JPWO2018016448A1 - モータモジュール、モータ制御装置、温度推定装置、および温度推定方法 - Google Patents

モータモジュール、モータ制御装置、温度推定装置、および温度推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
モータの負荷状態が変化した場合における巻線温度の推定誤差を低減する。
【解決手段】
温度推定装置は、モータのステータにおける巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す。前記処理は、電気抵抗と、ロータの回転制御に用いられる一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、巻線の仮の電気抵抗を計算し、仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算し、計算した抵抗差の積算値を、電気抵抗の初期値に加算することにより、今回の電気抵抗を推定する。負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される。

Description

本願は、電気モータにおけるステータ巻線の温度を推定する技術に関する。
ステータに複数の巻線を有する電気モータ(以下、単に「モータ」と称する。)の運転に伴ってステータ巻線から発生する熱は、モータを構成する材料の損傷および特性の変化を引き起こし得る。このため、モータの運転中にステータ巻線の温度(以下、「巻線温度」と称することがある。)を知ることは重要である。
ステータ巻線の温度は、種々の方法によって知ることができる。例えば、巻線の近傍に温度センサを配置し、当該温度センサを用いて巻線温度を直接測定する方法がある。温度センサには、例えば、熱電対または測温抵抗体(Resistive Temperature Device:RTD)などが用いられ得る。温度センサを用いる方法では、巻線の近傍に温度センサを配置することが困難な場合があり、また、コストの増加を招くという課題がある。
温度センサを用いずに、ステータ巻線の電気抵抗(以下、「巻線抵抗」と称することがある。)から巻線温度を推定することも可能である。巻線温度は、巻線抵抗の関数で表すことができるため、巻線抵抗から巻線温度を推定することができる。
巻線抵抗を求める方法には、大別して3つの方法がある。第1の方法は、測定器によって巻線抵抗を直接測定する方法である。しかし、巻線抵抗を直接測定するためには、モータを停止させる必要がある。このため、運転中に巻線温度を推定することができない。
第2の方法は、モータの運転中に、直流(DC)または交流(AC)の信号を注入し、当該信号から巻線抵抗を測定する方法である。第2の方法では、モータを制御するための信号に巻線抵抗を測定するための信号が混入する。このため、モータの動作を妨げる可能性がある。
第3の方法は、モータの電圧方程式などの関係式を利用して、モータの制御に用いられる各種のパラメータから、巻線温度を推定する方法である。第3の方法の例は、例えば特許文献1から3に開示されている。特許文献1から3の方法によれば、モータの運転中に巻線温度を推定することができると考えられる。
日本国公開公報第2012−130162号公報 日本国公開公報第2013−146155号公報 日本国公開公報第2014−230486号公報
本開示は、モータの負荷状態が変化した場合における巻線温度の推定誤差を低減できる新規な温度推定技術を提供する。
本開示の例示的な実施形態における巻線温度推定方法は、電気モータのステータにおける複数の巻線の温度を推定するための方法である。前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返すステップを含む。前記処理は、電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップと、計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップと、推定された前記電気抵抗に基づいて、前記巻線の温度を推定するステップと、を含む。前記電気抵抗を推定するステップにおいては、これまでに計算された前記抵抗差のうち、前記負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される。
上記の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体によって実現され得る。あるいは、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、および記録媒体の任意の組み合わせによっても実現され得る。
本開示の実施形態によれば、モータの負荷状態が変化した場合における巻線温度の推定誤差を低減することができる。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態1におけるモータモジュールの概略構成を示す図である。 図1Bは、実施形態1におけるコントローラ300の内部構成の例を模式的に示す図である。 図2は、実施形態1におけるMCU300のより具体的な構成例を示すブロック図である。 図3は、実施形態1におけるインバータ回路400の構成例を模式的に示す図である。 図4Aは、ある条件下での巻線抵抗Rwの時間変化の一例を示す図である。 図4Bは、ある条件下での巻線温度Twの時間変化の一例を示す図である。 図5は、温度推定器350による基本的な処理の例(比較例)を示すフローチャートである。 図6Aは、ロータの回転速度が一定で、トルクが時間的に変化する状況下での、巻線温度の測定値および推定値の時間変化の一例を示すグラフである。 図6Bは、トルクが一定で、ロータの回転速度が時間的に変動する状況下での、巻線温度の測定値および推定値の時間変化の一例を示すグラフである。 図7は、実施形態1における温度推定処理の基本的な流れを示すフローチャートである。 図8は、実施形態1の温度推定器350による処理の他の例を示すフローチャートである。 図9は、仮の巻線抵抗Rwの計算に用いられる一群のパラメータのそれぞれを時間的に平均化して使用する処理の例を示すフローチャートである。 図10は、実施形態1の他の変形例を示すフローチャートである。 図11Aは、負荷状態が変化する状況下で、図5に示す方法で巻線温度を推定した実験結果を示す図である。 図11Bは、負荷状態が変化する状況下で、図7に示す方法(差分法)で巻線温度を推定した実験結果を示す図である。 図12は、本開示の例示的な実施形態2における温度推定処理の例を示すフローチャートである。 図13は、実施形態2における効果を示すグラフである。 図14は、実施形態2におけるオフセット法と差分法とを組み合わせた処理の例を示すフローチャートである。 図15Aは、図12に示すオフセット法のみを用いて推定した巻線温度の時間変化の一例を示すグラフである。 図15Bは、図14に示すオフセット法および差分法を組み合わせて推定した巻線温度の時間変化の一例を示すグラフである。 図16は、実施形態2の変形例の処理を示すフローチャートである。 図17は、モータモジュールによって実行される制御の一例を示すフローチャートである。
以下、本開示の例示的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複する説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明においては、同一または類似する構成要素には、同一の参照符号を付している。
(実施形態1)
