JPWO2015056757A1 - 樹脂組成物、ゴム組成物、および硬化物 - Google Patents

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Abstract

機械的強度、硬度、低発熱性を改善した樹脂組成物を開発し、特にゴム組成物に用いた場合に、60℃付近でのtanδ(損失正接)を低く抑えつつE'(貯蔵弾性率)を向上させ、かつ環境への負荷を低減することができるゴム組成物を提供する。樹脂組成物であって、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)またはカシュー樹脂(B')と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。一又は複数の実施形態において、該変性ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点が150℃以下であって、前記変性ノボラック型フェノール樹脂(B)が植物由来化合物で変性されたものである。

Description

本発明は、樹脂組成物、ゴム組成物、および硬化物に関するものである。
樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材(バイオマス)は、これまでその多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質の主要成分は、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体およびリグニン誘導体である。
このうち、約30%の割合で含まれるリグニンは、芳香環を豊富に含む構造を有しているため、樹脂原料として利用した樹脂組成物およびゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、リグニン誘導体は、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基を豊富に含む構造を有しているため、粘着性付与剤および酸化防止剤として利用した樹脂組成物およびゴム組成物が開示されており(例えば、特許文献3参照)、また、ゴム組成物の補強材としての性能も期待されている。
特表2011−522085号公報 特開2008−285626号公報 特表2012−229330号公報
しかしながら、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを含む黒液にリグニン誘導体を溶解し、該リグニン誘導体が溶解した黒液からリグニン誘導体を回収した場合、得られたリグニン誘導体は、配合した場合のゴム組成物の機械的強度が低下している。(例えば、特許文献1参照)。
また、フェノールと濃硫酸と処理して得られたフェノールを付加したリグノフェノールの場合、その硬化物において、硫酸イオンが多く残り、ゴム組成物の機械強度や長期信頼性が低下する恐れがあり、高温で硬化する時には変色することや、有害ガスが発生することがあった。また精製することも可能ではあるが、コストがかかりすぎる恐れがある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、特許文献2において、種々のリグノフェノール誘導体を用いた系が示されているが、ゴム組成物としての特性が十分でない。
またこれらのリグニンは熱溶融性に欠けることがあり、その場合ゴム練り中でうまく分散せず、ゴム組成物のゴム物性があまり向上しないことがあった(特許文献1、2参照)。
このように、リグニン誘導体、特にフェノールを付加したリグニン誘導体を使用したゴム組成物の硬化物においても、機械的強度、硬度、低発熱性が上がりにくく、また外観が損なわれたりするおそれがあった。
本発明は上記の課題を解決した機械的強度、硬度、低発熱性を改善した樹脂組成物を開発し、特にゴム組成物に用いた場合に、60℃付近でのtanδ(損失正接)を低く抑えつつE'(貯蔵弾性率)を向上させ、かつ環境への負荷を低減することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
(1)樹脂組成物であって、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)又はカシュー樹脂(B')とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)変性ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点が150℃以下である(1)記載の樹脂組成物。
(3)カシュー樹脂(B')の軟化点が150℃以下である(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記変性ノボラック型フェノール樹脂(B)が植物由来化合物で変性されたものである(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(5)前記植物由来化合物が、桐油、亜麻仁油、トール油、カシューオイルの少なくとも1つを含む(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(6)前記リグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものを含有する(1)に記載の樹脂組成物。
(7)前記リグニン誘導体(A)は、軟化点が160℃以下である(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(8)リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つと、天然ゴム化合物及び/またはジエン系合成ゴム化合物(D)とを含有することを特徴とするゴム組成物。
(9)前記リグニン誘導体(A)100重量部に対し、天然ゴム及び/またはジエン系合成ゴム(D)の含有量が100〜10000重量部である(8)に記載のゴム組成物。
(10)さらに、充填剤(C)を含有するものである(8)または(9)に記載のゴム組成物。
(11)前記充填剤(C)は、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものである、(8)ないし(10)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(12)(8)ないし(11)のいずれか1項に記載のゴム組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
本発明によれば、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つと、を含む樹脂組成物により、ゴム組成物の硬度を向上させ、60℃付近でのtanδを低く抑えつつ、かつリグニン特有の優れた破断時伸びと破断強度を保持し、さらには環境への負荷を低減することができるゴム組成物の提供が可能となる。
