JPWO2009136648A1 - 高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

長さ方向(MD)引張強度と幅方向(TD)引張強度がそれぞれ50MPa以上であり、MD引張伸度とTD引張伸度の合計が20〜250%であり、かつポリプロピレンを含むポリオレフィン製微多孔膜からなることを特徴とする高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。

Description

本発明は、高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータに関する。
ポリオレフィン製微多孔膜は、種々の物質の分離や選択透過分離膜、及び隔離材等として広く用いられており、その用途例としては、精密ろ過膜、燃料電池用、コンデンサー用セパレータ、または機能材を孔の中に充填させ新たな機能を出現させるための機能膜の母材、電池用セパレータなどが挙げられる。中でも、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話、デジタルカメラなどに広く使用されているリチウムイオン電池用のセパレータとして、ポリオレフィン製微多孔膜が好適に使用されている。
電動工具・バイク・自転車・クリーナー・カート・自動車などの用途において用いられるリチウムイオン二次電池には、より高出力密度であることが求められ、従来、電極や電解液、セパレータとしてのポリオレフィン製微多孔膜、電解液についてそれぞれ改良が行なわれてきた。出力密度は、SOC(State Of Charge)50%での電池電圧と放電電流との関係を示す線図において、電池の放電終止電圧(3.0V)と電流電圧特性の直線を放電終止電圧まで外挿したときの電流値(I)及び電池質量(Wt)より、次式によって求められる。
出力密度(P)=(V×I)/Wt
ここで、「高出力密度」とは、1000W/kg以上の出力密度であることを意味し、1100W/kg以上がより好ましく、1200W/kg以上が特に好ましい。また、一般的に、高出力密度であるリチウムイオン二次電池は、高速のリチウムイオン伝達を可能にしているという点で、高入力密度であるということも同時に示している。本願でいう「高出力密度」とは、入力密度で800w/kg以上であることをも意味し、850W/kg以上がより好ましく、900W/kg以上が特に好ましい。
特許文献1には、高分子量ポリエチレンと高分子量ポリプロピレンの混合物からなる微多孔膜が提案されている。また、特許文献2には、セパレータ中にリチウムイオン伝導性物質を分散し、低抵抗化を図ることで、高出力密度用途のリチウムイオン二次電池への適用が提案されている。
特許第3342755号公報 特開2007−141591号公報
高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、一般に、高いイオン透過性を実現する観点から大孔径で高気孔率のものが用いられる。しかしながら、従来のセパレータにおいては、その「大孔径」、「高気孔率」のため電池が自己放電し易く、また、ハイレート特性の観点からも未だ改良の余地がある。ここで、「ハイレート特性」とは、高電流で一定電圧まで放電を行なった場合の電池容量が、低電流で一定電圧まで放電を行なった場合の電池容量に占める比率を示し、高いほうが良好といえる。
また、高出力密度リチウムイオン二次電池の大きさは、より高出力密度を実現する観点からより大きくなる傾向にある。その場合、電池内のセパレータの捲回数も多くなり、セパレータのパスライン長も長くなる傾向にある。長いパスラインでも安定した電池生産を可能とする観点から、セパレータの均質性(曲がりを生じない)という点でも、より一層品質の優れたポリオレフィン製微多孔膜が求められている。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載された微多孔膜はいずれも、高出力密度用途のリチウムイオン二次電池への適用を考えた場合、なお改善の余地を有するものである。
本発明は、自己放電が抑制され、ハイレート特性にも優れたリチウムイオン二次電池を実現し得ると共に、均質性も良好な、高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは上述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の膜組成及び膜物性を有するポリオレフィン製微多孔膜が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
長さ方向(MD)引張強度と幅方向(TD)引張強度がそれぞれ50MPa以上であり、
MD引張伸度とTD引張伸度の合計が20〜250%であり、かつポリプロピレンを含むポリオレフィン製微多孔膜からなることを特徴とする高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[2]
平均孔径が0.1μm未満である上記[1]に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[3]
65℃でのTD熱収縮率が1.0%以下である上記[1]又は[2]に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[4]
気孔率が40%以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[5]
膜厚が20μm以上である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[6]
