JPWO2010147237A1 - 多元系脂肪族ポリカルボナートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
二酸化炭素と二種以上のエポキシド化合物からなる二種以上のカルボナート単位がランダムに組み入れられた多元系脂肪族ポリカルボナートを製造する方法を提供する。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物と、置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物と、二酸化炭素とを共重合することを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法において、式(I)又は式(II)で表されるコバルト錯体を触媒として用いて共重合を行う。
Description
本発明は、二種以上のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合して、多元系脂肪族ポリカルボナートを製造する方法に関する。より詳細には、コバルト錯体を触媒として用いて二種以上のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合することにより、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法に関する。
脂肪族エポキシド化合物と二酸化炭素との共重合によって得られる脂肪族ポリカルボナートは、二酸化炭素を合成樹脂の原料に利用する点で興味深い。また、脂肪族ポリカルボナートは、透明性を有しかつ所定温度以上に加熱すると完全に分解するため、一般成形物、フィルム、ファイバーなどの用途に使用できることに加えて、光ファイバー、光ディスクなどの光学材料、あるいはセラミックバインダー、ロストフォームキャスティングなどの熱分解性材料として利用することも可能である。さらに、脂肪族ポリカルボナートは、生体内で分解可能であるため、徐放性の薬剤カプセルなどの医用材料、生分解性樹脂の添加剤又は生分解性樹脂の主成分として応用できる。
二種以上のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合すると、それらのエポキシド化合物のいずれかと二酸化炭素からなるカルボナート単位を含む、多元系ポリカルボナートとなる。例えば、非特許文献1(Nakano,K.,Kamada,T.,Nozaki,K.,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,7274−7277)には、エチレンオキシド(EO)又はプロピレンオキシド(PO)及び他のアルキレンオキシド(AO)を二酸化炭素と共重合することにより、EO又はPOと二酸化炭素からなるブロック及びAOと二酸化炭素からなるブロックを含む、三元系ブロック共重合体を製造することが記載されている。
特許文献1(中国特許出願公開第1887934号)には、シクロヘキセンオキシド又はスチレンオキシドと他のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合することにより、分子鎖に環状構造を有する三元系ポリカルボナートを製造すること、及びそのような三元系ポリカルボナートのガラス転移温度が高くなることが記載されている。
二種以上のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合すると、それらのエポキシド化合物のいずれかと二酸化炭素からなるカルボナート単位を含む、多元系ポリカルボナートとなる。例えば、非特許文献1(Nakano,K.,Kamada,T.,Nozaki,K.,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,7274−7277)には、エチレンオキシド(EO)又はプロピレンオキシド(PO)及び他のアルキレンオキシド(AO)を二酸化炭素と共重合することにより、EO又はPOと二酸化炭素からなるブロック及びAOと二酸化炭素からなるブロックを含む、三元系ブロック共重合体を製造することが記載されている。
特許文献1(中国特許出願公開第1887934号)には、シクロヘキセンオキシド又はスチレンオキシドと他のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合することにより、分子鎖に環状構造を有する三元系ポリカルボナートを製造すること、及びそのような三元系ポリカルボナートのガラス転移温度が高くなることが記載されている。
Nakano,K.,Kamada,T.,Nozaki,K.,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,7274−7277
本発明は、二種以上のエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合することにより、それらのエポキシド化合物と二酸化炭素からなる二種以上のカルボナート単位がランダムに組み入れられた多元系脂肪族ポリカルボナートを製造する方法を提供する。
本願は、上記課題を解決するために以下の発明を提供する。
1.エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物と、置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物と、二酸化炭素とを共重合することを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法であって、式(I):
又は式(II):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR4とR5が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよく、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表されるコバルト錯体を触媒として用いて共重合を行うことを特徴とする方法。
2.少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における有機基の主鎖の原子数が4〜20である、上記1に記載の方法。
3.第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、上記1又は2のいずれかに記載の方法。
4.コバルト錯体が、式(II−a):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
又は式(II−b):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であり、R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシ基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環を形成してもよく、脂肪族環上の置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
で表される、上記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.コバルト錯体が、式(II−a1):
(式中、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
で表される、上記4に記載の方法。
6.[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+(式中、R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)及び式(III):
(式中、R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、R10は、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩からなる助触媒を、コバルト錯体と組み合わせた触媒システムを用いて共重合を行うことを特徴とする、上記1〜5のいずれか1つに記載の方法。
7.エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物並びに二酸化炭素に由来するカルボナート単位と、
置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位と
を含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
8.少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における有機基の主鎖の原子数が4〜20である、上記7に記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
9.第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、上記7又は8のいずれかに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
10.第1モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位が、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位の、1/200以上、200倍以下である、上記7〜9のいずれか1つに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
1.エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物と、置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物と、二酸化炭素とを共重合することを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法であって、式(I):
又は式(II):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR4とR5が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよく、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表されるコバルト錯体を触媒として用いて共重合を行うことを特徴とする方法。
2.少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における有機基の主鎖の原子数が4〜20である、上記1に記載の方法。
3.第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、上記1又は2のいずれかに記載の方法。
4.コバルト錯体が、式(II−a):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
又は式(II−b):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であり、R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシ基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環を形成してもよく、脂肪族環上の置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
で表される、上記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.コバルト錯体が、式(II−a1):
