JPWO2015076401A1 - 被覆工具 - Google Patents

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Abstract

耐摩耗性と耐欠損性を持つ、工具寿命の長い被覆工具を提供する。本発明の被覆工具は、基材と、被覆層とを含む。基材は、複数の硬質粒子と、複数の硬質粒子を結合する結合相とを含む。被覆層は、化合物層を含む。手順(1)〜(6)により求められるB/Aの値が、0.2以上0.5未満である。(1)基材の表面に垂直な断面を、基材の表面に平行な方向に基準長さ(S)抜き出す。(2)抜き出された断面において、被覆層に接する硬質粒子の断面の合計面積(A)を求める。(3)被覆層と基材との境界面において、互いに隣接する硬質粒子の間に形成されている複数の境界部のうち、最も深い位置にある第1の境界部(D1)、及び、2番目に深い位置にある第2の境界部(D2)を決定する。(4)D1及びD2を通る線分(L)を引く。(5)被覆層に接する硬質粒子の断面のうち、線分(L)よりも被覆層側にある断面の合計面積(B)を求める。(6)B/Aの値を求める。

Description

本発明は、被覆工具に関する。
鋼、鋳鉄、ステンレス鋼、耐熱合金などの切削加工には、被覆工具が広く用いられている。例えば、超硬合金、サーメット、cBN焼結体などの基材の表面に、TiN層やTiAlN層などを形成した被覆工具が広く用いられている。
被覆工具の従来技術としては、特許文献1に記載された被覆工具が知られている。特許文献1に記載された被覆工具は、硬質粒子および結合相を含む基材と、被膜とを備えている。被膜と接する硬質粒子の表面には、凹凸が形成されている。基材のすくい面の表面の粗度Rzは、1.0μm以上30μm以下である。
また、被覆工具の従来技術としては、特許文献2に記載された被覆工具が知られている。特許文献2に記載された被覆工具は、WC基超硬合金、サーメット、セラミックス、高速度鋼等からなる母材と、母材の表面に形成された被膜とを備えている。被膜は、IVa、Va、VIa族金属元素およびAl、Siから選ばれる2種類以上の元素からなる合金の、窒化物、酸化物、炭化物、炭窒化物又はホウ化物を含む。被膜は、物理的蒸着法により、50nm以下の粒子径となるように形成される。
特開2012−157915号公報 特許3341328号公報
特許文献1に開示された被覆切削工具では、局所的に基材の表面から硬質粒子が突出しているため、高速加工および高能率加工で切削を行う場合に、その硬質粒子を起点とした欠損または剥離を生じるという問題があった。
特許文献2に開示された被覆工具は、細かい粒子で構成された被膜を備えており、切削加工中に被覆工具の刃先と被削材が擦過したときに、被膜を構成する粒子が脱落する。このため、特許文献2に開示された被覆工具は、耐摩耗性に劣るという問題があった。
近年、切削加工の高速化、高能率化が顕著となっており、従来よりも被覆工具に負荷がかかるため、工具寿命が低下する傾向がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、優れた耐摩耗性、耐剥離性および耐欠損性を持つ、寿命の長い被覆工具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の観点から、被覆工具の寿命の延長について研究を行い、本発明を完成させた。本発明によれば、優れた耐摩耗性、耐剥離性および耐欠損性を持つ、寿命の長い被覆工具を提供することができる。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]基材と、前記基材の表面に形成された被覆層とを含む被覆工具であって、
前記基材は、複数の硬質粒子と、前記複数の硬質粒子を結合する結合相とを含み、
前記被覆層は、1つ又は複数の化合物層を含み、
前記化合物層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Y、AlおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の非金属元素とを含む化合物の層であり、
以下の手順(1)〜(6)によって求められるB/Aの値が、0.2以上0.5未満である、被覆工具。
(1)前記基材の表面に垂直な断面を、前記基材の表面に平行な方向に基準長さSだけ抜き出す。
(2)抜き出された断面において、前記被覆層に接している前記硬質粒子の断面の合計面積Aを求める。
