JP5909411B2 - ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、これらの電子機器の高性能化も著しく、これに伴い、特に電池の高容量化に対する要求が急速に高まっている。
その中で、リチウムイオン電池用セパレータには、優れた透過性と、機械的特性、そして、高温における低熱収縮率の一層の向上が求められている。
また、電池の乾燥工程や、高温貯蔵試験、高温サイクル試験、オーブン(加熱)試験などの観点から、リチウムイオン二次電池用のセパレータは低熱収縮率である必要がある。特に、多くのリチウムイオン二次電池用のセパレータに使用されているポリエチレン(PE)の融点以上で、電池が発熱、発火を起こさないことが安全性の一つの目安とされ、UL1642規格においては、150℃でのオーブン試験が項目の一つにあり、この温度においてセパレータが低熱収縮率であることが望ましい。
更に、近年のリチウムイオン二次電池においては、高容量化に対する要求の高まりに伴って、セパレータには高気孔率化が求められている。
また、セパレータを捲回する際や、電池内の異物などによる短絡を防ぐために、セパレータの突刺強度や長さ方向及び幅方向の引張強度は、ある程度以上の強度を有している必要がある。この引張強度が大きいと、衝突試験、圧壊試験等の安全性試験において、セパレータが破断しにくくなり、電極間の短絡のリスクが低減するため、発熱及び発火する危険性を回避することができる。
しかしながら、一般的に高強度化と低熱収縮率、高気孔率化と孔閉塞性とは相反する関係にある。
また、特許文献2では、高容量化された電池において、異常加熱の際の熱暴走と、電池が過充電された際の熱暴走を共に防止するため、負極の外周側に高透気度のセパレータを配置し、負極の内周側に低熱収縮率のセパレータを配置した電池が提案されている。
さらに、特許文献3では、優れた低熱収縮率性を得る技術として、高分子微多孔膜の片面に耐熱性高分子とセラミックフィラーを含むことで、内部短絡が発生した場合でも収縮を抑えることのできる微多孔膜が提案されている。
特許文献1では、気孔率、強度、熱収縮率の物性バランスに着目しているが、150℃での熱収縮率に関して課題を残している。
また、特許文献2に記載された微多孔膜は、透気度と低熱収縮率性について考慮されているが、負極の外周側に配置された高透気度のセパレータは、熱収縮率が大きいため熱によって内部短絡を引き起こすおそれがある。また、負極の内周側に配置された低熱収縮率のセパレータは、機械的強度が十分でないため衝突試験等の安全性試験によってセパレータが破断するおそれがあり、なおも改善の余地がある。
特許文献3では、セラミックフィラーを使用することにより高温での熱収縮を小さくしているが、セパレータの塗工層のセラミックフィラーにより基材を傷つけやすくなり、耐電圧が低くなりやすくなることが懸念される。また、セラミックフィラーによって傷ついた箇所の膜厚は薄くなり、その結果、自己放電特性が悪化することも予想されるため、更なる改善の必要がある。
[1]
幅方向の150℃での熱収縮率が30%未満であり、長さ方向及び幅方向の引張り強度が30MPa以上であって、ポリオレフィンを90質量%以上含む樹脂組成物からなるポリオレフィン微多孔膜。
[2]
幅方向の150℃での熱収縮率が30%未満であるポリオレフィン微多孔膜と、
長さ方向及び幅方向の引張り強度が30MPa以上であるポリオレフィン微多孔膜と、
を含む積層体である、上記[1]記載のポリオレフィン微多孔膜。
[3]
(a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練し押出す押出工程、前記孔形成材料を抽出する抽出工程、を経て一次膜を得る工程、
(b)前記一次膜を少なくとも2種用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程、及び
(c)熱固定する工程、
を有する、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[4]
前記(a)工程が、
前記押出工程の後に少なくとも一軸方向に延伸を行う一次延伸工程を経た後、前記抽出工程を経て一次膜(1)を得る工程、及び、
前記押出工程の後、実質的に寸法を維持した状態で前記抽出工程を経て一次膜(2)を得る工程
を含み、
前記(b)工程が、
前記一次膜(1)及び一次膜(2)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程を含む、上記[3]記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[5]
前記一次膜(1)は、前記一次延伸工程において少なくとも幅方向に延伸することを含む、上記[4]記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[6]
前記(a)工程が、
前記孔形成材料として可塑剤を用いて一次膜(3)を得る工程、及び、
前記孔形成材料として可塑剤及び無機材を用いて一次膜(4)を得る工程、
を含み、
