JPWO2010013738A1 - 複数の病害に対して抵抗性を示す植物及びその作出法 - Google Patents

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Abstract

シロイヌナズナのゲノム上で隣接する異なる複数の抵抗性遺伝子が、異なる複数の病原体の攻撃を認識し、抵抗反応を起動することを見出した。異なる複数の抵抗性遺伝子を組み合わせて植物に導入することにより、異なる複数の病原体に対する抵抗性を植物に付与することが可能となる。

Description

本発明は、病原菌に対する抵抗性遺伝子を2以上組み合わせて植物に導入することにより、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与する方法、及びこの方法により作出された形質転換植物体、その部分若しくは繁殖材料に関する。
病害による世界の農業生産被害は10〜20%といわれており、これは8億人の食糧に値する。世界の飢餓人口が8億人と見積もられていることから、病害を防ぐことは食糧の安定供給において最も重要な課題であるといえる。植物に病気を引き起こす原因には、伝染性の生物的病原(病原体)と非伝染性の環境的病原とがある。植物の感染病の80%以上は、糸状菌(カビ・菌類)によって引き起こされ、残りは細菌、ウィルス、ウィロイド、ファイトプラズマ、リケッチア様微生物、線虫、原虫等が原因である。植物は常にこれら病原体の攻撃にさらされており、独自の生体防御反応により病原体の感染から身を守っている。
例えば、アブラナ科野菜類炭疽病は、Colletotrichum属に属する糸状菌(Colletotrichum higginsianum)を病原として、コマツナ、ハクサイ、ダイコン等のアブラナ科作物に感染し、被害をもたらしている病気であるが、近年、この病原菌に抵抗性を示すシロイヌナズナ生態型(エコタイプ)が複数見出されている(非特許文献1)。そして、本発明者らは、抵抗性エコタイプであるWs-0において、5番染色体上の特定の領域に存在する遺伝子が、シロイヌナズナに対し、アブラナ科野菜類炭疽病菌への抵抗性を付与する機能を有することを見出した。
また、主にナス科植物に感染する非病原力遺伝子avrRps4を有するトマト斑葉細菌病菌(病原細菌Pseudomonas syringae pv.tomato)においても、シロイヌナズナの抵抗性遺伝子が発見された(非特許文献2)。さらに、ナス科及びアブラナ科植物をはじめとして200種以上の植物に感染、枯死させる農業上深刻な被害をもたらす病害である青枯病(Ralstonia solanacearum)においても、シロイヌナズナの抵抗性遺伝子が発見された(非特許文献3から5)。
このような植物の生体防御反応は、Florの唱える遺伝子対遺伝子説(非特許文献6)によれば、植物側の抵抗性遺伝子産物が菌由来のエリシター(非病原性遺伝子産物)を認識し、病原菌に対する一連の抵抗反応を発現することによるものであると考えられていた。そして、この説では、1つの病原菌に対して1つの抵抗性遺伝子が1対1で作用するとされている。
しかしながら、地球上には十万種の糸状菌が存在するが、そのほとんどは植物に感染せず、約8000種のみが植物病原菌であり、そのうち、1つの植物種に激害を起こすものは10種にも満たない。すなわち、植物は大方の病原体に抵抗性を示している。にもかかわらず、シロイヌナズナのゲノム上には約150(非特許文献7)、イネゲノム上には約600(非特許文献8)の抵抗性遺伝子しか存在しない。このため、多様な病原体に対する植物の抵抗性のメカニズムは、遺伝子対遺伝子説のみでは説明できず、その詳細は未だ解明されていないのが現状である。
Y.Narusaka et al. Molecular Plant-Microbe Interactions, 17: 749-762 (2004) W.Gassmann et al. Plant J. 20: 265-277(1999) L.Deslandes et al. Molecular Plant-Microbe Interactions, 11(7): 659-667(1998) L.Deslandes et al. Proc Natl Acad Sci USA., 99(4): 2404-2409(2002) L.Deslandes et al. Proc Natl Acad Sci USA., 24: 8024-8029(2003) H.Flor. Annu. Rev. Phytopathol. 9: 275-296(1971) Meyers, B.C. et al. Plant Cell, 15: 809-834(2003) Goff,S.A. et al., Science, 296: 92-100(2002) 土屋ら、植物防疫54:87-92(2000) Clark et al., Science, 317: 338-342(2007) Fedoroff NV. and Smith D. Plant J. 3: 273-289(1993) Noutoshi et al. Plant J., 43: 873-888(2005)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な病原体に対する植物の抵抗性のメカニズムを解明し、そのメカニズムを利用して、多様な病原体に対する抵抗性を示す植物を作出することにある。
本発明者らは、アブラナ科野菜類炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)が、シロイヌナズナの生態型Col-0に感染することを世界で初めて明らかにし、植物免疫研究におけるモデル実験系を確立した(非特許文献1)。100種類以上のシロイヌナズナの生態型について感染生理学および遺伝学的な解析を行った結果、この病原菌に抵抗性を示す11種類の生態型を得た。そして、この中で特に強い抵抗性を示すEil-0の抵抗性が、優勢かつ1遺伝子支配であり、この遺伝子が、シロイヌナズナの5本の染色体のうち、4番染色体上に存在することを明らかにした(非特許文献1)。この遺伝子(座)は、抵抗性遺伝子(R-遺伝子、病原体を認識する植物側の受容体)である可能性が高く、これをRCH1(for Recognition of C. higginsianum)と名付けた。
他の抵抗性生態型において、Eil-0とは異なる遺伝子座に抵抗性遺伝子の存在が示唆されたため、本発明者らは、この遺伝子の解析を進め、生態型Ws-0における抵抗性遺伝子が、5番染色体上に存在することを明らかにした。生態型Ws-0における抵抗性遺伝子の詳細なマッピングの結果、目的の遺伝子は十数個の抵抗性遺伝子がクラスターを形成している領域(MRC-J-領域)に位置付けられた。次いで、本発明者らは、生態型Ws-0にT-DNAを挿入した変異体ライブラリー(3万個体)を用いた逆遺伝学解析により、炭疽病菌に対して抵抗性から感受性へ表現型が変化した変異体をスクリーニングした。得られた8つの変異体についてT-DNA挿入部位および変異部位を解析したところ、感受性変異体は、Ws-At5g45250(GassmannによりRPS4と命名)またはWs-At5g45260遺伝子(本発明者らによりRCH2と命名)に変異を有することが明らかとなった。
