JPWO2019054451A1 - テトラヒドロナフチルウレア誘導体の結晶 - Google Patents

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Abstract

本発明は、医薬品原薬の結晶として有用な1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶を提供する。本発明は、また、優れたTrkA阻害作用を有する1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶、当該結晶を含む医薬及び医薬組成物、並びに当該結晶の製造方法を提供する。

Description

本発明は、トロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)阻害作用を有し、疼痛等の予防及び/又は治療剤として有用なテトラヒドロナフチルウレア誘導体の1つである、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレア(以下、化合物(1)とも記載する場合がある)の新規な結晶形(I型結晶、III型結晶、V型結晶及びVI型結晶)、それら結晶の製造法、及び当該結晶を含有する医薬組成物に関する。
トロポミオシン受容体キナーゼ(Tropomyosin receptor kinase:Trk)は、細胞外にニューロトロフィン(NT)との結合ドメイン、細胞内にキナーゼドメインを持つNTの受容体型チロシンキナーゼで、神経成長因子(NGF)の受容体であるTrkA、脳由来神経栄養因子(BDNF)及びNT−4/5の受容体であるTrkB、及びNT−3の受容体であるTrkCに分類される。これらTrk受容体は神経組織に高発現し、神経細胞の分化や維持、シグナル伝達へ関与することが報告されている(非特許文献1)。
NGFは、例えば関節炎、膵炎、膀胱炎、慢性頭痛、糖尿病性神経障害やがんなどの痛みを伴う疾患で濃度が上昇することが知られ、また、ヒトやラットへのNGFの投与によっても痛みが誘発されることが報告されている(非特許文献2)。さらにNGFやTrkAのヒト機能喪失型変異により先天性無痛症を示すこと(非特許文献3)、NGFやTrkAのノックアウトマウスで疼痛症状が消失すること(非特許文献4、5)も知られていることから、生体内においてNGF/TrkA経路は痛みの発現に強く関与していると考えられる。
NGF/TrkA経路の阻害剤、すなわち抗NGF抗体や抗TrkA抗体、低分子Trk阻害剤などは、臨床試験や非臨床試験において様々な疼痛症状を改善し得ることが示されている。例えば、変形性関節症、慢性腰痛症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎及び慢性膵炎などに伴う疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、複合性局所疼痛症候群、片頭痛などの痛みに有効であることが報告されている(非特許文献2、6〜9)。
TrkAを含むTrk受容体は、過剰発現、活性化、及び遺伝子融合を含む変異などにより、神経芽細胞腫、卵巣癌、結腸直腸癌、黒色腫、頭頸部癌、胃癌、肺癌、乳癌、神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、胆管細胞癌、分泌性乳癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵癌、甲状腺乳頭癌及び成人骨髄性白血病などを含む様々ながんに関与していることが知られており、Trk阻害剤は臨床試験及び非臨床試験において腫瘍増殖を阻害することが示されている(非特許文献10〜14)。
また、TrkA受容体は、肥満細胞や好酸球などの炎症細胞、単球、マクロファージ、T細胞やB細胞などの免疫担当細胞、ならびにコリン作動性神経を含む中枢神経細胞などにも発現しており、喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスやアルツハイマー病などの疾患においても、NGF/TrkA経路の関与が報告されている(非特許文献15〜21)。
これらの理由から、TrkA阻害活性を有する薬剤の創製は、疼痛、がん、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患などの治療に応用できる可能性があり、新たなタイプの治療剤及び/又は予防剤として期待できる。
ウレア構造を有するTrkA阻害作用を示す誘導体が、WO2015/175788号パンフレット(特許文献1)、WO2015/039333号パンフレット(特許文献2)、WO2014/078378号パンフレット(特許文献3)、及びWO2014/078325号パンフレット(特許文献4)等に開示されている。しかしながら、これらに開示されている誘導体には、本発明の特徴的な構造であるテトラヒドロナフチル構造を持つ化合物が無く、テトラヒドロナフチル構造を持つ化合物については、開示も示唆もない。
又、WO2014/078454号パンフレット(特許文献5)には、テトラヒドロナフチル構造を有するTrkA阻害作用を示す誘導体が開示されているが、特許文献5に記載の誘導体はピラゾール環を有するウレア誘導体であり、本発明の化合物(1)の開示はない。
WO2015/175788号パンフレット WO2015/039333号パンフレット WO2014/078378号パンフレット WO2014/078325号パンフレット WO2014/078454号パンフレット
Current Opinion in Neurobiology、第11巻、272−280頁、2001年 Journal of Pain Research、第9巻、373−383頁、2016年 Journal of Neurochemistry、第124巻、276−289頁、2013年 Cell、第76巻、1001−1011頁、1994年 The FASEB Journal、第8巻、738−744頁、1994年 Arthritis Research & Therapy、第18巻、97頁、2016年 Journal of Orthopaedic Research、第33巻、1235−1241頁、2015年 Pain、第138巻、47−60頁、2008年 The Journal of Neuroscience、第27巻、8190−8201頁、2007年 Biochimica et Biophysica Acta、第1866巻、37−50頁、2016年 Cancer discovery、第5巻、25−34頁、2015年 Clinical & Translational Oncology、第18巻、599−607頁、2016年 Journal of Proteome Research、第7巻、1932−1944頁、2008年 Nature Reviews Cancer、第3巻、203−216頁、2003年 Jorunal of Alzheimer‘s Disease、第40巻、605−617頁、2014年 Expert review of Respiratory Medicine、第4巻、395−411頁、2010年 Current Opinin in Pulmonary Medicine、第7巻、1−7頁、2001年 Gut、第46巻、670−678頁、2000年 Acta Dermato−Venereologica、第95巻、542−548、2015年 Cytokine、第20巻、136−139頁、2002年 Progress in Brain Research、第146巻、415−432頁、2004年
本発明の目的は、トロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)阻害作用を有しており、疼痛等の予防及び/又は治療剤等として有用な化合物(1)について、医薬品原薬に適した結晶を提供することである。また、上記化合物(1)の結晶を提供することで、優れた医薬組成物の提供が可能となる。
「多形」は、物質に2つ以上の結晶形(結晶構造)が存在することを意味する。また、特定の物質の異なる結晶形は「多形体」と呼ばれる。「多形」は、一般に、立体配座を変化させるか、もしくは異分子間又は分子内相互作用(特に、水素結合)の影響を受けることで、種々の多形体の結晶格子での異なる原子配置に反映されている。一方、物質の全体としての外形は「形態」又は「結晶形態」と呼ばれており、これは、内部構造に関係なく、結晶の外部形状及び存在面を表わす。結晶は、種々の条件(例えば、成長速度、撹拌方法(速度、温度)、及び不純物の存在等)に依り、種々の結晶形態を示すことがある。
物質の種々の「多形」は、異なる結晶格子エネルギーを有し得る為、固体状態で多形は異なる物理的性質(例えば、形、密度、融点、色、安定性、溶解性、溶解速度等)を示すことがある。先の物理的性質は、医薬もしくは医薬組成物等で用いられる特定の多形の、安定性、溶解性、及び生物学的利用能(体内吸収作用、薬剤の作用等)、並びに医薬品の保管寿命、製剤特性、及び加工特性等に影響を及ぼす場合もある。多形によって、体内吸収速度が異なる点で、本来有している活性と比較して、高いもしくは低い生物活性が誘導される。
医薬品の結晶多形は、複数の多形が存在するため、当該医薬品の結晶形の製造過程もしくは保管過程で、ある結晶形が他の結晶形に変化する、すなわち、結晶構造が変化することを意味する「多形転位(又は、結晶転移とも言う)」を引き起こす可能性もあり得る。又、ある多形が他の多形よりも高い熱力学的安定性を示す場合、製剤作成時に当該他の多形よりも当該ある多形を選択すべき場合もあり得るため、熱力学的安定性を確認してより有利な多形を選択する事も課題の一つとなる。
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究した結果、化合物(1)の結晶化に成功し、化合物(1)の4種類の結晶形態(本明細書において記載される当該4種類の結晶形態(結晶形)は、本明細書において以後、I型結晶、III型結晶、V型結晶及びVI型結晶と呼び、さらにI型結晶をFormI、III型結晶をFormIII、V型結晶をFormV及びVI型結晶をFormVIと表記する場合もある)が存在することを見出した。
さらに、当該化合物(1)の4種類の結晶形態(I型結晶、III結晶、V型結晶、及びVI型結晶)は、各々明瞭に異なる物理的性質を有し、医薬品原料として期待できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の化合物(1)は、I型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶の結晶形にかかわらず、トロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)阻害作用を有する化合物であり、TrkAが関与する疾患(例えば、疼痛等)の改善作用を有している。
I型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶の結晶形にかかわらず、本発明の化合物(1)を有効成分として含有する医薬組成物は、TrkAが関与している疾患の予防剤及び/又は治療剤として期待される。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、TrkA阻害作用を有する化合物であり、医薬品として有用であることが理解できる。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、医薬品原料として充足し得ることが期待される。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、優れた医薬組成物を提供することが可能である。
図1は、(実施例2)の化合物(1)のI型結晶の粉末X線回折パターンである。 図2は、(実施例2)の化合物(1)のI型結晶のFT−IRスペクトルデータである。 図3は、(実施例3)の化合物(1)のIII型結晶の粉末X線回折パターンである。 図4は、(実施例3)の化合物(1)のIII型結晶のFT−IRスペクトルデータである。 図5は、(実施例4)の化合物(1)のV型結晶の粉末X線回折パターンである。 図6は、(実施例4)の化合物(1)のV型結晶のFT−IRスペクトルデータである。 図7は、(実施例5)の化合物(1)のVI型結晶の粉末X線回折パターンである。 図8は、(実施例2)の化合物(1)のI型結晶のDSC及びTGAのスペクトルデータである。 図9は、(実施例2)の化合物(1)のI型結晶の顕微鏡写真である。 図10は、(実施例3)の化合物(1)のIII型結晶のDSC及びTGAのスペクトルデータである。 図11は、(実施例4)の化合物(1)のV型結晶のDSC及びTGAのスペクトルデータである。 図12は、(実施例4)の化合物(1)のV型結晶の顕微鏡写真である。
本発明は、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレア(化合物(1))のI型結晶又はV型結晶、当該結晶の製造方法及び当該結晶を含有する医薬組成物に関する。
更に、本発明は、化合物(1)のIII型結晶又はVI型結晶、当該結晶の製造方法及び当該結晶を含有する医薬組成物にも関する。
本発明は、以下の態様[1]〜[41]を含む。
ここで、本明細書において、態様[1]〜態様[20]
のいずれかに記載の結晶を、「本発明の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの結晶」、「化合物(1)の結晶」又は「本発明の結晶」という場合がある。
態様[1]〜態様[6]のいずれかに記載の結晶を、「本発明のI型結晶」という場合がある。
態様[7]〜態様[11]のいずれかに記載の結晶を「本発明のIII型結晶」という場合がある。
態様[12]〜態様[17]のいずれかに記載の結晶を「本発明のV型結晶」という場合がある。
態様[18]〜態様[20]のいずれかに記載の結晶を「本発明のVI型結晶」という場合がある。
[1]本発明の第1の態様は、粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、9.2±0.2、11.2±0.2、12.9±0.2、18.0±0.2、18.4±0.2、21.3±0.2、23.5±0.2、24.0±0.2、24.6±0.2及び25.7±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶である。
[2]本発明の第2の態様は、図1に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶である。
[3]本発明の第3の態様は、粉末X線回折において表2に示す回折角(2θ)、及び相対強度(%)を有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶である。
