JPWO2012140817A1 - テンショナ - Google Patents
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Abstract
テンショナは、可動部材と、固定部材と、固定部材と可動部材との間に介装されかつ、可動部材を押圧方向に付勢する付勢手段と、固定部材と可動部材との間に介装され、可動部材の回動を減衰させる減衰部材と、を備える。減衰部材は、摺動摩擦力によって可動部材の回動を減衰させる樹脂組成物によって形成され、樹脂組成物は、水との接触角が70°以上100°以下である。
Description
ここに開示する技術は、プーリをベルトに押圧することによって当該ベルトに所定の張力を付与するテンショナに関する。
従来より、例えば自動車エンジンによる補機類駆動のためのVベルト等に所定の張力を付与しかつ、その張力が変動することに応じて張力を調整する動作に対する減衰力を変化させるようにしたテンショナが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。このテンショナは、自動車エンジンに固定される固定部材と、この固定部材に回動可能に支持される回動部材と、固定部材と回動部材との間に介装されかつ、回動部材を付勢する付勢手段と、を備えている。ベルトに押圧されるプーリは、回動部材に回転可能に支持されており、付勢手段は、プーリがベルトを押圧する押圧方向に回動部材を付勢するように構成されている。そうして、固定部材と回動部材との間には、回動部材の回動を減衰させる減衰部材が介装されている。特許文献1〜3に記載されているテンショナにおいては、この減衰部材は、摺動摩擦力によって減衰を付与する合成樹脂によって形成されている。
前述の合成樹脂製減衰部材は、その摺動摩擦力によって減衰を付与するものであるから、良好な摺動性及び耐摩耗性が求められる。合成樹脂製減衰部材には、従来から、例えばポリアミド46樹脂やポリアミド66樹脂等のポリアミド樹脂をベース樹脂とした樹脂組成物が用いられている。
一方で、前述したエンジンの補機類駆動用のベルトシステムに利用されるテンショナは、エンジン外表部に搭載されるから、車両のボンネットやタイヤカバー、エンジンアンダーカバー等により覆われているが、完全密閉でない。そのため、過度な走行環境下においては、被水することによってテンショナの内部に水が浸入する場合がある。本願発明者らの検討によると、テンショナ内部への水の浸入によってテンショナの減衰力の変化が大きくなる場合がある。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、テンショナが被水したときの減衰性能の変化を抑制することにある。
例えば特許文献2には、減衰部材を、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とした樹脂組成物により形成することが記載されている。これによって特許文献2のテンショナは、被水時に摩擦力が増大してしまうことを防止するようにしている。しかしながら、本願発明者らが検討したところ、ポリフェニレンサルファイド樹脂は動摩擦係数が高く、当該ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物に対し摩擦摩耗試験を行った結果、その摺動面(摩擦表面)に「焼け跡」が発生してしまうことが判った。従って、このポリフェニレンサルファイド樹脂は、テンショナの減衰部材を形成する樹脂組成物のベース樹脂としては不適である。
そこで本願発明者らは、新たな樹脂組成物を選定するに際し、被水時に、テンショナの減衰性能が変化する原因について検討した。その結果、減衰性能の変化は、(1)合成樹脂製減衰部材の吸水による寸法変化に伴う摺動部分のクリアランス量の変化、及び、(2)合成樹脂製減衰部材の吸水による摩擦係数の変化、の2つの要因があることをつきとめた。ここに開示する技術は、この内でも(2)の摩擦係数の変化を防止する点に着目してなされたものである。
具体的に、ここに開示する技術は、プーリをベルトに押圧することによって当該ベルトに所定の張力を付与するテンショナに係る。このテンショナは、前記プーリを回転自在に支持する可動部材と、固定体に固定されると共に、前記プーリが前記ベルトを押圧する押圧方向に、前記可動部材を回動可能に支持する固定部材と、前記固定部材と前記可動部材との間に介装され、当該可動部材を前記押圧方向に付勢する付勢手段と、前記固定部材と前記可動部材との間に介装され、前記可動部材の回動を減衰させる減衰部材と、を備える。そして、前記減衰部材は、摺動摩擦力によって前記可動部材の回動を減衰させる樹脂組成物によって形成される。そうして、前記樹脂組成物を、水との接触角が70°以上100°以下のものとする。