前記(b)工程が、前記一次膜(3)及び一次膜(4)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む、上記[3]〜[5]のいずれか記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[7]
前記(a)工程において、少なくとも長さ方向に延伸することを含む、上記[3]〜[6]のいずれか記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
本実施形態におけるPO微多孔膜は上記構成を有することで、特に高容量のリチウムイオン二次電池に求められる、高温での優れた熱収縮率と、衝突安全性に対する耐性を備え、高温での安全性に優れたリチウムイオン二次電池を実現し得る。
(A)ポリオレフィンと、可塑剤と、必要に応じて無機材とを混練する混練工程。
(B)混練工程を経て得られた混練物を押し出す押出工程(単層、積層であることは問わない)。
(C)押出工程を経て得られた押出物を、シート状に成形して冷却固化させるシート成形工程。
(D)必要に応じて、シート成形工程を経て得られたシート状成形物を一軸以上の方向へ延伸する延伸工程(一次延伸工程)。
(E)(C)工程で得られたシート状成形物又は(D)工程で得られた延伸フィルムから可塑剤と、必要に応じて無機材とを抽出する抽出工程。
(F)(E)工程を経た一次膜を2枚以上同時に繰出して積層一体化しながら一軸以上の方向に延伸する工程(二次延伸工程)。
(G)(F)で延伸した積層フィルムを加熱して熱固定する後加工工程。
(A)工程は、ポリオレフィンと、可塑剤と、必要に応じて無機材とを混練する混練工程である。
(A)工程において用いられるポリオレフィンとしては、特に限定されず、例えば、エチレン又はプロピレンのホモ重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及びノルボルネンよりなる群から選ばれる少なくとも2種以上のモノマーを重合して得られる共重合体が挙げられる。これらのポリオレフィンは1種を単独で又は2種以上を混合した混合物として用いられる。2種以上の混合物を用いる場合、PO微多孔膜のヒューズ温度や短絡温度の制御が容易となる傾向にあるため好ましい。特に、例えば、粘度平均分子量(以下「Mv」と略記することがある。)50万以上の超高分子量ポリオレフィンとMv50万未満のポリオレフィンとを混合した混合物は、その適度な分子量分布により、微多孔膜の強度に等方性を付与しやすくなる傾向にあるため好ましい。なお、本明細書において、Mvとは、後述する実施例に記載されているように、ASTM−D4020に準拠して測定される値をいう。
(B)工程においては、上記混練工程を経て得られた混練物を、T型ダイや環状ダイ等の押出機により押し出す。このとき、単層押し出しであってもよく積層押し出しであってもよい。押し出しの際の諸条件は、従来と同様の条件を採用することができる。
(C)工程においては、上記(A)及び(B)の各工程を経て得られた押出物をシート状に成形して冷却固化させる。シート成形の方法としては、例えば、押出物を圧縮冷却により固化させる方法が挙げられる。冷却方法として、例えば、冷風や冷却水等の冷却媒体に押出物を直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールやプレス機に押出物を接触させる方法が挙げられる。中でも、冷媒で冷却したロールやプレス機に押出物を接触させる方法が、膜厚制御が優れる点で好ましい。
シート状成形物の延伸方法としては、ロール延伸機によるMD一軸延伸、テンターによるTD一軸延伸、ロール延伸機及びテンター、又は複数のテンターの組み合わせによる逐次二軸延伸、同時二軸テンターやインフレーション成形による同時二軸延伸が挙げられる。また、本実施形態におけるPO微多孔膜が積層構造を有する場合、PO微多孔膜の膜厚の均一性、引張り強度、気孔率及び熱収縮率のバランスの観点から、少なくとも1種のシート状成形物の一次延伸の延伸倍率は、少なくとも一軸方向に3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。シート状成形物を一次延伸することにより、得られる一次膜の機械的強度が向上する傾向にある。一方で、押出工程の後、実質的に寸法を維持した状態で抽出工程を行なった一次膜は熱収縮率に優れるため、その一次膜を少なくとも一枚含むことは、高温における電池安全性を高める上で好ましい。
抽出方法としては、抽出溶媒にシート状成形物又は延伸フィルムを浸漬する方法や、それらに対して抽出溶媒をシャワー等の噴霧により接触させる方法が挙げられる。抽出溶媒としては、ポリオレフィンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤や無機材に対しては良溶媒であり、沸点がポリオレフィンの融点よりも低いものが好ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタン、フルオロカーボン系化合物等のハロゲン化炭化水素類;エタノールやイソプロパノール等のアルコール類;アセトンや2−ブタノン等のケトン類;及びアルカリ水が挙げられる。抽出溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(F)工程では、(E)工程を経た一次膜を2枚以上用意し、同時に繰出して重ね合わせ、少なくとも一軸以上の方向に延伸しながら積層一体化する。これにより、層間が密着性よく接合され、各種の一次膜のそれぞれの特性を十分に活かすことができる。また、各層が界面剥離しにくくなるため、結果として、電池のサイクル特性を高めることができる。
