JPWO2014178178A1 - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、透湿性が低く、かつ偏光子の厚みが薄くても偏光子の劣化が少ない偏光板を提供することである。本発明の偏光板は、厚み25μm未満の偏光子と、透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含む保護フィルムとを含み、前記透明基材層は、前記偏光子上に設けられており、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含み、前記保護フィルムの、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m2・day以下である。

Description

本発明は、偏光板および液晶表示装置に関する。
現在、スマートホンやタブレットなどの携帯型の液晶表示装置が広く普及している。これらの携帯型の液晶表示装置には、薄型化が求められている。
液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを有する。偏光板は、偏光子と、その液晶セル側に配置される位相差フィルム(F2またはF3)と、液晶セルとは反対側に配置される保護フィルム(F1またはF4)とを有しうる。
保護フィルム(F1またはF4)は、透明で複屈折性が小さく、鹸化処理により偏光子と接着させやすいことなどから、セルローストリアセテートフィルム(TAC)であることが望まれる。しかしながら、セルローストリアセテートフィルムは透湿度が高いことから、それを含む偏光板は、高温高湿下に曝された際に、該フィルムを透過した水分によって偏光子の寸法変化を生じやすかった。偏光子の寸法変化は、液晶表示装置の表示ムラの原因となりやすい。
透湿度が低い保護フィルムとして、例えば疎水性の高いノルボルネン系樹脂からなるフィルムが提案されている(特許文献1参照)。ノルボルネン系樹脂からなるフィルムは、透湿度が低く、湿度の変化は受けにくいものの;偏光子との接着性が不十分であったり、ハードコート層や防眩層などを積層した後にフィルム表面にクラックが入ったりするという不具合があった。
また、セルローストリアセテートを主成分とする透明基材フィルムと、低透湿層として塩化ビニリデン系重合体を含有する層または層状無機化合物を含有する層とを含む保護フィルムなどが提案されている(特許文献2および3参照)。これらの保護フィルムはいずれも透湿度が低いことから、透過水分による偏光子の寸法変化と、それによる表示ムラ(パネルベンドによるムラ)を抑制できるとされている。
特開平10−101907号公報 特開2008−249902号公報 特開2008−158483号公報
しかしながら、特許文献2および3に示されるような低透湿層を有するセルローストリアセテートフィルムは、偏光度が低下しやすい(偏光子が劣化しやすい)という問題があった。その理由は必ずしも明らかではないものの、以下のように推測される。
即ち、低透湿層が設けられたセルロースエステルフィルムでは、既にフィルムに含まれる水分が抜けにくく、滞留しやすい。このとき、セルロースエステルフィルムに、例えば可塑剤としてリン酸エステル化合物が含まれていると、滞留した水分によってセルロースエステルが加水分解しやすく、酸を生成しやすい。生成した酸は、偏光子内のヨウ素の配向乱れを生じやすく、偏光子の偏光度を低下させやすい。
特に、偏光子の厚みが薄いものほど、偏光子の厚み全体がヨウ素で染色されており、かつ酸が偏光子の厚み全体に浸透しやすいため、ヨウ素の配向乱れが生じやすく、偏光度の低下が顕著になりやすい。また、偏光子の厚みが薄いものほど、偏光子原反の厚みも薄くする傾向がある。厚みの薄い偏光子原反は、延伸により破断を生じやすく、延伸倍率を高くすることができないことから、ヨウ素の配向が乱れやすく、偏光度の低下が顕著になりやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透湿性が低く、かつ偏光子の厚みが薄くても偏光子の劣化が少ない偏光板を提供することを目的とする。
[1] 厚み25μm未満の偏光子と、透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含む保護フィルムとを含み、前記透明基材層は、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含み、前記保護フィルムの、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、偏光板。
[2] 前記保護フィルムの前記透明基材層が、前記偏光子と対向している、[1]に記載の偏光板。
[3] 前記偏光子の厚みが2〜15μmである、[1]または[2]に記載の偏光板。
[4] 前記透明基材層が、リン酸エステル化合物を実質的に含まない、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板。
[5] 前記糖エステル化合物は、水酸基の少なくとも一つが、ベンゾイル基を含むアシル基で置換されたピラノース構造単位とフラノース構造単位の一方または両方を1〜3個有する化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光板。
[6] 前記透明基材層の厚みが、10〜70μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光板。
[7] 前記被覆層の、厚み5μmにおける40℃90%RHにおける透湿度が10〜200g/m・dayである、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板。
[8] 前記被覆層が、塩化ビニル樹脂を含む層である、[1]〜[7]のいずれかに記載の偏光板。
[9] 前記偏光子と前記透明基材層とは、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を介して接着されている、[1]〜[8]のいずれかに記載の偏光板。
[10] 前記被覆層上に配置されたハードコート層をさらに含む、[2]に記載の偏光板。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の偏光板を含む、液晶表示装置。
[12] 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の視認側の面に配置された保護フィルムF1とを含み、前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子の前記バックライト側の面に配置された保護フィルムF4とを含み;前記第一の偏光子の厚みが25μm未満であり、かつ前記保護フィルムF1が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下であるか、または前記第二の偏光子の厚みが25μm未満であり、かつ前記保護フィルムF4が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、液晶表示装置。
[13] 前記第一の偏光子の厚みが25μm未満であり、前記保護フィルムF1が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下であり;かつ前記第二の偏光子の厚みが25μm未満であり、前記保護フィルムF4が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、[12]に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、透湿性が低く、かつ偏光子の厚みが薄くても偏光子の劣化が少ない偏光板を提供することができる。
保護フィルムの層構成の一例を示す模式図である。 液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。
1.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、その少なくとも一方の面に配置された保護フィルムとを含む。
(1)偏光子について
偏光子は、ヨウ素系偏光膜、または二色染料を用いた染料系偏光膜でありうる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色して得られたフィルムであってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。
二色性染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素等が含まれる。
偏光子の厚さは、25μm未満であることが好ましく、2〜15μmの範囲であることがより好ましく、2〜10μmの範囲であることがさらに好ましい。熱や湿度の影響による偏光子の寸法変化を低減し、表示装置のパネルベンドによる表示ムラを低減するためである。
前述のように、環境湿度の変化により生じる偏光子の寸法変化を抑制するためには、保護フィルムであるセルロースエステルフィルムの透湿性を下げること;例えばセルロースエステルフィルム上に低透湿層を設けることが有効と考えられる。
しかしながら、低透湿層を有するセルロースエステルフィルムは、偏光度が低下しやすい(偏光子が劣化しやすい)という問題があった。その理由は必ずしも明らかではないものの以下のように推測される。
即ち、低透湿層が設けられたセルロースエステルフィルムでは、既に取り込まれた水分が抜けにくく、フィルム内に水分が滞留しやすい。このとき、セルロースエステルフィルムに例えば可塑剤としてリン酸エステル化合物が含まれていると、滞留した水分によるセルロースエステルの加水分解が生じやすく、酸を生成しやすい。生成した酸は、偏光子におけるヨウ素の配向乱れを生じやすく、偏光子の偏光度を低下させやすい。ヨウ素の配向乱れは、例えばポリビニルアルコールとヨウ素のホウ酸架橋が酸によってかい離することによって生じうる。
ホウ酸架橋のかい離による偏光度の低下は、偏光子の厚みが薄いものほど、偏光子の厚み全体がヨウ素で染色され、かつ酸が偏光子の厚み全体に浸透しやすいため、顕著になりやすい。また、偏光子の厚みが薄いものほど、偏光子原反を薄くする必要がある。厚みの薄い偏光子原反は破断を生じやすく、延伸倍率を高くすることができないため、ヨウ素の配向が乱れやすく、偏光度の低下が顕著になりやすい。
そこで本発明では、セルロースエステルフィルム(透明基材層)に含まれる可塑剤が、フィルム内に滞留する水分によってセルロースエステルの加水分解を生じさせないようなものであることが好ましい。具体的には、糖エステル化合物またはポリエステル化合物を含むことが好ましい。
即ち、本発明の偏光板を構成する保護フィルム(F1、F4)は、セルロースエステルを主成分とする透明基材層と、被覆層とを含む。そして、透明基材層が、可塑剤として糖エステル化合物またはポリエステル化合物を含むことが好ましく、リン酸エステル化合物を含まないことが好ましい。
(2)保護フィルム(F1、F4)について
前述の通り、保護フィルムは、透明基材層と、被覆層とを含む。この保護フィルムは、液晶表示装置において最も視認側の保護フィルム(F1)または最もバックライト側の保護フィルム(F4)として好ましく用いられる。
2−1)透明基材層
透明基材層は、セルロースエステルを主成分として含み、糖エステル化合物またはポリエステル化合物、好ましくは糖エステル化合物をさらに含む。前述の通り、透明基材層は、リン酸エステル化合物を実質的に含まないことが好ましい。「リン酸エステル化合物を実質的に含まない」とは、リン酸エステル化合物の含有量が透明基材層全体に対して例えば2質量%以下、好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0質量%であることを意味する。
(セルロースエステル)
セルロースエステルは、セルロースと、炭素原子数2〜22の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸の少なくとも一方とをエステル化反応させて得られる化合物である。
セルロースエステルの例には、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが含まれる。なかでも、位相差発現性の低いものが好ましく、セルローストリアセテートが好ましい。
セルロースエステルのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0程度であり、好ましくは2.5〜2.95、より好ましくは2.6〜2.9、さらに好ましくは2.8〜2.91である。位相差発現性を低くするためには、アシル基の総置換度は高くすることが好ましい。
