JPWO2011096402A1 - 生体適合性器具 - Google Patents

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一郎 眞鍋
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克仁 藤生
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Abstract

基材の表面が抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体適合性高分子層で覆われ、生体に埋め込みまたは接合して使用される生体適合性器具であって、前記高分子層が、細胞接着ペプチド含有高分子の架橋による高分子マトリックスよりなる。

Description

本発明は、基材の表面が抗血栓性と血管内皮細胞接着性を有する生体適合性高分子層でコーティングされ、生体に埋め込みまたは血液と接触して使用される生体適合性器具に関する。
ステントは、血液と接触して使用される医療機器の1つであり、虚血性心疾患や解離性大動脈溜などの循環器系疾患を治療するために使用されている。虚血性心疾患においては、冠動脈ステント留置術が主要な治療方法となっているが、いったん拡張した血管内腔が再び狭窄してしまう再狭窄が20−40%の症例に生じ、再度の血行再建術を要することが最大の問題となっていた。再狭窄の弱点を克服する方法として、冠動脈ステント表面から薬剤を徐放する薬剤溶出性ステントが開発され、臨床で使用されているが、現行の薬剤溶出性ステントは薬剤徐放化のために合成高分子マトリックスあるいは分解によって酸を生じるポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンおよびこれらの共重合体を使用しているため、血管壁の創傷治癒が遷延し、血管内皮細胞によるステント内腔の内皮化が起こらないため、慢性期に血栓形成による血管の閉塞が生じる(特許文献1、2参照)。また、血栓症を防止するために、副作用発現率の非常に高い抗血小板薬を6か月から1年間、アスピリンを永続的に内服しなければならないという欠点もある。
このように、血液と長期間接触して使用される医療機器の表面改質には限界があり、血管内皮細胞の抗血栓性を利用しようとする試みが行われている。生体内の血管では、血管内皮細胞が剥離した部分には血栓が形成するが、血管内皮が存在している部分は血栓が形成しないためである。
血管内皮細胞層を形成した医療機器を調製する手法として、大きく2つの方法がある。1つ目の手法は、医療機器の内面に、あらかじめ血管内皮細胞を播種して内膜を形成させた後に移植するという方法である。しかし、この方法では、細胞の採取、培養などの工程が必要であるために緊急を要する場合に使うことができず、細胞の採取に際して患者負担が大きいという欠点がある。もう一つの手法として、移植後早期に血液と接触して使用される医療機器の表面上に血管内皮細胞の接着性や増殖性を促すような物質を固定化する方法がある。この方法は、接着性ペプチドやコラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質、そして血管内皮細胞の増殖を促進する成長因子などの蛋白質が検討されている。血管内皮細胞の接着性や増殖性を促進する手法としては、細胞接着に関わるペプチド配列や成長因子を、高分子基材上にアクリル酸などをグラフト重合することによりカルボキシル基を導入し、共有結合で固定化する方法や、細胞外マトリックスタンパク質や成長因子と多孔質高分子体からなる複合材料についても開示されている(特許文献3、4、5、6、7、8)。
このような表面において血管内皮細胞の接着性や増殖性が認められているが、得られる材料は医療機器の埋入直後に起こる血栓形成抑制効果が考慮されていないという欠点がある。そのため、移植直後には抗血栓性を有し、移植中長期においては血管内皮細胞が接着して被覆される生理活性を持った高分子層がコーティングされた生体適合性器具の開発が望まれていた。
特開平8−33718号公報 特開平9−56807号公報 特開平10−137334号公報 特開平5−76588号公報 特表平11−504548号公報 特表2001−502187号公報 特表2005−503240号公報 特開2006−68401号公報
本発明は、表面に抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体適合性高分子層をコーティングした生体適合性器具とそれを用いた医療機器等を提供することを課題としている。
発明1は、基材の表面が抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体適合性高分子層で覆われ、生体に埋め込みまたは接合して使用される生体適合性器具であって、前記高分子層が、細胞接着ペプチド含有高分子の架橋による高分子マトリックスよりなることを特徴とする。
発明2は、発明1の生体適合性器具において、前記高分子マトリックスが、高分子がクエン酸活性エステル体により架橋されてなるものであることを特徴とする。
発明3は、発明2の生体適合性器具において、前記クエン酸活性エステル体が、トリスクシンイミジルシトレート、または、トリスルホスクシンイミジルシトレートであることを特徴とする。
発明4は、発明1から3のいずれかの生体適合性器具において、その細胞接着ペプチド含有高分子が、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、フィブリノーゲン、ケラチン、フィブロイン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の組合せにより成ることを特徴とする。
発明5は、発明1から4のいずれかの生体適合性器具において、請求項1から4のいずれかに記載の生体適合性器具において、前記細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、およびイソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明6は、発明1から5のいずれかの生体適合性器具において、基材が、高分子材料、金属材料、セラミックス材料、不織布、および生体組織から選ばれるの1種または2種以上の複合材料であることを特徴とする。
