JPWO2009104470A1 - 電解質膜の製造方法、および、電解質膜 - Google Patents

電解質膜の製造方法、および、電解質膜 Download PDF

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Abstract

分子内にスルホン酸基を有する重合体を含む電解質は耐久性が不十分であったので、酸性基を有する単量体単位の分子構造を改良した組成物およびその重合体によって、大幅に耐久性が改良された電解質膜を提供する。すなわち、脂環炭化水素基を含み、かつ、その脂環炭化水素基の脂肪族環上に、少なくとも1個以上の酸性基および/またはその塩が置換基として結合している特定の単量体を少なくとも1種含む組成物を重合することにより、上記電解質膜を提供する。

Description

本発明は電解質膜の製造方法、および、電解質膜に関するものであり、当該電解質膜は電気化学装置、特に燃料電池、さらに詳細には直接アルコール形燃料電池用途に好適に用いることができるものである。
高分子電解質膜を用いた電気化学装置の一種である固体高分子形燃料電池(PEFC、Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、低温動作、高出力密度、環境負荷が少ないという優れた特長を有している。中でも、メタノール燃料のPEFCは、ガソリンと同様に液体燃料として供給が可能なため、電気自動車用動力や携帯機器用電源として有望であると考えられている。
燃料としてメタノールを用いる場合のPEFCは、改質器を用いてメタノールを水素主成分のガスに変換するメタノール改質形と、改質器を用いずにメタノールを直接使用する直接メタノール形(DMFC、Direct Methanol Polymer Fuel Cell)の二つのタイプに区分される。DMFCは、改質器が不要であるため、軽量化が可能である等の大きな利点があり、その実用化が期待されている。
しかし、DMFC用の電解質膜として、従来の水素を燃料とするPEFC用の電解質膜であるパーフルオロアルキルスルホン酸膜、例えばDu Pont社のNafion(登録商標)膜等を用いた場合には、メタノールが膜を透過してしまうため、起電力が低下し、さらに燃料効率が低いという問題がある。さらに、これらの電解質膜は非常に高価であるという経済上の問題も有している。
上記の問題を解決する手段として、特許文献1には外力に対して変形し難い多孔性基材にプロトン伝導性を有する重合体を充填してなる電解質膜の提案がなされている。
PEFCやDMFCの内部においては、カソード側でプロトンと酸素分子および電子から水が生成する。しかしながら水の生成ルートは直接水分子が出来る反応以外にも過酸化水素を経由する反応があることが電気科学分野においては広く知られている。この内、過酸化水素を経由する場合は、燃料電池内部で過酸化水素が分解してヒドロキシラジカルになり、電池を構成する部材を劣化させる。特に電解質膜や電極内に用いられる電解質が炭化水素系材料から構成される高分子であると、ヒドロキシラジカルによる酸化の影響を受けやすく、炭化水素系電解質膜の耐久性を向上させるためには耐酸化性を向上させることが重要である。
また、特許文献2には、メタノールを含む有機溶媒および水に対して実質的に膨潤しない多孔性基材の空孔内に、プロトン導電性を有する重合体を充填してなる電解質膜であって、前記重合体が2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸単量体由来の重合体であることを特徴とする電解質膜の提案がなされている。
さらに、特許文献3において、従来2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸などに由来する重合体の架橋剤として広く用いられていたメチレンビスアクリルアミドに代えて、エチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤を用いることで重合体の耐加水分解性が大幅に向上し、耐久性が向上することが提案された。
一方、特許文献4にはアクリロニトリルと種々のアルケンおよび硫酸から種々のスルホン酸基を有する単量体を合成する例が記載されており、脂肪族環構造を有する化合物も記載されている。
特開2002−83612号公報 国際公開第2003/075385号パンフレット 国際公開第2006/004098号パンフレット 英国特許第1341104号公報
しかしながら、特許文献1に記載された電解質膜では、基材をプラズマ照射して前記重合体をグラフト重合させる工程を含むため、製造設備コストの上昇という問題がある。また燃料電池として連続運転した場合の耐久性も充分とはいえなかった。また、特許文献2に記載された電解質膜の耐久性も不充分なものであった。
また、特許文献3においては、酸性基を有する単量体の構造に関しては変更がなく、酸性基を有する単量体単位の化学的分解に基づく劣化機構については検討の余地があった。
さらに、特許文献4においては、反応の容易さや収率が高いなどの理由から、特許文献4に記載されている製造方法で工業的に製造されている単量体は実質的に2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸のみであり、さらには脂肪族環構造を有する化合物が燃料電池用電解質膜用途など高度な耐久性を必要とされる用途に有用であることは知られていなかった。
このように、DMFC用の電解質膜として、従来のパーフルオロスルホン酸重合体に代えて2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸単量体を用いた重合体を含む電解質膜が提案されたが、耐久性が十分ではなかった。
本発明が解決しようとする課題は、酸性基を有する単量体単位の分子構造を改良することによって従来に比べて大幅に耐久性が改良された電解質膜を提供することである。
式(1)で示される単量体を含む組成物を用いて得られた電解質膜は従来用いられていた2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を重合して得られた電解質膜に比べて著しく耐久性が向上することを見出し、さらにビスアクリロイルピペラジンのように1分子中に脂肪族環状構造を有し、かつ2個以上の重合性官能基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体を架橋剤として用いるとさらに耐久性が向上することを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明による組成物を重合して得られる電解質膜は、プロトン伝導性が高くメタノール透過阻止性能にも優れる上、耐酸化性が大きいものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、式(1)で示される単量体を少なくとも1種類含む組成物であり、それを重合することにより本発明の電解質膜が得られる。
Figure 2009104470
(式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Aは脂環炭化水素基であり、かつ前記脂環炭化水素基の脂肪族環上に、少なくとも1個以上の酸性基および/またはその塩が置換基として結合している基を表す。)