(G)工程においては、(F)工程を経た積層フィルムを所定の温度で加熱して熱固定する。熱固定の方法としては、テンターやロール延伸機を利用して、延伸及び緩和操作を行う方法が挙げられる。緩和操作とは、膜のMD及び/又はTDへ、所定の緩和率で行う縮小操作のことを示す。緩和率とは、緩和操作後の膜のMD寸法を操作前の膜のMD寸法で除した値、又は、緩和操作後の膜のTD寸法を操作前の膜のTD寸法で除した値、或いは、MD、TDの両方向で緩和した場合、MDの膜の緩和率とTDの膜の緩和率とを乗じた値のことを示す。
(a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練し押出す押出工程、前記孔形成材料を抽出する抽出工程、を経て一次膜を得る工程、
(b)前記一次膜を少なくとも2種用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程、及び
(c)熱固定する工程、
を有する、製造方法。
ここで、孔形成材料とは、上述した可塑剤、無機材のことを示す。
前記押出工程の後に少なくとも一軸方向に延伸を行う一次延伸工程を経た後、前記抽出工程を経て一次膜(1)を得る工程、及び、
前記押出工程の後、実質的に寸法を維持した状態で前記抽出工程を経て一次膜(2)を得る工程
を含み、
前記(b)工程が、
前記一次膜(1)及び一次膜(2)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程を含む、上記記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
前記孔形成材料として可塑剤を用いて一次膜(3)を得る工程、及び、
前記孔形成材料として可塑剤及び無機材を用いて一次膜(4)を得る工程、
を含み、
前記(b)工程が、前記一次膜(3)及び一次膜(4)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む、上記記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求めた。その極限粘度[η]からポリエチレンのMvを次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
同様に極限粘度[η]からポリプロピレンのMvを次式により算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
東洋精機(株)社製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて、室温23±2℃でPO微多孔膜の膜厚を測定した。
10cm×10cm角の試料をPO微多孔膜から切り取ってサンプルを得、その体積(cm3)と質量(g)とを求めた。それらと膜密度(g/cm3)とから、PO微多孔膜の気孔率を次式により算出した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95g/cm3と一定にして計算した。
JIS P−8117に準拠した透気抵抗度を透気度とした。PO微多孔膜の透気度の測定は、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)社製、G−B2(商標))を用いて行った。
カトーテック社製のハンディ圧縮試験器であるKES−G5(商標)を用いて、下記条件によりPO微多孔膜の突刺試験を行った。そのときの最大突刺荷重(N)を測定し、突刺強度とした。
試料ホルダーの開口部の直径:11.3mm
針先端の曲率半径:0.5mm
突刺速度:2mm/sec
雰囲気温度:23±2℃
JIS K7127に準拠し、島津製作所社製の引張試験機、オートグラフAG−A型(商標)を用いて、MD及びTDサンプル(形状;幅10mm×長さ100mm)について測定した。また、サンプルはチャック間距離を50mmとし、サンプルの両端部(各25mm)の片面にセロハンテープ(日東電工包装システム(株)製、商品名:N.29)を貼ったものを用いた。さらに、試験中のサンプル滑りを防止するために、引張試験機のチャック内側に厚み1mmのフッ素ゴムを貼り付けた。
引張伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して100を乗じることにより求めた。引張破断強度(MPa)は、破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除すことで求めた。なお、測定は、温度23±2℃、チャック圧0.30MPa、引張速度200mm/分の条件でで行った。
