JPWO2015005145A1 - リチウムイオン二次電池用接着剤、リチウムイオン二次電池用セパレータ、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記接着剤が、粒子状重合体を含み、
前記粒子状重合体が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有し、
前記コア部が、電解液に対する膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体からなる、リチウムイオン二次電池用接着剤。
〔2〕 前記コア部の重合体のガラス転移温度が、0℃以上150℃以下であり、
前記シェル部の重合体のガラス転移温度が、50℃以上200℃以下である、〔1〕記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
〔3〕 前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体の粒子により構成されている、〔1〕又は〔2〕記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
〔4〕 さらに非導電性繊維を含み、
前記非導電性繊維の繊維径が0.01μm以上1μm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
〔5〕 セパレータと電極とを接着するための接着剤である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
〔6〕 セパレータ基材と接着層とを備え、
前記接着層が、粒子状重合体を含み、
前記粒子状重合体が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有し、
前記コア部が、電解液に対する膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体からなる、リチウムイオン二次電池用セパレータ。
〔7〕 前記セパレータ基材の表面に設けられた多孔膜を更に備え、
前記多孔膜の表面に、前記接着層が設けられている、〔6〕記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
〔8〕 前記接着層が、さらに非導電性繊維を含み、
前記非導電性繊維の繊維径が0.01μm以上1μm以下である、〔6〕又は〔7〕記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
〔9〕 正極、負極、電解液、及び、セパレータを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記セパレータが〔6〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータである、リチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、電解液中において電極との接着性に優れ、且つ、低温出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を実現できる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、低温出力特性に優れる。
本発明のリチウムイオン二次電池用接着剤(以下、適宜「接着剤」ということがある。)は、リチウムイオン二次電池を構成する部材同士を接着するための接着剤であって、粒子状重合体を含む。
図1は、粒子状重合体の例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、粒子状重合体100は、コア部110及びシェル部120を備えるコアシェル構造を有する。ここで、コア部110は、この粒子状重合体100においてシェル部120よりも内側にある部分である。また、シェル部120は、コア部110の外表面110Sを覆う部分であり、通常は粒子状重合体100において最も外にある部分である。ただし、シェル部120は、コア部110の外表面110Sの全体を覆っているのではなく、コア部110の外表面110Sを部分的に覆っている。
粒子状重合体のシェル部を構成する重合体は、電解液に膨潤する。このとき、例えば膨潤したシェル部の重合体が有する官能基が活性化して電池を構成する部材(例えば、セパレータ、電池等)の表面にある官能基と化学的又は電気的な相互作用を生じるなどの要因により、シェル部は電池を構成する部材と強固に接着できる。そのため、粒子状重合体を含む接着剤により、電池を構成する部材を電解液中において強力に接着することが可能となっているものと推察される。また、このような理由により、セパレータと電極との間に本発明に係る粒子状重合体を含む接着層を設けた場合に、電解液中においてそのセパレータと電極とを強力に接着することが可能になっているものと推察される。
リチウムイオン二次電池においてセパレータは、一般に、正極と負極との間に設けられる。ここで、従来、リチウムイオン二次電池が充放電をすると、電極活物質(特に、負極活物質)が膨張及び収縮を生じたり、電解液中にガスが発生したりするため、セパレータと電極との間に空隙を生じることがあった。
これらのような現象が生じると、正極と負極との距離が大きくなって電池の内部抵抗が大きくなったり、リチウムイオンと電極活物質との反応場が不均一になったりするので、低温出力特性が低下することがあった。
したがって、リチウムイオン二次電池において正極と負極との距離が大きくなり難いので、電池の内部抵抗を小さくでき、また、リチウムイオンと電極活物質との反応場が不均一になり難い。
リチウムイオン二次電池では、充放電を繰り返すと、例えば電解液及び添加剤の分解によりガスを生じることがある。また、前記のように、リチウムイオン二次電池では充放電により電極活物質の膨張及び収縮が生じることがある。そのため、リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返すと、セパレータと電極との間に空隙ができ、正極と負極との距離が次第に大きくなって、電池容量が低下することがあった。
これに対し、本発明に係る接着剤を用いて形成される接着層は、粒子状重合体を備えるため、前記のように電解液中におけるセパレータ及び電極との接着性に優れる。そのため、この接着層を備えるリチウムイオン二次電池では、充放電を繰り返してもセパレータと電極との間に空隙ができ難いので、電池容量が低下しにくい。これにより、優れた高温サイクル特性が実現できているものと推察される。
シェル部の重合体は、電解液に膨潤していない状態においては、通常、接着性を有さず、電解液に膨潤することにより始めて接着性を発現する。そのため、粒子状重合体は、電解液に膨潤していない状態において、通常、接着性を発現しない。このため、その粒子状重合体を含む接着層は電解液に膨潤していない状態では、通常、大きな接着性を発現しないので、その接着層を備える本発明のセパレータは、重ねてもブロッキングを生じ難いものと推察される。なお、粒子状重合体は電解液に膨潤していない状態であっても、一定温度以上(例えば60℃以上)に加熱されることにより、接着性を発現しうる。
コア部は、電解液に対して所定の膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、コア部の重合体の電解液に対する膨潤度は、通常5倍以上、好ましくは6倍以上、より好ましくは7倍以上であり、通常30倍以下、好ましくは25倍以下、より好ましくは20倍以下である。コア部の重合体の膨潤度を前記範囲に収めることにより、接着層のイオン拡散性を高めることができるので、リチウムイオン二次電池の低温出力特性を改善することができる。また、コア部の重合体の膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、通常は、低温出力特性を向上することができる。さらに、上限値以下にすることにより、電解液中での接着層の接着性を高めることができる。
まず、粒子状重合体のコア部の重合体を用意する。例えば、粒子状重合体の製造方法においてコア部を製造するために行うのと同様の工程を行うことにより得られた重合体を用意する。
その後、用意した重合体によりフィルムを作製する。例えば重合体が固体であれば、25℃、48時間の条件で重合体を乾燥した後、その重合体をフィルム状に成形して、厚み0.5mmのフィルムを作製する。また、例えば、重合体がラテックス等の溶液又は分散液である場合は、その溶液又は分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、25℃、48時間の条件で乾燥して、厚み0.5mmのフィルムを作製する。
こうして作製したフィルムを1cm角に裁断して、試験片を得る。この試験片の重量を測定し、W0とする。
また、この試験片を電解液に60℃で72時間浸漬し、その試験片を電解液から取り出す。取り出した試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬試験後の試験片の重量W1を測定する。
そして、これらの重量W0及びW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算する。
SP値は、Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook,2ndEd(CRCPress)で紹介される方法を用いて算出することができる。
また、有機化合物のSP値は、その有機化合物の分子構造から推算することが可能である。具体的には、SMILEの式からSP値を計算できるシミュレーションソフトウェア(例えば「HSPiP」(http=//www.hansen−solubility.com))を用いて計算しうる。また、このシミュレーションソフトウェアでは、Hansen SOLUBILITY PARAMETERS A User’s Handbook SecondEdition、Charles M.Hansenに記載の理論に基づき、求められている。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
