JPWO2008129885A1 - 出力制御回路、および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
格納部(101)は、デジタル値を格納する。補正部(102)は、格納部(101)に格納されたデジタル値に応じて増幅回路(2)のオフセット電圧を制御する。判定部(103)は、増幅回路(2)からの出力信号(S2)の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定する。調整部(104)は、判定部(103)によるk回の判定結果のうち出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数よりも多い場合には格納部(101)のデジタル値に正の値を加算する。一方、調整部(104)は、出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数よりも多い場合には格納部(101)のデジタル値に負の値を加算する。
Description
この発明は、オフセット調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路に関し、さらに詳しくは、撮像装置に搭載されるクランプ回路に関する。
従来、撮像装置には、被写体の映像を電気信号に変換するイメージセンサ回路や、その電気信号から映像の輝度成分を抽出する相関二重サンプリング回路が搭載されている。また、撮像装置には、被写体の映像の輝度成分を精度良く抽出できるように、クランプ回路が搭載されている。クランプ回路は、イメージセンサ回路の撮像面に形成されたオプティカルブラック画素に対応する電気信号が相関二重サンプリング回路に入力されたときに、相関二重サンプリング回路から出力されるアナログ信号の電圧値が所望値になるように、相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御する。
このようなクランプ回路は、特許第2942055号(特許文献1)や特開平2002−232741号公報(特許文献2)等に開示されている。特許文献1では、差動増幅回路の出力と基準電圧との差分電圧を生成し、その差分電圧を差動増幅回路にフィードバックすることによって、差動増幅回路の出力を制御している。特許文献2では、増幅回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号と基準デジタル値との差分データを求め、その差分データに応じた電圧値を有するアナログ信号を増幅回路にフィードバックすることによって、増幅回路の出力を制御している。このように、従来では、増幅回路からの出力信号と基準電圧との差分に基づいて、増幅回路の出力を制御している。
特許第2942055号
特開平2002−232741号公報
しかしながら、増幅回路からの出力信号にはノイズ成分が重畳されているので、その出力信号と基準電圧との差分にはノイズ成分が含まれる。特に、イメージセンサ回路1において白キズ(電気信号の電圧値が常に飽和状態である画素)や黒キズ(電気信号が常に無出力状態である画素)等の画素欠陥が発生している場合、出力信号の電圧値は大きく変動する。このノイズ成分が増幅回路にフィードバックされると、増幅回路の出力を制御するための制御信号の電圧値が変化し、増幅回路からの出力信号の電圧値が不要に変動してしまう。また、このノイズ成分が大きいほど、出力信号の電圧値の変動量が増大する。このように、従来では、ノイズ成分による影響を受けて出力信号の電圧値が安定しない。そのため、出力信号の電圧値を所望値に収束させるまでに余計な時間がかかってしまい、さらには、所望値に収束した後でも、出力信号の電圧値が変動して所望値からずれてしまう。
また、従来のクランプ回路では、容量素子や抵抗素子によって積分回路が構成されており、積分回路の時定数が固定されているため、出力信号の電圧値を所望値に収束させるために要する時間(収束時間)を短縮することが困難である。また、積分回路の時定数を調整可能にするためには、回路規模を増大させる必要がある。仮に、容量素子や抵抗素子を外付けにしても、LSI実装時の部品点数が増加することになり、モジュールの小型化や低コスト化への対応が困難になる。
そこで、本発明は、ノイズに対する耐性を向上させるとともに回路規模を低減することを目的とする。
この発明の1つの局面に従うと、出力制御回路は、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路であって、上記オフセット電圧の制御量を定めるデジタル値を格納する格納部と、上記格納部に格納されたデジタル値が大きいほど上記増幅回路のオフセット電圧の電圧値を小さくする補正部と、上記増幅回路からの出力信号の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定する判定部と、上記判定部による判定結果をk回(kは2以上の自然数)受け取ると、それらk回の判定結果のうち出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数よりも多い場合には上記格納部に格納されたデジタル値に正の値を加算し、出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数よりも多い場合には上記格納部に格納されたデジタル値に負の値を加算する調整部とを備える。
上記出力制御回路では、出力信号の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定するので、その判定結果は、出力信号の電圧値と基準電圧値との差分量には影響を受けない。そのため、ノイズ成分の大きさに応じて出力信号の電圧値の変動量が増大することを防止することができる。また、複数回の判定結果に基づいて増幅回路のオフセット電圧を補正することにより、突発的なノイズによる影響を除去することができる。このように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができ、ノイズ成分によって増幅回路の出力が不要に増減することを抑制することができる。また、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、回路規模を低減することができる。
この発明のもう1つの局面に従うと、撮像装置は、複数の受光画素および複数のオプティカルブラック画素が形成された撮像面を有し被写体の映像を電気信号に変換する第1のイメージセンサ回路と、オフセット電圧が調整可能であり、上記第1のイメージセンサ回路によって得られた電気信号から輝度成分を示すアナログ信号を抽出して出力する相関二重サンプリング回路と、上記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号を増幅する増幅回路と、上記増幅回路によって増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換回路と、上記アナログ・デジタル変換回路によって得られたデジタル信号をデジタル処理するデジタル処理回路と、上記出力制御回路とを備え、上記出力制御回路は、上記相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御するクランプ回路であり、上記判定部は、上記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号のうち上記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と上記基準電圧値とを高低関係を判定し、上記補正部は、上記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正する。
上記撮像装置では、ノイズ成分に対する耐性が向上させることができ、ノイズ成分によってアナログ信号の電圧値が不要に変動することを抑制することができる。これにより、相関二重サンプリング回路によって輝度成分を示すアナログ信号を精度良く抽出することができ、撮像処理の精度を向上させることができる。
また、上記撮像装置において、上記判定部は、上記増幅回路からのアナログ信号のうち上記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と上記基準電圧値とを高低関係を判定し、上記補正部は、上記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正しても構わない。
以上のように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができる。また、従来のように、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、回路規模を低減することができる。
1 イメージセンサ回路
2 相関二重サンプリング回路
3 利得制御増幅回路
4 アナログ・デジタル変換回路
5 デジタル処理回路
6 選択回路
11 クランプ回路
12 基準電圧発生回路
13 制御回路
101 格納部
102 補正部
103 判定部
104 調整部
105 設定部
201a,201b,201c 比較器
202 結果処理部
2 相関二重サンプリング回路
3 利得制御増幅回路
4 アナログ・デジタル変換回路
5 デジタル処理回路
6 選択回路
11 クランプ回路
12 基準電圧発生回路
13 制御回路
101 格納部
102 補正部
103 判定部
104 調整部
105 設定部
201a,201b,201c 比較器
202 結果処理部
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、この発明の実施形態1による出力制御回路の構成を示す。この出力制御回路は、クランプ回路11として撮像装置に搭載される。撮像装置は、クランプ回路11の他に、イメージセンサ回路1と、相関二重サンプリング回路2(CDS:Correlated Double Sampling)と、利得制御増幅回路3(GCA:Gain Control Amplifier)と、アナログ・デジタル変換回路4(ADC)と、デジタル処理回路5と、基準電圧発生回路12と、制御回路13とを備える。
図1は、この発明の実施形態1による出力制御回路の構成を示す。この出力制御回路は、クランプ回路11として撮像装置に搭載される。撮像装置は、クランプ回路11の他に、イメージセンサ回路1と、相関二重サンプリング回路2(CDS:Correlated Double Sampling)と、利得制御増幅回路3(GCA:Gain Control Amplifier)と、アナログ・デジタル変換回路4(ADC)と、デジタル処理回路5と、基準電圧発生回路12と、制御回路13とを備える。
