JPWO2013099810A1 - 耐熱性チョコレート類の製造方法 - Google Patents

耐熱性チョコレート類の製造方法 Download PDF

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Abstract

チョコレート生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造方法を提供する。トレハロース及び/またはパラチノースを1〜25重量%含有するチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い、その後冷却固化することにより、耐熱性とソフトな食感に優れるチョコレート類を得ることができる。

Description

本発明は、耐熱性チョコレート類の製造方法に関する。
チョコレートはココアバターなどの油脂類、カカオ豆由来のカカオマスやココアパウダー、砂糖などの糖類、全脂粉乳や脱脂粉乳などの粉乳類及びレシチンなどの乳化剤を主要成分としてなる世界的に嗜好性の高い食品である。一般的なチョコレートは、油脂の連続相の中にその他の成分が分散された状態であるため、チョコレートの固化性、融解性及び耐熱性は連続相をなす油脂の物理的性質に依存している。チョコレートに使用される油脂の代表がココアバターであり、その融点が33℃前後であるため、体温付近で急激に融解し冷感を伴う優れた口溶けを示す一方で、35℃を超えると油脂が殆ど融解して耐熱性が失われ、結果として表面のべとつき、互いの付着、保型性の喪失のような問題が生じる。
上記のような問題を防止するために、ココアバターに代わる油脂としてココアバター改良油脂、ココアバター代用油脂などの融点34〜42℃の各種油脂が使用されているが、かかる油脂を用いてもチョコレート類の耐熱性は38℃程度が限界であるとともに、体温以上の融点を有する油脂を使用したチョコレート類の口溶けは大幅に低下し嗜好性の低いものになるという問題があった。
一方で、市場ニーズとしては夏場の日本や熱帯地域などの40℃前後までの耐熱性が要求される市場に、口溶けの優れた嗜好性の高いチョコレート類を提供したいという大きなニーズが存在する。
上記ニーズに対応するべく、耐熱性に優れた油性菓子類の製造方法が開示されている。特許文献1は、砂糖の一部または全部を結晶ブドウ糖、果糖、結晶ソルビトール、粉末水飴、粉末水添水飴等の代替糖類の一種または二種以上と置換して調整したチョコレート生地を成形後に80℃以上に数秒から数十分間の加熱固化させる方法であり、油脂の融点以上の40〜90℃でもべたつきのない油性菓子に関するものである。
特許文献2は、果糖、ソルビトール、含水結晶ブドウ糖、無水結晶ブドウ糖、粉末水飴、粉末水添水飴等の固化促進糖が配合され、かつ固化促進糖と砂糖の合計量が35%以上、糖類以外の無脂固形分が10%以上、脂肪が38%以下の組成を有する油性菓子生地を、成形後、80℃以下で数秒〜数十分間の加熱固化させる方法であり、油脂の融点以上の30〜90℃でも形崩れやべたつきがない油性菓子が開示されている。
特許文献3は、油脂及び糖類を油成分とし水分3%以下の油脂性菓子生地表面を吸湿させ、これを焼成する耐熱性の優れた菓子の製造法であり、形が崩れたり、表面がべたついたり、互いに付着したりせず、しかも油脂性菓子生地本来の食感を損なわない、耐熱性の優れた菓子に関するものである。
特許文献4は、トレハロース及びデキストリンを含有するチョコレート等の油脂性菓子に関し、チョコレート等をパン生地或いは焼き菓子生地上に載置し、焼成後もパン生地或いは焼き菓子生地に十分接着して剥がれ難く、また焼成後の形状は型崩れすることもなく耐熱性のあるものについて開示している。
特許文献5は、トレハロース及び/又はマルトースを含有するチョコレート生地を焼成して、チョコレート生地中の油脂融点以上の温度にしてもべとついたり、手指に付着することがない焼成チョコレートに関するものである。
特開昭52−148662号公報 特開昭56−85245号公報 特許第4126838号公報 特開2000−189057号公報 特開2010−207197号公報
特許文献1は、耐熱性は確かに付与できる方法であるが、硬くてボソボソとした食感になり本来のチョコレートの滑らかな食感と口当たりが得られないという問題に加え、砂糖の一部または全部を代替糖類に置き換えてチョコレート生地を調製する際に、ロールなどのリファイナー粉砕が容易でなく微粒化が困難で、ざらつく食感の原因になったり、チョコレート生地のコンチング工程において凝集によるダマ(粗大粒子)の発生や生地の粘度上昇の問題があり、実質的に実用的な方法ではなかった。
特許文献2は、上記同様の代替糖類を使用したチョコレート生地をチョコレート様のソフトな食感とスイートな味にするため80℃以下で加熱固化する方法であるが、やはりチョコレート本来の風味や滑らかさが得難いという問題と上記同様の微粒化と生地調製が困難という問題があった。