シェル部は、電解液に対して、コア部の膨潤度よりも小さい所定の膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、シェル部の重合体の電解液に対する膨潤度は、通常1倍より大きく、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上、更に好ましくは1.2倍以上であり、また、通常4倍以下、好ましくは3.5倍以下、より好ましくは3倍以下である。シェル部の重合体の膨潤度を前記範囲に収めることにより、電解液中における接着層の接着性を高めることができる。そのため、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を小さくできるので、電池特性を良好に維持することができる。また、シェル部の重合体の膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、通常は、リチウムイオン二次電池の低温出力特性を良好にできる。さらに、上限値以下にすることにより、通常は、接着層の接着性を高めることができる。
まず、粒子状重合体のシェル部の重合体を用意する。例えば、粒子状重合体の製造方法において、コア部の製造に用いる単量体組成物の代わりにシェル部の製造に用いる単量体組成物を用いて、コア部の製造方法と同様にして重合体を製造する。
その後、コア部の重合体の膨潤度の測定方法と同様の方法で、シェル部の重合体によりフィルムを作製し、そのフィルムから試験片を得て、膨潤度Sを測定する。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
まず、粒子状重合体を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、包埋し、粒子状重合体を含有するブロック片を作製する。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ80nm〜200nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製する。その後、必要に応じて、例えば四酸化ルテニウム又は四酸化オスミウムを用いて測定用試料に染色処理を施す。
次に、この測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、粒子状重合体の断面構造を写真撮影する。電子顕微鏡の倍率は、粒子状重合体1個の断面が視野に入る倍率が好ましく、具体的には10,000倍程度が好ましい。
撮影された粒子状重合体の断面構造において、コア部の外表面に相当する周の長さD1、及び、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を測定する。そして、測定された長さD1及び長さD2を用いて、下記の(1)式により、その粒子状重合体のコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出する。
被覆割合Rc(%)=D2/D1×100 (1)
前記の被覆割合Rcを、20個以上の粒子状重合体について測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合とする。
前記の被覆割合Rcは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。市販の画像解析ソフトとして、例えば「AnalySIS Pro」(オリンパス株式会社製)を用いることができる。
粒子状重合体は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述したコア部及びシェル部以外に任意の構成要素を備えていてもよい。
例えば、コア部の内部に、コア部とは別の重合体で形成された部分を有していてもよい。具体例を挙げると、粒子状重合体をシード重合法で製造する場合に用いたシード粒子が、コア部の内部に残留していてもよい。
ただし、本発明の効果を顕著に発揮する観点からは、粒子状重合体はコア部及びシェル部のみを備えることが好ましい。
粒子状重合体の体積平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。粒子状重合体の体積平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着剤及び接着層における粒子状重合体の分散性を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、接着層の接着力を高めることができる。
接着剤における粒子状重合体の量は、接着層における粒子状重合体の割合が所定の範囲に収まるように設定することが好ましい。具体的には、接着層における粒子状重合体の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下、更に好ましくは98重量%以下、特に好ましくは96重量%以下である。粒子状重合体の量を前記範囲にすることにより、接着層の接着性を高め、かつ、イオン拡散性を高めることができる。
粒子状重合体は、例えば、コア部の重合体の単量体とシェル部の重合体の単量体とを用い、経時的にそれらの単量体の比率を変えて段階的に重合することにより、製造しうる。具体的には、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続した多段階乳化重合法及び多段階懸濁重合法によって得ることができる。
重合に際しては、常法に従って、乳化剤として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のノニオン性界面活性剤、又はオクタデシルアミン酢酸塩等のカチオン性界面活性剤を用いることができる。また、重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、キュメンパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物を用いることができる。
本発明の接着剤は、粒子状重合体に加えて、更に非導電性繊維を含むことが好ましい。非導電性繊維を含むことにより、通常は、下記の利点のうち1以上を得ることができる。
a.本発明の接着剤を用いて製造される接着層の、電解液中での膨れを抑制できる。
b.本発明の接着剤を用いて製造される接着層の、機械的強度を向上させられる。
c.リチウムイオン二次電池の低温出力特性を更に向上させることができる。
d.リチウムイオン二次電池の高温サイクル特性を更に良好にすることができる。
これらのような優れた効果が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者の検討によれば、以下のように推察される。ただし、以下に推察する理由により本発明は制限されるものではない。
接着剤が非導電性繊維を含む場合、通常、非導電性繊維同士の絡み合い、及び、非導電性繊維と粒子状重合体との絡み合いにより、接着層は変形を生じ難くなっている。そのため、接着層を電解質に浸漬したときに接着層中の重合体が膨潤しても、非導電性繊維が接着層の変形を抑制しようと働く。そのため、電解液中において、接着層は膨れ難くなっていると推察される。
接着剤が非導電性繊維を含む場合、通常、接着層中では、前記のように、非導電性繊維同士が絡み合ったり、非導電性繊維と粒子状重合体とが絡み合ったりしている。そのため、接着層の機械的強度が向上しているものと推察される。
セパレータと電極との間の接着層が電解液中で膨れると、電池の内部抵抗を上昇させて、リチウムイオン二次電池の低温出力特性の低下を招く可能性がある。
これに対し、接着剤が非導電性繊維を含む場合、通常、非導電性繊維の作用により、電解液中で接着層は膨れ難い。したがって、リチウムイオン二次電池において正極と負極との距離が大きくなり難いので、電池の内部抵抗を小さくできる。
また、接着層が膨れ難いと、セパレータと電極との間に空隙を生じ難くなるので、リチウムイオンと電極活物質との反応場が不均一になり難い。
接着剤が非導電性繊維を含む場合、通常、前記のように、電解液中でのリチウムの析出を抑制できる。そのため、充放電の繰り返しによる抵抗の増大が生じ難い。これにより、非導電性繊維を含む接着剤を用いた場合に、更に優れた高温サイクル特性が実現できているものと推察される。
本発明の接着剤は、粒子状重合体に加えて、更に接着層用バインダーを含むことが好ましい。接着層用バインダーを用いることにより、電解液に膨潤している状態及び膨潤していない状態の両方において粒子状重合体同士を接着させることができる。また、接着剤が非導電性繊維を含む場合、接着層用バインダーは、非導電性繊維同士、及び、粒子状重合体と非導電性繊維とを接着させることができる。そのため、接着層の形成を容易に行うことが可能となり、また、接着層の機械的強度を高めることが可能となる。
ここで、前記のガスの発生量は、充放電を繰り返したときのリチウムイオン二次電池のセルの体積変化により評価することができる。
また、アミド単量体及びアミド単量体単位は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、水を用いることが好ましい。粒子状重合体及び接着層用バインダーは通常は非水溶性であるので、溶媒として水を用いた場合には、粒子状重合体及び接着層用バインダーは水中において粒子状となって分散している。また、非導電性繊維は通常は非水溶性であるので、溶媒として水を用いた場合には、非導電性繊維は水中において繊維状となって分散している。
本発明の接着剤は、更に、非導電性粒子を含んでいてもよい。例えば、多孔膜が含みうる非導電性粒子として後述するものから選択される粒子を含んでいてもよい。通常、非導電性粒子は高い剛性を有するので、非導電性粒子を接着層が含むことにより、接着層の機械的強度を高めることができる。