この構成によると、樹脂組成物を、水との接触角が70°以上100°以下のものにして表面の撥水性を比較的高く設定している。このことで、減衰部材の摺動部分、より正確には互いに摺接する狭い隙間に水が浸入したとしても、可動部材の回動によって減衰部材が回動することに伴い、浸入した水が直ちに排出される。つまり、摺動部分には、実質的に水が残らない、又は、ほとんど残らないため、減衰部材の吸水が抑制されて摩擦係数の変化が回避乃至抑制される。その結果、テンショナの被水時に、減衰性能が変化してしまうことが回避乃至抑制される。このことは、テンショナの減衰性能が変化して、安定したベルト張力の付与ができなくなるといった不具合を、回避することを可能にする。
ここで、特許文献3には、可動部材において、合成樹脂製の減衰部材に摺接する部分の表面に、フッ素樹脂を用いた無電解ニッケルめっきによる撥水処理部を形成したテンショナが記載されている。この特許文献3のテンショナは、その撥水処理部によって、摺動部分に浸入した水を直ちに排出し、摺動部分に、実質的に水が残らない、又は、ほとんど残らなくすることが可能である。つまり、特許文献3のオートテンショナも、被水時の減衰性能の変化を回避乃至抑制する上で有効である。
しかしながら、本願発明者らが検討したところ、特許文献3のテンショナは、初期時には、被水による減衰性能の変化を回避乃至抑制することが可能であるものの、使用を継続しているうちに、被水時の減衰性能の変化が大きくなることが判明した。この経時劣化は、減衰部材を構成する合成樹脂の移着に起因する。つまり、撥水処理部が形成された可動部材と摺動部材との間の摺動に伴い、減衰部材を構成する合成樹脂が、撥水処理部の表面に次第に移着してしまうのである。そうして、撥水処理部の表面が合成樹脂によって覆われてしまう結果、撥水処理部の撥水性が得られなくなって、被水時には、摺動部分に水が残ってしまう。こうして、特許文献3のテンショナは、減衰性能が大きく変化してしまうようになり、減衰性能を、長期間に亘って安定して維持することができない。
これに対し、前述した本構成のテンショナは、減衰部材を構成する樹脂組成物そのものが撥水性を有している。このため、樹脂組成物が可動部材の表面に移着したとしても、摺動部分には樹脂組成物が存在したままであるから、所定以上の撥水性が維持される。こうして本構成のテンショナは、その減衰性能を、長期間に亘って安定して維持することが可能である。
また、特許文献3のテンショナは、可動部材の表面に、無電解ニッケルめっきを形成する処理が必要で、その分、製造工程が増えてしまうのに対し、本構成のテンショナは、そうした工程数の増加はない。さらに、摺動部材に対し摺接する固定部材や可動部材の表面粗さは、予め規定された表面粗さを満足させる必要があり、特許文献3のテンショナのような無電解ニッケルめっきを形成した場合は、そのめっき部分の表面を、規定された表面粗さにしなければならず、製造が困難になるのに対し、本構成のテンショナは、めっき処理を行わないため、そうした困難性が伴わない。加えて、可動部材の表面に形成した無電解ニッケルめっきが剥がれたりする等の損傷が生じた場合には、摺動部分の撥水性も損なわれるのに対し、本構成のテンショナはそうした損傷は生じず、この点でも摺動部分の撥水性を安定して維持することが可能である。
前記樹脂組成物のベース樹脂の吸水率は、0.7%以下である、としてもよい。こうすることで、テンショナの被水時に減衰部材が吸水してしまうことを抑制することが可能になる。そのため、吸水に伴い、減衰部材の寸法が変化したり、摩擦係数が変化したりすることを抑制することが実現する。このことは、テンショナの減衰性能を安定化させる。
前記樹脂組成物のベース樹脂は、変性ポリアミド6T樹脂、ポリアミド9T樹脂、又は、ポリフタルアミド樹脂である、としてもよい。これらの樹脂をベース樹脂とすることで、樹脂組成物は、水との接触角が70°以上100°以下の条件を満足するようになるため、減衰性能の変化を回避乃至抑制する上で有利である。それと共に、これらの樹脂をベース樹脂とした樹脂組成物は、摺動性や耐摩耗性といった減衰部材に要求される他の性能も良好になる。
前記ベース樹脂のアミノ基濃度は、15%以下である、としてもよい。比較的低いアミノ基濃度は、樹脂の吸水性を低下させる上で有利になる。
前記樹脂組成物は、フッ素系摺動助剤を3〜20wt%、及び、繊維補強材を3〜10wt%を含有している、としてもよい。
これにより、摺動性や耐摩耗性に優れると共に、被水時の減衰性能の変化が回避乃至抑制可能なテンショナの減衰部材が実現する。