特許文献3では、チョコレート表面を吸湿させてから加熱焼成することにより優れた耐熱性を得ることができるが、チョコレートを成形後にチョコレート表面に水や糖類を含有する水をスプレーや塗布するという煩雑な工程が必要であった。また、吸湿や焼成の度合いによっては、チョコレート表面が硬い食感となりチョコレート本来のソフトな食感が得られ難いという問題もあった。
特許文献4は、トレハロース及びデキストリン含有のチョコレートを焼き菓子生地上に載置し焼成することにより優れた耐熱性を得る方法であるが、焼成後のチョコレートは焼き菓子様のサクサクした食感となり、チョコレート本来のソフトで滑らかな食感とは異なるものであった。
特許文献5は、トレハロース及び/又はマルトースを含有するチョコレート生地を焼成することにより優れた耐熱性を得る方法であるが、焼成工程によりチョコレート表面はパリパリした硬い食感となり、やはりチョコレート本来のソフトで滑らかな食感とは異なるものであった。
上記のように、チョコレート中の油脂の融点以上の耐熱性を有し、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレートの製造方法は確立されていなかった。
本発明の目的は、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造方法を提供することにある。また、チョコレート生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がない耐熱性のあるチョコレート類の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、トレハロース及び/またはパラチノースを特定量含有するチョコレート類生地であれば、チョコレート類生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がないこと、該チョコレート類生地を特定条件で加熱処理することにより、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は
(1)トレハロース及び/またはパラチノースを1〜25重量%含有するチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い固化させることを特徴とする耐熱性チョコレート類の製造方法。
(2)トレハロース及び/またはパラチノース含有量が1〜20重量%である(1)記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
(3)トレハロース及び/またはパラチノース含有量が2〜10重量%である(1)記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
(4)(1)記載の加熱処理時間が60分以内である(1)〜(3)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
(5)チョコレート類生地の水分が2重量%以下である(1)〜(4)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
に関するものである。
本発明によれば、チョコレート類生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるチョコレート類とは、油脂が連続相を為すもので、チョコレートやチョコレート様食品が挙げられ、またチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」を含むものであって、カカオ豆から調製したカカオマス、ココアバター、ココアパウダー及び糖類を原料とし、必要により他の食用油脂、乳製品、香料等を加え、通常のチョコレート製造の工程を経たものをいう。
上記チョコレート様食品とは、物性改良や製造コストの節約等の目的にて、ココアバターの一部または全部に代えて他の油脂(CBEと称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むものと、CBRと称されるラウリン系もしくは高エライジン酸タイプのハードバター、さらには菓子類、パン類、冷菓類のコーチング用には用途に合わせて高融点〜低融点の各種油脂や液状油)を使用したものが挙げられる。
本発明の耐熱性に優れるチョコレート類は、例えば以下の方法で製造することができる。
チョコレート類原料として、カカオマス、ココアパウダー、糖類、粉乳、油脂類、乳化剤、香料、香味剤、着色料等、通常のチョコレート類に使用される任意の成分等を含むチョコレート類の生地を本発明に利用することができる。