発明7は、発明6の生体適合性器具の基材が高分子材料である場合において、前記高分子材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε-カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリε-カプロラクトン−グリコール酸共重合体、およびポリ乳酸−ポリε-カプロラクトン共重合体から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明8は、発明6の生体適合性器具の基材が金属材料である場合において、前記金属材料が、SUS316Lステンレス、コバルト−クロム合金、ニッケルフリー高窒素ステンレス、マグネシウム合金、および形状記憶合金から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明9は、発明6の生体適合性器具の基材がセラミックス材料である場合において、前記セラミックス材料が、ハイドロキシアパタイト焼結体、低結晶性ハイドロキシアパタイト、β−トリカルシウムフォスフェート、およびα−トリカルシウムフォスフェートから選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明10は、発明1から9のいずれかの生体適合性器具において、酸、アルカリ又は有機溶媒により表面処理された基材の表面に高分子層が形成されていることを特徴とする。
発明11は、発明1から10のいずれかの生体適合性器具において、その高分子マトリックス内に薬剤が包含されていることを特徴とする。
発明12は、発明11の生体適合性器具において、前記薬剤が細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞***抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、成長因子、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明13は、発明12の生体適合性器具において、細胞分化誘導剤がタミバロテンであることを特徴とする。
発明14は、医療処置において、生体に埋め込み又は接合して使用される医療器具であって、発明1から13のいずれかの生体適合性器具が、医療処置に適合する構造に構成されたものであることを特徴とする医療機器である。
発明15は、生体内の血管内に挿入されて、その内側から血管を広げるように拡張されるステントであって、発明1から14のいずれかの生体適合性器具が、ステントの構造に構成されたものであることを特徴とするステントである。
発明16は、発明10に記載の生体適合性器具において、前記酸が、王水であることを特徴とする。
発明17は、発明4に記載の生体適合性器具において、前記細胞接着ペプチド含有高分子が、疎水化されていることを特徴とする生体適合性器具。
発明18は、基材の表面に、細胞接着ペプチド含有高分子と架橋剤を含むコーティング溶液をコーティングして、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ高分子層を形成することを特徴とする生体適合性器具の製造方法である。
発明19は、発明18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティングを複数回行うことを特徴とする。
発明20は、発明18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティング溶液は、薬剤を含有することを特徴とする。
発明21は、発明18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記細胞接着ペプチド含有高分子を疎水化する工程を含むことを特徴とする。
発明22は、発明18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティング溶液は薬剤を含有し、生体適合性器具からの所望の薬剤徐放性に応じて前記コーティング溶液中の架橋剤の濃度を5mM〜200mMの範囲で調整する工程を含むことを特徴とする。
本発明は、生体適合性の高分子層が高分子の架橋により得られた高分子マトリックスにより構成されているので、基材とこの高分子層とは共有結合、分子間相互作用および機械的アンカー効果によりコーティングすることができる。
そのため、高分子層には、細胞接着ペプチド含有高分子を用いることが可能であり、生体適合性器具の表面特性を、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ性質に変換することができるのみならず、再狭窄抑制効果という、血管平滑筋細胞の異常増殖をも抑制することが可能になる。
特に、発明2、3に示すように、クエン酸活性エステル体を前記細胞接着ペプチド含有高分子の架橋剤として使用することで抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体適合性高分子層をコーティングすることが可能になる。
また、このように構成した高分子層には、高分子マトリックス内に薬剤等の低分子化合物を包含させて徐放することができるため、前記のような効果をより一層高めるのに有用なものであって、高分子マトリックス構造とするには不適切な材料でも、生体適合性器具の機能改善に用いることができる。
さらに、前記各本発明の機能をステントにも適用でき、従来には得られることが不可能とされた、抗血栓性、血管内皮細胞接着性(内皮化)並びに再狭窄性抑制のいずれの効果も有するステントを提供することができる。