以上説明したように、前記のテンショナは、その減衰部材を形成する樹脂組成物を、水との接触角が70°以上100°以下にすることで、減衰部材の摺動部に水が浸入したときでも、その水を直ちに排出させて、摩擦係数の変化に起因する減衰性能の変化を回避乃至抑制することができる。しかも、摺動部分において樹脂組成物の移着が生じても、減衰性能の変化を回避乃至抑制する効果が維持される。その結果、テンショナの減衰性能が変化して、安定したベルト張力の付与ができなくなるといった不具合を、長期間に亘って安定的に回避することができる。
以下、テンショナの実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。図1はテンショナTの全体構成を示している。このテンショナTは、例えば自動車エンジン等の固定体に固定可能なアルミニウム合金からなる固定部材1と、この固定部材1に組み付けられて回動軸心P回りに回動可能に支持されたアルミニウム合金製の可動部材としての回動部材2と、これら固定部材1及び回動部材2間に縮装され、回動部材2を固定部材1に対し、所定の方向(図1の例では反時計回り方向)に回動付勢する付勢手段としての捩りコイルばね3とを備えている。
固定部材1は、先端側(図1の左下方側)が開口された有底円筒状のリヤカップ部1aと、該リヤカップ部1aの底壁中央から回動軸心P方向先端側に向けて延びる軸部4と、リヤカップ部1aの外周に半径方向外方に向けて延設された2つの取付部5とを有している。固定部材1は、これら取付部5に設けられた3箇所のボルト挿通孔6において図外の取付ボルトにより固定体に固定される。また、図示はしないが、リヤカップ部1aの周壁には、この周壁を半径方向に貫通する基端側係止孔が形成されている。
回動部材2は、基端側(図1の右上方側)が開口されかつその開口部がリヤカップ部1aの開口部と対向するフロントカップ部2aと、該フロントカップ部2aの底壁中央から回動軸心P方向基端側に向けて延び、かつ固定部材1の軸部4にその先端側から外嵌合されるボス部7と、フロントカップ部2aの外周に半径方向外方に向けて突設され、その突端にボス部7の回動軸心Pと平行な軸心Q回りにプーリ8が回転自在に支持されたアーム部9とを有する。この回動部材2は、ボス部7において固定部材1に回動可能に支持され、かつ固定部材1の軸部4先端に取り付けた略円形状の金属板からなるフロントプレート10により、合成樹脂製のスラストワッシャ11を介して抜止めがなされている。また、このフロントプレート10には規制片10aが半径方向外方に向けて突設されており、フロントカップ部2aの底壁外面側周壁の一部を切り欠いて設けられた切欠部12に該規制片10aが係合することで回動部材2の回動範囲を規制するようになされている。一方、アーム部9の突端には軸心Q方向に延びてプーリ8を軸支する軸部9aが突設されており、プーリ8はダストシールド13を介してプーリボルト14により抜止めがなされている。また、フロントカップ部2aの周壁には、この周壁を半径方向に貫通する図外の先端係止孔が形成されている。
捩りコイルばね3は、本体が左巻きで、基端3a及び先端3bのいずれもが本体から半径方向外方に向けて突出する形状とされている。そして、基端3aは固定部材1のリヤカップ部1a周壁における基端側係止孔に、また先端3bは回動部材2のフロントカップ部2a周壁における先端側係止孔にそれぞれ半径方向に貫通して係止されている。このことで、各端部3a,3bは周方向の移動が規制されている。そして、これら両端部3a,3bが係止された状態で本体が拡径する方向に動作することにより、回動部材2を所定方向(図1の反時計回り方向)に回動付勢するようになされている。
回動部材2のボス部7外周側には、減衰部材としてのスプリングサポート15が介装されている。このスプリングサポート15は全体形状が鍔付き円筒状をなしていて、その円筒状の本体部15aの内周面がボス部7外周面に摺接可能とされている。また、本体部15aの基端側開口縁にはリヤカップ部1aの底壁内面に接する外向きフランジ状の鍔部15bが周設されている。この鍔部15bが捩りコイルばね3の圧縮付勢力でリヤカップ部1aの底壁内面に押し付けられることで、該スプリングサポート15が固定部材1側に固定されるようになっている。
また、前記回動部材2のボス部7内周と固定部材1の軸部4外周との間には、減衰部材としてのインサートベアリング16が介装されている。このインサートベアリング16は両端が開口された円筒状をなしている。そして、インサートベアリング16の外周面及び回動部材2のボス部7内周面は、それぞれ先端側が基端側よりも僅かに小径となる断面テーパ状に形成されている。さらに、インサートベアリング16の内周面及び固定部材1の軸部4外周面も、それぞれ先端側が基端側よりも僅かに小径となる断面テーパ状に形成されている。そして、図示はしないが、軸部4の外周には回動軸心P方向に延びるキー溝が、またインサートベアリング16の内周には前記キー溝に係入するキー部が、それぞれ設けられており、このことで、インサートベアリング16の固定部材1側における回止めがなされている。
