以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
<部品実装機の構成>
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、カットアンドクリンチ装置(図3参照)34、制御装置(図7参照)36を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、図2に示すように、吸着ノズル66が設けられており、その吸着ノズル66によって部品を吸着保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
また、マークカメラ26は、図2に示すように、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図7参照)80とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置80は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
カットアンドクリンチ装置34は、搬送装置50の下方に配設されており、図3に示すように、カットアンドクリンチユニット100とユニット移動装置102とを有している。カットアンドクリンチユニット100は、回路基材12に形成された貫通穴(図8参照)104に挿入されたリード部品(図8参照)106のリード(図8参照)108を切断するとともに、屈曲させる装置である。詳しくは、カットアンドクリンチユニット100は、図4に示すように、ユニット本体110と、1対のスライド体112と、ピッチ変更機構114とを含む。ユニット本体110の上端には、スライドレール116が、X方向に延びるように配設されている。そして、そのスライドレール116によって、1対のスライド体112が、スライド可能に支持されている。これにより、1対のスライド体112が、X方向において接近・離間する。また、ピッチ変更機構114は、電磁モータ118を有しており、電磁モータ118の作動により、1対のスライド体112の間の距離を制御可能に変更する。
また、1対のスライド体112の各々は、図5に示すように、固定部120と可動部122とスライド装置124とを含み、固定部120において、スライドレール116にスライド可能に保持されている。その固定部120の背面側には、X方向に延びるように、2本のスライドレール126が固定されており、それら2本のスライドレール126によって、可動部122がスライド可能に保持されている。これにより、可動部122は、固定部120に対してX方向にスライドする。また、スライド装置124は、電磁モータ(図7参照)128を有しており、電磁モータ128の作動により、可動部122が制御可能にスライドする。
また、固定部120の上端部は、先細形状とされており、その上端部を上下方向に貫通するように、第1挿入穴130が形成されている。第1挿入穴130は、上端において、固定部120の上端面に開口しており、その上端面への開口縁は、固定刃(図8参照)131とされている。また、第1挿入穴130は、下端において、固定部120の側面に開口しており、その側面への開口の下方に、廃棄ボックス132が配設されている。
また、図6に示すように、可動部122の上端部も、先細形状とされており、その上端部には、L字型に屈曲された屈曲部133が形成されている。屈曲部133は、固定部120の上端面の上方に延び出しており、屈曲部133と固定部120の上端とは、僅かなクリアランスを介して対向している。また、固定部120の上端面に開口する第1挿入穴130は、屈曲部133によって覆われているが、屈曲部133には、第1挿入穴130と対向するように、第2挿入穴136が形成されている。
なお、第2挿入穴136は、屈曲部133を上下方向に貫通する貫通穴であり、第2挿入穴136の内周面は、下方に向かうほど内径が小さくなるテーパ面とされている。さらに、第2挿入穴136の屈曲部133の下端面への開口縁は、可動刃(図8参照)138とされている。また、屈曲部133の上端面には、X方向、つまり、可動部122のスライド方向に延びるように、ガイド溝140が形成されている。ガイド溝140は、第2挿入穴136の開口を跨ぐように形成されており、ガイド溝140と第2挿入穴136とは繋がっている。そして、ガイド溝140は、屈曲部133の両側面に開口している。
