JPWO2009008362A1 - シアル酸化合物含有組成物の製造方法 - Google Patents

シアル酸化合物含有組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、シアル酸化合物を含有する天然の原料である、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工品などから、シアル酸化合物の含有率が顕著に高いシアル酸化合物含有組成物を効率的、且つ経済的に製造する方法を提供することを目的とする。本発明は、シアル酸化合物を含有する液体原料もしくはシアル酸化合物を含有する固形原料を水に溶解もしくは懸濁した液体を原料として用い、シアル酸化合物資化能を有さず、前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物を前記原料中で培養し、前記原料に含まれるシアル酸化合物以外の糖質を資化させた後に、前記微生物を除去することからなる、シアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供する。

Description

本発明は、シアル酸化合物を含有する天然の原料、例えば、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工品などの原料から、シアル酸含有化合物の含有率が顕著に高いシアル酸化合物含有組成物を、効率的、且つ経済的に製造する方法に関する。
さらに詳細には、本発明は、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工品などの原料から、シアル酸化合物非資化性微生物を用いて目的のシアル酸化合物以外の糖質を資化させ、培養後に菌体を分離することにより、さらには、それに加えて、菌体除去後の培養液を電気透析や限外ろ過によってシアル酸化合物以外の夾雑物を除去することにより、全固形分あたりのシアル酸化合物の含有率が原料に比して顕著に高まったシアル酸化合物含有組成物を製造する方法に関する。
シアル酸は、脳に含まれる糖脂質や唾液中のムチンを弱酸で加水分解したときに遊離される主要な産物として発見された、糖の一群の総称であり、多数の分子種が含まれる。現在、シアル酸はアミノ九単糖酸であるノイラミン酸(neuraminic acid)のアシル誘導体の総称として定義されている。シアル酸は主に動物の組織の成分であり、生体内におけるシアル酸の分布は大きく分けて3つの画分に認められる。1つめは糖タンパク質の糖鎖の構成分として、2つ目はオリゴ糖の構成糖として、3つ目は、糖脂質の構成糖としてである。
牛乳においては、初乳期に最も多く存在し、全シアル酸として約560mg/kg初乳の存在が認められている。移行期初乳(2回目以降の搾乳で得られた初乳)から泌乳後期は比較的安定な値を示し、約150〜215mg/kg牛乳の含有量であると報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
牛乳中に含まれるシアル酸結合型タンパク質としては、κ−カゼインと免疫グロブリンが挙げられる。全シアル酸量の約30〜50%が、κ−カゼインに結合した形で含まれており、初乳では約160mg/kg初乳、成熟乳の場合約80mg/kg牛乳のシアル酸が存在している(例えば、非特許文献1参照)。κ−カゼインに含まれるシアル酸は、タンパク質のC−末端側に位置し、牛乳を凝乳酵素(キモシン)で処理した場合には、親水性物質として遊離するグリコマクロペプチド(κ−カゼインの106〜169残基に位置するペプチド断片)としてホエイに移行する。甘性ホエイには固形分中0.16〜0.2%のシアル酸が含まれるといわれる(例えば、非特許文献2参照)。
シアル酸は牛乳中では、オリゴ糖の構成成分としても存在し、3’シアリルラクトース、6’シアリルラクトース(以下、本明細書において、これらをシアリルラクトースと記載する。)としての存在量が多い。なお、糖脂質、すなわちガングリオシドに存在するシアル酸は極めて少ないので、乳中の全シアル酸量に対する寄与はほとんどない。
牛乳中に含まれる全シアル酸において、シアル酸結合型糖タンパク質であるκ−カゼインとオリゴ糖結合型シアル酸であるシアリルラクトースの割合は、60〜70%を占める。また、牛乳に存在するシアル酸のほとんどはN−アセチルノイラミン酸であるといわれる。
シアル酸は、複合糖質の糖鎖を終結させる役割をもち、細胞表面の接着や固定に影響している。また、インフルエンザウイルスや細菌が細胞に接着する際のレセプターとしての作用、加水分解酵素に対する保護作用などが知られている。それ故、シアル酸は、インフルエンザ感染予防剤及び治療薬の創薬原料として極めて大きな産業的ニーズがある。また、シアリルラクトースについても、たくさんの機能性が知られており、例えば、ヒト免疫不全ウィルス感染予防薬・増殖抑制剤、皮膚外用剤組成物、インスリン分泌促進剤、シアロムチンの分泌促進剤、脳ガングリオシド含量減少抑制剤など、産業上の用途は極めて広く多様である。
遊離シアル酸及びシアル酸結合型オリゴ糖などのシアル酸化合物を、天然素材から分画精製する方法としては、たくさんの方法が知られている。
天然のシアル酸の分離源としては、牛乳やホエイ以外にも、鶏卵、海燕の巣などが知られている。乳中に存在する天然のシアル酸は遊離型の形ではほとんど存在せず、タンパク質や、オリゴ糖、脂質に結合した形で微量に存在する。それ故、シアル酸を遊離の形で分画精製するには、酸で加水分解してシアル酸を遊離させる方法や、シアル酸を遊離する酵素(シアリダーゼ)を用いる方法が行われている。
しかし、遊離させたシアル酸を分離精製するには、共存する乳糖、タンパク質、脂質、灰分などから効率良く分離する必要がある。また、シアル酸結合型オリゴ糖を分離精製する場合も同様に、大量に存在する乳糖と分離する必要がある。
それ故、これらシアル酸化合物を牛乳やホエイから精製する場合には、共存する乳糖や有機酸との分離が時間を要し、濃縮分画精製の効率を低下させ、経済性を低下させている。
ここで従来のシアル酸化合物の分離技術を、遊離シアル酸とシアル酸結合型オリゴ糖に分けて概観する。
遊離シアル酸の分離法について、特許文献1には、シアル酸を含有する乳質物質を酸で加水分解してシアル酸を遊離させて得られるシアル酸含有加水分解液を、電気透析により脱塩処理した後、再び電気透析により精製処理してシアル酸を得ることを特徴とするシアル酸の調製法が記載されている。この方法は、電気透析のみで遊離シアル酸の濃縮精製を行うため、時間を要し、大量に製造するにはコストの点で好適でない方法である。また、酸が加わった乳糖とタンパク質を含む廃液が大量に生じ、これから乳糖を生産するとしても、乳糖の相対的な価格の低さから、経済性が乏しい方法である。
また、特許文献2には、シアル酸含有天然物の加水分解液を、シアル酸透過性のルーズな膜および脱塩用のタイトな膜である少なくとも2種類のイオン交換膜を用い、少なくとも2段階の電気透析によりシアル酸を得ることを特徴とするシアル酸の精製法が開示されている。しかし、2段の電気透析により大量の電力を消費するため不経済であり、また混在する他の成分との分離も困難と認められ、経済性及び得られる遊離シアル酸の純度の点で不十分な方法と認められる。また、この場合も、原料に僅かにしか含まれていないシアル酸を回収しようとすると、酸が加わった乳糖とタンパク質を含む廃液が大量に生じ、これから乳糖を生産するとしても、乳糖の相対的な価格の低さから、経済性が乏しい方法である。
この他にも、遊離シアル酸を分離する特許は多くあるが、いずれの方法においても、大量のシアル酸を経済性の高い方法で製造する方法を開示するものはない。
シアル酸結合型オリゴ糖やシアル酸結合型ペプチド(グリコマクロペプチド)などの分離精製に関する特許も数多くある。
特許文献3には、シアル酸化合物を含有する全脂乳、ホエイ、乳糖母液、脱脂乳またはバターミルクを陽イオン交換樹脂と強塩基性イオン交換樹脂を併用して脱塩処理した後、得られる通過液を濃縮するか、もしくは、更に乾燥粉末化することを特徴とするシアル酸化合物を含有する脱塩濃縮乳及び脱塩粉乳の調製方法が開示されている。しかし、特許文献3の実施例には、シアル酸化合物の固形分中含有率を0.5%程度に増加できる記載が認められるのみであり、特許文献3の記載の方法で調製されるシアル酸化合物は、純度の点で不十分な方法と認められる。
また、特許文献4には、シアル酸結合オリゴ糖を含有する、乳質原料物質の限外濾液あるいは乳糖製造工程で生成する糖蜜を、電気透析により脱塩した後、アニオン交換樹脂を充填したカラムに通してシアル酸結合オリゴ糖を該樹脂に吸着させ溶出し(クロマトグラフィ処理を行い)、得られる液をそのpHを中性付近に調整した後再び電気透析により脱塩することを特徴とするシアル酸結合オリゴ糖の調製方法が開示されている。しかし、原料全体をアニオン交換樹脂に吸着させ、シアル酸結合オリゴ糖のみを溶出させるためには長時間を要し、さらにクロマトグラフィ処理に用いる当該樹脂などへの設備投資が大きいため、製造する効率や経済性が乏しい方法と認められる。
さらに、特許文献5には、シアル酸結合オリゴ糖を含む原料溶液を分離剤としてカチオン交換樹脂を用いる擬似移動床式クロマト分離装置に供給してシアル酸結合オリゴ糖を含む画分を分離することを特徴とするシアル酸結合オリゴ糖の分離方法が開示されている。しかし、当該方法もクロマトグラフィ処理に基づく方法であり、製造コストの点で実用的な方法ではない。
なお、シアル酸化合物のうち、遊離のシアル酸の製造に関しては、乳、ホエイ、脱脂卵黄などから分離精製する方法以外に、大腸菌が生産するコロミン酸を加水分解することによって、N−アセチルノイラミン酸が製造できることが知られている。コロミン酸は、培養で任意の量が生産可能である(例えば、特許文献6参照)。しかし、この方法は、培地から分離するために、乳から分離するのと同等の精製工程を経る必要があり、生産に用いる微生物が大腸菌であるため、食品としてはふさわしくない。
上記のように、天然由来のシアル酸化合物は、主に動物性由来の素材に含まれるが、特に乳、ホエイ及びその派生物に多く含まれ、工業的にはホエイから分離されることが多い。また、これらのうちのシアル酸結合型オリゴ糖は、シアリルラクトースとして特に初乳に多く含まれることから、初乳から分離されることが多い。ここで初乳というのは、乳牛が仔牛を分娩後、5日間以内に分泌する牛乳のことをいう。
初乳もホエイもシアル酸化合物に比較して大量の乳糖が含まれており、シアル酸化合物の含量に比べて圧倒的に大量に存在している乳糖からの分離を行う必要がある。それ故、前記特許文献1〜5を含む、従来のどのようなシアル酸化合物の精製法においても、乳糖との分離がシアル酸化合物の精製法の経済性を低下させる大きな要因のひとつとなっている。さらに、従来の精製法においては、シアル酸化合物をホエイ等から精製するために、シアル酸を遊離させるために酸を加えたホエイが大量に発生し、そこから乳糖を生産するとしても、乳糖の経済的な価値が低いことから、結局、大量の廃棄物を生じることも大きな問題であった。
ジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス、第84巻、995−1000頁、2001年[Journal of Dairy Science, 84, p995-1000, (2001)) ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フードケミストリー、第47巻、2613−2616頁、1999年[Journal of Agricultural and Food Chemistry, 47, p2613-2616, (1996)] 特公平07−103139号公報 特許第2899844号公報 特公平4−69978号公報 特公昭63−28428号公報 特許第3368389号公報 特許第2620795号公報
本発明は、シアル酸化合物を含有する天然の原料である、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工品などから、シアル酸化合物の含有率が顕著に高いシアル酸化合物含有組成物を効率的、且つ経済的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工品に微量にしか存在しない遊離シアル酸あるいはシアル酸結合型オリゴ糖などのシアル酸化合物を、シアル酸化合物非資化性であり、且つシアル酸化合物以外の主要な糖質の資化性を有し、できればさらに有機酸の資化性を有する微生物を用いて培養し、混在する大量の乳糖、その他の糖質、有機酸を微生物に資化させて菌体として除去することによって、培養後の溶液中の全固形分に占めるシアル酸化合物の相対的な濃度を飛躍的に上昇させることができることを見出した。また、その後のシアル酸化合物の分離精製を極めて容易化できることを見出した。
さらに、前記微生物として、Kluyveromyces属の酵母が好適であることを見出した。
また、このシアル酸化合物非資化性の微生物で培養する前、あるいは後に、このシアル酸化合物の分子量よりも分画分子量のやや大きい限外濾過膜、すなわち、シアル酸化合物が透過できる分画分子量を有した限外濾過膜で濾過し、その後、電気透析によって脱塩することで、シアル酸化合物含有組成物中にシアル酸化合物の相対的な濃度をさらに飛躍的に高めることが可能となることを見出した。
さらに、本発明者は、シアル酸化合物以外の糖質や有機酸を微生物に資化させる際に、アルコール発酵を同時に行うことによって、アルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物が製造できることを見出した。
このように、シアル酸化合物含有組成物の製造と、酵母菌体や、アルコールなどの有価物の製造が同時に可能となり、シアル酸化合物含有組成物を生産する経済性を著しく高めることが明らかになった。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、請求項1に係る本発明は、シアル酸化合物を含有する液体原料もしくはシアル酸化合物を含有する固形原料を水に溶解もしくは懸濁した液体を原料として用い、シアル酸化合物資化能を有さず、前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物を前記原料中で培養し、前記原料に含まれるシアル酸化合物以外の糖質を資化させた後に、前記微生物を除去することからなる、シアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、前記微生物が、前記シアル酸化合物以外の糖質の資化能に加えて、有機酸の資化能を有するものである、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、前記原料が、乳、ホエイ、乳とホエイの混合物、乳の加工品、ホエイの加工品、及び乳とホエイの混合物の加工品よりなる群から選ばれる1以上のものである、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、前記微生物が、シアル酸化合物資化能を有さず、乳糖資化能を有する微生物である、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項5に係る本発明は、前記微生物が、シアル酸資化能及び/又はシアリルラクトース資化能を有さず、乳糖資化能、グルコース資化能及びガラクトース資化能を有する微生物である、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項6に係る本発明は、前記微生物が、酵母である、請求項5に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項7に係る本発明は、前記酵母が、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属の酵母である、請求項6に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項8に係る本発明は、前記原料中での前記微生物の培養を、前記微生物がアルコール発酵することが可能な条件下で行う請求項1〜7のいずれかに記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項9に係る本発明は、前記培養後に前記微生物を除去した後、アルコール発酵により生じたアルコールを蒸留によって分離する、請求項8に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
請求項10に係る本発明は、請求項8に記載の方法により得られる、シアル酸化合物含有組成物を用いることを特徴とする、アルコール飲料あるいは酒類の製造方法を提供するものである。
請求項11に係る本発明は、前記原料を前記微生物で培養する前に、あるいは培養後に、前記原料あるいは培養物をシアル酸化合物の分子量よりも大きい分画分子量の限外濾過膜で限外濾過し、シアル酸化合物を透過液側に透過せしめ、その透過液をさらに電気透析で脱塩処理する請求項1〜7のいずれかに記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、シアル酸化合物を含有する天然の原料である、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工物などから、シアル酸化合物の含有率が顕著に高いシアル酸化合物含有組成物を、効率的、且つ経済的に製造する方法を提供することができる。
また、本発明により提供されるシアル酸含有組成物は、シアル酸化合物の含有率が極めて高いので、シアル酸化合物を含有する食品や医薬品の製造原料としての利用が可能となる。
なお、本発明は、シアル酸化合物の含有率を顕著に高める方法として、人にとって安全な素材のみを用いた培養による方法である。また、本発明によれば従来法と比較して、スケールアップが容易であるため、経済的にも優位性が高い。また、培養後には培地に含まれている固形分の大部分を微生物菌体として回収し、酵母菌体、家畜飼料、酵母エキス原料、酵素等の原料などの有価物として利用できるため、その後の廃棄物処理の負荷を下げることも可能となる。
さらには、本発明によれば、アルコールを同時に含有させることができるシアル酸化合物含有組成物の製造方法が提供できる。従って、アルコール生産とシアル酸化合物含有組成物の生産を同時に実施できる。また、シアル酸化合物を含有するアルコール飲料や酒類などを製造することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、シアル酸化合物を含有する天然の原料、例えば、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工物などの原料から、シアル酸化合物非資化性微生物を用いてシアル酸化合物以外の糖質を資化させ、培養後に菌体を分離することにより、シアル酸化合物の固形分あたりの含有率が原料に比して顕著に高まったシアル酸化合物含有組成物を製造する方法に関するものである。
即ち、本発明は、シアル酸化合物を含有する液体原料もしくはシアル酸化合物を含有する固形原料を水に溶解もしくは懸濁した液体を原料として用い、シアル酸化合物資化能を有さず、且つ前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物を前記原料中で培養し、前記原料に含まれるシアル酸化合物以外の糖質を資化させた後に、前記微生物を除去することからなる、シアル酸化合物含有組成物の製造方法である。
また、原料の培養前あるいは培養後に、シアル酸化合物よりも分画分子量の大きい限外濾過膜を用いて限外濾過し、シアル酸化合物を透過液側に透過させ、これを電気透析することで、さらに高い含有率のシアル酸化合物含有組成物を製造する方法に関するものである。
本発明における「シアル酸化合物」とは、遊離シアル酸、あるいはシアル酸が結合した化合物である、シアル酸結合型糖質を指す。
遊離シアル酸とは、シアル酸が単体の分子として遊離したものを指す。なお、以下、本明細書において、単に「シアル酸」と記載される場合は、遊離シアル酸を意味するものである。
シアル酸結合型糖質とは、具体的には、シアル酸結合型オリゴ糖であるシアリルラクトースなどを挙げることができる。シアリルラクトースとしては、具体的には、3’シアリルラクトース、6’シアリルラクトースなどを挙げることができる。
なお、シアル酸含有タンパク質やシアル酸結合型脂質は、本発明の製造方法によって濃縮回収することができないため、本発明の製造方法から得られるシアル酸化合物には含まれない。ただし、シアル酸含有糖タンパク質であるカゼイン、免疫グロブリン、グリコマクロペプチドなどに含まれるシアル酸分子は、以下の加水分解工程を経ることによって、遊離シアル酸として回収することができる。
本発明におけるシアル酸化合物を含有する原料としては、乳、ホエイおよびこれらの加工品である、粉乳、ホエイパウダー、濃縮ホエイ、濃縮ミネラルホエイ、粗乳糖、乳糖製造時における乳糖結晶化後の母液などを挙げることができる。
また、原理的には乳以外の、燕巣(漢方素材)、卵黄オイルを製造する際に生じる脱脂卵黄などのシアル酸とそれ以外の糖を含有する天然素材も本発明の原理を利用して、シアル酸化合物含有組成物の製造に利用できる。
本発明に用いることできる乳、ホエイとしては、牛から搾乳されたものに限らず、ヤギ、馬、ラクダ、羊などの獣乳から搾乳されたものを用いることも可能である。ここで、乳としては、牛乳または牛の初乳が好ましい。ここで、初乳という言葉は、通常、ウシの分娩後、5日以内に分泌される乳のことで、それ以降に搾乳される通常の牛乳とは区別されている。日本においては、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)で定義されている。しかし、この発明で、乳と呼ぶ場合、初乳を含めた概念として扱う。
本発明においては、これらの中でも、乳、ホエイ、乳とホエイの混合物、乳の加工品、ホエイの加工品、及び乳とホエイの混合物の加工品よりなる群から選ばれる1以上のものが好ましい。
特に、ホエイあるいは加工品である脱脂乳を用いることが好ましい。従って、乳を原料として用いる場合、遠心分離などの操作を行って、脱脂乳として用いることが望ましい。
また、本発明に好適なホエイとしては、チーズ製造時に発生した液状ホエイ、あるいは、ホエイパウダーを水で還元した還元ホエイを挙げることができる。
