JPWO2016060165A1 - 透明部材、透明部材の製造方法および透明部材の表面の汚れ具合の評価方法 - Google Patents

透明部材、透明部材の製造方法および透明部材の表面の汚れ具合の評価方法 Download PDF

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Abstract

防汚性に優れる透明部材を提供する。透明部材の表面に対し、特定の手順による処理を3サイクル行い、処理前および各サイクル後に、該表面に光を照射し、該表面を撮像して画像データを取得し、該画像データに基づいて輝度値分布ヒストグラムを作成し、処理前に得られた輝度値分布ヒストグラムにおける前記透明部材のピクセル数の比率が最大となる輝度値をx0、3サイクル後に得られた輝度値分布ヒストグラムについて、ピクセル数の比率に対応した輝度値をxiとし、下式(1)により求められる二乗平均平方根値σが40以下である表面を有する透明部材。iはピクセル数の比率を示し、0〜100の整数である。nはピクセル数の比率の最大値を示し、100である。[数1]

Description

本発明は、透明部材、透明部材の製造方法および透明部材の表面の汚れ具合を評価する評価方法に関する。
ガラス板等の透明部材は、建造物の窓や車両のフロントガラス、太陽電池のカバーガラスなど様々な用途で使用されている。
屋外で用いられる透明部材に大気中の汚れが付着し堆積すると、外観や透光性が低下する。透光性の低下は視認性や発電効率の低下を招く。
汚れの付着および堆積を抑制するために、透明部材に防汚性を付与することが提案されている。防汚性の付与方法としては、たとえば、表面に撥水性または親水性(撥油性)のコーティングを設けて、汚れの付着を防ぐ方法が提案されている(たとえば特許文献1)。
透明部材の防汚性の評価方法としては、汚染促進液(関東ロームの水分散液等)を噴霧するなどして透明部材の表面を汚染させ、その後、透明部材のへイズ値や表面のグロス値を測定する方法がある(たとえば特許文献2の実施例等)。
しかし、ヘイズ値やグロス値による評価は、たとえば局所的に大きく汚れる場合と、全体的に薄く汚れる場合との区別ができない。そのため、このような指標で良好な防汚性を示した透明部材でも、実際には汚れて見えることがある。
特開2000−192021号公報 特開2000−72488号公報
本発明は、防汚性に優れる透明部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、防汚性に優れる透明部材が得られる製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、目視評価と良好な対応を示す透明部材の表面の汚れ具合の評価方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]以下の方法(I)により求められる二乗平均平方根値σが40以下である表面を有する透明部材。
方法(I):暗室内で、透明部材の表面に対し、照度20000ルクスの光を、該表面に平行な方向から裏面側に5°傾斜した角度で照射し、該表面上の、前記光の照射方向と直交する方向に設置された撮像手段で該表面を撮像して該表面の画像データを得、該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数の比率をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。該輝度値分布ヒストグラムにおけるビンの幅は1とする。該輝度値分布ヒストグラムにおける前記透明部材のピクセル数の比率が最大となる輝度値をxとする。
次いで、前記透明部材の表面に以下の汚染促進液を、以下の噴霧装置を用いて5秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させた後、該表面に水道水を、前記噴霧装置を用いて180秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させる工程を1サイクルとして3サイクル実施する。3サイクル後に、暗室内で、前記表面に対し、前記と同じ手順で照度20000ルクスの光を照射し、該表面を撮像して該表面の画像データを得、該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。3回目のサイクル後に得られた輝度値分布ヒストグラムについて、ピクセル数の比率に対応した輝度値をxとする。
汚染促進液:JIS Z 8901(2006)に規定される試験用粉体1の11種(関東ローム、中位径1.6〜2.3μm)を0.1質量%の濃度で水に分散させた分散液。
噴霧装置:噴霧される液滴の粒径が10μmで、噴霧量が20g/分で、前記表面から600mm離れた位置に設置された2流体ノズルスプレーガン。
前記xおよびxから下式(1)により二乗平均平方根値σを算出する。
iはピクセル数の比率を示し、0〜100の整数である。nはピクセル数の比率の最大値を示し、100である。
Figure 2016060165
[2]前記二乗平均平方根値σが40以下である表面が、凹凸が存在する表面であり、該表面の突起密度が0.1〜100個・μm−2で、算術平均面粗さ(Ra)が2〜60nmで、水接触角が0〜10°である、[1]に記載の透明部材。
[3]前記二乗平均平方根値σが40以下である表面が、親水性コーティング膜を有する表面である、[1]または[2]に記載の透明部材。
[4]前記親水性コーティング膜の厚さが0.01〜1.00μmである、[3]に記載の透明部材。
[5]前記透明部材がガラス板である、[1]〜[4]のいずれかに記載の透明部材。
[6]凹凸が存在する表面を有し、前記凹凸が存在する表面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmである透明部材。
[7]前記凹凸が存在する表面の突起密度が0.1〜100個・μm−2である、[6]に記載の透明部材。
[8]前記凹凸が存在する表面が親水性コーティング膜を有する表面であり、該表面の水接触角が0〜10°である、[6]または[7]に記載の透明部材。
[9]前記親水性コーティング膜の厚さが0.01〜1.00μmである、[6]〜[8]のいずれかに記載の透明部材。
[10]前記親水性コーティング膜が親水性ポリマーの膜である、[6]〜[9]のいずれかに記載の透明部材。
[11]前記親水性コーティング膜が酸化チタン膜である、[6]〜[9]のいずれかに記載の透明部材。
[12]前記透明部材がガラス板である、[6]〜[11]のいずれかに記載の透明部材。
[13]表面に親水性コーティング膜を有するガラス板の、前記親水性コーティング膜表面に、以下のウェットブラスト処理を施す、透明部材の製造方法。
ウェットブラスト処理:粒子を分散させた液体を前記親水性コーティング膜表面に吹き付けることにより、前記親水性コーティング膜表面に算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nmかつ二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmの凹凸を形成する処理。
[14]撥水性パターン膜を有するガラス板の前記撥水性パターン膜を有する面をエッチング溶液でウェットエッチング処理して前記ガラス板の表面に凹凸を形成し、次いで前記撥水性パターン膜を除去した後、前記凹凸が形成された表面に親水性コート剤を塗布して親水性コーティング膜を形成する透明部材の製造方法であって、
