JPWO2018198706A1 - 熱膨張性耐火シート用樹脂組成物、これを用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法 - Google Patents

熱膨張性耐火シート用樹脂組成物、これを用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

粉末状の熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)、含窒素発泡剤(C)を含有し、可塑剤(B)中に粉末状の熱可塑性樹脂(A)及び含窒素発泡剤(C)が分散しているプラスチゾルである。

Description

本開示は、一般に熱膨張性耐火シート用樹脂組成物、これを用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法に関し、より詳細には熱膨張性耐火樹脂層の形成に用いられる熱膨張性耐火シート用樹脂組成物、これを用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法に関する。
建築物において耐火構造が必要とされる梁、柱、床、壁、屋根及び階段等の施工部位は、主にH鋼及び鉄骨等の金属又はコンクリートで形成されている。従来、これらの施工部位において、耐火性能を高める目的で、鉄骨柱及び梁を耐火被覆材で被覆することが行われてきた。このような耐火被覆材としては、吹付けロックウールが広く用いられており、その施工方法としては、現場での湿式吹付け工法が主流である。しかしながら、湿式のロックウールの現場吹付けは、作業時における粉塵が発生すること、及び、吹付け後の養生が必要であることから衛生面及び工程面に課題があった。
一方、建築物の屋内の壁及び天井等の施工部位では、耐火性能を高めるためにけい酸カルシウム板又は石膏ボード等を主原料とした耐火性能を有する無機系の板状建材が使用される場合もある。ただ、これらの無機系の板状建材は脆く、重量物であるため、運搬時に割れ及びヒビといった破損が生じたり、施工現場での置き場所を確保する必要があるなど、可搬性及び施工性に課題があった。
このような課題を解決する手段として、これまでに様々な耐火塗料が提案されている。
例えば、特許文献1には、(1)多価アルコール、(2)含窒素発泡剤、(3)合成樹脂、(4)難燃性発泡剤及び(5)二酸化チタンを主成分とする発泡性耐火塗料が提案されている。この発泡性耐火塗料は、(1)多価アルコールが、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びポリペンタエリスリトールから任意に選択されるものであり、(4)難燃性発泡剤がリン酸アンモニウム及び/又はポリリン酸アンモニウムである。この発泡性耐火塗料では、2mm厚の塗布により45分間以上の耐火試験に耐えうる優れた耐火性能が得られるとされている。
また、特許文献2には、(A)結合材、(B)炭化剤、(C)難燃剤及び(D)充填材を含む水性発泡性耐火塗料が提案されている。この水性発泡性耐火塗料は、(A)結合材が、(a−1)イソシアネート化合物、(a−2)活性水素基を有する化合物、(a−3)酸及び(a−4)鎖延長剤を反応させて得られ、酸価が3KOHmg/g以上100KOHmg/g以下の範囲内である水性樹脂を含有している。この水性発泡性耐火塗料では、貯蔵安定性と耐火性能との両方に優れているとされている。
しかしながら、特許文献1の発泡性耐火塗料は、塗布作業に先立って水で希釈して粘度調整する必要があり、しかも水で希釈したことにより、塗膜を硬化させるために、基材に塗布した後21日間養生する必要があった。そのため、発泡性耐火塗料の塗膜を硬化させるまでにあまりに時間がかかるという問題があった。また、耐火性には優れているが、貯蔵安定性及び塗布作業性についての検討が必ずしも十分ではなかった。
また、特許文献2の水性発泡性耐火塗料は、(A)結合材として少なくとも4種の化合物を反応させたものを必須の構成成分の一つとしており、しかも塗膜を硬化させるために、基材に塗布した後7日間の養生が必要であった。また、この水性発泡性耐火塗料では、耐火性と貯蔵安定性とは良好であるが、塗布作業性についての検討が必ずしも十分ではなかった。
上記のとおり、耐火塗料は、塗膜の膜厚の違いが耐火性能に大きく影響することが知られており、施工部位及び基材に均一に塗付すること、すなわち耐火塗料の塗布作業性と形成される塗膜の膜厚管理とが、現場施工上の大きな課題であった。
そこで、これまでに、現場施工ではなく、事前に工場内で耐火塗料あるいは耐火樹脂組成物を対象基材に塗布したり、耐火樹脂組成物をシート状に成形した耐火シートをあらかじめ作製し、施工現場にて施工部位の表面に取り付けることが提案されている。耐火シートは、施工部位の形状に合わせて加工することが容易であり、しかも軽量で伸縮性を有していることから、現在では広く用いられている。中でも、熱膨張性耐火樹脂が基材の表面に塗布されてなる熱膨張性耐火シートでは、熱膨張性耐火樹脂層が加熱により燃焼、膨張して生じる燃焼残渣が耐火発泡層を形成することで、優れた耐火性及び断熱性を発現することができるため、好適に用いられている。
特開2001−40290号公報 特開2008−144130号公報
本開示の目的は、優れた耐火性を有し、しかも貯蔵安定性及び塗布作業性が良好な熱膨張性耐火シート用樹脂組成物、これを用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法を提供することである。
本開示に係る一態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物は、粉末状の熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)及び含窒素発泡剤(C)を含有し、前記可塑剤(B)中に前記粉末状の熱可塑性樹脂(A)及び前記含窒素発泡剤(C)が分散しているプラスチゾルである。