本発明のシアル酸化合物含有組成物の製造方法は、シアル酸化合物を含有する前記の如何なる分子種をも対象とした方法であるが、特には、乳、ホエイおよびこれらの加工物に豊富に含まれる、シアル酸結合型オリゴ糖である「シアリルラクトース」、およびカゼイン、免疫グロブリン、グリコマクロペプチドなどのシアル酸結合型タンパク質、並びにシアリルラクトースを酸によって加水分解することで遊離する「遊離シアル酸」の濃縮回収を目的とした方法である。
本発明では、遊離シアル酸とシアリルラクトースを、酸による加水分解工程の有無を除いて、ほぼ同じ設備と同じ方法で製造することができる。
本発明におけるシアル酸化合物含有組成物の製造は、次の方法により行うことができる。
本発明の原料としては、前記したシアル酸化合物を含有する原料を液体原料として、用いることができる。
乳、ホエイを原料として用い、微生物として酵母を用いる場合は、溶存している糖が、酵母が十分生育可能な糖の濃度であれば良いので、乳、ホエイを原液のまま、あるいは粉乳やホエイパウダーを適当な濃度まで溶解還元して、液体原料とすることもできる。例えば、溶存している糖が40重量%未満程度、好ましくは0.5〜25重量%程度、最適には1〜16重量%程度含有するように調製したものを液体原料として用いることができる。
前記液体原料は、酸による加水分解処理を行うことにより、シアル酸化合物を遊離シアル酸として遊離させることもできる。
当該工程において用いることができる酸の種類としては、硫酸、塩酸などを挙げることができるが、好ましくは硫酸を用いることが望ましい。
また、当該工程において、十分に遊離シアル酸を遊離させるためには、前記液体原料中に0.2N程度が含まれるように酸を添加し、80℃程度で、1時間程度の加水分解反応を行うことが望ましい。
本発明において、当該加水分解処理を行った場合、前記液体原料中に含まれるシアル酸化合物は、遊離シアル酸として液体原料中に遊離することになり、以下の工程を経ることで、遊離シアル酸を豊富に含むシアル酸化合物含有組成物を得ることができる。
また、当該加水分解処理を行わなかった場合、特に初乳を原料とする場合には、前記液体原料中に、シアル酸結合型オリゴ糖であるシアリルラクトースが存在することになり、以下の工程を経ることで、シアリルラクトースを豊富に含むシアル酸化合物含有組成物を得ることができる。
次いで、前記液体原料を限外濾過することにより、夾雑しているタンパク質などの高分子成分を除去することができる。
当該工程で用いることができる限外濾過処理は、一般の平膜型限外濾過モジュールや、スパイラル式限外濾過モジュール、フォローファイバー式限外濾過モジュールなどを用いて行うことができる。
当該工程において用いることができる限外濾過膜(UF膜)としては、目的とするシアル酸化合物の分子量よりも大きい分画分子量の膜であって、好ましくは分画分子量1000〜10000、さらに好ましくは1000〜5000、最も好ましく1000〜3000の範囲の膜を用いることができる。
特に、加水分解処理を行って遊離シアル酸として遊離させた場合においては、目的とするシアル酸化合物の分子量よりも大きい分画分子量の膜、好ましくは分画分子量1000〜5000、さらに好ましく1000〜3000の膜を用いることによって、全固形分に対するシアル酸化合物の含有率をさらに向上させることができる。
ここで、限外濾過の分画分子量が目的とするシアル酸化合物の分子量よりも小さい場合、シアル酸化合物が膜を透過しなくなるので好ましくない。また、分画分子量10000より大きい限外濾過膜を用いた場合、透過流束が早くなり、処理スピードが速くなるというメリットがあるが、混在する高分子成分が透過液側に増加し、透過液側に含まれるシアル酸化合物の相対的な濃度が低下するというデメリットもある。
前記液体原料は、微生物を用いてシアル酸化合物以外の糖質(主に乳糖)を資化させた後、増殖した微生物菌体を除去することで、前記液体原料中に夾雑するシアル酸化合物以外の糖質(主に乳糖)が除去され、原料中の全固形分に対するシアル酸化合物の相対的な濃度を顕著に上昇させることができる。これは本発明の基本原理であり、シュガーアシミレーション法あるいはSA法と総称して表現する。
即ち、本発明では、前記液体原料中において、シアル酸化合物資化能を有さず、前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物を培養し、資化させることによって、固形分あたりのシアル酸化合物の含有率を顕著に高めることができる。 なお、さらには、シアル酸化合物以外の糖質の資化性に加えて有機酸の資化性を有する微生物を用いることで、全固形分あたりのシアル酸化合物の含有率をさらに高めることもできる。
特に、乳糖資化という場合、乳糖を構成しているグルコースとガラクトースの両方を資化する必要がある。ガラクトースを資化しにくい微生物を使用した場合には、ガラクトースが残存するため、相対的な全固形分あたりのシアル酸化合物の含有率は下がる。
ほとんど全ての酵母はグルコースを資化するので、ガラクトースも資化するかどうかをきちんと知る必要がある。
また、SA法を利用してシアル酸化合物含有組成物を生産することによって、同時に微生物菌体や培養産物を生産できるので、著しく経済性が増す。
本発明における資化工程において、上記工程を経て調製された液体原料に、微生物の培養に適した成分組成およびpH条件になるように調製することで、微生物によるシアル酸化合物以外の糖質や有機酸の資化性を向上させることができる。
本工程において、微生物の資化性向上に適した成分組成およびpH条件とは、酵母を使用する場合、酵母の培養に適した条件であればよい。例えば、還元ホエイは、それ以外に特に栄養素を添加しないでも、培養可能であるが、含まれている糖を効率的に資化させるために、硫酸アンモニウム、アンモニアなどの窒素源を添加した方が好ましい。
なお、具体的には、本発明において微生物の資化性向上に適した培地成分組成とは、前記液体原料中に0〜20%、好ましくは0.5%程度の硫酸アンモニウム、0〜1%、好ましくは0.2%程度の硫酸マグネシウム、0〜2%、好ましくは0.4%程度のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、苛性ソーダなどを用いてpH3〜8、好ましくは5.0〜5.5程度に調製したものである。
微生物の培養に適した成分組成およびpH条件になるように調製された液体原料は、60〜90℃、好ましくは63〜65℃程度で、1〜60分、好ましくは30分程度の低温殺菌を行うことで、雑菌の増殖を抑制することが望ましい。なお、必要に応じて、前記温度を超える条件で殺菌を行うことも可能である。
本発明の資化工程において用いることができる微生物としては、シアル酸化合物資化能を有さず、且つ前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物であれば如何なる微生物であっても用いることができるが、シアル酸化合物以外の有機酸の資化能もあわせて有する微生物を用いることが望ましい。
なお、本発明において、「シアル酸化合物資化能を有さず」とは、微生物学的にシアル酸化合物資化能を有しないものばかりでなく、実質的にシアル酸化合物資化能を有しないものと同一視して差し支えない程度のものも含まれる。具体的には、培地に夾雑する糖類などを4時間〜72時間程度、好ましくは24時間程度で資化するものの、その間にシアル酸化合物をほとんど資化しないものや、弱くしか資化しないものも含まれる。
そのような微生物としては、好ましくは酵母、より好ましくはクルイベロマイセス(Kluyveromyces)属およびデバリオマイセス(Debaryomyces)属の酵母であり、さらに好ましくはクルイベロマイセス(Kluyveromyces)属の酵母であり、特に好ましくはクルイベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)及びクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)であり、最も好ましくはクルイベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)である。
なお、本発明の実施を容易化させるために、本発明に好適に用いることができるKluyveromyces marxianus YRC6040株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2007年5月29日付で、受託番号NITE BP−373号として寄託されているが、当該菌株を使用しなければ、本発明を実施できないわけではない。すなわち、乳糖資化性の酵母の中からシアル酸化合物非資化性の酵母を、自然界に生存する酵母あるいは公的菌株保存機関で保存されている酵母の中から探索して用いることもできる。
乳糖資化性の酵母は、Brettanomyces属、 Bullera属、 Candida属、 Debaryomyces属、 Kluyvermyces属、 Lipomyces属、 Pichia属、 Rhodotorula属、 Sporobolomyces属、 Sterigmatomyces属、 Trichosporon属、 Rhodosporidium属、 Leucosporidium属、 Cryptococcus属、など非常に多種類ある。そのうちでも乳糖発酵性も有しているものは、Brettanomyces属、 Candida属、 Kluyveromyces属などである。特に産業上も重要な乳糖発酵性酵母として代表的なものは、Kluyvermyces属である。
本発明においてKluyveromyces属というのは、その酵母の分類学上の位置づけを意味するが、多くのシノニム(異名:synonym)、及び、無性世代の属を含む概念である。
現在、ザ・イースト、ア・タクソノミック・スタディー、C. P. カーツマン、J. W. フェル編(The yeasts, a taxonomic study, C. P. Kurtzman, J. W. Fell)、エルゼビア,1998年刊,ISBN 0444813128(Elsevier,1998,ISBN 0444813128)によればKluyvermyces属としてはK. aestuarii, K. africanus, K. bacillisporus, K. blattae, K. delphensis, K. dobzhanskii, K. lactis, K. lodderae, K. marxianus, K. phaffii, K. polysporus, K. thermotolerans, K. waltii, K. wickerhamii, K. yarrowiiなどの15種が菌種として認識されている。
このうち、「K. lactis」の無性世代はCandida sphericaである。無性世代の資化性及び発酵性は基本的に有性世代のものと同様である。また、K. lactisは多くのシノニムが存在し、Saccharomyces lactis、Zygosaccharomyces lactis、Zygorenospora lactis、Guilliermondella lactis、Dekkeromyces lactis、 K. marxianus var. lactis、Zygosaccharomyces casei、Zygosaccharomyces versicolor、 Saccharomyces sociasii、 Zygofabospora lactis、 Mycoderma lactis、 Torula sphaerica、Torulopsis sphaerica、Cryptococcus sphaericus、 Candida sphericaなどがある。
