JPWO2018235896A1 - ブロックイソシアネート組成物、一液型塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

ブロックイソシアネート組成物、一液型塗料組成物及び塗膜 Download PDF

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Abstract

本発明のブロックイソシアネート組成物は、下記一般式(I)(式中、複数あるY1は、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、複数あるY1は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、R1は、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基である)で示されるトリイソシアネート化合物と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含む。【化1】

Description

本発明は、ブロックイソシアネート組成物、一液型塗料組成物及び塗膜に関する。
本願は、2017年6月23日に、日本に出願された特願2017−123599号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、ポリウレタン塗料から形成されるウレタン塗膜は、非常に優れた可撓性、耐薬品性、耐汚染性を有している。特に、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と称する場合がある。)に代表される脂肪族ジイソシアネートから得られる無黄変型のポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた塗膜は、更に耐候性にも優れ、その需要は増加している。
近年、地球環境保護の高まりから、硬化剤として使用されるポリイソシアネート組成物の低粘度化に向けた技術開発が盛んに行われている。これは、ポリイソシアネート組成物を低粘度化することにより、塗料組成物に使用される有機溶剤の使用量を低減できるためである(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献3〜5には、低粘度のトリイソシアネート化合物が開示されており、これらのトリイソシアネート化合物を塗料組成物に使用することで、有機溶剤の使用量を低減することができる。
ポリイソシアネート組成物は、ポリオールと常温で架橋塗膜を形成する。また、ポリイソシアネート組成物は、メラミン系硬化剤と共に、熱架橋型の硬化剤として焼付塗料用に広く使用されている。近年、メラミン系硬化剤を使用した場合にホルマリンが発生することが指摘されている。そのため、地球環境、安全、衛生等の観点から、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基を加熱により解離するブロック剤によってブロックされたポリイソシアネート(ブロックポリイソシアネート)組成物が注目されている。
比較的低温で架橋塗膜を形成することが可能なブロックポリイソシアネート組成物としては、ピラゾール系化合物をブロック剤として用いたブロックポリイソシアネート(ピラゾール系ブロックポリイソシアネート)組成物(例えば、特許文献6参照)が開示されている。また、例えば、特許文献7、8には、ピラゾール系化合物をブロック剤として用いてブロック化したトリイソシアネート(以下、「ブロック化トリイソシアネート」と称する場合がある)が開示されている。また、例えば、特許文献9には、ピラゾール系化合物及びオキシム系化合物をブロック剤として用いてブロック化した脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選択される1種以上を含むブロックポリイソシアネート組成物が開示されている。
特開平05−222007号公報 特許第3055197号公報 特公昭63−015264号公報 特開昭53−135931号公報 特開昭60−044561号公報 欧州特許出願公開第159117号明細書 特許第4671668号公報 特開2005−154778号公報 特開2011−236388号公報
ブロックポリイソシアネート組成物において、低粘度化と低温における架橋塗膜形成能との両立が求められている。
しかしながら、特許文献6及び9に記載のブロックポリイソシアネート組成物は、比較的低温で硬化するが、低粘度化の観点で不十分であった。
また、特許文献7及び8に記載のブロック化トリイソシアネートは、比較的低温で硬化するが、ブロック化トリイソシアネートが結晶化するため、液状の塗料では使用できなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低粘度であり、且つ、低結晶性、低温硬化性及び塗料の貯蔵安定性に優れたブロックイソシアネート組成物を提供する。また、前記ブロックイソシアネート組成物を用いた一液型塗料組成物及び塗膜を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] 下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含むブロックイソシアネート組成物。
Figure 2018235896
一般式(I)中、複数あるYは、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。複数あるYは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。
[2] 前記少なくとも2種類のブロック剤が、アミン系化合物及び活性メチレン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ピラゾール系化合物とを含む前記[1]に記載のブロックイソシアネート組成物。
[3] 前記ブロック剤によりブロックされたイソシアネート基のうち、前記ピラゾール系化合物によりブロックされたイソシアネート基の割合が、20モル%から80モル%である前記[1]または[2]に記載のブロックイソシアネート組成物。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート組成物と、ポリオールとを含む一液型塗料組成物。
[5] 前記[4]に記載の一液型塗料組成物を硬化した塗膜。
上記態様によれば、低粘度であり、且つ、低結晶性、低温硬化性及び、塗料の貯蔵安定性に優れたブロックイソシアネート組成物を提供することができる。また、前記ブロックイソシアネート組成物を用いることで、一液型塗料組成物及び塗膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(−NCO)を有するモノマーが複数結合した重合体を意味する。
また、本明細書において、「ポリオール」とは、2つ以上のヒドロキシ基(−OH)を有する化合物を意味する。