本開示に係る一態様の熱膨張性耐火シートは、基材の一方の面に、前記熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルが硬化した熱膨張性耐火樹脂層を備える。
本開示に係る一態様の熱膨張性耐火シートの製造方法は、前記熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を、前記基材の一方の面に塗布した後、加熱及び冷却して硬化させて、前記熱膨張性耐火樹脂層を形成する。
本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物は、粉末状の熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)及び含窒素発泡剤(C)を含有し、可塑剤(B)中に粉末状の熱可塑性樹脂(A)及び含窒素発泡剤(C)が分散しているプラスチゾルである。
本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、上記の各成分(A)〜(C)に加えて、リン系難燃剤(D)を更に含有することが好ましい。
また、本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、上記の各成分(A)〜(D)に加えて、炭化剤(E)を更に含有することが好ましい。
さらに本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、上記の各成分(A)〜(E)に加えて、二酸化チタン(F)を更に含有することが好ましい。
このような熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、プラスチゾルを用いることにより、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を調製する際の混練が容易又は不要となるので、調製時における含窒素発泡剤(C)の発泡によるロスを抑制することができる。そのため、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を基材及び施工部位に塗布し、加熱した際に、熱膨張性耐火樹脂層を発泡させて耐火発泡層を形成することにより所期の耐火性を発揮させることができる。さらに、この熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、プラスチゾルを用いることにより、長期貯蔵した場合であっても、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物中において粉末状の熱可塑性樹脂(A)と可塑剤(B)とが分離しにくい。そのため、貯蔵安定性及び塗布作業性に優れた熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を提供することが可能となる。
以下に、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の各成分について、具体的に説明する。
1.粉末状の熱可塑性樹脂(A)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の主剤の一つである。粉末状の熱可塑性樹脂(A)としては、耐火塗料に通常用いられる熱可塑性樹脂であれば特に制限されることはないが、ポリ塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂であることが好ましい。これらの粉末状の熱可塑性樹脂(A)の製造については、プラスチゾルとして使用可能なものであれば、特に制限されることはなく、従来公知のものを使用することができる。
例えば、ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル若しくは塩化ビニリデンの単独重合体、又は、共重合体、すなわち、塩化ビニル及び塩化ビニリデンと他のビニル系単量体との共重合体が例示される。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
塩化ビニル及び塩化ビニリデンと共重合させるビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、並びに、ビニルメチルエーテル及びビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類等が例示される。また、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル類、並びに、メチルアクリレート、エチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類等が例示される。さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類等が例示される。また、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びN−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルアミド類、アクリロニトリル等が例示される。このようなビニル系単量体は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ポリ塩化ビニル樹脂は、所望の耐火性を発揮させる観点から、平均分子量が500以上2500以下の範囲内であって、好ましくは、650以上1500以下の範囲内であることが例示される。ポリ塩化ビニル樹脂の平均分子量が上記の範囲内であれば、耐火性が良好となる。なお、平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算で表される。
アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル等のモノマーの重合体及び共重合体からなる粒子が例示される。これらのモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及びイソブチル(メタ)アクリレート等が例示される。また、アクリル樹脂コアとこれを被覆するアクリル樹脂シェルとからなるコア/シェル構造を有する粒子を用いてもよい。このコア/シェル構造を有する粒子は、貯蔵安定性及び塗布作業性の点から好適に用いられる。また、低温短時間硬化性の点からも好適に用いられる。
粉末状の熱可塑性樹脂(A)は、後述の可塑剤(B)に分散させてプラスチゾルとする際に、平均粒子径の小さな微細粉末状の状態で可塑剤(B)中に分散する。このときの粉末状の熱可塑性樹脂(A)の平均粒子径は、通常0.1μm以上100μm以下の範囲内であり、好ましくは1μm以上50μm以下の範囲内が例示される。粉末状の熱可塑性樹脂(A)の平均粒子径が、上記の範囲内であれば、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物中において、粉末状の熱可塑性樹脂(A)が均一に分散し、しかも基材及び施工部位の表面に平滑な塗膜を形成することができる。なお、粉末状の熱可塑性樹脂(A)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される。
粉末状の熱可塑性樹脂(A)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、15質量部以上40質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合割合が上記の範囲内であれば、貯蔵安定性及び塗布作業性が良好となる。
2.可塑剤(B)
可塑剤(B)は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の主剤の一つであり、粉末状の熱可塑性樹脂(A)を溶解分散するために用いられる成分である。また、可塑剤(B)は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の塗布作業性を向上させ、しかも熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が硬化することにより形成される熱膨張性耐火樹脂層を軟化させて、加熱時の耐火発泡層の形成に寄与することができる。
可塑剤(B)としては、耐火塗料に通常用いられるものであれば特に制限されることはないが、プラスチゾルを形成するために一般に使用されている任意のものを使用することができる。例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート(DnOP)及びジイソオクチルフタレート(DIOP)等のフタル酸エステル系の可塑剤が例示される。また、ジデシルフタレート(DDP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)及びビス−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)等が例示される。さらに、ジイソデシルフタレート(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、C6〜C10混合高級アルコールフタレート、ブチルベンジルフタレート(BBP)及びオクチルベンジルフタレート等が例示される。また、ノニルベンジルフタレート及びジメチルシクロヘキシルフタレート(DMCHP)等が例示される。また、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルアゼレート(DOZ)及びジオクチルセバケート(DOS)等の直鎖二塩基酸エステル類等が例示される。さらに、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリオクチルホスフェート(TOF)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、モノオクチルジフェニルホスフェート及びモノブチル−ジキシレニルホスフェート(B−Z−X)等のリン酸エステル系可塑剤が例示される。また、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート及びトリイソオクチルトリメリテート等の安息香酸エステル系可塑剤が例示される。さらに、ブチルフタルブチルグリコレート(BPBG)、トリブチル・クエン酸エステル、トリオクチル・アセチルクエン酸エステル、トリメット酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル及びアゼライン酸エステル等のエステル類が例示される。さらに、マレイン酸エステルC6〜C10脂肪酸のトリ又はテトラエチレングリコールエステル、アルキルスルホン酸エステル及びメチルアセチルリシノレート等のエステル類が例示される。また、大豆油等の不飽和脂肪酸グリセライドの二重結合を過酸化水素又は過酢酸でエポキシ化したもの(ESBO)、及び、ブチル又はオクチルのアルキルオレイン酸エステル等のエポキシ化合物等のエポキシ化植物油等が例示される。さらに、アジピン酸のような二塩基酸のプロピレングリコールエステル単位を直鎖状に連結した平均分子量500以上8000以下の範囲内の程度の粘稠な低重合度ポリエステル系可塑剤(例えば、アジピン酸ポリエステル及びフタル酸系ポリエステル)等が例示される。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。中でも、フタル酸エステルは、粉末状の熱可塑性樹脂(A)を均一に分散し、安定なプラスチゾルを形成することができる。また、耐火性、塗布作業性及び貯蔵安定性の観点から、フタル酸エステルの中でもフタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジウンデシル(DUP)の使用が好ましい。
