JPWO2016072414A1 - 多孔質電極基材およびそれを用いた膜−電極接合体並びにそれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。<条件>横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池に適用される多孔質電極基材およびそれを用いた膜−電極接合体並びにそれを用いた固体高分子型燃料電池に関する。
本願は、2014年11月4日に、日本に出願された特願2014−223950号、及び2015年10月2日に、日本に出願された特願2015−196501号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2014年11月4日に、日本に出願された特願2014−223950号、及び2015年10月2日に、日本に出願された特願2015−196501号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
固体高分子型燃料電池には、導電性が高く、集電能に優れ、各種作業に耐え得るよう機械的強度が良好であることが要求されており、同時に、電極反応に寄与する物質の拡散が良好である必要がある。そのため、電極基材には炭素化されたシートが一般的に用いられる。近年注目されている自動車など高い出力密度が要求される用途においては、電流密度が高い領域で燃料電池を運転するため、単位反応面積当たりに発生する水の量も増加する。したがって、このような場合には、反応による生成水をいかに効率よく排出するかがポイントとなり、燃料電池のガス拡散体の材料として用いられる炭素化されたシートには高い排水性が求められる。そのため、電極基材の細孔分布を制御することで、排水性を向上させる試みがされるようになった。
例えば、特許文献1においては、機械的強度が高く電気特性に優れた電極材に適した多孔質炭素材を提供することが目的とされ、その細孔分布は単峰(1山)でかつ鋭いピークであることが良いとされているが、特許文献2においては逆に、機械的にシートに穴を開け、不織布の糸と糸の間にできる間隙と前記穴の2種類の空孔を合わせ持つことが良いとされるものもある。しかしながら、機械強度と排水性を両立させるという点では不十分であった。
さらに特許文献3では、黒鉛やカーボンブラックなど粉末を混ぜることが紹介されているが、細孔分布において細孔径が1μm以下のピークしか得られず、大きく排水性が改善するものではなかった。また、特許文献4では、プレス成型条件の異なるシートを積層することで、厚さ方向に細孔分布の異なる多孔質炭素シートが紹介されているが、表裏で構造が異なるため反りの問題が発生する。また、これらの文献には、細孔分布をどのようにすれば排水性が向上し、発電性能が改善するのか明確な記載はなかった。
特許文献5では、特許文献の1〜4には記載されていない発電試験による性能評価がされている。双峰(2山)からなる細孔分布とすることで、従来の1山細孔分布のものより、発電性能が向上することが明記されている。
自動車用途においては、アクセルを踏み込む高出力密度の条件に加えて、安定走行する低出力での運転条件においても燃料電池のセル内を安定した状態に保ち、幅広い条件下において発電する必要がある。すなわち、電池起動時のように低温で滞留水が残っている条件でも発電し、さらにアクセルを踏み込んだ後の高温・高加湿な条件でも発電することが求められている。特許文献5のような方法では、例えば定置用途のように発電条件が比較的一定である場合において発電性能の向上がみられるが、他の条件において全く知見がないため、そのまま自動車用途に適用できるものではなかった。
自動車用途においては、アクセルを踏み込む高出力密度の条件に加えて、安定走行する低出力での運転条件においても燃料電池のセル内を安定した状態に保ち、幅広い条件下において発電する必要がある。すなわち、電池起動時のように低温で滞留水が残っている条件でも発電し、さらにアクセルを踏み込んだ後の高温・高加湿な条件でも発電することが求められている。特許文献5のような方法では、例えば定置用途のように発電条件が比較的一定である場合において発電性能の向上がみられるが、他の条件において全く知見がないため、そのまま自動車用途に適用できるものではなかった。
一方、炭素化されたシートの連続成型方法としては、特許文献3、4のように間欠プレスをするものや、特許文献5、6のようにダブルベルトプレス(DBP)によるものが、広く知られている。その中で厚みを制御するのに、加圧し、厚みを決定する部分でスペーサーやコッターを用いることが良いとされているが、一方、これらの工程において細孔分布の制御を行うことについては、特に言及されていない。
発電性能が悪化する要因は、比較的低温かつ高電流密度領域においては、フラッディングやプラッギングと呼ばれる、基材あるいはセパレータ流路の閉塞に伴うガス供給不足により、瞬間的に発電性能が低下する問題がある。一方、高温・低加湿条件では、ドライアップと呼ばれる、電解質膜の乾燥に伴うプロトン伝導の低下により、発電性能が低下する問題がある。
これらの現象を多孔質電極基材の観点から考えると、これまでの多孔質電極基材は、ペーパータイプにしてもクロスタイプにしても、その細孔分布ピークの対称性が高いものが主流であった。すなわち、細孔径が基材全体にわたってほぼ一様であり、燃料ガスあるいは生成水がどういう経路で拡散、通過するかは不確実であった。そのため、生成水により経路の閉塞が起きるとガスの拡散が阻害され、また、いったん乾燥が始まるとそれが加速し、ドライアップしてしまうものだった。
このように、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材が求められている。
これらの現象を多孔質電極基材の観点から考えると、これまでの多孔質電極基材は、ペーパータイプにしてもクロスタイプにしても、その細孔分布ピークの対称性が高いものが主流であった。すなわち、細孔径が基材全体にわたってほぼ一様であり、燃料ガスあるいは生成水がどういう経路で拡散、通過するかは不確実であった。そのため、生成水により経路の閉塞が起きるとガスの拡散が阻害され、また、いったん乾燥が始まるとそれが加速し、ドライアップしてしまうものだった。
このように、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材が求められている。
本発明の課題は、自動車用途においてアクセルを踏み込む高出力密度の条件に加えて、安定走行する低出力での運転条件においても燃料電池のセル内を安定した状態に保ち、幅広い条件化において発電できる多孔質電極基材を提供することである。
具体的には、本発明の課題は、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材を提供すること、及びこの多孔質電極基材を含む膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することである。
具体的には、本発明の課題は、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材を提供すること、及びこの多孔質電極基材を含む膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することである。
本発明者等は前記課題が以下の発明(1)〜(11)によって解決されることを見出した。
(1) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
(2) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有する。
(3) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(4) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有し、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(5) 条件において、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(6) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(7) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材の片面および/または両面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けた多孔質電極基材。
(9) 上記(1)〜(8)いずれか一項に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
(10) 上記(9)に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
(11) 下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程。
工程2:前記炭素繊維シート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程。
(1) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
(2) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有する。
(3) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(4) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有し、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(5) 条件において、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(6) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(7) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材の片面および/または両面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けた多孔質電極基材。
(9) 上記(1)〜(8)いずれか一項に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
(10) 上記(9)に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
(11) 下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程。
工程2:前記炭素繊維シート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程。
本発明によれば、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材を提供することができる。並びに、この多孔質電極基材を含む膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
<多孔質電極基材>
本発明の多孔質電極基材は、構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たすことを特徴とする。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
なお、上記の条件としては、高加湿条件でも良好に発電するための排水経路確保の観点から、更に20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有することが好ましい。また、低加湿条件でも良好に発電するための保湿性を担保する観点から、1〜20μmの細孔径範囲においてもある程度の細孔容積が必要だが、特定の細孔径に偏ることでドライアップやフラッディングが加速してしまうことがないよう、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さないことが好ましい。また更には、自動車用途で想定されるいかなる温度・湿度条件でもガスの経路と水の経路をバランスよく確保する観点から、図2に示すように、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有することが好ましい。なお、図2は、本願実施例の多孔質電極基材を水銀圧入法で測定して得られた細孔分布曲線であり、横軸は円筒近似によって換算される試料の細孔径であり、縦軸は細孔容積に相当する。
<多孔質電極基材>
本発明の多孔質電極基材は、構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たすことを特徴とする。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
なお、上記の条件としては、高加湿条件でも良好に発電するための排水経路確保の観点から、更に20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有することが好ましい。また、低加湿条件でも良好に発電するための保湿性を担保する観点から、1〜20μmの細孔径範囲においてもある程度の細孔容積が必要だが、特定の細孔径に偏ることでドライアップやフラッディングが加速してしまうことがないよう、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さないことが好ましい。また更には、自動車用途で想定されるいかなる温度・湿度条件でもガスの経路と水の経路をバランスよく確保する観点から、図2に示すように、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有することが好ましい。なお、図2は、本願実施例の多孔質電極基材を水銀圧入法で測定して得られた細孔分布曲線であり、横軸は円筒近似によって換算される試料の細孔径であり、縦軸は細孔容積に相当する。
<多孔質電極基材の発電性能>
本発明の多孔質電極基材の発電性能は、以下の条件にて定義されるものである。