図1Aは、本開示の例示的な実施形態におけるモータモジュールの概略構成を示す図である。このモータモジュールは、モータ100と、モータ制御回路(モータ制御装置)200と、電流センサユニット500と、ロータ角度推定器600とを備える。
本実施形態におけるモータ100は、三相交流によって駆動される交流モータである。モータ100は、例えば、永久磁石同期モータであり得る。モータ100は、ロータ(回転子)とステータ(固定子)とを備える。モータ100が永久磁石同期モータ(ブラシレスDCモータと呼ばれることもある。)である場合、ロータは永久磁石を備え、ステータは複数の巻線(3相コイル)を備える。以下の説明では、主に、永久磁石がロータの内部に埋め込まれ、磁気的な突極性をもつIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)を想定する。しかし、モータ100はIPMSMに限定されない。
電流センサユニット500は、複数の巻線のそれぞれを流れる電流をモニタする1つまたは複数のセンサを含む。電流センサユニット500は、必ずしも三相の巻線のそれぞれの電流を直接測定する必要はない。例えば、三相の電流の和が常にゼロになる場合には、三相の電流のうちの二相の電流のみを測定できればよい。残りの一相の電流は計算によって求めることができる。このため、二相の電流のみを測定する場合であっても、各巻線を流れる電流をモニタすることができる。
ロータ角度推定器600は、モータ100におけるロータの角度位置を測定または計算によって求め、当該角度位置を示すロータ位置信号を生成する。ロータの「角度位置」とは、ロータの基準状態からの回転角度(電気角であり、単位は、度またはラジアン)を意味する。ロータ角度推定器600は、ある例では、ロータの角度位置を測定するセンサ(例えば、ホール素子、レゾルバ、またはロータリエンコーダ)によって実現され得る。ロータ角度推定器600は、センサに限らず、モータ制御回路200が実行するソフトウェアによっても実現され得る。本明細書において、ロータ角度推定器600によるロータ角度の「推定」には、ロータ角度を計算によって求めることに加えて、センサを用いて測定することも含まれる。
モータ制御回路200は、モータ100に接続されている。モータ制御回路200は、例えば公知のフィールドオリエンテッドコントロール(FOC)アルゴリズムなどの制御アルゴリズムに従ってステータにおける複数の巻線に電圧を印加することにより、ロータの回転を制御する。本実施形態におけるモータ制御回路200は、インバータ回路400と、コントローラ300とを備える。インバータ回路400は、コントローラ300からの指示に従い、モータ100のステータにおける複数の巻線に三相交流電圧を印加する。コントローラ300は、FOCアルゴリズムなどの制御アルゴリズムに従ってインバータ回路400を制御する。これにより、モータ100のステータにおける複数の巻線に所望の三相交流電圧が印加される。
コントローラ300は、モータ100のステータにおける複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器350を備える。ここで、「複数の巻線の電気抵抗」とは、複数の巻線のそれぞれの電気抵抗ではなく、複数の巻線の全体の電気抵抗を意味する。
図1Bは、コントローラ300の内部構成の例を模式的に示す図である。図1Bの例では、コントローラ300は、マイクロコントローラユニット(MCU)によって実現されている。ロータ角度推定器330および温度推定器350は、MCUが実行するソフトウェアによって実現され得る。すなわち、モータ制御回路200は、複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器350を備える。
以下、コントローラ300がMCUであるものとして説明する。コントローラ(MCU)300は、CPU(Central Processing Unit)360と、ROM(Read Only Memory)370と、RAM(Random Access Memory)380とを備える。
ROM370は、不揮発性メモリであり、モータ100を制御するための各種ソフトウェア(コンピュータプログラム)を格納する。RAM380は、揮発性メモリであり、CPU360がプログラムを実行する際に利用されるワークメモリである。RAM380は、CPU360が計算の過程で生成する各種のパラメータを格納する記憶媒体でもある。本実施形態において用いられるプログラムは、公知のフィールドオリエンテッドコントロール(FOC)アルゴリズムと、後述する温度推定アルゴリズムとを規定する。FOCは、ベクトル制御とも呼ばれ、永久磁石同期モータなどの三相交流モータを制御するために用いられる。
本実施形態では、温度推定器350は、MCU300が実行するソフトウェアによって実現されるが、同等の機能を有するハードウェア(回路)によって実現されてもよい。温度推定器350は、単独の装置としても構成され得る。その場合には、温度推定器350を「温度推定装置」と称する。温度推定器350による具体的な処理については後述する。ロータ角度推定器600についても、個別のハードウェア(センサまたは回路)によって実現されていてもよい。
図2は、本実施形態におけるMCU300のより具体的な構成例を示すブロック図である。本実施形態におけるMCU300は、FOCアルゴリズムに従ってモータ100を制御する。図2には、モータ100の制御に使用される複数の機能ブロックが示されている。特に、本実施形態におけるMCU300は、モータ100を制御しながら、モータ100の巻線抵抗および巻線温度を推定する。巻線抵抗および巻線温度の推定は、温度推定器350によって行われる。
MCU300は、ハードウェアとして、前述のCPU360、ROM370、およびRAM380の他に、A−Dコンバータ310と、PWMドライバ340とを備えている。図2に示されているMCU300の他の構成要素(機能ブロック)は、CPU360がROM370に格納されたソフトウェアを実行することによって実現される。本実施形態においてソフトウェアによって実現される構成要素の一部または全部が、ハードウェア(回路)によって実現されてもよい。逆に、本実施形態においてハードウェアによって実現される構成要素の一部または全部が、ソフトウェアによって実現されてもよい。PWMドライバ340およびA−Dコンバータ310は、MCU300の外部に設けられた回路であってもよい。
図3は、インバータ回路400の構成例を模式的に示す図である。本実施形態におけるインバータ回路400は、三相電圧形インバータの回路構成を備える。インバータ回路400は、6個のスイッチング素子Sa、Sa’、Sb、Sb’、Sc、Sc’を備えたブリッジ回路である。各スイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated−gate bipolar transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field−Effect Transistor)などのトランジスタによって実現され得る。各スイッチング素子のゲートは、MCU300におけるPWMドライバ340に接続されている。PWMドライバ340から出力される制御信号(PWMパルス信号)により、各スイッチング素子の導通(オン)/非導通(オフ)の状態が切り替えられる。MCU300は、各スイッチング素子の導通のタイミングを制御することにより、モータ100に三相交流を供給する。なお、本明細書では、3つの相を、相a、相b、相cと表現する。図3では、わかり易さのため、極対数を1として、モータ100における3つの相の巻線が3つのコイルとして模式的に示されている。しかし、これは例示にすぎない。実際のモータにおける各相の巻線の巻き方は多様であり、極対数も1に限らず、2以上であり得る。