また、ユニット移動装置102は、図3に示すように、X方向移動装置150とY方向移動装置152とZ方向移動装置154と自転装置156とを有している。X方向移動装置150は、スライドレール160とXスライダ162とを含む。スライドレール160は、X方向に延びるように配設されており、Xスライダ162は、スライドレール160にスライド可能に保持されている。そして、Xスライダ162は、電磁モータ(図7参照)164の駆動により、X方向に移動する。Y方向移動装置152は、スライドレール166とYスライダ168とを含む。スライドレール166は、Y方向に延びるようにXスライダ162に配設されており、Yスライダ168は、スライドレール166にスライド可能に保持されている。そして、Yスライダ168は、電磁モータ(図7参照)170の駆動により、Y方向に移動する。Z方向移動装置154は、スライドレール172とZスライダ174とを含む。スライドレール172は、Z方向に延びるようにYスライダ168に配設されており、Zスライダ174は、スライドレール172にスライド可能に保持されている。そして、Zスライダ174は、電磁モータ(図7参照)176の駆動により、Z方向に移動する。
また、自転装置156は、概して円盤状の回転テーブル178を有している。回転テーブル178は、それの軸心を中心に回転可能にZスライダ174に支持されており、電磁モータ(図7参照)180の駆動により、回転する。そして、回転テーブル178の上に、カットアンドクリンチユニット100が配設されている。このような構造により、カットアンドクリンチユニット100は、X方向移動装置150、Y方向移動装置152、Z方向移動装置154によって、任意の位置に移動するとともに、自転装置156によって、任意の角度に自転する。これにより、カットアンドクリンチユニット100を、クランプ装置52によって保持された回路基材12の下方において、任意の位置に位置決めすることが可能となる。
制御装置36は、図7に示すように、コントローラ190、複数の駆動回路192、画像処理装置196を備えている。複数の駆動回路192は、上記搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、トレイ型部品供給装置78、フィーダ型部品供給装置80、ばら部品供給装置32、電磁モータ118,128,164,170,176,180に接続されている。コントローラ190は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路192に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ190によって制御される。また、コントローラ190は、画像処理装置196にも接続されている。画像処理装置196は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ190は、画像データから各種情報を取得する。
<部品実装機の作動>
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、種々の部品を回路基材12に装着することが可能であるが、リード部品を回路基材12に装着する場合について、以下に説明する。
ちなみに、本明細書での「リード部品」は、回路基材12に形成された貫通穴に挿入される突起状の電極、所謂、リードを有し、その貫通穴に挿入されたリードがクリンチされた状態で回路基材12に装着される。そして、そのクリンチされたリードが、回路基材12にはんだ付けされることで、回路基材12に電気的に接続される。つまり、本明細書での「リード部品」は、回路基材12に電気的に接続される部品である。なお、リードは、回路基材12に電気的に接続されるものであればよく、リードの長さ,形状等により限定されない。つまり、例えば、リードの形状として、針金状、平坦な形状、角柱形状等、種々の形状のものを採用することが可能である。
部品装着時には、まず、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。そして、その撮像データに基づいて、回路基材12の保持位置等に関する情報が演算される。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32が、所定の供給位置において、リード部品106を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって、リード部品106の部品本体部(図8参照)200を吸着保持する。
