JPWO2019054451A1 - テトラヒドロナフチルウレア誘導体の結晶 - Google Patents
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Abstract
Description
NGFは、例えば関節炎、膵炎、膀胱炎、慢性頭痛、糖尿病性神経障害やがんなどの痛みを伴う疾患で濃度が上昇することが知られ、また、ヒトやラットへのNGFの投与によっても痛みが誘発されることが報告されている(非特許文献2)。さらにNGFやTrkAのヒト機能喪失型変異により先天性無痛症を示すこと(非特許文献3)、NGFやTrkAのノックアウトマウスで疼痛症状が消失すること(非特許文献4、5)も知られていることから、生体内においてNGF/TrkA経路は痛みの発現に強く関与していると考えられる。
NGF/TrkA経路の阻害剤、すなわち抗NGF抗体や抗TrkA抗体、低分子Trk阻害剤などは、臨床試験や非臨床試験において様々な疼痛症状を改善し得ることが示されている。例えば、変形性関節症、慢性腰痛症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎及び慢性膵炎などに伴う疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、複合性局所疼痛症候群、片頭痛などの痛みに有効であることが報告されている(非特許文献2、6〜9)。
TrkAを含むTrk受容体は、過剰発現、活性化、及び遺伝子融合を含む変異などにより、神経芽細胞腫、卵巣癌、結腸直腸癌、黒色腫、頭頸部癌、胃癌、肺癌、乳癌、神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、胆管細胞癌、分泌性乳癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵癌、甲状腺乳頭癌及び成人骨髄性白血病などを含む様々ながんに関与していることが知られており、Trk阻害剤は臨床試験及び非臨床試験において腫瘍増殖を阻害することが示されている(非特許文献10〜14)。
また、TrkA受容体は、肥満細胞や好酸球などの炎症細胞、単球、マクロファージ、T細胞やB細胞などの免疫担当細胞、ならびにコリン作動性神経を含む中枢神経細胞などにも発現しており、喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスやアルツハイマー病などの疾患においても、NGF/TrkA経路の関与が報告されている(非特許文献15〜21)。
これらの理由から、TrkA阻害活性を有する薬剤の創製は、疼痛、がん、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患などの治療に応用できる可能性があり、新たなタイプの治療剤及び/又は予防剤として期待できる。
又、WO2014/078454号パンフレット(特許文献5)には、テトラヒドロナフチル構造を有するTrkA阻害作用を示す誘導体が開示されているが、特許文献5に記載の誘導体はピラゾール環を有するウレア誘導体であり、本発明の化合物(1)の開示はない。
I型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶の結晶形にかかわらず、本発明の化合物(1)を有効成分として含有する医薬組成物は、TrkAが関与している疾患の予防剤及び/又は治療剤として期待される。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、医薬品原料として充足し得ることが期待される。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、優れた医薬組成物を提供することが可能である。
更に、本発明は、化合物(1)のIII型結晶又はVI型結晶、当該結晶の製造方法及び当該結晶を含有する医薬組成物にも関する。
ここで、本明細書において、態様[1]〜態様[20]
のいずれかに記載の結晶を、「本発明の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの結晶」、「化合物(1)の結晶」又は「本発明の結晶」という場合がある。
態様[1]〜態様[6]のいずれかに記載の結晶を、「本発明のI型結晶」という場合がある。
態様[7]〜態様[11]のいずれかに記載の結晶を「本発明のIII型結晶」という場合がある。
態様[12]〜態様[17]のいずれかに記載の結晶を「本発明のV型結晶」という場合がある。
態様[18]〜態様[20]のいずれかに記載の結晶を「本発明のVI型結晶」という場合がある。
[11]本発明の第11の態様は、示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が121℃であることを特徴とする、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶である。
[16]本発明の第16の態様は、示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が149℃であることを特徴とする、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶である。
[22−2]前記態様[22]において、(1)更に上記と同じ又は異なる溶媒中に懸濁する工程、(2)室温で4日程度、好ましくは、1日〜10日、より好ましくは、2〜8日、さらに好ましくは3〜7日撹拌する工程、を更に含むことが好ましい。
[23−3]前記態様[23]において、撹拌した溶液にさらに上記と同じ又は異なる混合溶媒を加え、析出する結晶を濾取する工程を更に含むことが好ましい。
[24−2]前記態様[24]において、放冷し、室温で1〜48時間(好ましくは、2〜24時間、より好ましくは5〜18時間)撹拌して析出する結晶を得る工程を更に含むことが好ましい。
[25−1]前記態様[25]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[26−1]前記態様[26]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[26−2]前記態様[26]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
本明細書中、「予防する」は、患者の状態に応じて、「疾患」の発症又はその「疾患」に関連する任意の症状の発症を予防することを意味する。「疾患」の予防、ならびに発症前に「疾患」又はその任意の症状の重症度を低減することも包含する。
[27−1]前記態様[27]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[27−2]前記態様[27]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[28−1]前記態様[28]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[28−2]前記態様[28]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[29−2]前記態様[29]又は[29−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[29−3]前記態様[29]又は[29−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