一方、「K. marxianus」の無性世代は、Candida kefyrである。この場合も、無性世代の資化性及び発酵性は基本的に有性世代のものと同様である。この菌種のシノニムとしては70種類以上の名称がある。代表的なものとしては、Saccharomyces marxianus、Zygosaccharomyces marxianus、Saccharomyces fragilis, 、Kluyvermyces bulgaricus、Kluyvermyces bulgaricus. var. bulgaricus, Dekkeromyces fragilis, Guilliermondella fragilis, Dekkeromyces fragilis, Kluyveromyces fragilis, Torulopsis kefyr, Candida kefyr, Candida pseudotropicalis などである。これらのシノニムは全て名称としては優先権のある K. marxianus に統合されている。しかし、産業的に重要な種は、その同定された時代のシノニムをそのまま用いていることが多い。例えば、Kluyveromyces fragilis(無性世代はCandida pseudotropicalis)はホエイのアルコール発酵で最も有用であり、現在でも K. fragilis という名称が良く利用されている。
前記の本発明に適用できる微生物は、YM培地やホエイ培地などの培地中で、一昼夜培養したものを種菌として、培地ごと本培養の培地量に対して、1から20%程度、好ましくは10%程度接種して、培養することが望ましい。接種量を増やすことで、本培養時に他の菌による汚染の機会を減らし、また、速やかに当該資化工程を行うことができる。
本発明の資化工程における前記微生物の培養条件としては、酵母の培養に適した条件であれば如何なる条件でも行うことができる。
培養方法としては、試験としては、三角フラスコ、ジャーファメンター中で培養することもできるが、工業的には培養タンクなどを用いることで、大量培養を行うことができる。また、連続式のファーメンターを用いることで、連続的な培養も可能である。なお、当該工程の培養スケールは、任意に、かつ容易にスケールアップすることが可能である。
具体的な培養方法を示すと、例えばジャーファメンターを用いて、前記液体原料に対して、0.1〜20%、好ましくは10%程度の種菌液を添加し、10〜45℃、好ましくは25℃〜42℃程度の温度条件で、0〜1000rpm、好ましくは500rpmの回転数で攪拌し、0〜1vvm、好ましくは0.5vvm程度の通気量で通気を行い、4〜72時間程度、好ましくは24時間程度培養することができる。
なお、温度が10℃より低い場合や45℃より高い場合、Kluyvermyces属の酵母の場合には菌の増殖が不良になるために好ましくない。また、本発明ではシアル酸以外の糖質や有機酸の資化が十分に行われるまで培養する必要がある。
上記の条件に従って前記液体原料中で培養を行うことにより、シアル酸化合物以外の糖質や有機酸を微生物に資化させることができる。特に、前記原料として、乳、ホエイもしくはこれらの加工品を用いた場合、全固形分のうちの大きな割合を占める乳糖(ラクトース)を微生物に資化させることができる。なお、特にホエイを用いた場合は、全固形分中の約8割を占める乳糖を資化させることができる。
本発明においては、前記資化工程の後、培養後の前記微生物を液体原料中から除去することにより、シアル酸化合物以外の糖質と有機酸を、前記微生物に取り込ませた形態で液体原料中から分離し除去することができる。
微生物の除去については、如何なる方法で行ってもよいが、遠心分離や濾過などで除去できる。具体的には例えば、1000〜8000rpm、好ましくは3000〜8000rpmの遠心分離によって、沈殿した微生物を除去することができる。
従って、該分離除去工程を経ることによって、培養液に含まれる全固体分に対するシアル酸化合物の含有率が顕著に高められた培養液を得ることができる。ここで「培養液」とは、前記資化工程の後、前記微生物を除去した培養後の液体原料のことを指す。
なお、当該分離工程で分離除去された微生物は、回収し、微生物菌体や家畜飼料、微生物に由来する機能性成分の分画生産の原料として使用することもできる。前記微生物として酵母を用いた場合は、機能性成分の分画生産の原料、具体的には、酵母菌体の生産、家畜飼料の生産、酵母エキスの生産、ビタミン類の生産、ラクターゼなどの酵素の生産など、様々な有価物の原料として使用することもできる。特に、家畜飼料として用いる場合は、培養前の除タンパク操作を行う必要がなく、懸濁状のまま培養して、菌体と一緒に夾雑タンパク質を回収した方が、滋養に富む家畜飼料を得られる。
実施例によれば、本発明の方法において、酵母を用いて、ホエイパウダー1kg(乾物重)からシアル酸化合物組成物を製造した場合、当該分離工程で分離され回収できる菌体量は0.1kg(乾燥菌体)程度である。
また、この酵母菌体の凍結乾燥物1gあたり、例えば、Kluyvermyces marxianus YRC6040株を使用した場合には、約376Uのラクターゼが回収できる。
このように、本発明は、シアル酸化合物含有組成物以外の有機物の大部分を酵母によって資化させ、菌体は遠心分離等により物理的に分離して回収することができるため、廃棄物の発生が極めて少なく、環境負担も極めて少ない方法である。
なお、本発明で Kluyvermyces lactis などの酵母を使用した場合には、ラクターゼは一般に菌体外に分泌されるので、菌体からではなく、培養後の培養液から限外濾過などの方法で回収できる。この場合には、本発明のSA法によって、シアル酸化合物含有組成物と、酵母菌体、ラクターゼが同時的に生産できる。それ故、大きな経済性を有しているといえる。
本発明における電気透析処理は、夾雑する低分子のイオン種(例えばナトリウムイオン、カルシウムイオンなど)を除去するために行うのであるが、一般の膜電気透析装置などを用いて行うことができる。本発明における電気透析処理に用いるイオン交換膜としては、分画分子量100〜300、好ましくは300程度の膜を用いることが望ましい。具体的には、ネオセプタ((株)アストム製)等を用いることができる。
また、分画分子量が目的とするシアル酸化合物より大きい膜を用いた場合には、シアル酸化合物が電極側に流出するため好ましくない。
当該電気透析処理としては、前記培養液の電気伝導度を0.1〜1.0ms/cm、好ましくは0.1ms/cm程度に減少させる程度に脱塩することが望ましい。
なお、電気伝導度が1.0ms/cmより大きい値までしか電気透析処理を行わなかった場合には、脱塩可能な塩が0.05%程度残存するため望ましくない。また、電気伝導度が0.1ms/cmより低い値に電気透析処理を行った場合には、シアル酸が電極側に流出するため望ましくない。
脱塩方法としてはこの他、ゲル濾過やナノフィルトレーション膜を用いた逆浸透による方法などがあり、適応可能性がある。
なお、前記電気透析処理による脱塩工程後に得られた「脱塩培養液」は、ベントナイトによる清澄化、具体的にはベンゲル(ホージュン社製)を1%程度含有するように添加し攪拌した後、好ましくは一晩程度放置し、遠心分離することにより、脱塩培養液に残存しているタンパク質を沈殿させ、除去させることによって清澄化させる(清澄剤処理工程)こともできる。
上記工程を経て得られた「脱塩培養液」あるいは「清澄剤処理液」は、含まれる全固形分中のシアル酸化合物の含有率が顕著に高められたシアル酸化合物含有組成物として、乾固物もしくは乾燥粉末にすることができる。例えば、真空減圧濃縮、逆浸透膜濃縮などの濃縮後、凍結乾燥、窒素気流乾燥、減圧乾燥および噴霧乾燥などの方法により乾固物もしくは乾燥粉末化することができる。
なお、凍結乾燥、窒素気流乾燥などの手法により、乾固物もしくは乾燥粉末にしておき、必要な時に水などの溶媒に溶解して用いることも可能である。このようにして得られたシアル酸化合物含有組成物は食品、医薬品、化粧品、工業用原料等に用いることが可能である他、精製シアル酸、精製シアリルラクトースの製造のための原料に用いることができる。
上記までの工程からなる本発明のシアル酸化合物含有組成物の製造方法は、カラムクロマトグラフィー工程を含まないため、製造する上でのコストが低い方法である。また、本発明の根幹であるSA法は、有機溶媒等を使用せず、食経験のある酵母の培養に基づく方法であるので、食品として利用する場合に極めて安全性が高い。であるから、本発明で作られたシアル酸化合物は、そのまま、食品素材、あるいは、健康食品素材として利用価値の高いものである。
また、本発明においては、前記資化工程および微生物の分離工程後に得られた培養液、前記脱塩工程後に得られた脱塩培養液、もしくは前記清澄剤処理工程後に得られた清澄剤処理液は、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製することで、シアル酸化合物の含有率をさらに高めることができる。
本発明において、シアル酸化合物を精製するための陰イオンカラムクロマトグラフィーとは、シアル酸化合物と高い親和性を示す陰イオン交換担体を用い、シアル酸含有化合物を高い特異性をもって解離できる溶出操作を行うカラムクロマトグラフィーを指す。
本発明に用いることができる陰イオン交換担体を充填したカラムとしては、どのような形態のカラムでも、目的に合致していれば用いることができるが、具体的には、(株)GE ヘルスケアバイオサイエンス製の Q Sepharose Fast Flow などを用いることができる。
なお、陰イオン交換担体を充填した任意のスケールのカラムを作成し、必要に応じてスケールアップすることができる。また、カラムを複数セット用意し、同時に精製操作を行うこともできる。
本発明における陰イオンカラムクロマトグラフィーは、まず、前記培養液、脱塩培養液もしくは清澄剤処理液を、陰イオン交換担体を充填したカラムにアプライし吸着させる。
アプライされた前記培養液もしくは脱塩培養液に含まれる成分のうち、シアル酸含有化合物は、担体の吸着許容量の範囲で陰イオン交換担体に吸着される。
前記培養液もしくは脱塩培養液は、カラムの容量に応じた量をアプライすることができる。具体的には、直径50mmで、長さ50mmのカラムを用いた場合、500mLの前記培養液もしくは脱塩培養液をアプライすることができる。
次に、水を送液し、吸着カラムを洗浄することにより、吸着担体に吸着しなかった非吸着夾雑物を除去する。送液の条件としては、流速5mL/分、水の送液時間を100分間で行うことが望ましい。
非吸着夾雑物を除去した後、10mM程度の塩化ナトリウム溶液を送液することにより、シアル酸化合物を陰イオン交換担体から解離溶出させ、回収することができる。送液の条件としては、流速5mL/分にて100分間行うことが望ましい。
上記工程で得られた脱塩陰イオンカラム溶出液は、溶出の際に用いた塩化ナトリウムを含む。そこで(第2回目の)電気透析処理を行い、脱塩を行うことが望ましい。
当該第2回目の電気透析処理には、基本的には前記第1回目と同様の装置と条件で行うことが可能である。