本発明の樹脂組成物は、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)及びカシュー樹脂(B')からなる群から選択される少なくとも1つと、を含む。本発明において用いられるリグニン誘導体とは、典型的には、高温や高温高圧条件の水存在下で一部が加水分解されたものである。本発明においては、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)を含む樹脂組成物を用いることにより、ゴム組成物の硬度を向上させつつ、破断時伸びと破断時強度を低下させず、tanδ、特に60℃付近のtanδを顕著に低減することが可能である。
また本発明においては、リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つと、天然ゴム化合物またはジエン系合成ゴム化合物(C)の少なくとも一方と、さらには充填材(D)も使用することができ、得られたゴム組成物の硬化物は60℃付近でのtanδ(損失正接)は低減されており、E'(貯蔵弾性率)は向上する。また、このようなゴム組成物の硬化物は、耐久性および低発熱性に優れたゴム組成物を製造することができる。
以下、樹脂組成物の各成分について順次説明する。
<リグニン誘導体(A)>
まず、リグニン誘導体(A)について説明する。リグニンは、セルロースおよびヘミセルロースとともに、植物体の骨格を形成する主要成分であり、かつ、自然界に最も豊富に存在する物質の1つである。リグニン誘導体は、フェノール誘導体を単位構造とする化合物であり、この単位構造は、化学的および生物学的に安定な炭素−炭素結合や炭素−酸素−炭素結合を有するため、化学的な劣化や生物的分解を受け難い。このため、リグニン誘導体は、樹脂原料として有用とされる。
本発明に用いられるリグニン誘導体(A)は、バイオマスを分解して得られたものである。バイオマスとは、植物または植物の加工品であるが、これらは光合成の過程で大気中の二酸化炭素を取り込み固定化してなるものであるため、大気中の二酸化炭素の増加抑制に寄与している。このため、バイオマスを工業的に利用することによって、地球温暖化の抑制に寄与することができる。
本発明で用いられるバイオマスを分解してリグニン誘導体(A)を得る処理方法としては、例えば、植物または植物加工品を、薬品処理する方法、加水分解処理する方法、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法、硫酸クレゾール法、パルプ製造法及びバイオ燃料製造法の副産物、などが挙げられる。環境負荷の点から、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法が好ましい。得られるリグニン誘導体の純度の点から、水蒸気爆砕法、亜臨界水処理法が更に好ましい。
リグニン誘導体(A)の具体例としては、下記式(1)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(2)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(3)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。なお、針葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造が、広葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造およびシリンギルプロパン構造が、草本類からは主にグアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造および4−ヒドロキシフェニルプロパン構造がそれぞれ抽出される。
Figure 2015056757
また、本発明におけるリグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているものが好ましい。このようなリグニン誘導体は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、水酸基での反応において立体障害が低減できることになるため、反応性に優れたものとなる。
ここでリグニン誘導体とは、リグニン骨格を有する化合物を主成分としつつ、リグニン分解物、セルロース分解物およびヘミセルロース分解物を含んでいてもよい。
また、リグニン誘導体(A)は、上記基本構造の他、リグニン誘導体に官能基を有するもの(リグニン二次誘導体)であってもよい。
リグニン二次誘導体が有する官能基としては、特に限定されないが、例えば2個以上の同じ官能基が互いに反応し得るもの、または他の官能基と反応し得るものが好適である。具体的には、エポキシ基、メチロール基の他、炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。このうち、メチロール基を導入した(メチロール化した)リグニン誘導体が好ましく用いられる。このようなリグニン二次誘導体は、メチロール基同士の自己縮合反応により自己架橋が生じるとともに、下記架橋剤中のアルコキシメチル基や水酸基に対してより架橋するものとなる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
また、本発明におけるリグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものが好ましく、300〜3000であるものがより好ましい。このような数平均分子量のリグニン誘導体は、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')との反応性(硬化性)が良く、また樹脂組成物とした後の成形後の強度に優れる。
前記ゲル浸透クロマトグラフィーによって分子量を測定する方法の一例について説明する。
本発明におけるリグニン誘導体を溶媒に溶解させ、測定サンプルを調製する。このときに用いられる溶媒は、リグニン誘導体を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定精度の観点から、例えば、テトラヒドロフランが好ましい。
次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続する。
このGPCシステムに、前記の測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)、および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定する。別途作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量の関係を示した検量線から、前記リグニン誘導体の数平均分子量を算出することができる。
検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンの分子量としては、特に限定されるものではないが、例えば、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)のものを用いることができる。