表1 SNo.1-01の外観写真である。 表1 SNo.1-04の外観写真である。 表1 SNo.1-05の外観写真である。 表1 SNo.1-06の外観写真である。 表1 SNo.1-07の外観写真である。 表1 SNo.1-07の電子顕微鏡写真である。 表1 SNo.1-08の外観写真である。 表1 SNo.1-08の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-09の外観写真である。 表1 SNo.1-09の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-10の外観写真である。 表1 SNo.1-13の外観写真である。 表1 SNo.1-14の外観写真である。 表1 SNo.1-15の外観写真である。 表1 SNo.1-16の外観写真である。 表1 SNo.1-16の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-17の外観写真である。 表1 SNo.1-17の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-18の外観写真である。 表1 SNo.1-18の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-19の外観写真である。 表1 SNo.1-19の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-20の外観写真である。 表1 SNo.1-20の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-20のステントのブタ冠動脈留置後の内面写真である。 表1 SNo.1-20のステントのブタ冠動脈留置後の内面電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-23ステントの抗血栓性試験評価後の外観写真である。 表1 SNo.1-23ステントの抗血栓性試験評価後のサンプル電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-26ステントのブタ冠動脈留置後の内面写真である。 表1 SNo.1-26ステントのブタ冠動脈留置後の内面電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-27ステントの抗血栓性試験評価後の外観写真である。 表1 SNo.1-27ステントの抗血栓性試験評価後の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-28ステントの抗血栓性試験評価後の外観写真である。 表1 SNo.1-28ステントの抗血栓性試験評価後の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-29ステントの抗血栓性試験評価後の外観写真である。 表1 SNo.1-29ステントの抗血栓性試験評価後の電子顕微鏡像写真である。 表1 SNo.1-30ステントのブタ冠動脈留置後の内面写真である。(比較例) 表1 SNo.1-30ステントのブタ冠動脈留置後の内面電子顕微鏡像写真である。(比較例) 表1 SNo.1-04ディスクの血管内皮細胞接着試験後の外観写真である。 表1 SNo.1-06ディスクの血管内皮細胞接着試験後の外観写真である。 表1 SNo.1-13ステントの血管内皮細胞接着試験後の外観写真である。 表1 SNo.1-15ステントの血管内皮細胞接着試験後の外観写真である。 表5のアセトン(SNo.5-01)、NaOH(SNo.5-02)、希王水(SNo.5-03)処理したSUS316Lステンレス表面のATR-IRスペクトルである。 ステントの表面に種々の回数コーティングを行った結果を示す図である。 コーティング後のステント表面および断面のSEM観察像である。 レチノイル化ゼラチンの合成スキームを例示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の基材としては、高分子材料、金属材料、セラミックス材料、不織布、および生体組織から選ばれる1種または2種以上の複合材料などを使用可能である。すなわち、高分子層が共有結合、分子間相互作用あるいは機械的アンカー効果により基材表面に固定されるものであれば、種類は問わない。生体組織においては、細胞外マトリックス成分としてコラーゲンやラミニンなどのアミノ基を有する生体高分子とクエン酸活性エステル体と反応可能であるため、アミノ基と活性エステルとの反応により固定化することが可能である。
また、基材用の前記高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε-カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリε-カプロラクトン−グリコール酸共重合体、ポリ乳酸−ポリε-カプロラクトン共重合体などが使用可能である。これらは、表面へのアミノ基の導入あるいはヤスリなどによる凹凸の導入が可能であるため、高分子層を共有結合、分子間相互作用あるいは機械的アンカー効果で基材表面に固定することができる。
前記金属材料としては、SUS316Lステンレス、コバルト−クロム合金、ニッケルフリー高窒素ステンレス、マグネシウム合金、形状記憶合金などが使用可能である。これらの金属材料は、表面にクエン酸活性エステル体と反応可能な水酸基を有しているため、高分子層を共有結合あるいは分子間相互作用で基材表面に固定することができる。
前記セラミックス材料としては、ハイドロキシアパタイト焼結体、低結晶性ハイドロキシアパタイト、β−トリカルシウムフォスフェート、およびα−トリカルシウムフォスフェートから選ばれる1種または2種以上の組合せが使用可能である。これらのセラミックス材料は、表面にクエン酸活性エステル体と反応可能な水酸基が存在するため、高分子層を共有結合あるいは分子間相互作用で基材表面に固定することができる。
また、基材の表面は、コーティングされる前に酸、アルカリ、有機溶媒により表面処理を施すことで、下記実施例3より明らかな通り、剥離強度が高い点で、他のものより優れた結果を得ている。
本発明に用いる高分子マトリックスについては、細胞接着ペプチドを含有するものであれば良く、下記実施例の他、以下のようなものが使用可能である。
また、主体となる高分子に、他の高分子材料や薬剤などの低分子有機化合物を混合してなり、主たる高分子とクエン酸活性エステル体との架橋反応により得られた高分子マトリックスと薬剤が分子レベルで複合化した材料とすることがより好ましい。
細胞接着ペプチド含有高分子を高分子マトリックスの主材料として用いることにより、クエン酸活性エステル体との架橋による細胞接着ペプチドの濃縮とクエン酸由来カルボキシル基の導入を行うことが可能になり、血管内皮細胞接着性と抗血栓性を有する高分子層をコーティングすることができる。
