JPWO2017038575A1 - 薬液注入回路、該薬液注入回路を備えた薬液注入システムおよび医用画像撮像システム - Google Patents

薬液注入回路、該薬液注入回路を備えた薬液注入システムおよび医用画像撮像システム Download PDF

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Abstract

薬液の注入に関する様々な事項をより簡易な構成で検出する。
薬液注入回路200は、シリンジと接続される少なくとも1つのチューブ201〜203と、これらチューブ201〜203とともに液体の流路の一部を形成する導管を備えた熱式の流量センサ210と、を有する。流量センサ210は、導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果としてシリンジのピストンの動作を制御する注入制御ユニットに出力する。

Description

本発明は、医用画像を撮像する際に造影剤などの薬液を注入するのに用いられる薬液注入回路および該薬液注入回路を備えた薬液注入システム等に関する。
医療用の画像診断装置としては、CT装置、MRI装置、アンギオ装置、PET装置、MRA装置および超音波画像診断装置などがある。これらの装置を使用して医用画像を撮像する際は、造影効果を高めるために、造影剤や生理食塩水などの薬液を被験者に注入することが多い。注入される薬液はシリンジに充填されていることが多く、また、シリンジに充填されている薬液は、薬液注入装置を用いて予め設定された注入条件に従って自動的に注入される。薬液注入装置を用いた薬液の注入では、薬液注入装置に搭載されたシリンジと被験者とを接続するために、カテーテル、留置針および各種チューブなどで注入回路が構成される。
薬液注入装置を用いた薬液の注入では、例えば、被験者の血圧をモニターしたり、注入回路が正常に接続されているかを確認したり、被験者の体内での薬液の漏出をモニターしたり、設定された注入条件に従って薬液が注入されているかどうかをモニターしたりするために、様々なセンサが用いられることが多い。
例えば、アンギオ装置を用いた血管造影では、X線透視下で患部を確認しながら被験者にカテーテルを挿入し、治療を行うことが行われるようになっている。アンギオ装置を用いた患部を確認しながらの治療において、例えば、冠動脈に生じた血栓を溶解する治療では、カテーテルを冠動脈の閉塞部位まで進めて、その先端から血栓溶解剤を噴出させる。X線透視下であっても、造影剤なしでは血管を像として認識することができないので、閉塞部位の確認、あるいは冠動脈までカテーテルを導くために造影剤が用いられる。また同時に、安全確認のために、被験者の血圧をモニターしながらカテーテルを挿入する。
被験者の血圧をモニターできる注入回路として、特許文献1(特許第4338446号公報)に開示されたような注入回路が知られている。特許文献1に開示された注入回路は、造影剤が充填されたシリンジに末端が連結される薬液注入チューブと、薬液注入チューブ内での薬液の移動を末端側から先端側へ制限するように薬液注入チューブに設けられた一方弁と、末端に圧力トランスデューサが連結され、先端が薬液注入チューブの一方弁よりも先端側に接続された血圧検出チューブと、を有している。
このように構成された注入回路によれば、造影剤を注入していないときには血管を流動する血液の圧力が、圧力トランスデューサまで伝達され、この圧力トランスデューサにより血圧が直接的に検出される。ただし、この種の注入回路に用いられる圧力トランスデューサは、一般に、造影剤の注入圧力に比較して耐圧値が低い。そのため、造影剤の注入時に、造影剤による高い圧力が血圧検出チューブを通じて圧力トランスデューサに伝達されると、圧力トランスデューサが破壊されるおそれがある。そこで特許文献1に開示された注入回路は、所定の圧力よりも高い圧力で薬液が注入されると血圧検出チューブを遮断するスイッチングバルブを血圧検出チューブに設け、薬液注入によって生じる圧力が圧力トランスデューサに伝達されないようにしている。
また、CT装置などを用いた断層画像の撮像では、被験者の血管に穿刺された留置針を介して造影剤が注入される。この際、留置針の先端が血管内に位置しているかどうかを確認したり、注入された薬液が血管外へ漏出していないかどうかを検出したりすることが行われる場合がある。留置針の先端位置の確認は「ルート確認」とも呼ばれ、シリンジのピストンを後退させたときに注入回路内への血液の流入の有無を確認することによって行うことができる。また、薬液の血管外漏出は、例えば、特許文献2(国際公開第2006/030764号)に記載のように、発光素子および受光素子を内蔵した漏出検出ユニットを留置針の先端位置近傍で被験者の体表面に密着させ、被験者の体内に向けて発光素子から出射した光を受光素子で検出し、その強度の変化によって検出することができる。
さらには、何れの種類の薬液注入システムであるかにかかわらず、注入動作中の注入圧力、注入量および注入速度がモニターされる。注入圧力は、シリンジのピストンを動作させるピストン駆動機構に作用する力をロードセル等の力センサによって検出したり、ピストン駆動機構を駆動するモータに流れるモータ電流を測定したりすることによって求めることができる。注入量は、ピストン駆動機構の移動量から求めることができ、そのためにリニアエンコーダあるいはモータの回転量をカウントするロータリーエンコーダ等が用いられる。注入速度は、単位時間当たりのピストン駆動機構の移動量から算出することができる。
特許第4338446号公報 国際公開第2006/030764号
上述のように、薬液注入装置を用いた薬液の注入に際しては、検出あるいはモニターする事項に応じて専用のセンサを用いたり、特定の動作を実行したりしていた。そのため、検出あるいはモニターする事項が多くなればなるほど、システムの構成が複雑になり、また、検出あるいはモニターのための様々な処理が必要となっていた。
本発明は、薬液の注入に関する様々な事項をより簡易な構成で検出できる薬液注入回路および該薬液注入回路を備えた薬液注入システム等を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、容器に充填された薬液を注入する際に用いられる薬液注入回路であって、
少なくとも1つのチューブを有し、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、
前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置された少なくとも1つの熱式流量センサであって、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備え、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として出力するように構成された熱式流量センサと、
を有する薬液注入回路が提供される。
本発明の他の態様によれば、容器に充填された薬液を注入する薬液注入システムであって、
少なくとも1つの容器が着脱自在に装着され、前記容器から薬液を注入させるように構成された少なくとも1つの駆動機構を備えた注入ヘッドと、
前記容器と接続される薬液注入回路と、
前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、
を有し、
前記薬液注入回路は、
少なくとも1つのチューブを有し、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、
前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置された少なくとも1つの熱式流量センサであって、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備え、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として前記注入制御ユニットに出力するように構成された熱式流量センサと、
を有する薬液注入システムが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、上記本発明の薬液注入システムと、
前記薬液注入システムによって薬液が注入された被験者から医用画像を取得する医用画像撮像装置と、
を有する医用画像撮像システムが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、少なくとも1つの容器が着脱自在に搭載され、前記容器から薬液を注入させるように構成された少なくとも1つの駆動機構を備えた注入ヘッドと、前記容器と接続される薬液注入回路と、前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、を有し、前記薬液注入回路が、少なくとも1つのチューブを有する、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置され、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備えた少なくとも1つの熱式流量センサと、を有する薬液注入システムの作動方法であって、
前記熱式流量センサが、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として前記注入制御ユニットに出力するステップと、
前記注入制御ユニットが、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて所定の機能を実行するステップと、
を有する薬液注入システムの作動方法が提供される。
(本発明で用いる用語の定義)
「注入回路」とは、被験者の血管内への薬液の注入のために容器に接続される、薬液を流通させるための経路を意味し、薬液が流通する少なくとも1つのチューブ、チューブに取り付けられる種々の部品を含む。さらに、「注入回路」は、被験者の血管内に挿入されるカテーテルまたは被験者の血管に穿刺される留置針を含んでいてもよい。複数の薬液を注入可能とする場合、注入回路は、複数のチューブの組み合わせにより、上記カテーテルまたは留置針と接続される先端側と反対側である末端側が複数に分岐した形態とされていてもよい。注入回路は、使用時の配置によって、すべてが被験者の体内に位置する「体外回路部」と、少なくとも一部が体内に位置する「体内回路部」とに区分することができる。この区分に従えば、上記カテーテルまたは留置針は体内回路部に属し、それ以外の部材は体外回路部に属する。したがって、「注入回路」は、体内回路部および体外回路部のうち少なくとも体外回路部を含む、ということができる。
注入回路、チューブユニットおよびチューブの「先端」とは、薬液を注入するために注入回路が被験者に接続されたときに、被験者に最も近い端を意味する。注入回路、チューブユニットおよびチューブの「末端」とは、それらの長手方向において「先端」と反対側の端を意味する。注入回路の形態によっては、「末端」が1つだけの場合もあるし、複数の「末端」を有することもある。
本発明によれば、注入回路を介して容器内の薬液を注入するシステムにおいて、注入回路が熱式流量センサを備えることで、圧力を求めたり、異常の発生を判断したり、熱式流量センサからの検出結果を利用してシステムに様々な機能を与えることができる。
本発明の一実施形態による医用画像撮像システムの概略ブロック図である。 図1に示す注入回路の一形態を示す図である。 図2に示す注入回路に設けられた流量センサの一形態の断面図である。 本発明の一実施形態による薬液注入装置の外観を示す斜視図である。 図4に示す注入ヘッドを、それに装着されるシリンジとともに示す斜視図である。 図4に示す薬液注入装置において、注入条件を設定する際に表示される注入条件設定用画面の一例を示す図である。 図6に示す注入条件設定用画面において、注入モードが希釈注入モードであるとき、希釈比率を変更する場合に表示される画面の一例を示す図である。 本発明の他の実施形態による医用画像撮像システムの外観を示す斜視図である。 図8に示す医用画像撮像システムの概略ブロック図である。 図8に示す注入ヘッドの斜視図である。 図8に示す注入ヘッドへのシリンジの装着手順を説明する図である。 図8に示す注入ヘッドへのシリンジの装着手順を説明する図であり、図11に示した手順の次のステップを示す。 図8に示す注入ヘッドにシリンジが正常に保持された状態での、RFIDタグとRFIDモジュールとの位置関係を示す断面図である。 本発明の他の形態による注入回路の図である。 図14に示す注入回路における、流量センサの配置の変更例を示す図である。 本発明の注入回路が備えることができるミキシングデバイスの一例の模式図である。 図16Aに示すミキシングデバイスの斜視図である。 図16Aに示すミキシングデバイスの断面図である。 本発明のさらに他の形態による注入回路の図である。 図17に示す注入回路の一変更例を示す図である。 本発明で使用可能な、注入ヘッド用の支持アームユニットの一例を示す図である。
図1を参照すると、薬液注入装置100と、注入回路200と、医用画像撮像装置500と、を有する、本発明の一実施形態による医用画像撮像システムのブロック図が示されている。薬液注入装置100と注入回路200とは薬液注入システムを構成する。また、薬液注入装置100と医用画像撮像装置500とは、相互間でデータの送受信を行うことができるように互いに接続されることができる。両者の接続は、有線接続とすることもできるし、無線接続とすることもできる。
医用画像撮像装置500は、撮像動作を実行する撮像動作ユニット520と、撮像動作ユニット520の動作を制御する撮像制御ユニット510と、を有しており、薬液注入装置100によって薬液が注入された被験者の断層画像および/または三次元画像を含む医用画像を取得することができる。撮像動作ユニット520は、通常、被験者用の寝台、寝台上の所定の空間に電磁波を照射する電磁波照射ユニット等を有する。撮像制御ユニット510は、撮像条件を決定したり、決定した撮像条件に従って撮像動作ユニット520の動作を制御したりする等、医用画像撮像装置全体の動作を制御する。撮像制御ユニット510は、いわゆるマイクロコンピュータを含んで構成することができ、CPU、ROM、RAM、他の機器とのインターフェースを有することができる。ROMには、医用画像撮像装置500の制御用のコンピュータプログラムが実装されている。CPUは、このコンピュータプログラムに対応して各種機能を実行することで、医用画像撮像装置500の各部の動作を制御する。
医用画像撮像装置500は、撮像条件や取得した医用画像などを表示できる液晶ディスプレイなどの表示ユニット504、および撮像条件などを入力するための、キーボードおよび/またはマウスなどの入力ユニット503をさらに含むことができる。撮像条件を決定するのに用いられるデータの少なくとも一部は入力ユニット503から入力され、撮像制御ユニット510に送信される。表示ユニット504に表示されるデータは撮像制御ユニット510から送信される。また、表示ユニットのディスプレイ上に入力ユニットとしてタッチスクリーンを配置したタッチパネルを入力ユニット503および表示ユニット504として用いることもできる。入力ユニット503の一部、表示ユニット504および撮像制御ユニット510は、医用画像撮像装置用のコンソールとして一つの筐体に組み込むことができる。