上記[1]〜[5]のいずれかに記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータと、正極と、負極と、電解液とを用いてなる高出力密度リチウムイオン二次電池。
本発明により、自己放電が抑制され、ハイレート特性にも優れたリチウムイオン二次電池を実現し得ると共に、均質性も良好な、高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」と略記することがある。)は、ポリオレフィン製微多孔膜(以下、単に「微多孔膜」と略記することがある。)からなる。当該微多孔膜は、膜厚方向に連通孔を有し、例えば三次元網状骨格構造を有する。また、当該微多孔膜は、長さ方向(原料樹脂吐出方向、又は機械方向と同意。以下、「MD」と略記することがある。)引張強度と幅方向(長さ方向と直交する方向。以下、「TD」と略記することがある。)引張強度とが、それぞれ50MPa以上であり、MD引張伸度とTD引張伸度の合計が20〜250%であり、かつポリプロピレンを含むことを特徴とする。
本実施の形態のセパレータはこのような構成を採用することで、特に高出力密度のリチウムイオン二次電池に求められる良好なハイレート特性、低い自己放電特性を実現し得、且つ、均質性にも優れる。本実施の形態のセパレータは、高出力密度のリチウムイオン二次電池用セパレータとして好適である。
前記微多孔膜の気孔率は、ハイレート時のリチウムイオンの急速な移動に追従する観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上である。また、膜強度及び自己放電の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは60%以下である。
一方、前記微多孔膜の平均孔径は、自己放電を防ぐ観点から、好ましくは0.1μm未満(バブルポイント法による最大孔径の場合は、自己放電を防ぐ観点から0.09μm以下)であり、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.08μm以下である。平均孔径が0.1μm未満であると、特に高出力密度の電池においては、充電後の保存時に自己放電が起こりにくくなる観点から好ましい。下限としては特に制限はないが、透気度とのバランスの観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.03μm以上であることが更に好ましい。
前記微多孔膜の透気度は、膜厚、気孔率、平均孔径とのバランスの観点から、1秒以上が好ましく、50秒以上がより好ましく、100秒以上が更に好ましい。また、透過性の観点から、400秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
前記微多孔膜の引張強度はMD、TD両方向においてそれぞれ50MPa以上であり、70MPa以上であることがより好ましい。MD、TDの引張強度を50MPa以上とすることは、スリットや電池捲回時での破断が起こりにくくなる観点、又は、電池内の異物などによる短絡が生じにくくなる観点から好ましい。また、ハイレート試験時などにおける電極の膨張収縮に対して、膜が元の孔構造を維持しやすくなり、特性の低下を軽減し得る観点からも好ましい。一方、上限値としては特に制限はないが、低収縮率を両立させる観点から、500MPa以下が好ましく、300MPa以下がより好ましく、200MPa以下が更に好ましい。
前記微多孔膜のMD引張伸度とTD引張伸度はそれぞれ10〜150%であることが好ましく、合計としては、20〜250%であり、30〜200%であることがより好ましく、50〜200%であることが特に好ましい。MDとTDの引張伸度の合計が20〜250%であると、適度な配向により充分な強度を発現しやすく、また、延伸工程において均一な延伸がかけやすくなり膜厚分布が良好となるため、結果として、電池捲回性も向上する傾向にある。また、ハイレート試験時などにおける電極の膨張収縮に対して、孔構造が変化しにくくなり、特性を維持しやすくなる。
引張強度、引張伸度を上記範囲に設定することにより、延伸時の延伸ムラが軽減して膜厚分布を向上させ、また、スリット後のリールについても、例えば曲がりが1mm以下というような均質性に優れたリールを実現し得る。更に、引張強度、引張伸度が上記範囲に設定された微多孔膜は、10C(定格電気容量の1時間率(1C)の10倍の電流)程度といった大電流での使用においても、元の孔構造を維持しやすく、結果としてハイレート特性や自己放電特性が良好となるという驚くべき効果を発現する。
前記微多孔膜の突刺強度(絶対強度)は、3N以上であることが好ましく、5N以上がより好ましい。突刺強度を3N以上とすることは、電池セパレータとして使用する場合において、電極材等の鋭利部が微多孔膜に突き刺さった場合にも、ピンホールや亀裂の発生を低減し得る観点から好ましい。上限としては、低熱収縮率を両立させる観点から、好ましくは10N以下、より好ましくは8N以下である。
また、前記微多孔膜の膜厚は、特に限定はないが、膜強度の観点から1μm以上であることが好ましく、透過性の観点より500μm以下であることが好ましい。安全性試験など、発熱量が比較的高く、従来以上の自己放電特性を求められる高出力密度電池に使用されるという観点および、大型の電池捲回機での捲回性の観点から、20μm以上であることが好ましく、22μmであることがより好ましく、23μm以上であることが特に好ましい。上限としては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