イメージセンサ回路1は、被写体の映像を電気信号に光電変換するものであり、イメージセンサ回路1の撮像面には、複数の受光画素がマトリクス状に配置され、撮像面の周縁部には、複数のオプティカルブラック画素(OB画素)が配置されている。OB画素は、光の入射が遮られるように遮光フィルタが形成された画素である。相関二重サンプリング回路2は、イメージセンサ回路1からの電気信号に対して相関二重サンプリングを行い、イメージセンサ回路1の撮像面に配置された画素の輝度成分を示すアナログ信号S2を抽出する。また、相関二重サンプリング回路2はオフセット電圧を有しており、このオフセット電圧は、外部からの信号(補正信号S102)によって調整可能である。利得制御増幅回路3は、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2を増幅する。また、利得制御増幅回路3における増幅率(ゲイン)は可変である。アナログ・デジタル変換回路4は、利得制御増幅回路3からのアナログ信号S3をデジタル信号に変換する。デジタル処理回路5は、アナログ・デジタル変換回路4によって得られたデジタル信号に対してデジタル処理を行う。基準電圧発生回路12は、クランプ回路11に基準電圧を供給する。制御回路13は、クランプ回路11の動作を制御する。
クランプ回路11は、イメージセンサ回路によって撮像された映像の輝度成分がアナログ信号として精度良く抽出できるように、相関二重サンプリング回路2の入出力特性を制御する。具体的には、クランプ回路11は、輝度成分の基準となる黒レベル信号(イメージセンサ回路1のOB画素に対応する電気信号)が相関二重サンプリング回路2に入力されたときに相関二重サンプリング回路2から出力されるアナログ信号S2が所望値(例えば、リファレンス電圧値)になるように、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧を補正する。クランプ回路11は、格納部101と、補正部102と、判定部103と、調整部104と、設定部105とを備える。
格納部101は、デジタル値を格納する。デジタル値は、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の補正量を定める値である。
補正部102は、例えば、デジタル・アナログ変換回路であり、格納部101に格納されたデジタル値が大きいほど補正信号S102の電圧値が高くなるように、デジタル値に応じて補正信号S102を相関二重サンプリング回路2へ供給する。また、相関二重サンプリング回路2では、補正信号S102の分だけオフセット電圧の電圧値が低くなり、補正信号S102の電圧値が高いほど、オフセット電圧の電圧値が低くなる。すなわち、補正部102は、格納部101に格納されたデジタル値が大きいほど、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値を低くする。
判定部103は、例えば、比較器であり、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2と基準電圧発生回路12からの基準電圧とを受け、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧の電圧値(基準電圧値)よりも高いと判定すると「H」を出力し、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定すると「L」を出力する。基準電圧の電圧値は、アナログ信号S2の所望の電圧値に相当する。
調整部104は、判定部103による判定結果を順次受け取って蓄積する。また、調整部104は、k回(kは2以上の自然数)の判定結果を受け取ると、そのk回の判定結果の各々に示された判定内容に応じて、格納部101に格納されたデジタル値に正の値(例えば、「+1」)または負の値(例えば、「−1」)を加算する。詳しくは、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数が「L」の数よりも多い場合には、正の値を加算する。一方、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数が「H」の数よりも多い場合には、負の値を加算する。ここで、「H」の数とは、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数を意味し、「L」の数とは、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数を意味する。なお、「H」の数と「L」の数とが同数である場合には、調整部104によって加算される値は正負のいずれであっても良い。また、調整部104がデジタル値を更新しないようにしても良い。
設定部105は、例えば、レジスタであり、デジタル値の初期値を格納する。なお、この初期値は、アナログ信号S2の電圧値が所望値であるとき(または、所望値の近傍であるとき)のデジタル値であることが好ましい。設定部105は、制御回路13による制御を受けて、格納部101に格納されたデジタル値をこの初期値に設定する。例えば、設定部105は、クランプ回路11への電力供給が開始されたときに、初期値の設定を行う。
また、設定部105は、制御回路13による制御を受け、格納部101に格納されたデジタル値を読み出し、読み出したデジタル値を初期値として格納する(すなわち、初期値を更新する)。例えば、設定部105は、クランプ回路11への電力供給が停止される直前に、初期値の更新を行う。
制御回路13は、設定部105の制御の他に、判定部103および調整部104の駆動状態を制御する。詳しくは、制御回路13は、相関二重サンプリング回路2に黒レベル信号が与えられている期間(黒レベル信号入力期間)では、判定部103および調整部104にクランプパルスを供給して判定部103および調整部104を駆動させ、黒レベル信号が与えられていない期間では、クランプパルスの供給を停止し判定部103および調整部104を停止させる。
ここで、相関二重サンプリング回路2から出力されるアナログ信号S2について説明する。アナログ信号S2には、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の他に、ノイズ成分が含まれているため、図2のように、黒レベル信号が入力されている期間であっても、アナログ信号S2の電圧値は増減する。ノイズ成分の例としては、白キズや黒キズ等のイメージセンサ回路に起因するノイズ,相関二重サンプリング回路2の前後で発生する外乱ノイズ,相関二重サンプリング回路2内におけるノイズ等が挙げられる。
次に、図2を参照しつつ、図1に示したクランプ回路11による動作について説明する。ここでは、格納部101に格納されたデジタル値は「+4」に設定されており、補正信号S102の電圧値はデジタル値「+4」に対応する「V4」に設定されているものとする。また、判定部103による判定が6回行われる毎に、調整部104は、デジタル値の更新を行うものとする。
時刻t1になると、クランプパルスが供給され、判定部103および調整部104が駆動し始める。時刻t1〜t2では、アナログ信号S2の電圧値と基準電圧値Vrefとの差分がノイズ成分によるアナログ信号S2の変動量よりも大きいので、判定部103による判定結果は安定している。ここで、判定部103による判定結果は「HHHHHH」となり、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「+1」を加算する。よって、格納部101に格納されたデジタル値は「+4」から「+5」になり、補正信号S102の電圧値は「V4」から「V5」に増加するので、相関二重サンプリング回路2におけるオフセット電圧の電圧値が減少し、アナログ信号S2の電圧値が減少する。
同様に、時刻t2〜t3においても、判定部103による判定結果が「HHHHHH」になるので、格納部に101格納されたデジタル値は「+5」から「+6」に増加し、補正信号S2の電圧値は「V5」から「V6」に増加する。これにより、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値がさらに減少する。
次に、時刻t3〜t4では、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefの近傍になるので、ノイズ成分によるアナログ信号S2の変動が無視できなくなり、判定部103による判定結果が不安定になる。ここで、判定部103による6回の判定結果のうち「L」の数が「H」の数よりも多くなるので、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「−1」を加算する。これにより、格納部101に格納されたデジタル値は「+5」になり、補正信号S102の電圧値は「V6」から「V5」に減少するので、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が増加する。
次に、時刻t4〜t5では、判定部103による判定結果が「HHHHHH」になるので、格納部101に格納されたデジタル値が「+6」になり、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が増加する。時刻t5になると、クロックパルスの供給が停止され、判定部103による処理および調整部104による処理が終了する。
以上のように、判定部による判定結果はアナログ信号の電圧値と基準電圧値との差分量には影響を受けないので、ノイズ成分の大きさに応じてアナログ信号の電圧値の変動量が増大することを防止することができる。また、複数回の判定結果に基づいてデジタル値を更新することにより、突発的なノイズによる影響を除去することができる。このように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができ、ノイズ成分によって相関サンプリング回路の出力が不要に増減することを抑制することができる。これにより、クランプ処理においてアナログ信号の電圧値が所望値に収束するまでに要する時間を短縮することができ、収束させた後では、アナログ信号の電圧値が所望値からずれにくくすることができる。
さらに、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、従来よりも、クランプ回路の回路面積を削減することが可能である。
また、オフセット電圧の補正量を定めるデジタル値を任意の初期値に設定することができ、この初期値を適切な値にすることによって収束時間をさらに短縮することができる。例えば、アナログ信号の電圧値が所望値になるときのデジタル値を予め把握している場合、格納部に格納されたデジタル値をその値に設定すれば、デジタル値を調整する処理を省略することが可能である。