再び図2を参照する。モータ100のステータにおける各相の巻線(コイル)を流れる電流は、電流センサユニット500によって検出される。電流センサユニット500は、例えば、各相の巻線に繋がるラインの近傍において、非接触で磁気的に電流を検出するホール素子を用いたセンサであり得る。他の例では、電流センサユニット500は、インバータ回路400の下側のスイッチング素子Sa’、Sb’、Sc’とグラウンド(GND)との間に接続された複数のシャント抵抗器を含むセンサであり得る。シャント抵抗器の電圧降下から各相の電流を求めることができる。なお、前述のように、電流センサユニット500は、三相の全ての電流を測定する必要はなく、このうちの少なくとも二相の電流を検出できればよい。電流センサユニット500は、検出した各相の電流値を示す信号をMCU300に送る。
MCU300におけるA−Dコンバータ310は、電流センサユニット500から受け取った各相の電流Ia、Ib、Icを示すアナログ信号を、デジタル信号に変換して出力する。Clarke変換モジュール320は、電流Ia、Ib、Icを座標変換(Clarke変換)して、α軸成分の電流Iαおよびβ軸成分の電流Iβを示す信号を出力する。ここで、α軸は相aの軸に一致し、β軸はα軸から電気角で90度位相が進んだ軸である。次に、Park変換モジュール322は、電流Iα、Iβを、モータ100のロータにおける永久磁石と共に回転する座標系で表した電流Id、Iqに変換する(Park変換)。周知のように、d軸はロータにおける永久磁石が作る磁束の主方向の軸であり、q軸はd軸から電気角で90度位相が進んだ軸である。
Park変換を行うためには、ロータの回転位置(電気角)の情報が必要である。ロータの回転位置の情報は、ロータ角度推定器600から得られる。本実施形態におけるロータ角度推定器600は、公知のセンサレス位置検出技術を用いて、ロータの回転位置(ロータ角度θe)を推定する。ロータ角度推定器600は、例えば、各相の巻線の誘起電圧に基づいて、ロータ角度θeを決定する。ロータ角度推定器600によって決定されたロータ角度θeを示す信号(ロータ位置信号)は、Park変換モジュール322およびロータ速度推定器331に送られる。ロータ速度推定器331は、ロータ角度θeの単位時間あたりの変化量から、ロータ速度を算出する。「ロータ速度」は、ロータの電気角速度ωe(単位はrad/s)を意味する。Park変換モジュール322は、ロータ位置信号に基づいて、電流Iα、Iβを、電流Id、Iqに変換する。このように、d軸電流Idおよびq軸電流Iqは、電流センサユニット500によってモニタされた複数の電流およびロータ角度推定器600が生成するロータ位置信号に基づいて計算される。
Park変換モジュール322によって計算されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqを示す信号は、d軸電流の指令値Id*およびq軸電流の指令値Iq*とそれぞれ比較される。そして、偏差(Id*−Id)および(Iq*−Iq)を示す信号が、PIコントローラ333に入力される。PIコントローラ333は、PI制御を行い、偏差(Id*−Id)および(Iq*−Iq)を示す信号から、偏差をなくすような電圧指令値Vd*、Vq*を決定する。ここで、電流指令値Id*、Iq*は、PIコントローラ332によって決定される。PIコントローラ333は、ロータ速度推定器331によって計算されたロータ速度ωeと速度指令値ωe*との偏差(ωe*−ωe)に基づいて、電流指令値Id*、Iq*を決定する。PIコントローラ332は、PI制御を行い、偏差(ωe*−ωe)をなくすような電流指令値Id*、Iq*を決定する。なお、PIコントローラ332、333は、PI制御に代えて、例えばPID制御またはP制御などの他の制御によって各指令値を決定してもよい。
PIコントローラ333によって電圧指令値Vd*、Vq*が決定されると、逆Park変換モジュール334は、電圧指令値Vd*、Vq*を、静止座標系における電圧指令値Vα*、Vβ*に変換する(逆Park変換)。次に、空間ベクトル(SV)ジェネレータ335は、電圧指令値Vα*、Vβ*に基づいて空間ベクトル変調を行うことにより、インバータ回路400における各スイッチング素子の1周期あたりの導通時間の比(オン時間比と称する。)を決定する。PWMドライバ340は、決定されたオン時間比に基づいて、インバータ回路400の各スイッチング素子のオン/オフを切り替えるための制御信号(PWMパルス信号)を出力する。
以上の一連の動作は、比較的短い周期(例えば、100マイクロ秒(μs)程度の周期)で繰り返し実行される。以上の制御により、ロータは、速度指令値ωe*にほぼ一致する回転速度で回転することができる。なお、図2に示す構成は、あくまでも一例であり、本開示の技術は図2の構成に限定されない。例えば、空間ベクトル変調に代えて三角波比較法などの他の方法によってインバータ回路400の制御信号を生成してもよい。
本実施形態におけるMCU300は、さらに、巻線温度を推定する温度推定器350を備えている。温度推定器350は、巻線抵抗推定モジュール352と、巻線温度推定モジュール354とを備えている。巻線抵抗推定モジュール352は、後述するように、モータ100の制御に用いられる一群のパラメータと、巻線抵抗との間の関係を規定する式に基づいて、巻線抵抗を推定する。巻線温度推定モジュール354は、巻線抵抗と巻線温度との関係に基づいて、巻線抵抗から巻線温度を推定する。
図4Aおよび図4Bは、ステータにおける巻線抵抗Rwと巻線温度Twとの関係の一例を示している。図4Aは、ある条件下での巻線抵抗Rwの時間変化の一例を示す図である。図4Bは、同じ条件下での巻線温度Twの時間変化の一例を示す図である。巻線抵抗Rwと、巻線温度Twとの間には、近似的に以下の式(1)に示される関係がある。
Figure 2018016448
ここで、T0は基準温度(例えば室温)を表し、R0は基準温度における巻線抵抗を表している。αは、巻線の材料に依存する定数であり、巻線の材料が例えば銅の場合、0.004041/Kである。本実施形態における巻線温度推定モジュール354は、式(1)を用いて、推定された巻線抵抗Rwから、巻線温度Twを計算する。
次に、温度推定器350による巻線抵抗を推定する処理の例を説明する。本実施形態における温度推定器350は、巻線抵抗を推定するために、モータ100の制御に用いられる一群のパラメータと、巻線抵抗との間の関係を規定する式を用いる。一群のパラメータは、電圧、電流、およびロータ速度(電気角速度)を示すパラメータを含む。モータの制御に用いられる一群のパラメータと、巻線抵抗との間の関係を規定する式は、例えば、以下の式(2)であり得る。例えば、温度推定器350は、以下の式(2)に基づいて各回の仮の電気抵抗を推定する。
Figure 2018016448
ここで、Rwは巻線の電気抵抗、Vqはq軸電圧、ωeはロータの電気角速度、Idはd軸電流、Iqはq軸電流、Ldは複数の巻線のd軸インダクタンス、Ψeはロータにおける永久磁石が作る磁束による巻線における磁束鎖交数である。
式(2)は、永久磁石同期モータにおける以下の電圧方程式(3)において、時間微分の項を無視した式である。
Figure 2018016448
式(3)において、記号「p」は、時間微分を表す。定常状態においては、pLd=0およびpLq=0と考えることができるため、式(2)が成立する。
式(2)を変形すると、以下の2つの式(4)、(5)が得られる。
Figure 2018016448
Figure 2018016448