本発明では糖類として、トレハロース及び/またはパラチノース(物質名:イソマルツロースともいう)に、必要に応じて砂糖、乳糖等の他の糖類などを配合したものが好ましく用いられる。トレハロース及び/またはパラチノースの配合量はチョコレート類生地全重量の1〜25重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは2〜10重量%である。トレハロース及び/またはパラチノース配合量が1重量%未満では、チョコレート中の油脂の融点以上の耐熱性が得られず、チョコレート表面がべとついたり、手指に付着するという問題があり好ましくない。また、25重量%を超えると、チョコレート類生地調製中の微粒化が困難になるとともに、トレハロース及び/またはパラチノース高配合のためチョコレート類の甘味が不足し、チョコレート類の製造コストも高くなるため好ましくない。なお、本発明においては、トレハロースとパラチノースのいずれかを使用することも、合計量が1〜25重量%の範囲で併用することもできる。

本発明におけるチョコレート類に配合される油脂類としては、ココアバターや各種植物油脂を利用することができるが、所謂ハードバターが好適であり、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス酸型ハードバター、非対称型トリグリセリドであるSSO(1,2−ジステアロ、3−オレイン)やPSO(1−パルミト、2−ステアロ、3−オレイン)、PPO(1,2−ジパルミト、3―オレイン)を主要トリグリセリドとして、一部対称トリグリセリドや少量のトランス脂肪酸含有トリグリセリド、飽和トリグリセリドを混合して調製される低トランス非ラウリン酸型ハードバター、ラウリン酸型ハードバター等のノーテンパリング型油脂、ココアバター、ココアバター代用脂等のテンパリング型油脂が利用できる。その他油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が利用できる。原料として例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、ココアバター、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、並びに、それらの油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。
本発明ではチョコレート類の加熱処理後にテンパリング操作を行うことができないため、上記のハードバターの中でも、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス型ハードバター、低トランス非ラウリン酸型ハードバター、ラウリン酸型ハードバター等の所謂ノーテンパリング型ハードバターのいずれかを配合するのが好ましい。
本発明におけるチョコレート類に含まれてもよい更なる成分は、カカオマス、ココアパウダー、全粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダー、ホエー製品、ヨーグルトパウダー等の乳製品固形物や、コーヒー、バニラ、キャラメル、フルーツ、ナッツ、及び、フルーツパウダー及びドライフルーツ、ナッツ、バニラ、ハーブ(例えばミント)などの香味剤や、バニラ香料、ハーブ香料、キャラメル香料などの香料や、ナッツ、シリアル、膨化物、フルーツ、クリーム、又はそれらの混合物や、その他の食用成分である。着色料、香味剤、香料は、前述の成分に限られず、当業者に周知の任意のものが使用される。
乳化剤は機能性や規制に応じて適宜選択され、例えばレシチン、分別レシチン、PGPR(縮合リシノール酸エステル)及び燐酸アンモニウム等を含み、また、保管、輸送中に油脂の融点以上の高温に晒された場合の対策として、ブルームを抑制する周知の乳化剤を用いることも出来る。
本発明のチョコレート類生地は、例えば下記のような常法通りの製造方法で調製することができる。ココアパウダー、糖類、粉乳などの固形粉末原料に対し、加熱融解したカカオマスや油脂類とレシチンなどの乳化剤を添加し、ホバートミキサーなどを用いて混合して、油脂分20〜30重量%のぺースト状の生地を調製する。得られた該生地をロールなどのレファイナーで平均粒子径が15〜30μmの滑らかな粒子になるよう微粒化する。次いで、40〜80℃に保温しながらコンチング(攪拌、混合)を行い滑らかなペースト状としてから、さらに油脂類、乳化剤、香料等を添加、混合して所定のチョコレート類生地を得る。
上記のチョコレート類生地の調製において、リファイナーなどによる微粒化は平均粒子径が15〜30μmであるのが好ましく、さらに好ましくは18〜25μm、最も好ましくは18〜22μmであり、30μmを超えるとややざらつきを感じる食感となるため好ましくない。また、コンチング工程において生地が粘度上昇を起こすと、ダマが発生したり、ミキサー壁面に付着しやすくなり滑らかなペースト状とするために長時間を要したり、最終的に調製されたチョコレート類生地の粘度が高すぎたりして、後の成形工程に支障を来たすような問題が生じる。従って、コンチング工程で生地の粘度上昇が許容範囲となるようなチョコレート類生地の配合設定が重要である。かかる粘度上昇の問題は、糖類として無水グルコース、グルコース−1水和物、フルクトース、ソルビトール、エリスリトール、マルトース、粉末水飴、粉末還元水飴などを比較的多量配合した場合に発生する傾向が高いため、かかる糖類をトレハロース及び/またはパラチノースと併用する場合はその配合量に注意する必要があり、チョコレート類生地全重量に対し好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下であるのが望ましい。