「慢性疼痛」は、国際疼痛学会の定義によれば、疾患自体を表すと広く信じられている。
慢性疼痛は、環境的及び心理的要因により、更に悪化し得る。慢性疼痛は、概して3か月以上に渡って、急性疼痛よりもより長い期間に渡って持続し、ほとんどの内科療法に対して耐性がある。慢性疼痛は、患者にとって重篤な問題を引き起こし得る為、多くの場合、重篤な問題を引き起こす。慢性疼痛には、がん性疼痛(腫瘍から生じる疼痛)、内臓痛(例えば、膵臓癌及び/又は腹部における転移から生じる内臓痛)、体性痛(例えば、骨癌、骨における転移、術後疼痛、肉腫、結合組織のがん、骨組織のがん、骨髄の造血細胞のがん、多発性骨髄腫、白血病、原発性又は続発性骨がんのうちの1つ又は複数による体性痛)が含まれる。
「神経障害性疼痛」は、神経損傷を生じる状態又は事象から生じる疼痛を意味する。「神経障害」は、神経への損傷を生じる疾患過程を意味する。「カウザルギー」は、神経損傷後の慢性疼痛の状態を意味する。「異痛」は、通常は無痛の刺激、例えば優しい接触に反応して、人が痛みを感じる状態を意味する。
「神経障害性疼痛」は、例えば、外傷、手術、切断術、毒素及び化学療法等から選択される作用因による。
「侵害受容性疼痛」は、組織損傷又は損傷を引き起こす可能性のある激しい刺激により誘発される。痛覚求心性神経線維は、損傷部位における侵害受容器による刺激の伝達により活性化され、その終末位置で脊髄を過敏化する。これは次いで、疼痛が認知される脳まで脊髄路を上へ中継される。侵害受容器の活性化は、2つのタイプの求心性神経線維を活性化する。有髄のA−δ線維は、迅速に伝達し、鋭く刺すような疼痛感覚を担い、一方、無髄のC線維は、より遅い速度で伝達し、鈍いかうずくような疼痛を伝える。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、挫傷/捻挫による疼痛、術後疼痛(任意のタイプの外科手術後の疼痛)、外傷後疼痛、火傷、心筋梗塞、急性膵炎、及び腎疝痛の際立った特徴であるが、それらに限定されるものではない。一般的に、がん関連急性疼痛症候群も、化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法及び放射線療法などの治療上の相互作用に起因している。
中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、がん性疼痛(例えば、骨痛、頭痛及び顔面痛、内臓痛)又はがん療法に伴うもの(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、照射後症候群)であり得るがん性疼痛、脱出性もしくは断裂性椎間板又は腰部椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋もしくは後縦靱帯の異常に起因することがある背部痛の際立った特徴であるが、それらに限定されるものではない。
「アレルギー性疾患」の具体的な例としては、喘息、アトピー性皮膚炎、及び鼻炎等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「皮膚疾患」の具体的な例としては、掻痒症(全身性皮膚掻痒症、限局性皮膚掻痒症、及び汎発性皮膚掻痒症を含む)等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「腎疾患」の具体的な例としては、糖尿病性腎症、腎臓線維症、及び慢性腎臓疾患等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「ある特定の感染症」の具体的な例としてはクルーズトリパノソーマ感染症等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「神経変性疾患」の具体的な例としては、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
[30−1]前記態様[30]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[30−2]前記態様[30]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
好ましくは、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)の予防及び/又は治療剤である。
好ましくは、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)の予防及び/又は治療のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶である。
[31−2]前記態様[31]又は[31−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[31−3]前記態様[31]又は[31−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[32−2]前記態様[32]及び[32−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[32−3]前記態様[32]及び[32−1] における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[33−2]前記態様[33]又は[33−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[33−3]前記態様[33]又は[33−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[34−1]本発明の第34−1の態様は、医薬組成物の製造のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の使用である。
[34−2]前記態様[34]又は[34−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[34−3]前記態様[34]又は[34−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[35−1]本発明の第35−1の態様は、TrkA阻害剤の製造のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の使用である。
[35−2]前記態様[35]又は[35−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[35−3]前記態様[35]又は[35−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[36−1]前記態様[36]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[36−2]前記態様[36]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[37−1]前記態様[37]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[37−2]前記態様[37]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
