JPWO2015083702A6 - 積層体、それを使用した包装材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、十分な層間剥離防止性能を有し、同時に無機層面に光輝感が付与された積層体を提供することである。
本発明の積層体は、ポリオレフィン系樹脂層と、被蒸着層と、無機層とをこの順で有する積層体であり、該被蒸着層が、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなり、該被蒸着層用組成物(P)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%とを溶融混練して得られ、かつ、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されており、かつ、該プロピレン系共重合体(B)が、プロピレン由来の構成単位45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位11〜55モル%とを含む。

Description

本発明は、少なくても被蒸着層を有する積層体、および該積層体を用いてなる包装材料に関する。詳しくは、本発明は、少なくてもポリオレフィン樹脂層、被蒸着層および無機層がこの順に積層された積層体、該積層体を用いてなる包装材料、および該積層体の製造方法に関する。
従来、各種の飲食料品、化粧品、医薬品、雑貨品、その他の物品を充填包装するために、種々の形態からなるプラスチック製の軟包装用袋が開発され、実用化されている。上記の包装用袋を構成する包装用材料としての積層材料(積層体)としては、内容物の品質の保護、保存期間の延長要請等から、酸素ガス、水蒸気等の透過を遮断する性質を有する種々のガスバリア性材料が使用されてきた。また、例えば、太陽あるいは蛍光灯等による太陽光あるいは蛍光等が透過し、この透過した光が内容物に影響し、内容物を分解ないし変質し、あるいは、褪色、その他等の光劣化を引き起こすという問題点がある。そのことから、遮光性材料も種々検討され、提案されている。上記のガスバリア機能、あるいは、光遮光機能を付与する最も汎用的な材料として、アルミニウム箔と樹脂との積層フィルムあるいはアルミニウム蒸着フィルム等が使用されてきた。
ポリプロピレンを始めとするポリオレフィン系樹脂は安価で成形性に優れ、耐油性、シーラント性等にも優れるため上記のような包装材料として用いた場合にも優れた性能を発揮することができる(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は一般的に異種材料と難接着性であるため、例えば蒸着アルミニウム等の無機層との積層体が形成された場合は、ポリオレフィン系樹脂層と無機層との蒸着強度(接着強度)が劣り、使用環境あるいは用途によっては層間剥離(デラミネーション)現象を起こしてしまう場合もあった。このような剥離を防止するために様々な方法が提案され、その一部は実用化されている。例えば金属などとの接着を向上させることを目的として、ポリプロピレンに無水マレイン酸などを特定の方法でグラフトしたり、あるいはポリプロピレンが本来的に備えた剛性である性質に柔軟性を付与することを目的として、軟質ゴムを付与したりする方法が提案されている(特許文献3、4)。
一方で、スナック菓子類を初めとする各種食料品用の樹脂製包装袋の、特に袋の内側の部分においては光輝感あるいは光沢感を持たせるためにメタリック調(キラキラ感)、或いはパール調外観が求められる場合がある。前記したアルミニウム箔あるいはアルミニウム蒸着フィルムからなる包装袋も例外ではなく、例えば、特定の地域の需要層や食品メーカーからは、内装部分に十分なキラキラ感を備えた、層間剥離しにくい丈夫な包装袋が求められている。
前記したグラフト法やゴム配合法を始めとする各種提案方法によって層間剥離防止性能を向上させることは可能となったが、包装袋のキラキラ感を同時に発現させることは未だ難しく需要家からのニーズが高まっていた。
WO2007/086425 A1 WO2012/077706 A1 WO2010/120295 A1 WO2013/119316 A1
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、十分な層間剥離防止性能を有し、同時に良好な外観および無機層面に光輝感が付与され、ガスバリア性にも優れた、被蒸着層を有する積層体および積層フィルム、好ましくは、少なくとも、ポリオレフィン樹脂層、被蒸着層および無機層がこの順に積層された、主には食品類の包装用の積層体および積層フィルムを提供することである。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、被蒸着層の組成に工夫を凝らすことによって、上述した課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す積層体、包装材料およびそれらの製造方法が提供される。
本発明の積層体は、少なくとも被蒸着層(II)を有し、好ましくは、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層(I)と、被蒸着層(II)と、無機層(III)とをこの順で有し、該被蒸着層(II)が、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなり、かつ、ポリオレフィン系樹脂層(I)と異なり、該被蒸着層用組成物(P)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して得られ、かつ、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されており、かつ、該プロピレン系共重合体(B)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)と異なり、かつ、(i)プロピレン由来の構成単位(U3)45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(UO)11〜55モル%とを含む(ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α−オレフィン由来の構成単位(UO)との合計を100モル%とする)ことを特徴とする。
本発明の積層体は、少なくともポリオレフィン系樹脂層(I)、被蒸着層用組成物(P)を含んでなる被蒸着層(II)および無機層(III)をこの順に有し、該被蒸着層用組成物(P)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%、および後述する要件(i)で規定される、好ましくは要件(i)と、(ii)または(iii)で規定される、さらに好ましくは要件(i)〜(iii)で規定されるプロピレン系共重合体(B)70〜15重量%からなる組成物(ここで、成分(A)と成分(B)は合計して100重量%)100重量に対し、グラフトモノマー(C)、好ましくは不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)が0.001〜5重量部グラフト付加されてなる。
無機層(III)がアルミニウムを含む層であることが、好ましい。
本発明の包装材料は、本発明の積層体を用いてなる。
本発明の少なくとも被蒸着層を有する積層体の製造方法は、(グラフト変性)アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、(グラフト変性)プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して被蒸着層用組成物(P)を製造する工程(1)と、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなる被蒸着層を製造する工程(2)を含むことを特徴とする。
十分な層間剥離防止性能を有し、良好な外観を有し、無機層面にキラキラ感が付与され、ガスバリア性にも優れた、ポリオレフィン樹脂層、被蒸着層および無機層がこの順に積層された積層体、これを用いてなる包装材料、および該積層体の製造方法が提供される。
本発明の包装材料は、上記の性能を有し、柔軟性に優れ、非常に丈夫である。