ここで、磁束鎖交数ΨeおよびインダクタンスLd、Lqは、事前の測定またはモータの仕様から得られる既知の値である。本実施形態では、処理を簡単にするため、磁束鎖交数ΨeおよびインダクタンスLd、Lqの時間変化および温度依存性は無視する。式(4)、(5)から、パラメータVd、ωe、Id、Iqの組、または、パラメータVq、ωe、Id、Iqの組が得られれば、巻線抵抗Rwを推定できることがわかる。実際の計算では、式(4)および式(5)の一方を用いて、巻線抵抗Rwが計算され得る。d軸電流Idは、0に近い値に設定されることが多いため、典型的には、式(5)が用いられる。
式(5)を用いる場合、使用される一群のパラメータは、Vq、Id、Iq、ωeの組である。式(5)の第3項は、モータの逆起電力定数Keおよび機械角速度ω(=P×ωe、Pは極対数)を用いて、「−Ke×ω」と表すことができる。よって、式(5)を用いる場合、温度推定器350は、「−Ψe×ωe」の代わりに、「−Ke×ω」を計算してRwを求めてもよい。「−Ke×ω」の計算が行われる場合、一群のパラメータには、ロータの機械角速度ωも含まれる。機械角速度ωは、ロータ角度推定器600によって推定され得る。定数Keは、事前の測定またはモータの仕様から得られる既知の値である。一方、式(4)を用いる場合、使用される一群のパラメータは、Vd、Id、Iq、ωeの組である。
パラメータVd、Vqには、FOCアルゴリズムに従ってMCU300が決定した電圧指令値Vd*、Vq*が用いられ得る。パラメータId、Iqは、Park変換モジュール322によって計算された電流Id、Iqである。パラメータωeは、ロータ速度推定器331によって計算された電気角速度ωeである。これらの一群のパラメータは、生成される度に、RAM380に格納され得る。温度推定器350は、巻線抵抗の推定の際、必要なパラメータを、RAM380から取得して利用する。
以下、本実施形態における温度推定器350による処理の具体例を説明する。以下の説明では、主に式(5)を用いて巻線抵抗を推定する場合を想定する。ただし、使用される式は式(5)に限らず、式(4)などの他の式であってもよい。
図5は、温度推定器350による基本的な処理の例(比較例)を示すフローチャートである。温度推定器350は、ステップS110において、パラメータVq、Id、Iq、ωeをRAM380から取得する。ステップS120において、式(5)に基づいて、巻線抵抗Rwを算出する。ステップS130において、式(1)に基づいて、巻線温度Twを算出する。その後、ステップS140において、所定の時間(例えば1秒)が経過するまで待機し、当該時間が経過した場合、ステップS110に戻る。このように、温度推定器350は、所定時間ごとに、巻線抵抗Rwおよび巻線温度Twの算出(推定)を繰り返す。
図5に示す処理によれば、比較的簡単な計算によって巻線温度Twを推定することができる。モータ100の負荷状態が変化しない定常状態においては、図5に示す処理によって高い正確度で巻線温度を推定することができる。
しかし、本発明者らの検討によれば、図5に示す処理では、モータ100の負荷状態が変化した場合に誤差が大きくなるため、対策が必要であることが判明した。ここで、「負荷状態」とは、ロータの回転速度およびトルクの組み合わせによって定まる動作状態を意味する。トルクは、d軸電流およびq軸電流の組み合わせによって決まる。このため、「負荷状態」は、ロータの回転速度と、d軸電流およびq軸電流との組み合わせによって定まる動作状態であるともいえる。以下、負荷状態が変化することによって温度推定の誤差が大きくなる課題を、図6Aおよび図6Bを参照しながら説明する。
図6Aは、ロータの回転速度が一定で、トルクが時間的に変化する状況下での、巻線温度の測定値および推定値の時間変化の一例を示している。図6Bは、トルクが一定で、ロータの回転速度が時間的に変動する状況下での、巻線温度の測定値および推定値の時間変化の一例を示している。ここで、測定値は、温度センサを用いて測定した巻線の温度である。推定値は、図5に示す方法によって計算した温度である。図6Aおよび図6Bに示されるように、負荷状態が変化した場合、式(5)を用いて計算した巻線抵抗Rwから推定した巻線温度は、実際の温度から大きく乖離する。このような乖離が生じる主な理由は、負荷状態の変化に伴い、モータ100の制御パラメータが大きく変化し、式(5)のように時間微分項を無視した式では誤差が大きくなるからであると考えられる。
そこで、本実施形態では、図5の方法に代わる新たな温度推定方法が適用される。本実施形態における温度推定器350は、複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理(サイクル)を繰り返す。各回の処理は、以下の(1)から(4)の工程(ステップ)を含む。
(1)複数の巻線の電気抵抗と、ロータの回転の制御に用いられる一群のパラメータ(電圧Vq、電流Id、Iq、およびロータ速度ωeを含む)との間の関係を規定する式に基づいて、複数の巻線の仮の電気抵抗Rwを計算する。
(2)仮の電気抵抗Rwと前回推定した電気抵抗との差(抵抗差)を計算する。
(3)計算された抵抗差の積算値を、推定された電気抵抗の初期値に加算することにより、電気抵抗を推定する。ここで、計算された抵抗差のうち、閾値を超える抵抗差は、前記積算値から除外される。
(4)推定された電気抵抗に基づいて、複数の巻線の温度を推定する。
以下、この温度推定方法の詳細を説明する。
図7は、本実施形態における温度推定処理の基本的な流れを示すフローチャートである。本実施形態における温度推定器350は、以下の処理を繰り返し実行することにより、所定の時間(例えば1秒)ごとに巻線温度を推定する。すなわち、温度推定器350の処理は、以下に説明する各ステップを含む。
ステップS210:温度推定器350は、RAM380から、パラメータVq、Id、Iq、およびωeを取得する。パラメータVqは、図2に示す電圧指令値Vq*と同一である。各パラメータは、その時点での値であってもよいが、例えば前回の温度推定時から今回の温度推定までの間に計算された各パラメータの値を平均化した値であってもよい。平均化を行うことにより、計算結果に含まれるノイズを低減できる。平均化を行う場合の処理の例については、後述する。
ステップS220:温度推定器350は、式(5)に基づいて、仮の巻線抵抗Rwを計算する。温度推定器350は、式(5)に代えて、式(4)などの他の式を用いてもよい。
ステップS230:温度推定器350は、今回計算したRwと、前回決定(推定)したRwとの間の差ΔRw(抵抗差)を計算する。ここで、前回推定したRwは、式(5)に基づいて計算した値であるとは限らず、前回の処理において、最終的に決定した巻線抵抗Rwの推定値である。
ステップS240:温度推定器350は、抵抗差ΔRwが、予め設定された閾値を超えるか否かを判断する。ΔRwが当該閾値を超える場合、ステップS250に進む。ΔRwが当該閾値を超えない場合、ステップS260に進む。
ステップS250:温度推定器350は、ΔRwを0に設定して、ステップS260に進む。
ステップS260:温度推定器350は、これまでの抵抗差ΔRwの積算値ΣΔRwを初期値Rw0に加算した値(Rw0+ΣΔRw)を、今回のRwとして決定する。初期値Rw0は、例えば初回の処理時に、式(5)に基づいて計算したRwであり得る。Rw0+ΣΔRwの演算によって計算したRwが、今回の巻線抵抗の推定値として処理される。
ステップS270:温度推定器350は、式(1)に基づき、ステップS260において推定したRwから巻線温度Twを算出(推定)する。
ステップS280:温度推定器350は、所定時間が経過するまで待機し、所定時間が経過した後、ステップS210に戻る。