続いて、リード部品106を保持した作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、吸着ノズル66に保持されたリード部品106が撮像される。そして、撮像データに基づいて、部品の保持位置等に関する情報が演算される。次に、パーツカメラ28によるリード部品106の撮像が完了すると、リード部品106を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、吸着ノズル66により保持されたリード部品106のリード108が、回路基材12に形成された貫通穴104に挿入される。この際、回路基材12の下方には、カットアンドクリンチユニット100が移動されている。
具体的には、カットアンドクリンチユニット100において、1対のスライド体112の可動部122の第2挿入穴136の間の距離が、回路基材12に形成された2つの貫通穴104の間の距離と同じとなるように、1対のスライド体112の間の距離が、ピッチ変更機構114によって調整される。そして、X方向移動装置150及びY方向移動装置152の作動により、スライド体112の第2挿入穴136のXY方向での座標と、回路基材12の貫通穴104のXY方向での座標とが一致するように、カットアンドクリンチユニット100が移動される。つまり、カットアンドクリンチユニット100が、貫通穴104の延びる方向と交差する方向であるXY方向に沿って移動されることで、スライド体112の第2挿入穴136と、回路基材12の貫通穴104とが上下方向に重なった状態となる。なお、貫通穴104の延びる方向は、回路基材12と交差する方向であり、貫通穴104が回路基材12に直行するように形成されている場合は、回路基材12に対して直行する方向、つまり、Z方向である。このため、カットアンドクリンチユニット100は、XY方向への移動によって、回路基材12に沿った方向に移動する。
さらに、カットアンドクリンチユニット100は、Z方向移動装置154の作動により、可動部122の上面が回路基材12の下面に接触、若しくは、回路基材12の下面より僅か下方に位置するように、上昇される。このように、X方向移動装置150,Y方向移動装置152,Z方向移動装置154の作動が制御されることで、スライド体112の第2挿入穴136と、回路基材12の貫通穴104とが重なった状態で、カットアンドクリンチユニット100が回路基材12の下方に配置される。
そして、吸着ノズル66により保持されたリード部品106のリード108が、回路基材12の貫通穴104に挿入されると、そのリード108の先端部は、図8に示すように、カットアンドクリンチユニット100の可動部122の第2挿入穴136を介して、固定部120の第1挿入穴130に挿入される。続いて、リード108が、第2挿入穴136を介して、第1挿入穴130に挿入されると、1対のスライド体112の可動部122が、離間する方向にスライドする。これにより、リード108が、図9に示すように、第1挿入穴130の固定刃131と第2挿入穴136の可動刃138とによって切断される。そして、リード108の切断により分離された先端部は、第1挿入穴130の内部において落下し、廃棄ボックス132に廃棄される。
また、1対の可動部122は、リード108を切断した後も、さらに離間する方向にスライドされる。このため、切断によるリード108の新たな先端部は、可動部122のスライドに伴って、第2挿入穴136の内周のテーパ面に沿って屈曲し、さらに、可動部122がスライドすることで、リード108の先端部がガイド溝140に沿って屈曲する。これにより、1対のリード108は、互いに離間する方向に屈曲し、リード108の貫通穴104からの抜けが防止された状態で、リード部品106が回路基材12に装着される。
なお、部品実装機10では、1対のリード108を互いに接近する方向に屈曲させた状態で、リード部品106を回路基材12に装着することが可能である。詳しくは、リード108を、第2挿入穴136を介して、第1挿入穴130に挿入させた後に、1対のスライド体112の可動部122を、接近する方向にスライドさせる。これにより、リード108が、図10に示すように、第1挿入穴130の固定刃131と第2挿入穴136の可動刃138とによって切断される。そして、1対の可動部122が、さらに接近する方向にスライドされることで、1対のリード108が、互いに接近する方向に屈曲する。このように、部品実装機10では、1対のリード108を互いに接近する方向に屈曲させた状態、若しくは、1対のリード108を互いに離間する方向に屈曲させた状態で、リード部品106が回路基材12に装着される。
そして、その屈曲されたリード108が、回路基材12にはんだ付けされることで、リード部品106は回路基材12に電気的に接続される。つまり、リード108は、リード部品106の回路基材12からの脱落を防止するとともに、回路基材12に電気的に接続される部位として機能する。なお、リードの屈曲は、リード部品の回路基材12からの脱落を防止するものであるため、リード部品が複数のリードを有する場合は、それら複数のリードの全てが屈曲されてもよく、複数のリードのうちの1部のリードのみが屈曲されてもよい。