以下、本発明を実施するための形態を構成要件毎に詳細に説明するが、これらは本発明を実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されるものではない。
<ポリオレフィン系樹脂層(I)>
本発明におけるポリオレフィン系樹脂層(I)としては、ポリオレフィンからなる層であれば特に制限されない。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂が用いられ、中でも包装材料としての内容物の保護や低温シール性などの点から、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびプロピレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・ブテンランダム共重合体が、さらに良好な成形性を得ることができることから、特に好ましく用いられる。該ポリプロピレンおよびプロピレン・α−オレフィン共重合体としては、後述のアイソタクティックポリプロピレン(A)、プロピレン系共重合体(B)またはポリプロピレン(D)を用いてもよい。これらのポリオレフィンは、1種単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。良好な外観を有する積層体が得られる点から、ポリプロピレン(D)と同じポリプロピレンを用いることが好ましい。
樹脂層(I)は、特に限定されないが、通常1μm〜1000μm、好ましくは1〜200μmのフィルムであることが好ましい。
樹脂層(I)には、本発明の効果を損ねない範囲で、紫外線吸収剤;酸化防止剤;帯電防止剤;界面活性剤;顔料;蛍光増白剤;シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂などを構成成分とする有機粒子などの添加剤を必要に応じて含有してもよい。
樹脂層(I)としては、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン系樹脂層(I)の代わりに、また、該樹脂層(I)と共に、ポリエチレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテンなどのポリオレフィン;環状オレフィンポリマー;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−11、ポリメタキシレンアジパミドなどのポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリアクリル;ポリアリレート;トリアセチルセルロース;ポリフェニレンスルフィドなどから選択される1種または2種以上の樹脂により形成される層であってもよい。
これらの中でも、ポリエチレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテンなどのポリオレフィン;環状オレフィンポリマー;ポリイミド; ポリエチレンテレフタレート;ポリアミドなどにより形成されるフィルムからなる樹脂層が、延伸性、透明性、剛性が良好な点から好ましい。該フィルムの膜厚については、前記と同様である。
<被蒸着層(II)>
本発明に係る被蒸着層(II)は、後述する、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなる。該被蒸着層(II)は、前記ポリオレフィン系樹脂層(I)と異なる。
該被蒸着層(II)が、無機層(III)との密着性に優れる理由は、アイソタクティックポリプロピレン(A)またはプロピレン系共重合体(B)に、あるいはアイソタクティックポリプロピレン(A)およびプロピレン系共重合体(B)にグラフト変性された官能基と、無機層表面の水素基あるいは水酸基、たとえば、水由来の水素基や酸化被膜由来の水酸基との反応、およびプロピレン系共重合体(B)の柔軟性による物理的効果によるものと推測される。プロピレン系共重合体(B)は、該被蒸着層(II)中で完全に相溶あるいは極々微細に分散することによって、積層体に、光輝感あるいは光沢感、透明感を付与すると推測される。該被蒸着層が、該組成物(P)と共に、ポリプロピレン(D)、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂層(I)を形成するポリプロピレンと同じポリプロピレンを含んでなることで、層間の優れた密着性を維持しながら、良好な成形性を得ることができる。そのため、層間の剥離強度が高く、良好な外観(光輝感、光沢感、透明感)を有する積層体を経済的に得ることができる。
被蒸着層用組成物(P)は、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して得られ、かつ、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されている。
また、被蒸着層(II)は、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%と、必要に応じて添加剤とからなる組成物(ここで、成分(A)と成分(B)は合計して100重量%)100重量に対し、グラフトモノマー(C)、好ましくは不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)が0.001〜5重量部グラフト付加されてなる溶融混練物と、ポリプロピレン(D)を含んでなることも好ましい。
被蒸着層(II)は、特に限定されないが、通常1μm〜1000μm、好ましくは1〜100μmである。
被蒸着層(II)には、本発明の効果を損ねない範囲で、前記樹脂層(II)に記載の添加剤を必要に応じて含有してもよい。
以下、各成分について詳細に説明する。
((A)アイソタクティックポリプロピレン)
本発明で用いられるアイソタクティックポリプロピレン(A)(成分(A)とも称す)としては、プロピレンの単独重合体およびプロピレン・α-オレフィン共重合体が挙げられる。該プロピレン・α-オレフィン共重合体は、後述するプロピレン系共重合体(B)と異なる。
α‐オレフィン種は特に限定されないが、好ましくはエチレンおよび/または炭素数4〜20のα-オレフィンが挙げられ、これらのα-オレフィンは、1種単独でも2種以上使用してもよい。プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどを例示することができる。本発明においてさらに好ましいα-オレフィンとしては、エチレンもしくは炭素数4〜10のα-オレフィンであり、中でも特にエチレンもしくは炭素数4〜8のα-オレフィンが好適である。
ここで、プロピレン・α-オレフィン共重合体における、プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、プロピレン由来の構成単位と、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計100モル%に対して、少なくとも90モル%以上であることが好ましい。
該ポリプロピレン(A)のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分である。なお、本明細書におけるMFRは(A)アイソタクティックポリプロピレンのみならず(B)プロピレン系共重合体およびポリプロピレン(D)についても、ASTM D 1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重の下で測定された値である。
該ポリプロピレン(A)の、DSC測定装置内で10分間200℃保持した後、降温速度10℃/minで−20℃まで冷却し、−20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/minで測定したときに得られるDSC測定によって観測される融点(Tm)は、通常120℃を超え170℃以下、好ましくは130〜160℃である。
該ポリプロピレン(A)における、JIS K 7112に準拠して密度勾配管法で測定した密度は、特に限定されないが、通常0.900〜0.920g/cm3、好ましくは0.900〜0.915g/cm3である。密度が0.900g/cm3未満の場合、被蒸着層(II)の透明性あるいは耐ブロッキング性が悪化しやすくなる場合がある。一方、密度が0.920g/cm3よりも高い場合、被蒸着層(II)の透明性および耐衝撃性が低下するおそれがある。