また、従来では、クランプ回路が休止状態になると増幅回路の出力を制御している信号が失われるので、クランプ回路が休止状態から駆動状態に復帰したときには、その制御信号を最初から生成し直す必要がある。一方、本実施形態では、クランプ回路が休止状態になる前に、設定部が調整部によって調整されたデジタル値を読み出しておくことで、クランプ回路が休止状態から駆動状態に復帰した後に、格納部に格納されたデジタル値を休止状態になる前のデジタル値に再設定することが可能である。そのため、クランプ回路の復帰時における収束時間は従来よりも大幅に短いので、クランプ回路のオン・オフを頻繁に切り替えることが可能であり、クランプ回路における消費電力を低減することができる。
なお、図1に示したクランプ回路では、補正部102においてデジタル値を補正信号に変換する際、量子化誤差が発生する。この量子化誤差は相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2に重畳され、利得制御増幅回路3,アナログ・デジタル変換回路4を介してデジタル処理回路5へ伝達される。ここで、補正部102における量子化誤差がある程度の大きさを有する場合には、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2の電圧値が基準電圧値の近傍で増減を繰り返し基準電圧値に収束しない現象(リンギング)が発生する。このリンギング(ringing)によるアナログ信号S2の変動範囲がアナログ・デジタル変換回路4におけるLSBよりも小さい場合には、デジタル処理回路5においてデジタル処理が正常に行われる。一方、リンギングによるアナログ信号の変動範囲がLSBよりも大きい場合には、補正部102の分解能を向上させて量子化誤差を小さくすれば良い。
(実施形態2)
この発明の実施形態2によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成を同様であるが、調整部104による処理が異なる。本実施形態によるクランプ回路11では、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回(n>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算する。また、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数がm回(m>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に負の値を加算する。さらに、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回よりも少なく、「L」の数がm回よりも少ない場合には、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。
この発明の実施形態2によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成を同様であるが、調整部104による処理が異なる。本実施形態によるクランプ回路11では、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回(n>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算する。また、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数がm回(m>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に負の値を加算する。さらに、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回よりも少なく、「L」の数がm回よりも少ない場合には、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。
次に、図3を参照しつつ、本実施形態のクランプ回路11による動作について説明する。なお、ここでは、k=6,n=6,m=6であるものとする。
時刻t2〜t3では、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefの近傍であるので、判定部103による判定結果は不安定になる。このとき、調整部104は、判定部103による6回の判定結果のうち「H」の数,「L」の数のいずれもが「6回」よりも少ないので、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。よって、補正信号S102の電圧値は変化せず、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値は、増減せずに、そのまま維持される。時刻t3〜t4においても、判定部103による6回の判定結果のうち「H」の数,「L」の数のいずれもが「6回」よりも少ないので、デジタル値は更新されない。
ここで、時刻t4において、相関二重サンプリング回路2の周辺環境が変動し(例えば、イメージセンサ回路1におけるOB画素に対応する電気信号が、温度変化や電源変動による影響を受けて)、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が低くなったとする。この場合、オフセット電圧の電圧値の低下に伴い、アナログ信号S2の電圧値も低下するため、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefから遠ざかることになる。よって、時刻t4〜t5では、判定部103による判定結果が「LLLLLL」になり、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「−1」を加算する。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部による判定結果が不安定になるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。また、判定部103および調整部104による処理を継続することで、相関二重サンプリング回路のオフセット電圧が変動した場合でも、相関二重サンプリング回路の入出力特性を適切に制御することができる。
なお、各判定結果の閾値(n,m)は、撮像装置の周辺環境や、イメージセンサ回路や相関二重サンプリングの精度や特性に応じて設定すれば良い。
(実施形態3)
この発明の実施形態3によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態3によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態において、判定部103は、基準電圧値の近傍の範囲を不感帯とする。すなわち、図4のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)に応じた電圧値VH,電圧値VLが設定され、判定部103の判定範囲は、この2つの電圧値によって3つの電圧範囲に区切られる。ここで、電圧値VHは、基準電圧値Vrefに対して所定量だけ高い電圧値であり、電圧値VLは、基準電圧値Vrefに対して所定量だけ低い電圧値である。判定部103は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い場合には「H」を出力し、電圧値VLよりも低い場合には「L」を出力し、電圧値VHと電圧値VLとの間である場合には「0」(無効であることを示す判定結果)を出力する。
図5は、本実施形態における判定部103の構成例を示す。判定部103は、複数の比較器(ここでは、3つの比較器)201a,201b,201cと、結果処理部202とを含む。
複数の比較器201a,201b,201cの各々は、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2を受け、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定すると「H」を出力し、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定すると「L」を出力する。また、比較器201a,201b,201cの各々は、製造ばらつきを有しているため、アナログ信号S2の電圧値と基準電圧値Vrefとの差分が微少である場合では、各々の比較結果が互いに異なる。すなわち、図6のように、比較器201a,201b,201cの各々における閾値(基準電圧値Vrefに対するアナログ信号S2の電圧値の高低関係を判定するための閾値)を、それぞれ、「Va」,「Vb」,「Vc」とすると、閾値Va,Vb,Vcは互いに一致しない。そのため、アナログ信号S2の電圧値が比較器201aの閾値Vaと比較器201cの閾値Vcとの間の範囲に属する場合には、比較器201a,201b,201cの各々による比較結果は、互いに一致しない。
結果処理部202は、比較器201a,201b,201cの各々による比較結果が全て「H」である場合には「H」を出力し、比較結果が全て「L」である場合には「L」を出力し、比較結果が一致しない場合には「0」(無効であることを示す判定結果)を出力する。すなわち、図5に示した判定部103では、閾値VaとVcとの間の範囲が不感帯となる。
また、本実施形態において、調整部104は、判定部103によるk回の判定結果のうち「H」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高いと判定された回数)が最も多い場合には格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算し、「L」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VLよりも低いと判定された回数)が最も多い場合にはデジタル値に負の値を加算し、「0」の数(無効であると判定された回数)が最も多い場合にはデジタル値を更新しない。なお、同数の判定結果がある場合(例えば、「H」の数と「L」の数とが同数であった場合)には、調整部104がデジタル値を更新しないようにすることが好ましい。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部によって無効であると判定される回数が多くなるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。
(実施形態4)
この発明の実施形態4によるクランプ回路の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態4によるクランプ回路の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態におけるクランプ回路では、判定部103は、2ビットの判定結果を出力する。すなわち、図7のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)と基準電圧値Vrefに応じた電圧値VH,VLとが設定され、判定部103の判定範囲は、この3つの電圧値によって4つの電圧範囲に区切られる。判定部103は、アナログ信号S2の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定する。例えば、判定部103は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い範囲に属する場合には、「HH」を出力する。