本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルとを包含する。また、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
≪ブロックイソシアネート組成物≫
本発明の一実施形態に係るブロックイソシアネート組成物は、下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物(以下、「トリイソシアネート化合物(I)」と称する場合がある)と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含む。
Figure 2018235896
一般式(I)中、複数あるYは、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。複数あるYは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。
本実施形態のブロックイソシアネート組成物は、トリイソシアネート化合物(I)と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含むことで、低粘度であり、且つ、低結晶性、低温硬化性及び、塗料の貯蔵安定性に優れている。
<ブロックイソシアネート化合物>
本実施形態のブロックイソシアネート組成物に含まれるブロックイソシアネート化合物は、上記トリイソシアネート化合物(I)と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるものである。
[トリイソシアネート化合物(I)]
(Y
一般式(I)中、複数存在するYは、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。複数存在するYは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
前記炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、脂肪族基であってもよく、芳香族基であってもよい。前記脂肪族基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状又は分岐状の脂肪族基としては、例えば、アルカンジイル基(アルキレン基)、アルキリデン基等が挙げられる。
前記環状の脂肪族基としては、例えば、シクロアルキレン基等が挙げられる。
前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。
これらの中でも、前記炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
また、Yにおける前記エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。
−(CHn1−X−(CHn2−* (II)
前記一般式(II)において、*は上記一般式(I)中のCとの結合手を表し、*は上記一般式(I)中のNCOとの結合手を表す。また、n1及びn2は、各々独立して、1≦n1+n2≦20を満たす0〜20の整数である。すなわち、n1及びn2の両方とも0になることはなく、NCOと結合している側であるn2は1以上であることが好ましい。
中でも、n1及びn2はそれぞれ独立して、0〜4の整数であることがより好ましく、0〜2の整数であることがさらに好ましい。
n1及びn2の組み合わせとしては、例えば、n1=0、n2=2の組み合わせ、n1=2、n2=2の組み合わせが好ましい。
前記一般式(II)において、Xは、エステル基又はエーテル基である。中でも、反応速度が上がることから、Xはエステル基であることが好ましい。
また、複数存在するYのうち少なくとも1つが、脂肪族基及び芳香族基からなる群の少なくとも1種を有する場合、本実施形態のブロックイソシアネート組成物をより低粘度とすることができ、本実施形態のブロックイソシアネート組成物を塗料組成物の硬化剤として使用して得られた塗膜の耐候性をより良好とすることができる。
また、複数存在するYのうち少なくとも1つが、エステル構造を有する場合、本実施形態のブロックイソシアネート組成物の耐熱性をより向上することができ、塗料組成物の硬化剤として使用した際のイソシアネート基の反応性をより高めることができる。
また、好ましくは、複数存在するYのうちの少なくとも1つが炭化水素基のみからなる場合、より好ましくは、複数存在するYのうちのすべてが炭化水素基のみからなる場合、本実施形態のブロックイソシアネート組成物の耐加水分解性をより向上することができる。
(R
は、水素原子、又は、炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。Rにおける炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。中でも、Rとしては、水素原子が好ましい。
本実施形態において、複数存在するYのうち少なくとも1つが、脂肪族基及び芳香族基からなる群の1種以上を有する場合、トリイソシアネート化合物(I)で好ましいものとして具体的には、例えば、特公昭63−15264号公報(特許文献3)に開示されている4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(以下、「NTI」と称する、分子量251)、特開昭57−198760号公報(参考文献1)に開示されている1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート(以下、「HTI」と称する、分子量209)、特公平4−1033号公報(参考文献2)に開示されているビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレート(以下、「GTI」と称する、分子量311)、特開昭53−135931号公報(参考文献3)に開示されているリジントリイソシアネート(以下、「LTI」と称する、分子量267)等が挙げられる。
中でも、イソシアネート基の反応性をより向上できる観点から、複数存在するYのうち少なくとも1つが、脂肪族基及び芳香族基からなる群の1種以上を有する場合、トリイソシアネート化合物(I)としては、NTI、GTI又はLTIが好ましく、NTI又はLTIがより好ましく、LTIがさらに好ましい。
本実施形態において、複数存在するYのうち少なくとも1つが、エステル構造を有する場合、トリイソシアネート化合物(I)で好ましいものとして具体的には、例えば、特公平4−1033号公報(参考文献2)に開示されているGTI(分子量311)、特開昭53−135931号公報(参考文献3)に開示されているLTI(分子量267)等が挙げられる。
本実施形態において、複数存在するYのうちの少なくとも1つが炭化水素基のみからなる場合、トリイソシアネート化合物(I)で好ましいものとして具体的には、例えば、特公昭63−15264号公報(特許文献3)に開示されているNTI(分子量251)、特開昭57−198760号公報(参考文献1)に開示されているHTI(分子量209)等が挙げられる。