セルロースエステルに含まれるアシル基の炭素原子数は、2〜7であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。良好な耐熱性を得るためなどから、セルロースエステルに含まれるアシル基は、アセチル基を含むことが好ましい。炭素原子数3以上のアシル基の置換度は、例えば0.9以下とすることができ、0であることがより好ましい。
セルロースエステルのアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法で測定することができる。
セルロースエステルの重量平均分子量は、一定以上の機械的強度を得るためには、5.0×10〜5.0×10であることが好ましく、1.0×10〜3.0×10であることがより好ましく、1.5×10〜2.8×10であることがさらに好ましい。
セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.0〜4.5であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。測定条件は、以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
(糖エステル化合物)
糖エステル化合物は、糖に含まれる水酸基とモノカルボン酸とを反応させて得られる化合物である。即ち、糖エステル化合物は、糖由来の構造と、(糖に含まれる)水酸基とモノカルボン酸との反応物由来のアシル基とを含む。
糖エステル化合物に含まれる糖由来の構造は、フラノース構造とピラノース構造の一方または両方が1〜12個結合した構造であることが好ましく;フラノース構造とピラノース構造の一方または両方が1〜3個、好ましくは2個結合した構造であることが好ましい。なかでも、ピラノース構造とフラノース構造の両方を含むものが好ましい。
糖由来の構造の例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロースおよびアラビノースなどの単糖;ラクトース、スクロース、マルチトール、セロビオース、マルトースなどの二糖;セロトリオース、ラフィノースなどの三糖などに由来する構造が含まれる。
糖エステル化合物に含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族基アシル基であってもよい。
脂肪族アシル基の炭素原子数は1〜22、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8でありうる。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基などが含まれる。芳香族アシル基の例には、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基が含まれる。
中でも、糖エステル化合物に含まれるアシル基は、透明基材層の疎水性を高めたり、硬度を高めたり、セルロースエステルとの相溶性を高めるためなどから少なくともベンゾイル基を含むことが好ましい。糖エステル化合物に含まれる複数のアシル基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
糖エステル化合物において、アシル基で置換されていない未反応の水酸基は、通常、そのまま水酸基として残っていてもよい。
糖エステル化合物は、アシル基の種類が同一で、かつ置換度が異なる複数の糖エステル化合物の混合物でありうる。そのような混合物は、無置換体が含まれていてもよい。上記混合物における平均エステル置換率は、62〜94%であることが好ましい。上記混合物における平均エステル置換率は、下記式で定義されうる。
平均エステル置換率=100%×(混合物中の各糖エステル化合物の含有率)×(混合物中の各糖エステル化合物一分子中のエステル化されたOHの数)/(無置換糖の一分子中のOHの総数)
糖エステル化合物の具体例には、以下のものが含まれる。
Figure 2014178178
Figure 2014178178
Figure 2014178178
糖エステル化合物の数平均分子量は、好ましくは200〜3500、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは250〜2000としうる。
透明基材層における糖エステル化合物の含有量は、セルロースエステルに対して2〜25質量%程度とすることができ、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%程度としうる。
(ポリエステル化合物)
ポリエステル化合物は、ジカルボン酸とジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含む。
ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸でありうる。脂肪族ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。脂肪族ジカルボン酸の例には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれる。
芳香族ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは8〜12である。芳香族ジカルボン酸の例には、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸)、1,4−ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−キシリデンジカルボン酸等が含まれる。
脂環式ジカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜12である。脂環式ジカルボン酸の例には、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸等が含まれる。
ポリエステル化合物を得るためのジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上あってもよい。ポリエステル化合物を得るためのジカルボン酸は、透明基材層の疎水性を高めたり、セルロースエステルとの相溶性を高めたりするためなどから、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の両方を含むことがより好ましい。芳香族ジカルボン酸は、1,4−ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)が特に好ましい。
ジオールは、脂肪族ジオール、アルキルエーテルジオール、脂環式ジオールまたは芳香族ジオールでありうる。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、および1,12−オクタデカンジオールなどが含まれる。アルキルエーテルジオールの炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。アルキルエーテルジオールの例には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールなどが含まれる。
脂環式ジオールの炭素原子数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。脂環式ジオールの例には、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
芳香族ジオールの炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜12である。芳香族ジオールの例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などが含まれる。
ポリエステル化合物を得るためのジオールは、一種類であっても、二種類以上あってもよい。ポリエステル化合物を得るためのジオールは、脂肪族ジオールを含むことが好ましい。
なかでも、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、脂肪族ジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含むポリエステル化合物が、それを含むフィルムの透明性が良好である点から、好ましい。
ポリエステル化合物の分子末端は、未封止であってもよいが、必要に応じてモノカルボン酸またはモノアルコールで封止されていてもよい。
モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸でありうる。脂肪族モノカルボン酸の炭素原子数は、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜4でありうる。脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸などが含まれる。脂環式モノカルボン酸の例には、シクロヘキシルモノカルボン酸などが含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸などが含まれる。
モノアルコールは、脂肪族モノアルコール、脂環式モノアルコールまたは芳香族モノアルコールでありうる。脂肪族モノアルコールの炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜3でありうる。脂肪族モノアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが含まれる。脂環式モノアルコールの例には、シクロヘキシルアルコールなどが含まれる。芳香族モノアルコールの例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどが含まれる。
ポリエステル化合物の具体例には、以下のものが含まれる。表1において、TPA:テレフタル酸、PA:フタル酸、SA:コハク酸、AA:アジピン酸を示す。
Figure 2014178178
ポリエステル化合物の数平均分子量は、300〜2000であることが好ましく、400〜1500であることがより好ましい。数平均分子量が300未満であるポリエステル化合物はブリードアウトが生じるおそれがある。
ポリエステル化合物の水酸基価は、セルロースエステルとの相溶性を高める観点などから、25mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル化合物の水酸基価は、試料1gを無水酢酸と反応させてアセチル化させたとき、未反応の酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ポリエステル系可塑剤の水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定されうる。
ポリエステル化合物の含有量は、セルロースエステルに対して5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。ポリエステル化合物の含有量が5質量%未満であると、十分な可塑化効果が得られない可能性がある。一方、ポリエステル化合物の含有量が30質量%超であると、フィルムからブリードアウトしやすくなる。
これらの糖エステル化合物およびポリエステル化合物は、透明基材層に滞留する水分により、セルロースエステルを加水分解させにくい。また、これら化合物;特に糖エステル化合物は、セルロースエステルとの高い相溶性を有する。そのため、透明基材層に水分が溜まっても、それによりセルロースエステルとこれらの化合物との相溶性が低下しにくく、透明基材層の鉛筆硬度が低下しにくい。
透明基材層は、必要に応じて他の成分(但し、リン酸エステル化合物を除く)をさらに含んでもよい。他の成分の例には、他の可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤や;マット剤などが含まれる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物などであり、好ましくはベンゾトリアゾール系化合物でありうる。
ベンゾトリアゾール系化合物の好ましい例には、式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 2014178178
式(1)のR、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または一価の有機基を表す。R、RおよびRの少なくとも1つは、総炭素原子数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基であることが好ましく;R、R、およびRはそれぞれ互いに異なってもよい。
およびRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であることが好ましく;水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であることがより好ましく;水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがさらに好ましく;炭素原子数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)であることが特に好ましい。
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換、又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であることが好ましく;水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であることがより好ましく;水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基であることがより好ましく;水素原子、メチル基であることが特に好ましく;水素原子であることが最も好ましい。
およびRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であることが好ましく;水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であることがより好ましく;水素原子、ハロゲン原子であることがさらに好ましく;水素原子、塩素原子であることが特に好ましい。
式(1)で表される化合物の好ましい例を、以下に示す。
Figure 2014178178
紫外線吸収剤の分子量は、250〜1000であることが好ましく、300〜800であることがより好ましい。
紫外線防止剤の含有量は、透明基材層中に質量割合で1ppm〜1000ppmであることが好ましく、10〜1000ppmであることがさらに好ましい。
(マット剤)
透明基材層は、滑り性を付与するためにマット剤をさらに含有してもよい。マット剤は、無機微粒子または有機微粒子でありうる。
無機微粒子を構成する無機化合物の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が含まれる。なかでも、セルロースエステルと屈折率が近く、フィルムの透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の例には、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、R202(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、KEP−30、KEP−50(以上、株式会社日本触媒製)などが含まれる。
粒子の形状は、特に制限されず、不定形、針状、扁平、球状等でありうる。なかでも、得られる透明基材層の透明性が良好であることから、球状の粒子が好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が低下するため、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると、滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが好ましい。粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は、凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
マット剤の含有量は、セルロースエステルに対して0.05〜1.0質量%程度とすることができ、好ましくは0.1〜0.8質量%としうる。
透明基材層の厚みは、湿度や熱による偏光板の寸法変化を低減し、表示装置のパネルベンドによるムラを抑制するためなどから、薄いことが好ましく、10〜80μmであることがより好ましく、10〜70μmであることがさらに好ましく、10〜60μmであることが特に好ましい。
透明基材層は、任意の製造方法で得ることができ、溶融流延製膜法または溶液流延製膜法、好ましくは溶液流延製膜法で得ることができる。
2−2)被覆層
被覆層は、保護フィルムの透湿度を低下させるために、透明基材層上に直接または下塗り層などを介して設けられうる。被覆層は、塩化ビニル樹脂を含む層、層状無機化合物を含む層、または無機薄膜であり;透湿度を低減する効果が高いことから、好ましくは塩化ビニル樹脂を含む層である。
(塩化ビニル樹脂を含む層)
塩化ビニル樹脂は、塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位を含む重合体であり;塩素含有ビニル単量体の単独重合体、または塩素含有ビニル単量体とそれと共重合可能な他の単量体との共重合体でありうる。塩素含有ビニル単量体の例には、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが含まれる。
共重合可能な他の単量体の例には、オレフィン類、スチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。スチレン類の例には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレンなどが含まれる。(メタ)アクリル酸エステルの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどが含まれる。(メタ)アクリルアミド類の例には、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。
ビニルエーテル類の例には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが含まれる。ビニルエステルの例には、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレートなどが含まれる。ビニルケトン類の例には、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが含まれる。
イタコン酸ジエステル類の例には、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルなどが含まれ;マレイン酸ジエステル類の例には、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチルなどが含まれ、フマル酸ジエステル類の例には、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなどが含まれる。グリシジルエステル類の例には、グリシジル(メタ)アクリレートなどが含まれる。不飽和ニトリル類の例には、アクリロニトリルなどが含まれる。不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などが含まれる。
塩化ビニル樹脂における、塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合は、50〜99質量%であることが好ましく、60〜98質量%であることがより好ましく、70〜97質量%であることがさらに好ましい。塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合が50質量%以上であれば、被覆層の透湿度を十分に下げやすい。塩素含有ビニル単量体由来の繰り返し単位の含有割合が99質量%以下であれば、溶剤への溶解性が得られやすい。
塩化ビニル樹脂は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)の市販品であってもよい。旭化成ケミカルズ(株)の市販品の例には、「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」などが含まれる。ケトン類溶媒(メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)に可溶である点では、サランレジンF216が好ましい。結晶性が高く、被覆層の透湿度を十分に下げやすい点では、サランレジンR204が好ましい。
塩化ビニル樹脂の含有量は、塩化ビニル樹脂を含む層全体に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
塩化ビニル樹脂を含む層は、必要に応じて劣化防止剤や、ブロッキングを抑制するための有機または無機微粒子をさらに含んでもよい。
例えば、塩化ビニル樹脂は、熱、光、紫外線によって分解され、着色しやすいことから、塩化ビニル樹脂を含む層は、劣化防止剤をさらに含むことが好ましい。劣化防止剤の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが含まれる。酸化防止剤の例には、クマロン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物が含まれる。紫外線吸収剤の例には、前述と同様のものが含まれる。
無機微粒子は、前述のマット剤と同様のものを用いることができる。有機粒子は、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、組み合わされる樹脂との屈折率差が0.001以上0.3以下になるものが好ましい。有機粒子の例には、架橋ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)などが含まれる。
(層状無機化合物を含む層)
層状無機化合物を含む層は、層状無機化合物と、それを保持するためのバインダ樹脂とを含む。
層状無機化合物は、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列したシートが、ファンデルワールス力、静電気力などによってほぼ平行に積み重なった構造を有し;層間に溶媒を配位または吸収して、膨潤またはへき開する性質を示す無機化合物をいう。
層状無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えばスメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが含まれる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。
層状無機化合物は、有機化処理がさらに施されたものであってもよい。有機化処理は、有機オニウムイオン(例えばモノアルキルの1級〜4級のアンモニウムイオン)からなる有機化剤を、層状無機化合物に添加して行うことができる。
層状無機化合物は、透明基材層との密着性を高める観点などから、微粒子化処理が施されていてもよい。微粒子化処理された層状無機化合物は、通常、板状または扁平状であり、無定形状などであってもよい。
層状無機化合物の平面形状の平均粒子径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.8〜6μmが更に好ましい。粒径が0.1μmより小さいと、透湿度の低減効果が充分でなく;粒径が10μmより大きいと、ヘイズや表面粗さなどが増大するおそれがある。
平面形状の平均粒子半径とは、一般的な粒度分布計、例えば、光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)で測定される粒子半径分布値のうち、その値を有する粒子数が最も多くなる粒子半径である。
バインダ樹脂は、透湿性が比較的低い樹脂であればよく、好ましくはポリビニルアルコール系重合体でありうる。ビニルアルコール系重合体の例には、ポリビニルアルコール(PVA)などの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などが含まれる。これらのビニルアルコール系重合体は、その一部がカルボニル変性、シラノール変性、エポキシ変性、アセトアセチル変性、アミノ変性またはアンモニウム変性されていてもよい。
ビニルアルコール系重合体の鹸化度は、80モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、100〜5000が好ましく、200〜4000がより好ましく、200〜3000程度がさらに好ましい。
ビニルアルコール系重合体は、必要に応じてチタン化合物などの架橋剤で架橋されていてもよい。
層状無機化合物を含む層は、前述と同様に、必要に応じて劣化防止剤や、有機または無機微粒子などをさらに含んでもよい。
層状無機化合物の含有量は、バインダ樹脂(好ましくはビニルアルコール系重合体)に対して、2〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。層状無機化合物の濃度が2質量%未満であると、透湿度の低減効果が充分でなく;層状無機化合物の濃度が20質量%超であると、ヘイズが増加したり、脆性が高くなったりすることがある。
