JPWO2009050982A1 - 可変抵抗器 - Google Patents
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Abstract
構成部品点数を少なくし、組み立て工数を減らすことにより生産コストの低減可能な構造の可変抵抗器を提供するものである。摺動子(2b)を取り付ける大径部(2a)が一体的に樹脂成型された回転シャフト(2)を、樹脂からなる外装ケース(3)に回転可能に保持し、複数の柱状のピン端子(4b1〜4b3)の端面が一方の主面に露出し、他方からピン端子(4b1〜4b3)が突出するコネクタ部(4a)をインサートモールドして樹脂成型された樹脂基板(4)の一方の主面において、ピン端子(4b1〜4b3)の露出端面に電気的に接続されるように集電体(42)及び抵抗体(43)を形成し、この樹脂基板(4)を摺動子(2b)が集電体(42)及び抵抗体(43)に接するように外装ケース(3)に嵌合固定して得られた可変抵抗器(1)。
Description
本願発明は、回転シャフトを回転させることで抵抗が可変する回転型の可変抵抗器に係り、特にコネクタ一体型の可変抵抗器の構造に関する。
テレビジョン受像機、ラジオ受信機、ビデオテープレコーダなどの各種の電気機器、あるいは車両または他の電動装置には、回転型の可変抵抗器が用いられている。また、最近の傾向として環境保護の観点から鉛を含むはんだの使用が制限され、これらの可変抵抗器にはコネクタが形成され、コネクタを通じて可変抵抗器に回路基板などの外部回路に電気的に接続する構造が採られ始めている。
このようなコネクタが形成された可変抵抗器として、特許文献1のような構造の可変抵抗器が知られている。以下、特許文献1の可変抵抗器の構造を図7を用いて説明する。
図7に示すように、可変抵抗器101は、回転シャフト102、外装ケース103、基板104、下カバー105を有している。
回転シャフト102の先端には摺動子取付板102aが取り付けられ、その下面には摺動子102bが取り付けられている。
外装ケース103は回転シャフト102を回転自在に保持している。
基板104の上面には、図示しない抵抗体が形成されており、摺動子102bがこの抵抗体上を摺動するような位置関係に設定されている。
下カバー105は、基板104を収納固定できるとともに外装ケース103と組み合って収納空間を形成している。また、下カバー105には外部回路と電気的に接続可能にするコネクタ部105aが形成されている。
コネクタ部105aはコネクタ端子105bを有しており、コネクタ端子105bは接続端子106を介して基板104上の抵抗体に電気的に接続されている。
しかしながら、このような可変抵抗器101の構造では構成部品点数が多く、組み立て工数のかかるものであった。
そこで、特許文献2,3に記載されているように、抵抗体が形成された基板とコネクタ部が形成された下カバーを一体に形成することで部品点数を低減した構造の可変抵抗器が提案されている。図8はこの特許文献2,3の構造を説明するために特許文献3の可変抵抗器の断面図である。
図8に示すように、可変抵抗器201は、回転シャフト202、外装ケース203、基板204を有している。
回転シャフト202の先端には摺動子取付板202aが取り付けられ、その下面には摺動子202bが取り付けられている。
外装ケース203は回転シャフト202を回転自在に保持している。
基板204の上面には、図示しない抵抗体が形成されており、摺動子202bがこの抵抗体上を摺動するような位置関係に設定されている。
また、基板204は、外装ケース203と組み合って収納空間を形成している。また、基板204には外部回路と電気的に接続可能にするコネクタ部204aが形成されている。
コネクタ部204aはコネクタ端子204bを有しており、コネクタ端子204bは金属板を屈曲させて形成しており、その一部が基板204の上面に露出し、図示しない抵抗体と電気的に接続されている。