該ポリプロピレン(A)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量、いずれもポリスチレン換算)が、特に限定されないが、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.5以下である。下限は、特に限定されないが、1.8である。
該ポリプロピレン(A)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法にて製造することができる。また、結晶性の重合体が好ましく使用でき、共重合体の場合にあっては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。更に、成形性を満足し、成形体としたときの使用に耐えうる強度を有するものであれば、立体規則性、分子量についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
本発明において好ましく用いられるアイソタクティックポリプロピレン(A)は、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、あるいはプロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体である。
該ポリプロピレン(A)には、本発明の目的から逸脱しない範囲において、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、塩酸吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、およびアンチブロッキング剤等の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の添加量は、種類により異なるが、本発明の目的を損なわない範囲であればよく、通常、該ポリプロピレン100重量部に対して、3重量部以下である。
((B)プロピレン系共重合体)
本発明におけるプロピレン系共重合体(B)(成分(B)とも称す)は、下記要件(i)を満たし、好ましくは要件(i)と、要件(ii)または(iii)を満たし、さらに好ましくは要件(i)〜(iii)の全てを満たす。該プロピレン・系共重合体(B)は、アイソタクティックポリプロピレン(A)と異なる。
(i)プロピレン由来の構成単位(U3)45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(U0)を合計して11〜55モル%とを含み(ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α-オレフィン由来の構成単位(U0)との合計を100モル%とする)。
(ii)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が、120℃以下または融点が観測されない。なお、融点の測定方法は、実施例を参考できる。
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜3.0の範囲にある。
要件(i)において、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンとしては、直鎖状または分岐状α−オレフィンが挙げられる。
直鎖状α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの、プロピレンを除く炭素原子数2〜20の直鎖状α−オレフィンなどが挙げられる。これらの中でも、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数2〜10の直鎖状α−オレフィンが好ましい。
分岐状α−オレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの炭素原子数4〜20、好ましくは炭素原子数5〜10の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。
これらのα-オレフィンは、1種単独でも2種以上使用してもよい。
要件(i)において、各オレフィンに起因する骨格の構成量は、プロピレン由来の構成単位(U3)が45〜89モル%、好ましくは52〜85モル%、より好ましくは60〜82モル%である。エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(U0)は、合計で、通常11〜55モル%、好ましくは15〜48モル%、より好ましくは18〜40モル%である。ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α-オレフィン由来の構成単位(U0)との合計を100モル%とする。該α-オレフィン由来の構成単位(U0)として、エチレン由来の構成単位(U2)のみを含む、1-ブテン由来の構成単位(U4)のみを含む、またはエチレンおよび1-ブテン由来の構成単位(U2ト4)の両方を含む、プロピレン系共重合体であることが、入手性の点から、好ましい。
該α-オレフィン由来の構成単位(U0)において、エチレン由来の構成単位(U2)および炭素数4〜20のα-オレフィン由来の構成単位(U4-20)の両方の構成単位を含む場合、エチレン由来の構成単位(U2)の量は、プロピレン由来の構成単位(U3)とエチレン由来の構成単位(U2)と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の構成単位(U4-20)との合計を100モル%とした場合、通常10〜25モル%、好ましくは10〜23モル%、より好ましくは12〜17モル%である。α-オレフィン由来の構成単位(U4-20)の量は、U3、U2およびU4-20との合計を100モル%とした場合、通常1〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、より好ましくは6〜23モル%である。該共重合体としては、プロピレン・エチレン・1-ブテン3元共重合体が、好ましい。
該α-オレフィン由来の構成単位(U0)として、エチレン由来の構成単位(U2)のみを含む場合、エチレン由来の構成単位(U2)の量は、プロピレン由来の構成単位(U3)とエチレン由来の構成単位(U2)との合計を100モル%に対して、通常11〜55モル%、好ましくは15〜48モル%、より好ましくは18〜40モル%である。該プロピレン系共重合体(B)が、プロピレン・エチレン2元共重合体である場合、剛性と成形時の取扱い易さのバランスに優れる点で、好ましい。
本発明において、プロピレン系共重合体(B)が炭素数4〜20のα-オレフィン由来の構成単位(U4-20)を含む場合は、構成単位(U4-20)として1-ブテン由来の構成単位(U4)が好ましく使用される。1−ブテン由来の構成単位(U4)の量は、プロピレン由来の構成単位(U3)と1−ブテン由来の構成単位(U4)との合計を100モル%に対して、通常11〜55モル%、好ましくは15〜48モル%、より好ましくは18〜40モル%である。炭素数4〜20のα-オレフィンの中で、1-ブテンが安定入手可能なオレフィンの一つであることや、後述するように、アイソタクティックポリプロピレン(A)とプロピレン系共重合体(B)との溶融混練物と、公知ポリプロピレンとの組成物から被蒸着層(II)を調製した場合に、1-ブテンを選択すると、該プロピレン系共重合体(B)とポリプロピレンの両樹脂の相容性が向上し、被蒸着層(II)物性の改良を図れるからである。このような点から、該プロピレン系共重合体(B)が、プロピレン・1−ブテン2元共重合体またはプロピレン・エチレン・1−ブテン3元共重合体であることも好ましい。
なお、プロピレン系共重合体(B)中の、各コノモノマー起因の構成単位量(モル%)は13C−NMRスペクトルの公知の解析手法によって求めることができる。