薬液注入装置100は、容器であるシリンジに充填された薬液を、注入回路を介して被験者の血管内に注入するのに使用される装置であり、複数のピストン駆動機構130a、130bと、入力ユニット103と、表示ユニット104と、注入制御ユニット101と、を有する。ピストン駆動機構130a、130bは、シリンジから薬液を注入させるようにシリンジのピストンを操作する機構であり、本形態では、2種類の薬液を別々にまたは同時に注入できるように、2つのシリンジについてそれぞれのピストンを独立して操作する2つのピストン駆動機構130a、130bを有している。しかし、一方の薬液注入のためのピストン駆動機構130aおよび他方の薬液注入のためのピストン駆動機構130bの少なくとも一方が複数であってもよい。
注入制御ユニット101は、入力ユニット103から入力されたデータの少なくとも一部を用いて薬液の注入量および注入速度等の注入条件を決定したり、決定した注入条件に従ってシリンジから薬液が注入されるようにピストン駆動機構130a、130bの動作を制御したり、表示ユニット104の表示の制御をしたり、詳しくは後述する流量センサ210からの出力に応じた所定の処理を実行したりする等、この薬液注入装置全体の動作を制御する。注入制御ユニット101は、いわゆるマイクロコンピュータを含んで構成することができ、CPU、ROM、RAM、他の機器とのインターフェースを有することができる。ROMには、薬液注入装置100の制御用のコンピュータプログラムが実装されている。CPUは、このコンピュータプログラムに対応して各種機能を実行することで、薬液注入装置100の各部の動作を制御することができる。
入力ユニット103は、注入制御ユニット101で薬液の注入条件を決定するのに用いられるデータなどを入力するのに用いられるユニットである。入力ユニット103としては、例えば、キーボードおよび/またはマウスなどの公知の入力デバイスであってよい。入力ユニット103から入力されたデータは注入制御ユニット101に送信され、表示ユニット104に表示されるデータは注入制御ユニット101から送信される。表示ユニット104は、注入制御ユニット101によって制御されて、薬液の注入条件の決定に必要なデータ等の表示、注入プロトコルの表示、注入動作の表示、各種警告の表示等を行う。
注入プロトコルとは、どのような薬液を、どれだけの量、どれくらいの速度で注入するかを示すものである。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するものであってもよい。また、複数種の薬液、例えば造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も注入プロトコルに含まれる。注入プロトコルは、公知の任意の注入プロトコルを用いることができる。また、注入プロトコルの作成手順についても、公知の手順を用いることができる。また、注入プロトコルは、注入圧力の許容最大値(圧力リミット)を含むこともある。圧力リミットが設定された場合は、注入動作中、注入圧力が監視され、注入圧力が、設定された圧力リミットを超えないようにピストン駆動機構130a、130bの動作が制御される。
表示ユニット104としては、例えば液晶ディスプレイ装置等、公知の表示装置であってよい。また、表示ユニットのディスプレイ上に入力ユニットとしてタッチスクリーンを配置したタッチパネルを入力ユニット103および表示ユニット104として用いることもできる。入力ユニット103の一部、表示ユニット104および注入制御ユニット101は、薬液注入装置用のコンソールとして一つの筐体に組み込むことができる。
注入回路200は、シリンジと被験者とを連絡する液体の流路を構成するものであり、少なくとも1本のチューブを備える、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、少なくとも1つのコネクタおよび流量センサ210を有することができる。流量センサ210は、チューブユニットの先端から末端までの間に配置される。また、チューブユニットは、容器などとの接続のために少なくとも1つのコネクタをさらに有することができる。本発明で好適に用いることのできる注入回路200の一形態を図2に示す。
図2に示す注入回路200は、第1チューブ201、複数の第2チューブ202、203およびこれらを接続するT字コネクタ204を有しており、全体として、末端側が分岐した分岐チューブの形態をとっている。第1チューブ201は、カテーテル等の体内回路部との接続のためのコネクタ207をその先端に有している。第2チューブ202、203は、それぞれシリンジとの接続のためのコネクタ205、206をそれらの末端に有している。注入回路200は、コネクタ207によって接続される、カテーテルあるいは留置針といった体内回路部をさらに含むこともできる。
第2チューブ202、203のそれぞれに連結されたコネクタ205、206のうち少なくとも一つは、一方弁を備えていてもよい。一方弁は、液体の背圧によって作動して流路を閉鎖する弁体を有しており、注入回路200の先端側から末端側、すなわちカテーテル等が接続される側からシリンジが接続される側への液体の逆流を防止する働きをする。一方弁の少なくとも一つは、所定の操作により任意に弁体を流路の開放位置に保持することのできるリリース機能を有していてもよい。リリース機能を有する一方弁を用いることによって、通常は血液がシリンジ側へ逆流することを防止できるが、カテーテル等の先端が正常に被験者の血管内に位置しているかどうか確認するためにシリンジのピストンを後退させ、注入回路200への血液の流入の有無を確認する、いわゆるルートチェック等が可能となる。
注入回路200は、流量センサ210をさらに備えている。流量センサ210は、第1チューブ201、第2チューブ202、203とともに液体の流路の一部を構成する導管を有する。流量センサ210は、注入制御ユニット101(図1参照)と電気的に接続されており、この導管内での液体(薬液)の移動に応じた電気信号を検出結果として、注入制御ユニット101に出力(送信)する。流量センサ210は、一定の時間間隔で検出動作を行い、その検出の都度、検出結果を注入制御ユニット101に送信するようにすることができる。注入制御ユニット101は、送信された検出結果を利用して、薬液および薬液注入装置100に関する様々な項目を求めることができる。
注入制御ユニットと流量センサ210との電気的接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。また、流量センサ210の駆動用の電力は、外部の電源ユニットから供給することができる。あるいは、流量センサ210をバッテリが内蔵されたユニットとして構成し、そのバッテリから駆動される電力で流量センサ210が駆動されるようにすることもできる。
注入回路200での流量センサ210の位置は、注入回路200の先端から末端までの間の任意の位置であってよい。ただし、注入回路200は、可撓性を有するチューブが大きな割合を占めて構成されることが多いことから、チューブの固定が不十分な位置に流量センサ210が取り付けられていると、チューブの揺れなどに起因する意図しない動きによって流量センサ210の流路内で薬液の移動が生じ、正確な検出結果が得られなくなるおそれがある。この影響をできるだけ少なくするために、流量センサ210は、チューブの意図しない動きが生じにくい位置、例えば、注入回路200の先端側、すなわち被験者に固定される部位に近い位置に配置することが好ましい。また、流量センサ210を検出対象に近い位置に配置することも好ましい。図2に示す形態では、流量センサ210は、第1チューブ201の先端とコネクタ207との間に接続されている。また、図2には示していないが、体外回路部の被験者から露出する部位、例えば留置針の末端部あるいはカテーテルの末端部に流量センサ210が配置されていてもよい。
流量センサ210としては、任意の流量センサを用いることができる。様々な流量センサの中でも本発明において好適に用いることができるのは、図3に示すような構造を有する、熱式の流量センサ210である。
図3に示す流量センサ210は、パイプ211と、パイプ211の外面に接合された半導体モジュール212と、を有する。パイプ211は、その内部を液体が流通できるように両端が開放されており、注入回路のチューブととともに液体の流路の一部を構成する。半導体モジュール212には、パイプ211の外面と接触する位置に、ヒータ213と、パイプ211の長手方向においてヒータ213の両側に、ヒータ213に対して対称に配置された2つの温度センサ214とが設けられている。温度センサ214は、ブリッジ回路の一部を構成しており、例えばサーモパイルとして構成されることができる。
半導体モジュール212は、処理回路(不図示)を含んでいてもよい。処理回路は、ヒータ213を駆動し、また、温度センサ214からの信号を処理し、2つの温度センサ214からの出力を比較してこれらの温度センサ214間の温度差を測定する。さらに、半導体モジュール212は、ヒータ213を駆動する電力を外部から供給するため、および測定結果を外部へ出力するために、複数の電極パッド(不図示)を有することができる。半導体モジュール212は、少なくともパイプ211との接合部が封止剤(不図示)により封止されていてもよい。
上記のように構成された流量センサ210によれば、パイプ211内で液体の移動が生じていない場合は、パイプ211内の液体の温度分布は、ヒータ213を中心に対称な温度分布となる。ところが、パイプ211の長手方向に沿って液体が移動すると、2つの温度センサ214の間には、移動した液体の質量流量に対応した温度差が生じる。温度センサ214によって測定された温度差はブリッジ回路の平衡を変化させるため、流量に対応した電気信号が得られる。
構造的な観点で見れば、図3に示した構成を有する流量センサ210は、液体が接触するパイプ211の内面には電極等、電気回路を構成する部材が露出していないので、被験者への電気的な影響は生じない。被験者への電気的な影響をより抑制できるようにするためには、電気回路を構成する部材パイプ211の内面との間の距離(例えば、電気回路を構成する部材が配置された部位でのパイプ211の管壁の厚さ)は、0.4mm以上であることが好ましい。また、液体の入口及び出口であるパイプ211の両端を除いて図3に示した構成全体が樹脂等でパッケージ化されていてもよく、こうすることにより防滴化がなされる。
ここで、本形態の薬液注入装置で注入される薬液である造影剤は、一般に高粘度の液体であり、所定の注入速度で注入するためには高い圧力が必要となり、また、その注入速度自身も比較的低速である。一方、本形態で用いているタイプの流量センサ210は、流体が流れる導管であるパイプ211の内部には何の構造物も存在しておらず、また、わずかな液体の移動であっても検出することができる。よって、このタイプの流量センサ210は、造影剤の注入回路200のように、高圧かつ低速で注入される液体の移動を検出するのに適しているといえる。
このタイプの流量センサ210は、例えば、センシリオン株式会社から入手することができる。
上述したように、注入回路200に流量センサ210を組み込むことで、薬液注入装置100を用いて被験者に薬液を注入する際に利用できる様々な項目を検出することができる。以下に、その幾つかの適用例を説明する。
(血管造影での適用)
図4を参照すると、血管造影において用いられる薬液注入装置の一形態の外観斜視図が示される。この薬液注入装置100は、カテーテルを通して被験者に薬液を注入するのに適した構成を有している。医用画像撮像システムとして構成される場合は、薬液注入装置100は、図1に示した医用画像撮像装置500であるアンギオ装置と連携される。
血管造影用の薬液を注入するのに適した薬液注入装置100は、注入ヘッド110と、コンソール112と、メインユニット114と、を有する。注入ヘッド110とコンソール112とは、メインユニット114を介して電気的に接続される。注入ヘッド110は、図示した形態では、スタンド116の上部に旋回可能に支持されているが、天井に固定された旋回アームに支持されていてもよい。コンソールは、上述した入力ユニット103および表示ユニット104を含むことができる。図示した形態では、コンソール112はタッチパネルを備えており、このタッチパネルが、上述した入力ユニット103および表示ユニット104に相当する。メインユニット114は、電源装置(不図示)を備えることができ、この電源装置から注入ヘッド110およびコンソール112に電力を供給することができる。図1に示した注入制御ユニット101は、メインユニット114内に配置されてもよいし、コンソール112内に配置されてもよい。
注入ヘッド110は、図5に示すように、2つのシリンジ320を着脱自在に装着できるように構成されている(図5では、簡略化のために1つのシリンジ320のみを示している)。
図示した形態では、シリンジ320は、保護カバー370に挿入された状態で注入ヘッド110に装着されているが、シリンジ320が注入ヘッド110に直接装着されるように構成されていてもよい。シリンジ320は、一般にロッドレスシリンジと呼ばれるものであり、末端にフランジ321aが形成されるとともに先端にノズル部321bが形成されたシリンダ321と、シリンダ321内に進退移動可能に挿入されたピストン322とを有している。
ピストン322がシリンダ321の先端へ向けて移動することで、充填されている薬液が、ノズル部321bを通ってシリンジ320から押し出される。各シリンジ320の先端には、例えば図2に示した注入回路200が接続されることができる。図2には注入回路200の体外回路部が示されているが、血管造影においては、第1チューブ201の先端のコネクタ207を介してカテーテル等の体内回路部が接続される。
シリンジ320に充填される薬液としては、例えば、一方の第2チューブ202と接続されるシリンジ320に充填されるのが造影剤、他方の第2チューブ203と接続されるシリンジ320に充填されるのが生理食塩水とすることができる。あるいは、第2チューブ202、203のそれぞれに濃度の異なる造影剤が充填されたシリンジ320が接続されてもよい。
医用画像の撮像に利用される造影剤は比較的粘度が高く、特に血管造影に用いる造影剤は他の種類の造影剤と比べて粘度が高い。しかも、一般的にカテーテルは内径が1mm未満と極めて細い。よって、薬液として造影剤がシリンジ320に充填され、その造影剤を注入するためにピストン322を前進させると、シリンダ321には非常に高い内圧が発生する。この高い内圧は、シリンダ321を膨張させ、造影剤の注入に種々の不具合を生じさせることがある。
保護カバー370は、薬液注入時のシリンダ321の内圧上昇による膨張を抑制するものであり、シリンダ321が挿入されたとき、その外周面との間ですき間が殆ど生じないような寸法とされた円筒状の部材である。保護カバー370がこの役割を果たすために、保護カバー370は、薬液の注入中にシリンダ321に作用する内圧に十分に耐え得る機械的強度を有する肉厚で形成されることが好ましい。
保護カバー370の先端には、シリンジ320のノズル部321bが通過する開口部が形成されており、シリンジ320は、この開口部からノズル部321bを突出させた状態で保持される。保護カバー370の末端には、シリンダ321のフランジ321aを受け入れるリング状の凹部が末端面に形成されたカバーフランジ371が形成されている。
注入ヘッド110には、装着された2つのシリンジ320のピストン322を前進および後退させるために互いに独立して駆動される2つのピストン駆動機構130a、130b(図1参照)が、各シリンジ320が装着される位置に対応して配置されている。各ピストン駆動機構130a、130bはそれぞれ、ピストン322の末端に形成された凸部を保持するプレッサ131と、プレッサ131を前進および後退移動させるモータ等の駆動源と、これらを連結する動力伝達機構とを有する。
