JPWO2018142929A1 - 非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

非水電解質二次電池用正極活物質は、Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、二次粒子の表面に付着した希土類化合物と、二次粒子の表面に付着したタングステン化合物と、二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムと、を含む。前記Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合は、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上であり、炭酸リチウムの含有量は、前記Niを含むリチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上である。

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池の技術に関する。
近年、高出力、高エネルギー密度の二次電池として、正極、負極、及び非水電解質を備え、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させて充放電を行う非水電解質二次電池が広く利用されている。
非水電解質二次電池の正極に用いられる正極活物質としては、例えば、以下のものが知られている。
例えば、特許文献1には、Niを含むリチウム複合酸化物の粒子と、前記粒子表面に付着した希土類化合物とを有する非水電解質二次電池用正極活物質が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、Niを含むリチウム複合酸化物の粒子と、前記粒子表面に付着した炭酸リチウムとを有する非水電解質二次電池用正極活物質が開示されている。
また、例えば、特許文献3には、Niを含むリチウム複合酸化物の粒子と、前記粒子表面に付着したW及びLiを含む粒子とを有する非水電解質二次電池用正極活物質が開示されている。
国際公開第2005/008812号 国際公開第2016/035852号 国際公開第2012/043783号
ところで、Niを含むリチウム複合酸化物を用いた非水電解質二次電池においては、当該リチウム複合酸化物中のNiの含有量が高くなると、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗が高くなり、例えば、非水電解質二次電池の出力特性が低下する場合がある。特に、Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合が、リチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上であるリチウム複合酸化物を用いた場合においては、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇が顕著となる。
そこで、本開示の目的は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上のNiを含むリチウム複合酸化物を用いた場合でも、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇を抑制することが可能な非水電解質二次電池用正極活物質を提供することである。
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、前記二次粒子の表面に付着した希土類化合物と、前記二次粒子の表面に付着したタングステン化合物と、前記二次粒子の内部における前記一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムと、を含む。前記Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合は、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上であり、前記炭酸リチウムの含有量は、前記Niを含むリチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上である。
本開示の一態様によれば、リチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上のNiを含むリチウム複合酸化物を用いた場合でも、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇を抑制することが可能な非水電解質二次電池用正極活物質を提供することができる。
本実施形態に係る正極活物質の模式断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
従来、Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合が、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上である正極活物質を用いた非水電解質二次電池は、充放電初期等において、上記Niを含むリチウム複合酸化物の二次粒子が割れたり、非水電解質の分解によって二次粒子表面にリチウムイオン透過性の低い被膜が形成されたりして、二次粒子の表面や一次粒子間のリチウムイオン伝導性が低下し、充放電初期の直流抵抗が上昇する場合がある。そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、二次粒子の表面や一次粒子間のリチウムイオン伝導性の低下を抑制し、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇を抑制することが可能な物質として、希土類化合物、タングステン化合物、及び炭酸リチウムが有効であることを見出し、以下に説明する態様の非水電解質二次電池用正極活物質を想到するに至った。
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、前記二次粒子の表面に付着した希土類化合物と、前記二次粒子の表面に付着したタングステン化合物と、前記二次粒子の内部における前記一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムと、を含み、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合は、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上であり、前記炭酸リチウムの含有量は、前記Niを含むリチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上である。そして、本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質によれば、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇を抑制することが可能となる。
このメカニズムは十分に明らかになっていないが、以下のことが考えられる。なお、以下では、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合が80モル%以上であるリチウム複合酸化物を高Ni含有リチウム複合酸化物と称する。