多孔質電極基材をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンに浸漬、乾燥、焼結することにより得られた多孔質電極基材(PTFE付着量20質量%)をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意し、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意し、この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合してMEA(Membrane Electrode Assembly)を得る。前記MEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成し、燃料ガスに水素ガス(利用率60%)を、酸化ガスに空気(利用率40%)を用いて、電流密度−電圧特性を測定する。セル温度80℃、相対湿度100%(湿潤状態)の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度42%(乾燥状態)の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Vaを求める。Vb/Va値は0.7〜1.1であることが好ましい。Vb/Va値が0.7未満の場合には、発電に好適な条件が湿潤状態に偏っていることを意味し、ドライアップしやすいため好ましくない。一方、Vb/Va値が1.1を超える場合は、発電に好適な条件が乾燥状態に偏っていることを意味し、フラッディングしやすいため好ましくない。
本発明の多孔質電極基材の発電性能は、以下の条件にて定義されるものである。
多孔質電極基材をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンに浸漬、乾燥、焼結することにより得られた多孔質電極基材(PTFE付着量20質量%)をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意し、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意し、この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合してMEA(Membrane Electrode Assembly)を得る。前記MEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成し、燃料ガスに水素ガス(利用率60%)を、酸化ガスに空気(利用率40%)を用いて、電流密度−電圧特性を測定する。セル温度80℃、相対湿度100%(湿潤状態)の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度42%(乾燥状態)の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Vaを求める。Vb/Va値は0.7〜1.1であることが好ましい。Vb/Va値が0.7未満の場合には、発電に好適な条件が湿潤状態に偏っていることを意味し、ドライアップしやすいため好ましくない。一方、Vb/Va値が1.1を超える場合は、発電に好適な条件が乾燥状態に偏っていることを意味し、フラッディングしやすいため好ましくない。
<炭素繊維>
本発明の多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と言う。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の平均繊維長は、分散性の点から、2〜30mmであることが好ましい。平均繊維長は、例えば走査型電子顕微鏡などの顕微鏡で、炭素繊維を50倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる50本の単繊維を選び、その長さを計測し、その平均値を求めればよい。炭素繊維の平均繊維径は、炭素繊維の生産コスト及び分散性の観点から、3〜15μmであることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。
本発明の多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と言う。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の平均繊維長は、分散性の点から、2〜30mmであることが好ましい。平均繊維長は、例えば走査型電子顕微鏡などの顕微鏡で、炭素繊維を50倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる50本の単繊維を選び、その長さを計測し、その平均値を求めればよい。炭素繊維の平均繊維径は、炭素繊維の生産コスト及び分散性の観点から、3〜15μmであることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。
<樹脂炭化物>
本発明において、樹脂炭化物とは、樹脂を炭化してできた、炭素繊維同士を結着する物質である。樹脂としては、フェノール樹脂など炭素繊維との結着力が強く、炭化時の残存重量が大きい熱硬化性樹脂が好ましいが、特に限定はされない。この樹脂炭化物は、樹脂の種類や炭素繊維紙への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化物として残る割合が異なる。
本発明において、樹脂炭化物とは、樹脂を炭化してできた、炭素繊維同士を結着する物質である。樹脂としては、フェノール樹脂など炭素繊維との結着力が強く、炭化時の残存重量が大きい熱硬化性樹脂が好ましいが、特に限定はされない。この樹脂炭化物は、樹脂の種類や炭素繊維紙への含浸量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭化物として残る割合が異なる。
<水銀圧入法>
本発明における細孔分布は、以下の方法によって取得、定義されるものである。多孔質材料の細孔分布を取得する方法として水銀圧入法を用いる。水銀圧入法では、試料に加えた圧力から空隙の円筒近似によって換算される試料の細孔径を横軸とし、細孔に注入される水銀の合計体積を縦軸とする「累積細孔容積曲線」を、細孔径を変数として微分したものが「細孔分布曲線」である。
本発明における細孔分布は、以下の方法によって取得、定義されるものである。多孔質材料の細孔分布を取得する方法として水銀圧入法を用いる。水銀圧入法では、試料に加えた圧力から空隙の円筒近似によって換算される試料の細孔径を横軸とし、細孔に注入される水銀の合計体積を縦軸とする「累積細孔容積曲線」を、細孔径を変数として微分したものが「細孔分布曲線」である。
<細孔分布>
通常、細孔分布は横軸が常用対数である片対数表示されることが多い。一方、装置メーカーの所与の設定では、試料に加える圧力(印加圧力)がある程度均等になるようあらかじめ設定されている。そのような印加圧力設定で測定した場合、得られる細孔径は印加圧力と円筒近似式により一義的に決まるため、細孔分布曲線を描くためのデータ点は、片対数表示では小さい細孔径の方(向かって左側)で密に、大きい細孔径の方(向かって右側)で疎となる。これは、データ点の取り方、すなわち印加圧力の設定の仕方で、得られる細孔分布形状が変わりうることを示す。図1に、同一の多孔質電極基材をサンプルとして、データ点の取り方を変えて取得した細孔分布の一例を示す。図1に示すように、装置メーカーの所与の設定(デフォルト設定)で測定すると(黒丸)、細孔径が大きい側ほどデータ点の横軸方向の間隔が広く、データ点を結んで得られる曲線は全体としてなまった1つのピークに見える。これに対し、本願で規定する方法で測定した場合は(白丸)、デフォルト設定では捉えていないデータ点が増えたことで、多孔質電極基材が本来有する2山の細孔分布形状がより正確に表現されている。このように、印加圧力の設定は細孔分布を評価するにあたり極めて重要である。
そこで我々は、細孔分布曲線を描くためのデータ点が片対数表示で等間隔となるように(片対数表示した場合に、横軸方向にデータ点が疎になる範囲が生じないように)、逆算によって印加圧力の設定値を求めた。ここで「等間隔」とは、片対数表示の横軸方向にデータ点間隔の広い所や狭い所が混在せず、一定の間隔でデータ点が存在することを意味する。データ間隔が小さいほど正確な形状となるが、測定時間が長くなりすぎないよう、1〜100μmの範囲で80点程度が好ましい。一方、多孔質電極基材の細孔分布形状を的確に評価するために、細孔径で1μm未満および100μmを超える領域についてもデータを取得する方が好ましい。本願実施例では全て、細孔径換算で約0.08μmから約400μmに相当する圧力範囲において、計144点の印加圧力を設定した。
また、このようなデータを取得するために、ある印加圧力設定値Aに対し、次の印加圧力設定値Bは、B=10^0.025×A≒1.06×Aを満たすように設定する。すなわち、印加圧力の設定値は、全体として、公比1.06の等比数列をなす。
1〜100μmの範囲でデータ点数80点の場合、片対数表示でのデータ間隔は10^0.025≒1.06[μm]程度となり、約1μmの分解能で細孔分布を表示できる。
通常、細孔分布は横軸が常用対数である片対数表示されることが多い。一方、装置メーカーの所与の設定では、試料に加える圧力(印加圧力)がある程度均等になるようあらかじめ設定されている。そのような印加圧力設定で測定した場合、得られる細孔径は印加圧力と円筒近似式により一義的に決まるため、細孔分布曲線を描くためのデータ点は、片対数表示では小さい細孔径の方(向かって左側)で密に、大きい細孔径の方(向かって右側)で疎となる。これは、データ点の取り方、すなわち印加圧力の設定の仕方で、得られる細孔分布形状が変わりうることを示す。図1に、同一の多孔質電極基材をサンプルとして、データ点の取り方を変えて取得した細孔分布の一例を示す。図1に示すように、装置メーカーの所与の設定(デフォルト設定)で測定すると(黒丸)、細孔径が大きい側ほどデータ点の横軸方向の間隔が広く、データ点を結んで得られる曲線は全体としてなまった1つのピークに見える。これに対し、本願で規定する方法で測定した場合は(白丸)、デフォルト設定では捉えていないデータ点が増えたことで、多孔質電極基材が本来有する2山の細孔分布形状がより正確に表現されている。このように、印加圧力の設定は細孔分布を評価するにあたり極めて重要である。
そこで我々は、細孔分布曲線を描くためのデータ点が片対数表示で等間隔となるように(片対数表示した場合に、横軸方向にデータ点が疎になる範囲が生じないように)、逆算によって印加圧力の設定値を求めた。ここで「等間隔」とは、片対数表示の横軸方向にデータ点間隔の広い所や狭い所が混在せず、一定の間隔でデータ点が存在することを意味する。データ間隔が小さいほど正確な形状となるが、測定時間が長くなりすぎないよう、1〜100μmの範囲で80点程度が好ましい。一方、多孔質電極基材の細孔分布形状を的確に評価するために、細孔径で1μm未満および100μmを超える領域についてもデータを取得する方が好ましい。本願実施例では全て、細孔径換算で約0.08μmから約400μmに相当する圧力範囲において、計144点の印加圧力を設定した。
また、このようなデータを取得するために、ある印加圧力設定値Aに対し、次の印加圧力設定値Bは、B=10^0.025×A≒1.06×Aを満たすように設定する。すなわち、印加圧力の設定値は、全体として、公比1.06の等比数列をなす。
1〜100μmの範囲でデータ点数80点の場合、片対数表示でのデータ間隔は10^0.025≒1.06[μm]程度となり、約1μmの分解能で細孔分布を表示できる。
<歪度・尖度>
細孔分布は統計学の視点で見れば度数分布の一種であるから、分布形状は統計学で一般に用いられる、分布の「歪度」および「尖度」により規定することができる。
歪度S(Skewness)とは、分布の標準偏差の3乗の期待値であり、分布の偏りを表す。歪度Sの定義から、正規分布はS=0、向かって左に偏るとS>0、向かって右に偏るとS<0である。なお、本願において「歪度が大きい」とは「歪度の絶対値が大きい」ということであり、同様に「歪度が小さい」とは「歪度の絶対値が小さい」ということである。
尖度K(Kurtosis)とは、分布の標準偏差の4乗の期待値であり、分布のとがり具合を表す。尖度Kの定義の仕方にもよるが、通常正規分布はK=3、正規分布より鋭い「鋭峰分布」の場合はK>3、正規分布よりなまった「鈍峰分布」の場合はK<3である。
なお、本発明において統計処理を行う際には、あらかじめ横軸の数値を10を底とする指数に読み換える。具体的には、1、10、100は、それぞれ10の0乗、1乗、2乗であるので、横軸の1μmに相当する位置は「0」、10μmは「1」、100μmは「2」と読み換える。それ以外の点も、同じく10を底とする指数に読み換えて統計処理を行う。1〜100μmの範囲でデータ点数80点の場合、指数に読み換えた後のデータ間隔は、2÷80=0.025である。
式(1)、式(2)に、度数分布における歪度Sと尖度Kの定義式をそれぞれ示す。細孔分布に適用する場合は、まず指数表示された細孔径Xiと、対応する度数(強度)fiの積の総和を度数(強度)の総和で除し、期待値μを求める。このとき、定義式より、Zi=Xi−μの3乗の期待値が歪度Sであり、同じく4乗の期待値が尖度Kである。
細孔分布は統計学の視点で見れば度数分布の一種であるから、分布形状は統計学で一般に用いられる、分布の「歪度」および「尖度」により規定することができる。
歪度S(Skewness)とは、分布の標準偏差の3乗の期待値であり、分布の偏りを表す。歪度Sの定義から、正規分布はS=0、向かって左に偏るとS>0、向かって右に偏るとS<0である。なお、本願において「歪度が大きい」とは「歪度の絶対値が大きい」ということであり、同様に「歪度が小さい」とは「歪度の絶対値が小さい」ということである。
尖度K(Kurtosis)とは、分布の標準偏差の4乗の期待値であり、分布のとがり具合を表す。尖度Kの定義の仕方にもよるが、通常正規分布はK=3、正規分布より鋭い「鋭峰分布」の場合はK>3、正規分布よりなまった「鈍峰分布」の場合はK<3である。
なお、本発明において統計処理を行う際には、あらかじめ横軸の数値を10を底とする指数に読み換える。具体的には、1、10、100は、それぞれ10の0乗、1乗、2乗であるので、横軸の1μmに相当する位置は「0」、10μmは「1」、100μmは「2」と読み換える。それ以外の点も、同じく10を底とする指数に読み換えて統計処理を行う。1〜100μmの範囲でデータ点数80点の場合、指数に読み換えた後のデータ間隔は、2÷80=0.025である。
式(1)、式(2)に、度数分布における歪度Sと尖度Kの定義式をそれぞれ示す。細孔分布に適用する場合は、まず指数表示された細孔径Xiと、対応する度数(強度)fiの積の総和を度数(強度)の総和で除し、期待値μを求める。このとき、定義式より、Zi=Xi−μの3乗の期待値が歪度Sであり、同じく4乗の期待値が尖度Kである。
対称性が崩れた細孔分布ピーク、すなわち左や右に歪んだようなピークを作ることができれば、細孔径が一様とは言えず、大小さまざまな細孔が存在することになる。そのような基材の場合、例えば生成水は接触角の観点から大きめの細孔を優先的に通過する一方、燃料ガスは水で閉塞していない小さめの細孔を通る、というように拡散経路がある程度分かれることが期待される。細孔分布ピークの対称性は、どちらかというと向かって右側に大きく偏っている(向かって左側に裾を引いている)形状が好ましい。細孔分布は、ある細孔径に相当する空隙(水銀圧入される空隙)が全部で容積としてどれくらいあるかを、細孔径に対してプロットしたもの、と見ることができるから、細孔径の小さい方(向かって左側)の容積が大きい(強度がある)と、その分空隙数も多くなる。すなわち、ガスの経路と水の経路のバランスが良くなり、比較的低温かつ高電流密度領域においては排水性にすぐれ、高温・低加湿条件では保湿性に優れている。