好ましくは、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)を治療する方法であって、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の少なくとも1つを前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法であり、より好ましくは疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)を治療する方法である。
[38−1]前記態様[38]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[38−2]前記態様[38]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
本明細書中、特に断りのない限り、「疾患の治療」にあるような「治療」とは、「疾患」の進行、又は1つもしくは複数の「疾患」を回復させる、緩和する、又は抑制することを意味する。
[39]本発明の第39の態様は、本発明の第26の態様に記載の疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患を治療する方法であって、前記疾患を治療するのに有効な量の、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法である。
[39−1]前記態様[39]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[39−2]前記態様[39]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[40−1]前記態様[40]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[40−2]前記態様[40]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[41−1]前記態様[41]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[41−2]前記態様[41]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
例えば、粉末X線回折の回折角(2θ)においては、特定の結晶形の異なる試料は、回析角(2θ)の同じ主要ピークを共有することになるが、副次ピークに関しては粉末X線回折パターンに差が生じ得る。粉末X線回折の回折角(2θ)においては、「±0.2」又は「±0.1」の誤差が、許容されることを意味する。一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は、±0.2°の範囲内で誤差が生じ得る。したがって、本発明で「(約)回折角度(2θ)X°」というときは、特に記載した場合を除き、「回折角度(2θ)((X−0.2)〜(X+0.2))°」を意味する。粉末X線回折における回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2°の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
「結晶転移法」としては、自体公知の方法が挙げられ、例えば、溶液からの結晶化(例えば、濃縮法、徐冷法、反応法(拡散法、電解法)、水熱育成法、融剤法など)、蒸気からの結晶化(例えば、気化法(封管法、気流法)、気相反応法、化学輸送法)、溶融体からの結晶化(例えば、ノルマルフリージング法(引き上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾーン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法))、蒸散法(結晶を溶媒に溶かし、ろ過後大気条件で溶媒を蒸発させる方法)、スラリー法(過剰の固体が残るように溶媒に結晶を添加して懸濁液とし、大気温度又は加熱あるいは冷却下で攪拌後、固体を濾集する方法)、減圧乾燥、すり潰し、粉砕、加圧などが挙げられる。
化合物(1)は本願実施例1の方法で製造することが可能である。
本発明の結晶、又はその医薬組成物は、医療現場で行われている一般的な方法で、他の薬物もしくは薬剤と併用することも可能である。本発明の結晶と配合又は併用し得る薬物としては、例えば、(A)疼痛治療薬(B)疼痛が併発し易い疾患の治療薬等が挙げられる。
従って、本発明の別の態様によれば、化合物(1)の結晶、並びに、(A)疼痛治療薬もしくは(B)疼痛が併発し易い疾患の予防薬及び/又は治療薬等の他の薬物又は薬剤の1種以上を含有する医薬組成物が提供される。
本発明のまた別の態様によれば、(A)疼痛治療薬もしくは(B)疼痛が併発し易い疾患の予防薬及び/又は治療薬等の他の薬物又は薬剤と併用される、上記式(1)で表される化合物、又は製薬学的に許容されるその塩又はそれらの溶媒和物の少なくとも1つを有効成分として含有する医薬組成物が提供される。
(A1)オピオイド作動薬;(A2)ピリン系解熱鎮痛薬;(A3)非ピリン系解熱鎮痛薬;(A4)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs);(A5)COX−2選択的阻害薬;(A6)末梢性神経障害性疼痛・線維筋痛症薬;(A7)下降性疼痛抑制系薬;
また、神経因性疼痛に転用し、処方されている以下の薬物、
(A8)抗てんかん薬;(A9)抗うつ薬;(A10)抗不整脈薬;(A11)NMDA受容体拮抗薬;(A12)ビスホスホン酸塩;(A13)バニロイド受容体作動薬;(A14)ナトリウムチャンネルモジュレーター;(A15)脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)阻害活性化合物;(A16)バルビツレート鎮静薬;(A17)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン;(A18)H1拮抗薬;(A19)5−HT受容体作動薬又は拮抗薬; (A20)1型ミクロソームプロスタグランジンE合成酵素(mPGES−1)阻害薬;(A21)ロイコトリエンB4拮抗薬;(A22)α2−δリガンド;(A23)代謝調節型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)拮抗薬;(A24)プロスタグランジンE2サブタイプ4(EP4)拮抗薬。
(B1)糖尿病治療薬((i)PPARγ作用薬(作動薬、阻害薬)、(ii)インスリン分泌促進薬、(iii)速効型インスリン分泌促進剤、(iv)αグルコシダーゼ阻害薬、(v)インスリン抵抗性改善薬[具体的には、(a)PPARγ作用薬、(b)PTP−1B阻害薬、(c)DPP−4阻害薬、(d)GLP−1及びGLP−1作動薬、(e)11β−HSD阻害薬等、(f)GPR40作動薬、(g)GPR119作動薬、(h)GPR120作動薬]、(vi)肝糖新生抑制剤、(vii)ビグアナイド剤、(viii)インスリン又はインスリン誘導体、(ix)α2拮抗薬、(x)SGLT2阻害剤);
