JPWO2008053916A1 - 組織切片作製用の切断ガイド装置及び組織切片作製装置 - Google Patents

組織切片作製用の切断ガイド装置及び組織切片作製装置 Download PDF

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Abstract

病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片を作製できるようにした組織切片作製用の切断ガイド装置、組織切片作製装置及び組織切片の作製方法を提供する。組織切片作製用の切断ガイド装置1は、組織塊Aが直接的または間接的に載置される載置基台11と、載置基台11に直接的または間接的に載置された組織塊Aを上から押えることにより、組織塊Aが動くことを防止する切断ガイドカバー12を有している。切断ガイドカバー12の少なくとも組織塊Aを押える箇所には、組織塊Aの切断に使用するナイフCを差し入れることができる複数のスリット124が形成してあり、スリット124は所望する組織切片A1の厚みに合わせて間隔が設定されている。

Description

本発明は、組織切片作製用の切断ガイド装置、組織切片作製装置及び組織切片の作製方法に関する。
更に詳しくは、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片を作製できるようにした組織切片作製用の切断ガイド装置、組織切片作製装置及び組織切片の作製方法に関する。
詳細な病理学検査のために、生体組織の全割標本の作製を行う場合がある。即ち、生体組織をすべて薄切りして組織切片を作製し、各組織切片をスライドガラスにそれぞれ張り付けた標本を顕微鏡観察等することで、詳細な病理組織の検査が行われている。
通常、実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の大きな組織塊の場合、特殊な病理学用ナイフ等の刃物を用い、手作業で切断して組織切片が作製される。例えば、前立腺癌術後の前立腺組織での全割標本では、3mm程度の均一の厚みで切片を作製する必要がある。
しかしながら、組織塊は一般に可塑性や弾性に富み、柔らかいため、非常に変形しやすい。更に、上記したように病理学用ナイフを用いた手作業により、薄く均一に切る必要があるため、指先をナイフで切るといった危険性も伴う。このため、熟練を有する者でないと、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように切片を作製することは、非常に難しい。また熟練を有する者であっても、その作業にかなりの時間を要する。
ところで、例えば非特許文献1には、マウスやラットの脳のスライスを作製するための「ブレインスライサ」と称される脳切片作製用ブロックが提案されている。この脳切片作製用ブロックは、マウスやラットの脳サンプルを入れるために、アクリル製のブロックを脳の形にくり抜いたものである。そして、ブロックには等間隔(1mm、2mm又は3mm)にスリットが刻まれており、このスリット内にカミソリ刃を落としていくことで、新鮮な脳のスライスが得られるというものである。
http://www.muromachi.com/products/Physio/aster.html
しかしながら、非特許文献1で提案されている脳切片作製用ブロックを、単に大きさを変えて人体の組織塊に適用しても、以下のような課題がある。
上記したように、実質臓器の組織塊は可塑性や弾性に富み、柔らかい。このため、単に上記した脳切片作製用ブロックの凹みの中に組織塊を入れただけでは、組織塊を上手く固定することはできない。即ち、切断時に上から差し入れる病理学用ナイフの荷重によって組織塊が横にズレたり変形してしまい、真っ直ぐに切ったつもりでも断面に凹凸不整が生じやすい。
更に、上記した脳切片作製用ブロックは、あくまでも切断対象がマウスやラット等といった小動物の脳サンプル用のブロックであり、小動物の脳サンプルは人体の組織塊に比べて非常に小さく、大きさや形に関する個体差も少ない。これに対し、人体の組織塊は、臓器の種類、あるいは同じ臓器の組織塊でも個人差によって大きさや形が著しく異なっているため、それに合致する凹みを備えたブロックを予め多数準備しておくことは、極めて困難である。
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように作製できるようにすることにある。
また本発明の他の目的は、上記した目的に加え、大きさや厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応できるようにすることにある。
更に、その他の本発明の目的は以下の説明から明らかになろう。
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
なお、後述する作用の説明の理解を助けるため、図面において使用した符号を、括弧を用いて記載しているが、各構成要件を図面記載のものに限定するものではない。
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、該載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、を有しており、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、該載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、を有しており、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
本発明は、上記切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を上から押えることができるように切断ガイドカバー(12)を回動可能に軸支し、且つ、軸支する部分の高さを調整することができる手段を備えている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、基部側に備えた支点軸(121,121)を中心に先部側が回動して、上記載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、組織塊(A)に対する上記切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段(14)と、を有しており、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されており、上記載置基台(11)は、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する軸受部(13,13)を備え、該軸受部(13,13)は支点軸(121,121)の高さ位置を調整できるように、該支点軸(121,121)の高さ方向への移動をガイドする切欠部(131a,131a)、孔または溝を備えている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、上記したいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、を備えており、上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤(B)を入れる収容部(S)を構成する枠構成体(3)と、を有している、組織切片作製装置である。
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、上記したいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、を備えており、上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成できると共に、該収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有している、組織切片作製装置である。
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、上記したいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、を備えており、上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)上に向かい合わせに配置して組み合わせることにより、上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成すると共に、組み合わせ位置をずらすことによって収容部(S)の面積を調整することができる一対の枠構成体(31,31)と、を有している、組織切片作製装置である。
本発明は、上記切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)の一方または双方には、該載置基台(11)と組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)が設けてあり、該磁石(111)の吸引力は載置基台(11)に対する組織載置体(2)の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっている、組織切片作製装置である。
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための方法であって、包埋剤(B)で周りまたは少なくとも下部側を包埋した組織塊(A)を載置基台(11)に直接的または間接的に載置し、所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定された複数のスリット(124)を備えた切断ガイドカバー(12)を用いて上記組織塊(A)を上から押えることにより、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)の間で組織塊(A)を挟み、挟んだ状態で上記スリット(124)に沿って刃物(C)を差し入れて組織塊(A)を包埋剤(B)と共に切断し、組織切片(A1)を作製する、組織切片の作製方法である。
本発明は、上記包埋剤(B)として歯科用印象剤を用いる、組織切片の作製方法である。
切断対象である組織塊としては、例えば人体の実質臓器を挙げることができ、具体的には、前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓、膵臓、脾臓、脳、甲状腺、卵巣、精巣等を挙げることができる。ただし、これらはあくまで代表的な具体例であり、切断対象を特にこれらに限定するものではない。また人体の組織塊に限らず、マウスやラット等の実験動物といったヒト以外の動物の組織塊についても、その切断対象にできることは言うまでもない。
本明細書及び特許請求の範囲で「刃物」の用語は、組織塊を薄切りするのに適した刃物全般を指称しており、例えば病理学用ナイフ等といったナイフの他、カミソリやその他の刃物も含む広い概念として使用している。
また上記のとおり、切断ガイドカバーに設けてあるスリットは、所望する組織切片の厚みに合わせて間隔が設定されている。例えば1〜3mmの厚みの組織切片が得られるように、スリットの間隔を適宜設定することができる。
更に、歯科用印象剤としては、アルジネート印象剤やシリコンラバー印象剤等を挙げることができる。アルジネート印象剤(アルギン酸塩印象剤とも称される)は、有効成分であるアルギン酸塩が硫酸カルシウム等のゲル化反応剤等と反応することによりゲル状硬化体を生じることを利用したものであって、歯科分野における歯牙等の様々な型取りに利用されている。
(作 用)
(a)本発明に係る組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、次のように作用する。
切断ガイド装置(1)は、載置基台(11)と、切断ガイドカバー(12)とを有している。この載置基台(11)に、例えば包埋剤(B)で周りまたは少なくとも下部側を包埋した組織塊(A)を直接的または間接的に載置する。組織塊(A)を包埋剤(B)で包埋することにより、組織塊(A)は切断時に変形しにくく、更に載置基台(11)からズレにくい。