PO微多孔膜をMDに100mm、TDに100mm切り取ることにより得られたサンプルを、150℃のオーブン中に1時間静置した。このとき、温風が直接サンプルに当たらないよう、サンプルを2枚の紙に挟んだ。オーブンからサンプルを取り出して冷却した後、そのTDの長さ(mm)を測定し、以下の式にて算出した熱収縮率を150℃におけるTDの熱収縮率(150℃TD熱収縮率)とした。なお、サンプル長が確保できないものに関しては、100mm×100mmに入る範囲で、可能な限り長いサンプルを用いた。
熱収縮率(%)=(100(mm)−加熱後のTDの長さ(mm))/100(mm)×100
MD60mm×TD40mmのサンプルをPO微多孔膜から切り取り、これを、長さ80mm×幅50mm×厚み5mm、重さ44gのガラス板2枚で挟み、軽く上から押さえて空気を抜いた。150℃下のオーブン中に水平に置き1時間放置し、その後、空冷してガラス板に挟んだまま、TD幅(mm)の最も短い長さを測定し、以下の式によりTDのガラス圧着熱収縮率(150℃TDガラス圧着熱収縮率)を算出した。
収縮率(%)=(1−最短TD幅(mm)/40(mm))×100
島津製作所社製の引っ張り試験機(商品名:AG−100A)にて測定した。PO微多孔膜をMD200mm、TD10mmの短冊状にサンプリングし、その一端Aをテープ等で剥離した。剥離した2枚の端を引っ張り試験機のチャックに固定し(つかみ具間距離50mm)、2枚の端を180度方向に速度200mm/minで剥離させた時の平均荷重を読み取った。このとき、剥離強度の測定を始めてから5mmまでの荷重は平均荷重に含めず、測定を始めてから5mmから200mmまでの荷重の平均を剥離強度として読み取った。
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、導電材としてグラファイト及びアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びN−メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。得られた成形体を57.0mm幅にスリットして正極を得た。
負極活物質として人造グラファイト、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとを精製水に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる銅箔にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。得られた成形体を58.5mm幅にスリットして負極を得た。
エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1mol/リットルとなるように溶解させて、非水電解液を調製した。
正極、後述のPO微多孔膜及び負極を積層した後、常法により巻回電極体を作製した。なお、PO微多孔膜の厚みによって巻回数を調整した。得られた巻回電極体の最外周端部を絶縁テープの貼付により固定した。負極リードを電池缶に、正極リードを安全弁にそれぞれ溶接して、巻回電極体を電池缶の内部に挿入した。その後、非水電解液を電池缶内に5g注入し、ガスケットを介して蓋を電池缶にかしめることにより、外径18mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。この円筒型二次電池を25℃雰囲気下、0.2C(定格電気容量の1時間率(1C)の0.2倍の電流)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行った。続いて0.2Cの電流値で電池電圧3.0Vまで放電し、そのときの電池容量をXmAhとした。
dで組み立てた電池を、0.2Cの電流値で電池電圧4.2Vまで充電し24時間放置した。この操作を合計50セルの電池で行った。その後、50セルのうち、Xの90%以上の容量を維持していたセルの割合(%)を、自己放電特性として算出した。
dで組み立てた電池を用いて、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V、合計8時間の定電流定電圧充電、(ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧2.5Vの定電流放電、(iv)10分間の休止、のサイクル条件で都合50回の充放電を行った。上記充放電処理は全て25℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記電池容量XmAhに対する上記50サイクル目の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。
dで組み立てた電池を用いて、充電後の電池を室温から150℃まで5℃/分で昇温し、150℃で放置した。1時間以上発火しなかったものを◎、30分〜1時間発火しなかったものを○、10分〜30分発火しなかったものを△、10分未満で発火したものを×とした。
dで組み立てた電池を用いて、直径15.8mmφのSUS棒を電池の長さ方向に垂直に配備させた後、高さ61cmの位置から、重さ9.1kgの重りを自由落下させて衝突させ、電池の温度上昇や、発火状況の確認を5セルで実施した。衝突後、電池の表面温度上昇が5セル全てで30℃以下のものを◎、1セルで80℃以下の温度上昇が見られたものを○、3セル以上で80℃以下の温度上昇が見られたものを△、1セルでも80℃以上の発熱を有したもの×とした。