(3)前記被覆層と前記基材との境界面において、互いに隣接する硬質粒子の間に形成されている複数の境界部のうち、最も深い位置にある第1の境界部D1、及び、2番目に深い位置にある第2の境界部D2を決定する。
(4)前記第1の境界部D1及び前記第2の境界部D2を通る線分Lを引く。
(5)前記被覆層に接している前記硬質粒子の断面のうち、前記線分Lよりも被覆層側にある断面の合計面積Bを求める。
(6)B/Aの値を求める。
[2]前記基準長さSは、前記硬質粒子の平均粒径の5倍以上である、[1]の被覆工具。
[3]前記被覆層は、複数の粒子を含み、
前記被覆層に含まれる複数の粒子の個数基準の累積度数が50%となるときの粒径d50が、0.1μm以上0.2μm以下であり、
前記被覆層に含まれる複数の粒子の個数基準の累積度数が80%となるときの粒径d80が、0.25μm以上0.45μm以下である、[1]または[2]の被覆工具。
[4]前記被覆層の平均厚さは、0.6μm以上15μm以下である、[1]から[3]のうちいずれかの被覆工具。
[5]前記基材に含まれる前記硬質粒子の平均粒径は、0.3μm以上5μm以下である、[1]から[4]のうちいずれかの被覆工具。
前記基材に含まれる前記硬質粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の非金属元素とを含む化合物の粒子である、[1]から[5]のうちいずれかの被覆工具。
被覆層に接する硬質粒子の断面の合計面積A、および線分Lよりも被覆層側の硬質粒子の断面の合計面積Bを説明するための図。 被覆層に接する硬質粒子の断面の合計面積A、および線分Lよりも被覆層側の硬質粒子の断面の合計面積Bを説明するための図。 被覆層に接する硬質粒子の断面の合計面積A、および線分Lよりも被覆層側の硬質粒子の断面の合計面積Bを説明するための図。 基材の表面に垂直な断面の模式図。 基材の表面に垂直な断面の模式図。 基材の表面に垂直な断面の模式図。
<被覆工具>
本発明の被覆工具は、基材と、その基材の表面に形成された被覆層とを含む。被覆工具は、例えば、フライス加工用インサートまたは旋削加工用インサート、ドリル、又はエンドミルなどである。
<基材>
本発明の基材は、被覆工具の基材として用いられるものであれば特に限定されない。基材の例として、具体的には、超硬合金およびサーメットなどを挙げることができる。その中でも、基材は、耐摩耗性および耐欠損性に優れる超硬合金であることが好ましい。
本発明の基材は、硬質粒子と硬質粒子を結合する結合相とを含む。硬質粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群より選択される少なくとも1種の非金属元素とからなる化合物である。
<硬質粒子の粒径>
本発明の硬質粒子の粒径は、基材の表面に垂直な断面において、硬質粒子の断面の面積と等しい面積の円の直径(円相当径)として定義される。
<硬質粒子の平均粒径>
本発明の硬質粒子の平均粒径は、複数の硬質粒子の粒径の合計を、その硬質粒子の数で割った値として定義される。
硬質粒子の平均粒径は、例えば、基材の表面に垂直な断面の写真を見たときに、その断面内に存在する硬質粒子の粒径の合計を、その断面内に存在する硬質粒子の数で割ることによって求めることができる。このとき、断面内に存在する硬質粒子の数は、5個以上であることが好ましく、10個以上であることがより好ましい。
硬質粒子の平均粒径が0.3μm未満である場合、工具の耐欠損性が低下する傾向がある。硬質粒子の平均粒径が5μmを超える場合、工具の耐摩耗性が低下する傾向がある。そのため、硬質粒子の平均粒径は、0.3μm以上5μm以下であることが好ましい。
図1は、基材の表面に垂直な断面研磨面の一例を示している。
図1に示すように、基材の表面には、被覆層が形成されている。基材は、複数の硬質粒子と、複数の硬質粒子を結合する結合相を含む。基材に含まれる複数の硬質粒子の一部は、被覆層に接している。被覆層と基材の境界面において、互いに隣接する硬質粒子の間には、複数の境界部が形成されている。
図2は、基材の表面に垂直な断面の模式図である。以下、図1及び図2を参照しながら、本発明の被覆工具の特徴であるB/Aの値の求め方について説明する。
(1)まず、基材の表面な垂直な断面を、基材の表面に平行な方向に基準長さSだけ抜き出す。基準長さSは、硬質粒子の平均粒径の5倍以上であることが好ましい。
(2)つぎに、基準長さSだけ抜き出した断面において、被覆層に接している硬質粒子の断面の合計面積Aを求める。硬質粒子の断面の合計面積Aは、例えば、市販の画像処理ソフトウェアによって求めることができる。