高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の内部における一次粒子の表面に、上記所定量の炭酸リチウムが存在することで、一次粒子間の結着力が高くなり、充放電過程等での二次粒子の割れが抑制されるため、一次粒子間のリチウムイオン伝導性や電子伝導性の低下が抑制されると考えられる。また、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面にタングステン化合物が存在することで、非水電解質と二次粒子との間のリチウムイオンの移動が容易になると考えられる。さらに、二次粒子の表面にタングステン化合物と希土類化合物とが共存し、これらの物質の近くに上記炭酸リチウムが存在することで、非水電解質の分解によって二次粒子の表面に形成される被膜のリチウムイオン伝導性が向上するものと考えられる。
すなわち、本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質によれば、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面に付着した希土類化合物及びタングステン化合物、並びに二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着した所定量の炭酸リチウムにより、二次粒子の表面や一次粒子間のリチウムイオン伝導性の低下が抑制されるため、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗の上昇が抑制されると考えられる。
以下に、本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質を用いた非水電解質二次電池の一例について説明する。以下の実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。
実施形態の一例である非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。正極と負極との間には、セパレータを設けることが好適である。具体的には、正極及び負極がセパレータを介して巻回されてなる巻回型の電極体と、非水電解質とが外装体に収容された構造を有する。電極体は、巻回型の電極体に限定されず、正極及び負極がセパレータを介して積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。また、非水電解質二次電池の形態としては、特に限定されず、円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネート型などが例示できる。
以下、実施形態の一例である非水電解質二次電池に用いられる正極、負極、非水電解質、セパレータについて詳述する。
<正極>
正極は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極活物質層は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む。
正極は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む正極合材スラリーを正極集電体上に塗布・乾燥することによって、正極集電体上に正極活物質層を形成し、当該正極活物質層を圧延することにより得られる。
図1は、本実施形態に係る正極活物質の模式断面図である。図1に示すように、正極活物質10は、Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子20が凝集して形成されたNiを含むリチウム複合酸化物の二次粒子21と、二次粒子21の表面に付着した希土類化合物22と、二次粒子21の表面に付着したタングステン化合物23と、二次粒子21の内部における一次粒子20の表面に付着した炭酸リチウム24と、を備えている。二次粒子21の表面に付着しているとは、二次粒子21の表面における一次粒子20の表面に付着していることと同義である。
Niを含むリチウム複合酸化物は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合が80モル%以上であるリチウム複合酸化物であれば特に制限されるものではない。以下、このリチウム複合酸化物を高Ni含有リチウム複合酸化物と称する。高Ni含有リチウム複合酸化物は、例えば、非水電解質二次電池の充放電容量をより向上させることができる点で、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合が80モル%以上で、且つCoの割合が15モル%以下であるリチウム複合酸化物が望ましい。なお、このようなリチウム複合酸化物を用いることで、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗が上昇する傾向にあるが、前述したように、希土類化合物、タングステン化合物、炭酸リチウムの存在により、充放電初期の直流抵抗の上昇を抑制することが可能となる。
高Ni含有リチウム複合酸化物は、例えば、以下の一般式で表される。
LiNiCoαβ2−γ (1)
式中、x、y、α、β、及びγはそれぞれ、0.95<x<1.2、0.80≦y≦1、0≦α≦0.15、0≦β≦0.1、y+α+β=1、及び0≦γ<0.05を満たす。また、式中Mは、Li、Ni、Co以外の少なくとも1種の元素であれば特に制限されるものではなく、例えば、Mn、Fe、Al、Mg、Ti、Cr、Cu、Ze、Sn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Na、K、Ba、Sr、Bi、Be及びBから選ばれる少なくとも1種の元素等が挙げられる。
高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子の平均粒径としては、100nm以上5μm以下であることが好ましく、300nm以上2μm以下であることがより好ましい。一次粒子の平均粒径が100nm未満になると、二次粒子内部も含めた一次粒子界面が多くなりすぎて、充放電サイクルにおける一次粒子の膨張収縮等により、一次粒子の割れが発生し易くなる場合がある。一方、一次粒子の平均粒径が5μmを超えると、二次粒子内部も含めた一次粒子界面の量が少なくなりすぎて、特に非水電解質二次電池の出力が低下する場合がある。高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の平均粒径としては、2μm以上40μm以下であることが好ましく、4μm以上20μm以下であることがより好ましい。二次粒子の平均粒径が2μm未満になると、充填密度が低下し、非水電解質二次電池の充放電容量が低下する場合がある。一方、二次粒子の平均粒径が40μmを超えると、非水電解質二次電池の出力が低下する場合がある。
一次粒子の平均粒径及び二次粒子の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡で観察して画像解析を行い、粒径を測定することにより求めることができる。具体的には、個々の一次粒子又は二次粒子の最大長を100個の粒子について測定し、該長さを直径とする球の体積を算出して求めた体積平均粒径である。