なお、上記のような各種特性を備える微多孔膜を形成する手段としては、例えば、押出時のポリマー濃度や延伸倍率、抽出後の延伸および緩和操作を最適化する方法等が挙げられ、特に伸度の調整については、ポリエチレンへポリプロピレンをブレンドする方法等が挙げられる。
また、前記微多孔膜の態様としては、単層体の態様であっても積層体の態様であっても構わない。積層体とは本実施の形態における微多孔膜と、不織布や他の微多膜との積層、あるいは無機成分や有機成分の表面塗布などのことを示す。積層体の物性が本実施の形態の範囲内であれば、その形態は特に限定されない。
次に、ポリオレフィン製微多孔膜の製造方法について説明するが、得られる微多孔膜が本実施の形態の要件を満たしていれば、ポリマー種、溶媒種、押出方法、延伸方法、抽出方法、開孔方法、熱固定・熱処理方法などにおいて、何ら限定されることはない。
前記微多孔膜の製造方法としては、ポリマー材料と可塑剤、或いはポリマー材料と可塑剤と無機材とを溶融混練し押出す工程と、延伸工程、可塑剤(及び必要に応じて無機材)抽出工程、更には熱固定する工程を含むことが好ましい。
より具体的には、例えば、以下の(a)〜(d)の各工程を含む方法が挙げられる。
(a)ポリオレフィンと、可塑剤と、必要に応じて無機材とを混練する混練工程。
(b)混練工程の後に混練物を押出し、シート状(単層、積層であることは問わない)に成形して冷却固化させるシート成形工程。
(c)シート成形工程の後、必要に応じて可塑剤や無機材を抽出し、更にシートを一軸以上の方向へ延伸する延伸工程。
(d)延伸工程の後、必要に応じて可塑剤や無機剤を抽出し、更に熱処理を行う後加工工程。
前記(a)の工程において用いられるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレンのホモ重合体、またはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びノルボルネンよりなる群から選ばれる少なくとも2つ以上のモノマーにて形成される共重合体等が挙げられる。これらは混合物でも構わない。混合物を用いると、ヒューズ温度やショート温度のコントロールが容易となるため好ましい。特に、二種類以上のポリエチレンをブレンドすることが好ましく、粘度平均分子量(以下「Mv」と略記することがある)50万以上の超高分子量ポリオレフィンとMv50万未満のポリオレフィンとを含むことは、セパレータの曲がりを低減させ、熱収縮率も低減できるという点から特に好ましい。この理由としては、超高分子量ポリオレフィン成分が膜の高い弾性率及び膜厚均一性に寄与することで、セパレータの曲がりが低減すると推察される。また、超高分子量ポリオレフィン成分は、孔構造を維持する特性が高く、より高温での熱固定を可能とし、熱収縮率を低減させることが可能になると考えられる。
ブレンドするポリエチレンは、孔が閉塞せずに、より高温で熱固定が行えるという点から、高密度のホモポリマーであることが好ましい。また、微多孔膜全体のMvは10万以上、120万以下であることが好ましい。より好ましくは30万以上80万以下である。Mvが10万以上であると溶融時の耐破膜性が発現しやすくなる傾向にあり、120万以下であると押出工程が容易となる傾向にあり、また、溶融時の収縮力の緩和が早くなり耐熱性が向上する傾向にある。
ポリオレフィン中にポリプロピレンをブレンドすることは、ポリプロピレンとポリエチレンマトリックスとの間に界面を生じさせやすくなるため、引張伸度の低減に効果がある。そのため所望の引張伸度へ調整しやすくなり、結果、延伸時に膜全体に均一な力がかかりやすくなるため膜厚分布が良化する。また、ポリプロピレンのブレンドにより、相分離の際に小孔径となりやすくなる。ブレンドするポリプロピレンのMvは、溶融時の耐破膜性の観点から10万以上であることが好ましく、成形性の観点から100万未満であることが好ましい。
前記(a)の工程において用いられるポリオレフィン全体に対する粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィンのブレンド量は、1〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%である。粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィンのブレンド量が上記範囲であると、超高分子量成分が膜の高い弾性率と膜厚均一性に寄与しやすく、孔構造も維持しやすい傾向にある。
また、前記(a)の工程において用いられるポリオレフィン全体に対する粘度平均分子量50万未満のポリオレフィンのブレンド量は、1〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%である。粘度平均分子量50万未満のポリエチレンのブレンド量が上記範囲であると、超高分子量成分との適度な絡み合いが形成されることにより、良好な厚み分布の膜が得られやすくなる傾向にある。
前記(a)の工程において用いられるポリオレフィン全体に対するポリプロピレンのブレンド量は、1〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。ポリプロピレンのブレンド量が1質量%以上であると上述した効果が発現しやすくなる傾向にあり、80質量%以下であると透過性が確保しやすくなる傾向にある。
前記(a)の工程において用いられるポリオレフィンには、さらに、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料などの公知の添加剤を混合して使用することが出来る。