また、本実施形態において、調整部104は、不感帯を有する。すなわち、調整部104は、判定部103による複数の判定結果のうち、「HH」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い範囲に属すると判定された回数)が最も多い場合には正の値をデジタル値に加算し、「LL」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VLよりも低い範囲に属すると判定された回数)が最も多い場合には負の値をデジタル値に加算し、「H」の数が最も多い場合または「L」の数が最も多い場合にはデジタル値を更新しない。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部による判定結果のうち「H」または「L」の回数が多くなるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。
(実施形態5)
この発明の実施形態5によるクランプ回路11の構成は、図1と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態5によるクランプ回路11の構成は、図1と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態におけるクランプ回路11では、判定部103は、nビットの判定結果を出力する。すなわち、図8のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)と電圧値V51,V52,V53,V54とが設定され、判定部103の判定範囲は、この5つの電圧値によって6つの電圧範囲に区切られる。判定部103は、実施形態3と同様に、アナログ信号S2の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定する。例えば、判定結果「H」は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値V52と基準電圧値Vrefとの間の電圧範囲に属することを示し、判定結果「L」は、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefと電圧値V53との間の電圧範囲に属することを示す。
また、調整部104は、判定部103によるk回の判定結果の各々に示された電圧範囲のうち最も多くの判定結果に示された電圧範囲を選出し、選出した電圧範囲に対応する値をデジタル値に加算する。図9のように、調整部104は、選出した電圧範囲が基準電圧値Vrefよりも高い範囲である場合には正の値をデジタル値に加算し、選出した電圧範囲が基準電圧値Vrefよりも低い範囲である場合には負の値をデジタル値に加算する。また、選出された電圧と基準電圧値Vrefとの差が大きいほど、調整部104によってデジタル値に加算される値が大きくなる。例えば、判定部103によるk回の判定結果のうち「HHH」を示す判定結果が最も多い場合、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「+3」を加算する。
以上のように、アナログ信号の電圧値と基準電圧値との差が大きいほどデジタル値に加算される値を大きくすることにより、アナログ信号の電圧値を基準電圧値に素早く近づけることができる。
なお、実施形態4のように、調整部104が不感帯を有していても構わない。すなわち、判定部103によるk回の判定結果のうち基準電圧値Vrefを含む電圧範囲(図9では、「H」「L」)を示す判定結果が最も多い場合に、調整部104が格納部101に格納されたデジタル値を更新しないように構成することも可能である。このように構成することにより、リンギングを抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、図10のように、判定部103による処理および調整部104による処理は、複数の黒レベル信号入力期間に渡って実行されても良い。例えば、イメージセンサ回路1の撮像面における1水平ライン毎にデジタル値が1回更新されるように構成しても良い。
なお、図10のように、判定部103による処理および調整部104による処理は、複数の黒レベル信号入力期間に渡って実行されても良い。例えば、イメージセンサ回路1の撮像面における1水平ライン毎にデジタル値が1回更新されるように構成しても良い。
また、図11のように、利得制御増幅回路3からのアナログ信号S3に基づいて相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧を補正するように構成しても良い。この場合、クランプ回路11は、黒レベル信号に対応するアナログ信号が利得制御増幅回路3に与えられるときに、利得制御増幅回路3から出力されるアナログ信号の電圧値が基準電圧値になるように、相関二重サンプリング回路2の入出力特性を制御する。
さらに、図12のように、複数のイメージセンサ回路1を搭載する撮像装置を構成することも可能である。図12において、撮像装置は、図1に示した構成に加えて、もう1つのイメージセンサ回路1と、選択回路6とを備える。選択回路6は、2個のイメージセンサ回路1のうちいずれか一方を選択し、選択したイメージセンサ回路1からの電気信号を相関二重サンプリング回路2に供給する。また、クランプ回路11の設定部105は、2つのイメージセンサ回路1の各々に対応する初期値を格納する。さらに、設定部105は、制御回路13による制御を受けて、2つの初期値のうち選択回路6によって選択されたイメージセンサ回路1に対応する初期値を選出し、格納部101に格納されたデジタル値を選出した初期値に設定する。
このように構成することにより、イメージセンサ回路毎にアナログフロントエンド回路(相関二重サンプリング回路,利得制御増幅回路,アナログ・デジタル変換回路)を設ける必要がないので、回路規模および消費電力を低減することが可能である。さらに、イメージセンサ回路毎にデジタル値の初期値を設定することができるので、イメージセンサ回路の切替を円滑に行うことができる。
以上の各実施形態の説明において、撮像装置に搭載されるクランプ回路を例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明による出力制御回路は、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路として適用可能である。
以上のように、本発明による出力制御回路は、デジタルカメラ,携帯電話,医療用の小型カメラ等の撮像装置に搭載されるクランプ回路や、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路等として有用である。
この発明は、オフセット調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路に関し、さらに詳しくは、撮像装置に搭載されるクランプ回路に関する。
従来、撮像装置には、被写体の映像を電気信号に変換するイメージセンサ回路や、その電気信号から映像の輝度成分を抽出する相関二重サンプリング回路が搭載されている。また、撮像装置には、被写体の映像の輝度成分を精度良く抽出できるように、クランプ回路が搭載されている。クランプ回路は、イメージセンサ回路の撮像面に形成されたオプティカルブラック画素に対応する電気信号が相関二重サンプリング回路に入力されたときに、相関二重サンプリング回路から出力されるアナログ信号の電圧値が所望値になるように、相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御する。
このようなクランプ回路は、特許文献1や特許文献2等に開示されている。特許文献1では、差動増幅回路の出力と基準電圧との差分電圧を生成し、その差分電圧を差動増幅回路にフィードバックすることによって、差動増幅回路の出力を制御している。特許文献2では、増幅回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号と基準デジタル値との差分データを求め、その差分データに応じた電圧値を有するアナログ信号を増幅回路にフィードバックすることによって、増幅回路の出力を制御している。このように、従来では、増幅回路からの出力信号と基準電圧との差分に基づいて、増幅回路の出力を制御している。
しかしながら、増幅回路からの出力信号にはノイズ成分が重畳されているので、その出力信号と基準電圧との差分にはノイズ成分が含まれる。特に、イメージセンサ回路1において白キズ(電気信号の電圧値が常に飽和状態である画素)や黒キズ(電気信号が常に無出力状態である画素)等の画素欠陥が発生している場合、出力信号の電圧値は大きく変動する。このノイズ成分が増幅回路にフィードバックされると、増幅回路の出力を制御するための制御信号の電圧値が変化し、増幅回路からの出力信号の電圧値が不要に変動してしまう。また、このノイズ成分が大きいほど、出力信号の電圧値の変動量が増大する。このように、従来では、ノイズ成分による影響を受けて出力信号の電圧値が安定しない。そのため、出力信号の電圧値を所望値に収束させるまでに余計な時間がかかってしまい、さらには、所望値に収束した後でも、出力信号の電圧値が変動して所望値からずれてしまう。
また、従来のクランプ回路では、容量素子や抵抗素子によって積分回路が構成されており、積分回路の時定数が固定されているため、出力信号の電圧値を所望値に収束させるために要する時間(収束時間)を短縮することが困難である。また、積分回路の時定数を調整可能にするためには、回路規模を増大させる必要がある。仮に、容量素子や抵抗素子を外付けにしても、LSI実装時の部品点数が増加することになり、モジュールの小型化や低コスト化への対応が困難になる。
そこで、本発明は、ノイズに対する耐性を向上させるとともに回路規模を低減することを目的とする。
この発明の1つの局面に従うと、出力制御回路は、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路であって、上記オフセット電圧の制御量を定めるデジタル値を格納する格納部と、上記格納部に格納されたデジタル値が大きいほど上記増幅回路のオフセット電圧の電圧値を小さくする補正部と、上記増幅回路からの出力信号の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定する判定部と、上記判定部による判定結果をk回(kは2以上の自然数)受け取ると、それらk回の判定結果のうち出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数よりも多い場合には上記格納部に格納されたデジタル値に正の値を加算し、出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数よりも多い場合には上記格納部に格納されたデジタル値に負の値を加算する調整部とを備える。