[4]本発明の第4の態様は、図2に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられる、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶、好ましくは、図2に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられ、かつ、前記態様[1]ないし態様[3]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[5]本発明の第5の態様は、示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が131℃であることを特徴とする、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶である。
[6]本発明の第6の態様は、柱状結晶の形態の前記態様[1]ないし態様[5]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[7]本発明の第7の態様は、粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.8±0.2、10.3±0.2,14.3±0.2、15.3±0.2、17.6±0.2、19.7±0.2、20.9±0.2、21.6±0.2、22.3±0.2及び22.6±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII結晶である。
[8]本発明の第8の態様は、図3に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII結晶である。
[9]本発明の第9態様は、粉末X線回折において表3に示す回折角(2θ)、及び相対強度(%)を有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶である。
[10]本発明の第10の態様は、図4に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられる、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶、好ましくは、図4に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられ、かつ、前記態様[7]ないし態様[9]のいずれか1態様または複数の態様に記載のIII型結晶である。
[11]本発明の第11の態様は、示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が121℃であることを特徴とする、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶である。
[12]本発明の第12の態様は、粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、7.2±0.2、10.8±0.2、11.9±0.2、14.5±0.2、18.8±0.2、22.3±0.2、23.9±0.2、24.2±0.2、26.0±0.2及び27.9±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶である。
[13]本発明の第13の態様は、図5に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV結晶である。
[14]本発明の第14の態様は、粉末X線回折において表4に示す回折角(2θ)、及び相対強度(%)を有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶である。
[15]本発明の第15の態様は、図6に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられる、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶、好ましくは、図6に示すFT−IRスペクトル図に示すデータ値(cm-1)により特徴付けられ、かつ、前記態様[12]ないし態様[14]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[16]本発明の第16の態様は、示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が149℃であることを特徴とする、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶である。
[17]本発明の第17の態様は、柱状結晶の形態の前記態様[12]ないし態様[16]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[18]本発明の第18の態様は、粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.9±0.2、9.2±0.2、11.1±0.2、13.3±0.2、18.5±0.2、19.0±0.2、22.3±0.2、22.8±0.2、23.4±0.2及び24.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶である。
[19]本発明の第19の態様は、図7に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI結晶である。
[20]本発明の第20の態様は、粉末X線回折において表5に示す回折角(2θ)、及び相対強度(%)を有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶である。
[21]本発明の第21の態様は、前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶の製造方法であって、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアを、アルコール系溶媒と水との混合溶媒に懸濁する工程、得られた混合溶液を撹拌しながら加熱(前記溶媒の沸点以下の温度、例えば、50〜90℃、好ましくは、60〜80℃、より好ましくは70℃±5℃)して溶解させる工程(例えば、0.1〜12時間、好ましくは、20分〜6時間、より好ましくは30分〜60分)、その後溶解した溶液を前記加熱温度で撹拌(例えば、0.1〜12時間、好ましくは、20分〜6時間、より好ましくは30分〜60分)する工程、及び、その後撹拌した溶液を室温まで放冷(例えば、1〜48時間、好ましくは、2〜24時間、より好ましくは5〜18時間)することで結晶を得る工程、を含む、前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶の製造方法である。
[21−1]前記態様[21]におけるアルコール系溶媒は、好ましくは、メタノール、エタノール、又は2−プロパノールであり;より好ましくは、メタノール又はエタノールである。
[21−2]前記態様[21]又は[21−1]に記載の製造方法におけるアルコール系溶媒と水との混合溶媒の混合比は、4:1〜1:1(体積:体積、v/v)の範囲で適宜選択できる。より具体的には、例えば、エタノール:水=4:1、3:1、2:1又は7:3もしくはこれらの間の割合が挙げられる。この混合比の混合溶媒を準備して、適宜溶解させるまでの量で使用する。
[21−3]前記態様[21]ないし態様[21−2]のいずれか1態様または複数の態様に記載の製造方法において、濾取し得られた結晶を、アルコール系溶媒と水の混合比が、1:4(体積:体積、v/v)の混合溶媒及び/又は水で洗浄し、減圧下乾燥することが好ましい。
[21−4]前記態様[21]ないし態様[21−3]のいずれか1態様または複数の態様に記載の製造方法において、得られた結晶を、アルコール系溶媒:水の混合比が1:9(体積:体積、v/v)の混合溶媒に加え、60〜80℃で30〜60分撹拌し、室温まで放冷する工程を含むことがより好ましい。
[22]本発明の第22の態様は、前記態様[7]ないし態様[11]のいずれか1態様または複数の態様に記載のIII型結晶の製造方法であって、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアを、エーテル系溶媒に懸濁する工程、得られた混合溶液を室温で1日程度、好ましくは、1〜60時間、より好ましくは6〜48時間、さらに好ましくは12〜36時間撹拌し、析出した結晶を濾取する工程、を含む、前記態様[7]ないし態様[11]のいずれか1態様または複数の態様に記載の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶の製造方法である。
[22−1]前記態様[22]におけるエーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサン等が挙げられ;好ましくは、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)である。
[22−2]前記態様[22]において、(1)更に上記と同じ又は異なる溶媒中に懸濁する工程、(2)室温で4日程度、好ましくは、1日〜10日、より好ましくは、2〜8日、さらに好ましくは3〜7日撹拌する工程、を更に含むことが好ましい。
[23]本発明の第23の態様は、前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶の製造方法であって、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(前記態様[1]ないし態様[6])をアセトンと炭化水素系溶媒との混合溶媒に懸濁する工程、得られた混合溶液を室温で撹拌(例えば、0.1〜24時間、好ましくは、30分〜12時間、より好ましくは1時間±30分程度、さらに好ましくは1時間)する工程、を含む、前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶の製造方法である。
[23−1]前記態様[23]における炭化水素系溶媒は、n−ヘキサン、n−ヘプタンが挙げられ、好ましくは、n−ヘプタンである。
[23−2]前記態様[23]又は態様[23−1]に記載の製造方法におけるアセトンと炭化水素系溶媒との混合溶媒の混合比は、3:1〜1:1(体積:体積、v/v)の範囲で適宜選択できる。より具体的には、例えば、アセトン:n−ヘプタン=3:1、2:1、又は1:1等が挙げられ、好ましくは、1:1である。
[23−3]前記態様[23]において、撹拌した溶液にさらに上記と同じ又は異なる混合溶媒を加え、析出する結晶を濾取する工程を更に含むことが好ましい。
[24]本発明の第24の態様は、前記態様[18]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載のVI型結晶の製造方法であって、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアを、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等)と水との混合溶媒(7:3)に懸濁する工程、得られた混合溶液を例えば50〜100℃、好ましくは、60〜90℃、より好ましくは70〜80℃で、例えば1〜120分、好ましくは10〜60分、より好ましくは20〜40分撹拌し、溶解させる工程、溶解した溶液を室温まで放冷(例えば0.1〜120分、好ましくは1〜60分、より好ましくは10〜30分)する工程、を含む、前記態様[18]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶の製造方法である。
[24−1]前記態様[24]において、濾取し得られた結晶を、更にエタノールと水との混合溶媒(7:3、体積:体積、v/v)で洗浄し、減圧下乾燥することがより好ましい。
[24−2]前記態様[24]において、放冷し、室温で1〜48時間(好ましくは、2〜24時間、より好ましくは5〜18時間)撹拌して析出する結晶を得る工程を更に含むことが好ましい。
[25]本発明の第25の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物である。
[25−1]前記態様[25]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[25−2]前記態様[25]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[26]本発明の第26の態様は、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等からなる群から選択される少なくとも1つの疾患を治療するための医薬であって、前記疾患を治療するのに有効な量の、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物である。
[26−1]前記態様[26]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[26−2]前記態様[26]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
本明細書中、特に断りのない限り、「疾患を治療する」にあるような「治療する」とは、「疾患」の進行、又は1つもしくは複数の「疾患」を回復させる、緩和する、又は抑制することを意味する。
本明細書中、「予防する」は、患者の状態に応じて、「疾患」の発症又はその「疾患」に関連する任意の症状の発症を予防することを意味する。「疾患」の予防、ならびに発症前に「疾患」又はその任意の症状の重症度を低減することも包含する。
[27]本発明の第27の態様は、本発明の第26の態様に記載の少なくとも1つの疾患を治療するための医薬組成物であって、TrkAを阻害するのに有効な量の、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物である。
[27−1]前記態様[27]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[27−2]前記態様[27]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[28]本発明の第28の態様は、TrkA阻害剤である、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物である。
[28−1]前記態様[28]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[28−2]前記態様[28]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
[29]本発明の第29の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする、TrkAが関与する疾患の予防及び/又は治療剤である。
「TrkAが関与する疾患」としては、例えば、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