<多孔質電極基材の性能>
本発明で定義する多孔質電極基材の性能は、以下の(1)および(2)の方法によって測定することができる。
(1)膜−電極接合体(MEA)の製造
多孔質電極基材をPTFEディスパージョンに浸漬し、乾燥、焼結することにより撥水処理を行う。撥水処理された多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意する。また、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意する。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、MEAを得る。
本発明で定義する多孔質電極基材の性能は、以下の(1)および(2)の方法によって測定することができる。
(1)膜−電極接合体(MEA)の製造
多孔質電極基材をPTFEディスパージョンに浸漬し、乾燥、焼結することにより撥水処理を行う。撥水処理された多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意する。また、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意する。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、MEAを得る。
(2)MEAの燃料電池特性評価
得られたMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成する。この単セルの電流密度−電圧特性を測定することによって、燃料電池特性評価を行う。燃料ガスとしては水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いる。単セルの温度を80℃、燃料ガス利用率を60%、酸化ガス利用率を40%とする。また、燃料ガスと酸化ガスへの加湿は80℃(相対湿度100%)または60℃(相対湿度42%)のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行う。セル温度80℃、相対湿度100%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度42%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Vaを求める。
本発明の多孔質電極基材は、自動車の通常運航時の出力を十分に確保する観点から、水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1であることが好ましい。
また本発明の多孔質電極基材は、自動車の始動時、通常運航時、高速運航時のバランスを維持する観点から、撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1であることが好ましい。
得られたMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成する。この単セルの電流密度−電圧特性を測定することによって、燃料電池特性評価を行う。燃料ガスとしては水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いる。単セルの温度を80℃、燃料ガス利用率を60%、酸化ガス利用率を40%とする。また、燃料ガスと酸化ガスへの加湿は80℃(相対湿度100%)または60℃(相対湿度42%)のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行う。セル温度80℃、相対湿度100%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度42%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Vaを求める。
本発明の多孔質電極基材は、自動車の通常運航時の出力を十分に確保する観点から、水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1であることが好ましい。
また本発明の多孔質電極基材は、自動車の始動時、通常運航時、高速運航時のバランスを維持する観点から、撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1であることが好ましい。
<多孔質電極基材の製造方法>
本発明の多孔質電極基材は、下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法により製造することができる。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程(シート状物製造工程1)。
工程2:前記炭素繊維のシート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程(樹脂添加工程2)。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程(加熱加圧工程3)。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程(炭素化処理工程4)。
本発明の多孔質電極基材は、下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法により製造することができる。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程(シート状物製造工程1)。
工程2:前記炭素繊維のシート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程(樹脂添加工程2)。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程(加熱加圧工程3)。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程(炭素化処理工程4)。
前記シート状物製造工程1において、脱イオン水を使用することを含んでもよく、この水に炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とを水中に分散させることを含んでもよく、この混合スラリーに更にポリビニルアルコール等の有機高分子化合物バインダーを添加してから抄造することも含んでいる。このとき抄造して得られる炭素繊維シート状物を前記樹脂含浸工程2の前に90℃〜120℃で乾燥させる(第1乾燥処理工程6)とよい。
前記シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とを水中に分散して炭素繊維シート状物を得るか、又は前記シート状物製造工程1と前記樹脂含浸工程2との間に、炭素繊維シート状物を交絡処理する工程(交絡処理工程5)を含ませることにより、炭素繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、また炭素繊維シートの強度を上げることができる。
前記シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とを水中に分散して炭素繊維シート状物を得るか、又は前記シート状物製造工程1と前記樹脂含浸工程2との間に、炭素繊維シート状物を交絡処理する工程(交絡処理工程5)を含ませることにより、炭素繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、また炭素繊維シートの強度を上げることができる。
更に、前記樹脂含浸工程2と前記炭素化処理工程4との間に、樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧する工程(加熱加圧工程3)を含ませる。
また、前記交絡処理した後の炭素繊維シート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理した炭素背にシート状物から分散媒を除去する観点から、交絡処理した炭素繊維シート状物を20〜200℃で再び乾燥処理するとよい。
また、前記交絡処理した後の炭素繊維シート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理した炭素背にシート状物から分散媒を除去する観点から、交絡処理した炭素繊維シート状物を20〜200℃で再び乾燥処理するとよい。
炭素化工程4では、得られる多孔質電極基材に対する十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。このとき、炭素化処理を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行うことができる。この前炭素化処理を行うことによって、炭素化初期段階において発生するナトリウムを多量に含む分解ガスが容易に出し切れるようになり、炭素化炉内壁への各種分解物の付着や堆積、或いはその分解物による腐食などの痛みや黒色のしみの発生を容易に抑制することができる。
以下、各処理工程及びそこで使われる用語等について具体的に説明する。
以下、各処理工程及びそこで使われる用語等について具体的に説明する。
<シート状物製造工程1>
本発明で規定する細孔分布を形成するためには、まず炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)が含まれる炭素繊維シート状物とする。フィブリル状繊維(b’)は、それ自体が炭素繊維(A)と絡み合うことで炭素繊維シート状物の強度が向上するが、さらに炭素繊維前駆体繊維(b)を同時に混抄して実質的にバインダーフリーとすることもできるし、有機高分子化合物をバインダーとして用いてもよい。バインダーとして使用する有機高分子化合物は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)や、熱融着するポリエステル系あるいはポリオレフィン系のバインダー等が挙げられる。バインダーは繊維や粒子のような固体状でも液体状でもよい。
炭素繊維シート状物の重量に対するバインダー重量の比率としては、バインダー/炭素繊維シート状物で表して、0.10〜0.20が好ましく、0.12〜0.18がより好ましい。
炭素繊維(A)、フィブリル状繊維(b’)、及び炭素繊維前駆体繊維(b)等の繊維状物を分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなど、繊維状物が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
上記炭素繊維シート状物は、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、炭素繊維シート状物の生産性及び機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。炭素繊維シート状物の目付は、10〜200g/m2程度であることが好ましい。また、炭素繊維シート状物の厚みは、20〜400μm程度であることが好ましい。
また、炭素繊維シート状物重量に占めるフィブリル状繊維(b’)重量の比率としては、フィブリル状繊維(b’)/炭素繊維シート状物で表して、0.05〜0.35が好ましく、0.10〜0.33がより好ましい。
本発明で規定する細孔分布を形成するためには、まず炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)が含まれる炭素繊維シート状物とする。フィブリル状繊維(b’)は、それ自体が炭素繊維(A)と絡み合うことで炭素繊維シート状物の強度が向上するが、さらに炭素繊維前駆体繊維(b)を同時に混抄して実質的にバインダーフリーとすることもできるし、有機高分子化合物をバインダーとして用いてもよい。バインダーとして使用する有機高分子化合物は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)や、熱融着するポリエステル系あるいはポリオレフィン系のバインダー等が挙げられる。バインダーは繊維や粒子のような固体状でも液体状でもよい。
炭素繊維シート状物の重量に対するバインダー重量の比率としては、バインダー/炭素繊維シート状物で表して、0.10〜0.20が好ましく、0.12〜0.18がより好ましい。
炭素繊維(A)、フィブリル状繊維(b’)、及び炭素繊維前駆体繊維(b)等の繊維状物を分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなど、繊維状物が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
上記炭素繊維シート状物は、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、炭素繊維シート状物の生産性及び機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。炭素繊維シート状物の目付は、10〜200g/m2程度であることが好ましい。また、炭素繊維シート状物の厚みは、20〜400μm程度であることが好ましい。
また、炭素繊維シート状物重量に占めるフィブリル状繊維(b’)重量の比率としては、フィブリル状繊維(b’)/炭素繊維シート状物で表して、0.05〜0.35が好ましく、0.10〜0.33がより好ましい。
<樹脂含浸工程2>
炭素繊維シート状物に含浸させる熱硬化性樹脂としては、常温において粘着性または流動性を示す樹脂で、かつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプのフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に、公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできる。ただし、この場合、硬化剤として例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプとすることが好ましい。フェノール樹脂として、市販品を利用することも可能である。
なお、フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。
フェノール樹脂は、製造コスト低減の観点から、水分散性フェノール樹脂または水溶性フェノール樹脂を使用してもよい。
