JPWO2014185440A1 - 日除け用多層シート並びにそれを用いてなる日傘、テント天幕、タープ、幌、帽子およびパラソル - Google Patents

Abstract

本発明の課題は、従来の日除け素材の欠点を解決し、遮光性とともにクーリング効果に優れる日除け素材に最適な日除け用多層シートを提供することにある。上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも１層の合成樹脂フィルムと少なくとも１層の繊維布帛からなり、その合成樹脂フィルムが酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有する日除け用多層シートを提供する。繊維布帛として、酸化チタンを０．１質量％以上１０質量％以下の割合で含有する合成繊維からなる繊維布帛を用いることができる。

Description

本発明は、太陽光の遮断性に優れ、日傘やテント天幕などに好適に用いられる日除け用多層シートに関するものである。

近年、地球温暖化やオゾン層破壊に伴い、夏場の酷暑による熱中症の増加、太陽光に含まれる有害な紫外線（ＵＶ−Ｂ）の生態系への影響、および皮膚ガンや免疫機能の低下という人体への影響が問題視されており、これらの問題を解決するため、日傘やテント天幕などの日除け素材について、遮光性向上とこれに伴うクーリング効果の要望が高まっている。

従来、日傘には、黒色に染色された高密度織物繊維布帛が用いられてきたが、太陽光に含まれる紫外線、可視光線および赤外線を十分に遮断することができないという課題があった。

このため、傘布の表面に紫外線遮断および熱遮断の機能を持つ酸化チタンや黒色顔料等の機能剤を含む樹脂をコーティングした素材が用いられるようになってきている（特許文献１および特許文献２参照。）。また、傘布の裏面を暗色にすることにより、その通過した太陽光が地表で反射して傘布の裏面に入射した光を吸収する素材も提案されている（特許文献３参照。）。更に、太陽光に含まれる可視光線と紫外線を１００％遮断するように、内側凹部が黒色に着色された布を用いた日傘も提案されている（特許文献４参照。）。

また、テント天幕には、ゴム引布や塩化ビニルターポリン等のシートが一般的に用いられている。

特開２００７−３２５７５７号公報 特開２００８−１１５４８８号公報 特開２０１１−５６０７２号公報 実用新案登録第３１７６９２８号公報

しかしながら、特許文献１および特許文献２のコーティング素材では、樹脂のコーティング性を損なわないレベルに添加物の量を調整する必要があり膜厚も厚く出来ないため、完全に紫外線や赤外線をカットすることは難しく、十分なクーリング効果が得られていない。

また、特許文献３のように裏面を暗色にしても、紫外線や赤外線を完全にカットすることができていないため、十分なクーリング効果は得られていない。更に、特許文献４の太陽光に含まれる可視光線と紫外線を１００％遮断する布を用いた日傘においても、同特許文献４には、達成する構成や手段の詳細について記載が無く、実質的に布だけで太陽光を１００％遮断することは困難であり、当初目的は実現されていない。

また、テント天幕においても、現行素材は遮光性に劣るものであり、傘地同様に遮光性向上が求められている。

このように、近年の夏場の酷暑の問題により、日傘やテント天幕材などの日除け素材には、遮光性と遮光性に伴うクーリング効果の要望が高まっているにも関わらず、実質的にこの問題を解決できる素材が得られていないのが実情であった。

そこで、本発明の目的は、上記従来の日除け素材の欠点を解決し、遮光性とともにクーリング効果に優れる日除け素材に最適な日除け用多層シートを提供することにある。

上記の課題を解決するために、本発明の日除け用多層シートは、少なくとも１層の合成樹脂フィルムと少なくとも１層の繊維布帛からなり、前記合成樹脂フィルムが酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有することを特徴とする日除け用多層シートである。

本発明の日除け用多層シートの好ましい態様によれば、一方の表面が前記繊維布帛からなり、中層に前記合成樹脂フィルムを有し、他方の表面がカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムからなる。

本発明の日除け用多層シートの好ましい態様によれば、前記カーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムが、カーボンブラックを５質量％以上４０質量％以下の割合で含有する。

本発明の日除け用多層シートの好ましい態様によれば、前記繊維布帛が酸化チタンを０．１質量％以上１０質量％以下の割合で含有する合成繊維からなる。

本発明の日除け用多層シートの好ましい態様によれば、前記繊維布帛が織物であり、次式で与えられるカバーファクターが１３００以上２８００以下である。
カバーファクター＝Ａ×Ｄ_Ａ ^１／２＋Ｂ×Ｄ_Ｂ ^１／２
Ａ：織物のタテ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｂ：織物のヨコ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｄ_Ａ：タテ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）
Ｄ_Ｂ：ヨコ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）