前記撥水性パターン膜を有する面のウェットエッチング処理が、前記親水性コーティング膜が形成された面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nmかつ二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmとなるように行われる、透明部材の製造方法。
[15]汚れ物質を含む液を透明部材の表面に噴霧して汚れを付着させ、水洗した後、
前記汚れを付着させた表面に光を照射し、該表面を撮像手段により撮像して画像データを取得し、該画像データに基づいて輝度値分布を作成し、
前記輝度値分布において、予め設定した閾値以上の輝度値の積算値と、輝度値分布全体の積算値との比から、前記表面の汚れ具合を評価する評価方法。
本発明の透明部材は、防汚性に優れる。
本発明の透明部材の製造方法によれば、防汚性に優れる透明部材が得られる。
本発明の評価方法により透明部材の表面の汚れ具合を評価すれば、目視評価と良好な対応を示す評価結果が得られる。
噴霧装置およびこれを用いた噴霧方法を説明する概略図である。 透明部材の表面への光の照射、表面の撮像および画像解析に用いる装置の概略構成図である。 光の照射方向と透明部材の表面とがなす角度θ1が正の値である場合の透明部材の配置を示す図である。 本発明の第一実施形態の透明部材を模式的に示す断面図である。 図4に示す透明部材の製造方法の一例を説明する図である。 例2で得た輝度値分布ヒストグラムから作成したグラフである。 例7〜13におけるウェットブラスト処理の処理時間を横軸に、Ra、Rqそれぞれの測定値(単位:nm)を縦軸にとったグラフである。 屋外暴露試験後の例9の透明基材を撮影した写真である。 屋外暴露試験後のソーダライムガラス板を撮影した写真である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
透明部材における「透明」とは、400〜1100nmの波長領域の光を平均して80%以上透過することを意味する。
「突起密度」は、隣接する凸部分と凹部分の高さが2nm以上のものを突起と定義した時の、単位面積当たりの突起数(単位:個・μm−2)を意味する。
「算術平均面粗さ(Ra)」、「二乗平均平方根粗さ(Rq)」はそれぞれ、原子間力顕微鏡(AFM)により測定される値である。
「水接触角」は、接触角計を用い、液滴(水滴)のサイズを20μLに設定して測定される値である。
≪汚れ具合の評価方法≫
本発明の評価方法では、汚れ物質を含む液(以下、「汚染促進液」ともいう。)を透明部材の表面に噴霧して汚れを付着させ、水洗した後、
前記汚れを付着させた表面に光を照射し、該表面を撮像手段により撮像して画像データを取得し、該画像データに基づいて輝度値分布を作成し、
前記輝度値分布において、予め設定した閾値以上の輝度値の積算値と、輝度値分布全体の積算値との比から、前記表面の汚れ具合を評価する。
本発明の評価方法においては、汚染促進液の噴霧および水洗後に表面に付着している汚れに、照射された光が当たり散乱する。
そのため、光の照射下で表面を撮像して得られる画像では、表面に付着した汚れが白い輝点として観察される。つまり輝点の数が、付着した汚れの数であると判定できる。
また、付着した汚れが大きいほど、散乱光が強くなり、輝点の輝度値が大きくなる。そのため、画像上での輝度値が大きいものほど、大きく目立つ汚れであると判定できる。
本発明の評価方法は、たとえば、図1〜2に示す装置を用いて実施できる。
図1は、噴霧装置およびこれを用いた噴霧方法を説明する概略図である。
図2は、透明部材の表面の撮像および画像解析に用いる装置の概略構成図である。
噴霧装置10は、汚染促進液または水道水を収容するタンク11と、タンク11に取り付けられた2流体ノズル12と、2流体ノズル12にエアを供給するコンプレッサ13とを備える。
汚染促進液および水道水が噴霧される透明部材20は、高さ調節用の台14の上に、固定台15により、水平面に対して垂直に設置されている。透明部材20の表面と、2流体ノズル12の先端との間の距離は600mmで、汚染促進液または水道水の噴霧方向の中心(2流体ノズル12の先端の位置)と透明部材20の中心とは一致している。
透明部材の表面への光の照射、表面の撮像および画像解析に用いる装置は、暗室内に設置されており、目視検査用ライト31と、デジタルカメラ(撮像手段)32と、デジタルカメラ32および透明部材20を固定する固定具33と、オープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトであるImageJ(開発元:Wayne Rasband、2014年6月27日版)がインストールされたコンピュータ34とを備える。
目視検査用ライト31は、固定具33の方向に、水平面に対して平行に光を照射するように設置されている。
デジタルカメラ32は、レンズを、水平面に対して垂直方向下側(透明部材20側)に向けて固定具33に固定されている。また、コンピュータ34に接続されており、撮像した写真のデータをコンピュータ34に入力できるようになっている。
目視検査用ライト31からの光の照射方向と、デジタルカメラ32のレンズが向けられている方向とは直交している。
目視検査用ライト31としては、照度15000〜25000ルクス程度の光を照射可能なものが好ましい。
デジタルカメラ32としては、たとえば、有効画素数1500万画素以上、センサーサイズAPS−Cを備えるものが挙げられる。
評価の間、デジタルカメラ32の設定は変更しない。
固定具33は、水平面に対して垂直に設置された棒状の器具で、上部にカメラ固定部を備え、それよりも下側に透明部材固定部を備える。透明部材固定部の高さは、目視検査用ライト31の高さとほぼ同じである。
透明部材固定部は、透明部材20を表面側および裏面側から挟持し、また、目視検査用ライト31からの光の照射方向に対する透明部材20の表面の角度を調整できるように構成されている。
図1〜2に示す装置を用いた評価方法は、たとえば以下の手順で実施できる。
噴霧装置10を2つ用意し、一方の噴霧装置10のタンク11内に汚染促進液を、他方の噴霧装置10のタンク11内に水道水を収容する。
透明部材20を固定台15に設置し、該固定台15を台14の上に設置する。これにより、透明部材20が、表面を噴霧装置10側に向けて、水平面に対して垂直に設置される。
次いで、透明部材20の表面と対向する位置に、汚染促進液を収容した噴霧装置10を設置し、その位置から透明部材20の表面に汚染促進液を噴霧し、乾燥させる。乾燥後、汚染促進液を収容した噴霧装置10を、水道水を収容した噴霧装置10に入れ替えて、透明部材20の表面に水道水を噴霧し、乾燥させる。以上の汚染促進液の噴霧および乾燥ならびに水道水の噴霧および乾燥を1サイクルとし、必要に応じて2サイクル以上実施する。
透明部材20の表面と、噴霧装置10の2流体ノズル12の先端との間の距離Dは、汚染促進液および水道水が透明部材20の表面全体に噴霧されるように、適宜設定される。
サイクル数は、1〜5回が好ましく、効率の点では3回が特に好ましい。
前記のサイクルを実施する前および前記のサイクルを実施した後にそれぞれ、以下の手順で、輝度値分布ヒストグラムを作成する。
まず、透明部材20を、暗室内の固定具33に、表面20aを上側(デジタルカメラ32側)に向け、目視検査用ライト31からの光の照射方向D1と透明部材20の表面20aとがなす角度θ1が所望の値になるように固定する。角度θ1は、−5〜30°が好ましい。
ここで、角度θ1が正の値である場合は、目視検査用ライト31から照射された光が透明部材20の裏面20b側から入射することを示す。角度θ1が負の値である場合は、目視検査用ライト31から照射された光が透明部材20の表面20a側から入射することを示す。
図3に、角度θ1が正の値である場合の透明部材20の配置を示す。