水分散性フェノール樹脂としては、例えば特開2004−307815号公報、特開2006−56960号公報等に示されるレゾール型フェノール樹脂乳濁液、あるいは水系ディスパージョンとも呼ばれる公知の水分散性フェノール樹脂を使うことができる。具体的には、DIC(株)製の商品名:フェノライトTD−4304、PE−602や、住友ベークライト(株)製の商品名:スミライトレジンPR−14170、PR−55464、PR−50607Bや、昭和電工(株)製の商品名:ショウノールBRE−174等である。
水溶性フェノール樹脂としては、例えば特開2009−84382号公報等に示される水溶性が良好なレゾール型フェノール樹脂のような、公知の水溶性フェノール樹脂を使うことができる。具体的には、群栄化学(株)製の商品名:レヂトップPL−5634や、住友ベークライト(株)製の商品名:スミライトレジンPR−50781、PR−9800D、PR−55386や、昭和電工(株)製の商品名:ショウノールBRL−1583、BRL−120Z等である。
水分散性フェノール樹脂あるいは水溶性フェノール樹脂の入手形態としては、水分散液、あるいは粒状の形態で市販品の調達が容易なものを用いることが、取り扱い性、製造コストの観点から好ましい。市販の水分散性フェノール樹脂は、製造時に除去されずに残った有機溶媒や未反応モノマーが、一般的なフェノール樹脂に比べ少ない。すなわち、乾燥処理や加熱加圧処理の際に揮発する有機溶媒や未反応モノマーが少ないため、排気設備を簡素化できるなど、製造コストを低減することができる。
炭素繊維シート状物に含浸させる熱硬化性樹脂としては、常温において粘着性または流動性を示す樹脂で、かつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプのフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に、公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできる。ただし、この場合、硬化剤として例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプとすることが好ましい。フェノール樹脂として、市販品を利用することも可能である。
なお、フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。
フェノール樹脂は、製造コスト低減の観点から、水分散性フェノール樹脂または水溶性フェノール樹脂を使用してもよい。
水分散性フェノール樹脂としては、例えば特開2004−307815号公報、特開2006−56960号公報等に示されるレゾール型フェノール樹脂乳濁液、あるいは水系ディスパージョンとも呼ばれる公知の水分散性フェノール樹脂を使うことができる。具体的には、DIC(株)製の商品名:フェノライトTD−4304、PE−602や、住友ベークライト(株)製の商品名:スミライトレジンPR−14170、PR−55464、PR−50607Bや、昭和電工(株)製の商品名:ショウノールBRE−174等である。
水溶性フェノール樹脂としては、例えば特開2009−84382号公報等に示される水溶性が良好なレゾール型フェノール樹脂のような、公知の水溶性フェノール樹脂を使うことができる。具体的には、群栄化学(株)製の商品名:レヂトップPL−5634や、住友ベークライト(株)製の商品名:スミライトレジンPR−50781、PR−9800D、PR−55386や、昭和電工(株)製の商品名:ショウノールBRL−1583、BRL−120Z等である。
水分散性フェノール樹脂あるいは水溶性フェノール樹脂の入手形態としては、水分散液、あるいは粒状の形態で市販品の調達が容易なものを用いることが、取り扱い性、製造コストの観点から好ましい。市販の水分散性フェノール樹脂は、製造時に除去されずに残った有機溶媒や未反応モノマーが、一般的なフェノール樹脂に比べ少ない。すなわち、乾燥処理や加熱加圧処理の際に揮発する有機溶媒や未反応モノマーが少ないため、排気設備を簡素化できるなど、製造コストを低減することができる。
炭素繊維シート状物に熱硬化性樹脂を含浸させて得られる樹脂含浸シートに対する熱硬化性樹脂固形分の付着量(熱硬化性樹脂/炭素繊維シート状物の重量比)は、55〜100重量%であることが好ましい。熱硬化性樹脂の当該含有率を55重量%以上とすることで、得られる多孔質炭素電極基材の構造が密になり、強度が高くなる。また、熱硬化性樹脂の当該含有率を100重量%以下とすることで、得られる多孔質電極基材の空孔率およびガス透過性を良好に保つことができる。なお、樹脂含浸シートとは、加熱加圧前の、炭素繊維シート状物に熱硬化性樹脂を含浸したものをいうが、樹脂含浸の際に溶媒を用いた場合には溶媒を除去したものをいう。また、熱硬化性樹脂の「固形分」とは、「不揮発分」のことであり、分散液を加熱して水またはその他の溶媒や揮発性モノマーを揮発させた後の蒸発残分のことを意味し、不揮発性のモノマーやオリゴマー等の低分子化合物も固形分に含まれる。
また、熱硬化性樹脂の固形分重量に対するフィブリル状繊維(b’)重量の比率としては、フィブリル状繊維(b’)/熱硬化性樹脂固形分で表して、0.1〜0.75が好ましく、0.2〜0.5がより好ましい。
また、熱硬化性樹脂の固形分重量に対するフィブリル状繊維(b’)重量の比率としては、フィブリル状繊維(b’)/熱硬化性樹脂固形分で表して、0.1〜0.75が好ましく、0.2〜0.5がより好ましい。
熱硬化性樹脂と導電性物質の混合物を炭素繊維シート状物に含浸させてもよい。導電性物質としては、炭素質ミルド繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛粉などが挙げられる。導電性物質の混合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。導電性物質の混合量を1質量部以上とすることで、導電性改善の効果が十分になる。また、導電性物質の混合量が50質量部を超えても導電性改善の効果が飽和する傾向にあるので、導電性物質の混合量が50質量部以下とすることでコストアップを抑制することができる。
熱硬化性樹脂と場合により導電性物質とを含む溶液を炭素繊維シート状物に含浸する方法としては、絞り装置を用いる方法、または別途作製した熱硬化性樹脂フィルムを炭素繊維シート状物に重ねる方法が好ましい。絞り装置を用いる方法では、含浸溶液に炭素繊維シート状物を含浸し、絞り装置で取り込み液が炭素繊維シート状物全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置のロール間隔を変えることで調節する方法である。溶液の粘度が比較的低い場合は、スプレー法等を用いることもできる。熱硬化樹脂フィルムを炭素繊維シート状物に重ねる方法では、まず熱硬化性樹脂と場合により導電性物質とを含む溶液を離型紙にコーティングし、熱硬化性樹脂フィルムとする。その後、炭素繊維シート状物に熱硬化性樹脂フィルムを積層して、加熱加圧処理を行い、熱硬化性樹脂を炭素繊維シート状物に含浸させる方法である。
<加熱加圧工程3>
加熱加圧工程3において熱硬化性樹脂は流動後に硬化(架橋)し、表面が平滑で厚みが均一な樹脂硬化シートが得られる。この加熱加圧工程3は、シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)と共に、フィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素繊維(A)をフィブリル状繊維(b’)で融着させるという効果も有する。加熱加圧の温度としては、熱硬化性樹脂、特にフェノール樹脂の流動・硬化およびフィブリル状繊維(b’)の溶融の観点から、150〜380℃がより好ましく、180〜350℃がさらに好ましい。加熱加圧温度が150℃よりも低いとフェノール樹脂の架橋反応が十分に進まず、炭素化後の残炭が低くなる。また相分離構造の形成にも影響を及ぼす。加熱加圧温度が380℃より高いと、フィブリル状繊維(b’)の一部が加熱加圧工程で焼失する恐れがあるため好ましくない。
加熱加圧工程3において熱硬化性樹脂は流動後に硬化(架橋)し、表面が平滑で厚みが均一な樹脂硬化シートが得られる。この加熱加圧工程3は、シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)と共に、フィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素繊維(A)をフィブリル状繊維(b’)で融着させるという効果も有する。加熱加圧の温度としては、熱硬化性樹脂、特にフェノール樹脂の流動・硬化およびフィブリル状繊維(b’)の溶融の観点から、150〜380℃がより好ましく、180〜350℃がさらに好ましい。加熱加圧温度が150℃よりも低いとフェノール樹脂の架橋反応が十分に進まず、炭素化後の残炭が低くなる。また相分離構造の形成にも影響を及ぼす。加熱加圧温度が380℃より高いと、フィブリル状繊維(b’)の一部が加熱加圧工程で焼失する恐れがあるため好ましくない。
加熱加圧の方法としては、樹脂含浸シートを挟むための一対の加熱加圧媒体によって均等に加熱加圧できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、樹脂含浸シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。連続的に製造される樹脂含浸シートを加熱加圧する場合には、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が好ましい。または、樹脂含浸シートの間欠的な搬送と、平滑な剛板による間欠的な熱プレスを組み合わせる方法でも良い。これらの方法によって、炭素化処理工程4を連続して行うことができる。
本発明においては、予熱段階でも、前記一対の加熱加圧媒体(平滑な剛板、熱ロール、ベルト)の間に一定のクリアランス(即ち、対向する一対の加熱加圧媒体を有する加熱加圧装置における、加熱加圧媒体間の距離)を設けることが好ましい。このクリアランスを調整することにより、有機高分子化合物バインダーと熱硬化性樹脂との混合状態(相分離状態)を制御することができるためである。加熱加圧の工程では、有機高分子化合物バインダーと熱硬化性樹脂がある混合状態(相分離状態)を維持したまま熱硬化性樹脂が硬化したものが形成される。その後炭素化することで、有機高分子化合物バインダーは焼失する一方、熱硬化性樹脂は樹脂炭化物として残ることにより、炭素繊維同士で形成される細孔よりサイズの小さい細孔が形成する。
つまり、有機高分子化合物バインダーと熱硬化性樹脂の混合状態(相分離状態)が変わると、焼失する有機高分子化合物バインダーの分布も変化するため、炭素化処理後の多孔質電極基材の細孔分布も変化するということである。変化の挙動は、具体的には以下の<1>〜<4>の4つに大別される。
つまり、有機高分子化合物バインダーと熱硬化性樹脂の混合状態(相分離状態)が変わると、焼失する有機高分子化合物バインダーの分布も変化するため、炭素化処理後の多孔質電極基材の細孔分布も変化するということである。変化の挙動は、具体的には以下の<1>〜<4>の4つに大別される。
<1> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの60%程度より広い場合は、樹脂含浸シートにさほど大きな圧力はかからず、熱硬化性樹脂と有機高分子化合物バインダーが比較的自由に流動することができ、熱硬化性樹脂と有機高分子化合物バインダーの間で完全に相分離が進む。その結果、炭素化後は、径の小さい網目が一定の大きさで形成されるため、歪度の小さい2山のピークが形成される。
<2> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの45%程度の場合は、大部分で相分離が進むが、一部相分離しない部分が生じる。その結果、2山のピークは形成されるが、相分離しなかった部分の影響で、歪度の大きな2山のピークとなる。
<3> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの30%程度の場合は、相分離は局所的(部分的)に起こる。その結果、相分離が進んだ部分のみわずかに細孔径が小さくなるため、本発明にて定義した尖度・歪度の細孔分布となる。
<4> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの15%程度より狭い場合は、予熱段階でシートに大きな圧力がかかることで熱硬化性樹脂と有機高分子化合物が自由に流動することができない。そのため、網目構造は形成されず、歪度の小さい1山のピークが形成される。
<2> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの45%程度の場合は、大部分で相分離が進むが、一部相分離しない部分が生じる。その結果、2山のピークは形成されるが、相分離しなかった部分の影響で、歪度の大きな2山のピークとなる。
<3> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの30%程度の場合は、相分離は局所的(部分的)に起こる。その結果、相分離が進んだ部分のみわずかに細孔径が小さくなるため、本発明にて定義した尖度・歪度の細孔分布となる。
<4> 予熱段階における一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの15%程度より狭い場合は、予熱段階でシートに大きな圧力がかかることで熱硬化性樹脂と有機高分子化合物が自由に流動することができない。そのため、網目構造は形成されず、歪度の小さい1山のピークが形成される。
本発明においては、一対の加熱加圧媒体のクリアランスを樹脂含浸シートの厚みの15%以上45%以下にすることが、好ましい。さらに好ましくは、20%以上40%以下である。一対の加熱加圧媒体のクリアランスが樹脂含浸シートの厚みの15%より狭い時は、有機高分子化合物バインダーが加熱加圧媒体の圧力に押しつぶされて、相分離が起こらないため、歪度の小さい1山のピークとなる。
一方、45%より広いときは、相分離が進みやすくなり、ピークが2山になる可能性がある。
一方、45%より広いときは、相分離が進みやすくなり、ピークが2山になる可能性がある。
加熱加圧における圧力は1〜20MPaがより好ましく、5〜15MPaがさらに好ましい。圧力が20MPa以下であれば、加熱加圧時に炭素繊維(A)が破壊されることなく多孔質電極基材に適切な緻密性を容易に付与することができる。圧力が1MPa以上であれば、表面を容易に平滑にすることができる。
樹脂含浸シートを2枚の剛板に挟んで、または熱ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧するときは、剛板やロール、ベルトに繊維状物などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくことや、樹脂含浸シートと剛板や熱ロール、ベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。離型紙を挟む場合には、離型紙の厚みも考慮して、前記一対の加熱加圧媒体のクリアランスを設定する。
<炭素化処理工程4>
