JPWO2017159190A1 - 組成物、膜、硬化膜、光学センサおよび膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、特許文献1には白色の遮光パターンが記載されている。しかしながら、特許文献1には一ヶ月経時後の濃度ムラの抑制に関する示唆は無い。
一方、特許文献2には白色の膜は記載されていない。当然に、膜の白色の濃度ムラは生じず、一ヶ月経時後の濃度ムラの抑制に関する示唆は無い。
また、特許文献1および2には、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下の樹脂と屈折率の高い粒子を組み合わせることについて示唆が無い。
粒子が波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を少なくとも含み、
樹脂が波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を少なくとも含む、組成物。
[2] 粒子と樹脂とを含む組成物であって、
上記粒子のうち、組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、上記樹脂のうち、組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上である、組成物。
[3] 組成物が硬化性組成物である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85である[1]〜[3]のいずれか一つに記載の組成物。[5] 粒子は、無機粒子を含む[1]〜[4]のいずれか一つに記載の組成物。
[6] 無機粒子は、白色顔料を含む[5]に記載の組成物。
[7] 無機粒子は、酸化チタンを含む[5]または[6]に記載の組成物。
[8] 粒子の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上の粒子の含有量が80質量%以上である[1]〜[7]のいずれか一つに記載の組成物。
[9] 樹脂の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下の樹脂の含有量が5質量%以上である[1]〜[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10] 樹脂がアルカリ可溶性樹脂である[1]〜[9]のいずれか一つに記載の組成物。
[11] 樹脂がポリシロキサン系樹脂である[1]〜[10]のいずれか一つに記載の組成物。
[12] ポリシロキサン系樹脂の側鎖のうち50モル%以上が炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基のうち少なくとも一方である[11]に記載の組成物。
[13] 組成物が、さらにラジカル重合性化合物および光重合開始剤を有する[1]〜[12]のいずれか一つに記載の組成物。
[14] ラジカル重合性化合物の全質量中における、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下のラジカル重合性化合物の含有量が80質量%以上である[13]に記載の組成物。
[15] 組成物が、さらに着色防止剤を有する[1]〜[14]のいずれか一つに記載の組成物。
[16] [1]〜[15]のいずれか一つに記載の組成物から形成された、膜。
[17] [16]に記載の膜を硬化した、硬化膜。
[18] [17]に記載の硬化膜を有する、光学センサ。
[19] [1]〜[15]のいずれか一つに記載の組成物を、パターンを有するマスクを介して露光する工程と、
露光された組成物を現像してパターン形成する工程とを含む、膜の製造方法。
また、本発明によれば、膜、硬化膜、光学センサおよび膜の製造方法を提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM−H(東ソー(株)製、6.0mm(内径)×15.0cm)を、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本発明の組成物の第1の態様は、粒子と樹脂とを含み、
粒子が波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を少なくとも含み、
樹脂が波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を少なくとも含む。
本発明の組成物の第2の態様は、粒子と樹脂とを含む組成物であって、
組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子(以下、最高屈折率の粒子とも言う)の波長589nmの光に対する屈折率と、組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂(以下、最低屈折率の樹脂とも言う)の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上である。
これらのような構成により、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85であり、かつ、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制された膜を製造できる組成物を提供できる。
本発明者らが、屈折率1.6程度の樹脂を膜のバインダーまたは粒子の分散剤として用い、粒子および樹脂を含む組成物を製造した。しかしながら、常温で一ヶ月経時後の組成物を用いて白色の膜を形成すると、明らかに通常よりも白色の濃度の濃い部分と薄い部分が見られた。
粒子が凝集しただけであれば白色の濃度の濃い部分以外は白色の濃度は平均的に薄くなると考えられる。周囲よりも白色の濃度の薄い部分の存在は、粒子以外の固形分が偏在していることを示していると考えられる。
一方、低屈折率の化合物は、例えばカルボン酸基やπ共役系のような分子間相互作用を引き起こす置換基が少ない傾向にあるなど、電子密度が低い傾向にある。本発明の組成物の第1の態様では、少なくとも波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂(低屈折率の樹脂)を用いることで、低屈折率の樹脂同士の相互作用が低減し、少なくとも波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子(高屈折率の粒子)と樹脂との相互作用が有利になり、組成物中での樹脂および粒子の偏在が解消する。その結果、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制できたと推定される。また、本発明の組成物の第2の態様では、粒子の屈折率と樹脂の屈折率との差を大きくすることで、樹脂同士の相互作用が低減し、樹脂と粒子の相互作用が有利になり、組成物中での樹脂および粒子の偏在が解消する。その結果、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制できたと推定される。
さらに、本発明の組成物の第1の態様でも本発明の組成物の第2の態様でも、粒子の屈折率と樹脂の屈折率との差を大きくすることで、組成物から形成される膜の反射率を高め、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85を達成することができたと推定される。
以下、本発明の組成物の好ましい態様について説明する。以下において、特に断りが無く組成物という場合は、本発明の組成物の第1の態様と、本発明の組成物の第2の態様の両方を含む。
本発明の組成物は、硬化性組成物であることが好ましい。「硬化性組成物」とは、後述する硬化性化合物を含む組成物をいう。硬化性組成物は、光硬化性組成物であってもよく、熱硬化性組成物であってもよい。
本発明の組成物の特性の詳細を説明する。
本発明の組成物は、組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合にCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85であることが好ましい。組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合にCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の上限は80未満であることがより好ましく、75以下であることがさらに好ましく、70以下であることが特に好ましい。組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合にCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の下限は40以上であることがより好ましく、50以上であることが特に好ましい。なお、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の値は、後述する実施例に記載の方法で測定した値である。
本発明の組成物は、組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合にCIE1976のL*a*b*表色系におけるa*およびb*は−30〜30が好ましく、−20〜20がより好ましく、−10〜10が特に好ましい。
本発明の組成物は、室温(25℃)にて、3500rpm(rotations per minute)の条件で47分間遠心分離した時の組成物の固形分沈降率が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましい。組成物の固形分沈降率を低くする方法としては、組成物の粘度を高める方法や、組成物の固形分濃度を下げる方法や、組成物中における固形分(好ましくは粒子)の分散性を高める方法や、粒子の密度を低くする方法や、粒子の粒子径を小さくする方法などが挙げられる。本明細書中における「固形分」は、特に断りが無い限り、以下の「遠心処理の前の固形分」を意味する。組成物を、オーブンを用いて160℃1時間の条件で揮発分を乾燥させ、乾燥前後の乾燥減量を測定することで揮発量を求め、組成物の乾燥前の質量と揮発量との差を計算して、「遠心処理の前の固形分」を算出する。
組成物を、室温、3500rpmの条件で47分間遠心処理を行った後の上澄み液について、上記と同様の方法で「遠心処理の後の固形分」を算出する。「遠心処理の後の固形分」と「遠心処理の前の固形分」との差を、「遠心処理の前の固形分」で割り、百分率として固形分沈降率を算出する。
組成物の固形分濃度は、20〜75質量%が好ましい。上限は、60質量%以下がより好ましい。下限は、30質量%以上がより好ましい。組成物の固形分濃度が上記の範囲とすることで、組成物の粘度を高めて、粒子の沈降などを効果的に抑制でき、一ヶ月経時後の濃度ムラをより効果的に改良できる。
以下、組成物の組成について詳細に説明する。
本発明の組成物は、粒子を含む。
本発明の組成物は、組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上であることが好ましく、1.27以上であることがより好ましい。この範囲であると、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*を高くしやすく、好ましい。
本発明の組成物は、粒子が少なくとも波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を含むことが好ましい。
組成物が粒子を2種類以上含む場合、組成物は、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を少なくとも1種類含むことが好ましく、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子のみを含むことがより好ましい。
本発明の組成物は、粒子の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上の粒子の含有量(屈折率2.1以上の粒子の含有量)が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
粒子の屈折率は以下の方法で測定される。
まず、屈折率が既知である分散剤とPGMEAを用いて分散を行う。その後、作製した分散液と屈折率が既知の樹脂を、粒子の固形分中の濃度がそれぞれ10質量%、20質量%、30質量%、40質量%になるように混合し、4種類の塗布液を作製する。これらの塗布液をSiウェハ上に300nmで製膜した後、得られる膜の屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE−3300(商品名)、大日本スクリーン製造(株))を用いて測定する。その後、粒子濃度と屈折率をプロットし、外挿し、粒子の屈折率を導出する。