注入ヘッド110に装着されたシリンジ320は、ピストン駆動機構130a、130bによってピストン322が前進させられることによって、シリンジ320内に充填されている薬液を、別々に、または同時に被験者に注入することができる。ピストン駆動機構130a、130bについては、この種の注入装置に一般に用いられている公知の機構を採用することができる。
注入ヘッド110の先端部には、保護カバー370が装着されたシリンジ320が載せられるシリンジ載置部を構成するシリンジ受け120およびクランパ140が備えられている。シリンジ受け120は、クランパ140よりも先端側に位置しており、保護カバー370の外周面を個々に受け入れるように2つの凹部121を有している。クランパ140は、シリンジ受け120に対して開閉可能に支持されており、各保護カバー270のカバーフランジ271を個別に保持するように構成されている。各シリンジ320は、ノズル部321bを先端側に向けた状態で凹部121内に位置され、クランパ140を閉じることによって、注入ヘッド110に固定される。なお、保護カバー370は必須の構成ではなく、シリンジ320が直接、注入ヘッド110に装着されるようなものであってもよい。
注入ヘッド110は、シリンジ受け120およびクランパ140を有する部分を除いて全体の機構を覆う外装カバー125を有することができる。この場合、外装カバー125は、各プレッサ131に対応する位置に、対応するプレッサ131を区別するための標識125aを有することができる。標識125aは、文字や記号など任意であってよく、本形態では、「A」および「B」の文字を用いている。この標識は、後述する注入条件設定用画面400(図5参照)においてシリンジ320(薬液)を区別するのにも用いることができる。以下の説明では、この標識125aに対応して、それぞれシリンジ受け120に装着されたシリンジ320に充填されている薬液を、「薬液A」および「薬液B」と称することもある。
再び図4を参照すると、薬液注入装置100は、ハンドスイッチ118および/またはフットスイッチ119をオプションとしてさらに有していてもよい。ハンドスイッチ118は操作ボタンを有しており、この操作ボタンが押されている間だけ注入ヘッド110による薬液の注入動作が行われるように、注入動作の開始および停止を制御するのに用いることができる。フットスイッチ119は、例えばテスト注入を行う場合に、フットスイッチ119が踏まれている間だけ注入ヘッド110による薬液の注入動作が行われるように、注入動作の開始および停止を制御するのに用いることができる。
「テスト注入」とは、造影効果の個人差を把握するため、かつ/または注入回路の先端位置を確認するためなどに、医用画像の取得のための撮像に先立って必要に応じて実行される薬液の注入である。医用画像の取得のための薬液の注入は、このテスト注入との区別のために「本注入」と呼ぶことがある。テスト注入では、通常、本注入よりも少ない量の薬液が注入される。また、テスト注入での薬液の注入速度は、通常、予め設定されているか、または本注入での薬液の注入速度と同じに設定される。このテスト注入は、ハンドスイッチ118の操作によって行うこともできる。この場合、薬液の注入プロトコルの設定が完了して注入準備が整った段階(スタンバイ状態)でハンドスイッチ118が操作されれば本注入が実行されるが、それ以前の段階でハンドスイッチ118が操作されればテスト注入が実行されるようにすることができる。
次に、上述した医用画像撮像システムを用いた薬液の注入手順の一例を説明する。
まず、操作者によって薬液注入装置100の電源が投入される。その後、被験者に注入すべき薬液が充填されたシリンジアセンブリ300を注入ヘッド110に装着する。または、薬液が充填されていない空のシリンジアセンブリ300を注入ヘッド110に装着した後、そのノズル部221bに適宜のチューブを介して薬液容器(不図示)を接続し、その状態でピストン駆動機構によりピストン322を後退させてシリンジアセンブリ300に薬液を充填することで、薬液が充填されたシリンジアセンブリ300が注入ヘッド110に装着された状態としてもよい。シリンジアセンブリ300の一部を構成するシリンジ320について、本明細書では、前者のように製造業者にて薬液が充填されたものをプレフィルドタイプといい、後者のように医療現場にて薬液が充填されるものを後充填タイプともいう。
注入ヘッド110へのシリンジアセンブリ300の装着は、例えば、次に示す手順で行うことができる。まず、クランパ140を開放位置にした状態で、操作者は、シリンジアセンブリ300をシリンジ受け120の凹部121上に載せる。このとき、後端位置にあるピストン322の凸部がプレッサ131に保持されるようにする。シリンジアセンブリ300が凹部121上に載せられたら、操作者はクランパ140を閉じ、これによってシリンジアセンブリ300が注入ヘッド110に保持される。
注入ヘッド110は、クランパ140を閉止位置において開放可能にロックするロック機構(不図示)を有することが好ましい。ロック機構は、閉止位置でクランパ140をロックおよび開放することが可能であれば任意の機構であってよい。ロック機構を有することにより、注入ヘッド110に装着したシリンジアセンブリ300が注入ヘッド110から外れることを防止できる。
ここで、注入ヘッド110は、シリンジアセンブリ300が注入ヘッド110に装着されたことを検出する少なくとも1つの検出器を備えることが好ましい。注入ヘッド110にシリンジアセンブリ300が装着されたことは、例えば、シリンジアセンブリ300がシリンジ受け凹部121上に載せられたことを検出する第1の検出器、およびクランパ140が閉止位置にあることを検出する第2の検出器によって検出することができる。第1の検出器は、例えば、シリンジ受け凹部121に配置され、シリンジ受け凹部121内でのシリンジアセンブリ300を検出することができる検出器を用いることができる。第2の検出器は、例えば、注入ヘッド110に内蔵され、クランパ140が閉止位置にあるときにクランパ140の先端部を検出することができる検出器を用いることができる。
これらの検出器はいずれも、シリンジアセンブリ300やクランパ140といった被検出物と検出器との距離が所定の距離以下になったとき(接触も含む)に被検出物を検出することができる検出器であってよく、具体的には、検出領域内での物体の有無を光学的に検出する光学センサや、磁気を検出媒体として物体の有無や位置を検出する近接センサや、被検出物の接触/非接触によってオン/オフが切り替わる機械的スイッチなどを用いることができる。機械的スイッチとしては、被検出物の接触/非接触によってオン/オフが切り替わるものであれば、例えばタクトスイッチおよびリミットスイッチなどを含む任意のスイッチが利用可能である。なお、注入ヘッド110は、シリンジアセンブリ300が注入ヘッド110に装着されたことを検出するために、第1の検出器および第2の検出器の両方を備えている必要はなく、いずれか一方のみであってもよい。
このように、シリンジアセンブリ300が注入ヘッド110に装着されたことを検出できるようにすることで、例えば、注入制御ユニット101は、シリンジアセンブリ300の装着が完了したことを表す情報を表示ユニット104に表示させて操作者に視覚的に知らせたり、さらには、薬液注入装置100の動作を次のステップへ移行したりすることができる。
このとき表示ユニット104に表示される情報は、文字によるメッセージでもよいし、記号により表される情報であってもよい。また、表示ユニット104とは別に発光ランプ(不図示)を設け、注入制御ユニット101がこの発光ランプを点灯させることによって、シリンジアセンブリ300の装着が完了したことを操作者に視覚的に知らせることもできる。この場合、発光ランプは注入ヘッド110に設けることができる。注入ヘッド110に設けられる発光ランプの位置は任意であって良いが、シリンジアセンブリ300を装着する際に操作者が最後に操作する部位の近傍、例えばクランパ140の近傍とすることが好ましい。特に、図5に示した形態のように、2つのピストン駆動機構130a、130bを特定できるようにするための標識125a(具体的には、「A」および「B」の文字)を注入ヘッド110が有する場合、これら標識の部分がそれぞれ発光部として発光するように2つの発光ランプを配置することが好ましい。発光ランプの点灯によって視認される色は任意であってよく、また、例えば青色と緑色など、対応する薬液ごとに異なる色であってもよい。注入ヘッド110は、前述したスタンバイ状態で発光するさらに別の発光ランプの点灯により発光する発光部126を有することもできる。図4に示した形態では互いに離れた位置に配置された複数の発光部126を有しているが、こうすることにより、何れの方向からでもスタンバイ状態であることを視認することができる。
以上のようにして注入ヘッド110へのシリンジアセンブリ300の装着が完了したら、注入制御ユニット101は、薬液の注入のための動作を実行する。この動作は、例えば、次に示す一連のステップを含むことができる。
(1)データ入力の受け付けおよび注入条件の設定
(2)注入準備
(3)設定された注入条件に従った注入動作の実行
(4)注入動作終了処理
以下に、これらの処理を順番に説明する。
(1)データ入力の受け付けおよび注入条件の設定
このステップでは、注入制御ユニット101は、表示ユニット104に注入条件設定用の画面を表示させるとともに、入力ユニット103に対して注入条件設定のための入力操作を可能にさせる。
図6に、注入条件設定用画面400の一例を示す。図6に示す注入条件設定用画面400は、注入モードアイコン401、クイックメモリーアイコン402、確認アイコン403、速度設定アイコン404、注入量設定アイコン405、注入時間設定アイコン406、希釈度合設定アイコン407、シリンジ情報アイコン408およびパージアイコン409等を含む。
シリンジ情報アイコン408は、注入ヘッド110(図4参照)に装着されているシリンジ320についての情報がグラフィック表示される。シリンジアイコン408に表示される情報としては、装着されているシリンジ320に充填されている薬液の量を含むことができる。また、薬液の注入動作中は、任意のアニメーション表示によって、薬液の注入動作を操作者が視覚的に認識できるようにすることもできる。
注入モードアイコン401は、注入制御ユニット101にプリセットされている複数の注入モードのうち、どの注入モードで注入動作を実行するかを表すアイコンである。注入モードとしては、例えば、薬液Aのみで注入を行う「通常注入モード」、薬液Aの注入終了後、薬液Bの注入を行う「フラッシュモード」、薬液Aと薬液Bの注入を同時に行う「希釈モード」、薬液Aのみを複数のフェーズで注入する「マルチモード」などが挙げられる。図6では、「希釈モード」が選択されている状態を示している。注入モードアイコン401を操作者がタップすると、注入制御ユニット101は注入モードアイコン401の表示を切り換え、これによって注入モードの切り換えを行うことができる。
クイックメモリーアイコン402は、注入制御ユニット101のメモリに登録されている注入条件を呼び出す場合に操作される。確認アイコン403は、この注入条件設定用画面400に表示された注入条件を操作者が承認する場合に操作され、この確認アイコン403がタップされると、注入制御ユニット101は、薬液注入装置100をスタンバイ状態とし、薬液注入手順の次のステップへの移行が可能となる。
速度設定アイコン404、注入量設定アイコン405および注入時間設定アイコン406は、それぞれ薬液の注入速度、注入量および注入時間を設定に用いられる。例えば、注入速度を設定する場合、操作者が速度設定アイコン404をタップすると、注入制御ユニット101は、注入条件設定用画面400上に、注入速度入力用のテンキーアイコン(不図示)をオーバーラップ表示させる。操作者がこのテンキー画面を通じて数値を入力し、確定することによって、注入速度を設定することができる。注入量および注入時間についても、注入速度の設定と同様のやり方で設定することができる。また、「希釈注入モード」においては、速度設定アイコン404および注入量設定アイコン405で設定されるのは、薬液Aと薬液Bの合計の注入速度および注入量である。
希釈度合設定アイコン407は、希釈注入モードにおいて注入される、基準の薬液に対する対象の薬液の割合を設定する際に操作されるアイコンである。希釈度合には幾つかの表し方があるが、本形態では、薬液Aを薬液Bで希釈するという考えのもと、薬液Aと薬液Bの合計の量に対する薬液Aの量、すなわち、薬液A/(薬液A+薬液B)で計算される希釈比率で表している。このことは、例えば、薬液Aが造影剤、薬液Bが生理食塩水である場合、造影剤を生理食塩水で希釈したとき、全体の量に対して造影剤がどれくらいの割合で含まれているかを意味する。希釈比率は、例えば、デフォルト値として50%に設定されていてもよい。
希釈比率の設定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
操作者が希釈度合設定アイコン407をタップすると、注入制御ユニット101は、注入条件設定用画面400上に、図7に示すような希釈比率入力画面430をポップアップ表示させるか、または注入条件設定用画面400から希釈比率入力画面430に表示を切り替える。希釈比率入力画面430は、テンキーアイコン431および比率設定バー432を有することができる。テンキーアイコン431では、薬液Aおよび薬液Bの合計の量に対する薬液Aの量の比率を数値で設定することができる。操作者がテンキーアイコン431を操作して数値を入力すると、注入制御ユニット101は、入力された数値を希釈比率として確定する。
一方、比率設定バー432は、比率表示部432aとスライダアイコン432bとを有することができる。比率表示部432aは、薬液Aと薬液Bとの比率を帯グラフで示すものであり、スライダアイコン432bは、操作者がタッチしたまま比率表示部432aに沿って移動させることができるように表示位置が制御される。操作者によってスライダアイコン432bの位置が移動されると、注入制御ユニット101は、希釈比率をスライダアイコン432bの位置に応じた比率に設定する。希釈比率を視覚的に認識しやすくするために、比率表示部432aは、スライダアイコン432bの位置を境に薬液A側と薬液B側とが互いに異なる色で色分け表示されるようにしてもよい。
希釈比率は、これらテンキーアイコン431および比率バー432の何れからでも設定することができる。また、希釈比率入力画面430は、テンキーアイコン431および比率バー432の何れか一方のみを有していてもよい。さらに、希釈比率の入力は上記の方法に限定されるものではなく、任意の方法を用いることができる。希釈比率が設定されると、注入制御ユニット101は、希釈比率入力画面430の表示形態に応じて、注入条件設定用画面400から希釈比率入力画面430のポップアップ表示を消すか、注入条件設定用画面400に表示を切り替え、注入条件設定用画面400の希釈比率アイコン407に、設定された希釈比率を表示させる。
操作者は、注入条件設定用画面400の表示に従って、必要に応じてデータの入力操作を行う。注入条件設定用のすべてのデータの入力が終了し、操作者が確認アイコン403をタップすると、その表示が「スタートOK」に切り換えられ、薬液注入装置100は、薬液の注入が可能なスタンバイ状態となる。
(2)注入準備
注入準備は、「パージ動作」および「注入回路の定位置配置」を含むことができる。
(2a)パージ動作