可塑剤(B)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、10質量部以上40質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合割合が上記の範囲内であれば、貯蔵安定性が向上し、しかもスプレー塗布等による塗布作業時の吐出性が良好となる。そのため、塗布作業性の優れた熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が得られる。なお、可塑剤(B)の配合割合が、40質量部を上回ると、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物中における粉末状の熱可塑性樹脂(A)の配合割合が相対的に低下し、必要な塗膜厚を確保することが困難になる。さらには、塗料粘性が低下し、塗布作業時の塗料流れが生じるなど、塗布作業性が低下する可能性がある。
3.含窒素発泡剤(C)
含窒素発泡剤(C)は、加熱による分解により、窒素及びアンモニア等の不燃性ガスを発生させ、火災等の熱にさらされた際に炭化していくプラスチゾル及び後述の炭化剤(E)を膨張、発泡させ、耐火発泡層を形成する役割を果たす。また、熱膨張性耐火シートに靭性を付与し、壁下地材等の施工部位への追随性を発揮させることを目的として用いられる。
含窒素発泡剤(C)としては、例えば、メラミン、メラミン誘導体、ジシアンジアミド、アゾジカルボンアミド、尿素及びグアニジン等が例示される。中でも、不燃性ガスの発生効率、施工部位への追随性及び耐火性の観点から、含窒素発泡剤(C)がメラミン又はジシアンジアミドであることが好ましく、メラミンであることがより好ましい。これらは1種単独又は2種以上を併用することができる。
含窒素発泡剤(C)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5質量部以上25質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合割合が5質量部未満の場合、火災等の熱にさらされた際、十分な耐火発泡層を形成することが難しく、しかも成形後のシートの靭性が著しく損なわれてしまうおそれがある。一方、含窒素発泡剤(C)の配合割合が25質量部超の場合、火災等の熱にさらされた際、耐火発泡層における燃焼残渣の形状維持性が損なわれ、耐火性が低下するおそれがある。また、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の貯蔵安定性も損なわれるおそれがある。
4.リン系難燃剤(D)
リン系難燃剤(D)は、加熱により後述の炭化剤(E)の脱水及びチャーと呼ばれる薄膜の形成時の触媒として作用する。また、リン系難燃剤(D)は、600℃以上の高温で加熱された際に、後述の二酸化チタン(F)と反応し、ピロリン酸チタニウムを形成する。ピロリン酸チタニウムは、灰化成分として耐火発泡層に残存することで、耐火発泡層の形状維持性を向上させることができる。
リン系難燃剤(D)としては、例えば、赤リン、トリフェニルホスフェート及びトリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類、並びに、リン酸ナトリウム及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩等が例示される。また、リン酸アンモニウム、リン酸のメラミン等の有機塩基との塩類又はアミド、並びに、ポリリン酸アンモニウム及びメラミン変性ポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸アンモニウム類等が例示される。中でも、耐火発泡層の形成及び形状維持性、長期耐久性の観点から、ポリリン酸アンモニウム及びメラミン変性ポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸アンモニウム類が好ましい。これらは1種単独又は2種以上を併用することができる。
ポリリン酸アンモニウム類は、加熱により分解温度に達すると、脱アンモニア等の脱アミンによりリン酸及び縮合リン酸を生じる。これらのリン酸及び縮合リン酸が、有機物の脱水触媒として作用し、有機物を炭化させる結果、チャー形成につながる。また、その際に発生するアンモニアガス及び窒素ガス等は、発泡剤として作用し、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物全体を膨張させるとともに、酸素濃度を相対的に減少させることにより、燃焼を抑えることができる。さらにポリリン酸アンモニウム類は、600℃以上の高温で加熱された際に分解して、後述の二酸化チタン(F)と反応し、ピロリン酸チタニウムを形成する。ピロリン酸チタニウムは、灰化成分として耐火発泡層に残存することで、耐火発泡層の形状維持性を向上させることができる。
リン系難燃剤(D)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、20質量部以上50質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合割合が20質量部未満の場合、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を効果的に炭化、発泡させることが難しくなり、さらには耐火発泡層における燃焼残渣の形状保持性を確保することも難しくなる。一方、配合割合が50質量部超の場合、塗布作業性の低下を招くおそれがある。
5.炭化剤(E)
炭化剤(E)は、リン系難燃剤(D)に含有されるリン化合物により脱水炭化され、耐火発泡層を形成する。