光の照射方向D1と、デジタルカメラ32のレンズが向けられている方向D2とは直交している。
次いで、目視検査用ライト31から光を照射し、その状態で、固定具33に固定されたデジタルカメラ32により透明部材20の表面20aを撮像し、表面20aの画像データを得る。
得られた画像データはコンピュータ34に入力され、該画像データまたは該画像データから抽出される1以上の領域が画像処理ソフトImageJにより解析され、横軸に2階調の輝度値、縦軸にピクセル数の比率をとった輝度値分布ヒストグラムが作成される。
mは、6〜20であり、8〜16が好ましい。mが大きいほど、より細かい輝度値の情報を得ることができる。汚れと基材の差が充分に判別されるという点では、mが8(256階調)以上であることが好ましい。
ただし、本発明の評価方法は、上記の手順によるものに限定されない。上記手順における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、撮像手段はデジタルカメラに限定されず、フィルムカメラ等であってもよい。
ImageJ以外の画像処理ソフトを用いてもよい。
従来、透明部材の防汚性の評価には、サンプルの1点に対して光を当て、積分球にて拡散光および全光線透過率を測定し、全光線透過率に対する拡散光の比率(%)として求められるヘイズ値が汎用されている。しかし、1点光で評価されるため、サンプルの表面にて汚れの具合にムラがあるような場合、測定結果は必ずしも実際の汚れの具合を反映しない。
本発明の評価方法にあっては、ある程度の大きさのある画像から汚れ具合を判定するため、従来の方法に比べて、より実際の汚れ具合に対応した評価結果が得られる。
≪透明部材≫
<第一の態様の透明部材>
本発明の第一の態様の透明部材(以下、「透明部材(A)」ともいう。)は、以下の方法(I)により求められる二乗平均平方根値(RMS値)σが40以下である表面を有する。
方法(I):
暗室内で、透明部材の表面に対し、目視検査用ライトを用いて照度20000ルクスの光を、該表面に平行な方向から裏面側に5°傾斜した角度で照射し、該表面上の、前記光の照射方向と直交する方向に設置された撮像手段で該表面を撮像して該表面の画像データを得る。
該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数の比率をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。該輝度値分布ヒストグラムにおけるビンの幅は1とする。
該輝度値分布ヒストグラムにおける前記透明部材(汚染前の透明部材)のピクセル数の比率が最大となる輝度値をxとする。
次いで、前記透明部材の表面に以下の汚染促進液を、以下の噴霧装置を用いて5秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させた後、該表面に水道水を、前記噴霧装置を用いて180秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させる工程を1サイクルとして3サイクル実施する。
3サイクル後に、暗室内で、前記表面に対し、前記と同じ手順で照度20000ルクスの光を照射し、該表面を撮像して該表面の画像データを得、該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数の比率をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。
3回目のサイクル後に得られた輝度値分布ヒストグラムについて、各ピクセル数の比率に対応した輝度値をxとする。
ピクセル数の比率が同じである2つ以上の輝度値が存在する場合は、各々の輝度値をxとして式(1)にあてはめて計算する。
汚染促進液:JIS Z 8901(2006)に規定される試験用粉体1の11種(関東ローム、中位径1.6〜2.3μm)を0.1質量%の濃度で水に分散させた分散液。
噴霧装置:噴霧される液滴の粒径が10μmで、噴霧量が20g/分で、前記表面から600mm離れた位置に設置された2流体ノズルスプレーガン。
求めたxおよびxから下式(1)によりRMS値σを算出する。
ただし、式(1)中のiはピクセル数の比率を示し、1刻みで0から100までの整数をとる。nはピクセル数の比率の最大値を示し、100である。
Figure 2016060165
方法(I)は、前述の図1〜2に示す装置を用いて実施できる。
方法(I)においては、本発明の評価方法において説明したように、汚染促進液の噴霧により表面に付着し、水道水の噴霧により除去されなかった汚れが、該表面を撮像して得られる画像にて、白い輝点として観察される。また、付着した汚れが大きいほど、光を強く受けて散乱光が強くなり、輝点の輝度値が大きくなる。
前述の式(1)により求めたRMS値σが小さいほど、汚れ具合が汚染促進液を噴霧する前の状態に近い。つまり汚れが付着しにくいか、付着した汚れが水洗、降雨等により除去されやすい。
したがって、透明部材(A)は、屋外において、表面に大きな目立つ汚れが堆積しにくく、長期間屋外に置かれても外観や透光性が低下しにくい。また、汚れを除去するための洗浄コストが少ない。
前記RMS値σは、透明部材の表面の親水性、表面形状等によって調整できる。
たとえば透明部材の表面が疎水性の場合よりも親水性の方が、RMS値σが小さい傾向がある。
透明部材の表面に凹凸が形成されていると、凹凸が形成されていない場合に比べて、RMS値σが小さい傾向がある。
表面に凹凸が形成されている場合、凹凸の大きさ、複数の凸部または凹部の間の間隔、凹凸の形状等によってRMS値σを調整できる。
透明部材(A)は、表面の突起密度が0.1〜100個・μm−2で、算術平均面粗さ(Ra)が2〜60nmで、水接触角が0〜10°であることが好ましく、突起密度が0.2〜100個・μm−2で、算術平均面粗さ(Ra)が2〜50nmで、水接触角が0〜8°であることがより好ましく、突起密度が0.4〜100個・μm−2で、算術平均面粗さ(Ra)が2〜45nmで、水接触角が0〜5°であることがさらに好ましい。
表面の突起密度、算術平均面粗さおよび水接触角がそれぞれ前記の範囲内であれば、前記RMS値σが40以下となりやすい。
透明部材(A)としては、基材と、前記基材上に設けられた親水性コーティング膜とを有し、前記親水性コーティング膜が設けられた部分の表面に凹凸が存在し、前記凹凸が存在する表面が、前記RMS値σが40以下の表面である透明基材(以下、「透明基材(A1)」ともいう。)が好ましい。
基材、親水性コーティング膜としてはそれぞれ後述する第一実施形態に示すものが挙げられる。基材としてはガラス板が好ましい。
透明基材(A1)において、前記親水性コーティング膜が設けられた部分の表面の凹凸の形成方法としては、例えば、後述する第一実施形態に示すように、表面に凹凸が形成されたガラス板上に親水性コーティング膜を形成する方法、後述する第二の態様の透明部材の製造方法に示すように、ウェットブラスト処理により形成する方法等が挙げられる。
これらのうち、ウェットブラスト処理により形成する方法が好ましい。前記凹凸が、ウェットブラスト処理により形成されたものであれば、防汚性がより優れる。
ウェットブラスト処理は、前記被処理面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmとなるように行われることが好ましく、前記被処理面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜25nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜25nmとなるように行われることがより好ましい。
以下、添付の図面を用い、実施形態を示して透明部材(A)を説明する。
