JP2007035599A - 燃料電池用高分子電解質、電解質膜および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用高分子電解質、電解質膜および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料電池や電気化学装置用として好適な燃料電池、およびこの燃料電池に用いられる高分子電解質および電解質膜を提供する。
【解決手段】 少なくとも下記(a)、(b)の2種の重合性単量体を構成単量体とする重合体からなる燃料電池用高分子電解質とし、またそれを用いた電解質膜および燃料電池とする。
(a)分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つ単量体
(b)分子中に、下記構造式1で示される官能基を3個以上有する架橋性単量体
(化1)
CH=CRCONH− …… (1)
但し、式中、Rは、水素原子またはメチル基である。
【選択図】 なし

Description

この発明は、燃料電池に用いられる高分子電解質、およびこの電解質を構成素材とする燃料電池用電解質膜、さらには、これらの高分子電解質または電解質膜を用いて形成された固体高分子形燃料電池、直接液体燃料形燃料電池に関するもので、電気化学装置の一種である、燃料電池に関する技術に係わるものである。
高分子電解質を用いた電気化学装置の一種である燃料電池は、近年、電解質膜や触媒技術の発展により性能の向上が著しく、低公害自動車用電源や高効率発電方法として注目を集めている。この内、高分子電解質膜を用いた燃料電池(以下、「固体高分子形燃料電池」または「PEFC」という。)は、膜の表面に酸化、還元触媒を有する反応層を形成した構造とされている。
かかる固体高分子形燃料電池は、水素を燃料とする場合、アノードにおいて、水素分子がプロトンと電子に分解される反応が起き、発生した電子は電線を通って電気部品を作動させてカソード側に運ばれ、カソードにおいては、酸素とプロトンと、アノードから電線を通って運ばれてきた電子により、水が生成するという反応機構を有している。
一方、メタノールを燃料とする、直接メタノール形燃料電池(以下、「DMFC」ともいう。)においては、アノードにメタノールと水とが供給され、膜近傍の触媒によって、メタノールと水を反応させてプロトンを取り出すものである。
このDMFCは、改質器等が不要であるため、軽量化、小型化が可能である等の利点があるので、携帯機器用途等への実用化が期待されている。また、メタノール以外の液体燃料を、直接燃料電池セル内へ導入する研究も多数行われている。例えば、エタノール、イソプロパノール、ギ酸等が、その候補として研究されている。
このような場合においても、燃料電池の構成や小型化がし易い等の特長はいずれも同様である。これらの燃料の間には、それなりの互換性を有し、この明細書においては、燃料として、メタノール水溶液に限定することはなく、メタノール以外のアルコールや有機酸等の液体燃料を、直接セル内に導入する燃料電池の総称としてDMFCを使用する。
これらの燃料電池には、通常、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸からなるフッ素系高分子電解質膜が使用されている。一方、DMFC用の電解質膜として、従来の水素を燃料とするPEFC用電解質膜として汎用されているポリパーフルオロアルキルスルホン酸膜、例えば、デュポン社のナフィオン(Nafion:登録商標)膜等を用いた場合には、メタノールが膜を透過し易いため、燃料の利用率が低下したり、起電力が低下するという問題が発生する。さらに、これらの電解質膜は、非常に高価であるという経済面での問題をも有している。
前記の問題を解決する手段として、国際公開第03/075385号公報(特許文献1)には、メタノールを含む有機溶媒および水に対し、実質的に膨潤しない多孔質基材の細孔中に、プロトン導電性を有する、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の重合体、しかも、架橋剤、具体的には、メチレンビスアクリルアミドで架橋した重合体を充填してなる電解質膜の提案がなされている。しかしながら、この特許文献1に記載の電解質膜は、耐久性が十分であるとは言えなかった。
さらに、特開2004−146279号公報(特許文献2)には、特許文献1に記載の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸由来の重合体、しかも、架橋剤で架橋した重合体について、架橋剤、具体的には上記と同様に、メチレンビスアクリルアミドの使用量を大きくして、水やメタノールに対する膨潤性を減少させた重合体とする提案がなされている。しかしながら、この特許文献2に記載の電解質膜は、耐久性は向上するものの架橋剤を大量に導入すると、重合体のプロトン伝導性能が減少することがあり、高い性能が求められる場合には対応ができないという問題を有している。
国際公開第03/075385号公報(特許請求の範囲) 特開2004−146279号公報(特許請求の範囲)
