本実施形態のナノカーボン分離装置100では、第1の電極12が陰極、第2の電極13が陽極である場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置100はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置100にあっては、第1の電極12が陽極、第2の電極13が陰極であってもよい。
本実施形態のナノカーボン分離装置100によれば、第1の電極12と第2の電極13の間に、ナノカーボンの分散液を保持可能な多孔構造11を設ける。これにより、例えば、後述するナノカーボンの分離方法を実施する、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程において、次のことを実現できる。すなわち、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させることによって、多孔構造11へナノカーボンの分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築し、その担面へと電圧を印加する方法を用いれば、分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。結果として、大容量化や導入速度の向上を行うときの擾乱等を抑制し、速やかで効率的な分離を行うことができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図8〜図13を用いて、ナノカーボン分離装置100を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、ナノカーボン分離装置100の作用を説明する。なお、図8〜図13において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置、および図2〜図6に示した第1の実施形態のナノカーボンの分離方法と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、保持工程と、接触工程と、分離工程とを有する。保持工程では、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させる。接触工程では、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極12を接触させ、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極13を接触させる。分離工程では、第1の電極12と第2の電極13との間に直流電圧を印加して、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンを第1の電極12側に移動させるとともに、ナノカーボンの分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを第2の電極13側に移動させて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する。
また、本実施形態のナノカーボンの分離方法は、分離工程の後に、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを回収する工程(回収工程)を有していてもよい。
まず、第1の実施形態と同様にして、単層カーボンナノチューブ分散液(図9に示すナノカーボンの分散液30)を調製する。
次いで、第1の実施形態と同様にして、保持工程にて、図9に示すように、多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液を保持させる工程が行われる(図7のST1)。
次いで、接触工程にて、図10に示すように、筐体110内において、第1の電極12と第2の電極13の間に多孔構造11が配置される。これにより、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極12が接触され、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極13が接触される(図7のST2)。
次いで、第1の実施形態と同様にして、分離工程が行われる。分離工程にて、図11に示すように、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブが第1の電極12側に移動させられるとともに、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる半導体型単層カーボンナノチューブが第2の電極13側に移動させられる。これにより、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離する(図7のST3)。
第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加すると、第1の実施形態と同様に、図12に示すように、分散液相Aと、分散液相Bと、分散液相Cとの3相に相分離する。分散液相Aは、単層カーボンナノチューブ分散液は、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Bは、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Cは、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液相である。
分離工程が終了した後、回収工程にて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを回収する工程が行われる。すなわち、多孔構造11から、分離した分散液相Aと分散液相Bとがそれぞれ回収(分取)される。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、分散液相Aと分散液相Bを回収するには、図13に示すように、筐体110から、分散液相A、分散液相Bおよび分散液相Cを含む多孔構造11が脱離される。