塩化ビニル樹脂を含む層および層状無機化合物を含む層の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。塩化ビニル樹脂を含む層の厚みが大きすぎると、得られる保護フィルムにカールが生じることがある。一方、塩化ビニル樹脂を含む層の厚みが小さすぎると、保護フィルムの透湿度を十分には下げられないことがある。被覆層は、一層のみであってもよいし、二層以上であってもよい。
塩化ビニル樹脂を含む層および層状無機化合物を含む層は、前述した各成分と溶媒とを含む塗布液(被覆層用塗布液)を、透明基材層上に塗布した後、乾燥させて得ることができる。
透明基材層と被覆層との接着性を高めるために、透明基材層は、易接着処理されていてもよい。易接着処理の例には、アルカリ鹸化処理、コロナ処理などが含まれ、好ましくはアルカリ鹸化処理である。また、透明基材層上に、接着性を高めるための後述の下塗り層が形成されてもよい。
塗布液に含まれる溶媒は、特に制限されないが、透明基材層(好ましくはセルローストリアセテート)を溶解または膨潤させうる溶剤、透明基材層を溶解しない溶剤、水、またはそれらの混合溶媒でありうる。
透明基材層(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解または膨潤させうる溶媒の例には、
ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフランなどの炭素原子数3〜12のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンなどの炭素原子数が3〜12のケトン類;
蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、及びγ−ブチロラクトン等の炭素数が3〜12のエステル類などが含まれる。
透明基材層(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶媒の例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤が含まれる。
ラテックスではない塩化ビニル樹脂を含む層を得るためには、例えばテトラヒドロフランもしくは、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤を用いることが好ましく;塩化ビニル樹脂ラテックスを含む層を得るためには、水を用いることが好ましい。層状無機化合物と、ポリビニルアルコール系重合体とを含む被覆層を得るためには、例えば水とアルコール系溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。
(無機薄膜)
無機薄膜を構成する無機化合物の例には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、炭化水素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が含まれる。なかでも、珪素酸化物、珪素窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物が好ましく、アルミニウム窒化物がより好ましい。
無機薄膜は、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD(物理的気相蒸着法)、CVD(化学的気相蒸着法)等などにより形成されうる。無機薄膜の厚さは、一般に0.1〜500nmであるが、好ましくは0.5〜40nmである。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、無機薄膜に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れている。
被覆層は、保護フィルムに低透湿性を付与する観点から、透湿度は一定以下であることが好ましい。具体的には、厚み5μmの被覆層の40℃90%RHにおける透湿度は10〜200g/m・dayであることが好ましく、10〜150g/m・dayであることがより好ましい。
厚み5μmの被覆層の透湿度は、以下の方法で測定されうる。即ち、ポリフッ化ビニリデン基板上に、被覆層用塗布液を押し出して塗布した後、60〜110℃で3〜10分乾燥させて膜厚5μmの被覆膜を形成する。得られた被覆膜を基板から剥離した後、40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z 0208に記載の方法により測定する。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)を求める。
保護フィルムに含まれる被覆層の、40℃90%RHにおける透湿度は、10〜100g/m・dayであることが好ましく、10〜75g/m・dayであることがより好ましい。保護フィルムに含まれる被覆層の透湿度は、保護フィルムから被覆層部分を剥離した後;得られる膜の透湿度を、前述と同様にしてJIS Z 0208に記載の方法で測定すればよい。
被覆層のヘイズは、得られる保護フィルムの透明性を確保するためなどから、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
2−3)他の層
保護フィルムは、必要に応じてハードコート層や下塗り層などの他の層をさらに含んでもよい。
(ハードコート層について)
ハードコート層は、被覆層上または透明基材層上(基材層の被覆層が配置された面とは反対側の面)に設けられうる。ハードコート層は、硬化性化合物の硬化物(架橋物)を主成分として含む。硬化性化合物は、紫外線または電子線などの活性線により硬化する化合物であり、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物などでありうる。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の例には、(メタ)アクリロリル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを有する化合物が含まれ、好ましくは(メタ)アクリロリル基を有する化合物である。
(メタ)アクリロリル基を有する化合物の例には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが含まれる。
ハードコート層は、必要に応じて、内部散乱性を付与するためなどから、無機微粒子または有機樹脂微粒子などをさらに含みうる。
ハードコート層の厚さは、保護フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与するためなどから、0.5μm〜50μm程度が好ましく、1〜20μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましく、3〜12μmが特に好ましい。
ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましく、4H以上であることがさらに好ましい。鉛筆硬度試験は、JIS―K5400に記載の鉛筆硬度試験によって測定されうる。
ハードコート層は、前述の硬化性化合物などの各成分と光反応開始剤とを含む塗布液を、被覆層またはその上に設けられた下塗り層上に塗布した後;乾燥および硬化させて得ることができる。硬化は、光照射による光硬化でありうる。
塗布液に含まれる光反応開始剤の例には、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの誘導体が含まれる。光反応開始剤は、必要に応じて光増感剤と共に用いられてもよい。光反応開始剤および光増感剤の含有量は、前述の塗布液100質量部に対して0.1〜15質量部程度とすることができ、好ましくは1〜10質量部である。塗布液は、必要に応じて水系溶媒または有機溶媒などの溶媒をさらに含んでもよい。
(下塗り層について)
下塗り層は、隣り合う層同士の接着性を高めるために設けられうる。下塗り層は、シランカップリング剤を含有することが好ましく、(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤を含有することがより好ましく、シランカップリング剤と多官能の(メタ)アクリレート化合物とを含有することがより好ましい。
下塗り層に含まれるシランカップリング剤は、シランカップリング剤の加水分解物、該加水分解物の部分縮合物であることが好ましい。下塗り層の膜厚は、0.05〜2μm程度としうる。
保護フィルムは、透明基材層と被覆層とを含む限り、任意に構成されうる。保護フィルムの層構成の例には、透明基材層/下塗り層/被覆層/下塗り層/ハードコート層をこの順に積層した構造や;被覆層/下塗り層/透明基材層/下塗り層/ハードコート層をこの順に積層した構造などが含まれ、好ましくは透明基材層/下塗り層/被覆層/下塗り層/ハードコート層をこの順に積層した構造でありうる。
図1は、保護フィルムの層構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、保護フィルム10は、透明基材層11、下塗り層13A、被覆層15、下塗り層13Bおよびハードコート層17をこの順に積層したものでありうる。偏光板では、保護フィルムの透明基材層11が偏光子側となるように配置される。
保護フィルムは、必要に応じて反射防止層(低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層)、防眩層、帯電防止層、バックコート層などの他の機能層をさらに含んでもよい。
2−4)保護フィルムの物性
(透湿度)
保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度は、100g/m・day以下であることが好ましく、50g/m・day以下であることがより好ましい。高温高湿環境下において、透過した水分による偏光子の寸法変化を抑制するためである。
保護フィルムの透湿度は、主に被覆層の厚みや種類によって調整されうる。
(鉛筆硬度)
保護フィルムは、後述のように表示装置の最も視認側の保護フィルム(F1)として好ましく用いられることから、保護フィルムは一定以上の表面硬度を有することが好ましい。具体的には、保護フィルムの、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験によって測定される鉛筆硬度は、3H以上であることが好ましく、3.5H以上であることがより好ましい。鉛筆硬度の測定は、保護フィルムの、偏光子と接しない方の面を測定面として行う。
保護フィルムの鉛筆硬度は、主にハードコート層の有無や;透明基材層に含まれる可塑剤の選択によって調整されうる。鉛筆硬度の低下を抑制するためには、例えば可塑剤としてポリエステル化合物や糖エステル化合物を選択することが好ましい。
(ヘイズ)
保護フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。保護フィルムのヘイズは、JIS K−7136に準拠して、ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)にて測定されうる。
(レターデーション)
保護フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される面内方向のレターデーションRは、0≦R≦20nmを満たすことが好ましく、0nm≦R≦10nmを満たすことがより好ましい。保護フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される厚み方向のレターデーションRthは、0nm≦Rth≦80nmを満たすことが好ましく、0nm≦Rth≦50nmを満たすことがより好ましい。このようなレターデーション値を有する保護フィルムは、後述するように、液晶表示装置の保護フィルム(F1またはF4)として好ましく用いられる。
およびRthは、セルロースエステルのアシル基の総置換度や延伸条件などによって調整することができる。Rを小さくするためには、例えばセルロースエステルのアシル基の総置換度を高くしたり、TD/MD方向の延伸倍率の差を小さくしたりすればよい。
レターデーションRおよびRthは、それぞれ以下の式で定義される。
式(I):R=(nx−ny)×d(nm)
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式(I)および(II)において、
nxは、保護フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
nyは、保護フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、保護フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、保護フィルムの厚みを表す)
レターデーションRおよびRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)保護フィルムを、23℃55%RHで調湿する。調湿後の光学補償フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