(式中、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
で表される、上記4に記載の方法。
6.[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+(式中、R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)及び式(III):
(式中、R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、R10は、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩からなる助触媒を、コバルト錯体と組み合わせた触媒システムを用いて共重合を行うことを特徴とする、上記1〜5のいずれか1つに記載の方法。
7.エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物並びに二酸化炭素に由来するカルボナート単位と、
置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位と
を含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
8.少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における有機基の主鎖の原子数が4〜20である、上記7に記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
9.第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、上記7又は8のいずれかに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
10.第1モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位が、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位の、1/200以上、200倍以下である、上記7〜9のいずれか1つに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
本発明によれば、第1モノエポキシド化合物(エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド)と、それらと比べて重合反応性が低い第2モノエポキシド化合物とを共存させて、これらのエポキシド化合物を二酸化炭素と共重合させることができる。また、これらのエポキシド化合物に由来するカルボナート単位が分子鎖中にランダムに配置された、単一のガラス転移温度Tgを有する多元系脂肪族ポリカルボナートを製造することができる。また、第2モノエポキシド化合物の相対量及び/又は有機基の長さすなわち主鎖の原子数を変化させることにより、多元系脂肪族ポリカルボナートのTgを、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのみから得られるポリカルボナートと比べて低い様々な値に調節することができる。
図1は例48の三元系脂肪族ポリカルボナートの1H−NMRスペクトルである。
図2は例48の三元系脂肪族ポリカルボナートのDSCチャートである。
図2は例48の三元系脂肪族ポリカルボナートのDSCチャートである。
本発明の一実施態様は、第1モノエポキシド化合物及び主鎖の原子数が2〜30の有機基を有する第2モノエポキシド化合物と二酸化炭素とをコバルト錯体を用いて共重合して、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法である。
本明細書で使用する「ランダム共重合体」とは、共重合体鎖中でエポキシド化合物と二酸化炭素が一分子ずつ結合した部分を1つのカルボナート単位とした場合に、連続した同種のカルボナート単位に由来する物理的特性が見られない共重合体、言い換えると同種のカルボナート単位がある長さ以上で共重合体鎖中に連続しないものを意味する。従って、例えば異種のカルボナート単位が1つずつ交互に存在するものや、局所的に同種のカルボナート単位が連続するが物理的特性を発現するに至らない程度のものなど、ミクロレベルでの規則性を有する共重合体を除外することは意図していない。ここで定義されるランダム共重合体は、同種のカルボナート単位の連続部分に由来する固有のガラス転移温度を示さず、全体として単一のガラス転移温度Tgを示す。
第1モノエポキシド化合物は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Td、使用するコバルト錯体のタイプなどに応じて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの組み合わせから選択することができる。例えば、交互規則性の非常に高いポリカルボナートを得ようとする場合、一般にプロピレンオキシドが有利に使用できる。使用するコバルト錯体のタイプによっては、エチレンオキシドが好適に使用できる場合もある。
主鎖の原子数が2〜30の有機基を有する第2モノエポキシド化合物は、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体において、第1モノエポキシド化合物とは異なるカルボナート単位を構成する要素である。第2モノエポキシド化合物の有機基は他の置換基で置換されていてもよく、有機基の主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい。第2モノエポキシド化合物はそのような有機基を1又は複数有していてよいが、共存する第1モノエポキシド化合物の反応性とのバランスなどの観点から、有機基は1つであることが好ましい。第2モノエポキシド化合物は末端エポキシドであってもよく、内部エポキシドであってもよい。内部エポキシドの場合、上記有機基以外の置換基、例えばメチル基がエポキシド炭素上に存在してもよい。一般に、エポキシドの開環が進みやすいことから、末端エポキシドが有利に使用できる。
得られるポリカルボナートのTgをより低くするためには、有機基の主鎖の原子数は4以上とすることが好ましく、8以上とすることがより好ましく、一方で、20以下とすることが好ましく、18以下とすることがより好ましい。
このような有機基は、直鎖アルキル基又は直鎖エーテル基もしくは直鎖ポリエーテル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。直鎖アルキル基として、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコサニル基、n−トリアコンチル基などが挙げられる。直鎖エーテル基として、例えばメトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシメチル基、2−ブトキシエチル基、2−ペンチルオキシエチル基などが挙げられ、直鎖ポリエーテル基として、例えば2−メトキシエトキシメチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2,5,8−トリオキサノニル基、3,6,9−トリオキサデシル基、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル基などが挙げられる。
有機基は、例えば炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基又はアルケニル基、アルコキシ基、窒素原子上に活性水素をもたないアミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アリール基などの他の置換基で置換されていてもよく、置換基の数及び位置は適宜設定することができる。
このような有機基を有するエポキシド化合物として、例えば、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシイコサン、1,2−エポキシドコサン、2,3−エポキシヘキサン、2,3−エポキシオクタン、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、2−メチル−1,2−エポキシヘキサン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルメチルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルメチルエーテルなどが挙げられる。
このような有機基を有する第2モノエポキシド化合物は、当業者に周知の方法によって合成することができる。例えば、対応するモノオレフィン化合物を、mCPBA、Oxone(登録商標)、過酸化水素などを用いて酸化することによって得ることができる。
触媒として用いるコバルト錯体は、式(I):
又は式(II):
で表される。
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アルキル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のアリール基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。アリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のヘテロアリール基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換のヘテロアリール基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基などの置換又は非置換のヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
また、2個のR1又は2個のR2は、互いに結合して置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族環を形成してもよく、炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環を形成することが好ましい。例えば、R1とR2が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキサン環を形成する。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR4とR5が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アルキル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルケニル基としては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル基、2−プロペニル基などが挙げられる。アルケニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5のアリール基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。アリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のヘテロアリール基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換のヘテロアリール基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基などの置換又は非置換のヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ハロゲン原子基、ニトロ基、シアノ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は非置換のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、アダマンチルオキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5のアシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などの脂肪族アシル基、ベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、9−アントリルカルボニル基などのアリールアシル基などが挙げられる。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20の置換又は非置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えば、フェノキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基は、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアラルキルオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20のアラルキルオキシカルボニル基が好ましく、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基などが挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシアルキレンオキシ基、例えばメトキシエチレンオキシ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
さらに、隣り合う炭素原子上のR4とR5は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよく、この場合、炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環又は芳香環を形成することが好ましい。例えば、R4とR5が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキセン環を形成する。R4とR5が4個の炭素原子を介して結合してベンゼン環を形成することが好ましい。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、ハロゲン原子などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。アニオン性配位子はエポキシド化合物のエポキシド炭素に対して求核性を有する場合がある。Zの具体例として、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、プロピオナート、シクロヘキシルカルボキシラートなどの脂肪族カルボキシラート;ベンゾアート、p−メチルベンゾアート、3,5−ジクロロベンゾアート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアート、4−ジメチルアミノベンゾアート、4−tert−ブチルベンゾアート、ペンタフルオロベンゾアート、ナフタレンカルボキシラートなどの芳香族カルボキシラート;メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシド;フェノキシド、o−ニトロフェノキシド、p−ニトロフェノキシド、m−ニトロフェノキシド、2,4−ジニトロフェノキシド、3,5−ジニトロフェノキシド、3,5−ジフルオロフェノキシド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシド、1−ナフトキシド、2−ナフトキシドなどのアリールオキシドなどが挙げられる。Zは、F−、Cl−、Br−、I−、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F−、Cl−、Br−、I−、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F−、Cl−又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
このようなコバルト錯体として、式(II−a):
(式中、R1、R2及びZは上記の通り、R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される。)で表される、いわゆるコバルト−サレン錯体が好ましい。
R6の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、F、Cl、Br、Iなどが挙げられる。
また、式(II−b):
(式中、R1、R2、R5及びZは上記の通り、R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシ基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環を形成してもよく、脂肪族環上の置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される。)で表される、コバルト−ケトイミナト錯体も好ましい。
R7の具体例として、R3〜R5で説明したようなアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルコキシ基に加えて、炭素数6〜20のアリールオキシ基、例えばフェノキシ基、炭素数6〜20のアラルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などが挙げられる。また、隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して脂肪族環を形成すると、オキソ−シクロペンテン環、オキソ−シクロヘキセン環などになり、脂肪族環は、R6で説明したような炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
これらの中で、式(II−a1):
(式中、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表される、コバルト−サレン錯体が特に好ましい。
これらのコバルト錯体は公知の方法に従って合成することができる。例えば、コバルト−サレン錯体については米国特許出願公開第2006/0089252号など;コバルト−ケトイミナト錯体については、Y.Nishida,et al,.Inorg.Chim.Acta,38,213(1980)、E.G.Jager,Z.Chem.,8,30,392 and 475(1968)などを参照のこと。
上記コバルト錯体に助触媒を組み合わせた触媒システムを用いて、エポキシド化合物と二酸化炭素の共重合を行うこともできる。助触媒を併用することにより、共重合の反応速度を高める、及び/又は共重合体の交互規則性を高める、及び/又は副生成物である環状カルボナートの生成を抑制することができる。
上記コバルト錯体と組み合わせることが可能な助触媒の一例は、リン及び/又は窒素を含むカチオンと対アニオンとからなる塩である。そのような助触媒として、[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+(式中、R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)及び式(III):
(式中、R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、R10は、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩を使用できる。
上記塩を構成するカチオン[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+における、R8の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。式(III)のイミダゾリウムにおけるR9及びR10の具体例として、R8について上述したような、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、及び置換又は非置換のアリール基が挙げられる。これらのR8、R9及びR10は、上記カチオン([R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+、式(III)のイミダゾリウム)が全体として共重合反応に有利な立体的効果を発揮する、すなわち適切な嵩高さを有するように、選択して組み合わせることができる。
上記塩を構成するカチオンとして、[R8 4N]+、[R8 3P=N=PR8 3]+、又は式(III)のイミダゾリウムを使用することが好ましく、[R8 3P=N=PR8 3]+を使用することがより好ましい。
四級アンモニウム[R8 4N]+の具体例として、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、トリシクロヘキシルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウムなどが挙げられる。
四級ホスホニウム[R8 4P]+の具体例として、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テトラシクロヘキシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラ(メトキシフェニル)ホスホニウムなどが挙げられる。
ビス(ホスホラニリデン)アンモニウム[R8 3P=N=PR8 3]+の具体例として、ビス(トリブチルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(エチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(n−ブチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(ジメチルフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリトリルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリナフチルホスホラニリデン)アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムが好ましい。
式(III)のイミダゾリウムの具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
上記塩を構成するアニオンとして、Zについて上述したものを挙げることができ、F−、Cl−、Br−、I−、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F−、Cl−、Br−、I−、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F−、Cl−又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
上記カチオン及びアニオンからなる塩として、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾアート、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムクロリドなどが挙げられ、PPNF、PPNCl及びビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾアートが好ましい。