続いて、第1の実施形態と同様にして、多孔構造11が、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とに分割される。また、分割と同時に、3つに分割した多孔構造11における、分散液相Aに相当する部分と分散液相Cに相当する部分の間に仕切り板等が挿入され、分散液相Cに相当する部分と分散液相Bに相当する部分の間に仕切り板等が挿入される。そして、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とがそれぞれ回収される。
また、第1の実施形態と同様にして、回収した分散液を、再び、多孔構造11に保持させて、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する操作が繰り返し実施されてもよい。
回収した分散液の分離効率は、第1の実施形態と同様にして、評価することができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置100を用いたナノカーボンの分離方法によれば、単層カーボンナノチューブ分散液を多孔構造11に保持させることによって、多孔構造11へ単層カーボンナノチューブ分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築する。そして、その担面へと電極を接触させ電圧を印加する方法を用いることにより、単層カーボンナノチューブ分散液による分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。
また、本実施形態のナノカーボン分離装置100を用いたナノカーボンの分離方法によれば、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離操作が終了した後、多孔構造11から、分離した金属型単層カーボンナノチューブまたは半導体型単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、単層カーボンナノチューブの混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離する場合を例示した。ただし、本実施形態のナノカーボンの分離方法はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボンの分離方法は、多孔構造11内にて、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離した後、目的の性質を有する単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行われてもよい。
[第3の実施形態]
(ナノカーボン分離装置)
図14は、本実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。なお、図14において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボン分離装置200は、多孔構造11と、多孔構造11の上端11aに接触するように配置された第1の電極210と、多孔構造11の下端11bに接触するように配置された第2の電極220と、を備える。本実施形態のナノカーボン分離装置200では、多孔構造11が、被覆材230で被覆されている。また、本実施形態のナノカーボン分離装置200は、直流電源14を備えていてもよい。直流電源14は、ケーブル15を介して第1の電極210に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極220に電気的に接続されている。
本実施形態のナノカーボン分離装置200において、第1の電極210が陰極、第2の電極220が陽極である。
本実施形態のナノカーボン分離装置200では、第1の電極210における多孔構造11の上端11aに接する面210aに多数の針状の突起(端子)211が設けられている。すなわち、第1の電極210は剣山状の構造をなしている。同様に、第2の電極220における多孔構造11の下端11bに接する面220aに多数の針状の突起(端子)221が設けられている。すなわち、第2の電極220は剣山状の構造をなしている。
第1の電極210は、突起211が被覆材230を貫通して多孔構造11に到達することにより、多孔構造11の上端11aに固定される。同様に、第2の電極220は、突起221が被覆材230を貫通して多孔構造11に到達することにより、多孔構造11の下端11bに固定される。
第1の電極210および第2の電極220の構造は、特に限定されず、多孔構造11の形状や大きさ等に応じて適宜選択される。
第1の電極210および第2の電極220としては、上記の第1の電極12および第2の電極13と同様の材質のものが用いられる。
被覆材230は、多孔構造11全体を被覆するフィルム状の材料である。被覆材230は、ナノカーボンの分散液に対して安定であり、液体の蒸散を防ぐことができるならば、いかなるものを用いることもできる。液体の蒸散を防ぐ被覆材の例としては、溶媒が通り抜けないものならばいかなる物も用いることができる。被覆材として、例えば、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリアクリロニトリルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムのような高分子フィルムや、油紙やパラフィルムなどの紙、ゴムフィルム、ゴムチューブ、ガラス膜による筐体やガラスチューブ、薄いプラスチック筐体、を用いることができる。また、被覆材230において、多孔構造11の上端11aおよび下端11bを覆う部分は、導電性フィルムを用いることもできる。導電性フィルムとしては、例えば、熱硬化性樹脂等の接着材に微細な金属粒子を混ぜ合わせたものを、膜状に成形してなる異方性導電フィルム等が挙げられる。このようにすれば、多孔構造11の上端11aに対する第1の電極210の密着度を高くすることができるとともに、多孔構造11の下端11bに対する第2の電極220の密着度を高くすることができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置200では、第1の電極210が陰極、第2の電極220が陽極である場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置200はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置200にあっては、第1の電極210が陽極、第2の電極220が陰極であってもよい。