本発明のチョコレート類生地の水分は2重量%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。水分が上限を超えると、上記のような生地調製中の粘度上昇の問題が起こりやすくなるため好ましくない。また、本発明のチョコレート類生地の油脂分は25〜45重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは30〜40重量%、最も好ましくは32〜38重量%である。油脂分が25重量%未満ではチョコレートの滑らかな食感が損なわれて、ごりごりした食感になったり、保管環境によっては糖の吸湿によりべたつく物性になる傾向があるため好ましくない。また、油脂分が45重量%を超えると、チョコレート表面へのオイルオフが顕著になるため好ましくない。
本発明の耐熱性チョコレート類とは、チョコレート類中の油脂の融点以上の温度域、40〜90℃で、チョコレート表面がべとついたり、チョコレート同士が付着したり、型崩れしないような耐熱性を有するとともに、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類である。
本発明の耐熱性チョコレート類は、上記の方法によって調製したチョコレート類生地を所望の型に流し込みしたり、焼き菓子やパンなどにコーチングしてから、80〜110℃、さらに好ましくは80〜100℃で加熱処理を行い、最終的に冷却してチョコレート類中の油脂を固化させてから型抜きされた板状のチョコレート類やチョコトレート類のコーチングされた焼き菓子やパンのような最終製品を得ることができる。かかる加熱処理により、トレハロース及び/又はパラチノースに由来するガラス状構造体が形成される結果、チョコレート類中の油脂が融解する温度域である40〜90℃でも耐熱性を有するものになると考えられる。加熱処理温度が80℃未満であると、所望の耐熱性が得られないため好ましくなく、逆に110℃を超えると硬い食感となり所望のソフトで滑らかな食感が得られず、またチョコレート風味も低下するため好ましくない。なお、加熱処理後の冷却は、0〜15℃の冷蔵庫放置冷却やクーリングトンネルなどの冷風冷却、30℃以下の室温放置冷却などを利用することができる。
本発明の上記加熱処理時間は60分以内であるのが好ましく、さらに好ましくは10秒〜40分、最も好ましくは10秒〜20分である。加熱時間はチョコレート類の重量や形状にもよるが、例えば薄い板状チョコレートや菓子類、パン類への薄いコーチングチョコレートの場合は加熱により80〜110℃に達温次第、該温度で保持することなく速やかに上記いずれかの冷却方法で冷却しても良い。少し厚みのある板状チョコレートやコーチングチョコレートの場合は、10秒未満であると、所望の耐熱性が得られないため好ましくない。また、60分を超えるとチョコレート類の生産効率が低下するためやはり好ましくない。
本発明の加熱処理する方法としては、80〜110℃のオーブンやオーブントンネル、ドライヤーなどでの熱風加熱、ヒーター温度150〜700℃の赤外線加熱よりチョコレート類を80〜110℃に加熱する方法や、マイクロ波などの周知の各種加熱手段を利用することができる。中でも、装置が比較的単純でかつ比較的短時間での加熱処理として、赤外線加熱によるヒーター温度300〜400℃、3分以内などの加熱処理によりチョコレート類を80〜110℃に加熱する方法を好適に利用することができる。
また、本発明においては、上記加熱処理前に冷却固化することもできる。本発明の冷却固化とは、調整した融解状態のチョコレート類生地を板状チョコレートの型に流し込んだり、焼き菓子やパンにコーチングしたりしてから、0〜15℃の冷蔵庫やクーリングトンネルで冷却して固化させることを意味する。かかる冷却固化により、冷却後に型からはずした板状チョコレートや焼き菓子やパンにコーチングしたチョコレートの表面を滑らかな状態にすることができる。その後、上記同様の加熱処理と冷却を行うことにより、表面が滑らかな耐熱性チョコレート類を得ることができる。
以下に実施例を記載する。各例中の%及び部は重量基準を意味する。
なお、各例において調製したチョコレート類生地の平均粒子径、粘度、ダマの発生は下記の方法で測定または確認した。
(平均粒子径)
マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製、商品名「デジマチック標準外側マイクロメーター MDC−25PJ」)の測定面にチョコレート類(油分が50%未満に満たない場合は、液油により希釈し油分50〜60%に調製)を付着させ、測定面同士を付着させてチョコレート類が測定面よりはみ出す状態で粒度を測定する。粒度は5回測定し、最大と最小の値を除く3回の測定値の平均値を平均粒子径とした。