Mvが70万のホモポリマーのポリエチレンを47質量%、Mv30万のホモポリマーのポリエチレンを46質量%、Mv40万のポリプロピレンを7質量%(PPブレンド量 7質量%)を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
得られた混合物を溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が68質量%となるように(即ち、ポリマー濃度(「PC」と略記することがある。)が32質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、吐出量12kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度60℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み100μmのゲルシートを得た。
次に、TDテンター延伸機に導き、TD延伸(一次延伸)を行った。延伸条件は、TD倍率4.0倍、設定温度120℃とした。
次に、TD延伸された延伸フィルムを、塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去することにより一次膜を得て、これを膜Aとした。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量20Kg/hとして、厚み170μmのゲルシートを作製した。また、膜Bを製膜する際、厚み50μmのゲルシートを作製した。さらに、MD延伸(二次延伸)倍率を5.0倍に設定した。上記以外は実施例1と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量28Kg/hとして、厚み230μmのゲルシートを作製した。また、膜Bを製膜する際、厚み70μmのゲルシートを作製した。さらに、MD延伸(二次延伸)倍率を7.0倍に設定した。上記以外は実施例1と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量30Kg/hとして、厚み250μmのゲルシートを作製し、TD延伸(一次延伸)倍率を6倍に設定して延伸を行った。また、膜Bを製膜する際、厚み50μmのゲルシートを作製した。さらに、MD延伸(二次延伸)倍率を5.0倍に設定した。上記以外は実施例1と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量40Kg/hとして、厚み330μmのゲルシートを作製し、TD延伸(一次延伸)倍率を8倍に設定して延伸を行った。また、膜Bを製膜する際、厚み50μmのゲルシートを作製した。さらに、MD延伸(二次延伸)倍率を5.0倍に設定した。上記以外は実施例1と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。この微多孔膜の剥離強度は70g、サイクル試験での容量維持率は95%以上であった。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量30Kg/hとして、厚み240μmのゲルシートを作製し、TD延伸(一次延伸)倍率を4倍に設定して延伸を行ったこと以外は実施例1と同様の方法により膜Cを得た。また、膜Bを製膜する際、厚み70μmのゲルシートを作製したこと以外は実施例1と同様の方法により膜Dを得た。さらに、膜C−膜Dとの2層にしてMD延伸倍率を5.0倍に設定して二次延伸を行った。上記以外は、実施例1と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
Mvが70万のホモポリマーのポリエチレンを47質量%、Mv30万のホモポリマーのポリエチレンを46質量%、Mv40万のポリプロピレンを7質量%(PPブレンド量 7質量%)を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
得られた混合物を溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が68質量%となるように(即ち、PCが32質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、吐出量20kg/hで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度60℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み170μmのゲルシートを得た。
次に、MDテンター延伸機に導き、MD延伸を行った(一次延伸)。設定延伸条件は、MD倍率5.0倍、設定温度120℃であった。その後、塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去することにより一次膜を得て、これを膜Eとした。