本実施形態のナノカーボン分離装置200によれば、第1の電極210と第2の電極220の間に、ナノカーボンの分散液を保持可能な多孔構造11を設ける。これにより、例えば、後述するナノカーボンの分離方法を実施する、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程において、次のことを実現できる。すなわち、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させることによって、多孔構造11へナノカーボンの分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築し、その担面へと電圧を印加する方法を用いれば、分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。結果として、大容量化や導入速度の向上を行うときの擾乱等を抑制し、速やかで効率的な分離を行うことができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図14〜図18を用いて、ナノカーボン分離装置200を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、ナノカーボン分離装置200の作用を説明する。なお、図14〜図18において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置、および図2〜図6に示した第1の実施形態のナノカーボンの分離方法と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、保持工程と、接触工程と、分離工程とを有する。保持工程では、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させる。接触工程では、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極210を接触させ、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極220を接触させる。分離工程では、第1の電極210と第2の電極220との間に直流電圧を印加して、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンを第1の電極210側に移動させるとともに、ナノカーボンの分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを第2の電極220側に移動させて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する。
また、本実施形態のナノカーボンの分離方法は、分離工程の後に、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを回収する工程(回収工程)を有していてもよい。
まず、第1の実施形態と同様にして、単層カーボンナノチューブ分散液を調製する。
次いで、保持工程にて、多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液を保持させる工程が行われる(図7のST1)。
保持工程では、例えば、図15に示すように、予め被覆材230に設けられた注入口231から、被覆材230内に単層カーボンナノチューブ分散液が注入される。そして、被覆材230内の多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液が浸潤し、多孔構造11に単層カーボンナノチューブ分散液が保持される。多孔構造11への単層カーボンナノチューブ分散液の保持が終了した後、注入口231が封止される。
次いで、接触工程にて、図16に示すように、第1の電極210の突起211を、被覆材230における多孔構造11の上端11aを覆う領域230Aに貫通させて、多孔構造11に到達させられる。これにより、多孔構造11の上端11aの少なくとも一部に第1の電極210が接触される。これにより、多孔構造11の上端11aに第1の電極210が固定される。同様に、第2の電極220の突起221を、被覆材230における多孔構造11の下端11bを覆う領域230Bに貫通させて、多孔構造11に到達させられる。これにより、多孔構造11の下端11bの少なくとも一部に第2の電極220が接触される(図7のST2)。これにより、多孔構造11の下端11bに第2の電極220が固定される。
次いで、第1の実施形態と同様にして、分離工程にて、図17に示すように、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブを第1の電極210側に移動させるとともに、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる半導体型単層カーボンナノチューブを第2の電極220側に移動させる工程が行われる。これにより、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとが分離する(図7のST3)。
第1の電極210と第2の電極220に直流電圧を印加すると、第1の実施形態と同様に、図17に示すように、単層カーボンナノチューブ分散液は、分散液相Aと、分散液相Bと、分散液相Cとの3相に相分離する。分散液相Aは、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Bは、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Cは、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液相である。