このような構造にすることで、図7の構造に比べて、基板、下カバーの2点の構成部品が1点になり、組み立て工数についても、基板を下カバーに収納固定する工程、接続端子を介して基板の抵抗体とコネクタ端子とを電気的に接続する工程を減らすことが可能となる。
また、特許文献2,3の構造においては、コネクタ端子204bを金属板を屈曲させて形成しているので、所望の形状に屈曲させることが容易で、フープ材などからの打ち抜きにより量産も容易である。
特開平8−5309号公報
特開平8−153608号公報
特開平10−55906号公報
ところで、コネクタ端子204bを金属板を屈曲させて形成し、基板204表面にその一部を露出させようとした場合、基板表面の抵抗体などへの接続可能な程度の露出面積が必要となることから、特許文献2,3のように金属板の主表面を屈曲させて露出させることになる。この露出面は、基板204表面とほぼ同一平面上に存在することが好ましい。これは、露出面が基板204表面とほぼ同一平面上に存在しない場合、基板204表面に不所望な凸部が生じることになり、基板204に抵抗体や電極を印刷する際の障害となったり、摺動子が摺動する際の障害となるという問題が生じるからである。
しかしながら、金属板を屈曲させることによりコネクタ端子204bを形成した場合、金属板固有の弾性により、90度に折り曲げることは困難である。また、基板204を樹脂形成する場合に、インサートモールドでコネクタ端子204bを埋設する際に、基板204表面におけるコネクタ端子204bの露出面が、基板204表面とほぼ同一平面となるようにコネクタ端子204bを支える部材が必要となる。
そのため、図8の可変抵抗器では、基板204に対してコネクタ端子204bをインサートモールドで埋設する際に、成型金型に押さえピンを設けてコネクタ端子204bを支えるようにしている。図8の孔204cはこの押さえピンを抜いた跡である。
このような複雑な形状の金型は、可変抵抗器の小型化を阻害するものであり、また、金型から取り出す際にも注意が必要なものである。
また、形状が複雑なため、加工ばらつき要因となり、ひいては個々の可変抵抗器の特性ばらつきが懸念される。
本願発明は以上のような点に鑑みてなされたものであって、構成部品点数を少なくし、組み立て工数を減らしたより生産コストの低減可能な構造の可変抵抗器を提供するものである。
すなわち、本願発明の請求項1に係る可変抵抗器は、回転シャフトと、前記回転シャフトの先端に配置された摺動子が接続される集電体及び抵抗体が形成された樹脂基板と、前記回転シャフトを回転可能に保持するとともに前記樹脂基板を収納して嵌合固定するための開口を有する外装ケースと、を含む可変抵抗器であって、前記樹脂基板の一方の主面上に前記集電体及び前記抵抗体が形成され、前記樹脂基板の他方の主面上にコネクタ部が一体的に形成され、前記コネクタ部は、前記樹脂基板の一方主面から他方主面を貫いて突出する柱状の複数のピン端子からなるコネクタ端子と、前記コネクタ端子を囲むように前記樹脂基板の他方主面から突出する枠体とから構成され、前記複数のピン端子の一端は前記樹脂基板の一方主面に露出する端面を有し、前記複数のピン端子のうちの一部のピン端子の前記端面は前記集電体に電気的に接続され、前記複数のピン端子のうちの残るピン端子の前記端面は前記抵抗体に電気的に接続されることを特徴とするものである。
また、本願発明の請求項2に係る可変抵抗器は、前記ピン端子が一端から他端に延びる側面を有し、前記側面に前記ピン端子が軸方向に移動することを規制する軸移動抑止部を備えることを特徴とするものである。
さらに、本願発明の請求項3に係る可変抵抗器は、前記ピン端子の軸移動抑止部が前記側面から突出して前記ピン端子の軸を中心とする放射方向に連続した凸部であることを特徴とするものである。
また、本願発明の請求項4に係る可変抵抗器は、前記ピン端子が一端から他端に延びる側面を有し、前記側面に前記ピン端子が軸を中心に回転することを規制する回転抑止部を備えることを特徴とするものである。
そして、本願発明の請求項5に係る可変抵抗器は、前記樹脂基板が前記一方主面と前記他方主面との間に延びる縁面を有し、前記縁面は前記他方主面側に延長された延長壁を有し、前記延長壁表面には係合部が形成され、前記外装ケースの開口内壁に形成された係合受け部と係合されることで、前記外装ケースと前記樹脂基板が嵌合固定されることを特徴とするものである。