RPS4およびRCH2と病原菌に対する抵抗性との関係ついては、これまでに、いくつか報告例がある。例えば、Gassmannらは、シロイヌナズナ生態型Col-0及びLer-0のRPS4を、トマト斑葉細菌病菌(病原細菌Pseudomonas syringae pv. tomato)に対する抵抗性遺伝子として既に同定している(非特許文献2)。その一方で、Gassmannらは、RPS4の隣に存在するRCH2(文献中では、RSH4と称されている)が、トマト斑葉細菌病菌には関係がないとしている(非特許文献2)。
また、Gassmannらとは別の研究グループは、シロイヌナズナ生態型Nd-1及びCt-1のRCH2(文献中では、RRS1-Rと称されている)を、ナス科およびアブラナ科植物に感染する青枯病菌(土壌病原細菌Ralstonia solanacearum)に対する抵抗性遺伝子として同定している(非特許文献3〜5)。一方、この研究グループは、RPS4が、青枯病菌に対する抵抗性には関係がないとしている(非特許文献4)。
このように、RPS4RCH2については、従来、炭疽病菌とは異なる病原体の抵抗性遺伝子として同定されていたが、本発明者らにより、炭疽病菌に対する抵抗性遺伝子として機能していることが明らかにされた。
さらに、本発明者らは、種々の生態型における抵抗性・感受性と両遺伝子との関係を解析した結果、炭疽病菌、トマト斑葉細菌病菌、青枯病菌に対する抵抗性誘導のためには、RPS4RCH2の両方が必要であることを明らかにした。
この結果は、RPS4RCH2が、それぞれ青枯病菌とトマト斑葉細菌病菌には関係がないとしていた従来の報告を覆すとともに、植物の病原体に対する抵抗反応の機構に関する従来の考え方を変更させるものである。
即ち、植物の病原体に対する抵抗反応は、Florが唱えた遺伝子対遺伝子説により、植物の抵抗性遺伝子と、対応する病原体の非病原力遺伝子(Avr-遺伝子)の1対1の組み合わせによって決定されると考えられていたが(非特許文献6)、本発明者らは、シロイヌナズナのゲノム上で隣接する異なる2つの抵抗性遺伝子が、異なる3種の病原体の攻撃を認識し、抵抗反応を起動することを世界で初めて発見した。本発明により、植物の免疫系も動物と同様に、少ない遺伝子を組み合わせることにより多様な病原体を認識し、防御系を発動していることが明らかになった。
すなわち、本発明は、植物の病原体に対する抵抗反応における新規なメカニズムの発見に基づくものであり、より詳しくは、以下の通りである。
<1> 2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与する方法であって、単独では、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与しないが、2以上の組み合わせにより、これら病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子を、当該組み合わせで植物に導入することを特徴とする方法。
<2> 病原菌が、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌であり、遺伝子の組み合わせが、RPS4遺伝子とRCH2遺伝子の組み合わせである、<1>に記載の方法。
<3> RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子が、Ws-0、No-0、Nd-1、Aa-0、Eil-0、Rrs-7、Sha、Tamm-2、Tsu-1、Fei-0、Ts-1、Bsch-0、Br-0、Est-1、Rrs-10、Van-0、Nfa-8、Bay-0からなる群より選択されるシロイヌナズナ生態型に由来する、<2>に記載の方法。
<4> 病原菌が、さらに、青枯病菌を含む、<2>または<3>に記載の方法。
<5> 2以上の病原菌に対する抵抗性が付与された形質転換植物体であって、単独では、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与しないが、2以上の組み合わせにより、これら病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子を、当該組み合わせで導入された形質転換植物体。
<6> 病原菌が、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌であり、遺伝子の組み合わせが、RPS4遺伝子とRCH2遺伝子の組み合わせである、<5>に記載の形質転換植物体。
<7> RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子が、Ws-0、No-0、Nd-1、Aa-0、Eil-0、Rrs-7、Sha、Tamm-2、Tsu-1、Fei-0、Ts-1、Bsch-0、Br-0、Est-1、Rrs-10、Van-0、Nfa-8、Bay-0からなる群より選択されるシロイヌナズナ生態型に由来する、<6>に記載の形質転換植物体。
<8> さらに、青枯病菌への抵抗性を有する、<6>または<7>に記載の形質転換植物体。
<9> <5>から<8>のいずれかに記載の形質転換植物体の子孫又はクローンである、形質転換植物体。
<10> <5>から<9>のいずれかに記載の形質転換植物体の部分若しくは繁殖材料。
本発明により、異なる複数の抵抗性遺伝子の組み合わせを植物に導入することにより、植物に異なる複数の病原体の攻撃を認識させ、抵抗反応を起動させることが可能となった。本発明者らにより見出された植物における病害抵抗性のメカニズムを利用すれば、幅広い病害に対して抵抗性を示す植物を作出することが可能である。例えば、病害抵抗性遺伝子RPS4RCH2を同時に植物に導入することで、植物に、アブラナ科野菜類炭疽病菌、斑葉細菌病菌、青枯病菌に対する抵抗性を付与することが可能である。これにより、アブラナ科野菜類炭疽病菌、斑葉細菌病菌、青枯病菌による病害から作物を守り、アブラナ科作物やナス科作物等の生産効率を向上させることができる。また、一般的に病害抵抗性遺伝子を単独で導入すると、植物が矮小化する事例が報告されているが、本発明によれば、複数の遺伝子を組み合わせることにより、このような抵抗性植物作出における植物の矮小化の問題を回避することができる。