前記トリイソシアネート化合物は、例えば、アミノ酸誘導体、エーテルアミン及びアルキルトリアミン等のアミンをイソシアネート化して得ることができる。
前記アミノ酸誘導体としては、例えば2,5−ジアミノ吉草酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。これらアミノ酸誘導体はジアミンモノカルボン酸又はモノアミンジカルボン酸であるため、カルボキシル基を、例えばエタノールアミン等のアルカノールアミンでエステル化することで、エステル基を有するトリアミンとすることができる。得られたエステル基を有するトリアミンは、アミンのホスゲン化等により、エステル構造を含むトリイソシアネート化合物とすることができる。
前記エーテルアミンとしては、例えば、ポリオキシアルキレントリアミンである三井化学ファイン社の商品名「D403」等が挙げられる。これらエーテルアミンはトリアミンであり、アミンのホスゲン化等により、エーテル構造を含むトリイソシアネート化合物とすることができる。
前記アルキルトリアミンとしては、例えば、トリイソシアナトノナン(4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン)等が挙げられる。これらアルキルトリアミンはトリアミンであり、アミンのホスゲン化等により、炭化水素のみを含むトリイソシアネート化合物とすることができる。
本実施形態において、トリイソシアネート化合物の分子量の下限値は、139以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、180以上がさらに好ましく、200以上が特に好ましい。
一方、トリイソシアネート化合物の分子量の上限値は、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましく、400以下であることが特に好ましい。
すなわち、トリイソシアネート化合物の分子量は、139以上1000以下であることが好ましく、150以上800以下であることがより好ましく、180以上600以下であることがさらに好ましく、200以上400以下であることが特に好ましい。
トリイソシアネート化合物の分子量が上記下限値以上であることにより、結晶性をより抑制することができ、上記上限値以下であることにより、低粘度化をより達成することができる。
[ブロック剤]
本実施形態のブロックイソシアネート組成物に含まれるブロックイソシアネート化合物は、前記トリイソシアネート化合物のイソシアネート基が、2種類以上のブロック剤で保護された化合物である。
ブロック剤としては、例えば、(1)ピラゾール系化合物、(2)アミン系化合物、(3)活性メチレン系化合物、(4)オキシム系化合物、(5)アルコール系化合物、(6)アルキルフェノール系化合物、(7)フェノール系化合物、(8)メルカプタン系化合物、(9)酸アミド系化合物、(10)酸イミド系化合物、(11)イミダゾール系化合物、(12)尿素系化合物、(13)イミン系化合物、(14)重亜硫酸塩、(15)トリアゾール系化合物等が挙げられる。ブロック剤としてより具体的には、以下に示すもの等が挙げられる。
(1)ピラゾール系化合物:ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等。
(2)アミン系化合物:ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、tert−ブチルベンジルアミン等。
(3)活性メチレン系化合物:マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−tert−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等。
(4)オキシム系化合物:ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等。
(5)アルコール系化合物:メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトカシエタノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類。
(6)アルキルフェノール系化合物:炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ及びジアルキルフェノール類。アルキルフェノール系化合物として具体的には、例えば、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類;ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類。
(7)フェノール系化合物:フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等。
(8)メルカプタン系化合物:ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等。
(9)酸アミド系化合物:アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等。
(10)酸イミド系化合物:コハク酸イミド、マレイン酸イミド等。
(11)イミダゾール系化合物:イミダゾール、2−メチルイミダゾール等。
(12)尿素系化合物:尿素、チオ尿素、エチレン尿素等。
(13)イミン系化合物:エチレンイミン、ポリエチレンイミン等。
(14)重亜硫酸塩:重亜硫酸ソーダ等。
(15)トリアゾール系化合物:3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール等。
前記少なくとも2種のブロック剤は、ピラゾール系化合物を含むことが好ましく、ピラゾール系化合物と共に、アミン系化合物、活性メチレン系化合物及びオキシム系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。低温硬化性の観点から、前記少なくも2種のブロック剤は、ピラゾール系化合物と共に、アミン系化合物又は活性メチレン系化合物を含むことがより好ましい。
前記ピラゾール系化合物としては、本実施形態のブロックイソシアネート組成物が奏する効果(例えば、低粘度、低結晶性及び低温硬化性等)を実現し、且つ入手の容易性の観点から、3,5−ジメチルピラゾールが好ましい。
前記アミン系化合物としては、ジイソプロピルアミン又はtert−ブチルベンジルアミンが好ましい。
前記活性メチレン系化合物としては、マロン酸ジエチル又はアセト酢酸エチルが好ましい。
前記オキシム系化合としては、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
<ブロックイソシアネート化合物の製造方法>
トリイソシアネート化合物とブロック剤とのブロック化反応は溶剤の存在の有無に関わらず行うことができ、ブロックイソシアネート化合物が得られる。
溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。その溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、3級アミン系化合物、及びナトリウム等のアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
ブロック化反応は、一般に−20℃以上150℃以下で行うことができ、好ましくは30℃以上100℃以下で行うことができる。ブロック反応の温度が上記下限値以上であることにより、反応速度をより高めることができ、上記上限値以下であることにより、副反応をより抑制することができる。
本実施形態のブロックイソシアネート組成物において、ブロック剤によりブロックされたイソシアネート基のうち、ピラゾール系化合物によりブロックされたイソシアネート基の割合が、ブロックイソシアネート組成物の低結晶性の観点から、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。また、低温硬化性の観点から、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。
≪ポリイソシアネートのブロックイソシアネート組成物≫
本発明の一実施形態に係るポリイソシアネートのブロックイソシアネート組成物は、下記一般式(III)で示される構造と、イソシアヌレート構造、ビュレット構造、ウレトジオン構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレタン構造及びアロファネート構造からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むポリイソシアネート化合物と、ブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含む。
Figure 2018235896
一般式(III)中、YとRは、前記一般式(I)で記載の通りである。
本実施形態のポリイソシアネートのブロックイソシアネート組成物は、更なる低温硬化性に優れている。
≪親水性ブロックイソシアネート組成物≫
本発明の一実施形態に係る親水性ブロックイソシアネート組成物は、上述のブロックイソシアネート組成物中のブロックイソシアネート化合物と活性水素基及び親水性基を含有する化合物(親水性基含有化合物)とから得られる親水性ブロックイソシアネート化合物を含む。
本実施形態の親水性ブロックイソシアネート組成物は、水分散性に優れていることから、親水性溶媒に容易に分散させることができる。
<親水性ブロックイソシアネート化合物>
上述のブロックイソシアネート組成物中のブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基と、親水性基含有化合物とを反応させることで、親水性基を付加した親水性ブロックイソシアネート化合物を得ることができる。
イソシアネート基と反応できる親水性基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ノニオン性、カチオン性、アニオン性等の親水性基を含有する化合物が挙げられる。
[ノニオン性親水性基]
ノニオン性親水性基を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコールの水酸基にエチレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。これらの化合物はイソシアネート基と反応する活性水素を有する。
中でも、少ない使用量で親水性ポリイソシアネート組成物の水分散性を向上できることから、ノニオン性親水性基を含有する化合物としては、エチレンオキサイドを有するモノアルコールが好ましい。
ノニオン性親水性基を含有する化合物におけるエチレンオキサイドの含有数としては、4以上30以下が好ましく、4以上20以下がより好ましい。
エチレンオキサイドの含有数が上記下限値以上であることにより、水性化が確保しやすい傾向にある。また、エチレンオキサイドの含有数が上記上限値以下であることにより、低温貯蔵時に親水性ブロックイソシアネート組成物の析出物が発生しにくい傾向にある。
[カチオン性親水性基]
上述のブロックイソシアネート化合物にカチオン性親水性基を導入し、親水性ブロックイソシアネート化合物を得る場合には、例えば、カチオン性親水基と、イソシアネート基と反応する水素を有する官能基と、を併せ持つ化合物を利用する方法や、予め、イソシアネート基に、例えばグリシジル基等の官能基を付加し、その後、この官能基と、スルフィド、ホスフィン等の特定化合物とを反応させる方法等が挙げられる。
中でも、上述のブロックイソシアネート化合物にカチオン性親水性基を導入し、親水性ブロックイソシアネート化合物を得る場合には、反応が容易であることから、カチオン性親水基と、イソシアネート基と反応する水素を有する官能基と、を併せ持つ化合物を利用する方法が好ましい。
前記イソシアネート基と反応する水素を有する官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、チオール基等が挙げられる。
前記カチオン性親水基と、イソシアネート基と反応する水素を有する官能基と、を併せ持つ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N,N‘−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N−(ジメチルアミノプロピル)アミノエタノール等が挙げられる。
また、親水性ブロックイソシアネート化合物が、カチオン性親水性基として三級アミノ基を有する場合、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等により、四級化することもできる。
また、親水性ブロックイソシアネート化合物が有するカチオン性親水性基としては三級アミノ基が好ましい。親水性ポリイソシアネート化合物が三級アミノ基を有する場合には、後述する中和に用いるアニオン性化合物等の化合物が加熱で揮散しやすく、その結果、耐水性がより向上する傾向にある。
また、上述のブロックイソシアネート化合物へのカチオン性親水性基の導入は、溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤はイソシアネート基と反応しうる官能基を含まないものであることが好ましい。溶剤として具体的には、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
親水性ブロックイソシアネート化合物がカチオン性親水性基を有する場合、前記カチオン性親水性基は、アニオン基を有する化合物で中和されることが好ましい。
前記アニオン基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
アニオン基としてカルボキシル基を1つ有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等が挙げられる。