本発明の接着剤は、更に、水溶性重合体を含みうる。接着剤において水溶性重合体は、通常は粘度調整剤として機能する。また、特に接着剤が溶媒として水を含む場合は、接着剤において、一部の水溶性重合体は溶媒中に遊離しているが、別の一部の水溶性重合体は粒子状重合体の表面に吸着する。これにより、粒子状重合体の表面が水溶性重合体の層で覆われるので、粒子状重合体の水中における分散性を向上させることができる。
本発明の接着剤は、上述した粒子状重合体、非導電性繊維、接着層用バインダー、溶媒、非導電性粒子及び水溶性重合体以外に、任意の成分を含みうる。このような任意の成分としては、電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものを用いうる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤は、通常、流体状のスラリー組成物となっている。また、本発明の接着剤において、その接着剤に含まれる各成分は、高い分散性を有する。そのため、本発明の接着剤の粘度は、通常、容易に低くできる。
接着剤の製造方法は、特に限定はされない。通常は、上述した各成分を混合することにより、接着剤が得られる。
各成分の混合順序には特に制限は無い。また、混合方法にも特に制限は無い。通常は、粒子を速やかに分散させるため、混合装置として分散機を用いて混合を行う。
本発明の接着剤は、リチウムイオン二次電池を構成する部材の接着に用いうる。例えば、セパレータと電極とを接着するために用いてもよく、集電体と電極活物質層とを接着するために用いてもよい。なかでも、セパレータと電極とを接着するために用いるために、本発明の接着剤を用いることが好ましい。この際、セパレータ基材からなるセパレータと電極とを接着する用途に本発明の接着剤を用いてもよい。なかでも、セパレータ基材及び多孔膜を備えるセパレータと電極とを備えるリチウムイオン二次電池において多孔膜と電極とを接着するために本発明の接着剤を用いることがより好ましい。
本発明の接着剤を適切な基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより、接着剤の固形分により形成された膜として、接着層を製造することができる。例えば、接着剤を基材上に塗布して当該接着剤の膜を得る工程と、必要に応じてその膜から乾燥によって水等の溶媒を除去する工程とを含む製造方法により、接着層を製造できる。
例えば、加熱処理を施してもよい。加熱処理により、重合体成分に含まれる熱架橋基を架橋させることができる。
本発明のセパレータは、セパレータ基材及び接着層を備える。接着層は、セパレータ基材の表面に他の層を介さず直接設けられていてもよく、セパレータ基材の表面に任意の層を介して間接的に設けられていてもよい。中でも、セパレータ基材の表面に多孔膜が設けられ、その多孔膜の表面に接着層が設けられていることが好ましい。この本発明のセパレータにおいては、接着層が本発明に係る粒子状重合体を含むので、電解液中において多孔膜と電極との接着性を向上させることができる。そのため、リチウムイオン二次電池の低温出力特性を向上させることができ、さらに通常は、高温サイクル特性を向上させることができる。また、接着層が非導電性繊維を含む場合、電解液中において接着層の膨れを抑制できるので、低温出力特性及び高温サイクル特性の更なる改善が期待できる。また、前記の接着層は電解液に膨潤していない状態においては、通常、接着性を発現しないので、巻き重ねられた場合でもブロッキングを生じ難く、ハンドリング性に優れる。
セパレータ基材としては、例えば、微細な孔を有する多孔性基材を用いうる。このようなセパレータ基材を用いることにより、二次電池において電池の充放電を妨げることなく短絡を防止することができる。中でも、セパレータ基材としては、有機材料により形成された多孔性基材を用いることが好ましい。有機材料により形成された多孔性基材は、電池内部の温度が高くなった場合に融解して細孔を塞ぐことにより、リチウムイオンの移動を防いて電流を遮断できるので、リチウムイオン二次電池の安全性を高めることができる。
多孔膜は、セパレータ基材の表面に設けられた多孔質の膜であり、セパレータ基材の片方の面だけに設けられていてもよく、両方の面に設けられていてもよい。この多孔膜は、非導電性粒子を含み、通常は更に多孔膜用バインダーを含む。このような多孔膜では、非導電性粒子が多孔膜用バインダーにより接着されていて、非導電性粒子同士の間の隙間が多孔膜の孔を構成している。また、多孔膜用バインダーは、多孔膜をセパレータ基材に接着させる機能を奏しうる。
非導電性粒子としては、電気化学的に安定な材料で形成された粒子を用いることが好ましく、無機粒子を用いてもよく、有機粒子を用いてもよい。
多孔膜用バインダーとしては、例えば、接着層用バインダーとして説明したものと同様の範囲から選択されるバインダーを用いうる。中でも、アミド単量体単位を含む重合体を用いると、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させることができるので、好ましい。また、多孔膜用バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
多孔膜は、非導電性粒子及び多孔膜用バインダーに加えて、水溶性重合体を含むことが好ましい。水溶性重合体は、多孔膜用スラリーにおいて通常は粘度調整剤として機能する。また、特に多孔膜用スラリーが溶媒として水を含む場合は、その多孔膜用スラリーにおいて、一部の水溶性重合体は溶媒中に遊離しているが、別の一部の水溶性重合体は非導電性粒子の表面に吸着する。これにより、非導電性粒子の表面が水溶性重合体の層で覆われるので、非導電性粒子の水中における分散性を向上させることができ、ひいては多孔膜における非導電性粒子の分散性を向上させることができる。さらに、水溶性重合体は、非導電性粒子同士を接着させる機能も奏しうる。
多孔膜は、上述した非導電性粒子、多孔膜用バインダー及び水溶性重合体以外に、任意の成分を含みうる。このような任意の成分としては、電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものを用いうる。任意の成分の例としては、接着剤が含みうる任意の成分として例示したものと同様の例が挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
多孔膜の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。多孔膜の厚みを前記範囲の下限値以上とすることにより、多孔膜の耐熱性を高くすることができる。また上限値以下とすることにより、多孔膜によるイオン伝導性の低下を抑制することができる。
多孔膜は、例えば、多孔膜の構成成分(即ち、非導電性粒子、多孔膜用バインダー、水溶性重合体及び任意の成分)を含む多孔膜用スラリーを用意し、この多孔膜用スラリーを適切な基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより、製造することができる。すなわち、多孔膜用スラリーを用意する工程と、多孔膜用スラリーを基材上に塗布して当該多孔膜用スラリーの膜を得る工程と、必要に応じてその膜から乾燥によって水等の溶媒を除去する工程とを含む製造方法により、多孔膜を製造できる。
また、乾燥方法としては、例えば、接着層の製造方法において例示した乾燥方法と同様の例が挙げられる。
例えば、金型プレス及びロールプレス等のプレス方法によって、多孔膜に加圧処理を施してもよい。加圧処理を施すことにより、基材と多孔膜との接着性を向上させることができる。ただし、多孔膜の空隙率を好ましい範囲に保つ観点では、圧力および加圧時間が過度に大きくならないように適切に制御することが好ましい。
また、残留水分除去のため、例えば真空乾燥やドライルーム内で乾燥することが好ましい。
さらに、例えば加熱処理することも好ましく、これにより重合体成分に含まれる熱架橋基を架橋させて、接着力を高めることができる。
本発明のセパレータは、セパレータ基材上に、直接又は多孔膜等の任意の層を介して、上述した接着層を備える。このようなセパレータは、例えば、セパレータ基材を基材として用いるか、又は、セパレータ基材及び任意の層を備える積層体を基材として用いて製造しうる。例えば、本発明のセパレータは、セパレータ基材及び多孔膜を備える積層体を用意し、この積層体を基材として用いて、その積層体の多孔膜上に上述した接着層の製造方法によって接着層を形成することにより、製造することができる。この際、接着層は、セパレータの片方の面だけに設けられていてもよく、両方の面に設けられていてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレータを備える。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、前記のセパレータとして、上述した本発明のセパレータを備える。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のセパレータを備えるので、低温出力特性に優れる。また、通常は、本発明のリチウムイオン二次電池は、高温サイクル特性に優れる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電極として正極及び負極を備える。リチウムイオン二次電池においては、電極とセパレータのセパレータ基材又は多孔膜との間には接着層があり、この接着層に含まれる粒子状重合体が電解液中において接着性を発現することによって、電極とセパレータとは強力に接着される。
集電体は、電気導電性を有し、且つ、電気化学的に耐久性のある材料を用いうる。通常、この集電体の材料としては、金属材料を用いる。その例を挙げると、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などが挙げられる。中でも、正極に用いる集電体としてはアルミニウムが好ましく、負極に用いる集電体としては銅が好ましい。また、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電極活物質層は、集電体上に設けられた層であり、電極活物質を含む。