図1は、SSLP(simple sequence length polymorphism)解析により絞り込んだ抵抗性遺伝子の存在領域を示す図である。シロイヌナズナ生態型(Ws-0)において、抵抗性遺伝子At5g45250とAt5g45260とが隣接して存在していた。CIW9,N01-K9E15,nga129,N01-MLN1,N01-K17O22,N01-K11I1は、SSLPマーカーを示す。 図2は、シロイヌナズナ生態型Ws-0、Col-0、Fedoroff氏由来のNo-0の変異体を示す図である。 図3は、シロイヌナズナ生態型Ws-0とCol-0におけるAt5g45260のアミノ酸配列の比較を示す図である。Col-0のAt5g45260はWs-0に対して、図中の矢印部分の配列83アミノ酸が欠落している。 図4Aは、At5g45260における変異と斑葉細菌病に対する抵抗性との関係を解析した結果を示す図であり、炭疽病菌抵抗性の生態型Ws-0におけるAt5g45260(RCH2)の破壊の影響を示す。図中、Ws-0、Col-0、RLD-0は、それぞれの野生型を示す。また、「rch2-2」(ΔAt5g45260-2)及び「rch2-1」(ΔAt5g45260-1)は、WsにおけるAt5g45260の破壊体(2例)を示す。 図4Bは、At5g45250における変異と斑葉細菌病に対する抵抗性との関係を解析した結果を示す図であり、炭疽病菌抵抗性の生態型Ws-0におけるAt5g45250(RPS4)の破壊の影響と生態型RLDにおけるAt5g45250導入の影響を示す。図中、Ws-0、Col-0、RLD-0は、それぞれの野生型を示す。また、「rps4-21」(ΔAt5g45250-21)は、Ws-At5g45250の破壊体を、「rps4-21-C9」及び「rps4-21-C11」は、Ws-At5g45250の破壊体にWs-At5g45250を再導入した復帰体(2例)を、「RLD/RPS4-Ws-2」及び「RLD/RPS4-Ws-3」は、RLD-0にWs-At5g45250を導入した形質転換体(2例)を示す。 図5A〜図5Gは、At5g45250及びAt5g45260における変異と青枯病に対する抵抗性との関係を解析した結果を示す写真(生物の形態)である。図中、Nd-1(抵抗性)、Ws-0(中程度抵抗性)、No-0(抵抗性)、Col-0(感受性)は、野生型を示す。rps4-31(ΔAt5g45250-31)はFedoroff氏由来のNo-0におけるAt5g45250が破壊された変異体であり、青枯病菌に感受性である。rps4-21(ΔAt5g45250-21)はWs-0におけるAt5g45250が破壊された変異体であり、青枯病菌に感受性である。rch2-1(ΔAt5g45260-1)はWs-0におけるAt5g45260が破壊された変異体であり、青枯病菌に感受性である。 図6A〜図6Dは、シロイヌナズナにおける炭疽病菌感受性の生態型Col-0、RLD-0における抵抗性遺伝子の導入の結果を示す写真(生物の形態)である。Ws-At5g45250/Col-0は、野生型Col-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体である。Ws-At5g45250/RLDは、野生型RLD-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体である。No-0-At5g45260/Col-0は、野生型Col-0に抵抗性遺伝子Fedoroff氏由来No-0-At5g45260を導入した形質転換体である。 図7は、本発明者らが解析したデータとシロイヌナズナのSNP解析データを利用して(非特許文献10)、At5g45250及びAt5g45260のアミノ酸配列の系統樹解析を行った結果を示す。 図7の続きの図である。 図9は、RPS4(At5g45250)における各生態型間のアミノ酸配列の比較を示す。図では各生態型間で保存されていないアミノ酸を示している。アブラナ科野菜類炭疽病、斑葉細菌病、及び青枯病の全てに感受性のRLD-0において950番目のチロシンがヒスチジンに置換されている。 図10は、RCH2(At5g45260)における各生態型間のアミノ酸配列の比較を示す。1-1290番目のアミノ酸領域ではCol-0のアミノ酸配列を基準とし、各生態型間で保存されていないアミノ酸を示している。1291-1379番目のアミノ酸領域では各生態型間で保存されていないアミノ酸を示している。炭疽病菌に感受性の生態型(Ler-1,Lov-5,C24)は775番目のチロシンがアスパラギンに置換されていた。Col-0のWRKYドメインからC末端側にかけて約80-90アミノ酸が欠落していた(図3)。炭疽病菌に感受性の生態型Cvi-0,Bur-0もCol-At5g45260と同様にC末端側に欠落が認められた。 図10の続きの図である。 図12は、シロイヌナズナにおける炭疽病菌感受性の生態型Col-0における抵抗性遺伝子の導入の結果を示す写真(生物の形態)である。Ws-At5g45250/Col-0は、野生型Col-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体である。Ws-At5g45250・At5g45260/Col-0はWs-At5g45250/Col-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45260を導入した形質転換体である。 図13は、図12に示したWs-At5g45250・At5g45260/Col-0に炭疽病菌を噴霧接種して6日後の病徴を示す写真(生物の形態)である。 図14は、アブラナ科作物コマツナにおける炭疽病菌感受性の品種「おそめ」における抵抗性遺伝子の導入の結果を示す写真(生物の形態)である。Ws-At5g45260/コマツナは野生型コマツナにシロイヌナズナの抵抗性遺伝子Ws-At5g45260を導入した形質転換体である。Ws-At5g45250・At5g45260/コマツナは野生型コマツナにシロイヌナズナの抵抗性遺伝子Ws-At5g45250及びWs-At5g45260を同時に導入した形質転換体である。野生型コマツナ及び形質転換コマツナに炭疽病菌を噴霧接種し、6日後の病斑である。
本発明は、異なる複数の抵抗性遺伝子が組み合わせにより、異なる複数の病原体の攻撃を認識し、抵抗反応を起動させるという、植物の病原体に対する抵抗反応における革新的な知見に基づくものである。従って、本発明の方法は、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与する方法であって、単独では、これら病原菌に対する十分な抵抗性を植物に付与しないが、2以上の組み合わせにより、これら病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子を、当該組み合わせで植物に導入することを特徴とする。
本発明における「2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子の組み合わせ」としては、上記のメカニズムにより植物の病原体に対する抵抗反応を起動させうるものであれば制限はない。例えば、病原菌が、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌である場合には、RPS4遺伝子とRCH2遺伝子の組み合わせが挙げられる。ここで「アブラナ科野菜類炭疽病」とは、Colletotrichum higginsianumというカビ(糸状菌)を病原として起こる病気で、コマツナ、カブ、ハクサイ、ダイコン等のアブラナ科作物に生じる病気である。また、「トマト斑葉細菌病」とは、Pseudomonas syringae pv. tomatoという細菌を病原として起こる病気で、主にナス科植物とシロイヌナズナに生じる病気である。RPS4遺伝子とRCH2遺伝子との組み合わせの利用により植物に抵抗性を付与する対象となる病原菌としては、さらに、青枯病菌が挙げられる。「青枯病」は、Ralstonia solanacearumという細菌を病原として起こる病気で、ナス、トマト等のナス科の作物、ダイコン等のアブラナ科作物、イチゴ等の200余種の植物が感染、被害を受ける。我が国ではこれまでに20科38種の植物で本病の発生が知られている(非特許文献9)。