(粘度)
チョコレート類の品温を45℃に調整し、BM型粘度計(東京計器株式会社製)で10,000cP以下の場合は3号ローター、12rpmにて測定し、10,000cPを超える場合は4号ローター、12rpmにて測定した。
(ダマの確認)
コンチング終了後のチョコレート類生地1.5Kgを100メッシュ篩を通過させ、メッシュ上の粒状物の有無を目視で確認する。粒状物がないものを合格、あるものを不合格とした。
また、調製した耐熱性チョコレート類の耐熱性評価、食感と風味評価は下記の基準で評価した。
(耐熱性評価)
型抜きしたチョコレートを20℃、3日間安定化後、40℃恒温槽に7日間放置してから、チョコレート表面を手で触って手指への付着の有無、オイルオフの有無、変形の有無を確認した。
◎:非常に良好(手指への付着、オイルオフ、変形いずれもない)
○:良好 (手指へわずかにオイルが付着するが、変形はない)
△:やや不良 (手指への付着、オイルオフがあるが、変形はない)
×:不良 (手指への付着とオイルオフが激しく、変形も発生)
(食感評価)
型抜きしたチョコレートを20℃、3日間安定化後、官能評価によって評価した。
◎:非常に良好(表面及び内部ともソフトで滑らかな食感)
○:良好 (表面がやや硬いが、内部はソフトで滑らかな食感)
△:やや不良 (表面が硬く、内部もやや硬い食感)
×:不良 (表面、内部とも硬く、滑らかさがない食感)
試作例1
ココアパウダー(油分11%)5.7部、砂糖24.8部、トレハロース(株式会社 林原商事製)16.2部、全脂粉乳20.6部を計量、混合し、あらかじめ融解したカカオマス2.3部、精製硬化パーム核油36℃(不二製油株式会社製、商品名「ニューメラリン36」)21.4部をミキサー(愛工舎株式会社製AM30)を用いて攪拌しながら添加した。得られたドウ状の生地をロールリファイナー(BUHLER株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微粉砕し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークを5部の精製硬化パーム核油36℃とレシチン0.3部と共にコンチングミキサー(株式会社品川工業所製)にて、55℃に保温しながら中速攪拌した。フレークがややソフトなドウ状となってから、精製硬化パーム核油36℃4部及びレシチン0.2部を攪拌しながら添加し、チョコレート生地Aを得た。チョコレート生地Aの平均粒子径は18μm、粘度は9,020cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。
試作例2〜12
試作例1のトレハロース16.2部を、砂糖、マルトース−1水和物(商品名「サンマルトシロ」、株式会社 林原商事製)、無水グルコース(商品名「TDA−C」、サンエイ糖化株式会社製)、グルコース−1水和物(商品名「ハイメッシュ」、サンエイ糖化株式会社製)、ソルビトール(商品名「LTS−P50M」,三菱商事フードテック株式会社製)、フルクトース(商品名「Krystar 300」、Tate & Lyle社製)、エリスリトール(商品名「Eridex F 16960」、株式会社カーギルジャパン製)、パラチノース((商品名「結晶パラチノース IC」、三井製糖株式会社製)、還元パラチノース(商品名「粉末還元パラチニット PNP」、三井製糖株式会社製)、粉末水飴(商品名「ニポデックス25」、サンエイ糖化株式会社製)、粉末還元水飴(商品名「Amalty MR−50」、三菱商事フードテック株式会社製)の16.2部にそれぞれ置換して、試作例1同様にチョコレート生地B〜Lを試作した。各生地の水分はいずれも0.8〜0.9%であった。各試作生地の平均粒子径、粘度、ダマの発生有無,コンチング中の壁面への凝集有無について、表1に示す。
表1
Figure 2013099810
表1に示すように、平均粒子径、粘度、ダマ、コンチング中の凝集に関していずれも問題が認められなかったのは、試作例1のトレハロース、試作例2の砂糖及び試作例9のパラチノースであった。その他の糖配合品については、微粒化困難、粘度上昇、ダマの発生、コンチング中の壁面への凝集のいずれかひとつ以上の問題点が認められ、実用性に乏しいという結果であった。
実施例1
試作例1で得られたチョコレート生地Aを、品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレートの耐熱性評価、食感評価は、耐熱性、食感とも非常に良好であった。また、チョコレート風味も良好であった。
実施例2
試作例1の砂糖を38.4部、トレハロースを2.6部へ変更して、その他は全て実施例1同様にチョコレート生地及び耐熱性チョコレートを調製した。
実施例3