コバルト錯体と助触媒を組み合わせた触媒システムにおいて、コバルト錯体を上記式(II−a)又は式(II−b)の化合物とすることが好ましく、式(II−a1)の化合物とすることがより好ましい。
第1モノエポキシド化合物及び第2モノエポキシド化合物と二酸化炭素の共重合は、加圧可能な公知の重合反応装置、例えばオートクレーブを用いて行うことができる。共重合の反応温度は、一般に約0℃以上、約100℃以下とすることができ、約10℃以上、約90℃以下であることが好ましく、約20℃以上、約60℃以下であることがより好ましい。共重合を低温で行うと環状カルボナートの生成を抑制でき、高温で行うと反応速度が増加してTOF及び/又はTONを向上させることができる。
共重合時の二酸化炭素の分圧は、一般に約0.1MPa以上、約10MPa以下とすることができ、約5MPa以下であることが好ましく、約3MPa以下であることがより好ましい。窒素、アルゴンなどの不活性ガスが二酸化炭素と一緒に反応雰囲気中に存在してもよい。
第1モノエポキシド化合物と第2モノエポキシド化合物のモル比は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Tdなどに応じて選択することができる。一般に第1モノエポキシド化合物の量は、モル数を基準として、第2モノエポキシド化合物の約1/200以上、約200倍以下であり、約1/100以上、約1/50以上、約1/20以上、又は約1倍以上であってよく、一方で約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、又は約5倍以下であってよい。
第1モノエポキシド化合物と第2モノエポキシド化合物の合計と、触媒であるコバルト錯体とのモル比は、一般にエポキシド化合物の合計:コバルト錯体=約1000:1以上とすることができ、約2000:1以上であることが好ましい。錯体濃度が低いと一般に反応時間が長くなるため、エポキシド化合物の合計:コバルト錯体=約100000:1以下、又は約50000:1以下とすることが一般的である。必要に応じて使用される助触媒の量は、コバルト錯体1モルに対して、一般に約0.1〜約10モルとすることができ、約0.5〜約5モルであることが好ましく、約0.8〜約1.2モルであることがより好ましい。
共重合は無溶媒で行ってもよく、必要に応じて溶媒を使用して行ってもよい。使用可能な溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミドなどのアミド、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル及びそれらの組み合わせを用いることができ、ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド及び1,2−ジメトキシエタンが好ましく、ジクロロメタン及び1,2−ジメトキシエタンがより好ましい。溶媒を使用する場合、その量は、エポキシド化合物の合計1質量部に対して、一般に約0.1〜約100質量部とすることができ、約0.2〜約50質量部であることが好ましく、約0.5〜約20質量部であることがより好ましい。
所望量の第1モノエポキシド化合物及び第2モノエポキシド化合物が重合した後、公知の後処理を行うことができる。例えば、塩酸、メタノール、塩酸/メタノール混合物などを反応停止剤として反応混合物に投入し、必要に応じて昇温及び/又は攪拌して反応を終了することができる。その後、例えば、貧溶媒としてメタノール、ヘキサンなどを用いてポリマーを再沈殿してもよく、ソックスレー抽出器を利用して固体状混合物から錯体を抽出してもよい。また、カラムクロマトグラフィーなどの周知の手段を用いて、ポリマーをさらに精製してもよい。
このようにして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物並びに二酸化炭素に由来するカルボナート単位と;置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位とを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を得ることができる。
上記多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体における第1モノエポキシド化合物は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Tdなどに応じて選択することができ、上記方法を使用して容易に合成できることから、プロピレンオキシドとすることが一般に有利である。ポリカルボナートのTgをより低くするためには、有機基の主鎖の原子数が4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、一方で、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。第1モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位は、第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位の約1/200以上、約200倍以下であり、約1/100以上、約1/50以上、約1/20以上、又は約1倍以上であってよく、一方で約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、又は約5倍以下であってよい。このような範囲とすることにより、多元系脂肪族ポリカルボナートに特有の物性(例えばより低いガラス転移温度Tgなど)を得ることができる。
このようにして得られる多元系脂肪族ポリカルボナートは、例えば光学材料、熱分解性材料、医用材料、生分解性樹脂などとして、様々な用途で利用することができる。また、いかなる理論に拘束される訳ではないが、このような多元系脂肪族ポリカルボナートは、第2モノエポキシド化合物に由来する長い側鎖を有することから、ポリ(プロピレンカルボナート)などと比べて分子間の絡み合いの割合がより大きいことが考えられ、そのためポリ(プロピレンカルボナート)などとは異なる粘弾性特性、例えばゴム状の性質などを発現することが期待できる。
本明細書で使用する「ランダム共重合体」とは、共重合体鎖中でエポキシド化合物と二酸化炭素が一分子ずつ結合した部分を1つのカルボナート単位とした場合に、連続した同種のカルボナート単位に由来する物理的特性が見られない共重合体、言い換えると同種のカルボナート単位がある長さ以上で共重合体鎖中に連続しないものを意味する。従って、例えば異種のカルボナート単位が1つずつ交互に存在するものや、局所的に同種のカルボナート単位が連続するが物理的特性を発現するに至らない程度のものなど、ミクロレベルでの規則性を有する共重合体を除外することは意図していない。ここで定義されるランダム共重合体は、同種のカルボナート単位の連続部分に由来する固有のガラス転移温度を示さず、全体として単一のガラス転移温度Tgを示す。
第1モノエポキシド化合物は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Td、使用するコバルト錯体のタイプなどに応じて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの組み合わせから選択することができる。例えば、交互規則性の非常に高いポリカルボナートを得ようとする場合、一般にプロピレンオキシドが有利に使用できる。使用するコバルト錯体のタイプによっては、エチレンオキシドが好適に使用できる場合もある。
主鎖の原子数が2〜30の有機基を有する第2モノエポキシド化合物は、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体において、第1モノエポキシド化合物とは異なるカルボナート単位を構成する要素である。第2モノエポキシド化合物の有機基は他の置換基で置換されていてもよく、有機基の主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい。第2モノエポキシド化合物はそのような有機基を1又は複数有していてよいが、共存する第1モノエポキシド化合物の反応性とのバランスなどの観点から、有機基は1つであることが好ましい。第2モノエポキシド化合物は末端エポキシドであってもよく、内部エポキシドであってもよい。内部エポキシドの場合、上記有機基以外の置換基、例えばメチル基がエポキシド炭素上に存在してもよい。一般に、エポキシドの開環が進みやすいことから、末端エポキシドが有利に使用できる。
得られるポリカルボナートのTgをより低くするためには、有機基の主鎖の原子数は4以上とすることが好ましく、8以上とすることがより好ましく、一方で、20以下とすることが好ましく、18以下とすることがより好ましい。
このような有機基は、直鎖アルキル基又は直鎖エーテル基もしくは直鎖ポリエーテル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。直鎖アルキル基として、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコサニル基、n−トリアコンチル基などが挙げられる。直鎖エーテル基として、例えばメトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシメチル基、2−ブトキシエチル基、2−ペンチルオキシエチル基などが挙げられ、直鎖ポリエーテル基として、例えば2−メトキシエトキシメチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2,5,8−トリオキサノニル基、3,6,9−トリオキサデシル基、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル基などが挙げられる。
有機基は、例えば炭素数1〜6又は1〜3のアルキル基又はアルケニル基、アルコキシ基、窒素原子上に活性水素をもたないアミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アリール基などの他の置換基で置換されていてもよく、置換基の数及び位置は適宜設定することができる。
このような有機基を有するエポキシド化合物として、例えば、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシイコサン、1,2−エポキシドコサン、2,3−エポキシヘキサン、2,3−エポキシオクタン、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、2−メチル−1,2−エポキシヘキサン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルメチルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルメチルエーテルなどが挙げられる。
このような有機基を有する第2モノエポキシド化合物は、当業者に周知の方法によって合成することができる。例えば、対応するモノオレフィン化合物を、mCPBA、Oxone(登録商標)、過酸化水素などを用いて酸化することによって得ることができる。
触媒として用いるコバルト錯体は、式(I):
又は式(II):
で表される。