[29−1]本発明の第29−1の態様は、TrkAが関与する疾患の予防及び/又は治療のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様または複数の態様に記載の結晶である。
[29−2]前記態様[29]又は[29−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様または複数の態様に記載のI型結晶である。
[29−3]前記態様[29]又は[29−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様または複数の態様に記載のV型結晶である。
「疼痛」は、多くの外傷及び疾患状態の特徴である。体組織への、疾患又は外傷を介する実質的損傷が起きる場合、侵害受容器活性化の特徴は変化し、これは、損傷部位及び近くの正常組織における過敏性につながる。具体的な疼痛としては、骨関節炎疼痛、関節痛、神経因性疼痛、術後疼痛、腰痛、及び糖尿病性神経障害、術中疼痛、がん性疼痛、化学療法誘導疼痛、頭痛(群発頭痛、緊張性頭痛、片頭痛疼痛を含む)、三叉神経疼痛、帯状疱疹疼痛、帯状疱疹後神経痛、手根管症候群、炎症性疼痛、関節リウマチからの疼痛、結腸炎、間質性膀胱炎の疼痛、内臓痛、腎臓結石からの疼痛、胆石からの疼痛、咽喉痛、線維筋痛、慢性疼痛症候群、視床痛症候群、卒中からの疼痛、幻肢痛、日焼け、神経根障害、複合局所疼痛症候群、HIV感覚性神経障害、中枢神経障害疼痛症候群、多発性硬化症疼痛、パーキンソン病疼痛、脊髄損傷疼痛、生理痛、歯痛、骨転移からの疼痛、子宮内膜症からの疼痛、子宮筋腫からの疼痛、侵害受容性疼痛、痛覚過敏、及び側頭下顎骨関節痛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「急性疼痛」は、国際疼痛学会の定義によれば、疾患、炎症、又は組織への損傷に起因する。この種類の疼痛は、概して、例えば外傷又は手術後に突発し、不安症又はストレスを伴い得、一定の期間及び重症度に限定される。場合によっては、急性疼痛は慢性化し得る。
「慢性疼痛」は、国際疼痛学会の定義によれば、疾患自体を表すと広く信じられている。
慢性疼痛は、環境的及び心理的要因により、更に悪化し得る。慢性疼痛は、概して3か月以上に渡って、急性疼痛よりもより長い期間に渡って持続し、ほとんどの内科療法に対して耐性がある。慢性疼痛は、患者にとって重篤な問題を引き起こし得る為、多くの場合、重篤な問題を引き起こす。慢性疼痛には、がん性疼痛(腫瘍から生じる疼痛)、内臓痛(例えば、膵臓癌及び/又は腹部における転移から生じる内臓痛)、体性痛(例えば、骨癌、骨における転移、術後疼痛、肉腫、結合組織のがん、骨組織のがん、骨髄の造血細胞のがん、多発性骨髄腫、白血病、原発性又は続発性骨がんのうちの1つ又は複数による体性痛)が含まれる。
「炎症性疼痛」は、炎症から生じる疼痛を意味する。炎症性疼痛は、多くの場合、機械的刺激に対する増加した感受性(機械的痛覚過敏又は圧痛)として現れる。例えば、炎症性疼痛は、下記から成る群から選択される状態による:熱傷、日焼け、関節炎、大腸炎、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、粘膜炎、尿道炎、膀胱炎、胃炎、肺炎、及び膠原血管病等。
「神経障害性疼痛」は、神経損傷を生じる状態又は事象から生じる疼痛を意味する。「神経障害」は、神経への損傷を生じる疾患過程を意味する。「カウザルギー」は、神経損傷後の慢性疼痛の状態を意味する。「異痛」は、通常は無痛の刺激、例えば優しい接触に反応して、人が痛みを感じる状態を意味する。
「神経障害性疼痛」は、例えば、カウザルギー、糖尿病、膠原血管病、三叉神経痛、脊髄損傷、脳幹損傷、視床痛症候群、複合性局所疼痛症候群I型/反射***感神経性ジストロフィー、ファブリー症候群、小径線維ニューロパシー、がん、がん化学療法、慢性アルコール中毒、脳卒中、膿瘍、脱髄疾患、ウイルス感染、抗ウイルス療法、AIDS、及びAIDS療法等から選択される状態による。
「神経障害性疼痛」は、例えば、外傷、手術、切断術、毒素及び化学療法等から選択される作用因による。
「侵害受容性疼痛」は、組織損傷又は損傷を引き起こす可能性のある激しい刺激により誘発される。痛覚求心性神経線維は、損傷部位における侵害受容器による刺激の伝達により活性化され、その終末位置で脊髄を過敏化する。これは次いで、疼痛が認知される脳まで脊髄路を上へ中継される。侵害受容器の活性化は、2つのタイプの求心性神経線維を活性化する。有髄のA−δ線維は、迅速に伝達し、鋭く刺すような疼痛感覚を担い、一方、無髄のC線維は、より遅い速度で伝達し、鈍いかうずくような疼痛を伝える。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、挫傷/捻挫による疼痛、術後疼痛(任意のタイプの外科手術後の疼痛)、外傷後疼痛、火傷、心筋梗塞、急性膵炎、及び腎疝痛の際立った特徴であるが、それらに限定されるものではない。一般的に、がん関連急性疼痛症候群も、化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法及び放射線療法などの治療上の相互作用に起因している。
中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、がん性疼痛(例えば、骨痛、頭痛及び顔面痛、内臓痛)又はがん療法に伴うもの(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、照射後症候群)であり得るがん性疼痛、脱出性もしくは断裂性椎間板又は腰部椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋もしくは後縦靱帯の異常に起因することがある背部痛の際立った特徴であるが、それらに限定されるものではない。
「がん」は、典型的に無秩序細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を意味するか、又は表わす。「がん」の具体的な例としては、神経芽細胞腫、子宮体癌、多形性グリア芽細胞腫、子宮頸癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄腫、甲状腺癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、脳腫、食道癌、腎臓癌、骨腫及び血液がん(慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び慢性リンパ性白血病(CML))、扁平上皮癌、神経膠腫、胃腸癌、卵巣癌、肝臓癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、頭頸部癌、生殖細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、多発性骨髄腫等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「炎症/炎症性疾患」の具体的な例としては、間質性膀胱炎(IC)、有痛性膀胱症候群(PBS)、尿失禁、炎症性膀胱炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、関節腫脹、喘息、アトピー性皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、及び全身性エリテマトーデス等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「アレルギー性疾患」の具体的な例としては、喘息、アトピー性皮膚炎、及び鼻炎等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「皮膚疾患」の具体的な例としては、掻痒症(全身性皮膚掻痒症、限局性皮膚掻痒症、及び汎発性皮膚掻痒症を含む)等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「腎疾患」の具体的な例としては、糖尿病性腎症、腎臓線維症、及び慢性腎臓疾患等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「ある特定の感染症」の具体的な例としてはクルーズトリパノソーマ感染症等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
「神経変性疾患」の具体的な例としては、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
[30]本発明の第30の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする、TrkAが関与する疾患の治療剤である。
[30−1]前記態様[30]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[30−2]前記態様[30]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[31]本発明の第31の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等の予防及び/又は治療剤である。
好ましくは、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)の予防及び/又は治療剤である。
[31−1]本発明の第31−1の態様は、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等の予防及び/又は治療のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶である。
好ましくは、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)の予防及び/又は治療のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶である。
[31−2]前記態様[31]又は[31−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[31−3]前記態様[31]又は[31−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[32]本発明の第32の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有する、本発明の第26の態様に記載の疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患の治療剤である。
[32−1]前記態様[32]において、好ましくは、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を有効成分として含有する、疼痛の疾患の治療剤である。
[32−2]前記態様[32]及び[32−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[32−3]前記態様[32]及び[32−1] における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[33]本発明の第33の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の1つ以上を含む/からなるTrkA阻害剤である。
[33−1]本発明の第33−1の態様は、TrkA阻害のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶である。
[33−2]前記態様[33]又は[33−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[33−3]前記態様[33]又は[33−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[34]本発明の第34の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の少なくとも1つの医薬組成物としての使用である。
[34−1]本発明の第34−1の態様は、医薬組成物の製造のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の使用である。
[34−2]前記態様[34]又は[34−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[34−3]前記態様[34]又は[34−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[35]本発明の第35の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の少なくとも1つのTrkA阻害としての使用である。
[35−1]本発明の第35−1の態様は、TrkA阻害剤の製造のための、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の使用である。
[35−2]前記態様[35]又は[35−1]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[35−3]前記態様[35]又は[35−1]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[36]本発明の第36の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の医薬組成物の製造における使用である。
[36−1]前記態様[36]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[36−2]前記態様[36]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[37]本発明の第37の態様は、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶のTrkA阻害剤の製造における使用である。
[37−1]前記態様[37]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[37−2]前記態様[37]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[38]本発明の第38の態様は、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症から選択される疾患を治療する方法であって、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の少なくとも1つを前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法である。