前記コーティングの細胞接着ペプチド含有高分子は、好ましくはコラーゲン、アテロコラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、ゼラチン、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ケラチン、血清アルブミン、卵白アルブミン、遺伝子組み換えアルブミン、ヘモグロビン、カゼインおよびグロブリン、フィブリノーゲン、およびこれらの誘導体である。
さらに好ましくはアルカリ処理コラーゲン、アルカリ処理ゼラチン及びその誘導体などが挙げられ、分子内にアミノ基を有しており、クエン酸活性エステル体との架橋反応に適していることが望ましい。
特に、細胞接着ペプチド含有高分子であることは、下記実施例1の表1より、コラーゲンやゼラチンが細胞接着ペプチドを持った高分子であることから明らかな通り、コラーゲンやゼラチンが細胞接着ペプチドを持っているためにコーティングされた基材が血管内皮細胞接着性を獲得していることから、細胞接着ペプチドを含まないものより優れている。
さらに、この細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、およびイソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列から選ばれるの1種または又は2種以上の組合せである場合は、下記実施例1の表1より明らかな通り、コラーゲンやゼラチンがRGDなどの分子配列を持っているためにコーティングされた基材が血管内皮細胞接着性を獲得していることから、細胞接着ペプチドを含まないものより優れている。
高分子マトリックス調製用の高分子の濃度は特に限定されないが、好ましくは7.5〜30質量%、より好ましくは、15質量%±6質量%、さらに好ましくは15質量%±3質量%である。この高分子の濃度が過少であると、架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、高分子マトリックスが得られ難い。また、高分子マトリックス調製用の高分子とクエン酸活性エステル体との混合溶液では、両者の濃度比は3(質量%)対4(mM)となる方がよい。例えば、15質量%の高分子濃度の場合、クエン酸活性エステル体の濃度は、20mMが好ましい。15質量%の高分子濃度の場合にクエン酸活性エステル体の濃度が20mM未満であると抗血栓性効果が得られ難い。また、同高分子濃度条件で、クエン酸活性エステル体の濃度が20mM以上の場合には、クエン酸活性エステル体の濃度が20mMより増加するにつれ架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、高分子マトリックスが得られ難い。
前記コーティング材料の高分子マトリックスを構成する架橋剤としてはクエン酸活性エステル体が望ましい。このクエン酸活性エステル体を用いることは、下記実施例のSNo.1-17,1-27 より明らかな通り、クエン酸活性エステル体を用いると抗血栓性と血管内皮細胞接着性を発現するという点で、クエン酸活性エステル体を用いないものより優れた結果を得ている。
さらに、このクエン酸活性エステル体が、トリスクシンイミジルシトレート、およびトリ(スルホスクシンイミジル)シトレートから選ばれる1種または2種以上の組合せである場合もアミノ基と反応して高分子層を生成することが可能なため用いることができる。
また、前記のような細胞接着ペプチド含有高分子を前記のようなクエン酸活性エステル体で架橋することは、下記実施例1の表1より明らかな通り、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を示す点で、他のものより優れた結果を得ている。
前記高分子マトリックスを得るために適したクエン酸活性エステル体の濃度は、高分子マトリックス調製用の高分子の濃度にもよるが、好ましくは5〜200mMで、より好ましくは5〜100mM、さらに好ましくは5〜40mMである。
このクエン酸活性エステル体が不足する場合には高分子マトリックスを構成する高分子の架橋点が少なく、高分子マトリックス構造が維持されない。過剰であると個々の高分子とクエン酸のカルボキシル基の1つあるいは2つが結合して、架橋に使用されなくなり、その結果、架橋点が減少し、構造が維持されない。
架橋反応の温度は、好ましくは15℃から37℃、より好ましくは15℃から30℃、さらに好ましくは常温である。過剰な高温で反応させると反応速度が速くなるため、均一なコーティングが難しい。また、過小な低温で反応させた場合、溶媒が凍ってしまい反応を進めることが難しい。
また、反応時間は、室温(25℃)において24時間以内が好ましい。例えば、反応溶液全体に対してクエン酸活性エステル体20mMを添加した場合、室温における高分子マトリックスの形成時間は10〜20分以内である。
前記薬剤としては、水に難溶性の低分子化合物が好ましい。また、薬剤としては、同様の実施方法において高分子層に組み込むことが可能な、細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞***抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、成長因子、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組合せとすることができる。細胞分化誘導剤は、水に難溶性のタミバロテンが好ましく、抗ガン剤としては同じく水に難溶性のパクリタキセルおよび誘導体が好ましく、免疫抑制剤としては同じく水に難溶性のシロリムスおよび誘導体が好ましい。
前記コーティング材料を調製するのに用いることができる溶媒としては、高分子マトリックス調製用の高分子、クエン酸活性エステル体を溶解し、添加材料を化学的に分解することのない溶媒であり、非プロトン性極性溶媒が望ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,1,1,3,3,3‐ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
高分子マトリックス調製用の高分子とクエン酸活性エステル体からなる高分子マトリックス形成時に生成する反応生成物(N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)や未反応物の除去には、得られた高分子マトリックスを純水に浸漬することによって除去が可能である。