また、回路基材12には、リード部品106、つまり、回路基材12に電気的に接続される部品だけなく、回路基材12に電気的に接続されない部品も装着される。具体的には、例えば、図11に示すように、回路基材12には、複数種類のリード部品106a〜106hが装着される。なお、DIP(Dual Inline Package),SIP(Single Inline Package),ZIP(Zigzag Inline Package),PGA(Pin Grid Array)等のパッケージ部品、大型のコネクタ部品等も、リードを有し、そのリードが回路基材12の貫通穴104に挿入されることで、回路基材12に装着されることから、リード部品である。
また、回路基材12には、リード部品106a〜106h以外に、部品ホルダ210及び、ヒートシンク212も装着される。部品ホルダ210は、リード部品106gの部品本体部200を回路基材12の表面から離間させた状態で自立させるように、リード部品106gを保持するための部品である。ヒートシンク212は、フィンを有し、そのフィンにより回路基材12の熱を放熱するための部品である。つまり、部品ホルダ210及び、ヒートシンク212は、回路基材12に電気的に接続されない部品である。ただし、部品ホルダ210及び、ヒートシンク212を回路基材12に固定するべく、部品ホルダ210及び、ヒートシンク212の各々の底面には、平板状の突起部が形成されている。そして、その突起部が回路基材12の貫通穴に挿入され、突起部が屈曲されることで、部品ホルダ210及び、ヒートシンク212が回路基材12に固定される。
具体的には、例えば、部品ホルダ210の側面には、1対の脚部220が設けられている。脚部220は、図12に示すように、本体部222と突起部224とにより構成されている。本体部222は、平板状をなし、部品ホルダ210の側面に固定される。突起部224は、概してL字型の平板状をなし、本体部222の下縁から下方に向かって突出している。また、突起部224は、本体部222の下縁から下方に向かって突出する基端部226と、その基端部226の下端部から側方に向かって延び出す屈曲部228とを含む。
そして、回路基材12には、脚部220の突起部224の形状に応じた貫通穴229が形成されており、その貫通穴229に突起部224が挿入される。なお、突起部224の基端部226の長さ寸法は、回路基材12の厚さ寸法より長い。このため、脚部220の突起部224が貫通穴229の根本まで挿入されることで、図13に示すように、突起部224の屈曲部228は、回路基材12の下面側に延び出す。なお、1対の貫通穴229に挿入された1対の突起部224の間には、部品ホルダ210によって保持されるリード部品106gのリード108gが、貫通穴104を介して、回路基材12の下面側に延び出している。
次に、貫通穴229に突起部224が挿入されると、その突起部224がカットアンドクリンチユニット100によって屈曲される。具体的には、突起部224が貫通穴229に挿入される際に、回路基材12の下方には、カットアンドクリンチユニット100が移動されている。詳しくは、カットアンドクリンチユニット100において、1対のスライド体112の可動部122の互いに向かい合う側面230と反対側の側面232の間の距離が、回路基材12に形成された2つの貫通穴229の間の距離より僅かに短くなるように、1対のスライド体112の間の距離が、ピッチ変更機構114によって調整される。そして、X方向移動装置150及びY方向移動装置152の作動により、1対の可動部122を結ぶ直線と、2つの貫通穴229を結ぶ直線とが一致した状態で、1対の可動部122が2つの貫通穴229の内側に位置するとともに、貫通穴229と上下方向で重ならないように、カットアンドクリンチユニット100が移動される。さらに、カットアンドクリンチユニット100は、Z方向移動装置154の作動により、可動部122の下面が所定の高さに位置するように、上昇される。この所定の高さは、貫通穴229に突起部224が挿入された際に、その突起部224の下端と、可動部122の下面とが同じ高さとなるように設定されている。
このように、X方向移動装置150,Y方向移動装置152,Z方向移動装置154の作動が制御されることで、貫通穴229に突起部224が挿入された場合に、図14及び図15に示すように、その突起部224の回路基材12の下面側に延び出す屈曲部228と、スライド体112の可動部122の側面232とが対向する。なお、図14は、部品ホルダ210とスライド体112との位置関係を側方からの視点で示した図であり、図15は、部品ホルダ210とスライド体112との位置関係を上方からの視点で示した図である。また、突起部224の屈曲部228は、屈曲部228の基端部226に連続する端部と反対側の先端部において、可動部122の側面232と対向する。