また、組成物、膜または硬化膜から粒子を以下の方法で取り出した後で、同様に上記の実施例に記載の方法で粒子の屈折率を測定することもできる。
膜または硬化膜から取り出した粒子について屈折率を測定する場合、粒子を膜から取り出す方法として、例えば、膜または硬化膜(組成物であれば塗布し、膜にする)に2〜6mol/Lの塩基性溶液を膜または硬化膜の質量の10〜30質量%加え、12時間加熱還流後、ろ過および洗浄することで粒子成分を得る。
波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子は、粒子径50〜300nmの粒子の割合が高いほど好ましい。具体的には、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子は、粒子径50〜300nmの粒子を30質量%以上の割合で含有することが好ましく、粒子径50〜300nmの粒子を50質量%以上の割合で含有することがより好ましい。粒子径50〜300nmの粒子が30質量%以上であると、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*を35〜85に制御しやすく、かつ、液経時安定性が優れる組成物を提供しやすい。
本発明において、粒子の一次粒子径は、粉体粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分を観測することで求めることができる。本発明において、粒子の粒度分布は、一次粒子である粉体粒子を、透過型電子顕微鏡を用いて透過型電子顕微鏡写真を撮影した後、その写真を用いて画像処理装置で粒度分布を測定して求める。本発明において、粒子の平均一次粒子径は、粒度分布から算出された個数基準の算術平均径をもって平均一次粒子径とした。本明細書では、透過型電子顕微鏡として(株)日立製作所製電子顕微鏡(H−7000)を用い、画像処理装置として(株)ニレコ製ルーゼックスAPを用いる。
波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子は、平均長軸長が50〜150nmの粒子であってもよい。平均長軸長が50〜150nmの粒子は、平均長軸長が60〜140nmであることが好ましく、80〜130nmであることがより好ましい。
平均長軸長が50〜150nmの粒子は、長軸と短軸を有する粒子であることが好ましい。本明細書中、「粒子の長軸」とは、粒子を撮影した透過型電子顕微鏡の写真において、粒子の最も長い径のことを言う。本明細書中、「粒子の短軸」とは、粒子を撮影した透過型電子顕微鏡の写真において、粒子の最も短い径のことを言う。長軸と短軸を有する粒子は、棒状粒子または楕円状粒子と言われることもある。
本発明における平均長軸長が50〜150nmの粒子は、平均短軸長が5〜50nmであることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましく、10〜20nmであることが特に好ましい。平均長軸長が50〜150nmの粒子は、平均長軸長が平均短軸長の2〜10倍であることが好ましく、3〜6倍であることがより好ましく、4〜5倍であることが特に好ましい。
本発明の組成物では、平均長軸長が50〜150nmの粒子は、長軸長が50〜150nmの粒子を30〜60質量%の割合で含有することが好ましく、長軸長が50〜150nmの粒子を35〜50質量%の割合で含有することがより好ましい。長軸長が50〜150nmの粒子が30質量%以上であると、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*を35〜85に制御しやすく、かつ、液経時安定性が優れる組成物を提供しやすい。平均長軸長が50〜150nmの粒子は、長軸長が60〜140nmの粒子を30〜60質量%の割合で含有することが好ましく、長軸長が80〜130nmの粒子を30〜50質量%の割合で含有することがより好ましい。
本発明において、粒子の長軸長および短軸長は、粉体粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分を観測することで求めることができる。本発明において、粒子の粒度分布は、一次粒子である粉体粒子を、透過型電子顕微鏡を用いて透過型電子顕微鏡写真を撮影した後、その写真を用いて画像処理装置で粒子の長軸長および短軸長の粒度分布を測定して求める。本発明において、粒子の平均長軸長および平均短軸長は、粒度分布から算出された個数基準の算術平均径をもって平均長軸長および平均短軸長とした。本明細書では、透過型電子顕微鏡として(株)日立製作所製電子顕微鏡(H−7000)を用い、画像処理装置として(株)ニレコ製ルーゼックスAPを用いる。
波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子としては、従来公知の種々の無機粒子および有機粒子を挙げることができる。波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子は、無機粒子を少なくとも含むことが好ましい。無機粒子は、有機粒子に比べて密度が大きいものが多く、密度が大きい粒子ほど組成物中において沈降が生じやすい。本発明の組成物の第1の態様によれば、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂と併用するため、粒子として無機粒子を用いる場合であっても、無機粒子の沈降を抑制して、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制された膜を製造できる。本発明の組成物の第2の態様によれば、組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上であるため、粒子として無機粒子を用いる場合であっても、無機粒子の沈降を抑制して、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制された膜を製造できる。
無機粒子は、金属を含む粒子であることが好ましい。金属を含む粒子は、金属単体または金属酸化物を含むことがより好ましい。
白色顔料は、密度が大きい傾向にあり、組成物中において沈降が生じやすい。本発明の組成物の第1の態様によれば、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂と併用するため、粒子として白色顔料を用いる場合であっても、無機粒子の沈降を抑制して、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制された膜を製造できる。本発明の組成物の第2の態様によれば、組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上であるため、粒子として白色顔料を用いる場合であっても、無機粒子の沈降を抑制して、一ヶ月経時後の濃度ムラが抑制された膜を製造できる。
白色顔料は、例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛などが挙げられる。白色顔料は、チタン原子を有する粒子が好ましく、酸化チタンがより好ましい。すなわち、本発明の組成物では、無機粒子は、酸化チタンを含むことが好ましい。
ルチル型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。ルチル型酸化チタンの製造方法には、硫酸法と塩素法の2種類あり、本発明では、いずれの製造方法により製造されたものも好適に使用することができる。ここで、硫酸法は、イルメナイト鉱石やチタンスラグを原料とし、これを濃硫酸に溶解して鉄分を硫酸鉄として分離し、溶液を加水分解することにより水酸化物の沈殿物を得、これを高温で焼成してルチル型酸化チタンを取り出す製造方法をいう。一方、塩素法は、合成ルチルや天然ルチルを原料とし、これを約1000℃の高温で塩素ガスとカーボンに反応させて四塩化チタンを合成し、これを酸化してルチル型酸化チタンを取り出す製造方法をいう。ルチル型酸化チタンは、塩素法で得られるルチル型酸化チタンが好ましい。
酸化チタンのpH(power of hydrogen)は、6〜8が好ましい。
酸化チタンの吸油量(g/100g)は、10〜60(g/100g)であることが好ましく、10〜40(g/100g)であることがより好ましい。
酸化チタンは、Fe2O3、Al2O3、SiO2、Nb2O5、Na2Oの合計量が、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以下であることがさらに好ましく、実質含まないことが特に好ましい。
酸化チタンの形状には特に制限はない。例えば、等方性形状(例えば、球状、多面体状等)、異方性形状(例えば、針状、棒状、板状等)、不定形状等などの形状が挙げられる。
酸化チタンの硬度(モース硬度)は、5〜8であることが好ましく、7〜7.5であることがより好ましい。
酸化チタンの真比重(密度)は、1.0〜6.0g/cm3であることが好ましく、3.9〜4.5g/cm3であることがより好ましい。
酸化チタンの嵩比重は0.1g/cm3〜1.0g/cm3であることが好ましく、0.2g/cm3〜0.4g/cm3であることがより好ましい。
水又は水を主成分とする液中に無機粒子を分散させ、スラリーを得る。必要に応じてサンドミル又はボールミル等により、無機粒子を粉砕する。次いで、スラリーのpHを中性又はアルカリ性、場合によっては酸性にする。その後、被覆材料の原料となる水溶性塩をスラリーに添加し、無機粒子の表面を被覆する。その後、スラリーを中和し、無機粒子を回収する。回収した無機粒子は、乾燥又は乾式粉砕してもよい。
無機粒子と、無機粒子の酸性部位と反応可能な化合物とを反応させる方法として、(1)流体エネルギー粉砕機もしくは衝撃粉砕機等の乾式粉砕機に上記化合物と無機粒子とを投入し、無機顔料を粉砕する方法、(2)ヘンシェルミキサーもしくはスーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、上記化合物と、乾式粉砕した無機粒子とを攪拌し、混合する方法、(3)無機粒子の水性スラリー中に上記化合物を添加し、撹拌する方法等が挙げられる。
堺化学工業(株)製の商品名R−3L、R−5N、R−7E、R−11P、R−21、R−25、R−32、R−42、R−44、R−45M、R−62N、R−310、R−650、SR−1、D−918、GTR−100、FTR−700、TCR−52、A−110、A−190、SA−1、SA−1L、STR−100A−LP、STR−100C−LP、TCA−123E;
テイカ(株)製の商品名JR、JRNC、JR−301、JR−403、JR−405、JR−600A、JR−600E、JR−603、JR−605、JR−701、JR−800、JR−805、JR−806、JR−1000、MT−01、MT−05、MT−10EX、MT−100S、MT−100TV、MT−100Z、MT−100AQ、MT−100WP、MT−100SA、MT−100HD、MT−150EX、MT−150W、MT−300HD、MT−500B、MT−500SA、MT−500HD、MT−600B、MT−600SA、MT−700B、MT−700BS、MT−700HD、MT−700Z;
チタン工業(株)製の商品名KR−310、KR−380、KR−380N、ST−485SA15;
富士チタン工業(株)製の商品名TR−600、TR−700、TR−750、TR−840、TR−900;
白石カルシウム(株)製の商品名Brilliant1500等が挙げられる。また、特開2015−67794号公報の段落0025〜0027に記載の酸化チタンを用いることもできる。
チタン酸ストロンチウムの市販品としては、SW−100(チタン工業(株)製)などが挙げられる。硫酸バリウムの市販品としては、BF−1L(堺化学工業(株)製)などが挙げられる。酸化亜鉛の市販品としては、Zincox Super F−1(ハクスイテック(株)製)などが挙げられる。酸化ジルコニウムの市販品としては、Z−NX(太陽鉱工(株)製)などが挙げられる。
酸化チタンの市販品を、分級処理してから本発明の組成物に用いてもよい。例えば、CR−90−2の分級処理品やMPT−141の分級処理品を好ましく用いることができる。
また、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子中における、無機粒子の割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、99質量%以下とすることもできる。白色度、透過率、リソグラフィー特性の観点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