2)調湿後の保護フィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、KOBRA21ADH(王子計測機器(株))にて測定する。
3)KOBRA21ADHにより、保護フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、保護フィルムの表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのレターデーション値R(θ)を測定する。レターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行うことができる。保護フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認することができる。
4)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA21ADHにより、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長590nmでのRthを算出する。レターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
保護フィルムの面内遅相軸とフィルムの幅方向とのなす角θ1(配向角)は、好ましくは−1°〜+1°であり、さらに好ましくは−0.5°〜+0.5°である。保護フィルムの配向角θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−WR(王子計測機器(株))を用いて測定することができる。
保護フィルムは、全光線透過率が好ましくは90%以上であり、より好ましくは93%以上である。
(3)位相差フィルム(F2またはF3)について
偏光子の、前述の保護フィルムが配置された面とは反対側の面には、さらに前述の保護フィルムが配置されてもよいし;位相差フィルムが配置されてもよい。
位相差フィルムは、特に制限されず、例えばセルロースエステルフィルムでありうる。セルロースエステルフィルムに含まれるセルロースエステルの例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが含まれる。
セルロースエステルは、総アシル基置換度が1.5以上2.5以下であることが好ましく、下記式(a)と(b)とを同時に満たすことがより好ましい。
式(a) 2.0≦X+Y≦2.5
式(b) 0≦Y≦1.5
(式中、Xはアセチル基の置換度を示し、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはそれらの混合物の置換度を示す)
セルロースエステルフィルムは、低置換度のセルロースエステルを主成分とするコア層と、その両面に配置され、高置換度のセルロースエステルを主成分とするスキン層との積層物であってもよい。低置換度のセルロースエステルは、上記式(a)と(b)を満たすことが好ましく、高置換度のセルロースエステルは、前述の保護フィルムにおける置換度を満たすことが好ましい。
位相差フィルムのレターデーションは、組み合わされる液晶セルの種類に応じて設定されうる。例えば、位相差フィルムの、23℃RH55%下、波長590nmで測定される面内レターデーションRo(590)は30〜150nmの範囲であることが好ましく、厚さ方向のレターデーションRth(590)は70〜300nmの範囲であることが好ましい。レターデーションが上記範囲である位相差フィルムは、例えばVA型液晶セルなどの位相差フィルムとして好ましく用いることができる。
このように、本発明の偏光板を構成する保護フィルムは、透湿性が低減されている。そのため、偏光板が熱や湿度に曝されても、偏光子に透過する水分を少なくでき、偏光子の寸法変化を低減できる。
また、本発明の偏光板を構成する保護フィルムは、可塑剤として糖エステル化合物またはポリエステル化合物を含み;セルロースエステルの加水分解を促進するような化合物(リン酸エステル化合物)を実質的に含まないことが好ましい。それにより、フィルム内に水分が滞留しても、セルロースエステルの加水分解による酸の発生を抑制でき;それによる偏光子におけるヨウ素の配向乱れ(具体的には、ポリビニルアルコールとヨウ素のホウ酸架橋のかい離に伴うヨウ素の配向乱れ)を抑制できる。それにより、偏光子の厚みが薄い場合に顕著となる、偏光度の低下(偏光子の劣化)を抑制できる。
さらに、本発明の偏光板を構成する保護フィルムは、可塑剤としてセルロースエステルとの相溶性が高い糖エステル化合物またはポリエステル化合物を含む。そのため、フィルム内に水分が滞留しても、セルロースエステルと糖エステル化合物やポリエステル化合物との相溶性が低下しにくく、保護フィルムの表面の鉛筆硬度を低下させにくい。
2.偏光板の製造方法
保護フィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、完全鹸化型のポリビニルアルコ−ル系接着剤、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系接着剤や、活性エネルギー線硬化性接着剤などを用いて行うことができる。得られる接着剤層の弾性率が高く、偏光板の寸法変化を抑制しやすいことなどから、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。即ち、保護フィルムと偏光子とは、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して接着されていることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤の好ましい例としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、および(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の活性エネルギー線硬化性接着剤が用いられてもよい。
以下、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた偏光板の製造方法の一例を説明する。偏光板は、1)保護フィルムの偏光子を接着する面を易接着処理する前処理工程、2)偏光子と保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、下記の活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する接着剤塗布工程、3)得られた接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとを貼り合せる貼合工程、および4)接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとが貼り合わされた状態で接着剤層を硬化させる硬化工程、を含む製造方法によって製造することができる。1)の前処理工程は、必要に応じて実施すればよい。
(前処理工程)
前処理工程では、保護フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。偏光子の両面にそれぞれ保護フィルムを接着させる場合は、それぞれの保護フィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程では、偏光子と保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する。偏光子または保護フィルムの表面に直接活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特別な限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の塗工方式が利用できる。また、偏光子と保護フィルムの間に、活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させた後、ロール等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(貼合工程)
こうして活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した後、貼合工程に供される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した場合、そこに保護フィルムが重ね合わされる。先の塗布工程で保護フィルムの表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した場合は、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と保護フィルムの間に活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と保護フィルムとが重ね合わされる。偏光子の両面に保護フィルムを接着する場合であって、両面とも活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子の両面にそれぞれ、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して保護フィルムが重ね合わされる。そして通常は、この状態で両面(偏光子の片面に保護フィルムを重ね合わせた場合は、偏光子側と保護フィルム側、また偏光子の両面に保護フィルムを重ね合わせた場合は、その両面の保護フィルム側)からロール等で挟んで加圧することになる。ロールの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置されるロールは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(硬化工程)
硬化工程では、未硬化の活性エネルギー線硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む接着剤層を硬化させる。それにより、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して重ね合わせた偏光子と保護フィルムとを接着させる。偏光子の片面に保護フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側または保護フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に保護フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ活性エネルギー線硬化性接着剤を介して保護フィルムを重ね合わせた状態で、いずれか一方の保護フィルム側から活性エネルギー線を照射し、両面の活性エネルギー線硬化性接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができ、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般的には、電子線または紫外線が好ましく用いられる。
電子線の照射条件は、接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5〜300kVであり、さらに好ましくは10〜250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、保護フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量は、5〜100kGyの範囲内、さらに好ましくは10〜75kGyの範囲内である。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じやすい。
紫外線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmであることが好ましく、100〜500mJ/cmであることがさらに好ましい。
以上のようにして得られた偏光板において、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層の厚さは、特に限定されないが、通常0.01〜10μmの範囲内であり、好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。
本発明の偏光板は、液晶表示装置の偏光板として好ましく用いられる。
3.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。そして、一対の偏光板の少なくとも一方を本発明の偏光板としうる。