該プロピレン系共重合体(B)には、オレフィン系重合体を構成するモノマーとして、本発明の効果を奏する限り、必要に応じて、例えば、環状オレフィン、共役ジエン、非共役ポリエン、芳香族ビニル化合物、官能化ビニル化合物などを少量含有していてもよい。これらのモノマーの構成単位量は、全構成単位100重量%に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
要件(ii)については、融点(Tm)が存在する場合は、40〜120℃の範囲にあると好ましく、45〜115℃の範囲にあると、蒸着時に柔軟性が増すため、蒸着強度が向上する点で、更に好ましい。融点が観測されないとは、−150〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークが観測されないことをいう。なお、融点(Tm)は、23℃±2℃で72時間以上の状態調節を実施した後の試験体を、−40℃まで冷却してから昇温速度10℃/minで測定したときに得られるDSC曲線上で検出された融点のことである。
要件(iii)については、Mw/Mnが1.0〜2.8の範囲にあると好ましく,1.0〜2.5の範囲にあると、成形外観が良好になる点で、更に好ましい。
プロピレン系共重合体(B)のMFRは特に限定されないが、好ましくは、0.1〜100g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分である。
該共重合体(B)における、JIS K 7112に準拠して密度勾配管法で測定した密度は、特に限定されないが、好ましくは0.800〜0.900g/cm3、より好ましくは0.820〜0.890g/cm3である。
プロピレン系共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の周知の触媒を用いた周知の方法にて製造することができる。メタロセン触媒を用いる製造方法が開示された公知文献としては本出願人によって出願され既に公開されている特公平6−820や特許3580428号などを挙げることができる。更に、成形性を満足し、成形体としたときの使用に耐えうる強度を有するものであれば、立体規則性、分子量についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
被蒸着層用組成物(P)
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)は、前記アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは45〜75重量%、および前記プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%、好ましくは60〜20重量%、より好ましくは55〜25重量%と、必要に応じて、後述の添加剤とを溶融混練して得られる(ここで、成分(A)と成分(B)は合計して100重量%)。溶融混練前において、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されている。すなわち、組成物(P)の原料には、グラフト変性体が含まれる。
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)は、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは45〜75重量%、およびプロピレン系共重合体(B)70〜15重量%、好ましくは60〜20重量%、より好ましくは55〜25重量%からなる組成物(ここで、成分(A)と成分(B)は合計して100重量%)100重量部に対し、グラフトモノマー(C)、好ましくは不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)が0.001〜5重量部グラフト付加されてなるものである。
本発明においては、(A)成分および(B)成分の組成を上記範囲とすることにより、初期接着性に優れるとともに、熱履歴後の接着性にも優れる接着剤を得ることが可能となる。
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)においては、組成物(P)を構成する成分(A)と成分(B)が共に部分グラフト変性されていてもよいし、成分(A)または成分(B)のいずれかが部分グラフト変性されている態様であっても良い。グラフトモノマー(C)としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、クロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)、メチル−エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エンド−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、あるいは不飽和ジカルボン酸の酸ハライド、ニトリル、アミド、イミド、酸無水物、エステルなどの誘導体を挙げることができる。このような誘導体としては、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド、マレニルイミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド類、カルボン酸ビニルエステル類、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルなどを挙げることができる。これらの化合物(グラフトモノマー)は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物およびその塩、カルボン酸基を有する不飽和カルボン酸化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物(たとえば、不飽和ジカルボン酸の無水物)等を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。また、本発明において不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を使用する場合には、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、マレイン酸、ナジック酸TM、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体がより好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物がさらに好ましく、無水マレイン酸が最も好ましく用いられる。
グラフトモノマー(C)の含有量は、組成物(P)100重量部に対し、通常0.001〜5重量部であり、好ましくは0.01〜3重量部である。該グラフトモノマー(C)のグラフト量は、前記アイソタクティックポリプロピレン(A)および前記プロピレン系共重合体(B)の合計100重量に対して、通常0.001〜5重量部であり、好ましくは0.01〜3重量部である。グラフトモノマーの含有量およびグラフト量が上記範囲にあることにより、本発明に関わる被蒸着層用組成物(P)を含んでなる被蒸着層(II)は、無機層(III)に対して高い接着強度を示す。グラフトモノマーの含有量およびグラフト量の制御は、例えば、グラフト条件を適宜に選択することにより、容易に行うことができる。
(グラフト方法)
本発明においてグラフトモノマーをグラフトさせる場合には、その方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。例えばポリマーを溶融し、そこへグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法、あるいはポリマーを溶媒に溶解して溶液となし、そこへグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法等がある。
グラフト変性としては、有機過酸化物またはアゾ化合物などのラジカル開始剤の存在下で、成分(A)および/または成分(B)に、グラフトモノマーをグラフト変性させることが好ましい。ラジカル開始剤は、成分(A)、成分(B)およびグラフトモノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。グラフト変性の際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、グラフトモノマーのグラフト量を向上させることができる。
該グラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、たとえば、成分(A)および/または成分(B)を有機溶媒に溶解し、次いでグラフトモノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、通常70〜200℃の温度で、通常0.5〜15時間反応させることにより行うことができる。また押出機などを用いて、無溶媒で、成分(A)および/または成分(B)とグラフトモノマーとを反応させて、変性体を製造することもできる。
該有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドおよびt-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
該アゾ化合物としては、たとえば、2,2'−アゾビス(4−メトキシ2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が挙げられる。
これらの有機過酸化物またはアゾ化合物は、1種単独でも、2種以上使用しても、組み合わせて用いてもよい。
該有機過酸化物またはアゾ化合物の使用量は、グラフト反応に用いられる(共)重合体100重量部に対して、通常は0.01〜30重量部の量である。
(被蒸着層用組成物(P)の製造方法)
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)の製造方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を制限なく採用できる。例えば、グラフト変性を、アイソタクティックポリプロピレン(A)及びプロピレン系共重合体(B)が同時に存在する状態で、或いは成分(A)又は成分(B)の一部または全部をグラフト変性した後に未変性の残りの成分を混合する方法によって実施した後、後述する任意成分(添加剤)を加えたのち、溶融混練することによって変性ポリオレフィン組成物である被蒸着層用組成物を得ることが可能である。
該組成物(P)は、アイソタクティックポリプロピレン(A)の一部を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)でグラフト変性したのち、未変性成分(A)とプロピレン系共重合体(B)を溶融混合して得られることも好ましい。
本発明においては、アイソタクティックプロピレン(A)の一部または全部をグラフト変性した後、該グラフト変性体と、プロピレン系共重合体(B)と、必要に応じて添加剤とを溶融混合する方法が好ましい。本発明においては、アイソタクティックプロピレン(A)の一部をグラフト変性した後、未変性成分(A)とプロピレン系共重合体(B)を溶融混合する方法が好ましい。
溶融混練する方法としては、例えば、樹脂組成物をドライブレンドした後、一軸もしくは二軸のスクリュー押出し機、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー等で溶融混練する方法などが挙げられ、工業的には押出機が好適に用いられる。溶融混練における温度については、(A)及び(B)成分が溶融していれば特に限定されないが、通常160〜300℃、好ましくは180℃〜250℃の温度範囲で実施するのが一般的である。
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)には、本発明の目的を損なわない範囲で、混合可能な他のエラストマーを配合することができる。他のエラストマーを配合する場合、その配合量は、被蒸着層用組成物(P)100重量部あたり、通常は10重量部未満である。また、その配合作業は、上述の(A)、(B)と同時であっても、(A)、(B)を含む組成物を得た後に、該組成物に混合する場合であってもよい。
本発明に係る被蒸着層用組成物(P)には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知のプロセス安定剤、耐熱安定剤、耐熱老化剤、フィラー、粘着付与剤、加工助剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤等などの添加剤を添加することも可能である。これらの添加剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されず、用途や種類によって異なるが、組成物(P)100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下である。本発明においては、粘着性を付与する目的でいわゆる粘着付与剤を配合することもできる。粘着性を付与する物質としては、例えば、ロジン誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、およびそれらの水素化物を挙げることができ、これらの中では、水素化テルペン樹脂、水素化石油樹脂が好ましい。
被蒸着層(II)は、上述の被蒸着層用組成物(P)のみが使用された場合であっても、被蒸着層用組成物(P)に前記エラストマーや各種添加剤の配合物が使用された場合であっても本発明の効果を十分に発現するが、最終形態の包装材料が使用される用途や使用環境によっては被蒸着用組成物(P)に加えて、公知のポリプロピレン(D)が更に配合された組成物を含んでなる被蒸着層(II)が好んで使用される。該被蒸着層(II)が、前記被蒸着層用組成物(P)を製造する工程(1)と、該被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなる被蒸着層を製造する工程(2)を含んで得られると、該被蒸着層(II)を含む積層体は、十分な層間剥離防止性能を有する。また、該被蒸着層(II)は、無機層との密着性が良好なため、該無機層の光輝感が向上する。該被蒸着層(II)は、グラフト変性体を配合する点と柔軟性の理由から、該無機層としては、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜層であることが好ましい。該被蒸着層(II)は、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜層との密着性に特に優れるため、アルミニウム由来のキラキラ感(グロス)を特に引き出すことができる。
該ポリプロピレン(D)としては、プロピレンの単独重合体およびプロピレン・α-オレフィン共重合体や、前記(A)アイソタクティックポリプロピレンを例示することができ、経済性、汎用性、入手容易性などの点から、プロピレンの単独重合体およびプロピレン・α-オレフィン共重合体が好ましい。該プロピレン・α-オレフィン共重合体におけるα‐オレフィン種は特に限定されないが、好ましくはエチレンおよび/または炭素数4〜20のα-オレフィンが挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種単独でも2種以上使用してもよい。該α-オレフィンおよび構成単位の含有量については、前記ポリプロピレン(A)の項の記載と同じである。
該ポリプロピレン(D)は、ポリプロピレン(A)と同一であっても異なっていてもよい。
該ポリプロピレン(D)は、プロピレン系共重合体(B)と同一であっても異なっていてもよいが、成形性の点から、異なることが好ましい。該ポリプロピレン(D)として、前記成分(A)から得られるグラフト変性体を用いてもよいが、経済性の点から、未変性体が好ましい。
該ポリプロピレン(D)のメルトフローレート(MFR)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分である。
該ポリプロピレン(D)のDSC測定によって観測される融点(Tm)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常130〜165℃、好ましくは132〜162℃である。なお、融点の測定方法は、ポリプロピレン(A)と同じである。