次に、組織塊(A)が動かないように、載置した組織塊(A)を切断ガイドカバー(12)で上から押える。これにより、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を挟む。そして、切断ガイドカバー(12)に設けてあるスリット(124)の一つに沿って刃物(C)を差し入れ、組織塊(A)を包埋剤(B)と共に切断する。切断後、包埋剤(B)を取り外し、目的とする組織切片(A1)を得る。
実質臓器等の組織塊(A)は可塑性や弾性に富み、柔らかいので、上記したように、複数のスリット(124)が形成された切断ガイドカバー(12)で上から押えることによって、スリット(124)の一つ一つに組織塊(A)の上部側の一部が食い込むような状態になる。これにより、切断時に刃物(C)からの荷重を受けても、組織塊(A)が横方向等にズレたり変形したりすることを防止でき、その結果、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることを防止することができる。
更に、切断ガイドカバー(12)に設けてある複数のスリット(124)は、所望する組織切片(A1)の厚さに合わせてその間隔が設定されている。そして、刃物(C)をそのスリット(124)の一つに沿って差し入れて組織塊(A)を切断すれば、熟練を要することなく、均一の厚さで組織切片(A1)を作製することができる。
また上記したように、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を挟むことで、組織塊(A)が動くことを防止できるので、厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
(b)また、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあることが好ましい。一般的に、厚みのある実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の組織塊は、その外形に丸みを有している。よって、その丸みに合わせるように当接部(123)を湾曲または膨出させることで、当接部(123)と当接する組織塊(A)全体をできるだけ均一の押圧力で押えて、組織塊(A)が不定な形に変形することを防止している。これにより、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
(c)切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を上から押えることができるように切断ガイドカバー(12)を上下に回動可能に軸支し、且つ、軸支する部分の高さを調整することができる手段を備えているものでは、切断対象である組織塊(A)の厚みに応じて切断ガイドカバー(12)の軸支する部分の高さを調整する。これにより、厚みが異なる組織塊(A)であっても、柔軟に対応することができる。
その際、切断ガイドカバー(12)の軸支する部分の高さを調整し、切断ガイドカバー(12)を水平状態またはできるだけ水平に保った状態で組織塊(A)を押えることが好ましい。これにより、例えば組織塊(A)を切断ガイドカバー(12)で上から斜めに押える場合に比べて、組織塊(A)の一部分だけに過度の押圧力が加わることを防止でき、組織塊(A)が不定な形に変形することを防止できる。これにより、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
(d)ズレ防止手段を備えているものは、切断時に手や刃物(C)などが切断ガイドカバー(12)に接触しても、このズレ防止手段が組織塊(A)に対する切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するので、組織塊(A)を真っ直ぐに切ることができる。
また載置基台(11)が切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に軸支する軸受部(13,13)を備えているものは、軸受部(13,13)に設けてある切欠部(131a,131a)、孔または溝を利用して上記支点軸(121,121)を移動し、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)の高さを調整する。
また切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)は軸受部(13,13)に着脱可能であるので、使用後は、切断ガイドカバー(12)を載置基台(11)から取り外せば、切断ガイドカバー(12)の洗浄作業が可能である。よって、相当の重量をもって載置基台(11)を形成した場合でも、組織塊(A)と接触する部分である切断ガイドカバー(12)の洗浄作業が容易である。
更に、スリット(124)の間隔や組織塊(A)の形状に合った別の形態の切断ガイドカバーと適宜交換することができ、利便性が高い。
(e)上記した組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)を備えているものは、次のように作用する。
包埋組織作製具(4)は、組み合わせることによって協働して収容部(S)を構成する組織載置体(2)と枠構成体(3)を備えている。
そこで、まずは、切断ガイド装置(1)の載置基台(11)上で、包埋組織作製具(4)を構成する組織載置体(2)と収容枠部構成体(3)を組み合わせ、組織塊(A)と包埋剤(B)を収容する収容部(S)を構成する。そして、その収容部(S)の中に組織塊(A)と包埋剤(B)を入れて包埋処理を施す。
次に、組織載置体(2)から枠構成体(3)を取り外して、組織載置体(2)の載置面(222)上には包埋された組織塊(A)を残す。
このように、包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)は、包埋時に包埋容器の一部(底部)として作用すると共に、組織塊(A)を切断ガイド装置(1)にセットする際の組織塊(A)を載せる道具としても作用する。したがって、本発明に係る包埋組織作製具(4)を使用すれば、包埋後の組織塊(A)を手で触ることなく、切断ガイド装置(1)上にセットすることができる。よって、手で触ることで、適切に包埋された組織塊(A)が崩れたり変形したりすることを防止できる。
また切断ガイド装置(1)に組織塊(A)を直接載置する場合と相違して、使用後は、組織載置体(2)を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置(1)を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(f)包埋組織作製具(4)が上記収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有しているものでは、組織塊(A)の大きさに応じて収容部(S)の面積を調整する。これにより、使用する包埋剤(B)に無駄が生じにくい。
(g)切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)を有しているものでは、例えばステンレスのような滑りやすい素材で載置基台(11)と組織載置体(2)を作製した場合でも、磁石(112)の吸引力でその滑りを防止できる。よって、組織塊(A)を載置した組織載置体(2)が滑って、切断ガイドカバー(12)で押えた組織塊(A)がズレる等といった不都合を防止できる。
また組織載置体(2)に力を加えて磁石(112)の吸引力に抗して移動させれば、載置基台(11)に載置した後でも、切断ガイドカバー(12)に対する組織塊(A)の位置を適宜調整することができる。よって、最も適した位置での切断作業が容易できる。
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係る組織切片作製用の切断ガイド装置、組織切片作製装置及び組織切片の作製方法によれば、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片の作製できる。また厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
(b)切断ガイドカバーが着脱可能な組織切片作製用の切断ガイド装置によれば、切断ガイドカバーを切断ガイド装置の本体から分離できるので、切断ガイドカバーの洗浄作業が容易である。また、スリットの間隔や組織塊の形状に合った別の形態の切断ガイドカバーと適宜交換することができ、利便性が高い。
(c)包埋組織作製具を備えている組織切片作製装置によれば、包埋後の組織塊を手で触ることなく、切断ガイド装置上にセットすることができる。よって、手で触ることで、適切に包埋された組織塊が崩れたり変形したりすることを防止できる。また切断ガイド装置に組織塊を直接載置する場合と相違して、使用後は、組織載置体を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(d)組織塊と包埋剤を収容する収容部の面積を調整できる包埋組織作製具を有しているものは、使用する包埋剤に無駄が生じにくい。
(e)切断ガイド装置の載置基台と組織載置体の間に吸引力を作用させる磁石を有しているものでは、組織塊を載置した組織載置体が滑って、切断ガイドカバーで押えた組織塊がズレる等といった不都合を防止できる。また載置基台に載置した後でも、切断ガイドカバーに対する組織塊の位置を適宜調整することができ、最も適した位置で容易に切断作業ができる。
(f)包埋剤として歯科用印象剤を用いることで、大きさや形が異なる組織塊であっても適切に包埋できると共に、病理学用ナイフ等の刃物による切断も容易で、得られた組織切片の断面に凹凸不整が生じにくい。また、アルジネート印象剤やシリコンラバー印象剤等の歯科用印象剤は非常に短時間で液状体(ペースト状体)から固化するので、組織を包埋(固定)する際の作業性が良い。更に、切断後に得られる組織切片から非常に用意に除去でき、薄切りの組織切片を傷めにくいことから、アルジネート印象剤がより好ましい。
組織切片作製装置を構成する切断ガイド装置の斜視説明図であり、開閉可能な切断ガイドカバーを開いた状態を示している。 図1に示した切断ガイド装置の斜視説明図であり、切断ガイドカバーを閉じた状態を示している。 図2の側面視説明図であり、閉じた切断ガイドカバーを載置基台に対し上方に移動させた状態を想像線(一点鎖線)で表している。 図1に示す切断ガイド装置に載置する包埋組織作製具を示す斜視説明図。 図4で想像線で示した包埋組織作製具の枠構成体を示す斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 固定した組織塊を病理学用ナイフで切断している状態を示す側面視説明図。 切断した後の切片の状態を示す説明図。
符号の説明
A 組織塊
A1 組織切片
B 包埋剤
C 病理学用ナイフ
S 空間部
1 切断ガイド装置
11 載置基台
111 載置面
112 磁石
113 掛止片
12 切断ガイドカバー
121 支点軸
123 当接部
124 スリット
125 周壁部
126,127 切断ガイドカバーの上面
13 軸受片
131a 第一切欠部
131b 第二切欠部
14 押圧部材
141 押圧体
142 支柱
143 連結部
144 蝶ボルト
2 組織載置板
21 フレーム本体
22 載置体
211 把持部
212 凹部
3 枠構成体
31 枠部材
4 包埋組織作製具
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
図1ないし図5は、本発明に係る組織切片作製装置の一実施例を示す説明図である。
図1は、組織切片作製装置を構成する切断ガイド装置の斜視説明図であり、開閉可能な切断ガイドカバーを開いた状態を示している。
図2は、同じく、図1に示した切断ガイド装置の斜視説明図であり、切断ガイドカバーを閉じた状態を示している。
図3は、図2の側面視説明図であり、閉じた切断ガイドカバーを上方に移動させた状態を想像線(一点鎖線)で表している。
図4は、図1に示す切断ガイド装置に載置する包埋組織作製具を示す斜視説明図であり、図5に示す包埋組織作製具の枠構成体を想像線(一点鎖線)で示している。
図5は、図4で想像線で示した包埋組織作製具の枠構成体を示す斜視説明図である。
組織切片作製装置は、図1に示す切断ガイド装置1と、図4に示す包埋組織作製具4を備えている。