(B3)コレステロール低下薬等の高脂血症治療薬((i)ω3脂肪酸類、(ii)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(iii)HMG−CoA合成酵素阻害剤、(iv)コレステロール吸収阻害剤、(v)アシル−CoA・コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、(vi)CETP阻害剤、(vii)スクアレン合成酵素阻害剤、(viii)抗酸化剤、(ix)PPARα作動薬、(x)PPARδ作動薬、(xi)LXR作動薬、(xii)FXR作動薬、(xiii)MTTP阻害剤、(xiv)スクアレンエポシダーゼ阻害剤等);
本発明の化合物(1)と併用される上記(A)及び(B)のような併用薬物とを組み合わせて使用する場合は、別々の製剤(又はそれぞれを含むキット)であっても、合剤であってもよい。又、別々の製剤においては、両者を同時に服用することも、時間をずらして投与することも可能である。
本発明の化合物(1)と上記(A)及び(B)のような併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物(1)と当該併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、
(1)本発明の化合物(1)と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、
(2)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、
(3)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、
(4)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、
(5)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物(1)→併用薬物の順序での投与、又は逆の順序での投与)などが用いられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
例えば、投与対象がヒ卜である場合、本発明化合物(1)1質量部に対し、併用薬物を0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜90質量部、より好ましくは、1〜80質量部用いればよい。
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物(1)、又は(及び)上記併用薬物を公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤などとすることができ、それらは、経口的、又は非経口的(例、局所、直腸、静脈など)に安全に投与することができる。
本発明の併用剤における本発明の化合物(1)と併用薬物との配合比は、投与対象、投与経路、疾患などにより適宜選択することができる。
上記併用薬物は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。又、本発明の化合物(1)と併用薬物の配合比は、投与対象、投与経路、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明の化合物(1)1質量部に対し、併用薬物を0.01〜100質量部用いればよい。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物(1)の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜99.9質量%の範囲であり、好ましくは約0.1〜50質量%の範囲であり、さらに好ましくは約0.5〜20質量%程度の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜99.9質量%の範囲であり、好ましくは約0.1〜約50質量%の範囲であり、さらに好ましくは約0.5〜約20質量%の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の併用剤における担体などの添加剤の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1〜99.99質量%の範囲であり、好ましくは約10〜約90質量%の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の化合物(1)、及び併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
上記したように投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、又範囲を超えて投与する必要がある場合もある。
本発明の結晶の医薬組成物は、本発明の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの結晶を含み、医薬上許容される添加剤と組み合わせて作られる。より詳細には、賦形剤(例;ブドウ糖、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、スクロース、白糖、マンニトール、マンニット、キシリトール、ソルビトール、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ケイ酸、デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、及び第二リン酸カルシウム二水和物等)、結合剤[例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、アルファ化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、天然ゴム及び合成ゴム等]、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物、タルク、カルボキシメチルセルロース等)、崩壊剤[例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプン、アルファ化デンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、及びアルギン酸ナトリウム等]、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80等)、流動促進剤(二酸化ケイ素及びタルク等)、被膜剤[例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD]、可塑剤(例;クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(例;酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(例;塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液などの緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl-α-トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、l-メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネン)、ゲル化剤、懸濁化剤、又は乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤又は溶媒の類を、本発明の化合物(1)と適宜組み合わせて種々の剤形とすることが出来る。