樹脂含浸シートの加熱加圧処理によって得られた樹脂硬化シートを炭素化処理する方法としては、室温からの連続昇温により炭素化するような方法であればよく、1000℃以上の温度で行う。なお、十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。なお、炭素化処理工程を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行ってもよい。前炭素化処理を行うことで炭素化初期段階において発生する分解ガスを容易に出し切ることができることから、炭素化炉内壁へのナトリウムやカルシウムなどの分解物の付着や堆積を容易に抑制することができるため、炉壁の腐食と樹脂硬化シートあるいは多孔質電極基材に対する黒色のしみの発生を抑制できるようになる。
樹脂含浸シートの加熱加圧処理によって得られた樹脂硬化シートを炭素化処理する方法としては、室温からの連続昇温により炭素化するような方法であればよく、1000℃以上の温度で行う。なお、十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。なお、炭素化処理工程を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行ってもよい。前炭素化処理を行うことで炭素化初期段階において発生する分解ガスを容易に出し切ることができることから、炭素化炉内壁へのナトリウムやカルシウムなどの分解物の付着や堆積を容易に抑制することができるため、炉壁の腐食と樹脂硬化シートあるいは多孔質電極基材に対する黒色のしみの発生を抑制できるようになる。
連続的に製造された樹脂硬化シートを炭素化処理する場合は、製造コストの観点から、樹脂硬化シートの全長にわたって連続で熱処理を行うことが好ましい。多孔質電極基材が長尺であれば、多孔質電極基材の生産性が高くなり、かつその後の膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)製造も連続で行うことができるので、燃料電池の製造コストの低減が図れる。また、多孔質電極基材や燃料電池の生産性及び製造コストの観点から、製造された多孔質電極基材を連続的に巻き取ることが好ましい。
<交絡処理工程5>
炭素繊維シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)と共に、フィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素繊維シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とが3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
炭素繊維シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)と共に、フィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素繊維シート状物を交絡処理することで、炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とが3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
交絡処理は、交絡構造を形成する方法から必要に応じて選択することができ、特に限定されない。ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素繊維(A)の破断を容易に抑制することができ、かつ適切な交絡性が容易に得られるという点で、高圧液体噴射法が好ましい。
以下、前記高圧液体噴射法について詳しく説明する。
以下、前記高圧液体噴射法について詳しく説明する。
高圧液体噴射処理とは、実質的に表面平滑な支持部材上に炭素繊維シート状物を載せ、例えば1MPa以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、炭素繊維シート状物中の炭素繊維(A)を交絡させる処理方法である。シート状物製造工程1において、炭素繊維(A)と共に、フィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素繊維(A)とフィブリル状繊維(b’)とを交絡させる。ここで、実質的に表面平滑な支持部材としては、得られる交絡構造体に支持部材の模様が形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものから必要に応じて選択して用いることができる。その具体例としては、30〜200メッシュの金網またはプラスチックネットあるいはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で、炭素繊維シート状物を製造した後に、続けて高圧液体噴射処理等による交絡処理を連続的に行うことが、生産性の観点から好ましい。
炭素繊維シート状物の高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。すなわち、炭素繊維シート状物の高圧液体噴射処理を行った後、さらに炭素繊維シート状物を積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある交絡した構造を有する炭素繊維シート状物(交絡構造シート状物)を裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限されないが、通常は脱イオン水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズル孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cmが好ましい。液体の圧力は、繊維の交絡の観点から1MPa以上が好ましく、より好ましくは1.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列でもよい。複数列行う場合、シート状物形態維持の観点から1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
交絡構造シートを連続的に製造すると、シート化方向に筋状の軌跡パターンが形成され、シートに疎密構造が生じる場合がある。しかし、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させることにより、前記軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向に引張強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより、交絡構造シートに現れる周期的な模様を抑制することもできる。
交絡処理工程により炭素繊維シート状物の引張強度が向上するため、水中あるいは湿潤状態でも炭素繊維シート状物の引張強度を維持できる。これにより、交絡処理した炭素繊維シート状物に連続して水分散性の熱硬化性樹脂または水溶性の熱硬化性樹脂を添加することが可能となる。水分散性の熱硬化性樹脂または水溶性の熱硬化性樹脂樹脂を使用する場合は、それにより有機溶媒の回収もせずに済むため、従来よりも製造設備を簡略化でき、製造コストを低減することができる。
<第1乾燥処理工程6>
本発明の製造方法は、樹脂含浸工程2と加熱加圧工程3との間に、樹脂含浸シートを乾燥処理する工程6をさらに含むことができる。これにより、加熱加圧工程3で分散媒や未反応モノマーを除去するためのエネルギーを容易に低減することができ好ましい。
その際、樹脂含浸シートから分散媒や未反応モノマーを除去する観点から、90〜120℃の温度で樹脂含浸シートを乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。加熱源への熱硬化性樹脂の付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された樹脂含浸シートを乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、樹脂含浸シートの全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、第1乾燥処理工程6に続いて加熱加圧工程3を連続して行うことができる。
本発明の製造方法は、樹脂含浸工程2と加熱加圧工程3との間に、樹脂含浸シートを乾燥処理する工程6をさらに含むことができる。これにより、加熱加圧工程3で分散媒や未反応モノマーを除去するためのエネルギーを容易に低減することができ好ましい。
その際、樹脂含浸シートから分散媒や未反応モノマーを除去する観点から、90〜120℃の温度で樹脂含浸シートを乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。加熱源への熱硬化性樹脂の付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された樹脂含浸シートを乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、樹脂含浸シートの全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、第1乾燥処理工程6に続いて加熱加圧工程3を連続して行うことができる。
<第2乾燥処理工程7>
本発明の製造方法は、交絡処理工程5と樹脂含浸工程2との間に、交絡処理した炭素繊維シート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理した炭素繊維シート状物から分散媒を除去する観点から、20〜200℃で交絡処理した炭素繊維シート状物を乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。交絡処理した炭素繊維シート状物を構成する繊維の、加熱源への付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された交絡処理した炭素繊維シート状物を乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、交絡処理した炭素繊維シート状物の全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、交絡処理工程5の後に第2乾燥処理工程7を連続して行うことができる。
本発明の製造方法は、交絡処理工程5と樹脂含浸工程2との間に、交絡処理した炭素繊維シート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理した炭素繊維シート状物から分散媒を除去する観点から、20〜200℃で交絡処理した炭素繊維シート状物を乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。交絡処理した炭素繊維シート状物を構成する繊維の、加熱源への付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された交絡処理した炭素繊維シート状物を乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、交絡処理した炭素繊維シート状物の全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、交絡処理工程5の後に第2乾燥処理工程7を連続して行うことができる。
<フィブリル状繊維(b’)>
フィブリル状繊維(b’)は、炭素繊維(A)と一緒に分散し、炭素繊維(A)の再集束を防止すると共に、シート状物を自立シートたらしめる役割を果たすことができる。また、使用する熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)によっては、樹脂の硬化に縮合水を生成するものもあるが、フィブリル状繊維には、その水を吸収、排出する役割も期待できる。そのため、水との親和性にも優れているものが好ましい。具体的なフィブリル状繊維(b’)としては、例えば、フィブリル化されたポリエチレン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維などの合成パルプが挙げられる。フィブリル状繊維(b’)は、炭素化処理後に残炭があるもの(炭素として残るもの)であっても良いし、炭素化処理後に残炭がないもの(炭素として残らないもの)であっても良い。なお、フィブリル状繊維(b’)の平均繊維長は、樹脂含浸シートの機械的強度を確保する観点から0.5mm以上とすることが好ましく、分散性の観点から20mm以下とすることが好ましい。また、フィブリル状繊維(b’)の幹の平均繊維径は、分散性の観点から1μm以上とすることが好ましく、熱処理時の収縮による破断を抑制する観点から50μm以下とすることが好ましい。さらに、フィブリル状繊維(b’)のフィブリル部の平均繊維径は、炭素繊維シート状物製造時の脱水性や多孔質電極基材のガス透過性を確保する観点から0.01μm以上とすることが好ましく、分散性の観点から30μm以下とすることが好ましい。
フィブリル状繊維(b’)は、炭素繊維(A)と一緒に分散し、炭素繊維(A)の再集束を防止すると共に、シート状物を自立シートたらしめる役割を果たすことができる。また、使用する熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)によっては、樹脂の硬化に縮合水を生成するものもあるが、フィブリル状繊維には、その水を吸収、排出する役割も期待できる。そのため、水との親和性にも優れているものが好ましい。具体的なフィブリル状繊維(b’)としては、例えば、フィブリル化されたポリエチレン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維などの合成パルプが挙げられる。フィブリル状繊維(b’)は、炭素化処理後に残炭があるもの(炭素として残るもの)であっても良いし、炭素化処理後に残炭がないもの(炭素として残らないもの)であっても良い。なお、フィブリル状繊維(b’)の平均繊維長は、樹脂含浸シートの機械的強度を確保する観点から0.5mm以上とすることが好ましく、分散性の観点から20mm以下とすることが好ましい。また、フィブリル状繊維(b’)の幹の平均繊維径は、分散性の観点から1μm以上とすることが好ましく、熱処理時の収縮による破断を抑制する観点から50μm以下とすることが好ましい。さらに、フィブリル状繊維(b’)のフィブリル部の平均繊維径は、炭素繊維シート状物製造時の脱水性や多孔質電極基材のガス透過性を確保する観点から0.01μm以上とすることが好ましく、分散性の観点から30μm以下とすることが好ましい。
<炭素繊維前駆体繊維(b)>
炭素繊維前駆体繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。また、この長繊維状の炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されることができる。