以下、組織切片作製装置の各構成部材について、順を追って詳しく説明する。
[切断ガイド装置1]
まずは、図1ないし図3を主に参照して、切断ガイド装置1について説明する。
切断ガイド装置1は、組織塊A(後述の図10及び図11も参照)から組織切片A1を得るべく組織塊Aを薄切りにする際に使用するものである。
図1に示すように、切断ガイド装置1は、載置基台11と、切断ガイドカバー12と、押圧部材14を備えている。
載置基台11には、組織塊Aが直接的または間接的に載置される。切断ガイドカバー12は、後述する図9に示すように、載置基台11に直接的または間接的に載置された組織塊Aを上から押えることにより、組織塊Aが動くことを防止する。
切断ガイドカバー12は、基部側に備えた支点軸121,121を中心に先部側が回動する。押圧部材14は、組織塊Aに対する上記切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段を構成する。
切断ガイド装置1は全体がステンレス鋼で形成されおり、堅牢で錆びにくく、また使用後の洗浄も簡単なため、常に清潔な状態に保つことができる。
(載置基台11)
載置基台11は、厚みが約30mmの板状体であり、平面視で方形または矩形状に形成されている。本実施例では載置基台11の横幅は200mm、縦の長さが230mmである。この大きさは、切断対象である組織塊Aの大きさ等を考慮して適宜設定され、特にこの大きさに限定するものではない。
載置基台11の上面は平滑な載置面111になっている。この載置面111に、図4に示す包埋組織作製具4を載置して使用する(後述の図6も参照)。
また図1及び図6に示すように、載置基台11の内部には磁石112が内蔵されている。この磁石112は、載置基台11と、載置基台11の載置面111に載置されたステンレス製の組織載置板2の間に吸引力(磁着力)を作用させる。この磁石112の吸引力により、載置した組織載置板2が載置面111から簡単にズレないようになっている。
また磁石111の吸引力は、載置基台11に対する組織載置板2の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっている。よって、組織載置板2に力を加えて磁石112の吸引力に抗して移動させれば、載置基台11に載置した後でも、切断ガイドカバー12に対する組織塊Aの位置を適宜調整することができる。よって、最も適した位置での切断作業が容易にできる。
(切断ガイドカバー12)
図2に示すように、切断ガイドカバー12は平面視で矩形状に形成されている。切断ガイドカバー12は、例えばステンレス製の薄板をその中央付近で曲げて湾曲部分を作り、更にその湾曲部分に複数(多数)のスリット124を形成することで全体が形成される。
詳しくは、切断ガイドカバー12の少なくとも組織塊Aを押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する(切断ガイドカバー12を閉じた際に上方へ突出するように)当接部123が設けてある。
図3に示すように、この当接部123は、側面視逆U字状に湾曲または膨出する曲面状の当接部となっている。当接部123は、切断ガイドカバー12の長さ方向の略中央付近に位置し、切断ガイドカバー12の幅方向全体に渡って連続的に設けられている。
本実施例では、当接部123の大きさは、縦と横の長さが約120mm、湾曲した厚みの部分が約30mmである。この大きさは、切断対象である組織塊の大きさ等を考慮して適宜設定され、特にこの大きさに限定するものではない。
後述の図10に示すように、実際の切断作業時には、閉じた切断ガイドカバー12と載置基台11との間に挟み込むようにして組織塊Aを固定するが、その際に上記当接部123は上方から組織塊Aへ当接することになる。
図2に示す当接部123には、組織塊Aの切断に使用する病理学用ナイフC等の刃物を差し入れることができる複数の上記スリット124が形成してある。スリット124は切断ガイドカバー12の幅方向に沿って多数設けてある。このスリット124は、所望する組織切片A1の厚さに合わせて間隔が設定されている。本実施例では、厚みが約3mmの幅で切片を作製できるように、そのスリット124の間隔が予め設計されている。
更に切断ガイドカバー12は、その周縁部に組織塊Aを押える方向に向けて設けられた断面L字状の周壁部125を有している。
図1及び図2に示すように、切断ガイドカバー12は、載置基台11の手前側(図1で右側)に所要間隔をおいて立設された一対の軸受部である軸受片13,13を介して回動可能となっている。なお、切断ガイドカバー12はこの軸受片13,13から取り外して、載置基台11から分離することができる(取り外した図面は省略)。これについての作用は、後述する。
図3に示すように、本実施例では、左右一対の各軸受片13は薄板状に形成されている。更に、各軸受片13は、側面視で外側の辺側(図3で右側)が斜めに形成されて、全体が先部側に向かってすぼまるような山形状に形成されている。
各軸受片13は、切断ガイドカバー12の各支点軸121,121を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する。また各軸受片13は、上記各支点軸121の高さ位置を段階的に調整できるように、支点軸121の高さ方向への移動をガイドする第一切欠部131aを備えている。第一切欠部131aは、各軸受片13の高さ方向に沿って設けられた長孔状の切欠部で構成されている。軸受片13の先端部には、第一切欠部131aの切欠口132が設けてある。
更に各軸受片13は、第一切欠部131aに連通して上下に段階的に設けられた所要数の第二切欠部131bを備えている。第二切欠部131bは、第一切欠部131aの高さ方向に沿って所要の間隔をおいて所要数(本実施例では複数、10箇所に)設けてある。第二切欠部131bは、水平方向にまたは第一切欠部131aと交差する方向に設けてある。本実施例では、第二切欠部131bは、第一切欠部131aに対して直角方向に、即ち、図3で右方向(載置基台11の手前側)に短く複数形成されている。
更に、切断ガイドカバー12の各支点軸121は、この幅方向両側の各周壁部125の基端部から外方へ突出して形成されている。そして、図3に示すように、通常、各支点軸121を、軸受片13,13の第二切欠部131bの一つに嵌め入れることで、切断ガイドカバー12がその高さ位置で載置基台11に回動可能に取り付けられている。
更に、切断ガイドカバー12の高さ位置の調整は、以下のようにして行う。即ち、図3において実線で示す水平状態の切断ガイドカバー12の先部側をやや持ち上げて斜めに傾けたり、あるいは先部側へ少しスライド移動させる等して、各支点軸121を第二切欠部131bから第一切欠部131a側に移動させる。そして、各支点軸121を第一切欠部131aに沿って上下動させた後、別の高さの第二切欠部131bの一つに嵌め入れて、軸支される切断ガイドカバー12の高さを調整する。
また切断ガイドカバー12は、各軸受片13先端の上記切欠口132から支点軸121を取り外すことで、載置基台11から分離できる。これにより、図2で示した切断ガイドカバー12を、別の形態の切断ガイドカバーと交換することもできる。
即ち、図2で示した切断ガイドカバー12を、スリット124の間隔が異なる別の切断ガイドカバー(図示省略)と交換して使用すれば、所望する厚みの切片を適宜作製することができる。つまり、切断ガイド装置1自体をその都度交換して使用するのでなく、構成部品である切断ガイドカバー12を交換するだけで、所望の厚みを有する切片を適宜作製できる。
また、切断対象である組織塊Aの大きさや形状によっては、異なる湾曲率を有する当接部123を備えた別の切断ガイドカバーを取り付けることもできる。
更に使用後は、組織塊Aと接触する切断ガイドカバー12を載置基台11から取り外して、念入りに洗浄することができる。即ち、相当の重量をもって載置基台11を形成した場合でも、分離すれば軽くなるので、切断ガイドカバー12の洗浄が容易になる。
(押圧部材14)
更に図1及び図2に示すように、載置基台11の載置面111の先部側中央付近には、押圧部材14が設けてある。上記したように、押圧部材14は、組織塊Aに対する切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止する。
押圧部材14は、載置面111に立設された棒状の支持部である支柱部142と、支柱部142から側方に延びた連結部143と、連結部143の先部側から下方に向けて設けてある押圧体141から主に構成されている。
本実施例では、支柱部142はネジ山を有するボルト軸で構成されている。また連結部143の基端部は、支柱部142に螺合するネジ孔(符号省略)を有している。そして、連結部143を水平方向に回動させることで、連結部143の高さと向きを調整できるようになっている。
更に連結部143の先端部にも、同様にネジ孔(符号省略)が形成されている。このネジ孔には、下部に押圧体141を備えた棒状の高さ調整部である蝶ボルト144が螺合させてある。そして、蝶ボルト144を手で回すことで、連結部143に対して蝶ボルト144が進退し、押圧体141の高さを自由に調整できる。そして、高さを調整しながら、押圧体141で切断ガイドカバー12の先部側の上面127を押圧する。
また図3に示すように、支柱部142の近傍には、閉じた切断ガイドカバー12の先端側の周壁部125を掛止して、切断ガイドカバー12が先部側に移動することを防止する掛止片113が設けてある。
更に、図2に示す切断ガイドカバー12の手前側(図2で右側、軸受片13,13寄り)の上面126には、スリット124の位置に対応させて切断した切片の数が分かるように目盛(図示は省略)が設けられている。
[包埋組織作製具4]
主に図4及び図5を参照して、包埋組織作製具4について説明する。
包埋組織作製具4は、組織塊Aの載置面222を有する組織載置体である組織載置板2と、組織載置板2と組み合わせることにより上記載置面222と協働して組織塊Aと包埋剤を入れる収容部Sを構成する枠構成体3と、を有している、
(組織載置板2)
図4に示す組織載置板2は、後述する図6に示すように、切断ガイド装置1の載置面111にセットして使用される。組織載置板2は平面視でやや細長の長方形であり、ステンレス製のフレーム本体21と、合成樹脂製で薄板状の載置体22によって構成されている。
フレーム本体21の両端側は、それぞれL字状に立ち上がって把持部211,211を構成している。また合成樹脂製の載置体22は、フレーム本体21の中央部分に形成された凹部212に嵌め込まれ、接着等によって外れないように固定されている。載置体22は、載置面222に載置される組織塊Aのズレを防止できるように、滑り止め効果を有する合成樹脂で形成されている。
更に、載置体22は生の状態の生体組織が載置される部分であるため、使用後は常に清潔な状態に保つことが好ましい。よって、血液等の体液がきちんと洗浄されているか分かるように、白色や薄い色の合成樹脂で形成することが好ましい。
また組織載置板2を使用することにより、組織塊Aは切断ガイド装置1の載置面111に直接的に載置されずに、組織載置板2に上に置かれた状態で切断ガイド装置1に間接的に載置される。よって、使用後は、切断ガイド装置1の載置面111ではなく、組織塊Aと接触する組織載置板2を念入りに洗浄すれば良い。したがって、相当の重量をもって切断ガイド装置1の載置基台11を形成した場合でも、載置基台11を洗浄または念入りに洗浄する必要がなく、洗浄作業が楽である。
(枠構成体3)
図4及び図5に示す枠構成体3は、ステンレス製で一対の枠部材31,31によって構成されている。各枠部材31は、平面視で直角に二回屈曲させてあり、平面視で全体が鉤状に形成されている。
そして、使用時には、図4及び図5中央に図示しているように、組織載置板2上で枠部材31,31同士を向かい合わせに配置して組み合わせる。これにより、枠部材31,31の間に、組織塊A及び包埋剤B(後述する図7も参照)を入れる平面視方形状の収容部Sが形成される。
また枠部材31,31を互いにスライドさせて、その組み合わせた配置を変更すれば、上記収容部Sの面積を調整することができる。これにより、異なる大きさの組織塊Aにも対応できる。
(作 用)
図6ないし図11は、上記した組織切片作製装置を使用した組織切片の作製方法を説明するための図である。