また、アニオン基としてスルホン酸基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、エタンスルホン酸等が挙げられる。
また、アニオン基として燐酸基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、燐酸、酸性燐酸エステル等が挙げられる。
また、アニオン基としてハロゲン基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、塩酸等が挙げられる。
また、アニオン基として硫酸基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、硫酸等が挙げられる。
中でも、アニオン基を有する化合物としては、カルボキシル基を1つ有する化合物が好ましく、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸がより好ましい。
[アニオン性親水性基]
アニオン性親水性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
アニオン性親水性基を有する親水性ブロックイソシアネート化合物は、例えば、イソシアネート基と反応する活性水素及びアニオン性親水性基を有する化合物の活性水素と、上述のブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基とを反応させることにより、得ることができる。
活性水素とカルボン酸基とを有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロパン酸、12−ヒドロキシ−9−オクタデカン酸、ヒドロキシピバル酸、乳酸等のモノヒドロキシカルボン酸;ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジメチロールプロピオン酸等のポリヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
中でも、活性水素とカルボン酸基とを有する化合物としては、ヒドロキシピバル酸、又はジメチロールプロピオン酸が好ましい。
活性水素とスルホン酸基とを有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、イセチオン酸等が挙げられる。
親水性ポリブロックイソシアネート化合物がアニオン性親水性基を有する場合、前記アニオン性親水性基は、カチオン基を有する化合物で中和されることが好ましい。
カチオン基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、塩基性物質であるアミン系化合物等が挙げられる。
前記アミン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、水溶性アミノ化合物等が挙げられる。
水溶性アミノ化合物としては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の第1級アミン又は第2級アミン;トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミン等が挙げられる。
≪一液型塗料組成物≫
本発明の一実施形態に係る一液型塗料組成物は、上述のブロックイソシアネート組成物と、ポリオールとを含む。
上述のブロックイソシアネート組成物は、本実施形態の一液型塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
よって、本実施形態の一液型塗料組成物は、上述のブロックイソシアネート組成物を含むことで、得られる塗膜の耐候性を良好とすることができる。
<ポリオール>
本実施形態の一液型塗料組成物は上述のブロックイソシアネート組成物と、樹脂成分としてポリオールを含む。
ポリオール以外の樹脂成分としては、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール等が挙げられる。中でも、ポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び硬度の観点からは、アクリルポリオールが好ましい。又は、ポリオールとしては、機械強度、及び耐油性の観点からは、ポリエステルポリオールが好ましい。
[ポリエステルポリオール]
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記の成分を混合し、約160〜220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。
又は、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
これらのポリエステルポリオールは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネート等を用いて変性させることができる。中でも、耐候性及び耐黄変性等の観点から、ポリエステルポリオールは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネートを用いて変性させることが好ましい。
本実施形態の一液型塗料組成物を水系ベース塗料として用いる場合には、ポリエステルポリオール中の二塩基酸等に由来する一部のカルボン酸を残存させておき、アミン、アンモニア等の塩基で中和することで、ポリエステルポリオールを水溶性又は水分散性の樹脂とすることができる。
[ポリエーテルポリオール]
ポリエーテルポリオールは、例えば、以下(1)〜(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
[アクリルポリオール]
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
前記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
(iv)ポリエーテルポリオール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等)との付加物。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(例えば、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物。
前記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等、不飽和アミド類(アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和カルボン酸類。
(iii)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類。
(iv)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー。
アクリルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記の単量体(モノマー)成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得る方法等が挙げられる。
本実施形態の一液型塗料組成物を水系ベース塗料として用いる場合には、上記の単量体(モノマー)成分を溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法を用いることで、水系ベースのアクリルポリオールを製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分を、アミンやアンモニアで中和することによって、アクリルポリオールに水溶性又は水分散性を付与することができる。
[ポリオレフィンポリオール]
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリブタジエン、水酸基を2個以上有するポリイソプレン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
また、ポリオレフィンポリオールにおいて、水酸基の数は、より高い塗膜強度を得られることから、3個であることが好ましい。
[フッ素ポリオール]
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57−34107号公報(参考文献4)、特開昭61−275311号公報(参考文献5)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
[ポリオールの水酸基価及び酸価]
ポリオールの水酸基価の下限値は、10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましく、30mgKOH/g以上がさらに好ましい。
一方、ポリオールの水酸基価の上限値は、特別な限定はなく、例えば、200mgKOH/g以下であればよい。
すなわち、ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより好ましく、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
また、ポリオールの酸価は、0mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
水酸基価及び酸価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
[NCO/OH]
前記ポリオールの水酸基に対する、上述のブロックイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル当量比(NCO/OH)は、0.2以上5.0以下が好ましく、0.4以上3.0以下がより好ましく、0.5以上2.0以下がさらに好ましい。当該モル当量比が上記下限値以上であることで、より一層強靱な塗膜を得ることが可能となる。当該モル当量比が上記上限値以下であることで、得られる塗膜の平滑性をより一層向上させることができる。
<その他含有成分>
[メラミン系硬化剤]
本実施形態の一液型塗料組成物は、必要に応じて完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有していてもよい。
[有機溶剤]
本実施形態の一液型塗料組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。
また、前記ポリオール及び上述のブロックイソシアネート組成物は、有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤としては、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないものであればよい。また、上述のブロックイソシアネート組成物と相溶するものであることが好ましい。
有機溶剤として具体的には、例えば、酢酸ブチル等のエステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等の一般に塗料溶剤として用いられている有機溶剤が挙げられる。
本実施形態の一液型塗料組成物は、その目的や用途に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を含有していてもよい。
また、前記ポリオール及び上述のブロックイソシアネート組成物は、上記各種添加剤を含有していてもよい。
硬化促進用の触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等の金属塩;トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン等の3級アミン類等が挙げられる。
本実施形態の一液型塗料組成物は、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。
また、本実施形態の一液型塗料組成物は、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。
また、本実施形態の一液型塗料組成物は、例えば、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車の塗装部等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。
また、本実施形態の一液型塗料組成物は、例えば、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
<一液型塗料組成物の製造方法>
本実施形態の一液型塗料組成物は、溶剤ベース又は水系ベースのどちらであってもよい。
一液型塗料組成物が溶剤ベースである場合には、以下の方法により調製することができる。まず、ポリオール、又はその溶剤希釈物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加える。次いで、上述のブロックイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌、又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの一液型塗料組成物を得ることができる。
一液型塗料組成物が水系ベースである場合には、以下の方法により調製することができる。まず、ポリオールを含有する樹脂の水分散体、又は水溶物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加える。次いで、上述のブロックイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加した後、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの一液型塗料組成物を得ることができる。
≪塗膜≫
本発明の一実施形態に係る塗膜は、上述の一液型塗料組成物を硬化させたものである。