発明者等はかかる現状に鑑み、鋭意検討の結果、分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つ、重合体の主鎖を形成する単量体と、分子中に、重合可能なアクリロイル基またはメタクリロイル基がアミド結合の様式で結合してなる官能基を3個以上有する架橋性単量体を共重合させた場合に、後者の単量体の導入量が少量であっても、重合した架橋重合体は燃料電池用の高分子電解質として優れ、この高分子電解質からなる電解質膜がプロトン伝導性およびメタノール透過阻止性に優れ、かつ耐久性も良好であることを見出した。
すなわち、この発明の目的は、固体高分子形燃料電池等の電気化学装置用途に利用できる、プロトン伝導性が高く、DMFCとして用いた場合にも、メタノール等の燃料の透過阻止性に優れ、かつ、燃料電池として運転した場合の耐久性に優れる、安価な高分子電解質、さらには、この高分子電解質を用いた電解質膜、燃料電池を提供することにある。
この発明の請求項1に記載の発明は、
少なくとも下記(a)、(b)の2種の重合性単量体を構成単量体とする重合体からなること
を特徴とする燃料電池用高分子電解質である。
(a)分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つ単量体。
(b)分子中に、下記構造式1で示される官能基を3個以上有する架橋性単量体
(化1)
CH=CRCONH− …… (1)
但し、式中、Rは、水素原子またはメチル基である。
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質において、
前記(b)の架橋性単量体は、
下記構造式2で表されるものであること
を特徴とするものである。
(化2)
N(−R−NH−C(=O)−CR=CH)…… (2)
但し、式中、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基、Rは、水素またはメチル基で、式中に3個存在するRおよびRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1または2に記載の燃料電池用高分子電解質において、
前記(b)の架橋性単量体は、
トリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン、またはトリス{(N−メタクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質において、
前記(a)の単量体のイオン交換を可能とする官能基は、
スルホン酸基またはスルホン酸塩基であること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の燃料電池用高分子電解質において、
前記(a)の単量体は、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、またはこれらの塩であること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質において、
前記の重合体を構成する(a)、(b)の2種の単量体は、
全構成単量体中に占める割合が、それぞれ25〜99.9質量%、0.1〜75質量%であること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載された燃料電池用高分子電解質が、
多孔質基材の細孔内に充填されていること
を特徴とする燃料電池用電解質膜である。
さらにまた、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質、または請求項7に記載の燃料電池用電解質膜を用いて形成されたこと
を特徴とする直接液体燃料形燃料電池である。
この発明の高分子電解質は、高分子として、特定の架橋性単量体、いわゆる架橋剤で架橋構造を形成させた重合体を選択したことにより、プロトン伝導性、メタノール透過阻止性能に優れるとともに、耐久性も向上させたものであるから、固体高分子形燃料電池、特に、直接メタノール形燃料電池用の電解質膜として好適に利用できるものである。
この発明の電解質膜は、前記高分子電解質を、多孔性基材の細孔に充填することにより形成されたものとすることによって、メタノール透過性や耐久性をさらに向上させることができるため、燃料電池としての出力特性と耐久性を併せ持ち、燃料電池等用途としてきわめて有用なものとなるものである。
さらに、この発明の電解質膜は、燃料として、メタノール水溶液以外のもの、例えばエタノール、イソプロパノール、ギ酸等を燃料とする直接液体燃料燃料電池用としても、きわめて有用なものである。
以下、この発明にかかる燃料電池用高分子電解質、電解質膜および燃料電池について、詳細に説明する。
この発明の燃料電池用高分子電解質は、少なくとも、
(a)分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つ単量体
(b)分子中に、前記構造式1で示される官能基を3個以上有する架橋性単量体
の2種の重合性単量体を、構成単量体とする重合体で構成されていること特徴とするものである。