前記可塑剤としては、沸点以下の温度でポリオレフィンと均一な溶液を形成しうる有機化合物を挙げることができる。具体的には、例えば、デカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、パラフィン油等が挙げられる。中でも、パラフィン油、ジオクチルフタレートが好ましい。
可塑剤の割合としては、特に限定されないが、得られる微多孔膜の気孔率の観点から、ポリオレフィンと、可塑剤と、必要に応じて配合される無機材との合計質量に対して20質量%以上が好ましく、粘度の観点から90質量%以下が好ましい。高気孔率でありながら小孔径という特性を付与する観点からは、好ましくは50〜80質量%であり、より好ましくは60〜75質量%である。
前記無機材としては、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。中でも、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ、チタニアがより好ましく、シリカが特に好ましい。
混練の方法としては、例えば、まず原材料の一部或いは全部を必要に応じてヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で事前混合する。次いで、全ての原材料について、一軸押出機、二軸押出機等のスクリュー押出機、ニーダー、ミキサー等により溶融混練する。混練物は、T型ダイや環状ダイ等より押出される。このとき、単層押出しであっても積層押出しであっても構わない。
なお、混練時においては、原料ポリマーに酸化防止剤を所定の濃度で混合した後、窒素雰囲気に置換し、窒素雰囲気を維持した状態で溶融混練を行うことが好ましい。溶融混練時の温度は、160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。また300℃未満が好ましく、240℃未満がより好ましく、230℃未満がさらに好ましい。
シート成形の方法としては、例えば、溶融混練し押出された溶融物を、圧縮冷却により固化させる方法が挙げられる。冷却方法としては、冷風や冷却水等の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法等が挙げられるが、冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法が、膜厚制御が優れる点で好ましい。
シートの延伸方法としては、ロール延伸機によるMD一軸延伸、テンターによるTD一軸延伸、ロール延伸機とテンター、或いはテンターとテンターとの組み合わせによる逐次二軸延伸、同時二軸テンターやインフレーション成形による同時二軸延伸などが挙げられる。より均一な膜を得るという観点からは、同時二軸延伸であることが好ましい。トータルの面倍率は膜厚の均一性および引張伸度、気孔率と平均孔径のバランスの観点より、8倍以上が好ましく、15倍以上がより好ましく、30倍以上がさらに好ましい。面倍率が30倍以上であると、高強度で低い伸度のものが得られやすくなる傾向にある。
可塑剤や無機材の抽出は、抽出溶媒に浸漬、あるいはシャワーする方法等により行なうことができる。抽出溶媒としては、ポリオレフィンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤や無機材に対しては良溶媒であり、沸点がポリオレフィンの融点よりも低いものが好ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタン、フルオロカーボン系等ハロゲン化炭化水素類、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、アセトンや2−ブタノン等のケトン類、アルカリ水等が挙げられる。上記溶媒は、単独若しくは混合して使用することができる。
なお、無機材は全工程内のいずれかで全量あるいは一部を抽出してもよいし、製品中に残存させてもよい。また、抽出の順序、方法及び回数については特に制限はない。無機材の抽出は、必要に応じて行わなくてもよい。
熱処理の方法としては、テンターやロール延伸機を利用して、延伸および緩和操作などを行う熱固定方法が挙げられる。緩和操作とは、膜のMD及び/或いはTDへ、ある緩和率で行う縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜のMD寸法を操作前の膜のMD寸法で除した値、或いは緩和操作後のTD寸法を操作前の膜のTD寸法で除した値、或いはMD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。所定の温度として、熱収縮率の観点より100℃以上が好ましく、気孔率及び透過性の観点より135℃未満が好ましい。所定の緩和率としては、熱収縮率の観点より0.9以下が好ましく、0.8以下であることがより好ましい。また、しわ発生防止と気孔率及び透過性の観点より0.6以上であることが好ましい。緩和操作は、MD、TD両方向で行ってもよいが、MD或いはTD片方だけの緩和操作でも、操作方向だけでなく操作と垂直方向についても、熱収縮率を低減することが可能である。
なお、前記微多孔膜の製造方法としては、(a)〜(d)の各工程に加え、積層体を得るための工程として、単層体を複数枚重ね合わせる工程を採用することができる。また、電子線照射、プラズマ照射、界面活性剤塗布、化学的改質などの表面処理工程を採用することも出来る。