前記のように構成されたテンショナTは自動車エンジンの補機類駆動機構に用いられる。図示は省略するが、テンショナTは、エンジンのクランクシャフトに回転一体に連結した駆動プーリと、パワーステアリング装置やオルタネータ、エアコンディショナ等の補機類をそれぞれ駆動するための複数の従動プーリとの間に巻き掛けられて所定の一方向に走行されるVリブドベルトに所定の張力を付与すべく使用されている。テンショナTでは、回動部材2のプーリ8に巻き掛けられたベルトの張力変動に伴い、スプリングサポート15の本体部15aが捩りコイルばね3の半径方向内方への押圧力で回動部材2のボス部7に押し付けられて該本体部15a内周面の一部とボス部7外周面の一部との間(つまり、摺動部分)に、また回動部材2のボス部7が前記押圧力でインサートベアリング16に押し付けられてボス部7内周面の一部と該インサートベアリング16外周面の一部との間(つまり、摺動部分)にそれぞれ摩擦力が生じ、この摺動摩擦力により回動部材2の回動が減衰される。そして、回動部材2が回動する際に、その回動を減衰させる摩擦力が回動付勢方向に回動する際の摩擦力よりも大きくなされるので、ベルト張力が急激に増大したときには回動部材2の回動が抑えられ、このことで、ベルトのばたつきが防止されるようになる。
このテンショナTの特徴として、スプリングサポート15及びインサートベアリング16(以下、これらを総称して減衰部材と呼ぶ場合がある)は、各々、水との接触角が70°以上100°以下の樹脂組成物によって形成されている。エンジンルーム内に配設されているテンショナTは、その使用中に被水する場合があるが、減衰部材を形成する樹脂組成物の、水との接触角を比較的高くすることは、後述するように、被水の前後における減衰性能の変化を回避乃至抑制して、テンショナTの減衰性能の安定化に寄与する。樹脂組成物のベース樹脂は、例えば半芳香族ナイロンとすればよく、具体的には変性ポリアミド6T樹脂、ポリアミド9T樹脂、又は、ポリフタルアミド樹脂とすればよい。これらの合成樹脂をベース樹脂とすることは、樹脂組成物の接触角を70°以上にする上で有利になり、そのことによって、減衰部材の表面は比較的高い撥水性を有するようになる。減衰性能の観点からは、接触角は大きい方が好ましく、その上限値の定めは特にはない。但し、テンショナTに使用することができる現実的な樹脂組成物という観点からは、接触角の上限値を100°に設定してもよい。さらに、減衰性能以外の要求性能を考慮した上での実現性の観点からは、接触角を93.5°未満に設定してもよい。
ベース樹脂の吸水率は、0.7%以下に設定されている。低い吸水率は、被水時の減衰部材の寸法変化を小さく又は無くすと共に、その摩擦係数の変化も小さく又は無くすことを可能にする。このこともまた、減衰性能の安定化に寄与し、テンショナTの減衰性能を、より一層安定にする。また、このベース樹脂のアミノ基濃度は、15%以下に設定されている。低いアミノ基濃度は、ベース樹脂の吸水率を低下させる上で有利になる。
減衰部材を形成する樹脂組成物は、フッ素系摺動助剤を3〜20wt%、繊維補強材を3〜10wt%、及び、オレフィン系樹脂を1〜10wt%含有している。フッ素系摺動助剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)としてもよい。但しこれに限定されない。フッ素系摺動助剤の配合は、減衰部材の摺動性を高める。繊維補強材は、具体的にはアラミド繊維としてもよい。但しこれに限定されない。繊維補強材の配合は、減衰部材の耐摩耗性を高める。オレフィン系樹脂は、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)としてもよい。但しこれに限定されない。オレフィン系樹脂の配合は、疎水性表面の形成に有利になり、減衰部材表面の、水との接触角を大きくすると共に、減衰部材の吸水を抑制する。
減衰部材、つまりスプリングサポート15及びインサートベアリング16を形成する樹脂組成物を、前記の構成とすることで、テンショナTの被水時に、スプリングサポート15の本体部15a内周面と回動部材2のボス部7外周面との間や、ボス部7内周面と該インサートベアリング16外周面との間に、水が浸入しても、スプリングサポート15及びインサートベアリング16の表面の撥水性が比較的高いことから、浸入した水は、回動部材2の回動に伴い直ちに排出される。
そのため、前述した減衰部材の摺動部分に、実質的に水が残らない、又は、ほとんど残らなくなるため、減衰部材がその摺動部分に浸入した水を吸水することがない。その結果、摩擦係数の変化が回避乃至抑制される。このことは、被水前後での、減衰性能の変化、正確には減衰性能の低下を回避乃至抑制する。