炭素繊維前駆体繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。また、この長繊維状の炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されることができる。
炭素繊維前駆体繊維(b)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜30mmが好ましい。炭素繊維前駆体繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体繊維(b)の平均繊維径は、加熱加圧する工程5及び炭素化処理する工程3における収縮による破断を容易に抑制するため、5μm以下であることが好ましい。また、紡糸性の観点から、炭素繊維前駆体繊維(b)の平均繊維径は、1μm以上であることが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維(b)を構成するポリマーは、炭素化後にシート形態を維持する観点から、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
炭素繊維前駆体繊維(b)に用いるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
また、紡糸性と、低温から高温にかけて炭素繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化処理時の残存質量が大きい点と、更に上述した交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維(b)に用いるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
なお、重量平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等の方法で測定することができる。
なお、重量平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等の方法で測定することができる。
燃料電池セルの中でペーパー状の多孔質電極基材がそのまま使われることはほとんどなく、通常は、MPLと呼ばれる、撥水剤とカーボン粉からなるコーティング層を形成した上で、セルに搭載される。本発明の多孔質電極基材は、MPLがなくても良好な発電性能を示すが、MPLを追加しても良い。また、MPLの有無に関わらず、多孔質電極基材に対する撥水処理は施すことが好ましい。
固体高分子型燃料電池は、アノード側においては、高分子電解質膜の乾燥を抑制して適度なプロトン伝導を維持するために、加湿された燃料が供給される。さらに、カソード側においては電極反応生成物としての水(水蒸気)が発生するが、これが凝縮して液体水となり、多孔質電極基材の空隙を塞いでガス透過を妨げる場合がある。そこで、ガス透過性を確保するため、撥水剤によって撥水処理を施されることが多い。
撥水剤としては、化学的に安定でかつ高い撥水性を有するフッ素系樹脂やケイ素樹脂(シリコーン)等が挙げられるが、シリコーンは耐酸性が低く、強酸性である高分子電解質膜と接触させることができないため、もっぱらフッ素系樹脂が用いられる。
固体高分子型燃料電池は、アノード側においては、高分子電解質膜の乾燥を抑制して適度なプロトン伝導を維持するために、加湿された燃料が供給される。さらに、カソード側においては電極反応生成物としての水(水蒸気)が発生するが、これが凝縮して液体水となり、多孔質電極基材の空隙を塞いでガス透過を妨げる場合がある。そこで、ガス透過性を確保するため、撥水剤によって撥水処理を施されることが多い。
撥水剤としては、化学的に安定でかつ高い撥水性を有するフッ素系樹脂やケイ素樹脂(シリコーン)等が挙げられるが、シリコーンは耐酸性が低く、強酸性である高分子電解質膜と接触させることができないため、もっぱらフッ素系樹脂が用いられる。
フッ素系樹脂としては、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(PBVE)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)等のフッ素系モノマーの単独重合物または共重合物を用いることができる。また、これらとエチレンに代表されるオレフィン類との共重合物であるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等も用いることができる。これらのフッ素系樹脂の形態としては、溶媒に溶解した状態のものや、粒状の形態で水やアルコールなどの分散媒に分散している状態のものが、含浸性の観点で好ましい。溶液、分散液、あるいは粒状の形態で市販品の調達が容易なものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等があり、これらを用いることが取扱性、製造コストの観点からは好ましい。撥水剤を用いる割合としては、撥水剤を溶媒に分散させた際の濃度が、分散液の総質量に対して5〜60質量%となるように用いることが好ましい。
多孔質電極基材への撥水処理の方法としては、フッ素系樹脂の微粒子が分散した分散液(ディスパージョン)中に多孔質電極基材を浸漬させる含浸法(ディップ法)、分散液を噴霧するスプレー法などを用いることができる。フッ素系樹脂ディスパージョンの濃度は特に限定されないが、多孔質電極基材の空隙を埋めることなく、かつ一様にフッ素系樹脂を付着させるために固形分1〜30重量%程度が好ましい。10〜30重量%がより好ましく、15〜25重量%が特に好ましい。なお、「固形分」とは、「不揮発分」のことであり、分散液を加熱して水またはその他の溶媒を揮発させた後の蒸発残分のことを意味する。
フッ素系樹脂としてPTFEを用いる場合には、PTFEを焼結する方が好ましい。焼結温度は、PTFEが軟化して炭素繊維や樹脂炭化物に結着し、かつPTFEが熱分解しない温度範囲でなければならない。300〜390℃がより好ましく、320〜360℃が特に好ましい。
フッ素系樹脂は、炭素繊維が樹脂炭化物により結着された多孔質電極基材中の巨視的な導電経路を外側から被覆するように付与される。すなわち、フッ素系樹脂は炭素繊維と樹脂炭化物からなる導電経路を分断することなく、同導電経路の表面に存在する。ただし、フッ素系樹脂の多くは繊維同士の交差点近傍に凝集しており、多孔質電極基材を構成する炭素繊維や樹脂炭化物の表面が隙間なくフッ素系樹脂に被覆されるわけではない。従って、撥水処理後においても基材表面から基材内部へと連なる導電経路は確保され、撥水性と導電性を両立させることができる。
フッ素系樹脂の添加回数は特に限定されないが、添加回数を少なくする方が製造コストを低減できるという観点で好ましい。添加回数を複数回とする場合、添加するフッ素系樹脂のスラリーは同一のものを用いても、スラリー濃度やフッ素系樹脂の種類が異なるスラリーを用いても良い。また、フッ素系樹脂の添加量は多孔質電極基材の厚さ方向に均一であっても、濃度勾配があっても良い。
カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層(MPL)とは、カーボン粉がバインダーである撥水剤によって結合されたものである。言い換えれば、撥水剤によって形成されるネットワーク中にカーボン粉が取り込まれ、微細な網目構造を有する。MPLを形成させる際に、組成物の一部が多孔質電極基材へとしみこむため、MPLと多孔質電極基材との明確な境界線の定義は困難であるが、本発明においてはMPL組成物の多孔質電極基材へのしみこみが生じていない部分、すなわちカーボン粉と撥水剤のみから構成される層のみをMPLと定義する。
MPLの厚さは、5〜50μmが好ましい。
MPLに用いるカーボン粉は、たとえば、カーボンブラック、炭素粉、ミルドファイバーまたはこれらの混合物などを用いることができる。カーボンブラックとしては、例えばアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどを用いることができる。黒鉛粉としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などを用いることができる。ミルドファイバーは、バージンの炭素繊維を粉砕して製造されたものを用いても良いし、炭素繊維強化熱硬化性樹脂成形品、炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形品、プリプレグ等のリサイクル品から製造されたものを用いても良い。カーボン粉を用いる割合としては、カーボン粉を溶媒に分散させた際の濃度が、分散液の総質量に対して5〜30質量%となるように用いることが好ましい。
MPLに用いる撥水剤は、特に限定されないが、多孔質電極基材の撥水処理に適用するのと同じものを使用しても良いし、異なる物を使用しても良い。
MPLの厚さは、5〜50μmが好ましい。
MPLに用いるカーボン粉は、たとえば、カーボンブラック、炭素粉、ミルドファイバーまたはこれらの混合物などを用いることができる。カーボンブラックとしては、例えばアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどを用いることができる。黒鉛粉としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などを用いることができる。ミルドファイバーは、バージンの炭素繊維を粉砕して製造されたものを用いても良いし、炭素繊維強化熱硬化性樹脂成形品、炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形品、プリプレグ等のリサイクル品から製造されたものを用いても良い。カーボン粉を用いる割合としては、カーボン粉を溶媒に分散させた際の濃度が、分散液の総質量に対して5〜30質量%となるように用いることが好ましい。
MPLに用いる撥水剤は、特に限定されないが、多孔質電極基材の撥水処理に適用するのと同じものを使用しても良いし、異なる物を使用しても良い。
カーボン粉および撥水剤を分散させる溶媒としては、水や有機溶媒を用いることができる。有機溶媒の危険性、コスト及び環境負荷の観点から、水を使用することが好ましい。有機溶媒を使用する際には、水と混合可能な溶媒である低級アルコールやアセトンなどの使用が好ましい。これら有機溶媒を用いる割合としては、水1に対して0.5〜2の比率で用いることが好ましい。
<膜−電極接合体の製造方法>
膜−電極接合体とは、多孔質電極基材、触媒層、電解質膜を含むものである。
触媒層としては、白金担持カーボンからなるものが挙げられる。
電解質膜としては、パーフルオロスルホン酸系高分子あるいは炭化水素系高分子からなるものが挙げられる。
膜−電極接合体の製造方法は、電解質膜の両面に触媒層を積層した積層体を、多孔質電極基材で挟持し、接合する工程を含む。
より具体的には、多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意する。また、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成した積層体を用意する。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、膜−電極接合体を得る。
膜−電極接合体とは、多孔質電極基材、触媒層、電解質膜を含むものである。
触媒層としては、白金担持カーボンからなるものが挙げられる。
電解質膜としては、パーフルオロスルホン酸系高分子あるいは炭化水素系高分子からなるものが挙げられる。
膜−電極接合体の製造方法は、電解質膜の両面に触媒層を積層した積層体を、多孔質電極基材で挟持し、接合する工程を含む。
より具体的には、多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意する。また、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成した積層体を用意する。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、膜−電極接合体を得る。
<固体高分子型燃料電池の製造方法>
固体高分子型燃料電池とは、膜−電極接合体、セパレータを含むものである。
セパレータとは、バイポーラプレートとも呼ばれる流路であり、カーボンや表面処理をした金属が使われる。
固体高分子型燃料電池の製造方法は、膜−電極接合体を蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレータで挟持することを含む。
固体高分子型燃料電池とは、膜−電極接合体、セパレータを含むものである。
セパレータとは、バイポーラプレートとも呼ばれる流路であり、カーボンや表面処理をした金属が使われる。
固体高分子型燃料電池の製造方法は、膜−電極接合体を蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレータで挟持することを含む。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
平均繊維長3mmにカットしたポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ株式会社製、商品名:VPB105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維を10:3:2の比で、湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクに投入し、さらに水を加えて均一に分散開繊し、十分に分散させたところでウェブを送り出して、短網板に通し、ドライヤーにて乾燥後、幅1000mm、目付20g/m2のロール形態の炭素繊維シート状物を得た。
次に、炭素繊維シート状物をフェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライトJ−325)のメタノール溶液に浸漬し、炭素繊維シート状物100重量部に対し60重量部を付着させ、更に幅850mmにスリットして、フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸シートを得た。この樹脂含浸シートをダブルベルトプレス装置により、2枚積層しながらプレス成形した。その際の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を235℃、予熱ロール上下間のクリアランスを樹脂含浸シート2枚の合計厚みの30%に調整した。さらに予熱ロール温度を260℃、プレス圧を6.7MPaとした。なお、ここでいう予熱ロール温度が、本願で定義する加熱加圧温度を指す。その結果、幅850mm×長さ100mの樹脂硬化シートを得た。詳細は、表1に示す。