図2は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図2に示されるように、本発明の液晶表示装置20は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板40および第二の偏光板50と、バックライト60とを含む。
液晶セル30は、例えばSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS等の種々の表示モードのものが提案されている。高いコントラストを得るためには、VA(MVA、PVA)モードが好ましい。
VA方式の液晶セルは、一対の透明基板と、それらの間に挟持された液晶層とを有する。
一対の透明基板のうち、一方の透明基板には、液晶分子に電圧を印加するための画素電極が配置される。対向電極は、(画素電極が配置された)前記一方の透明基板に配置されてもよいし、他方の透明基板に配置されてもよく、開口率を高めるためには、(画素電極が配置された)前記一方の透明基板に配置されることが好ましい。
液晶層は、負または正の誘電率異方性を有する液晶分子を含む。一方の透明基板に画素電極が配置され、他方の透明基板に対向電極が配置される場合、負の誘電率異方性を有する液晶分子を用いることが好ましい。一方の透明基板に、画素電極と対向電極の両方が配置される場合、正の誘電率異方性を有する液晶分子であることが好ましい。液晶分子は、透明基板の液晶層側の面に設けられた配向膜の配向規制力により、電圧無印加時(画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時)には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して略垂直となるように配向している。
このように構成された液晶セルでは、画素電極に画像信号(電圧)を印加することで、画素電極と対向電極との間に電界を生じさせる。これにより、透明基板の表面に対して垂直に初期配向している液晶分子を、その長軸が基板面に対して水平方向となるように配向させる。このように、液晶層を駆動し、各副画素の透過率および反射率を変化させて画像表示を行う。
第一の偏光板40は、第一の偏光子41と、第一の偏光子41の視認側の面に配置された保護フィルム43(F1)と、第一の偏光子41の液晶セル側の面に配置された保護フィルム45(F2)とを含む。第二の偏光板50は、第二の偏光子51と、第二の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム53(F3)と、第二の偏光子51のバックライト側の面に配置された保護フィルム55(F4)とを含む。
そして、第一の偏光板40と第二の偏光板50の少なくとも一方または両方を、本発明の偏光板とする。即ち、保護フィルム43(F1)と保護フィルム55(F4)の少なくとも一方を前述の保護フィルムとしうる。保護フィルム43(F1)と保護フィルム55(F4)の両方を前述の保護フィルムとする場合、これらの保護フィルムの層構成は、互いに同じであっても異なってもよい。例えば、保護フィルム43(F1)はハードコート層を有することが好ましいが;保護フィルム55(F4)は、必ずしもハードコート層を有しなくてもよい。
前述の通り、本発明の偏光板は、低透湿性の保護フィルムを含むことから、高温高湿下に曝された際の偏光子の寸法変化を抑制できる。また、本発明の偏光板の厚みも薄くされている。それにより、表示装置における、熱や湿度による偏光板の寸法変化(パネルベンド)を低減でき;それによる表示ムラ(パネルベンドムラ)を抑制できる。
また、本発明の偏光板は、セルロースエステルの加水分解を促進するような化合物を含まないことから、それによる偏光子内のヨウ素の配向乱れ(具体的には、酸によってホウ酸架橋がかい離することによるヨウ素の配向乱れ)を抑制でき、偏光度の低下を抑制できる。それにより、表示装置の正面コントラストのムラを低減できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.透明基材フィルムの作製
1)材料
(セルロースエステル)
TAC:セルローストリアセテート(アシル基総置換度2.86、アセチル基置換度2.86、重量平均分子量28万)
(糖エステル化合物)
糖エステル化合物1(平均置換度:5.68、分子量934)
Figure 2014178178
糖エステル化合物2(平均置換度:8、分子量847)
Figure 2014178178
糖エステル化合物3(平均置換度:7.52、分子量1125)
Figure 2014178178
(ポリエステル化合物)
ポリエステル化合物1:エタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)との縮合物の両末端の酢酸エステル体、数平均分子量1000、水酸基価0mgKOH/g
ポリエステル化合物2:エタンジオール/テレフタル酸/コハク酸(1/0.5/0.95モル比)との縮合物の両末端の酢酸エステル体、数平均分子量1000
(比較用添加剤)
TPP:トリフェニルホスフェート
BDP:ビフェニルジフェニルホスフェート
(UV吸収剤)
紫外線吸収剤C
Figure 2014178178
2)透明基材フィルムの作製
[透明基材フィルム1]
下記成分を、攪拌および加熱しながら十分に溶解させて、ドープを調製した。
(ドープの組成)
セルローストリアセテート(TAC)(アシル基総置換度2.86、アセチル基置換度2.86、重量平均分子量28万):100質量部
糖エステル化合物1:9質量部
糖エステル化合物2:3質量部
紫外線吸収剤C:2質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径=16nm):0.30質量部
メチレンクロライド:384質量部
メタノール:69質量部
ブタノール : 9質量部
得られたドープを、ベルト流延装置を用いて、温度30℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶剤量が70%になるまでドープ中の溶媒を蒸発させた。そして、得られた膜状物をステンレスバンド支持体上から剥離した。
次いで、剥離した膜状物を45℃でさらに乾燥させた後、得られたフィルムを110℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラで搬送させながら乾燥させた。得られたフィルムを1.5m幅にスリットし、フィルムの幅方向両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して巻き取った。それにより、膜厚10μmの透明基材フィルム1を得た。
[透明基材フィルム2〜11]
膜厚または可塑剤の組成(糖エステル1/糖エステル2)を、表2に示されるように変更した以外は前述と同様にして透明基材フィルム2〜11を得た。
[透明基材フィルム12]
1)コア層用ドープの調製
下記成分を、攪拌および加熱しながら十分に溶解させて、コア層用ドープを調製した。
(コア層用ドープの組成)
セルローストリアセテート(TAC)(アシル基総置換度2.86、アセチル基置換度2.86、重量平均分子量28万):100質量部
トリフェニルホスフェート(TPP):8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP):4質量部
紫外線吸収剤C:2質量部
メチレンクロライド:384質量部
メタノール:69質量部
ブタノール : 9質量部
2)スキン層用ドープの調製
下記成分を、攪拌および加熱しながら十分に溶解させて、スキン層用ドープを調製した。
(スキン層用ドープの組成)
セルローストリアセテート(TAC)(アシル基総置換度2.86、アセチル基置換度2.86、重量平均分子量28万):100質量部
トリフェニルホスフェート(TPP):8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP):4質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径=16nm):0.30質量部
メチレンクロライド:384質量部
メタノール:69質量部
ブタノール : 9質量部
得られたコア層用ドープおよびスキン層用ドープを、ベルト流延装置を用いて、温度30℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に共流延した以外は透明基材フィルム1と同様にして、スキン層/コア層/スキン層の3層構造を有する膜厚30μmの透明基材フィルム12を得た。各層の厚みは、スキン層/コア層/スキン層=2/36/2μmとした。
[透明基材フィルム13]
透明基材フィルム12の作製において、コア層用ドープ、スキン層用ドープに含まれるTPP:8質量部とBDP:4質量部を、糖エステル化合物1:9質量部と糖エステル化合物2:3質量部にそれぞれ変更した以外は同様にして透明基材フィルム13を作製した。
得られた透明基材フィルムを、表2にまとめた。
Figure 2014178178
2.被覆層用塗布液の調製
[被覆層用塗布液1]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、被覆層用塗布液1を調製した。
(被覆層用塗布液1の組成)
塩素含有重合体(旭化成ライフ&リビング(株)製サランレジンR204):12質量部
テトラヒドロフラン:63質量部
[被覆層用塗布液2]
下記の組成物を、被覆層用塗布液2とした。
(被覆層用塗布液2の組成)
サランラテックス(旭化成ライフ&リビング(株)製サランラテックスL549B)(樹脂成分48質量%):100質量部
[被覆層用塗布液3]
水とMEB−3を混合し、HR−3010を添加後95℃で2時間攪拌した。その後、得られた溶液を、孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、被覆層用塗布液3を得た。
(被覆層用塗布液3の組成)
ビニルアルコール系重合体HR−3010((株)クラレ製):5質量部
水中高圧分散済マイカMEB−3(固形分比8質量%、コープケミカル製):3.1質量部
水:70質量部
[被覆層用塗布液4]
下記の層状無機化合物を水に添加した後、高圧分散機を用いて30Mpaで3回高圧分散処理を行い、水中に分散させた。その後、下記の方法で合成したポリマー1を90℃の水で2時間攪拌して溶解させた後、室温に冷却した。これに、メタノール、アセトンを加えた後、下記の方法で合成した架橋剤A1とリンゴ酸を加えて塗布液を得た後、孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して被覆層用塗布液4を得た。
(被覆層用塗布液4の組成)
ポリマー1:7質量部
層状無機化合物MEB−3(コープケミカル(株)製)
合成マイカ 固形分8%水分散液:4.4質量部
架橋剤A1:7.7質量部
リンゴ酸:0.7質量部
水:80質量部
メタノール:10質量部
アセトン:10質量部
(ポリマー1)
攪拌器を装着した300mL三つ口フラスコに、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−103;(株)クラレ製;鹸化度98〜99モル%)14.7gおよびモレキュラーシーブ4Aを用いて予め脱水したジメチルスルホキシド100mLを加えて、室温下撹拌しながら溶解した。その後、70℃に昇温し、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.776gのジメチルスルホキシド15mL溶液を滴下した。そのまま2時間、撹拌を続けた後、ペーパータオルを用いて濾過し、ゴミ等の不純物を除去した後、酢酸エチル1.25リットルに撹拌しながら滴下して、ポリマーを沈澱させた。沈澱物(ポリマー)を濾取し、メタノール600mLに浸して撹拌洗浄したのち、再び濾取し、乾燥して、塊状のポリマー1を14.0g(収率91%)得た。
(架橋剤A1)
200mLのフラスコに、テトライソプロピルチタネートを28.4g(0.1モル)仕込み、トリエタノールアミン29.8g(0.2モル)を攪拌しながら40分かけて加えた。添加終了後、85℃にて30分間還流し、さらに、1,2−プロパンジオール30.4g(0.4モル)と水とを加え、1.5%のチタン含有量とした架橋剤A1を調製した。
[被覆層用塗布液5]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、被覆層用塗布液5を調製した。
(被覆層用塗布液5の組成)
ポリビニルアルコール樹脂(PVA):7質量部
膨潤性雲母(アスペクト比:3000):3質量部
水:100質量部
得られた被覆層用塗布液1〜5から得られる被覆層の透湿度を以下の方法で測定した。
(厚み5μmの被覆層の透湿度)
ポリフッ化ビニリデン基板上に、被覆層用塗布液を塗布した後、60℃で5分乾燥させて膜厚5μmの被覆層用塗膜を形成した。得られた被覆用塗膜を基板から剥離し、40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z 0208に記載の方法により測定した。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)を求めた。