希土類化合物は、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面に付着していればよいが、当該二次粒子の表面だけでなく、当該二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着していてもよい。希土類化合物の粒子形態は、一次粒子、二次粒子のいずれでもよい。
希土類化合物としては、例えば、希土類の水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸化合物、リン酸化合物及びフッ素化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。希土類化合物を構成する希土類元素は、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムから選択される少なくとも1種である。これらの中では、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗をより抑制する点で、ネオジム、サマリウム、エルビウムから選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
希土類化合物の含有量は、例えば、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、希土類元素換算で0.02質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.3質量%以下であることがより好ましい。希土類化合物の含有量が、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して0.02質量%未満、又は0.5質量%超である場合、上記範囲を満たす場合と比較して、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗が高くなる場合がある。
タングステン化合物は、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面に付着していればよいが、当該二次粒子の表面だけでなく、当該二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着していてもよい。タングステン化合物は、例えば、WO2、WO及びW等の酸化タングステン、タングステン酸リチウム等の酸化タングステンの塩等から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらの中では、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗をより抑制する点で、タングステン酸リチウムが好ましい。
タングステン化合物の含有量は、例えば、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、タングステン元素換算で0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。タングステン化合物の含有量が、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して0.1質量%未満、又は5.0質量%超である場合、上記範囲を満たす場合と比較して、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗が高くなる場合がある。
炭酸リチウムは、少なくとも高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着していればよい。すなわち、炭酸リチウムは、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子内部における一次粒子の表面だけでなく、二次粒子の表面に付着していてもよい。炭酸リチウムとしては、例えば、LiCO、LiHCO等が挙げられる。
高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムの含有量は、非水電解質二次電池の充放電初期の直流抵抗を抑制する点で、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上であればよいが、好ましくは0.35質量%以上2.0質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下である。
希土類化合物、タングステン化合物及び炭酸リチウムの含有量は、例えば、以下の方法により測定される。本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質粒子を塩酸またはフッ酸で溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマイオン化(ICP)発光分析法により測定することにより、各物質の含有量を求めることができる。炭酸リチウムの含有量においては、滴定法(warder法)によって測定することができる。以下に、滴定法(warder法)について説明する。
<滴定法(warder法)>
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質粒子を純水に添加して攪拌し、純水中に当該活物質粒子が分散した懸濁液を調製し、この懸濁液をろ過し、当該活物質中から溶出したアルカリを含むろ液を得る。次に、pHを測定しながら当該ろ液に塩酸を少量ずつ加え、pH曲線の第一変曲点(pH8付近)及び第二変曲点(pH4付近)までに消費した塩酸の量から炭酸リチウムの付着量を下記の式(1)を用いて算出する。
炭酸リチウム量(wt%)=(y(ml)−x(ml))×a(mol/L)×f×(1/1000)×73.89(g/mol))/b(g)×100 (1)
a(mol/L):滴定に使用した塩酸濃度
b(g):採取した試料量
x(mL):第一変曲点(pH8付近)までに消費した塩酸量
y(mL):第二変曲点(pH4付近)までに消費した塩酸量
f:滴定に使用した塩酸のファクター
炭酸リチウムのF.W.:73.89(g/mol)
なお、希土類化合物及びタングステン化合物が、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面に付着していることは、例えば二次粒子表面を走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散X線分光法(EDS)を用いて確認できる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質のBET比表面積は、例えば0.05m/g以上0.8m/g以下であることが好ましく、0.1m/g以上0.6m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が0.05m/g未満になると、上記範囲を満たす場合と比較して、例えば、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子間の隙間が狭く、非水電解質の浸透性が低下するため、非水電解質二次電池の入出力特性が低下する場合がある。また、BET比表面積が0.8m/g超になると、上記範囲を満たす場合と比較して、例えば、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子間の結着性が低下し、耐久性を損なう場合がある。