本実施形態の塗膜は、上述の一液型塗料組成物を、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、硬化させることで得られる。
本実施形態の塗膜は、耐候性及び硬度が良好である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例における、ポリイソシアネート組成物の物性は、以下のとおり測定した。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
≪評価項目≫
以下に示す方法に従い、実施例及び比較例で製造されたブロックイソシアネート組成物、該ブロックイソシアネート組成物を含む塗料組成物及び該塗料組成物を硬化して得られた塗膜について、各物性及び各評価を行った。
<NCO含有率>
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
<計算NCO含有率>
ブロックイソシアネート組成物の合成時に用いたイソシアネート組成物のNCO含有率を上記の逆滴定による方法で求め、仕込んだイソシアネート組成物の質量からNCO含有質量[A]を求めた。
次いで、以下に示す式[1]を用いて、計算NCO含有率を求めた。
計算NCO含有率(質量%)=100×[A]/全仕込み質量 [1]
<粘度>
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下に示すとおりに設定した。
100rpm(128mPa・s未満の場合)
50rpm(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
<ブロックイソシアネート組成物の低粘度化度評価方法>
合成から2時間後に、ブロックイソシアネート組成物の25℃での粘度を上述のとおり、E型粘度計(トキメック社製)を用いて測定した。
評価方法としては、粘度が800mPa・s未満の場合を○、800mPa・s以上の場合を×とした。
<ブロックイソシアネート組成物の結晶化評価方法>
ブロックイソシアネート組成物を50mLのサンプル瓶に40g仕込み、23℃で保存し、結晶化を目視で観察した。
評価方法としては、30日以上で結晶化しなかった場合を◎、2日以上30日未満で結晶化した場合を〇、1日以上2日未満で結晶化した場合を△、1日未満で結晶化した場合を×とした。
<ブロックイソシアネート組成物の低温硬化性評価方法>
結晶化性評価後の各ブロックイソシアネート組成物と、アクリルポリオール(Nuplex Resin社の商品名「SETALUX1152」、樹脂分濃度61%、水酸基価84.6mgKOH/g)とを、イソシアネート基/水酸基のモル当量比1.0で配合し、酢酸ブチルで固形分50質量%になるように、塗料組成物を調製した。調製した各塗料組成物をPP板上に乾燥膜厚40μmになるように塗装した。次いで、110℃30分で加熱して、硬化させて塗膜を得た。
次いで、得られた塗膜のゲル分率を、以下に示す方法を用いて算出し、低温硬化性を評価した。
具体的には、ゲル分率(質量%)は、得られた塗膜をアセトン中に23℃で24時間浸漬した後、浸漬前の塗膜質量に対する未溶解部の質量の割合を算出した。
また、評価方法としては、ゲル分率が85質量%以上の場合を◎、70質量%以上85質量%未満の場合を○、20質量%以上70質量%未満の場合を△、20質量%未満の合を×とした。
<塗料の貯蔵安定性評価方法>
結晶化性評価後の各ブロックイソシアネート組成物と、アクリルポリオール(Nuplex Resin社の商品名「SETALUX1152」、樹脂分濃度61%、水酸基価84.6mgKOH/g)とを、イソシアネート基/水酸基のモル当量比1.0で配合し、酢酸ブチルで固形分50質量%になるように、塗料組成物を調製した。調製した各塗料組成物を40℃30日保管後に前記低温硬化性評価を実施し、保管前後のゲル分率の変化率が15%未満の場合を○、15%以上の場合を×とした。
[合成例1]NTIの合成
撹拌機、温度計、ガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内に4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン(以下、「トリアミン」と称する場合がある)1060gをメタノール1500gに溶かし、これに35%濃塩酸1800mLを冷却しながら徐々に滴下した。次いで、減圧下にてメタノール及び水を除去して濃縮し、60℃/5mmHgにて24時間乾燥して、白色固体のトリアミン塩酸塩を得た。得られたトリアミン塩酸塩650gを微粉末としてo−ジクロルベンゼン5000gに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。次いで、反応液が100℃に達した時点でホスゲンを200g/Hrの速度にて吹込みはじめ、さらに昇温を続けた。次いで、反応液が180℃に達したら、そのまま温度を保持し、12時間ホスゲンを吹込み続けた。次いで、減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した後、真空蒸留することにより、沸点161〜163℃/1.2mmHgの無色透明なNTI 420gを得た。NTIのNCO含有率は、50.0重量%であった。
[合成例2]LTIの合成
撹拌機、温度計、ガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内にエタノールアミン122.2g、o−ジクロロベンゼン100mL、トルエン420mLを入れ、氷冷化塩化水素ガスを導入し、エタノールアミンを塩酸塩に転換した。次いで、リジン塩酸塩182.5gを添加し、反応液を加熱して80℃まで昇温し、エタノールアミン塩酸塩を溶解させ、塩化水素ガスを導入してリジン二塩酸塩とした。次いで、塩化水素ガスを20から30mL/分で通過させ、反応液を加熱して116℃まで昇温し、水が留出しなくなるまでこの温度を維持した。次いで、生成した反応混合物をメタノール及びエタノールの混合液中で再結晶してリジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩165gを得た。このリジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩100gを微粉末としてo−ジクロロベンゼン1200mLに懸濁させ、かきまぜながら反応液を昇温した。次いで、反応液が120℃に達した時点でホスゲンを0.4モル/時間の速度にて吹込みはじめ、10時間保持した。次いで、反応液を150℃まで昇温し、反応液中のリジンβ−アミノエチルエステル三塩酸塩をほとんど溶解させた。次いで、冷却後ろ過し、減圧下にて溶存ホスゲン及び溶媒を留去した。次いで、真空蒸留することにより、沸点155〜157℃/0.022mmHgの無色透明なLTI 80.4gを得た。LTIのNCO含有率は、47.1重量%であった。
