JPS6245691Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、毛髪移植または生体標本検査のた
めに、生体皮膚組織を円筒状に切取り、採取する
ための装置に関する。

毛髪移植または、生体標本検査のためには、通
常、直径１〜12mm、高さ３〜12mmの小さな円筒状
に皮膚を切取り、これをそのまま移植したり、さ
らにスライス状に薄く切つて顕微鏡検査用の標本
を作製している。

この円筒状皮膚組織のことを通常皮膚栓と称し
ているが、この皮膚栓を採取するには、通常、内
径１〜12mmの薄肉円筒体の下端開口縁に刃をつけ
たパンチと称する手術用具を回転しながら皮膚に
打込み、円筒状の切込みを付け、その皮膚の表面
をピンセツトで摘み上げ、先端の彎曲した鋏を挿
入して円筒状の切込みの下底を切断して取り出し
ていた。

ところが、この方法によれば、彎曲した鋏で円
筒状切込みの下底を切断しているので、底部を正
しく水平に切断するのがむつかしく、往々にして
斜に切断したり、周囲の皮膚組織迄傷つけたりす
ることが多く、正しい円筒状皮膚栓を採取するこ
とは極めて困難であつた。

特に、値径数mmの極めて小さな皮膚栓を採取す
る場合には、皮膚栓の組織が破壊されることが多
く、正常な皮膚栓を採取するためには、細心の注
意と高度の熟練を要した。

さらにまた、皮膚栓の高さ（深さ）が正確に指
定されている場合には、感による手作業に頼つて
いるため、正確な寸法を出すのが困難であり、指
定通りの皮膚栓を採取するのに失敗する例がしば
しばあつた。

この考案の目的は、生体皮膚に円筒状切込みを
付けた後に、その円筒状切込みに挿入し、周囲皮
膚組織を破壊することなく、円筒状切込みの底部
を切断し、正常な皮膚栓を能率的に採取すること
のできる生体皮膚栓採取装置を提供するにある。

この考案の他の目的は、採取すべき皮膚栓の高
さ（深さ）を正確に、しかも、任意に調節できる
生体皮膚栓採取装置を提供することにある。

次に、この考案の実施例を図面について説明す
る。

第１図及び、第２図に示す如く、１は中空円筒
状本体で、薄肉のステンレス等の不銹鋼によりな
り、その上端には、把り易く滑り止めの溝加工が
施された把持部６が固着されている。

４は回転軸で、円筒状本体１の下端に取付けた
軸受３と、把持部６に設けた貫通孔１２とにより
回転自在に軸支されている。

回転軸４の下端には三か月状カツター２が固着
されて、また、上端は直角に曲げられてレバー５
を構成している。

円筒状本体１の上端開口縁１３は平担に構成さ
れ、マーク１１とストツパー８が設けられてい
る。

一方、三か月状カツター２は、下端開口縁とほ
ぼ同じ曲率を持つた両刃のカツターとして構成さ
れており、しかもレバー５を上記マーク１１に合
せた時には、第３図に示すように三か月状カツタ
ー２が開口縁の円周に沿つた位置に静止するよう
な位置関係に取付けられている。

また、レバー５をストツパー８の位置迄回動し
た時には、第４図に示すように、三か月状カツタ
ー２の先端が、円筒状本体１の下端開口の中心に
位置するように規制されている。

さらに、９はフランジで、円筒状本体１に上下
動自在に緩装されており、しかも、フランジ９を
円筒状本体１の所定位置に固定するための固定ね
じ１０が取付けられている。また、１４はフラン
ジ９に設けられた貫通孔で、回転軸４が貫通して
いる。

なお、図中、７はレバーの先端に取付けたつま
みを示す。

次に本装置の使用法について述べる。

第５図に示す如く、まづ、所定の位置の皮膚２
０に、通常の方法により、パンチを使用して、円
筒状の切込み２１を削設する。

次に、本装置を第３図に示す如く、レバー５を
マーク１１に合せ、三か月状カツター２を円筒状
本体１の下端開口縁の円周に一致させ、かつ、フ
ランジ９を、採取すべき皮膚栓の深さに応じた位
置に固定ねじ１０で固定する。

この状態にセツトした円筒状本体１の前記の切
込み２１中に挿入し、フランジ９が皮膚の表面に
接する迄押込む。

次に、レバー５をストツパー８の位置迄回動す
れば、三か月状カツターは第４図に示す如く、そ
の先端が円筒状本体１の下端開口の中心に位置す
るまで回転する。この状態でレバー５を指先でス
トツパー８を押付けて固定し、装置全体を１回転
せしめれば、カツター２もそれに伴い360゜回転
し、皮膚栓２２の底部を切断する。

この状態で装置全体を引抜けば、三か月状カツ
ター２は依然として第４図の状態を維持している
ので皮膚栓２２の底部を支えており、したがつて
皮膚栓２２を円筒状本体１内に収容したままで取
り出せる。

最後に、カツター２を第３図の状態にして円筒
状本体１の上部開口から細い棒を挿入して皮膚栓
２２を下方に押せば、下方開口から皮膚栓２２を
取り出すことができる。

以上説明した如く、この考案の生体皮膚栓採取
装置によれば、極めて小さな皮膚栓でも、簡単な
操作で、しかも熟練を要せずに、皮膚栓の組織は
勿論、周囲の組織を何ら損傷することなく容易に
採取することができるので、生体皮膚検査にま
た、毛髪移植にもたらす効果は極めて大きいもの
といえる。

特に、有毛の皮膚組織と無毛の皮膚組織とを交
換移植する場合のように、皮膚栓の大きさ、特に
高さが正確に規制されているような手術において
は、採取すべき皮膚栓の高さを正確にしかも、任
意に調節することができる本装置によれば、極め
て容易にその目的を達成することができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の生体皮膚栓採取装置の斜面
図、第２図は同上縦断面図、第３図〜第５図はそ
の使用方法を示す説明図である。 １……中空円筒状本体、２……三か月状カツタ
ー、３……軸受、４……回転軸、５……レバー、
６……把持部、８……ストツパー、９……フラン
ジ、１０……固定ねじ、１１……マーク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 採取すべき皮膚栓の直径とほぼ同一の内径を
   有する薄肉中空円筒状本体と、該円筒状本体の
   側壁に沿つて軸支された回転軸と、該回転軸の
   下端に固定され、上記円筒状本体の下端開口面
   に沿つて回動する三か月状カツターと、上記同
   転軸の上端に連設され、上記三か月状カツター
   の回転角度を規制するためのレバーとより構成
   されたことを特徴とする生体皮膚栓採取装置。 (2) 中空円筒状本体の上部を把持部として構成す
   ると共に、その上端開口縁に、前記三か月状カ
   ツターの回転角度をレバーの角度によつて表示
   するマークと、上記レバーの回動を阻止し、回
   転軸を介して連動する三か月状カツターの先端
   が上記円筒状本体の下端開口面のほぼ中心に位
   置するように固定するストツパーとを設けたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の生体皮膚栓採取装置。 (3) 中空円筒状本体の下部にフランジを摺動自在
   に緩装し、該フランジを中空円筒状本体の所定
   位置に固定するための固定ねじを設けたことを
   特徴とする実用新案登録請求範囲第１項記載の
   生体皮膚栓採取装置。 (4) 三か月状カツターを両刃として構成したこと
   を特徴とする実用新案登録請求範囲第１項記載
   の生体皮膚栓採取装置。