分離工程が終了した後、回収工程にて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとが回収される。すなわち、多孔構造11から、分離した分散液相Aと分散液相Bとがそれぞれ回収(分取)される。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、分散液相Aと分散液相Bを回収するには、図18に示すように、被覆材230で被覆された多孔構造11から、第1の電極210および第2の電極220が脱離される。
続いて、第1の実施形態と同様にして、多孔構造11が、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とに分割される。また、分割と同時に、3つに分割した多孔構造11における、分散液相Aに相当する部分と分散液相Cに相当する部分の間に仕切り板等が挿入され、分散液相Cに相当する部分と分散液相Bに相当する部分の間に仕切り板等が挿入される。そして、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とがそれぞれ回収される。
また、第1の実施形態と同様にして、回収した分散液を、再び、多孔構造11に保持させて、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブを分離する操作が繰り返し実施されてもよい。
回収した分散液の分離効率は、第1の実施形態と同様にして、評価することができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置200を用いたナノカーボンの分離方法によれば、単層カーボンナノチューブ分散液を多孔構造11に保持させることによって、次のことを実現できる。すなわち、多孔構造11へ単層カーボンナノチューブ分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築し、その担面へと電極を接触させ電圧を印加する方法を用いることにより、単層カーボンナノチューブ分散液による分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。
また、本実施形態のナノカーボン分離装置200を用いたナノカーボンの分離方法によれば、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離操作が終了した後、多孔構造11から、分離した金属型単層カーボンナノチューブまたは半導体型単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、単層カーボンナノチューブの混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとに分離する場合を例示した。ただし、本実施形態のナノカーボンの分離方法はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボンの分離方法は、多孔構造11内にて、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離した後、目的の性質を有する単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行われてもよい。
[第4の実施形態]
(ナノカーボン分離装置)
図19は、本実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。なお、図19において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置および図14に示した第3の実施形態のナノカーボン分離装置と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボン分離装置300は、多孔構造310と、多孔構造310の上端310aに接触するように配置された第1の電極210と、多孔構造310の下端310bに接触するように配置された第2の電極220と、を備える。本実施形態のナノカーボン分離装置300では、多孔構造310が、被覆材320で被覆されている。また、本実施形態のナノカーボン分離装置300は、直流電源14を備えていてもよい。直流電源14は、ケーブル15を介して第1の電極210に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極220に電気的に接続されている。
本実施形態のナノカーボン分離装置300では、多孔構造310が、多数の粒子311から構成される。
多孔構造310は、被覆材320内に充填された多数の粒子311から構成される。粒子311としては、被覆材320内に最密に充填した場合に、粒子間に隙間が生じる形状のものであれば特に限定されない。粒子311としては、例えば、球状の粒子、撒菱状の粒子、テトラポッド(登録商標)状の粒子等が挙げられる。
このような粒子311を、被覆材320内に充填することにより、粒子311同士の間に隙間が生じて、多孔構造310が形成される。このように、被覆材320内に、多数の粒子311からなる多孔構造310を形成することにより、多孔構造310によって、被覆材320内が多数の空間に区画される。
粒子311の材質は、ナノカーボンの分散液に対して安定であり、かつ絶縁性の材質であれば特に限定されない。粒子311の材質としては、例えば、ガラス、石英、アクリル樹脂等が挙げられる。
粒子311の被覆材320に対する充填量は、特に限定されず、被覆材320内に収容されるナノカーボンの分散液の量(体積)に応じて適宜設定される。
なお、多孔構造310の細孔の形状は、不定形であり、例えば、球体状、回転楕円体状等をなしている。そのため、多孔構造310の細孔の内径とは、細孔が球体状をなす場合には球体の直径、細孔が回転楕円体状をなす場合には回転楕円体の長径、細孔が球体状および回転楕円体状以外の形状をなす場合にはその形状の最も長い部分の長さのこととする。