上記工程を経て得られた脱塩陰イオンカラム溶出液は、その含まれる全固形分中のシアル酸化合物含有率が顕著に高められたシアル酸化合物含有組成物であるが、それを、逆浸透膜や真空減圧によって濃縮後、凍結乾燥、噴霧乾燥などに粉末化することができる。
本発明のシアル酸化合物含有組成物を原料として用いることができる食品としては、如何なる食品にも用いることができるが、具体的には例えば、シアル酸化合物の生理機能を期待した健康食品、飲料、ヨーグルトなどを挙げることができる。また、本発明のシアル酸化合物含有組成物を原料として用いることができる食品の形状としては特に限定されるものはないが、例えば粉末状、砕粒状、顆粒状などとすることができ、カプセルに充填する形態の他、水やエタノールに分散した溶液の形態、賦型剤等と混和して得られる錠剤の形態などとして用いることができる。
前記陰イオンカラムクロマトグラフィー工程および第2回目の脱塩工程を経て得られる脱塩陰イオンカラム溶出液を乾燥した粉末は、前記液体原料はもとより、前記培養液、前記脱塩培養液および前記清澄剤処理液と比較しても、シアル酸化合物の固形分中の相対的な含有率が顕著に高められたシアル酸化合物含有組成物である。
本発明において、前記資化工程および微生物分離工程、前記脱塩工程、前記清澄剤処理工程、前記陰イオンカラムクロマトグラフィー工程および第2回目の脱塩工程、の各工程後に得られるシアル酸化合物含有組成物は、後の工程で得られるものであるほど、シアル酸化合物の固形分中に占める相対的な含有率が高いものを得ることができる。
本発明における資化工程を行う前の前記液体原料中の固形分中に占める相対的なシアル酸化合物の含有率は、極めて微量であり、例えばホエイの固形分中には0.19%が含有される。
それに対して、本発明の方法により得られるシアル酸化合物含有組成物は、具体的には、前記資化工程および微生物分離工程後の「培養液」には、全固形分中1.13%のシアル酸化合物が含有されており、前記液体原料の固体成分に対する含有率と比べて、約6倍に含有率を高めることが可能である。
また、前記培養液を電気透析した脱塩工程後の「脱塩培養液」には、全固形分中7.07%のシアル酸化合物が含有されており、液体原料の固形分に対する含有率と比べて、約37倍にシアル酸化合物の含有率を高めることが可能である。
さらに、前記清澄剤処理工程の「清澄剤処理液」には、全固形分中9.83%のシアル酸化合物が含有されており、液体原料の固体成分に対する含有率と比べて、約52倍にシアル酸化合物の含有率を高めることが可能である。
そして、前記陰イオンカラムクロマトグラフィー工程および第2回目の脱塩工程後の「脱塩陰イオンカラム溶出液」には、固形分中45.1%のシアル酸化合物を含有し、液体原料の固体成分に対する含有率と比べて約237倍にシアル酸化合物の含有率を高めることが可能である。
ウシ初乳からシアリルラクトースをシアル酸化合物として分画精製する場合でも同様である。ウシ初乳の脱脂初乳の固形分中には例えば0.21%のシアリルラクトースが含まれている。これを限外濾過にて、濾過後の透過液を用いて培地にした段階での全固形分中のシアリルラクトースは0.66%で、約3.1倍である。これを本発明におけるSA法を適用して培養後、菌体を除いた「培養液」では約8.6倍に濃縮される。これを電気透析した後の「脱塩培養液」中のシアリルラクトース濃度は約45倍に濃縮される。
シアル酸においてもシアリルラクトースにおいても本発明におけるSA法を適用して、その後電気透析するだけで、全固形分中に占めるシアル酸化合物の含有率が向上する。
本発明の方法により得られるシアル酸化合物の回収量は、前記脱塩工程後の脱塩培養液から乾燥物を製造した場合には、例えばホエイパウダー180gを用いると10.93%含有のもの2.8g程度、ウシ脱脂初乳の固形分238.2gを用いるとシアリルラクトース9.53%含有のもの4.3g程度のシアル酸化合物組成物の乾燥物を製造することができる。
そして、前記陰イオンカラムクロマトグラフィー工程および第2回目の脱塩工程後の脱塩陰イオンカラム溶出液から乾燥物を製造した場合には、例えばホエイパウダー100gを用いるとシアル酸含有率45.1%のもの333mg程度のシアル酸化合物含有組成物の乾燥物を製造することができる。
如上の如き本発明からは、顕著にシアル酸化合物の含有率を高めたシアル酸化合物含有組成物を製造することができるが、さらに本発明では、前記資化工程をアルコール発酵することが可能な条件で行うことにより、アルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物を製造することもできる。
即ち、前記資化工程において、微生物がアルコール発酵を行うのに適した培養条件で行うことにより、シアル酸化合物以外の糖質や有機酸を資化させると同時に、アルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物を製造することもできる。
なお、前記資化工程において微生物がアルコール発酵を行うのに適した培地成分組成とは、酵母のアルコール発酵に適した成分組成であれば如何なるものであってもよい。
具体的には、本発明において微生物の資化性向上に適した培地成分組成とは、前記液体原料中に0〜20%、好ましくは0.5%程度の硫酸アンモニウム、0〜1%、好ましくは0.2%程度の硫酸マグネシウム、0〜2%、好ましくは0.4%程度のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、苛性ソーダなどを用いてpH3〜8、好ましくは5.0〜5.5程度に調製したものである。
なお、微生物の培養に適した成分組成およびpH条件になるように調製された液体原料は63〜65℃程度で、30分程度の低温殺菌以上の条件で、殺菌し、培養中に接種した微生物以外の微生物の増殖を抑制することが望ましい。
本発明の前記資化工程において、微生物がアルコール発酵を行うのに適した培養条件としては、酵母のアルコール発酵に適した条件であれば如何なる条件で行うことができる。即ち、具体的には強い通気をしない条件で、あるいは撹拌しない条件で行うことができる。
培養方法としては、三角フラスコ中で培養することもできるが、ジャーファメンター、培養タンクなどを用いることで大量培養を行うことができる。
具体的な培養方法を示すと、ジャーファメンターを用いて、前記液体原料に対して、0.1〜20%、好ましくは10%程度の種菌液を添加し、10〜40℃、好ましくは25℃程度の温度条件で、0〜30rpm程度、好ましくは30rpm程度の回転数で攪拌し、通気を行なわず、24〜72時間程度、好ましくは24時間程度培養することができる。
上記の条件に従って前記液体原料中で酵母を用いて培養を行うことにより、シアル酸化合物以外の糖質や有機酸を微生物に資化させると同時に、微生物のアルコール発酵によってアルコールが生成される。
なお、本発明における前記資化工程においては、培養液中に3%以上のアルコールを生成させることも可能である。
前記アルコール発酵兼資化工程の後、培養後の前記微生物を液体原料中から除去することにより、シアル酸化合物以外の糖質と有機酸を、微生物に取り込ませた形態で液体原料中から分離し除去することができる。
微生物の除去については、如何なる方法で行ってもよいが、具体的には、1000〜8000rpm、好ましくは3000rpmの遠心分離によって、沈殿した微生物を除去することができる。
従って、当該分離工程を経ることによって、アルコールを含有し、且つ固体成分に対するシアル酸化合物の含有率が顕著に高められた培養液、即ちアルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物を得ることができる。
また、上記工程で得られる、アルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物は、アルコール飲料や酒類の原料に用いることもできる。アルコール飲料や酒類の製造方法としては、従来の方法に従って行えばよいが、本発明で得られるアルコールを含有するシアル酸化合物含有組成物を用いることにより、シアル酸化合物を含有したアルコール飲料や酒類を容易に製造することができる。
ここで製造されるアルコール飲料や酒類は、原料に由来するシアル酸化合物を含有し、原料である乳、ホエイに由来する風味をも具備するものである。
上記工程で得られた培養液中に含まれるアルコールは、蒸留によって分離回収することができる。本発明において、生成されたアルコールは、蒸留によって、培養液から容易に分離可能であるが、培養液中のシアル酸化合物は揮発しないので、蒸留残渣にはシアル酸化合物が残存する。原理的に残った培養液中の固形分中のシアル酸化合物含量はアルコール発酵しないで、酵母菌体として資化させて菌体除去した場合と同様である。
なお、蒸留工程は、通常の如何なる方法でも行うことが可能であるが、例えば真空蒸留缶より行うことができる。当該蒸留工程で分離回収されたアルコールを用いて、酒税法に定めるスピリッツや食品用あるいは工業用アルコールを製造することも可能である。
従って、本発明では、アルコールという有価物の生産と、酵母菌体、シアル酸化合物含有組成物を同時に生産することが可能となる。
如上のようにして得られるシアル酸化合物含有組成物は、各種食品中に含有させることができる。そのような食品として具体的には例えば、一般の食品、健康食品、各種飲料、ヨーグルトなど様々な製品に利用できる。
以下、本発明を実施例等によって詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらにより何ら限定されるものではない。
試験例1(シアル酸非資化性、かつ乳糖資化性酵母のスクリーニング)
よつ葉乳業保有の酵母42株(本発明者らが保有する菌株)を用いてマイクロプレートでシアル酸資化性試験を行った。使用した菌株は以下の通りであった。以下、YRCは、よつ葉乳業株式会社の保有株を示す。
1)スクリーニングに用いた酵母
スクリーニングに用いた酵母は、よつ葉乳業が保存する菌株である、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus )YRC6009、同YRC6022、同YRC6032、同YRC6034、同YRC6040、同YRC6041、同YRC6046、同YRC6065、同YRC6073、クルイベロマイセス・ラクティス(K. lactis )YRC6050、同YRC6054、同YRC6055、同YRC6056、同YRC6057、同YRC6058、同YRC6059、同YRC6060、同YRC6062、同YRC6066、同YRC6067、同YRC6072、同YRC6080、同YRC6081、クルイベロマイセス・ヴィッカーハミイ(K. wickerhamii )YRC6002、同YRC6017、デバリオマイセス・ハンゼニイ(Debaryomyces hansenii )YRC6023、同YRC6025、同YRC6026、同YRC6028、同YRC6030、同YRC6077、同YRC6078、同YRC6079、同YRC6084、同YRC6085、同YRC6088、デッケラ・アノマラ(Dekkera anomala )YRC6014、同YRC6045、キャンディダ・グラエボサ(Candida glaebosa )YRC6021、キャンディダ・フミリス(Candida humilis )YRC6051、同YRC6052、ツィゴサッカロマイセス・シドリ(Zygosaccharomyces cidri )YRC6037、を用いた。