得られた樹脂硬化シートを、窒素ガス雰囲気下の焼成炉(幅1m)内を走行させて、その後、更に窒素ガス雰囲気下1600℃以上の温度領域が6mの焼成炉内を走行させて、最高温度2000℃で熱処理を行った。なお、このときの樹脂硬化シートのシート幅は700mmであった。
細孔分布測定用の試料は、多孔質電極基材をまず50mm角に切り出し、容積:1.19mLのセルに格納するため、さらに短冊状に切断した。
水銀圧入法による細孔分布測定は、島津製作所(Micrometrics社)製AutoPore IV9500(V1.07)を用いて、細孔径換算で約80nm〜400μmとなる圧力範囲にて測定した。測定点数は144点であり、上記範囲を常用対数表示目盛で等間隔にカバーできるように設定した。
平均繊維長3mmにカットしたポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ株式会社製、商品名:VPB105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維を10:3:2の比で、湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクに投入し、さらに水を加えて均一に分散開繊し、十分に分散させたところでウェブを送り出して、短網板に通し、ドライヤーにて乾燥後、幅1000mm、目付20g/m2のロール形態の炭素繊維シート状物を得た。
次に、炭素繊維シート状物をフェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライトJ−325)のメタノール溶液に浸漬し、炭素繊維シート状物100重量部に対し60重量部を付着させ、更に幅850mmにスリットして、フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸シートを得た。この樹脂含浸シートをダブルベルトプレス装置により、2枚積層しながらプレス成形した。その際の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を235℃、予熱ロール上下間のクリアランスを樹脂含浸シート2枚の合計厚みの30%に調整した。さらに予熱ロール温度を260℃、プレス圧を6.7MPaとした。なお、ここでいう予熱ロール温度が、本願で定義する加熱加圧温度を指す。その結果、幅850mm×長さ100mの樹脂硬化シートを得た。詳細は、表1に示す。
得られた樹脂硬化シートを、窒素ガス雰囲気下の焼成炉(幅1m)内を走行させて、その後、更に窒素ガス雰囲気下1600℃以上の温度領域が6mの焼成炉内を走行させて、最高温度2000℃で熱処理を行った。なお、このときの樹脂硬化シートのシート幅は700mmであった。
細孔分布測定用の試料は、多孔質電極基材をまず50mm角に切り出し、容積:1.19mLのセルに格納するため、さらに短冊状に切断した。
水銀圧入法による細孔分布測定は、島津製作所(Micrometrics社)製AutoPore IV9500(V1.07)を用いて、細孔径換算で約80nm〜400μmとなる圧力範囲にて測定した。測定点数は144点であり、上記範囲を常用対数表示目盛で等間隔にカバーできるように設定した。
〔実施例2〜6〕
実施例2〜6における炭素繊維シート状物の組成は、全て実施例1と同じであった。実施例4〜6は、炭素繊維シート状物の目付を40g/m2に変更し、ダブルベルトプレス工程での積層枚数を2枚から1枚に変更した。表1に示すとおり、温度条件やプレスロールの圧力を変えてそれぞれサンプリングした。炭素化条件は、すべて実施例1と同様であった。
実施例2〜6における炭素繊維シート状物の組成は、全て実施例1と同じであった。実施例4〜6は、炭素繊維シート状物の目付を40g/m2に変更し、ダブルベルトプレス工程での積層枚数を2枚から1枚に変更した。表1に示すとおり、温度条件やプレスロールの圧力を変えてそれぞれサンプリングした。炭素化条件は、すべて実施例1と同様であった。
〔実施例7〕
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。シート状物の製造および交絡処理による3次元交絡構造シートの製造は、以下のような湿式連続抄紙法と、連続加圧水流噴射処理による交絡処理法により行った。
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。シート状物の製造および交絡処理による3次元交絡構造シートの製造は、以下のような湿式連続抄紙法と、連続加圧水流噴射処理による交絡処理法により行った。
<湿式連続抄紙法>
(1)炭素繊維の離解(A)
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)炭素繊維前駆体繊維(b1)の離解
平均繊維径が4μm、平均繊維長が6mmのアクリル繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb1)とした。
(3)フィブリル状繊維(b’)の離解
ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb’)とした。
(4)抄紙用スラリーの調製
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b1)とフィブリル状繊維(b’)とが、質量比10:2:4となるように、かつスラリー中の繊維(以下、フロックと略す)の濃度が1.7g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb1)、離解スラリー繊維(Sb’)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22センチポイズの抄紙用スラリーを調製した。
<処理装置>
ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置、と下記に示す加圧水流噴射処理装置からなる。
(5)炭素繊維シート状物の製造及び加圧水流噴射による3次元交絡処理
前記処理装置のネット上に上記抄紙用スラリーを定量ポンプによりネット上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付40g/m2の湿紙ウエッブをネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウォータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力2MPa(ノズル2)、圧力2MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えた。
交絡処理された炭素繊維シート状物をピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥させることで、目付40g/m2の3次元交絡構造シートを得た。得られた3次元交絡構造シート中での炭素繊維前駆体繊維(b1)およびフィブリル状繊維(b’)の分散状態は良好であった。
(6)樹脂含浸および乾燥処理
次に、レゾール型フェノール樹脂の水分散液(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−14170)を用意し、樹脂固形分が樹脂水分散液の10質量%となるように純水で希釈した。これを前記3次元交絡構造シートに片面ずつ両面から流下し、ニップにより余分な樹脂を除去した後、80℃でシート中の水を十分に乾燥させ、3次元交絡構造シート100質量部に対し樹脂固形分90質量部を付着させた樹脂含浸シートを得た。
(7)加熱加圧、炭素化処理
以降は、実施例1と同様の加熱加圧処理と炭素化処理により多孔質電極基材を得た。ただし、加熱加圧の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を205℃、予熱ロール上下間のクリアランスは樹脂含浸シート厚みの30%、プレスロール温度を235℃、プレス圧を5.0MPa、シート幅は450mmであった。
(1)炭素繊維の離解(A)
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
(2)炭素繊維前駆体繊維(b1)の離解
平均繊維径が4μm、平均繊維長が6mmのアクリル繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)、を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb1)とした。
(3)フィブリル状繊維(b’)の離解
ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散し、離解スラリー繊維(Sb’)とした。
(4)抄紙用スラリーの調製
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b1)とフィブリル状繊維(b’)とが、質量比10:2:4となるように、かつスラリー中の繊維(以下、フロックと略す)の濃度が1.7g/Lとなるように、離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb1)、離解スラリー繊維(Sb’)および希釈水を計量し、スラリー供給タンクに投入した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22センチポイズの抄紙用スラリーを調製した。
<処理装置>
ネット駆動部および幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、供給スラリー量が30L/minである抄紙用スラリー供給装置、ネット下部に配置した減圧脱水装置、と下記に示す加圧水流噴射処理装置からなる。
(5)炭素繊維シート状物の製造及び加圧水流噴射による3次元交絡処理
前記処理装置のネット上に上記抄紙用スラリーを定量ポンプによりネット上に供給した。抄紙用スラリーは均一な流れに整流するためのフローボックスを通して所定サイズに拡幅して供給した。その後静置、自然脱水する部分を通過して、減圧脱水装置により完全脱水し、目標目付40g/m2の湿紙ウエッブをネット上に積載した。この処理が完了すると同時に、試験機後方のウォータージェットノズルより、加圧水流噴射圧力を1MPa(ノズル1)、圧力2MPa(ノズル2)、圧力2MPa(ノズル3)の順で通過させて交絡処理を加えた。
交絡処理された炭素繊維シート状物をピンテンター試験機(辻井染色機製、商品名:PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥させることで、目付40g/m2の3次元交絡構造シートを得た。得られた3次元交絡構造シート中での炭素繊維前駆体繊維(b1)およびフィブリル状繊維(b’)の分散状態は良好であった。
(6)樹脂含浸および乾燥処理
次に、レゾール型フェノール樹脂の水分散液(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−14170)を用意し、樹脂固形分が樹脂水分散液の10質量%となるように純水で希釈した。これを前記3次元交絡構造シートに片面ずつ両面から流下し、ニップにより余分な樹脂を除去した後、80℃でシート中の水を十分に乾燥させ、3次元交絡構造シート100質量部に対し樹脂固形分90質量部を付着させた樹脂含浸シートを得た。
(7)加熱加圧、炭素化処理
以降は、実施例1と同様の加熱加圧処理と炭素化処理により多孔質電極基材を得た。ただし、加熱加圧の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を205℃、予熱ロール上下間のクリアランスは樹脂含浸シート厚みの30%、プレスロール温度を235℃、プレス圧を5.0MPa、シート幅は450mmであった。
〔実施例8〕
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b1)とフィブリル状繊維(b2)とが、質量比10:2:3となるように抄紙用スラリーを調製したこと以外は、実施例7と同様にして多孔質電極基材を得た。
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b1)とフィブリル状繊維(b2)とが、質量比10:2:3となるように抄紙用スラリーを調製したこと以外は、実施例7と同様にして多孔質電極基材を得た。
〔実施例9〕
炭素繊維(A)として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が6mmのPAN系炭素繊維を用意したこと以外は、実施例8と同様にして多孔質電極基材を得た。
炭素繊維(A)として、平均繊維径が7μm、平均繊維長が6mmのPAN系炭素繊維を用意したこと以外は、実施例8と同様にして多孔質電極基材を得た。
〔比較例1〕
平均繊維長3mmにカットしたPAN系炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ株式会社製、商品名:VPB105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維を10:8:2の比で、湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクに投入し、さらに水を加えて均一に分散開繊し、十分に分散させたところでウェブを送り出して、短網板に通し、ドライヤーにて乾燥後、幅1000mm、目付20g/m2のロール形態の炭素繊維シート状物を得た。
次に、炭素繊維シート状物をフェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライトJ−325)のメタノール溶液に浸漬し、炭素繊維シート状物100重量部に対し50重量部を付着させ、更に幅850mmにスリットして、フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸シートを得た。この樹脂含浸シートをダブルベルトプレス装置により2枚積層しながらプレス成形した。その際の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を235℃、予熱ロール上下間(一対の加熱加圧媒体間)のクリアランスを樹脂含浸シート2枚の合計厚みの60%に調整した。さらにプレスロール温度を260℃、プレス圧を8.6MPaとした。その結果、幅850mm×長さ100mの樹脂硬化シートを得た。詳細は、表1に示す。炭素化条件は、実施例1と同様であった。
平均繊維長3mmにカットしたPAN系炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ株式会社製、商品名:VPB105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維を10:8:2の比で、湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクに投入し、さらに水を加えて均一に分散開繊し、十分に分散させたところでウェブを送り出して、短網板に通し、ドライヤーにて乾燥後、幅1000mm、目付20g/m2のロール形態の炭素繊維シート状物を得た。