試作例1の砂糖を33.3部、トレハロースを7.7部へ変更して、その他は全て実施例1同様にチョコレート生地及び耐熱性チョコレートを調製した。
実施例4
試作例1の砂糖を21.0部、トレハロースを20.0部へ変更して、その他は全て実施例1同様にチョコレート生地及び耐熱性チョコレートを調製した。
比較例1
試作例2で得られたチョコレート生地Bを使用して、実施例1同様に耐熱性チョコレートを調製した。
比較例2
試作例1の砂糖を11.0部、トレハロースを30.0部へ変更して、その他は全て実施例1同様にチョコレート生地及び耐熱性チョコレートを調製した。
表2に、実施例1〜4、比較例1〜2のテスト結果を示す。

表2
Figure 2013099810
トレハロースを2.6〜20%配合した実施例1〜4はチョコレート生地調製上の問題もなく、優れた耐熱性と食感を有しており、チョコレート風味も良好であった。トレハロースを含まない比較例1は、耐熱性が全く得られなかった。また、トレハロースを30%含有する生地の比較例2では、微粒化工程に難があり、ざらつきのある平均粒子径となり食感は不良であった。なお、実施例1〜4、比較例1〜2のチョコレート生地の水分はいずれも0.8〜0.9%であった。
実施例5〜10、比較例3〜4
実施例2で調製したチョコレート生地(トレハロース2.6%含有)を、70〜120℃の各温度で30分間の加熱処理を行い、耐熱性と食感を評価した。
表3に、実施例5〜10、比較例3〜4のテスト結果を示す。
表3
Figure 2013099810
80〜110℃、30分の加熱処理をした実施例5〜10はいずれも良好な耐熱性と食感を示し、チョコレート風味も良好であった。70℃、30分の加熱処理した比較例3では、耐熱性が得られなかった。120℃、30分の加熱処理した比較例4では、優れた耐熱性であったもののサクサクした焼き菓子様の食感であり、チョコレート風味もやや乏しいものであった。
実施例11〜16、比較例5〜6
実施例1のチョコレート生地Aを、同様に70〜120℃の各温度で30分間の加熱処理を行い、耐熱性と食感を評価した。
表4に、実施例11〜16、比較例5〜6のテスト結果を示す。
表4
Figure 2013099810
80〜110℃、30分の加熱処理をした実施例11〜16はいずれも良好な耐熱性と食感を示し、チョコレート風味も良好であった。70℃、30分の加熱処理した比較例5では、耐熱性が得られなかった。120℃、30分の加熱処理した比較例6では優れた耐熱性であったもののサクサクした焼き菓子様の食感であり、チョコレート風味もやや乏しいとともにやや焦げくさいものであった。
実施例17〜22、比較例7〜8
実施例4で調製したチョコレート生地(トレハロース20%含有)を、70〜120℃の各温度で30分間の加熱処理を行い、耐熱性と食感を評価した。
表5に、実施例17〜22、比較例7〜8のテスト結果を示す。
表5
Figure 2013099810
80〜110℃、30分の加熱処理をした実施例17〜22はいずれも良好な耐熱性と食感を示し、チョコレート風味も良好であった。70℃、30分の加熱処理した比較例7では、耐熱性が得られなかった。120℃、30分の加熱処理した比較例8では優れた耐熱性であったもののサクサクした焼き菓子様の食感であり、チョコレート風味もやや乏しいとともにやや焦げくさいものであった。
実施例23
実施例3で調製したチョコレート生地(トレハロース7.7%含有)を、160mm×80mm×2mmの薄型モールドに品温55℃で流し込み、モールドに入れた状態でヒーター温度200〜210℃の遠赤外線加熱装置を用いて加熱処理した。チョコレート表面温度は放射温度計(SK−8900 株式会社佐藤計量器製作所製)を用いて、遠赤外線加熱装置内のチョコレート表面温度をモニターした。チョコレート表面温度は、加熱開始1分後に90℃に達し、3分後に95℃となった時点でヒーターを停止してさらに1分間保持して表面温度を95〜100℃で維持した。その後、モールドを5℃、冷蔵庫中で1時間冷却してから型抜きして耐熱性チョコレートを得た。
実施例24
実施例23のヒーター停止後の保持時間1分間を、6分間に変更して同様に耐熱性チョコレートを得た。
比較例9
実施例23のヒーター温度を260〜265℃に変更して加熱処理した。チョコレート表面温度が30秒後に105℃に達した時点でヒーターを停止してさらに3分30秒間保持して表面温度105〜120℃で維持した。その後、モールドを5℃、冷蔵庫中で1時間冷却してから型抜きして耐熱性チョコレートを得た。
表6に、実施例23〜24、比較例9のテスト結果を示す。
表6
Figure 2013099810
遠赤外線加熱装置を用いた加熱処理で、チョコレート表面温度が90〜100℃でそれぞれ、4分間及び9分間保持された実施例23及び実施例24はいずれも良好な耐熱性と食感を示し、チョコレート風味も良好であった。一方、チョコレート表面温度が105〜120℃で4分間保持された比較例9は、優れた耐熱性を示したが食感は焼き菓子様のサクサクした食感であり、チョコレート風味もやや乏しいとともにやや焦げくさいものであった。