好ましくは、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)を治療する方法であって、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶の少なくとも1つを前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法であり、より好ましくは疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)を治療する方法である。
[38−1]前記態様[38]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[38−2]前記態様[38]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
ここで「対象」とは、ヒトの他、イヌ、ネコ、ラット、マウス、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等の非ヒト哺乳動物を含むものとする。
本明細書中、特に断りのない限り、「疾患の治療」にあるような「治療」とは、「疾患」の進行、又は1つもしくは複数の「疾患」を回復させる、緩和する、又は抑制することを意味する。
[39]本発明の第39の態様は、本発明の第26の態様に記載の疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患を治療する方法であって、前記疾患を治療するのに有効な量の、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法である。
[39−1]前記態様[39]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[39−2]前記態様[39]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[40]本発明の第40の態様は、本発明の第26の態様に記載の疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患を治療する方法であって、TrkAに阻害するのに有効な量の、前記態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶を前記疾患の治療を必要とする対象に投与することを含む方法である。
[40−1]前記態様[40]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[40−2]前記態様[40]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
[41]本発明の第41の態様は、前記疾患が、骨関節炎疼痛、関節痛、神経因性疼痛、術後疼痛、腰痛、及び糖尿病性神経障害、術中疼痛、がん性疼痛、化学療法誘導疼痛、頭痛(群発頭痛、緊張性頭痛、片頭痛疼痛を含む)、三叉神経疼痛、帯状疱疹疼痛、帯状疱疹後神経痛、手根管症候群、炎症性疼痛、関節リウマチからの疼痛、結腸炎、間質性膀胱炎の疼痛、内臓痛、腎臓結石からの疼痛、胆石からの疼痛、咽喉痛、線維筋痛、慢性疼痛症候群、視床痛症候群、卒中からの疼痛、幻肢痛、日焼け、神経根障害、複合局所疼痛症候群、HIV感覚性神経障害、中枢神経障害疼痛症候群、多発性硬化症疼痛、パーキンソン病疼痛、脊髄損傷疼痛、生理痛、歯痛、骨転移からの疼痛、子宮内膜症からの疼痛、子宮筋腫からの疼痛、侵害受容性疼痛、痛覚過敏、側頭下顎骨関節痛、神経芽細胞腫、子宮体癌、多形性グリア芽細胞腫、子宮頸癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄腫、甲状腺癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、脳腫、食道癌、腎臓癌、骨腫及び血液がん(慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、及び慢性リンパ性白血病(CML))、扁平上皮癌、神経膠腫、胃腸癌、卵巣癌、肝臓癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、頭頸部癌、生殖細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、多発性骨髄腫、間質性膀胱炎(IC)、有痛性膀胱症候群(PBS)、尿失禁、炎症性膀胱炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、関節腫脹、喘息、アトピー性皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、鼻炎、全身性皮膚掻痒症、限局性皮膚掻痒症、汎発性皮膚掻痒症、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病、クルーズトリパノソーマ感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、糖尿病性腎症、腎臓線維症、及び慢性腎臓疾患及び骨粗鬆症の群から選択される態様[29]に記載の予防及び/又は治療剤又は態様[38]に記載の方法である。
[41−1]前記態様[41]における結晶は、好ましくは前記態様[1]ないし態様[6]のいずれか1態様に記載のI型結晶である。
[41−2]前記態様[41]における結晶は、好ましくは前記態様[12]ないし態様[17]のいずれか1態様に記載のV型結晶である。
本発明の態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶のTrkA阻害作用は適宜選択した方法、例えば、後述の薬理実験例1(ヒト由来TrkA結合阻害作用)で測定する事ができる。
本発明の態様[1]ないし態様[20]のいずれか1態様に記載の結晶は、薬理実験例1(ヒトTrkA結合阻害作用)において、優れたTrkA阻害活性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの結晶は、いずれの結晶形も重水素変換体であってもよい。
本明細書において、得られた結晶の解析方法としては、X線回折による結晶解析の方法が一般的である。さらに、結晶の方位を決定する方法としては、機械的な方法又は光学的な方法(例えば、FT−ラマンスペクトル、固体NMRスペクトル)なども挙げられる。また、結晶の熱分析(示差走査熱量測定、Differential Scanning Calorimetry(DSC)、熱重量分析、Thermal gravimetric analysis(TGA))、赤外吸収スペクトル(IR)分析(KBr法、溶液法)なども通常の方法に従って測定することができる。
上記解析方法により得られるスペクトルのピークは、その性質上一定の測定誤差が必然的に生じる。スペクトルのピークの数値が当該誤差範囲のものも本発明の結晶に含まれる。
例えば、粉末X線回折の回折角(2θ)においては、特定の結晶形の異なる試料は、回析角(2θ)の同じ主要ピークを共有することになるが、副次ピークに関しては粉末X線回折パターンに差が生じ得る。粉末X線回折の回折角(2θ)においては、「±0.2」又は「±0.1」の誤差が、許容されることを意味する。一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は、±0.2°の範囲内で誤差が生じ得る。したがって、本発明で「(約)回折角度(2θ)X°」というときは、特に記載した場合を除き、「回折角度(2θ)((X−0.2)〜(X+0.2))°」を意味する。粉末X線回折における回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2°の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
本明細書における粉末X線回折の回折角(2θ)において、「特徴的なピーク」とは、例えば、表2、表3、表4、表5に挙げられている値の回折角(2θ)で極大吸収を示すピークのことを意味する。また、粉末X線回折の各回折角(2θ)に対する相対強度(%)は、各ピークのX線の強度が結晶の大きさと方向によって変わる場合があり、時には見えない場合もあったりすることから、測定条件によって変わりうる。
FT−IRスペクトルの赤外吸収(cm-1)においては、「±0.2」又は「±0.1」の誤差が許容されることを意味する。
本明細書において、結晶転移とは、ある温度又は圧力を越えたときに結晶構造が変化する現象である。
「結晶転移法」としては、自体公知の方法が挙げられ、例えば、溶液からの結晶化(例えば、濃縮法、徐冷法、反応法(拡散法、電解法)、水熱育成法、融剤法など)、蒸気からの結晶化(例えば、気化法(封管法、気流法)、気相反応法、化学輸送法)、溶融体からの結晶化(例えば、ノルマルフリージング法(引き上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾーン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法))、蒸散法(結晶を溶媒に溶かし、ろ過後大気条件で溶媒を蒸発させる方法)、スラリー法(過剰の固体が残るように溶媒に結晶を添加して懸濁液とし、大気温度又は加熱あるいは冷却下で攪拌後、固体を濾集する方法)、減圧乾燥、すり潰し、粉砕、加圧などが挙げられる。
「柱状結晶」とは、断面が三角形、四角形、五角形のような多角形や円形であり、当該断面から垂直方向に延伸した形状の結晶を意味する。「柱状」のより具体的な形状としては、例えば円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱状、八角柱状、又はそれらに近似する形状等が挙げられる。
本発明における、I型結晶、III型結晶、V型結晶又はVI型結晶の化学純度は、約95%〜100%、好ましくは、約97%〜100%、さらに好ましくは、約99%〜100%である。
[1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレア(化合物(1))の製造方法]
化合物(1)は本願実施例1の方法で製造することが可能である。
化合物(1)の構造式を以下に示す。
[本発明の結晶又はその医薬組成物との併用剤]
本発明の結晶、又はその医薬組成物は、医療現場で行われている一般的な方法で、他の薬物もしくは薬剤と併用することも可能である。本発明の結晶と配合又は併用し得る薬物としては、例えば、(A)疼痛治療薬(B)疼痛が併発し易い疾患の治療薬等が挙げられる。
従って、本発明の別の態様によれば、化合物(1)の結晶、並びに、(A)疼痛治療薬もしくは(B)疼痛が併発し易い疾患の予防薬及び/又は治療薬等の他の薬物又は薬剤の1種以上を含有する医薬組成物が提供される。
本発明のまた別の態様によれば、(A)疼痛治療薬もしくは(B)疼痛が併発し易い疾患の予防薬及び/又は治療薬等の他の薬物又は薬剤と併用される、上記式(1)で表される化合物、又は製薬学的に許容されるその塩又はそれらの溶媒和物の少なくとも1つを有効成分として含有する医薬組成物が提供される。
前記(A)の薬物としては、例えば、以下を例示することができる。
(A1)オピオイド作動薬;(A2)ピリン系解熱鎮痛薬;(A3)非ピリン系解熱鎮痛薬;(A4)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs);(A5)COX−2選択的阻害薬;(A6)末梢性神経障害性疼痛・線維筋痛症薬;(A7)下降性疼痛抑制系薬;
また、神経因性疼痛に転用し、処方されている以下の薬物、
(A8)抗てんかん薬;(A9)抗うつ薬;(A10)抗不整脈薬;(A11)NMDA受容体拮抗薬;(A12)ビスホスホン酸塩;(A13)バニロイド受容体作動薬;(A14)ナトリウムチャンネルモジュレーター;(A15)脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)阻害活性化合物;(A16)バルビツレート鎮静薬;(A17)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン;(A18)H1拮抗薬;(A19)5−HT受容体作動薬又は拮抗薬; (A20)1型ミクロソームプロスタグランジンE合成酵素(mPGES−1)阻害薬;(A21)ロイコトリエンB4拮抗薬;(A22)α2−δリガンド;(A23)代謝調節型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)拮抗薬;(A24)プロスタグランジンE2サブタイプ4(EP4)拮抗薬。
また、前記(B)の薬物としては、例えば、以下を例示することができる。
(B1)糖尿病治療薬((i)PPARγ作用薬(作動薬、阻害薬)、(ii)インスリン分泌促進薬、(iii)速効型インスリン分泌促進剤、(iv)αグルコシダーゼ阻害薬、(v)インスリン抵抗性改善薬[具体的には、(a)PPARγ作用薬、(b)PTP−1B阻害薬、(c)DPP−4阻害薬、(d)GLP−1及びGLP−1作動薬、(e)11β−HSD阻害薬等、(f)GPR40作動薬、(g)GPR119作動薬、(h)GPR120作動薬]、(vi)肝糖新生抑制剤、(vii)ビグアナイド剤、(viii)インスリン又はインスリン誘導体、(ix)α2拮抗薬、(x)SGLT2阻害剤);
(B2)抗肥満薬((i)アドレナリンβ3受容体作動薬、(ii)CB−1受容体拮抗薬、(iii)ニューロペプチドY(NPY)受容体拮抗薬、(iv)摂食抑制薬、(v)リパーゼ阻害薬、(vi)ペプチドYY(PYY)受容体拮抗薬等);
(B3)コレステロール低下薬等の高脂血症治療薬((i)ω3脂肪酸類、(ii)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(iii)HMG−CoA合成酵素阻害剤、(iv)コレステロール吸収阻害剤、(v)アシル−CoA・コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、(vi)CETP阻害剤、(vii)スクアレン合成酵素阻害剤、(viii)抗酸化剤、(ix)PPARα作動薬、(x)PPARδ作動薬、(xi)LXR作動薬、(xii)FXR作動薬、(xiii)MTTP阻害剤、(xiv)スクアレンエポシダーゼ阻害剤等);
(B4)降圧剤((i)利尿剤、(ii)カルシウム受容体拮抗薬、(iii)アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、(iv)アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、(v)直接的レニン阻害薬、(vi)α受容体遮断薬、(vii)β受容体遮断薬、(viii)α1β遮断薬);
(B5)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs);(B6)抗サイトカイン薬;(B7)性ホルモン又はその誘導体;(B8)副甲状腺ホルモン(PTH);(B9)GABAB受容体作動薬;(B10)ステロイド薬;(B11)αアドレナリン作用薬;(B12)α2アドレナリン受容体作動薬;