この発明において、前記重合体を構成する(a)、(b)の2種の重合性単量体の、全構成単量体中に占める割合は、それぞれ25〜99.9質量%、0.1〜75質量%であることが好ましい。
前記単量体(a)が前記範囲の下限値よりも低くなると、得られる高分子電解質、さらには該高分子電解質を構成素材とする電解質膜のプロトン伝導性が低下し易く、これを用いた燃料電池の出力が低下し易い。一方、前記範囲の上限値よりも高くなると、得られる高分子電解質のメタノール透過阻止性および耐久性が低下し易いため、いずれも好ましくない。
また、前記単量体(b)が前期範囲の下限値よりも低くなると、得られる高分子電解質のメタノール透過阻止性および耐久性が低下し易く、一方、前記範囲の上限値よりも高くなると、プロトン伝導性が低下し易く、いずれも好ましくない。
両者のより好ましい範囲は、単量体(a)が50〜99.5質量%、単量体(b)が0.5〜50質量%で、さらに好ましい範囲は、単量体(a)が60〜95質量%、単量体(b)が5〜40質量%である。
この発明における重合体を構成する単量体(a)は、分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つことを特徴とする単量体で、その範囲においては特に限定されないが、好ましいものは、イオン交換を可能とする官能基がスルホン酸基またはスルホン酸塩基である単量体である。
その具体例としては、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体、またはこれらスルホン酸が塩として存在するスルホン酸塩基を有する単量体を挙げることができる。
これらは単独で用いても、複数用い、共重合してもよいが、重合性等が良好な点で2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩が、この発明にとり特に好ましい。また、ビニルスルホン酸は、分子量当たりのスルホン酸含有量が最も高いため、共重合成分として使用するとプロトン伝導度を上げる効果があり、好ましい。
この発明における重合体を構成する単量体(b)は、前記構造式1で示される官能基を3個以上有する架橋性単量体で、この官能基は重合体に架橋構造を付与し得るアクリロイル基、またはメタクリロイル基を有するもので、かつこれらアクリロイル基、メタクリロイル基がアミド結合の様式で結合してなるものである。
前記官能基を3個以上有する架橋性単量体(b)としては、前記構造式2で示されるように、アルキレン基を介して窒素原子に結合したアミン系の単量体が、合成の容易性の面から好ましいものであるが、前記官能基が炭素原子で結合されたアミン系以外の化合物も、特性がさらに良好になると推定されるため、簡易な合成方法が開発されたさいには有望な単量体として例示される。
前記構造式2で表されるアミン系の単量体の具体的な化合物としては、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノプロピレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノブチレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノペンテン}アミン等を例示することができる。
これらは単独で用いても、複数用い、共重合してもよいが、この中でも、水への溶解性が高い点や架橋剤としての効率が高い点等で、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンを用いるのが特に好ましい。なお、前記において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルとメタクリルロイルの総称で、(メタ)アクリル等も含め、以下においても同様である。
この発明における重合体は、前記の単量体(a)および(b)の2種を必須成分とするものであるが、必要に応じてそれ以外の単量体を構成単量体することができる。
かかる単量体としては、前記単量体(a)および(b)と共重合可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、水溶性の単量体として、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、酸性リン酸基含有(メタ)アクリレート等の酸性モノマーやその塩;
(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等のモノマー;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等の塩基性モノマーや、それらの4級化合物等を挙げることができる。
さらに、後述するように、この発明の燃料電池用電解質膜は、前記高分子電解質を多孔質基材の細孔内に充填することにより形成することが好ましい。その際、高分子電解質の吸水性を調節する等の目的で、前記重合体の構成単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルや、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の疎水性単量体を併用することもできる。