(3)被覆層と基材との境界面において、互いに隣接する硬質粒子の間に形成される複数の境界部のうち、最も深い位置にある第1の境界部D1、及び、2番目に深い位置にある第2の境界部D2を決定する。ここでいう「深い」とは、例えば図2の下方を意味しており、被覆層から基材に向かう方向を意味する。第1の境界部D1及び第2の境界部D2は、同じ深さに位置していてもよい。
(4)第1の境界部D1及び第2の境界部D2を通る線分Lを引く。
(5)基準長さSだけ抜き出した断面において、被覆層に接している硬質粒子の断面のうち、線分Lよりも上側にある断面の合計面積Bを求める。線分Lよりも上側にある断面の合計面積Bは、例えば、市販の画像処理ソフトウェアによって求めることができる。
(6)B/Aの値を求める。
B/Aは、0.2以上0.5未満である。B/Aが0.2未満である場合、基材と被覆層との間のアンカー効果が低下するため、基材と被覆層との間の密着性が低下する。B/Aが0.5以上である場合、硬質粒子の凸部の面積が大きいため、被覆工具に異常な損傷が発生する場合がある。
本発明において、基準長さSは、硬質粒子の平均粒径の5倍以上であることが好ましい。基準長さSが硬質粒子の平均粒径の5倍未満である場合、基準長さSの範囲に含まれる硬質粒子の数が少ないため、測定誤差が大きくなる。
本発明の被覆工具は、B/Aの値が0.2以上0.5未満であることを特徴とする。工具の表面の全部においてB/Aの値が0.2以上0.5未満である必要はなく、切削に関与する部位においてB/Aの値が0.2以上0.5未満であればよい。例えば、インサートを取り付けるためのねじ穴の断面において、B/Aの値が0.2以上0.5未満である必要はない。ねじ穴は、切削に関与する部位ではないからである。具体的には、切削に関与する部位の60%以上の断面において、B/Aの値が0.2以上0.5未満であることが好ましい。より好ましくは、70%以上の断面においてB/Aの値が0.2以上0.5未満であり、さらに好ましくは、80%以上の断面においてB/Aの値が0.2以上0.5未満である。切削に関与する部位の80%以上の断面において、B/Aの値が0.2以上0.5未満である場合には、非常に良好な切削性能が得られる。
例えば、5個の断面を検査した場合に、4個の断面(5視野中4視野)において上記の関係を満たす場合に、80%の断面において上記の関係を満たすと言うことができる。検査する断面数が多い方が好ましいが、少なくとも5個の断面を検査すれば、B/Aの値と切削性能との間の所定の相関が得られる。
<被覆層>
本発明の被覆層は、1つ又は複数の化合物層を含む。化合物層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Y、AlおよびSiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群より選択される少なくとも1種の非金属元素とを含む化合物の層である。このような化合物層は、耐摩耗性に優れるので好ましい。化合物層は、組成が異なる複数の層を交互に積層させた構造を有することがさらに好ましい。
本発明の被覆層全体の平均厚さは、0.6μm以上15μm以下であることが好ましい。被覆層全体の平均厚さが0.6μm未満である場合、耐摩耗性が低下する傾向がある。被覆層全体の平均厚さが15μmを超える場合、耐欠損性が低下する傾向がある。
被覆層の厚さは、被覆工具の断面の研磨面を、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)などを用いて観察することで測定することができる。
なお、被覆層の各層の厚さは、金属蒸発源に対向する面の刃先から被覆工具の中心部に向かって50μmの位置の近傍において測定することができる。被覆層の各層の厚さを、各層の3箇所以上において測定することができる。各層の3箇所以上において測定された厚さ平均値を、各層の厚さの代表値として用いることができる。
各層の組成は、SEM、FE−SEM、TEMなどの電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線分光器(EDS)や、波長分散型X線分光器(WDS)などを用いて測定することができる。
<被覆層に含まれる粒子の粒径>
本発明の被覆層は、結晶構造を有しており、複数の粒子(結晶粒子)を含んでいる。被覆層に含まれる粒子の粒径は、以下の手順で測定することができる。
まず、基材の表面に垂直な断面を研磨する。その研磨した断面の組織を、電子顕微鏡などを用いて観察する。