そして、1対のスライド体112の可動部122が、図16及び図17に示すように、離間する方向にスライドすることで、可動部122の側面232が、屈曲部228の先端部に当接し、屈曲部228が外側に向かって屈曲する。この際、可動部122の側面232は、屈曲部228の先端部に当接するため、屈曲部228が基端部226を中心に外側に向かって捩じられて、屈曲する。これにより、図18に示すように、1対の突起部224の屈曲部228が、互いに離間する方向に屈曲し、突起部224の貫通穴229からの抜けが防止された状態で、部品ホルダ210が回路基材12に装着される。このように、カットアンドクリンチユニット100では、リード108を屈曲するための第1挿入穴130,第2挿入穴136を用いずに、その挿入穴と別の部位、つまり、可動部122の側面を用いて、屈曲部228が屈曲される。
また、部品実装機10では、1対の屈曲部228を互いに接近する方向に屈曲させた状態で、部品ホルダ210を回路基材12に装着することが可能である。詳しくは、カットアンドクリンチユニット100が回路基材12の下方に移動される際に、1対のスライド体112の可動部122の互いに向かい合う側面230の間の距離が、回路基材12に形成された2つの貫通穴229の間の距離より僅かに長くなるように、1対のスライド体112の間の距離が、ピッチ変更機構114によって調整される。そして、X方向移動装置150及びY方向移動装置152の作動により、1対の可動部122を結ぶ直線と、2つの貫通穴229を結ぶ直線とが一致した状態で、1対の可動部122が2つの貫通穴229の外側に位置するとともに、貫通穴229と上下方向で重ならないように、カットアンドクリンチユニット100が移動される。さらに、カットアンドクリンチユニット100は、Z方向移動装置154の作動により、可動部122の下面が所定の高さに位置するように、上昇される。この所定の高さは、貫通穴229に突起部224が挿入された際に、その突起部224の下端と、可動部122の下面とが同じ高さとなるように設定されている。
このように、X方向移動装置150,Y方向移動装置152,Z方向移動装置154の作動が制御されることで、貫通穴229に突起部224が挿入された場合に、図19及び図20に示すように、その突起部224の回路基材12の下面側に延び出す屈曲部228と、スライド体112の可動部122の側面230とが対向する。そして、1対のスライド体112の可動部122が、図21及び図22に示すように、接近する方向にスライドすることで、可動部122の側面230が、屈曲部228の先端部に当接し、屈曲部228が内側に向かって屈曲する。これにより、1対の突起部224の屈曲部228が、互いに接近する方向に屈曲し、突起部224の貫通穴229からの抜けが防止された状態で、部品ホルダ210が回路基材12に装着される。
なお、部品ホルダ210は、回路基材12に電気的に接続されない部品であるため、貫通穴229に挿入され、屈曲された屈曲部228ははんだ付けされない。つまり、屈曲部228は、部品ホルダ210の回路基材12からの脱落を防止するための部位として機能するが、リード108のように、回路基材12に電気的に接続される部位として機能しない。
また、ヒートシンク212の下面側にも、部品ホルダ210の突起部224と略同形状の突起部(図示省略)が設けられている。そして、その突起部も、部品ホルダ210の突起部224と同様に、貫通穴229に挿入され、屈曲されることで、ヒートシンク212が回路基材12に固定される。
また、回路基材12に電気的に接続されない部品として、図23に示す部品ホルダ250が挙げられる。この部品ホルダ250は、回路基材12に装着された複数のリード部品106を自立させた状態で保持するための部品である。また、回路基材12に電気的に接続されない部品として、図24に示す部品カバー252が挙げられる。この部品カバー252は、回路基材12に装着されたリード部品106を覆うことで、リード108への電気的影響,リード108への異物の侵入等を防止するための部品である。それら部品ホルダ250及び、部品カバー252の下面側にも、部品ホルダ210の突起部224と略同形状の突起部(図示省略)が複数設けられており、それら複数の突起部が、部品ホルダ210の突起部224と同様に、複数の貫通穴229に挿入され、屈曲されることで、部品ホルダ250及び、部品カバー252が回路基材12に固定される。