また、本発明の電解質膜の製造方法は、前記式(1)で示される単量体を少なくとも1種類含む組成物を重合する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の電解質膜の製造方法は、前記式(1)で示される単量体を準備する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明の組成物を構成する式(1)で示される単量体としては、例えば式(2)で示される単量体が挙げられ、具体例としては、2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸、2−メタクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−4−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−4,5−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸、2−メタクリルアミド−4−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸、2−メタクリルアミド−4,5−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−4−メトキシカルボニルシクロヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−4−メトキシカルボニル−5−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸、および、これらの塩などが挙げられる。
Figure 2009104470
(式(2)において、R1、R2、および、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または金属原子を表し、YおよびZはそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、および、これらの塩、並びに、エステル残基よりなる群から選択された基を表し、YとZとはいずれか一方またはその両方が存在しない場合もある。)
また、式(1)で示される単量体におけるAは、脂肪族環上にスルホン酸基またはその塩が少なくとも1個置換された脂環炭化水素基であることが好ましく、スルホン酸基またはその塩が少なくとも1個置換されたシクロヘキシル基であることがより好ましい。
前記Aにおける脂環炭化水素基の脂肪族環上には、酸性基および/またはその塩以外の置換基、例えば、エステル残基等を有していてもよい。
また、前記Aにおける脂環炭化水素基の脂肪族環上の酸性基および/またはその塩の数は、1個以上であり、1〜5個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
また、式(2)で示される単量体は、YおよびZを両方有していても、いずれか一方のみを有していても、両方を有していなくともよく、両方を有していないことが好ましい。
前記組成物における式(1)で示される単量体の含有量は、組成物に含まれる全単量体に対し、20〜99質量%の範囲であることが好ましい。
<式(1)に示される単量体の共重合成分>
本発明の組成物には式(1)で示される単量体の少なくとも1種を加え、必要に応じて分子中にエチレン性の二重結合を有する単量体を共重合成分として含むことができる。また、本発明の組成物に含まれる式(1)で示される単量体は、1〜5種であることが好ましく、1〜3種であることがより好ましい。
当該単量体としては、式(1)で示される単量体と共重合可能であれば特に限定されるものではなく、例えばスルホン酸単量体として従来から知られている、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸など、およびこれらの塩を挙げることができる。
また、水溶性単量体として、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、酸性リン酸基含有(メタ)アクリレート等の酸性単量体やその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等の単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の塩基性単量体やそれらの4級化物等を具体的に挙げることができる。
また、重合体の吸水性を調整する等の目的でメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類や酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の疎水性単量体を使用することもできる。
なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を表す。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(無水)マレイン酸も同様である。
上記の共重合成分の内、(メタ)アクリル酸は重合体の耐酸化性が向上させる効果があるから電解質膜の耐久性を上げる効果があり好ましい。(メタ)アクリル酸はカルボキシル基を有しているために式(1)の成分と共に重合体におけるプロトン伝導性に寄与するが、スルホン酸基に比べると電離度が低いため、組成物の中では50質量%以下の範囲で含ませるのが良い。(メタ)アクリル酸は組成物に含まれる全単量体の内、2〜50質量%の範囲で用いるのが好ましい。
<架橋成分>
本発明の組成物には架橋成分を含ませることによって該組成物を重合して得られる重合体に架橋構造を導入することができる。架橋成分としては、1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体を用いると容易に架橋構造を導入することができ好ましい。また、本発明の組成物に含まれる1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体は、1〜3種であることが好ましく、1種であることがより好ましい。また、1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体におけるエチレン性二重結合の数は、2〜10個であることが好ましく、2〜6個であることがより好ましく、2個であることが更に好ましい。
1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体としては、特に2官能以上の多官能(メタ)アクリルアミド類が、式(1)で示される単量体との共重合性が良好あり、単量体と架橋成分の組成比率も広範に調整しやすいので好ましい。
その中でも、式(3)で示される化合物は特に好ましく用いることができる。その具体例としては、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,4ジ(メタ)アクリルアミドシクロヘキサン、N,N’−ビス(メタ)アクリルアミドピペラジンなどが挙げられる。
Figure 2009104470