また、この発明における重合体には、重合体に架橋構造を付与する前記官能基単量体(b)、いわゆる架橋剤と称される単量体を構成単量体とすることによって、架橋構造が付与されるものである。この単量体(b)に由来する架橋構造に併せて、種々の方法で、重合体中にさらに他の架橋構造が導入されたものとしてもよい。
架橋構造を導入する具体的な方法としては、2個以上の重合性二重結合を有する架橋剤を併用して重合反応を行なう方法、架橋構造を形成し得る官能基を有する単量体を共重合し後架橋する方法、重合体の官能基と反応する基を分子内に2つ以上持つ架橋剤を用いる方法、重合時の水素引き抜き反応による自己架橋反応を利用する方法、重合後のポリマーに紫外線、電子線、ガンマ線等の活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
これらの方法のうち、架橋構造導入の簡便さから、2個以上の重合性二重結合を有する架橋剤を併用して重合させる方法が好ましい。この架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、トリ(メタ)アクリルホルマール、ビス(メタ)アクリロイルピペラジン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート等の(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の(メタ)アリル化合物;
ジビニルベンゼン等が挙げられる。
また、架橋密度を高くし易い点から、架橋構造を形成し得る官能基を有する水溶性モノマーを共重合する方法も好ましい。このような化合物としては、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらを用いれば、重合性二重結合のラジカル重合を行なった後で加熱して縮合反応等を起させて架橋するか、ラジカル重合と同時に加熱を行なって同様の架橋反応を起させることができる。これらの架橋剤は単独で使用することも、必要に応じて2種類以上を併用することも可能である。
この発明における重合体は、前記単量体を共重合することにより得られ、しかも架橋構造を有する重合体として得られるものである。前記単量体を共重合する方法としては、公知の水溶液でのラジカル重合方法等の技術を使用することができる。
ラジカル重合の具体例としては、レドックス重合、熱重合、電子線重合、紫外線等による光重合等が挙げられる。
熱重合、レドックス重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;
上記過酸化物と、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤;
または2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
これらのラジカル重合開始剤の内、過酸化物系ラジカル重合開始剤は、炭素水素結合から水素を引き抜くことによってラジカルを発生することができるため、多孔質基材として用いられるポリオレフィン等の有機材料の存在下に単量体の重合を行なうと、有機材料表面と得られる重合体との間に化学結合を形成することができるので、後述する電解質膜の形成で良好な結果が得られるために好ましいものである。加熱重合条件は、温度50〜150℃で1〜120分が好ましい。
上記ラジカル重合開始手段の中では、重合反応の制御がし易く、比較的簡便なプロセスで生産性良く所望の重合体が得られる点で、紫外線による光重合が望ましい。さらに、光重合させる場合には、ラジカル系光重合開始剤を、単量体、その溶液または分散液中に予め溶解若しくは分散させておくことがより好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、一般に紫外線重合に利用されているベンゾイン、ベンジル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、チオキサントン、チオアクリドンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
これら誘導体の例としては、
ベンゾイン系として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル;
アセトフェノン系として、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モンフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシジ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;
ベンゾフェノン系として、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキシ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これら光重合開始剤の使用量は、重合させる単量体の総質量に対して0.001〜5質量%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。