リチウム含有遷移金属酸化物のBET比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。なお、非水電解質二次電池用正極活物質のBET比表面積は、使用する高Ni含有リチウム複合酸化物の粒径等にもよるが、主に、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の内部における一次粒子表面の炭酸リチウム量の影響を受ける。したがって、当該炭酸リチウムの含有量を調整することにより、非水電解質二次電池用正極活物質のBET比表面積を調整することができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質の圧縮強度は110MPa以上であることが好ましく、120MPa以上であることがより好ましい。圧縮強度が110MPa未満になると、上記範囲を満たす場合と比較して、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子間の結着性が低く、耐久性を損なう場合がある。圧縮強度は、例えば、島津製作所製微小圧縮試験機MCT−211にて測定することができる。当該測定は、試料台に非水電解質二次電池用正極活物質の粉末を置き、顕微鏡で二次粒子一粒の中心を狙い、20μmの径の圧子を負荷速度2.665mN/secで押し付け、破断した際の強度をN=10で測定し、その平均値を圧縮強度とすることができる。なお、非水電解質二次電池用正極活物質の圧縮強度は、使用する高Ni含有リチウム複合酸化物の粒径等にもよるが、主に、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の内部における一次粒子表面の炭酸リチウム量の影響を受ける。したがって、当該炭酸リチウムの含有量を調整することにより、非水電解質二次電池用正極活物質の圧縮強度を調整することができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、例えば、高Ni含有リチウム複合酸化物及び炭酸リチウムを含む固溶化物生成工程と、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子に希土類化合物及びタングステン化合物を付着させる付着工程とを有する。
<固溶化物生成工程>
例えば、水酸化リチウムや炭酸リチウム等のリチウム化合物と、Ni含有金属酸化物とを、Li原子に対するモル比で、Niが所定量となるように混合し、この混合物を所定温度で焼成することで、固溶化物を得る。必要に応じて、固溶化物を所定の粒径となるまで粉砕してもよい。得られた固溶化物は、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、当該二次粒子の表面及び内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムとを含む。この炭酸リチウムは、リチウム化合物とNiを含む金属酸化物を焼成した際に、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子上に析出したもの、原料となるリチウム化合物として炭酸リチウムを用いた場合における未反応の炭酸リチウム等である。
上記固溶化物を得る際の焼成温度は、例えば、650℃以上900℃以下であることが好ましく、特に700℃から850℃であることが好ましい。また、原料となるリチウム化合物やNi含有金属酸化物の添加量は、目的とする高Ni含有リチウム複合酸化物を得るために適宜設定されるものであるが、例えば、リチウム化合物とNi含有金属酸化物を含む混合物中のLiを除く金属に対するLiのモル比が、1.03以上となるように、リチウム化合物を添加することが好ましく、1.05以上となるようにリチウム化合物を添加することがより好ましい。混合物中のLiのモル比が1.03未満であると、最終的に得られる非水電解質二次電池用正極活物質中の炭酸リチウムの含有量を、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上とすることが困難となる。
通常、得られた固溶化物に対して洗浄・ろ過工程を実施するのが一般的であるが、この場合、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面及び内部における一次粒子表面に付着した炭酸リチウムが消失してしまうので、本実施形態では、得られた固溶化物に対して洗浄・ろ過工程を実施しないことが好ましい。
<付着工程>
例えば、洗浄・ろ過工程を実施していない上記固溶化物に、希土類化合物を含む水溶液、タングステン化合物を含む水溶液を噴霧した後、加熱乾燥させることで、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面に希土類化合物及びタングステン化合物を付着させる。希土類化合物を含む水溶液は、例えば、酢酸、硝酸、硫酸等の溶媒に希土類化合物を溶解した酸性溶液が用いられる。そのため、上記固溶化物に噴霧した希土類化合物を含む水溶液は、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面における一次粒子表面に付着した炭酸リチウムと主に反応する。そのため、希土類化合物は、主に高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面に付着する。そして、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面に付着していた炭酸リチウムはほとんど消失し、二次粒子内部における一次粒子表面に付着している炭酸リチウムが残る。また、タングステン化合物を含む水溶液は、例えば、酸化タングステンを水酸化リチウム水溶液に溶解して得たアルカリ性溶液が用いられる。そのため、タングステン化合物を含む水溶液は、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面に付着した炭酸リチウムとは反応しないため、二次粒子内部まで浸透する。したがって、タングステン化合物は、噴霧後の加熱乾燥により、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面だけでなく、二次粒子内部における一次粒子表面にも付着し易い。
このようにして、高Ni含有リチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、二次粒子の表面に付着した希土類化合物及びタングステン化合物と、二次粒子の内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムとを含み、炭酸リチウムの含有量が、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上である非水電解質二次電池用正極活物質が得られる。