本発明の日除け用多層シートは、太陽光の遮断性とこれに伴うクーリング性に優れており、日傘、テント天幕、タープ、幌（例えば、ベビーカーの幌や車両用幌など）、帽子、パラソルなどの日除け用品に幅広く利用可能である。

本発明によれば、太陽光の遮光性とともに遮光性に伴うクーリング効果に優れる日除け用多層シートを得ることができる。

本発明の日除け用多層シートは、酸化チタンを高い割合で含有する合成樹脂フィルムの効果で優れた遮光性を実現し、繊維布帛と張り合わせることにより、破れやすさなどの物性面が補強され、実用性が増すとともに、酸化チタンを含有する高密度織物や編物を使用することにより、更に遮光性が向上する。また、裏面にカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムを使用することにより、太陽光を更に遮断するばかりでなく、道路などで反射する下からの反射光も吸収することができ、従来成し得なかった優れた遮光性とクーリング効果を兼ね備えた日除け用多層シートを提供することができる。

図１は、本発明の一実施態様に係る日除け用多層シートの断面図である。 図２は、本発明の他の実施態様に係る日除け用多層シートの断面図である。

日除け素材に最適な本発明の日除け多層シートは、少なくとも１層の合成樹脂フィルムと繊維布帛からなり、前記の合成樹脂フィルムが酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有することが必要である。

図１は、本発明の一実施態様に係る日除け用多層シートの断面図である。図１において、日除け用多層シートは、繊維布帛１と、酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有する遮光性に優れる合成樹脂フィルム２が積層一体化されて構成されている。

本発明で用いられる合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂としては例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、ニトリルイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどから選ばれるゴム、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。

これらの合成樹脂には、必要に応じて、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、加工助剤、軟化剤、帯電防止剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、および着色剤などの各種添加剤を添加することもできる。

また、これらの合成樹脂には、酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で添加することが必要である。添加量が１０質量％未満では十分な遮光性が得られず、逆に７０質量％を超えると添加量が多すぎ、製膜性の低下や外観品位の悪化し、またフィルムが破けるなどの物性問題の原因となる。添加量は、好ましくは１５質量％以上６０質量％以下であり、より好ましくは２０質量％以上５０質量％以下である。

また、これらの合成樹脂には、酸化チタンのほかに、太陽光反射効果を有するアルミニウムなどの金属微粒子やアルミナなどこれらの化合物を添加しても良い。

本発明で用いられる合成樹脂フィルムの厚みは、用途によって適宜調整すれば良いが、一般的には、好ましくは１５〜２００μｍであり、より好ましくは５０〜１５０μｍである。合成樹脂フィルムの厚みが厚すぎると、製造コストが高くなり、合成樹脂フィルム自体および日除け用多層シート全体の質量も大きくなるという問題点が生じ、遮光層が薄過ぎると十分な遮光性が得られない傾向を示す。

また、日除け用多層シートは、合成樹脂フィルムだけでは、使用時の引っかかりにおける破けや、繰り返し使用での伸びによるワライの問題があり、繊維布帛と貼り合わせることが必要である。

用いられる繊維布帛の素材としては、例えば、綿やシルクなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、合成繊維マルチフィラメントを製編もしくは製織した繊維布帛を用いることができる。本発明では、耐久性と加工性に優れる合成繊維マルチフィラメントを用いることが好ましい。

合成マルチフィラメントとしては、例えば、ナイロン６やナイロン６６に代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメンチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維や、ポリ乳酸繊維等の生分解性繊維等の合成繊維が好ましく用いられる。

また、単繊維単位の断面形状としては、例えば、丸形、三角、八葉、扁平およびＹ型に代表される様々な異形断面糸も使用できる。さらに、種類の異なる、例えば粘度の異なるポリマーからなる芯鞘型またはサイドバイサイド型の複合糸も使用することができる。

本発明では、遮光性を向上させる目的で、酸化チタンを含有する合成繊維を用いることが好ましい態様である。酸化チタンの含有量は、好ましくは０．１質量％以上１０質量％以下の範囲である。含有量が１０％を超えると、紡糸性が悪化する他、タテスジ等の品位不良の原因となることがある。含有量は、より好ましくは１．０質量％以上８質量％以下である。また、合成繊維には、酸化チタンの他に、更に遮光性を向上させるアルミニウムなどの金属粒子やアルミナや酸化亜鉛などこれらの化合物を添加することができる。

また、本発明では、好ましくは仮撚加工糸を使用することができる。仮撚加工糸を用いて高密度に製織あるいは製編することにより、仮撚加工糸の持つ糸条の捲縮の効果で、遮光性がより向上する。