開始剤量は、少なすぎると未反応単量体が多くなり得られた重合体の性能が不十分となる等の問題がある。また、多すぎると開始剤に由来する末端を有する重合体が多くなるため、架橋効果が十分発揮されず必要な性能が得られないばかりか、生成する重合体の強度が低くなりすぎ、燃料電池に用いて利用したときの耐久性が低くなる等問題があるため何れも好ましくない。
また、これらの内、ベンゾフェノン、チオキサントン、キノン、チオアクリドン等の芳香族ケトン系ラジカル重合開始剤は、炭素水素結合から水素を引き抜くことによってラジカルを発生することができるため、前記した過酸化物系ラジカル重合開始剤と同様に、多孔質基材としてのポリオレフィン等の、有機材料表面と重合体との間に化学結合を形成することができ好ましい。
光重合手段として紫外線を照射する場合、その照射量は10〜5000mJ/cmが望ましい。
この発明における電解質膜は、前述の燃料電池用高分子電解質を構成素材とするものであるが、多孔質基材の細孔内部に、架橋された重合体からなる高分子電解質が充填された構造であるものが好ましい。
用いられる多孔質基材としては、メタノールおよび水に対して、実質的に膨潤しない材料であるものが好ましい。特に、乾燥時に比べて水による湿潤時の面積変化が少ないか、ほとんどないものが望ましい。
面積増加率は、浸漬時間や温度によって変化するが、この発明における基材としては、温度25℃における純水に1時間浸漬したときの面積増加率が、乾燥時に比較して最大でも20%以下であるものが好ましい。
また、多孔質基材としては、引張り弾性率が500〜5000MPaであるものが好ましく、さらに好ましくは1000〜5000MPaのものである。また、破断強度が50〜500MPaであるものが好ましく、さらに好ましくは100〜500MPaのものである。
これらの範囲を低い方に外れると、充填した重合体のメタノールや水により膨潤しようとする力によって膜が変形し易くなり、高い方に外れると基材が脆くなり過ぎて、電極接合時のプレス成形や電池に組み込む際の締付け等によって、膜がひび割れたりし易い。
また、多孔質基材は、用いられる燃料電池を運転する際の、温度に対して耐熱性を有するものがよく、外力が加えられても容易に延びないものがよい。
そのような性質を持つ材料として、無機材料では、ガラスまたはアルミナもしくはシリカ等のセラミックス等が挙げられる。また、有機材料では、芳香族ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック、放射線の照射や架橋剤を加えて架橋したり、延伸する等の方法で、外力に対して延び等の変形をし難くした変性ポリオレフィン等が挙げられる。これらの材料は単独で用いても、2種以上を積層する等により複合化して用いてもよい。
これらの多孔質基材の中では、延伸ポリオレフィン、架橋ポリオレフィン、延伸後架橋された変性ポリオレフィン、ポリイミド類からなるものが充填工程の作業性がよく、基材の入手し易さの点からも好ましい。
多孔質基材は、その空孔率が、5〜95%であるものが好ましく、さらに好ましくは5〜80%、特に好ましくは20〜60%のものである。また、平均孔径が、0.001〜100μmの範囲にあるものが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1μmの範囲にあるものである。
前記の空孔率が小さすぎると、面積当たりのプロトン伝導性の機能を発揮するプロトン酸性基が少なすぎて、燃料電池としては出力が低くなり、大きすぎると、膜強度が低下し好ましくない。さらに、基材の厚さは200μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜150μm、さらに好ましくは5〜100μm、特に好ましくは5〜50μmである。
前記膜厚が薄すぎると、膜強度が低下するとともに、メタノールの透過量も増える傾向にあり、厚すぎると、膜抵抗が大きくなりすぎ、燃料電池の出力が低くなるため何れも好ましくない。
多孔質基材の細孔内に、高分子電解質を充填する方法に関しては、特に制限はなく公知の方法が利用できる。例えば、高分子電解質を形成する重合体の構成単量体をそのまま、または溶液若しくは分散液として多孔質基材に含浸させ、その後に単量体を重合させまた架橋させる方法が挙げられる。その際、充填する単量体には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤、触媒、硬化剤、界面活性剤等を添加する。
前記多孔質基材の細孔に充填する、単量体あるいは上記添加物が添加された単量体が低粘度の場合は、そのまま含浸に用いることができるが、そうでない場合は、溶液または分散液とすることが好ましい。特に、濃度を10〜90質量%の溶液として用いるのが好ましく、20〜70質量%の溶液として用いるのがさらに好ましい。