非水電解質二次電池用正極活物質は、高Ni含有リチウム複合酸化物以外のリチウム複合酸化物等を含んでいてもよい。当該リチウム複合酸化物としては、特に制限されるものではないが、例えば、Li−Co複合酸化物、Li−Co−M複合酸化物(Mは、例えば、Al、Mg、Ti、Cr、Cu、Ze、Sn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Na、K、Ba、Sr、Bi、Be及びB等から選択される1種以上の添加金属)等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素粉末等が挙げられる、これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着剤としては、例えば、フッ素系高分子、ゴム系高分子等が挙げられる。フッ素系高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはこれらの変性体等が挙げられ、ゴム系高分子としては、例えば、エチレンープロピレンーイソプレン共重合体、エチレンープロピレンーブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<負極>
負極は、例えば金属箔等の負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質層とを備える。負極集電体には、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極活物質層は、例えば、負極活物質、結着材、増粘剤等を含む。
負極は、例えば、負極活物質、増粘剤、結着剤を含む負極合材スラリーを負極集電体上に塗布・乾燥することによって、負極集電体上に負極活物質層を形成し、当該負極活物質層を圧延することにより得られる。
上記負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、炭素材料、リチウムと合金を形成することが可能な金属またはその金属を含む合金化合物等が挙げられる。炭素材料としては、天然黒鉛、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛等のグラファイト類、コークス類等を用いることができ、合金化合物としては、リチウムと合金形成可能な金属を少なくとも1種類含むものが挙げられる。リチウムと合金形成可能な元素としてはケイ素やスズであることが好ましく、これらが酸素と結合した、酸化ケイ素や酸化スズ等も用いることもできる。また、上記炭素材料とケイ素やスズの化合物とを混合したものを用いることができる。上記の他、チタン酸リチウム等の金属リチウムに対する充放電の電位が、炭素材料等より高いものも用いることができる。
結着剤としては、例えば、正極の場合と同様にフッ素系高分子、ゴム系高分子等を用いることもできるが、スチレンーブタジエン共重合体(SBR)又はこの変性体等を用いてもよい。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)等が挙げられる。これらは、1種単独でもよし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<非水電解質>
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。
上記エステル類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
上記エーテル類の例としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。
上記ハロゲン置換体としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等を用いることが好ましい。
電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiBF、LiClO4、LiPF、LiAsF、LiSbF6、LiAlCl4、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(P(C)F)、LiPF6−x(C2n+1(1<x<6,nは1又は2)、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li、Li(B(C)F)等のホウ酸塩類、LiN(SOCF、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO){l,mは1以上の整数}等のイミド塩類などが挙げられる。リチウム塩は、これらを1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。これらのうち、イオン伝導性、電気化学的安定性等の観点から、LiPFを用いることが好ましい。リチウム塩の濃度は、非水溶媒1L当り0.8〜1.8molとすることが好ましい。
<セパレータ>
セパレータには、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータは、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよく、セパレータの表面にアラミド樹脂等が塗布されたものを用いてもよい。セパレータと正極及び負極の少なくとも一方との界面には、無機物のフィラーを含むフィラー層が形成されてもよい。無機物のフィラーとしては、例えばチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)の少なくとも1種を含有する酸化物、リン酸化合物またその表面が水酸化物等で処理されているものなどが挙げられる。フィラー層は、例えば当該フィラーを含有するスラリーを正極、負極、又はセパレータの表面に塗布して形成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質の作製]
共沈法により得られた[Ni0.91Co0.06Al0.03](OH)を焙焼し遷移金属酸化物を得た。この遷移金属酸化物と、LiCOとを、Liと、Ni,Co,Alの総量とのモル比が1.06:1になるように、石川式らいかい乳鉢にて混合した。その後、この混合物を空気雰囲気中にて800℃で3時間焼成し、粉砕することにより、LiNi0.91Co0.06Al0.03で表される高Ni含有リチウム複合酸化物と、当該高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子の表面及び内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムとを含む固溶化物を得た。
この固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化エルビウムを硫酸に溶解して得た硫酸エルビウム塩水溶液、及び酸化タングステンを水酸化リチウム水溶液に溶解して得た水溶液を噴霧した。次いで、得られた粉末を、真空中180℃で2時間乾燥した。このようにして、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面にエルビウム化合物及びタングステン化合物が付着し、二次粒子内部における一次粒子表面に炭酸リチウムが付着した正極活物質を得た。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。
これを実施例1の正極活物質とした。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.29m/gであり、圧縮強度は158MPaであった。測定方法は前述したとおりである。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム、エルビウム化合物、タングステン化合物の含有量を測定した。測定方法は上記の通りである。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.62質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.11質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