つぎに、観察された断面において、被覆層に含まれる複数の粒子を横切るようにして、基材の表面に平行な線分を引く。このとき、粒界によって切り取られる線分の長さが、粒子の粒径である。言い換えると、各粒子の外縁によって切り取られる線分の長さが、粒子の粒径であると定義される。
線分によって横切られる粒子の粒径をそれぞれ計測する。粒径の計測結果より、被覆層に含まれる粒子の累積度数のグラフを作成することができる。このグラフにおいて、横軸は粒径(μm)を表しており、縦軸は個数基準の累積度数(%)を表している。線分によって横切られる粒子の合計の個数が、累積度数100%に対応する。このグラフより、線分によって横切られる全ての粒子のうち、ある粒径以下(またはある粒径以上)の粒子が個数基準でどれくらいの割合を占めているのかを知ることができる。
被覆層に含まれる粒子の個数基準の累積度数が50%となる粒径d50は、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。被覆層に含まれる粒子の個数基準の累積度数が80%となる粒径d80は、0.25μm以上0.45μm以下であることが好ましい。粒子の累積度数が50%となる粒径d50が0.1μm未満である場合、微細な粒子が多く存在するため、被覆層の耐摩耗性が低下する傾向がある。粒子の累積度数が50%となる粒径d50が0.2μmを超える場合、被覆層の耐剥離性が低下する傾向がある。粒子の累積度数が80%となる粒径d80が0.25μm未満である場合、被覆層が均一で微細な組織となるため、被覆層の耐摩耗性が低下する傾向がある。粒子の累積度数が80%となる粒径d80が0.45μmを超える場合、被覆層の耐剥離性及び耐欠損性が低下する傾向がある。
被覆層の粒子の粒径を求めるためには、被覆工具の断面を鏡面研磨し、この研磨した断面の組織を観察する。この断面は、基材の表面に対し、垂直である。
被覆層の粒子の粒径を求めるためには、例えば、被覆層の表面近傍の断面を観察してもよいが、被覆層と基材との界面近傍の断面を観察してもよい。
被覆層を鏡面研磨する方法としては、ダイヤモンドペーストまたはコロイダルシリカを用いて研磨する方法や、イオンミリングなどを挙げることができる。
直径100nm以上のドロップレットを除いた断面研磨面を、FE−SEMなどによる電子線後方散乱回折(EBSD)法を用いて観察することができる。観察は、研磨した面において任意の複数の視野を選択して、視野毎に行う。各視野中に存在する被覆層の粒子について、結晶方位毎に色別(マッピング)して被覆層の粒子を視覚的に確認できるようにする。マッピングした像を撮影する。撮影したマッピング像の被覆層に、所定の長さの基材表面と平行な直線を引き、この直線によって横切られる各粒子の粒径を測定する。
なお、被覆層の断面研磨面において、直径100nm以上のドロップレットと、ドロップレット以外の断面組織は、容易に区別できる。断面研磨面を観察すると、ドロップレットの周りには厚さ数nm〜数十nmの空隙ができている。そのため、被覆層において、直径100nm以上のドロップレットとドロップレット以外の断面研磨面は、容易に区別することができる。
基材に含まれる硬質粒子の粒径を求めるためには、被覆工具の断面研磨面を観察する。具体的には、被覆工具の任意の断面を鏡面研磨し、この研磨した断面の組織を観察する。
基材を鏡面研磨する方法としては、ダイヤモンドペーストまたはコロイダルシリカを用いて研磨する方法や、イオンミリングなどを挙げることができる。
断面研磨面を、FE−SEMなどによる、EBSD法を用いて観察することができる。観察は、研磨した面において任意の複数の視野を選択して、視野毎に行う。各視野中に存在する基材の硬質粒子について、結晶方位毎に色別(マッピング)して基材の硬質粒子を視覚的に確認できるようにする。マッピングした像を撮影する。次に、撮影したマッピング像を、市販の画像解析ソフトを用いて解析する。この解析結果より、基材に含まれる硬質粒子の断面の面積と等しい面積の円の直径を求める。この直径は、基材の硬質粒子の粒径として求められる。撮影したマッピング像内に存在するすべての硬質粒子の粒径を求める。これらの粒径の平均値を求める。
被覆層に接する硬質粒子の断面の合計面積Aを求めるためには、被覆工具の断面研磨面を観察する。線分Lよりも上方の断面の合計面積Bを求めるためには、被覆工具の断面研磨面を観察する。