本実施形態の処理は、式(5)に基づいて計算されるRwをそのまま巻線抵抗の推定値とするのではない点で、図5に示す処理とは異なっている。本実施形態では、前回推定されたRwと今回計算したRwとの差ΔRwを、前回推定されたRwに加算した値が、巻線抵抗の推定値となる。ただし、抵抗差ΔRwがある閾値を超える場合には、ΔRw=0として処理される。すなわち、ΔRwが閾値を超える場合、そのΔRwは無視される。その結果、前回推定されたRwと同じ値が、今回の巻線抵抗の推定値として処理される。そのように処理される理由は、ΔRwが大きい場合、負荷状態が急に変化した可能性が高く、式(5)に基づいて計算されたRwの値の信頼性が低いと考えられるからである。このような処理により、温度推定器350は、負荷状態の変動の影響を抑制して、より正確に温度を推定できる。本実施形態のように、ΔRwを積算することによって巻線の電気抵抗を求める方法を、本明細書では差分法(Differential Method)と称することがある。
図7に示す例では、MCU300は、負荷状態の変化を、ΔRwと閾値との比較結果に基づいて検出している。しかし、MCU300は、負荷状態の変化を、他の方法によって検出してもよい。例えば、MCU300は、電流およびロータ速度のような、負荷状態を決める少なくとも1つのパラメータの時間変化に基づいて、負荷状態の変化を検出してもよい。負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差ΔRwは、積算値から除外される。一例として、温度推定器350の処理が、ΔRwに加えて、q軸電流Iqまたはロータ速度ωeの現在の値と前回の値との差が閾値を超えるときに計算された抵抗差を、積算値からさらに除外する処理を含む例を説明する。
図8は、本実施形態の温度推定器350による処理の他の例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートと比べて、ステップS230およびS240が、それぞれステップS230’およびS240’に置き換わった点のみが異なる。温度推定器350は、ステップS230’において、Rw、Iq、ωeのそれぞれについて、今回の値と前回の値との差ΔRw、ΔIq、Δωeを算出する。そして、ステップS240’において、温度推定器350は、ΔRw、ΔIq、Δωeの少なくとも1つが、それぞれの閾値を超えるか否かを判定する。ΔRw、ΔIq、Δωeの少なくとも1つが、それぞれの閾値を超える場合には、ステップS250において、温度推定器350は、ΔRwを0に設定してステップS260に進む。温度推定器350は、ΔRw、ΔIq、Δωeの全てが、それぞれの閾値を超えない場合には、ステップS260に進む。以後の動作は、図7に示す動作と同じである。
図8に示される例では、ΔRwだけでなく、ΔIqおよびΔωeの大きさも考慮して、負荷状態の変化が検出される。このため、ΔRwが閾値を下回っていたとしても、ΔIqまたはΔωeが大きい場合には、そのΔRwは前回の抵抗の推定値に加算されない。このような動作により、温度推定の正確度がさらに向上する。
上記の例に限定されず、温度推定器350は、仮の巻線抵抗Rwを計算するために使用される一群のパラメータの少なくとも1つに基づいて負荷状態の変化を検出することができる。温度推定器350は、負荷状態の変化を検出した場合には、抵抗差ΔRwを積算値から除外することにより、誤差を抑制することができる。
次に、本実施形態による差分法の変形例を説明する。
図9は、仮の巻線抵抗Rwの計算に用いられる一群のパラメータのそれぞれを時間的に平均化して使用する処理の例を示すフローチャートである。ここで、巻線温度が推定される周期を第1の周期T1、一群のパラメータが計算される周期を第2の周期T2とする。第1の周期T1は、第2の周期T2よりも長い。温度推定器350は、第1の周期にわたって各パラメータの平均値を求め、各パラメータの平均値を用いて、仮の電気抵抗Rwを計算する。第2の周期T2は、本実施形態においては、FOCアルゴリズムに従って各パラメータが計算される周期であり、例えば100マイクロ秒程度の短い時間であり得る。これに対し、第1の周期T1は、例えば第2の周期T2の10000倍程度(1秒程度)であり得る。巻線温度は時間的にそれほど急には変化しないため、計算量を抑えるために、各パラメータの計算周期よりも低い頻度で計算され得る。第1の周期T1は、例えば、10ミリ秒から5秒程度に設定され得る。第2の周期T2は、例えば、20マイクロ秒から500マイクロ秒程度に設定され得る。ただし、周期T1およびT2は、これらの数値範囲に限定されない。
図9に示す例では、第2の周期T2で計算された各パラメータの値は、計算の都度、RAM380に記録される。本変形例における各回の温度推定処理は、図9に示されるステップS310〜S390を含む。まず、温度推定器350は、RAM380から第2の周期T2ごとに記録されたパラメータVq、Id、Iq、ωeの値を取得する(ステップS310)。第1の周期T1が第2の周期T2の10000倍である場合、各パラメータの値の数は10000個である。温度推定器350は、各パラメータの平均値を算出する(ステップS320)。例えば、温度推定器350は、各パラメータが10000回計算される毎に温度推定を1回行う場合には、各パラメータの10000回分の値を平均化する。温度推定器350は、各パラメータの平均値を用いて、式(5)に基づき、仮の巻線抵抗Rwを算出する(ステップS330)。以降のステップS340からS390は、それぞれ、図7に示すステップS230からS280と同様である。なお、図9のステップS390における「第1の周期T1」は、図7のステップS280における「所定時間」と同じである。
図9に示す例では、各パラメータを第1の周期にわたって平均化した値を用いて仮の巻線抵抗Rwが計算される。これにより、ノイズを低減し、信号雑音比(SN比)を向上させることができる。
図9に示す例では、図7に示す例と同様に、ステップS340およびS350において、ΔRwの大きさに基づいて負荷状態の変化が検出される。この例に限定されず、例えば図8に示す例のように、ΔRw、ΔIq、Δωeの少なくとも1つの大きさに基づいて負荷状態の変化を検出してもよい。
図10は、本実施形態の他の変形例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、ステップS220の後にステップS410およびS420が追加されている点で、図7に示す処理と異なる。それ以外の点は、図7に示す処理と同じである。図10の例では、温度推定器350は、巻線の電気抵抗を推定する各回の処理において、一群のパラメータに基づいて、負荷状態が基準の状態に類似しているか否かを決定する。温度推定器350は、負荷状態が当該基準の状態に類似しているとき、計算した仮の巻線抵抗Rwを、今回の巻線抵抗Rwとして決定(推定)する。さらに、温度推定器350は、巻線抵抗の初期値Rw0を、今回の仮の電気抵抗Rwの値で更新する。この更新動作を、本明細書では、「リセット」と称する。
より具体的には、温度推定器350は、負荷状態が基準の状態に類似しているか否かを、トルクTおよびロータ速度ωeの値に基づいて判断する。トルクTに代えて、例えばq軸電流Iqの値などの他のパラメータに基づいて判断してもよい。図10の例において、温度推定器350は、トルクTが参照値Trefに一致し、ロータ速度ωeが参照値ωrefに一致しているかを判断する(ステップS410)。ここで「一致」とは、差分が十分に小さいことを意味する。例えば差分がある閾値よりも小さければ、一致(または類似)していると判断される。温度推定器350は、トルクTおよびロータ速度ωeがそれぞれの参照値に類似していると判断した場合、計算した仮の巻線抵抗Rwを、今回の巻線抵抗として決定する。さらに、温度推定器350は、仮の巻線抵抗の値で初期値Rw0を更新する(ステップS420)。以後の処理では、更新された初期値Rw0を用いて、巻線抵抗および巻線温度が推定される。