また、高分子マトリックス中に含まれる有機溶媒を純水に置換する際には、内包した添加材料(低分子有機化合物等)の溶解や高分子の加水分解を抑制する必要がある。この観点から、溶媒の純水との置換は、好ましくは0〜20℃、より好ましくは0〜10℃、さらに好ましくは0〜5℃である。
前記コーティング材料を生成するための混合溶液の調製において、混合のための具体的手段は限定されないが、例えば小型のミキサーのような攪拌装置などを用いて十分均一に混合することが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下、実施例1により、前記コーティング材料を具体的に説明する。
[高分子層の基材へのコーティング]
薬剤であるタミバロテン(Am80)の終濃度が0,35,245,700mMとなるように7.5,15,30%のアルカリ処理ゼラチン(豚皮膚由来)あるいはアルカリ処理コラーゲン(豚皮膚由来)/10%乳酸−DMSO溶液1mlと混合し、終濃度が10,20,40mMとなるようにクエン酸活性エステル体(TSC;トリスクシンイミジルシトレート)の10%乳酸−DMSO溶液250μlを5mlチューブに加え、30秒間撹拌後、遠心分離機により30秒間脱泡し、高分子コーティング溶液を調製した。得られた高分子コーティング溶液に基材を10秒間浸漬した。
基材として、ディスク状のものとステントを用いた。
ディスク状の基材は、厚さ1mmで、直径が10−12mmであり、その材質が、表1に示すように、SUS*(SUS316L(C:0.03%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.045%以下、S:0.03%以下、Ni:12〜15%、Mo:2〜3%)、HNS*(高窒素ステンレス鋼(23Cr−1Mo−1N))、CoCr*(CoCr合金(65Co−29Cr−6Mo)、HAP*(ハイドロキシアパタイト焼結体)、アクリル*(アクリル製樹脂(サンデーシート、(株)アクリルサンデー社製)で表面をやすりで祖面化したもの)、又は、PTEE*((ポリエチレンテレフタレート(PTFE)製不織布、有限会社ヤマカツラボ)のものを用いた。
また、ステントは、長さ10mm、直径1.4mmであり、材質が、SUS*製、CoCr*製又はHNS*製のものを用いた。
その後、ディスク状サンプルの内、直径が10mmのディスク状基材については25mlコニカルチューブに入れて遠心分離機(3500rpm,1分間)にかけ、コーティング層を均一化した。その他のディスク状サンプルも同様の方法でコーティングを行った。 そして、1晩室温にて風乾した後、4℃の超純水に8時間浸漬し、デシケーター中で1晩室温にて乾燥し、コーティング層を有するディスク状サンプルを得た。
一方、ステントについては、高分子コーティング溶液に10sec浸漬後、カットした注射針にステントを差し込み、遠心分離(6000rpm,10秒間)により、ステントのエッジ部分についた余分な反応溶液を除いた。その後、4℃の超純水を入れた遠心管15mLにステントを浸漬し、乳酸、DMSOおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを取り除いた。超純水は2時間おきに1日あたり5回交換した。水交換を3日間繰り返した後、1昼夜風乾して、デシケーターで1日乾燥後、高分子層がコーティングされたステントを得た。
また、コントロールとして0.01N−HClに溶解したアテロコラーゲン(C*)をCoCr製ステントにコーティングしたサンプル(表1の1−27)についても同様の手順で調製した。
[高分子層をコーティングした基材の抗血栓性評価]
上記で得られたサンプルをラットより採取した新鮮な血液約1mL中に浸漬し、15〜30分間インキュベート(37℃)した後、0.1Mリン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄し、実体顕微鏡および電子顕微鏡にて血栓形成を観察した。
SNo.1−01、1−04〜1−10、1−13〜1−20、1−23、1−27〜1−29の条件に対して種々の基材表面に対する本発明の高分子層コーティングの効果を検討した。
SNo.1−01、1−04〜1−06に示すようにディスク状のSUS316L(SUS*)、アクリル*、PTFE*、HAP*の場合においては、抗血栓性は認められなかった。(図1〜4参照)一方、SNo.1−10、1−13〜1−15に示すように本発明の高分子層をコーティングすることにより有意に抗血栓性が基材表面に付与されることが明らかとなった(図11〜14参照)。
また、SUS*製、CoCr*製およびHNS*製ステントについても同様の評価を行った。SNo.1−07〜1−09に示すようにステント単独の場合には、抗血栓性は認められず、ステントストラッド表面およびストラッド間にフィブリンネットワークの形成が認められた(図5〜10参照)。一方、SNo.1−16〜1−18に示すように本発明の高分子層をコーティングすることにより、ステントストラッド表面およびストラッド間には血栓形成が認められず、抗血栓性が付与されることが明らかとなった(図15〜20参照)。また、SNo.1−27に示すように市販のコラーゲンをCoCr*製ステントにコーティングしたもののみでは、血栓形成が認められ、抗血栓性が付与されないことが明らかとなった(図31,32参照)。さらにSNo.1−19、1−20、1−28、1−29に示すように薬剤Am80を含有した高分子層コーティングについても評価した結果、血栓形成が認められず、抗血栓性が付与されることが明らかとなった(図21〜24,33〜36参照)。また、SNo.1−23に示すように、薬剤Am80濃度が高い場合には、やや血栓が形成される傾向があった(図27〜28参照)。
[血管内皮細胞接着性および再内皮化評価]
上記で調製したディスク状基材上に正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC,Lonza)を5×105cells/wellとなるように播種した。培地は、内皮細胞基本培地に内皮細胞添加因子(EGM−2Bullet Kit,Lonza)を加えたものを使用した。37度、5%CO2の条件下で培養1日後、WST−1(Cell Counting Kir,同仁化学)試薬により細胞数を計数した。同じ条件で3〜7回の実験を行った結果を種々の基材上における細胞接着数とした。また、アクリル*およびHAP*については、ギムザ染色により定性的に評価した。