本願発明の可変抵抗器は、コネクタ端子に複数の柱状のピン端子を用いており、樹脂基板の一方主面に、このピン端子の端面が露出するようにしているので、ピン端子の露出面が樹脂基板表面とほぼ同一平面となるように設定することが容易である。また、樹脂基板にピン端子をインサートモールドする際に、一方の金型の平面と柱状のピン端子の端面を接触させ、他方の金型に開けた孔に柱状のピン端子の端面とは逆端を挿入して支持させることで、ピン端子の配置が容易となり、特許文献3のように金型を複雑化することもない。
また、本願発明の請求項2に係る可変抵抗器では、ピン端子の側面に凹部や凸部などの軸移動抑止部を形成しているので、軸方向に移動することを抑止できる。すなわち、コネクタ部に、他のコネクタを差し込んだ際に、ピン端子の軸方向に力がかかり、ピン端子が樹脂基板の一方主面から突出しないようにしている。これにより、ピン端子が軸方向に移動した結果、ピン端子の端面に接続された抵抗体や集電体に力が加わり剥離したり、接続不良が生じるなどの問題を抑止している。また、この軸移動抑止部が凸部である場合、樹脂基板にピン端子をインサートモールドする際に、この凸部をピン端子軸方向の位置決めに用いることができ、この位置決めにより、ピン端子の露出面と樹脂基板表面とをほぼ同一平面にすることがより容易になる。
さらに、本願の請求項3に係る可変抵抗器では、側面から突出してピン端子の軸を中心とする放射方向に連続した凸部によりピン端子の軸移動抑止部を形成している。これにより、樹脂基板にピン端子をインサートモールドする際に、この凸部をピン端子軸方向の位置決めに用いることができるという請求項2の凸部の場合の効果だけでなく、この放射方向に連続する凸部が他方の金型に開けたピン端子保持用の孔の蓋となり、樹脂がピン端子保持用の孔に流入することを防ぐことができる。その結果、コネクタ端子の接続部分に不所望な樹脂が付着することを防止することができる。
また、本願の請求項4に係る可変抵抗器では、ピン端子の側面に軸を中心に回転することを規制する回転抑止部を形成しているので、軸を中心に回転することを抑止できる。すなわち、このような軸を中心としてピン端子が回転することによって、ピン端子の端面に接続された抵抗体や集電体に力が加わり剥離したり、接続不良が生じるなどの問題を抑止している。
そして、本願の請求項5に係る可変抵抗器では、樹脂基板が一方主面と他方主面との間に延びる縁面を有し、縁面は他方主面側に延長された延長壁を有し、延長壁表面には係合部が形成され、外装ケースの開口内壁に形成された係合受け部と係合されることで、外装ケースと樹脂基板が嵌合固定されている。これにより、樹脂基板が係合部を有する延長壁を有しており、この延長壁が外装ケースの開口内壁と重ね合わせることができるとともに、延長壁の係合部が外装ケースの開口内壁に設けられた係合受け部と係合して嵌合固定されるので、組み立てが容易で、確実に固定することができる。
以下、本願発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1(A)は可変抵抗器1の断面図であり、図1(B)は可変抵抗器1をコネクタ部4a側から見た平面図である。また、図2(A)は樹脂基板4の一方主面側から見た平面図であり、図2(B)は図2(A)のX−X線断面図である。また、図3は、回転シャフト2及び樹脂基板4を取り付ける前の外装ケース3の断面図である。そして、図4(A)は回転シャフト2の正面図であり、図4(B)は回転シャフト2の大径部2a下面から見た正面図である。
図1(A)に示すように、可変抵抗器1は、回転シャフト2、外装ケース3、樹脂基板4を有している。回転シャフト2の一端側には大径部2aが設けられ、その下面には摺動子2bが取り付けられている。外装ケース3は、回転シャフト2を回転自在に保持している。樹脂基板4は、外装ケース3に嵌合して収納空間を形成している。また、樹脂基板4には外部回路と電気的に接続可能にするコネクタ部4aが形成されている。図1(B)に示すように、コネクタ部4aは複数の柱状のピン端子4b1〜4b3により構成されるコネクタ端子を有している。