上記出力制御回路では、出力信号の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定するので、その判定結果は、出力信号の電圧値と基準電圧値との差分量には影響を受けない。そのため、ノイズ成分の大きさに応じて出力信号の電圧値の変動量が増大することを防止することができる。また、複数回の判定結果に基づいて増幅回路のオフセット電圧を補正することにより、突発的なノイズによる影響を除去することができる。このように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができ、ノイズ成分によって増幅回路の出力が不要に増減することを抑制することができる。また、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、回路規模を低減することができる。
この発明のもう1つの局面に従うと、撮像装置は、複数の受光画素および複数のオプティカルブラック画素が形成された撮像面を有し被写体の映像を電気信号に変換する第1のイメージセンサ回路と、オフセット電圧が調整可能であり、上記第1のイメージセンサ回路によって得られた電気信号から輝度成分を示すアナログ信号を抽出して出力する相関二重サンプリング回路と、上記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号を増幅する増幅回路と、上記増幅回路によって増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換回路と、上記アナログ・デジタル変換回路によって得られたデジタル信号をデジタル処理するデジタル処理回路と、上記出力制御回路とを備え、上記出力制御回路は、上記相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御するクランプ回路であり、上記判定部は、上記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号のうち上記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と上記基準電圧値とを高低関係を判定し、上記補正部は、上記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正する。
上記撮像装置では、ノイズ成分に対する耐性が向上させることができ、ノイズ成分によってアナログ信号の電圧値が不要に変動することを抑制することができる。これにより、相関二重サンプリング回路によって輝度成分を示すアナログ信号を精度良く抽出することができ、撮像処理の精度を向上させることができる。
また、上記撮像装置において、上記判定部は、上記増幅回路からのアナログ信号のうち上記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と上記基準電圧値とを高低関係を判定し、上記補正部は、上記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正しても構わない。
以上のように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができる。また、従来のように、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、回路規模を低減することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、この発明の実施形態1による出力制御回路の構成を示す。この出力制御回路は、クランプ回路11として撮像装置に搭載される。撮像装置は、クランプ回路11の他に、イメージセンサ回路1と、相関二重サンプリング回路2(CDS:Correlated Double Sampling)と、利得制御増幅回路3(GCA:Gain Control Amplifier)と、アナログ・デジタル変換回路4(ADC)と、デジタル処理回路5と、基準電圧発生回路12と、制御回路13とを備える。
図1は、この発明の実施形態1による出力制御回路の構成を示す。この出力制御回路は、クランプ回路11として撮像装置に搭載される。撮像装置は、クランプ回路11の他に、イメージセンサ回路1と、相関二重サンプリング回路2(CDS:Correlated Double Sampling)と、利得制御増幅回路3(GCA:Gain Control Amplifier)と、アナログ・デジタル変換回路4(ADC)と、デジタル処理回路5と、基準電圧発生回路12と、制御回路13とを備える。
イメージセンサ回路1は、被写体の映像を電気信号に光電変換するものであり、イメージセンサ回路1の撮像面には、複数の受光画素がマトリクス状に配置され、撮像面の周縁部には、複数のオプティカルブラック画素(OB画素)が配置されている。OB画素は、光の入射が遮られるように遮光フィルタが形成された画素である。相関二重サンプリング回路2は、イメージセンサ回路1からの電気信号に対して相関二重サンプリングを行い、イメージセンサ回路1の撮像面に配置された画素の輝度成分を示すアナログ信号S2を抽出する。また、相関二重サンプリング回路2はオフセット電圧を有しており、このオフセット電圧は、外部からの信号(補正信号S102)によって調整可能である。利得制御増幅回路3は、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2を増幅する。また、利得制御増幅回路3における増幅率(ゲイン)は可変である。アナログ・デジタル変換回路4は、利得制御増幅回路3からのアナログ信号S3をデジタル信号に変換する。デジタル処理回路5は、アナログ・デジタル変換回路4によって得られたデジタル信号に対してデジタル処理を行う。基準電圧発生回路12は、クランプ回路11に基準電圧を供給する。制御回路13は、クランプ回路11の動作を制御する。
クランプ回路11は、イメージセンサ回路によって撮像された映像の輝度成分がアナログ信号として精度良く抽出できるように、相関二重サンプリング回路2の入出力特性を制御する。具体的には、クランプ回路11は、輝度成分の基準となる黒レベル信号(イメージセンサ回路1のOB画素に対応する電気信号)が相関二重サンプリング回路2に入力されたときに相関二重サンプリング回路2から出力されるアナログ信号S2が所望値(例えば、リファレンス電圧値)になるように、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧を補正する。クランプ回路11は、格納部101と、補正部102と、判定部103と、調整部104と、設定部105とを備える。
格納部101は、デジタル値を格納する。デジタル値は、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の補正量を定める値である。
補正部102は、例えば、デジタル・アナログ変換回路であり、格納部101に格納されたデジタル値が大きいほど補正信号S102の電圧値が高くなるように、デジタル値に応じて補正信号S102を相関二重サンプリング回路2へ供給する。また、相関二重サンプリング回路2では、補正信号S102の分だけオフセット電圧の電圧値が低くなり、補正信号S102の電圧値が高いほど、オフセット電圧の電圧値が低くなる。すなわち、補正部102は、格納部101に格納されたデジタル値が大きいほど、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値を低くする。
判定部103は、例えば、比較器であり、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2と基準電圧発生回路12からの基準電圧とを受け、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧の電圧値(基準電圧値)よりも高いと判定すると「H」を出力し、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定すると「L」を出力する。基準電圧の電圧値は、アナログ信号S2の所望の電圧値に相当する。
調整部104は、判定部103による判定結果を順次受け取って蓄積する。また、調整部104は、k回(kは2以上の自然数)の判定結果を受け取ると、そのk回の判定結果の各々に示された判定内容に応じて、格納部101に格納されたデジタル値に正の値(例えば、「+1」)または負の値(例えば、「−1」)を加算する。詳しくは、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数が「L」の数よりも多い場合には、正の値を加算する。一方、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数が「H」の数よりも多い場合には、負の値を加算する。ここで、「H」の数とは、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数を意味し、「L」の数とは、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数を意味する。なお、「H」の数と「L」の数とが同数である場合には、調整部104によって加算される値は正負のいずれであっても良い。また、調整部104がデジタル値を更新しないようにしても良い。
設定部105は、例えば、レジスタであり、デジタル値の初期値を格納する。なお、この初期値は、アナログ信号S2の電圧値が所望値であるとき(または、所望値の近傍であるとき)のデジタル値であることが好ましい。設定部105は、制御回路13による制御を受けて、格納部101に格納されたデジタル値をこの初期値に設定する。例えば、設定部105は、クランプ回路11への電力供給が開始されたときに、初期値の設定を行う。
また、設定部105は、制御回路13による制御を受け、格納部101に格納されたデジタル値を読み出し、読み出したデジタル値を初期値として格納する(すなわち、初期値を更新する)。例えば、設定部105は、クランプ回路11への電力供給が停止される直前に、初期値の更新を行う。
制御回路13は、設定部105の制御の他に、判定部103および調整部104の駆動状態を制御する。詳しくは、制御回路13は、相関二重サンプリング回路2に黒レベル信号が与えられている期間(黒レベル信号入力期間)では、判定部103および調整部104にクランプパルスを供給して判定部103および調整部104を駆動させ、黒レベル信号が与えられていない期間では、クランプパルスの供給を停止し判定部103および調整部104を停止させる。