0.5%の炭素源を含む assimilation培地(0.67%Yeast Nitrogen Base、0.5%炭素源、pH5.0)を0.45μmフィルターで濾過滅菌し、マイクロプレートに200μlずつ分注した。また、炭素源を添加しない培地をネガティブコントロールとした。マクファーランド濁度0.5〜1.0に調整した酵母をパスツールピペットで1滴接種し、25℃で静置培養した。培養後3日目、7日目で培養液濁度をマイクロプレートリーダーで660nmの吸光度を比較し、糖資化能を確認した。生育が見られれば資化性があると判断した。炭素源としては、グルコース、乳糖、ガラクトース、シアル酸、シアリルラクトース、クエン酸および乳酸を用いた。
3)結果
マイクロプレートでの評価によって、自社保有株においてシアル酸非資化性で、かつ、乳糖資化性と考えられた酵母は、K. wickerhamii YRC6002(1株)、K. marxianus YRC6009、同YRC6022、同YRC6032、同YRC6034、同YRC6040、同YRC6041、同YRC6046、同YRC6065、同YRC 6073(以上9株)、K. lactis YRC6056、同YRC6057、同YRC6058、同YRC6072、同YRC6080(以上5株)、Deb. hansenii YRC6077 (1株)であった。
この結果、K. marxianus においては、比較的シアル酸非資化性の株が多いと考えられた。なお、マイクロプレートでのスクリーニング試験の結果だけでは誤判定を含有する可能性があるため、試験管での資化性の確認試験を行った。
試験例2(試験管培養での資化性の確認)
試験例1のマイクロプレートでの結果から、有望と考えられる K. wickerhamii YRC6002、K. marxianus YRC6009、同YRC6022, 同YRC6032, 同YRC6034, 同YRC6040, 同YRC6041, 同YRC6046, 同YRC6065, 同YRC6073、K. lactis YRC6080、Deb. hansenii YRC6077、の計12株を試験管培養によるシアル酸資化性試験に供した。
試験方法は以下の通りである。0.5%の炭素源を含む assimilation培地(0.67%Yeast Nitrogen Base、0.5%炭素源、pH5.0)の炭素源をグルコース、乳糖、ガラクトース、シアル酸、シアリルラクトースなどとした培地を試験管に2mlずつ分注した。また、炭素源を添加しない培地をネガティブコントロールとした。培地の滅菌は0.45μmフィルターによる濾過滅菌で行った。マクファーランド濁度0.5〜1.0に調整した菌株をパスツールピペットで1滴接種し、180rpm、25℃で2日間〜3日間培養した。また、ホエイ溶液中の生育を確認するため、5%ホエイ溶液(滅菌済)および10%ホエイ溶液(滅菌済)に同様に菌株を接種した。
培養後の全ての培養液は、菌体濁度を660nmにおける吸光度として測定した。培養液は、適切に希釈して吸光度1を超える場合には、それ以下になるように希釈して、希釈倍率をかけて、吸光度とした。
炭素源がシアル酸と乳糖であった培養液は3000rpmで10分遠心して菌体を除去し、それぞれ培養上清のシアル酸、シアリルラクトース濃度とラクトース濃度を測定した。シアル酸の濃度は過ヨウ素酸−チオバルビツール酸法(バイオケミカル・ジャーナル、第81巻、384−392頁、1961年[Biochemical Journal, 81, p385-392, (1961)])により測定した。シアリルラクトースの濃度はABOE糖鎖標識キット((株)J−オイルミルズ)を用い、キット付属のマニュアルに従って分析した。乳糖の濃度は順相カラムを用いてRI検出器を装備したHPLC(日立製作所製)で測定した。結果を表1に示す。
生育の評価は、評価 −:増殖せず(OD660<0.1未満)、+:増殖(OD660<5.0未満)、++:十分増殖(OD660<10.0未満)、+++:極めて良好に増殖(OD660>10.0以上)とした。生育の程度と、シアル酸、シアリルラクトース、ガラクトース、乳糖含量から、資化能を判定した。
Figure 2009008362
表1が示すようにどの株もシアル酸、シアリルラクトースではほとんど増殖せず、本発明に利用できると考えられた。しかし、乳糖やガラクトースでの生育が不十分な株もあり、必ずしも全ての株が良好とはいえなかった。このうち、特にK. marxianus YRC6032、同YRC6040、同YRC6041、同YRC6046、同YRC6073、K. lactis YRC6080、Deb. hansenii YRC6077は本発明に使用できると考えられた。K. wickerhamii YRC6002、K. marxianus YRC6009、同YRC6022、同YRC6034は乳糖とガラクトース資化能が弱く、K. marxianus YRC6065はホエイ溶液での生育が他の菌株より弱かったので、本発明は向いていないと考えられた。
以上のことから、シアル酸非資化性、シアリルラクトース非資化性、シアリルラクトース非資化性、グルコース資化性、ガラクトース資化性、乳糖資化性を有するK. marxianus YRC6032、同YRC6040、同YRC6041、同YRC6046、同YRC6073、K. lactis YRC6080、Deb. hansenii YRC6077が本発明に利用できると考えられた。なお、これらの株では、培地に添加したシアル酸化合物は全く資化されておらず、添加した他の糖類は完全に資化されていた。それ故、本発明を実施するには、Kluyvermyces属、及び Debaryomyces属を中心に本実施例で示した方法でスクリーニングすれば、本発明に必要な株を自然界から入手可能であることが示唆された。
本発明を実施するにあたり、シアル酸化合物のうち、遊離シアル酸を回収するのであれば、シアル酸非資化性であれば良く、またシアリルラクトースを回収するのであれば、シアリルラクトース非資化性であればよい。また、SA法の原理から見て、完全に非資化性でなくても、培養中にシアル酸化合物を資化しなければ、実質上本発明を実施する上での問題はない。
なお、上記の本発明に用いることが可能な酵母のうち、増殖速度や菌体回収量等の成績が良好な、K. marxianus YRC6040を用いて詳細な試験をすることにした。
試験例3(シアル酸非資化性、かつ乳糖資化性酵母のスクリーニング)
公的な菌株保存機関由来の酵母13株を用いてマイクロプレートでシアル酸資化性試験を行った。使用した菌株は以下の通りであった。以下、NBRCは独立行政法人 製品評価技術基盤機構の生物遺伝資源部門(NBRC)の株、JCMは独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室の株、ATCCはアメリカンタイプカルチャーコレクションの株である。
1)スクリーニングに用いた酵母
スクリーニングに用いた酵母は、K. marxianus NBRC10005(T)、同NBRC0260、同NBRC0288、同NBRC1735、同JCM1614、同JCM1630、同ATCC8554、同ATCC10022、同ATCC12424、同ATCC16045、Deb hansenii JCM1990(T)、デバリオマイセス・シュードポリモルファス(Deb. pseudopolymorphus )JCM3652(T)、Deb. castellii JCM6177(T)を用いた。ここで、(T)で示した酵母はタイプ株を表す。
なお、試験例1,2で選抜されたK. marxianus YRC6040も比較のため、上記の株と一緒に試験に供した。
2)マイクロプレートを用いた資化性試験の方法
0.5%の炭素源を含む assimilation培地(0.67%Yeast Nitrogen Base、0.5%炭素源、pH5.0に塩酸にて調節)を0.45μmフィルターで濾過滅菌し、マイクロプレートに200μlずつ分注した。また、炭素源を添加しない培地をネガティブコントロールとした。マクファーランド濁度0.5〜1.0に調整した酵母をパスツールピペットで1滴接種し、25℃で静置培養した。培養後3日目で培養液濁度をマイクロプレートリーダーで660nmの吸光度を比較し、糖などの資化能を確認した。生育が見られれば資化性があると判断した。炭素源としては、グルコース、乳糖、ガラクトース、シアル酸、シアリルラクトース、クエン酸および乳酸を用いた。結果を表2に示す。表2において、○ :生育、△ :非常に弱く生育、× :生育しない、と表示した。
Figure 2009008362
3)結果
表2の結果から、公的保存菌株機関の酵母においても、シアル酸、あるいはシアリルラクトースを資化しない酵母が広く認められ、多くの酵母が本発明に利用できると考えられた。
特に、スクリーニングした13株のうち、K. marxianus NBRC0260、同NBRC1735、同ATCC8554、同ATCC12424、および同ATCC16045は、シアル酸およびシアリルラクトースを資化せずに、且つ他の糖類を資化すると考えられた。
また、シアル酸ではなく、シアリルラクトースの濃縮に本発明のSA法を適用するのであれば、多くの酵母が適用可能である。すなわち、少なくとも、Deb. pseudopolymorphus JCM3652、K. marxianus NBRC0260、同NBRC1735、同ATCC8554、同ATCC10022、同ATCC12424、同ATCC16045が使用できる。
なお、上記の株のうち、有機酸であるクエン酸や乳酸を資化する株である方がやや好ましい。
これらのうち、増殖速度や菌体回収量等の成績が良好なK. marxianus NBRC0260が本発明に用いるのに特に好適と思われたため、試験例1,2で選抜された、よつ葉乳業保有株のYRC6040株とともに、フラスコ培養でより精密な資化能の試験を行った。
試験例4(フラスコ培養による資化性試験)
1)方法
試験例1,2で選抜した、よつ葉乳業保有株 K. marxianus YRC6040株と試験例3で選抜した菌株保存機関に由来する株 K. marxianus NBRC0260株とについて、ホエイを培地に用いてフラスコ培養し、培養物中の乳糖、シアル酸、シアリルラクトースの濃度を測定した。
まず、20%還元ホエイに0.2N硫酸を添加し、80℃で1時間保持し、シアル酸を遊離させた。その後、冷却して苛性ソーダで中和し、これを分画分子量1万の限外濾過膜(SPIRAL ULTRAFILTRATION CARTRIDGE S10Y10(AMICON社製))で主なタンパク質を除去した。この20%UF膜処理ホエイを水で希釈し、10%のUF膜処理ホエイを含む溶液を調製した。この際、最終濃度で0.5%の硫酸アンモニウム、0.2%の硫酸マグネシウム、0.4%のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、pHを5.5に調整する。これを、63℃で30分間低温殺菌し、培地とした。
次に、これを500ml三角フラスコに100ml分注し、シアリルラクトースを0.01%含有するように添加した。65℃で30分間の低温殺菌後に、YPD培地で660nmにおける吸光度が30〜40になるように試験管で培養して調製した種菌液を10%含有するように添加して230rpm、25℃で培養した。