具体的には、基材の硬質粒子の平均粒径の5倍の値を求め、この値を基準長さSとして決定する。FE−SEMなどを用いて、基材と被覆層との界面付近の断面研磨面の反射電子像を撮影する。撮影した断面研磨面の反射電子像を、基材の表面に対し平行な方向に、基準長さSだけ抜き出す。撮影した反射電子像を、市販の画像解析ソフトを用いて解析する。この解析結果より、被覆層に接している硬質粒子の断面の合計面積Aを求める(図1(b)参照)。次に、被覆層と基材の境界面において、互いに隣接する硬質粒子によって形成される複数の境界部を決定する。複数の境界部のうち、最も深い位置にある第1の境界部D1、及び、2番目に深い位置にある第2の境界部D2を決定する。第1の境界部D1、及び、第2の境界部D2を通る線分Lを引く(図1(a)参照)。市販の画像解析ソフトを用いて、被覆層に接している硬質粒子の断面のうち、線分Lよりも被覆層側の(上方の)断面の合計面積Bを求める(図1(c)参照)。以上のようにして求められた合計面積Aおよび合計面積Bから、B/Aの値を算出することができる。
被覆層の粒子の粒径および基材の硬質粒子の粒径は、例えば、EBSDを用いて測定することができる。EBSDは、粒子の粒界を明瞭に観察できるため、好ましく用いることができる。EBSDの設定としては、ステップサイズが0.01μm、測定範囲が2μm×2μm、方位差が5°以上の境界を粒界とみなすという設定が好ましい。
次に、本発明の被覆工具の製造方法について、具体例を用いて説明する。なお、本発明の被覆工具の製造方法は、当該被覆工具の構成を達成し得る限り特に制限されるものではない。
例えば、本発明の被覆工具の製造方法では、硬質粒子と硬質粒子を結合する結合相とを含む工具形状の基材を準備する。続いて、この基材に対して、ブラシなどを用いてホーニング処理する。基材の表面は、焼結肌面でもよいが、研削加工を施した研削面であることが好ましい。基材の表面が研削面である場合、基材の表面がより平滑となる。
次いで、第1工程として、基材に対して低い投射エネルギーで乾式ショットブラストを施す。これにより、硬質粒子の粒界に凹凸を形成する。例えば、乾式ショットブラストの条件は、被覆層の表面に対して投射角度が30〜90°、投射圧力0.02〜0.05MPa、処理時間2〜5分である。乾式ショットブラストの投射材の平均粒径は、80〜100μmであることが好ましい。投射材の材質は、例えば、AlまたはZrOであることが好ましい。
第1工程において、基材に対して低い投射エネルギーで乾式ショットブラストを施す。第1工程の後、第2工程として、基材に対して高い投射エネルギーで乾式ショットブラストを施す。これにより、硬質粒子の表面に凹凸を形成することができる。例えば、乾式ショットブラストの条件は、被覆層の表面に対して投射角度が30〜90°、投射圧力0.1〜0.3MPa、処理時間10〜30秒である。第2工程の処理時間は、第1工程の処理時間よりも短くてもよい。乾式ショットブラストの投射材の平均粒径は、120〜150μmであることが好ましい。投射材の材質は、例えば、AlまたはZrOであることが好ましい。
次に、第3工程として、イオンボンバードメント処理により、乾式ショットブラスト処理で基材に発生した脆弱な層を除去する。脆弱な層を除去することによって、基材と被覆層との密着性を向上させることができる。
イオンボンバードメント処理は、例えば、以下の手順で実施する。
反応容器内に、基材を導入する。
反応容器内のヒーターで、基材を200〜800℃の温度に加熱する。
基材を加熱した後、反応容器内にArガスを導入する。
反応容器内を、圧力3.0Pa〜7.0PaのArガス雰囲気に調整する。
基材に印加されるバイアス電圧−300V〜−600Vの条件でイオンボンバードメント処理を実施する。
上記のようにして基材表面にイオンボンバードメント処理を施した後、この基材上に、物理蒸着法により被覆層を形成することができる。物理蒸着法として、例えば、アークイオンプレーティング法、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオンミキシング法などを挙げることができる。その中でもアークイオンプレーティング法は、基材と被覆層との密着性が優れるので、さらに好ましい。
本発明の被覆工具は、例えば、以下の方法で製造することもできる。
アークイオンプレーティング装置の反応容器内に基材を入れる。被覆層の原料となる窒素ガスを、反応容器内に導入する。反応容器内の雰囲気を、窒素雰囲気とする。続いて、反応容器内の圧力を、2〜5Paとする。炉内ヒーターで、基材を400〜800℃の温度に加熱する。基材に印加されるバイアス電圧−150〜−50Vとし、アーク電流100〜180Aという条件で、基材の表面に被覆層を形成する。