リチウムイオン二次電池の電極活物質は、電解液中で電位をかけることにより可逆的にリチウムイオンを挿入又は放出できるものを用いうる。
また、例えば、鉄系酸化物を炭素源物質の存在下において還元焼成することで、炭素材料で覆われた複合材料を作製し、この複合材料を正極活物質として用いてもよい。鉄系酸化物は電気伝導性に乏しい傾向があるが、前記のような複合材料にすることにより、高性能な正極活物質として使用できる。
さらに、前記の化合物を部分的に元素置換したものを正極活物質として用いてもよい。
これらの正極活物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、前述の無機化合物と有機化合物との混合物を正極活物質として用いてもよい。
(i)ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体である、アクリル系軟質重合体;
(ii)ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;
(iii)ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系軟質重合体;
(iv)ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;
(v)液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;
(vi)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系軟質重合体;
(vii)ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;
(viii)フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体;
(ix)天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体;などが挙げられる。これらの中でも、ジエン系軟質重合体及びアクリル系軟質重合体が好ましい。また、これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、変性により官能基を導入したものであってもよい。
また、電極用バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電解液としては、粒子状重合体のコア部の重合体及びシェル部の重合体を、前述した所定の範囲の膨潤度で膨潤させられるものを用いうる。このような電解液としては、有機溶媒と、その有機溶媒に溶解した支持電解質とを含む有機電解液が好ましく用いうる。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述した負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
以下、第一群の実施例及び比較例について説明する。第一群の実施例及び比較例は、非導電性繊維を含まない接着剤についての実施例及び比較例である。
〔I−1.高温サイクル試験の前後でのセル体積変化の測定方法〕
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行った。この捲回型セルを流動パラフィンに浸漬し、セルの体積X0を測定した。
実施例及び比較例で製造した、正極及びセパレータを備える積層体、並びに、負極及びセパレータを備える積層体を、それぞれ10mm幅に切り出して、試験片を得た。この試験片を電解液中に温度60℃で3日間浸漬した。この際、電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとビニレンカーボネートの混合溶媒(体積混合比EC/DEC/VC=68.5/30/1.5;SP値12.7(cal/cm3)1/2)に、支持電解質としてLiPF6を溶媒に対し1mol/リットルの濃度で溶かしたものを用いた。
その後、試験片を取り出し、表面に付着した電解液を拭き取った。その後、この試験片を、電極(正極又は負極)の表面を下にして、電極の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、セパレータの一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を、正極及びセパレータを備える積層体並びに負極及びセパレータを備える積層体でそれぞれ3回、合計6回行い、応力の平均値を求めて、当該平均値をピール強度とした。
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。
実施例及び比較例で製造したセパレータを、幅5cm×長さ5cm、及び、幅4cm×長さ4cmにそれぞれ正方形に切って試験片を得た。これらを二枚重ね合わせたサンプル(未プレスの状態のサンプル)と、重ね合わせた後に40℃、10g/cm2の加圧下に置いたサンプル(プレスしたサンプル)とを作製した。これらのサンプルを、それぞれ24時間放置した。24時間放置後のサンプルにおいて、各サンプルのセパレータ同士の接着状態(ブロッキング状態)を目視で確認し、下記基準で評価した。
A:プレスしたサンプルにおいて、セパレータ同士がブロッキングしない。
B:プレスしたサンプルにおいて、セパレータ同士がブロッキングするが剥がれる。
C:プレスしたサンプルにおいて、セパレータ同士がブロッキングし剥がれない。
D:未プレスの状態のサンプルにおいて、セパレータ同士がブロッキングする。
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型のリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cの充電レートで5時間の充電の操作を行い、その時の電圧V0を測定した。その後、−10℃環境下で、1Cの放電レートにて放電の操作を行い、放電開始から15秒後の電圧V1を測定した。
電圧変化ΔVを、ΔV=V0−V1にて計算した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
実施例及び比較例においてコア部を構成する重合体を含む水分散液を製造した方法と同様にして、コア部を構成する重合体を含む水分散液を製造した。この水分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、25℃、48時間の条件で乾燥して、厚み0.5mmのフィルムを製造した。
また、前記の試験片を電解液に、60℃で72時間浸漬した。その後、試験片を電解液から取り出し、試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬試験後の試験片の重量W1を測定した。
これらの重量W0及びW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算した。
コア部の製造に用いる単量体組成物の代わりにシェル部の製造に用いる単量体組成物を用いたこと以外は実施例及び比較例において粒子状重合体を含む水分散液を製造した方法と同様にして、シェル部を形成する重合体からなる粒子状重合体を含む水分散液を製造した。試験片を製造するための水分散液として、このシェル部を形成する重合体からなる粒子状重合体を含む水分散液を用いたこと以外はコア部の重合体の膨潤度の測定方法と同様にして、シェル部の重合体の膨潤度Sを測定した。
粒子状重合体を、可視光硬化性樹脂(日本電子株式会社製「D−800」)に十分分散させた後、包埋し、粒子状重合体を含有するブロック片を作製した。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ100nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製した。その後、四酸化ルテニウムを用いて測定用試料に染色処理を施した。
被覆割合Rc(%)=D2/D1×100 (1)
前記の被覆割合Rcを、任意に選択した20個の粒子状重合体について測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合とした。
粒子状重合体の体積平均粒子径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(島津製作所社製「SALD−3100」)により測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径とした。
粒子状重合体のシェル部の平均厚みを、以下の手順で測定した。
シェル部が重合体の粒子により構成されている場合、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合の測定方法の項で説明したのと同様にして、透過型電子顕微鏡によって、粒子状重合体の断面構造を観察した。観察された粒子状重合体の断面構造から、シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定した。任意に選択した20個の粒子状重合体について、前記の方法でシェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定し、その最長径の平均値をシェル部の平均厚みとした。
実施例及び比較例で製造した800mAh捲回型セルのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cで4.35Vまで充電し0.1Cで2.75Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、60℃環境下で、前記と同様の条件で充放電の操作を1000サイクル繰り返した。その後、電池を分解して負極を取り出し、その負極における金属の析出を評価した。