〔第一実施形態〕
図4は、透明部材(A)の第一実施形態を模式的に示す断面図である。
第一実施形態の透明部材1は、表面に凹凸が形成された基材3と、基材3の表面に形成された親水性コーティング膜5とを有する。
透明部材1の前記方法(I)により求められるRMS値σは40以下である。
(基材)
基材3は、透明なものであれば特に限定されない。ここでの「透明」は透明部材における「透明」と同義である。
基材3の形態としては、たとえば板、フィルム等が挙げられる。板状の場合、図示のような平板状のものに限らず、全面または一部に曲率を有していてもよい。
基材3の材料としては、たとえばガラス、樹脂等が挙げられる。
ガラスとしては、たとえばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
樹脂としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
基材3としては、耐紫外線(UV)性、耐熱性に優れる点で、ガラス板が好ましい。
ガラス板は、平坦な形状のガラス板のみでなく、曲面を有する形状のガラス板でもよい。ガラス板は、化学強化ガラス板、風冷強化ガラス板等の強化ガラス板であってもよい。
基材3の表面(親水性コーティング膜5側の面)には凹凸が形成されている。
基材3の表面形状としては、複数の凸部および/または凹部がランダムに分布した形状、複数の凸部および/または凹部が規則的に配列した形状等が挙げられる。複数の凸部および/または凹部の形状や大きさは、同じでもよく異なってもよい。
凸部としては、基材3の表面に延在する長尺の凸条、点在する突起等が挙げられる。凹部としては、基材3の表面に延在する長尺の溝、点在する穴等が挙げられる。
凸条または溝の形状としては、直線、曲線、折れ曲がり形状等が挙げられる。基材3の表面においては、複数の凸条または溝が平行に存在して縞状をなしていてもよい。凸条または溝の、長手方向に直交する方向の断面形状としては、三角形(V字形)等の多角形、半円形等が挙げられる。
突起の形状としては、三角錐形、四角錐形、六角錐形等の多角錐形、円錐形、半球形、多面体形、その他各種不定形等が挙げられる。
基材3の表面の突起密度は、0.1〜100個・μm−2が好ましく、0.2〜100個・μm−2がより好ましく、0.4〜100個・μm−2がさらに好ましい。
基材3の表面の突起密度が前記範囲内であれば、該表面に形成される親水性コーティング膜の表面のRa、つまり透明部材1の表面の突起密度が後述の範囲内となりやすい。
基材3の表面の算術平均面粗さ(Ra)は、2〜60nmが好ましく、2〜50nmがより好ましく、2〜45nmがさらに好ましく、8.5〜30nmが特に好ましく、8.5〜25nmが最も好ましい。
基材3の表面のRaが前記範囲内であれば、該表面に形成される親水性コーティング膜の表面のRa、つまり透明部材1の表面のRaが後述の範囲内となりやすい。
基材3の厚さは、特に限定されないが、0.3〜15.0mmが好ましく、0.5〜12.0mmがより好ましい。基材3の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、基材の機械的強度に優れる。基材3の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、透過率に優れる。
(親水性コーティング膜)
親水性コーティング膜5は、表面の親水性を高めるために設けられる。透明部材1の表面が親水性であることで、疎水性の汚れが付着しにくくなる。また、表面に付着した汚れが、降雨、水洗等により除去されやすくなる。
親水性コーティング膜5としては、たとえば、親水性コート剤から形成される膜等が挙げられる。形成される親水性の膜の材質としては、親水性ポリマー、シリカやチタニアなどの金属酸化物等が挙げられる。
親水性コート剤としては、たとえば、親水基を多数有するポリマーの溶液や分散液、シリカ粒子分散液、チタニア粒子分散液、アルコキシシランの部分加水分解物の溶液や分散液等が挙げられる。
親水性コート剤の市販品としては、大阪有機化学工業社製のLAMBICシリーズの親水性コート剤、石原産業社製の光触媒酸化チタンコーティング剤であるST−Kシリーズの親水性コート剤等が挙げられる。上記LAMBICシリーズの親水性コート剤から親水性ポリマーの膜が形成され、上記ST−Kシリーズの親水性コート剤から親水性の酸化チタン膜が形成される
親水性コーティング膜5の厚さは、0.01〜1.00μmが好ましく、0.02〜0.20μmがより好ましい。親水性コーティング膜5の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、親水性に優れる。基材3の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、視認性に優れる。
親水性コーティング膜5は、表面に凹凸が形成された基材3の表面に形成されるため、親水性コーティング膜5の表面、つまり透明部材1の表面には、基材3の表面と同様に、凹凸が存在する。
親水性コーティング膜5の表面の突起密度(透明部材1の表面の突起密度)は、0.1〜100個・μm−2が好ましく、0.2〜100個・μm−2がより好ましく、0.4〜100個・μm−2がさらに好ましい。透明部材1の表面の突起密度が前記範囲内であれば、前記方法(I)により求められるRMS値σが40以下になりやすい。
透明部材1の表面の突起密度は、基材3の表面の突起密度によって調整できる。
透明部材1の表面の算術平均面粗さ(Ra)は、2〜60nmが好ましく、2〜50nmがより好ましく、2〜45nmがさらに好ましい。透明部材1の表面のRaが前記範囲内であれば、前記方法(I)により求められるRMS値σが40以下になりやすい。
透明部材1の表面のRaは、基材3の表面のRaによって調整できる。
透明部材1の表面の水接触角は、0〜10°が好ましく、0〜8°がより好ましく、0〜5°がさらに好ましい。透明部材1の表面の水接触角が前記範囲内であれば、前記方法(I)により求められるRMS値σが40以下になりやすい。
水接触角は、親水性コーティング膜5を形成する材料、基材3の表面形状(突起密度、Ra、突起形状等)等により調整できる。表面形状に関し、たとえば突起密度が大きいほど、水接触角が大きくなる傾向がある。Raが大きいほど、水接触角が大きくなる傾向がある。
(透明部材の製造方法)
透明部材1の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法が利用できる。
図5に、透明部材1の製造方法の一例を示す。この例の製造方法は、以下の工程(α1)〜(α7)を含む。
(α1)ガラス板3Aの表面に撥水性コート剤を塗布して撥水性コーティング膜7Aを形成する(図5(a))。
(α2)撥水性コーティング膜7Aの上にワックスを蒸着する。ワックスは撥水性コーティング膜7Aに弾かれ、微細粒状に凝集し、島状のワックス部9Aが形成される(図5(b))。
(α3)ワックス部9Aをマスクとして撥水性コーティング膜7Aのプラズマエッチングを行う。これにより、撥水性コーティング膜7Aのワックス部9Aで覆われていない部分が除去され、上面形状が島状のワックス部9Aと略同一の撥水性パターン膜7Bが形成される(図5(c))。
(α4)ワックス部9Aおよび撥水性パターン膜7Bをマスクとしてガラス板3Aの表面を、フッ酸を含むエッチング溶液でウェットエッチングする。これにより、表面に凹凸が形成されたガラス板3Bと、ガラス板3Bの表面の突起を被覆する撥水性パターン膜7Bと、撥水性パターン膜7Bを被覆するワックス部9Aとを備える積層体が得られる(図5(d))。
(α5)前記積層体のワックス部9Aを除去する(図5(e))。