[正極の作製]
上記正極活物質と、導電剤としてのカーボンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、質量比で95:2.5:2.5となるように混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを加えて、正極合材スラリーを調製した。次いで、この正極合材スラリーを、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラを用いて圧延することにより、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。
[負極の作製]
負極活物質としての人造黒鉛と、増粘剤としてのCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)と、結着剤としてのSBR(スチレン−ブタジエンゴム)とを、98:1:1の質量比で水溶液中において混合し、負極合材スラリーを調製した。次に、この負極合材スラリーを銅箔から成る負極集電体の両面に均一に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラを用いて圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。
[非水電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(MEC)と、ジメチルカーボネート(DMC)を、2:2:6の体積比で混合した混合溶媒に対して、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.3モル/リットルの濃度で溶解させた後、当該混合溶媒にビニレンカーボネート(VC)を2.0質量%の濃度で溶解させて非水電解質を調製した。
[電池の作製]
上記作製した正極に正極集電タブを取り付け、上記作製した負極に負極集電タブを取り付け、これら両極間にセパレータを配置して渦巻き状に巻回した後、巻き芯を引き抜いて渦巻状の電極体を作製した。次に、この渦巻状の電極体を押し潰して、偏平型の電極体を得た。この偏平型の電極体と上記非水電解液とを、アルミニウムラミネート製の外装体内に配置し、アルミニウムネート製の外装体の周縁部を加熱して溶着し、非水電解質二次電池を作製した。作製した非水電解質二次電池を0.5It(400mA)で、電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行った。次に、電圧4.2Vの定電圧で、電流が0.05It(40mA)になるまで定電圧充電した後、20分間放置した。その後、0.5It(400mA)で、電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行った。この1サイクルの充放電を行い、電池を安定化させた。この非水電解質二次電池を実施例1の電池とした。
<比較例1>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に純水を加え、15分間撹拌洗浄した後、ろ過し、固溶化物中の炭酸リチウムを除去した。ろ過後の固溶化物を真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例1の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物は付着していなかった。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.95m/gであり、圧縮強度は88MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウムの含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.12質量%であった。
比較例1では、比較例1で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で、電池を作製した。
<比較例2>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に純水を加え、15分間撹拌洗浄した後、ろ過し、固溶化物中の炭酸リチウムを除去した。ろ過後の固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化エルビウムを硫酸に溶解して得た硫酸エルビウム塩水溶液を噴霧した後、真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例2の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.97m/gであり、圧縮強度は92MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム及びエルビウム化合物の含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.12質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、エルビウム元素換算で0.11質量%であった。
比較例2では、比較例2で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として、電池を作製した。
<比較例3>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に純水を加え、15分間撹拌洗浄した後、ろ過し、固溶化物中の炭酸リチウムを除去した。ろ過後の固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化タングステンを水酸化リチウム水溶液に溶解して得た水溶液を噴霧した後、真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例3の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にタングステン化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.97m/gであり、圧縮強度は86MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム及びタングステン化合物の含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.12質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、タングステン元素換算で0.28質量%であった。
比較例3では、比較例3で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として、電池を作製した。