負極における金属の析出は、ICP発光分光分析装置「SPS3000(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、負極中のコバルトの割合を重量基準で評価した。
負極中のコバルト重量が大きいほど、負極に金属析出が起こっていることを示す。
示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)を用い、測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/minで、常温常湿下で、DSC曲線を測定した。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/min/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移温度として求めた。
(I−1−1.多孔膜用バインダーの製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過流酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、重合性単量体として、ブチルアクリレート94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、N−メチロールアクリルアミド1部及びアクリルアミド1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、多孔膜用バインダーとしてアクリル重合体を含む水分散液を製造した。
得られたアクリル重合体の体積平均粒子径D50は0.36μm、ガラス転移温度は−45℃であった。
非導電性粒子としてアルミナ粒子(住友化学社製、製品名「AKP−3000」、体積平均粒子径D50=0.45μm、テトラポット状粒子)を用意した。
水溶性重合体として、エーテル化度0.8〜1.0のカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名「Daicel1220」)を用意した。この水溶性重合体の1%水溶液の粘度は、10mPa・s〜20mPa・sであった。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、コア部の製造に用いる単量体組成物として、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部;乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部;イオン交換水150部;並びに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になるまで重合を継続させることにより、コア部を構成する粒子状の重合体を含む水分散液を得た。
前記の粒子状重合体を含む水分散液を固形分相当で100部、接着層用バインダーとして多孔膜用バインダーとして製造した前記のアクリル重合体の水分散液を固形分相当で6部、及び、エーテル化度0.8〜1.0のカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名「Daicel1220」)0.5部を混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が20%になるように混合し、スラリー状の接着剤を得た。
ポリエチレン製の有機多孔基材(厚み16μm、ガーレー値210s/100cc)をセパレータ基材として用意した。用意したセパレータ基材の両面に、前記多孔膜用スラリーを塗布し、50℃で3分間乾燥させて、セパレータ基材の両面に多孔膜を形成した。多孔膜の1層当たりの厚みは、3μmであった。
次いで、各多孔膜の上に、上記のスラリー状の接着剤をスプレーコート法により塗布し、50℃で1分間乾燥させた。これにより、1層当たりの厚みが2μmの接着層を多孔膜上に設けて、セパレータを得た。このセパレータは、接着層、多孔膜、セパレータ基材、多孔膜及び接着層を、この順に備えていた。
このセパレータについて、上述した方法で、耐ブロッキング性の評価を行った。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33.5部、イタコン酸3.5部、スチレン62部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状バインダー(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状バインダーを含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。その後、加熱減圧蒸留によって前記の混合物から未反応単量体の除去を行い、30℃以下まで冷却して、所望の粒子状バインダーを含む水分散液を得た。
人造黒鉛(体積平均粒子径:15.6μm)100部、及び、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部混合し、さらにイオン交換水を加えて固形分濃度を68%に調製し、25℃で60分間混合した。こうして得られた混合液に、イオン交換水を加えて固形分濃度を62%に調製した後、さらに25℃15分間混合した。この混合液に、上記の粒子状バインダーを含む水分散液を固形分相当で1.5部入れ、さらにイオン交換水を加えて最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して、流動性の良い負極用スラリーを得た。
前記負極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極活物質層の厚みが80μmのプレス後の負極を得た。
正極活物質として体積平均粒子径12μmのLiCoO2を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、製品名「HS−100」)を2部、及び、正極用バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、製品名「#7208」)を固形分相当で2部混合し、これにN−メチルピロリドンを加えて全固形分濃度を70%にした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリーを得た。
前記正極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミニウム箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の正極原反を得た。このプレス前の正極原反をロールプレスで圧延して、正極を得た。
上記正極を直径13mmの円形に切り抜いて、円形の正極を得た。また、上記負極を直径14mmの円形に切り抜いて、円形の負極を得た。さらに、上記セパレータを直径18mmの円形に切り抜いて、円形のセパレータを得た。
プレス後の正極を49×5cm2に切り出した。切り出された正極の正極活物質層上に、55×5.5cm2に切り出したセパレータを配置した。さらに、プレス後の負極を50×5.2cm2の長方形に切り出し、この切り出された負極を前記セパレータの正極とは反対側に、負極活物質層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。これを捲回機によって捲回し、捲回体を得た。この捲回体を60℃0.5MPaでプレスし、扁平体とした。この扁平体を、電池の外装としてのアルミニウム包材外装で包み、電解液(溶媒:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5体積比、電解質:濃度1MのLiPF6)を空気が残らないように注入した。さらに、アルミニウム包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム外装を閉口した。これにより、800mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
こうして得られたリチウムイオン二次電池について、上述した方法で、高温サイクル試験の前後でのセル体積変化、高温サイクル特性、低温出力特性、及び、負極における金属の析出を評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を75.85部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を0.15部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を71.5部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を4.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を75.95部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を0.05部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりに、メタクリル酸メチル55部及び2−エチルヘキシルアクリレート20部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりにアクリロニトリル75部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりに、アクリロニトリル65部及び2−エチルヘキシルアクリレート10部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりにアクリロニトリル72部を用い、さらにエチレンジメタクリレートの量を4.0部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレン10部及びアクリロニトリル10部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレン5部及びアクリロニトリル15部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりにスチレンスルホン酸のナトリウム塩20部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレンスルホン酸のナトリウム塩15部及びアクリロニトリル5部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を72.5部に変更し、エチレンジメタクリレートを使用しなかった。