以下に実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。以下の薬理実施例1ないし5は、本発明の結晶の有効性を試験する方法を提供する。
TrkA LanthaScreen(登録商標) Eu Kinase Binding Assay(ThermoFisher SCIENTIFIC)を用いて測定した。384ウェルプレート(Corning)にKinase buffer(ThermoFisher SCIENTIFIC)で希釈した各濃度の被検化合物(1)溶液2.5μL及び15nMのTrkA酵素(ThermoFisher SCIENTIFIC)を2.5μL加えた。さらに、3nM Eu−anti−His Tag antibody(ThermoFisher SCIENTIFIC)を5μL、30nM Kinase(登録商標) Tracer 236(ThermoFisher SCIENTIFIC)を5μL加え、60分間室温にて反応させた。反応後、EnVision 2100(PerkinElmer)にて励起波長340nmによるEuropiumの蛍光強度(Emission波長615nm)及びTR−FRET(Emission波長665nm)を測定することによって、その蛍光比を被検化合物(1)とTrkA酵素の結合量として算出した。被検化合物(1)の代わりに溶媒を添加したウェルの蛍光比を0%、TrkAタンパクを加えていないウェルの蛍光比を100%として各被検化合物の阻害活性(IC50値)を算出した。
細胞系でのTrkAキナーゼに対する阻害活性は、ヒトTrkAを安定発現させたCHO−K1細胞(CellSenser(登録商標) TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞、ThermoFisher SCIENTIFIC)を用いたリガンド依存的な細胞内カルシウム濃度の上昇を指標として実施した。
アッセイの前日、細胞をアッセイ用培地(0.5%非働化Dialyzed FBS(ThermoFisher SCIENTIFIC)、NEAA(ThermoFisher SCIENTIFIC)、1mM Sodium Pyruvate(ThermoFisher SCIENTIFIC))を含むOpti−MEM(登録商標)1 Reduced Serum Medium(ThermoFisher SCIENTIFIC)に懸濁し、4.0×104細胞/100μL/ウェルの密度で、96ウェルクリアボトムプレート(Greiner)に播種した。アッセイ当日、2.5mMプロベネシド含有のローディングバッファー(FLIPR Calcium assay kit、モレキュラーデバイス)を100μL添加し、37℃、5%CO2の条件で1時間インキュベートした。0.1%BSA含有の20mM HEPES/HBSSであらかじめ希釈した被検化合物(1)を添加し(DMSO終濃度:0.1%)、細胞内カルシウム濃度測定システム(FDSS7000、浜松ホトニクス)にセットした。被検化合物(1)添加5分後にNGF−β(シグマアルドリッチジャパン)を添加し(終濃度:30ng/mL)、細胞内カルシウム濃度を蛍光シグナルとして測定した。被検化合物(1)の代わりに溶媒を添加したウェルの蛍光シグナルを0%、NGF−βを加えていないウェルの蛍光シグナルを100%として各被検化合物の阻害活性(IC50値)を算出した。
In vivoにおけるTrkAに対する阻害活性を評価した。背部を毛刈りした雄性Sprague−Dawleyラット(CD(SD)IGSラット、日本チャールス・リバー)に溶媒を用いて溶解又は懸濁させた被検化合物(1)を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。溶媒対照群には溶媒を経口投与した。投与1〜24時間後、イソフルラン麻酔下で1%エバンスブルー(ナカライテスク)を尾静脈内投与(投与容量:3mL/kg)し、直後に生理食塩液にて希釈した300ng/mLのNGF(マウス2.5s、Alomone)溶液を背部2カ所に、また生理食塩液を背部2カ所所に皮内投与(投与容量:50μL/site)した。皮内投与10分後、背部皮膚の投与部位(4か所)を切り取り、その皮膚サンプルを24ウェルプレート(日計製作所)の各ウェルに1サンプルずつ移した。プレートにホルムアミド(和光純薬工業)を1.5mL/ウェルずつ加えて蓋をした後、37℃で一晩インキュベートした。200μLのホルムアミドの抽出液を96ウェルプレート(nunc)へ移し、ホルムアミド中に抽出されたエバンスブルーの吸光度(波長:620nm)を、SpectraMax(モレキュラーデバイス)を用いて測定した。
同時にホルムアミドで希釈したエバンスブルー標品の吸光度も測定し、検量線を作成した。その検量線と各サンプルの吸光度から、各サンプルのエバンスブルー濃度を算出した。
同一個体から採取した4か所の皮膚サンプルのうち、NGFを投与した2か所の平均値から、生理食塩液を投与した2か所の平均値を減じた値をその個体の値とした。ラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は、溶媒対照群のエバンスブルー濃度を0%として算出した。
CFA惹起モデルラットを用いて、被験化合物(1)の鎮痛作用を評価した。
(1)CFA惹起モデルラットの作製
CFA(シグマアルドリッチジャパン)と生理食塩液を等量ずつ混ぜ合わせてエマルジョンを調製し、イソフルラン麻酔下にてラット右肢足蹠に26G注射針を用いて100μL投与した。正常対照群には生理食塩液を100μL投与した。
(2)被験化合物(1)、抗NGF抗体の投与
被験化合物(1)を0.5%メチルセルロース(和光純薬工業)で溶解又は懸濁した(投与容量:5mL/kg)。陽性対照である抗NGF抗体は、生理食塩液で溶解・希釈して2mL/kgの溶液に調製した。被験化合物(1)投与群は、CFA投与当日より1日2回、7日間反復経口投与した。抗NGF抗体は、CFA投与と同日に腹腔内投与した。
(3)50%threshold(g)の測定
CFA投与7日後に測定を実施した。測定環境に1時間以上動物を馴らした後に、Dixon up−down法(Journal of Neuroscience Methods、第53巻、55−63頁、1994年)に従いvon Freyフィラメントを用いて足蹠を刺激し、50%threshold(g)を以下の式により算出した。なお、測定は盲検下で実施した。
50% threshold(g)=(10^[Xf+kδ]/10000)
Xf:最後に使用したフィラメントの値
k:tabular value
δ:使用フィラメント間の差の平均(=0.224)