炭化剤(E)としては、加熱により炭化する温度が180℃以上、好ましくは220℃以上のものが好適に使用できる。このような炭化剤(E)としては、例えば、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等の多価アルコール、デンプン及びセルロース等の多糖類、並びに、グルコース及びフルクトース等の少糖類等が例示される。中でも、発泡特性の観点から、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールを用いるのが特に好ましい。これらは、1種単独又は2種以上を併用することができる。
炭化剤(E)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5質量部以上25質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合割合が5質量部未満の場合、耐火発泡層の形成が不十分となり、燃焼残渣の形状保持性を確保することが難しくなる。配合割合が25重量部超の場合、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の貯蔵安定性が損なわれてしまうおそれがある。
6.二酸化チタン(F)
二酸化チタン(F)は、600℃以上の高温で加熱された際に、リン系難燃剤(D)と反応し、ピロリン酸チタニウムを形成し、灰化成分として耐火発泡層に残存することで、耐火発泡層の形状維持性を向上させることができる。
二酸化チタン(F)としては、アナターゼ型又はルチル型のいずれであってもよく、特に制限されない。二酸化チタン(F)の平均粒径としては、例えば、0.01μm以上200μm以下の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1μm以上100μm以下の範囲内であることが例示される。
二酸化チタン(F)の配合割合は、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下の範囲内であることが好ましい。配合量が5質量部未満の場合、600℃以上の高温で加熱された際に、灰化成分として耐火発泡層に残存するピロリン酸チタニウム量が減少し、高温域での燃焼残渣の形状維持性が不十分となり、耐火性が低下するおそれがある。一方、配合割合が30重量部超の場合、耐火発泡層の発泡倍率の低下が起こり、耐火性が損なわれるおそれがある。また、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の貯蔵安定性及び塗布作業性についても低下するおそれがある。
熱膨張性耐火シート用樹脂組成物には、その他の成分として、本実施形態の効果を損なわない範囲で必要に応じて、粘着付与剤、無機充填剤、酸化防止剤及び滑剤等を添加することができる。
粘着付与剤としては、特に制限されないが、例えば、ロジン樹脂、ロジン誘導体、ダンマル、ポリテルペン樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂及びシクロペンタジエン樹脂等が例示される。また、芳香族系石油樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂、クマロン−インデン樹脂及びビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体等が例示される。
無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、クレー、ベントナイト及びタルク等の無機塩類、並びに、ガラスフレーク及びワストナイト等の酸化無機物等が例示される。また、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維及びシリカ繊維等の無機繊維類、並びに、カーボン及びヒュームドシリカ等の微粒無機物等が例示される。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物を含む抗酸化剤、硫黄原子を含む抗酸化剤、及び、ホスファイト化合物を含む抗酸化剤等が例示される。
滑剤としては、例えば、ポリエチレン、パラフィン及びモンタン酸等のワックス類、トール油、サブ油、蜜ロウ、カルナウバロウ及びラノリン等のロウ類、エステルワックス類、並びに、ステアリン酸、パルミチン酸及びリシノール酸等の有機酸類等が例示される。また、ステアリルアルコール等の有機アルコール類、及び、ジメチルビスアミド等のアミド系化合物等が例示される。
上記の各成分(A)〜(C)及び各成分(D)〜(F)、並びに、その他の成分を従来公知の方法により均一に混合することで本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が得られる。
次に、本実施形態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を用いた熱膨張性耐火シート及びその製造方法について説明する。
熱膨張性耐火シートは、基材の一方の面に、上記の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルが硬化した熱膨張性耐火樹脂層を備える。
この熱膨張性耐火シートでは、基材が紙又は不織布であることが好ましい。中でも、基材自体が難燃性材料であることから、ガラス繊維のチョップストランド、ガラス繊維シート及びガラスペーパー等が好適に用いられる。その目付け量としては、例えば、10g/m以上100g/m以下の範囲内であることが例示され、好ましくは、30g/m以上60g/m以下の範囲内であることが例示される。
熱膨張性耐火シートの製造方法は、上記の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルを、基材の一方の面に塗布した後、加熱及び冷却してプラスチゾルを硬化させて、熱膨張性耐火樹脂層を形成することを特徴とする。
熱膨張性耐火シート用樹脂組成物の塗布方法は、特に制限されないが、従来公知の塗布方法を適用することができる。例えば、エアスプレー法、ディッピング法、カーテンコーター法、刷毛を使用する方法、ディスペンサーを使用する方法、ポッティング法、スクリーン印刷、トランスファー成形及びインジェクション成形等の方法が例示される。