パージ動作は、シリンジアセンブリ300に注入回路200の体外回路部が連結された後であって、かつ、薬液の注入動作が開始される前に行われ、パージ動作では、シリンジ320内の薬液によって体外回路部内のエアおよび薬液を含む流体が注入回路から排出される。体外回路部内の流体を注入回路から排出するため、パージ動作は、体外回路部の先端が体内回路部の末端と連結されていない状態、または、体外回路部と体内回路部との間に三方活栓を介在させ、この三方活栓の残りのポートに接続された側管から薬液が排出されるように三方活栓を切り替えた状態で実行される。また、パージ動作は、基本的には体外回路部が薬液で満たされていない場合に体外回路部内を薬液で満たすために行うものであり、体外回路部が薬液で満たされている場合は行う必要はない。ただし、例えば、1回目の注入に続いて2回目の注入を、1回目と異なる希釈比率で行う場合など、希釈比率が変更された場合は、体外回路部が薬液で満たされていたとしてもパージ動作を行うことが好ましい。
パージ動作を実行するためのトリガーは、操作者によって与えられる。そのために、例えば注入ヘッド110にパージボタン123(図5参照)を有することができる。または、図6に示すように、注入条件設定用画面400にパージアイコン409を表示させることもできる。さらには、これらパージボタン123およびパージアイコン409の両方を有することもできる。
操作者が、パージボタン123を押下するか、またはパージアイコン409をタップすることにより、注入制御ユニット101はパージ動作を実行する。パージ動作は、2つのシリンジ320が注入ヘッド110に装着される場合、各シリンジ320から等しい吐出量および吐出速度で薬液を吐出させることによって行うことができる。この場合、希釈比率は50%である。あるいは、注入制御ユニット101によって、薬液Aの吐出量と薬液Bの吐出量との合計に対する薬液Aの吐出量の割合である吐出比率が設定され、設定された吐出比率に従って薬液が吐出するようにピストン駆動機構130a、130bの動作が制御されるようにしてもよい。
この場合のパージ動作における吐出比率は、薬液の注入条件の一つである希釈比率に従うことが好ましい。前述したように、注入制御ユニット101によって、注入条件設定用画面400を介して希釈比率の入力が受け付けられている場合、ここで入力された希釈比率と等しい値に吐出比率が設定される。これによって、希釈比率に従った薬液Aの量および薬液Bの量で各シリンジ320からそれぞれ薬液Aおよび薬液Bが吐出される。図2に示した注入回路200を用いる場合、各シリンジ320から吐出した薬液Aおよび薬液Bは、それぞれ第2チューブ202、203を通過し、第1チューブ201内で合流し、ここで薬液Aと薬液Bとの混合液とされる。この混合液における薬液Aの濃度は、設定された希釈比率で希釈された薬液Aの濃度と等しい。
設定された吐出比率で薬液を吐出させるためのピストン駆動機構130a、130bの動作の制御方法としては、吐出速度、すなわちピストン駆動機構130a、130bのプレッサ131の移動速度に基づく制御、および吐出量、すなわちピストン駆動機構130a、130bの移動量に基づく制御が挙げられる。
パージ動作において吐出される薬液の合計量であるパージ量は、体外回路部を所望の薬液で満たすことができる量であればよく、その量は、薬液の注入条件の1つとして設定される注入量と比べて少ない量である。よって、パージ量は、薬液の注入時の注入量とは別に、注入制御ユニット101に設定されることが好ましい。パージ量の好ましい値は、使用する体外回路部の容積にもよるが、一般的には5mL〜10mLとすることができる。
パージ量が予め決められている場合、パージ動作での薬液の吐出速度は、最終的に吐出される量が所望の量となる限り任意であり、薬液注入条件として設定された注入速度と同じであってもよいし異なっていてもよい。また、吐出速度は、パージ動作の開始から終了までの少なくとも一部の時間において一定であってもよいし経時的に変化させてもよい。
例えば、注入制御ユニット101は、パージ動作の開始時には共に等しい吐出速度で両薬液を吐出させ、その後、パージ動作の終了までの間に、何れか少なくとも一方の薬液の吐出速度を時間の経過とともに段階的または連続的に変化させ、最終的な希釈度合が目的とする希釈度合になるように、パージ動作での薬液の吐出条件を設定することができる。
なお、体外回路部が薬液で満たされていない場合、パージ動作は、体外回路部に体外回路部が接続されていない状態で行われ、体外回路部は、パージ動作の終了後、操作者によって体内回路部に接続される。
(2b)注入回路の定位置配置
注入回路の定位置配置は、注入回路、特に体内回路部(カテーテル)をその先端が血管内の所望の部位に位置するように送る処置である。注入回路の定位置配置は、パージ動作とは独立して行うことも可能であるが、本形態では、パージ動作が終了し、かつ体内回路部と体外回路部とが接続された後に行う。
被験者の血管とシリンジとが注入回路で接続された後、流量センサ210が駆動され、薬液の注入の有無にかかわらず、流量センサ210による検出動作が継続して行われる。流量センサ210は導管(本形態では図3に示すパイプ211)内での液体の移動(移動量および移動方向)に応じた検出信号を薬液注入装置100の注入制御ユニット101に送信する。
体内回路部を含んだ注入回路が被験者の血管と接続された状態では、薬液の注入が行われていない場合であっても、血管内での血液の脈動に起因して注入回路内でも僅かに薬液の移動が生じる。一般に、直管内を液体が移動するとき、移動する液体の圧力は流量または流量の2乗に比例するというように、流量と圧力との間に相関関係がある(流量に比例するか流量の2乗に比例するかは、液体の粘性による)。よって、流量センサ210による検出結果から、液体の圧力を求めることもできる。薬液が注入されていない状態では、この圧力は被験者の血圧に対応するので、流量センサ210によって被験者の血圧を求めることができる。
被験者の血圧を求めるために、注入制御ユニット101は、流量センサ210から送信された検出結果を用いて圧力を算出する圧力算出機能を有することができる。流量から圧力を算出するためには、パラメータとして、流量センサ210の管路の断面積、管路の長さ、管路を満たしている液体の密度などが必要となる。これらのパラメータは、注入制御ユニット101に予め設定されていてもよいし、入力ユニット103を介して操作者によって入力され、注入制御ユニット101に送信されるようにしてもよいし、流量センサ210が図3に示す構成を有する場合は、その半導体モジュール212がこれらのパラメータの少なくとも1つをデータとして格納するメモリを含み、このメモリ内のデータを、検出結果とともに注入制御ユニット101に送信してもよいし、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせてもよい。
上記のように注入制御ユニット101が圧力算出機能を有することで、被験者の血圧をモニターしながらカテーテルの先端を所望の位置に配置することができるようになる。その結果、従来の注入回路で被験者の血圧を測定するために使用していた圧力トランスデューサが不要となる。圧力トランスデューサが不要となることにより、注入回路の構成が簡単になり、また、圧力トランスデューサを用いて血圧を測定する場合に必要な、流路の切り替えといった操作も不要であるため、操作ミスによるトラブル等も発生しない。
(3)設定された注入条件に従った注入動作の実行
前述したように、確認アイコン403のタップにより表示が「スタートOK」に切り換えられた後、ハンドスイッチ118が操作され、これによって注入制御ユニット101はピストン駆動機構130a、130bを動作させ、薬液の注入動作が開始される。ハンドスイッチ118は、モーメンタリ動作型のスイッチであってよく、この場合、ハンドスイッチ118のボタンが押されている間だけピストン駆動機構130a、130bが動作する。薬液の注入動作は、連動されている医用画像撮像装置500からの指令によって開始させることもできる。
薬液の注入動作は、設定された注入条件(注入速度、注入量、注入時間および注入圧力の少なくとも1つを含む)で薬液が注入されるように、注入制御ユニット101がピストン駆動機構130a、130bの動作を制御することで行われる。また、注入モードが希釈注入モードである場合は、設定された希釈比率で薬液Aおよび薬液Bが注入されるように、両方のピストン駆動機構130a、130bが同時に動作される。ここで、注入動作に先立ってパージ動作が実行されており、体外回路部の合流部(例えば、図2に示す注入回路200のT字コネクタ204)より先端側には、既に所望の希釈比率で希釈された状態で薬液が充填されているので、注入動作が開始されると、直ちに所望の希釈比率で希釈された薬液が注入される。これにより、無駄な薬液の注入、および注入された薬液の希釈比率が所望の比率になるまでのタイムラグが最小限に抑えられ、結果的に、より少ない薬液量、かつより短い時間で良好な画像を得ることができる。
なお、実際には、注入動作が開始されると、体内回路部に残留していた薬液が注入された後、体外回路部内の薬液が注入される。従って、使用される体外回路部が新規なものでありその内部に生理食塩水が充填されている場合、あるいは前回の注入時における希釈比率が今回の希釈比率と異なる場合など、所望の希釈比率と異なる薬液が最初に注入されることがある。しかし、通常、体内回路部として造影剤の注入に用いられるカテーテルは、2mm以下の内径および1m前後の有効長さのものが多く用いられる。よって、カテーテルの容積は、1回の検査で注入される薬液量に比較して極めて微量である。
一方、医用画像撮像装置500は、薬液注入装置100による薬液注入動作に対応して撮像動作を開始する。医用画像撮像装置500による撮像動作は、操作者による操作をトリガーとして実行されてもよいし、薬液注入装置100による注入動作に連動して自動的に実行されてもよい。注入動作と撮像動作を連動させる場合は、注入動作を開始した後、注入された薬液が目的の部位へ到達するのに要する所定時間経過後に撮像動作が開始されるように、例えば、注入動作の開始と同時に薬液注入装置100の注入制御ユニット101が注入開始信号を医用画像撮像装置500の撮像制御ユニット510に送信し、注入開始信号を受信した撮像制御ユニット510が上記所定時間経過後に撮像動作ユニット520を制御して撮像動作を開始させたり、注入動作を開始してから上記所定時間経過後に注入制御ユニット101が注入開始信号を撮像制御ユニット510に送信し、撮像制御ユニット510が、注入開始信号の受信後、直ちに撮像動作ユニット520を制御して撮像動作を開始させたりすることができる。
撮像制御ユニット510は、撮像動作ユニット520の撮像動作により得られたデータを再構成して医用画像を取得し、取得した医用画像をリアルタイムで表示ユニット504に表示させることができる。また、薬液の注入速度、注入量、注入時間、注入圧力等の注入条件のデータが注入制御ユニット101から撮像制御ユニット510へ送信されるようにすれば、撮像制御ユニット510は、表示ユニット504に注入条件の一部または全部を、医用画像や撮像条件などと一緒にまたは別個にリアルタイムに表示させることもできる。
注入条件の一部または全部をリアルタイムに表示させることで、例えば、肝臓の検査および治療において部位を変えながら画像の撮像と薬液の注入を複数回繰り返すような場合に、その撮像段階までの累積の注入量およびX線照射量などを表示させることができる。そのことにより、累積のX線照射量が基準値を超えていないかどうか、および肝機能が悪い被験者に対して造影剤の注入量が基準値を超えていないかどうかをその場で判断し、X線照射量および/または注入量が基準値を超えそうな場合に、X線照射量や造影剤の注入量を必要に応じて調整することが可能となる。
なお、本形態では、注入回路200は流量センサ210を有しているので、薬液の注入動作中は、この流量センサ210によって、薬液の注入量を検出することができる。流量センサ210によって測定された注入量のデータは注入制御ユニット101に送信される。注入制御ユニット101は、流量センサ210から送信されたデータを用い、薬液の注入量を表示ユニット104にリアルタイムに表示させたり、設定された注入量で薬液が注入されるようにピストン駆動機構130a、130bの動作を制御したりすることができる。従来は、薬液の注入量は、ピストン駆動機構130a、130bの移動量、あるいはピストン駆動機構130a、130bを駆動するモータの回転量などから間接的に求めていた。しかし、本形態のように流量センサ210によって直接測定できるようにすることによって、薬液の注入量をより正確に求めることができる。
さらに、本形態では、注入制御ユニット101は圧力算出機能を有している。この機能を利用することにより、注入圧力を算出することもできる。算出された注入圧力を利用して、注入制御ユニット101は、求められた注入圧力が、設定された注入圧力を超えないようにピストン駆動機構130a、130bの動作を制御することができる。従来は、ピストン駆動機構130a、130bのプレッサ131に荷重センサを内蔵し、その荷重センサで注入圧力を求めたり、ピストン駆動機構130a、130bを駆動するモータに流れるモータ電流から注入圧力を求めたりしていた。本形態のように流量センサ210での検出結果から注入圧力を求めることで、荷重センサが不要となるため薬液注入システムの構成を簡略化することができ、あるいは、薬液の流れの状態から注入圧力が求められることからモータ電流から注入圧力を求める場合と比較して注入圧力をより正確に求めることができる、といった効果が達成される。
(4)注入動作終了処理
注入動作の終了後、注入制御ユニット101は、注入動作終了処理の一つとして、注入結果を表示ユニット104に表示させることができる。表示される結果の一例としては、注入終了日時、注入モード、設定された撮像部位、注入速度、注入量、希釈比率(希釈注入モードの場合)、注入に要した時間、注入時の最大圧力などが挙げられ、表示されるのは、これらの項目のうち少なくとも1つであってよい。また、注入制御ユニット101は、注入動作終了処理の一つとして、これらの注入結果を、薬液注入装置100の内部または外部の適宜メモリ装置に記録したり、医用画像撮像装置500へ送信したりすることができる。
注入動作終了処理が終了すると、操作者による所定の操作により、注入制御ユニット101は、再び、注入条件設定用画面400を表示ユニット104に表示させることができる。次の検査または治療のために、異なる条件または同じ条件で再度薬液の注入を繰り返し行う場合は、この注入条件設定用画面400で注入条件を設定し、設定した注入条件で薬液を注入することができる。特に、注入モードが希釈注入モードであり、希釈比率が前回と変更された場合は、パージ動作を行うようにする。これにより、次回の注入においても、より少ない薬液量、かつより短い時間で良好な画像を得ることができる。
ところで、血管造影では細長いカテーテルを用いて造影剤を注入するため、留置針を用いたCT画像撮影での造影剤の注入と比べて高い注入圧力で造影剤が注入されることになる。場合によっては、注入動作中にシリンジの内圧が非常に高くなり、その圧力によってシリンジ(シリンダ)が膨張した状態で造影剤が注入される。そのため、注入動作が終了してピストン駆動機構の動作が停止されると、膨張したシリンジは元に戻ろうとする。このとき、ピストンはピストン駆動機構によって保持されているため、膨張した分の容量の造影剤が注入回路の先端から流出する。
そこで、この注入動作終了後の余分な造影剤の消費を抑制するために、注入制御ユニット101は、注入動作の終了後(ピストン駆動機構の動作停止後)、流量センサ210により注入回路200内での薬液の移動が検出された場合に、注入回路200内の液体をシリンジ内に吸引する方向である後退方向へピストン駆動機構が移動するようにピストン駆動機構の動作を制御することが好ましい。ピストン駆動機構の後退量は、予め決められた量であってもよいし、流量センサ210で検出された薬液の移動量に相当する量であってもよい。あるいは、ピストンの後退量を特に定めず、流量センサ210による薬液の移動が検出されなくなるまでピストン駆動機構を後退させるようにすることもできる。