電池評価の結果、いずれも良好な結果を示した。
膜Aを製膜する際、吐出量20Kg/hとして、厚み170μmのゲルシートを作製したこと以外は実施例1と同様の方法により膜Gを得た。また、膜Aを製膜する際、吐出量10g/hとして、厚み65μmのゲルシートを作製し、TD延伸(一次延伸)倍率を2倍に設定して延伸したこと以外は、実施例1と同様の方法により膜Hを得た。膜H−膜G−膜Hの順に重ね、120℃に加熱された延伸ロールでMDに5.0倍延伸した後(二次延伸)、130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸することによりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表1に示した。
電池評価の結果、150℃オーブン試験で、150℃に至ってから20分後に発火した。
実施例6で得られた膜Cを2枚用意し、膜C−膜Cの2層に重ねたこと以外は、実施例4と同様の方法によりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表2に示した。
電池評価の結果、150℃オーブン試験で150℃に至ってから8分後に発火した。
実施例6で得られた膜Cと膜Dを1枚ずつ用意し、それぞれの膜を、120℃に加熱された延伸ロールでMD延伸倍率5.0倍に設定して二次延伸した後、130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸した。次いで、これら2枚を重ね合わせ、110℃のカレンダーロールにより熱接合することによりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表2に示した。この微多孔膜の剥離強度は2g、サイクル試験での容量維持率は95%未満であった。
電池評価の結果、150℃オーブン試験で、150℃に至ってから5分後に発火した。また、衝突試験の結果、1つのセルで80℃以上の発熱反応があった。電池を解体したところ、微多孔膜に裂けがあることを確認し、積層したセパレータの剥離も見つかった。
Mvが70万のホモポリマーのポリエチレンを47質量%、Mv30万のホモポリマーのポリエチレンを46質量%、Mv40万のポリプロピレンを7質量%(PPブレンド量 7質量%)を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が68質量%となるように(即ち、PC32質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、吐出量110kg/hで行った。
続いて、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度60℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1000μmのゲルシートを得た。次に、得られたゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸により延伸シートを得た。延伸条件は、MD倍率を7.0倍、TD倍率を7.0倍とし、延伸温度を120℃とした(一次延伸)。
次に、塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去することにより一次膜を得た。
その後、最大加熱温度130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸することによりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表2に示した。
電池評価の結果、150℃オーブン試験で、150℃に至ってから4分後に発火した。
Mv70万のホモポリマーのポリエチレン47質量%、Mv30万のホモポリマーのポリエチレン46質量%、Mv40万のポリプロピレンを7質量%からなるポリマー34質量部に対し、流動パラフィン45質量部、微粉シリカ(東ソーシリカ社製)21質量部、酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.3質量部、及びDLTP(ジラウリルチオジプロピオネート)0.3質量部を、ヘンシェルミキサーで混合して造粒した。その後、Tダイスを装着した二軸押出機にて200℃で混練及び押出し、150℃に冷却されたカレンダーロールにて厚さ130μmのシート状に成形した。該成形物を塩化メチレンに浸漬することにより流動パラフィンを抽出し、次いで、水酸化ナトリウムに浸漬することにより微粉シリカを抽出した後、溶媒を乾燥除去することにより一次膜を得た。
得られた一次膜を2枚重ねて、120℃に加熱された延伸ロールでMDに5.0倍延伸(二次延伸)した後(二次延伸)、最大加熱温度130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸することによりPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の物性を表2に示した。衝突試験の結果、2つのセルで80℃以上の発熱反応があった。電池を解体したところ、微多孔膜に裂けがあることを確認した。