該ポリプロピレン(D)における、JIS K 7112に準拠して密度勾配管法で測定した密度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常0.900〜0.920g/cm3、好ましくは0.905〜0.915g/cm3である。密度が0.900g/cm3未満の場合、被蒸着層(II)の透明性あるいは耐ブロッキング性が悪化しやすくなる場合がある。一方、密度が0.920g/cm3よりも高い場合、被蒸着層(II)の透明性および耐衝撃性が低下するおそれがある。
該ポリプロピレン(D)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量、いずれもポリスチレン換算)が、特に限定されないが、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下である。下限は、特に限定されないが、1.8である。
なお、ポリプロピレン(D)には、本発明の目的から逸脱しない範囲において、ポリプロピレン(A)で挙げたような各種の添加剤が添加されていてもよい。これらの添加剤の添加量は、種類により異なるが、本発明の目的を損なわない範囲であればよく、通常、該ポリプロピレン100重量部に対して、3重量部以下である。
該ポリプロピレン(D)の製造方法は、ポリプロピレン(A)と同様である。
被蒸着層用組成物(P)にポリプロピレン(D)を配合して被蒸着層(II)として用いる場合は、被蒸着層用組成物(P)とポリプロピレン(D)の配合比(重量比)は、特に限定されないが、通常95:5から5:95の範囲、好ましくは80:20から20:80の範囲、より好ましくは70:30から30:70の範囲である。被蒸着層用組成物(P)および必要に応じて公知のポリプロピレンから被蒸着層(II)を調製する方法は、従前知られた方法が制限なく使用できる。
<無機層(III)>
無機層(III)としては、本発明に効果を奏する限り特に制限されないが、例えば、金(Au)、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、錫(Sn)、インジウム(In)、および珪素(Si)などの元素を含む金属、並びに該元素を含む酸化物、窒化物、窒酸化物、硫化物、リン化物、リン酸化物、リン窒化物およびリン窒酸化物などの無機化合物が挙げられる。
本発明の無機層(III)に用いられる無機物として好適なものには、金属、金属酸化物等が挙げられる。無機層(III)に用いられる金属としては、本発明に効果を奏する限り特に制限されないが、アルミニウム、金、銅、鉄等が挙げられ、金属酸化物としては、これらの酸化物が挙げられる。
本発明の無機層(III)は金属箔をそのまま用いたり、蒸着膜として層として形成したりすることができる。金属箔である場合には上記の金属のうち1種でも2種以上の合金であってもよい。蒸着膜の場合には1種又は2種以上の金属であってもよい。これらの層のうちの好ましい具体例としては、アルミニウム箔、金箔、アルミニウム蒸着層、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層、シリカアルミナ2元蒸着層などが挙げられる。安価でバリア性が高く、遮光性が付与できる点からアルミニウム箔、またはアルミニウム蒸着膜層が特に好ましい。
無機層(III)を被蒸着層(II)に形成する方法としては、気相法およびウェット法などが挙げられる。
気相法による形成方法としては、公知の方法、例えば、化学蒸着(CVD)、触媒CVD(CAT−CVD)、低圧CVDおよびプラズマCVDなどの化学蒸着法;真空蒸着(反応性真空蒸着)、スパッタリング(反応性スパッタリング)およびイオンプレーティング(反応性イオンプレーティング)などの物理蒸着法(PVD)などが挙げられる。
無機層(III)の厚さは、金属箔の場合、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmであり、特に好ましくは3〜30μmである。無機蒸着膜層の場合には通常10〜5000Å、好ましくは50〜1000Å、より好ましくは100〜600Å、特に好ましくは300〜500Åである。無機層の厚みが薄い場合は十分なバリア性が得られない場合があり、厚すぎると包装材料の重さが増えて取り扱いが不便になったり、蒸着層の場合はクラックが入りやすくなる虞がある。
<透明シーラント層(IV)>
本発明の積層体において必須ではないが、無機層(III)に隣接させて透明シーラント層(IV)を用いることもできる。この場合の積層体は、ポリオレフィン樹脂層(I)、被蒸着層用組成物(P)からなる被蒸着層(II)、好ましくは該組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなる被蒸着層(II)、無機層(III)および透明シーラント層(IV)がこの順に積層された積層体である。透明シーラント層(IV)を付設することにより、これが、ヒートシール機能を果たすと同時に、透明であるがゆえに隣接する無機層(III)の光輝感を維持できる。
透明シーラント層(IV)として用いることができる樹脂としては、公知のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂が制限なく用いられる。透明性、剛性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、低温インパクト強度などの視点からは、例えば、ポリプロピレン樹脂と、エチレン・α-オレフィン共重合体とプロピレン・α-オレフィン共重合体からなる組成物、ポリプロピレン樹脂と、エチレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体からなる組成物を用いることが好ましい。
透明シーラント層(IV)は、たとえば、無機層(III)に前記樹脂や組成物を直接押出コーティングしたり、ポリオレフィン樹脂層(I)、被蒸着層(II)および無機層(III)を含む積層体とシーラントフィルムとをドライラミネーションしたり、あるいは共押出する方法を採用することができる。
前記シーラントフィルムは、前記樹脂や樹脂組成物からフィルム成形することによって、製造することができる。フィルムの成形は、ポリオレフィンのフィルムを得ることのできる公知の方法、例えばキャスト成形法、インフレーション成形法、押出コーティング法等を採用することができるが、本発明の積層体を効率良く得ることができるという観点から、押出コーティング法が好ましい。キャスト成形法、インフレーション成形法の場合 は、通常樹脂温度160〜240℃の条件で均一膜厚の良好なフィルムを製造することができる。押出コーティング法の場合は、通常樹脂温度200〜320℃の条件を採用できる。
透明シーラント層(シーラントフィルム)の厚みは、本発明の効果を奏する限り特に制限はされないが、通常1〜100μm、好ましくは3〜80μmの範囲である。
<その他の層>
本発明の積層体では、無機層(III)および透明シーラント層(IV)の表面に、表面保護、印刷適性、ラミネート適性などを向上させるために、種々公知のコーティング剤、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル系、アイオノマー系など種々のコーティング可能な樹脂を施してもよい。
また、本発明の積層体を構成する各層の表面は、表面処理またはアンダーコート処理されていてもよい。表面処理としては、オゾン処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、逆スパッタ処理、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処理、粗面化処理などがある。アンカーコート剤は、種々の樹脂、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光線硬化性樹脂やカップリング剤で構成することができる。特に、コロナ放電処理もしくはプラズマ処理することにより、酸素透過度、透湿度を低くして更にガスバリア性に優れる積層体とすることができる。また、特に被蒸着層(II)の表面を上記表面処理、特に好ましくはコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理することで、無機層(III)との密着性が良好となる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体は公知の方法により製造することができる。例えば、T−ダイ成形、インフレーション成形、キャスト成形、チューブ成形、押出コーティング成形などの共押出法により製造することができる。また、単層あるいは複層などのフィルムを成形した後に、加熱によりドライラミネーションする方法などを例示することができる。本発明においては、生産性の点から、複数の成分を多層の押出機に供して成形する共押出法を用いることが好ましい。