熱膨張性耐火シート用樹脂組成物は、プラスチゾルの状態であるため、長期貯蔵した場合であっても、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物中において、粉末状の熱可塑性樹脂(A)と可塑剤(B)とが分離しにくく、均一に分散している。そのため、上記のとおりの塗布方法のいずれを適用した場合であっても、塗布作業性に優れ、基材に均一に塗布することができる。
熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルを硬化させる際には、加熱によりプラスチゾルを一旦ゲル化した後、冷却する必要がある。加熱条件としては、例えば、70℃以上180℃以下の範囲内の温度で30秒以上30分以下の範囲内で加熱することが例示される。このような加熱は、例えば、熱板又は加熱乾燥機等により適宜行うことができる。
熱膨張性耐火シートでは、基材の他方の面に、無機層、有機層及び金属層からなる群より選択される少なくとも一層を有することが好ましい。
無機層、有機層及び金属層は、あらかじめ、基材と積層しておき、その後、基材の一方の面に熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を塗布することができる。また、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を基材の一方の面に塗布した後、基材の他方の面に、無機層、有機層及び金属層を積層することもできる。
無機層、有機層及び金属層を積層する順序及び各層の厚み等に限定はなく、建築物の施工部位及び目的等に応じて適宜選択することができる。
本実施形態では、無機層としては、例えば、ロックウール、グラスウール、セラミックウール及びガラス繊維シート等の無機繊維を使用することができる。中でも、ガラス繊維シートを用いることが好ましい。ガラス繊維シートとしては、ガラスペーパーを用いることが好ましく、その目付け量としては、例えば、10g/m以上100g/m以下の範囲内であることが例示され、好ましくは、30g/m以上60g/m以下の範囲内であることが例示される。
基材の他方の面に無機層としてガラス繊維シートの層を備えることにより、熱膨張性耐火シート自体の強度が向上するため、施工部位の壁下地材に対し、大面積を有する熱膨張性耐火シートをタッカー等の固定具を用いて固定する際の固定強度も向上する。また、膨張性耐火シートをタッカー等の固定具を用いて固定した際、火炎により膨張、発泡し、形成された耐火発泡層の脱落防止性を向上させることができる。
有機層としては、例えば、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂類、ポリスチレン樹脂、並びに、ポリエステル樹脂類、ポリウレタン樹脂及びポリアミド樹脂類等のエーテル系樹脂類が例示される。また、不飽和エステル樹脂類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びスチレン−ブタジエン共重合体等の共重合樹脂類等が例示される。
このような有機層の形状としては、特に制限されることはなく、例えば、フィルム及び不織布等の形状を例示することができる。
金属層としては、例えば、鉄、鋼、ステンレス、亜鉛メッキ鋼、アルミ亜鉛合金メッキ鋼及びアルミニウム等が例示される。このような金属層の形状としては、特に制限されることはなく、例えば、金属板及び金属箔等の形状を例示することができる。中でも、取り扱い性の面からアルミニウム箔を好適に用いることができる。
これらの無機層、有機層及び金属層は、基材に対し、バッチ式で供給、積層してもよいし、連続供給してもよい。
無機層、有機層及び金属層を、基材及び熱膨張性耐火シート用樹脂組成物と積層して一体化する方法としては、樹脂成形体を成形する通常の方法、条件であれば、特に制限されない。例えば、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルを硬化させる際に上又は下に重ね、同時に加熱加圧することが例示される。
硬化後の熱膨張性耐火シートにおける熱膨張性耐火樹脂層の厚みは、特に制限されないが、基材の種類に応じて適宜変更することが可能であり、例えば、0.1mm以上5.0mm以下の範囲内であれば好ましく、0.3mm以上3.0mm以下の範囲内がより好ましい。
このようにして得られる熱膨張性耐火シートが施工される施工部位としては、壁下地材が好ましく、壁下地材としては、それ自身が面材として一定の強度を備えるものであれば、特に制限されることはない。例えば、スレート板、セラミック板、ALC、コンクリート板、各種セメント板、けい酸カルシウム板、含水無機物含有ボード、石膏ボード及び木片セメント板等が例示される。また、合板、OSB、パーティクルボード、CLT及び集成材等の木質板等が例示される。
熱膨張性耐火シートの使用方法としては、熱膨張性耐火シートが、壁下地材に、固定具により固定されて用いられることが好ましい。固定具としては、例えば、タッピンネジ及びタッカー等が例示される。また、必要に応じて、粘着剤及び接着剤等を用いてもよい。また、壁下地材に固定された熱膨張性耐火シートの表面に、さらに、けい酸カルシウム板及び石膏ボード等の耐火ボード等を取り付けることも可能である。
以上述べた実施形態から明らかなように、本開示に係る第1の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物は、粉末状の熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)、含窒素発泡剤(C)を含有し、可塑剤(B)中に粉末状の熱可塑性樹脂(A)及び含窒素発泡剤(C)が分散しているプラスチゾルである。
第1の態様によれば、優れた耐火性を有し、しかも貯蔵安定性及び塗布作業性が良好な熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を提供することができる。