ここで、相関二重サンプリング回路2から出力されるアナログ信号S2について説明する。アナログ信号S2には、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の他に、ノイズ成分が含まれているため、図2のように、黒レベル信号が入力されている期間であっても、アナログ信号S2の電圧値は増減する。ノイズ成分の例としては、白キズや黒キズ等のイメージセンサ回路に起因するノイズ,相関二重サンプリング回路2の前後で発生する外乱ノイズ,相関二重サンプリング回路2内におけるノイズ等が挙げられる。
次に、図2を参照しつつ、図1に示したクランプ回路11による動作について説明する。ここでは、格納部101に格納されたデジタル値は「+4」に設定されており、補正信号S102の電圧値はデジタル値「+4」に対応する「V4」に設定されているものとする。また、判定部103による判定が6回行われる毎に、調整部104は、デジタル値の更新を行うものとする。
時刻t1になると、クランプパルスが供給され、判定部103および調整部104が駆動し始める。時刻t1〜t2では、アナログ信号S2の電圧値と基準電圧値Vrefとの差分がノイズ成分によるアナログ信号S2の変動量よりも大きいので、判定部103による判定結果は安定している。ここで、判定部103による判定結果は「HHHHHH」となり、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「+1」を加算する。よって、格納部101に格納されたデジタル値は「+4」から「+5」になり、補正信号S102の電圧値は「V4」から「V5」に増加するので、相関二重サンプリング回路2におけるオフセット電圧の電圧値が減少し、アナログ信号S2の電圧値が減少する。
同様に、時刻t2〜t3においても、判定部103による判定結果が「HHHHHH」になるので、格納部に101格納されたデジタル値は「+5」から「+6」に増加し、補正信号S2の電圧値は「V5」から「V6」に増加する。これにより、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値がさらに減少する。
次に、時刻t3〜t4では、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefの近傍になるので、ノイズ成分によるアナログ信号S2の変動が無視できなくなり、判定部103による判定結果が不安定になる。ここで、判定部103による6回の判定結果のうち「L」の数が「H」の数よりも多くなるので、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「−1」を加算する。これにより、格納部101に格納されたデジタル値は「+5」になり、補正信号S102の電圧値は「V6」から「V5」に減少するので、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が増加する。
次に、時刻t4〜t5では、判定部103による判定結果が「HHHHHH」になるので、格納部101に格納されたデジタル値が「+6」になり、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が増加する。時刻t5になると、クロックパルスの供給が停止され、判定部103による処理および調整部104による処理が終了する。
以上のように、判定部による判定結果はアナログ信号の電圧値と基準電圧値との差分量には影響を受けないので、ノイズ成分の大きさに応じてアナログ信号の電圧値の変動量が増大することを防止することができる。また、複数回の判定結果に基づいてデジタル値を更新することにより、突発的なノイズによる影響を除去することができる。このように、ノイズ成分に対する耐性を向上させることができ、ノイズ成分によって相関サンプリング回路の出力が不要に増減することを抑制することができる。これにより、クランプ処理においてアナログ信号の電圧値が所望値に収束するまでに要する時間を短縮することができ、収束させた後では、アナログ信号の電圧値が所望値からずれにくくすることができる。
さらに、従来のようにアナログ回路で構成された積分回路を設ける必要がないので、従来よりも、クランプ回路の回路面積を削減することが可能である。
また、オフセット電圧の補正量を定めるデジタル値を任意の初期値に設定することができ、この初期値を適切な値にすることによって収束時間をさらに短縮することができる。例えば、アナログ信号の電圧値が所望値になるときのデジタル値を予め把握している場合、格納部に格納されたデジタル値をその値に設定すれば、デジタル値を調整する処理を省略することが可能である。
また、従来では、クランプ回路が休止状態になると増幅回路の出力を制御している信号が失われるので、クランプ回路が休止状態から駆動状態に復帰したときには、その制御信号を最初から生成し直す必要がある。一方、本実施形態では、クランプ回路が休止状態になる前に、設定部が調整部によって調整されたデジタル値を読み出しておくことで、クランプ回路が休止状態から駆動状態に復帰した後に、格納部に格納されたデジタル値を休止状態になる前のデジタル値に再設定することが可能である。そのため、クランプ回路の復帰時における収束時間は従来よりも大幅に短いので、クランプ回路のオン・オフを頻繁に切り替えることが可能であり、クランプ回路における消費電力を低減することができる。
なお、図1に示したクランプ回路では、補正部102においてデジタル値を補正信号に変換する際、量子化誤差が発生する。この量子化誤差は相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2に重畳され、利得制御増幅回路3,アナログ・デジタル変換回路4を介してデジタル処理回路5へ伝達される。ここで、補正部102における量子化誤差がある程度の大きさを有する場合には、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2の電圧値が基準電圧値の近傍で増減を繰り返し基準電圧値に収束しない現象(リンギング)が発生する。このリンギング(ringing)によるアナログ信号S2の変動範囲がアナログ・デジタル変換回路4におけるLSBよりも小さい場合には、デジタル処理回路5においてデジタル処理が正常に行われる。一方、リンギングによるアナログ信号の変動範囲がLSBよりも大きい場合には、補正部102の分解能を向上させて量子化誤差を小さくすれば良い。
(実施形態2)
この発明の実施形態2によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成を同様であるが、調整部104による処理が異なる。本実施形態によるクランプ回路11では、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回(n>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算する。また、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数がm回(m>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に負の値を加算する。さらに、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回よりも少なく、「L」の数がm回よりも少ない場合には、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。
この発明の実施形態2によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成を同様であるが、調整部104による処理が異なる。本実施形態によるクランプ回路11では、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回(n>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算する。また、調整部104は、k回の判定結果のうち「L」の数がm回(m>(k/2))以上である場合には、格納部101に格納されたデジタル値に負の値を加算する。さらに、調整部104は、k回の判定結果のうち「H」の数がn回よりも少なく、「L」の数がm回よりも少ない場合には、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。
次に、図3を参照しつつ、本実施形態のクランプ回路11による動作について説明する。なお、ここでは、k=6,n=6,m=6であるものとする。
時刻t2〜t3では、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefの近傍であるので、判定部103による判定結果は不安定になる。このとき、調整部104は、判定部103による6回の判定結果のうち「H」の数,「L」の数のいずれもが「6回」よりも少ないので、格納部101に格納されたデジタル値を更新しない。よって、補正信号S102の電圧値は変化せず、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値は、増減せずに、そのまま維持される。時刻t3〜t4においても、判定部103による6回の判定結果のうち「H」の数,「L」の数のいずれもが「6回」よりも少ないので、デジタル値は更新されない。
ここで、時刻t4において、相関二重サンプリング回路2の周辺環境が変動し(例えば、イメージセンサ回路1におけるOB画素に対応する電気信号が、温度変化や電源変動による影響を受けて)、相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧の電圧値が低くなったとする。この場合、オフセット電圧の電圧値の低下に伴い、アナログ信号S2の電圧値も低下するため、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefから遠ざかることになる。よって、時刻t4〜t5では、判定部103による判定結果が「LLLLLL」になり、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「−1」を加算する。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部による判定結果が不安定になるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。また、判定部103および調整部104による処理を継続することで、相関二重サンプリング回路のオフセット電圧が変動した場合でも、相関二重サンプリング回路の入出力特性を適切に制御することができる。
なお、各判定結果の閾値(n,m)は、撮像装置の周辺環境や、イメージセンサ回路や相関二重サンプリングの精度や特性に応じて設定すれば良い。
(実施形態3)