更に、上記熱固定後の膜捲回体(以下、「マスターロール」と言う。)を所定の温度下で処理し(マスターロールのエージング操作)、その後マスターロールの巻き返し作業を行うこともできる。この工程により、マスターロール内のポリオレフィンの残存応力が開放される。マスターロールを熱処理する好ましい温度は35℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。透過性保持の観点から120℃以下が好ましい。熱処理時間は限定されないが、24時間以上であると効果が発現しやすいため好ましい。
一般的に、100℃以上の領域の熱収縮率低減には上述の熱固定が効果的であるが、斯様の方法では65℃といった比較的低温での残存応力を効果的に取り除くことは困難である。そのため上記エージング操作を行うことは、例えば65℃といった比較的低温でのTD熱収縮率が1.0%以下となりやすく、電池乾燥工程においてセパレータが収縮しにくくなるため好ましい。65℃でのTD熱収縮率が1.0%以下であると、正極と負極が微接触する可能性を低減することができ、自己放電特性が良化する傾向にある。65℃におけるTD熱収縮率は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.2%以下である。
なお、本実施の形態において記載された各種パラメータの測定方法については、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される。
本実施の形態のポリオレフィン製微多孔膜からなるセパレータは、従来のセパレータと比較して、高強度、孔閉塞性、低熱収縮を維持しながら、気孔率、平均孔径といった透過性、強度、MD/TD引張伸度のバランスが改善されている。そのため、本実施の形態のセパレータを特に高出力密度電池のセパレータとして使用することにより、優れたハイレート特性でありながら、かつ自己放電性能が良好で、電池捲回性にも優れた(均質性が良好な)セパレータを提供することが可能である。
本実施の形態における高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池の中でも特に、電動工具、バイク、自転車、カート、スクーター、自動車といった高出力密度特性が必要なアプリケーションに好適であり、従来以上の電池特性を付与させることが可能となる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求めた。膜がポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド物である場合は、以下のポリエチレンの式で算出した。
ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンのMvは次式により算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(2)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)用いて室温23±2℃で測定した。
(3)気孔率(%)
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95と一定にして計算した。
(4)透気度(秒)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、G−B2(商標))により測定した。
(5)突刺強度(N)
カトーテック製、KES−G5(商標)ハンディー圧縮試験器を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、23±2℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重(N)を計測し、突刺強度とした。
(6)引張強度(MPa)、引張伸度(%)
JIS K7127に準拠し、島津製作所製の引張試験機、オートグラフAG−A型(商標)を用いて、MD及びTDサンプル(形状;幅10mm×長さ100mm)について測定した。また、サンプルはチャック間を50mmとし、サンプルの両端部(各25mm)の片面にセロハンテープ(日東電工包装システム(株)製、商品名:N.29)を貼ったものを用いた。更に、試験中のサンプル滑りを防止するために、引張試験機のチャック内側に、厚み1mmのフッ素ゴムを貼り付けた。
引張伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して、100を乗じることにより求めた。
引張強度(MPa)は、破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除することで求めた。また、MD引張伸度とTD引張伸度の値を合計することにより、MD引張伸度とTD引張伸度の合計(%)を求めた。なお、測定は、温度23±2℃、チャック圧0.30MPa、引張速度200mm/分(チャック間距離を50mm確保できないサンプルにあっては、ひずみ速度400%/分)で行った。
(7)平均孔径(μm)
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、微多孔膜の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また微多孔膜の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定した。
この場合、平均孔径d(μm)は、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力P(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、次式を用いて求めることができる。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×10