実施例25
実施例1の砂糖を33.5部、トレハロースを7.5部へ変更して、その他は全て実施例1と同様にチョコレート生地を調製した。乳化剤(「CRS75」、阪本薬品工業株式会社製)0.13部を用いて適宜粘度調整(53.0Poise)を行い、45℃にて市販のクッキー(「ムーンライト」、森永製菓株式会社製)の半面にコーチングし、20℃室温で1時間放置し冷却固化した。その後、ヒーター温度250℃〜260℃の遠赤外線加熱装置を用いて3.5分間加熱した。放射温度計(SK−8900 株式会社佐藤計量器製作所製)を用いて、遠赤外線加熱装置外に取り出したコーチングチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始後3分後に80℃に達し、3分30秒後には88℃に達していた。その後、5℃の冷蔵庫中で1時間冷却してから耐熱性チョコレート菓子を得た。
実施例26
実施例25のヒーター温度を360℃〜370℃、加熱時間を1分間に変更して同様に耐熱性チョコレート菓子を得た。実施例25同様にチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始後50秒後に80℃に達し、1分後に90℃に達していた。
比較例10
実施例25のヒーター温度を200℃〜210℃、加熱時間を2.5分間に変更して同様に耐熱性チョコレート菓子を得た。実施例25同様にチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始後2.5分後に65℃に達していた。
比較例11
実施例25のヒーター温度を370℃〜380℃、加熱時間を2分間に変更して同様に耐熱性チョコレート菓子を得た。施例25同様にチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始後50秒後に80℃に達し、2分後に120℃に達していた。
表7に、実施例25〜26、比較例10〜11のテスト結果を示す。
表7
Figure 2013099810
チョコレートコーチングを施したクッキーに、遠赤外線加熱装置を用いた加熱でチョコレート表面温度を88℃〜90℃とした実施例25及び実施例26はいずれも良好な耐熱性と食感を示し、掛かったチョコレート風味も良好であった。一方、チョコレート表面温度が65℃しか到達しなかった比較例10では、風味や食感に優れるものの耐熱性に乏しく、また、チョコレート表面温度が120℃に到達したものは食感が硬く、口の中にチョコレート片が残る感触があり、チョコレート本来の風味も乏しかった。
試作例13
ココアパウダー(油分11%)5.8部、砂糖28部、トレハロース18.3部、全脂粉乳9.7部を計量、混合し、あらかじめ融解したカカオマス2.9部、精製硬化パーム核油40℃(不二製油株式会社製、商品名「ニューメラリン40」)21.3部をミキサー(愛工舎株式会社製AM30)を用いて攪拌しながら添加した。得られたドウ状の生地をロールリファイナー(BUHLER株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微粉砕し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークを精製硬化パーム核油40℃ 5部及びレシチン0.3部と共にコンチングミキサー(株式会社品川工業所製)にて、55℃に保温しながら中速攪拌した。フレークがややソフトなドウ状となってから、精製硬化パーム核油40℃ 9部及びレシチン0.2部を攪拌しながら添加し、チョコレート生地Mを得た。チョコレート生地Mの平均粒子径は27μm、粘度は2,000cP、油分39.9%、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。
試作例14
ココアパウダー(油分11%)7.1部、砂糖33.6部、トレハロース22部、全脂粉乳11.7部、蔗糖脂肪酸エステル(商品名「リョートー脂肪酸エステル S770 0.14部を計量、混合し、あらかじめ融解したカカオマス3.6部、精製硬化パーム核油36℃(不二製油株式会社製、商品名「ニューメラリン36」)21.5部をミキサー(愛工舎株式会社製AM30)を用いて攪拌しながら添加した。得られたドウ状の生地をロールリファイナー(BUHLER株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微粉砕し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークをレシチン0.2部と共にコンチングミキサー(株式会社品川工業所製)にて、55℃に保温しながら中速攪拌した。フレークがややソフトなドウ状となってから、レシチン0.2部、PGPR(縮合リシノール酸エステル、商品名「Palsgaard 4150」)0.5部を攪拌しながら添加し、チョコレート生地Nを得た。チョコレート生地Nの平均粒子径は28μm、粘度は7,500cP、油分27.2%、水分は0.9%であり、ダマの発生はなく合格であった。