(B13)鎮静薬;(B14)骨格筋弛緩薬;(B15)抗痙攣薬;(B16)タキキニン(NK)拮抗薬(NK−3、NK−2又はNK−1拮抗薬);(B17)ムスカリン性拮抗薬;(B18)コールタール鎮痛薬;(B19)神経遮断薬;
(B20)T2A受容体拮抗薬;(B21)5−HT3拮抗薬;(B22)コリン作用性(ニコチン性)鎮痛薬;(B23)PDEV阻害薬;(B24)一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害薬;(B25)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬;(B26)5−リポキシゲナーゼ阻害薬;(B27)抗TNF治療;(B28)代謝拮抗剤及び抗葉酸剤;(B29)標的化キナーゼ阻害剤;
(B30)抗痙攣剤;(B31)カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体(CGRP)拮抗薬;(B32)チロシンキナーゼ標的化治療薬;(B33)Ras−Raf−MEK−ERK経路阻害剤;(B34)PI3K−Akt−mTOR−S6K経路阻害剤;(B34)アポトーシス調節因子及びシグナル伝達経路阻害剤;(B35)細胞障害性化学療法薬;
(B36)血管新生標的化療法薬;(B37)免疫標的薬剤;(B38)NGF標的化生物医薬品;(B39)汎Trk阻害剤を含む、本発明の式(1)の化合物以外のTrkA経路に対して活性を持つ薬剤。
前記疾患に対して本発明の化合物(1)を上記(A)及び(B)のような既存薬と併用することにより、既存薬の投薬量を下げることが可能であり、既存薬の副作用を軽減することが可能となる。もちろん、当該薬物を用いた併用方法は、前記疾患に限定されるものではなく、且つ併用される薬物は前記に例示した化合物に限定されない。
本発明の化合物(1)と併用される上記(A)及び(B)のような併用薬物とを組み合わせて使用する場合は、別々の製剤(又はそれぞれを含むキット)であっても、合剤であってもよい。又、別々の製剤においては、両者を同時に服用することも、時間をずらして投与することも可能である。
本発明の化合物(1)は、単回又は多回投与のいずれかで、単独で又は薬学的に許容できる担体と組み合わせて投与することができる。適切な医薬担体には、不活性固体希釈剤又は充填剤、滅菌水溶液、及び種々の有機溶媒が包含される。それにより形成される医薬組成物は次いで、錠剤、粉剤、ロゼンジ、液体調剤、シロップ剤、注射液などの様々な投与形態で容易に投与することができる。これらの医薬組成物は、香味剤、結合剤、賦形剤などの追加成分を場合により含有できる。したがって、本発明の化合物(1)は、経口、口腔、鼻腔、非経口(例えば、静脈内、筋内、又は皮下)、経皮(例えば、パッチ)、もしくは直腸投与用に、又は吸入もしくは注入(insufflations)による投与に適した投与形態で製剤化することができる。
[併用・配合剤/組み合わせ剤の投与形態]
本発明の化合物(1)と上記(A)及び(B)のような併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物(1)と当該併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、
(1)本発明の化合物(1)と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、
(2)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、
(3)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、
(4)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、
(5)本発明の化合物(1)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物(1)→併用薬物の順序での投与、又は逆の順序での投与)などが用いられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
本発明の併用剤を投与するに際しては、上記(A)及び(B)のような併用薬物と本発明の化合物(1)とを同時期に投与してもよいが、併用薬物の投与の後、本発明の化合物(1)を投与してもよいし、本発明の化合物(1)の投与後、併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、及び投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物(1)を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物(1)を先に投与する場合、本発明の化合物(1)を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分〜1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
併用薬物の投与量は、副作用が問題とならなければ、どのような量を設定することも可能であり、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物(1)と併用薬物の配合比は、投与対象、投与経路、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。本発明の化合物(1)が併用薬物と組み合せて使用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反対効果を考えて安全な範囲内で低減できる。
例えば、投与対象がヒ卜である場合、本発明化合物(1)1質量部に対し、併用薬物を0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜90質量部、より好ましくは、1〜80質量部用いればよい。
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物(1)、又は(及び)上記併用薬物を公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤などとすることができ、それらは、経口的、又は非経口的(例、局所、直腸、静脈など)に安全に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、上記した本発明の医薬組成物に使用されるものと同様のものを使用することができる。
本発明の併用剤における本発明の化合物(1)と併用薬物との配合比は、投与対象、投与経路、疾患などにより適宜選択することができる。
上記併用薬物は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。又、本発明の化合物(1)と併用薬物の配合比は、投与対象、投与経路、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明の化合物(1)1質量部に対し、併用薬物を0.01〜100質量部用いればよい。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物(1)の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜99.9質量%の範囲であり、好ましくは約0.1〜50質量%の範囲であり、さらに好ましくは約0.5〜20質量%程度の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01〜99.9質量%の範囲であり、好ましくは約0.1〜約50質量%の範囲であり、さらに好ましくは約0.5〜約20質量%の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の併用剤における担体などの添加剤の含有量は、製剤の投与形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1〜99.99質量%の範囲であり、好ましくは約10〜約90質量%の範囲である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
本発明の化合物(1)、及び併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
上記したように投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、又範囲を超えて投与する必要がある場合もある。
[本発明の結晶の医薬組成物]
本発明の結晶の医薬組成物は、本発明の1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの結晶を含み、医薬上許容される添加剤と組み合わせて作られる。より詳細には、賦形剤(例;ブドウ糖、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、スクロース、白糖、マンニトール、マンニット、キシリトール、ソルビトール、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ケイ酸、デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、及び第二リン酸カルシウム二水和物等)、結合剤[例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、アルファ化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、天然ゴム及び合成ゴム等]、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物、タルク、カルボキシメチルセルロース等)、崩壊剤[例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプン、アルファ化デンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、及びアルギン酸ナトリウム等]、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80等)、流動促進剤(二酸化ケイ素及びタルク等)、被膜剤[例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD]、可塑剤(例;クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(例;酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(例;塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液などの緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl-α-トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、l-メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネン)、ゲル化剤、懸濁化剤、又は乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤又は溶媒の類を、本発明の化合物(1)と適宜組み合わせて種々の剤形とすることが出来る。
種々の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、エアゾール剤、吸入剤、軟膏剤、貼付剤、坐剤、注射剤、トローチ剤、液剤、酒精剤、懸濁剤、エキス剤、エリキシル剤等があげられる。又、本発明の医薬組成物は、例えば、経口、皮下投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経皮投与、静脈内投与、動脈内投与、神経周囲投与、硬膜外投与、硬膜下腔内投与、脳室内投与、直腸内投与、吸入等により患者に投与し得る。本発明の医薬組成物は、好ましくは経口投与に適している。
本発明の医薬組成物は、経口的に投与することが可能である。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように、口から服用し嚥下するものであり、又、化合物が口から直接血流に入る口腔投与又は舌下投与であっても良い。経口投与に適している製剤としては、錠剤;微粒子、液体、又は粉末を含有するカプセル剤;ロゼンジ剤(液体入りを包含する)、咀嚼剤(チュワブル錠);多粒子及びナノ粒子剤;ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜付着剤を包含する)、膣坐剤、噴霧剤等の固形製剤及び液状製剤等が挙げられる。
液状製剤としては、懸濁剤、液剤、シロップ剤及びエリキシル剤等が挙げられる。当該製剤は、軟質又は硬質のカプセル剤の充填剤として用いることができ、具体的には、担体(例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適当な油等)並びに1種又は複数の乳化剤及び/又は懸濁化剤を含む。液状製剤は、固体の、例えば、サシェ(顆粒剤用の包み又はバッグ)からの再構成により調製することもできる。
本発明の医薬組成物は、血流中、筋肉中、又は内臓中に、カテーテル技法又は注入(infusion)を用いることを含む注射による直接投与することが可能である。注射としては、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与及び皮下投与等が挙げられる。注射では、針注射器、無針注射器等の装置を用いる。注射による直接投与には、例えば、凍結乾燥による注射用製剤の調製等の製薬技法も含まれる。
注射用製剤は、保存剤を添加して、例えばアンプル又は多回投与容器で、単位投与形態として提供することができる。これらの製剤は、油性又は水性媒体中の懸濁剤、液剤、又はエマルションなどの投与形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。あるいは活性成分は、使用前に、適切な媒体、例えば滅菌発熱物質除去水で再構成するための粉末形態であることもできる。
製品溶液が必要とされる場合、製品溶液は患者への経口又は非経口投与に必要とされる強度の溶液を生じるのに充分な量で、水(又は他の水性媒質)に単離包接複合体を溶解することによって製造できる。これらの化合物は、口腔内で活性成分が放出されるように設計されている、迅速分散投与形態(fddf)に製剤化することができる。これらの製剤は多くの場合、急速溶解性ゼラチンをベースとしたマトリクスを用いて製剤化されている。これらの投与形態はよく知られており、広範な薬物を送達するために用いることができる。ほとんどの迅速分散投与形態は、担体又は構造形成剤としてゼラチンを利用する。典型的に、ゼラチンは、包装から取り出すときに破損を防ぐ充分な強度を投与形態に付与するために用いられるが、ひとたび口に入れると、ゼラチンはその投与形態が即時分解することを可能にする。あるいは、同じ効果を得るために、種々のデンプンが用いられる。