また、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子中における、白色顔料の割合は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、99質量%以下とすることもできる。白色度、透過率、リソグラフィー特性の観点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
また、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子中における、酸化チタンの割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、99質量%以下とすることもできる。白色度、透過率、リソグラフィー特性の観点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
また、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子中における、密度が1.0〜6.0g/cm3の粒子の割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、99質量%以下とすることもできる。白色度、透過率、リソグラフィー特性の観点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
組成物は波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子以外の、その他の着色剤を含有してもよい。その他の着色剤を含有することで、組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合にCIE1976のL*a*b*表色系におけるa*およびb*を好ましい範囲に制御しやすい。その他の着色剤としては、有彩色着色剤や黒色着色剤などが挙げられる。
本発明の組成物は、有彩色着色剤を含有することができる。本発明において、「有彩色着色剤」とは、白色着色剤(白色顔料を含む)および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。有彩色着色剤は、波長400nm以上650nm未満の範囲に吸収極大を有する着色剤であることが好ましい。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)
有機顔料は、単独または2つ以上を組合せて用いることができる。
また、染料は、酸性染料およびその誘導体が好適に使用できる。その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、および、これらの誘導体等も有用に使用することができる。以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されない。例えば、以下の染料、及び、これらの染料の誘導体が挙げられる。
Acid Blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40〜45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1、
Acid Chrome violet K、
Acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50、
Acid Orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95、
Acid Red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274、
Acid Violet 6B,7,9,17,19、
Acid Yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243、
Food Yellow 3。
本発明の組成物は、黒色着色剤を含有することができる。黒色着色剤としては、無機系黒色着色剤であってもよく、有機系黒色着色剤であってもよい。
本発明の組成物は、樹脂を含む。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途、バインダーの用途で配合される。なお、主に粒子を組成物中で分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
本発明の組成物は、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を含むことが好ましい。
組成物が樹脂を2種類以上含む場合、組成物は、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を少なくとも1種類含むことが好ましく、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂のみを含むことがより好ましい。
本発明の組成物は、樹脂の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下の樹脂の含有量が5質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
組成物に含まれるすべての樹脂の波長589nmの光に対する質量平均の屈折率の好ましい範囲は、樹脂の波長589nmの光に対する屈折率の好ましい範囲と同様である。
具体的な測定方法は、Siウェハ上に測定対象となる樹脂のみからなる膜を300nmで製膜した後、得られた膜の屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE−3300(商品名)、大日本スクリーン製造(株))を用いて測定する。
アルカリ可溶性樹脂でもあるポリシロキサン系樹脂の、アルカリ可溶性樹脂としての好ましい性質については、その他のバインダーとして用いるアルカリ可溶性樹脂の好ましい性質と同様である。
波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂は、アルカリ可溶性を付与するため、後述のアルカリ可溶性樹脂が有するアルカリ可溶を促進する基を含む繰り返し単位を有することも好ましい。好ましいアルカリ可溶を促進する基は後述のものと同じである。
フッ素系樹脂としては、樹脂にフッ素原子が含まれていれば特に限定されない。例えば、(a)一般式(F1)で示されるモノマーに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物をフッ素系樹脂として用いることも好ましい。
一般式(F1)中、Rfは、フルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基含有の置換基であり、nは1または2を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す。
Rfはフッ素原子の数が9以上のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基含有の置換基であることが好ましい。フッ素原子の数が9以上のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基含有の置換基としては、具体的には次のようなフルオロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH2=CRCO2(CH2)mCnF2n+1
mは1または2を示し、nは4〜12の整数を示す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
CH2=CRCO2(CH2)m(CF2)nH
mは1または2を示し、nは4〜12の整数を示す。またRは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
特に、フルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基含有の置換基あたりのフッ素原子の数が9〜30のものが好ましく、より好ましくは、13〜25である。
フッ素原子含有不飽和単量体は、1種類を単独で使用することができ、または2種類以上を併用することもできる。フッ素原子含有不飽和単量体としては、市販品を使用することもできる。例えば、共栄社化学社製、商品名ライトエステルFM−108、ライトエステルM−3F、ライトエステルM−4F;日本メクトロン社製、商品名CHEMINOX FAAC、CHEMINOX FAMAC、CHEMINOX FAAC−M、CHEMINOX FAMAC−M、CHEMINOX PFAE、CHEMINOX PFOE等がある。
ポリシロキサン系樹脂としては特に制限はない。例えば、ポリシロキサン系樹脂としては、下記一般式(1)で示される化合物を単独で加水分解物縮合して得られるポリシロキサン系樹脂や、下記一般式(1)で示される化合物と他のシラン化合物と共加水分解物縮合して得られるポリシロキサン系樹脂を用いることができる。ポリシロキサン系樹脂として、特開2014−66988号公報の<0014>〜<0035>に記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリシロキサン系樹脂は、下記一般式(1)で示される化合物に加えて、さらに下記一般式(2)で示される化合物を含むアルコキシシラン化合物を共加水分解物縮合して得られるポリシロキサン系樹脂を用いることが、耐溶剤性を高める観点から好ましい。
ポリシロキサン系樹脂は、下記一般式(1)で示される化合物に加えて、さらに下記一般式(3)で示される化合物を含むアルコキシシラン化合物を共加水分解物縮合して得られるポリシロキサン系樹脂を用いることが、ポリシロキサン系樹脂の酸価を高くし、パターン形状を改善する観点から好ましい。また、下記一般式(3)で示される化合物を含むアルコキシシラン化合物を共加水分解物縮合して得られるポリシロキサン系樹脂は、アルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
R1 2Si(OR2)2
一般式(1)におけるR1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましく、炭素数1または2のアルキル基であることがより特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基又はエチル基が特に好ましい。なお、同一分子内にR1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。一般式(1)におけるR2においても同様である。一般式(1)におけるR1およびR2におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよく、直鎖状であることが好ましい。
一般式(2)におけるR4は炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3のアルキレン基であることがより好ましい。
一般式(2)におけるR6およびR5の好ましい範囲は、それぞれ一般式(1)におけるR1およびR2の好ましい範囲と同様である。
一般式(2)におけるnは2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
一般式(3)におけるlは1であることがより好ましい。
一般式(3)におけるmは2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
一般式(3)におけるR7は炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3のアルキレン基であることがより好ましい。
一般式(3)におけるR9およびR8の好ましい範囲は、それぞれ一般式(1)におけるR1およびR2の好ましい範囲と同様である。
一般式(1)で示される化合物は、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましく、ジメトキシジメチルシランがより好ましい。
一般式(2)で示される化合物は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