なお、貫通穴229に挿入された複数の突起部の全てを屈曲してもよく、それら複数の突起部のうちの一部のみを屈曲してもよい。具体的には、例えば、部品カバー252の下端の4隅に4つの突起部が配設されている場合に、それら4つの突起部を屈曲してもよく、4つの屈曲部のうちの対角に位置する2つの突起部、または、隣り合う2つの突起部を屈曲してもよい。つまり、カットアンドクリンチユニット100は、電気的に回路基材12に接続されない部品が複数の突起部を有している場合に、複数の突起部の全てを屈曲させてもよく、複数の突起部の一部のみを屈曲させてもよい。
さらに言えば、回路基材12には、電気的に接続される部品と電気的に接続されない部品とが一体化された部品(以下、「一体部品」と記載する)も装着される。具体的には、一体部品260は、図25に示すように、リード部品262と部品ホルダ264とから構成されている。リード部品262は、部品本体部266と、その部品本体部266の側面から下方に向かって延び出すリード268とを含む。一方、部品ホルダ264は、ホルダ部270と1対のL字形状の突起部272と1対の矩形の突起部274とを含む。ホルダ部270は、リード部品262の部品本体部266と一体的に構成されており、リード部品262を保持する。また、突起部272は、部品ホルダ210の突起部224と略同形状をなし、ホルダ部270の下端面に下方の延び出すように配設されている。また、突起部274も、ホルダ部270の下端面に下方の延び出すように配設されている。
このような構造の一体部品260が回路基材12に装着される際に、リード268が回路基材12の貫通穴104に挿入され、突起部272,274が回路基材12の貫通穴229に挿入される。そして、突起部272は、部品ホルダ210の突起部224と同様に、カットアンドクリンチユニット100において、可動部122の側面230,232に当接されることで、屈曲される。なお、突起部274は、単なる位置決めであり、屈曲されない。また、一体部品260では、突起部272の屈曲により回路基材12からの脱落が防止されるため、リード268は屈曲されない。ただし、一体部品260の回路基材12でのガタツキを防止するべく、突起部274とリード268との両方を、さらに、屈曲してもよい。また、突起部274とリード268との一方を屈曲してもよい。さらに言えば、突起部272を屈曲せずに、突起部274とリード268との少なくとも一方を屈曲してもよい。なお、リード268が屈曲される場合は、リード部品106のリード108と同様に、カットアンドクリンチユニット100において、リード268が、可動部122の第1挿入穴130及び第2挿入穴136に挿入され、可動部122がスライドされることで、屈曲される。
このように、一体部品260は、回路基材12に電気的に接続される部位として機能するリード268と、回路基材12に電気的に接続されず、一体部品260を回路基材12に固定するための部位として機能する突起部272と、回路基材12に電気的に接続されず、一体部品260を回路基材12に位置決めするための部位として機能する突起部274とを有している。つまり、一体部品260では、回路基材12の貫通穴に挿入される部位のうちの一部が、回路基材12に電気的に接続されるリード268であり、一部が、回路基材12に電気的に接続されず、一体部品260を回路基材12に固定するため突起部272であり、一部が、回路基材12に電気的に接続されず、一体部品260を回路基材12に位置決めするため突起部272である。つまり、一体部品260では、回路基材12に電気的に接続されない突起部272,274のうちの突起部272は屈曲され、突起部274は屈曲されない。一方、部品ホルダ210等は、回路基材12に電気的に接続される必要が無いため、回路基材12に電気的に接続される部位として機能するリードを有しておらず、回路基材12に電気的に接続されず、部品ホルダ210等を回路基材12に固定するための部位として機能する突起部224のみを有している。つまり、部品ホルダ210等では、回路基材12の貫通穴に挿入される部位のうちの全てが、回路基材12に電気的に接続されず、部品ホルダ210等を回路基材12に固定するため突起部224である。