次に、炭素繊維シート状物をフェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライトJ−325)のメタノール溶液に浸漬し、炭素繊維シート状物100重量部に対し50重量部を付着させ、更に幅850mmにスリットして、フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸シートを得た。この樹脂含浸シートをダブルベルトプレス装置により2枚積層しながらプレス成形した。その際の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を235℃、予熱ロール上下間(一対の加熱加圧媒体間)のクリアランスを樹脂含浸シート2枚の合計厚みの60%に調整した。さらにプレスロール温度を260℃、プレス圧を8.6MPaとした。その結果、幅850mm×長さ100mの樹脂硬化シートを得た。詳細は、表1に示す。炭素化条件は、実施例1と同様であった。
〔比較例2〕
PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維の混合比を8:0:2の比、予熱ロール上下間(一対の加熱加圧媒体間)のクリアランスを0μmに調整し、さらにプレスロールのプレス圧を5.0MPaにした。それ以外は、比較例1と同様であった。
本発明の実施例、比較例において一対の加熱加圧媒体のクリアランスを調整することで、細孔分布を制御できることを確認した。比較例2のように加熱加圧媒体のクリアランスが狭い場合は、ポリエチレンパルプがロール圧力に押しつぶされて流動できず、網目構造が形成されない。
PAN系炭素繊維とポリエチレンパルプおよびPVA繊維の混合比を8:0:2の比、予熱ロール上下間(一対の加熱加圧媒体間)のクリアランスを0μmに調整し、さらにプレスロールのプレス圧を5.0MPaにした。それ以外は、比較例1と同様であった。
本発明の実施例、比較例において一対の加熱加圧媒体のクリアランスを調整することで、細孔分布を制御できることを確認した。比較例2のように加熱加圧媒体のクリアランスが狭い場合は、ポリエチレンパルプがロール圧力に押しつぶされて流動できず、網目構造が形成されない。
<発電試験>
本発明における実施例、比較例のサンプルを用いて発電試験を実施した。試験方法は、以下のとおりである。
(1)膜−電極接合体(MEA)の製造
実施例で得られた多孔質電極基材をPTFEディスパージョンに浸漬し、乾燥、焼結することにより撥水処理を行った。撥水処理された多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意した。また、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意した。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、MEAを得た。
(2)MEAの燃料電池特性評価
得られたMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成した。この単セルの電流密度−電圧特性を測定することによって、燃料電池特性評価を行った。燃料ガスとしては水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いた。単セルの温度を80℃、燃料ガス利用率を60%、酸化ガス利用率を40%とした。また、燃料ガスと酸化ガスへの加湿は80℃(相対湿度100%)、70℃(相対湿度65%)、または60℃(相対湿度42%)のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行った。セル温度80℃、相対湿度100%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度65%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVmとし、セル温度80℃、相対湿度42%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Va、Va/Vm、Vb/Vmを求めた。
本発明における実施例、比較例のサンプルを用いて発電試験を実施した。試験方法は、以下のとおりである。
(1)膜−電極接合体(MEA)の製造
実施例で得られた多孔質電極基材をPTFEディスパージョンに浸漬し、乾燥、焼結することにより撥水処理を行った。撥水処理された多孔質電極基材をカソード用およびアノード用の多孔質電極基材として用意した。また、パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)の両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm2、Pt付着量:0.3mg/cm2)を形成した積層体を用意した。この積層体を、カソード用およびアノード用の多孔質電極基材で挟持し、これらを接合して、MEAを得た。
(2)MEAの燃料電池特性評価
得られたMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成した。この単セルの電流密度−電圧特性を測定することによって、燃料電池特性評価を行った。燃料ガスとしては水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いた。単セルの温度を80℃、燃料ガス利用率を60%、酸化ガス利用率を40%とした。また、燃料ガスと酸化ガスへの加湿は80℃(相対湿度100%)、70℃(相対湿度65%)、または60℃(相対湿度42%)のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行った。セル温度80℃、相対湿度100%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVaとし、セル温度80℃、相対湿度65%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVmとし、セル温度80℃、相対湿度42%の場合の電流密度1.0A/cm2における電圧値をVbとし、これらの比Vb/Va、Va/Vm、Vb/Vmを求めた。
<発電試験結果・考察>
発電試験結果を表3に示す。実施例のような細孔分布を有する電極基材を使用することで、様々な発電条件においても発電可能であることが確認できた。
発電試験結果を表3に示す。実施例のような細孔分布を有する電極基材を使用することで、様々な発電条件においても発電可能であることが確認できた。
本発明によれば、低温・高加湿条件から高温・低加湿条件にわたる幅広い発電条件に適応しうる多孔質電極基材を提供することができる。並びに、この多孔質電極基材を含む膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池を提供することができる。
本発明者等は前記課題が以下の発明(1)〜(11)によって解決されることを見出した。
(1) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
(2) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有する。
(3) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(4) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有し、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(5) 条件において、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(6) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(7) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材の片面および/または両面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けた多孔質電極基材。
(9) 上記(1)〜(8)いずれか一項に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
(10) 上記(9)に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
(11) 下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、予熱段階における加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程。
工程2:前記炭素繊維シート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程。
(1) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。
(2) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有する。
(3) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(4) 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有し、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。
(5) 条件において、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有する、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(6) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(7) 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の多孔質電極基材の片面および/または両面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けた多孔質電極基材。
(9) 上記(1)〜(8)いずれか一項に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
(10) 上記(9)に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
(11) 下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、予熱段階における加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程。
工程2:前記炭素繊維シート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程。
Claims (11)
- 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10である。 - 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有する。 - 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。 - 構造体中に分散した繊維直径が3〜15μmで繊維長2〜30mmの炭素繊維同士が樹脂炭化物で結着された多孔質電極基材であって、当該多孔質電極基材を水銀圧入法で測定した際の細孔分布が、以下の条件を満たす多孔質電極基材。
<条件>
横軸が常用対数表示された細孔分布曲線であって、直径1〜100μmの区間は、常用対数表示で等間隔となるような少なくとも80個の測定点からなり、直径1〜100μmの区間における細孔分布の歪度Sが−2.0<S<−0.8であり、尖度Kが3.5<K<10であり、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つ有し、1〜20μmの細孔径範囲においてピークを有さない。 - 条件において、20μm超100μm以下の細孔径範囲においてピークを1つのみ有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
- 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vaに対するセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Vb/Va=0.7〜1.1である請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
- 撥水処理のみを施した多孔質電極基材を用いて、セル温度80℃、相対湿度65%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vmが0.5V以上であり、Vmに対する、セル温度80℃、相対湿度100%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Va、およびセル温度80℃、相対湿度42%、電流密度1.0A/cm2における電圧値Vbの比が、Va/Vm=0.8〜1.2、Vb/Vm=0.7〜1.1である請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質電極基材。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質電極基材の片面および/または両面にカーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けた多孔質電極基材。
- 請求項1〜8いずれか一項に記載の多孔質電極基材を用いた膜−電極接合体。
- 請求項9に記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
- 下記工程1から4を有し、工程3における加熱加圧が、加熱加圧装置を用いて行われ、加熱加圧装置の加圧面間のクリアランスを、樹脂含浸シートの厚みの15〜45%にする、多孔質電極基材の製造方法。
工程1:炭素繊維(A)を水中に分散させて炭素繊維シート状物を製造する工程。
工程2:前記炭素繊維シート状物に、熱硬化性樹脂を含浸して樹脂含浸シートとする工程。
工程3:工程2の後に、前記樹脂含浸シートを100〜400℃の温度で加熱加圧して樹脂硬化シートとする工程。
工程4:工程3の後に前記樹脂硬化シートを1000℃以上の温度で炭素化処理して多孔質電極基材を得る工程。
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