その後、培養前および培養7日後に培地中の乳糖とシアル酸、シアリルラクトースの濃度を測定した。培養液は3000rpmで10分遠心して菌体を除去し、培養上清の乳糖、シアル酸およびシアリルラクトースの濃度を測定した。
本試験例において、乳糖の濃度は順相カラムを用いてRI検出器を装備したHPLC(日立製作所製)で測定した。また、シアル酸の濃度は過ヨウ素酸−チオバルビツール酸法(バイオケミカル・ジャーナル、第81巻、384−392頁、1961年[Biochemical Journal, 81, p385-392, (1961)])により測定した。シアリルラクトースの濃度はABOE糖鎖標識キット((株)J−オイルミルズ)を用い、キット付属のマニュアルに従って分析した。結果を表3に示す。
なお、本試験例でシアリルラクトースを添加したのは、シアル酸、シアリルラクトースおよび乳糖の資化性を同時に観測するためである。
Figure 2009008362
2)結果
表3が示すように、7日間という長期間最適条件下で培養しても、K. marxianus YRC6040株もK. marxianus NBRC0260株もシアル酸、及びシアリルラクトースを全く資化せず、本発明に適用できることがわかった。
以上の試験例1〜4の結果から、スクリーニングした55株のうち、乳糖資化性を有し、且つシアル酸非資化性およびシアリルラクトース非資化性を示す酵母として選抜された、K. marxianus YRC6040株並びにK. marxianus NBRC0260株と、同NBRC1735、同ATCC8554、同ATCC12424、同ATCC16045、同YRC6032、同YRC6041、同YRC6046、同YRC6073、K. lactis YRC6080およびDeb. hansenii YRC6077が本発明に好適であると結論された。また、K. marxianusには、完全なシアル酸非資化性、シアリルラクトース非資化性を示さないものでも、シアル酸資化性、シアリルラクトース資化性が極めて弱いものが多いことも示された。
試験例5(K.marxianus YRC6040株の微生物学的性質)
酵母の同定は、公知の同定教本に従って行った。使用することができる代表的な教本としては、例えば、ザ・イースト、ア・タクソノミック・スタディー、C. P. カーツマン、J. W. フェル編(The yeasts, a taxonomic study, C. P. Kurtzman, J. W. Fell)、エルゼビア,1998年刊,ISBN 0444813128(Elsevier,1998,ISBN 0444813128)がある。
1)YRC6040株の性質
YRC6040株の特徴および性質を以下に示す。
YRC6040株は、伝統的乳製品から国内で分離された酵母である。YM寒天培地上で25℃3日間で良好に生育し、(1〜3mm)×(1〜3mm)大の円形、周縁全縁、フラット、表面平滑、クリーム色のバター質なコロニーを形成する。菌体は、(約2〜5μm)×(約5〜10μm)大きさの円形または楕円形の形状である。また、出芽酵母であり、37℃で生育可能である。グルコース、ガラクトース、乳糖、スクロース、イヌリン資化性でマルトース非資化性、グルコース、ガラクトース、乳糖、スクロース、イヌリン発酵性で、マルトース非発酵性である。26S rDNAのD1/D2領域塩基配列およびITS領域塩基配列の相同性は、既知のK. marxianus と100%の相同性を示す。
2)結果
これらのことから、YRC6040株はK. marxianusと正確に同定された。また、本菌株は、試験例1〜4に示したように、シアル酸及びシアリルラクトースを非資化性であり、且つ優れた乳糖資化性を示す。本YRC6040株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターにNITE BP-373として寄託されている。
実施例1(ホエイからのシアル酸化合物含有組成物の製造)
本発明の方法により、K. marxianus YRC6040株(NITE BP-373株)を用いてホエイからシアル酸化合物含有組成物を得る実施例を示す。
1)方法
まず、20%還元ホエイ(精製ステップ(1))に0.2N硫酸を添加し80℃で1時間保持し、シアル酸を遊離させた。その後、冷却して苛性ソーダで中和し、これを分画分子量1万の限外濾過膜(SPIRAL ULTRAFILTRATION CARTRIDGE S10Y10(AMICON社製))で主なタンパク質を除去した。
この20%UF膜処理ホエイを水で希釈し、10%のUF膜処理ホエイを含む溶液を調製した。この際、最終濃度で0.5%の硫酸アンモニウム、0.2%の硫酸マグネシウム、0.4%のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、pHを5.5に調整した。これを、63℃で30分間低温殺菌し培地とした(精製ステップ(2))。
次に、K. marxianus YRC6040株(NITE BP-373)を、ジャー培養(2L容小型ジャーファーメンター使用、培地1.6L、種菌10%、25℃、500rpm、0.5vvm、24時間培養)した。なお、種菌の培養菌液は、YPD培地でOD660nm=30〜40になるように三角フラスコで培養して調製した。
培養後、培養液を遠心分離器で3000rpmにて10分間遠心し、酵母菌体を分離し培養液を回収した(精製ステップ(3))。そして、残りの上清である培養液を電気透析装置(マイクロアシライザーS3型((株)アストム製)膜、AC−220-550(分画分子量300))にて電導度約0.1ms/cmまで脱塩した(精製ステップ(4))。
この脱塩培養液にベンゲル((株)ホージュン製)を1%含有するように添加し、よく攪拌後に1晩室温放置して、3000rpmで10分遠心してタンパク質を沈殿させ清澄剤処理した(精製ステップ(5))。その後、清澄処理後の上清液を凍結乾燥し、シアル酸化合物含有組成物を得た(精製ステップ(6))。
表4に示す各精製ステップにおいて、固形分の重量は海砂法によって定量した値を示した。また、乳糖の含有量はRI検出器を用いたHPLC分析によって定量した値を示した。シアル酸の含有量はタカラバイオ(株)社製シアル酸標識キットで各サンプルを蛍光誘導体化し、キット付属のマニュアルに従ってHPLC分析することによって定量した値を示した。結果を表4に示す。
Figure 2009008362
2)結果
表4が示すように、培養24時間以内に乳糖は完全に資化された。膜電気透析、清澄剤処理を行い、凍結乾燥した結果、シアル酸化合物含有組成物(シアル酸約11%含有)2.8gを得た。20%ホエイ溶液からの最終的なシアル酸回収率は91.2%であった。なお、酵母菌体(乾物)19.6gが得られた。ここで得られた酵母乾燥菌体は、有価物として様々な利用が可能である。
実施例2(陰イオン交換カラムを用いたシアル酸の濃縮精製)
実施例1にて示した精製ステップ(3)の培養液500mlを電気透析装置(マイクロアシライザーS3型((株)アストム製)膜、AC-220-550(分画分子量300))で電導度約1ms/cmまで透析し、脱塩培養液(透析物)500mlを得た。
次に、この脱塩培養液100mlを陰イオン交換カラム((株)GEヘルスケアバイオサイエンス製 Q Sepharose Fast Flow)100mlに吸着させ、10mM塩化ナトリウムを用いて溶出し、陰イオンカラム溶出液338mlを得た。
次に、この陰イオンカラム溶出液300mlを電気透析装置(アシライザー((株)アストム製)膜、AC-220-550(分画分子量300))で脱塩し、脱塩陰イオンカラム溶出液308mlを得た。
この脱塩陰イオンカラム溶出液250mlを凍結乾燥してシアル酸45.1%含有固形32.1mgを得た。20%ホエイ溶液からの最終的なシアル酸回収率は77.7%であった。本発明の方法に公知の陰イオンクロマトグラフィーによる精製を組み合わせることでシアル酸化合物含有組成物中のシアル酸含量を増加させることが可能であることが示された。
実施例3(ウシ初乳からのシアリルラクトース含有組成物の製造)
ウシ初乳中のシアル酸化合物の代表的な成分としてシアリルラクトースがある。本実施例では、遠心分離により脱脂した脱脂初乳から、実施例1でホエイからのシアル酸含有組成物の生産とほぼ同様の方法でシアリルラクトース含有組成物を生産出来ることを示す。
1)方法
新鮮なウシ初乳(分娩後5日以内に搾乳した乳)(精製ステップ(1))を遠心分離し、脱脂初乳を得た。これを分画分子量1万の限外濾過膜(SPIRAL ULTRAFILTRATION CARTRIDGE S10Y10(AMICON社製))で主なタンパク質を除去した。
このUF膜処理脱脂初乳に、0.5%の硫酸アンモニウム、0.2%の硫酸マグネシウム、0.4%のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、pHを5.5に調整した。これを、63℃で30分間低温殺菌し培地とした(精製ステップ(2))。
この培地をK. marxianus YRC6040株(NITE BP-373)を用いてジャー培養(2L容小型ジャーファーメンター使用、培地1.6L、種菌10%、25℃、500rpm、0.5vvm、24時間培養)した。なお、種菌の培養菌液は、YPD培地でOD660nm=30〜40になるように三角フラスコで培養して調製した。
培養後、培養液を遠心分離器で3000rpm10分遠心し、酵母菌体を分離し上清である培養液を回収した(精製ステップ(3))。そして、得られた培養液を電気透析装置(マイクロアシライザーS3型((株)アストム製)膜、AC−220-550(分画分子量300))で電導度約0.25ms/cmまで脱塩した(精製ステップ(4))。
表5に示す各精製ステップにおいて、固形分の重量は海砂法によって定量した値を示した。また、乳糖の含有量はRI検出器を装備したHPLC分析によって定量した値を示した。シアリルラクトースの含有量はABOE糖鎖標識キット((株)J−オイルミルズ)を用い、キット付属のマニュアルに従って分析した。結果を表5に示す。
Figure 2009008362
2)結果
表5が示すように、培養24時間後にラクトースは完全に資化され、回収率82%でシアリルラクトースが回収された。膜電気透析後にシアリルラクトース含量は9.5%にまで濃縮された。なお、培養によって酵母菌体は13.9g(乾物)得られた。
本実施例で示されたとおり、培養し、菌体を除去したのちに、単に脱塩するだけでシアリルラクトースを9.5%含む粉末を得ることができるので、極めて優れた方法といえる。また、得られた酵母菌体は、有価物として利用可能であり、シアル酸化合物含有組成物を得る方法として有用である。
初乳はホエイに比してシアル酸含量も多い。それ故、実施例2の方法のように、脱脂初乳を酸分解してシアル酸を遊離させて、遊離のシアル酸を含有する組成物を製造する原料としても利用できる。
実施例4(培地を限外濾過する際の膜の孔径とシアル酸化合物の純度との関係)
実施例1および3において、固形分中の遊離シアル酸含量、あるいはシアリルラクトース含量が10%程度にとどまる理由のひとつとして、夾雑するタンパク質が当該組成物中に残存することが原因として考えられる。