(α6)工程(α5)の後、プラズマエッチングにより、撥水性パターン膜7Bを除去する(図5(f))。
(α7)工程(α6)の後、ガラス板3Bの表面に親水性コート剤を塗布して親水性コーティング膜5を形成する(図5(g))。これにより、基材3としてガラス板3Bを備える透明部材1が得られる。
ガラス板3Aを構成するガラスとしては、前記と同様のものが挙げられる。
ガラス板3Aは、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法等により成形された平滑なガラス板であってもよく、型板ガラスであってもよい。また、平坦なガラス板のみでなく、曲面を有するガラス板でもよい。ガラス板3Aは強化ガラス板であってもよい。
撥水性コート剤としては、たとえば、フッ素塗料、シリコーンオイル等が挙げられる。
撥水性コート剤の市販品としては、ダイキン社製のオプツール(登録商標)シリーズ、ダイキン社製のユニダインシリーズ等が挙げられる。
撥水性コート剤の塗布は、ウェットコート法により行ってもよく、ドライコート法により行ってもよい。
ウェットコート法としては、たとえば、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法(浸漬法)、スピンコート法、水上キャスト法、ダイコート法、ラングミュア・プロジェット法が挙げられる。
ドライコート法としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法等が挙げられる。
親水性コート剤の塗布は、ウェットコート法により行ってもよく、ドライコート法により行ってもよい。
親水性コーティング膜5の形成方法としては、ディップコート法が好ましい。
この製造方法において、ガラス板3Bの表面の突起密度、ひいては透明部材1の表面の突起密度は、ワックスの蒸着時間により調整できる。
ガラス板3Bの表面のRa、ひいては透明部材1の表面のRaは、工程(α4)の際のエッチング時間により調整できる。
以上、透明部材(A)について、第一実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、第一実施形態の透明部材1は、基材3および親水性コーティング膜5以外の他の層をさらに有してもよい。他の層としては、たとえばアンダーコート層、応力緩和層、密着改善層、保護層等が挙げられる。アンダーコート層は、基材3がガラスの場合におけるアルカリバリア層やワイドバンドの低屈折率層としての機能を有する。
本発明の透明部材は、所望のRMS値σを有していれば、基材3のみから構成されてもよい。
本発明の透明部材を製造する方法は上記の例に限定されない。
たとえば後述する本発明の透明部材の製造方法により製造してもよく、その他、第一実施形態に示した製造方法における工程(α1)〜(α6)の代わりに、基材上に粒子分散剤をコーティングする方法や、基材表面をフッ酸等でウェットエッチングする方法等が挙げられる。
粒子分散剤をコーティングする方法の場合、粒子分散剤の材質、粒子径、コーティング条件(コーティング量等)等によって表面の突起密度、算術平均面粗さ(Ra)、水接触角等を調整できる。
<第二の態様の透明部材>
本発明の第二の態様の透明部材(以下、「透明部材(B)」ともいう。)は、凹凸が存在する表面を有し、前記凹凸が存在する表面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmである。
前記算術平均面粗さ(Ra)は、8.5〜25nmが好ましい。
前記二乗平均平方根粗さ(Rq)は、11〜25nmが好ましい。
凹凸が存在する表面の算術平均面粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)がそれぞれ前記の範囲内であれば、前記表面の防汚性が優れる。
透明部材(B)としては、たとえば、表面に親水性コーティング膜を有するガラス板(以下、前駆体ともいう。)の、前記親水性コーティング膜表面に後述のウェットブラスト処理を施して得られるもの(以下、「透明部材(B1)」ともいう。)が挙げられる。
本実施形態の透明部材において、前記凹凸が存在する表面は、前記RMS値σが40以下の表面であってもよく、RMS値σが40以下の表面でなくてもよい。RMS値σが40以下の表面であることが好ましい。
透明部材(B1)は、後述する本発明の透明部材の製造方法により製造できる。
ただし透明部材(B)を製造する方法は、算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmの表面を形成できる方法であればよく、上記の例に限定されない。
≪透明部材の製造方法≫
本発明の透明部材の製造方法は、前駆体の親水性コーティング膜表面に以下のウェットブラスト処理を施すこと(以下、「工程(i)」ともいう。)を特徴とする。
ウェットブラスト処理:粒子を分散させた液体を親水性コーティング膜表面に吹き付けることにより、親水性コーティング膜表面に算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nmかつ二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmの凹凸を形成する処理。
(前駆体)
透明部材前駆体において、ガラス板、親水性コーティング膜としては、それぞれ、透明部材(A1)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前駆体において、ガラス板の表面は、凹凸が形成されていてもよく、凹凸が形成されていなくてもよい。
前駆体は、例えば、前記工程(α7)のように、ガラス板の表面に親水性コート剤を塗布して親水性コーティング膜を形成することにより得られる。ガラス板と、前記ガラス板上に形成された親水性コーティング膜とを有するものが市販されていれば、これを前駆体として用いてもよい。
ウェットブラスト処理前の被処理面(前駆体の親水性コーティング膜が設けられた部分の表面)は、典型的には、算術平均面粗さ(Ra)が8.5nm未満、二乗平均平方根粗さ(Rq)が10nm未満である。
(工程(i))
工程(i)では、前駆体について、前記親水性コーティング膜が設けられた部分の表面を被処理面として前記ウェットブラスト処理を施す。
前駆体について前記ウェットブラスト処理を施すと、被処理面に凹凸が形成される。これにより、ガラス板と、前記ガラス板上に形成された親水性コーティング膜とを有し、前記親水性コーティング膜が設けられた部分の表面に凹凸が存在する透明部材が得られる。
ウェットブラスト処理では、粒子のみを被処理面に吹き付ける乾式ブラスト処理に比べ、小さい粒子を使用することができ、より微細な凹凸を形成させることができる。
工程(i)において、ウェットブラスト処理は、ウェットブラスト処理後の被処理面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmとなるように行われる。
前記ウェットブラスト処理は、前記被処理面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜25nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜25nmとなるように行われることが好ましい。
算術平均面粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)がそれぞれ前記の範囲内であれば、被処理面の防汚性が向上する。例えば、前記方法(I)により求められるRMS値σが40以下になりやすい。また、このようにして得られる透明部材は、前述の第一実施形態に示した製造方法のように、表面に凹凸が形成されたガラス板上に親水性コーティング膜を形成して得られる透明部材に比べて、屋外暴露して汚れを目視評価したときに、より汚れが少なく見え、防汚性がより優れる。