上記のように、単量体は溶液として使用するのが好ましい場合が多いが、その場合、媒体としては水が好ましい。なお、添加する成分に水に難溶のものが含まれる場合は、水の一部または全部を有機溶剤に置き換えてもよいが、有機溶剤を使用した場合は、電極を接合する前に有機溶剤を全て取り除く必要がある。
単量体を溶液状にして含浸する理由は、水または溶剤に溶解して含浸に用いることにより、細孔を有する多孔質基材への含浸が行い易くなることと、予め膨潤したゲルを細孔内に作ることによって、製造した電解質膜を燃料電池にした場合に、水またはメタノールが細孔内の重合体を膨潤させすぎて、重合体が抜け落ちるのを防止する効果があるためである。
また、スルホン酸等を用いる際は、解離したプロトンが水分子と会合してオキソニウムイオンとなり、プロトン伝導に寄与すると言われており、予めこの水分子が、イオン交換基に配位できるような隙間を付与するという効果もある。
含浸作業をより行い易くする目的で、多孔質基材の親水化処理、単量体溶液への界面活性剤の添加、または含浸中における超音波の照射等も行なうことができる。
得られた電解質膜においては、多孔質基材の表面、特に細孔内表面にプロトン伝導性を有する高分子電解質が化学的に結合されているのが好ましい。
その結合を形成する手段としては、細孔内に充填して重合させる単量体が、ラジカル重合性を有するので、予め多孔質基材にプラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線、コロナ放電等を照射して表面にラジカルを発生させ、充填した単量体が重合する際に、基材表面へのグラフト重合が同時に起こるようにする方法、基材に単量体を充填した後に、電子線を照射することによって、基材表面へのグラフト重合と単量体の重合を同時に起す方法、水素引き抜き型のラジカル重合開始剤を単量体に配合して充填し、加熱または紫外線の照射を行なって、基材表面へのグラフト重合と単量体の重合を同時に起こす方法、水素引き抜き型のラジカル重合開始剤を溶剤等に溶解し、多孔質基材に塗布した後に、加熱または紫外線の照射を行って基材表面へラジカルを発生させておき、単量体を充填し重合するグラフト重合法、カップリング剤を用いる方法等が挙げられる。これらは、単独で行っても複数の方法を併用してもよい。
この発明による電解質膜は、スルホン酸基等を有する架橋構造を有する重合体からなる高分子電解質を含有することにより、優れたプロトン伝導性を持つものとなる。
さらに、その架橋構造が、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノプロピレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノブチレン}アミン、トリス{(N−(メタ)アクリロイル)−2−アミノペンテン}アミン等の多官能アミン系前記官能基単量体を、いわゆる架橋剤として用いて形成すると、それらの重合性が良好であるため、同量の他の二官能架橋剤を使用した場合に比べて架橋密度が向上する。したがって、従来の二官能架橋剤より使用量が少なくても同等のメタノール透過防止性を示し、架橋剤使用量が少なくなる分、スルホン酸基等を多く導入できるため、結果としてプロトン伝導性は向上する。さらには、1分子当りの結合個所が増えるため、加水分解等に対して安定な高分子電解質となる。その結果、本電解質膜は性能に優れかつ耐久性に優れたものとなる。
以下、この発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、この発明の範囲は、これらの例により限定されるものではない。また、実施例および比較例中の部は、特に断りの無い限り質量部を意味するものとする。
得られた電解質膜のプロトン伝導性およびメタノール透過性、耐久性(強制劣化試験)、動的粘弾性は、以下のように評価した。
<プロトン伝導性>
温度25℃における膨潤試料の伝導度測定を行った。純水に1時間浸して膨潤させた電解質膜を、2枚の白金板で挟み込み測定用試料とした。その後、100Hzから40MHzの交流インピーダンス測定を実施して、伝導度を測定した。伝導度が高いほど、電解質膜中をプロトンが移動し易く、燃料電池用途に優れていることを示す。
<メタノール透過性>
温度25℃における浸透実験を行った。電解質膜をH字型ガラスセルに挟み、一方のセルに10質量%メタノール水溶液を入れ、もう一方のセルに純水を入れた。純水側に浸透するメタノール量を、ガスクロマトグラフ分析により経時的に測定し、透過流束を測定した。透過流束が低いほど、電解質膜中をメタノールが透過し難く、燃料電池用途に適していることを示す。
<耐久性(強制劣化試験)>
電池内での加水分解によるポリマーの劣化現象を確認する代わりに、強制劣化により耐久性を評価した。純水に浸した電解質膜を温度121℃、2気圧の条件下に6時間放置した。試験前後の質量変化から、電解質膜中の充填ポリマーの溶出率を求めた。溶出率が大きいほど、電池として運転した時の劣化が早く、小さいほど劣化し難いことを示す。
<動的粘弾性試験>
実施例および比較例で得られた電解質膜を所定の大きさに切り出し、粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製;DMS6100型)を用い、正弦波10Hz、昇温速度10℃/minで測定した。