そこで、実施例1および3の培養後上清をSDS―PAGE電気泳動に供したところ、分子量約1万程度のタンパク質が含まれていることが明らかとなった。
このような夾雑物は還元ホエイを酸分解した後の溶液を1万よりも小さい分画分子量の限外濾過膜で濾過することにより、取り除けると考えられる。
そこで、実施例1で示した、電気透析処理後の培養上清を分画分子量3000の膜を用いて限外濾過したところ、得られた透過液の固形分中のシアル酸含量は約20%まで上昇した。従って、限外濾過膜の分画分子量は最終産物のシアル酸化合物含量に大きな影響を与えることがわかった。
実施例4が示すように、酸分解してシアル酸を遊離させた溶液をあらかじめ、分画分子量3000の限外濾過膜で精製することで、最終的なシアル酸化合物含有組成物中のシアル酸含量が向上することが明らかとなった。
このことは、遊離のシアル酸の分子量が309.28なので、分画分子量が309.28を超える適当な限外濾過膜を使用することによって、使用した膜の分画分子量よりも分子量の大きいタンパク等をかなりの程度除去できたためと考えられる。
また、シアリルラクトースの分子量は、633.6であり、同様の発想で最適な膜孔径を選択することで、シアル酸化合物含有組成物中のシアリルラクトース含量を向上させることができると予想される。
実施例5(アルコール発酵を伴うシアル酸化合物含有組成物の製造)
実施例1で示した20%UF膜処理ホエイを水で10倍に希釈し、2%UF膜処理ホエイとした。また、実施例3で示したUF膜処理脱脂初乳を水で2倍に希釈し、50%UF膜処理脱脂初乳とした。
この2%UF膜処理ホエイと50%UF膜処理脱脂初乳とに、0.5%の硫酸アンモニウム、0.2%の硫酸マグネシウム、0.4%のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、pHを5.5に調整した。これらを、100ml容三角フラスコに90ml分取し、63℃で30分間低温殺菌し培地とした。
これらの培地に K. marxianus YRC6040(NITE BP-373株)の培養菌液(種菌)を10ml接種し、通気をせずに25℃で静置培養した。なお、培養菌液(種菌)は、YPD培地にK. marxianus YRC6040(NITE BP-373株)を接種し、25℃で一昼夜180rpmで振盪培養して調製した。
2%UF膜処理ホエイ培地については、培養中のアルコール濃度、乳糖濃度、シアル酸濃度を測定した。50%UF膜処理脱脂初乳培地については、培養中のアルコール濃度、乳糖濃度、シアリルラクトース濃度を測定した。それぞれ結果を表6と表7に示す。濃度測定を行う際には、培養液は15000rpmで5分間遠心して菌体を除去し、得られた上清を用いて行った。
なお、アルコール濃度の測定方法は、F−キットエタノール(ベーリンガー・マンハイム社製)により行った。乳糖濃度、シアル酸濃度、シアリルラクトース濃度の測定方法は実施例1と同様の方法で行った。
Figure 2009008362
Figure 2009008362
表6が示すように、2%UF膜処理ホエイ培地にて通気しない培養を行った場合においても、培養開始から24時間で乳糖をほぼ資化し、且つ72時間経過後もシアル酸の濃度の低下が認められないことが示された。また、さらに培地中にアルコールが生成されることが示された。
また、表7が示すように、50%UF膜処理脱脂初乳培地にて通気しない培養を行った場合においても、培養開始から24時間で乳糖をほぼ資化し、且つ72時間経過後もシアリルラクトースの濃度の低下が認められないことが示された。また、さらに培地中にアルコールが生成されることが示された。
また、K.marxianus YRC6040株(NITE BP-373株)は非常に早いアルコール発酵能力があり、シアル酸化合物含有組成物を製造し、合わせてアルコールが可能であることが示めされた。
この結果から、本発明の方法によってK.marxianus YRC6040株(NITE BP-373株)を用いてアルコール発酵することで、夾雑する乳糖を完全に資化させ、シアル酸化合物含有組成物、アルコール生産および酵母菌体生産を同時に行うことができることが示された。
試験例6(酵母菌体からのラクターゼの抽出)
実施例1で得られたK. marxianus YRC6040(NITE BP-373株)の菌体を蒸留水で洗浄後、−80℃で凍結させ、凍結乾燥機にて調整した凍結乾燥物を、Y-PER Yeast Protein Extraction Reagent(PIERCE社製)を用いてタンパク質を抽出した。この抽出上清を15000rpmで10分遠心し、その上清をラクターゼ分析に用いた。
ラクターゼ活性はYeast β-galactosidase Assay Kit(PIERCE社製)を用いて、ONPG(o-Nitrophenyl-β-D-galactopyranoside )の加水分解により生産されたONP(o-Nitrophenol)の量を比色定量で定量した。1Uは最適な条件下で一分間に1μmolのONPを遊離させる酵素量である。
上記の分析により、酵母菌体乾燥重量1gあたり376Uのラクターゼ活性が認められた。酵母由来のラクターゼは、硫安沈殿、カラムクロマトグラフィー等の手段を使って、精製することができる。このことから、本発明で生じる酵母は酵素生産にも利用可能であることが示された。
実施例6(アルコール発酵を伴うシアル酸化合物含有組成物の製造)
実施例1で示した20%UF膜処理ホエイを水で2倍に希釈し、10%UF膜処理ホエイとした。
この10%UF膜処理ホエイに、0.5%の硫酸アンモニウム、0.2%の硫酸マグネシウム、0.4%のリン酸2水素カリウムを含有するように添加し、pHを5.5に調整した。これらを、100ml容三角フラスコに90ml分取し、63℃で30分間低温殺菌し培地とした。
これらの培地に K. marxianus YRC6040(NITE BP-373株)の培養菌液(種菌)を10ml接種し、通気をせずに25℃で静置培養した。なお、培養菌液(種菌)は、YPD培地にK. marxianus YRC6040(NITE BP-373株)を接種し、25℃で一昼夜180rpmで振盪培養して調製した。
10%UF膜処理ホエイ培地については、培養中のアルコール濃度、乳糖濃度、シアル酸濃度を測定した。その結果を表8に示す。濃度測定を行う際には、培養液は15000rpmで5分間遠心して菌体を除去し、得られた上清を用いて行った。
なお、アルコール濃度の測定方法は、F−キットエタノール(ベーリンガー・マンハイム社製)により行った。乳糖濃度、シアル酸濃度、シアリルラクトース濃度の測定方法は実施例1と同様の方法で行った。
Figure 2009008362
表8が示すように、10%UF膜処理ホエイ培地にて通気しない培養を行った場合においても、培養開始から168時間で乳糖をほぼ資化し、且つ168時間経過後もシアル酸の濃度の低下が認められないことが示された。また、さらに培地中に3%以上のアルコールが生成されることが示された。
この結果から、本発明の方法によってK.marxianus YRC6040株(NITE BP-373株)を用いて、アルコール飲料の生産が可能であることが示された。必要に応じて、夾雑する乳糖を完全に資化させシアル酸化合物含有組成物、アルコール生産および酵母菌体生産を同時に行うことができることも出来る。
本発明によれば、シアル酸化合物を含有する天然の原料である、乳、ホエイ(乳清)、これらの加工物などから、シアル酸化合物の含有率が顕著高いシアル酸化合物含有組成物を、安全で、しかも効率的且つ経済的に製造できるため、シアル酸化合物を含有する食品や医薬品の原料として、製造することが可能になる。また、同時に、酵母菌体などの微生物菌体の製造、培養産物などの製造を平行して行えるため、著しく経済性を向上させることが可能となる。
また、シアル酸化合物のウイルス結合性を利用したウイルス除去用フィルターやウイルス濾過剤などの原料など、非食品分野での原料としても利用も可能である。
さらに、本発明によれば、アルコールを同時に含有させることができるシアル酸化合物含有組成物の製造できるため、シアル酸化合物を含有するアルコール飲料や酒類を製造することが可能になる。

Claims (11)

  1. シアル酸化合物を含有する液体原料もしくはシアル酸化合物を含有する固形原料を水に溶解もしくは懸濁した液体を原料として用い、シアル酸化合物資化能を有さず、前記原料中に含有されるシアル酸化合物以外の糖質の資化能を有する微生物を前記原料中で培養し、前記原料に含まれるシアル酸化合物以外の糖質を資化させた後に、前記微生物を除去することからなる、シアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  2. 前記微生物が、前記シアル酸化合物以外の糖質の資化能に加えて、有機酸の資化能を有するものである、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  3. 前記原料が、乳、ホエイ、乳とホエイの混合物、乳の加工品、ホエイの加工品、及び乳とホエイの混合物の加工品よりなる群から選ばれる1以上のものである、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  4. 前記微生物が、シアル酸化合物資化能を有さず、乳糖資化能を有する微生物である、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  5. 前記微生物が、シアル酸資化能及び/又はシアリルラクトース資化能を有さず、乳糖資化能、グルコース資化能及びガラクトース資化能を有する微生物である、請求項1に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  6. 前記微生物が、酵母である、請求項5に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  7. 前記酵母が、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属の酵母である、請求項6に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  8. 前記原料中での前記微生物の培養を、前記微生物がアルコール発酵することが可能な条件下で行う請求項1〜7のいずれかに記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  9. 前記培養後に前記微生物を除去した後、アルコール発酵により生じたアルコールを蒸留によって分離する、請求項8に記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
  10. 請求項8に記載の方法により得られる、シアル酸化合物含有組成物を用いることを特徴とする、アルコール飲料あるいは酒類の製造方法。
  11. 前記原料を前記微生物で培養する前に、あるいは培養後に、前記原料あるいは培養物をシアル酸化合物の分子量よりも大きい分画分子量の限外濾過膜で限外濾過し、シアル酸化合物を透過液側に透過せしめ、その透過液をさらに電気透析で脱塩処理する請求項1〜7のいずれかに記載のシアル酸化合物含有組成物の製造方法。
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