ここで、Rgasは透気度(sec)から次式を用いて求めた。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm/(cm・sec・Pa))から次式を用いて求めた。
liq=透水度/100
なお、透水度は次のように求められる。直径41mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめアルコールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のアルコールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した際の透水量(cm)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10−2kg/mol)から次式を用いて求められる。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
(8)最大孔径(μm)
ASTM F316-86に準拠し、エタノール溶媒で測定した。
(9)65℃熱収縮率
微多孔膜をMD方向に150mm、TD方向に200mmに切り取り、65℃のオーブン中に5時間静置した。このとき、温風が直接サンプルにあたらないよう、2枚の紙に挟んだ。オーブンから取り出し冷却した後、長さ(mm)を測定し、以下の式にてMD及びTDの熱収縮率を算出した。(サンプル長が確保できないものに関しては、150mm×200mmに入る範囲で、可能な限り長いサンプルとした。)
MD熱収縮率(%)=(150−加熱後のMDの長さ)/150×100
TD熱収縮率(%)=(200−加熱後のTDの長さ)/200×100
(10)曲がり(mm)
外径8インチのプラスチックコアに、60mmの幅で1000mの長さでスリットした微多孔膜を捲回した。そのリールを平面板上で1m繰り出し、繰り出し端から長さ方向50cm部分における曲がり量(短冊状微多孔膜のMD方向中心線に対する、微多孔膜TD方向へのズレ量。mm)を測定した。当該曲がり量は、微多孔膜の均質性の指標である。
(11)ハイレート特性(%)、自己放電特性(%)
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗布量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。
b.負極の作製
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m,活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
セパレータを18mmφ,正極及び負極を16mmφの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するよう、正極、セパレータ、負極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接していた。この容器内に前記した非水電解液を注入して密閉した。室温にて1日放置した後、25℃雰囲気下、3mA(0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間電池作成後の最初の充電を行った。続いて3mA(0.5C)の電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。
e.自己放電特性/ハイレート特性
25℃雰囲気下、6mA(1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行った。続いて6mA(1.0C)の電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。そのときの電池容量をXmAhとし、更に6mA(1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し24時間放置した。この操作を合計50セルの電池で行った。その後、50セルのうち、Xの90%以上の容量を維持していたセルの割合(%)を、自己放電特性として算出した。
次に25℃雰囲気下、上記90%以上の容量を維持できた電池を、60mA(10C)の電流値で電池電圧3.0Vまで放電を行った。そのときの容量をYmAhとし、Y/X×100(%)を、ハイレート特性として算出した。
f.出力密度測定 a、bで作成した正極及び負極を、負極,セパレータ,正極,セパレータの順に重ねて渦巻状に複数回捲回することで円筒型積層体を作製した。この円筒型積層体をステンレス金属製容器に収納し、負極集電体から導出したニッケル製リードを容器底に接続し、正極集電体から導出したアルミニウム製リードを容器蓋端子部に接続した。さらに、この容器内に前記した非水電解液を注入して封口し、幅18mm、高さ65mmの円筒型電池を作製した。その後、1Cの電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を徐々に減らす方法で、合計3時間の充電を行い、SOC100%とした。10分休止後、0.3Cの電流値でSOC50%まで放電し、1時間休止した。その後、(1)0.5Cで10秒間放電、1分休止、0.5Cで10秒間充電、1分休止、(2)1Cで10秒間放電、1分休止、1Cで10秒間充電、1分休止、(3)2Cで10秒間放電、1分休止、2Cで10秒間充電、1分休止、(4)3Cで10秒間放電、1分休止、3Cで10秒間充電、1分休止、(5)5Cで10秒間放電、1分休止、5Cで10秒間充電、1分休止という作業を行った。