本発明に用いる、RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子としては、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対して抵抗性の生態型の植物に由来するものであれば、特に制限はない。例えば、RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子が由来する好ましいシロイヌナズナ生態型としては、Ws-0、No-0、Nd-1、Aa-0、Eil-0、Rrs-7、Sha、Tamm-2、Tsu-1、Fei-0、Ts-1、Bsch-0、Br-0、Est-1、Rrs-10、Van-0、Nfa-8、Bay-0(図7〜図11参照のこと)が挙げられる。シロイヌナズナのRPS4遺伝子及びRCH2遺伝子は、それぞれAt5g45250及びAt5g45260のAGIコードが付与されており、これら具体的な配列については、非特許文献10またはPOLYMOLPHのサイト「http://polymorph.weigelworld.org/」から抽出することが可能である。なお、RPS4遺伝子については、シロイヌナズナ生態型Ws-0由来のDNAの塩基配列を配列番号:1に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:2に、シロイヌナズナ生態型No-0(Fedoroff氏:非特許文献11)由来のDNAの塩基配列を配列番号:5に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:6に、シロイヌナズナ生態型Nd-1由来のDNAの塩基配列を配列番号:9に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:10に示す。RCH2遺伝子については、シロイヌナズナ生態型Ws-0由来のDNAの塩基配列を配列番号:3に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:4に、シロイヌナズナ生態型No-0(Fedoroff氏:非特許文献11)由来のDNAの塩基配列を配列番号:7に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:8に、シロイヌナズナ生態型Nd-1由来のDNAの塩基配列を配列番号:11に、その蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:12に示す。
青枯病に対する抵抗性を植物に付与する場合には、特に、シロイヌナズナの抵抗性生態型のNd-1、No-0(Fedoroff氏:非特許文献11)及び、中程度抵抗性のWs-0に由来する、RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子の組み合わせを用いることが特に好ましい。
さらには、これらシロイヌナズナ由来のRPS4遺伝子又はRCH2遺伝子がコードするタンパク質と構造的に類似しているタンパク質をコードするDNA(例えば、上記RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子の変異体あるいはシロイヌナズナ以外の植物におけるホモログ)も本発明に用いることが可能である。RPS4遺伝子又はRCH2遺伝子がコードするタンパク質と構造的に類似しているタンパク質をコードするDNAには、(i)上記したアブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対して抵抗性の生態型のシロイヌナズナ品種由来のRPS4遺伝子又はRCH2遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、(ii)上記したアブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対して抵抗性の生態型のシロイヌナズナ品種由来のRPS4遺伝子又はRCH2遺伝子の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、(iii)上記したアブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対して抵抗性の生態型のシロイヌナズナ品種由来のRPS4遺伝子又はRCH2遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、が含まれる。RPS4遺伝子あるいはそれがコードするタンパク質と構造的に類似しているタンパク質をコードするDNAとRCH2遺伝子あるいはそれがコードするタンパク質と構造的に類似しているタンパク質をコードするDNAとの組み合わせは、その組み合わせの導入により植物に対し、少なくともアブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対する抵抗性を付与しうる限り、特に制限はない。
ここで置換等している「複数のアミノ酸」は、通常、1〜30アミノ酸以内、好ましくは1〜10アミノ酸以内、より好ましくは1〜5アミノ酸以内、より好ましくは1〜3アミノ酸以内である。アミノ酸が置換、欠失、付加、及び/又は挿入され得る領域においても、上記抵抗性が維持される限り、特に限定されない。「ストリンジェントな条件」とは、ナトリウム濃度が25〜500mM、好ましくは25〜300mMであり、温度が42〜68℃、好ましくは42〜65℃である。例えば、5×SSC(83mM NaCl、83mMクエン酸ナトリウム)、温度42℃である。「90%以上の相同性」とは、アミノ酸配列全体で90%以上、好ましくは95%以上(例えば、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の配列の相同性を指す。アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1990,87,2264-2268.、Karlin,S.&Altschul,SF.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,5873.)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul,SF.et al.,J Mol Biol,1990,215,403.)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。