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アルキル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のアリール基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。アリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2の置換又は非置換のヘテロアリール基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換のヘテロアリール基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基などの置換又は非置換のヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
また、2個のR1又は2個のR2は、互いに結合して置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族環を形成してもよく、炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環を形成することが好ましい。例えば、R1とR2が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキサン環を形成する。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR4とR5が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アルキル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルケニル基としては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル基、2−プロペニル基などが挙げられる。アルケニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5のアリール基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。アリール基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のヘテロアリール基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換のヘテロアリール基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基などの置換又は非置換のヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ハロゲン原子基、ニトロ基、シアノ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は非置換のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、アダマンチルオキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5のアシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などの脂肪族アシル基、ベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、9−アントリルカルボニル基などのアリールアシル基などが挙げられる。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20の置換又は非置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えば、フェノキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基は、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3、R4及びR5の置換又は非置換のアラルキルオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20のアラルキルオキシカルボニル基が好ましく、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基などが挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基は、例えば、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシアルキレンオキシ基、例えばメトキシエチレンオキシ基などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
さらに、隣り合う炭素原子上のR4とR5は、互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよく、この場合、炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環又は芳香環を形成することが好ましい。例えば、R4とR5が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキセン環を形成する。R4とR5が4個の炭素原子を介して結合してベンゼン環を形成することが好ましい。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、ハロゲン原子などから選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。アニオン性配位子はエポキシド化合物のエポキシド炭素に対して求核性を有する場合がある。Zの具体例として、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、プロピオナート、シクロヘキシルカルボキシラートなどの脂肪族カルボキシラート;ベンゾアート、p−メチルベンゾアート、3,5−ジクロロベンゾアート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアート、4−ジメチルアミノベンゾアート、4−tert−ブチルベンゾアート、ペンタフルオロベンゾアート、ナフタレンカルボキシラートなどの芳香族カルボキシラート;メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシド;フェノキシド、o−ニトロフェノキシド、p−ニトロフェノキシド、m−ニトロフェノキシド、2,4−ジニトロフェノキシド、3,5−ジニトロフェノキシド、3,5−ジフルオロフェノキシド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシド、1−ナフトキシド、2−ナフトキシドなどのアリールオキシドなどが挙げられる。Zは、F−、Cl−、Br−、I−、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F−、Cl−、Br−、I−、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F−、Cl−又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
このようなコバルト錯体として、式(II−a):
(式中、R1、R2及びZは上記の通り、R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される。)で表される、いわゆるコバルト−サレン錯体が好ましい。
R6の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、F、Cl、Br、Iなどが挙げられる。
また、式(II−b):
(式中、R1、R2、R5及びZは上記の通り、R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシ基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環を形成してもよく、脂肪族環上の置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される。)で表される、コバルト−ケトイミナト錯体も好ましい。
R7の具体例として、R3〜R5で説明したようなアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルコキシ基に加えて、炭素数6〜20のアリールオキシ基、例えばフェノキシ基、炭素数6〜20のアラルキルオキシ基、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などが挙げられる。また、隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して脂肪族環を形成すると、オキソ−シクロペンテン環、オキソ−シクロヘキセン環などになり、脂肪族環は、R6で説明したような炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
これらの中で、式(II−a1):
(式中、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表される、コバルト−サレン錯体が特に好ましい。
これらのコバルト錯体は公知の方法に従って合成することができる。例えば、コバルト−サレン錯体については米国特許出願公開第2006/0089252号など;コバルト−ケトイミナト錯体については、Y.Nishida,et al,.Inorg.Chim.Acta,38,213(1980)、E.G.Jager,Z.Chem.,8,30,392 and 475(1968)などを参照のこと。
上記コバルト錯体に助触媒を組み合わせた触媒システムを用いて、エポキシド化合物と二酸化炭素の共重合を行うこともできる。助触媒を併用することにより、共重合の反応速度を高める、及び/又は共重合体の交互規則性を高める、及び/又は副生成物である環状カルボナートの生成を抑制することができる。
上記コバルト錯体と組み合わせることが可能な助触媒の一例は、リン及び/又は窒素を含むカチオンと対アニオンとからなる塩である。そのような助触媒として、[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+(式中、R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)及び式(III):
(式中、R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、R10は、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩を使用できる。
上記塩を構成するカチオン[R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+における、R8の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。式(III)のイミダゾリウムにおけるR9及びR10の具体例として、R8について上述したような、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、及び置換又は非置換のアリール基が挙げられる。これらのR8、R9及びR10は、上記カチオン([R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+、式(III)のイミダゾリウム)が全体として共重合反応に有利な立体的効果を発揮する、すなわち適切な嵩高さを有するように、選択して組み合わせることができる。
上記塩を構成するカチオンとして、[R8 4N]+、[R8 3P=N=PR8 3]+、又は式(III)のイミダゾリウムを使用することが好ましく、[R8 3P=N=PR8 3]+を使用することがより好ましい。