本開示に係る第2の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、第1の態様において、リン系難燃剤(D)を更に含有する。
第2の態様によれば、加熱によりチャーと呼ばれる薄膜の形成時の触媒として作用し得る。
本開示に係る第3の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、第1又は2の態様において、炭化剤(E)を更に含有する。
第3の態様によれば、脱水炭化されて、耐火発泡層を形成し得る。
本開示に係る第4の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、第1〜3のいずれかの態様において、二酸化チタン(F)を更に含有する。
第4の態様によれば、耐火発泡層の形状維持性を向上させることができる。
本開示に係る第5の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、第1〜4のいずれかの態様において、粉末状の熱可塑性樹脂(A)が、ポリ塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂である。
第5の態様によれば、耐火性を向上させ得る。
本開示に係る第6の態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物では、第1〜5のいずれかの態様において、含窒素発泡剤(C)がメラミンである。
第6の態様によれば、不燃性ガスの発生効率、施工部位への追随性、耐火性を向上させ得る。
本開示に係る第7の態様の熱膨張性耐火シートは、第1〜6のいずれかの態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルが硬化した熱膨張性耐火樹脂層を備える。
第7の態様によれば、加熱された際に、熱膨張性耐火樹脂層が発泡して、耐火発泡層を形成することにより、耐火性を発揮させ得る。
本開示に係る第8の態様の熱膨張性耐火シートでは、第7の態様において、基材が紙又は不織布である。
第8の態様によれば、シート状に成形しやすく、建築物の施工部位の表面に取り付けやすい。
本開示に係る第9の態様の熱膨張性耐火シートでは、第7又は8の態様において、基材の他方の面に、無機層、有機層及び金属層からなる群より選択される少なくとも一層を有する。
第9の態様によれば、建築物の施工部位及び目的等に適応しやすい。
本開示に係る第10の態様の熱膨張性耐火シートの製造方法は、第1〜6のいずれかの態様の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を、基材の一方の面に塗布した後、加熱及び冷却して硬化させて、熱膨張性耐火樹脂層を形成する。
第10の態様によれば、プラスチゾルを硬化させやすい。
以下に実施例を掲げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示は、実施例に限定されない。
(実施例1)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)として、アクリル樹脂(LP−3106、三菱化学社製)25質量部、可塑剤(B)として、ジイソノニルフタレート(DINP、新日本理化社製)25質量部、含窒素発泡剤(C)として、メラミン(日産化学工業社製)12質量部、リン系難燃剤(D)として、ポリリン酸アンモニウム(AP422、クラリアントジャパン社製)33質量部、炭化剤(E)として、ペンタエリスリトール(ジペンタリット、広栄化学工業社製)13質量部、二酸化チタン(F)として、TR92(平均粒径0.24μm、ハンツマン社製)14質量部、消泡剤を0.5質量部、分散剤を2.5質量部の割合で配合し、これを均一に混合し、プラスチゾル状態の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を得た。
次に、得られた熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を目付50g/mのガラスペーパー(王子エフテック社製)に、所定の膜厚となるように刷毛で塗布し、これを100℃に設定した加熱プレス機で5分間加熱して硬化させ、熱膨張性耐火シートを得た。硬化後の熱膨張性耐火シートにおける熱膨張性耐火樹脂層の厚みは1.0mmであった。
壁下地材として、厚さ10mmのけい酸カルシウム板2枚重ねた上に、熱膨張性耐火シートのガラスペーパー側の面がけい酸カルシウム板面に当接するよう熱膨張性耐火シートを置き、タッカーで固定した。さらに、けい酸カルシウム板面に固定された熱膨張性耐火シートの表面と表面材との間に20mmの空隙ができるように間柱を設置し、表面材として厚さ12mmのけい酸カルシウム板を取り付け、試験体を作製した。
(実施例2)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)としてアクリル樹脂の代わりにポリ塩化ビニル樹脂(PSL−675、平均分子量900、カネカ社製)25質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(実施例3)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)としてアクリル樹脂の代わりにポリ塩化ビニル樹脂25質量部を用い、可塑剤(B)としてDINPの代わりにフタル酸ジウンデシル(DUP、新日本理化社製)25質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(実施例4)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)を18質量部に変更し、可塑剤(B)としてDINPの代わりにDUP10質量部を用い、含窒素発泡剤(C)を14質量部に変更し、リン系難燃剤(D)としてポリリン酸アンモニウム28質量部及び亜リン酸アルミニウム(APA−100、太平化学産業社製)6質量部とを併用し、炭化剤(E)を17質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(実施例5)