一方、ステントについては、調製後のサンプルをカテーテルに搭載した後、エチレンオキサイドガスにて滅菌し、生後3ヶ月のブタ(体重約60kg)を麻酔下、左冠動脈前下行枝(LAD)、左冠動脈左回旋枝(LCX)または右冠動脈(RCA)に留置した。2週間後、ステント留置部の血管を取り出し、再内皮化の様子をマクロ観察および中性緩衝ホルマリンにて固定後のミクロ組織の観察を走査型電子顕微鏡にて再内皮化および血栓形成の様子を観察した。
SNo.1−01〜1−06,1−10〜1−15の条件に対して種々の基材表面に対する本発明の高分子層コーティングの効果をHUVECの播種により検討した。
SNo.1−01〜06において、高分子層コーティングが無い場合HAPにおいてはやや接着性が認められたものの、それ以外の基材はHUVECの接着性が乏しいという結果が得られた。
一方、SNo.1−10〜15に示すように、高分子層コーティングを施した基材においては有意に高いHUVECの接着性が得られた。表2には、接着したHUVECの定量的な評価を行った結果を示すが、高分子層コーティングにより1.5〜5倍以上の接着細胞数の増加が認められることが明らかとなった(図39〜42、表2参照)。
一方、ステントについては、SNo.1−20、1−26、1−30の条件に対して再内皮化の評価を行った。図23〜26に示すように本発明の高分子層コーティングを施したステントの場合においては、再内皮化が認められ、血栓形成が認められないことから、生体内においても抗血栓性が保持されることが明らかとなった。一方、市販品のCypherステントにおいては、図37、38に示すように再内皮化が認められず、ステントストラッド間に多数の血栓形成が認められた。このことから、本発明の高分子層コーティングが、生体内においても従来品と比較して有意に再内皮化と抗血栓性を示すことが明らかとなった。
[薬剤徐放性評価]
上記で得られたAm80(仕込み濃度35mM,245mM,700mM)を含有した高分子層を有するステントを80℃のオーブンで10分加熱後、UV照射を10分間行い滅菌した後、0.1Mリン酸緩衝液(PBS)(pH7.4)1mL中に浸漬し、37℃で放置した。一定期間後、溶出液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりAm80のステントからの溶出量を定量した。ステント上に搭載されたAm80の全量は、調製したステントを1mg/mLのコラゲナーゼおよびCaClを含む0.1M PBS(pH7.4)1mLに浸漬し、37℃で24時間インキュベートしてコーティング層を酵素的に分解した後、フィルター(0.2μm)でろ過し、ろ液をHPLCにより定量した。
SNo.1−19〜25,28の条件に対してステントからの薬剤Am80の徐放性を検討した。
表3に示すように仕込み薬剤Am80濃度が35mMの場合においては、徐放は検出されなかったが、245mM以上になると8週間に渡る薬剤の溶出が認められた。また、4週後の溶出量で比較すると、高分子のゼラチン溶液の濃度を増加させると同じ仕込み薬剤濃度でも徐放量が増加することが明らかとなった。また、架橋剤であるTSC濃度を増加させることによっても薬剤徐放量が増加することが明らかとなった。
この現象は、高分子層の成分であるゼラチンとAm80がπ-π相互作用などの分子間相互作用により相互作用をしているためであると示唆される。
[再狭窄抑制効果の検証]
前記において調製したステントを左冠動脈前下行枝(LAD)、左冠動脈左回旋枝(LCX)または右冠動脈(RCA)に留置した。LAD,LCX,RCAへ留置するステントの数は、最大で2個とした。4週間後、再狭窄の程度を定量的冠動脈造影法(QCA)により調べ、冠動脈のAHA(米国心臓協会:American Heart Association)分類により評価した。
AHA分類による狭窄率は、狭窄が無い場合を0%、1〜25%を25%、25〜50%を50%、51〜75%を75%、75〜99%(造影剤の流れの狭窄部での遅延なし)を90%、75〜99%(造影剤の流れの狭窄部での遅延あり)を99%、完全な狭窄を100%とした。
それぞれの条件について5〜9個のステントを留置し、再狭窄率が45%以下のサンプル数の割合を算出し、その割合が60%以上のものを再狭窄抑制効果有りと定義した。比較例としてCoCr製ベアメタルステント(CoCr−BMS)、SUS316L製ベアメタルステント(SUS−BMS)、Cypherステント(ジョンソン&ジョンソン社製)を使用した。
比較例のCoCr−BMS(4−08)、SUS−BMS(4−09)、Cypher(4−10)と比較して高分子層コーティング(4−01)あるいはAm80含有高分子層をコーティング(4−04〜07)することによる有効性が認められた。
[基材とコーティング層の界面接合力向上のための前処理効果]
金属表面にシランカップリング剤などのアンカー分子を導入することなく高分子コーティング層と金属とを強固に接着することを目的とし、基材とコーティングとの界面の結合力を調べるため、金属−高分子層間界面が剥離する力を測定した。基材表面に高分子層をコーティングする前にその表面(10mmφ,厚さ1mmディスク)を有機溶媒(アセトン:AS)、希王水(50%王水:AR)または10%水酸化ナトリウム水溶液(Na)中に1時間浸漬させることで表面処理を行なった。表面処理した基材表面に、前記表3に示すそれぞれのコーティングを施し、水中に3日間浸漬し、乾燥させたものを表5のサンプルとした。サンプルの上下に瞬間接着剤を介して測定治具と接着させた後、片方を上方向に引き上げることで剥離時の応力を測定した。
表5には、様々な処理表面上におけるコーティング高分子層と基材との剥離強度を示している。有機溶媒あるいはアルカリ処理よりも希王水を用いた酸処理条件は、最も効果的に高分子層と接合することが明らかとなった。この表面処理による剥離強度の違いを明らかにするため、種々の前処理を行った後の基板の全反射赤外吸収スペクトル(ATR−IR)測定を行った。図43に示すようにアセトン、NaOH処理の基板は自然酸化膜による1160cm−1の吸収が確認できるが、希王水処理の基板は自然酸化膜ピークが減少している。すなわち、希王水処理により基板表面の酸化被膜が減少して現れた結晶粒界が剥離強度の増加を促す一因となっていることが示唆された。