共加水分解物縮合に供するアルコキシシラン化合物に占める、一般式(2)で示される化合物の割合は、10〜45モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜20モル%であることが特に好ましい。共加水分解物縮合に供するアルコキシシラン化合物として一般式(2)で示される化合物を用いることで、耐溶剤性を高めることができる。
一般式(3)で示される化合物は、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸が好ましい。
共加水分解物縮合に供するアルコキシシラン化合物に占める、一般式(3)で示される化合物の割合は、ポリシロキサン系樹脂の酸価を高めてパターン形状を改善する観点から1〜30モル%であることが好ましく、1〜25モル%であることがより好ましく、1〜20モル%であることがさらに一ヶ月経時後の濃度ムラも抑制する観点から特に好ましい。
R12Si(OR13)3
一般式(5)におけるR12で表されるエポキシ基を有する1価の有機基は、エポキシ基を1〜5個有することが好ましく、1または2個有することがより好ましく、1個有することが特に好ましい。一般式(5)におけるR12で表されるエポキシ基を有する1価の有機基は、連結基を介して末端にエポキシ基が結合した基であることが好ましく、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜3)および酸素原子のうち少なくとも一方を介して末端にエポキシ基が結合した基であることがより好ましい。
一般式(5)におけるR13の好ましい範囲は、一般式(1)におけるR2の好ましい範囲と同様である。
一般式(5)で示される化合物は、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランが好ましい。
共加水分解物縮合に供するアルコキシシラン化合物に占める、一般式(5)で示される化合物の割合は、10モル%以下であることが好ましく、8モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
共加水分解物縮合に供するアルコキシシラン化合物に占める、その他のアルコキシシラン化合物の割合は、一ヶ月経時後の濃度ムラを抑制し、耐溶剤性を改善する観点から、3モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
ポリシロキサン系樹脂の側鎖のうちフェニル基を含む側鎖が20モル%以下であることがポリシロキサン系樹脂の屈折率を低くする観点から好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
本発明の組成物は、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂のほかに、その他のバインダーを含んでいてもよい。その他のバインダーを含有することで、膜特性が向上する。その他のバインダーは、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性の樹脂が選択される。例えば、アルカリ可溶性の樹脂を用いるとアルカリ現像が可能になる。このような樹脂としては、側鎖にカルボキシ基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているポリマー、すなわち、カルボキシ基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体がある。また、水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させた重合体も挙げられる。その他のバインダーは、アルカリ現像液に可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂ともいう)であることも好ましい。また、その他バインダーとして、エポキシ樹脂やメラミン樹脂などの熱硬化性化合物である樹脂を用いることもできる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30〜500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がさらに好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましく、120mgKOH/g以下が最も好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
本発明の組成物は、樹脂として分散剤を含有することができる。分散剤は、酸性樹脂、塩基性樹脂および両性樹脂から選ばれる1種類以上を含むことが好ましく、酸性樹脂および両性樹脂から選ばれる少なくとも1種類がより好ましい。この態様によれば、粒子の分散性が良好である。
両性樹脂は、酸価が5mgKOH/g以上で、アミン価が5mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、150mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がさらに好ましい。アミン価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、150mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がさらに好ましい。両性樹脂の酸価とアミン価の比率は、酸価:アミン価=1:4〜4:1が好ましく、1:3〜3:1がより好ましい。
また、オリゴイミン系分散剤は、(i)ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種類の、塩基性窒素原子を含有する繰り返し単位であって、塩基性窒素原子に結合し、かつ、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、側鎖に(ii)原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yとを有する樹脂が好ましい。なお、本発明において、ポリ(低級アルキレンイミン)における「低級」とは炭素数が1〜5であることを示し、「低級アルキレンイミン」とは炭素数1〜5のアルキレンイミンを表す。
R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。
aは、各々独立に、1〜5の整数を表す。*は繰り返し単位間の連結部を表す。
R8及びR9はR1と同義の基である。
Lは単結合、アルキレン基(炭素数1〜6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2〜6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6〜24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1〜6が好ましい)、イミノ基(炭素数0〜6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、単結合もしくは−CR5R6−NR7−(イミノ基がXもしくはYの方になる)であることが好ましい。ここで、R5、R6は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。R7は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
LaはCR8CR9とNとともに環構造形成する構造部位であり、CR8CR9の炭素原子と合わせて炭素数3〜7の非芳香族複素環を形成する構造部位であることが好ましい。より好ましくは、CR8CR9の炭素原子及びN(窒素原子)を合わせて5〜7員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、さらに好ましくは5員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、ピロリジンを形成する構造部位であることが特に好ましい。この構造部位はさらにアルキル基等の置換基を有していてもよい。XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。Yは原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を表す。
ポリシロキサン系樹脂である分散剤は、酸基を有する繰り返し単位と、シロキサン結合を有する繰り返し単位とを少なくとも含むことが好ましい。酸基を有する繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位などを挙げることができる。
ポリシロキサン系樹脂である分散剤として、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を用いてもよい。ポリシロキサン系樹脂である分散剤の好ましい態様は、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂の好ましい態様と同様である。
また、酸系吸着部位としてリン原子含有基(例えば、リン酸基等)を有する分散剤の市販品として、Lubrizol(株)製「ソルスパース26000(Solsperse 26000)、36000、41000」が挙げられる。これらを好適に用いることができる。
ポリシロキサン系樹脂である分散剤としては、例えば、アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンを含むグラフト共重合体であるKP−578、ポリシロキサン樹脂系分散剤であるX−22−3701E(いずれも信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
分散剤は、1種類単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤は、上述したその他のバインダーで説明した樹脂を用いることもできる。また、分散剤は、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を用いてもよい。
分散助剤の市販品としては、ライトエステルP−1M、ライトエステルP−2M、ライトエステルHO−MS、ライトエステルHO−HH(以上、共栄社化学(株)製)ホスマーM、ホスマーPE、ホスマーMH、ホスマーCL、ホスマーPP(以上、ユニケミカル(株)製)、TBAS−Q、TBAS−R(以上、MRCユニテック(株)製)などが挙げられる。
また、分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。
また、分散剤の含有量は、無機顔料100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。
また、分散剤の含有量は、酸化チタン100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。
本発明の組成物は溶剤を含有することが好ましい。溶剤は種々の有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独あるいは混合して使用することができる。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いた濾過を挙げることができる。濾過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタとしては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、または、ナイロン製のフィルタが好ましい。
溶剤には、異性体(同じ原子数で異なる構造の化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種類のみが含まれていてもよいし、複数種類含まれていてもよい。
本発明の組成物は、硬化性化合物を含有することが好ましい。
硬化性化合物は、ラジカル、酸、熱により架橋(重合および縮合を含む)可能な化合物である。本発明で用いる硬化性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、メチロール基を有する化合物などが挙げられ、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
本発明において、硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物などが挙げられる。本発明の組成物は硬化性化合物として、後述のエポキシ基を有する化合物を有していてもよい。以下において、特に断りが無く重合性化合物という場合は、ラジカル重合性化合物のことを言う。