図6ないし図9は、組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図であり、
図10は、固定した組織塊を病理学用ナイフで切断している状態を示す側面視説明図、
図11は、切断した後の組織切片の状態を示す説明図である。
なお、図11では、切断後の組織切片A1の厚みをやや誇張して表している。
以下、図6ないし図11を主に参照して、組織切片A1の作製方法を説明する。
(1) まず、図6に示すように、切断ガイド装置1の切断ガイドカバー12を開き、包埋組織作製具4の組織載置板2をその載置面111に載置する。次に、同じく包埋組織作製具4を構成する一対の枠部材31,31を組織載置板2上に載置した後、組み合わせた枠部材31,31の配置を調整して組織塊Aを入れるために適当な大きさの収容部Sを形成する。
(2) 図7に示すように、枠構成体3の収容部Sに組織塊Aを入れて載置した後、組織塊Aの周りまたは少なくとも下部側の収容部Sに包埋剤Bを流し入れる。なお、この作業は、組織載置板2を切断ガイド装置1に載置する前の状態で行っても良い。
本実施例では、包埋剤Bとして、歯科治療において歯型を採る材料等に使用されるアルジネート印象剤を用いる。アルジネート印象剤は、アルギン酸塩を主成分とする合成樹脂であり、水と練和して均一なペースト状にする粉末タイプと、予め水でペースト状にされたペーストタイプがあるが、その両方のどちらも採用できる。
(3) 包埋剤Bが固化したら、図8に示すように枠構成体3(枠部材31,31)を取り外す。続いて、組織載置板2を把持部211を掴んでスライドさせながら、切断ガイドカバー12に対する組織塊Aの最適な位置を調整する。
このように、包埋組織作製具4の組織載置板2は、包埋時に包埋容器の一部(底部)として作用すると共に、組織塊Aを切断ガイド装置1にセットする際の組織塊Aを載せる載置具としても作用する。
したがって、本実施例の包埋組織作製具4を使用すれば、包埋後の組織塊Aを手で触れることなく、切断ガイド装置1上にセットすることができる。よって、手で触れることで、適切に包埋された組織塊が崩れたり変形したりすることを防止できる。
また切断ガイド装置1に組織塊Aを直接的に載置する場合と相違して、使用後は、組織載置板2を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置1を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(4) 図9に示すように、切断ガイドカバー12を閉じ、湾曲する当接部123で組織塊Aの上部側を上から押える。更に、押圧部材14の連結部143の向きを切断ガイドカバー12側に向けた後、蝶ボルト144を手で回して押圧体141を降ろし、切断ガイドカバー12の上面127を押圧する。これにより、切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止する。
(5) そうして、図10に示すように、病理学用ナイフCで切断ガイドカバー12のスリット124に沿って組織塊Aを一枚ずつ切断していき、目的とする組織切片A1を得る。
なお、切断の際は、病理学用ナイフCを斜めに傾けて先端側からスリット124内へ挿入し、次に基部側に少しずつ力を入れていくようにして、切断作業を行うことが好ましい。また図11に示すように、組織塊Aは固化した包埋剤Bと一緒に薄切りし、その後、包埋剤Bから取り外される。
以上説明したように、本実施例では、アルジネート印象剤で組織塊Aの周りまたは少なくとも下部側を包埋して固定した後、切断ガイド装置1を備えた切断ガイドカバー12で組織塊Aを上から押える。このように、組織塊Aを包埋剤Bで包埋することにより、組織塊Aは切断時に変形しにくく、更に載置基台11からズレにくい。
更に、アルジネート印象剤は非常に短時間で液状体(ペースト状体)から固化するので、組織を包埋(固定)する際の作業性が良い。更に、切断後に得られる組織切片から非常に用意に除去できるので、薄切りの組織切片を傷めにくい。
また上記したように、実質臓器等の組織塊Aは可塑性や弾性に富み、柔らかい。よって、複数のスリット124が形成された切断ガイドカバー12で上から押えることによって、スリット124の一つ一つに組織塊Aの上部側の一部が食い込むような状態になる。これにより、切断時に病理学用ナイフCからの荷重を受けても、組織塊Aが横方向等にズレたり変形したりすることを防止でき、その結果、得られた組織切片の断面に凹凸不整が生じることを防止することができる。
更に、切断ガイドカバー12に設けてある複数のスリット124は、所望する組織切片A1の厚さに合わせてその間隔が設定されている。よって、病理学用ナイフCをスリット124に沿って差し入れ、組織塊Aを切断するだけで、熟練を要することなく、均一の厚さで切片を作製することができる。
また、載置基台11と切断ガイドカバー12で組織塊Aを挟むことで、組織塊Aが動くことを防止できるので、厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
更に、切断ガイドカバー12は、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部123を有している。一般的に、厚みのある実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の組織塊は、その外形に丸みを有している。よって、その丸みに合わせるように当接部123を湾曲または膨出させることで、当接部123と当接する組織塊A全体をできるだけ均一の押圧力で押えて、組織塊が不定な形に変形することを防止している。これにより、得られた組織切片A1の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止できる。
また更に図3に示すように、切断ガイド装置1の切断ガイドカバー12はその高さを段階的に調整できる。よって、組織塊Aの厚みが異なる組織塊Aであっても柔軟に対応することができる。しかも、切断ガイドカバー12の軸支部121の高さを調整できるので、切断ガイドカバーが水平状態またはできるだけ水平に保った状態で組織塊Aを押えることができる。
これにより、例えば組織塊Aを切断ガイドカバー12で上から斜めに押える場合に比べて、組織塊Aの一部分だけに過度の押圧力が加わることを防止でき、組織塊Aが不定な形に変形することを防止できる。これにより、得られた組織切片A1の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
更に、特許請求の範囲には、請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。
(a)本発明に係る組織切片作製用の切断ガイド装置、組織切片作製装置及び組織切片の作製方法によれば、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片の作製できる。また厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
(b)切断ガイドカバーが着脱可能な組織切片作製用の切断ガイド装置によれば、切断ガイドカバーを切断ガイド装置の本体から分離できるので、切断ガイドカバーの洗浄作業が容易である。また、スリットの間隔や組織塊の形状に合った別の形態の切断ガイドカバーと適宜交換することができ、利便性が高い。
(c)包埋組織作製具を備えている組織切片作製装置によれば、包埋後の組織塊を手で触ることなく、切断ガイド装置上にセットすることができる。よって、手で触ることで、適切に包埋された組織塊が崩れたり変形したりすることを防止できる。また切断ガイド装置に組織塊を直接載置する場合と相違して、使用後は、組織載置体を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(d)組織塊と包埋剤を収容する収容部の面積を調整できる包埋組織作製具を有しているものは、使用する包埋剤に無駄が生じにくい。
(e)切断ガイド装置の載置基台と組織載置体の間に吸引力を作用させる磁石を有しているものでは、組織塊を載置した組織載置体が滑って、切断ガイドカバーで押えた組織塊がズレる等といった不都合を防止できる。また載置基台に載置した後でも、切断ガイドカバーに対する組織塊の位置を適宜調整することができ、最も適した位置で容易に切断作業ができる。
(f)包埋剤として歯科用印象剤を用いることで、大きさや形が異なる組織塊であっても適切に包埋できると共に、病理学用ナイフ等の刃物による切断も容易で、得られた組織切片の断面に凹凸不整が生じにくい。また、アルジネート印象剤やシリコンラバー印象剤等の歯科用印象剤は非常に短時間で液状体(ペースト状体)から固化するので、組織を包埋(固定)する際の作業性が良い。更に、切断後に得られる組織切片から非常に用意に除去でき、薄切りの組織切片を傷めにくいことから、アルジネート印象剤がより好ましい。
【0003】
[0011]
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
なお、後述する作用の説明の理解を助けるため、図面において使用した符号を、括弧を用いて記載しているが、各構成要件を図面記載のものに限定するものではない。
[0012]
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、該載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えて固定することにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、を有しており、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
[0013]
前記組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、直接的に設置された組織塊(A1)の切断ガイドカバー(12)との接触部分において、組織塊(A1)が、切断ガイドカバー(12)に設けられたスリット(124)に食い込むように、切断ガイドカバーが組織塊を押さえ、固定化するものであってもよい。
[0014]
前記組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、切断ガイドカバーが切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けられているものであってもよい。
[0015]
前記組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を上から押えることができるように切断ガイドカバー(12)を回動可能に軸支し、且つ、軸支する部分の高さを調整することができる手段を備えていてもよい。
[0016]
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、基部側に備えた支点軸(121,121)を中心に先部側が回動して、上記載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、組織塊(A)に対する上記切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段(14)と、を有しており、切
【0004】
断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されており、上記載置基台(11)は、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する軸受部(13,13)を備え、該軸受部(13,13)は支点軸(121,121)の高さ位置を調整できるように、該支点軸(121,121)の高さ方向への移動をガイドする切欠部(131a,131a)、孔または溝を備えている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
[0017]
前記の組織切片作製用の切断ガイド装置は、直接的に設置された組織塊(A1)の切断ガイドカバー(12)との接触部分において、組織塊(A1)が、切断ガイドカバー(12)に設けられたスリット(124)に食い込むように、切断ガイドカバーが組織塊を押さえ、固定化するものであってもよい。