(被覆層の透湿度)
乾燥後の被覆層用塗膜の膜厚を、実際の保護フィルムにおける被覆層の膜厚と同じになるようにした以外は前述と同様にして被覆層用塗膜を得た後、JIS Z 0208に記載の方法により40℃90%RHにおける透湿度を測定した。
3.ハードコート層用塗布液の調製
ゾル液aの調製
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。その後、低沸分を減圧留去し、さらにろ過してゾル液aを120g得た。得られたゾルは、下記式で表されるものであり;GPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
Figure 2014178178
ハードコート層用塗布液1の調製
下記成分を混合して得られる溶液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、ハードコート層用塗布液1を得た。
(ハードコート層用塗布液1の組成)
PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]):40.0g
DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]):10.0g
イルガキュア184:2.0g
SX−350(架橋ポリスチレン粒子、平均粒径3.5μm、屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液):2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(平均粒径3.5μm、屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液):13.0g
FP−13(下記式のフッ素系表面改質剤):0.06g
ゾル液a:11.0g
トルエン:38.5g
Figure 2014178178
4.下塗り層用塗布液の調製
下記成分を混合して、下塗り層用塗布液1とした。
(下塗り層用塗布液1の組成)
スチレンブタジエンラテックス(固形分43%):300g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(8%):49g
蒸留水:1600g
5.保護フィルム(F1、F4)の作製
(製造例1)
透明基材層の前処理
上記作製したロール体から長尺状の透明基材フィルム1を、50℃、1mol/Lのアルカリ溶液で鹸化処理した。
下塗り層1の形成
鹸化処理した透明基材フィルム1上に、下塗り層用塗布液1を塗布した後、乾燥させて膜厚90nmの下塗り層1を形成した。
被覆層の形成
形成された下塗り層1上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1を直接押し出して塗布した後、60℃で5分乾燥させて、膜厚4.5μmの被覆層を形成した。フィルムの搬送速度は30m/分とした。
下塗り層2の形成
形成された被覆層上に、下塗り層用塗布液1を塗布した後、乾燥させて膜厚90nmの下塗り層2を形成した。
ハードコート層の形成
形成された下塗り層2上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1を直接押し出して塗布した。フィルムの搬送速度は30m/分とした。その後、塗膜を、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥させた後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗膜を硬化させた。それにより、厚さ6.0μmのハードコート層を形成し、膜厚40μmの保護フィルム101を得た。
(製造例2〜4、16)
透明基材層を、膜厚が異なる透明基材フィルム2〜5に変更した以外は製造例1と同様にして保護フィルム102〜104および116を得た。
(製造例5〜8)
透明基材層を、膜厚が異なる透明基材フィルム5とし、かつ被覆層の種類または厚みを表3に示されるように変更した以外は製造例1と同様にして保護フィルム105〜108を得た。
(製造例9〜15)
透明基材層を、添加剤の組成が異なる透明基材フィルム6〜12に変更した以外は製造例1と同様にして保護フィルム109〜115を得た。
(製造例17)
下塗り層とハードコート層をいずれも設けなかった以外は製造例16と同様にして保護フィルム117を得た。
(製造例18〜21)
被覆層の組成を表3に示されるように変更した以外は製造例16と同様にして保護フィルム118〜121を得た。
(製造例22)
ハードコート層を、透明基材層の、被覆層が形成される面とは反対側の面に形成した以外は製造例16と同様にして保護フィルム122を得た。
(製造例23)
透明基材層を、積層構造を有する透明基材フィルム13に変更した以外は製造例16と同様にして保護フィルム123を得た。
(製造例24〜25)
下塗り層1を塗布する前の透明基材フィルム5の前処理(鹸化処理)を、表3に示される前処理に変更するか、あるいは前処理を行わなかった以外は製造例16と同様にして保護フィルム124〜125を得た。
得られた保護フィルムの透湿度および鉛筆硬度を、以下の方法で測定した。
(透湿度)
得られた保護フィルムの40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z 0208に記載の方法により測定した。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)を求めた。
(鉛筆硬度)
得られた保護フィルムの鉛筆硬度を、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験によって測定した。次いで、保護フィルムを60℃90%RH下で1000時間保存した後、前述と同様にして鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度の測定は、保護フィルムのハードコート層を測定面として行った。
製造例1〜25で得られた保護フィルムの構成を表3に示し;評価結果を表4に示す。
Figure 2014178178
Figure 2014178178
6.位相差フィルム(F2、F3)の作製
位相差フィルムA
下記組成のコア層用ドープ、スキンB層用ドープおよびスキンA層用ドープを、それぞれ調製した。
(コア層用ドープの組成)
セルロースアセテート(総置換度2.45、アセチル基置換度2.45):100質量部
化合物A(Ro発現剤):3質量部
Figure 2014178178
化合物F(コハク酸/アジピン酸/エチレングリコール共重合体(共重合比=3:2:5、分子量2000)、Rth低減剤):10質量部
ジクロロメタン:406質量部
メタノール:61質量部
(スキンB層用ドープの組成)
セルロースアセテート(総置換度2.93、アセチル基置換度2.93):100質量部
化合物C(テレフタル酸/コハク酸/エチレングリコール共重合体(50/50/100モル比)、分子量2000、Ro発現剤):4質量部
アエロジルR972(日本エアロジル(株)社製、二酸化ケイ素微粒子(平均粒径15nm)、マット剤):0.12重量部
クエン酸の部分エチルエステル化合物(剥離促進剤):0.05質量部
ジクロロメタン:406質量部
メタノール:61質量部
(スキンA層用ドープの組成)
クエン酸の部分エチルエステル化合物(剥離促進剤)を含有させなかった以外はスキンB層用ドープの調製と同様にしてスキンA層用ドープを得た。
これらの各ドープを、ミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解させた後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、ドープを調製した。
得られたコア層用ドープ、スキンA層用ドープ、スキンB層用ドープを、走行する流延バンドの上に流延ダイから共流延(同時多層流延)した。共流延は、スキンB層用ドープが流延バンドに接するように行った。この流延膜を、流延バンドから剥ぎ取った後、湿潤フィルムとした後、テンターで乾燥させてウエブを得た。ドープを剥ぎ取った直後の残留溶剤量は約30質量%であった。ウエブを、テンターにて延伸率30%まで延伸した後、140℃で60秒間緩和させて、スキンB層/コア層/スキンA層の3層構造を有する、膜厚40μmの位相差フィルムAを得た。
位相差フィルムB
コア層用ドープに含まれる化合物Aを、下記化合物N−4に変更し、化合物Fを下記化合物J−38に変更した以外は、前述の位相差フィルムAの作製と同様にしてコア層用ドープを調製した。
Figure 2014178178
化合物J−38
テレフタル酸/コハク酸/エタンジオール/プロパンジオール(80/20/50/50モル比)の縮合物の両末端をアセチルエステル基で封止したもの
得られたコア層用ドープと、前述のスキンA層用ドープ、スキンB層用ドープを用いた以外は位相差フィルムAの作製と同様にして、スキンB層/コア層/スキンA層の3層構造を有する、膜厚40μmの位相差フィルムBを得た。
位相差フィルムC
下記成分を加熱しながら十分に攪拌および溶解させて、ドープを調製した。
(ドープの組成)
セルロースエステル(アセチル基置換度2.3、重量平均分子量(Mw)18.5万のジアセチルセルロース):100質量部
化合物1(レターデーション上昇剤):4質量部
Figure 2014178178
糖エステル化合物1:10質量部
化合物2(フタル酸/アジピン酸/1,2−プロパンジオール=50/50/100モル比の縮合物の両末端を安息香酸エステル基で封止したもの、分子量440):2質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径=16nm):0.20質量部
メチレンクロライド:300質量部
エタノール:40質量部
得られたドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。次いで、剥離したドープのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1m幅にスリットし、その後、ゾーン延伸で搬送方向(MD方向)に1.1倍、テンター延伸で幅手方向(TD方向)に1.5倍延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は8%であった。
テンターで延伸した後、130℃で5分間の緩和処理を施した後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻き取り、膜厚30μmの位相差フィルムCを得た。
位相差フィルムD
位相差フィルムDとして、シクロオレフィン樹脂フィルム(特開2006−235085号公報の実施例1に記載のフィルム)を準備した。
位相差フィルムE
位相差フィルムEとして、コニカミノルタアドバンストレイヤー社製セルロースアシレートフィルム 4DR(膜厚40μm)を準備した。
7.偏光板の作製
(実施例1)
1)偏光子の調製
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5gおよび水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5gおよび水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率4倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ10μmの偏光子を得た。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み25μmの偏光子を得た。厚さ60μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み20μmの偏光子を得た。厚さ40μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を5倍に変更した以外は前述と同様にして厚み15μmの偏光子を得た。厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて延伸倍率を4倍に変更した以外は前述と同様にして厚み5μmの偏光子を得た。
2)活性エネルギー線硬化性接着剤の調製
下記成分を混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化性接着剤を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
(活性エネルギー線硬化性接着剤の組成)