また、重合性化合物の含有量は、硬化性化合物の全質量に対して、10〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物の全質量中における、波長589nmの光に対する屈折率が1.55以下(好ましくは1.52以下、より好ましくは1.5以下)のラジカル重合性化合物の含有量が80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。また、重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される、重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落0248〜0251に記載されている化合物が挙げられる。
また、特開平10−62986号公報に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
KAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製)が好ましく、ペンタエリスリトールテトラアクリレートがパターン形状の観点からより好ましい。
式(Z−2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは1又は2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
式(Z−3)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。
式(Z−4)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。
式(Z−5)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、式(Z−4)又は式(Z−5)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」とも称する。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ(株)製)、U−4HA、U−6LPA、UA−32P、U−10HA、U−10PA、UA−122P、UA−1100H、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株)製)、UA−9050、UA−9048(BASF(株)製)などが挙げられる。
分子内にSi原子を有する重合性化合物の市販品としては、シロキサン結合含有の多官能アクリレートであるEBECRYL1360(ダイセルオルネクス(株)製)、Si原子含有多官能ビニル化合物であるVINYLTRIISOPROPENOXYSILANE(アズマックス株式会社製)などが挙げられる。
本発明の組成物は、硬化性化合物としてエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。この態様によれば、得られる膜の耐溶剤性を向上できる。エポキシ基を有する化合物としては、単官能または多官能グリシジルエーテル化合物や、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物などが挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基をグリシジル基の一部として有する化合物や、脂環式エポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
エポキシ基を有する化合物は、脂肪族エポキシ樹脂であることが、耐溶剤性の観点から好ましい。
本発明の組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が耐溶剤性、着色性の観点から好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。組成物は、重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
重合開始剤としては、光重合開始剤または熱重合開始剤が好ましく、光重合開始剤が好ましい。熱重合開始剤としては特に制限は無く、公知の化合物を用いることができる。
本発明の組成物は、光重合開始剤を含有することができる。特に、組成物が、重合性化合物を含む場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種類含有していることが好ましい。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 819やIRGACURE TPO(商品名:いずれもBASF(株)製)を用いることができる。
着色性の観点からアミノアセトフェノン系開始剤またはアシルホスフィン系開始剤が好ましく、着色性および密着性の観点からアシルホスフィン系開始剤がより好ましい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落0274〜0275を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。オキシム化合物は、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、オキシムのN−O結合が(Z)体のオキシム化合物であってもよく、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
本発明の組成物は、着色防止剤を含有することが好ましい。
本明細書に記載の着色防止剤は酸化防止剤としても使用でき、酸化防止剤は着色防止剤としても使用できる。
着色防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられ、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物又は分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。また、着色防止剤は、フェノール化合物が好ましく、分子量500以上のフェノール化合物がより好ましい。
多置換フェノール系化合物には、安定なフェノキシラジカル生成に起因する、捕捉するパーオキシラジカルへの反応性から、その置換位置および構造の違う3種類:下記式(A)ヒンダードタイプ、式(B)セミヒンダードタイプおよび式(C)レスヒンダードタイプがある。
着色防止機能を発現する構造部分である上記式(A)〜(C)において、Rは置換基であり、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基が好ましい。
フェノール系水酸基含有化合物としては、例えばパラメトキシフェノール、ジ−t−ブチル−パラクレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物などが挙げられる。
市販品として入手できる代表例には、(A)としてはSumilizer BHT(住友化学製)、Irganox 1010、1222(BASF製)、アデカスタブAO−20、AO−50、AO−60(ADEKA製)などがあり、(B)としてはSumilizer BBM−S(住友化学製)、Irganox 245(BASF製)、アデカスタブAO−80(ADEKA製)などがあり、(C)としてはアデカスタブAO−30、AO−40(ADEKA製)などがある。
チオエーテル化合物として市販品として入手できる代表例には、アデカスタブ AO−412S(CAS:29598−76−3、(株)ADEKA製)、アデカスタブ AO−503(CAS:10595−72−9、(株)ADEKA製)、KEMINOX PLS(CAS:29598−76−3、ケミプロ化成(株)製)を挙げることができる。
着色防止剤は、市販品として容易に入手可能であり、市販品として入手できる代表例とした上述したもののほかに、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−330、アデカスタブ PEP−36A((株)ADEKA製)などが挙げられる。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤は、共役ジエン系化合物が好ましく、下記式(I)で表される化合物がより好ましい。
R1及びR2は、R1及びR2が結合する窒素原子と共に、環状アミノ基を形成してもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。
R3及びR4は、電子求引基を表す。ここで電子求引基は、ハメットの置換基定数σp値
(以下、単に「σp値」という。)が、0.20以上1.0以下の電子求引基である。好ましくは、σp値が0.30以上0.8以下の電子求引基である。R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい。R3及びR4は、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基がより好ましい。
上記のR1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。
式(I)で示される紫外線吸収剤の具体例としては、下記化合物(後述の実施例で用いる紫外線吸収剤I−1)が挙げられる。
本発明の組成物は、さらに密着剤を含有することが好ましい。密着剤としては特に制限は無く、公知の密着剤が使用できる。密着剤としては、例えば、シランカップリング剤を挙げることができる。この態様によれば、膜の基材との密着性を良化できる。
本発明において、「シランカップリング剤」は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、「加水分解性基」とは、珪素原子に直結し、加水分解反応および縮合反応のうち少なくとも一方によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基は、樹脂との間で相互作用もしくは結合形成して親和性を示す基を有が好ましい。例えば、(メタ)アクリロイル基、フェニル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。即ち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基と、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基のうち少なくとも一方と、を有する化合物が好ましい。
アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。アルコキシシリル基は、同一分子内に2個以上有することが好ましく、2〜3個有することがさらに好ましい。
また、アルコキシシリル基を有する化合物は、アルコキシシリル基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
シランカップリング剤として、特開2009−288703号公報の<0011>〜<0037>に記載の特定シラン化合物も参酌して使用でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
密着剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。これらの範囲であると密着性と一ヶ月経時後の濃度ムラの観点から好ましい。また、本発明においては、組成物が含有する密着剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、連鎖移動剤を含有することが好ましい。この態様によれば、パターン形成時の露光において、露光により膜表面(パターン表面)の硬化を促進できる。このため、露光時の膜の厚さの減少などを抑制でき、より矩形性および密着性に優れたパターンを形成しやすい。
また、連鎖移動剤の市販品としては、PEMP(SC有機化学株式会社製、チオール化合物)、サンセラー M(三新化学工業(株)製、チオール化合物)、カレンズMT BD1(昭和電工(株)製、チオール化合物)などが挙げられる。
また、下記化合物を用いることも好ましい。
連鎖移動剤の含有量は、重合性化合物の100質量部に対し、1〜40質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。