図2(A)(B)に示すように、樹脂基板4の一方主面上には柱状のピン端子4b1〜4b3の端面が露出している。また、図2(A)に示すように、ピン端子4b1の露出端面上には電極44が配置されて電気的に接続され、ピン端子4b2の露出端面上には環状の集電体42の延長部分42aが配置されて電気的に接続され、ピン端子4b3の露出端面上には電極45が配置されて電気的に接続されている。さらに、電極44上には抵抗体41の一端が配置され、電極45上には抵抗体41の他端が配置されてそれぞれ電気的に接続されている。
そして、集電体42上には、集電体42を覆うように潤滑膜43が形成されている。潤滑膜43は、図1(A)の摺動子2bが摺動する際に集電体42を保護するためのものである。
また、図2(A)(B)に示すように、樹脂基板4の一方主面上において環状の集電体42の内側には凹部4cが形成されている。これは、図1(A)に示しているように、回転シャフト2の大径部2a下面中央に形成された凸部2cを受け入れるためのものである。これにより回転シャフト2を回転させても軸ずれが生じない。凹部4c底面の溝4dは、回転シャフト2の凸部と樹脂基板4の凹部4cとが回転により摩耗するのを抑制するための潤滑剤を溜めるためのものである。
また、図2(B)に示すように、樹脂基板4は、抵抗体41や集電体42が形成された一方主面とは反対の他方主面側に延長された延長壁4eを有している。また、延長壁4e表面には係合部4fが突出して形成されている。
さらに、図3に示すように、外装ケース3には、回転シャフト2が挿入されて回転可能に保持する保持穴3aを有している。
また、外装ケース3には、樹脂基板4が収容されて嵌合固定するための開口3bを有している。開口3bには、可撓性をもって樹脂基板4の収容を容易にするとともに、弾性により樹脂基板4を保持するためのスリット3cが形成されている。また、開口3bの内壁には、図2(B)に示す樹脂基板4の延長壁4e表面に形成された係合部4fと係合する係合受け部3dが形成されている。また、外装ケース3は、図示しないパネルに可変抵抗器1を取り付ける際に回転位置決めのための回転止め3eを有している。
そして、図4(A)(B)に示すように、回転シャフト2はその一端側に大径部2aを有しており、その下面中央に、樹脂基板4の一方主面に設けられた凹部4cに差し込む凸部2cが形成されている。また、大径部2a下面には三つのかしめ部2dが形成されており、これにより摺動子2bが大径部2a下面に取り付けられる。また、大径部2a下面と摺動子2bの摺動接点2b1,2b2に対して所定の距離を生じさせるために、大径部2a下面に凹み2eが形成されている。
摺動子2bの摺動接点2b1は樹脂基板4の一方主面上の抵抗体41上を摺動し、摺動子2bの摺動接点2b2は樹脂基板4の一方主面上の集電体42を覆う潤滑膜43上を摺動するように配置されている。なお、摺動接点2b1,2b2がそれぞれ複数に分割されているのは、摺動時の接触を確実にするためである。
次に、本願発明のコネクタ端子となる柱状のピン端子について図5を用いて説明する。なお、上述の実施形態における他のピン端子4b2,4b3は、ピン端子4b1と同様に構成されるため、ピン端子4b1を例に挙げて説明する。図5(A)は、上述の実施形態で用いていたピン端子4b1の正面図とその上方に示したY−Y線での断面図である。図5(B)〜(D)は、 ピン端子4b1の変形例である。
ピン端子4b1は、銅合金例えば黄銅などからなる線材を、冷間塑性加工であるヘッダー加工により成型することにより得られる。線材を構成する金属としては鉄や洋白などでもよい。銅合金や鉄の場合は、線材表面の酸化防止や導電性を得るために金や錫めっきなどによる表面処理を行う。洋白の場合はこのような表面処理は不要とすることも可能となる。また、ヘッダー加工時に切削を併用してもよいが、その分、材料取りロスが生じるので、極力ヘッダー加工で行うのが好ましい。