さらに、本発明におけるリグニン誘導体は、カルボキシル基を有することが好ましい。前記カルボキシル基を有する場合は、下記に記載する架橋剤と架橋することがあり、架橋点が増加することにより架橋密度を向上させることができるため、耐溶剤性に優れる。また架橋剤の触媒として作用することもあり、リグニン誘導体と架橋剤の架橋反応を促進させることが出来るため、耐溶剤性や硬化速度に優れる。
なお、上述したリグニン誘導体中がカルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基は、カルボキシル基に帰属する13C−NMR分析に供されたとき、172〜174ppmのピークの吸収の有無によって確認することができる。
本発明のリグニン誘導体の軟化点は、80〜160℃であることが好ましく、85〜150℃であるものがより好ましく、90〜130℃であることがさらに好ましい。軟化点が80℃を下回ると、熱溶融性、流動性がありすぎて成形時にバリが多く発生し、また樹脂組成物、及びゴム組成物にする際にハンドリング性が悪いため、製造時のロスが大きい事がある。また、軟化点が160℃を上回ると、熱溶融性、流動性が悪く、成形ができない事がある。軟化点は前記揮発成分量を一定範囲に制御することと、バイオマスの分解温度によってリグニン誘導体の平均分子量を制御することと、リグニン誘導体の一部を前記その他の樹脂成分に置き換えることによって変化させることができる。
前記軟化点を測定する方法はJIS K2207に準じて、環球式軟化点試験機(メルテック(株)製ASP−MG2型)を用いた。
本発明の樹脂組成物としてバイオマスを分解して得られたリグニン誘導体を用いた場合、低分子量の成分が多量に混入することがあり、加熱時の揮発分や臭気、軟化点の低下を引き起こすことがある。しかしこれらは、リグニン誘導体の加熱、乾燥等によって除去し、軟化点や臭気をコントロールすることが出来る。
<変性ノボラック型フェノール樹脂(B)及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')>
本発明において、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)は、芳香族構造または環状アルキル構造含有化合物で変性させたノボラック樹脂(以下、変性ノボラック樹脂という)を示す。
さらに詳しく述べると、変性ノボラック樹脂の限定されない具体例としては、(1)フェノール類、アルデヒド類及び変性化合物を反応したもの、(2)少なくとも異なる2種類のフェノール類とアルデヒド類とを反応させたもの、及び(3)フェノール以外のフェノール類とアルデヒド類を反応したものからなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。
本発明において、未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')は、変性させてないノボラック型フェノール樹脂を示す。未変性ノボラック型フェノール樹脂の具体例としては、フェノール又はクレゾールと、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドとを反応させた反応物が挙げられる。
前記フェノール類は、具体的には、フェノールやアルキルフェノールであって、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等の長鎖アルキルフェノール類などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
前記アルデヒド類としては、一又は複数の実施形態において、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラキシレンジメチルエーテル等が挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ポリオキシメチレン、アセトアルデヒド、パラキシレンジメチルエーテル、糖類、澱粉誘導体類及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせて使用することもできる。
前記変性化合物は、具体的には、二つ以上の水酸基を分子内に有するカテコール、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族構造を有する化合物、水酸基を有するナフトール等の多環芳香族構造を有する化合物、メラミン、テルペン類、フルフラール等のフラン樹脂、桐油、亜麻仁油等、カシューオイル、トール油等の植物由来成分等を指す。
前記変性化合物は、環境負荷を低減させられるという観点において植物由来の化合物であることが好ましく、具体的には、植物油である桐油、亜麻仁油、トール油、カシューオイルが好ましい。また植物油は長鎖アルキル基を持つ脂肪族酸やロジン系化合物を含むために、ゴムに配合した場合の、ゴムとの相溶性に優れている。同様に、カシューオイル類は長鎖のアルケニル基を有するフェノール化合物であるカルダノールやカルドールを含むので、フェノール樹脂の変性剤として使用したときに長鎖のアルキル基またはアルケニル基が存在するフェノール樹脂を得ることができる。そのため、ゴムに配合した場合、ゴムとの相溶性に優れており、弾性率を向上する等の効果がある。
カシューオイルは、カシューナッツから加熱抽出されたものであって、本発明に用いるカシューオイルは、未精製、精製カシューオイル、どちらも使用可能である。
また、一般的に市販されているカシューオイル、工業用のカシューオイルは脱炭酸されていることが多いが、脱炭酸の有無にかかわらず使用可能である。
また、カシューオイルとして、カシューオイルを蒸留して得られるカルダノール、カルドール、あるいはこれらの成分を単独または組み合わせて用いることもでき、この場合も本発明に含まれるものである。
次に、本発明の組成物で用いられる変性ノボラック樹脂の製造方法について説明する。
<変性ノボラック樹脂製造方法>
上記変性ノボラック樹脂を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、反応装置にフェノール類、植物油類、および酸性触媒を仕込み、還流条件下でアルデヒド類を逐次添加しながら反応させる方法、あるいは、反応装置に未変性のノボラック樹脂、酸性触媒を仕込み、還流条件下で植物油類を逐次添加しながら反応させる方法、などが挙げられる。
変性ノボラック樹脂を製造する際のフェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、0.3〜1.5が好ましく、特に0.6〜0.9が好ましい。反応モル比が上記下限値未満であると固形樹脂が得られない場合があり、上記上限値を超えると反応条件によってはゲル化することがある。
上記変性ノボラック樹脂において、植物油類による変性率としては特に限定されないが、変性ノボラック樹脂全体に対して、植物油類10〜70重量%を用いたものであることが好ましく、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜45重量%である。