また、前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物として、スチレン20部に加えてエチレンジメタクリレート3.5部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を90部に変更した。
また、前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレンの量を5部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を52.5部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を3.5部に変更した。
また、前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレンの量を40部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−5)において、スラリー状の接着剤の塗布量を変更することにより、接着層の1層当たりの厚みを0.5μmに変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−5)において、スラリー状の接着剤の塗布量を変更することにより、接着層の1層当たりの厚みを4μmに変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−5)において、セパレータ基材をポリプロピレン製の有機多孔基材(厚み15μm、ガーレー値560s/100cc)に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−5)において、セパレータ基材をセルロース製の不職布(厚み25μm、ガーレー値0.03s/100cc)に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)において、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を2部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)において、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を0.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−4)において、スラリー状の接着剤に実施例I−1の多孔膜用スラリーに用いたのと同様のアルミナ粒子50部を混合した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−2)において、アルミナ粒子の代わりにポリスチレン粒子(体積平均粒子径0.45μm)を用いた。
また、前記工程(I−1−4)において、スラリー状の接着剤に、更に前記のポリスチレン粒子50部を添加した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレン19部及びメタクリル酸1部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−4)において、スラリー状の接着剤に、さらにレベリング剤としてポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ社製「SNウェット366」)を0.05部添加した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−4)において、スラリー状の接着剤に、さらにレベリング剤としてポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ社製「SNウェット366」)を1.0部添加した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−7)において、人造黒鉛100部の代わりに、人造黒鉛90部と珪素酸化物(信越化学社製「KSC−1064」)10部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−7)において、人造黒鉛100部の代わりに、人造黒鉛70部と珪素酸化物(信越化学社製「KSC−1064」)30部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部及びメタクリル酸4部の代わりに、アクリロニトリル79部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−5)において、接着剤の代わりにポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(濃度12重量%)を用いて、接着層の代わりに1層当たりの厚み2μmのポリフッ化ビニリデン層を多孔膜上に形成した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を70部に変更し、メタクリル酸の量を5部に変更し、エチレンジメタクリレートの代わりにアクリロニトリル25部を用いた。
また、前記工程(I−1−3)において、シェル部の製造に用いる単量体組成物を添加しなかった。
さらに、前記工程(I−1−4)において、スラリー状の接着剤に実施例I−1の多孔膜用スラリーに用いたのと同様のアルミナ粒子50部を混合した。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−4)において、前記の粒子状重合体の水分散液の代わりに、ポリスチレン粒子を含む水分散液(ポリスチレン粒子の体積平均粒子径45μm)100部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート60部、スチレン15部及びメタクリル酸5部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、メタクリル酸メチル50部、アクリロニトリル25部及びメタクリル酸5部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記工程(I−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、メタクリル酸メチル50部、2−エチルヘキシルアクリレート25部及びメタクリル酸5部を用いた。
また、前記工程(I−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりにアクリロニトリル20部を用いた。
以上の事項以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、コア部の製造に用いる単量体組成物として、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部;乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部;イオン交換水150部;並びに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になるまで重合を継続させることにより、粒子状の重合体を含む水分散液を得た。得られた粒子状の重合体は、実施例I−1に係るコア部を構成する粒子状の重合体と同様のものである。以下、この粒子状の重合体を、適宜、コア重合体と呼ぶ。
この混合分散液を、接着剤用の粒子状重合体の水分散液の代わりに用いたこと以外は実施例I−1と同様にして、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
前記の第一群の実施例及び比較例の構成及び結果を、下記の表に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。また、下記の表において、単量体の項において単量体の略称の隣に記載の数値は、その単量体の重量部を表す。
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PST:ポリスチレン
BA:ブチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
MAA:メタクリル酸
NMA:N−メチロールアクリルアミド
AAm:アクリルアミド
EDMA:エチレンジメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
Tg:ガラス転移温度
ST:スチレン
NaSS:スチレンスルホン酸のナトリウム塩
コアシェル比率:粒子状重合体の体積平均粒子径に対するシェル部の平均厚みの比率
MV:体積平均粒子径
被覆率:コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
第一群の実施例においては、電解液により膨潤した粒子状重合体を含む接着層により電極とセパレータの多孔膜とが強力に接着していることが確認された。これにより、本発明に係る接着剤により製造される接着層が、電解液中において電池を構成する部材に対して高い接着性を有することが確認された。
また、第一群の実施例においては、第一群の比較例よりも低い電圧変化ΔVが得られた。これにより、本発明に係るリチウムイオン二次電池が、低温出力特性に優れることが確認された。