用いられる糸繊度（総繊度）も、用途によって、適切な繊維布帛の目付け（平米あたりの重さ）になるように選定することができる。例えば、傘地であれば、好ましくは２０デシテックス以上１８０デシテックス以下である。糸繊度（総繊度）が２０デシテックスより細いと十分な強力や遮光性が得にくく、１８０デシテックスを超えると繊維布帛が重くなる傾向を示す。糸繊度（総繊度）は、より好ましくは３０デシテックス以上１７０デシテックス以下である。単繊維繊度としては、０．５デシテックス以上、８デシテックス以下が好ましい。マルチフィラメントのフィラメント数としては、６本〜１４４本であることが好ましい。

更に、織物のカバーファクターは、遮光性を得るためには、１３００以上２８００以下であることが好ましい。より好ましくは１５００以上２６００以下である。

ここで言うカバーファクターは、次式で与えられるものである。

織物のカバーファクター＝Ａ×Ｄ_Ａ ^１／２＋Ｂ×Ｄ_Ｂ ^１／２
Ａ：織物のタテ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｂ：織物のヨコ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｄ_Ａ：タテ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）
Ｄ_Ｂ：ヨコ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）

また編地としては、ウエル方向の１インチ（２．５４ｃｍ）間のループの数とコース方向の１インチ間のループの数の積は、１０００以上９００００以下であることが好ましく、より好ましくは、２０００以上８０００以下である。

本発明で用いられる繊維布帛（織編物）において、これらの密度より小さいと、繊維布帛として粗く、効果的な遮光性が得られ難く、これらの密度より大きいと、繊維布帛が重くなる原因となる傾向を示す。

また、本発明の日除け素材に最適な日除け多層シートには、表面と中層に繊維布帛と酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有する合成樹脂フィルムを用いて、裏面にカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムを貼り合わせる多層構造とすることが好ましい。日除け多層シートの表面と中層に、繊維布帛と酸化チタンを含有する合成フィルムを用いることにより、前述のように高い遮光性が得られ、そして、日除け多層シートの裏面にカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムを使用することにより、更に遮光性が向上するばかりでなく、道路などで反射する下からの反射光も吸収することができ、日除け素材内の太陽光を極限まで少なくすることができる。

このカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムには、カーボンブラック等の黒色顔料を添加し含有させることが好ましい。カーボンブラック等の黒色顔料の含有量は、５質量％以上４０質量％以下とすることが好ましい。含有量が５質量％より少ないと、十分な太陽光の遮光性が得られず、下からの反射光に対しての十分な吸収性も得られないという傾向を示す。また、含有量が４０質量％を超えると、黒色顔料が多すぎ、製膜性が劣り、品質不良や破けなどの原因となる傾向がある。含有量は、好ましくは８質量％以上３０質量％以下である。

このカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムの厚みも、用途によって適宜調整することができるが、一般的には、好ましくは１５〜２００μｍであり、より好ましくは２０〜１５０μｍである。厚みが厚すぎると、製造コストが高くなる他、日除け多層シート全体の質量も大きくなり、厚みが薄すぎると十分な遮光性や反射光の吸収性が得られない原因となることがある。

図２は、本発明の他の実施態様に係る日除け用多層シートの断面図である。図２において、日除け用多層シートは、繊維布帛１と、酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有する遮光性に優れる合成樹脂フィルム２、および遮光性が優れているカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルム３が、積層一体化されて構成されている。

本発明の日除け素材に最適な日除け多層シートを製造する方法としては、繊維布帛１とポリウレタン系接着剤を用いて酸化チタン含有合成樹脂フィルム２、および遮光性が優れているカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルム３とをラミネート機を用いて積層一体化させる通常のラミネート方法を用いることができる。

本発明の日除け用多層シートは、遮光性とこれに伴うクーリング性に優れている。遮光性については、遮光率が９５％以上であることが好ましく、紫外線遮蔽率も９５％以上であることが好ましい。遮光率と紫外線遮蔽率が９５％より低いと、本発明で求められる際だった十分な遮光性が得られない。より好ましくは、遮光率は９７％以上であり、紫外線遮蔽率は９７％以上１００％以下である。

また、日除け用多層シートのクーリング性については、レフランプ法を用いたクーリング性評価で３１℃以下であることが好ましい。３１℃を超えると、本発明で求められる際だった十分なクーリング性が得られない。クーリング性は、より好ましくは３０℃以下である。