上記RPS4遺伝子又はRCH2遺伝子がコードするタンパク質と構造的に類似しているタンパク質をコードするDNAは、当業者によく知られた方法、例えば、ハイブリダイゼーション技術(Southern,EM.,J Mol Biol,1975,98,503.)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki,RK.et al.,Science,1985,230,1350.,Saiki,RK.et al.,Science,1988,239,487.)、あるいは、該DNAに対し、site-directed mutagenesis法(Kramer,W.&Fritz,HJ.,Methods Enzymol,1987,154,350.)により変異を導入する方法、により調製することができる。また、自然界においても、塩基配列の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変異することは起こり得ることである。これらDNAの形態には、ゲノムDNA、cDNA、及び化学合成DNAが含まれ、常套手段を利用して調製することが可能である。
これにより調製されたDNAの組み合わせが、植物における病原菌に対する抵抗性を付与するものであるか否かは、これらDNAの組み合わせを導入した形質転換植物体を作製し、該形質転換植物体が、病害ストレスに曝された状態で病気の発生が抑制されているか否かを検討することによって評価することができる。
形質転換体植物体の作製は、例えば、本発明のDNAの組み合わせを、植物内における発現を保証するベクターに挿入し、このベクターを利用して、植物体内で本発明のDNAの組み合わせを発現させることにより行うことができる。ベクターにおいて用いるプロモーターとしては、天然状態において本発明のDNAの発現を制御している固有のプロモーターに限らない。例えば、植物で広く用いられているカリフラワーモザイクウィルス由来のCaMV35Sプロモーターを用いることができる。形質転換の対象は、植物体全体であり得るし、また、植物器官(例えば種子、葉、花弁、茎、根等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞であり得る。形質転換に用いられる植物は、本発明の目的から、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌に対して感受性の植物(生態型)が適している。植物種としては、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ハクサイ、コマツナ、カブ(以上、Brassica rapa)、キャベツ(Brassica oleracea)、ナタネ(Brassica napus)、ダイコン(Raphanus sativus)等のアブラナ科植物、トマト(Solanum lycopersicum L.)、ナス(Solanum melongena)、ピーマン(Capsicum annuum cv. Grossum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、タバコ(Nicotiana tabacum)等のナス科植物、キク科のキク(Chrysanthemum morifolium)、バショウ科のバナナ(Musa spp.、Musa acuminataMusa balbisiana)、バラ科のイチゴ(Fragaria ananassa)、ウリ科のツルレイシ(ニガウリ)(Momordica charantia L.var. pavel Crantz)等が挙げられるが、これら例示した植物に限定されるものではない。
上記発現ベクターは、通常の形質転換方法、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等によって植物中に導入することができる。例えばエレクトロポレーション法を用いる場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜1600V、25〜1000μF、20〜30msecの条件で処理し、遺伝子を宿主に導入する。また、パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばBio-Rad社のPDS-1000/He等)を用いて処理することができる。処理条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1800psi程度の圧力、5〜6cm程度の距離で行う。
また、植物ウイルスをベクターとして利用することによって、本発明のDNAを植物体に導入することができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。すなわち、まず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクター等に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中に、これらの目的のDNAを挿入する。このようにして修飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって組換え体から切り出し、植物宿主に接種することによって、目的のDNAを植物宿主に導入することができる。
アグロバクテリウムのTiプラスミドを利用する方法においては、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する細菌が植物に感染すると、それが有するプラスミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるという性質を利用して、目的のDNAを植物宿主に導入することができる。アグロバクテリウム属に属する細菌のうちアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)は、植物に感染してクラウンゴールと呼ばれる腫瘍を形成し、また、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacteriumu rhizogenes)は、植物に感染して毛状根を発生させる。これらは、感染の際にTiプラスミド又はRiプラスミドと呼ばれる各々の細菌中に存在するプラスミド上のT-DNA領域(Transferred DNA)と呼ばれる領域が植物中に移行し、植物のゲノム中に組み込まれることに起因するものである。Ti又はRiプラスミド上のT-DNA領域中に、植物ゲノム中に組み込みたいDNAを挿入しておけば、アグロバクテリウム属の細菌が植物宿主に感染する際に目的のDNAを植物ゲノム中に組込むことができる。
形質転換の結果得られる腫瘍組織やシュート、毛状根等は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与等により植物体に再生させることができる。
上記形質転換植物細胞等から形質転換植物体への再生方法としては、例えば、カルス状の形質転換細胞をホルモンの種類、濃度を変えた培地へ移して培養し、不定胚を形成させ、完全な植物体を得る方法が採用される。使用する培地としては、LS培地、MS培地等が例示される。本発明における形質転換植物体の製造工程としては、本発明のDNAを挿入した植物発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換植物細胞を得て、該形質転換植物細胞から形質転換植物体を再生する工程を含む。