被処理面の算術平均面粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)は、ウェットブラスト処理の条件(粒子の種類、吹き付け条件等)により調整できる。
ウェットブラスト処理に用いるスラリー中の粒子の粒子径は、0.1〜250μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。粒子径が前記範囲の下限値以上であると、良好な処理速度が得られる。粒子径が前記範囲の上限値以下であると、防汚性能に適した微細な凹凸形状を得ることができる。
前記粒子は、被処理面と同等以上のビッカース硬さを有することが好ましい。粒子のビッカース硬さが被処理面と同等以上であると、処理速度に優れる。
粒子のビッカース硬さは、粒子の材質、熱的、化学的処理等により調整できる。
前記粒子の形状は非球状であることが好ましい。非球状であると、被処理面に微細な凹凸を効率的に形成させることができる。また良好な処理速度が得られる。
前記粒子の材質としては、特に限定されないが、例えば鉄、ステンレス、アルミニウム、亜鉛、銅、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ガラス、プラスチック、ゴム等が挙げられる。
スラリー中に含まれる粒子は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ウェットブラスト処理に用いるスラリーとしては、前記汚染促進液を使用することもできる。関東ロームは、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化鉄を主成分とする、火山灰の微粉末からなる。前記のように、汚染促進液として用いられる関東ロームのスラリー中の粒子の粒子径は、1.6〜2.3μmであり、その濃度は0.1質量%である。また、汚染促進液よりも高い濃度のスラリーや汚染促進液とは関東ロームの粒子径の異なるスラリー等を使用することもできる。
スラリー中の粒子の含有量(固形分濃度)は、スラリーの全量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。スラリー中の粒子の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、良好な処理速度が得られる。粒子の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、粒子が沈殿せず、安定した処理が可能となる。
スラリーにおいて、粒子を分散させる液体(分散媒)は、粒子の分散性が良好であり、かつこれらの成分に対する反応性が低い液体であれば特に限定されないが、下記のものが好ましい。
アルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)、エステル(酢酸エステル(酢酸ブチル)等)、エーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(メチルエチルケトン等)、水(イオン交換水等)、グリコール(エチレングリコール、グリセロール)。
スラリー中には、粒子以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば酸、アルカリ、無機塩、シリコーン、脱塩処理された水ガラス、加水分解処理されたアルコキシシラン等が挙げられる。
スラリーの被処理面への吹き付けは、公知のウェットブラスト装置を用いて行うことができる。例えば図1に示した噴霧装置10と同様の装置を用いて行うことができる。
なお、方法(I)によりRMS値σを求める際に噴霧される汚染促進液は、前記スラリーに相当するが、噴霧量が20g/分と少ないため、噴霧された面に凹凸は形成されない。一方、汚染促進液と同様の関東ロームのスラリーをウェットブラスト処理に用いる場合は、スラリー濃度を0.1質量%より高くする(たとえば、1質量%)、噴霧される液滴の粒径を10μmより大きくする、噴霧量を20g/分を超える量とする、スプレーガンのノズルと非処理面との距離を600mm未満とする、等の条件変更により、被処理面をウェットブラスト処理することができる。
スラリーの被処理面への吹き付け条件は、算術平均面粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)がそれぞれ所望の範囲内となるように設定される。
スラリーの流速は、10〜1000m/秒が好ましく、50〜500m/秒がより好ましい。流速が前記範囲の下限値以上であると、良好な処理速度が得られる。流速が前記範囲の上限値以下であると、凹凸形状の均質性に優れ、かつガラス板の破損を防ぐことができる。
処理時間(単位面積あたりの吹き付け時間)は、0.1〜300秒/cmが好ましく、1.0〜100秒/cmがより好ましい。処理時間が前記範囲の下限値以上であると、充分な凹凸形状が形成される。処理時間が前記範囲の上限値以下であると、生産性に優れる。
被処理面と、スラリーが噴射されるノズルの先端との距離は、0.1〜100.0cmが好ましく、1〜50.0cmがより好ましい。距離が前記範囲の下限値以上であると、ガラス板の破損を防ぐことができる。距離が前記範囲の上限値以下であると、スラリーの利用効率に優れる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
後述する例1〜13のうち、例2〜5、7〜13は実施例であり、例1、6は比較例である。
各例で使用した測定方法を以下に示す。
(水接触角の測定方法)
水接触角の測定は、接触角計(共和界面化学社製、DropMaster500)を用い、液滴のサイズを20μLに設定して測定した。また測定は、温度20〜22℃、相対湿度20〜50%の雰囲気下で行った。
(算術平均面粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定方法)
透明部材の表面のRa、Rqの測定は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、NanoscopeIIIa)を用いて行った。具体的には、透明部材の表面(防汚性の評価を行う面)から無作為に選択した10μm×10μmの領域(以下、「指定面」ともいう。)について、AFMにより表面形状の三次元データを測定し、得られた三次元データから、下記式(2)によりRaを、下記式(3)によりRqを算出した。
Figure 2016060165
式(2)、(3)中、Aは、指定面が理想的にフラットであると仮定したときの面積であり、ここでは10μm×10μmである。
Z(x,y)は、基材の粗さ曲線を示す。
(x,y)は、基材の粗さ曲線を二乗した値を示す。
(突起密度の測定方法)
「突起密度」は、AFMにより10μm×10μmの凹凸形状を測定し、得られた画像内で隣接する凸部分と凹部分の高さが2nm以上のものを突起と定義した時の、単位面積当たりの突起数を算出した。
〔例1〜例6〕
(透明部材の作製)
下記の手順でかつエッチング溶液に浸漬させる時間のみを変えて、例1〜例6の透明部材を作製した。
ガラス板(旭硝子社製、ソーダライムガラス、50mm×100mm、厚さ0.7mm)の表面をメタノールで洗浄し、その表面に撥水剤(ダイキン社製オプツール−DSX)を、浸漬時間3分、引き上げ速度2mm/秒でディップコートした。その後、送風定温恒温器(ヤマト科学社製、DN410H)で100℃、1時間熱処理を行って撥水性コーティング膜を形成した。