また、被水時に、スプリングサポート15及びインサートベアリング16が吸水することも抑制される。これにより、スプリングサポート15及びインサートベアリング16の寸法変化、つまり摺動部分のクリアランス量の変化や、吸水による摩擦係数の変化も、抑制される。
こうして、テンショナTの被水時における減衰性能の変化を引き起こす2つの要因、すなわち、(1)合成樹脂製減衰部材の吸水による寸法変化に伴う摺動部分のクリアランス量の変化、及び、(2)合成樹脂製減衰部材の吸水による摩擦係数の変化を共に回避することで、減衰性能の変化が回避される。その結果、エンジンの補機類の駆動に係るベルトシステムにおいて、テンショナTの減衰性能が変化して、安定したベルト張力の付与ができなくなるといった不具合を、回避することが可能になる。
また、詳細は後述するが、合成樹脂製減衰部材そのものが、高い撥水性を有することによって、テンショナTの使用に伴い、この合成樹脂が、回動部材2のボス部7の外周面や内周面に移着したとしても、摺動部分には、撥水性を有する合成樹脂が存在したままになるから、摺動部分の撥水性をそのまま維持することが可能になる。その結果、テンショナTの減衰性能を、長期間に亘って安定的に、維持することが可能である。
尚、前記の構成では、減衰部材であるスプリングサポート15及びインサートベアリング16の双方を、ここに開示する特定の樹脂組成物によって形成しているが、スプリングサポート15及びインサートベアリング16の一方のみを、前述した特定の樹脂組成物によって形成してもよい。
また、ここに開示する技術が適用可能なテンショナの構造は、図1の構造に限定されない。少なくとも摺動摩擦力による減衰部材を有する、他の種々の構造のテンショナに対して、ここに開示する技術が適用可能である。
次に、減衰部材を形成する樹脂組成物に関して、具体的に実施をした実施例について説明する。先ず、樹脂組成物のベース樹脂を選定するにあたり、各樹脂の吸水率(%)を測定した。吸水率の測定は、試験片を23℃の水中に24時間浸漬し、その前後の質量差を測定することによる。その測定結果と、各樹脂の分子構造から算出したアミノ基濃度(%)とに基づいて、樹脂組成物のベース樹脂の候補となる樹脂を選定した。尚、アミノ基濃度は吸水率に関連し、アミノ基濃度(%)が低いほど、吸水率は低くなる。ここで選定した樹脂は、それぞれ吸水率が0.7%以下である、変性ポリアミド6T樹脂(例1)、ポリフタルアミド樹脂(例2)、ポリアミド9T樹脂(例3)及びポリフェニレンサルファイド樹脂(例4)である。変性ポリアミド6T樹脂、ポリフタルアミド樹脂及びポリアミド9T樹脂は、それぞれアミノ基濃度が15%以下である。この内、例1、例2及び例3は実施例に係り、例4は比較例に係る。また、ポリアミド46樹脂(例6)及びポリアミド66樹脂(例7)をそれぞれ従来例とする。ポリアミド46樹脂及びポリアミド66樹脂は、吸水率が0.7%よりも高く、かつ、アミノ基濃度が15%よりも高い。
例1〜4、例6〜7の各例の樹脂組成物において、ベース樹脂の配合量は同じ(80.5wt%)であり、各例の樹脂組成物において配合する配合物及びその量もまた同じである。具体的には、表1に示すように、PTFE:15.5wt%、アラミド繊維:3wt%、HDPE:1wt%である。また、HDPEを、もう一つの比較例(例5)とする。
各例の樹脂組成物を用い、射出成形によって、鈴木式摩擦摩耗試験用テストピースを作成した。このテストピースは、図3に示すような円筒状である。
(接触角の測定)
作成した各例の、円筒状テストピースにおける端面(摺動面)に水を滴下し、その端面上の水滴の接触角を、接触角計によって測定した。その測定結果を、表1に示す。これによると、例1、例2及び例3の実施例、並びに、例4及び例5の比較例は、接触角が70°以上100°以下であって、その値は比較的大きい。これに対し、例6及び例7の従来例はそれぞれ、接触角が64.8°、60.8°であって、その値は比較的小さい。
作成した各例の、円筒状テストピースにおける端面(摺動面)に水を滴下し、その端面上の水滴の接触角を、接触角計によって測定した。その測定結果を、表1に示す。これによると、例1、例2及び例3の実施例、並びに、例4及び例5の比較例は、接触角が70°以上100°以下であって、その値は比較的大きい。これに対し、例6及び例7の従来例はそれぞれ、接触角が64.8°、60.8°であって、その値は比較的小さい。
ここで、図2は、例1〜4、例6〜7の各例についての、ベース樹脂の吸水率と樹脂組成物の接触角との関係を示している。これによると、ベース樹脂の吸水率が大きい方が、樹脂組成物の接触角は小さくなり、逆に、ベース樹脂の吸水率が小さい方が、樹脂組成物の接触角は大きくなる。従って、減衰部材を形成する樹脂組成物の接触角を大きくするためには、ベース樹脂の吸水率を小さくすることが有利になる。
