JPWO2018235853A1 - 弾性体、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、電子写真装置において各部材の長寿命化が進んでおり、弾性体には、耐摩耗性の向上が求められている。また、弾性体には、感光体ドラムへのトナー・外添剤などのフィルミング(固着)防止、感光体ドラムの摩耗低減等、システム全体の長寿命化に寄与することも求められている。これらを達成するために、弾性体は、低い摩擦係数が求められている。
しかし、特許文献1、2に提案されている弾性体は、当接部にポリウレタンを使用している以上、高硬度化には限界があった。
1.樹脂テープからなる当接部と、
ポリウレタンからなり平坦面を備えるバックアップ部と、
前記当接部と前記バックアップ部の平坦面とを接着する接着剤層と、
を有することを特徴とする弾性体。
2.前記樹脂テープの厚さが、3μm以上500μm以下であることを特徴とする1に記載の弾性体。
3.前記樹脂テープが、超高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートのいずれかからなることを特徴とする1.または2.に記載の弾性体。
4.1.〜3.のいずれかに記載の弾性体と、
前記弾性体と接合された支持部材と、
を有することを特徴とするブレード。
5.外周に成形溝を備えた成形ドラムを回転させながら、前記成形溝にポリウレタン組成物を供給する工程、
前記成形ドラムの回転に同期して回走するエンドレスベルトで前記成形溝を覆い、前記ポリウレタン組成物を前記成形溝と前記エンドレスベルトとから形成されるキャビティ内で硬化して平坦面を有する帯状ポリウレタンを製造する工程、
前記帯状ポリウレタンの平坦面と広幅樹脂テープとを接着剤で接着し、帯状弾性体を製造する工程、
前記帯状弾性体を切断する工程、
を有することを特徴とする樹脂テープからなる当接部と、ポリウレタンからなり平坦面を備えるバックアップ部と、前記当接部と前記バックアップ部の平坦面とを接着する接着剤層とを有する弾性体の製造方法。
本発明の弾性体は、当接部の摩擦係数が低いため、近年、使用が拡大している低融点トナーや微細トナーに対して好適に使用することができる。また、本発明の弾性体は、従来の弾性体と比較して長寿命であり、さらに、弾性体が接する感光体の寿命も長くすることができる。
また、樹脂テープとして、超高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレートのいずれかを用いることにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
本発明の弾性体は、外周に成形溝を備える成形ドラムを用いることにより、連続的に製造することができ、生産性に優れている。
11 当接部(樹脂テープ)
12 バックアップ部
121 平坦面
2 支持部材
3 ブレード
4 成形装置
401 成形ドラム
402 吐出口
403 外部加熱装置
404 エンドレスベルト
405 予熱ロール
406 ガイドロール
407 テンションロール
408 冷却ロール
409 冷却装置
410 繰出装置
411 圧接ロール
T 広幅樹脂テープ
UB 帯状ポリウレタン
B 帯状弾性体
S シート状弾性体
一実施態様である弾性体1は、樹脂テープからなる当接部11と、ポリウレタンからなり平坦面121を備えるバックアップ部12と、当接部11とバックアップ部12の平坦面とを接着する接着剤層(図示せず)と、を有する。
当接部11は、樹脂テープからなり、バックアップ部に使用されているポリウレタンよりも低摩擦である。また、バックアップ部12は、ポリウレタンからなり、適度な弾性を有している。
当接部11は、樹脂テープからなり、接着剤層を介してバックアップ部12の平坦面121上に長辺に沿って設けられる。そして、弾性体1は、当接部11の辺または面で感光体ドラムに接触する。
樹脂テープの短辺の長さ(幅)は、特に制限されないが、一般に幅が狭いほど安価であるため、バックアップ部の幅よりも狭い方が好ましく、バックアップ部の幅の60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。ただし、製造時の取り扱い性の点から、樹脂テープの幅は2mm以上であることが好ましい。なお、樹脂テープの幅は、バックアップ部の幅と同一とすることもできる。
バックアップ部12は、ポリウレタンからなり、平坦面121を備える。バックアップ部は、ポリウレタンの弾性により、当接部を感光体ドラムに適度な圧力で押し付けて接触させるものである。バックアップ部の厚さは、弾性体に適度なコシの強さを付与できる範囲であればよく、通常、500μm以上3mm以下程度である。
「ポリオール」