[発明の効果]
本発明の被覆工具は、耐摩耗性、耐剥離性および耐欠損性に優れており、従来よりも工具寿命が長くなるという効果を奏する。
基材として、ISO規格SEKN1203AGTNインサート形状のP20相当の超硬合金を用意した。発明品1〜10、及び比較品9の基材に対して、表1に示す条件で乾式ショットブラスト処理を施した。
次に、アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、表3に示す被覆層の組成からなる金属蒸発源を配置した。用意した基材を、反応容器内の回転テーブルの固定金具に固定した。
その後、反応容器内の圧力が5.0×10−3Pa以下の真空になるまで真空引きした。真空引き後、反応容器内のヒーターで、基材の温度が500℃になるまで加熱した。加熱後、反応容器内の圧力が5.0Paになるように、反応容器内にArガスを導入した。次に、表2に示す条件で基材に対してイオンボンバードメント処理を施した。
イオンボンバードメント処理後、発明品1、3〜10および比較品1〜10については、反応容器内の圧力が5.0×10−3Pa以下の真空になるまで真空引きした。真空引き後、窒素ガスを反応容器内に導入し、圧力2.7Paの窒素ガス雰囲気にした。基材には−50Vのバイアス電圧を印加して、アーク電流150Aのアーク放電により金属蒸発源を蒸発させて被覆層を形成した。被覆層を形成した後に、ヒーターの電源を切り、試料温度が100℃以下になった後で、反応容器内から試料を取り出した。
イオンボンバードメント処理後、発明品2については、反応容器内の圧力が5.0×10−3Pa以下の真空になるまで真空引きした。真空引き後、窒素ガスとメタンガスとを反応容器内に導入し、圧力2.7Paの窒素ガスとメタンガスの分圧比が窒素ガス:メタンガス=1:1となるように混合した。基材には−50Vのバイアス電圧を印加して、アーク電流150Aのアーク放電により、金属蒸発源を蒸発させて被覆層を形成した。被覆層を形成した後に、ヒーターの電源を切り、試料温度が100℃以下になった後で、反応容器内から試料を取り出した。
得られた試料の被覆層に含まれる各層の平均厚さを、SEMを用いて測定した。具体的には、金属蒸発源に対向する側の試料の断面を、ダイヤモンドペーストで鏡面研磨した。SEMを用いて、研磨された試料の断面を観察した。観察された試料の断面において、被覆層の厚さを5箇所で測定した。5箇所で測定された被覆層の厚さの平均値を求めた。試料の被覆層の組成を、各試料の製造に使用したアークイオンプレーティング装置の反応容器内で測定した。具体的には、金属蒸発源に対向する側の試料の断面を、EDSを用いて測定した。これらの測定結果を、表3に示す。
被覆層の平均厚さを測定した後、被覆工具の断面研磨面をFE−SEMによるEBSD法で観察し、基材の硬質粒子の平均粒径を求めた。EBSDの設定としては、ステップサイズが0.01μm、測定範囲が2μm×2μm、方位差が5°以上の境界を粒界とみなすという設定にした。次に、基材の硬質粒子の平均粒径の5倍の値を求め、この値を基準長さSとして決定した。FE−SEMを用いて、基準長さSが含まれる範囲の基材と被覆層との界面における断面研磨面の反射電子像を撮影した。市販の画像解析ソフトを用いて、撮影した反射電子像から、被覆層と接する硬質粒子の合計面積Aおよび合計面積Bを求めた。表4に、基材の硬質粒子の平均粒径およびB/Aを示す。
その後、被覆層の断面研磨面から直径100nm以上のドロップレットを除いた組織をFE−SEMによるEBSD法で観察して、被覆層の粒子の粒径を求めた。EBSDの設定としては、ステップサイズが0.01μm、測定範囲が2μm×2μm、方位差が5°以上の境界を粒界とみなすという設定にした。観察された被覆層の粒子の個数全体を100%としたときの、被覆層の粒子の平均粒径に対する、被覆層の粒子の個数の累積度数を求めた。この累積度数が50%および80%となる平均粒径をそれぞれ求めた。累積度数が50%および80%となる平均粒径を表5に示す。
表4および表5から、発明品1〜10は、基材の硬質粒子に関するB/Aが0.2以上0.5未満の範囲にあり、被覆層の粒子の累積度数が50%となる粒径が0.1μm以上0.2μm以下の範囲にあり、被覆層の粒子の累積度数が80%となる粒径が0.25μm以上0.45μm以下の範囲にあることがわかる。
得られた試料を用いて、以下の試験条件1、2で正面フライス加工を行い、耐剥離性、耐摩耗性および耐欠損性を評価した。
[試験条件1]
被削材:FCD600、