(式(3)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子またはR7とR8とが結合して2つの窒素原子を連結する炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
これらの具体例の内でも、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビス(メタ)アクリルアミドピペラジンは水溶性が高く、有機溶剤を使用しなくても式(1)で示される単量体を溶解した水に溶解させることができるので好ましい。さらにN,N’−ビス(メタ)アクリルアミドピペラジンは式(1)で示される単量体と組み合わせることで、著しく耐酸化性が高い架橋重合体を得ることができるので、本発明の電解質膜の耐久性を上げる上で特に好ましいものである。
架橋成分としては、前記の多官能(メタ)アクリルアミド化合物以外にも、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルオキシ酢酸塩等が好ましく用いることができる。
これらの内でトリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートは架橋成分として用いたときに重合物の耐加水分解性を向上させることができるので好ましい。その場合の好ましい添加量は、全組成物中0.5質量%以上10質量%以下である。
また本発明の組成物には上記のように式(1)で示される単量体と共重合可能な多官能単量体を架橋成分として含ませる他にも、公知の方法を用いることができる。
具体的には、カルボキシル基等の重合体中の官能基と反応する基を分子内に2個以上有する架橋剤を用いる方法、重合時の水素引き抜き反応による自己架橋を利用する方法、重合後の重合体に紫外線、電子線、ガンマ線等の活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
また架橋密度を高くし易い点から、架橋構造を形成し得る官能基を有する水溶性単量体を共重合する方法も好ましい。このような化合物としてはN−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどが挙げられ、重合性二重結合のラジカル重合を行った後で加熱して縮合反応などを起こさせて架橋するか、ラジカル重合と同時に加熱を行って同様の架橋反応を起こさせることができる。これらの架橋剤は単独で使用することも、必要に応じて2種類以上を併用することも可能である。
前記組成物における1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体の含有量は、組成物に含まれる全単量体に対し、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
<重合方法>
本発明の組成物を重合させるときに用いられる方法としては、公知の水溶液ラジカル重合法の技術を使用することができる。具体例としては、レドックス開始重合、熱開始重合、電子線開始重合、紫外線等の光開始重合等が挙げられる。
熱開始重合、レドックス開始重合のラジカル重合開始剤としては、次のようなものが挙げられる。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;上記過酸化物と、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤;または2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系ラジカル重合開始剤等。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
これらの内、過酸化物系ラジカル重合開始剤は炭素水素結合から水素を引き抜くことによってラジカルを発生することができるため多孔性基材としてポリオレフィン等の有機材料と併用すると、基材表面と充填重合体との間に化学結合を形成することができるので好ましい。
上記ラジカル重合開始手段の中では、重合反応の制御がし易く、比較的簡便なプロセスで生産性良く所望の電解質膜が得られる点で、紫外線による光開始重合が望ましい。さらに光開始重合させる場合には、ラジカル系光重合開始剤を、重合体前駆体、その溶液または分散液中に予め溶解若しくは分散させておくことがより好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、一般に紫外線重合に利用されているベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、チオキサントン、チオアクリドンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。当該誘導体の例としては、ベンゾイン系として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル;アセトフェノン系として、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;ベンゾフェノン系として、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキシ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これら光重合開始剤の使用量は、重合体前駆体中の不飽和単量体の総質量に対して0.001〜1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である、この範囲では未反応単量体が少なく、重合体の架橋密度が十分に高くなるので、重合体の耐久性が高くなり、本発明の電解質膜の耐久性が向上するから好ましい。
またこれらの内、ベンゾフェノン、チオキサントン、キノン、チオアクリドン等の芳香族ケトン系ラジカル重合開始剤は炭素水素結合から水素を引き抜くことによってラジカルを発生することができるため多孔性基材としてポリオレフィン等の有機材料と併用する場合には基材表面と充填重合体との間に化学結合を形成することができるので好ましい。
紫外線などの光により重合する場合の光照射条件としては、紫外線照射の場合は10〜5000mJ/cm2が好ましい。式(1)で示される(メタ)アクリルアミド基を含有する化合物はラジカル重合性化合物の中でも特に重合性が良く、加熱や紫外線による重合の場合でも加えるエネルギーの量を多くすることで開始剤を配合しなくても重合できる。
<多孔性基材との組み合わせ>
多孔性基材の空孔内部に本発明の組成物を重合して得られた樹脂が充填されたものは電解質膜として好ましく利用できる。本発明で用いる多孔性基材は、メタノールおよび水に対して実質的に膨潤しない材料であることが好ましく、特に乾燥時に比べて水による湿潤時の面積変化が少ないか、ほとんどないことが好ましい。
面積増加率は、浸漬時間や温度によって変化するが、本発明では25℃における脱イオン水に1時間浸漬したときの面積増加率が、乾燥時に比較して最大でも20%以下であることが好ましい。