ポリオールとしては、ポリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類、あるいは、ビスフェノールA、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド付加物類のポリエーテル型ポリオール;アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の2塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル型ポリオール;ポリカプロラクトンジオール;ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
これらの中で、粘弾性の環境依存性が少ないポリエーテル型ポリオールが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、メタキシレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
反応促進剤は、ポリオールとポリイソシアネートの合計100重量部に対して、0.001重量部以上0.5重量部以下の範囲で用いることが好ましく、0.01重量部以上0.3重量部以下の範囲で用いることがより好ましい。反応促進剤としては、感温性、あるいは遅効性を有するものが、反応促進剤を混合したウレタン樹脂組成物が成形前に硬化してしまうことを防ぎ、可使時間を長くでき、脱型時間が短くなるため好ましい。具体的には、ブロックアミンと称される1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−有機酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5−有機酸塩、またはこれらの混合物等が挙げられる。
接着剤層は、当接部11とバックアップ部12の平坦面121とを接着するものである。接着剤層は、当接部を構成する樹脂テープの材料とバックアップ部を構成するポリウレタンとを強固に接着できるものであれば制限することなく使用することができ、例えば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の接着剤を用いることができる。
図2に、本発明のブレードの一実施態様を示す。
一実施態様であるブレード3は、樹脂テープからなる当接部11とポリウレタンからなり平坦面121を備えるバックアップ部12と当接部11とバックアップ部12の平坦面121とを接着する接着剤層とを有する弾性体1と、この弾性体1に接合された支持部材2とを有する。
弾性体と支持部材との接合方法は、強固に接合できるものであれば特に制限されず、接着剤、両面テープ等を用いることができる。また、支持部材の形状や、弾性体の支持部材との接合箇所は特に制限されず、ブレードを設置する感光体周囲のスペース等に応じて、適宜設計することができる。
本発明の弾性体は、連続成形法により製造することができる。
連続成形法による、本発明の弾性体の製造方法は、
1.外周に成形溝を備えた成形ドラムを回転させながら、前記成形溝にポリウレタン組成物を供給する工程、
2.前記成形ドラムの回転に同期して回走するエンドレスベルトで前記成形溝を覆い、前記ポリウレタン組成物を前記成形溝と前記エンドレスベルトとから形成されるキャビティ内で硬化して平坦面を有する帯状ポリウレタンを製造する工程、
3.前記帯状ポリウレタンの平坦面と広幅樹脂テープとを接着剤で接着し、帯状弾性体を製造する工程、
4.前記帯状弾性体を切断する工程、
を少なくとも有する。
弾性体の連続成形法に用いる成形装置の一構成例を図3に示す。本発明の弾性体の製造方法の一例を、一構成例である成形装置とともに説明する。
一構成例である成形装置4は、成形ドラム401と、ポリウレタン組成物を供給する吐出口402、外部加熱装置403、エンドレスベルト404、広幅樹脂テープTを繰り出す繰出装置410等を有する。
成形溝は、弾性体の厚みに相当する所定の深さで彫り込まれた断面凹状である。成形溝の幅は、弾性体の幅以上であればよいが、弾性体の2倍幅とすることが好ましい。成形溝の幅が、弾性体の2倍幅であれば、得られた帯状弾性体Bを、所定の長さと幅方向中央とで切断することにより、効率的に弾性体を製造することができる。
内部加熱装置は、ポリウレタン組成物を硬化させる熱を供給する。内部加熱装置は、電気ヒータ、加熱オイル、蒸気等、特に限定されるものではない。その加熱温度は、ポリウレタン組成物や回転速度等によって決定され、例えば110℃以上150℃以下の範囲で設定される。