変性率が上記下限値より少ないと、植物油類による変性の効果が充分に発現しないことがある。一方、上記上限値を越えると、変性ノボラック樹脂が固形化しにくく、取扱いが難しくなったり、反応が制御しにくくなりゲル化物を生成したりすることがある。
上記変性ノボラック樹脂を合成する際に用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類、蓚酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、有機ホスホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、蓚酸、または硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸などの硫酸またはスルホン酸系物質、リン酸、亜リン酸などのリン酸系物質が好ましく、これらの中でも蓚酸、硫酸またはスルホン酸系物質が好ましい。
上記酸性触媒の添加量は特に限定されないが、フェノール類100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲内が好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。
酸性触媒の添加量が上記下限値より少ないと、反応が十分に進行しないことがある。一方、上記上限値を越えると、反応モル比が高い場合と同様、反応条件によってはゲル化物を生成することがある。
上記変性ノボラック樹脂を合成する際には、反応溶媒を用いることができる。この反応溶媒としては特に限定されず、水、有機溶媒などを用いることができるが、通常は水が用いられる。また、アルデヒド類としてパラホルムアルデヒドを用いて反応溶媒を用いずに行ってもよい。有機溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記変性ノボラック樹脂の分子量としては特に限定されないが、数平均分子量で400〜5000であることが好ましく、より好ましくは500〜3000である。数平均分子量が上記範囲内であると、樹脂の取扱い性が良好である。数平均分子量が上記下限値を下回ると高粘度な粘凋の物質になったり、固形化しても夏期貯蔵時に固結する物質になったりすることがあり、取扱い性が低下することがある。また、上記上限値を上回ると溶剤類に溶解しにくくなったり、配合物との相溶性が低下したりすることがある。
なお、上記数平均分子量は、前記リグニン誘導体と同様の方法を用いて分析することが出来る。
本発明の樹脂組成物で用いられる変性ノボラック樹脂の形態としては特に限定されないが、微粉末状、もしくは粒状、ペレット状、ワニス状のものが考えられる。ゴムに混練する際のハンドリング性から、粒状、ペレット状を使うことが好ましい。
<カシュー樹脂(B’)>
本発明において、カシュー樹脂(B’)としては、例えば、側鎖に不飽和二重結合を有するカルダノールやカルドールを含む天然物であるカシューオイルもしくはその重合物、または、アルデヒド類や糖類で反応させた重合物等が挙げられる。前記カシュー樹脂(B’)は、一又は複数の実施形態において、カシュー類、カシュー類の重合物、カシュー類とアルデヒド類等が挙げられる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記リグニン誘導体(A)、及び、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)及びカシュー樹脂(B')からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴としているが、これら以外に、後述する充填剤(C)、架橋剤等を踏んでもよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、リグニン誘導体と変性ノボラックを混練する工程を含む。なお、必要に応じて、任意成分を予備混合した後に混練してもよい。また、充填剤、架橋剤、老化防止剤、およびその他の添加剤を含む場合も、その混練の順番は、特に限定されるものではない。
ここに、混練機としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール類などを挙げることができる。
また、混練するときには、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。また、樹脂組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として60〜98質量%程度とされ、好ましくは70〜95質量%程度とされる。
変性ノボラック樹脂とリグニンを混合するためには、上記の通り混練しても良いが、変性ノボラック樹脂を反応して得た後の反応器にリグニンを投入し、溶融混合しても良く、またリグニンをバイオマスより分解して得る場合は、分解後の反応器に変性ノボラック樹脂を投入して溶融混合させてもよい。
製造方法の一例としては、リグニン樹脂と変性ノボラックを、熱板、ミキサーやロールなどの混合機により混合して、混合樹脂として得ることが出来る。
<ゴム組成物>
本発明に記載した、樹脂組成物は、ゴム組成物としても使用することが可能である。この場合、ゴム組成物に関しては、前記のリグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つと、天然ゴム化合物またはジエン系合成ゴム化合物(D)とを含むことを特徴とする。
<天然ゴム化合物またはジエン系合成ゴム化合物(D)>
本発明において使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を例示でき、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に、耐外傷性、耐摩耗性、耐疲労特性および耐屈曲亀裂成長性等の特性に優れることから、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)のうち1種以上のゴムが好ましく、さらに、入手のしやすさの点で、天然ゴムおよび/またはブタジエンゴム(BR)がより好ましい。
スチレンブタジエンゴム(SBR)および/またはブタジエンゴム(BR)を配合する場合、SBRおよび/またはBRの含有率は、ゴム成分中で50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。SBRおよび/またはBRの含有率が50質量%以下である場合、ゴム成分中の石油資源比率を低く抑え、環境への負荷をより小さくすることができる。
本発明のゴム成分は、アルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む官能基含有天然ゴム(改質天然ゴム)および/または官能基含有ジエン系ゴムを含むことが出来る。天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムがこれらの官能基を含む場合、シリカやカーボンブラック等の充填剤(C)の表面と反応または相互作用してこれらの充填剤(C)の分散性が良好となる。