被削材形状:50mm×200mm×150mmの直方体(但し、105mm×200mmの面に正面フライス加工を行う)、
切削速度:150m/min、
送り:0.2mm/tooth、
切り込み:2.0mm、
切削幅:46mm、
クーラント:不使用(ドライ加工)、
カッター有効径:φ80mm、
評価項目:加工長が2.0mの時における剥離面積を確認した。
試験条件1における加工長が2.0mの時における剥離面積を表6に示す。
表6より、発明品は、比較品よりも被覆層の剥離面積が小さいことが確認された。以上の結果から、発明品は、比較品よりも耐剥離性に優れていることが確認された。
[試験条件2]
被削材:S45C、
被削材形状:105mm×200mm×60mmの直方体(但し、正面フライス加工を行う直方体の105mm×200mmの面に、直径φ30mmの穴が6箇所開けられている)、
切削速度:250m/min、
送り:0.1mm/tooth、
切り込み:2.0mm、
切削幅:50mm、
クーラント:不使用(ドライ加工)、
カッター有効径:φ125mm、
評価項目:試料が欠損したとき、または試料の最大逃げ面摩耗幅が0.2mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工長を測定した。
試験条件2における工具寿命までの加工長を表7に示す。
表7に示されるように、発明品は全ての試料において、損傷形態が正常摩耗であり、比較品よりも耐欠損性が優れることが分かる。発明品と、損傷形態が正常摩耗であった比較品とを比較すると、発明品の加工長は、5.1m以上であり、比較品の4.0mよりも加工長が長い。この結果より、発明品の方が比較品よりも工具寿命が長いことが分かる。
基材として、ISO規格SEKN1203AGTNインサート形状のサーメットを用意した。発明品11、12および比較品11の基材に対して、表8に示す条件で、乾式ショットブラスト処理を施した。
次に、アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、表10に示す被覆層の組成からなる金属蒸発源を配置した。用意した基材を、反応容器内の回転テーブルの固定金具に固定した。
その後、反応容器内の圧力が5.0×10−3Pa以下の真空になるまで真空引きした。真空引き後、反応容器内のヒーターで、基材の温度が500℃になるまで加熱した。加熱後、反応容器内の圧力が5.0Paになるように、Arガスを導入した。次に、表9に示す条件で、基材に対してイオンボンバードメント処理を施した。
得られた試料について、イオンボンバードメント処理後、反応容器内の圧力が5.0×10−3Pa以下の真空になるまで真空引きした。真空引き後、窒素ガスを反応容器内に導入し、圧力2.7Paの窒素ガス雰囲気にした。基材には−50Vのバイアス電圧を印加して、アーク電流150Aのアーク放電により、金属蒸発源を蒸発させて基材の表面に被覆層を形成した。被覆層を形成した後に、ヒーターの電源を切り、試料温度が100℃以下になった後で、反応容器内から試料を取り出した。
得られた試料の被覆層に含まれる各層の平均厚さを測定した。具体的には、金属蒸発源に対向する側の試料の断面を、ダイヤモンドペーストで鏡面研磨した。SEMを用いて、研磨された断面を観察した。観察された断面において、被覆層の厚さを5箇所で測定した。5箇所で測定された被覆層の厚さの平均値を求めた。また、得られた試料の被覆層の組成を測定した。具体的には、金属蒸発源に対向する側の試料の断面を、EDSを用いて測定した。これらの測定結果を、表10に示す。
被覆層の平均厚さを測定した後、被覆工具の断面研磨面をFE−SEMによるEBSD法で観察し、基材の硬質粒子の平均粒径を求めた。EBSDの設定としては、ステップサイズが0.01μm、測定範囲が2μm×2μm、方位差が5°以上の境界を粒界とみなすという設定にした。次に、基材の硬質粒子の平均粒径の5倍の値を求め、この値を基準長さSとして決定した。FE−SEMを用いて、基準長さS以上の長さが含まれる範囲の基材と被覆層との界面における断面研磨面の反射電子像を撮影した。市販の画像解析ソフトを用いて、撮影した反射電子像から被覆層と接する硬質粒子の合計面積Aおよび合計面積Bを求めた。表11に、基材の硬質粒子の平均粒径およびB/Aを示す。
その後、被覆層の断面研磨面から直径100nm以上のドロップレットを除いた組織を、FE−SEMによるEBSD法で観察して、被覆層の粒子の粒径を求めた。EBSDの設定としては、ステップサイズが0.01μm、測定範囲が2μm×2μm、方位差が5°以上の境界を粒界とみなすという設定にした。観察された被覆層の粒子の個数全体を100%としたときの、被覆層の粒子の平均粒径に対する、被覆層の粒子の個数の累積度数を求めた。この累積度数が、50%および80%となる平均粒径をそれぞれ求めた。累積度数が50%および80%となる平均粒径を表12に示す。