四級アンモニウム[R8 4N]+の具体例として、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、トリシクロヘキシルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウムなどが挙げられる。
四級ホスホニウム[R8 4P]+の具体例として、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テトラシクロヘキシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラ(メトキシフェニル)ホスホニウムなどが挙げられる。
ビス(ホスホラニリデン)アンモニウム[R8 3P=N=PR8 3]+の具体例として、ビス(トリブチルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(エチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(n−ブチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(ジメチルフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリトリルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリナフチルホスホラニリデン)アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムが好ましい。
式(III)のイミダゾリウムの具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
上記塩を構成するアニオンとして、Zについて上述したものを挙げることができ、F−、Cl−、Br−、I−、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F−、Cl−、Br−、I−、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F−、Cl−又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
上記カチオン及びアニオンからなる塩として、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾアート、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムクロリドなどが挙げられ、PPNF、PPNCl及びビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾアートが好ましい。
コバルト錯体と助触媒を組み合わせた触媒システムにおいて、コバルト錯体を上記式(II−a)又は式(II−b)の化合物とすることが好ましく、式(II−a1)の化合物とすることがより好ましい。
第1モノエポキシド化合物及び第2モノエポキシド化合物と二酸化炭素の共重合は、加圧可能な公知の重合反応装置、例えばオートクレーブを用いて行うことができる。共重合の反応温度は、一般に約0℃以上、約100℃以下とすることができ、約10℃以上、約90℃以下であることが好ましく、約20℃以上、約60℃以下であることがより好ましい。共重合を低温で行うと環状カルボナートの生成を抑制でき、高温で行うと反応速度が増加してTOF及び/又はTONを向上させることができる。
共重合時の二酸化炭素の分圧は、一般に約0.1MPa以上、約10MPa以下とすることができ、約5MPa以下であることが好ましく、約3MPa以下であることがより好ましい。窒素、アルゴンなどの不活性ガスが二酸化炭素と一緒に反応雰囲気中に存在してもよい。
第1モノエポキシド化合物と第2モノエポキシド化合物のモル比は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Tdなどに応じて選択することができる。一般に第1モノエポキシド化合物の量は、モル数を基準として、第2モノエポキシド化合物の約1/200以上、約200倍以下であり、約1/100以上、約1/50以上、約1/20以上、又は約1倍以上であってよく、一方で約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、又は約5倍以下であってよい。
第1モノエポキシド化合物と第2モノエポキシド化合物の合計と、触媒であるコバルト錯体とのモル比は、一般にエポキシド化合物の合計:コバルト錯体=約1000:1以上とすることができ、約2000:1以上であることが好ましい。錯体濃度が低いと一般に反応時間が長くなるため、エポキシド化合物の合計:コバルト錯体=約100000:1以下、又は約50000:1以下とすることが一般的である。必要に応じて使用される助触媒の量は、コバルト錯体1モルに対して、一般に約0.1〜約10モルとすることができ、約0.5〜約5モルであることが好ましく、約0.8〜約1.2モルであることがより好ましい。
共重合は無溶媒で行ってもよく、必要に応じて溶媒を使用して行ってもよい。使用可能な溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミドなどのアミド、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル及びそれらの組み合わせを用いることができ、ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド及び1,2−ジメトキシエタンが好ましく、ジクロロメタン及び1,2−ジメトキシエタンがより好ましい。溶媒を使用する場合、その量は、エポキシド化合物の合計1質量部に対して、一般に約0.1〜約100質量部とすることができ、約0.2〜約50質量部であることが好ましく、約0.5〜約20質量部であることがより好ましい。
所望量の第1モノエポキシド化合物及び第2モノエポキシド化合物が重合した後、公知の後処理を行うことができる。例えば、塩酸、メタノール、塩酸/メタノール混合物などを反応停止剤として反応混合物に投入し、必要に応じて昇温及び/又は攪拌して反応を終了することができる。その後、例えば、貧溶媒としてメタノール、ヘキサンなどを用いてポリマーを再沈殿してもよく、ソックスレー抽出器を利用して固体状混合物から錯体を抽出してもよい。また、カラムクロマトグラフィーなどの周知の手段を用いて、ポリマーをさらに精製してもよい。
このようにして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物並びに二酸化炭素に由来するカルボナート単位と;置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位とを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を得ることができる。
上記多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体における第1モノエポキシド化合物は、目的とするポリカルボナートの物性例えばガラス転移温度Tg、熱分解温度Tdなどに応じて選択することができ、上記方法を使用して容易に合成できることから、プロピレンオキシドとすることが一般に有利である。ポリカルボナートのTgをより低くするためには、有機基の主鎖の原子数が4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、一方で、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。第1モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位は、第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位の約1/200以上、約200倍以下であり、約1/100以上、約1/50以上、約1/20以上、又は約1倍以上であってよく、一方で約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、又は約5倍以下であってよい。このような範囲とすることにより、多元系脂肪族ポリカルボナートに特有の物性(例えばより低いガラス転移温度Tgなど)を得ることができる。
このようにして得られる多元系脂肪族ポリカルボナートは、例えば光学材料、熱分解性材料、医用材料、生分解性樹脂などとして、様々な用途で利用することができる。また、いかなる理論に拘束される訳ではないが、このような多元系脂肪族ポリカルボナートは、第2モノエポキシド化合物に由来する長い側鎖を有することから、ポリ(プロピレンカルボナート)などと比べて分子間の絡み合いの割合がより大きいことが考えられ、そのためポリ(プロピレンカルボナート)などとは異なる粘弾性特性、例えばゴム状の性質などを発現することが期待できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、これらは本発明の例示であって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1H−NMR分析は、日本電子株式会社製のJEOL−EX270及びGX−400において、溶媒として重クロロホルムを、内部標準にはテトラメチルシランを用い、温度25℃で実施した。
DSC測定は、島津製作所製DSC−60において、窒素雰囲気下、最初に−50℃から100℃に昇温(昇温速度10℃/分)し、その後−50℃まで冷却した後、再び−50℃から100℃まで昇温(昇温速度10℃/分)したときに行った。
ポリカルボナートの分子量測定は、高速液体クロマトグラフィーシステム(島津製作所製CTO−6A、日立製作所製L−6200、L−4200、D−2520、日本分光株式会社製RI−2031Plus、DG2080−53、LC−NetII/ADC)とSHODEX社製KF−804Lカラム2本を用いてテトラヒドロフランを溶出液として(40℃,1.0mL/分)、ポリスチレン標準を基準に換算して測定し、解析ソフトウェア(日本分光株式会社製ChromNAVクロマトグラフィデータステーションのGPC計算プログラム)で処理して求めた。
例1
容量30mLのステンレス製オートクレーブに、式(II−a1)(Z=−OCOC6F5)のコバルト−サレン錯体(Co(salen)−OCOC6F5)4.7mg(5.7μmol)及びビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)3.3mg(5.7μmol、コバルト−サレン錯体に対して1当量)を入れた。プロピレンオキシド(PO)1.64g(28.3mmol)及び直鎖アルキル基を有する第2モノエポキシド化合物(AO)として1,2−エポキシヘキサン(R=nC4H9)28.4mg(283μmol)(PO:AO=100:1(モル比)、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体=5000:1(モル比))を加え、二酸化炭素を圧力をかけて注入して全圧が2.0MPaとなるように調整した。30℃で6時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について1H−NMRを測定し、残存するPO及びAOの特性ピーク(3.00ppm、2.91ppm)の積分値と、生成したポリカルボナートのPPC(PO及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位)及びPAC(AO及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位)の特性ピーク(5.00ppm、4.92ppm)の積分値から転化率を決定した。