官能基含有天然ゴム(改質天然ゴム)および/または官能基含有ジエン系ゴムを含む場合は、アルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基は、官能基含有天然ゴム中または官能基含有ジエン系ゴム中に0.001〜80モル%の範囲内で含まれることが好ましい。官能基の含有量が0.001モル%以上であれば、上記のシリカやカーボンブラックの表面と反応または相互作用する効果が良好に得られ、80モル%以下であれば未加硫ゴム組成物の製造時の粘度上昇が抑えられ、加工性が良好となる。かかる官能基の含有量は、0.01〜50モル%の範囲内、さらに0.02〜25モル%の範囲内であることがより好ましい。
天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムにアルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有させる方法としては、たとえば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム開始剤を用いて重合されたスチレン−ブタジエン共重合体の重合末端に官能基を導入する方法や、天然ゴムあるいはジエン系ゴムをクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等の方法によりエポキシ化する方法等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分中の含有量が50〜100質量%の範囲内となるように天然ゴムおよび/または改質天然ゴム、またはスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)を含むことが好ましい。
上記の含有量が50質量%以上である場合、E’(貯蔵弾性率)の向上効果および60℃付近のtanδの低減効果が特に顕著に発現する。
なお、ゴム成分の100質量%を天然ゴムおよび/または改質天然ゴムが占めることが環境への負荷が小さい点で好ましいが、たとえば上記のスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等の他のゴムを組合せることによって、より高い耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が必要な場合、これらの性能を調整できる点で好都合である。
前記ゴム化合物(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、リグニン誘導体(A)と変性ノボラック型フェノール樹脂(B)の合計100質量部に対して、100重量部以上、10000質量部以下であるのが好ましく、200重量部以上、5000質量部以下であるのがより好ましく、300重量部以上、2000質量部以下であるのがさらに好ましい。前記ゴム化合物(B)の含有量が少なすぎる場合は、硬度が高くなりすぎて切断時の伸びが少なくなり、多すぎる場合は、補強効果が少なくなる。
(充填剤(C))
次に、充填剤(C)について説明する。
本発明においては、さらに充填剤(C)を用いても良い。
充填剤(C)としては、樹脂組成物またはゴム組成物において通常用いられるものを採用できる。充填剤(C)としては、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものを使用することが好ましく、特に無機充填剤が好ましい。特に、シリカおよびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。シリカを用いるとtanδの低減効果が良好に得られるが、特に本発明の樹脂組成物とシリカとを組合せて用いる場合、E’(貯蔵弾性率)の向上効果と60℃付近でのtanδの低減効果とが特に良好となる。
充填剤(C)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部の範囲内であることが好ましい。充填剤(C)の該含有量が10質量部以上である場合、タイヤ用ゴム組成物のE’(貯蔵弾性率)の向上効果が良好であり、該含有量が150質量部以下である場合、E’(貯蔵弾性率)が過度に上昇するおそれが少なく、ゴム組成物の調製 時の加工性が良好であるとともに、ゴム組成物中の充填剤(C)の分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸び等の低下、および70℃付近でのtanδの不必要な増大とそれによる燃費の悪化、を招くおそれが少ない。
充填剤(C)としてシリカが配合される場合、ゴム成分の100質量部に対して、シリカを10〜150質量部の範囲内、およびシランカップリング剤を該シリカの含有量に対して1〜20質量%の範囲内となるようにそれぞれ配合することが好ましい。タイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10質量部以上である場合、タイヤ用ゴム組成物のE’(貯蔵弾性率)の向上効果が良好であり、150質量部以下である場合、E’(貯蔵弾性率)が過度に上昇するおそれが少なく、タイヤ用ゴム組成物の調製時の加工性が良好である。また、ゴム組成物中のシリカの分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸びの低下、および70℃付近でのtanδの不必要な増大とそれによる燃費の悪化、を招くおそれを少なくできる。シリカの該含有量は、さらに20質量部以上、さらに30質量部以上であることがより好ましく、また、さらに100質量部以下、さらに80質量部以下であることが好ましい。
シリカとしては、従来ゴム補強用として慣用されているものが使用でき、たとえば乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等の中から適宜選択して用いることができる。特に、窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜600m2/gの範囲内、さらに40〜500m2/gの範囲内、さらに50〜450m2/gの範囲内であるものを用いることが好ましい。シリカのN2SAが20m2/g以上である場合タイヤ用ゴム組成物に対する補強効果が大きい点で好ましく、600m2/g以下である場合タイヤ用ゴム組成物中での該シリカの分散性が良好で、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤの使用時における発熱性の増大を防止できる点で好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、用途により、前記以外の充填剤(C)を含むことが出来る。充填剤(C)を添加する場合は、その充填剤(C)としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスのようなケイ酸塩、酸化チタン、アルミナのような酸化物、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような炭酸塩、酸化亜鉛、酸化マグネシウムのような酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムのような硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物等の粉末、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維片といった無機充填剤の他、木粉、パルプ粉砕粉、セルロースファイバー、布粉砕粉、熱硬化性樹脂硬化物粉、アラミド繊維、タルクのような有機充填剤等が挙げられる。