本発明の化合物(1)として以下で説明する実施例2の化合物(I型結晶)と実施例4の化合物(V型結晶)を採用し、これらの結晶を6−9週齢の雄性Crl:CD(SD)ラットに600mg/kg(投与溶媒は0.5w/v%メチルセルロース400溶液、10mL/kg)で経口単回投与した後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後に頸静脈より採血した。血液を遠心分離(12000×g、5分間、4℃)して得られた血漿を用いて、高速液体クロマトグラム/マススペクトロメトリーにて、血漿中の試験化合物を測定した。同様に試験化合物の既知濃度(0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5μg/mL)を添加した標準溶液を測定し、作成した検量線より血漿中濃度(μg/mL)を算出し、最高血漿中濃度をCmax(μg/mL)、血漿中濃度下面積をAUC(μg・hr/mL)とした。尚、測定条件は当業者が適宜設定することが可能である。
実施例2の化合物(I型結晶)と実施例4の化合物(V型結晶)の結果を以下に示す。
<最高血漿中濃度(Cmax)>
実施例2の化合物(I型結晶) : 29.7μg/mL
実施例4の化合物(V型結晶) : 26.9μg/mL
<血漿中濃度下面積(AUC)>
実施例2の化合物(I型結晶) : 561μg・hr/mL
実施例4の化合物(V型結晶) : 473μg・hr/mL
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、TrkAが関与する疾患である各種疾患に対して有望な予防、あるいは治療効果を示すことが期待される。
[LCMS][メソッドB]Waters FractionLynx MSシステム(Waters)及びSunFireカラム(4.6mm×5cm、5μm)(Waters)を用い、アセトニトリル:0.05%酢酸水溶液=10:90(0分)〜100:0(5.0分)〜100:0(6.0分)〜10:90(7.0分)、又は[メソッドC]アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=10:90(0分)〜100:0(5.0分)〜100:0(6.0分)〜10:90(7.0分)の移動相及びグラジエント条件を用いた。分取系には化合物により適宜変更したグラジエント条件を用いた。超臨界流体液体クロマトグラフィー(SFC)による光学分割はWaters SFC Prep15 System、SFC80q System及び対応するキラルカラムを用いて実施した。光学純度分析はWaters SFC UPC2及び対応するキラルカラムを用いて実施した。LC−Massは、ESI(エレクトロスプレーイオン化)を用いた質量分析(MS−ESI)を用いている。
FT−IRは、FT‐720(HORIBA社製)用いて、KBr法で測定した。顕微鏡写真は、MT4300L(メイジテクノ社製)を用いて測定した。
ここで、外挿融点開始温度とは、当該化合物の融点ピークの立ち上がり温度を意味する。例えば、図8(I型結晶のDSCスペクトルデータ)において、137.47℃が融点ピークであり、その立ち上がり温度が131.09℃、すなわち外挿融点開始温度は131℃と決定した。
各結晶形態の外挿融点開始温度は、以下のような値となる。
市販の2−クロロ−5−メチル−3−ピリジンアミン(CAS番号34552−13−1)(1.0 g)、フェニルボロニックアシッド(0.86g)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.81g)を、エタノール(15mL)、トルエン(35mL)、及び2規定炭酸カリウム水溶液(11mL)の混合溶媒に加え、窒素雰囲気下、100℃で18時間攪拌した。放冷後、得られた反応液に酢酸エチルと水を加えて分配し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘプタン/酢酸エチル=70:30〜65:35〜60:40)で精製し、標記化合物(1.2g)を無色固体として得た。
(実施例1)<工程1>で得られた化合物(0.19g)のN−メチルピロリドン(2.0mL)溶液にN−ブロモスクシンイミド(0.21g)を加え、室温で2時間攪拌した。得られた反応液に水(2.0mL)を加え、tert−ブチルメチルエーテルで二回抽出、有機層を水で洗浄した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=90:10〜30:10)で精製し、標記化合物(0.20g)を褐色固体として得た。
(実施例1)<工程2>で得られた化合物(0.40g)の1,2−ジメトキシエタン(10mL)と水(2.0mL)の混合溶液に、2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン(0.44 g)、炭酸セシウム(1.5g)及びジクロロ[1,1‘ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム ジクロロメタン付加物(0.12g)を加え80℃で4時間攪拌した。放冷後、得られた反応液に水を加えた。不溶物をセライトパッドで濾別し酢酸エチルで洗浄し、濾液から有機層を分離し、水、飽和食塩水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=100:0〜50:50)で精製し、標記化合物(0.31g)を得た。
(実施例1)<工程3>で得られた化合物(0.30g)の1,2−ジクロロエタン(100mL)溶液にピリジン(0.22mL)及び2,2,2−トリクロロエチル クロロホルメート(0.36mL)を室温で加え、同温にて1時間攪拌した。得られた反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=2:1)で精製し、標記化合物(0.41g)を白色固体として得た。
市販の4,4−ジメチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(CAS番号2979−69−3)(1.0g)のメタノール(10mL)溶液に、氷水冷下、水素化ホウ素ナトリウム(0.24g)を2回に分けて加え、室温で1時間攪拌した。減圧下メタノールを除去し、得られた残渣に1規定水酸化ナトリウム水溶液(30mL)と酢酸エチル(40mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記化合物(1.0g)を淡黄色油状物として得た。
(実施例1)<工程5>で得られた化合物(1.0g)とp−トルエンスルホン酸1水和物(0.05g)のトルエン(10mL)溶液を90℃で1.5時間攪拌した。室温に放冷後、酢酸エチル(40mL)と飽和炭酸水素化ナトリウム水溶液(30mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記化合物(0.86g)を黄色油状物として得た。
(実施例1)<工程6>で得られた化合物(30mg)と炭酸水素ナトリウム(80 mg)のアセトン(0.60mL)懸濁液にペルオキシ一硫酸カリウム(0.15g)水溶液(0.60mL)を氷冷下で加えた。得られた反応液を同温で1時間攪拌後、室温にて16時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分配した。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘプタン/酢酸エチル=100:0〜90:10)で精製し、標記化合物(24 mg)を無色油状物として得た。