ピン端子4b1の一端は、図2(A)(B)に示した樹脂端子の一方主面において露出端面となる端面4b1aが形成され、他端は、コネクタ端子として使用する際に、相手側のコネクタの孔に差し込みやすいように図5に示すようにテーパ4b1bが設けられている。
また、ピン端子4b1の一端から他端に延びる側面上には、軸移動抑止部4b1cが形成されている。この軸移動抑止部4b1cにより、図1(A)に示すコネクタ部4aに相手側のコネクタが差し込まれた際に、ピン端子4b1が軸方向に移動して、図1(A)に示す樹脂基板4の一方主面側に突出することを防止している。なお、図5においては、軸移動抑止部4b1cはピン端子4b1の軸を中心として放射方向に連続する凸部である。この軸移動の抑止という効果について凸部は連続していなくても良く、軸移動抑止部を凹部で構成してその部分に樹脂基板4の樹脂が回りこむように樹脂成型しても同様の効果が得られるが、ピン端子の強度を考慮すると、ピン端子の軸を中心として放射方向に連続する凸部であるのが好ましい。
また、図5(A)に示すように、ピン端子4b1側面には端面4b1aと軸移動抑止部4b1cとの間に回転抑止部4b1dが形成されている。図5(A)上方にY− Y線断面が記載されているように、回転抑止部4b1dは断面が偏平状で、図5(A)正面図に記載されているように、ピン端子4b1側面から突出した形状となっている。このような形状とすることにより、ピン端子4b1が軸を中心として回転する方向に力が加わった場合、この回転抑止部4b1dが樹脂基板4の樹脂と共働してピン端子4b1の回転を抑止することができる。
次に、ピン端子4b1の変形例について図5(B)〜(D)を用いて説明する。なお、図5(A)のピン端子4b1と同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
ピン端子5b1は、図5(A)のピン端子4b1とは回転抑止部5b1dの形状で異なっている。すなわち、図5(B)に示すように、回転抑止部5b1dは、軸を中心とした放射方向に複数の突出部を突出させた形状となっている。これにより、回転抑止部5b1dにおいて突出部間の谷間に樹脂基板4の樹脂が入り込むことになるので、ピン端子4b1の回転抑止部4b1dよりも、より強い力に対して回転を抑止することができる。
ピン端子6b1は、図5(C)に示すように、回転抑止部6b1dが、ピン端子6b1の側面の二ヶ所において突出部を突出させた形状となっている。この構造は図5(B)の回転抑止部5b1dよりも形状が単純であるため加工が容易である。また、図5(A)の偏平な回転抑止部4b1dに比べるとピン端子6b1の長さ方向の曲げに対して強い構造であるといえる。
ピン端子7b1は、図5(D)に示すように、図5(C)のピン端子6b1とは端面7b1aの形状で異なっている。端面7b1aはピン端子7b1の主要部の軸方向に垂直な断面積よりも広い面積を有するような大径部が形成されている。ピン端子7b1の端面7b1aは、図2(A)(B)に示した樹脂端子の一方主面において露出端面となるので、図5(D)に示すような形状にすることで、軸方向移動抑止効果を大きくできるとともに、図2(A)(B)の集電体42や電極44,45との接触面積を大きくすることができ、電気的な接続の信頼性を高めることができる。
次に、本願発明に係る可変抵抗器1の製造方法について図を用いて説明する。
まず、図4に示す回転シャフト2を樹脂成型により形成する。大径部2a、凸部2c、かしめ部2d、凹部2eはこの樹脂成型により一体的に形成される。なお、製造に用いる樹脂としては、PPS樹脂、LCP樹脂のほかPBT樹脂やポリアミド樹脂などが挙げられるが、PTFEなどの潤滑性素材を含むグレードが好ましい。また、ガラス繊維の混入は無くすか極力少量にすることが好ましい。これは、回転シャフト2を回転させた際に、外装ケース3や樹脂基板4との間で摩擦が生じる部分があるため、この摩擦による摩耗を軽減するためである。