比較例2で得られたPO微多孔膜の表面にコロナ放電処理(放電量50W)を実施した後、当該処理面側に、アルミナ粒子96質量部、SBラテックス8質量部、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ製SNディスパーサント5468)1質量部、ポリオキシアルキレン系界面活性剤(サンノプコ製SNウェット980)1質量部を150質量部の水にそれぞれ均一に分散させた水溶液を、バーコーターを用いて塗布した。次いで、60℃にて乾燥して水を除去することにより、微多孔膜上に厚さ4μmの多孔層が形成された総膜厚20μmの多層多孔膜を得た。得られた多層多孔膜の物性を表2に示した。
電池評価の結果、自己放電特性が80%であり、局所的に膜が薄くなり、放電し易くなっていることが示唆された。
PO微多孔膜1の作製:吐出量140kg/hとして、厚み1250μmのゲルシートを作製したこと以外は比較例2と同様の方法によりPO微多孔膜1を得た。
PO微多孔膜2の作製:150℃に冷却されたカレンダーロールにて厚さ150μmのゲルシートを成形したこと以外は比較例3と同様の方法によりPO微多孔膜2を得た。
得られた各PO微多孔膜の物性を表2に示した。
電池を組み立てる際、正極、PO微多孔膜1、負極、PO微多孔膜2と、をこの順に積層し、負極の内周側にPO微多孔膜2が位置するように捲回した。
電池評価の結果、150℃オーブン試験で、150℃に至ってから5分で発火し、また、衝突試験では、3つのセルで80℃以上の発熱反応があった。試験後の電池を解体して微多孔膜を確認したところ、PO微多孔膜1に破けがあることが確認された。
PO微多孔膜3の作製:実施例6で得られた膜Cを1枚でMD延伸倍率5.0倍にて二次延伸し、130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸することによりPO微多孔膜3を得た。
PO微多孔膜4の作製:実施例6で得られた膜Dを一枚でMD延伸倍率5.0倍に設定して二次延伸し、130℃のテンター内でTD方向に1.2倍延伸することによりPO微多孔膜4を得た。
得られた各PO微多孔膜の物性を表2に示した。
電池を組み立てる際、PO微多孔膜3とPO微多孔膜4とを重ねて使用した。衝突試験の結果、2つのセルで80℃以上の発熱反応があった。
Claims (7)
- 幅方向の150℃での熱収縮率が30%未満であり、長さ方向及び幅方向の引張り強度が30MPa以上であって、ポリオレフィンを90質量%以上含む樹脂組成物(但し、4−メチル−1−ペンテン系重合体樹脂を除く。)からなる積層ポリオレフィン微多孔膜。
- 前記ポリオレフィンが、ポリエチレンとポリプロピレンを含み、粘度平均分子量50万以上の超高分子量ポリオレフィンと粘度平均分子量50万未満のポリオレフィンの混合物からなる、請求項1記載の積層ポリオレフィン微多孔膜。
- ポリオレフィン微多孔膜全体の粘度平均分子量が10万〜120万である、請求項1又は2記載の積層ポリオレフィン微多孔膜。
- (a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練し押出す押出工程、前記孔形成材料を抽出する抽出工程、を経て一次膜を得る工程、
(b)前記一次膜を少なくとも2種用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程、及び
(c)熱固定する工程、
を有する、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、
前記(a)工程が、
前記押出工程の後に少なくとも一軸方向に延伸を行う一次延伸工程を経た後、前記抽出工程を経て一次膜(1)を得る工程、及び、
前記押出工程の後、実質的に寸法を維持した状態で前記抽出工程を経て一次膜(2)を得る工程
を含み、
前記(b)工程が、
前記一次膜(1)及び一次膜(2)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程を含む、製造方法。 - 前記一次膜(1)は、前記一次延伸工程において少なくとも幅方向に延伸することを含む、請求項4記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 前記(a)工程が、
前記孔形成材料として可塑剤を用いて一次膜(3)を得る工程、及び、
前記孔形成材料として可塑剤及び無機材を用いて一次膜(4)を得る工程、
を含み、
前記(b)工程が、前記一次膜(3)及び一次膜(4)を少なくとも1枚ずつ用意し、それらを積層一体化して少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む、請求項4又は5記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。 - 前記(a)工程の一次延伸工程において、少なくとも長さ方向に延伸することを含む、請求項4〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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