また、ゴム成分がエポキシ化天然ゴムを含む場合、シリカとゴム成分とが相互作用し易い点でも好ましい。
(架橋剤)
次に、架橋剤について説明する。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて架橋剤を添加することができる。架橋剤を添加する場合は、その架橋剤は、リグニン誘導体(A)、又は変性ノボラック型フェノール樹脂(B)カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つ、又はその両方と架橋し得るものであれば特に限定されないが、下記式(4)で表される化合物を含むものが好ましい。
Figure 2015056757
[式(4)中のZはメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CH2ORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
このような化合物を含むゴム組成物は、硬化後の機械的特性に優れるとともに、硬化物の耐久性および外観の向上に寄与する。これは、架橋剤中に含まれる上記式(4)で表される化合物が、多官能性の架橋点を形成し得るため、リグニン誘導体(A)を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。剛直な骨格によって硬化物の機械的特性および耐久性(耐煮沸性等)が向上するとともに、膨れや亀裂等の発生が抑制されるため硬化物の外観も向上することとなる。
また、−CH2ORは、前述したようにメラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のうちのいずれかに直接結合しているが、同一の窒素原子または炭素原子に2つ以上の「−CH2OR」が結合している場合、そのうちの少なくとも1つの「−CH2OR」が含む「R」はアルキル基であるのが好ましい。これにより、リグニン誘導体(A)を確実に架橋させることができる。
なお、本明細書においてメラミン残基とは、下記式(A)で表されるメラミン骨格を有する基のことをいう。
Figure 2015056757
また、本明細書において尿素残基とは、下記式(B)で表される尿素骨格を有する基のことをいう。
Figure 2015056757
また、本明細書においてグリコリル残基とは、下記式(C)で表されるグリコリル骨格を有する基のことをいう。
Figure 2015056757
また、本明細書においてイミダゾリジノン残基とは、下記式(D)で表されるイミダゾリジノン骨格を有する基のことをいう。
Figure 2015056757
また、本明細書において芳香環残基とは、芳香環(ベンゼン環)を有する基のことをいう。
また、上記式(4)で表される化合物としては、特に、下記式(5)〜(8)のうちのいずれかで表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体(A)中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応しリグニン誘導体(A)を確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 2015056757
[式(5)中、XはCH2ORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 2015056757
[式(6)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 2015056757
[式(7)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 2015056757
[式(8)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
また、上記式(5)で表される化合物としては、特に、下記式(9)または(10)で表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応しリグニン誘導体を特に確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、とりわけ均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 2015056757
[式(9)中、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 2015056757
[式(10)中、nは1〜3の整数を表す。]
また、上記架橋剤は、上記式(4)で表される化合物に代えて、またはこの化合物とともに、ヘミサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンのうちの少なくとも1種の化合物を含むものであってもよい。このような架橋剤を含む硬化物は、機械的強度に優れるとともに、耐久性および外観の高いものとなる。これは、ヘキサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンがリグニン誘導体(A)を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。
また、架橋剤には、上記化合物以外の架橋剤成分を含んでいてもよい。上記化合物以外の架橋剤成分としては、例えば、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ化グリセリン、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油のようなエポキシ樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのようなイソシアネート化合物、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラールのようなアルデヒド類、ポリオキシメチレンのようなアルデヒド源、レゾール型フェノール樹脂等の通常のフェノール樹脂で公知の架橋剤、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物等を挙げることができる。そして、架橋剤中における上記化合物の含有率は架橋反応前において80質量%以上であるのが好ましい。また、リグニン誘導体(A)100質量部に対して上記化合物は5〜120質量部であるのが好ましく、10〜100質量部であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、本発明の樹脂組成物および充填剤(C)に加え、軟化剤、粘着付与剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、硫黄その他の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸等、必要に応じた添加剤が適宜配合され得る。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含むものを使用することが可能である。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