以下、第二群の実施例及び比較例について説明する。第二群の実施例及び比較例は、非導電性繊維を含む接着剤についての実施例及び比較例である。
〔II−1.高温サイクル試験の前後でのセル体積変化の測定方法〕
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−1.高温サイクル試験の前後でのセル体積変化の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、充放電を1000サイクル繰り返す高温サイクル試験の前後でのセル体積変化率ΔXを測定した。このセル体積変化率ΔXの値が小さいほど、その電池内の接着層が膨れ難く、かつ、電極とセパレータ間に空隙が発生し難いこと示す。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−2.多孔膜と電極とのピール強度の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、ピール強度を測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−3.高温サイクル特性の評価方法〕の項で説明したのと同様の方法により、容量維持率ΔCを測定した。この容量維持率ΔCの値が高いほど、リチウムイオン二次電池の高温サイクル特性が優れ、電池が長寿命であることを示す。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−4.耐ブロッキング性の評価方法〕の項で説明したのと同様の方法により、セパレータ同士の接着状態(ブロッキング状態)を目視で確認して評価した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−5.低温出力特性の評価方法〕の項で説明したのと同様の方法により、電圧変化ΔVを測定した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−6.コア部の重合体の膨潤度の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、コア部の重合体の膨潤度S(倍)を測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−7.シェル部の重合体の膨潤度の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、シェル部の重合体の膨潤度Sを測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−8.粒子重合体のコア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合を測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−9.粒子状重合体の体積平均粒子径の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、粒子状重合体の体積平均粒子径を測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−10.コアシェル比率の測定方法〕の項で説明したのと同様の方法により、コアシェル比率を測定した。
第一群の実施例及び比較例に係る〔I−11.負極における金属の析出の評価方法〕の項で説明したのと同様の方法により、負極中のコバルトの割合を重量基準で評価した。
負極中のコバルト重量が大きいほど、負極に金属析出が起こっていることを示す。
(II−1−1.多孔膜用バインダーの製造)
実施例I−1の工程(I−1−1)と同様にして、多孔膜用バインダーとしてアクリル重合体を含む水分散液を製造した。
得られたアクリル重合体の体積平均粒子径D50は0.36μm、ガラス転移温度は−45℃であった。
実施例I−1の工程(I−1−2)と同様にして、多孔膜用スラリーを製造した。
実施例I−1の工程(I−1−3)と同様にして、粒子状重合体を含む水分散液を製造した。得られた粒子状重合体の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。得られた粒子重合体の断面を観察したところ、シェル部は重合体の粒子によって構成されていた。得られた粒子状重合体について、上述した方法で、コアシェル比率及びコア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合を測定した。
前記の粒子状重合体を含む水分散液を固形分相当で100部、非導電性繊維としてセルロース繊維(ダイセル社製「セリッシュKY−100G」、繊維径0.07μm)30部、接着層用バインダーとして多孔膜用バインダーとして製造した前記のアクリル重合体の水分散液を固形分相当で6部、及び、エーテル化度0.8〜1.0のカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名「Daicel1220」)0.5部を混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が20%になるように混合し、スラリー状の接着剤を得た。
前記の接着剤を用いて、実施例I−1の工程(I−1−5)と同様にして、セパレータを製造した。このセパレータについて、上述した方法で、耐ブロッキング性の評価を行った。
実施例I−1の工程(I−1−6)と同様にして、所望の粒子状バインダーを含む水分散液を得た。
実施例I−1の工程(I−1−7)と同様にして、負極用スラリーを得た。
実施例I−1の工程(I−1−8)と同様にして、負極を得た。
実施例I−1の工程(I−1−9)と同様にして、正極用スラリーを得た。
実施例I−1の工程(I−1−10)と同様にして、正極を得た。
実施例I−1の工程(I−1−11)と同様にして、正極及びセパレータを備える積層体、並びに、負極及びセパレータを備える積層体を得た。これらの積層体を用いて、上述した方法により、ピール強度を測定した。
実施例I−1の工程(I−1−12)と同様にして、捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
こうして得られたリチウムイオン二次電池について、上述した方法で、高温サイクル試験の前後でのセル体積変化、高温サイクル特性、低温出力特性、及び、負極における金属の析出を評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を75.85部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を0.15部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を71.5部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を4.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を75.95部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を0.05部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりに、メタクリル酸メチル55部及び2−エチルヘキシルアクリレート20部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりにアクリロニトリル75部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりに、アクリロニトリル65部及び2−エチルヘキシルアクリレート10部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部の代わりにアクリロニトリル72部を用い、さらにエチレンジメタクリレートの量を4.0部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレン10部及びアクリロニトリル10部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレン5部及びアクリロニトリル15部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりにスチレンスルホン酸のナトリウム塩20部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりに、スチレンスルホン酸のナトリウム塩15部及びアクリロニトリル5部を組み合わせて用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を72.5部に変更し、エチレンジメタクリレートを使用しなかった。
また、前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物として、スチレン20部に加えてエチレンジメタクリレート3.5部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を90部に変更した。
また、前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレンの量を5部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を52.5部に変更し、エチレンジメタクリレートの量を3.5部に変更した。