以上のように、本変形例では、巻線の電気抵抗を推定するステップは、一群のパラメータに基づいて、負荷状態が基準の状態に類似しているか否かを決定するステップS410と、負荷状態が基準の状態に類似しているとき、計算された仮の電気抵抗を、今回の電気抵抗の推定値とし、電気抵抗の初期値を、仮の電気抵抗の値で更新するステップS420とを含む。
本実施形態における差分法では、毎回の処理において、巻線抵抗の初期値Rw0に抵抗差ΔRwが加算されていくため、誤差が蓄積され易い。このため、図10に示す例のように、負荷状態が基準の状態に類似しているときには、そのときの抵抗Rwの値で初期値をリセットすることが有効である。リセット動作により、ノイズの蓄積を抑制し、温度推定をさらに正確に行うことができる。なお、図10に示すリセット動作は、図7に示す動作に限らず、図8または図9などの他の動作と組み合わせてもよい。
次に、図11Aおよび図11Bを参照しながら、本実施形態の効果を説明する。
図11Aは、負荷状態が変化する状況下で、図5に示す方法(比較例)で巻線温度を推定した実験結果を示す図である。図11Bは、同じ状況下で、図7に示す方法(差分法)で巻線温度を推定した実験結果を示す図である。図11Aおよび図11Bには、温度センサを用いて巻線温度を測定した結果も示されている。本実験では、モータのトルク(単位:mNm)および単位時間当たりの回転数(単位:RPM)、並びにモータを冷却するファンのON/OFFを変化させながら、巻線温度を図5および図7の各方法で推定し、かつ、温度センサで測定した。図11Aからわかるように、図5に示す比較例の方法では、モータの負荷状態(トルクまたは回転速度)が変化すると、温度の推定値が測定値から大きく乖離する。これに対して、図7に示す差分法を用いた場合には、図11Bに示すように、測定値からの乖離が抑制されている。この結果から、本実施形態における差分法の有効性が確認できた。
以上のように、本実施形態におけるモータのステータにおける複数の巻線の温度を推定する方法は、複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返すステップを含む。当該処理は、以下の(1)から(5)のステップを含む。
(1)電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップ。
(2)仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップ。
(3)一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップ。
(4)計算された抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、電気抵抗を推定するステップ。
ここで、計算された抵抗差のうち、負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、積算値から除外される。
(5)推定された電気抵抗に基づいて、複数の巻線の温度を推定するステップ。
以上の処理により、モータの負荷状態が変化した場合であっても、高い正確度でステータ巻線の温度を推定することができる。
(実施形態2) 次に、本開示の第2の実施形態を説明する。本実施形態におけるモータモジュールの構成は、実施形態1における構成と同様である。本実施形態では、巻線抵抗を推定する際に使用されるアルゴリズムが実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と異なる点を説明する。
本実施形態における温度推定器350は、各回の処理において、以下の式に基づいて、ステータにおける複数の巻線の電気抵抗を推定する。
Figure 2018016448
ここで、f(Iq,ωe)は、Iqおよびωeの関数である。
本実施形態では、実施形態1における差分法に代えて、または差分法に加えて、式(6)を用いて巻線抵抗が算出される。式(6)の右辺には、式(5)の右辺にはないオフセット項f(Iq,ωe)が追加されている。q軸電流Iqおよび電気角速度ωeに依存するこのオフセット項を導入することにより、負荷状態の変動による誤差を抑制することができる。本明細書では、本実施形態のようにオフセット項を導入した式を用いて巻線抵抗を推定する方法を、オフセット法(Offset Method)と称することがある。
本発明者らの検討によれば、オフセット項f(Iq,ωe)は、α(ωe−ω0)のように表すことができる。ここで、αは、Iqおよびωeに依存するパラメータであり、ω0は、基準状態(例えば室温の状態)におけるロータの電気角速度である。パラメータαを適切に設定することにより、負荷の変動の影響を抑制することができる。
パラメータαは、より詳細には、以下の式(7)から決定される。
Figure 2018016448
ここで、C1、C2、C3、k1、k2、k3、k4は、実験などによって決定される定数である。これらの定数を適切な値に設定することにより、オフセット項の正確度を高めることができる。
図12は、本実施形態における温度推定処理の例を示すフローチャートである。本実施形態における温度推定処理は、図12に示されるステップS610〜S640の処理を含む。温度推定器350は、ステップS610において、パラメータVq、Id、Iq、ωeをRAM380から取得する。温度推定器350は、ステップS620において、式(6)に基づいて、巻線抵抗Rwを算出する(ステップS620)。温度推定器350は、ステップS630において、実施形態1と同様に、式(1)に基づいて、巻線温度Twを算出する。温度推定器350は、ステップS640において、所定時間(前述の第1の周期に相当)が経過するまで待機し、当該時間の経過後、再びステップS610を実行する。以上の処理により、負荷状態が変化した場合でも、温度推定をより正確に行うことができる。
図13は、本実施形態における効果を示すグラフである。図13は、巻線温度の推定値および測定値の時間変化の一例を示している。推定値は、図12に示す方法で推定した巻線温度の値であり、測定値は、温度センサで測定した温度である。図13からわかるように、誤差が概ね15%以内に収まっている。図11Aの結果と比較すれば、本実施形態のけるオフセット法により、誤差を大幅に低減できることがわかる。
このように、オフセット法によれば、巻線抵抗および巻線温度の推定の誤差を低減することができる。しかし、図13に示すように、負荷状態が変化する瞬間では、誤差が大きくなる。この誤差を抑制するためには、実施形態1で説明した差分法を利用すればよい。
図14は、オフセット法と差分法とを組み合わせた例を示すフローチャートである。図14の処理は、ステップS720を除き、図7に示す処理と同じである。図7におけるステップS220が、ステップS720に置換されている。ステップS720において、温度推定器350は、式(5)ではなく式(6)に基づいて、仮の巻線抵抗Rwを算出する。図14に示される処理により、実施形態1における差分法の効果に加えて、本実施形態におけるオフセット法の効果を得ることができる。その結果、誤差をさらに低減することができる。
図15Aおよび図15Bは、図14に示す温度推定方法の効果を示している。図15Aは、図12に示すオフセット法のみを用いて推定した巻線温度の時間変化の一例を示している。図15Bは、図14に示すオフセット法および差分法を組み合わせて推定した巻線温度の時間変化の一例を示している。オフセット法と差分法とを組み合わせることにより、負荷状態が変化した瞬間の誤差が大きく低減されることが確認された。