測定データの内、電解室内に充填された高分子電解質のガラス転移温度の指標となる、高温側のtanδピークの温度と、架橋ポリマーの架橋密度の相対比較をするのに用いられるガラス転移温度以上の領域における弾性率を読み取り表1に纏めた。なお、ガラス転移温度以上の弾性率を読み取る際は、ガラス転移温度プラス10℃のところで比較を行ったが、比較例2,3はガラス転移温度を超えた後、10℃以内でサンプルが伸びてしまい測定範囲を超えたため、その直前の弾性率を読み取った。
<単量体(b)合成例1>
アセトニトリル150mL、アクリル酸クロライド7.15gの混合液を4つ口フラスコに仕込み、氷浴で温度5℃以下に保ちながら攪拌した。
そこに、アセトニトリル100mL、トリス(2−アミノエチル)アミン7.31gの混合物を、4つ口フラスコ内の混合液温度を5℃以下に保ちながら少しずつ滴下した。
滴下終了後、氷浴をはずし、室温のまま5時間攪拌した。反応液中に生じた沈殿をろ過して除去し、ろ液を濃縮すると結晶が析出し、これをろ過、乾燥してトリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンを得た。
<実施例1>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、合成例1で得たトリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン10部、ノニオン性界面活性剤0.5部、紫外線重合開始剤0.05部、水50部からなる単量体水溶液に、多孔質基材としての架橋ポリエチレン製多孔質膜(厚さ30μm、空孔率38%)を浸漬し、当該水溶液を多孔質基材に充填させた。
ついで、多孔質基材を水溶液から引き上げた後、高圧水銀ランプにて紫外線を2分間照射し、細孔内部の単量体を重合させて電解質膜を得た。
得られた膜の評価結果を、表1に示す。本実施例では、比較例1よりも架橋性単量体の添加量が少ないにもかかわらず、メタノール透過性は同等、かつプロトン伝導性は優れていた。
<実施例2>
単量体として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を42.5部、トリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンを7.5部にする以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を、表1に示す。
本実施例では比較例2よりも架橋性単量体の添加量が少ないにもかかわらず、メタノール透過性、プロトン伝導性共に同等であった。
<実施例3>
単量体として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を45部、トリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンを5部にする以外は、実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を、表1に示す。
本実施例では、比較例3,4と架橋性単量体の添加量が同量であるにもかかわらず、メタノール透過性は、同等かつプロトン伝導性は優れていた。耐久性は、N,N’−エチレンビスアクリルアミドを用いた比較例3と同等であるが、比較例4よりは良好であった。
<比較例1>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸35部、N,N’−エチレンビスアクリルアミド15部、ノニオン性界面活性剤0.5部、紫外線重合開始剤0.05部、水50部からなる単量体水溶液に、実施例1に同じ多孔質基材を浸漬し、当該水溶液を多孔質基材に充填させた。
ついで、多孔質基材を溶液から引き上げた後、高圧水銀ランプにて紫外線を2分間照射し、細孔内部の単量体を重合させて電解質膜を得た。
得られた膜の評価結果を、表1に示す。
<比較例2>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を40部、N,N’−エチレンビスアクリルアミドを10部にする以外は、比較例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を、表1に示す。
<比較例3>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を45部、N,N’−エチレンビスアクリルアミドを5部にする以外は、比較例1と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を、表1に示す
<比較例4>
N,N’−エチレンビスアクリルアミドの代わりに、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを用いること以外は、比較例3と同様にして電解質膜を得た。得られた膜の評価結果を、表1に示す。
なお、表1における架橋性単量体の欄の記号は、以下の化合物を示す。
A:トリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン
B:N,N’−エチレンビスアクリルアミド
C:N,N’−メチレンビスアクリルアミド
各実施例の説明において述べたように、架橋剤として機能する、この発明で用いた、架橋性単量体(b)は、より少ない使用量で他の架橋剤と同等の物性を得ることができるとともに、同量の添加量では、プロトン伝導性を損なうことなく、メタノール透過性が改善される等の効果を得ることができる。
表1において、充填された樹脂のガラス転移温度を表す、動的粘弾性測定により得られた高温側のtanδピークの位置を比較すると、同等のガラス転移温度を得るための架橋性単量体の加量は、実施例の方が少なくて済むことが解る。
また、ガラス転移温度以上における弾性率は、一般に架橋重合体の架橋密度を比較するのに用いられる。例えば、実施例1と比較例1では、実施例1の方が架橋性単量体の添加量は少ないにもかかわらず、比較例1と同等の弾性率である。このように、この発明によるアミン系単量体は、より少ない添加量で同等の架橋密度を得ることができる。
燃料電池用電解質膜においては、膜が緻密であるほど、メタノールの透過が抑えられるはずである。しかしながら、一般に、緻密さを上げるために架橋剤量を増やせば、イオン交換基の量が減少するため、メタノールの透過防止性とイオン伝導性とは、トレードオフの関係となる。
この発明で用いた単量体(b)は、前記の粘弾性測定結果から明らかなように、従来の二官能架橋剤と同様の架橋密度を得るための添加量が、少なくて済む。このため、イオン交換基の量を減らすことなく、同等の緻密さを達成でき、その結果、プロトン伝導性を落とすことなく、メタノールの透過を抑制すること等が可能となる。
また、本比較例1〜3で用いた架橋剤は、耐久性に優れたものであるが、この発明で使用した架橋性単量体も、同等の耐久性を示すものである。
この発明の電解質膜は、従来の組成による電解質膜に比べ、耐久性を損なうことなく、イオン伝導性とメタノール透過防止性のバランスを向上させることができ、DMFC等のメタノールを始めとして、エタノール、イソプロパノール、ギ酸等を燃料とする燃料電池用途として、極めて有用である。また、燃料電池のみならず、各種センサー等の電気化学デバイス素子や、電気分解用の分離膜の用途にも適用できる。

Claims (8)

  1. 少なくとも下記(a)、(b)の2種の重合性単量体を構成単量体とする重合体からなること
    を特徴とする燃料電池用高分子電解質。
    (a)分子中に、重合可能な炭素炭素二重結合とイオン交換を可能とする官能基を併せ持つ単量体
    (b)分子中に、下記構造式1で示される官能基を3個以上有する架橋性単量体
    (化1)
    CH=CRCONH− …… (1)
    但し、式中、Rは、水素原子またはメチル基である。
  2. 前記(b)の架橋性単量体は、
    下記構造式2で表されるものであること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質。
    (化2)
    N(−R−NH−C(=O)−CR=CH)…… (2)
    但し、式中、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基、Rは、水素またはメチル基で、式中に3個存在するRおよびRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
  3. 前記(b)の架橋性単量体は、
    トリス{(N−アクリロイル)−2−アミノエチレン}アミン、またはトリス{(N−メタクリロイル)−2−アミノエチレン}アミンであること
    を特徴とする請求項2に記載の燃料電池用高分子電解質。
  4. 前記(a)の単量体のイオン交換を可能とする官能基は、
    スルホン酸基またはスルホン酸塩基であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質。
  5. 前記(a)の単量体は、
    2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、またはこれらの塩であること
    を特徴とする請求項4に記載の燃料電池用高分子電解質。
  6. 前記の重合体を構成する(a)、(b)の2種の単量体は、
    全構成単量体中に占める割合が、それぞれ25〜99.9質量%、0.1〜75質量%であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された燃料電池用高分子電解質が、
    多孔質基材の細孔内に充填されていること
    を特徴とする燃料電池用電解質膜。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質、または請求項7に記載の燃料電池用電解質膜を用いて形成されたこと
    を特徴とする直接液体燃料形燃料電池。
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