本発明の日除け用多層シートは、酸化チタンを高い割合で含有する合成樹脂フィルムの効果で優れた遮光性を実現し、繊維布帛と張り合わせることで、破れなどの物性面が補強され、実用性が増すとともに、酸化チタンを含有する高密度織物や編物を使用することで、更に遮光性が向上する。また、裏面にカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムを使用することで、太陽光を更に遮断するばかりでなく、道路などで反射する下からの反射光も吸収することができ、従来成し得なかった優れた遮光性とクーリング効果を達成することができる。

本発明の日除け用多層シートは、太陽光の遮断性とこれに伴うクーリング性に優れ、日傘、テント天幕、帽子、日除けタープやパラソル、ベビーカーの幌など日除け用品に幅広く利用可能である。

次に、本発明の日除け用多層シートについて実施例を挙げて、より具体的に説明する。

本発明の日除け用多層シートの物性や性能の測定および評価は、次の方法を用いて行った。

（１）カバーファクター
織物のカバーファクターは、次式に基づいて算出した。
繊維布帛（織物）のカバーファクター＝Ａ×Ｄ_Ａ ^１／２＋Ｂ×Ｄ_Ｂ ^１／２
Ａ：織物のタテ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｂ：織物のヨコ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
Ｄ_Ａ：タテ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）
Ｄ_Ｂ：ヨコ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）

（２）遮光率（％）
ＪＩＳ Ｌ１０５５ Ａ法（２００３年版）に準拠して、遮光率を測定した。

（３）紫外線遮蔽率（％）
紫外線遮蔽率試験方法は、紫外線カット素材の加工効果統一評価方法(日本化学繊維協会)に準じ測定した。分光光度計（株式会社島津製作所製ＵＶ−３６００、付属装置として、マルチパーパス大型試料室ＭＰＣ−３１００（積分球付）を用い、波長２８０〜４００ｎｍの透過率を測定し、これの積分値を求め、次式で算出した遮蔽率によって紫外線カットの効果を判定する。

遮蔽率（％）＝（１−透過率）×１００

（４）レフランプ法を用いたクーリング性
温度２０±２℃の試験室内において、黒画用紙の５ｍｍ上にスペーサを用いて試料を保持し、試料上部５０ｃｍからレフランプ（岩崎電気株式会社製アイランプ＜スポット＞ＰＲＳ１００Ｖ５００Ｗ）でランプ光を照射して、１５分後の黒画用紙裏面の表面温度をサーモカメラ（ＮＥＣ Ａｖｉｏ赤外線テクノロジー（株）製Ｈ２６３０、一般財団法人カケンテストセンター）で測定した。測定は生地の位置を入れ替えて４回測定し、そのデーターを平均した値を試験結果とした。

［実施例１］
総繊度５６デシテックス７２フィラメントのポリエステル仮撚加工糸をツイル組織で製織し、通常の染色加工工程、即ち、精練後、１３０℃の温度での液流染色と１６０℃の温度の仕上げ熱セット工程を経て、タテ糸の密度が１７６（本／２．５４ｃｍ）で、ヨコ糸の密度が１１８（本／２．５４ｃｍ）のカバーファクター２２００の織物を得た。

別に、合成樹脂フィルムを得る方法として、一般的な乾式の製造方法を用いた。即ち、ポリウレタン樹脂をジメチルホルムアミドなどの揮発性溶剤に溶融させ、０〜３質量％のシリカと４０質量％の酸化チタンを添加し、溶融させたポリウレタン樹脂を離型紙にコーティングして、１２０℃の温度で乾燥して溶剤を揮発させ、ポリウレタン樹脂フィルムを形成し、これを離型紙から剥がすことにより、酸化チタン含有量が４０質量％で、厚みが２０μｍの合成樹脂フィルムを作成した。

次に、ラミネート機を用いて、ポリウレタン系接着剤（ＤＩＣ株式会社製バーノックＤＮ−９５０）を用いて織物繊維布帛に合成樹脂フィルムを貼り合わせ、上面が織物生地で、下面が酸化チタン含有合成樹脂フィルムからなる２層シートを得た。

得られた２層シートの性能を測定、評価した結果、遮光率は９７％で、紫外線遮蔽率は９７％であり遮光性に優れており、クーリング性も２７．９℃と優れた性能を有していた。

［実施例２］
繊維布帛として、実施例１記載のカバーファクター２２００の織物生地を使用した。

合成樹脂フィルムとしては、実施例１記載の酸化チタン含有量４０質量％の合成樹脂フィルムの他に、酸化チタンの変わりに、全体の質量パーセントで３０％のカーボンブラックを添加し、厚み１８μｍの暗色のカーボンブラック含有合成樹脂フィルムを作成した。