その後、反応混合物を塩化メチレンに溶解させ、0.5mol%メタノール性塩酸を加えた後、メタノールを用いて析出させ、三元系ポリカルボナートを白色固体として得た。この三元系ポリカルボナートについて、130℃、減圧下(〜5mmHg)で3時間乾燥した後、1H−NMR、DSC及びGPC測定を行い、PO及び1,2−エポキシヘキサンが三元系ポリカルボナートに取り込まれた収率(PO及びAOに対応するカルボナート単位のメチン水素のピークを使用)、ガラス転移温度Tg、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを求めた。結果を表1に示す。
例2〜6
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、POと1,2−エポキシヘキサンの仕込み比が表1となるようにし、反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例7〜12
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシデカン(R=nC8H17)を用い、POと1,2−エポキシデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例13〜18
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシテトラデカン(R=nC12H25)を用い、POと1,2−エポキシテトラデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例19〜24
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシオクタデカン(R=nC16H33)を用い、POと1,2−エポキシオクタデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例25〜29
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシイコサン(R=nC18H37)を用い、POと1,2−エポキシイコサンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例30〜34
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシドコサン(R=nC20H41)を用い、POと1,2−エポキシドコサンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
参考例1
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、POのみを使用し、反応時間を2時間とした以外は、例1と同様に共重合を行った。POの転化率は36%であった。
参考例2
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AO(1,2−エポキシヘキサン、R=nC4H9)のみを使用し、反応時間を2時間とした以外は、例1と同様に共重合を行った。AOの転化率は5%未満であった。
参考例3
反応時間を96時間とした以外は、参考例2と同様に共重合を行った。AOの転化率は42%であった。
PO:AOを100:1から2:1(R=nC4H9〜nC16H33)又は5:1(R=nC18H37〜nC20H41)まで変化させると、AOの比が大きくなるにつれて、ポリカルボナートのTgが低下した。
表2は、POとAO(R=nC4H9)の反応性の違いについて示したものである。POのみの場合(参考例1)、POは2時間で36%転化する。これに対して、AOのみの場合(参考例2、3)、AOは2時間で5%未満しか転化せず、96時間と長時間反応させると42%転化する。この結果から、約40%のエポキシド化合物が転化する時間で比較すると、AOはPOの50倍近く、言い換えるとAOの反応速度はPOの1/50程度であると見積もることができる。このようなPOとAOの反応性の比較から、POとAOを共存させて重合を行う場合、優先的にPOが転化される一方で、AOはポリカルボナートに殆ど取り込まれないことが予想される。ところが、PO/AO/二酸化炭素の三元系となる本発明の方法では、得られる三元系ポリカルボナートのPPC:PAC比はいずれも投入したPO:AO比と相関する。詳細には、PO:AO(R=nC4H9〜nC18H37)の比を100:1から2:1又は5:1まで変化させて反応を行ったところ、PO:AO=x:1に対してPPC:PAC=1.1x:1〜2x:1となった。AO比が高いほど反応が遅いが、それでも依然として生成した三元系ポリカルボナートのPPC:PAC比はPO:AO比を反映しており、いずれの三元系ポリカルボナートも単一のTgを示すことから、POが優先的に反応した後、反応性の低いと思われるAOがまとまって反応したブロック共重合体ではないことが示唆される。従って、本発明の方法においては共重合中にPOとAOがポリカルボナート鎖に同程度の速度で取り込まれていると考えられる。このように、PO/AO/二酸化炭素の三元系となる本発明の方法は、PO又はAO単独の重合反応からは予測できない結果をもたらすことが分かった。
例35〜44
PPC:PAC比は概ね同じでRの異なる三元系ポリカルボナートを製造して、それらの特性を比較する目的で、表3に記載したRで一置換されたエポキシド化合物をAOとして用い、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を例1と同じにし、POとAOの仕込み比及び反応時間を表3に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行った。得られた三元系ポリカルボナートの評価結果を表3に示す。
PPC:PAC=8.0:1〜10:1において、R=nC16H33すなわち直鎖アルキル基の主鎖の炭素数(原子数)が16のあたりで、三元系ポリカルボナートのTgは最小となった。PPC:PAC=2.9:1〜3.8:1においては、R=nC12H25すなわち直鎖アルキル基の主鎖の炭素数(原子数)が12のあたりで、三元系ポリカルボナートのTgは最小となった。また、AOの比率を増やすとTgはより低下した。
例45〜51
大容量のステンレス製オートクレーブを使用して共重合を行った。表4に記載したRで一置換されたエポキシド化合物をAOとして用い、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を例1と同じにし、例47、48では容量300mLのオートクレーブにPOを23.2g投入し(70gスケール)、それ以外の例では容量100mLのオートクレーブにPOを8.71g(例45、46)又は10.9g(例49〜51)投入し(15gスケール)、POとAOの仕込み比及び反応時間を表4に記載した通りとし、二酸化炭素の圧力を2.5MPaとし、例47〜51では溶媒として塩化メチレンを10mL(例49〜51)又は20mL(例47、48)使用した以外は、例1と同様に共重合を行った。得られた三元系ポリカルボナートの評価結果を表4に示す。また、例48の三元系ポリカルボナートの1H−NMR及びDSCのチャートをそれぞれ図1及び2に示す。
反応スケールを大きくした場合も、得られる三元系ポリカルボナートのPPC:PAC比はPO:AO比を概ね反映し、PO:AO=x:1に対してPPC:PAC=1.25x:1〜1.8x:1であった。このように、反応スケールを大きくした場合であっても、三元系ポリカルボナート中のPPC:PAC比を良好に制御できる。また、それぞれが同じ反応条件である、例45及び46、例47及び48、例49及び50の各組の収率、PPC:PAC比、Tg、Mn、Mw/Mn、収量、Tdから、本発明の方法による共重合は再現性よく進行することが分かる。
例52〜53
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとしてジエチレングリコールグリシジルメチルエーテル(R=CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3)を用い、POとジエチレングリコールグリシジルメチルエーテルの仕込み比及び反応時間を表5に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表5に示す。
1H−NMR分析は、日本電子株式会社製のJEOL−EX270及びGX−400において、溶媒として重クロロホルムを、内部標準にはテトラメチルシランを用い、温度25℃で実施した。
DSC測定は、島津製作所製DSC−60において、窒素雰囲気下、最初に−50℃から100℃に昇温(昇温速度10℃/分)し、その後−50℃まで冷却した後、再び−50℃から100℃まで昇温(昇温速度10℃/分)したときに行った。
ポリカルボナートの分子量測定は、高速液体クロマトグラフィーシステム(島津製作所製CTO−6A、日立製作所製L−6200、L−4200、D−2520、日本分光株式会社製RI−2031Plus、DG2080−53、LC−NetII/ADC)とSHODEX社製KF−804Lカラム2本を用いてテトラヒドロフランを溶出液として(40℃,1.0mL/分)、ポリスチレン標準を基準に換算して測定し、解析ソフトウェア(日本分光株式会社製ChromNAVクロマトグラフィデータステーションのGPC計算プログラム)で処理して求めた。
例1
容量30mLのステンレス製オートクレーブに、式(II−a1)(Z=−OCOC6F5)のコバルト−サレン錯体(Co(salen)−OCOC6F5)4.7mg(5.7μmol)及びビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)3.3mg(5.7μmol、コバルト−サレン錯体に対して1当量)を入れた。プロピレンオキシド(PO)1.64g(28.3mmol)及び直鎖アルキル基を有する第2モノエポキシド化合物(AO)として1,2−エポキシヘキサン(R=nC4H9)28.4mg(283μmol)(PO:AO=100:1(モル比)、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体=5000:1(モル比))を加え、二酸化炭素を圧力をかけて注入して全圧が2.0MPaとなるように調整した。30℃で6時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について1H−NMRを測定し、残存するPO及びAOの特性ピーク(3.00ppm、2.91ppm)の積分値と、生成したポリカルボナートのPPC(PO及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位)及びPAC(AO及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位)の特性ピーク(5.00ppm、4.92ppm)の積分値から転化率を決定した。
その後、反応混合物を塩化メチレンに溶解させ、0.5mol%メタノール性塩酸を加えた後、メタノールを用いて析出させ、三元系ポリカルボナートを白色固体として得た。この三元系ポリカルボナートについて、130℃、減圧下(〜5mmHg)で3時間乾燥した後、1H−NMR、DSC及びGPC測定を行い、PO及び1,2−エポキシヘキサンが三元系ポリカルボナートに取り込まれた収率(PO及びAOに対応するカルボナート単位のメチン水素のピークを使用)、ガラス転移温度Tg、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを求めた。結果を表1に示す。
例2〜6
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、POと1,2−エポキシヘキサンの仕込み比が表1となるようにし、反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例7〜12