(摩擦力の変化の測定)
次に、図3に示す鈴木式摩擦摩耗試験機100を利用して、各例のテストピース105について、摺動部分への注水前と注水後との、摩擦力の変化を測定した。ここで、鈴木式摩擦摩耗試験機100の構成について簡単に説明すると、この試験機100は、板状テストピース106が載置されると共に、この板状テストピース106を鉛直軸回りに回転させる回転台101と、板状テストピース106上に置かれた円筒状テストピース105を、所定荷重でその板状テストピース106に押し付ける押圧軸102とを備えて構成されている。押圧軸102はベアリングに支持されて、前記の鉛直軸回りに回動可能に構成されていると共に、その押圧軸102の上端部には、押圧軸102、つまり円筒状テストピース105に作用するトルクを検出するロードセル103が取り付けられている。すなわち、円筒状テストピース105を板状テストピース106に対し所定の荷重で押し付けた状態で、板状テストピース106を回転させたときに、円筒状テストピース105に作用するトルクを測定することによって、円筒状テストピース105と板状テストピース106との間の摺動摩擦力を測定する。
次に、図3に示す鈴木式摩擦摩耗試験機100を利用して、各例のテストピース105について、摺動部分への注水前と注水後との、摩擦力の変化を測定した。ここで、鈴木式摩擦摩耗試験機100の構成について簡単に説明すると、この試験機100は、板状テストピース106が載置されると共に、この板状テストピース106を鉛直軸回りに回転させる回転台101と、板状テストピース106上に置かれた円筒状テストピース105を、所定荷重でその板状テストピース106に押し付ける押圧軸102とを備えて構成されている。押圧軸102はベアリングに支持されて、前記の鉛直軸回りに回動可能に構成されていると共に、その押圧軸102の上端部には、押圧軸102、つまり円筒状テストピース105に作用するトルクを検出するロードセル103が取り付けられている。すなわち、円筒状テストピース105を板状テストピース106に対し所定の荷重で押し付けた状態で、板状テストピース106を回転させたときに、円筒状テストピース105に作用するトルクを測定することによって、円筒状テストピース105と板状テストピース106との間の摺動摩擦力を測定する。
ここで、板状テストピース106は、アルミニウム合金(A2024)の丸棒から切り出した円盤の表面にショットブラスト処理を施したものである。また、円筒状テストピース105に付与する荷重は1600N、板状テストピース106の回転速度は1mm/secとする。
注水前後の摩擦力の変化を測定する試験では先ず、円筒状テストピース105の「ならし」のために、すなわち、円筒状テストピース105の摺動面を板状テストピース106に対して均一に接触させるために、荷重を1000N、回転速度を30mm/secで、30秒間、板状テストピース106を回転させる。
その後、試験条件である、荷重1600Nかつ、回転速度1mm/secに変更して、板状テストピース106を回転させる。この状態で、ロードセルにより、円筒状テストピース105と板状テストピース106との間の摺動摩擦力を計測する。この摺動摩擦力は、円筒状テストピース105と板状テストピース106との間の摺動部分に水が存在していない、乾燥した(ドライ)状態での摺動摩擦力であり、テンショナにおいては被水前の状態に対応する。
ドライ状態での摩擦力の計測後、板状テストピース106の回転を継続しながら、図3に示すように、円筒状テストピース105の側方からシリンジ104を使って所定量(0.3ml)の水を注入する。こうして、円筒状テストピース105と板状テストピース106との間の摺動部分に水が浸入した、ウェット状態での摺動摩擦力を計測する。これは、テンショナにおいては被水後の状態に対応する。
図4は、注水前後、つまり、摺動部分がドライ状態からウェット状態へと状態が変化したときの、ロードセル103の検出トルクの変化の一例を示している。ドライ状態は、トルク(言い換えると摺動摩擦力)が相対的に低いのに対し、ウェット状態は、トルク(つまり摺動摩擦力)が相対的に高くなる。この注水前後のトルクの変化量に基づいて摺動摩擦力の上昇量(N)、つまり注水後の摺動摩擦力と注水前の摺動摩擦力との差を算出し、この差を、テンショナにおける被水前後での減衰性能の変化に対する評価指標とした。その結果を、表1において、「摩擦力上昇量(N) めっき無 初期」の欄に示す。これによると、例1〜5は、摩擦力上昇量は比較的小さくて、その値は21.1N以下であるのに対し、例6、例7は、摩擦力上昇量の値が27.1N以上と、摩擦力上昇量は比較的大きくなっている。