本発明の医薬組成物は、皮膚又は粘膜へ、即ち経皮的(dermally又はtransdermally)に、局所的に投与することが可能である。これらの典型的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウエハー剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤及びマイクロエマルジョン剤が挙げられる。リポソームも使用することが可能である。
本発明の医薬組成物は、例えば、坐剤、ペッサリー、又は浣腸等の投与形態で経直腸的又は経膣的に投与することが可能である。坐剤基剤として、例えばカカオバター又は他のグリセリド等を用いて、坐剤又は停留浣腸などの直腸組成物に製剤化することが可能である。
本発明の医薬組成物は、等張性のpH調整した滅菌塩水中の微粉末化された懸濁液又は溶液の点滴剤の投与形態で、眼又は耳に直接投与することもできる。眼及び耳投与に適している他の製剤としては、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント剤、ウエハー剤、レンズ剤、及びニオソーム又はリポソーム等の微粒子剤又は小胞剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、鼻腔内又は吸入により、例えば、溶液又は懸濁液の投与形態として、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末の投与形態として、又はエアゾールスプレーとして投与することも可能である。溶液又は懸濁液の投与形態では、患者により圧搾されるか若しくはポンプで送り出されるポンプスプレー容器が用いられる。エアゾールスプレーでは、適当な噴射剤又は他の適切なガスを用いる(又は用いらない)、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザー等が用いられる。乾燥粉末インヘイラー及びエアゾールの場合、用量単位は、プレフィルドカプセル、ブリスター若しくはポケットにより、又は質量測定で供給される投与チャンバーを利用するシステムにより決定される。本発明による単位は、典型的には、化合物又は塩1〜5000μgを含有する一定量すなわち「パフ」を投与するように構成される。1日総投与量は、典型的には、1μg〜20mgの範囲であり、単回投与又は分割投与することが可能である。
ヒト患者への投与では、本発明の化合物(1)の1日総投与量は、投与方法に応じて決定されるものであり、0.005mg〜200mgの範囲であり、好ましくは、0.01mg〜100mgの範囲であり、より好ましくは、0.1mg〜50mgの範囲である。1日総投与量は、単一投与量又は分割投与量にて投与することが可能である。これらの用量は、約65kg〜70kgの体重を有する平均的なヒト患者に基づいて計算される。医師は、乳児及び高齢者等の、体重が前記範囲から外れている対象への投与量は、別途決定することができる。
上述の治療的使用において投与される用量は、用いられる化合物又は塩、投与様式、望まれる治療、及び適応とされる障害によって様々となる。本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましく、経口投与する場合、通常0.05〜100mg/kg/日であり、好ましくは0.1〜10mg/kg/日の範囲内となるであろう。又、非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005〜10mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の範囲内となるであろう。これを1日1回の投与(単回投与)から数回に分けて投与(分割投与)することが可能である。なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれの値を任意に組み合わせて数値範囲としてもよい。
[薬理実験例]
以下に実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。以下の薬理実施例1ないし5は、本発明の結晶の有効性を試験する方法を提供する。
(薬理実験例1):ヒトTrkAタンパクに対する結合活性評価
TrkA LanthaScreen(登録商標) Eu Kinase Binding Assay(ThermoFisher SCIENTIFIC)を用いて測定した。384ウェルプレート(Corning)にKinase buffer(ThermoFisher SCIENTIFIC)で希釈した各濃度の被検化合物(1)溶液2.5μL及び15nMのTrkA酵素(ThermoFisher SCIENTIFIC)を2.5μL加えた。さらに、3nM Eu−anti−His Tag antibody(ThermoFisher SCIENTIFIC)を5μL、30nM Kinase(登録商標) Tracer 236(ThermoFisher SCIENTIFIC)を5μL加え、60分間室温にて反応させた。反応後、EnVision 2100(PerkinElmer)にて励起波長340nmによるEuropiumの蛍光強度(Emission波長615nm)及びTR−FRET(Emission波長665nm)を測定することによって、その蛍光比を被検化合物(1)とTrkA酵素の結合量として算出した。被検化合物(1)の代わりに溶媒を添加したウェルの蛍光比を0%、TrkAタンパクを加えていないウェルの蛍光比を100%として各被検化合物の阻害活性(IC50値)を算出した。
被検化合物(1)である1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアの各結晶のTrkA阻害活性はIC50値で評価することができる。IC50値が50nmol/L以下の化合物をA(活性が非常に高い)、IC50値が50nmol/Lより大きく1000nmol/L以下の化合物をB(活性が高い)、IC50値が1000nmol/Lより大きい化合物をC(活性が低い)として表1に示した。
(薬理実験例2):ヒトTrkA発現細胞を用いた阻害活性評価
細胞系でのTrkAキナーゼに対する阻害活性は、ヒトTrkAを安定発現させたCHO−K1細胞(CellSenser(登録商標) TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞、ThermoFisher SCIENTIFIC)を用いたリガンド依存的な細胞内カルシウム濃度の上昇を指標として実施した。
アッセイの前日、細胞をアッセイ用培地(0.5%非働化Dialyzed FBS(ThermoFisher SCIENTIFIC)、NEAA(ThermoFisher SCIENTIFIC)、1mM Sodium Pyruvate(ThermoFisher SCIENTIFIC))を含むOpti−MEM(登録商標)1 Reduced Serum Medium(ThermoFisher SCIENTIFIC)に懸濁し、4.0×104細胞/100μL/ウェルの密度で、96ウェルクリアボトムプレート(Greiner)に播種した。アッセイ当日、2.5mMプロベネシド含有のローディングバッファー(FLIPR Calcium assay kit、モレキュラーデバイス)を100μL添加し、37℃、5%CO2の条件で1時間インキュベートした。0.1%BSA含有の20mM HEPES/HBSSであらかじめ希釈した被検化合物(1)を添加し(DMSO終濃度:0.1%)、細胞内カルシウム濃度測定システム(FDSS7000、浜松ホトニクス)にセットした。被検化合物(1)添加5分後にNGF−β(シグマアルドリッチジャパン)を添加し(終濃度:30ng/mL)、細胞内カルシウム濃度を蛍光シグナルとして測定した。被検化合物(1)の代わりに溶媒を添加したウェルの蛍光シグナルを0%、NGF−βを加えていないウェルの蛍光シグナルを100%として各被検化合物の阻害活性(IC50値)を算出した。
(薬理実験例3):ラットNGF惹起血管透過性亢進に対する抑制作用
In vivoにおけるTrkAに対する阻害活性を評価した。背部を毛刈りした雄性Sprague−Dawleyラット(CD(SD)IGSラット、日本チャールス・リバー)に溶媒を用いて溶解又は懸濁させた被検化合物(1)を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。溶媒対照群には溶媒を経口投与した。投与1〜24時間後、イソフルラン麻酔下で1%エバンスブルー(ナカライテスク)を尾静脈内投与(投与容量:3mL/kg)し、直後に生理食塩液にて希釈した300ng/mLのNGF(マウス2.5s、Alomone)溶液を背部2カ所に、また生理食塩液を背部2カ所所に皮内投与(投与容量:50μL/site)した。皮内投与10分後、背部皮膚の投与部位(4か所)を切り取り、その皮膚サンプルを24ウェルプレート(日計製作所)の各ウェルに1サンプルずつ移した。プレートにホルムアミド(和光純薬工業)を1.5mL/ウェルずつ加えて蓋をした後、37℃で一晩インキュベートした。200μLのホルムアミドの抽出液を96ウェルプレート(nunc)へ移し、ホルムアミド中に抽出されたエバンスブルーの吸光度(波長:620nm)を、SpectraMax(モレキュラーデバイス)を用いて測定した。
同時にホルムアミドで希釈したエバンスブルー標品の吸光度も測定し、検量線を作成した。その検量線と各サンプルの吸光度から、各サンプルのエバンスブルー濃度を算出した。
同一個体から採取した4か所の皮膚サンプルのうち、NGFを投与した2か所の平均値から、生理食塩液を投与した2か所の平均値を減じた値をその個体の値とした。ラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は、溶媒対照群のエバンスブルー濃度を0%として算出した。
(薬理実験例4):完全フロインドアジュバント(CFA)惹起モデルラットに対する鎮痛作用
CFA惹起モデルラットを用いて、被験化合物(1)の鎮痛作用を評価した。
(1)CFA惹起モデルラットの作製
CFA(シグマアルドリッチジャパン)と生理食塩液を等量ずつ混ぜ合わせてエマルジョンを調製し、イソフルラン麻酔下にてラット右肢足蹠に26G注射針を用いて100μL投与した。正常対照群には生理食塩液を100μL投与した。
(2)被験化合物(1)、抗NGF抗体の投与
被験化合物(1)を0.5%メチルセルロース(和光純薬工業)で溶解又は懸濁した(投与容量:5mL/kg)。陽性対照である抗NGF抗体は、生理食塩液で溶解・希釈して2mL/kgの溶液に調製した。被験化合物(1)投与群は、CFA投与当日より1日2回、7日間反復経口投与した。抗NGF抗体は、CFA投与と同日に腹腔内投与した。
(3)50%threshold(g)の測定
CFA投与7日後に測定を実施した。測定環境に1時間以上動物を馴らした後に、Dixon up−down法(Journal of Neuroscience Methods、第53巻、55−63頁、1994年)に従いvon Freyフィラメントを用いて足蹠を刺激し、50%threshold(g)を以下の式により算出した。なお、測定は盲検下で実施した。
50% threshold(g)=(10^[Xf+kδ]/10000)
Xf:最後に使用したフィラメントの値
k:tabular value
δ:使用フィラメント間の差の平均(=0.224)
(薬理実験例5)ファーマコキネティクス試験
本発明の化合物(1)として以下で説明する実施例2の化合物(I型結晶)と実施例4の化合物(V型結晶)を採用し、これらの結晶を6−9週齢の雄性Crl:CD(SD)ラットに600mg/kg(投与溶媒は0.5w/v%メチルセルロース400溶液、10mL/kg)で経口単回投与した後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後に頸静脈より採血した。血液を遠心分離(12000×g、5分間、4℃)して得られた血漿を用いて、高速液体クロマトグラム/マススペクトロメトリーにて、血漿中の試験化合物を測定した。同様に試験化合物の既知濃度(0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5μg/mL)を添加した標準溶液を測定し、作成した検量線より血漿中濃度(μg/mL)を算出し、最高血漿中濃度をCmax(μg/mL)、血漿中濃度下面積をAUC(μg・hr/mL)とした。尚、測定条件は当業者が適宜設定することが可能である。
実施例2の化合物(I型結晶)と実施例4の化合物(V型結晶)の結果を以下に示す。
<最高血漿中濃度(Cmax)>
実施例2の化合物(I型結晶) : 29.7μg/mL
実施例4の化合物(V型結晶) : 26.9μg/mL
<血漿中濃度下面積(AUC)>
実施例2の化合物(I型結晶) : 561μg・hr/mL
実施例4の化合物(V型結晶) : 473μg・hr/mL
以上の結果より、本発明の化合物(1)は、優れたTrkA阻害作用を有することが示された。又、ラットに対する薬理実験例3及び4の結果から、安全性試験において何ら異常が認められず、本発明の低い毒性が示された。さらに、薬理実験例5の結果から本発明の化合物(1)の結晶の吸収性が非常に高いことが明らかとなった。
従って、本発明の化合物(1)は、TrkA阻害剤として、TrkAが関与する疾患である、疼痛(変形性関節症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、慢性膵炎、前立腺炎に伴う痛み、慢性腰痛、糖尿病性末梢神経障害痛、術後疼痛、骨盤痛、がん性疼痛等に代表される侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、又は炎症性疼痛等の疼痛)、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等の疾患の予防及び/又は治療剤に用いることが期待される。これらの予防及び/又は治療剤としての用途は、結晶形によらないので、本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶も、同様に上記疾患の予防及び/又は治療剤としての用途が期待される。
本発明の化合物(1)のI型結晶、III結晶、V型結晶及びVI型結晶は、TrkAが関与する疾患である各種疾患に対して有望な予防、あるいは治療効果を示すことが期待される。
なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