また、本発明のDNAが導入された形質転換植物体は、交配によって作出することもできる。即ち、本発明のDNA(抵抗性型遺伝子)を保持する植物と、当該植物と交配可能で、かつ、本発明のDNAを保持しない植物とを交配させることにより、本発明のDNAを保持しない植物に本発明のDNAを導入し、病原菌に対する抵抗性を付与することができる。
一旦、染色体内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから種子等を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
また、本発明の形質転換植物体の部分は、例えば、農作物として食用等に供されうる。本発明には、本発明の形質転換植物体の「部分又は繁殖材料」、例えば、植物器官(例えば種子、葉、花弁、茎、根等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞が含まれる。
形質転換植物体から植物種子を得るには、例えば、形質転換植物体を発根培地から採取し、水を含んだ土を入れたポットに移植し、一定温度下で生育させて、花を形成させ、最終的に種子を形成させる。また、種子から植物体を生産するには、例えば、形質転換植物体上で形成された種子が成熟したところで、単離して、水を含んだ土に播種し、一定温度、照度下で生育させることにより、植物体を生産する。このようにして育種された植物は、導入されたDNAの組み合わせの発現により、複数の病原菌に対する抵抗性を獲得した病害ストレス耐性植物となる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 SSLP(simple sequence length polymorphism)解析による抵抗性遺伝子の探索
アブラナ科野菜類炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)に抵抗性のシロイヌナズナ生態型Wassilewskija(Ws-0)と、感受性のColumbia(Col-0)を交配し、F1種子を得た。さらにF1個体を自家受粉させてF2種子を得た。播種後4週間栽培したシロイヌナズナF1植物(22℃、12時間の明期/12時間の暗期のサイクル)に5x105個/mlの炭疽病菌胞子懸濁液を噴霧接種し、6日間後に検定したところ、全てが抵抗性を示した。次に同様に栽培したF2植物に5x105個/mlの炭疽病菌胞子懸濁液を噴霧接種したところ、抵抗性個体数と感受性個体数が3:1に分離し、抵抗性が優性で、この抵抗性は1遺伝子支配又は近接する複数の遺伝子支配であることが判明した。このため、上記F2集団から病原菌に対して感受性の表現型をもつ個体を選抜したとき、その個体はWs-0の標的遺伝子座に対するCol-0の遺伝子(アリル)をホモザイガスでもつことが予想された。従って、表現型によって選抜された多数のF2個体の染色体構造を多型マーカーによって調べたとき、遺伝子型がホモでCol型を示す頻度が最も高い領域付近に、標的遺伝子のアリルが存在することも予想された。この予想に基づき、標的遺伝子を同定すべく、SSLP解析を行った結果、多型マーカーN01-K11I1とN01-K17O22で挟まれた領域までは、標的遺伝子の存在領域を絞り込むことに成功した(図1)。
〔実施例2〕 RPS4遺伝子(At5g45250)とRCH2遺伝子(At5g45260)における変異と炭疽病菌に対する抵抗性との関係の解析
実施例1の方法では、これ以上、標的遺伝子の存在領域を絞り込むことに利用できる多型マーカーの作製ができず、SSLP解析に限界が生じた。そこで、抵抗性生態型Ws-0のT-DNA挿入ライブラリーを用いて、約3万ラインをスクリーニングした結果、炭疽病に対して感受性になったT-DNA挿入変異体を8個体得た。これら変異体のWs-At5g45250とWs-At5g45260の塩基配列を解析したところ、これら遺伝子に変異が導入された変異体が発見された。At5g45250中に5塩基の欠損のある変異体ΔAt5g45250-21、並びにAt5g45260中にT-DNAタグが挿入された変異体ΔAt5g45260-1及びΔAt5g45260-2は炭疽病菌に感受性を示した(図2「Ws-0変異体」)。
Ws-At5g45250については、本発明者らにより、抵抗性遺伝子であることが解明されているが(特願2007-86343)、At5g45260についても抵抗性遺伝子である可能性が想定された。そこで、炭疽病菌に対して抵抗性の生態型Ws-0と感受性の生態型Col-0におけるAt5g45260のアミノ酸配列を比較した(図3)。Col-At5g45260においては、WRKYドメインからC末端側にかけて約80〜90アミノ酸が欠落していた。Col-At5g45260と同様にC末端側に欠落が認められる生態型Cvi-0,Bur-0も炭疽病菌に感受性を示した。このことから、At5g45260も、炭疽病菌に対する抵抗性に関与しており、この抵抗性を獲得するためには、少なくともAt5g45260WRKY domainからC末端側の約80〜90アミノ酸の存在が重要であることが判明した。
さらに、炭疽病菌に感受性の生態型(Ler-1,Lov-5,C24)は775番目のチロシンがアスパラギンに置換されていた。本アミノ酸が抵抗性に重要であることが示された(図10〜図11)。
〔実施例3〕 At5g45250とAt5g45260における変異とavrRps4遺伝子を有する斑葉細菌病に対する抵抗性との関係の解析
植物病原菌に対する抵抗性を、シロイヌナズナにも感染することが知られているavrRps4遺伝子を有するトマト斑葉細菌(Pseudomonas syringae pv. tomato)を用いて調べた。斑葉細菌をカナマイシン(25μg/ml)及びリファンピシン(25μg/ml)を添加したKing's B液体培地中で一晩振とう培養した。菌懸濁液を1×105(cfu)/mlに調製し、この菌液を播種後7週間栽培したシロイヌナズナ(22℃、8時間の明期/16時間の暗期のサイクル)のロゼット葉の裏側に、針がない1mlシリンジを押しつけて圧力をかけ、菌液を葉中へ注入することで病原菌を接種した。接種後3日目に接種葉をコルクポーラーでくりぬいて、10mM MgSO4液中で破砕し、菌懸濁液を固形培地に蒔いて2日後に出現したコロニー数をカウントすることで、葉面積当たりの菌の増殖を測定した。トマト斑葉細菌を接種した植物(野生株、過剰発現体、遺伝子破壊体)の感受度(病原細菌の増殖)の結果を図4A及び図4Bに示す。
(1)At5g45260と斑葉細菌病に対して感受度との関係(図4A)
At5g45260が破壊された変異体においては、Ws-0野生型に対して菌の増殖が多く、斑葉細菌病に対して感受度が高まった。
(2)At5g45250と斑葉細菌病に対して感受度との関係(図4B)
At5g45250が破壊された変異体においても、Ws-0野生型に対して菌の増殖が多く、斑葉細菌病に対して感受度が高まった。また、At5g45250が破壊された変異体にプロモーター領域約2kbを含むWs-At5g45250遺伝子約6kbを形質転換した復帰体は、Ws-0野生型と同様の抵抗性を示した。また、炭疽病菌と斑葉細菌病に感受性の生態型RLDにプロモーター領域約2kbを含むWs-At5g45250遺伝子約6kbを導入した形質転換体は斑葉細菌病に対して強い抵抗性を示した。