この発明の実施形態3によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態3によるクランプ回路11の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態において、判定部103は、基準電圧値の近傍の範囲を不感帯とする。すなわち、図4のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)に応じた電圧値VH,電圧値VLが設定され、判定部103の判定範囲は、この2つの電圧値によって3つの電圧範囲に区切られる。ここで、電圧値VHは、基準電圧値Vrefに対して所定量だけ高い電圧値であり、電圧値VLは、基準電圧値Vrefに対して所定量だけ低い電圧値である。判定部103は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い場合には「H」を出力し、電圧値VLよりも低い場合には「L」を出力し、電圧値VHと電圧値VLとの間である場合には「0」(無効であることを示す判定結果)を出力する。
図5は、本実施形態における判定部103の構成例を示す。判定部103は、複数の比較器(ここでは、3つの比較器)201a,201b,201cと、結果処理部202とを含む。
複数の比較器201a,201b,201cの各々は、相関二重サンプリング回路2からのアナログ信号S2を受け、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定すると「H」を出力し、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定すると「L」を出力する。また、比較器201a,201b,201cの各々は、製造ばらつきを有しているため、アナログ信号S2の電圧値と基準電圧値Vrefとの差分が微少である場合では、各々の比較結果が互いに異なる。すなわち、図6のように、比較器201a,201b,201cの各々における閾値(基準電圧値Vrefに対するアナログ信号S2の電圧値の高低関係を判定するための閾値)を、それぞれ、「Va」,「Vb」,「Vc」とすると、閾値Va,Vb,Vcは互いに一致しない。そのため、アナログ信号S2の電圧値が比較器201aの閾値Vaと比較器201cの閾値Vcとの間の範囲に属する場合には、比較器201a,201b,201cの各々による比較結果は、互いに一致しない。
結果処理部202は、比較器201a,201b,201cの各々による比較結果が全て「H」である場合には「H」を出力し、比較結果が全て「L」である場合には「L」を出力し、比較結果が一致しない場合には「0」(無効であることを示す判定結果)を出力する。すなわち、図5に示した判定部103では、閾値VaとVcとの間の範囲が不感帯となる。
また、本実施形態において、調整部104は、判定部103によるk回の判定結果のうち「H」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高いと判定された回数)が最も多い場合には格納部101に格納されたデジタル値に正の値を加算し、「L」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VLよりも低いと判定された回数)が最も多い場合にはデジタル値に負の値を加算し、「0」の数(無効であると判定された回数)が最も多い場合にはデジタル値を更新しない。なお、同数の判定結果がある場合(例えば、「H」の数と「L」の数とが同数であった場合)には、調整部104がデジタル値を更新しないようにすることが好ましい。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部によって無効であると判定される回数が多くなるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。
(実施形態4)
この発明の実施形態4によるクランプ回路の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態4によるクランプ回路の構成は、図1に示した構成と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態におけるクランプ回路では、判定部103は、2ビットの判定結果を出力する。すなわち、図7のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)と基準電圧値Vrefに応じた電圧値VH,VLとが設定され、判定部103の判定範囲は、この3つの電圧値によって4つの電圧範囲に区切られる。判定部103は、アナログ信号S2の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定する。例えば、判定部103は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い範囲に属する場合には、「HH」を出力する。
また、本実施形態において、調整部104は、不感帯を有する。すなわち、調整部104は、判定部103による複数の判定結果のうち、「HH」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VHよりも高い範囲に属すると判定された回数)が最も多い場合には正の値をデジタル値に加算し、「LL」の数(アナログ信号S2の電圧値が電圧値VLよりも低い範囲に属すると判定された回数)が最も多い場合には負の値をデジタル値に加算し、「H」の数が最も多い場合または「L」の数が最も多い場合にはデジタル値を更新しない。
以上のように、アナログ信号の電圧値が基準電圧値の近傍である場合には、判定部による判定結果のうち「H」または「L」の回数が多くなるので、調整部は、デジタル値を更新しない。これにより、リンギングを抑制することができる。
(実施形態5)
この発明の実施形態5によるクランプ回路11の構成は、図1と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
この発明の実施形態5によるクランプ回路11の構成は、図1と同様であるが、判定部103による処理および調整部104による処理が異なる。
本実施形態におけるクランプ回路11では、判定部103は、nビットの判定結果を出力する。すなわち、図8のように、判定部103には、基準電圧発生回路12から供給された基準電圧の電圧値(基準電圧値Vref)と電圧値V51,V52,V53,V54とが設定され、判定部103の判定範囲は、この5つの電圧値によって6つの電圧範囲に区切られる。判定部103は、実施形態3と同様に、アナログ信号S2の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定する。例えば、判定結果「H」は、アナログ信号S2の電圧値が電圧値V52と基準電圧値Vrefとの間の電圧範囲に属することを示し、判定結果「L」は、アナログ信号S2の電圧値が基準電圧値Vrefと電圧値V53との間の電圧範囲に属することを示す。
また、調整部104は、判定部103によるk回の判定結果の各々に示された電圧範囲のうち最も多くの判定結果に示された電圧範囲を選出し、選出した電圧範囲に対応する値をデジタル値に加算する。図9のように、調整部104は、選出した電圧範囲が基準電圧値Vrefよりも高い範囲である場合には正の値をデジタル値に加算し、選出した電圧範囲が基準電圧値Vrefよりも低い範囲である場合には負の値をデジタル値に加算する。また、選出された電圧と基準電圧値Vrefとの差が大きいほど、調整部104によってデジタル値に加算される値が大きくなる。例えば、判定部103によるk回の判定結果のうち「HHH」を示す判定結果が最も多い場合、調整部104は、格納部101に格納されたデジタル値に「+3」を加算する。
以上のように、アナログ信号の電圧値と基準電圧値との差が大きいほどデジタル値に加算される値を大きくすることにより、アナログ信号の電圧値を基準電圧値に素早く近づけることができる。
なお、実施形態4のように、調整部104が不感帯を有していても構わない。すなわち、判定部103によるk回の判定結果のうち基準電圧値Vrefを含む電圧範囲(図9では、「H」「L」)を示す判定結果が最も多い場合に、調整部104が格納部101に格納されたデジタル値を更新しないように構成することも可能である。このように構成することにより、リンギングを抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、図10のように、判定部103による処理および調整部104による処理は、複数の黒レベル信号入力期間に渡って実行されても良い。例えば、イメージセンサ回路1の撮像面における1水平ライン毎にデジタル値が1回更新されるように構成しても良い。
なお、図10のように、判定部103による処理および調整部104による処理は、複数の黒レベル信号入力期間に渡って実行されても良い。例えば、イメージセンサ回路1の撮像面における1水平ライン毎にデジタル値が1回更新されるように構成しても良い。
また、図11のように、利得制御増幅回路3からのアナログ信号S3に基づいて相関二重サンプリング回路2のオフセット電圧を補正するように構成しても良い。この場合、クランプ回路11は、黒レベル信号に対応するアナログ信号が利得制御増幅回路3に与えられるときに、利得制御増幅回路3から出力されるアナログ信号の電圧値が基準電圧値になるように、相関二重サンプリング回路2の入出力特性を制御する。
さらに、図12のように、複数のイメージセンサ回路1を搭載する撮像装置を構成することも可能である。図12において、撮像装置は、図1に示した構成に加えて、もう1つのイメージセンサ回路1と、選択回路6とを備える。選択回路6は、2個のイメージセンサ回路1のうちいずれか一方を選択し、選択したイメージセンサ回路1からの電気信号を相関二重サンプリング回路2に供給する。また、クランプ回路11の設定部105は、2つのイメージセンサ回路1の各々に対応する初期値を格納する。さらに、設定部105は、制御回路13による制御を受けて、2つの初期値のうち選択回路6によって選択されたイメージセンサ回路1に対応する初期値を選出し、格納部101に格納されたデジタル値を選出した初期値に設定する。
このように構成することにより、イメージセンサ回路毎にアナログフロントエンド回路(相関二重サンプリング回路,利得制御増幅回路,アナログ・デジタル変換回路)を設ける必要がないので、回路規模および消費電力を低減することが可能である。さらに、イメージセンサ回路毎にデジタル値の初期値を設定することができるので、イメージセンサ回路の切替を円滑に行うことができる。
以上の各実施形態の説明において、撮像装置に搭載されるクランプ回路を例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明による出力制御回路は、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路として適用可能である。