多孔構造310の細孔の大きさは、上述の多孔構造11の細孔の大きさと同様に求められる。
多孔構造310、すなわち、多孔構造310を構成する粒子311は、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンの分離状態を確認し易くするために、透明、乳白色半透明(裏が透けて見える白色)、乳白色(裏が透けない、透明ではない白色)であることが好ましい。
粒子311の外径(粒子311の最大長さ)は、特に限定されず、被覆材320内に収容されるナノカーボンの分散液におけるナノカーボンの混合物の含有量等に応じて適宜設定される。
多孔構造310の多孔率(多孔度)は、多孔構造310の総体積に対して、粒子311同士の間に生じた隙間が占める割合である。多孔構造310の多孔率は、下記の式(3)で表わされる。
a2/A2×100・・・(3)
すなわち、多孔構造310の多孔率は、多孔構造310の隙間の全体積a2と、隙間を含む多孔構造310の全体積A2との比の百分率で表わされる。
多孔構造310の多孔率を求める方法としては、例えば、隙間を含む多孔構造310の見かけの比重d2と、含む多孔構造310の真の比重D2とを求め、それらの比重に基づいて、多孔構造310の多孔率を算出する方法が挙げられる。この方法では、下記の式(4)に基づいて、多孔構造11の多孔率を算出する。
(D2−d2)/D2×100・・・(4)
多孔構造310の空隙の大きさを求める方法としては、例えば、多孔構造310を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で観察し、その顕微鏡像から細孔の大きさを実測する方法等が挙げられる。
被覆材320としては、被覆材230と同様のものが用いられる。被覆材320において、多孔構造310の上端310aおよび下端310bを覆う部分は、被覆材230と同様に導電性フィルムを用いることが可能である。
本実施形態のナノカーボン分離装置300では、第1の電極210が陰極、第2の電極220が陽極である場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置300はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置300にあっては、第1の電極210が陽極、第2の電極220が陰極であってもよい。
本実施形態のナノカーボン分離装置300によれば、第1の電極210と第2の電極220の間に、ナノカーボンの分散液を保持可能な多孔構造11を設ける。これにより、例えば、後述するナノカーボンの分離方法を実施する、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程において、次のことを実現できる。すなわち、ナノカーボンの分散液を多孔構造11に保持させることによって、多孔構造11へナノカーボンの分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築し、その担面へと電圧を印加する方法を用いれば、分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。結果として、大容量化や導入速度の向上を行うときの擾乱等を抑制し、速やかで効率的な分離を行うことができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図19〜図23を用いて、ナノカーボン分離装置300を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、ナノカーボン分離装置300の作用を説明する。なお、図19〜図23において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置、図2〜図6に示した第1の実施形態のナノカーボンの分離方法、図14に示した第3の実施形態のナノカーボン分離装置、および図15〜図18に示した第3の実施形態のナノカーボンの分離方法と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、保持工程と、接触工程と、分離工程とを有する。保持工程では、ナノカーボンの分散液を多孔構造310に保持させる。接触工程では、多孔構造310の上端310aの少なくとも一部に第1の電極210を接触させ、多孔構造310の下端310bの少なくとも一部に第2の電極220を接触させる。分離工程では、第1の電極210と第2の電極220との間に直流電圧を印加して、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンを第1の電極210側に移動させるとともに、ナノカーボンの分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを第2の電極220側に移動させて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する。
また、本実施形態のナノカーボンの分離方法は、分離工程の後に、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを回収する工程(回収工程)を有していてもよい。
まず、第1の実施形態と同様にして、単層カーボンナノチューブ分散液を調製する。
次いで、保持工程にて、多孔構造310に単層カーボンナノチューブ分散液を保持させる工程が行われる(図7のST1)。
保持工程では、例えば、図20に示すように、予め被覆材320に設けられた注入口321から、被覆材320内に単層カーボンナノチューブ分散液が注入され、被覆材320内の多孔構造310に単層カーボンナノチューブ分散液が浸潤し、多孔構造310に単層カーボンナノチューブ分散液が保持される。多孔構造310への単層カーボンナノチューブ分散液の保持が終了した後、注入口321が封止される。