また本発明で用いる多孔性基材は、引張り弾性率が500〜5000MPaであるものが好ましく、さらに好ましくは1000〜5000MPaであり、また破断強度が50〜500MPaを有するのが好ましく、さらに好ましくは100〜500MPaである。この範囲内では充填された重合体がメタノールや水により膨潤しようとする力によって膜が変形されることもなく、堅すぎる基材が脆くなって電極接合時のプレス成形や電池に組み込む際の締付け等によってひび割れを起こすこともないので好ましい。
また、多孔性基材は燃料電池を運転する際の温度に対して耐熱性を有するものがよく、外力が加えられても容易に延びないものがよい。
そのような性質を持つ材料として、無機材料ではガラスまたはアルミナもしくはシリカ等のセラミックス等が挙げられる。また、有機材料では芳香族ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック、ポリオレフィンを放射線の照射や架橋剤を加えて架橋したり延伸する等の方法で、外力に対して延び等の変形をし難くしたもの等が挙げられる。これらの材料は単独で用いても2種以上を積層する等により複合化して用いてもよい。
これらの多孔性基材の中では、延伸ポリオレフィン、架橋ポリオレフィン、延伸後架橋されたポリオレフィン、ポリイミド類からなるものが充填工程の作業性が良く、基材の入手し易さの点からも好ましい。ポリオレフィン類の中ではポリエチレンを主成分とするものが疎水性、化学的安定性、入手しやすさなどの点で優れている。また、多孔性基材は上下面を貫通する貫通孔を少なくとも有しているものであることが好ましい。
本発明で用いる多孔性基材の空孔率は、大きい方が面積当たりのプロトン伝導性基であるプロトン酸性基の量が増えるので例えば燃料電池に用いるときは出力が高くなり、一方小さいものは膜強度が高い傾向があるので好ましい。従って好ましい空孔率は5〜95容積%であり、さらに好ましくは5〜90容積%、特に好ましくは20〜80容積%である。また平均孔径は0.001〜100μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1μmの範囲である。
前記多孔質基材は、膜状であることが好ましい。
さらに基材の厚さは、厚いほうが膜強度が高くメタノールの透過量が減って好ましい一方、薄いほうが電解質膜としての膜抵抗が小さくなって好ましい。従って好ましい膜厚は200μm以下、より好ましくは1〜150μm、さらに好ましくは5〜100μm、特に好ましくは5〜50μmである。
多孔性基材の空孔内に架橋電解質重合体を充填する方法に関して特に制限はなく公知の方法が利用できる。例えば本発明の組成物または重合体前駆体および/またはその溶液若しくは分散液を多孔性基材に含浸させ、その後に組成物または重合体前駆体を重合させたり架橋させたりする方法が挙げられる。その際、含浸する混合液には必要に応じて架橋剤、重合開始剤、触媒、硬化剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
多孔性基材の空孔に含浸する組成物または重合体前駆体が低粘度の場合は、そのまま含浸に用いることができるが、そうでない場合は溶液または分散液とすることが好ましい。特に、濃度を10〜90質量%の溶液とするのが好ましく、20〜70質量%の溶液とするのがさらに好ましい。
また使用する成分に水に難溶のものが含まれる場合は水の一部または全部を有機溶剤に置き換えてもよいが、有機溶剤を使用する場合は電極を接合する前に有機溶剤を全て取り除く必要があるため水溶液の方が好ましい。このように溶液状にして含浸する理由は、水または溶剤に溶解して含浸に用いることにより空孔を有する多孔性基材への含浸が行い易くなるためである。
また含浸作業をより行い易くする目的で、多孔性基材の親水化処理、重合体前駆体溶液への界面活性剤の添加、または含浸中における超音波の照射も行うことができる。
また多孔性基材の表面、特に空孔内表面にプロトン伝導性を有する架橋電解質重合体が化学的に結合されているのが好ましく、その結合を形成する手段としては、充填する重合体前駆体がラジカル重合性物質である場合は予め基材にプラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線、コロナ放電等を照射して表面にラジカルを発生させ、充填した重合体前駆体を重合させる際に基材表面へのグラフト重合が同時に起こるようにする方法、基材に重合体前駆体を充填した後に電子線を照射することによって基材表面へのグラフト重合と重合体前駆体の重合を同時に起こす方法、水素引き抜き型のラジカル重合開始剤を重合体前駆体に配合して充填して加熱または紫外線の照射を行って基材表面へのグラフト重合と重合体前駆体の重合を同時に起こす方法、カップリング剤を用いる方法等が挙げられる。これらは単独で行っても複数の方法を併用してもよい。
本発明の電解質膜は、式(1)で示される単量体を重合して得ることができ、得られた電解質膜は耐酸化性に優れたものとなる。また、式(3)で示される化合物を架橋剤として併用したり、共重合性分として(メタ)アクリル酸を併用すると、より耐酸化性が向上する。さらに、これらの単量体や架橋剤から得られる電解質重合体が多孔性基材の空孔内へ含浸された構造を有する電解質膜は、メタノール透過性を抑えたものになる。その結果、本電解質膜は耐久性に優れかつメタノールの透過を抑制することができる電解質膜となり、DMFCなどの電気化学装置用途に適したものとなる。
本発明の電解質膜は、式(1’)で示されるモノマー単位とを少なくとも有する樹脂を含むことを特徴とする。
Figure 2009104470
(式(1’)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Aは脂環炭化水素基であり、かつ前記脂環炭化水素基の脂肪族環上に、少なくとも1個以上の酸性基および/またはその塩が置換基として結合している基を表す。)
式(1’)におけるR1およびAは、前記式(1)におけるR1およびAと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。
また、本発明の電解質膜は、式(1’)で示されるモノマー単位として、式(2’)で示されるモノマー単位を含むことが好ましく、式(1’)で示されるモノマー単位が式(2’)で示されるモノマー単位であることがより好ましい。
Figure 2009104470
(式(2’)において、R1、R2、および、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または金属原子を表し、YおよびZはそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、および、これらの塩、並びに、エステル残基よりなる群から選択された基を表し、YとZとはいずれか一方またはその両方が存在しない場合もある。)
式(2’)におけるR1、R2、R3、X、YおよびZは、前記式(2)におけるR1、R2、R3、X、YおよびZと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。
前記樹脂は、式(1’)に示されるモノマー単位を1〜5種有することが好ましく、1〜3種有することがより好ましい。
前記樹脂における式(1)で示されるモノマー単位の含有量は、前記樹脂の全モノマー単位に対し、20〜99質量%の範囲であることが好ましい。