連鎖移動剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、光重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。増感剤としては、光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。増感剤は、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。具体的には、特開2010−106268号公報の段落0231〜0253(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0256>〜<0273>)の説明を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物は、更に共増感剤を含有することも好ましい。共増感剤は、光重合開始剤や増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは、酸素の重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。共増感剤としては、具体的には、特開2010−106268号公報の段落0254〜0257(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0277>〜<0279>)の説明を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物は、組成物の製造中あるいは保存中において重合性化合物などの不要な重合を阻止するために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、
フェノール系水酸基含有化合物(好ましくは、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、ジ−t−ブチル−パラクレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物);
N−オキシド化合物類(好ましくは、5,5−ジメチル−1−ピロリンN−オキシド、4−メチルモルホリンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、4−ニトロピリジンN−オキシド、3−ヒドロキシピリジンN−オキシド、ピコリン酸N−オキシド、ニコチン酸N−オキシド、及びイソニコチン酸N−オキシドからなる群より選択される化合物);
ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類(好ましくは、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルからなる群より選択される化合物);
ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類(好ましくは、3−カルボキシプロキシルフリーラジカル(3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン1−オキシルフリーラジカル));
N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン類(好ましくは、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩からなる化合物群から選択される化合物);
ジアゾニウム化合物類(好ましくは、4−ジアゾフェニルジメチルアミンの硫酸水素塩、4−ジアゾジフェニルアミンのテトラフルオロホウ酸塩、及び3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンのヘキサフルオロリン酸塩からなる群より選択される化合物);
カチオン染料類;
スルフィド基含有化合物類;
ニトロ基含有化合物類;
FeCl3、CuCl2等の遷移金属化合物類が挙げられる。また、これらの化合物類においては、フェノール骨格やリン含有骨格などの重合禁止機能を発現する構造が同一分子内に複数存在する複合系化合物であってもよい。例えば特開平10−46035号公報に記載の化合物なども好適に用いられる。
本発明の組成物は、塗布適性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。
界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
更に、組成物に対しては、膜または硬化膜の物性を改良するために可塑剤や感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。可塑剤の含有量は、重合性化合物と樹脂との合計質量に対し10質量%以下が好ましい。
上述の組成物は、前述の成分を混合して調製できる。
組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解および分散のうち少なくとも一方をした後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
また、顔料を分散させるプロセスとしては、顔料の分散に用いる機械力として、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどを使用するプロセスが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。また「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。この範囲とすることにより、後工程において均一及び平滑な組成物の調製を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。また、ファイバ状のフィルタを用いることも好ましく、フィルタとしては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的にはロキテクノ(株)製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種類のフィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
本発明の膜は、本発明の組成物を用いて形成された膜である。
本発明の膜は、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85であることが好ましい。膜は、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の上限は80未満であることがより好ましく、75以下であることが特に好ましく、70以下であることがより特に好ましい。膜は、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の下限は40以上であることがより好ましく、50以上であることが特に好ましい。
本発明の膜は、CIE1976のL*a*b*表色系におけるa*およびb*は−30〜30が好ましく、−20〜20がより好ましく、−10〜10が特に好ましい。
本発明の膜は、厚さが10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。厚さの下限値は、0.5μm以上であることが好ましい。
本発明の膜は、厚さ3μmの波長400〜700nmの範囲における平均透過率が1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、30%以上であることが特に好ましい。波長400〜700nmの範囲における平均透過率の上限値は、50%以下であることが好ましい。
本発明の膜は、固体撮像素子などの各種類のセンサや、画像表示装置(例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置など)に組み込んで用いることができる。また、光学部材の外観調整用途の材料として用いることもできる。
本発明の膜は、例えば、各種類のセンサや、画像表示装置などに組み込んで、光を適度に遮光ないし透過する部材や、光を散乱する部材として用いることもできる。また、発光ダイオード(LED)反射用途、有機EL光散乱層用途、導電材料、絶縁材料、太陽電池用材料などに用いることもできる。
本発明の硬化膜は、本発明の膜を硬化した、硬化膜である。硬化膜は、本発明の膜から溶剤を除去されたことが好ましい。また、硬化膜は、本発明の膜の重合性化合物を重合して硬化されたことが好ましい。
本発明の硬化膜は、硬化膜の状態でCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85であることが好ましい。本発明の硬化膜は、硬化膜の状態でCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の上限は80未満であることがより好ましく、75以下であることが特に好ましく、70以下であることがより特に好ましい。本発明の硬化膜は、硬化膜の状態でCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*の下限は40以上であることがより好ましく、50以上であることが特に好ましい。
本発明の硬化膜は、粒子と樹脂を含み、粒子が少なくとも波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を含み、樹脂が少なくとも波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を含むことが好ましい。本発明の硬化膜における波長589nmの光に対する屈折率の粒子の好ましい屈折率の範囲は、本発明の組成物における波長589nmの光に対する屈折率の粒子の好ましい屈折率の範囲と同様である。また、本発明の硬化膜における波長589nmの光に対する屈折率の樹脂の好ましい屈折率の範囲は、本発明の組成物における波長589nmの光に対する屈折率の樹脂の好ましい屈折率の範囲と同様である。
本発明の硬化膜は、粒子と樹脂を含み、粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上であることが好ましく、1.27以上であることがより好ましい。この範囲であると、硬化膜のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*を高くしやすい。
本発明の硬化膜の組成を、粒子と粒子以外の成分とに分類した場合、硬化膜の粒子以外の成分は、波長589nmの光に対する屈折率(粒子以外の成分の屈折率の平均値と同義)が1.5以下であることが好ましく、1.00〜1.45であることがより好ましく、1.10〜1.40であることがさらに好ましい。
本発明の光学センサは、本発明の硬化膜を有する光学センサである。光学センサとしては、固体撮像素子などを挙げることができる。
本発明の膜の製造方法は、本発明の組成物を、パターンを有するマスクを介して露光する工程と、
露光された組成物を現像してパターン形成する工程とを含む。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cm2が好ましく、0.05〜1.0J/cm2がより好ましい。
露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%以下、さらには5体積%以下、特には実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%以上、さらには30体積%以上、特には50体積%以上)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2〜100000W/m2(例えば、5000W/m2以上、さらには15000W/m2以上、特には35000W/m2以上)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
また、現像液には無機アルカリを用いてもよい。無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
また、現像液には、界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した組成物で説明した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
粘度は、E型粘度計(東機産業製RE85L)、コーンローターとして1°34’×R24を用いて、回転数5rpmの条件で測定した。なお、前述の条件で測定できない場合は、適宜、回転数を変更して測定した。
樹脂の重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM−Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量で表したものである。測定サンプルを酢酸に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