次に、本実施形態の変形例を説明する。本実施形態においても、実施形態1について説明した全ての変形例を適用できる。例えば、図8〜10を参照しながら説明した変形例は、本実施形態においても適用できる。一例として、図8〜10に示す変形例を組み合わせた例を説明する。
図16は、本実施形態の変形例を示すフローチャートである。本変形例における温度推定処理は、図16に示されるステップS810からS910の処理を含む。ステップS810およびS820は、それぞれ、図9に示すステップS310およびS320と同じである。温度推定器350は、第2の周期T2ごとに記録された各パラメータ(Vq、Id、Iq、ωe)をRAM380から取得し、各パラメータの平均値を算出する。ステップS830において、温度推定器350は、各パラメータの平均値を用いて、式(6)から仮の巻線抵抗Rwを算出する。ステップS840において、温度推定器350は、負荷状態が基準の状態に類似するか否かを、トルクTと参照値Trefとの比較、およびロータ速度ωeと参照値ωerefとの比較によって判断する。温度推定器350は、負荷状態が基準の状態に類似する場合、ステップS850に進み、仮の巻線抵抗Rwを今回のRwとして決定し、今回のRwで初期値Rw0を更新する。温度推定器350は、ステップS850の後、ステップS900に進む。負荷状態が基準の状態に類似しない場合、温度推定器350は、ステップS860、S870、S880、S890、S900、S910の動作を実行する。ステップS860、S870、S880、S890、S900、S910の動作は、図8に示すステップS230’、S240’、S250、S260、S270、S280の動作と同様であるため、説明を省略する。
図16に示す動作によれば、オフセット法および差分法による効果に加え、パラメータの平均化、リセット動作、および複数のパラメータの時間変化に基づく負荷状態の変化の検出の効果が得られる。このため、MCU300は、巻線温度をさらに正確に推定することができる。
次に、推定した巻線温度Twを利用した制御の例を説明する。
図17は、モータモジュールによって実行される制御方法の一例を示すフローチャートである。当該制御方法は、図17に示すステップS960からS990の処理を含む。ステップS960において、モータ制御回路200は、FOCアルゴリズムに従ってモータ100を制御する。この制御の具体例は、図2を参照しながら説明したとおりである。ステップS970において、温度推定器350は、上述したいずれかの方法で、ステータ巻線の温度Twを推定する処理を行う。モータ制御回路200におけるMCU300は、ステップS980において、推定した温度Twが閾値Tthを超えているか否かを判断する。MCU300は、温度Twが閾値Tthを超えている場合には、ステップS990に進み、モータ100のロータ速度を減少させる。例えば、MCU300は、モータ100を完全に停止させるか、ロータ速度をより低い値に設定する。より具体的には、MCU300は、インバータ回路400における複数のスイッチング素子に供給する制御信号を調整してモータ100のロータ速度を減少させる。MCU300は、推定した温度Twが閾値Tth以下である場合は、ステップS960に戻る。閾値Tthは、例えば、モータ100の仕様上、許容できる最大の温度に設定され得る。
以上の動作により、高温時にはモータ100が停止または減速されるため、システムの信頼性を向上させることができる。
本開示の実施形態によれば、温度センサを用いることなく、ステータ巻線の温度を高い正確度で推定する温度センサレスモータモジュールを実現できる。このため、温度センサを搭載することが困難な用途においても、好適に利用できる。本開示の実施形態におけるモータモジュールは、例えば、UAV(Unmanned Aerial Vehicle、所謂ドローン)、無人搬送車(AGV)、もしくはロボットといった移動体、または、軸流ファンなどの任意の電動機器に好適に利用され得る。温度センサを用いることなく温度を正確に推定できるため、例えばMCUなどの制御回路単独で、推定した温度に応じたインテリジェントな制御を行うことが可能である。一例として、制御回路が、通信によって外部のサーバコンピュータに機器の温度情報を送信し、サーバコンピュータが当該温度情報を蓄積して種々の目的に活用する、といった用途も可能である。
本開示の技術は、例えば永久磁石同期モータなどの交流モータにおけるステータ巻線の温度を推定する用途に適用できる。
100・・・電気モータ、200・・・モータ制御回路(モータ制御装置)、300・・・コントローラ(MCU)、310・・・A−Dコンバータ、
320・・・Clarke変換モジュール、322・・・Park変換モジュール、331・・・ロータ速度推定器、332・・・PIコントローラ(電流指令値決定)、333・・・PIコントローラ(電圧指令値決定)、334・・・逆Park変換モジュール、335・・・SVジェネレータ、340・・・PWMドライバ、350・・・温度推定器(温度推定装置)、352・・・巻線抵抗推定モジュール、354・・・巻線温度推定モジュール、360・・・CPU、370・・・ROM、380・・・RAM、400・・・インバータ回路、500・・・電流センサユニット、600・・・ロータ角度推定器

Claims (18)

  1. ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有する、電気モータと、
    前記複数の巻線のそれぞれを流れる電流をモニタする電流センサユニットと、
    前記ロータの角度位置を示すロータ位置信号を生成するロータ角度推定器と、
    前記電気モータに接続され、前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御するモータ制御回路と、を備え、
    前記モータ制御回路は、前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器を備え、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、閾値を超える抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、モータモジュール。
  2. 計算された前記抵抗差のうち、電流またはロータ速度の現在の値と前回の値との差が閾値を超えるときに計算された前記抵抗差は、前記積算値からさらに除外される、請求項1に記載のモータモジュール。
  3. 前記電気モータは、永久磁石同期モータであり、
    前記モータ制御回路は、フィールドオリエンテッドコントロールアルゴリズムに従って前記複数の巻線に電圧を印加することにより、前記ロータの回転を制御する、請求項1または2に記載のモータモジュール。
  4. 前記温度推定器は、
    Rwを前記仮の電気抵抗、Vqをq軸電圧、ωeを前記ロータの電気角速度、Idをd軸電流、Iqをq軸電流、Ldを前記複数の巻線のd軸インダクタンス、Ψeを前記ロータからの磁束による前記複数の巻線における磁束鎖交数として、以下の式
    Figure 2018016448
    に基づいて、各回の前記仮の電気抵抗を推定する、請求項3に記載のモータモジュール。
  5. 前記温度推定器は、
    Rwを前記仮の電気抵抗、Vqをq軸電圧、ωeを前記ロータの電気角速度、Idをd軸電流、Iqをq軸電流、Ldを前記複数の巻線のd軸インダクタンス、Ψeを前記ロータからの磁束による前記複数の巻線における磁束鎖交数、f(Iq,ωe)をIqおよびωeの関数として、以下の式
    Figure 2018016448
    に基づいて、各回の前記仮の電気抵抗を推定する、請求項3に記載のモータモジュール。
  6. 前記温度推定器は、αをIqおよびωeに依存するパラメータ、ω0を基準状態におけるロータの電気角速度として、以下の式