以上から、斑葉細菌病に対する抵抗性発現にもAt5g45250とAt5g45260の両者が必須であることが判明した。これまで斑葉細菌病に対する抵抗性発現には、At5g45250のみが関与すると報告されていたが(非特許文献2)、本結果から、At5g45260も関与していることが示された。特に、報告されたシロイヌナズナ生態型で唯一の感受性生態型であるRLD-0においては、Ws-At5g45250を導入することにより斑葉細菌病及び炭疽病菌に抵抗性を獲得したことから、元来これら病原菌に抵抗性のAt5g45260を有し、感受性の原因は、At5g45250にあることが明らかとなった。
〔実施例4〕 シロイヌナズナ生態型No-0及びWs-0のAt5g45250とAt5g45260における変異と炭疽病菌及び青枯病菌に対する抵抗性との関係の解析
まず、青枯病菌に抵抗性であることが報告されているFedoroff氏由来のNo-0(非特許文献12)につき、炭疽病菌、斑葉細菌病に対する抵抗性を検討した。その結果、この生態型は、両病原菌に対して抵抗性を示した。そこで、No-0におけるトランスポゾン変異体を用いて、At5g45250とAt5g45260における変異とこれら病原菌に対する抵抗性との関係を調査した(図2「Fedoroff氏由来のNo-0トランスポゾン変異体」)。その結果、At5g45250中にトランスポゾンタグが挿入された変異体ΔAt5g45250-31(rps4-31)は、炭疽病菌に感受性を示した。また、At5g45250のプロモーター領域及びAt5g45260中にトランスポゾンタグが挿入された変異体ΔAt5g45250-60-1も、炭疽病菌に感受性を示した。シロイヌナズナ生態型No-0(Fedoroff氏由来)においても、At5g45250及びAt5g45260が、炭疽病菌に対する抵抗性に関与していた。
青枯病菌懸濁液を1×108(cfu)/mlに調製した。播種後7週間ロックウール上で栽培したシロイヌナズナ(22℃、8時間の明期/16時間の暗期のサイクル)をロックウールごと根を切断し、この菌液を20ml以上、断根部分へかん注した。接種後7日目に発病を検定した。青枯病菌を接種した植物(野生株、遺伝子破壊体)の感受度の結果を図5A〜図5Gに示す。
生態型Nd-1,No-0,Ws-0は青枯病に抵抗性であり(図5A〜図5C)、Col-0は感受性である(図5D)。ΔAt5g45250-60-1は青枯病菌に感受性になることが報告されている(非特許文献12)。本発明により、Fedoroff氏由来のNo-0のAt5g45250中にタグが挿入された変異体ΔAt5g45250-31(rps4-31)が青枯病菌に感受性であることが証明された(図5E)。生態型Ws-0のAt5g45250中に5塩基の欠損のある変異体ΔAt5g45250-21(rps4-21)、並びにAt5g45260中にT-DNAタグが挿入された変異体ΔAt5g45260-1(rch2-1)は青枯病菌に強い感受性を示した(図5F〜図5G)。以上の結果から、Fedoroff氏由来のNo-0並びにWs-0のAt5g45250とAt5g45260をこれら病原菌に感受性の植物へ形質転換すると、炭疽病菌、斑葉細菌病及び青枯病菌に対して抵抗性の植物が作製できることを示すものである。
〔実施例5〕 シロイヌナズナの炭疽病菌感受性の生態型Col-0、RLD-0における抵抗性遺伝子の導入とその効果
シロイヌナズナにおける炭疽病菌感受性の生態型Col-0、RLD-0に、炭疽病菌抵抗性の生態型Ws-0のAt5g45250又はAt5g45260の導入を行い、炭疽病菌に対する抵抗性を獲得するか否か検討した(図6A〜図6D)。その結果、野生型Col-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体は、本菌に抵抗性を示すが、植物が矮小化してしまった(図6B)。また、野生型RLDに抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体は、正常に生育するとともに、本菌に抵抗性を示した(図6C)。野生型Col-0に抵抗性遺伝子Fedoroff氏由来のNo-0-At5g45260を導入した形質転換体は、正常に生育するとともに、本菌に抵抗性を示した(図6D)。以上から、野生型Col-0は炭疽病菌に抵抗性型のWs-At5g45250を導入しても、安定的に維持できないが、炭疽病菌に抵抗性型のFedoroff氏由来のNo-0-At5g45260を導入した形質転換体は植物体内で安定に維持され、炭疽病菌に抵抗性になることが判明した。RLD-0は元来抵抗性型のAt5g45260を有しており、抵抗性型のWs-At5g45250を導入することで、植物体内で安定的に維持され、炭疽病菌に抵抗性を示した。このように異なる2つの抵抗性遺伝子を導入することで、炭疽病菌に抵抗性を示す植物が作製できた。
なお、Fedoroff氏由来のNo-0-At5g45260を導入したCol-0は、斑葉細菌病に抵抗性のAt5g45250と青枯病に抵抗性のAt5g45260を有していることから、斑葉細菌病及び青枯病に対しても抵抗性を示すことは、当業者であれば、容易に理解できる。
〔実施例6〕 各種シロイヌナズナ生態型における、炭疽病に対する感受度とAt5g45250及びAt5g45260のアミノ酸配列との関係
シロイヌナズナ生態型について、炭疽病に対する感受度について調査した(図7〜図8)。これら生態型についてシロイヌナズナのSNP解析データを利用して(非特許文献10)、At5g45250及びAt5g45260のアミノ酸配列の系統樹解析を行った(図7〜図8)。At5g45250については炭疽病に感受性と抵抗性の生態型が混在して分類された。At5g45250における各生態型のアミノ酸配列を比較したところ、アブラナ科野菜類炭疽病、斑葉細菌病、及び青枯病の全てに感受性のRLD-0において950番目のチロシンがヒスチジンに置換されていた(図9)。そこで、炭疽病に抵抗性のWs-0におけるWs-At5g45250の950番目のチロシンをヒスチジンに置換したコンストラクトを作製してWs-0をバックグランドとするWs-At5g45250の破壊体ΔAt5g45250-21(rps4-21)に導入したところ、本形質転換体は炭疽病に感受性を示し、抵抗性を復帰できなかった。従って、本アミノ酸が抵抗性に重要であることが示された。一方、At5g45260のアミノ酸配列の系統樹解析の結果、At5g45260については感受性の生態型が1つのグループに分類された(図7)。このグループ(Ler-1,Lov-5,C24)は実施例2に記載したとおり、775番目のチロシンがアスパラギンに置換されていた。本アミノ酸が抵抗性に重要であることが示された(図10〜図11)。
〔実施例7〕 シロイヌナズナにおける炭疽病菌感受性の生態型Col-0における、生態型Ws-0由来のAt5g45250及びAt5g45260の導入とその効果