試作例15
試作例13の砂糖28部、トレハロース18.3部を砂糖46.3部に代えて、試作例13同様にチョコレート生地Oを調製した。チョコレート生地Oの平均粒子径は22μm、粘度は1,900cP、油分39.9%、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。
実施例27
試作例13で調製したチョコレート生地Mを加熱融解して50℃に調温し、市販のビスケット(商品名「マリー」、森永製菓株式会社製)上面に1枚当たり約7gをコーチングした。その後、90℃オーブンで30分間の加熱処理を行い、5℃冷蔵庫で10分間冷却固化した。得られたチョコレートコーチングビスケットをアルミホイルで1枚づつ包装し、20℃、1日保管後、40℃恒温槽に5時間放置した直後の耐熱性を評価した。
実施例28
実施例27のチョコレート生地Mを、試作例14で調製したチョコレート生地Nに代えて、実施例27同様に調製したチョコレートコーチングビスケットの耐熱性を実施例27同様に評価した。
比較例12
実施例27のチョコレート生地Mを、試作例15で調製したチョコレート生地Oに代えて、実施例27同様に調製したチョコレートコーチングビスケットの耐熱性を実施例27同様に評価した。
実施例27〜28、比較例12の評価結果を表8に示す。
表8
Figure 2013099810
トレハロースを18.3%含有する油分39.9%の実施例27及びトレハロースを22%含有する油分27.2%の実施例28は、40℃、5時間放置直後にアルミホイル包装を開封したところ、アルミホイルへの付着がなく、手指への付着もない優れた耐熱性を示した。また、いずれも食感、チョコレート風味とも良好であった。トレハロースを含有しない比較例12は、アルミホイルへの付着が激しいとともに、手指へも付着しやすい耐熱性に乏しいものであった。
実施例29
試作例9で調製したチョコレート生地I(パラチノース 16.2%含有)を使用して、品温55℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、100℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレートの耐熱性評価、食感評価は、耐熱性、食感とも非常に良好であり、チョコレート風味も良好であった。
実施例30
実施例29の100℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理に代えて、110℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行い、実施例29同様に板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレートの耐熱性評価、食感評価は、耐熱性、食感とも非常に良好であり、チョコレート風味も良好であった。
実施例31
実施例3で調製した耐熱性チョコレート(トレハロース 7.7%含有)の耐熱性評価条件を、実施例3の40℃、7日に代えて60℃、1日で評価した。評価結果は、手指へわずかにオイルが付着するが、変形はなく良好であった。
実施例32
実施例29で調製した耐熱性チョコレート(パラチノース 16.2%含有)の耐熱性評価条件を、実施例29の40℃、7日に代えて60℃、1日で評価した。評価結果は、手指への付着も変形もなく非常に良好であった。
本発明により、チョコレート生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類を製造することができる。

Claims (5)

  1. トレハロース及び/またはパラチノースを1〜25重量%含有するチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い固化させることを特徴とする耐熱性チョコレート類の製造方法。
  2. トレハロース及び/またはパラチノース含有量が1〜20重量%である請求項1記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
  3. トレハロース及び/またはパラチノース含有量が2〜10重量%である請求項1記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
  4. 請求項1記載の加熱処理時間が60分以内である請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
  5. チョコレート類生地の水分が2重量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。
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