(実施例1)<工程7>で得られた化合物(30mg)のエタノール(0.070mL)溶液中に、25%アンモニア水(1.0mL)を加えた。得られた反応液を封管中90℃で1時間攪拌した。放冷後、反応液に水を加えて析出した固体を濾取、減圧下で乾燥することにより標記化合物(14mg)を得た。
(実施例1)<工程8>で得られた化合物(3.4g)のアセトニトリル(74mL)と水(19mL)の混合溶液に、D−(−)−酒石酸(2.7g)を室温で加えた。得られた反応液を100℃で5分間攪拌し、室温まで放冷後、同温で2時間静置した。析出した結晶を濾取し、予め冷やしたアセトニトリル−水(4:1)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(2.0g)を得た。この生成物にアセトニトリル−水(4:1)(25mL)を加えて100℃で10分間攪拌し、室温まで放冷後、同温にて1時間静置し再結晶を行った。析出した結晶を濾取し、予め冷やしたアセトニトリル−水(4:1)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより標記化合物(1.4g)を無色固体として得た。
(実施例1)<工程4>で得られた化合物(0.10g)のN−メチルピロリドン(0.50mL)溶液に、(実施例1)<工程9>で得られた化合物(76mg)とトリエチルアミン(0.093mL)を加えて40℃で18.5時間攪拌した。得られた反応液に水(3.0mL)を加えて析出した沈殿を濾取し水洗した。濾取した粗生成物をヘプタン−イソプロパノール(9:1)の混合溶媒に懸濁し固化粉砕した後、濾取しヘプタン−イソプロパノール(9:1)で洗浄、減圧乾燥することにより標記化合物(82mg)を得た。
また、実施例1の各工程で合成した中間体化合物の1H−NMRデータ(無印:400MHz NMR、*印:300MHz NMR)、及びLC−Massデータを以下の表12、表13に示す。
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(15.0g)をエタノール(105mL)と水(45mL)の混合溶液に懸濁させ、72℃で30分間攪拌した。エタノール(28mL)と水(12mL)を追加して同温にて40分間攪拌し、完全に溶解させた。同温にてさらに30分間攪拌後、室温まで放冷後、同温で15時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール−水(1:4)の混合溶媒及び水で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(12.7g)を得た。この生成物にエタノール−水(1:9)(127 mL)を加えて74℃で40分間攪拌し、室温まで放冷した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(11.9g)を白色固体として得た(化合物(1)のI型結晶)。
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(0.76g)をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(11.5mL)に懸濁させ、室温で29時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、MTBEで結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(0.66g)を得た。この生成物をMTBE(9.5mL)に懸濁させ、室温で98時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(0.57g)を白色固体として得た(化合物(1)のIII型結晶)。
(実施例2)で得られた(化合物(1))I型結晶(2.12g)をアセトン(11 mL)とn-ヘプタン(11mL)の混合溶液に懸濁させ、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にn-ヘプタン(22mL)を加え、濾取し、標記化合物(1.90g)を白色固体として得た(化合物(1)のV型結晶)。
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(3.94g)をエタノール(28 mL)と水(12mL)の混合溶液に懸濁させ、80℃で20分間攪拌し、完全に溶解させた。室温まで放冷後、同温で17時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール−水(7:3)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより標記化合物(3.29g)を白色固体として得た(化合物(1)のVI型結晶)。
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)の各平衡溶解度(pH6.8リン酸緩衝液中の溶解度)を、下記方法で測定した。
(1)リン酸緩衝液(pH6.8)の調製法:
リン酸二水素カリウムを2.7g秤量し、水を加えて100mLにメスアップして、0.2mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液を調製した。リン酸水素二ナトリウム十水和物を7.2g秤量し、水を加えて100 mLにメスアップして、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液を調製した。0.2mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(14.8 mL)とリン酸水素二ナトリウム水溶液(10.0mL)を水(173.6 mL)で希釈してpH6.8のリン酸緩衝液を調製した。
スクリュー管に(実施例2)ないし(実施例5)の各結晶を約1mgずつ秤量し、pH6.8リン酸緩衝液(1 mL)を添加した。恒温振とう培養機(M−BR−022UP)を用いて、37℃、1000rpmで24時間インキュベートした。インキュベート開始後、1、2、6、24時間で100μLずつサンプリングし、フィルター(ミリポア:マルチスクリーン、MSSLBPC10)を用いて遠心分離機(HITACHI、himac cF 9RX、25℃、1500rpm、30秒)によりろ過して不溶物を除去した。ろ液を20 μL量り取り、20体積%テトラヒドロフラン−80体積%10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)(180μL)で希釈した。調製した溶液を10 μL量り取り、20体積%テトラヒドロフラン−80体積%10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)(190μL)で希釈した。調製した溶液を、下記記載の測定条件の下に、超高速高分離液体クロマトグラフィー(UPLC)で分析し、事前に作成した検量線を元に溶液中の化合物濃度を算出した。各実施例化合物とも3回測定し、3回の測定値の平均値と標準偏差を結果として表6に示した。
装置:ACQUITY UPLC H−Class(Waters社)
検出器:PDA(200−500 nm)
カラム:BEH C18 2.1×50 mm
測定波長:270 nm