[0018]
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、前記いずれかの組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、を備えており、上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤(B)を入れる収容部(S)を構成する枠構成体(3)と、を有している、組織切片作製装置である。
[0019]
前記の組織切片作製装置は、包埋組織作製具(4)が、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成できると共に、該収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有しているものであってもよい。
[0020]
前記の組織切片作製装置は、包埋組織作製具(4)が、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)上に向かい合わせに配置して組み合わせることにより、上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成すると共に、組み合わせ位置をずらすことによって収容部(S)の面積を調整することができる一対の枠構成体(31,31)と、を有しているものであってもよい。
[0021]
前記の組織切片作製装置は、切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製
【0005】
具(4)の組織載置体(2)の一方または双方には、該載置基台(11)と組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)が設けてあり、該磁石(111)の吸引力は載置基台(11)に対する組織載置体(2)の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっているものであってもよい。
[0022]
切断対象である組織塊としては、例えば人体の実質臓器を挙げることができ、具体的には、前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓、膵臓、脾臓、脳、甲状腺、卵巣、精巣等を挙げることができる。ただし、これらはあくまで代表的な具体例であり、切断対象を特にこれらに限定するものではない。また人体の組織塊に限らず、マウスやラット等の実験動物といったヒト以外の動物の組織塊についても、その切断対象にできることは言うまでもない。
[0023]
本明細書及び特許請求の範囲で「刃物」の用語は、組織塊を薄切りするのに適した刃物全般を指称しており、例えば病理学用ナイフ等といったナイフの他、カミソリやその他の刃物も含む広い概念として使用している。
[0024]
また上記のとおり、切断ガイドカバーに設けてあるスリットは、所望する組織切片の
本発明は、組織切片作製用の切断ガイド装置及び組織切片作製装置に関する。
更に詳しくは、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片を作製できるようにした組織切片作製用の切断ガイド装置及び組織切片作製装置に関する。
詳細な病理学検査のために、生体組織の全割標本の作製を行う場合がある。即ち、生体組織をすべて薄切りして組織切片を作製し、各組織切片をスライドガラスにそれぞれ張り付けた標本を顕微鏡観察等することで、詳細な病理組織の検査が行われている。
通常、実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の大きな組織塊の場合、特殊な病理学用ナイフ等の刃物を用い、手作業で切断して組織切片が作製される。例えば、前立腺癌術後の前立腺組織での全割標本では、3mm程度の均一の厚みで切片を作製する必要がある。
しかしながら、組織塊は一般に可塑性や弾性に富み、柔らかいため、非常に変形しやすい。更に、上記したように病理学用ナイフを用いた手作業により、薄く均一に切る必要があるため、指先をナイフで切るといった危険性も伴う。このため、熟練を有する者でないと、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように切片を作製することは、非常に難しい。また熟練を有する者であっても、その作業にかなりの時間を要する。
ところで、例えば非特許文献1には、マウスやラットの脳のスライスを作製するための「ブレインスライサ」と称される脳切片作製用ブロックが提案されている。この脳切片作製用ブロックは、マウスやラットの脳サンプルを入れるために、アクリル製のブロックを脳の形にくり抜いたものである。そして、ブロックには等間隔(1mm、2mm又は3mm)にスリットが刻まれており、このスリット内にカミソリ刃を落としていくことで、新鮮な脳のスライスが得られるというものである。
http://www.muromachi.com/products/Physio/aster.html
しかしながら、非特許文献1で提案されている脳切片作製用ブロックを、単に大きさを変えて人体の組織塊に適用しても、以下のような課題がある。
上記したように、実質臓器の組織塊は可塑性や弾性に富み、柔らかい。このため、単に上記した脳切片作製用ブロックの凹みの中に組織塊を入れただけでは、組織塊を上手く固定することはできない。即ち、切断時に上から差し入れる病理学用ナイフの荷重によって組織塊が横にズレたり変形してしまい、真っ直ぐに切ったつもりでも断面に凹凸不整が生じやすい。
更に、上記した脳切片作製用ブロックは、あくまでも切断対象がマウスやラット等といった小動物の脳サンプル用のブロックであり、小動物の脳サンプルは人体の組織塊に比べて非常に小さく、大きさや形に関する個体差も少ない。これに対し、人体の組織塊は、臓器の種類、あるいは同じ臓器の組織塊でも個人差によって大きさや形が著しく異なっているため、それに合致する凹みを備えたブロックを予め多数準備しておくことは、極めて困難である。
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように作製できるようにすることにある。
また本発明の他の目的は、上記した目的に加え、大きさや厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応できるようにすることにある。
更に、その他の本発明の目的は以下の説明から明らかになろう。
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
なお、後述する作用の説明の理解を助けるため、図面において使用した符号を、括弧を用いて記載しているが、各構成要件を図面記載のものに限定するものではない。
本発明は、組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、基部側に備えた支点軸(121,121)を中心に先部側が回動して、上記載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、組織塊(A)に対する上記切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段(14)と、を有しており、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されており、上記載置基台(11)は、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する軸受部(13,13)を備え、該軸受部(13,13)は支点軸(121,121)の高さ位置を調整できるように、該支点軸(121,121)の高さ方向への移動をガイドする切欠部(131a,131a)、孔または溝を備えている、組織切片作製用の切断ガイド装置である。
前記組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、直接的に設置された組織塊(A1)の切断ガイドカバー(12)との接触部分において、組織塊(A1)が、切断ガイドカバー(12)に設けられたスリット(124)に食い込むように、切断ガイドカバーが組織塊を押さえ、固定化することを特徴とするものであってもよい。
本発明は、組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、前記の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、を備えており、上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤(B)を入れる収容部(S)を構成する枠構成体(3)と、を有している、組織切片作製装置である。
前記の組織切片作製装置は、包埋組織作製具(4)が、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成できると共に、該収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有しているものであってもよい
前記の組織切片作製装置は、包埋組織作製具(4)が、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)上に向かい合わせに配置して組み合わせることにより、上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成すると共に、組み合わせ位置をずらすことによって収容部(S)の面積を調整することができる一対の枠構成体(31,31)と、を有しているものであってもよい
前記の組織切片作製装置は、切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)の一方または双方には、該載置基台(11)と組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)が設けてあり、該磁石(111)の吸引力は載置基台(11)に対する組織載置体(2)の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっているものであってもよい。
切断対象である組織塊としては、例えば人体の実質臓器を挙げることができ、具体的には、前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓、膵臓、脾臓、脳、甲状腺、卵巣、精巣等を挙げることができる。ただし、これらはあくまで代表的な具体例であり、切断対象を特にこれらに限定するものではない。また人体の組織塊に限らず、マウスやラット等の実験動物といったヒト以外の動物の組織塊についても、その切断対象にできることは言うまでもない。
本明細書及び特許請求の範囲で「刃物」の用語は、組織塊を薄切りするのに適した刃物全般を指称しており、例えば病理学用ナイフ等といったナイフの他、カミソリやその他の刃物も含む広い概念として使用している。
また上記のとおり、切断ガイドカバーに設けてあるスリットは、所望する組織切片の 厚みに合わせて間隔が設定されている。例えば1〜3mmの厚みの組織切片が得られるように、スリットの間隔を適宜設定することができる。
更に、包埋剤として歯科用印象剤を用いることができる。歯科用印象剤としては、アルジネート印象剤やシリコンラバー印象剤等を挙げることができる。アルジネート印象剤(アルギン酸塩印象剤とも称される)は、有効成分であるアルギン酸塩が硫酸カルシウム等のゲル化反応剤等と反応することによりゲル状硬化体を生じることを利用したものであって、歯科分野における歯牙等の様々な型取りに利用されている。
(作 用)
(a)本発明に係る組織切片作製用の切断ガイド装置(1)は、次のように作用する。
切断ガイド装置(1)は、載置基台(11)と、切断ガイドカバー(12)とを有している。この載置基台(11)に、例えば包埋剤(B)で周りまたは少なくとも下部側を包埋した組織塊(A)を直接的または間接的に載置する。組織塊(A)を包埋剤(B)で包埋することにより、組織塊(A)は切断時に変形しにくく、更に載置基台(11)からズレにくい。