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート:45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂):40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル:15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート:2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン:0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン:2.0質量部
偏光板の作製
作製した保護フィルム101上に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤を、マイクログラビアコーターを用いて乾燥厚みが5μmになるように塗布して、活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成した。塗布は、グラビアローラ#300、回転速度140%/ライン速の条件で行った。
同様に、位相差フィルムA上に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤を、乾燥厚み5μmとなるように塗布して活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成した。
上記作製した膜厚10μmの偏光子の一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤層が形成された保護フィルム101を配置し、他方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤層が形成された位相差フィルムAを配置して、保護フィルム101/活性エネルギー線硬化性接着剤層/偏光子/活性エネルギー線硬化性接着剤層/位相差フィルムAの積層物を得た。得られた積層物を、ローラ機で貼り合わせた。貼り合わせは、位相差フィルムAの遅相軸と偏光子の吸収軸とが互いに直交になるように行った。
貼り合わせた積層物の両面側から、電子線を照射して、活性エネルギー線硬化性接着剤層を硬化させて偏光板201を得た。ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
(実施例2〜4、6〜11、17〜26、28、29、比較例1〜4)
保護フィルムと位相差フィルムの一方または両方の種類を、表5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板202〜205、207〜215、218〜231、233および234を作製した。
(実施例5、12、13および27)
保護フィルムの種類を表5に示されるように変更し、かつ偏光子と保護フィルムまたは位相差フィルムとの接着を水糊で行った以外は実施例1と同様にして偏光板206、216、217および232を作製した。
(実施例14〜16、比較例5)
保護フィルムの種類を表5に示されるように変更し、かつ偏光子の膜厚を表5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
得られた偏光板の偏光度を、以下の方法で測定した。
(偏光度)
得られた偏光板を、60℃95%RHの環境下1000時間放置、23℃55%RHの環境下で24時間放置した後、波長550nmの光の平行透過率と直交透過率を、自動偏光フィルム測定装置(VAP-7070、日本分光株式会社製)を用いて測定した。それにより、下記式に基づいて偏光度を求めた。そして、偏光子の劣化を、下記基準に基づいて評価した。
Figure 2014178178
◎:偏光度99%以上で問題ない。
○:偏光度98.5%以上99%未満で問題ない。
△:偏光度98%以上98.5%未満で実用上問題ない。
×:偏光度98%未満であり、問題である。
実施例1〜29、比較例1〜5の評価結果を表5に示す。
Figure 2014178178
表5に示されるように、実施例1〜29の偏光板は、偏光子の厚みが小さいにも係わらず、比較例1、3および4の偏光板よりも偏光度の劣化が極めて少ないことがわかる。
比較例1の偏光板は、被覆層を含まないため、透湿度が高く、偏光子内のホウ酸架橋がかい離したものと推測される。比較例3および4の偏光板における、透明基材層がTPPやBDPを含むため、透明基材層に滞留する水による加水分解が生じ、それにより生成した酸が偏光子内のホウ酸架橋をかい離させたと考えられる。
さらに、実施例7で使用した保護フィルム109の透明基材層の「糖エステル1」を「化合物104、114、120、301、304、401、404、P4、P6、P7」に換えた以外は実施例7と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行った。その結果、これらの偏光板についても、実施例7と同様に偏光子劣化が少なく、好ましい結果が得られた。
8.液晶表示装置の作製
(実施例30)
SONY製40型ディスプレイBRAVIA KLV-40J3000(VA方式)を準備した。この装置の、予め液晶セルの両側に貼合されていた2枚の偏光板を剥がして、作製した偏光板201をそれぞれ貼り合わせた。貼り合わせは、偏光板201の位相差フィルムAが液晶セルと接するように配置した。また、位相差フィルムAの遅相軸と、予め貼られていた偏光板の遅相軸とが平行となるようにした。それにより、液晶表示装置301を得た。
(実施例31〜58、比較例6〜10)
偏光板の種類を表6に示されるように変更した以外は実施例30と同様にして液晶表示装置302〜334を得た。
得られた液晶表示装置の、正面コントラストのムラおよびベンドムラを、以下の方法で測定した。
(正面コントラストのムラ)
60℃80%RHの環境で、液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯させた後、23℃55%RHの室内で2時間放置した。得られた液晶表示装置の白表示時の表示画面の法線方向からの輝度と、黒表示時の表示画面の法線方向からの輝度とを、それぞれELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて測定した。得られた値を、下記式に当てはめて正面コントラストとして算出した。輝度の測定は、23℃55%RHの環境下で行った。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
同様にして、表示装置の任意の10点の正面コントラストを測定した。そして、得られた10点の正面コントラストの平均値を求めた。さらに、得られた10点の正面コントラストのうち、平均値との差の絶対値が最大となる、正面コントラストの最大値もしくは最小値を求めた。これらの値を下記式に当てはめて、正面コントラストのばらつき(%)を求めた。
正面コントラストのばらつき(%)=|(正面コントラストの最大値もしくは最小値)−(正面コントラストの平均値)|/(正面コントラストの平均値)×100
正面コントラストのムラは、以下の基準に基づいて評価した。
◎:正面コントラストのばらつきがなく、ムラもない
○:正面コントラストのばらつきが1〜5%未満のばらつきであり、ムラが小さい
△:正面コントラストが5〜10%未満のばらつきであり、ムラがややある
×:正面コントラストが10%以上のばらつきであり、ムラが大きい
(ベンドムラ)
上記作製した液晶表示装置を、40℃95%RHの環境下で24時間放置した。次いで、40℃ドライの環境下で液晶表示装置を黒表示させた状態で、表示画面の4頂点付近の輝度と表示画面中央部付近の輝度との差(中心部と周辺部との画像ムラ)を目視観察し、下記の基準に従ってベンドムラの評価を行った。
◎:ベンドムラの発生が、全く認められない
○:わずかにベンドムラが認められる
△:弱いベンドムラが認められるが、実用上は許容される品質である
×:明らかなベンドムラの発生が認められる
実施例30〜58、比較例6〜10の評価結果を表6に示す。
Figure 2014178178
表6に示されるように、実施例30〜58の表示装置は、比較例6〜10の表示装置よりもコントラストのムラやパネルベンドムラが低減されたことがわかる。特に偏光子の膜厚が15μm以下であってもコントラストのムラが低減されることがわかる。
比較例7および10の表示装置に用いられる偏光板は、被覆層または偏光子の厚みが大きいため、偏光板全体の厚みも大きい。そのため、バックライトの熱による偏光板の寸法変化が大きくなり、パネルベンドムラが生じたと考えられる。
本出願は、2013年4月30日出願の特願2013−095304に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、偏光子の厚みが薄くても、透湿した水分による偏光子の劣化が少ない偏光板を提供することができる。
10 保護フィルム
11 透明基材層
13A、13B 下塗り層
15 被覆層
17 ハードコート層
20 液晶表示装置
30 液晶セル
40 第一の偏光板
41 第一の偏光子
43 保護フィルム(F1)
45 保護フィルム(F2)
50 第二の偏光板
51 第二の偏光子
53 保護フィルム(F3)
55 保護フィルム(F4)
60 バックライト

Claims (13)

  1. 厚み25μm未満の偏光子と、
    透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含む保護フィルムとを含み、
    前記透明基材層は、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含み、
    前記保護フィルムの、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、偏光板。
  2. 前記保護フィルムの前記透明基材層が、前記偏光子と対向している、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光子の厚みが2〜15μmである、請求項1に記載の偏光板。
  4. 前記透明基材層が、リン酸エステル化合物を実質的に含まない、請求項1に記載の偏光板。
  5. 前記糖エステル化合物は、水酸基の少なくとも一つが、ベンゾイル基を含むアシル基で置換されたピラノース構造単位とフラノース構造単位の一方または両方を1〜3個有する化合物である、請求項1に記載の偏光板。
  6. 前記透明基材層の厚みが、10〜70μmである、請求項1に記載の偏光板。
  7. 前記被覆層の、厚み5μmにおける40℃90%RHにおける透湿度が10〜200g/m・dayである、請求項1に記載の偏光板。
  8. 前記被覆層が、塩化ビニル樹脂を含む層である、請求項1に記載の偏光板。
  9. 前記偏光子と前記透明基材層とは、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を介して接着されている、請求項1に記載の偏光板。
  10. 前記被覆層上に配置されたハードコート層をさらに含む、請求項2に記載の偏光板。
  11. 請求項1に記載の偏光板を含む、液晶表示装置。
  12. 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、
    前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の視認側の面に配置された保護フィルムF1とを含み、
    前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子の前記バックライト側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、
    前記第一の偏光子の厚みが25μm未満であり、かつ
    前記保護フィルムF1が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下であるか、または
    前記第二の偏光子の厚みが25μm未満であり、かつ
    前記保護フィルムF4が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、液晶表示装置。
  13. 前記第一の偏光子の厚みが25μm未満であり、
    前記保護フィルムF1が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下であり、かつ
    前記第二の偏光子の厚みが25μm未満であり、
    前記保護フィルムF4が、セルロースエステルと、ジカルボン酸とジオールの縮合物由来の繰り返し単位を有するポリエステル化合物または糖エステル化合物とを含む透明基材層と、厚み1〜10μmの被覆層とを含み、40℃90%RHにおける透湿度が100g/m・day以下である、請求項12に記載の液晶表示装置。
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