また、本発明の電解質膜は、式(1’)で示されるモノマー単位と架橋構造とを少なくとも有する樹脂を含むことが好ましい。
前記架橋構造としては、前記1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体由来のモノマー単位を含むことが好ましく、前記2官能以上の多官能(メタ)アクリルアミド類由来のモノマー単位を含むことがより好ましく、式(3’)で示されるモノマー単位を含むことが更に好ましい。
Figure 2009104470
(式(3’)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子またはR7とR8とが結合して2つの窒素原子を連結する炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
式(3’)におけるR4、R5、R6、R7およびR8は、前記式(3)におけるR4、R5、R6、R7およびR8と同義であり、また、好ましい範囲も同様である。
前記樹脂における1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する単量体由来のモノマー単位は、1〜3種であることが好ましく、1種であることがより好ましい。
前記樹脂における1分子中にエチレン性二重結合を2個以上含有する由来のモノマー単位の含有量は、前記樹脂の全モノマー単位に対し、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
また、前記樹脂は、式(4’)で示されるモノマー単位を更に含むことが好ましい。前記樹脂における式(4’)で示されるモノマー単位の含有量としては、前記樹脂の全モノマー単位に対し、2〜50質量%であることが好ましい。
Figure 2009104470
(式(4’)において、R9は水素原子またはメチル基を表す。)
本発明の電解質膜は、多孔質膜等の多孔性基材の空孔内部に、式(1’)で示されるモノマー単位とを少なくとも有する樹脂を充填したものであることが好ましい。
本発明の電解質膜に用いることができる多孔質基材としては、前述した多孔質基材を好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明の範囲がこれらの例により限定されるものではない。また実施例および比較例中の部は特に断りの無い限り質量部を意味するものとする。得られた電解質膜のプロトン伝導性およびメタノール透過性、耐久性(強制劣化試験)は以下のように評価した。
1.実施例および比較例で作製した電解質膜の評価方法
<プロトン伝導性>
25℃における膨潤試料のプロトン伝導度の測定を行った。脱イオン水に1時間浸して膨潤させた電解質膜を2枚の白金板で挟み込み測定用試料とした。その後、100Hzから40MHzの交流インピーダンス測定を実施して、試料の電導度を測定してプロトン伝導度とした。プロトン伝導度度が高いほど、電解質膜中をプロトンが移動し易く、燃料電池用途に優れていることを示す。
<メタノール透過性>
25℃におけるメタノールの浸透実験を以下のように行った。電解質膜をガラス製セルに挟み、一方のセルに10質量%メタノール水溶液を入れ、もう一方のセルに脱イオン水を入れた。脱イオン水側に浸透するメタノール量をガスクロマトグラフ分析により経時的に測定し、定常状態になった時の透過係数を測定してメタノール透過流束とした。透過流束が低いほど、電解質膜中をメタノールが透過し難く、燃料電池用途に適していることを示す。
<耐久性(強制劣化試験)>
電池内で発生する過酸化水素による重合体の劣化現象を確認する代わりにフェントン試薬を用いた強制劣化により耐久性を評価した。過酸化水素3.5質量%、硫酸鉄(II)7水和物0.01質量%の混合水溶液をフェントン試薬と呼ぶ。フェントン試薬の30mlに対して、面積12cm2に切りだした電解質膜を浸し、25℃で所定の時間撹拌し、鉄を除去するために取り出した膜を1mol/リットル濃度の塩酸で3回洗浄して、さらに脱イオン水で2回洗浄した。試験前後の試験片を70℃で3時間真空乾燥して乾燥質量を測定した。一方、電解質膜を作成する際に予め基材に対する本発明の重合体の質量充填率を求めておいた。ポリエチレン製多孔性基材はフェントン試薬に対しほとんど質量変化がないので、フェントン試験前後の膜の質量から基材の質量を差し引いた質量を比較することによって電解質膜中の充填重合体の質量減少率を求めた。質量減少率が小さいほど耐久性が高く、大きいほど劣化しやすいことを示す。
2.実施例および比較例で用いた試薬の内、入手困難な化合物の合成
(合成例1)
撹拌装置を装備した4つ口フラスコにアクリロニトリル150mlを仕込み、ドライアイスメタノール浴で−30℃以下に冷却した。フラスコ内を撹拌しながら97%クロロ硫酸24.5gを滴下した。次にシクロヘキセン32mlを滴下した。滴下が終了した後、徐々に温度を上げ、0℃になった時点でトルエン300mlを加え、さらに室温まで昇温し結晶が析出するまで撹拌を続けた。結晶析出後、4つ口フラスコを氷浴で冷却し、析出してきた結晶をろ過した。ろ別した結晶をトルエンで洗浄し目的化合物(式(4))に塩酸が付加した構造の化合物を得た。
次に上記の結晶17gをナス型フラスコに仕込み、蒸留水200mlを入れて溶解し、炭酸ナトリウム13.5gを発泡に注意しながら加えた。このフラスコ内に撹拌子を入れ冷却管を取り付けて、95℃で1時間撹拌した。この内容物を減圧濃縮し、メタノールを加えて溶かし、不溶物をろ過した後、更に濃縮とメタノールへの溶解、ろ過の工程を2回繰り返し、ろ液を濃縮した。最後にメタノールで再結晶を行い、得られた結晶を乾燥した。収率は2回の反応全体で14%であった。NMRにより式(4)で表される2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸のナトリウム塩であることを確認した。
Figure 2009104470
(合成例2)
撹拌装置と冷却装置を装備した4つ口フラスコにアクリロニトリル130mlを仕込み、ドライアイスメタノール浴で−30℃以下に冷却した。フラスコ内を撹拌しながらクロロ硫酸24.5gを滴下した。次に3−シクロヘキセン−1−カルボン酸メチル30mlを滴下した。滴下が終了した後、徐々に温度を上げ、室温まで昇温した後に3時間撹拌を続けた。次に50℃まで昇温し2時間撹拌し氷浴で冷却した。結晶が析出するまで撹拌を続けた。結晶析出後、4つ口フラスコを氷浴で冷却し、トルエンを500ml加えたところ淡黄色の結晶が析出した。この結晶をろ過してトルエンで洗浄し、減圧乾燥して目的化合物(式(5))に塩酸が付加した構造の化合物を得た。
次に上記の結晶31gをナス型フラスコに仕込み、蒸留水150mlを入れて溶解し、炭酸ナトリウム20gを発泡に注意しながら加えた。このフラスコ内に撹拌子を入れ冷却管を取り付けて、95℃で1時間撹拌した。この内容物を減圧濃縮し、メタノールを加えて不溶物をろ過した後、更に濃縮とメタノールへの溶解、ろ過の工程を2回繰り返し、ろ液を濃縮した。最後にエタノールで再結晶を行い、得られた結晶を乾燥した。2回の反応全体での収率は29%であった。NMRスペクトルにより式(5)で表される2−アクリルアミド−4−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸の二ナトリウム塩および2−アクリルアミド−4−メチルカルボキシシクロヘキサンスルホン酸のナトリウム塩の7:3混合物であることを確認した。