次に、組織塊(A)が動かないように、載置した組織塊(A)を切断ガイドカバー(12)で上から押える。これにより、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を挟む。そして、切断ガイドカバー(12)に設けてあるスリット(124)の一つに沿って刃物(C)を差し入れ、組織塊(A)を包埋剤(B)と共に切断する。切断後、包埋剤(B)を取り外し、目的とする組織切片(A1)を得る。
実質臓器等の組織塊(A)は可塑性や弾性に富み、柔らかいので、上記したように、複数のスリット(124)が形成された切断ガイドカバー(12)で上から押えることによって、スリット(124)の一つ一つに組織塊(A)の上部側の一部が食い込むような状態になる。これにより、切断時に刃物(C)からの荷重を受けても、組織塊(A)が横方向等にズレたり変形したりすることを防止でき、その結果、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることを防止することができる。
更に、切断ガイドカバー(12)に設けてある複数のスリット(124)は、所望する組織切片(A1)の厚さに合わせてその間隔が設定されている。そして、刃物(C)をそのスリット(124)の一つに沿って差し入れて組織塊(A)を切断すれば、熟練を要することなく、均一の厚さで組織切片(A1)を作製することができる。
また上記したように、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を挟むことで、組織塊(A)が動くことを防止できるので、厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
(b)また、切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあることが好ましい。一般的に、厚みのある実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の組織塊は、その外形に丸みを有している。よって、その丸みに合わせるように当接部(123)を湾曲または膨出させることで、当接部(123)と当接する組織塊(A)全体をできるだけ均一の押圧力で押えて、組織塊(A)が不定な形に変形することを防止している。これにより、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
(c)切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を上から押えることができるように切断ガイドカバー(12)を上下に回動可能に軸支し、且つ、軸支する部分の高さを調整することができる手段を備えており、切断対象である組織塊(A)の厚みに応じて切断ガイドカバー(12)の軸支する部分の高さを調整する。これにより、厚みが異なる組織塊(A)であっても、柔軟に対応することができる。
その際、切断ガイドカバー(12)の軸支する部分の高さを調整し、切断ガイドカバー(12)を水平状態またはできるだけ水平に保った状態で組織塊(A)を押えることが好ましい。これにより、例えば組織塊(A)を切断ガイドカバー(12)で上から斜めに押える場合に比べて、組織塊(A)の一部分だけに過度の押圧力が加わることを防止でき、組織塊(A)が不定な形に変形することを防止できる。これにより、得られた組織切片(A1)の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
(d)ズレ防止手段を備えているので、切断時に手や刃物(C)などが切断ガイドカバー(12)に接触しても、このズレ防止手段が組織塊(A)に対する切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するので、組織塊(A)を真っ直ぐに切ることができる。
また載置基台(11)が切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に軸支する軸受部(13,13)を備えており、軸受部(13,13)に設けてある切欠部(131a,131a)、孔または溝を利用して上記支点軸(121,121)を移動し、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)の高さを調整する。
また切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)は軸受部(13,13)に着脱可能であるので、使用後は、切断ガイドカバー(12)を載置基台(11)から取り外せば、切断ガイドカバー(12)の洗浄作業が可能である。よって、相当の重量をもって載置基台(11)を形成した場合でも、組織塊(A)と接触する部分である切断ガイドカバー(12)の洗浄作業が容易である。
更に、スリット(124)の間隔や組織塊(A)の形状に合った別の形態の切断ガイドカバーと適宜交換することができ、利便性が高い。
(e)上記した組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)を備えているものは、次のように作用する。
包埋組織作製具(4)は、組み合わせることによって協働して収容部(S)を構成する組織載置体(2)と枠構成体(3)を備えている。
そこで、まずは、切断ガイド装置(1)の載置基台(11)上で、包埋組織作製具(4)を構成する組織載置体(2)と収容枠部構成体(3)を組み合わせ、組織塊(A)と包埋剤(B)を収容する収容部(S)を構成する。そして、その収容部(S)の中に組織塊(A)と包埋剤(B)を入れて包埋処理を施す。
次に、組織載置体(2)から枠構成体(3)を取り外して、組織載置体(2)の載置面(222)上には包埋された組織塊(A)を残す。
このように、包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)は、包埋時に包埋容器の一部(底部)として作用すると共に、組織塊(A)を切断ガイド装置(1)にセットする際の組織塊(A)を載せる道具としても作用する。したがって、本発明に係る包埋組織作製具(4)を使用すれば、包埋後の組織塊(A)を手で触ることなく、切断ガイド装置(1)上にセットすることができる。よって、手で触ることで、適切に包埋された組織塊(A)が崩れたり変形したりすることを防止できる。
また切断ガイド装置(1)に組織塊(A)を直接載置する場合と相違して、使用後は、組織載置体(2)を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置(1)を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(f)包埋組織作製具(4)が上記収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有しているものでは、組織塊(A)の大きさに応じて収容部(S)の面積を調整する。これにより、使用する包埋剤(B)に無駄が生じにくい。
(g)切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)を有しているものでは、例えばステンレスのような滑りやすい素材で載置基台(11)と組織載置体(2)を作製した場合でも、磁石(112)の吸引力でその滑りを防止できる。よって、組織塊(A)を載置した組織載置体(2)が滑って、切断ガイドカバー(12)で押えた組織塊(A)がズレる等といった不都合を防止できる。
また組織載置体(2)に力を加えて磁石(112)の吸引力に抗して移動させれば、載置基台(11)に載置した後でも、切断ガイドカバー(12)に対する組織塊(A)の位置を適宜調整することができる。よって、最も適した位置での切断作業が容易できる。
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
本発明に係る組織切片作製用の切断ガイド装置及び組織切片作製装置によれば、病理学用ナイフ等の刃物による手作業で組織切片を作製するに際し、熟練を要することなく、均一の厚さで、しかも断面に凹凸不整が生じないように組織切片の作製できる。また厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。また、切断ガイドカバーを切断ガイド装置の本体から分離できるので、切断ガイドカバーの洗浄作業が容易である。また、スリットの間隔や組織塊の形状に合った別の形態の切断ガイドカバーと適宜交換することができ、利便性が高い。
包埋組織作製具を備えている組織切片作製装置によれば、包埋後の組織塊を手で触ることなく、切断ガイド装置上にセットすることができる。よって、手で触ることで、適切に包埋された組織塊が崩れたり変形したりすることを防止できる。また切断ガイド装置に組織塊を直接載置する場合と相違して、使用後は、組織載置体を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
組織塊と包埋剤を収容する収容部の面積を調整できる包埋組織作製具を有しているものは、使用する包埋剤に無駄が生じにくい。
切断ガイド装置の載置基台と組織載置体の間に吸引力を作用させる磁石を有しているものでは、組織塊を載置した組織載置体が滑って、切断ガイドカバーで押えた組織塊がズレる等といった不都合を防止できる。また載置基台に載置した後でも、切断ガイドカバーに対する組織塊の位置を適宜調整することができ、最も適した位置で容易に切断作業ができる。
組織切片作製装置を構成する切断ガイド装置の斜視説明図であり、開閉可能な切断ガイドカバーを開いた状態を示している。 図1に示した切断ガイド装置の斜視説明図であり、切断ガイドカバーを閉じた状態を示している。 図2の側面視説明図であり、閉じた切断ガイドカバーを載置基台に対し上方に移動させた状態を想像線(一点鎖線)で表している。 図1に示す切断ガイド装置に載置する包埋組織作製具を示す斜視説明図。 図4で想像線で示した包埋組織作製具の枠構成体を示す斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図。 固定した組織塊を病理学用ナイフで切断している状態を示す側面視説明図。 切断した後の切片の状態を示す説明図。
A 組織塊
A1 組織切片
B 包埋剤
C 病理学用ナイフ
S 空間部
1 切断ガイド装置
11 載置基台
111 載置面
112 磁石
113 掛止片
12 切断ガイドカバー
121 支点軸
123 当接部
124 スリット
125 周壁部
126,127 切断ガイドカバーの上面
13 軸受片
131a 第一切欠部
131b 第二切欠部
14 押圧部材
141 押圧体
142 支柱
143 連結部
144 蝶ボルト
2 組織載置板
21 フレーム本体
22 載置体
211 把持部
212 凹部
3 枠構成体
31 枠部材
4 包埋組織作製具
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
図1ないし図5は、本発明に係る組織切片作製装置の一実施例を示す説明図である。
図1は、組織切片作製装置を構成する切断ガイド装置の斜視説明図であり、開閉可能な切断ガイドカバーを開いた状態を示している。
図2は、同じく、図1に示した切断ガイド装置の斜視説明図であり、切断ガイドカバーを閉じた状態を示している。
図3は、図2の側面視説明図であり、閉じた切断ガイドカバーを上方に移動させた状態を想像線(一点鎖線)で表している。
図4は、図1に示す切断ガイド装置に載置する包埋組織作製具を示す斜視説明図であり、図5に示す包埋組織作製具の枠構成体を想像線(一点鎖線)で示している。
図5は、図4で想像線で示した包埋組織作製具の枠構成体を示す斜視説明図である。
組織切片作製装置は、図1に示す切断ガイド装置1と、図4に示す包埋組織作製具4を備えている。
以下、組織切片作製装置の各構成部材について、順を追って詳しく説明する。
[切断ガイド装置1]
まずは、図1ないし図3を主に参照して、切断ガイド装置1について説明する。
切断ガイド装置1は、組織塊A(後述の図10及び図11も参照)から組織切片A1を得るべく組織塊Aを薄切りにする際に使用するものである。
図1に示すように、切断ガイド装置1は、載置基台11と、切断ガイドカバー12と、押圧部材14を備えている。
載置基台11には、組織塊Aが直接的または間接的に載置される。切断ガイドカバー12は、後述する図9に示すように、載置基台11に直接的または間接的に載置された組織塊Aを上から押えることにより、組織塊Aが動くことを防止する。