(CT画像撮影での適用)
図8を参照すると、本発明の他の実施形態による医用画像撮像システムの外観が示されている。また、その機能的な構成を表すブロック図を図9に示す。本形態では、医用画像撮像装置500としてCT装置が用いられ、薬液注入装置100としては、CT装置によりCT画像を撮影する際に用いる薬液を注入するのに適した注入装置が用いられる。本形態においても、医用画像撮像システムは、薬液注入装置100、医用画像撮像装置500および注入回路200を有しており、薬液注入装置100が、RFIDモジュール166を含んでおり、かつ、シリンジ350がRFIDタグ352を含んでいる点を除いて、機能的な構成のうえでは前述した形態と同様に構成することができる。
薬液注入装置100は、キャスター付きのスタンド116に支持された注入ヘッド110と、薬液注入装置100の動作を制御するための各種機能を備えたコンソール112と、を有している。なお、前述した血管造影用の医用画像撮像システムにおいても同様であるが、通常、注入ヘッド110は、医用画像撮像装置500の撮像動作ユニットとともに検査室内に配置され、コンソール112は、医用画像撮像装置500の撮像制御ユニットとともに操作室内に配置される。
注入ヘッド110は、図10〜図12に示すように、2本のシリンジ350を着脱自在に装着することができる。シリンジ350は、例えば、一方を造影剤用のシリンジとし、他方を生理食塩水用のシリンジとすることができる。シリンジ350は、シリンダとピストンとを有している。注入ヘッド110は、シリンジ350のシリンダを保持するシリンダ保持部151と、シリンダ保持部151にシリンダが保持されたシリンジ350のピストンを操作する(シリンダに対して進退移動させる)ためのピストン駆動機構130a、130bとを有している。
ピストン駆動機構130a、130bは、その駆動源であるモータの回転運動を直進運動に変換するリードスクリュー機構やラックピニオン機構等の運動変換機構によって進退移動させられるロッド153と、ロッド153の先端部に固定されたプレッサ152と、を有することができる。
注入ヘッド110は、ピストン駆動機構130a、130bの一部(例えばプレッサ152)を除き、全体が合成樹脂製の筐体155で覆われている。筐体155の上面には、ユーザの操作によってピストン駆動機構130a、130bを動作させることができるように、各種動作に対応した複数の操作ボタンを含むボタン群156を有している。
操作ボタンとしては、例えば、薬液注入装置を注入動作可能な状態とするためのチェックボタン、注入を開始する際に操作されるスタートボタン、プレッサ152を任意の距離だけ前進させるための前進ボタン、プレッサ152を任意の距離だけ後退させるための後退ボタン、プレッサ152の移動中にその速度を加速するための加速ボタン、プレッサ152をイニシャライズ位置まで後退させるオートリターンボタンなどを含むことができる。本形態では、各ピストン駆動機構130a、130bを独立して動作させることができるように、前進ボタン、後退ボタン、加速ボタンおよびオートリターンボタンをそれぞれ2つずつ有している。
シリンダ保持部151は、アダプタ600を介してシリンジ350が装着されるように構成されている。シリンジ350には、充填可能な薬液の容量似応じて様々なサイズのものが存在している。アダプタ600は、シリンジ350のサイズごとに用意されており、図11に示すように、適合するシリンジ350のシリンダの末端に形成されているシリンダフランジ351を受け入れることができる構造を有し、注入ヘッド110のシリンダ保持部151に着脱自在に装着される。
注入ヘッド110へのシリンジ350の装着は、例えば、注入ヘッド110のシリンダ保持部151にアダプタ600を装着し、次いで、シリンジ350のシリンダフランジ351をアダプタ600に挿入することで行うことができる。アダプタ600は、シリンダフランジ351を受け入れる溝を有しており、この溝にシリンダフランジ351が挿入されることによってシリンジ350がアダプタ600に保持される。また、シリンダフランジ351がアダプタ600の溝に挿入された後、図11に示すようにシリンジ350をその軸周りに所定の角度(例えば90度)回転させることによってシリンダをロックするロック機構を有していてもよい。このようにアダプタ600を用いることによって、種々のサイズのシリンジ350を注入ヘッド110に装着することができる。
本形態では、注入ヘッド110は、2つのシリンジ350を装着できるように、2つのピストン駆動機構130a、130bを有している例を示すが、1つのシリンジ350のみを装着できるように構成されていてもよいし、3つ以上のシリンジ350を装着できるように構成されていてもよい。装着可能なシリンジ350の数に応じて、シリンダ保持部151およびピストン駆動機構130a、130bの数が変更される。
シリンジ350は、薬液が充填された状態で製剤メーカーから提供されるプレフィルドタイプのシリンジであってもよいし、医療現場で薬液を充填した現場充填タイプのシリンジであってもよい。
シリンジ350は、データキャリアであるRFIDタグ352をさらに有していてもよい。RFIDタグ352の装着位置は任意であってよく、例えば、シリンダの外周面とすることができる。このRFIDタグ352からデータを読み出すためおよび/またはRFIDタグ352にデータを記録するために、注入ヘッド110は、RFIDモジュール166を有することができる。RFIDモジュール166は、RFID制御回路164およびアンテナ165を有しており、RFIDタグ352に記録されたデータをアンテナ165によって読み出し、読み出したデータを注入制御ユニット101に伝送し、かつ/または注入制御ユニット101から伝送されたデータをRFIDタグ352に記録することができるように構成される。RFID制御回路164は、このRFIDモジュール166におけるデータの送受信動作を制御する。すなわち、RFIDモジュール166は、RFIDタグ352からデータを読み出すリーダ、または、さらにRFIDタグ352にデータを記録するリーダ/ライタとして機能する。
RFIDタグ352に記録されているデータとしては、シリンジ350に充填されている薬液に関する各種データ、例えば、製造メーカー、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限などの他に、シリンジに関する各種データ、例えば、製造メーカー、品番といった固有識別番号、許容圧力値、シリンジの容量、ピストンストローク、必要な各部の寸法、ロット番号などを含むことができる。これらのデータの少なくとも一部は、医用画像撮像装置500へ伝送することができる。
RFID制御回路164は、任意の位置に設置することができるが、アンテナ165は、シリンジ350がシリンダ保持部151に正常に保持された状態においてRFIDタグ352と対向する位置に設置されることが望ましい。
特に本形態では、図11に示すように、RFIDタグ352は長手方向を有する形状とされ、その長手方向をシリンジ350の周方向と一致させて、シリンダの外周面に貼付されている。シリンジ350は、シリンダ保持部151に受け入れられた後、シリンジ350を特定の向きとなるように回転させることによって正常に保持され、その保持された状態では、RFIDタグ352が下向きとなるように設計されている。
そして、RFIDモジュール166のアンテナ165は、導体からなる所定のパターン(例えば、1つまたは複数のループ状パターン)を形成したFPC(フレキシブルプリント基板)を有し、図13に示すように、シリンジ保持部に正常に保持されたシリンジ350のRFIDタグ352と対向する位置に、シリンジ350と同心状となるように円弧状に曲げられて配置されている。これにより、曲面上に貼付されたRFIDタグ352の検出範囲の拡大を図っている。
また本形態では、RFIDタグ352の貼付位置にばらつきがあったとしても、RFIDタグ352が確実にアンテナ165と対向することができるように、アンテナ165は、RFIDタグ352よりも大きな面積を有している。したがって、アンテナ165のサイズは、シリンジ350へのRFIDタグ352の貼付位置のばらつきを考慮して設計することが好ましい。
一方、アンテナ165を円弧状に曲げることにより、アンテナ165の曲率半径が小さくなるほど、また、アンテナ165の周方向での長さが長くなるほど、通信用の電波が干渉しやすくなり、通信感度が低下する傾向がある。そこで、電波の干渉を抑制するため、アンテナ165は、FPCのRFIDタグ352と対向する面と反対側の面に、フェライトシート165aを有することが好ましい。
RFIDモジュール166の出力は、例えば200mWとすることができる。これにより、RFIDタグ352の検出範囲(検出距離)をより広くすることができ、RFIDモジュール166は、シリンジ350内に充填されている薬液を通して、RFIDタグ352から情報を読み出したり、RFIDタグ352に情報を書き込んだりすることも可能となる。これは、例えば、シリンジ350が、図13に示した状態から180度回転した、シリンジ350に充填された薬液を介してアンテナ165と対向した状態であっても、RFIDモジュール166がRFIDタグ802との間で情報の読み出し等を行えることを意味する。
RFIDモジュール166は任意の位置に配置することができる。図13に示した配置の場合は、RFIDモジュール166は、少なくともアンテナ165が注入ヘッド110に内蔵された構成とすることができる。また、RFIDモジュール166は、ハンディタイプであってもよく、この場合、少なくともアンテナ165が注入ヘッド110とは別体のハンディユニット内に配置される。RFIDモジュール166がハンディユニットとして構成される場合、シリンジが注入ヘッド110に装着される前、または装着された後に、シリンジに装着されたRFIDタグ352にハンディユニットを近づけることによって、RFIDタグ352から情報を読み出すことができる。RFIDモジュール166と注入制御ユニット101との間での情報の送受信は、有線通信によるものであってもよいし無線通信によるものであってもよい。
次に、上述した薬液注入装置100による薬液の注入動作の一例を、図9〜図13を参照して説明する。
薬液注入装置100の電源が投入された状態で、薬液が充填されているシリンジ350が所定の手順で注入ヘッド110に装着されると、RFIDモジュール166によってRFIDタグ352から各種データが読み出される。
注入制御ユニット101は、RFIDタグ352から読み出したデータに基づいて、シリンジ350に充填されている薬液の種類は充填量などを必要に応じて表示ユニット104に表示させたり、プレッサ152を待機位置へ移動させたりする。待機位置とは、プレッサ152がシリンジ350のピストンの末端に当接する位置から最後端位置までの間の任意の位置である。待機位置への移動は、注入制御ユニット101が、RFIDタグ352から読み出したシリンジ350に関するデータに基づいてピストンの末端位置を求め、プレッサ152の可動範囲の最後端位置である初期位置からピストンの末端位置までの距離を求め、その距離と予め決められていた任意のオフセット値分だけプレッサ152が前進するようにピストン駆動機構130a、130bを動作させることによって行うことができる。これにより、プレッサ152は待機位置へ移動される。
また、注入制御ユニット101は、RFIDタグ352から取得したデータおよび入力ユニット103から入力されたデータ等に基づいて、注入速度、注入量および注入時間などをパラメータとした注入プロトコルを作成する。作成された注入プロトコルは、表示ユニット104上に、グラフィック的、あるいは数値データの形式で表示することができる。操作者は、入力ユニット103からデータ等を入力することによって、表示された注入プロトコルを任意に変更することができる。操作者が注入ヘッド110のチェックボタンを押下することによって、作成された、または変更された注入プロトコルに従った注入動作が可能な状態となる。
一方、操作者は、シリンジ350と被験者とを注入回路200で接続する。CT画像を撮影する際は、注入回路200の体内回路部として留置針が用いられる。
注入ヘッド110による注入動作が可能とされ、かつシリンジ350と被験者とが注入回路200で接続された状態で、操作者が注入ヘッド110のスタートボタンを押下すると、注入制御ユニット101は、作成されている注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構130a、130bが動作するようにピストン駆動機構130a、130bの動作を制御する。これによって、シリンジ350内に充填されている薬液を被験者に注入することができる。
本形態でも流量センサ210を備えた注入回路200を用いており、注入回路200が被験者と接続された時点から、注入回路200、特に流量センサ210内での薬液の移動を監視することができる。
薬液の注入前には、「ルート確認」と呼ばれる、留置針の先端が血管内に位置しているか否かの確認が行われることが多い。留置針の先端が血管外に位置している状態で薬液の注入が行われると、所望の画像が取得できないばかりか、様々な副作用を引き起こす可能性があるからである。従来は、この「ルート確認」は、注入回路によってシリンジと被験者とが流体的に連通された後、例えば生理食塩水が充填されているシリンジのピストンを後退させ、血液が注入回路内に流入するか否かを確認することによって行っていた。
ここで、留置針の先端が血管内に位置しているときと血管外に位置しているときとでは、注入回路200内での薬液の挙動が異なる。注入回路200内での薬液の挙動の違いは、流量センサ210からの検出結果の違いとして表れ、したがって、流量センサ210の検出結果から、留置針の先端が血管内に位置しているか血管外に位置しているかを判断することができる。留置針の先端が血管外に位置する状況は、留置針が穿刺された段階で起こることもあるし、留置針が正常に穿刺された後、例えば薬液の注入中などに被験者が動くことによって起こることもある。
例えば、薬液が注入されていない状態では、留置針の先端が血管内に位置していると、留置針と血管とが連通していることから、血管内の血液の脈動に基づく注入回路内での薬液の移動が流量センサ210によって検出される。一方、留置針の先端が血管外に位置していると、留置針は先端側が閉塞または開放された状態となり、血液の脈動に基づく薬液の移動は検出されない。そこで、注入制御ユニット101は、流量センサ210から送信された検出結果を用いて、薬液の注入前において血液の脈動に基づく薬液の移動が流量センサ210によって検出されたか否かを判断することによって、注入回路200の先端位置を判断する注入回路先端位置判断機能を有することができる。これにより、上記のようなシリンジの操作を行うことなく、流量センサ210からの検出結果を監視するだけで、ルート確認を行うことができる。
一方、薬液の注入中などに留置針の先端が血管から外れると、薬液の血管外漏出と呼ばれる現象が生じる。また、被験者の血管壁が弱い場合にも血管外漏出が生じることもある。血管外漏出が生じると、その程度によっては薬液の注入を停止する必要があることから、血管外漏出の状況はできるだけ迅速かつ正確に把握できることが望ましい。
従来、血管外漏出の検出は、被験者の体表面近傍での薬液の漏出を光学的に検出する漏出検出装置を用いていた。漏出検出装置は、検出用の光を出射する発光素子および発光素子から出射した光の強度を検出する受光素子を内蔵したセンサヘッドを有しており、このセンサヘッドが、粘着シート等によって留置針の穿刺位置近傍で被験者の体表面に固定された状態で薬液の注入中の血管外漏出の検出が行われていた。