Figure 2009104470
(式(5)において、XはNaまたはメチル基を表す)
(合成例3)
撹拌装置を装備した4つ口フラスコにアクリロニトリル130mlを仕込み、窒素雰囲気下、ドライアイスメタノール浴で−30℃以下に冷却した。フラスコ内を撹拌しながら97%クロロ硫酸24.5gを滴下した。次に4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物32gを撹拌しながら少しずつ加えた後、室温まで徐々に昇温した。室温で18時間撹拌後、析出してきた結晶をろ過した。ろ別した結晶をトルエンで洗浄し目的化合物(式(6))に塩酸が付加した構造の化合物を得た。
次に上記の結晶33gをナス型フラスコに仕込み、蒸留水150mlを入れて溶解し、炭酸ナトリウム21gを発泡に注意しながら加えた。このフラスコ内に撹拌子を入れ冷却管を取り付けて、95℃で1時間撹拌した。この内容物を減圧濃縮し、メタノールを加えて不溶物をろ過回収した、次に得られた不溶物に蒸留水60mlを加え、加熱溶解した後メタノール濃縮とメタノールへの溶解、ろ過の工程を2回繰り返し、ろ液を濃縮した。最後にメタノールで再結晶を行い、得られた結晶を乾燥した。2回の反応全体での収率は37%であった。NMRにより式(6)で表される2−アクリルアミド−4,5−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸の3ナトリウム塩であることを確認した。
Figure 2009104470
(合成例4)
攪拌装置を装備した4つ口フラスコにアクリロニトリル360mlを仕込み、ドライアイスメタノール浴で−30℃以下に冷却した。フラスコ内を攪拌しながら30%発煙硫酸57.0gと98%濃硫酸29.3gの混合液を滴下した。次に1−メチルシクロヘキセン76.9gとアクリロニトリル64gの混合液を滴下した。滴下が終了した後、徐々に温度を上げ、40℃で3時間撹拌を続けたところ結晶が析出した。4つ口フラスコを氷浴で冷却し、結晶をろ過した。ろ別した結晶をアセトニトリルで洗浄し目的化合物(式(7))を得た。収率は41%であった。NMRにより式(7)で表される2−アクリルアミド−2−メチルシクロヘキサンスルホン酸であることを確認した。
Figure 2009104470
(合成例5)
アセトニトリル200g、アクリル酸クロライド90gの混合液を4つ口フラスコに仕込み、氷浴で5℃以下に保ちながら撹拌した。ここへアセトニトリル400g、ピペラジン39.2gの混合物をフラスコ内の混合液を4℃以下に保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後氷浴をはずし室温のまま5時間撹拌した後。60℃に昇温して2時間撹拌し、反応液中に生じた沈殿をろ過して除去し、ろ液を濃縮すると結晶が析出した。これをろ過し、氷冷したアセトニトリルで洗浄した後に乾燥してN,N’−ビスアクリロイルピペラジンを得た。収率は21%であった。
(比較合成例1)
撹拌装置を装備した4つ口フラスコにアクリロニトリル660mlを仕込み、ドライアイスメタノール浴で−30℃以下に冷却した。フラスコ内を撹拌しながら98%硫酸108gを滴下した。次に2,3−ジメチル−1−ブテン84mlを滴下した。滴下が終了した後、徐々に温度を上げ、40℃まで上げて結晶が析出するまで撹拌を続けた。結晶析出後、4つ口フラスコを氷浴で冷却し、結晶をろ過した。ろ別した結晶をアクリロニトリルで洗浄した後に50℃で減圧乾燥した。得られた結晶を乾燥したところ収率は12%であった。NMRスペクトルにより式(8)で表される2−アクリルアミド−2,3−ジメチルブタンスルホン酸であることを確認した。
Figure 2009104470
(比較合成例2)
芳香族化合物の合成
撹拌装置を装備した4つ口フラスコに20%水酸化ナトリウム水溶液を44ml、ジメチルホルムアミド50mlと4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム17.3gを仕込んで撹拌溶解し、食塩を添加した氷浴で4℃以下に冷却した。フラスコ内を撹拌しながらアクリル酸クロライド10gを滴下した。滴下が終了した後、そのまま2時間撹拌を続けた。反応液を濃縮した後に、メタノールを加えて塩化ナトリウムを析出させてろ過により除去した。これを更に濃縮してメタノールへ溶解し塩化ナトリウムを除去する工程を2回繰り返した後、得られたろ液を濃縮して析出した結晶を乾燥した。収率は64%であった。NMRスペクトルにより式(9)で表される4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸ナトリウムであることを確認した。
Figure 2009104470
3.実施例および比較例に係る電解質膜の調製
(実施例1)
多孔性基材としてポリエチレン膜(厚さ30μm、空孔率40%)を用いた。合成例1で合成した2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸ナトリウム98.5質量部(比較例1とスルホン酸を有してイオン伝導性に係る単量体/架橋成分の比率を合わせて比較するため、スルホン酸を有する単量体はスルホン酸基をイオン交換して水素型にした場合の質量で90質量部になるように調整した)、架橋剤としてN,N’−エチレンビスアクリルアミド10質量部、ノニオン性界面活性剤0.5質量部、紫外線ラジカル重合開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.1質量部、水100質量部からなる単量体水溶液に、当該多孔性基材を浸漬させ、単量体水溶液が充分含浸され、膜が透明になったことを確認した後、溶液から膜を取り出し、すばやくPETフィルムで挟んだ。次いで、高圧水銀ランプにて紫外線を2分間照射して空孔内部の単量体を重合させてからPETフィルムを剥がしとってNa型の電解質膜を得た。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸ナトリウムを76.6質量部(イオン交換して水素型にした場合70質量部になる)、N,N’−エチレンビスアクリルアミド30質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
合成例2で合成した式(5)で表される化合物40.5質量部(イオン交換して水素型にした場合35質量部になる)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸35質量部、架橋剤としてN,N’−エチレンビスアクリルアミド30質量部、ノニオン性界面活性剤0.5質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.1質量部、水200質量部からなる単量体水溶液に、実施例1で用いたものと同じ多孔性基材を浸漬させ、単量体水溶液が充分含浸され、膜が透明になったことを確認してから溶液から膜を取り出し、すばやくPETフィルムで挟んだ。次いで、高圧水銀ランプにて紫外線を3分間照射して空孔内部の単量体を重合させてからPETフィルムを剥がしとった。単量体水溶液への浸漬と紫外線照射の工程を更に2回繰り返してNa型の電解質膜を得た。本実施例においては式(5)で表される化合物を配合するとN,N’−エチレンビスアクリルアミドの水に対する溶解性が低下したため実施例1よりも水を多く使用し単量体濃度が下がっており、これを補うために充填から重合までの操作を3回繰り返した。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