切断ガイドカバー12は、基部側に備えた支点軸121,121を中心に先部側が回動する。押圧部材14は、組織塊Aに対する上記切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段を構成する。
切断ガイド装置1は全体がステンレス鋼で形成されおり、堅牢で錆びにくく、また使用後の洗浄も簡単なため、常に清潔な状態に保つことができる。
(載置基台11)
載置基台11は、厚みが約30mmの板状体であり、平面視で方形または矩形状に形成されている。本実施例では載置基台11の横幅は200mm、縦の長さが230mmである。この大きさは、切断対象である組織塊Aの大きさ等を考慮して適宜設定され、特にこの大きさに限定するものではない。
載置基台11の上面は平滑な載置面111になっている。この載置面111に、図4に示す包埋組織作製具4を載置して使用する(後述の図6も参照)。
また図1及び図6に示すように、載置基台11の内部には磁石112が内蔵されている。この磁石112は、載置基台11と、載置基台11の載置面111に載置されたステンレス製の組織載置板2の間に吸引力(磁着力)を作用させる。この磁石112の吸引力により、載置した組織載置板2が載置面111から簡単にズレないようになっている。
また磁石111の吸引力は、載置基台11に対する組織載置板2の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっている。よって、組織載置板2に力を加えて磁石112の吸引力に抗して移動させれば、載置基台11に載置した後でも、切断ガイドカバー12に対する組織塊Aの位置を適宜調整することができる。よって、最も適した位置での切断作業が容易にできる。
(切断ガイドカバー12)
図2に示すように、切断ガイドカバー12は平面視で矩形状に形成されている。切断ガイドカバー12は、例えばステンレス製の薄板をその中央付近で曲げて湾曲部分を作り、更にその湾曲部分に複数(多数)のスリット124を形成することで全体が形成される。
詳しくは、切断ガイドカバー12の少なくとも組織塊Aを押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する(切断ガイドカバー12を閉じた際に上方へ突出するように)当接部123が設けてある。
図3に示すように、この当接部123は、側面視逆U字状に湾曲または膨出する曲面状の当接部となっている。当接部123は、切断ガイドカバー12の長さ方向の略中央付近に位置し、切断ガイドカバー12の幅方向全体に渡って連続的に設けられている。
本実施例では、当接部123の大きさは、縦と横の長さが約120mm、湾曲した厚みの部分が約30mmである。この大きさは、切断対象である組織塊の大きさ等を考慮して適宜設定され、特にこの大きさに限定するものではない。
後述の図10に示すように、実際の切断作業時には、閉じた切断ガイドカバー12と載置基台11との間に挟み込むようにして組織塊Aを固定するが、その際に上記当接部123は上方から組織塊Aへ当接することになる。
図2に示す当接部123には、組織塊Aの切断に使用する病理学用ナイフC等の刃物を差し入れることができる複数の上記スリット124が形成してある。スリット124は切断ガイドカバー12の幅方向に沿って多数設けてある。このスリット124は、所望する組織切片A1の厚さに合わせて間隔が設定されている。本実施例では、厚みが約3mmの幅で切片を作製できるように、そのスリット124の間隔が予め設計されている。
更に切断ガイドカバー12は、その周縁部に組織塊Aを押える方向に向けて設けられた断面L字状の周壁部125を有している。
図1及び図2に示すように、切断ガイドカバー12は、載置基台11の手前側(図1で右側)に所要間隔をおいて立設された一対の軸受部である軸受片13,13を介して回動可能となっている。なお、切断ガイドカバー12はこの軸受片13,13から取り外して、載置基台11から分離することができる(取り外した図面は省略)。これについての作用は、後述する。
図3に示すように、本実施例では、左右一対の各軸受片13は薄板状に形成されている。更に、各軸受片13は、側面視で外側の辺側(図3で右側)が斜めに形成されて、全体が先部側に向かってすぼまるような山形状に形成されている。
各軸受片13は、切断ガイドカバー12の各支点軸121,121を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する。また各軸受片13は、上記各支点軸121の高さ位置を段階的に調整できるように、支点軸121の高さ方向への移動をガイドする第一切欠部131aを備えている。第一切欠部131aは、各軸受片13の高さ方向に沿って設けられた長孔状の切欠部で構成されている。軸受片13の先端部には、第一切欠部131aの切欠口132が設けてある。
更に各軸受片13は、第一切欠部131aに連通して上下に段階的に設けられた所要数の第二切欠部131bを備えている。第二切欠部131bは、第一切欠部131aの高さ方向に沿って所要の間隔をおいて所要数(本実施例では複数、10箇所に)設けてある。第二切欠部131bは、水平方向にまたは第一切欠部131aと交差する方向に設けてある。本実施例では、第二切欠部131bは、第一切欠部131aに対して直角方向に、即ち、図3で右方向(載置基台11の手前側)に短く複数形成されている。
更に、切断ガイドカバー12の各支点軸121は、この幅方向両側の各周壁部125の基端部から外方へ突出して形成されている。そして、図3に示すように、通常、各支点軸121を、軸受片13,13の第二切欠部131bの一つに嵌め入れることで、切断ガイドカバー12がその高さ位置で載置基台11に回動可能に取り付けられている。
更に、切断ガイドカバー12の高さ位置の調整は、以下のようにして行う。即ち、図3において実線で示す水平状態の切断ガイドカバー12の先部側をやや持ち上げて斜めに傾けたり、あるいは先部側へ少しスライド移動させる等して、各支点軸121を第二切欠部131bから第一切欠部131a側に移動させる。そして、各支点軸121を第一切欠部131aに沿って上下動させた後、別の高さの第二切欠部131bの一つに嵌め入れて、軸支される切断ガイドカバー12の高さを調整する。
また切断ガイドカバー12は、各軸受片13先端の上記切欠口132から支点軸121を取り外すことで、載置基台11から分離できる。これにより、図2で示した切断ガイドカバー12を、別の形態の切断ガイドカバーと交換することもできる。
即ち、図2で示した切断ガイドカバー12を、スリット124の間隔が異なる別の切断ガイドカバー(図示省略)と交換して使用すれば、所望する厚みの切片を適宜作製することができる。つまり、切断ガイド装置1自体をその都度交換して使用するのでなく、構成部品である切断ガイドカバー12を交換するだけで、所望の厚みを有する切片を適宜作製できる。
また、切断対象である組織塊Aの大きさや形状によっては、異なる湾曲率を有する当接部123を備えた別の切断ガイドカバーを取り付けることもできる。
更に使用後は、組織塊Aと接触する切断ガイドカバー12を載置基台11から取り外して、念入りに洗浄することができる。即ち、相当の重量をもって載置基台11を形成した場合でも、分離すれば軽くなるので、切断ガイドカバー12の洗浄が容易になる。
(押圧部材14)
更に図1及び図2に示すように、載置基台11の載置面111の先部側中央付近には、押圧部材14が設けてある。上記したように、押圧部材14は、組織塊Aに対する切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止する。
押圧部材14は、載置面111に立設された棒状の支持部である支柱部142と、支柱部142から側方に延びた連結部143と、連結部143の先部側から下方に向けて設けてある押圧体141から主に構成されている。
本実施例では、支柱部142はネジ山を有するボルト軸で構成されている。また連結部143の基端部は、支柱部142に螺合するネジ孔(符号省略)を有している。そして、連結部143を水平方向に回動させることで、連結部143の高さと向きを調整できるようになっている。
更に連結部143の先端部にも、同様にネジ孔(符号省略)が形成されている。このネジ孔には、下部に押圧体141を備えた棒状の高さ調整部である蝶ボルト144が螺合させてある。そして、蝶ボルト144を手で回すことで、連結部143に対して蝶ボルト144が進退し、押圧体141の高さを自由に調整できる。そして、高さを調整しながら、押圧体141で切断ガイドカバー12の先部側の上面127を押圧する。
また図3に示すように、支柱部142の近傍には、閉じた切断ガイドカバー12の先端側の周壁部125を掛止して、切断ガイドカバー12が先部側に移動することを防止する掛止片113が設けてある。
更に、図2に示す切断ガイドカバー12の手前側(図2で右側、軸受片13,13寄り)の上面126には、スリット124の位置に対応させて切断した切片の数が分かるように目盛(図示は省略)が設けられている。
[包埋組織作製具4]
主に図4及び図5を参照して、包埋組織作製具4について説明する。
包埋組織作製具4は、組織塊Aの載置面222を有する組織載置体である組織載置板2と、組織載置板2と組み合わせることにより上記載置面222と協働して組織塊Aと包埋剤を入れる収容部Sを構成する枠構成体3と、を有している
(組織載置板2)
図4に示す組織載置板2は、後述する図6に示すように、切断ガイド装置1の載置面111にセットして使用される。組織載置板2は平面視でやや細長の長方形であり、ステンレス製のフレーム本体21と、合成樹脂製で薄板状の載置体22によって構成されている。
フレーム本体21の両端側は、それぞれL字状に立ち上がって把持部211,211を構成している。また合成樹脂製の載置体22は、フレーム本体21の中央部分に形成された凹部212に嵌め込まれ、接着等によって外れないように固定されている。載置体22は、載置面222に載置される組織塊Aのズレを防止できるように、滑り止め効果を有する合成樹脂で形成されている。
更に、載置体22は生の状態の生体組織が載置される部分であるため、使用後は常に清潔な状態に保つことが好ましい。よって、血液等の体液がきちんと洗浄されているか分かるように、白色や薄い色の合成樹脂で形成することが好ましい。
また組織載置板2を使用することにより、組織塊Aは切断ガイド装置1の載置面111に直接的に載置されずに、組織載置板2に上に置かれた状態で切断ガイド装置1に間接的に載置される。よって、使用後は、切断ガイド装置1の載置面111ではなく、組織塊Aと接触する組織載置板2を念入りに洗浄すれば良い。したがって、相当の重量をもって切断ガイド装置1の載置基台11を形成した場合でも、載置基台11を洗浄または念入りに洗浄する必要がなく、洗浄作業が楽である。
(枠構成体3)
図4及び図5に示す枠構成体3は、ステンレス製で一対の枠部材31,31によって構成されている。各枠部材31は、平面視で直角に二回屈曲させてあり、平面視で全体が鉤状に形成されている。
そして、使用時には、図4及び図5中央に図示しているように、組織載置板2上で枠部材31,31同士を向かい合わせに配置して組み合わせる。これにより、枠部材31,31の間に、組織塊A及び包埋剤B(後述する図7も参照)を入れる平面視方形状の収容部Sが形成される。
また枠部材31,31を互いにスライドさせて、その組み合わせた配置を変更すれば、上記収容部Sの面積を調整することができる。これにより、異なる大きさの組織塊Aにも対応できる。
(作 用)
図6ないし図11は、上記した組織切片作製装置を使用した組織切片の作製方法を説明するための図である。
図6ないし図9は、組織塊を切断ガイド装置の切断ガイドカバーで押えるまでの手順を説明するための斜視説明図であり、
図10は、固定した組織塊を病理学用ナイフで切断している状態を示す側面視説明図、
図11は、切断した後の組織切片の状態を示す説明図である。
なお、図11では、切断後の組織切片A1の厚みをやや誇張して表している。
以下、図6ないし図11を主に参照して、組織切片A1の作製方法を説明する。
(1) まず、図6に示すように、切断ガイド装置1の切断ガイドカバー12を開き、包埋組織作製具4の組織載置板2をその載置面111に載置する。次に、同じく包埋組織作製具4を構成する一対の枠部材31,31を組織載置板2上に載置した後、組み合わせた枠部材31,31の配置を調整して組織塊Aを入れるために適当な大きさの収容部Sを形成する。