粉体粒子の一次粒子径を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分を観測することで求めた。また、粒子の粒度分布について、一次粒子である粉体粒子を、透過型電子顕微鏡を用いて透過型電子顕微鏡写真を撮影した後、その写真を用いて画像処理装置で粒度分布を測定した。粒子の平均一次粒子径は、粒度分布から算出された個数基準の算術平均径をもって平均一次粒子径とした。透過型電子顕微鏡として(株)日立製作所製電子顕微鏡(H−7000)を用い、画像処理装置として(株)ニレコ製ルーゼックスAPを用いた。
<分散液の製造>
下記組成の混合液に対し、循環型分散装置(ビーズミル)として、寿工業(株)製ウルトラアペックスミルを用いて、以下のようにして分散処理を行い、分散液を製造した。
<<混合液の組成>>
下記表に記載の粒子:30質量部
下記表に記載の分散剤:下記表に記載の量
溶剤:プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA):下記表に記載の量
・ビーズ径:直径0.2mm
・ビーズ充填率:65体積%
・周速:6m/秒
・ポンプ供給量:10.8kg/時
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
・分散処理する混合液量:0.65kg
得られた分散液2〜19の組成を下記表に示す。
B−2〜B−13として、以下の表に示す粒子を用いた。
まず、屈折率が既知である分散剤とPGMEAを用いて分散を行う。その後、作製した分散液と屈折率が既知の樹脂を、粒子の固形分中の濃度がそれぞれ10質量%、20質量%、30質量%、40質量%になるように混合し、4種類の塗布液を作製する。これらの塗布液をSiウェハ上に300nmで製膜した後、得られる膜の屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE−3300(商品名)、大日本スクリーン製造(株))を用いて測定する。その後、粒子濃度と屈折率をプロットし、外挿し、粒子の屈折率を導出する。
F−1:Solsperse 36000、Lubrizol(株)製、屈折率1.52。
F−2:Solsperse 46000、Lubrizol(株)製、屈折率1.52。
F−3:下記構造の樹脂(Mw=20000、屈折率1.51)。各繰り返し単位に併記した数値は、各繰り返し単位の含有量〔質量比〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数を示す。
F−4:下記構造の樹脂(Mw=22900、屈折率1.51)。各繰り返し単位に併記した数値は、各繰り返し単位の含有量〔質量比〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数を示す。
F−5:ポリシロキサン樹脂系分散剤であるX−22−3701E(酸性吸着基を持つポリアルキルシロキサン)、信越シリコーン製、屈折率1.43。
下記表に記載の原料を混合して、組成物を調製した。
上記表に記載の原料は以下である。
(分散液)
分散液2〜19:上記にて製造した分散液2〜19。
A−1:前述のフッ素系樹脂1であるフッ素系樹脂(酸価114.1mgKOH/g、MW=10000、下記構造)。
500mLのナスフラスコに下記材料を仕込んで、室温で撹拌しながら2gのリン酸を54gの水で溶かした水溶液を30分間かけて滴下した。その後40℃で30分間撹拌した後、70℃で30分間撹拌した。最後に110℃で3時間加熱し、反応を終了した。溶媒はエバポレータで取り除いた。
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 75質量部(62.6モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 42質量部(17.9モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 39質量部(15モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 12質量部(4.5モル%)
PGMEA 109質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 84質量部(70モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 47質量部(20モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 13質量部(5モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 14質量部(5モル%)
PGMEA 102質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 80質量部(66.3モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 44質量部(19モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 26質量部(10モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 13質量部(4.7モル%)
PGMEA 106質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 71質量部(59モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 39質量部(16.8モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 52質量部(20モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 12質量部(4.2モル%)
PGMEA 113質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 66質量部(55.3モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 37質量部(15.8モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 66質量部(25モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 11質量部(3.9モル%)
PGMEA 117質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 41質量部(80.0モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 36質量部(15.0モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 16質量部(5.0モル%)
PGMEA 129.93質量部
−材料−
ジメトキシジメチルシラン 34質量部(55.0モル%)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 44質量部(20.0モル%)
3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸 29質量部(15.0モル%)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン 10質量部(5.0モル%)
テトラエトキシシラン 10質量部(5.0モル%)
PGMEA 136.72質量部
D−1:多官能アクリレート、NKエステル A−TMMT(新中村化学工業(株)製、屈折率1.51)
D−2:Si原子含有の多官能ビニル化合物、VINYLTRIISOPROPENOXYSILANE(アズマックス株式会社製、屈折率1.44)
E−1:トリハロメチルトリアジン化合物(トリクロロメチルトリアジン化合物)である光重合開始剤、トリアジンPP(BASF製)
E−2:オキシムエステル系の光重合開始剤、IRGACURE OXE01(BASF製)
PGMEA:プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート
G−1:チオエーテル系の着色防止剤、アデカスタブ AO−412S((株)ADEKA製)、下記構造。
G−2:フェノール系の着色防止剤、アデカスタブ AO−80((株)ADEKA製)、下記構造。
H−1:EHPE3150((株)ダイセル製)
I−1:特開2009−217221号公報の化合物III、下記構造。
J−1:特開2009−288703号公報の化合物C、下記構造。
<L*>
上記で得られた各組成物を、下塗り層(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製CT−4000L;膜厚0.1μm)付き8インチ(1インチは2.54cmである)ガラスウェハ上に乾燥後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコータを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて、2cm×2cmのパターンを有するマスクを介して露光した。
その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウェハをスピンシャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行い、ガラスウェハ上に白色パターンを形成した。
白色パターンが形成されたガラスウェハを真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってガラスウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スプレー乾燥した。本明細書中、L*は、膜に含まれる溶剤が1質量%以下になった状態で測定する。
分光測光器X−rite528(商品名、X−rite社製)を用いて、測定条件をD65光源、観測視野を2°、白色基準はX−rite528(商品名、X−rite社製)に付属のキャリブレーション基準板のホワイトパッチを用いて、得られた白色パターンを測定した。CIE1976のL*a*b*表色系におけるL*値を、以下の基準で評価した。A、BまたはCの評価であれば実用上問題ないと判断する。AまたはBの評価であることが好ましく、Aの評価であることがより好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が50以上75以下である。
B:厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が40以上50未満または75を超え80以下である。
C:厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35以上40未満または80を超え85以下である。
D:厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が20以上35未満または85を超え90以下である。
E:厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が20未満または90を超える。
なお、各組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるa*およびb*は、下記以外の実施例の組成物を用いた場合は−10以上10以下であり、実施例22、29、30の組成物を用いた場合は−20以上−10未満または10を超え20以下であり、実施例21〜24の組成物を用いた場合は−30以上−20未満または20を超え30以下であった。
上記で得られた各組成物を用いて、常温(23℃)の条件で1ヶ月経時させた。1ヶ月経時した各組成物を用いてL*の測定方法と同様に白色パターンを作製した。その後、白色パターンの面内におけるL*の最大値と最小値の差を測定し、以下の基準で評価した。A、BまたはCの評価であれば実用上問題ないと判断する。AまたはBの評価であることが好ましく、Aの評価であることがより好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:L*の最大値と最小値の差が1.0未満。
B:L*の最大値と最小値の差が1.0以上、1.5未満。