以上のように、本発明による出力制御回路は、デジタルカメラ,携帯電話,医療用の小型カメラ等の撮像装置に搭載されるクランプ回路や、オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路等として有用である。
1 イメージセンサ回路
2 相関二重サンプリング回路
3 利得制御増幅回路
4 アナログ・デジタル変換回路
5 デジタル処理回路
6 選択回路
11 クランプ回路
12 基準電圧発生回路
13 制御回路
101 格納部
102 補正部
103 判定部
104 調整部
105 設定部
201a,201b,201c 比較器
202 結果処理部
2 相関二重サンプリング回路
3 利得制御増幅回路
4 アナログ・デジタル変換回路
5 デジタル処理回路
6 選択回路
11 クランプ回路
12 基準電圧発生回路
13 制御回路
101 格納部
102 補正部
103 判定部
104 調整部
105 設定部
201a,201b,201c 比較器
202 結果処理部
Claims (13)
- オフセット電圧が調整可能である増幅回路の入出力特性を制御する回路であって、
前記オフセット電圧の補正量を定めるデジタル値を格納する格納部と、
前記格納部に格納されたデジタル値が大きいほど前記増幅回路のオフセット電圧の電圧値を小さくする補正部と、
前記増幅回路からの出力信号の電圧値と基準電圧値との高低関係を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果をk回(kは2以上の自然数)受け取ると、当該k回の判定結果のうち出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数よりも多い場合には前記格納部に格納されたデジタル値に正の値を加算し、出力信号の電圧値が基準電圧値よりも低いと判定された回数が出力信号の電圧値が基準電圧値よりも高いと判定された回数よりも多い場合には前記格納部に格納されたデジタル値に負の値を加算する調整部とを備える
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1において、
前記調整部は、
前記k回の判定結果のうち前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも高いと判定された回数がn回(n>(k/2))以上である場合には前記デジタル値に前記正の値を加算し、
前記k回の判定結果のうち前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも低いと判定された回数がm回(m>(k/2))以上である場合には前記デジタル値に前記負の値を加算し、
前記k回の判定結果のうち前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも高いと判定された回数がn回よりも少なく且つ前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも低いと判定された回数がm回よりも少ない場合には前記デジタル値を更新しない
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1において、
前記判定部は、前記基準電圧値よりも高い第1の電圧値と前記基準電圧値よりも低い第2の電圧値とで定められる電圧範囲に前記出力電圧の電圧値が属する場合には、無効であると判定し、
前記調整部は、
前記k回の判定結果のうち前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも高いと判定された回数が最も多い場合には前記正の値を前記デジタル値に加算し、
前記k回の判定結果のうち前記出力信号の電圧値が前記基準電圧値よりも低いと判定された回数が最も多い場合には前記負の値を前記デジタル値に加算し、
前記k回の判定結果のうち無効であると判定された回数が最も多い場合には前記デジタル値を更新しない
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項3において、
前記判定部は、
前記増幅回路の出力信号を並列に受け、前記出力信号の電圧値と前記基準電圧値の高低関係を比較する複数の比較器と、
前記複数の比較器の各々による比較結果が全て一致する場合には、当該比較結果を前記判定結果として出力し、前記複数の比較器の各々による比較結果が一致しない場合には無効であることを示す判定結果を出力する結果処理部とを含む
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1において、
前記判定部は、前記基準電圧値よりも高い第1の電圧値と前記基準電圧値よりも低い第2の電圧値によって区切られる3つの電圧範囲のうち前記出力信号の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定し、
前記調整部は、
前記k回の判定結果の各々に示された電圧範囲のうち最も多くの判定結果に示された電圧範囲を選出し、
当該選出した電圧範囲が前記第1の電圧値よりも高い範囲である場合には前記デジタル値に前記正の値を加算し、
当該選出した電圧範囲が前記第2の電圧値よりも低い範囲である場合には前記デジタル値に前記負の値を加算し、
当該選出した電圧範囲が前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との間の範囲である場合には前記デジタル値を更新しない
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1において、
前記判定部は、前記基準電圧値を含む複数の電圧値によって区切られた複数の電圧範囲のうち前記出力信号の電圧値がいずれの電圧範囲に属するのかを判定し、
前記調整部は、
前記k回の判定結果の各々に示された電圧範囲のうち最も多くの判定結果に示された電圧範囲を選出し、
当該選出した電圧範囲が前記基準電圧値よりも高い範囲である場合には前記デジタル値に前記正の値を加算し、
当該選出した電圧範囲が前記基準電圧値よりも低い範囲である場合には前記デジタル値に前記負の値を加算し、
当該選出した電圧範囲の中央値と前記基準電圧値との差分が大きいほど前記デジタル値に加算する値を大きくする
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項6において、
前記調整部は、前記検出した電圧範囲が前記複数の電圧範囲のうち前記基準電圧値を含む電圧範囲である場合には、前記デジタル値を更新しない
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1において、
前記デジタル値の初期値を格納し、前記格納部に格納されたデジタル値を当該初期値に設定する設定部をさらに備える
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項8において、
前記設定部は、さらに、前記格納部に格納されたデジタル値を読み出し、読み出したデジタル値を前記初期値として格納する
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1〜請求項9のいずれか1項において、
前記増幅回路は、オフセット電圧が調整可能である信号出力部と、前記信号出力部からの出力を増幅する増幅部とを含み、
前記判定部は、前記増幅部からの出力信号を受け、
前記補正部は、前記信号出力部のオフセット電圧を補正する
ことを特徴とする出力制御回路。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の出力制御回路と、
複数の受光画素および複数のオプティカルブラック画素が形成された撮像面を有し、被写体の映像を電気信号に変換する第1のイメージセンサ回路と、
オフセット電圧が調整可能であり前記第1のイメージセンサ回路によって得られた電気信号から輝度成分を示すアナログ信号を抽出して出力する相関二重サンプリング回路と、
前記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換回路と、
前記アナログ・デジタル変換回路によって得られたデジタル信号をデジタル処理するデジタル処理回路とを備え、
前記出力制御回路は、前記相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御するクランプ回路であり、
前記判定部は、前記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号のうち前記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と前記基準電圧値とを高低関係を判定し、
前記補正部は、前記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の出力制御回路と、
複数の受光画素および複数のオプティカルブラック画素が形成された撮像面を有し、被写体の映像を電気信号に変換する第1のイメージセンサ回路と、
オフセット電圧が調整可能であり前記第1のイメージセンサ回路によって得られた電気信号から輝度成分を示すアナログ信号を抽出して出力する相関二重サンプリング回路と、
前記相関二重サンプリング回路からのアナログ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路によって増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換回路と、
前記アナログ・デジタル変換回路によって得られたデジタル信号をデジタル処理するデジタル処理回路とを備え、
前記出力制御回路は、前記相関二重サンプリング回路の入出力特性を制御するクランプ回路であり、
前記判定部は、前記増幅回路からのアナログ信号のうち前記オプティカルブラック画素に対応するアナログ信号の電圧値と前記基準電圧値とを高低関係を判定し、
前記補正部は、前記相関二重サンプリング回路のオフセット電圧を補正する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項11において、
複数の受光画素および複数のオプティカルブラック画素が形成された撮像面を有し、被写体の映像を電気信号に変換する第2のイメージセンサ回路と、
前記第1および第2のイメージセンサ回路のうちいずれか一方を選択し、選択したイメージセンサ回路からの電気信号を前記相関二重サンプリング回路へ供給する選択回路とをさらに備え、
前記出力制御回路は、前記第1および第2のイメージセンサ回路の各々に対応する初期値を格納し、前記格納部に格納されたデジタル値を前記選択回路によって選択されたイメージセンサ回路に対応する初期値に設定する設定部をさらに含む
ことを特徴とする撮像装置。
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