また、前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレンの量を40部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−5)において、スラリー状の接着剤の塗布量を変更することにより、接着層の1層当たりの厚みを0.5μmに変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−5)において、スラリー状の接着剤の塗布量を変更することにより、接着層の1層当たりの厚みを4μmに変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−4)において、粒子状重合体を含む水分散液の固形分100部に対する非導電性繊維の量を0.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−4)において、粒子状重合体を含む水分散液の固形分100部に対する非導電性繊維の量を95部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−5)において、セパレータ基材をポリプロピレン製の有機多孔基材(厚み15μm、ガーレー値560s/100cc)に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−5)において、セパレータ基材をセルロース製の不職布(厚み25μm、ガーレー値0.03s/100cc)に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−4)において、非導電性繊維としてダイセル社製「セリッシュKY−100G」の代わりに、セルロース繊維(スギノマシン社製「BiNFIs−セルロース」;繊維径0.02μm)を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)において、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を2部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)において、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を0.5部に変更した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−4)において、スラリー状の接着剤に実施例II−1の多孔膜用スラリーに用いたのと同様のアルミナ粒子50部を混合した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−2)において、アルミナ粒子の代わりにポリスチレン粒子(体積平均粒子径0.45μm)を用いた。
また、前記工程(II−1−4)において、スラリー状の接着剤に、更に前記のポリスチレン粒子50部を添加した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−5)において、接着剤の代わりにポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(濃度12重量%)を用いて、接着層の代わりに1層当たりの厚み2μmのポリフッ化ビニリデン層を多孔膜上に形成した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチルの量を70部に変更し、メタクリル酸の量を5部に変更し、エチレンジメタクリレートの代わりにアクリロニトリル25部を用いた。
また、前記工程(II−1−3)において、シェル部の製造に用いる単量体組成物を添加しなかった。
さらに、前記工程(II−1−4)において、スラリー状の接着剤に実施例II−1の多孔膜用スラリーに用いたのと同様のアルミナ粒子50部を混合した。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−4)において、前記の粒子状重合体の水分散液の代わりに、ポリスチレン粒子を含む水分散液(ポリスチレン粒子の体積平均粒子径45μm)100部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、2−エチルヘキシルアクリレート60部、スチレン15部及びメタクリル酸5部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、メタクリル酸メチル50部、アクリロニトリル25部及びメタクリル酸5部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記工程(II−1−3)に係るコア部の製造に用いる単量体組成物において、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸4部及びエチレンジメタクリレート1部の代わりに、メタクリル酸メチル50部、2−エチルヘキシルアクリレート25部及びメタクリル酸5部を用いた。
また、前記工程(II−1−3)に係るシェル部の製造に用いる単量体組成物において、スチレン20部の代わりにアクリロニトリル20部を用いた。
以上の事項以外は実施例II−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造し評価した。
前記の第二群の実施例及び比較例の構成及び結果を、下記の表に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。また、下記の表において、単量体の項において単量体の略称の隣に記載の数値は、その単量体の重量部を表す。
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PST:ポリスチレン
BA:ブチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
MAA:メタクリル酸
NMA:N−メチロールアクリルアミド
AAm:アクリルアミド
EDMA:エチレンジメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
ST:スチレン
Tg:ガラス転移温度
NaSS:スチレンスルホン酸のナトリウム塩
コアシェル比率:粒子状重合体の体積平均粒子径に対するシェル部の平均厚みの比率
被覆率:コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合
MV:体積平均粒子径
KY−100G:セルロース繊維(ダイセル社製「セリッシュKY−100G」)
BiNFIs:セルロース繊維(スギノマシン社製「BiNFIs−セルロース」)
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
上述した第二群の実施例及び比較例から分かるように、本発明の接着剤は電解液中において接着性に優れる。さらに、接着剤が非導電性繊維を含むことにより、その接着剤を用いて形成された接着層は電解液中で膨れ難い。したがって、本発明の接着剤によれば、低温出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を実現できる。
110 コア部
110S コア部の外表面
120 シェル部
Claims (9)
- リチウムイオン二次電池を構成する部材同士を接着するための接着剤であって、
前記接着剤が、粒子状重合体を含み、
前記粒子状重合体が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有し、
前記コア部が、電解液に対する膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体からなる、リチウムイオン二次電池用接着剤。 - 前記コア部の重合体のガラス転移温度が、0℃以上150℃以下であり、
前記シェル部の重合体のガラス転移温度が、50℃以上200℃以下である、請求項1記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。 - 前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体の粒子により構成されている、請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
- さらに非導電性繊維を含み、
前記非導電性繊維の繊維径が0.01μm以上1μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。 - セパレータと電極とを接着するための接着剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用接着剤。
- セパレータ基材と接着層とを備え、
前記接着層が、粒子状重合体を含み、
前記粒子状重合体が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有し、
前記コア部が、電解液に対する膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
前記シェル部が、電解液に対する膨潤度が1倍より大きく4倍以下の重合体からなる、リチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 前記セパレータ基材の表面に設けられた多孔膜を更に備え、
前記多孔膜の表面に、前記接着層が設けられている、請求項6記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 前記接着層が、さらに非導電性繊維を含み、
前記非導電性繊維の繊維径が0.01μm以上1μm以下である、請求項6又は7記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 正極、負極、電解液、及び、セパレータを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記セパレータが請求項6〜8のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータである、リチウムイオン二次電池。
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