次に、本発明をさらに詳細に説明するために実施例、試験例をあげるが、これらの例は単なる実施であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、JEOL JNM−ECX400 FT−NMR(日本電子)、JEOL JNM−ECX300 FT−NMR(日本電子)、Bruker Avance III 400MHz NMR(ブルカー)を用いた。液体クロマトグラフィー−質量分析スペクトル(LC−Mass)は以下の方法で測定した。[UPLC][メソッドA]Waters AQUITY UPLCシステム及びCAPCELL Pakカラム(2.0mm×50mm、3μm)(資生堂)を用い、メタノール:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=5:95(0分)〜95:5(1.0分)〜95:5(1.6分)〜5:95(2.0分)の移動相及びグラジエント条件を用いた。
[LCMS][メソッドB]Waters FractionLynx MSシステム(Waters)及びSunFireカラム(4.6mm×5cm、5μm)(Waters)を用い、アセトニトリル:0.05%酢酸水溶液=10:90(0分)〜100:0(5.0分)〜100:0(6.0分)〜10:90(7.0分)、又は[メソッドC]アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=10:90(0分)〜100:0(5.0分)〜100:0(6.0分)〜10:90(7.0分)の移動相及びグラジエント条件を用いた。分取系には化合物により適宜変更したグラジエント条件を用いた。超臨界流体液体クロマトグラフィー(SFC)による光学分割はWaters SFC Prep15 System、SFC80q System及び対応するキラルカラムを用いて実施した。光学純度分析はWaters SFC UPC2及び対応するキラルカラムを用いて実施した。LC−Massは、ESI(エレクトロスプレーイオン化)を用いた質量分析(MS−ESI)を用いている。
1H−NMRデータ中、NMRシグナルのパターンで、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレット、brはブロード、Jはカップリング定数、Hzはヘルツ、CDCl3は重クロロホルム、DMSO−D6は重ジメチルスルホキシド、CD3ODは重メタノールを意味する。1H−NMRデータ中、水酸基(OH)、アミノ基(NH2)、カルボキシル基(COOH)のプロトン等、ブロードバンドであるため確認ができないシグナルについては、データに記載していない。
後述の表中のMS−ESIデータ中、Mは分子量、[M+H]+は分子イオンピークを意味する。また、表中のA、B,Cは、それぞれ「UPLC[メソッドA]」、「LCMS[メソッドB]」、「LCMS[メソッドC]」を意味する。また、MS−ESIは、ESIを用いた質量分析であることを意味する。
本明細書中の「室温」は、通常1℃から30℃の温度(日本薬局方規定)、好ましくは、20℃±15℃(JIS Z 8703)、より好ましくは15〜25℃を示すものとする。本実施例中の「室温」は20℃を示すものとする。
実施例の結晶化では、市販の溶媒を精製することなく用いた。
粉末X線回折分析は、D8 Discover with GADDS CS(ブルカー社製)を用いて,Bragg−Brentano法(X−ray source : 40kV、40mA、Wavelength :1.5418Å(オングストローム)(CuKalpha)、Camera length: 250mm、温度:室温、Phi Position :0 度、Exposure time:2分、Theta1:7度、Theta2:7度)で測定した。
FT−IRは、FT‐720(HORIBA社製)用いて、KBr法で測定した。顕微鏡写真は、MT4300L(メイジテクノ社製)を用いて測定した。
示差走査熱量分析(DSC)は、示差走査熱量計DSC Q2000(TA instruments社製)を用いて、昇温速度毎分10℃で40℃から300℃の範囲を測定した。熱重量分析(TGA)は、示差走査熱量計TGA Q50(TA instruments社製)を用いて、昇温速度毎分10℃で40℃から400℃の範囲を測定した。
ここで、外挿融点開始温度とは、当該化合物の融点ピークの立ち上がり温度を意味する。例えば、図8(I型結晶のDSCスペクトルデータ)において、137.47℃が融点ピークであり、その立ち上がり温度が131.09℃、すなわち外挿融点開始温度は131℃と決定した。
各結晶形態の外挿融点開始温度は、以下のような値となる。
表A
安定性試験は、小型環境試験器(エスペック社製)SH−641を用いて、試料約20mgを25℃/60%RH及び40℃/75%RH、1ヶ月、開放もしくは密閉下保存し、純度および結晶形の変化を測定した。
純度測定は、装置:Waters ACQUITY UPLC H−Class(Waters社製)カラム:waters ACQUITY BEH C18(粒子径1.7 μm、サイズ2.1 x 50 mm)を用いた。移動層には10 mmol/L 炭酸水素アンモニウム緩衝液pH9.0およびアセトニトルを用い、試料は100μg/mLのTHF(テトラヒドロフラン): 10 mmol/L 炭酸水素アンモニウム緩衝液= 20:80溶液を調製し実施した。
(実施例1)1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレア(実施例1=化合物(1))の合成:
<工程1> 5−メチル−2−フェニルピリジン−3−アミン(実施例1−1)の合成:
市販の2−クロロ−5−メチル−3−ピリジンアミン(CAS番号34552−13−1)(1.0 g)、フェニルボロニックアシッド(0.86g)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.81g)を、エタノール(15mL)、トルエン(35mL)、及び2規定炭酸カリウム水溶液(11mL)の混合溶媒に加え、窒素雰囲気下、100℃で18時間攪拌した。放冷後、得られた反応液に酢酸エチルと水を加えて分配し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘプタン/酢酸エチル=70:30〜65:35〜60:40)で精製し、標記化合物(1.2g)を無色固体として得た。
<工程2> 6−ブロモ−5−メチル−2−フェニルピリジン−3−アミン(実施例1−2)の合成:
(実施例1)<工程1>で得られた化合物(0.19g)のN−メチルピロリドン(2.0mL)溶液にN−ブロモスクシンイミド(0.21g)を加え、室温で2時間攪拌した。得られた反応液に水(2.0mL)を加え、tert−ブチルメチルエーテルで二回抽出、有機層を水で洗浄した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=90:10〜30:10)で精製し、標記化合物(0.20g)を褐色固体として得た。
<工程3> 5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−アミン(実施例1−3)の合成:
(実施例1)<工程2>で得られた化合物(0.40g)の1,2−ジメトキシエタン(10mL)と水(2.0mL)の混合溶液に、2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン(0.44 g)、炭酸セシウム(1.5g)及びジクロロ[1,1‘ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム ジクロロメタン付加物(0.12g)を加え80℃で4時間攪拌した。放冷後、得られた反応液に水を加えた。不溶物をセライトパッドで濾別し酢酸エチルで洗浄し、濾液から有機層を分離し、水、飽和食塩水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=100:0〜50:50)で精製し、標記化合物(0.31g)を得た。
<工程4> 2,2,2−トリクロロエチル (5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)カルバメート(実施例1−4)の合成:
(実施例1)<工程3>で得られた化合物(0.30g)の1,2−ジクロロエタン(100mL)溶液にピリジン(0.22mL)及び2,2,2−トリクロロエチル クロロホルメート(0.36mL)を室温で加え、同温にて1時間攪拌した。得られた反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:アミノ−シリカゲル、移動相:ヘプタン/酢酸エチル=2:1)で精製し、標記化合物(0.41g)を白色固体として得た。
<工程5> 4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オール(実施例1−5)の合成:
市販の4,4−ジメチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(CAS番号2979−69−3)(1.0g)のメタノール(10mL)溶液に、氷水冷下、水素化ホウ素ナトリウム(0.24g)を2回に分けて加え、室温で1時間攪拌した。減圧下メタノールを除去し、得られた残渣に1規定水酸化ナトリウム水溶液(30mL)と酢酸エチル(40mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記化合物(1.0g)を淡黄色油状物として得た。
<工程6> 1,1−ジメチル−1,2−ジヒドロナフタレン(実施例1−6)の合成:
(実施例1)<工程5>で得られた化合物(1.0g)とp−トルエンスルホン酸1水和物(0.05g)のトルエン(10mL)溶液を90℃で1.5時間攪拌した。室温に放冷後、酢酸エチル(40mL)と飽和炭酸水素化ナトリウム水溶液(30mL)を加えて分配した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することにより標記化合物(0.86g)を黄色油状物として得た。
<工程7> 3,3−ジメチル−1a,2,3,7b−テトラヒドロナフト[1,2−b]オキシレン(実施例1−7)の合成:
(実施例1)<工程6>で得られた化合物(30mg)と炭酸水素ナトリウム(80 mg)のアセトン(0.60mL)懸濁液にペルオキシ一硫酸カリウム(0.15g)水溶液(0.60mL)を氷冷下で加えた。得られた反応液を同温で1時間攪拌後、室温にて16時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分配した。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘプタン/酢酸エチル=100:0〜90:10)で精製し、標記化合物(24 mg)を無色油状物として得た。
<工程8> rac−(1RS,2RS)−1−アミノ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(実施例1−8)の合成:
(実施例1)<工程7>で得られた化合物(30mg)のエタノール(0.070mL)溶液中に、25%アンモニア水(1.0mL)を加えた。得られた反応液を封管中90℃で1時間攪拌した。放冷後、反応液に水を加えて析出した固体を濾取、減圧下で乾燥することにより標記化合物(14mg)を得た。
<工程9> (1R,2R)−1−アミノ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール (2S,3S)−2,3−ジヒドロスクシネート 1水和物(実施例1−9)の合成:
(実施例1)<工程8>で得られた化合物(3.4g)のアセトニトリル(74mL)と水(19mL)の混合溶液に、D−(−)−酒石酸(2.7g)を室温で加えた。得られた反応液を100℃で5分間攪拌し、室温まで放冷後、同温で2時間静置した。析出した結晶を濾取し、予め冷やしたアセトニトリル−水(4:1)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(2.0g)を得た。この生成物にアセトニトリル−水(4:1)(25mL)を加えて100℃で10分間攪拌し、室温まで放冷後、同温にて1時間静置し再結晶を行った。析出した結晶を濾取し、予め冷やしたアセトニトリル−水(4:1)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより標記化合物(1.4g)を無色固体として得た。
<工程10> 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレア(実施例1=化合物(1))の合成:
(実施例1)<工程4>で得られた化合物(0.10g)のN−メチルピロリドン(0.50mL)溶液に、(実施例1)<工程9>で得られた化合物(76mg)とトリエチルアミン(0.093mL)を加えて40℃で18.5時間攪拌した。得られた反応液に水(3.0mL)を加えて析出した沈殿を濾取し水洗した。濾取した粗生成物をヘプタン−イソプロパノール(9:1)の混合溶媒に懸濁し固化粉砕した後、濾取しヘプタン−イソプロパノール(9:1)で洗浄、減圧乾燥することにより標記化合物(82mg)を得た。
上記(実施例1−1)〜(実施例1−9)の中間体化合物並びに(実施例1)の最終化合物の構造を以下に示す。(実施例1)の実施例最終化合物の1H−NMRデータ(無印:400MHz NMR、*印:300MHz NMR)、及びLC−Massデータを以下の表(表10、表11)に示す。
また、実施例1の各工程で合成した中間体化合物の1H−NMRデータ(無印:400MHz NMR、*印:300MHz NMR)、及びLC−Massデータを以下の表12、表13に示す。

(実施例2) 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶:
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(15.0g)をエタノール(105mL)と水(45mL)の混合溶液に懸濁させ、72℃で30分間攪拌した。エタノール(28mL)と水(12mL)を追加して同温にて40分間攪拌し、完全に溶解させた。同温にてさらに30分間攪拌後、室温まで放冷後、同温で15時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール−水(1:4)の混合溶媒及び水で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(12.7g)を得た。この生成物にエタノール−水(1:9)(127 mL)を加えて74℃で40分間攪拌し、室温まで放冷した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(11.9g)を白色固体として得た(化合物(1)のI型結晶)。
得られた化合物(1)のI型結晶の粉末X線回折の測定結果を図1に示し、該I型結晶の特徴的なピークを表2に示す。また、該I型結晶のFT−IRスペクトルデータを図2に示す。また、当該I型結晶の示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)及び熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)のスペクトルデータを図8に示し、当該I型結晶の顕微鏡写真を図9に示す。