実施例2から6における結果から、炭疽病菌に対する植物の抵抗性において、At5g45250及びAt5g45260の2つの遺伝子が必須であり、これら2つの遺伝子を炭疽病菌感受性の生態型の植物に導入することで、当該植物を炭疽病菌抵抗性の生態型に転換することが可能であることが示された。本発明者らは、この事実を再確認するために、シロイヌナズナにおける炭疽病菌感受性の生態型Col-0に、炭疽病菌抵抗性の生態型Ws-0のAt5g45250及びAt5g45260の導入を行い、炭疽病菌に対する抵抗性を獲得するか否かを検討した。
その結果、実施例5(図6B)で既に証明されている通り、野生型Col-0に抵抗性遺伝子Ws-At5g45250を導入した形質転換体は、本菌に抵抗性を示すが、植物が矮小化してしまった(図12左)。この矮小化した形質転換体に炭疽病菌に抵抗性型の生態型Ws-0由来のWs-At5g45260を導入した形質転換体は植物体内で安定に維持され、矮小化が回避されて正常に生育し(図12右)、かつ、炭疽病菌に対する抵抗性を獲得した(図13)。以上より、異なる2つの抵抗性遺伝子を導入することで、炭疽病菌に抵抗性を示す植物が作成できることが、再確認された。また、一般的に病害抵抗性遺伝子を単独で導入すると、植物が矮小化する事例が報告されているが、複数の遺伝子を組み合わせて導入することにより、このような抵抗性植物作出における植物の矮小化の問題を回避できることが、再確認された。
なお、Ws-0由来のWs-At5g45250及びWs-At5g45260を同時に導入したCol-0は、斑葉細菌病に抵抗性のWs-At5g45250と青枯病に抵抗性のWs-At5g45260を有していることから、斑葉細菌病及び青枯病に対しても抵抗性を示すことは、当業者であれば、容易に理解できる。
〔実施例8〕 コマツナにおける炭疽病菌感受性の品種「おそめ」におけるシロイヌナズナ生態型Ws-0由来のAt5g45250及びAt5g45260の導入とその効果
実施例2から6における結果から、炭疽病菌に対する植物の抵抗性において、At5g45250及びAt5g45260の2つの遺伝子が必須であり、これら2つの遺伝子を炭疽病菌感受性の生態型の植物に導入することで、当該植物を炭疽病菌抵抗性の生態型に転換することが可能であることが示された。本発明者らは、この事実を再確認するために、コマツナにおける炭疽病菌感受性の品種「おそめ」に、炭疽病菌抵抗性のシロイヌナズナ生態型Ws-0のAt5g45250及びAt5g45260を導入し、炭疽病菌に対する抵抗性を獲得するか否かを検討した。
その結果、野生型コマツナにWs-At5g45250を導入した形質転換体は、そのほとんどが矮小化し、個体を維持することができず、かろうじて生育した個体も植物が矮小化してしまった。また、野生型コマツナに抵抗性遺伝子Ws-At5g45260を導入した形質転換体は、炭疽病菌に対する抵抗性を安定的に獲得できなかった(図14右)。その一方、野生型コマツナにシロイヌナズナ生態型Ws-0のAt5g45250及びAt5g45260を同時に導入した形質転換体は植物体内で安定的に維持され、植物も正常に生育し、かつ、炭疽病菌に抵抗性になった(図14左)。以上より、異なる2つの抵抗性遺伝子を導入することで、炭疽病菌に抵抗性を示す植物が作成できることが、再確認された。また、一般的に病害抵抗性遺伝子を単独で導入すると、植物が矮小化する事例が報告されているが、複数の遺伝子を組み合わせで導入することにより、このような抵抗性植物作出における植物の矮小化の問題を回避できることが、再確認された。
なお、Ws-0由来のWs-At5g45250及びWs-At5g45260を導入したコマツナは、斑葉細菌病に抵抗性のWs-At5g45250と青枯病に抵抗性のWs-At5g45260を有していることから、斑葉細菌病及び青枯病に対しても抵抗性を示すことは、当業者であれば、容易に理解できる。
本発明は、例えば、ハクサイ、コマツナ、カブ、キャベツ、ナタネ、ダイコン等のアブラナ科作物やトマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ等のナス科植物の育種分野において好適に利用可能であり、本発明を利用すれば、アブラナ科野菜類炭疽病菌、斑細菌病菌、及び青枯病菌による病害からこれら作物を守ることができ、その生産効率を向上させることが可能となる。

Claims (10)

  1. 2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与する方法であって、単独では、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与しないが、2以上の組み合わせにより、これら病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子を、当該組み合わせで植物に導入することを特徴とする方法。
  2. 病原菌が、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌であり、遺伝子の組み合わせが、RPS4遺伝子とRCH2遺伝子の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  3. RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子が、Ws-0、No-0、Nd-1、Aa-0、Eil-0、Rrs-7、Sha、Tamm-2、Tsu-1、Fei-0、Ts-1、Bsch-0、Br-0、Est-1、Rrs-10、Van-0、Nfa-8、Bay-0からなる群より選択されるシロイヌナズナ生態型に由来する、請求項2に記載の方法。
  4. 病原菌が、さらに、青枯病菌を含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 2以上の病原菌に対する抵抗性が付与された形質転換植物体であって、単独では、2以上の病原菌に対する抵抗性を植物に付与しないが、2以上の組み合わせにより、これら病原菌に対する抵抗性を植物に付与する遺伝子を、当該組み合わせで導入された形質転換植物体。
  6. 病原菌が、アブラナ科野菜類炭疽病菌及びトマト斑葉細菌病菌であり、遺伝子の組み合わせが、RPS4遺伝子とRCH2遺伝子の組み合わせである、請求項5に記載の形質転換植物体。
  7. RPS4遺伝子及びRCH2遺伝子が、Ws-0、No-0、Nd-1、Aa-0、Eil-0、Rrs-7、Sha、Tamm-2、Tsu-1、Fei-0、Ts-1、Bsch-0、Br-0、Est-1、Rrs-10、Van-0、Nfa-8、Bay-0からなる群より選択されるシロイヌナズナ生態型に由来する、請求項6に記載の形質転換植物体。
  8. さらに、青枯病菌への抵抗性を有する、請求項6または7に記載の形質転換植物体。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載の形質転換植物体の子孫又はクローンである、形質転換植物体。
  10. 請求項5から9のいずれかに記載の形質転換植物体の部分若しくは繁殖材料。
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