カラム温度:40℃
注入量:10 μL
移動相:溶媒A:アセトニトリル、溶媒B:10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)
グラジエント:
0分 A5%、B95%
0.5分 A5%、B95%
2.5分 A90%、B10%
3.5分 A90%、B10%
3.7分 A5%、B95%
5分 A5%、B95%
流速:毎分0.7 mL
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)(各々約20mg)をガラス瓶に入れ、表7に記載の各条件下で保存した。保存期間完了後、試料を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて純度測定および実施例と同じ粉末X線回折分析にて結晶形の確認を行った。結果を表7に示す。
従って、原薬として長期間にわたってその品質が規格内に保持され、当該期間にわたって、医薬品への加工がしやすく、医薬品製剤に使用可能である。
また、VI型結晶は上記(試験例2)の保存中(開放系)に、I型結晶へと転移することが確認された。
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)(各々、約20mg)を透明のプラスチック容器に入れ蓋をし、表8に記載のICH Q1B(新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン)に準じる光安定性試験に付した(光安定性試験のサンプルは、可視光及びUV−A光を放つ別個のランプの下に保存し、約25℃にて、総暴露が各々120万ルクス時間及び200ワット時間/m2以上となるようにする。5日間の試験を0.5ICH、10日間の試験を1ICHと表記する)。また、同様な試験で被検化合物を入れたプラスチック容器をアルミホイルで遮光した場合を表9として示した。試験終了後、試料を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて純度測定および実施例と同じ粉末X線回折分析にて結晶形の確認を行った。結果を表8及び表9に示す。
*:[M+Na]+
*:[M+Na]+
また、本発明の結晶は、医薬品原薬の結晶として有用である。上記のような化合物(1)の結晶を提供することで、優れた医薬組成物の提供が可能となり有用である。
Claims (19)
- 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、9.2±0.2、11.2±0.2、12.9±0.2、18.0±0.2、18.4±0.2、21.3±0.2、23.5±0.2、24.0±0.2、24.6±0.2及び25.7±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶。
- 図1に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶。
- 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、131℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載のI型結晶。
- 柱状結晶の形態の請求項1ないし3のいずれか1項に記載のI型結晶。
- 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアを、アルコール系溶媒と水との混合溶媒に懸濁する工程、得られた混合溶液を撹拌しながら加熱して溶解させる工程、溶解した溶液を前記加熱温度で撹拌する工程、及び前記撹拌した溶液を室温まで放冷して結晶を得る工程、を含む、請求項1または2に記載のI型結晶の製造方法。
- 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、7.2±0.2、10.8±0.2、11.9±0.2、14.5±0.2、18.8±0.2、22.3±0.2、23.9±0.2、24.2±0.2、26.0±0.2及び27.9±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶。
- 図5に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶。
- 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、149℃であることを特徴とする、請求項6または7に記載のV型結晶。
- 柱状結晶の形態の請求項6ないし8のいずれか1項に記載のV型結晶。
- 請求項1または2に記載のI型結晶を、アセトンと炭化水素系溶媒との混合溶媒に懸濁する工程、及び得られた混合溶液を室温で撹拌する工程、を含む、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶の製造方法。
- 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.8±0.2、10.3±0.2、14.3±0.2、15.3±0.2、17.6±0.2、19.7±0.2、20.9±0.2、21.6±0.2、22.3±0.2及び22.6±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶。
- 図3に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶。
- 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、121℃であることを特徴とする、請求項11または12に記載のIII型結晶。
- 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.9±0.2、9.2±0.2、11.1±0.2、13.3±0.2、18.5±0.2、19.0±0.2、22.3±0.2、22.8±0.2、23.4±0.2及び24.2±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶。
- 図7に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶。
- 請求項1〜4、請求項6〜9および請求項11〜15のいずれか1項に記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
- TrkA阻害剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
- 疼痛、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等からなる群から選択される少なくとも1つの疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患の予防剤及び/又は治療剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
- 医薬組成物の製造における、請求項1〜4、請求項6〜9および請求項11〜15のいずれか1項に記載の結晶の使用。
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