エンドレスベルト404は、成形ドラム401の成形溝を覆うことで、ポリウレタン組成物が充満するキャビティを、成形溝と共に形成する。すなわち、成形溝とエンドレスベルト404とは、ポリウレタン組成物が硬化する際の金型としての機能を有する。また、エンドレスベルト404は、予熱ロール405により加熱されており、ポリウレタン組成物の温度が、エンドレスベルト404との接触時に低下することを防止する。そして、ポリウレタン組成物は、成形溝とエンドレスベルト404とが形成するキャビティ内に充填され、外形が整えられた状態で熱硬化して、帯状ポリウレタンUBとなる。なお、エンドレスベルト404が成形溝を覆う区間は、成形ドラム401外周の約半周部分に限定されず、ポリウレタン組成物がエンドレスベルト404から剥離可能となるまで硬化するのに必要な区間以上であればよい。
このシート状弾性体Sを、幅方向中央で切断することにより(図4)、二本の本発明の一実施態様である弾性体1を製造することができる(図1)。広幅樹脂テープTは、切断されることにより、弾性体1の樹脂テープからなる当接部11となる。そして、切断により生じた新たな角はシャープであるため、そのまま感光体等に接触させることができる。
続いて、得られた弾性体1と支持部材2とを接合することにより、本発明の一実施態様であるブレード3が得られる(図2)。
上記した連続成形法により、本発明の弾性体を製造した。
広幅樹脂テープとしては、超高分子量ポリエチレンからなるテープ(日東電工株式会社製、商品名:No.440、幅5mm、厚さ100μm)を用いた。
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学工業株式会社製、商品名:PTG2000SN、数平均分子量2000)を110℃で2時間減圧脱水した。このポリオール100重量部に対し、ポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(東ソー株式会社製、商品名:モノメリックMDI)を103重量部加え、100℃で3時間、窒素雰囲気下で合成し、プレポリマーを得た。このプレポリマーのNCO%は、14.7%である。
注型機のプレポリマー用タンクに上記プレポリマー(100重量部)、ポリオール用タンクにポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG2000SN)(80重量部)、架橋剤用タンクに1,4−ブタンジオール(9.2重量部)、1,1,1−トリメチロールプロパン(2.3重量部)、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(0.2重量部)を仕込み(液温60℃)、混合撹拌した。
成形溝から剥離した帯状ポリウレタンの幅方向中央部に、広幅樹脂テープをエポキシ系接着剤で貼り合わせることにより、帯状弾性体を得た。得られた帯状弾性体を、長さ方向で232mmに切断し、次いで幅方向中央部で広幅樹脂テープと共に切断し、幅2.5mm、厚さ100μmの樹脂テープからなる当接部を有する弾性体を得た。バックアップ部の幅は12.5mm、厚さは2mm、樹脂テープの幅は2.5mmである。この弾性体と支持部材とを接合して、ブレード1を製造した。
広幅樹脂テープとして、ETFEからなるテープ(旭硝子株式会社製、商品名:アフレックス、幅5mm、厚さ100μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード2を製造した。
「実施例3」
広幅樹脂テープとして、PEEKからなるテープ(Victrex社(英国)製、商品名:APTIVフィルム1000シリーズ、幅5mm、厚さ50μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード3を製造した。
「実施例4」
広幅樹脂テープとして、PIからなるテープ(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン200V、幅5mm、厚さ50μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード4を製造した。
広幅樹脂テープとして、PPSからなるテープ(東レ株式会社製、商品名:トレリナ、幅5mm、厚さ50μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード5を製造した。
「実施例6」
広幅樹脂テープとして、PETからなるテープ(東レ株式会社製、商品名:ルミラーS10、幅5mm、厚さ50μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード6を製造した。
「実施例7」