<比較例4>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に純水を加え、15分間撹拌洗浄した後、ろ過し、固溶化物から炭酸リチウムを除去した。ろ過後の固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化エルビウムを硫酸に溶解して得た硫酸エルビウム塩水溶液、及び酸化タングステンを水酸化リチウム水溶液に溶解して得た水溶液を噴霧した後、真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例4の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.99m/gであり、圧縮強度は90MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム、エルビウム化合物及びタングステン化合物の含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.12質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、エルビウム元素換算で0.11質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、タングステン元素換算で0.28質量%であった。
比較例4では、比較例3で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として、電池を作製した。
<比較例5>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に対して、実施例1と同様に洗浄・ろ過を実施しなかった。これを比較例5の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物は付着していなかった。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.26m/gであり、圧縮強度は158MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウムの含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.58質量%であった。
比較例5では、比較例5で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として、電池を作製した。
<比較例6>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に対して、実施例1と同様に洗浄・ろ過を実施しなかった。この固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化エルビウムを硫酸に溶解して得た硫酸エルビウム塩水溶液を噴霧した。次いで、得られた粉末を、真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例6の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.28m/gであり、圧縮強度は160MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム、エルビウム化合物の含有量を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.61質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.11質量%であった。
比較例6では、比較例6で作製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として、電池を作製した。
<比較例7>
実施例1と同様の方法で得た固溶化物に対して、実施例1と同様に洗浄・ろ過を実施しなかった。この固溶化物1000gを攪拌しながら、酸化タングステンを水酸化リチウム水溶液に溶解して得た水溶液を噴霧した。次いで、得られた粉末を、真空中180℃で2時間乾燥した。これを比較例7の正極活物質とした。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にタングステン化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.28m/gであり、圧縮強度は157MPaであった。
得られた正極活物質から、炭酸リチウム、タングステン化合物を測定した。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.64質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
<充放電初期の直流抵抗の測定>
25℃の温度環境下において、実施例1及び比較例1〜7の各電池を0.5It(400mA)の定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧で電流値が0.05It(40mA)になるまで充電を引き続き行った。充電終了後120分間休止した時点の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を測定し、0.5It(400mA)の定電流で10秒間放電を行い、放電10秒後の電圧を測定した。そして、以下の式により直流抵抗を測定した。
直流抵抗(Ω)=(120分休止後のOCV(V)−放電10秒後の電圧(V))/(電流値(A))
表1に、実施例1及び比較例1〜7で用いた正極活物質中の酸化エルビウムの含有量、タングステン化合物の含有量、炭酸リチウムの含有量、実施例1及び比較例1〜7で用いた正極活物質のBET比表面積、及び実施例1及び比較例1〜7の電池の充放電初期の直流抵抗値を示す。
実施例1の電池、比較例5〜7の電池で用いた正極活物質のBET比表面積は、比較例1〜4の電池で用いた正極活物質のBET比表面積より低い値を示した。これは、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子内部における一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムの含有量が多いためであると推察される。実施例1及び比較例5〜7の場合、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子内部における一次粒子表面に付着した炭酸リチウムの含有量を多くするため、高Ni含有リチウム複合酸化物及び炭酸リチウムを含む固溶化物を合成した後、当該固溶化物に対して洗浄・ろ過を実施しなかった。その結果、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子内部における一次粒子表面に付着した炭酸リチウムの含有量は0.3質量%以上となった。このような正極活物質を用いた実施例1の電池、比較例5〜7の電池は、上記範囲を満たさない比較例1〜4の電池と比較して、低い直流抵抗値を示した。さらに、実施例1で用いた正極活物質は、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面にエルビウム化合物及びタングステン化合物が付着しており、このような正極活物質を用いた実施例の電池は、エルビウム化合物及びタングステン化合物の少なくともいずれか一方を含まない正極活物質を用いた比較例5〜7の電池と比較して、より低い直流抵抗値を示した。
<実施例2〜3>