    Figure 2018016448
    に基づいて、各回の前記仮の電気抵抗を推定する、請求項5に記載のモータモジュール。
  7. Vqは、前記制御回路によって決定された電圧指令値であり、
    IdおよびIqは、前記電流センサユニットによってモニタされた複数の電流および前記ロータ位置信号に基づいて計算される、請求項4から6のいずれかに記載のモータモジュール。
  8. 前記温度推定器は、推定された前記電気抵抗の前記初期値を、前記式に基づいて決定する、請求項1から7のいずれかに記載のモータモジュール。
  9. 前記モータ制御回路は、推定された前記温度が閾値を超えているとき、前記ロータ速度を減少させる、請求項1から8のいずれかに記載のモータモジュール。
  10. 前記電気抵抗を推定するステップは、
    前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態が基準の状態に類似しているか否かを決定するステップと、
    前記負荷状態が前記基準の状態に類似しているとき、計算された前記仮の電気抵抗を、前記電気抵抗として推定し、推定された前記電気抵抗の初期値を、前記仮の電気抵抗の値で更新するステップと、を含む、請求項1から9のいずれかに記載のモータモジュール。
  11. 前記温度推定器は、
    第1の周期で前記処理を繰り返し、前記第1の周期は、前記一群のパラメータが計算される第2の周期よりも長く、
    前記第1の周期にわたって各パラメータの平均値を求め、
    各パラメータの前記平均値を用いて、前記仮の電気抵抗を計算する、請求項1から10のいずれかに記載のモータモジュール。
  12. 電気モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記電気モータは、ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有し、
    前記モータ制御装置は、
    前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御し、
    前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器を備え、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、閾値を超える抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、モータ制御装置。
  13. 電気モータを制御するモータ制御装置において用いられる温度推定装置であって、
    前記電気モータは、ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有し、
    前記モータ制御装置は、前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御し、
    前記温度推定装置は、前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返し、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、閾値を超える抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、温度推定装置。
  14. 電気モータのステータにおける複数の巻線の温度を推定する方法であって、
    前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返すステップを含み、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、閾値を超える抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、方法。
  15. ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有する、電気モータと、
    前記複数の巻線のそれぞれを流れる電流をモニタする電流センサユニットと、
    前記ロータの角度位置を示すロータ位置信号を生成するロータ角度推定器と、
    前記電気モータに接続され、前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御するモータ制御回路と、を備え、
    前記モータ制御回路は、前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器を備え、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、前記負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、モータモジュール。
  16. 電気モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記電気モータは、ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有し、
    前記モータ制御装置は、
    前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御し、
    前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返す温度推定器を備え、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、前記負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、モータ制御装置。
  17. 電気モータを制御するモータ制御装置において用いられる温度推定装置であって、
    前記電気モータは、ロータおよびステータを有し、前記ステータは複数の巻線を有し、
    前記モータ制御装置は、前記複数の巻線に電圧を印加することによって前記ロータの回転を制御し、
    前記温度推定装置は、前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返し、
    前記処理は、
    電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、前記負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、温度推定装置。
  18. 電気モータのステータにおける複数の巻線の温度を推定する方法であって、
    前記複数の巻線の電気抵抗および温度を推定する処理を繰り返すステップを含み、 前記処理は、 電気抵抗と、前記ロータの回転の制御に用いられる、電圧、電流、およびロータ速度を含む一群のパラメータとの間の関係を規定する式に基づいて、前記複数の巻線の仮の電気抵抗を計算するステップと、
    前記仮の電気抵抗と前回推定した電気抵抗との抵抗差を計算するステップと、
    前記一群のパラメータに基づいて、負荷状態の変化を検出するステップと、
    計算された前記抵抗差の積算値を、推定された前記電気抵抗の初期値に加算することにより、前記電気抵抗を推定するステップであって、計算された前記抵抗差のうち、前記負荷状態の変化が検出されたときに計算された抵抗差は、前記積算値から除外される、ステップと、
    推定された前記電気抵抗に基づいて、前記複数の巻線の温度を推定するステップと、を含む、方法。
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