次いで、ホットプレートの上にワックス(マルエス社製、明王ロウソク 小だるま)の入ったシャーレを設置し、加熱温度を135℃に設定してワックスが溶けるまで放置した。その後、その上に、撥水性コーティング膜が形成されたガラス板を設置し、12分放置してワックスを蒸着させた。ワックスは撥水性コーティング膜に弾かれ、微細粒状に凝集し付着した。
次いで、前記ガラス板を、プラズマエッチング装置(魁半導体社製、YHS−R)により10秒間エッチングして、ワックスが付着していない部分の撥水性コーティング膜を除去した。
次いで、前記ガラス板表面を、フッ酸を含むエッチング溶液(フロステック社製、ガラスエッチング剤クリアタイプ SW−CL4N)に所定時間浸漬させ、ワックス等が付着していない部分のガラスをエッチングした。なお、例1はエッチング溶液に浸漬させなかった例である。
次いで、前記ガラス板を、98℃の蒸留水で流水洗浄し、乾燥後、33%メタノール、67%ハイドロフルオロエーテル(旭硝子社製、アサヒクリンAE3000)の混合溶媒に3分間浸し、付着しているワックスを除去した。
次いで、前記ガラス板を、プラズマエッチング装置(魁半導体社製、YHS−R)により60秒間エッチングし、ガラス板上に付着した撥水性コーティング膜およびワックスの残渣を除去した。
次いで、前記ガラス板の表面に親水性コート剤(大阪有機化学工業社製LAMBIC771W)を、浸漬時間5分、引き上げ速度6mm/秒でディップコートし、親水性コーティング膜を形成した。これにより、ガラス板とその表面に形成された親水性コーティング膜とを備える透明部材を得た。
得られた例1〜例6の透明部材の表面の水接触角、Ra、突起密度を測定した。
(防汚性の評価)
例1〜例6の透明部材の防汚性の評価は、図1〜2に示す構成の装置を使用し、方法(I)により行った。
ただし、目視用ライトとしては、アイテックシステム社製、Power−Eye II LSP70×156Wを用い、撮像装置としては、デジタルカメラ(キャノン社製、EOS Kiss X5[EF−S 18−55 ISII])を用いて画像データを得た。また、画像処理ソフトとしてImageJを使用した。
また、噴霧装置としてアイ・エイ・シー社製、マイクロフォグスプレーガンYSG−05(液滴の粒径:10μm、噴霧量:20g/分)を2つ用意し、一方に汚染促進液を収容し、他方に水道水を収容した。
透明部材の表面から600mm離れた位置に、汚染促進液を収容した噴霧装置を設置し、該噴霧装置を用いて前記表面に汚染促進液を5秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させ、次いで、噴霧装置を、水道水を収容したものに入れ替えて、該噴霧装置を用いて前記表面に水道水を180秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させる工程を1サイクルとして3サイクル実施し、RMS値σを求めた。
例1〜6における、フッ酸を含むエッチング溶液を用いたエッチングの時間、水接触角、Ra、突起密度およびRMS値σを表1に示す。
また、例2で得た各輝度値分布ヒストグラムを、最小二乗法により近似して輝度値分布曲線に変換し、1つのグラフにまとめた。該グラフを図6に示す。図6中、「Initial」は、汚染促進液を噴霧する前に得た輝度値分布ヒストグラムに対応し、「First」、「Second」、「Third」はそれぞれ1サイクル後、2サイクル後、3サイクル後に得た輝度値分布ヒストグラムに対応する輝度値分布曲線である。
Figure 2016060165
エッチング時間が10〜30秒の場合に、Raが10〜50nmとなり、0秒または40秒以上の場合は10nm未満であった。エッチング時間が40秒以上の場合にRaが減少しているのは、ワックスでマスクしていた部分もエッチングされてしまい、突起の高さが減少したためと考えられる。
なお、エッチング時間が10秒、20秒、30秒それぞれの場合のRaの差は、エッチング時間よりも、蒸着したワックスのばらつきの影響によると考えられる。
例1〜6のうち、例2の透明部材が、3サイクル後に測定される輝度値分布における高輝度値の輝点の割合が最も少なかった。また、分散も小さい分布になっていた。
表1に示すσの値も、例2の透明部材が最も小さい値になっていた。
〔例7〜13〕
(脱塩ケイ酸ソーダ液の調製)
蒸留水の237.5gを撹拌しながら、これにケイ酸ソーダ4号(日本化学工業社製、SiO:24.0質量%、NaO:7.0質量%。SiO/NaOのモル比:3.5/1)の62.5g、陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンSK1BH)の180gの順で加え、10分間以上撹拌した後、吸引ろ過により陽イオン交換樹脂を分離し、酸化ケイ素換算の固形分濃度が5質量%の脱塩ケイ酸ソーダ液を得た。
(TiO膜形成用組成物の調製)
2−プロパノールの5.32gを撹拌しながら、これにチタニア粒子分散液(石原産業社製、STK−01)の1.85g、前記脱塩ケイ酸ソーダ液の2.18gの順で加え、酸化ケイ素換算固形分が2.95質量%、チタニア粒子のチタニア換算固形分と脱塩ケイ酸ソーダ液の酸化ケイ素換算固形分との質量比率が60/40であるTiO膜(親水性コーティング膜)形成用組成物を調製した。
(TiO膜付きガラス板の製造)
スピンコーターに、室温に保持したソーダライムガラス板(旭硝子社製、品番FL3.5、縦100mm、横100mm、厚み3.5mm)をセットし、前記TiO膜形成用組成物をソーダライムガラス板の表面に2.0g滴下し、スピンコートした後、300℃で30分間焼成し、TiO膜付きガラス板(前駆体)を製造した。
(透明基材の製造)
図1に示す構成の装置を用意した。噴霧装置としてアイ・エイ・シー社製、マイクロフォグスプレーガンYSG−05(ノズル径0.5μm)を用意し、以下のスラリーを収容した。
スラリー:JIS Z 8901:2006に規定される試験用粉体1の11種(関東ローム、中位径1.6〜2.3μm)を1質量%の濃度で水に分散させた分散液。
前記TiO膜付きガラス板を、TiO膜側の表面を噴霧装置側に向けて台にセッティングした。前記TiO膜付きガラス板の中央の35mm×30mmの範囲に、隙間ができないように注意して噴霧装置を移動させながら、前記表面から20mm離れた位置から前記スラリーを吹き付けてウェットブラスト処理を行った。吹き付けは、TiO膜の表面から20mm離れた位置から、コンプレッサの圧力を0.4MPa、スラリーの流速を318m/秒、スラリーの噴霧時間(ブラストタイム)を15秒間、30秒間、60秒間、180秒間、480秒間または720秒間として行った。なお、この例におけるブラストタイムの15〜720秒間は、単位面積当たりの処理時間として1.4〜68.6秒/cmである。
ウェットブラスト処理の後、乾燥する前に水を噴射し、さらにエタノールでリンスした。その後、ブラックライトを48時間照射し、エタノールでリンスし、紫外線(UV)オゾンを10分間照射して透明基材を得た。
得られた透明基材について、TiO膜側の表面の接触角を測定したところ、ウェットブラスト処理した部分も、ウェットブラスト処理していない部分も、接触角計では測定できないほど接触角が低かった。
得られた各透明基材のTiO膜側の表面の、ウェットブラスト処理した部分のRa、Rqを測定した。ウェットブラスト処理前のTiO膜付きガラス板(処理時間0秒)についてもRa、Rqを測定した。結果を表2および図7に示す。
図7は、横軸にウェットブラスト処理のブラストタイム(単位:秒)、縦軸にRa、Rqそれぞれの測定値(単位:nm)をとったグラフである。
また、得られた各透明基材のうち、例7と例9の透明部材について、例1と同様の手順で防汚性の評価を行った。結果(RMS値σ)を表2に示す。