このように、部品実装機10では、カットアンドクリンチユニット100によって、電気的に接続されない突起部224,272が屈曲される。これにより、タクトタイムの遅延,作業の煩雑化の防止を図るとともに、低コスト化を図ることが可能となる。詳しくは、従来、電気的に接続されない突起部224,272を屈曲させるための装置は、部品実装機の機外に設けられていた。このため、その突起部224,272を屈曲させるためには、部品実装機から回路基材12を取り出し、機外の装置において突起部224,272の屈曲作業を行う必要があり、タクトタイムの遅延,作業の煩雑化等が生じていた。一方、部品実装機10では、部品実装機内で、電気的に接続されない突起部224,272が屈曲されるため、タクトタイムの遅延,作業の煩雑化の防止を図ることが可能となる。また、部品実装機10では、リード部品106のリード108を切断し、屈曲するためのカットアンドクリンチユニット100を利用して、電気的に接続されない突起部224,272が屈曲される。これにより、突起部224,272を屈曲するための専用の装置を設ける必要が無くなり、コストの削減を図ることが可能となる。
また、部品実装機10は、対基板作業機の一例である。カットアンドクリンチユニット100は、屈曲装置の一例である。ユニット移動装置102は、移動装置の一例である。リード108,268は、突起部および、接続突起部の一例である。突起部224,272は、突起部および、非接続突起部の一例である。第1挿入穴130および、第2挿入穴136は、挿入穴の一例である。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、カットアンドクリンチユニット100を利用して、回路基材12に電気的に接続されない突起部224,272が屈曲されているが、突起部224,272を屈曲させるための専用の屈曲装置を設けてもよい。この場合、その屈曲装置は、ユニット移動装置102により回路基材12の下方において移動可能とされる必要がある。
また、上記実施例では、突起部224,272が概してL字型の平板状とされ、その突起部224,272が捩じられることで、屈曲されているが、屈曲部を概して矩形の平板状とし、屈曲部の下縁全体が回路基材12に下面に接近するように屈曲させてもよい。また、屈曲部の形状は、平板上に限られず、回路基材12の貫通穴に挿入され、屈曲可能な形状であれば、棒状,線状,柱状,凸状等,種々の形状を採用することが可能である。
また、上記実施例では、突起部224,272が可動部122の側面に当接することで、屈曲されているが、可動部122の種々の部位に当接させることで突起部224,272を屈曲させてもよい。例えば、可動部122に凸部を形成し、その凸部に突起部224を係合させた状態で、可動部122をスライドさせることで、突起部224,272を屈曲させてもよく、可動部122に凹部を形成し、その凹部に突起部224,272を挿入させた状態で、可動部122をスライドさせることで、突起部224,272を屈曲させてもよい。また、突起部が第1挿入穴130及び第2挿入穴136に挿入可能な形状である場合には、突起部を第1挿入穴130及び第2挿入穴136に挿入させた状態で、可動部122をスライドさせることで、突起部を屈曲させてもよい。
また、上記実施例では、可動部122のスライドにより、突起部が屈曲されているが、突起部に可動部材を接触させた状態で、その可動部材を搖動,回転等、移動させることで、突起部を屈曲させてもよい。
また、上記実施例では、リード部品262と部品ホルダ264とが一体化された一体部品260が回路基材12に装着されるが、表面実装部品と、その表面実装部品を保持する部品ホルダとが一体化された部品を回路基材12に装着することが可能である。つまり、電気的に回路基材12に接続されない部品と、表面実装部品とが一体化された部品を回路基材12に装着することが可能である。この場合には、電気的に回路基材12に接続されない部品の底部に、複数の屈曲部228が形成され、それら複数の屈曲部228の1部、若しくは、全てがカットアンドクリンチユニット100により屈曲される。また、表面実装部品は、バンプ,電極パッドなどの貫通穴104に挿入されない端子によって電気的に接続される。つまり、バンプ,電極パッドなどの貫通穴104に挿入されない端子も、本発明の「接続突起部」に該当する。
また、上記実施例では、回路基材12に電気的に接続されない部品として、部品ホルダ210,250、ヒートシンク212、部品カバー252が採用されているが、リード部品以外の電子部品を保持若しくは、カバーするための部品,電子部品と電子部品とを区画するための部品等、電力を必要としない部品であれば、種々の部品を採用することが可能である。
また、上記実施例では、カットアンドクリンチユニット100は、貫通穴229の形成方向(Z方向)に対して、直行する方向(X方向及びY方向)に移動可能とされているが、貫通穴229の形成方向(Z方向)に対して、交差する方向に移動可能とされてもよい。つまり、貫通穴229の形成方向(Z方向)に対して直行する平面(XY平面)から所定の角度ズレた方向に、カットアンドクリンチユニット100を移動可能な構成としてもよい。