(1)〜(5)における10秒間放電後の電池電圧をそれぞれ計測し、それぞれの電圧を電流値に対してプロットした。最小二乗法による近似直線が放電下限電圧(V)と交差する電流値を(I)とし、電池質量(Wt)とから次式により出力密度を算出した。
出力密度(P)=(V×I)/Wt
なお、d、e、fでの電圧(4.2Vおよび3.0V)は、正極にリチウムコバルト複合酸化物、負極にグラファイトを用いたときの一例であり、測定は電極部材の作動電圧範囲に合わせて調整した。例えば、正極にリン酸鉄リチウム、負極にグラファイトを用いた場合は3.6Vまで充電し、2.0Vまで放電し、放電下限電圧も2.0Vとした。
また、入力密度を算出する場合は、(1)〜(5)での各々の10秒間充電後の電池電圧を計測し、それぞれの電圧を電流値に対してプロットした。最小二乗法による近似直線が充電上限電圧(V)と交差する電流値を(I)とし、電池質量(Wt)とから出力密度と同様に算出した。
(12)高出力密度LIBへの適合性評価
LIB(リチウムイオン二次電池)への適合性を、下記の基準に従って評価した。
(A)ハイレート特性が86%以下を4、87〜90%を6、91〜95%を8、96〜100%を10とし、(B)自己放電特性が90%以下を4、91〜94%を6、95〜99%を8、100%を10とし、(C)曲がりが5mm以上を8、1〜4mmを9、1mm未満を10としたとき、(A),(B),(C)各項目の合計が、28以上のものを「a」、26〜27を「b」、23〜25を「c」、21〜22を「d」、20以下を「e」と評価した。「a」から順に適合性が高いと判断される。
[実施例1]
Mvが70万のホモポリマーのポリエチレンを47質量%、Mv30万のホモポリマーのポリエチレンを46質量%、Mv40万のポリプロピレンを7質量%(PPブレンド量 7質量%)とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が65質量%となるように(即ち、ポリマー濃度(「PC」と略記することがある)が35質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃であり、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、原反膜厚1400μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率7.0倍(即ち、7×7倍)、二軸延伸温度125℃であった。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
次に、熱固定(「HS」と略記することがある)を行なうべくTDテンターに導き、熱固定温度125℃、延伸倍率1.4倍でHSを行い、その後、0.8倍の緩和操作(即ち、HS緩和率が0.8倍)を行った。
その後、1000mに巻取ったマスターロール(MR)を、60℃の恒温室内に24時間放置した(即ち、MRエージング有り)。その後、10kg/mの捲回張力で巻き返しを行い、高出力密度リチウムイオン二次電池用ポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜について、各種特性を評価した。結果を下表1に示す。
[実施例2〜18、比較例1〜6]
下表1に示す条件以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得られた微多孔膜について、各種特性を評価した。結果を下表1及び2に示す。
Figure 2009136648
Figure 2009136648
表1及び2の結果から明らかなように、本実施の形態のセパレータ(実施例1〜18)はいずれも、自己放電が抑制され、ハイレート特性にも優れたリチウムイオン二次電池を実現し得ると共に、曲がりが少なく均質性も良好なものであった。
本出願は、2008年5月9日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2008−123727)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、特に高出力密度のリチウムイオン電池用セパレータとして好適に使用される。

Claims (6)

  1. 長さ方向(MD)引張強度と幅方向(TD)引張強度がそれぞれ50MPa以上であり、
    MD引張伸度とTD引張伸度の合計が20〜250%であり、かつポリプロピレンを含むポリオレフィン製微多孔膜からなることを特徴とする高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 平均孔径が0.1μm未満である請求項1に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  3. 65℃でのTD熱収縮率が1.0%以下である請求項1又は2に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  4. 気孔率が40%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  5. 膜厚が20μm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高出力密度リチウムイオン二次電池用セパレータと、正極と、負極と、電解液とを用いてなる高出力密度リチウムイオン二次電池。
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