合成例3で合成した式(6)で表される化合物42.2質量部(イオン交換して水素型にした場合35質量部になる)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸35質量部、N,N’−エチレンビスアクリルアミド30質量部、ノニオン性界面活性剤0.5質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.1質量部、水200質量部からなる単量体水溶液に、実施例1で用いたものと同じ多孔性基材を浸漬させ、単量体水溶液が充分含浸され、膜が透明になったことを確認してから溶液から膜を取り出し、すばやくPETフィルムで挟んだ。次いで、高圧水銀ランプにて紫外線を3分間照射して空孔内部の単量体を重合させてからPETフィルムを剥がしとった。単量体水溶液への浸漬と紫外線照射の工程を更に2回繰り返してNa型の電解質膜を得た。本実施例においては式(6)で表される化合物を配合するとN,N’−エチレンビスアクリルアミドの水に対する溶解性が低下したため実施例1よりも水を多く使用し単量体濃度が下がっており、これを補うために充填から重合までの操作を3回繰り返した。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において架橋剤を合成例4で合成したN,N’−ビスアクリロイルピペラジン10質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例2において架橋剤を合成例5で合成したN,N’−ビスアクリルアミドピペラジン30質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例7)
多孔性基材としてポリエチレン膜(厚さ30μm、空孔率40%)を用いた。合成例1で合成した2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸ナトリウム76.6質量部(イオン交換して水素型にした場合70質量部になるようにした)、架橋剤としてN,N’−エチレンビスアクリルアミド25質量部、共重合単量体としてアクリル酸5質量部、ノニオン性界面活性剤0.5質量部、紫外線ラジカル重合開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.1質量部、水100質量部からなる単量体水溶液に、当該多孔性基材を浸漬させ、単量体水溶液が充分含浸され、膜が透明になったことを確認してから溶液から膜を取り出し、すばやくPETフィルムで挟んだ。次いで、高圧水銀ランプにて紫外線を2分間照射して空孔内部の単量体を重合させてからPETフィルムを剥がしとってNa型の電解質膜を得た。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7において架橋剤であるN,N’−エチレンビスアクリルアミドを20質量部、アクリル酸10質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1において2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸ナトリウムの代わりに合成例4で得た2−アクリルアミド−2−メチルシクロヘキサンスルホン酸90質量部、N,N’−エチレンビスアクリルアミド10質量部にし、イオン置換操作を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸90質量部、架橋剤としてN,N’−エチレンビスアクリルアミド10質量部、ノニオン性界面活性剤0.5質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.1質量部、水100質量部からなる単量体水溶液に、実施例1で用いた物と同じ多孔性基材を浸漬させ、単量体水溶液が充分含浸され、膜が透明になったことを確認してから溶液から膜を取り出し、すばやくPETフィルムで挟んだ。次いで、高圧水銀ランプにて紫外線を2分間照射して空孔内部の単量体を重合させてからPETフィルムを剥がしとって電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を70質量部、架橋剤としてN,N’−エチレンビスアクリルアミドを30質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例1において2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の代わりに比較合成例1で合成した2−アクリルアミド−2,3−ジメチルブタンスルホン酸を用いる以外は、比較例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例1においてN,N’−エチレンビスアクリルアミドの代わりにN,N’−メチレンビスアクリルアミドを用いる以外は、比較例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を表1に示す。なおN,N’−メチレンビスアクリルアミドは水への溶解性が低く、30質量部添加することはできなかった。
(比較例5)
比較例1の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の代わりに比較合成例2で合成した4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸ナトリウムを98.7質量部(イオン交換して水素型にした場合90質量部になる)としたこと以外は、比較例1と同様にしてNa型の電解質膜を得た。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
(比較例6)
比較例5の4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸ナトリウムを76.7質量部(イオン交換して水素型にした場合70質量部になる)としたこと以外は、比較例2と同様にしてNa型の電解質膜を得た。次にこの膜を1N硫酸に1時間浸漬する工程を2回、次いで純水で洗浄した後、純水へ1時間浸漬する工程を2回行ってNa型からH型にイオン交換した。このようにして得られた膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2009104470
表1においては、合成したモノマーがナトリウム塩である化合物も酸型とした質量部数に換算して表記している。さらに略称の右側に記載した化合物名はNa型をH型へイオン置換した場合の名称を用いた。
表1中の略称を下に示す。
ACS:2−アクリルアミドシクロヘキサンスルホン酸