本発明のゴム組成物は、さらに、ステアリン酸、酸化亜鉛等の、通常ゴム工業にて使用される配合剤を適宜配合することができる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明の製造方法は、必須成分である原料ゴムと、リグニンと変性ノボラックを混練する工程を含む。なお、必要に応じて、原料ゴムおよび任意成分を予備混合した後に混練してもよい。また、充填剤、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、およびその他の添加剤を含む場合も、その混練の順番は、特に限定されるものではない。
ここに、混練機としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール類などを挙げることができる。
また、混練するときには、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。また、ゴム組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として60〜98質量%程度とされ、好ましくは70〜95質量%程度とされる。
変性ノボラック樹脂とリグニンを混合するためには、上記の通り混練しても良いが、変性ノボラック樹脂を反応して得た後の反応器にリグニンを投入し、溶融混合しても良く、またリグニンをバイオマスより分解して得る場合は、分解後の反応器に変性ノボラック樹脂を投入して溶融混合させてもよい。
製造方法の一例を下記に示す。
(1)リグニン樹脂と変性ノボラック樹脂、カシュー樹脂及び未変性ノボラック型フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1つとを、熱板、ミキサーやロールなどの混合機により混合して、混合樹脂を得る。
(2)原料ゴムと、混合樹脂と、任意成分(加硫剤および加硫促進剤を除く)とを、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機により混練して、加硫系を含有していないゴム組成物を得る。ここに、混練条件(温度・時間)は混練機により異なる。
(3)上記(2)により得られたゴム組成物に、オープンロールなどのロール類や前記混練機を用いて加硫剤および加硫促進剤を添加し、再度混練して、加硫系を含有するゴム組成物を得る。
<ゴム組成物の硬化物の製造方法>
次に、ゴム組成物の硬化物を得る工程について説明する。ゴム組成物の硬化物は、ゴム組成物を成形することによって得ることができる。成形方法としては用途によって異なるため、特に限定されるものではないが、金型を用いて成形する場合は、作製したゴム組成物を、油圧プレスを備えた金型を用いて成形し、ゴム組成物の硬化物を得る。
本発明のゴム組成物をタイヤとして使用する場合、60℃付近でのtanδ(損失正接)を低く抑えつつE'(貯蔵弾性率)を向上させ、かつ環境への負荷を低減することができるタイヤ用ゴム組成物、および該タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤであって、たとえば転がり抵抗を増大させることなく操縦安定性を改善することが可能となる。
上述のように、本発明のゴム組成物は、一例としてタイヤとして使用することが可能である。本発明のゴム組成物をタイヤのトレッドに用いる場合は、通常の方法により製造される。すなわち、前記ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤのトレッド部の形状に押出し加工し、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り合わせて未加硫タイヤを成形する。該未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧してタイヤを得ることができる。
成形の温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましく、130〜230℃程度であるのがさらに好ましい。成形の温度が230℃を超えるである場合、ゴムの劣化の恐れがあり、また100℃未満の場合は成形が出来ない恐れがある。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
以下に、実施例および比較例において用いた各種原料について説明する。
天然ゴム:東知製RSS3
硬化剤:ヘキサメチレンテトラミン
カーボンブラック:三菱化学社製、HAF
シリカ:エボニック社製、Ultrasil VN3(BET比表面積:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニック社製、Si−69
酸化亜鉛:堺化学工業社製
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
硫黄:細井化学工業社製、微粉硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業社製、MSA−G
フェノール樹脂:住友ベークライト社製、PR−50731
カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製、PR−12686
トール変性ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製、PR−13349
(実施例1)
(1)リグニン誘導体の抽出
スギ木粉(60メッシュアンダー)100部と、純水からなる溶媒400部と、を混合し、これを1Lオートクレーブに導入した。そして内容物を300rpmで攪拌しながら、前処理として室温で15分間撹拌を行い、スギ木粉と溶媒とを十分になじませた後、300℃、10MPaで60分間処理して、スギ木粉を分解した。
次いで、得られた分解物を濾過し、濾別された固形成分を回収した。
次いで、得られた固形成分をアセトン250部に12時間浸漬した。これを濾過し、アセトン可溶成分を回収した。
次いで、前記アセトン可溶成分からアセトンを留去し、乾燥することで、リグニン誘導体(A)15.2部を得た。
(2)ゴム組成物の作製
リグニン誘導体50部、カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂50部を予め130℃熱板にて溶融混合して粉砕して混合樹脂を得た。得られた混合樹脂10部と天然ゴム化合物500部、カーボンブラック400部、樹脂架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン20部、加硫剤として硫黄10部、加硫促進助剤として酸化亜鉛10部、離型剤としてステアリン酸15部を、バンバリーミキサーを100℃加熱して混練し、ゴム組成物を得た。