次いで、接触工程にて、図21に示すように、第1の電極210の突起211を、被覆材320における多孔構造310の上端310aを覆う領域230Aに貫通させて、多孔構造310に到達させられる。これにより、多孔構造310の上端310aの少なくとも一部に第1の電極210が接触される。これにより、多孔構造310の上端310aに第1の電極210が固定される。同様に、第2の電極220の突起221を、被覆材320における多孔構造310の下端310bを覆う領域230Bに貫通させて、多孔構造310に到達させられる。これにより、多孔構造310の下端310bの少なくとも一部に第2の電極220が接触される(図7のST2)。これにより、多孔構造310の下端310bに第2の電極220が固定される。
次いで、第1の実施形態と同様にして、分離工程にて、図22に示すように、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブを第1の電極210側に移動させるとともに、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる半導体型単層カーボンナノチューブを第2の電極220側に移動させる工程が行われる。これにより、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離する(図7のST3)。
第1の電極210と第2の電極220に直流電圧を印加すると、第1の実施形態と同様に、図22示すように、単層カーボンナノチューブ分散液は、分散液相Aと、分散液相Bと、分散液相Cとの3相に相分離する。分散液相Aは、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Bは、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Cは、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液相である。
分離工程が終了した後、回収工程にて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが回収される。すなわち、多孔構造310から、分離した分散液相Aと分散液相Bとがそれぞれ回収(分取)される。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、分散液相Aと分散液相Bを回収するには、図23に示すように、被覆材230で被覆された多孔構造310から、第1の電極210および第2の電極220が脱離される。
続いて、第1の実施形態と同様にして、多孔構造310が、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とに分割される。また、分割と同時に、3つに分割した多孔構造310における、分散液相Aに相当する部分と分散液相Cに相当する部分の間に仕切り板等が挿入され、分散液相Cに相当する部分と分散液相Bに相当する部分の間に仕切り板等が挿入される。そして、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とがそれぞれ回収される。
また、第1の実施形態と同様にして、回収した分散液を、再び、多孔構造310に保持させて、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを分離する操作が繰り返し実施されてもよい。
回収した分散液の分離効率は、第1の実施形態と同様にして、評価することができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置300を用いたナノカーボンの分離方法によれば、単層カーボンナノチューブ分散液を多孔構造11に保持させることによって、次のことを実現できる。すなわち、多孔構造11へ単層カーボンナノチューブ分散液を含ませ独立に保持できる担体を構築し、その担面へと電極を接触させ電圧を印加する方法を用いることにより、単層カーボンナノチューブ分散液による分離を速やかに開始することができる。また、分離後の回収においても、溶液の攪乱の影響を受けずに、速やかに回収を行うことができる。
また、本実施形態のナノカーボン分離装置300を用いたナノカーボンの分離方法によれば、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離操作が終了した後、多孔構造310から、分離した金属型単層カーボンナノチューブまたは半導体型単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、単層カーボンナノチューブの混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとに分離する場合を例示した。ただし、本実施形態のナノカーボンの分離方法はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボンの分離方法は、多孔構造310内にて、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離した後、目的の性質を有する単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行われてもよい。
[第5の実施形態]
(ナノカーボン分離装置)
図24は、本実施形態のナノカーボン分離装置を示す模式図である。なお、図24において、図1に示した第1の実施形態のナノカーボン分離装置と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のナノカーボン分離装置400は、多孔構造410と、多孔構造410の上端410aに接触するように配置された第1の電極12と、多孔構造410の下端410bに接触するように配置された第2の電極13と、多孔構造410をその長手方向に搬送するローラー420,430と、多孔構造410、第1の電極12、第2の電極13およびローラー420,430を収容する分離室440と、を備える。また、本実施形態のナノカーボン分離装置400は、直流電源14を備えていてもよい。直流電源14は、ケーブル15を介して第1の電極12に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極13に電気的に接続されている。