<用途>
本発明の積層体は、光輝性(キラキラ感)、透明性に優れ、また、層間の剥離強度が高く、ガスバリア性にも優れるため、種々の分野に好適に使用することができる。例えば、食品包装用フィルムや、カップ、ボトル、トレー、チューブ、BIB(バックインボックス)等の食品容器などの食品分野があげられるが、ガスバリア性にも優れるため、パイプなどの非食品用途にも好適に使用することができる。
(包装材料)
本発明の包装材料は、本発明の積層体を含んでなり、飲食料品、化粧品、雑貨品や、食品包装、充填包装、繊維包装など包装容器および包装袋などの材料(包装材)として好適に用いられる。
包装容器および包装袋は、フィルム状あるいはシート状の積層体を所望の形状に真空成形や圧空成形等により成型することにより得てもよく、積層体を所望の包装容器および包装袋の形状となるように製造することにより得てもよい。包装容器および包装袋は、その内面が、光輝性(キラキラ感)、透明性に優れ、また、層間の剥離強度が高く、ガスバリア性にも優れる。
内容物を包装した包装容器および包装袋は、たとえば、容器および袋に内容物を充填し、その後、公知のフィルムを蓋材として被覆し、容器上部ないし側部をヒートシールすることにより得られる。該容器および袋は、即席麺、味噌、ゼリー、プリン、スナック菓子等の包装に好適に利用される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例になんら制約されるものではない。
(各種測定方法)
本実施例等においては、以下の方法に従って測定を実施した。
[メルトフローレート(MFR、g/10分)]
特に断らない限り、ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg荷重の下、測定を実施した。
[密度(g/cm3)]
密度は、JIS K 7112に準拠して測定した。
[融点(Tm、℃)]
DSCの吸熱曲線から求めた。DSC測定は、成分(A)、成分(A)のグラフト変性体および(D)については、装置内で10分間200℃保持した後、降温速度10℃/minで−20℃まで冷却し、−20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/minで測定した際に得られるDSC曲線上の吸熱ピークを成分(A)の融点(Tm)とした。
成分(B)および成分(B)のグラフト変性体については、23℃±2℃で72時間以上の状態調節を実施した後の試験体を、−40℃まで冷却してから昇温速度10℃/minの条件で実施した。この際に得られるDSC曲線上で検出された吸熱ピークを融点(Tm)とした。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)]
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、アライアンス社製GPC-2000を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSKgel GMH6-HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2であり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)及び酸化防止剤としてBHT(ブチルヒドロキシトルエン)(武田薬品工業社製)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは東ソー社製を用いた。
[被蒸着層(II)および無機層(III)との層間接着強度(単位:N/15mm)]
Tダイ付き押出成形機により、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA;三井・デュポンポリケミカル社製)の厚さ50μmフィルムを成形した。得られたエチレン・アクリル酸共重合体フィルムと、アルミニウム蒸着した厚さ50μmのフィルム(被蒸着層および無機層(III)を有するフィルム)を、蒸着面を接着面としてヒートシーラーにより105℃、0.3MPaで10秒間圧着させた。この積層フィルムを幅15mm×長さ80mm(製膜方向と長辺方向が一致)で切り取り、引張試験機を用いて、T型により引張速度300mm/分にて引張試験を行い、剥離進行時のTピール強度を蒸着強度とした。なお、表1の中では、該接着強度をアルミニウム蒸着強度と呼ぶ。
[無機層(III)の光沢度(%)]
光沢度:光沢面について、JIS P 8142の方法に準じて入射角20度の鏡面光沢度を、グロスメーター(村上カラーリサーチラボラトリー社製、GM−26D)で測定した。なお、表1の中では、光沢度をグロスと呼ぶ。
(使用したポリオレフィン類)
(1)変性PP-1:変性アイソタクティックランダムポリプロピレン
(MFR=12g/10分、密度=0.91g/cm3、無水マレイン酸グラフト量=0.4wt%、融点=138℃、Mw/Mn=4.5)
(2)変性PP-2:変性アイソタクティックホモプロピレン
(MFR=10g/10分、密度=0.90g/cm3、無水マレイン酸グラフト量=0.3wt%、融点=158℃、Mw/Mn=4.1)
(3)PP−1:ランダムポリプロピレン
(MFR=7g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=141℃、エチレン含量=3.5mol%、Mw/Mn=7.5)
(4)PP−2:ホモポリプロピレン
(MFR=3.0g/10分、密度=0.91g/cm3、融点=162℃、Mw/Mn=7.2)
(5)PER-1:プロピレン・エチレンランダム共重合体
(MFR=20g/10分、密度=0.86g/cm3、エチレン含量=20mol%、融点=109℃、Mw/Mn=2.1)
(6)PBR-1:プロピレン・ブテンランダム共重合体、
(MFR=7g/10分、 密度=0.86g/cm3、ブテン含量=25mol%、融点=75℃、Mw/Mn=2.2)
(7)PEBR-1:プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体
(MFR=3g/10分、密度=0.86g/cm3、エチレン含量=13mol%、ブテン含量=19mol%、融点=45℃、Mw/Mn=2.0)
(8)EPR-1:エチレン・プロピレン共重合体
(ASTM D1238に従い、190℃、2.16Kg荷重で測定されたMFR=1g/10分、密度=0.87g/cm3、プロピレン含量=19mol%、融点=検出されず)
(9)エチレン系コポリマー:エチレン・メチルメタクリレート
(ASTM D1238に従い、190℃、2.16Kg荷重で測定されたMFR=20g/10分、密度=0.94g/cm3、メチルメタクリレート含量=20wt%)
〔実施例1〕
<被蒸着層用組成物(P)の製造>
(A)変性アイソタクティックホモポリプロピレン(変性PP-1)50重量%と、(B)プロピレン・エチレンランダム共重合体(PER-1)50重量%を、1軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、被蒸着用組成物(P)を得た。
<積層体の製造>
以下に示した構成からなる各層を、下記の条件で共押出して、2層積層フィルムを成形した。
ポリオレフィン系樹脂層(I)として前記ランダムポリプロピレン(PP-1)を使用した。被蒸着層(II)として、上記方法で調製した被蒸着層用組成物(P)とポリプロピレン(PP-1)のブレンド体(成分(P)重量:成分(PP-1)重量=40:60)を用いた。ポリオレフィン系樹脂層(I)と被蒸着層(II)は、Tダイ付き押出成形機により押し出され、フィードブロック内でこの順に積層された。ダイス温度は230℃であった。厚さ約50μmで共押出された積層体は、チルロールで冷却され、オゾン処理を施された後、20m/分の速さで引き取られた。各層の厚さは、被蒸着層(II)/ポリオレフィン系樹脂層(I)=5/45μmとした。被蒸着層はオゾン処理により、ぬれ指数42dyn/cmとした。