(2) 図7に示すように、枠構成体3の収容部Sに組織塊Aを入れて載置した後、組織塊Aの周りまたは少なくとも下部側の収容部Sに包埋剤Bを流し入れる。なお、この作業は、組織載置板2を切断ガイド装置1に載置する前の状態で行っても良い。
本実施例では、包埋剤Bとして、歯科治療において歯型を採る材料等に使用されるアルジネート印象剤を用いる。アルジネート印象剤は、アルギン酸塩を主成分とする合成樹脂であり、水と練和して均一なペースト状にする粉末タイプと、予め水でペースト状にされたペーストタイプがあるが、その両方のどちらも採用できる。
(3) 包埋剤Bが固化したら、図8に示すように枠構成体3(枠部材31,31)を取り外す。続いて、組織載置板2を把持部211を掴んでスライドさせながら、切断ガイドカバー12に対する組織塊Aの最適な位置を調整する。
このように、包埋組織作製具4の組織載置板2は、包埋時に包埋容器の一部(底部)として作用すると共に、組織塊Aを切断ガイド装置1にセットする際の組織塊Aを載せる載置具としても作用する。
したがって、本実施例の包埋組織作製具4を使用すれば、包埋後の組織塊Aを手で触れることなく、切断ガイド装置1上にセットすることができる。よって、手で触れることで、適切に包埋された組織塊が崩れたり変形したりすることを防止できる。
また切断ガイド装置1に組織塊Aを直接的に載置する場合と相違して、使用後は、組織載置板2を入念に洗浄すれば良い。よって、相当の重量をもって切断ガイド装置1を形成した場合でも、洗浄作業が楽である。
(4) 図9に示すように、切断ガイドカバー12を閉じ、湾曲する当接部123で組織塊Aの上部側を上から押える。更に、押圧部材14の連結部143の向きを切断ガイドカバー12側に向けた後、蝶ボルト144を手で回して押圧体141を降ろし、切断ガイドカバー12の上面127を押圧する。これにより、切断ガイドカバー12の押え位置がズレることを防止する。
(5) そうして、図10に示すように、病理学用ナイフCで切断ガイドカバー12のスリット124に沿って組織塊Aを一枚ずつ切断していき、目的とする組織切片A1を得る。
なお、切断の際は、病理学用ナイフCを斜めに傾けて先端側からスリット124内へ挿入し、次に基部側に少しずつ力を入れていくようにして、切断作業を行うことが好ましい。また図11に示すように、組織塊Aは固化した包埋剤Bと一緒に薄切りし、その後、包埋剤Bから取り外される。
以上説明したように、本実施例では、アルジネート印象剤で組織塊Aの周りまたは少なくとも下部側を包埋して固定した後、切断ガイド装置1を備えた切断ガイドカバー12で組織塊Aを上から押える。このように、組織塊Aを包埋剤Bで包埋することにより、組織塊Aは切断時に変形しにくく、更に載置基台11からズレにくい。
更に、アルジネート印象剤は非常に短時間で液状体(ペースト状体)から固化するので、組織を包埋(固定)する際の作業性が良い。更に、切断後に得られる組織切片から非常に用意に除去できるので、薄切りの組織切片を傷めにくい。
また上記したように、実質臓器等の組織塊Aは可塑性や弾性に富み、柔らかい。よって、複数のスリット124が形成された切断ガイドカバー12で上から押えることによって、スリット124の一つ一つに組織塊Aの上部側の一部が食い込むような状態になる。これにより、切断時に病理学用ナイフCからの荷重を受けても、組織塊Aが横方向等にズレたり変形したりすることを防止でき、その結果、得られた組織切片の断面に凹凸不整が生じることを防止することができる。
更に、切断ガイドカバー12に設けてある複数のスリット124は、所望する組織切片A1の厚さに合わせてその間隔が設定されている。よって、病理学用ナイフCをスリット124に沿って差し入れ、組織塊Aを切断するだけで、熟練を要することなく、均一の厚さで切片を作製することができる。
また、載置基台11と切断ガイドカバー12で組織塊Aを挟むことで、組織塊Aが動くことを防止できるので、厚みが異なる組織塊であっても、柔軟に対応することができる。
更に、切断ガイドカバー12は、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部123を有している。一般的に、厚みのある実質臓器(前立腺、乳腺、肺、肝臓、心臓等)の組織塊は、その外形に丸みを有している。よって、その丸みに合わせるように当接部123を湾曲または膨出させることで、当接部123と当接する組織塊A全体をできるだけ均一の押圧力で押えて、組織塊が不定な形に変形することを防止している。これにより、得られた組織切片A1の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止できる。
また更に図3に示すように、切断ガイド装置1の切断ガイドカバー12はその高さを段階的に調整できる。よって、組織塊Aの厚みが異なる組織塊Aであっても柔軟に対応することができる。しかも、切断ガイドカバー12の軸支部121の高さを調整できるので、切断ガイドカバーが水平状態またはできるだけ水平に保った状態で組織塊Aを押えることができる。
これにより、例えば組織塊Aを切断ガイドカバー12で上から斜めに押える場合に比べて、組織塊Aの一部分だけに過度の押圧力が加わることを防止でき、組織塊Aが不定な形に変形することを防止できる。これにより、得られた組織切片A1の断面に凹凸不整が生じることをより確実に防止することができる。
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
更に、特許請求の範囲には、請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。

Claims (10)

  1. 組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、
    組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、
    該載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、
    を有しており、
    切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されている、
    組織切片作製用の切断ガイド装置。
  2. 組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、
    組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、
    該載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、
    を有しており、
    切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されている、
    組織切片作製用の切断ガイド装置。
  3. 切断ガイドカバー(12)で組織塊(A)を上から押えることができるように切断ガイドカバー(12)を回動可能に軸支し、且つ、軸支する部分の高さを調整することができる手段を備えている、
    請求項1または2記載の組織切片作製用の切断ガイド装置。
  4. 組織切片(A1)を得るべく組織塊(A)を薄切りにする際に使用する切断ガイド装置(1)であって、
    組織塊(A)が直接的または間接的に載置される載置基台(11)と、
    基部側に備えた支点軸(121,121)を中心に先部側が回動して、上記載置基台(11)に直接的または間接的に載置された組織塊(A)を上から押えることにより、該組織塊(A)が動くことを防止する切断ガイドカバー(12)と、
    組織塊(A)に対する上記切断ガイドカバー(12)の押え位置がズレることを防止するズレ防止手段(14)と、
    を有しており、
    切断ガイドカバー(12)の少なくとも組織塊(A)を押える箇所には、押える方向と反対側に湾曲または膨出する当接部(123)が設けてあり、該当接部(123)には組織塊(A)の切断に使用する刃物(C)を差し入れることができる複数のスリット(124)が形成してあり、該スリット(124)は所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定されており、
    上記載置基台(11)は、切断ガイドカバー(12)の支点軸(121,121)を回動可能に且つ、着脱可能に軸支する軸受部(13,13)を備え、該軸受部(13,13)は支点軸(121,121)の高さ位置を調整できるように、該支点軸(121,121)の高さ方向への移動をガイドする切欠部(131a,131a)、孔または溝を備えている、
    組織切片作製用の切断ガイド装置。
  5. 組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、
    包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、
    を備えており、
    上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤(B)を入れる収容部(S)を構成する枠構成体(3)と、を有している、
    組織切片作製装置。
  6. 組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、
    包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、
    を備えており、
    上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)と組み合わせることにより上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成できると共に、該収容部(S)の面積を調整することができる枠構成体(31,31)と、を有している、
    組織切片作製装置。
  7. 組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための組織切片作製装置であって、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の組織切片作製用の切断ガイド装置(1)と、
    包埋された組織塊(A)を作製するための包埋組織作製具(4)と、
    を備えており、
    上記包埋組織作製具(4)は、組織塊(A)の載置面(222)を有する組織載置体(2)と、該組織載置体(2)上に向かい合わせに配置して組み合わせることにより、上記載置面(222)と協働して組織塊(A)と包埋剤を入れる収容部(S)を構成すると共に、組み合わせ位置をずらすことによって収容部(S)の面積を調整することができる一対の枠構成体(31,31)と、
    を有している、
    組織切片作製装置。
  8. 切断ガイド装置(1)の載置基台(11)と包埋組織作製具(4)の組織載置体(2)の一方または双方には、該載置基台(11)と組織載置体(2)の間に吸引力を作用させる磁石(112)が設けてあり、該磁石(111)の吸引力は載置基台(11)に対する組織載置体(2)の移動または着脱が可能な程度の吸引力となっている、
    請求項5,6または7記載の組織切片作製装置。
  9. 組織塊(A)を薄切りにして組織切片(A1)を作製するための方法であって、
    包埋剤(B)で周りまたは少なくとも下部側を包埋した組織塊(A)を載置基台(11)に直接的または間接的に載置し、所望する組織切片(A1)の厚みに合わせて間隔が設定された複数のスリット(124)を備えた切断ガイドカバー(12)を用いて上記組織塊(A)を上から押えることにより、載置基台(11)と切断ガイドカバー(12)の間で組織塊(A)を挟み、挟んだ状態で上記スリット(124)に沿って刃物(C)を差し入れて組織塊(A)を包埋剤(B)と共に切断し、組織切片(A1)を作製する、
    組織切片の作製方法。
  10. 包埋剤(B)として歯科用印象剤を用いる、
    請求項9記載の組織切片の作製方法。
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