多孔構造410は、例えば、図24の紙面の左右方向に延在する四角柱状をなしている。
多孔構造410は、例えば、上記の多孔構造11と同様の構造をなしている。
ローラー420,430は、多孔構造410を搬送する方向(多孔構造410の長手方向、図24における矢印αの示す方向)に沿って所定の間隔を置いて、複数設けられている。
ローラー420,430が、図24における矢印β、γの示す方向に回転することにより、多孔構造410がその長手方向に搬送される。
分離室440は、多孔構造410、第1の電極12、第2の電極13およびローラー420,430を収容することができるものであれば、特に限定されない。分離室440の材質は、ナノカーボンの分散液に対して安定であり、かつ絶縁性の材質であれば特に限定されない。
分離室440には、多孔構造410にナノカーボンの分散液を注入するための注入口441が設けられている。
本実施形態のナノカーボン分離装置400では、第1の電極12が陰極、第2の電極13が陽極である場合を例示したが、本実施形態のナノカーボン分離装置400はこれに限定されない。本実施形態のナノカーボン分離装置400にあっては、第1の電極12が陽極、第2の電極13が陰極であってもよい。
本実施形態のナノカーボン分離装置400によれば、第1の電極12と第2の電極13の間に、ナノカーボンの分散液を保持可能な多孔構造410を設ける。これにより、例えば、後述するナノカーボンの分離方法を実施する、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程において、次のことを実現できる。すなわち、分散液を保持できる多孔構造11に連続的に溶液を導入し、担面へと電圧を引加し続けることによって、攪乱なく溶液の導入と同時に分離を開始することができる。また、分離後の回収においても、多孔構造の回収は、速やかに行うことができる。
(ナノカーボンの分離方法)
図24を用いて、ナノカーボン分離装置400を用いた、ナノカーボンの分離方法を説明するとともに、ナノカーボン分離装置400の作用を説明する。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、接触工程と、保持工程と、分離工程とを有する。接触工程は、多孔構造410の上端410aの少なくとも一部に第1の電極12を接触させ、多孔構造410の下端410bの少なくとも一部に第2の電極13を接触させる工程である。保持工程は、ナノカーボンを含むナノカーボンの分散液を多孔構造410に保持させる工程である。分離工程は、第1の電極12と第2の電極13との間に直流電圧を印加して、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンを第1の電極12側に移動させるとともに、ナノカーボンの分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを第2の電極13側に移動させて、金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを分離する工程である。
また、本実施形態のナノカーボンの分離方法は、分離工程の後に、ナノカーボンの分散液に含まれる金属型ナノカーボンと半導体型ナノカーボンを回収する工程(回収工程)を有していてもよい。
まず、第1の実施形態と同様にして、単層カーボンナノチューブ分散液を調製する。
次いで、接触工程にて、図24に示すように、多孔構造410の上端410aに第1の電極12を接触させ、多孔構造410の下端410bに第2の電極13を接触させる。
ここでは、予め、直流電源14が、ケーブル15を介して第1の電極12に電気的に接続され、ケーブル16を介して第2の電極13に電気的に接続されている。
次いで、図24に示すように、多孔構造410の上端410aに接触させた第1の電極12にローラー420を当接させるとともに、多孔構造410の下端410bに接触させた第2の電極13にローラー430を当接させる。
次いで、保持工程にて、多孔構造410に単層カーボンナノチューブ分散液を保持させる工程が行われる。
保持工程では、例えば、図24に示すように、予め分離室440に設けられた注入口441から、分離室440内に単層カーボンナノチューブ分散液が注入され、分離室440内の多孔構造410に単層カーボンナノチューブ分散液が浸潤し、多孔構造410に単層カーボンナノチューブ分散液が保持される。
次いで、第1の実施形態と同様にして、分離工程にて、図24に示すように、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブを第1の電極12側に移動させるとともに、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる半導体型単層カーボンナノチューブを第2の電極13側に移動させる工程が行われる。これにより、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離される。
第1の電極12と第2の電極13に直流電圧を印加すると、第1の実施形態と同様に、図24に示すように、単層カーボンナノチューブ分散液は、分散液相Aと分散液相Bと分散液相Cとの3相に相分離される。分散液相Aは、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Bは、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い分散液相である。分散液相Cは、分散液相Aと分散液相Bの間に形成され、相対的に金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が少ない分散液相である。
なお、本実施形態のナノカーボンの分離方法では、ローラー420,430により、多孔構造410をその長手方向に搬送しながら、保持工程と分離工程を行う。すなわち、保持工程と分離工程とが連続して行われる。より詳細には、多孔構造410を搬送しながら、注入口441から分離室440内に単層カーボンナノチューブ分散液を注入すると、多孔構造410の移動に伴って、多孔構造410に保持された単層カーボンナノチューブ分散液は次第に、分散液相Aと、分散液相Bと、分散液相Cとの3相に相分離する。