(実施例2)
ゴム組成物の作製において、カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂に変えてトール変性ノボラック型フェノール樹脂50部を用いた以外は実施例1に同じ。
(実施例3)
リグニン誘導体の抽出において、スギ木粉と溶媒とを十分になじませた後、300℃、9MPaで10分間処理したこと以外は実施例1に同じ。
(実施例4)
ゴム組成物の作製において、リグニン誘導体60部及びカシュー変性ノボラック型フェノール樹脂40部を用いた以外は実施例1に同じ。
(実施例5)
リグニン誘導体の抽出において、溶媒に水33質量%とフェノール66部を用いたことと、ゴム組成物の作製においてリグニン誘導体75部及びカシュー変性ノボラック型フェノール樹脂25部を用いた以外は実施例3に同じ。
(実施例6)
リグニン誘導体の抽出において、スギ木粉と溶媒とを十分になじませた後、220℃、3MPaで10分間処理したこと以外は実施例1に同じ。
(実施例7)
リグニン誘導体の抽出において、溶媒が水50%+アセトン50%を用い、230℃、3MPaで60分間処理したこと以外は実施例1に同じ。
(実施例8)
リグニン誘導体の抽出において、200℃、2MPaで60分処理した以外は実施例7に同じ。
(実施例9)
リグニン誘導体の抽出において、原料に稲わらを用い、300℃、9MPaで30分処理した以外は実施例1に同じ。
(実施例10)
ゴム組成物の製造において、充填剤(C)にカーボンブラック280部、シリカ70部を用いて、さらにシリカカップリング剤を5部加えた以外は実施例3に同じ。
(比較例1)
天然ゴム化合物のみで、ゴム組成物を製造した。
(比較例2)
カシュー変性フェノール樹脂と天然ゴム化合物で、ゴム組成物を製造した。
(比較例3)
実施例1において、変性ノボラック型フェノール樹脂の代わりに、ノボラック型フェノール樹脂を用いた。
<ゴム組成物の評価>
上記実施例で得られた混合樹脂、また比較例のフェノール系樹脂の特性を確認するため、ゴム組成物を調製したので物性の評価を行った。
上記実施例で得られた各種ゴム組成物を油圧プレスにて160℃20分間加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(a)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠して、東洋精機社製ムーニー粘度計を用いムーニー粘度を測定した。
(b)硬度(タイプD)
JIS K 6253に準拠して、東洋精機社製デュロメーターを用い硬さ(タイプD)を測定した。
(c)切断時引張応力・切断時伸び/JIS K6251に準拠して、東洋精機社製ストログラフを用い、引張速度50mm/分で測定した。
(d)貯蔵弾性率、tanδ
TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置を用い、動的歪2%の条件下で、60℃における貯蔵弾性率とtanδを測定した。結果は比較例1のtanδの逆数を100とした場合の、他の実施例および比較例の値を算出した。ここで、tanδの逆数の値が大きいことは、粘弾性特性のtanδが小さいことを意味し、繰返し変形で発生する熱エネルギーを抑えることができ、タイヤ場合は、燃費性能を高めることができるものとなる。
表1から明らかなように、各実施例で得られたゴム組成物の硬化物は、繰返し変形で発生する熱エネルギーの低さの目安であるtanδ値の逆数に優れ、硬度の目安である貯蔵弾性率も低くなく、さらに、切断時引張応力および切断時伸びが高いものであった。特に切断時引張応力、及び切断時伸びは変性ノボラックを使用したものよりも高いものであった。本発明により、リグニン及び変性ノボラック樹脂を用いることで、上記の優れた特性が得られ、また天然由来成分で変性されたノボラックを用いることで、環境負荷が低減することが出来る。
Figure 2015056757
本発明のゴム組成物は、繰返し変形で発生する熱エネルギーが低く、優れた弾性率、切断時引張り応力および切断時伸びが要求される用途、特にタイヤ用途に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 樹脂組成物であって、
    リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)及びカシュー樹脂(B')からなる群から選択される少なくとも1つとを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 変性ノボラック型フェノール樹脂(B)の軟化点が150℃以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. カシュー樹脂(B')の軟化点が150℃以下である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記変性ノボラック型フェノール樹脂(B)が植物由来化合物で変性されたものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記植物由来化合物が、桐油、亜麻仁油、トール油、カシューオイルの少なくとも1つを含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記リグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものを含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記リグニン誘導体(A)は、軟化点が160℃以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  8. リグニン誘導体(A)と、変性ノボラック型フェノール樹脂(B)、カシュー樹脂(B')及び未変性ノボラック型フェノール樹脂(B'')からなる群から選択される少なくとも1つと、天然ゴム化合物及び/またはジエン系合成ゴム化合物(D)とを含有することを特徴とするゴム組成物。
  9. 前記リグニン誘導体(A)100重量部に対し、天然ゴム及び/またはジエン系合成ゴム(D)の含有量が100〜10000重量部である請求項8に記載のゴム組成物。
  10. さらに、充填剤(C)を含有するものである請求項8または9に記載のゴム組成物。
  11. 前記充填剤(C)は、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものである、請求項8ないし10のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  12. 請求項8ないし11のいずれか1項に記載のゴム組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
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