(実施例3) 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶:
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(0.76g)をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(11.5mL)に懸濁させ、室温で29時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、MTBEで結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより生成物(0.66g)を得た。この生成物をMTBE(9.5mL)に懸濁させ、室温で98時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(0.57g)を白色固体として得た(化合物(1)のIII型結晶)。
得られた化合物(1)のIII型結晶の粉末X線回折の測定結果を図3に示し、該III型結晶の特徴的なピークを表3に示す。また、該III型結晶のFT−IRスペクトルデータを図4に示す。また、当該III型結晶のDSC及びTGAのスペクトルデータを図10に示す。
(実施例4) 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶:
(実施例2)で得られた(化合物(1))I型結晶(2.12g)をアセトン(11 mL)とn-ヘプタン(11mL)の混合溶液に懸濁させ、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にn-ヘプタン(22mL)を加え、濾取し、標記化合物(1.90g)を白色固体として得た(化合物(1)のV型結晶)。
得られた化合物(1)のV型結晶の粉末X線回折の測定結果を図5に示し、該V型結晶型結晶の特徴的なピークを表4に示す。また、該V型結晶型結晶のFT−IRスペクトルデータを図6に示す。また、当該V型結晶のDSC及びTGAのスペクトルデータを図11に示し、当該V型結晶の顕微鏡写真を図12に示す。
(実施例5) 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶:
(実施例1)の方法に準じて得られた化合物(1)(3.94g)をエタノール(28 mL)と水(12mL)の混合溶液に懸濁させ、80℃で20分間攪拌し、完全に溶解させた。室温まで放冷後、同温で17時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール−水(7:3)の混合溶媒で結晶を洗浄し、減圧下乾燥することにより標記化合物(3.29g)を白色固体として得た(化合物(1)のVI型結晶)。
得られた化合物(1)のVI型結晶の粉末X線回折の測定結果を図7に示し、該VI型結晶型結晶の特徴的なピークを表5に示す。
(試験例1) 平衡溶解度測定法(pH6.8リン酸緩衝液中の溶解度測定):
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)の各平衡溶解度(pH6.8リン酸緩衝液中の溶解度)を、下記方法で測定した。
<試験方法>
(1)リン酸緩衝液(pH6.8)の調製法:
リン酸二水素カリウムを2.7g秤量し、水を加えて100mLにメスアップして、0.2mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液を調製した。リン酸水素二ナトリウム十水和物を7.2g秤量し、水を加えて100 mLにメスアップして、0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液を調製した。0.2mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(14.8 mL)とリン酸水素二ナトリウム水溶液(10.0mL)を水(173.6 mL)で希釈してpH6.8のリン酸緩衝液を調製した。
(2)測定方法
スクリュー管に(実施例2)ないし(実施例5)の各結晶を約1mgずつ秤量し、pH6.8リン酸緩衝液(1 mL)を添加した。恒温振とう培養機(M−BR−022UP)を用いて、37℃、1000rpmで24時間インキュベートした。インキュベート開始後、1、2、6、24時間で100μLずつサンプリングし、フィルター(ミリポア:マルチスクリーン、MSSLBPC10)を用いて遠心分離機(HITACHI、himac cF 9RX、25℃、1500rpm、30秒)によりろ過して不溶物を除去した。ろ液を20 μL量り取り、20体積%テトラヒドロフラン−80体積%10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)(180μL)で希釈した。調製した溶液を10 μL量り取り、20体積%テトラヒドロフラン−80体積%10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)(190μL)で希釈した。調製した溶液を、下記記載の測定条件の下に、超高速高分離液体クロマトグラフィー(UPLC)で分析し、事前に作成した検量線を元に溶液中の化合物濃度を算出した。各実施例化合物とも3回測定し、3回の測定値の平均値と標準偏差を結果として表6に示した。
<UPLC測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H−Class(Waters社)
検出器:PDA(200−500 nm)
カラム:BEH C18 2.1×50 mm
測定波長:270 nm
カラム温度:40℃
注入量:10 μL
移動相:溶媒A:アセトニトリル、溶媒B:10 mM炭酸水素アンモニウム水溶液(pH9.0)
グラジエント:
0分 A5%、B95%
0.5分 A5%、B95%
2.5分 A90%、B10%
3.5分 A90%、B10%
3.7分 A5%、B95%
5分 A5%、B95%
流速:毎分0.7 mL
(試験例2) 保存安定性試験
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)(各々約20mg)をガラス瓶に入れ、表7に記載の各条件下で保存した。保存期間完了後、試料を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて純度測定および実施例と同じ粉末X線回折分析にて結晶形の確認を行った。結果を表7に示す。
表7:保存安定性
(試験例2)の結果から、本発明のI型及びV型結晶は、当該試験期間にわたって化学的・物理学的に安定であることが示された。また、当該期間中、I型及びV型結晶に吸湿は認められなかった。
従って、原薬として長期間にわたってその品質が規格内に保持され、当該期間にわたって、医薬品への加工がしやすく、医薬品製剤に使用可能である。
また、VI型結晶は上記(試験例2)の保存中(開放系)に、I型結晶へと転移することが確認された。
(試験例3) 光安定性試験
前記(実施例2)ないし(実施例5)で得られた、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶(実施例2)、III型結晶(実施例3)、V型結晶(実施例4)及びVI型結晶(実施例5)(各々、約20mg)を透明のプラスチック容器に入れ蓋をし、表8に記載のICH Q1B(新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン)に準じる光安定性試験に付した(光安定性試験のサンプルは、可視光及びUV−A光を放つ別個のランプの下に保存し、約25℃にて、総暴露が各々120万ルクス時間及び200ワット時間/m2以上となるようにする。5日間の試験を0.5ICH、10日間の試験を1ICHと表記する)。また、同様な試験で被検化合物を入れたプラスチック容器をアルミホイルで遮光した場合を表9として示した。試験終了後、試料を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて純度測定および実施例と同じ粉末X線回折分析にて結晶形の確認を行った。結果を表8及び表9に示す。
表8:光安定性(露出)
表9:光安定性(シールド/遮光下)
上記の結果から、本発明のI型、III型結晶及びV型結晶は光に対して安定であることが明らかとなった。しかしながら、VI型結晶は、光に不安定であり、上記試験中にI型結晶へと転移することが確認された。
上記の結果から、本発明の結晶は、(実施例2)ないし(実施例5)に示すように結晶化度が高く、(試験例1)に示すように溶解度が高く、(試験例2)に示すように保存安定性が高く、また(試験例3)に示すように光安定性が高いので、原薬として医薬品製造時に取り扱いやすく、医薬原薬や医薬製剤に適している。
表10
表11
*:[M+Na]+
表12
表13
*:[M+Na]+
本発明の結晶は、優れたTrkA阻害作用を示すと理解できるので、疼痛等の疾患の臨床上有用な予防剤及び/又は治療剤を提供することができる。
また、本発明の結晶は、医薬品原薬の結晶として有用である。上記のような化合物(1)の結晶を提供することで、優れた医薬組成物の提供が可能となり有用である。
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正及び変更も、すべて特許請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。

Claims (19)

  1. 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、9.2±0.2、11.2±0.2、12.9±0.2、18.0±0.2、18.4±0.2、21.3±0.2、23.5±0.2、24.0±0.2、24.6±0.2及び25.7±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶。
  2. 図1に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのI型結晶。
  3. 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、131℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載のI型結晶。
  4. 柱状結晶の形態の請求項1ないし3のいずれか1項に記載のI型結晶。
  5. 1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアを、アルコール系溶媒と水との混合溶媒に懸濁する工程、得られた混合溶液を撹拌しながら加熱して溶解させる工程、溶解した溶液を前記加熱温度で撹拌する工程、及び前記撹拌した溶液を室温まで放冷して結晶を得る工程、を含む、請求項1または2に記載のI型結晶の製造方法。
  6. 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、7.2±0.2、10.8±0.2、11.9±0.2、14.5±0.2、18.8±0.2、22.3±0.2、23.9±0.2、24.2±0.2、26.0±0.2及び27.9±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶。
  7. 図5に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶。
  8. 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、149℃であることを特徴とする、請求項6または7に記載のV型結晶。
  9. 柱状結晶の形態の請求項6ないし8のいずれか1項に記載のV型結晶。
  10. 請求項1または2に記載のI型結晶を、アセトンと炭化水素系溶媒との混合溶媒に懸濁する工程、及び得られた混合溶液を室温で撹拌する工程、を含む、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのV型結晶の製造方法。
  11. 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.8±0.2、10.3±0.2、14.3±0.2、15.3±0.2、17.6±0.2、19.7±0.2、20.9±0.2、21.6±0.2、22.3±0.2及び22.6±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶。
  12. 図3に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのIII型結晶。
  13. 示差走査熱量測定(DSC測定)外挿融点開始温度が、121℃であることを特徴とする、請求項11または12に記載のIII型結晶。
  14. 粉末X線回折による回折角(2θ)として、少なくとも、6.9±0.2、9.2±0.2、11.1±0.2、13.3±0.2、18.5±0.2、19.0±0.2、22.3±0.2、22.8±0.2、23.4±0.2及び24.2±0.2(°)に特徴的ピークを有する、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶。
  15. 図7に示す粉末X線回折図により特徴付けられ、粉末X線回折の回折角(2θ)の各特徴的ピークにおいては±0.2の誤差が許容される、1−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−3−(5−メチル−6−(2−メチルピリミジン−5−イル)−2−フェニルピリジン−3−イル)ウレアのVI型結晶。
  16. 請求項1〜4、請求項6〜9および請求項11〜15のいずれか1項に記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
  17. TrkA阻害剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 疼痛、がん、炎症/炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、神経変性疾患、感染症、シェーグレン症候群、子宮内膜症、腎疾患及び骨粗鬆症等からなる群から選択される少なくとも1つの疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患の予防剤及び/又は治療剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
  19. 医薬組成物の製造における、請求項1〜4、請求項6〜9および請求項11〜15のいずれか1項に記載の結晶の使用。
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