広幅樹脂テープとして、超高分子量ポリエチレンからなるテープ(日東電工株式会社製、商品名:No.440、幅5mm、厚さ500μm)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード7を製造した。
広幅樹脂テープを用いない以外は、上記実施例1と同様にして、ブレード8を製造した。
<評価>
・摩擦係数
図5に、摩擦係数測定試験の模式図を示す。表面性測定機(新東科学株式会社製、装置名:TYPE14)を用い、その平板上に設置したPETフィルムPに、ブレード1〜7の樹脂テープからなる当接部、または、ブレード8のポリウレタンからなる当接部を角度25度で当接させ、荷重Wが100g/cmとなるように設定した。次に、PETフィルムを移動速度100mm/秒で矢印A方向に移動させた際の抵抗値Fを測定し、各ブレードのPETフィルムに対する23℃での動摩擦係数μ=F/W(単位なし)を測定した。測定は、各ブレードについて3回行い、その相加平均値を示す。
(試験方法・条件)
試験機 :新東科学株式会社製、装置名:TYPE14
試験環境:23℃
相手材 :PETフィルム(未処理面)
荷重 :100g
当接角 :25°(専用治具)
摺動方向:トレーリング
摺動巾 :20mm
摺動速度:100mm/sec
計算式 :μ=F/W
試験後の当接部の摩耗を目視で確認し、下記基準で評価した。また、試験後の印刷物と帯電ローラに、ブレード起因の不都合の発生を目視で確認した。
・耐摩耗性(当接部)
◎: 当接部に変形が見られない。
○: 当接部に0.01mm以下の摩耗、欠けが見られる。
△: 当接部に0.03mm以下の摩耗、欠けが見られる。
×: 当接部に0.05mmより大きな摩耗、欠けが見られる。
○: すり抜けなし
×: すり抜けあり
・外添剤すり抜け
◎:帯電ローラの汚れなし
○:帯電ローラが均一に薄ら汚れ
△:帯電ローラが局所的に汚れ
×:帯電ローラ汚れによる不具合画像発生
・トナーフィルミング
◎:フィルミングによる異常画像なし
○:フィルミングによる異常画像が部分的に薄ら見える
△:フィルミングによる異常画像が薄ら見える
×:フィルミングによる異常画像がはっきり見える
実施例1〜7で製造した本発明のブレードは、当接部が低摩擦であるため、外添剤のすり抜け、トナーフィルミングが見られなかった。すなわち、本発明のブレードにより、ブレードが接触する感光体を含むシステム全体を長寿命化できる。特に、当接部に耐摩耗性に優れた素材である超高分子量ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドを使用した実施例1、3、4は、30000枚印字後も当接部の変形が全く見られず、これまでのブレードと比較してブレード自体を顕著に長寿命化することができる。また、実施例1〜7で製造した本発明のブレードは、トナーフィルミングを防止することができるため、トナーフィルミングが起こりやすい低融点トナーや微細トナーへの使用に適している。
それに対し、比較例1で製造したブレードは、トナーフィルミングによる異常画像と、帯電ローラの汚れが確認できた。これは、当接部の動摩擦係数が大きく、摩擦熱により発熱しやすいためである。
Claims (5)
- 樹脂テープからなる当接部と、
ポリウレタンからなり平坦面を備えるバックアップ部と、
前記当接部と前記バックアップ部の平坦面とを接着する接着剤層と、
を有することを特徴とする弾性体。 - 前記樹脂テープの厚さが、3μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の弾性体。
- 前記樹脂テープが、超高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートのいずれかからなることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の弾性体と、
前記弾性体と接合された支持部材と、
を有することを特徴とするブレード。 - 外周に成形溝を備えた成形ドラムを回転させながら、前記成形溝にポリウレタン組成物を供給する工程、
前記成形ドラムの回転に同期して回走するエンドレスベルトで前記成形溝を覆い、前記ポリウレタン組成物を前記成形溝と前記エンドレスベルトとから形成されるキャビティ内で硬化して平坦面を有する帯状ポリウレタンを製造する工程、
前記帯状ポリウレタンの平坦面と広幅樹脂テープとを接着剤で接着し、帯状弾性体を製造する工程、
前記帯状弾性体を切断する工程、
を有することを特徴とする樹脂テープからなる当接部と、ポリウレタンからなり平坦面を備えるバックアップ部と、前記当接部と前記バックアップ部の平坦面とを接着する接着剤層とを有する弾性体の製造方法。
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