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシデカン(R=nC8H17)を用い、POと1,2−エポキシデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例13〜18
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシテトラデカン(R=nC12H25)を用い、POと1,2−エポキシテトラデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例19〜24
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシオクタデカン(R=nC16H33)を用い、POと1,2−エポキシオクタデカンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例25〜29
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシイコサン(R=nC18H37)を用い、POと1,2−エポキシイコサンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
例30〜34
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとして1,2−エポキシドコサン(R=nC20H41)を用い、POと1,2−エポキシドコサンの仕込み比及び反応時間を表1に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表1に示す。
参考例1
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、POのみを使用し、反応時間を2時間とした以外は、例1と同様に共重合を行った。POの転化率は36%であった。
参考例2
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AO(1,2−エポキシヘキサン、R=nC4H9)のみを使用し、反応時間を2時間とした以外は、例1と同様に共重合を行った。AOの転化率は5%未満であった。
参考例3
反応時間を96時間とした以外は、参考例2と同様に共重合を行った。AOの転化率は42%であった。
表2は、POとAO(R=nC4H9)の反応性の違いについて示したものである。POのみの場合(参考例1)、POは2時間で36%転化する。これに対して、AOのみの場合(参考例2、3)、AOは2時間で5%未満しか転化せず、96時間と長時間反応させると42%転化する。この結果から、約40%のエポキシド化合物が転化する時間で比較すると、AOはPOの50倍近く、言い換えるとAOの反応速度はPOの1/50程度であると見積もることができる。このようなPOとAOの反応性の比較から、POとAOを共存させて重合を行う場合、優先的にPOが転化される一方で、AOはポリカルボナートに殆ど取り込まれないことが予想される。ところが、PO/AO/二酸化炭素の三元系となる本発明の方法では、得られる三元系ポリカルボナートのPPC:PAC比はいずれも投入したPO:AO比と相関する。詳細には、PO:AO(R=nC4H9〜nC18H37)の比を100:1から2:1又は5:1まで変化させて反応を行ったところ、PO:AO=x:1に対してPPC:PAC=1.1x:1〜2x:1となった。AO比が高いほど反応が遅いが、それでも依然として生成した三元系ポリカルボナートのPPC:PAC比はPO:AO比を反映しており、いずれの三元系ポリカルボナートも単一のTgを示すことから、POが優先的に反応した後、反応性の低いと思われるAOがまとまって反応したブロック共重合体ではないことが示唆される。従って、本発明の方法においては共重合中にPOとAOがポリカルボナート鎖に同程度の速度で取り込まれていると考えられる。このように、PO/AO/二酸化炭素の三元系となる本発明の方法は、PO又はAO単独の重合反応からは予測できない結果をもたらすことが分かった。
例35〜44
PPC:PAC比は概ね同じでRの異なる三元系ポリカルボナートを製造して、それらの特性を比較する目的で、表3に記載したRで一置換されたエポキシド化合物をAOとして用い、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を例1と同じにし、POとAOの仕込み比及び反応時間を表3に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行った。得られた三元系ポリカルボナートの評価結果を表3に示す。
例45〜51
大容量のステンレス製オートクレーブを使用して共重合を行った。表4に記載したRで一置換されたエポキシド化合物をAOとして用い、全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を例1と同じにし、例47、48では容量300mLのオートクレーブにPOを23.2g投入し(70gスケール)、それ以外の例では容量100mLのオートクレーブにPOを8.71g(例45、46)又は10.9g(例49〜51)投入し(15gスケール)、POとAOの仕込み比及び反応時間を表4に記載した通りとし、二酸化炭素の圧力を2.5MPaとし、例47〜51では溶媒として塩化メチレンを10mL(例49〜51)又は20mL(例47、48)使用した以外は、例1と同様に共重合を行った。得られた三元系ポリカルボナートの評価結果を表4に示す。また、例48の三元系ポリカルボナートの1H−NMR及びDSCのチャートをそれぞれ図1及び2に示す。
例52〜53
全エポキシド化合物:コバルト−サレン錯体の比を変更せずに、AOとしてジエチレングリコールグリシジルメチルエーテル(R=CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3)を用い、POとジエチレングリコールグリシジルメチルエーテルの仕込み比及び反応時間を表5に記載した通りとした以外は、例1と同様に共重合を行い、得られた三元系ポリカルボナートを評価した。結果を表5に示す。
本発明は、二酸化炭素を炭素源として利用した三元系脂肪族ポリカルボナートを工業的に製造するのに非常に有用である。また、本発明によって得られる三元系脂肪族ポリカルボナートは、例えば光学材料、熱分解性材料、医用材料、生分解性樹脂などとして、様々な用途で利用することができる。
Claims (10)
- エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物と、置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物と、二酸化炭素とを共重合することを含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体を製造する方法であって、式(I):
又は式(II):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR4とR5が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環又は芳香環を形成してもよく、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表されるコバルト錯体を触媒として用いて共重合を行うことを特徴とする方法。 - 前記少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における前記有機基の主鎖の原子数が4〜20である、請求項1に記載の方法。
- 前記第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
- 前記コバルト錯体が、式(II−a):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
又は式(II−b):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、あるいは2個のR1もしくは2個のR2が互いに結合して置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族環を形成してもよく、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、アシル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基であり、R7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、又は置換もしくは非置換のアラルキルオキシ基であるか、あるいは隣り合う炭素原子上のR5と−C(=O)R7が互いに結合して置換もしくは非置換の脂肪族環を形成してもよく、該脂肪族環上の置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、F、Cl、Br又はIから選択され、Zは、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)
で表される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。 - [R8 4N]+、[R8 4P]+、[R8 3P=N=PR8 3]+(式中、R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)及び式(III):
(式中、R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、R10は、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F−、Cl−、Br−、I−、N3 −、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩からなる助触媒を、前記コバルト錯体と組み合わせた触媒システムを用いて共重合を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。 - エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせの中から選択される第1モノエポキシド化合物並びに二酸化炭素に由来するカルボナート単位と、
置換又は非置換の、主鎖の原子数が2〜30の有機基であって、主鎖に1以上の酸素原子が介在してもよい有機基を有する、少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位と
を含む、多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。 - 前記少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物における前記有機基の主鎖の原子数が4〜20である、請求項7に記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
- 前記第1モノエポキシド化合物がプロピレンオキシドである、請求項7又は8のいずれかに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
- 前記第1モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位が、前記少なくとも1種の第2モノエポキシド化合物及び二酸化炭素に由来するカルボナート単位の、1/200以上、200倍以下である、請求項7〜9のいずれか1つに記載の多元系脂肪族ポリカルボナートのランダム共重合体。
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