そして、銅合金などの金属板フープ材をプレス加工して形成した摺動子2bの孔に回転シャフト2のかしめ部2dを通して熱かしめすることにより、回転シャフト2の大径部2a下面に摺動子2bを取り付ける。なお、かしめ部2dの成型は熱かしめの他、超音波かしめ等を用いることができる。
また、図3に示す外装ケース3についても樹脂成型により形成する。保持穴3a、開口3b、スリット3c、係合受け部3d、回転止め3eはこの樹脂成型により一体的に形成される。なお、製造に用いる樹脂としては、回転シャフト2と同様に、PPS樹脂、LCP樹脂のほかPBT樹脂やポリアミド樹脂などが挙げられるが、回転シャフト2と同じ理由でPTFEなどの潤滑性素材を含むグレードが好ましく、ガラス繊維の混入は無くすか極力少量にすることが好ましい。
さらに、図2に示す樹脂基板4についても樹脂成型により形成する。コネクタ4a、凹部4c、溝4d、延長壁4e、係合部4fはこの樹脂成型により一体的に形成される。なお、製造に用いる樹脂としては、PPS樹脂、LCP樹脂が好ましい。これは、樹脂基板4については強度や成型容易性、耐熱性などが特に求められるからである。
また、樹脂基板4は樹脂成型する際に、ピン端子4b1〜4b3がインサートモールドにより埋設されている。この工程について、図6を用いて説明する。図6は樹脂基板4の樹脂成型時のコネクタ部4部分の拡大断面図である。
図6に示すように、上金型80aと下金型80bの間に樹脂基板4の形状に合わせた空間が形成されており、ピン端子4b1はあらかじめ下金型80bに形成された端子保持用の孔に挿入され、この状態で上金型80aと下金型80bの間の空間に樹脂90を注入することで樹脂基板4を樹脂成型している。
ピン端子4b1の端面4b1aは上金型80aの下面に接しており、樹脂90注入時に樹脂90が端面4b1a上に回り込まない。したがって、完成した樹脂基板4の一方主面上において端面4b1aが露出する。
ピン端子4b1の軸移動抑止部4b1cは、ピン端子4b1が下金型80bに形成された端子保持用の孔から突き出る長さを規定している。すなわち、軸移動抑止部4b1cはピン端子4b1の軸を中心として放射方向に連続する凸部であり、ピン端子4b1の主要部よりも突出しているため、下金型80bの端子保持用の孔にそれ以上挿入されない。したがって、ピン端子4b1の端面4b1aと軸移動抑止部4b1cとの間の長さを適宜設定することで、ピン端子4b1の端面4b1aは上金型80aの下面に接するように配置するための位置決めとして機能する。また、軸移動抑止部4b1cはピン端子4b1の軸を中心として放射方向に連続する凸部であるため、下金型80bの端子保持用の孔を完全に覆うことになる。これにより、ピン端子4b1の側面と下金型80bの端子保持用の孔との間に若干の隙間が存在しても、上金型80aと下金型80bの間の空間に樹脂90を注入した時、この隙間に樹脂90が流入することを阻止できる。したがって、ピン端子4b1をコネクタ端子として用いたときに、電気的接続に用いる部分に不所望な樹脂が付着することを防止することができ、このような不良品が製造されることを防止することができるので、歩留まりが良くなり生産コストを低減できる。
次に、このように樹脂成型された樹脂基板4の一方主面上に、延長部分42aを有する環状の集電体42、電極44,45が導電性ペーストを所定の形状で所定位置に印刷し、熱処理することにより形成される。導電性ペーストとしては、銀粒子を含む導電性樹脂が好ましい。なお、集電体42、電極44,45は同時に形成するのが工程数を減らす意味でも好ましいが、集電体42、電極44,45を別材料にする場合は、印刷工程を別にしても良い。この導電ペーストの印刷、熱処理の結果、ピン端子4b1の露出端面と電極44、ピン端子4b2の露出端面と集電体42の延長部分42a、ピン端子4b3の露出端面と電極45がそれぞれ電気的に接続される。
次に、電極44,45上を覆うとともに集電体42を囲むように円弧状に抵抗体41が、カーボンを含む抵抗ペーストを印刷、熱処理することにより形成される。