ここで、薬液の血管外漏出が発生すると、単位時間当たりの薬液の流量が、意図した流量よりも増加または減少するなど、薬液の血管外漏出の発生は、注入回路内での薬液の挙動の変化として表れる。そこで、注入制御ユニット101は、薬液の注入条件の一つとして設定された注入速度、あるいは薬液の注入条件の一部として設定された注入量および注入時間から求められた注入速度と、流量センサ210から一定の時間間隔で送信された検出結果から計算される注入回路内での薬液の単位時間当たりの流量とを比較し、両者の値が異なる場合は、血管外漏出が発生したと判断する漏出判断機能を有することができる。このように、注入制御ユニット101が漏出判断機能を有することで、従来のように漏出検出装置を用いることなく、血管外漏出を検出することができる。
さらに、血管外漏出とは逆に、注入回路を構成するチューブが途中で捻れるなどしてキンクが発生することもある。キンクが発生すると、薬液が正常に注入されなくなったり、全く注入されなくなったりする。場合によっては、キンクの発生は、注入回路の損傷を引き起こすこともある。キンクの発生もまた、単位時間当たりの薬液の流量が、意図した流量よりも減少するなど、注入回路内での薬液の挙動の変化として表れる。そこで、注入制御ユニット101は、薬液の注入動作中に、薬液の注入条件の一つとして設定された注入速度、あるいは薬液の注入条件の一部として設定された注入量および注入時間から求められた注入速度と、流量センサ210から一定の時間間隔で送信された検出結果から計算される注入回路内での薬液の単位時間当たりの流量とを比較し、注入条件から求められた注入速度の値よりも、流量センサ210による検出結果から得られた単位時間当たりの流量の値のほうが小さい場合は、注入回路にキンクが発生したと判断するキンク判断機能を有することができる。このように、注入制御ユニット101がキンク判断機能を有することで、薬液の注入動作中のキンクの発生を検出することができる。
以上説明したとおり、特定の検出結果と異なる検出結果が流量センサ210から得られた場合に注入回路200に異常が発生したことを判断する判断機能を注入制御ユニット101が有することにより、ルート確認、血管外漏出検出およびキンク検出といった、流量センサ210によって異常発生の有無を検出することができる。
注入制御ユニット101は、流量センサ210によって異常の発生を検出した場合に、その異常の種類に応じたメッセージまたはマーク等を表示ユニット104に表示させること、および/またはピストン駆動機構130a、130bの動作を異常発生動作に切り替えることができる。異常発生動作としては、例えば、ピストン駆動機構130a、130bの動作の停止(薬液の注入停止)、ピストン駆動機構130a、130bの移動速度の減速(薬液の注入速度の低下)などが挙げられる。
(注入回路の他の形態)
図14に、流量センサ210を有する注入回路200の他の形態を示す。本形態の注入回路200も、図2に示した注入回路200と同様、第1チューブ201、複数の第2チューブ202、203、T字コネクタ204、コネクタ205〜207および流量センサ210を有しており、これらについては図2に示した注入回路200と同様に構成されていてよい。本形態では、注入回路200は、第2チューブ202、203のそれぞれの中間部に配置された三方活栓208と、各第2チューブ202、203から分岐するように各三方活栓208に接続された第3チューブ202a、203aと、をさらに有している。
各第3チューブ202a、203aの末端にはそれぞれ薬液ボトル700a、700bが接続される。一方の第2チューブ202から分岐した第3チューブ202aに接続された薬液ボトル700aには、その第2チューブ202に接続されるシリンジに充填されている薬液と同じ薬液が収容されている。他方の第2チューブ203から分岐した第3チューブ203aに接続された薬液ボトル700bには、その第2チューブ203に接続されるシリンジに充填されている薬液と同じ薬液が収容されている。
本形態の注入回路200によれば、接続されるシリンジが後充填タイプのシリンジである場合に、三方活栓208を適宜切り替えることによって、シリンジを注入ヘッドに装着したまま、プレッサを後退させて薬液ボトル700a、700b内の薬液をシリンジに充填することができる。薬液を充填した後は、第3チューブ202a、203aが他のチューブと遮断されるように三方活栓208を切り替えることによって、シリンジ内の薬液を注入し得る状態とされる。
ここで、三方活栓208が切り替えられると、薬液の連通状態が変更されることから、注入回路200内で薬液の移動が生じる。この薬液の移動は、流量センサ210によって検出され、しかも、どの三方活栓208が切り替えられたか、およびどのように切り替えられたかによって、薬液の移動量および移動方向が異なる。したがって、注入制御ユニット101に、三方活栓208を切り替えたときの流量センサ210の検出結果から三方活栓208の切り替え状態を判断する流路切り替え判断機能を持たせ、その判断結果を、例えばグラフィックによって表示ユニット104に表示させるようにすることで、その時点での流路の状態を操作者に対して視覚的に認識させることができる。正確な判断のために、複数の流量センサ210を注入回路200の適宜箇所に配置することもできる。
また、注入回路200に薬液ボトルが接続される場合、通常、薬液ボトルは注入回路200よりも高い位置に配置されるとともに、薬液ボトルの下端に注入回路が接続され、これによって薬液ボトル内に収容された薬液のほぼ全量を使用することができる。また、点滴などのように極めて低い速度で薬液を注入する場合は、重力を利用して薬液を滴下させ、長時間にわたって薬液の注入が実施される。いずれの場合も、薬液ボトル内の薬液が消費される前に、吸引動作あるいは注入動作を停止しないと、注入回路200内にエアが混入してしまう。
よって、例えば図15に示すように、薬液ボトル700に接続される第3チューブの末端部に流量センサ210を配置し、注入回路の使用時において薬液ボトル700の下方に流量センサ210が位置するようにすることで、流量センサ210によって薬液ボトル700からの薬液の流量を検出することもできる。流量センサ210による検出結果は、注入制御ユニット101において薬液の消費量として演算され、表示ユニット104にリアルタイムに表示させることができる。あるいは、薬液ボトル700内に収容されている薬液量が予め与えられていれば、この薬液量から消費量を減算し、その結果を残量として表示ユニット104に表示させることもできる。こうすることで、操作者は、薬液ボトル700内の薬液の消費量あるいは残量を把握することができ、その結果、薬液ボトル700内の薬液が全て消費される前に、薬液ボトル700を新規なものと交換するなど、適切な処置が可能となる。
また、図2および図14に示した注入回路200においては、薬液の混合部にT字コネクタ204が配置されているが、薬液をより良好に混合できるようにするために、このT字コネクタ204に替えて、図16Aに示すようなミキシングデバイス241を配置することが好ましい。以下、このミキシングデバイス241について、薬液として造影剤と生理食塩水とを混合する場合を例に挙げて図16A〜図16Cを参照して説明する。
ミキシングデバイス241は、旋回流を生成する旋回流生成室242aである第1室と、旋回流を軸方向に集中させる狭窄室242bである第2室と有する本体部242を備えている。この例では、旋回流生成室242aは円柱状の内部空間を有し、狭窄室242bは旋回流生成室242aと共軸の円錐状の内部空間を有する。なお、旋回流生成室の短手方向の断面形状は、円、楕円、その他の曲線から形成される種々の形状が考えられる。また、旋回流生成室は、狭窄室に近づくにつれて先が狭まる狭窄形状を有するように構成することもできる。
ミキシングデバイス241の本体部242の流れ上流側には一方の第2チューブ202(図2等参照)が接続される導管部243aが設けられ、下流側には第1チューブ201(図2等参照)が接続される導管部243cが設けられている。他方の第2チューブ203(図2等参照)が接続される導管部243bは、旋回流生成室242aの中央から上流側の位置に配置されている。
この例では、導管部243aから造影剤が流入するとともに導管部243bから生理食塩水が流入し、ミキシングデバイス内で両薬液が混合される。その後、造影剤及び生理食塩水の混合薬液は、液体出口としての導管部243cから流出する。
比重の大きい薬液が流入する導管部243aは、流れ方向の上流側において、旋回流生成室242a上流側壁面の中央部に設けられている。液体出口である導管部243cは、この導管部243cの中心線と導管部243aの中心線とが一致するように、すなわち両者が共軸となるように設けられている。各部が共軸を有するように配置することにより、ミキシングデバイス内において発生する渦の等方性を高めることができる。つまり、渦を空間内で淀みなく均一に発生させ,混合効率を向上させることができる。
他方、比重の小さい薬液が流入する導管部243bは、旋回流生成室242aの側面に配置され、断面円形である旋回流生成室242aの円周の接線方向に延在する。別の言い方をすれば、導管部243bは、旋回流生成室242aが有する円柱状空間の中心軸線からの周縁側にずれた位置に設けられ、これにより、導管部243bから流入した比重の小さい薬液の旋回流が生成されるようになっている。より詳しくは、図16Cに示すように、流路241fbが、旋回流生成室242aの湾曲した内面の円周接線方向に延在するように構成されており、これにより、この流路から流入した薬液が旋回流となる。さらに狭窄室242bは、図面からも明らかなように、流れ方向下流側に向かってすぼまる傾斜した内面を有しているので、発生した旋回流は、渦の中心軸方向に集中することになる。
また、造影剤が流入する導管部243aは、流路241faを介して旋回流生成室242aと連通している。これにより、比重の大きい薬液を、比重の小さい薬液の旋回流の中心軸と平行な方向で旋回流生成室に導入することができる。つまり、比重の大きい薬液は、旋回流生成室が有する円柱状空間の中心軸線と平行な方向に導入される。また、生理食塩水が流入する導管部は、流路241fbを介して旋回流生成室と連通している。一例で、流路241fbの内径は、造影剤が流入する流路241faの内径よりも小さく形成されていてもよい。こうした構成によれば、所定の圧力で薬液を注入する場合、断面積が相対的に小さい流路241fbから流入する比重の小さい薬液の流速が、比重の大きい薬液の流速よりも速くなる。したがって、比重の小さい薬液の流速が遅い場合に生じうる、旋回流の慣性力の減衰やそれに伴う旋回強度の不足に起因する、薬液どうしの混合効率の低下を回避することができる。
上記のように構成されたミキシングデバイス241では、例えば造影剤および生理食塩水を同デバイス内に流入させると、流路241faから旋回流生成室に流入した造影剤は軸方向下流側に向かう流れとなる。一方、流路241fbから旋回流生成室に流入した生理食塩水は、同室内の湾曲した内面に沿って旋回する旋回流となり、そして、生理食塩水の旋回流は、狭窄室に導かれて旋回流の中心軸方向に集中する。このような渦はランキン渦として知られ、旋回流のもつ慣性力を渦の回転軸の近傍に集中させることができる。
そしてこのようなミキシングデバイス241を有する注入回路で2つの薬液の同時注入を行う場合、両薬液が良好に混合されることとなる。すなわち、この例では、造影剤と生理食塩水とが良好に混合された希釈造影剤を得ることができ、その結果、造影剤の濃度のムラ等が無くなるので、薬液の混合部にT字コネクタを有する一般的な注入回路の場合と比較して優れた造影効果が期待できる。
なお、図2および図14に示した注入回路200は、いずれも2本のシリンジが接続可能な構成とされている。しかし、注入回路、特に体外回路部は、接続されるシリンジの数が1本のみであるように構成されたものであってもよいし、3本以上であるように構成されたものであってもよい。
図17に、流量センサ210を有する注入回路200のさらに他の形態を示す。本形態の注入回路200も、図2に示した注入回路200と同様、第1チューブ201、複数の第2チューブ202、203、T字コネクタ204、コネクタ205〜207および流量センサ210を有しており、これらについては、流量センサ210の位置を除いて図2に示した注入回路200と同様に構成されていてよい。本形態では、注入回路200は、一方の第2チューブ203の中間部から分岐して接続された第4チューブ221と、第4チューブ221の末端に接続された流量センサ210と、をさらに有している。したがって、本形態では、注入回路200は、シリンジが接続される2つのコネクタ205、206および流量センサ210の、合わせて3つの末端を有している。
第2チューブ203の分岐には、例えばT字コネクタ225を用いることができる。また、例えば薬液の注入時などに第4チューブ221内に薬液が流入しないようにするために、第4チューブ221にもう1つ別のコック223が設けられてもよい。コック223は、第4チューブ221の末端と流量センサ210との間に設けられていてもよいし、第4チューブ221の中間部に設けられていてもよい。
上記のとおり構成された注入回路200は、末端のコネクタ205、206がシリンジに接続され、かつ、先端のコネクタ207が体外回路部に接続された注入回路200が、体外回路部を介して被験者と接続された状態、すなわち注入回路200が定位置配置された状態で使用することができる。使用に際しては、第4チューブ221に設けられたコック223を開く。
こうすることで、シリンジ内に充填された、造影剤などの薬液が注入されていない状態では、被験者の血管を流動する血液の脈動による圧力変動が、体内回路部を介して注入回路200に伝達する。注入回路200では、圧力変動に対応して、注入回路200内の液体の移動が生じる。液体の移動は流量センサ210によって検出され、その検出結果から、液体の圧力、ひいては被験者の血圧を求めることができ、また、被験者の脈拍を求めることもできる。
すなわち、本形態では、流量センサ210は、従来の圧力トランスデューサの代替として用いることができる。流量センサ210を圧力トランスデューサの代替として用いることで、仮に造影剤注入時に造影剤による高い圧力が第4チューブ221に伝達されたとしても、圧力トランスデューサとは異なり、流量センサ210が破損することはない。
注入回路200は、流量センサ210の末端に接続されたチャンバをさらに有していることが好ましい。この場合、注入回路200の末端の一つがチャンバとなる。チャンバは、第1チューブ201側で注入回路200内に圧力変動が生じたときに、その圧力変動に起因する流量センサ210内での薬液の移動を生じさせやくするものであり、このようなチャンバを設けることで、流量センサ210による検出感度を向上させることができる。図17に示した形態では、チャンバは、先端側が流量センサ210に接続され、末端側にコック224が設けられた第5チューブ222で構成されている。使用に際しては、第5チューブ222の末端に設けられたコック224を閉じる。
ここで、第5チューブ222およびコック224で構成されるチャンバは、流量センサ210よりも末端側の液溜めとして機能し、流量センサ210内での液体の移動のしやすさに影響を与える。一般に、第5チューブ222の長さが長いほど、言い換えると流量センサ210よりも末端側のチャンバの容量が大きいほど、流量センサ210内を液体が移動しやすくなる。流量センサ210内を液体が移動しやすくなると、流量センサ210からの出力である信号強度が高くなる。したがって、流量センサ210の検出結果を利用して求める物理量に応じてチャンバの容量を適宜設定して、流量センサ210による検出感度を調整することが可能となる。