[実施例1]ブロックイソシアネート組成物1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、NTI(10.0g)、酢酸ブチル(9.0g)を仕込み、温度を70℃とした。次いで、4ツ口フラスコに3,5−ジメチルピラゾール(5.7g、50モル%)とメチルエチルケトオキシム(5.2g、50モル%)とを滴下添加し2時間保持した。次いで、NCO含有率0.0質量%を確認し、ブロックイソシアネート組成物1を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物1の計算NCO含有率は16.8質量%であった。さらに、低粘度化度評価は○、結晶化評価は◎、低温硬化性評価は△、塗料の貯蔵安定性評価は○であった。これらの結果を表1に示す。
[実施例2〜5、7〜12及び比較例1、2]ブロックイソシアネート組成物2〜5、7〜14の製造
トリイソシアネート化合物、ブロック剤、希釈剤の使用質量、及びブロック剤の付加割合を表1又は表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ブロックイソシアネート組成物2〜5、7〜14を製造した。得られた各ブロックイソシアネート組成物の計算NCO含有率、低粘度化度、結晶化評価、及び低温硬化性結果を表1又は表2に示す。
比較例1では、結晶化が著しく塗料組成物を調製できず、低温硬化性、塗料の貯蔵安定性を評価できなかったため、「−」と表記した。
[実施例6]ブロックイソシアネート組成物6の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、NTI(10.0g)、酢酸ブチル(3.6g)、マロン酸ジエチル(9.5g、50モル%)を仕込み、温度を70℃とした。次いで、4ツ口フラスコにナトリウムメチラートの30質量%メタノール溶液(0.05g)を添加し、70℃で3時間反応させた。次いで、4ツ口フラスコに3,5−ジメチルピラゾール(5.7g、50モル%)を添加し2時間保持した。次いで、NCO含有率0.0質量%を確認し、n−ブタノール(7.2g)を添加し、70℃で2時間保持し、ブロックイソシアネート組成物6を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物6の計算NCO含有率は13.9質量%であった。さらに、低粘度化度評価は○、結晶化評価は◎、低温硬化性評価は◎、塗料の貯蔵安定性評価は○であった。これらの結果を表1に示す。
[比較例3]ブロックイソシアネート組成物15の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI系ポリイソシアネート(旭化成社製、TKA−100)(10.0g)、酢酸ブチル(6.3g)を仕込み、120℃で3時間反応させた。次いで、70℃まで温度を下げ、3,5−ジメチルピラゾール(2.5g、50モル%)とメチルエチルケトオキシム(2.2g、50モル%)とを添加し2時間保持した。次いで、NCO含有率0.0質量%を確認し、ブロックイソシアネート組成物15を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物11の計算NCO含有率は10.3質量%であった。さらに、低粘度化度評価は×、結晶化評価は◎、低温硬化性評価は◎、塗料の貯蔵安定性評価は○であった。これらの結果を表2に示す。
[比較例4]ブロックイソシアネート組成物16の製造
HDI系ポリイソシアネート、ブロック剤、希釈剤の使用質量、及びブロック剤の付加割合を表2に示すとおりとした以外は、比較例3と同様の方法を用いて、ブロックイソシアネート組成物16を製造した。得られたブロックイソシアネート組成物16の計算NCO含有率、低粘度化度、結晶化評価、及び低温硬化性結果を表2に示す。
Figure 2018235896
Figure 2018235896
実施例1〜12で得られたブロックイソシアネート組成物は、低粘度であり、且つ、低結晶性及び低温硬化性、塗料の貯蔵安定性に優れていた。
一方、比較例1で得られたブロックイソシアネート組成物は、結晶化が著しく塗料組成物を調製できず、低温硬化性及び塗料の貯蔵安定性の評価を実施できなかった。
比較例2で得られたブロックイソシアネート組成物は、低温硬化性に劣っていた。
比較例3で得られたブロックイソシアネート組成物は、高粘度であった。
比較例4で得られたブロックイソシアネート組成物は、高粘度であり、塗料の貯蔵安定性に劣っていた。
以上のことから、本実施形態のブロックイソシアネート組成物は、低粘度であり、且つ、低温硬化性、低結晶性に優れることが確認された。
本実施形態のブロックイソシアネート組成物は、低粘度であり、且つ、優れた低結晶性及び低温硬化性を有する。また、前記ブロックイソシアネート組成物を硬化剤として用いた一液型塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として利用することができる。また、前記ブロックイソシアネート組成物を硬化剤として用いた一液型塗料組成物は、鋼板、表面処理鋼板等の金属、及び、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材へのプライマーや上中塗り塗料として用いることができる。また、前記ブロックイソシアネート組成物を硬化剤として用いた一液型塗料組成物は、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に耐熱性、美粧性(表面平滑性、鮮鋭性)等を付与する塗料としても有用である。また、前記ブロックイソシアネート組成物を硬化剤として用いた一液型塗料組成物は、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示されるトリイソシアネート化合物と、少なくとも2種類のブロック剤と、から得られるブロックイソシアネート化合物を含むブロックイソシアネート組成物。
    Figure 2018235896
    一般式(I)中、複数あるYは、それぞれ独立に、単結合、又は、エステル構造及びエーテル構造からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。複数あるYは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。
  2. 前記少なくとも2種類のブロック剤が、アミン系化合物及び活性メチレン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ピラゾール系化合物とを含む請求項1に記載のブロックイソシアネート組成物。
  3. 前記ブロック剤によりブロックされたイソシアネート基のうち、前記ピラゾール系化合物によりブロックされたイソシアネート基の割合が、20モル%から80モル%である請求項1または2に記載のブロックイソシアネート組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロックイソシアネート組成物と、ポリオールとを含む一液型塗料組成物。
  5. 請求項4に記載の一液型塗料組成物を硬化した塗膜。
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