また、例9の透明基材およびソーダライムガラス板(旭硝子社製、品番FL3.5、縦100mm、横100mm、厚み3.5mm)について、関西大学内の屋外に25日間放置する屋外暴露試験を行った。
その結果を図8〜9に示す。図8は、屋外暴露試験後の例9の透明基材を撮影した写真であり、図9は、屋外暴露試験後のソーダライムガラス板を撮影した写真である。
図8において、中央付近の四角形の範囲内がウェットブラスト処理した部分であり、それよりも外側が、ウェットブラスト処理していない部分である。
Figure 2016060165
表2および図7に示すとおり、TiO膜付きガラス板に対してウェットブラスト処理することにより、Ra、Rqそれぞれの値が大きくなった。
図8〜9から、ガラス板に親水コーティング膜を設けることで、屋外暴露を行ったときの汚れが目立ちにくくなり、さらにウェットブラスト処理を行うことで、汚れがより目立ちにくくなることが確認できた。
なお、2014年10月17日に出願された日本特許出願2014−212923号および2015年3月13日に出願された日本特許出願2015−051337号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
1 透明部材
3 基材
5 親水性コーティング膜
10 噴霧装置
11 タンク
12 2流体ノズル
13 コンプレッサ
14 台
15 固定台
20 透明部材
31 目視検査用ライト
32 デジタルカメラ
33 固定具
34 画像処理ソフトImageJがインストールされたコンピュータ

Claims (15)

  1. 以下の方法(I)により求められる二乗平均平方根値σが40以下である表面を有する透明部材。
    方法(I):暗室内で、透明部材の表面に対し、目視検査用ライトを用いて照度20000ルクスの光を、該表面に平行な方向から裏面側に5°傾斜した角度で照射し、該表面上の、前記光の照射方向と直交する方向に設置された撮像手段で該表面を撮像して該表面の画像データを得、該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数の比率をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。該輝度値分布ヒストグラムにおけるビンの幅は1とする。該輝度値分布ヒストグラムにおける前記透明部材のピクセル数の比率が最大となる輝度値をxとする。
    次いで、前記透明部材の表面に以下の汚染促進液を、以下の噴霧装置を用いて5秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させた後、該表面に水道水を、前記噴霧装置を用いて180秒間噴霧し、60℃で1時間乾燥させる工程を1サイクルとして3サイクル実施する。3サイクル後に、暗室内で、前記表面に対し、前記と同じ手順で照度20000ルクスの光を照射し、該表面を撮像して該表面の画像データを得、該画像データから無作為に抽出される15mm×15mmの大きさの領域2箇所を画像処理ソフトにより解析し、横軸に256階調の輝度値、縦軸にピクセル数をとった輝度値分布ヒストグラムを作成する。3回目のサイクル後に得られた輝度値分布ヒストグラムについて、ピクセル数の比率に対応した輝度値をxとする。
    汚染促進液:JIS Z 8901(2006)に規定される試験用粉体1の11種(関東ローム、中位径1.6〜2.3μm)を0.1質量%の濃度で水に分散させた分散液。
    噴霧装置:噴霧される液滴の粒径が10μmで、噴霧量が20g/分で、前記表面から600mm離れた位置に設置された2流体ノズルスプレーガン。
    前記xおよびxから下式(1)により二乗平均平方根値σを算出する。
    iはピクセル数の比率を示し、0〜100の整数である。nはピクセル数の比率の最大値を示し、100である。
    Figure 2016060165
  2. 前記二乗平均平方根値σが40以下である表面が、凹凸が存在する表面であり、該表面の突起密度が0.1〜100個・μm−2で、算術平均面粗さ(Ra)が2〜60nmで、水接触角が0〜10°である、請求項1に記載の透明部材。
  3. 前記二乗平均平方根値σが40以下である表面が、親水性コーティング膜を有する表面である、請求項1または2に記載の透明部材。
  4. 前記親水性コーティング膜の厚さが0.01〜1.00μmである、請求項3に記載の透明部材。
  5. 前記透明部材がガラス板である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明部材。
  6. 凹凸が存在する表面を有し、
    前記凹凸が存在する表面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nm、二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmである透明部材。
  7. 前記凹凸が存在する表面の突起密度が0.1〜100個・μm−2である、請求項6に記載の透明部材。
  8. 前記凹凸が存在する表面が親水性コーティング膜を有する表面であり、該表面の水接触角が0〜10°である、請求項6または7に記載の透明部材。
  9. 前記親水性コーティング膜の厚さが0.01〜1.00μmである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の透明部材。
  10. 前記親水性コーティング膜が親水性ポリマーの膜である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の透明部材。
  11. 前記親水性コーティング膜が酸化チタン膜である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の透明部材。
  12. 前記透明部材がガラス板である、請求項6〜11のいずれか一項に記載の透明部材。
  13. 表面に親水性コーティング膜を有するガラス板の、前記親水性コーティング膜表面に、以下のウェットブラスト処理を施す、透明部材の製造方法。
    ウェットブラスト処理:粒子を分散させた液体を前記親水性コーティング膜表面に吹き付けることにより、前記親水性コーティング膜表面に算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nmかつ二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmの凹凸を形成する処理。
  14. 撥水性パターン膜を有するガラス板の前記撥水性パターン膜を有する面をエッチング溶液でウェットエッチング処理して前記ガラス板の表面に凹凸を形成し、次いで前記撥水性パターン膜を除去した後、前記凹凸が形成された表面に親水性コート剤を塗布して親水性コーティング膜を形成する透明部材の製造方法であって、
    前記撥水性パターン膜を有する面のウェットエッチング処理が、前記親水性コーティング膜が形成された面の算術平均面粗さ(Ra)が8.5〜30nmかつ二乗平均平方根粗さ(Rq)が11〜30nmとなるように行われる、透明部材の製造方法。
  15. 汚れ物質を含む液を透明部材の表面に噴霧して汚れを付着させ、水洗した後、
    前記汚れを付着させた表面に光を照射し、該表面を撮像手段により撮像して画像データを取得し、該画像データに基づいて輝度値分布を作成し、
    前記輝度値分布において、予め設定した閾値以上の輝度値の積算値と、輝度値分布全体の積算値との比から、前記表面の汚れ具合を評価する評価方法。
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