実施例2〜3では、硫酸エルビウム塩水溶液の濃度および噴霧量を変更して、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面における水酸化エルビウムの含有量を変更した正極活物質を作製した。
実施例2の正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。実施例2の正極活物質のBET比表面積は、0.27m/gであり、圧縮強度は160MPaであった。測定方法は前述したとおりである。実施例2の正極活物質から、炭酸リチウム、エルビウム化合物、タングステン化合物の含有量を測定した。測定方法は上記の通りである。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.66質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.02質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
実施例3の正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にエルビウム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。実施例3の正極活物質のBET比表面積は、0.31m/gであり、圧縮強度は154MPaであった。測定方法は前述したとおりである。実施例3の正極活物質から、炭酸リチウム、エルビウム化合物、タングステン化合物の含有量を測定した。測定方法は上記の通りである。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.60質量%であった。また、エルビウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.30質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
<実施例4>
硫酸エルビウム塩水溶液の代わりに硫酸ネオジム塩水溶液を用いて高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面にネオジム化合物を付着させたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の正極活物質を作製した。得られた正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にネオジム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。実施例4の正極活物質のBET比表面積は、0.28m/gであり、圧縮強度は156MPaであった。測定方法は前述したとおりである。
実施例4の正極活物質から、炭酸リチウム、ネオジム化合物、タングステン化合物の含有量を測定した。測定方法は上記の通りである。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.63質量%であった。また、ネオジム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.085質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
<実施例5>
硫酸エルビウム塩水溶液の代わりに硫酸サマリウム塩水溶液を用いて、高Ni含有リチウム複合酸化物の二次粒子表面にサマリウム化合物を付着させたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の正極活物質を作製した。実施例5の正極活物質の表面をSEMにて観察し、EDSで元素マッピングを行ったところ、活物質二次粒子表面にサマリウム化合物およびタングステン化合物が付着していることが確認された。得られた正極活物質のBET比表面積は、0.29m/gであり、圧縮強度は158MPaであった。測定方法は前述したとおりである。
実施例5の正極活物質から、炭酸リチウム、サマリウム化合物、タングステン化合物の含有量を測定した。測定方法は上記の通りである。その結果、炭酸リチウムの含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物の総量に対して0.61質量%であった。また、サマリウム化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してエルビウム元素換算で0.09質量%であった。また、タングステン化合物の含有量は、高Ni含有リチウム複合酸化物中のLiを除く金属元素の総量に対してタングステン元素換算で0.28質量%であった。
実施例2〜5において、実施例1と同様に電池を作製し、上記充放電初期の直流抵抗を測定した。表2に、実施例1〜5で用いた正極活物質中の希土類種、希土類化合物の含有量、タングステン化合物の含有量、炭酸リチウムの含有量、実施例1〜5で用いた正極活物質のBET比表面積、及び実施例1〜5の電池の充放電初期の直流抵抗値を示す。
実施例1〜5の電池は、充放電初期の直流抵抗値において同等の性能を示した。すなわち、正極活物質の二次粒子に付着した希土類化合物を構成する希土類元素は、Nb、Sm及びErから選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
10 正極活物質
20 一次粒子
21 二次粒子
22 希土類化合物
23 タングステン化合物
24 炭酸リチウム

Claims (6)

  1. Niを含むリチウム複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子と、
    前記二次粒子の表面に付着した希土類化合物と、
    前記二次粒子の表面に付着したタングステン化合物と、
    前記二次粒子の内部における前記一次粒子の表面に付着した炭酸リチウムと、を含み、
    前記Niを含むリチウム複合酸化物中のNiの割合は、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して80モル%以上であり、
    前記炭酸リチウムの含有量は、前記Niを含むリチウム複合酸化物の総量に対して0.3質量%以上である、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記非水電解質二次電池用正極活物質の圧縮強度が110MPa以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記希土類化合物の含有量は、前記Niを含むリチウム複合酸化物中のリチウムを除く金属元素の総量に対して、希土類元素換算で0.02質量%以上0.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記非水電解質二次電池用正極活物質のBET比表面積が0.05m/g以上0.8m/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記希土類化合物を構成する希土類元素は、Nb、Sm及びErから選択される少なくとも1種の元素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を有する正極を備える、非水電解質二次電池。
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