分離工程が終了した後、回収工程にて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとが回収される。すなわち、多孔構造410から、分離した分散液相Aと分散液相Bとがそれぞれ回収(分取)される。
本実施形態のナノカーボンの分離方法において、分散液相Aと分散液相Bを回収するために、分離室440から、多孔構造410が取り出される。
続いて、第1の実施形態と同様にして、多孔構造410が、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とに分割される。また、分割と同時に、3つに分割した多孔構造410における、分散液相Aに相当する部分と分散液相Cに相当する部分の間に仕切り板等が挿入され、分散液相Cに相当する部分と分散液相Bに相当する部分の間に仕切り板等が挿入される。そして、分散液相Aに相当する部分と、分散液相Bに相当する部分と、分散液相Cに相当する部分とがそれぞれ回収される。
また、第1の実施形態と同様にして、回収した分散液を、再び、多孔構造410に保持させて、電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを分離する操作が繰り返し実施されてもよい。
回収した分散液の分離効率は、第1の実施形態と同様にして、評価することができる。
本実施形態のナノカーボン分離装置400を用いたナノカーボンの分離方法によれば、単層カーボンナノチューブ分散液を保持できる多孔構造11に連続的に溶液を導入し、担面へと電圧を引加し続ける。これにより、攪乱なく溶液の導入と同時に分離を開始することができる。また、分離後の回収においても、多孔構造の回収は、速やかに行うことができる。
また、本実施形態のナノカーボン分離装置400を用いたナノカーボンの分離方法によれば、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離操作が終了した後、多孔構造410から、分離した金属型単層カーボンナノチューブまたは半導体型単層カーボンナノチューブを効率的に回収することができる。
本実施形態のナノカーボンの分離方法は、多孔構造410内にて、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとに分離した後、目的の性質を有する単層カーボンナノチューブのみを回収する、単層カーボンナノチューブの精製方法として行われてもよい。
以上、単層カーボンナノチューブの混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離する場合に適用することができる実施形態を説明したが、多層カーボンナノチューブの混合物、二層カーボンナノチューブの混合物、グラフェンの混合物等を分離する場合にも、本発明を適用することができる。
この出願は、2017年10月10日に日本出願された特願2017−197276号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10,100,200,300,400・・・ナノカーボン分離装置、
11,310,410・・・多孔構造、
12,210・・・第1の電極、
13,220・・・第2の電極、
14・・・直流電源、
15,16・・・ケーブル、
17・・・錘、
20・・・基板、
30・・・ナノカーボンの分散液、
40・・・分散液槽、
50・・・切断刃、
110・・・筐体、
211,221・・・突起、
230,320・・・被覆材、
231,321,441・・・注入口、
311・・・粒子、
420,430・・・ローラー、
440・・・分離室。

Claims (10)

  1. ナノカーボンを含む分散液を保持可能な多孔構造と、
    前記多孔構造の上端の少なくとも一部に接触するように配置された第1の電極と、
    前記多孔構造の下端の少なくとも一部に接触するように配置された第2の電極と、を備えるナノカーボン分離装置。
  2. 前記多孔構造は、スポンジから構成される請求項1に記載のナノカーボン分離装置。
  3. 前記多孔構造は、多数の粒子から構成される請求項1に記載のナノカーボン分離装置。
  4. 前記多孔構造は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に着脱可能に配置される請求項1に記載のナノカーボン分離装置。
  5. 前記多孔構造が、被覆材で被覆されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノカーボン分離装置。
  6. 前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれに複数の突起が設けられる請求項5に記載のナノカーボン分離装置。
  7. 前記複数の突起は、前記被覆材を貫通して前記多孔構造に接触する請求項6に記載のナノカーボン分離装置。
  8. ナノカーボンを含む分散液を多孔構造に保持させる工程と、
    前記多孔構造の上端の少なくとも一部に第1の電極を接触させ、前記多孔構造の下端の少なくとも一部に第2の電極を接触させる工程と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に直流電圧を印加して、前記分散液に含まれる金属型ナノカーボンを前記第1の電極側に移動させるとともに、前記分散液に含まれる半導体型ナノカーボンを前記第2の電極側に移動させて、前記金属型ナノカーボンと前記半導体型ナノカーボンを分離する工程と、を有することを特徴とするナノカーボンの分離方法。
  9. 前記分離する工程の後に、前記分散液に含まれる前記金属型ナノカーボンと前記半導体型ナノカーボンとを回収する工程を有する請求項8に記載のナノカーボンの分離方法。
  10. 前記保持させる工程、及び前記分離する工程が連続的に実行される請求項8に記載のナノカーボンの分離方法。
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