ここで図5は、表1の「めっき無 初期」の値に基づく、例1〜7についての接触角(°)と摩擦力上昇量(N)との関係を示している。これによると、接触角と摩擦力上昇量との間には相関が見られ、同図に直線で示すように、接触角が大きくなればなるほど、摩擦力上昇量は低下するようになる。ここで、接触角を70°以上に設定することによって、摩擦力上昇量を24N以下にすることが可能である。この24Nという数値は、テンショナにおいては、減衰性能の変化を抑制する上で有効な値である。従って、樹脂組成物の接触角は、70°以上に設定することが好ましい。また、接触角の上限値は、100°とすればよい。
(動摩擦係数の測定及び摺動面の状態の観察)
前述した鈴木式摩擦摩耗試験機100を用いて、例1〜7の各例について摩擦摩耗試験を行い、それによって、動摩擦係数と、試験終了後の各円筒状テストピース105の摺動面の状態とを評価した。その結果を、表1に示す。これによると、例1、例2及び例3は、動摩擦係数が比較的低く、それに伴い、摩擦試験後の摺動面の表面状態も良好であった。これに対し、例4、例5は、動摩擦係数が比較的高く、その結果、摩擦試験後の摺動面には焼け跡が発生しており、表面状態は不良であった。従って、例4、例5は、テンショナの減衰部材に適用した場合には、耐摩耗性の問題を生じる。
前述した鈴木式摩擦摩耗試験機100を用いて、例1〜7の各例について摩擦摩耗試験を行い、それによって、動摩擦係数と、試験終了後の各円筒状テストピース105の摺動面の状態とを評価した。その結果を、表1に示す。これによると、例1、例2及び例3は、動摩擦係数が比較的低く、それに伴い、摩擦試験後の摺動面の表面状態も良好であった。これに対し、例4、例5は、動摩擦係数が比較的高く、その結果、摩擦試験後の摺動面には焼け跡が発生しており、表面状態は不良であった。従って、例4、例5は、テンショナの減衰部材に適用した場合には、耐摩耗性の問題を生じる。
ここで、例6、例7の従来例の動摩擦係数に対し、例1、例2及び例3の実施例の動摩擦係数は若干低い値であり、そのままではテンショナの減衰部材の特性に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、減衰部材の形状や構造等の他の要件を工夫することによって、この程度の動摩擦係数の差は吸収することが可能である。従って、例1、例2及び例3はそれぞれ、テンショナの減衰部材に利用することが可能である。
つまり、例1、例2及び例3の樹脂組成物は、これによって減衰部材を形成した場合に、テンショナに要求される減衰性能を確保しつつ、被水前後の減衰性能の変化を回避乃至抑制することが可能であり、しかも、十分な耐摩耗性を得ることが可能である。
(撥水性めっきの有無に関する耐久試験結果)
次に、特許文献3に記載されているような、摺動部分に撥水性めっき処理を施した例と、樹脂組成物が撥水性を有する例との比較を行った。
次に、特許文献3に記載されているような、摺動部分に撥水性めっき処理を施した例と、樹脂組成物が撥水性を有する例との比較を行った。
具体的には、板状テストピース106として、特許文献3に記載されているフッ素樹脂を用いた無電解ニッケルめっきをその表面に形成した、めっき有りのテストピースと、めっきを無しのテストピースとの2種類を用意し、例1、例2、例3及び例6の各例のテストピース105について、「摩擦力の変化の測定」で述べたように、鈴木式摩擦摩耗試験機100を用いて注水の前後の摩擦力の変化を測定した。測定結果を、表1における「めっき有り 初期」と「めっき無し 初期」とに示す。尚、めっき無しのテストピース106についての測定結果は、前述した「摩擦力の変化の測定」と同じになる。
この測定結果によると、フッ素樹脂を用いた無電解ニッケルめっきを形成することによって、例1、例2、例3及び例6の全てについて、摩擦力上昇量が16.9N以下の小さな値となった。従って、撥水性めっきは、テンショナにおいて被水前後での減衰性能の変化を小さくする上で有効であることが判る。
次に、例1、例2、例3及び例6の各例のテストピース105と、めっき有りのテストピース106及びめっき無しのテストピース106との各々の組み合わせについて、鈴木式摩擦摩耗試験機100を用いた24時間の耐久試験を行い、その耐久試験後、前記と同様に、注水の前後の摩擦力の変化を測定した。その結果を、表1における「めっき有り 耐久試験後」と「めっき無し 耐久試験後」とに示す。また、図6には、例1、例2、例3及び例6の各例について、「めっき無し、初期」「めっき無し 耐久試験後」「めっき有り 初期」「めっき有り 耐久試験後」それぞれの摩擦量上昇量を示す。