基材の表面の高分子層について、コーティングの回数が与える影響について検討した。 具体的には、架橋剤として13mMのTSCを含む10%アルカリ処理ゼラチン(AlGltn)/ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液に、タミバロテン(Am80)を35mMとなるように調製した溶液を用いて、ステントの表面に種々の回数コーティングを行った。
結果を図44に示す。図44に示されているように、コーティング回数を1,5,10回と増加させるにつれ、Am80の含有量は、ほぼ直線的に増加した。このことから、コーティング回数を制御することによりAm80含有量を制御することが可能であることが確認された。
一方、コーティング後のステント表面および断面のSEM観察像を図45に示す。図45に示したように、コーティング回数に比例して、基材表面の高分子層が厚くなることが確認された。10回コーティング後には、高分子層が2-3μmの厚みでコーティングされた。
基材表面にコーティングする高分子層について、コーティング溶液およびコーティング工程を種々の条件とし、高分子層に含まれる薬剤の徐放性(溶出量)に与える影響を検討した。
ステントの表面に、高分子層として、10%アルカリ処理ゼラチンと架橋剤(TSC)を以下の[表6]に示した条件でコーティングした。また、薬剤としてタミバロテン(Am80)を使用し、高分子層に含まれる濃度が35mMとなるように調整した。そして、調製後のステントを37℃、0.1Mリン酸緩衝液中(pH7.4)1mLに浸漬し、7日後のAm80の溶出量を検証した。
結果は、[表6]に示す。
条件1〜4の結果から、架橋剤の含有量を高めると薬剤徐放性も高まる傾向があることが確認される。また、条件5〜7の結果から、トップコートを行った場合には、溶出量に影響をあまり及ぼさないことが分かる。
基材表面にコーティングされた高分子層からの薬剤の溶出時間を制御する方法について検討した。
細胞接着性ぺプチド含有高分子としてゼラチンを使用した。ゼラチン中のアミノ基の一部をレチノイル(RA)基またはエイコサペンタエン(EPA)基で修飾することで疎水化を行い、Am80の徐放制御が可能かどうかについて検討した。
<1> 疎水化ゼラチンの合成
1)ゼラチン中のアミノ基に対してエイコサペンタエン酸基を50%の割合で化学修飾した。(以下、この疎水化ゼラチンをE50Gと記載する。)
2)ゼラチン中のアミノ基に対してRetinoyl基を0、25、50、75%の割合で化学修飾した。レチノイル化ゼラチンの合成スキームを図46に示す。
(以下、この疎水化ゼラチンを各々、R0G、R25G、R50GおよびR75Gと記載する。)
<2>薬剤含有高分子マトリックスの調製
薬剤としてタミバロテン(Am80)を使用し、Am80(35mM)を含む10%RG(E50G、R0G、R25G、R50GおよびR75G)/DMSO溶液を調製後、終濃度が13mMとなるようにTSC/DMSO溶液を添加し板状に成形した。水(4℃)中に72時間浸漬して、DMSOを水に置換し、副生成物を除去した後、凍結乾燥させることで乾燥したAm80含有マトリックスを得た。
<3>Am80含有マトリックスからのAm80の溶出
乾燥したAm80含有マトリックス約1mgを50mLコニカルチューブにはかりとった後、0.1MPBS (pH7.4) 50mLを加え37℃で静置し、7日後に溶出液のうち1mLを取り、HPLC用サンプルとし、マトリックス1g当たりの7日後のAm80溶出量およびマトリックスからの7日後のAm80放出率を調べた。なお、詳細なHPLCの測定条件を以下に示す。
HPLC測定条件
Columun: Nacalai Tesque COSMOSIL PACKED COLUMN (Size:4.6 I.D.×150 mm; Type:5C18-AR-II WATERS)
移動層:5% HOAc/CH3CN=35/65 (v/v)
カラム温度:40.0℃
流速:1.00 mL/min
注入量:10.0 μL
検出波長:286 nm
<4>結果
結果を[表7]に示す。[表7]のAm80放出率は、各条件(R0G、R25G、R50G、R75G、E50G)について徐放性試験前のステントの細胞接着性ぺプチド含有高分子(ゼラチン)中に含まれるAm80量を100%として算出した。
表7に示したように、ゼラチンを疎水化することで、薬剤(Am80)の溶出量、放出率を制御することができた。したがって、細胞接着性ぺプチド含有高分子を疎水化した生体適合性器具を使用すれば、薬剤の種類や生体適合性器具の使用者の状態等に応じて薬剤の溶出時間(徐放性)を制御可能であることが確認された。
本発明は、基材上へ高分子層をパターン化してコーティングすることにより、診断用材料としての用途としても適用できる。

Claims (22)

  1. 基材の表面が抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体適合性高分子層で覆われ、生体に埋め込みまたは接合して使用される生体適合性器具であって、前記高分子層が、細胞接着ペプチド含有高分子の架橋による高分子マトリックスよりなることを特徴とする生体適合性器具。
  2. 請求項1に記載の生体適合性器具において、前記高分子マトリックスが、高分子がクエン酸活性エステル体により架橋されてなるものであることを特徴とする生体適合性器具。