第4チューブ221を分岐させるのは、2つの第2チューブ202、203のどちらからでもよい。ただし、第2チューブ202、203の末端に接続されるシリンジに充填されている薬液の比重が異なる場合、比重の小さい薬液が充填されているシリンジが接続される第2チューブから分岐させることが好ましい。比重の小さい薬液のほうがチューブ内での移動が生じやすく、結果的に大きな検出結果を得ることができるからである。したがって、図17に示す形態において、注入回路200に接続されるシリンジにそれぞれ造影剤および生理食塩水が注入されている場合、第4チューブ221が分岐している第2チューブ203に接続されるシリンジは、生理食塩水が充填されているシリンジであり、もう一方の第2チューブ202に接続され鵜シリンジは、造影剤が充填されているシリンジであることが好ましい。
また、図17に示した形態では、第4チューブ221を第2チューブ203から分岐させ、その分岐した第4チューブ221に流量センサ210が設けられているが、例えば図17Aに示すように、第2チューブ203に流量センサ210を設けてもよい。流量センサ201が設けられる位置は任意であってよい。その他、どちらの第2チューブ202、203に流量センサ210を設けるかについての考え方は、上述した考え方をそのまま適用することができる。
(注入ヘッドの姿勢/上下移動の検出)
例えば図4および図8に示したように、注入ヘッド110がスタンド116に支持される場合、スタンド116は、シリンジの先端側が上方を向いたり下方を向いたりすることができるように注入ヘッド110を支持することが好ましい。その理由は、例えば前述したパージ動作の際には、シリンジ内に存在する気泡をシリンジから排出しやすくするためにシリンジの先端を上方に向け、一方、薬液を注入する際には、たとえシリンジ内に気泡が残留していたとしてもその気泡が注入されないようにするためにシリンジの先端を下方に向けることができるようにするためである。医療事故防止の観点から、薬液注入装置においては注入ヘッドの姿勢を検出できることは、望ましいことである。
ここで、注入ヘッド110にシリンジが装着され、かつ、そのシリンジに注入回路200が接続された状態で、注入ヘッド110の姿勢を変えてシリンジの先端の位置を上下方向に変化させると、注入回路200の先端と末端との高低差が変化する。注入回路200の先端と末端との高低差の変化によって注入回路200内の液体が移動し、この液体の移動は流量センサ210で検出される。この検出結果を用いれば、注入ヘッド110が、シリンジの先端を上に向けた姿勢であるか下に向けた姿勢であるかを判断することができる。このような、流量センサ210から送信された検出結果に適宜演算処理を行って注入ヘッド110の姿勢を判断するヘッド姿勢判断機能を、注入制御ユニット101に持たせることができる。注入ヘッド110の姿勢をより良好に判断できるようにするためには、流量センサ210は、シリンジの先端またはその直近に配置されることが好ましい。
注入制御ユニット101がヘッド姿勢判断機能を有する場合、パージ動作に適した姿勢ではない、あるいは注入動作に適した姿勢ではないと判断されたとき、注入制御ユニット101は、表示ユニット104にその旨を警告として表示させたり、ピストン駆動機構130a、130bが動作しないようにピストン駆動機構130a、130bの動作を制御したりすることができる。
注入ヘッド110は、天井から吊り下げられた状態で支持されることもできる。その一形態を図18に示す。図18に示す形態では、注入ヘッド110は、多関節の天井アームユニット180に支持されている。天井アームユニット180は、ボルト等によって天井に固定されるベース部181と、ベース部181から延びる多関節のアーム部183とを有している。アーム部183の先端部には、鉛直方向に延びる取り付けアーム183aが、その軸周りに回転自在に取り付けられている。注入ヘッド110は、取り付けアーム183aの下端部に、水平方向に延びる軸周りに回転自在に取り付けられている。
このように、注入ヘッド110が天井アームユニット180に支持される場合、注入ヘッド110をアーム部183の可動範囲内で上下方向にも任意の位置に動かすことができる。注入ヘッド110にシリンジが装着され、かつ、そのシリンジに前述した注入回路200が接続された状態で注入ヘッド110が上方または下方に移動すると、注入回路200の先端との高低差が変化する。この高低差の変化により生ずる注入回路200内での液体の移動が流量センサ210で検出されることを利用して、注入ヘッド110が上下方向にどれだけ移動したかを判断することができる。そのために、注入制御ユニット101は、流量センサ210から送信された検出結果に適宜演算処理を行って注入ヘッド110の上下方向での移動距離を判断するヘッド上下移動判断機能を有することができる。
なお、図18に示す形態において、注入ヘッド110とともの取り付けアーム183aに取り付けられているのは、第2の表示ユニット104bである。薬液注入システムは、前述した表示ユニット104とは別の第2の表示ユニット104bをさらに有することができる。
第2の表示ユニット104bには、薬液の種類、注入速度、注入量、注入時間など、薬液の注入に関する各種情報を表示させることができる。これによって、操作者は、注入ヘッド110の近傍で薬液の注入条件を確認することができる。また、第2の表示ユニット104bは、画面上をタッチすることで入力操作も可能なタッチパネルであってもよい。第2の表示ユニット104bをタッチパネルとすることで、操作者は、第2の表示ユニット104bを用いて、被験者の状態等に応じて注入条件を適宜変更することができる。
図18では第2の表示ユニット104bを天井アームユニット180に取り付けた例を示したが、第2の表示ユニット104bは、注入ヘッド110を操作する操作者が視認できる位置であれば、例えば図4、図8に示したスタンド116に取り付けられてもよいし、注入ヘッド110に、取り付け用ブラケットなどを介して取り付けられるようにしてもよい。
以上流量センサ210を備えた注入回路200を用いて検出することのできる様々な項目について説明したが、上述した項目の検出は、検出する項目に応じた適宜の演算処理を注入制御ユニット101が行うようにすることができる。注入制御ユニット101は、これらのすべての項目を検出できるように構成されていてもよいし、これらの項目のうち1つ以上を組み合わせた1つまたは複数の項目を検出できるようにされていてもよい。
(容器および駆動機構)
上述した形態では、薬液が充填される容器がシリンジである場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明においては、容器はシリンジに限定されるものではなく、薬液ボトルや薬液バッグなどであってもよい。その場合、容器から薬液を注入させる駆動機構としては、チューブポンプ式の駆動機構など、容器の形態に応じた駆動機構を用いることができる。
(ユニット等の配置)
上述した形態では、注入制御ユニット101が薬液注入装置100に含まれ、撮像制御ユニット510が医用画像撮像装置500に含まれるものとして説明した。しかし、注入制御ユニット101および撮像制御ユニット510がともに薬液注入装置100に含まれていてもよいし、注入制御ユニット101および撮像制御ユニット510がともに医用画像撮像装置500に含まれていてもよい。あるいは、注入制御ユニット101および撮像制御ユニット510がともに、薬液注入装置100および医用画像撮像装置500とは別の、プログラム可能なコンピュータ装置(不図示)に含まれていてもよい。こうすることにより、薬液注入装置100および医用画像撮像装置500がそれぞれ個別にコンソールを持つ必要がなくなり、また、各制御ユニットの入力ユニットおよび表示ユニットを共通化することもできる。その結果、システム全体の構成を簡略化することができる。
さらには、注入制御ユニット101の特定の機能を残りの他の機能とは別のユニットに組み込むこともできる。例えば、注入条件の決定(演算)機能を撮像制御ユニット510に組み込み、残りの他の機能を注入制御ユニット101に組み込むことができる。この場合は、撮像条件の決定および注入条件の決定に共通するデータ等を、薬液注入装置100および医用画像撮像装置500に重複して入力する必要がなくなる。注入条件の決定に際して不足するデータは、撮像制御ユニット510から入力できるようにしてもよいし、注入制御ユニット101から撮像制御ユニット510に送信するようにしてもよい。
注入制御ユニット101の持つ機能および撮像制御ユニット510の持つ機能は、必要により各種ハードウェアを利用して実現し得るが、その主体はコンピュータプログラムに対応してCPUが機能することにより実現される。
そのコンピュータプログラムは、
少なくとも1つの容器が着脱自在に搭載され、前記容器から薬液を注入させるように構成された少なくとも1つの駆動機構を備えた注入ヘッドと、前記容器と接続される薬液注入回路と、前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、を有し、前記薬液注入回路が、少なくとも1つのチューブを有する、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、前記チューブユニットの前記先端と前記末端との間に配置され、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備えた少なくとも1つの熱式流量センサとを有するシステムのためのコンピュータプログラムであって、
上述した手順の少なくとも一部、例えば、
前記熱式流量センサが、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として前記熱式流量センサから前記注入制御ユニットへ出力させることと、
前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記注入制御ユニットに所定の機能を実行させることと、
を実行させるためのコンピュータプログラムである。
また、上述した形態では注入制御ユニット101が有する機能として述べた、流量センサ210からの検出結果を利用して各種物理量を演算する機能および各種判断を行う機能の少なくとも1つ(例えば、流量センサ210により検出された流量から圧力を算出する機能)を注入制御ユニット101とは別の、流量センサ制御ユニットとして構成することもできる。この場合、流量センサ制御ユニットは、流量センサ210の動作を制御するとともに、流量センサ210を動作させるために必要な電力の供給を行うように構成することができる。流量センサ制御ユニットは流量センサ210と接続されて使用され、流量センサ210および流量センサ制御ユニットは、薬液注入装置100、医用画像撮像装置500および注入回路200など、他の装置やユニットなどに組み込まれていない独立したユニットとして構成することもできる。流量センサ制御ユニットは、例えば注入制御ユニット101と接続されることができ、流量センサ210から得られた結果(例えば圧力)をデータとして注入制御ユニット101に送信する。注入制御ユニット101は、流量センサ制御ユニットから送信されたデータ(例えば圧力)を表示ユニット104に表示させることができる。
構造的な点では、図4および図8に示す注入ヘッド110とコンソール112とを一体に構成することもできる。注入ヘッド110とコンソール112とが一体に構成された場合、コンソール112も検査室に配置されることになる。注入動作の開始および停止には、ハンドスイッチ118を用いることができるので、操作者は、このハンドスイッチ118により、操作室内での注入操作の開始および停止を制御することができる。
また、上述した形態では、2つのピストン駆動機構130a、130bが1つの注入ヘッド110に搭載されていた。しかし、薬液注入装置は、それぞれ1つのピストン駆動機構を搭載する2つの注入ヘッドを有し、パージ動作時および注入時には、注入制御ユニット101が各注入ヘッドを互いに連動させて複数の薬液を希釈するようにすることもできる。
(医療ネットワークとの連携)
少なくとも薬液注入装置100および医用画像撮像装置500が医療ネットワークに接続されていてもよい。これによって、薬液注入装置100により注入された薬液の注入速度、注入時間、注入量(1回の検査および/または治療において複数回の注入が実施された場合は、1回の注入ごとの注入量および一連の注入の総注入量)、注入グラフ、注入した薬液の種類、および、希釈注入を実施した場合の希釈割合等を含む注入結果、さらに、医用画像撮像装置500による撮像条件は、医療ネットワークを通じて医用画像撮像装置、RIS(放射線科情報システム)、PACS(医用画像保管管理システム)、HIS(病院情報システム)などに注入データとして保存できる。これにより、保存した注入データは、注入履歴の管理に利用される。特に注入量などは、使用済薬液としてカルテ情報に記録したり、会計処理に利用したりすることができる。また、被験者の体重等の身体的情報、ID、氏名、検査部位、検査手法を、RIS、PACS、HISなどから取得して薬液注入装置に表示し、それにあった注入を実施することもできる。これらの情報、およびRFIDモジュール166によってRFIDタグ802から取得したデータは、薬液注入装置100から医用画像撮像装置500を経由してRIS、PACKS、HISなどに送信されてもよいし、薬液注入装置100から直接、RIS、PACKS、HISなどに送信されてもよい。
(流量センサの他の機器への利用)
薬液注入装置を用いた薬液の注入では、前述したように、注入プロトコルを予め設定し、設定された注入プロトコルにしたがって薬液を自動的に注入するのが一般的である。しかし、薬液注入の他の方式として、操作者によって操作されるハンドコントローラを用い、ハンドコントローラの操作に従って、ピストン駆動機構の動作がリアルタイムに制御される方式もある。例えば、血管造影用の造影剤を注入する薬液注入装置は、この方式で制御されることがある。
この種のハンドコントローラは、通常、操作者が手に持つことができるサイズおよび形状に形成されたコントローラ本体を有する。コントローラ本体は、操作者の操作によって移動するように設けられた操作部材と、操作部材の移動を検出する検出器と、を有し、検出器による検出結果が薬液注入装置の注入制御ユニットに送信され、注入制御ユニットは、検出器から送信された検出結果に基づいてピストン駆動機構の動作を制御するように構成される。
上記のとおり構成されるハンドコントローラにおいて、本発明では、検出器として流量センサを用いることができる。検出器として流量センサを用いたハンドコントローラの一形態について以下に説明する。
検出器として流量センサを用いたハンドコントローラは、上記コントローラ本体、操作部材、および検出器である流量センサの他に、可撓性および気密性を有する袋部材をさらに有する。袋部材には、流体の出入り口となる1つの流路部が接続されており、この流路部を通る流体の流量を検出できるように、流路部に流量センサが接続される。流量センサとしては任意の流量センサを用いることができるが、各種流量センサの中でも特に、図3に示したような、流路部の一部を構成する導管を有し、該導管内での流体の移動に応じた電気信号を検出結果として出力するように構成された流量センサを好ましく用いることができる。
この場合、流路部を通る流体をより正確に検出するために、袋部材の流路部と流量センサの導管とは気密を維持した状態で接続されることが好ましい。両者の接続をより簡便かつ確実に行えるようにするために、流路部は、袋部材から一体的に延びた管状部を有し、この管状部に流量センサの導管が接続されることが好ましい。