C:L*の最大値と最小値の差が1.5以上、2.0未満。
D:L*の最大値と最小値の差が2.0以上、5.0未満。
E:L*の最大値と最小値の差が5.0以上。
上記で得られた各組成物を、恒温オーブン中に50℃で12時間静置した。50℃に昇温された組成物を、ミカサ製スピンコータMS−B100を用い、300rpmで5秒間、メイン回転数で20秒間の条件で4インチウェハに塗布し、膜厚3.0μmの膜を製造した。その際のメイン回転数について、下記のように分類を行い、塗布適性の評価とした。A、B、CまたはDの評価であることが好ましく、A、BまたはCの評価であることがより好ましく、AまたはBの評価であることがさらに好ましく、Aの評価であることが特に好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:メイン回転数1000以上2000rpm以下の範囲で膜厚3.0μmが塗布可能。
B:Aの条件では、膜厚3.0μmを塗布できないが、メイン回転数750以上1000rpm未満、2000より大きく2500rpm以下の範囲で膜厚3.0μmが塗布可能。
C:AおよびBの条件では、膜厚3.0μmを塗布できないが、メイン回転数500以上750rpm未満、2500より大きく3000rpm以下の範囲で膜厚3.0μmが塗布可能。
D:A、BおよびCの条件では、膜厚3.0μmを塗布できないが、メイン回転数3000より大きく4000rpm以下の範囲で膜厚3.0μmが塗布可能。
E:上記のメイン回転数の範囲内では膜厚3.0μmを得ることができない。
上記で得られた各組成物を、下塗り層付き8インチガラスウェハ上に乾燥後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコータを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて、2cm×2cmのパターンを有するマスクを介して露光した。
その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウェハをスピンシャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行い、ガラスウェハ上に白色パターンを形成した。
白色パターンが形成されたガラスウェハを真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってガラスウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スプレー乾燥した。その後230℃のホットプレートを用いて5分間加熱処理(ポストベーク)を行った。
得られた白色パターンと、白色パターンをN−メチル−2−ピロリジノン中に5分間浸漬した後の白色パターンの波長400〜700nmにおける透過率をMCPD−3000(大塚電子(株)製)を使用して測定した。その分光変動(ΔT%)について、最も分光変動が大きい波長での変動をΔTmaxとし、耐溶剤性の評価とした。変動が小さいほど耐溶剤性が良好であり、より望ましい。A、B、CまたはDの評価であることが好ましく、A、BまたはCの評価であることがより好ましく、AまたはBの評価であることがさらに好ましく、Aの評価であることが特に好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:ΔTmax<0.5%。
B:0.5%≦ΔTmax<1.0%。
C:1.0%≦ΔTmax<3.0%。
D:3.0%≦ΔTmax<5.0%。
E:ΔTmax≧5.0%。
上記で得られた各組成物を、塗布後の膜厚が3.0μmになるように、下塗り層付き8インチシリコンウェハ上にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で、100℃で2分間加熱して組成物層を得た。
次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、20μm四方のアイランドパターンを、マスクを介して露光(露光量50〜1700mJ/cm2)した。
次いで、露光後の組成物層に対し、現像装置(東京エレクトロン製Act8)を使用して現像を行った。現像液には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間シャワー現像を行った。その後、純水を用いたスピンシャワーにてリンスを行い、パターンを得た。得られたパターンの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(S−4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察(倍率:5000倍)し、評価した。パターン形状の評価基準は以下の通りである。A、B、CまたはDの評価であることが好ましく、A、BまたはCの評価であることがより好ましく、AまたはBの評価であることがさらに好ましく、Aの評価であることが特に好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:図1の(a)のようにパターンの一辺が直線である。
B:図1の(b)のようにパターンの角がやや丸まっている。
C:図1の(c)のようにパターンの一辺がやや丸まっている。
D:図1の(d)のようにパターンが丸まっている。
E:図1の(e)のようにパターンが丸い。
パターン形状の評価で作製したパターンの中で20μmのパターンサイズのパターン群を光学顕微鏡(オリンパス(株)製)にて観察した。密着性の評価基準は以下の通りである。A、B、CまたはDの評価であることが好ましく、A、BまたはCの評価であることがより好ましく、AまたはBの評価であることが特に好ましく、Aの評価であることがより特に好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
A:パターンに剥がれまたは欠けなし。
B:観測されるパターンの剥がれまたは欠けが0%より大きく5%未満である。
C:観測されるパターンの剥がれまたは欠けが5%以上10%未満である。
D:観測されるパターンの剥がれまたは欠けが10%以上30%未満である。
E:観測されるパターンの剥がれまたは欠けが30%以上である。
耐溶剤性の評価と同様の方法で作製したパターンの分光L*、a*、b*を分光測光器を用いて、測定条件をD65光源、観測視野を2°、白色基準はX−rite528(商品名、X−rite社製)に付属のキャリブレーション基準板のホワイトパッチを用いて測定した。分光測光器として、X−rite528(商品名、X−rite社製)を用いた。なお、測定の際には、パターンを形成したガラスウェハを、黒色レジストで被覆した台(黒色台)に置いて測定した。黒色台の黒色レジスト層のOD(Optical Density)は、400nmで3.5(透過率0.03%)、550nmで3.2(透過率0.06)、700nmで2.5(透過率0.32%)であり、400nm〜700nmの範囲における平均反射率は7%であった。黒色台のODは大塚電子(株)製「MCPD−3700」で測定し、反射率は日立ハイテクサイエンス(株)製「U−4100」で測定した。
ΔE*ab=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2〕1/2
A:色差ΔE*abが0以上0.5未満である。
B:色差ΔE*abが0.5以上1.0未満である。
C:色差ΔE*abが1.0以上2.0未満である。
D:色差ΔE*abが2.0以上3.0未満である。
E:色差ΔE*abが3.0以上である。
A、B、CまたはDの評価であることが好ましく、A、BまたはCの評価であることがより好ましく、AまたはBの評価であることがさらに好ましく、Aの評価であることが特に好ましい。得られた結果を下記表に記載した。
これに対し、樹脂の波長589nmの光に対する屈折率が2.1を下回る粒子を用い、また、粒子の波長589nmの光に対する屈折率と樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22を下回る比較例1および2の組成物は、厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35未満または85を超えることがわかった。波長589nmの光に対する屈折率が1.5を超える樹脂を用い、また、粒子の波長589nmの光に対する屈折率と樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22を下回る比較例3の組成物は、一ヶ月経時後の濃度ムラが大きいことがわかった。
各実施例の組成物を用いて耐溶剤性の評価で形成したパターンである厚さ3.0μmの膜について、波長400〜700nmの範囲における透過率を、大塚電子(株)製MCPD−3000を用いて5nmピッチで測定し、その平均値を平均透過率とした。
その結果、各実施例の膜は、厚さ3.0μm換算時の波長400〜700nmの範囲における平均透過率が1〜45%であることがわかった。
各実施例の組成物について、<パターン形状>の評価で用いた現像液の代わりに、本明細書に記載の溶剤で現像しても同様のパターンが得られる。
Claims (19)
- 粒子と樹脂とを含み、
前記粒子が波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上である粒子を少なくとも含み、
前記樹脂が波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下である樹脂を少なくとも含む、組成物。 - 粒子と樹脂とを含む組成物であって、
前記粒子のうち、前記組成物に含まれる最も屈折率の高い粒子の波長589nmの光に対する屈折率と、前記樹脂のうち、前記組成物に含まれる最も屈折率の低い樹脂の波長589nmの光に対する屈折率との差が1.22以上である、組成物。 - 前記組成物が硬化性組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記組成物を用いて厚さ3.0μmの膜を形成した場合のCIE1976のL*a*b*表色系におけるL*が35〜85である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記粒子は、無機粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記無機粒子は、白色顔料を含む、請求項5に記載の組成物。
- 前記無機粒子は、酸化チタンを含む、請求項5または6に記載の組成物。
- 前記粒子の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が2.1以上の粒子の含有量が80質量%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記樹脂の全質量に対する、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下の樹脂の含有量が5質量%以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記樹脂がアルカリ可溶性樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記樹脂がポリシロキサン系樹脂である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記ポリシロキサン系樹脂の側鎖のうち50モル%以上が炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基のうち少なくとも一方である、請求項11に記載の組成物。
- 前記組成物が、さらにラジカル重合性化合物および光重合開始剤を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物の全質量中における、波長589nmの光に対する屈折率が1.5以下のラジカル重合性化合物の含有量が80質量%以上である、請求項13に記載の組成物。
- 前記組成物が、さらに着色防止剤を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物から形成された、膜。
- 請求項16に記載の膜を硬化した、硬化膜。
- 請求項17に記載の硬化膜を有する、光学センサ。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を、パターンを有するマスクを介して露光する工程と、
露光された前記組成物を現像してパターン形成する工程と、を含む、膜の製造方法。
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