粉末状の熱可塑性樹脂(A)としてアクリル樹脂20質量部及びポリ塩化ビニル樹脂10質量部とを併用し、可塑剤(B)としてDINPの代わりにDUP40質量部を用い、リン系難燃剤(D)を30質量部、二酸化チタン(F)を12質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(実施例6)
含窒素発泡剤(C)としてメラミン8質量部及びジシアンジアミド(DICY7、三菱化学社製)4質量部とを併用したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(比較例1)
含窒素発泡剤(C)の代わりに無機系発泡剤としてP-5(大塚化学社製)12質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
実施例1〜6及び比較例1の試験体について、それぞれ、耐火性、貯蔵安定性、塗布作業性を評価した。評価の基準は下記のとおりである。
<耐火性>
JIS A1304の標準加熱曲線に準拠して、電気炉にて試験体の一面を加熱し、試験1時間後の加熱面とは反対側の表面の温度を熱電対により測定した。以下に評価基準を示す。
good:試験体の加熱面とは反対側の表面の温度が、加熱初期から1時間後まで162℃以下の範囲内である。
not good:試験体の加熱面とは反対側の表面の温度が、加熱初期から162℃超である。
<貯蔵安定性>
得られた熱膨張性耐火シート用樹脂組成物について、BL型粘度計で液温20℃の粘度を測定した後、蓋付きガラス瓶に注入して密封し、35℃で24時間貯蔵した。貯蔵後の樹脂組成物についてBL型粘度計で液温20℃の粘度を測定し、貯蔵前の樹脂組成物の粘度に対する粘度増加率を算出した。以下に評価基準を示す。
good:熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が固化しておらず、粘度増加率が50%未満である。
fear:熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が固化していないが、粘度増加率が50%以上である。
not good:熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が固化した。
<塗布作業性>
基材としての紙に、スプレーガン(W−101、アネスト岩田製)を用い、スプレーガンの吐出口から紙までの距離が10cm、吐出圧0.3MPaの条件で、熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を塗布した。以下に評価基準を示す。
good:熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が紙に均一かつ十分に塗布されている。
not good:熱膨張性耐火シート用樹脂組成物が紙にダスト状に吐出されており、均一かつ十分に塗布されていない。
結果を表1に示す。
Figure 2018198706
表1に示したように、実施例1−6の試験体においては、耐火性、貯蔵安定性及び塗布作業性のいずれの点においても良好であることが確認された。
一方、含窒素発泡剤(C)の代わりに無機系発泡剤を配合した比較例1では、貯蔵安定性及び塗布作業性は良好であるが、耐火性の評価がnot goodに該当し、実施例に劣ることが確認された。

Claims (10)

  1. 粉末状の熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)及び含窒素発泡剤(C)を含有し、前記可塑剤(B)中に前記粉末状の熱可塑性樹脂(A)及び前記含窒素発泡剤(C)が分散しているプラスチゾルである、
    熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  2. リン系難燃剤(D)を更に含有する、
    請求項1に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  3. 炭化剤(E)を更に含有する、
    請求項1又は2に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  4. 二酸化チタン(F)を更に含有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  5. 前記粉末状の熱可塑性樹脂(A)が、ポリ塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  6. 前記含窒素発泡剤(C)がメラミンである、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物。
  7. 基材の一方の面に、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物のプラスチゾルが硬化した熱膨張性耐火樹脂層を備える、
    熱膨張性耐火シート。
  8. 前記基材が紙又は不織布である、
    請求項7に記載の熱膨張性耐火シート。
  9. 前記基材の他方の面に、無機層、有機層及び金属層からなる群より選択される少なくとも一層を有する、
    請求項7又は8に記載の熱膨張性耐火シート。
  10. 請求項1から6のいずれか一項に記載の熱膨張性耐火シート用樹脂組成物を、基材の一方の面に塗布した後、加熱及び冷却して硬化させて、前記熱膨張性耐火樹脂層を形成する、
    熱膨張性耐火シートの製造方法。
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