  3. 請求項2に記載の生体適合性器具において、前記クエン酸活性エステル体が、トリスクシンイミジルシトレートまたは、トリスルホスクシンイミジルシトレートであることを特徴とする生体適合性器具。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の生体適合性器具において、前記細胞接着ペプチド含有高分子が、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、フィブリノーゲン、ケラチン、フィブロイン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、およびこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の組合せにより成ることを特徴とする生体適合性器具。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の生体適合性器具において、前記細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、およびイソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体適合性器具。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の生体適合性器具において、基材が、高分子材料、金属材料、セラミックス材料、不織布、および生体組織から選ばれる1種または2種以上の複合材料であることを特徴とする生体適合性器具。
  7. 請求項6に記載の生体適合性器具の基材が高分子材料である場合において、前記高分子材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε-カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリε-カプロラクトン−グリコール酸共重合体、およびポリ乳酸−ポリε-カプロラクトン共重合体から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体適合性器具。
  8. 請求項6に記載の生体適合性器具の基材が金属材料である場合において、前記金属材料が、SUS316Lステンレス、コバルト−クロム合金、ニッケルフリー高窒素ステンレス、マグネシウム合金、および形状記憶合金から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体適合性器具。
  9. 請求項6に記載の生体適合性器具の基材がセラミックス材料である場合において、前記セラミックス材料が、ハイドロキシアパタイト焼結体、低結晶性ハイドロキシアパタイト、β−トリカルシウムフォスフェート、およびα−トリカルシウムフォスフェートから選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体適合性器具。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の生体適合性器具において、酸、アルカリ又は有機溶媒により表面処理された基材の表面に高分子層が形成されていることを特徴とする生体適合性器具。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の生体適合性器具において、その高分子マトリックス内に薬剤が包含されていることを特徴とする生体適合性器具。
  12. 請求項11に記載の生体適合性器具において、前記薬剤が細胞分化誘導剤、抗ガン剤、免疫抑制剤、細胞成長因子、サイトカイン、トロンビン阻害薬、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、高血圧治療薬、抗菌薬、抗生物質、表面糖タンパク質受容体阻害薬、抗血小板薬、細胞***抑制薬、微小管阻害薬、抗分泌薬、アクチン阻害薬、リモデリング阻害薬、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗剤、抗増殖性物質、抗癌化学治療薬、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン・アンタゴニスト、成長因子、ドーパミン・アゴニスト、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、阻害薬、フリーラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化剤、抗ポリメラーゼ、抗ウィルス薬、光力学治療薬、および遺伝子治療薬から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体適合性器具。
  13. 請求項12に記載の細胞分化誘導剤がタミバロテンであることを特徴とする生体適合性器具。
  14. 医療処置において、生体に埋め込み又は接合して使用される医療器具であって、請求項1から13のいずれかに記載の生体適合性器具が、医療処置に適合する構造に構成されたものであることを特徴とする医療機器。
  15. 生体内の血管内に挿入されて、その内側から血管を広げるように拡張されるステントであって、請求項1から14のいずれかに記載の生体適合性器具が、ステントの構造に構成されたものであることを特徴とするステント。
  16. 請求項10に記載の生体適合性器具において、前記酸が、王水であることを特徴とする生体適合性器具。
  17. 請求項4に記載の生体適合性器具において、前記細胞接着ペプチド含有高分子が、疎水化されていることを特徴とする生体適合性器具。
  18. 基材の表面に、細胞接着ペプチド含有高分子と架橋剤を含むコーティング溶液をコーティングして、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ高分子層を形成することを特徴とする生体適合性器具の製造方法。
  19. 請求項18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティングを複数回行うことを特徴とする生体適合性器具の製造方法。
  20. 請求項18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティング溶液は、薬剤を含有することを特徴とする生体適合性器具の製造方法。
  21. 請求項18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記細胞接着ペプチド含有高分子を疎水化する工程を含むことを特徴とする生体適合性器具の製造方法。
  22. 請求項18に記載の生体適合性器具の製造方法において、前記コーティング溶液は薬剤を含有し、生体適合性器具からの所望の薬剤徐放性に応じて前記コーティング溶液中の架橋剤の濃度を5mM〜200mMの範囲で調整する工程を含むことを特徴とする生体適合性器具の製造方法。
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