図6において明らかなように、例6の従来例は、めっきが無い場合の初期において注水前後の摩擦量の上昇量が比較的大きく(27.1N)、耐久試験後には注水前後の摩擦量の上昇量がさらに大きくなってしまう(36.2N)。また、例6の従来例は、めっきが有る場合は、初期においては注水前後の摩擦量の上昇量が小さいものの(15.4N)、耐久試験後には注水前後の摩擦量の上昇量が大幅に大きくなってしまい(35.8N)、めっきが無い場合と同等になる。この結果から、例6の従来例では、耐久試験後には、めっきの撥水性が得られなくなっているということができる。また、耐久試験後のめっき有りのテストピース106の表面を観察したところ、テストピース105の樹脂が移着していることを確認した。従って、撥水性が低い樹脂組成物によって減衰部材を形成した場合は、摺動部分に撥水性めっきを形成していたとしても、経時的に、樹脂組成物の移着が生じてしまい、摺動部分の撥水性が失われてしまうことになる。つまり、特許文献3に記載されているテンショナは、所望の減衰性能を、長期間に亘って安定的に維持することが難しい。
これに対し、例1、例2及び例3の各実施例は、めっきが無い場合の初期において注水前後の摩擦量の上昇量が比較的小さく(21.1N以下)かつ、耐久試験後も注水前後の摩擦量の上昇量が比較的小さいままである(23.9N以下)。また、例1、例2及び例3の各実施例は、めっきが有る場合も同様の傾向になる。具体的には、その初期においては注水前後の摩擦量の上昇量が比較的小さく(16.9以下)かつ、耐久試験後も注水前後の摩擦量の上昇量が比較的小さいままである(23.1N以下)。
従って、例1、例2及び例3の各実施例のように、樹脂組成物そのものが撥水性を有していることによって、撥水性めっきの有無に拘わらず、初期においては勿論のこと、耐久試験後も、注水前後の摩擦量の上昇量が小さいままに抑えられる。このことは、例1、例2及び例3の樹脂組成物によって減衰部材を形成した場合に、テンショナの減衰性能が、長期間に亘って安定的に維持されることを意味する。
尚、テンショナにおいては、例1、例2及び例3の樹脂組成物によって減衰部材を形成することと、回動部材の表面にフッ素樹脂を用いた無電解ニッケルめっきを形成することとを、組み合わせてもよい。
また、実施例としては挙げていないが、変性ポリアミド6T樹脂の、各種の共重合体又はポリマーアロイをベース樹脂とした樹脂組成物も、接触角、摩擦力上昇量、動摩擦係数、及び、耐摩耗性に関し、前記の例1の樹脂組成物と同等の特性を得ることができるため、テンショナの減衰部材を形成する樹脂組成物とすることができる。
以上説明したように、ここに開示したテンショナは、被水時の減衰性能の変化を、長期間に亘って安定的に抑制することができるから、被水環境下、特にエンジンによる補機類駆動のためのベルトシステムに用いられるテンショナとして有用である。
1 固定部材
15 スプリングサポート(減衰部材)
16 インサートベアリング(減衰部材)
2 回動部材(可動部材)
3 捩りコイルばね(付勢手段)
8 プーリ
T テンショナ
15 スプリングサポート(減衰部材)
16 インサートベアリング(減衰部材)
2 回動部材(可動部材)
3 捩りコイルばね(付勢手段)
8 プーリ
T テンショナ
Claims (5)
- プーリをベルトに押圧することによって当該ベルトに所定の張力を付与するテンショナであって、
前記プーリを回転自在に支持する可動部材と、
固定体に固定されると共に、前記プーリが前記ベルトを押圧する押圧方向に、前記可動部材を回動可能に支持する固定部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に介装され、当該可動部材を前記押圧方向に付勢する付勢手段と、
前記固定部材と前記可動部材との間に介装され、前記可動部材の回動を減衰させる減衰部材と、を備え、
前記減衰部材は、摺動摩擦力によって前記可動部材の回動を減衰させる樹脂組成物によって形成され、
前記樹脂組成物は、水との接触角が70°以上100°以下であるテンショナ。 - 請求項1に記載のテンショナにおいて、
前記樹脂組成物のベース樹脂の吸水率は、0.7%以下であるテンショナ。 - 請求項1又は2に記載のテンショナにおいて、
前記樹脂組成物のベース樹脂は、変性ポリアミド6T樹脂、ポリアミド9T樹脂、又は、ポリフタルアミド樹脂であるテンショナ。 - 請求項3に記載のテンショナにおいて、
前記ベース樹脂のアミノ基濃度は、15%以下であるテンショナ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のテンショナにおいて、
前記樹脂組成物は、フッ素系摺動助剤を3〜20wt%、及び、繊維補強材を3〜10wt%含有しているテンショナ。
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