次に、ラミネート機を用いて、実施例１記載の酸化チタン含有の合成樹脂フィルムと暗色のカーボンブラック含有合成樹脂フィルムとを貼り合わせ、ポリウレタン系接着剤（ＤＩＣ株式会社製バーノックＤＮ−９５０）を用いて織物繊維布帛にこれら合成樹脂フィルムを貼り合わせ、上面が織物生地、中層面が酸化チタン含有合成樹脂フィルム、下面が暗色のカーボンブラック含有の合成樹脂フィルムからなる３層シートを得た。

得られた３層シートの性能を測定、評価した結果、遮光率は１００％で、紫外線遮蔽率も９９％以上であり遮光性に優れており、クーリング性も２５．８℃と優れた性能を有していた。

［実施例３］
総繊度５６デシテックス４８フィラメントのフルダルポリエステル糸を平組織で製織し、通常の染色加工工程、即ち、精練後、１３０℃の温度での液流染色と１６０℃の温度の仕上げ熱セット工程を経て、タテ糸の密度が１６２（本／２．５４ｃｍ）で、ヨコ糸の密度が１１６（本／２．５４ｃｍ）のカバーファクター２０８０の織物を得た。

次に、ラミネート機を用いて、実施例２記載の酸化チタン含有の合成樹脂フィルムと暗色のカーボンブラック含有合成樹脂フィルムとを貼り合わせ、ポリウレタン系接着剤（ＤＩＣ株式会社製バーノックＤＮ−９５０）を用いて織物繊維布帛にこれら合成樹脂フィルムを貼り合わせ、上面が織物生地、中層面が酸化チタン含有合成樹脂フィルム、下面が暗色のカーボンブラック含有の合成樹脂フィルムからなる３層シートを得た。

得られた３層シートの性能を測定、評価した結果、遮光率は１００％で、紫外線遮蔽率も９９％以上であり遮光性に優れており、クーリング性も２８．５℃と優れた性能を有していた。

［比較例１］
実施例１の繊維布帛と、全体の質量パーセントで７％の酸化チタンを添加した合成樹脂フィルムを貼り合わせ、２層シートを得た。

得られた２層シートの性能を測定、評価した結果、遮光率は８９％で、紫外線遮蔽率は８８％であり、クーリング性も３２．１℃と、性能に劣ったものであった。

［比較例２］
実施例１の繊維布帛と、実施例２の全体の質量パーセントで３０％のカーボンブラックを添加した合成樹脂フィルムを貼り合わせ、２層シートを得た。

得られた２層シートの性能を測定、評価した結果、遮光率は９４％で、紫外線遮蔽率は９３％であり、クーリング性も３１．７℃と、性能に劣ったものであった。

本発明に係る日除け用多層シートは、日傘、テント天幕、帽子、日除けタープやパラソル、ベビーカーの幌など日除け用品に幅広く利用可能である。

１：繊維布帛
２：酸化チタンを含有する合成樹脂フィルム
３：カーボンブラックを含有する合成樹脂フィルム

Claims (11)

1. 少なくとも１層の合成樹脂フィルムと少なくとも１層の繊維布帛からなり、前記合成樹脂フィルムが酸化チタンを１０質量％以上７０質量％以下の割合で含有することを特徴とする日除け用多層シート。
2. 一方の表面が前記繊維布帛からなり、中層に前記合成樹脂フィルムを有し、他方の表面がカーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムからなる、請求項１に記載の日除け用多層シート。
3. 前記カーボンブラックを含有する合成樹脂フィルムが、カーボンブラックを５質量％以上４０質量％以下の割合で含有する、請求項２に記載の日除け用多層シート。
4. 前記繊維布帛が酸化チタンを０．１質量％以上１０質量％以下の割合で含有する合成繊維からなる、請求項１〜３のいずれかに記載の日除け用多層シート。
5. 前記繊維布帛が織物であり、次式で与えられるカバーファクターが１３００以上２８００以下である、請求項１〜４のいずれかに記載の日除け用多層シート。
   カバーファクター＝Ａ×Ｄ_Ａ ^１／２＋Ｂ×Ｄ_Ｂ ^１／２
   Ａ：織物のタテ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
   Ｂ：織物のヨコ糸密度（本／２．５４ｃｍ）
   Ｄ_Ａ：タテ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）
   Ｄ_Ｂ：ヨコ糸の総繊度（ｄｔｅｘ）
6. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを傘地とした日傘。
7. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを用いたテント天幕。
8. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを用いたタープ。
9. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを用いた幌。
10. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを用いた帽子。
11. 請求項１〜５のいずれかに記載の日除け用多層シートを用いたパラソル。

Images