ACCS:2−アクリルアミド−4−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸および2−アクリルアミド−4−メトキシカルボニルシクロヘキサンスルホン酸の7:3混合物
ACDCS:2−アクリルアミド−4,5−カルボキシシクロヘキサンスルホン酸
MACS:2−アクリルアミド−2−メチルシクロヘキサンスルホン酸
ATBS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
ADMBS:2−アクリルアミド−2,3−ジメチルブタンスルホン酸
ABS:4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸
AA:アクリル酸
EBAM:N,N’−エチレンビスアクリルアミド
BAP:N,N’−ビスアクリロイルピペラジン
MBAM:N,N’−メチレンビスアクリルアミド
表1から明らかなように、実施例と比較例を比較すると、本発明で用いる脂肪族環を有するスルホン酸単量体を用いた重合体を含む電解質膜は、脂肪族環構造を有していない脂肪族スルホン酸単量体や芳香族環を有するスルホン酸単量体を用いた場合に比べて、耐酸化性に優れている。
また、比較例4で用いたN,N’−メチレンビスアクリルアミドに比べてN,N’−エチレンビスアクリルアミドのほうが耐酸化性に優れている。さらに実施例5,6では、本発明で使用してもよい架橋剤の中でもビスアクリロイルピペラジンと式(1)または式(2)で示される脂肪族環を有するスルホン酸単量体とを併用した場合、著しく耐酸化性が向上することを示している。
また、架橋剤の種類が同一である場合は架橋剤が多いほど耐酸化性に優れる傾向があるが、実施例7,8は実施例1と架橋剤の種類が同じで量が少ないにもかかわらず、フェントン試験初期の質量減少が実施例1に比べて少ないことから、アクリル酸の共重合によって本発明の電解質膜の耐酸化性が著しく向上することが示される。
また、実施例で得られた電解質膜の電導度は、市販のフッ素系電解質膜と比べていずれも優れており、かつメタノール透過流束が小さくDMFC用途に適した性能を示した。
本発明の電解質膜は、燃料電池のみならず、各種センサー等の電気化学デバイス素子や、電気分解用の分離膜の用途にも適用できる。

Claims (12)

  1. 式(1)で示される単量体と分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する化合物とを含む組成物を重合する工程を含むことを特徴とする
    電解質膜の製造方法。
    Figure 2009104470
    (式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Aは脂環炭化水素基であり、かつ前記脂環炭化水素基の脂肪族環上に、少なくとも1個以上の酸性基および/またはその塩が置換基として結合している基を表す。)
  2. 前記組成物が、組成物の全量に対し、2〜50質量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸を含む請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
  3. 前記式(1)で示される単量体のうちの少なくとも1種が、式(2)で示される単量体である請求項1または2に記載の電解質膜の製造方法。
    Figure 2009104470
    (式(2)において、R1、R2、および、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または金属原子を表し、YおよびZはそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、および、これらの塩、並びに、エステル残基よりなる群から選択された基を表し、YとZとはいずれか一方またはその両方が存在しない場合もある。)
  4. 前記分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する単量体が、式(3)で示される化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の電解質膜の製造方法。
    Figure 2009104470
    (式(3)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子またはR7とR8とが結合して2つの窒素原子を連結する炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
  5. 前記組成物の重合を多孔性膜の空孔内で行う請求項1〜4のいずれかに記載の電解質膜の製造方法。
  6. 前記多孔性膜がポリエチレンを含有し、前記多孔性膜の空孔率が20〜80容積%であり、前記多孔性膜の厚さが5〜50μmである請求項5に記載の電解質膜の製造方法。
  7. 式(1’)で示されるモノマー単位と架橋構造とを少なくとも有する樹脂を含むことを特徴とする 電解質膜。
    Figure 2009104470
    (式(1’)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Aは脂環炭化水素基であり、かつ前記脂環炭化水素基の脂肪族環上に、少なくとも1個以上の酸性基および/またはその塩が置換基として結合している基を表す。)
  8. 前記樹脂が、前記樹脂の全モノマー単位に対し、2〜50質量%の式(4’)で示されるモノマー単位を含む請求項7に記載の電解質膜。
    Figure 2009104470
    (式(4’)において、R9は水素原子またはメチル基を表す。)
  9. 前記式(1’)で示されるモノマー単位のうちの少なくとも1種が、式(2’)で示されるモノマー単位である請求項7または8に記載の電解質膜。
    Figure 2009104470
    (式(2’)において、R1、R2、および、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子または金属原子を表し、YおよびZはそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、および、これらの塩、並びに、エステル残基よりなる群から選択された基を表し、YとZとはいずれか一方またはその両方が存在しない場合もある。)
  10. 前記架橋構造が、式(3’)で示されるモノマー単位を含む請求項7〜9のいずれかに記載の電解質膜。
    Figure 2009104470
    (式(3’)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子またはR7とR8とが結合して2つの窒素原子を連結する炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
  11. 多孔性膜の空孔内に前記樹脂が充填されている請求項7〜10のいずれかに記載の電解質膜。
  12. 前記多孔性膜がポリエチレンを含有し、前記多孔性膜の空孔率が20〜80容積%であり、前記多孔性膜の厚さが5〜50μmである請求項11に記載の電解質膜。
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