また、集電体42上には潤滑膜43が印刷、熱処理により形成される。この潤滑膜43は、摺動子2bが摺動する際に集電体42を保護するためのものであり、潤滑性とともに導電性を有する材料である必要がある。なお、潤滑膜43によって若干抵抗値は上がるが、その下に集電体42がある構成であって潤滑膜43の厚み分だけの抵抗値が上がるだけなので、潤滑膜の材料の抵抗値はそれ程問題にならない。そのため、抵抗体41と同様にカーボンを含む抵抗ペーストを用いることができ、同じ材料を用いる場合には、抵抗体41の印刷形成、熱処理と同時に行うことができるので、工程数を減らすことができ、生産コストを低減できる。
以上のような、回転シャフト2、外装ケース3、樹脂基板4を用意し、これらを組み立てることで、図1のような可変抵抗器1を得ることができる。
まず、外装ケース3の保持穴3aに、回転シャフト2を挿入し、回転自在に保持する。次に樹脂基板4を外装ケース3の開口3bに圧入する。この時、外装ケース3の開口3bに設けられたスリット3cによって外装ケース3の開口3bが広がり、樹脂基板4の圧入を容易にする。圧入後、樹脂基板4の延長壁4e表面に形成された係合部4fが、外装ケース3の係合受け部3dに嵌まる。
その一方で、外装ケース3は樹脂性であるため弾性を有しており、この弾性による力は元の形状に戻る方向に加わる。スリット3c部分で一端広がったものが元に戻ろうとするので、結果的に樹脂基板4を押し出す方向に働くが、係合部4fと係合受け部3dとの係止によって、樹脂基板4は押し出されない。その結果、樹脂基板4は外装ケース3の確実に嵌合固定されることになる。
以上のように、本願発明の可変抵抗器1は、回転シャフト2、外装ケース3、樹脂基板4で構成できるので、構成部品点数が少なく、上記したように組み立ても容易である。したがって、小型化が容易で生産コストを大幅に減少させることが可能となる。
以上のように、本発明は、可変抵抗器に有用であり、特に、構成部品点数を少なくし、組み立て工数を減らしたより生産コストの低減できる点で優れている。
Claims (5)
- 回転シャフトと、前記回転シャフトの先端に配置された摺動子が接続される集電体及び抵抗体が形成された樹脂基板と、前記回転シャフトを回転可能に保持するとともに前記樹脂基板を収納して嵌合固定するための開口を有する外装ケースと、を含む可変抵抗器であって、
前記樹脂基板の一方の主面上に前記集電体及び前記抵抗体が形成され、
前記樹脂基板の他方の主面上にコネクタ部が一体的に形成され、
前記コネクタ部は、前記樹脂基板の一方主面から他方主面を貫いて突出する柱状の複数のピン端子からなるコネクタ端子と、前記コネクタ端子を囲むように前記樹脂基板の他方主面から突出する枠体とから構成され、
前記複数のピン端子の一端は前記樹脂基板の一方主面に露出する端面を有し、
前記複数のピン端子のうちの一部のピン端子の前記端面は前記集電体に電気的に接続され、
前記複数のピン端子のうちの残るピン端子の前記端面は前記抵抗体に電気的に接続される、
ことを特徴とする可変抵抗器。 - 前記ピン端子は、一端から他端に延びる側面を有し、前記側面に前記ピン端子が軸方向に移動することを規制する軸移動抑止部を備えることを特徴とする請求の範囲第1項記載の可変抵抗器。
- 前記ピン端子の軸移動抑止部は、前記側面から突出して前記ピン端子の軸を中心とする放射方向に連続した凸部であることを特徴とする請求の範囲第2項記載の可変抵抗器。
- 前記ピン端子は、一端から他端に延びる側面を有し、前記側面に前記ピン端子が軸を中心に回転することを規制する回転抑止部を備えることを特徴とする請求の範囲第1項ないし請求の範囲第3項のいずれかに記載の可変抵抗器。
- 前記樹脂基板は、前記一方主面と前記他方主面との間に延びる縁面を有し、前記縁面は前記他方主面側に延長された延長壁を有し、前記延長壁表面には係合部が形成され、
前記外装ケースの開口内壁に形成された係合受け部と係合されることで、前記外装ケースと前記樹脂基板が嵌合固定されることを特徴とする請求の範囲第1項ないし請求の範囲第4項のいずれかに記載の可変抵抗器。
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