検出対象となる流体は、気体であってもよいし液体であってもよい。具体的には、取り扱いが容易であるという観点から、気体としては空気を用いることができ、液体としては水を用いることができる。流体として空気を用いる場合、袋部材の流路部は開放されていてもよい。また、流体として気体を用いる場合および液体を用いる場合のいずれの場合にも適用可能であるが、検出器は流路部と接続される第2袋部材をさらに有し、袋部材、流路部および第2袋部材で一つの閉じた空間が形成されるようにすることもできる。第2袋部材は、袋部材と同様、可撓性および気密性を有して構成される。
袋部材は、操作部材が操作される前の状態である初期状態では膨らんだ状態でコントローラ本体内に保持されており、操作部材は、操作されることによって、その操作量(移動量)に応じて袋部材を収縮させるものである。操作部材としては、一般的なハンドコントローラで用いられる操作部材と同様、コントローラ本体に対してスライドさせるレバータイプ、およびコントローラ本体に対して押し込まれるボタンタイプの何れも適用可能である。
上記のとおり構成されたハンドコントローラによれば、袋部材が流体で満たされた状態で操作部材が操作されると、その操作量に応じて、袋部材内の流体が流路部を通って排出される。このとき、流路部内での流体の移動が流量センサによって検出され、流体の移動に応じた電気信号が、検出結果として薬液注入装置の注入制御ユニットに送信される。注入制御ユニットは、流量センサから送信された検出結果に従ってピストン駆動機構が前進するようにピストン駆動機構の動作を制御する。流量センサは、一定の時間間隔で、その期間での流体の移動量を検出しており、よって、操作部材の操作に応じた速度や量で薬液を注入することができる。
薬液の注入動作が終了した後、注入制御ユニットは、次の注入のためにピストン駆動機構を元の位置、例えば待機位置まで後退させる。また、袋部材も元の膨らんだ初期状態に戻される。ピストン駆動機構の後退は、薬液の注入動作の終了後、注入制御ユニットの制御により自動的に行われるようにすることができる。あるいは、袋部材が初期状態に戻る際に、袋部材の内部へ向かう流体の流れが流量センサによって検出されるため、その検出された流量に相当する分だけ、注入制御ユニットによる制御によりピストン駆動機構を後退させるようにすることもできる。
袋部材は、例えば、弾力性のある材料で構成されていれば、注入動作の終了後、袋部材自身の弾性力で初期状態へ復帰させることができる。あるいは、操作部材を元の位置に戻すことによって袋部材が初期状態へ復帰するように袋部材が構成されていてもよい。
以上説明したとおり、本明細書は次に述べるコントローラ装置をも開示する。すなわち、
容器に充填された薬液を注入する駆動機構の動作を制御するコントローラ装置であって、
操作者の操作によって移動可能に設けられた操作部材と、
前記操作部材の移動量に応じて収縮するように設けられた袋部材と、
前記袋部材に接続された流路部と、
前記流路部の一部を構成する導管を有し、該導管内での流体の移動に応じた電気信号を検出結果として出力する流量センサと、
を有するコントローラ装置。
また、本明細書は、
上記コントローラ装置と、
薬液が充填されている容器から前記薬液を注入させるように構成された駆動機構と、
前記コントローラ装置の流量センサから出力された検出結果に対応して前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、
を有する薬液注入装置をも開示する。
100 薬液注入装置
101 注入制御ユニット
103 入力ユニット
104 表示ユニット
104b 第2の表示ユニット
110 注入ヘッド
112 コンソール
114 メインユニット
130a、130b ピストン駆動機構
131、152 プレッサ
140 クランパ
153 ロッド
164 RFID制御回路
165 アンテナ
166 RFIDモジュール
180 天井アームユニット
200 注入回路
201 第1チューブ
202、203 第2チューブ
202a、203a 第3チューブ
204 T字コネクタ
208 三方活栓
210 流量センサ
211 パイプ
212 半導体モジュール
213 ヒータ
214 温度センサ
221 第4チューブ
222 第5チューブ
241 ミキシングデバイス
300 シリンジアセンブリ
320、350 シリンジ
321 シリンダ
322 ピストン
352 RFIDタグ
370 保護カバー
400 注入条件設定用画面
500 医用画像撮像装置
503 入力ユニット
504 表示ユニット
510 撮像制御ユニット
520 撮像動作ユニット
600 アダプタ
700(700a、700b) 薬液ボトル

Claims (32)

  1. 容器に充填された薬液を注入する際に用いられる薬液注入回路であって、
    少なくとも1つのチューブを有し、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、
    前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置された少なくとも1つの熱式流量センサであって、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備え、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として出力するように構成された熱式流量センサと、
    を有する薬液注入回路。
  2. 体内回路部と、体外回路部と、を有し、
    前記体外回路部は、前記チューブユニットとして、先端が前記体内回路部と接続される第1チューブと、前記第1チューブの末端から分岐するように前記第1チューブに接続されてそれぞれ末端が前記容器と接続される複数の第2チューブとを有し、前記熱式流量センサは、前記第1チューブおよび第2チューブの何れかに接続される請求項1に記載の薬液注入回路。
  3. 前記複数の第2チューブの中間部に三方活栓を介して接続された複数の第3チューブをさらに有する請求項2に記載の薬液注入回路。
  4. 前記熱式流量センサは、前記第1チューブの先端部に接続される請求項2または3に記載の薬液注入回路。
  5. 前記複数の第2チューブのいずれか1つの中間部から分岐して前記第2チューブに接続された第4チューブをさらに有し、前記熱式流量センサは前記第4チューブの末端に接続されている請求項2に記載の薬液注入回路。
  6. 前記熱式流量センサの末端に接続されたチャンバをさらに有する請求項5に記載の薬液注入回路。
  7. 容器に充填された薬液を注入する薬液注入システムであって、
    少なくとも1つの容器が着脱自在に装着され、前記容器から薬液を注入させるように構成された少なくとも1つの駆動機構を備えた注入ヘッドと、
    前記容器と接続される薬液注入回路と、
    前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、
    を有し、
    前記薬液注入回路は、
    少なくとも1つのチューブを有し、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、
    前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置された少なくとも1つの熱式流量センサであって、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備え、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として前記注入制御ユニットに出力するように構成された熱式流量センサと、
    を有する薬液注入システム。
  8. 前記注入制御ユニットは、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて圧力を算出する圧力算出機能を有する請求項7に記載の薬液注入システム。
  9. 前記注入制御ユニットは、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記薬液注入回路に異常が発生したことを判断する判断機能を有する請求項7に記載の薬液注入システム。
  10. 前記判断機能は、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記薬液注入回路の先端位置を判断する注入回路先端位置判断機能を含む請求項9に記載の薬液注入システム。
  11. 前記判断機能は、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて薬剤の血管外漏出が発生したことを判断する漏出判断機能を含む請求項9に記載の薬液注入システム。
  12. 前記判断機能は、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記薬液注入回路にキンクが発生したことを判断するキンク判断機能を含む請求項9に記載の薬液注入システム。
  13. 前記薬液注入回路は、体内回路部と体外回路部とを有し、
    前記体外回路部は、前記チューブユニットとして、先端が前記体内回路部と接続される第1チューブと、前記第1チューブの末端から分岐するように前記第1チューブに接続されてそれぞれ末端が前記容器と接続される複数の第2チューブとを有し、前記熱式流量センサは、前記第1チューブおよび第2チューブの何れかに接続される請求項7から12の何れか一項に記載の薬液注入システム。
  14. 前記薬液注入回路は、前記複数の第2チューブの中間部に三方活栓を介して接続された複数の第3チューブをさらに有する請求項13に記載の薬液注入システム。
  15. 前記注入制御ユニットは、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記三方活栓の切り替え状態を判断する流路切り替え判断機能を有する請求項14に記載の薬液注入システム。
  16. 前記薬液注入回路は、前記複数の第2チューブのいずれか1つの中間部から分岐して前記第2チューブに接続された第4チューブをさらに有し、前記熱式流量センサは前記第4チューブの末端に接続されている請求項14に記載の薬液注入システム。
  17. 前記熱式流量センサの末端に接続されたチャンバをさらに有する請求項16に記載の薬液注入システム。
  18. 前記注入制御ユニットは、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて、前記注入ヘッドが前記容器の先端を上に向けた姿勢であるか下に向けた姿勢であるかを判断するヘッド姿勢判断機能を有する請求項7に記載の薬液注入システム。
  19. 前記注入制御ユニットは、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて前記注入ヘッドの上下方向への移動を判断するヘッド上下移動判断機能を有する請求項7に記載の薬液注入システム。
  20. 前記注入制御ユニットは、前記駆動機構の動作の停止後、前記熱式流量センサにより前記薬液の移動が検出された場合、前記注入回路内の薬液を前記容器内に吸引する方向に前記駆動機構を動作させる請求項8に記載の薬液注入システム。
  21. 少なくとも1つの前記容器をさらに含む請求項7から20の何れか一項に記載の薬液注入システム。
  22. 請求項7から21のいずれか一項に記載の薬液注入システムと、
    前記薬液注入システムによって薬液が注入された被験者から医用画像を取得する医用画像撮像装置と、
    を有する医用画像撮像システム。
  23. 少なくとも1つの容器が着脱自在に搭載され、前記容器から薬液を注入させるように構成された少なくとも1つの駆動機構を備えた注入ヘッドと、前記容器と接続される薬液注入回路と、前記駆動機構の動作を制御する注入制御ユニットと、を有し、前記薬液注入回路が、少なくとも1つのチューブを有する、1つの先端および少なくとも1つの末端を有するチューブユニットと、前記チューブユニットの前記先端から前記末端までの間に配置され、前記チューブ内を流れる薬液が流れる導管を備えた少なくとも1つの熱式流量センサと、を有する薬液注入システムの作動方法であって、
    前記熱式流量センサが、前記導管内での薬液の移動に応じた電気信号を検出結果として前記注入制御ユニットに出力するステップと、
    前記注入制御ユニットが、前記熱式流量センサから出力された検出結果を用いて所定の機能を実行するステップと、
    を有する薬液注入システムの作動方法。
  24. 前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記検出結果を用いて圧力を算出するステップを含む請求項23に記載の薬液注入システムの作動方法。
  25. 前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記検出結果を用いて前記薬液注入回路に異常が発生したことを判断するステップを含む請求項23に記載の薬液注入システムの作動方法。
  26. 前記異常が発生したことを判断するステップは、前記検出結果を用いて前記薬液注入回路の先端位置を判断するステップを含む請求項25に記載の薬液注入システムの作動方法。
  27. 前記異常が発生したことを判断するステップは、前記検出結果を用いて薬剤の血管外漏出の発生を判断することを含む請求項25に記載の薬液注入システムの作動方法。
  28. 前記異常が発生したことを判断するステップは、前記検出結果を用いて前記薬液注入回路でのキンクの発生を判断することを含む請求項25に記載の薬液注入システムの作動方法。
  29. 前記薬液注入回路は、体内回路部と体外回路部とを有し、
    前記体外回路部は、前記チューブとして、先端が前記体内回路部と接続される第1チューブと、前記第1チューブの末端から分岐するように前記第1チューブに接続されてそれぞれ末端が前記シリンジと接続される複数の第2チューブと、前記複数の第2チューブの中間部に三方活栓を介して接続された複数の第3チューブと、を有し、前記熱式流量センサは、前記第1チューブおよび第2チューブの何れかに接続され、
    前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記検出結果を用いて前記三方活栓の切り替え状態を判断するステップを含む請求項23から28の何れか一項に記載の薬液注入システムの作動方法。
  30. 前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記検出結果を用いて、前記注入ヘッドが前記容器の先端を上に向けた姿勢であるか下に向けた姿勢であるかを判断するステップを含む請求項23に記載の薬液注入システムの作動方法。
  31. 前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記検出結果を用いて前記注入ヘッドの上下方向への移動を判断するステップを含む請求項23に記載の薬液注入システムの作動方法。
  32. 前記注入制御ユニットが所定の機能を実行するステップは、前記駆動機構の動作の停止後、前記熱式流量センサにより前記薬液の移動が検出された場合、前記注入回路内の液体を前記容器内に吸引する方向に前記駆動機構を動作させるステップを含む請求項23に記載の薬液注入システムの作動方法。
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