上記により得られた積層フィルムはバッチ式アルミニウム蒸着装置(昭和真空SIP-600)を用いて厚さが50nmとなるように被蒸着層にアルミニウム蒸着を行った。
<アルミニウム蒸着層の性能評価>
前記した蒸着強度測定法および光沢度測定法に従って、実施例で得られた積層体の蒸着強度と、無機層(蒸着面)の光沢度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例2〜8,比較例1〜4)
表1または2に示した配合処方に従って被蒸着層用組成物(P)または被蒸着層(II)を調製した以外は、実施例1と同様の方法で2層積層フィルムを製造した。
得られた積層体の性能を表1または2に示した。
(比較例5)
実施例1に記載の被蒸着用組成物(P)の代わりに、ランダムポリプロピレン(PP-1)60重量%と、エチレン系コポリマー(エチレン・メチルメタクリレート)40重量%を、1軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、組成物を得た。
被蒸着層(II)として該組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、2層積層フィルムを製造した。
得られた積層体の性能を表2に示した。
(参考例)
変性アイソタクティックホモポリプロピレン(変性PP-1)90重量%と、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PER-1)10重量%を、1軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、被蒸着用組成物を得た。
被蒸着層(II)として該組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、2層積層フィルムを製造した。
得られた積層体の性能を表2に示した。
得られた積層体の蒸着強度は、1.5N/15minを示したが、ポリオレフィン系樹脂層(I)との界面で肌荒れが生じ、グロスが安定して測定できなかった。
Figure 2015083702
Figure 2015083702

Claims (11)

  1. 少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層(I)と、被蒸着層(II)と、無機層(III)とをこの順で有する積層体であり、
    該被蒸着層(II)が、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなり、かつ、ポリオレフィン系樹脂層(I)と異なり、
    該被蒸着層用組成物(P)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して得られ、かつ、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されており、かつ
    該プロピレン系共重合体(B)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)と異なり、かつ、(i)プロピレン由来の構成単位(U3)45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(UO)11〜55モル%とを含む(ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α−オレフィン由来の構成単位(UO)との合計を100モル%とする)
    ことを特徴とする積層体。
  2. 前記プロピレン系共重合体(B)が、さらに、下記要件(ii)および(iii)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
    (ii)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が、120℃以下または観測されない。
    (iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜3.0の範囲にある。
  3. 該グラフトモノマー(C)のグラフト量が、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および該プロピレン系共重合体(B)の合計100重量に対して、0.001〜5重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)の重量比が、(P):(D)=95:5〜5:95であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 少なくとも、前記ポリプロピレン(A)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記グラフトモノマー(C)が、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. さらに、透明シーラント層(IV)を有し、
    前記ポリオレフィン系樹脂層(I)、前記被蒸着層(II)、前記無機層(III)および該透明シーラント層(IV)をこの順で有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記無機層(III)が、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体を含んでなる包装材料。
  10. 少なくとも、被蒸着層を有する積層体であり、
    該被蒸着層が、被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなり、
    該被蒸着層用組成物(P)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して得られ、かつ、該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されており、かつ
    該プロピレン系共重合体(B)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)と異なり、かつ、(i)プロピレン由来の構成単位(U3)45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(UO)11〜55モル%とを含む(ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α−オレフィン由来の構成単位(UO)との合計を100モル%とする)
    ことを特徴とする積層体。
  11. アイソタクティックポリプロピレン(A)30〜85重量%と、プロピレン系共重合体(B)70〜15重量%(ここで、(A)および(B)の合計を100重量%とする)と、必要に応じて添加剤とを溶融混練して被蒸着層用組成物(P)を製造する工程(1)と、
    被蒸着層用組成物(P)およびポリプロピレン(D)を含んでなる被蒸着層を製造する工程(2)を含む、少なくとも、被蒸着層を有する積層体の製造方法であり、
    該アイソタクティックポリプロピレン(A)および/またはプロピレン系共重合体(B)の一部または全部が、グラフトモノマー(C)でグラフト変性されており、かつ
    該プロピレン系共重合体(B)が、アイソタクティックポリプロピレン(A)と異なり、かつ、(i)プロピレン由来の構成単位(U3)45〜89モル%と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位(UO)11〜55モル%とを含む(ここで、プロピレン由来の構成単位(U3)と、該α−オレフィン由来の構成単位(UO)との合計を100モル%とする)
    ことを特徴とする積層体の製造方法。
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