表11および表12から、発明品11、12は、基材の硬質粒子に関するB/Aが0.2以上0.5未満の範囲にあり、被覆層の粒子の累積度数が50%となる粒径が0.1μm以上0.2μm以下の範囲にあり、被覆層の粒子の累積度数が80%となる粒径が0.25μm以上0.45μm以下の範囲にあることがわかる。
得られた試料を用いて、実施例1と同様に、試験条件1、2で正面フライス加工を行った。試験条件1で耐剥離性を評価し、試験条件2で耐摩耗性および耐欠損性を評価した。
試験条件1における、加工長が2.0mの時における剥離面積を表13に示す。
表13より、発明品は、比較品よりも被覆層の剥離面積が小さいことが確認された。以上の結果から、発明品は、比較品よりも耐剥離性に優れていることが確認された。
試験条件2における工具寿命までの加工長を表14に示す。
表14に示されるように、発明品は、全ての試料において、損傷形態が正常摩耗であり、比較品よりも耐欠損性が優れることが分かる。発明品と、損傷形態が正常摩耗であった比較品とを比較すると、発明品の加工長は、4.9m以上であり、比較品の3.9mよりも加工長が長いことが分かる。この結果より、発明品の方が、比較品よりも工具寿命が長いことが分かる。
本発明の被覆工具は、耐摩耗性、耐剥離性および耐欠損性に優れ、従来の工具よりも寿命が長いので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された被覆層とを含む被覆工具であって、
    前記基材は、複数の硬質粒子と、前記複数の硬質粒子を結合する結合相とを含み、
    前記被覆層は、1つ又は複数の化合物層を含み、
    前記化合物層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Y、AlおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の非金属元素とを含む化合物の層であり、
    以下の手順(1)〜(6)によって求められるB/Aの値が、0.2以上0.5未満である、被覆工具。
    (1)前記基材の表面に垂直な断面を、前記基材の表面に平行な方向に基準長さSだけ抜き出す。
    (2)抜き出された断面において、前記被覆層に接している前記硬質粒子の断面の合計面積Aを求める。
    (3)前記被覆層と前記基材との境界面において、互いに隣接する硬質粒子の間に形成されている複数の境界部のうち、最も深い位置にある第1の境界部D1、及び、2番目に深い位置にある第2の境界部D2を決定する。
    (4)前記第1の境界部D1及び前記第2の境界部D2を通る線分Lを引く。
    (5)前記被覆層に接している前記硬質粒子の断面のうち、前記線分Lよりも被覆層側にある断面の合計面積Bを求める。
    (6)B/Aの値を求める。
  2. 前記基準長さSは、前記硬質粒子の平均粒径の5倍以上である、請求項1に記載の被覆工具。
  3. 前記被覆層は、複数の粒子を含み、
    前記被覆層に含まれる複数の粒子の個数基準の累積度数が50%となるときの粒径d50が、0.1μm以上0.2μm以下であり、
    前記被覆層に含まれる複数の粒子の個数基準の累積度数が80%となるときの粒径d80が、0.25μm以上0.45μm以下である、請求項1または請求項2に記載の被覆工具。
  4. 前記被覆層の平均厚さは、0.6μm以上15μm以下である、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の被覆工具。
  5. 前記基材に含まれる前記硬質粒子の平均粒径は、0.3μm以上5μm以下である、請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の被覆工具。
  6. 前記基材に含まれる前記硬質粒子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の非金属元素とを含む化合物の粒子である、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の被覆工具。
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