JPWO2008053534A1 - ドハティ増幅器 - Google Patents

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峰生 野田
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幸長 俊郎
俊郎 幸長
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Abstract

並列合成された複数のドハティ増幅器の温度上昇値が同じになるようにして、高効率な電力増幅と良好な歪補償を実現できるドハティ増幅器。このドハティ増幅器では、キャリア増幅素子用放熱器(106)に、同一機能を有する増幅素子として、第1のドハティ増幅器(101)のキャリア増幅素子(C101)と第2のドハティ増幅器(102)のキャリア増幅素子(C102)を搭載し、ピーク増幅素子用放熱器(107)に、キャリア増幅素子とは別な同一機能を有する増幅素子として、第1のドハティ増幅器(101)のピーク増幅素子(P101)と第2のドハティ増幅器(102)のピーク増幅素子(P102)を搭載する。そして、分配器(103)及び合成器(104)によって第1のドハティ増幅器(101)と第2のドハティ増幅器(102)とを並列接続する。

Description

本発明は、基地局歪補償方式の電力増幅装置などに用いられるドハティ増幅器に関し、特に、高い電力効率で歪補償を行うために温度特性の改善を図ったドハティ増幅器に関する。
従来より、基地局の電力増幅装置における高効率な歪補償方式として、逆特性の歪を作って本来の歪を相殺するプリディストーション方式と前方側に歪制御をかけるフィードフォワード方式とを組み合わせた、いわゆるクロスキャンセレーション方式が非特許文献1などに紹介されている。また、フィードフォワード方式とドハティ増幅器を用いた基地局歪補償電力増幅装置も非特許文献2などに紹介されている。さらに、上記のクロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせることによって、基地局歪補償電力増幅装置の更なる高効率化と低歪化を実現することが可能である。
図1は、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせた従来の基地局歪補償電力増幅装置の構成を示すブロック図である。すなわち、一般的なクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置において、図1に示すように、2つの主増幅器として第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を並列的な構成で使用することにより、基地局歪補償電力増幅装置をさらに高効率化することができる。図1において、第1のドハティ増幅器1は、その出力側の分配器4から、合成器9→遅延器8→分配器7→分配器3→第1のドハティ増幅器1に至る帰還経路によるフィードフォワード制御によって歪制御を行っている。また、第2のドハティ増幅器2は、第1のドハティ増幅器1に対して逆特性の歪を作って合成器6へ入力することにより(つまり、プリディストーションをかけることにより)、第1のドハティ増幅器1から分配器4→遅延器5→合成器6へ入力される歪を相殺している。これによって基地局歪補償電力増幅装置の高効率化と歪補償を併せて実現することができる。
また、図1に示すような基地局歪補償電力増幅装置に用いられるドハティ増幅器は、1936年にW.H.Doherty氏によって最初に考案されたものであり、例えば非特許文献3などに紹介されている。直交変数多重変調方式(OFDM:Orthogonal Frequency Divisional Multiplexing)などのように多数のキャリアを用いた信号波形の場合は、ピーク電力対平均電力の比が高くなるので、高い電力効率を得るためにドハティ増幅器が好んで用いられている。このように、ドハティ増幅器は増幅器の高効率化技術として広く知られている。図2は、ドハティ増幅器の基本的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、ドハティ増幅器は、常時動作しているキャリア増幅素子21及び第1のλ/4位相器22とピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子23及び第2のλ/4位相器24とによって構成されている。なお、このようなドハティ増幅器は周知の技術であるのでその動作については説明を省略する。
図1に示すようなクロスキャンセレーション方式の歪補償回路においては、図2に示すような構成のドハティ増幅器を二組使用している。そこで、充分な歪補償を行うためには二組(複数)のドハティ増幅器(つまり、図1に示す第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2)の歪特性を揃える必要がある。そのためには二組(複数)のドハティ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値に揃える必要がある。つまり、二組(複数)のドハティ増幅器に温度差が生じるとクロスキャンセレーションの動作が安定しないので、二組(複数)のドハティ増幅器(図1に示す第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2)に温度差が生じないようにする必要がある。また、高出力なドハティ増幅器が必要な場合においても、複数のドハティ増幅器を並列合成して使用する方法がとられるが、この場合においても、広い電力範囲に亘って高効率を維持するためには、これらの複数のドハティ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値に揃える必要がある。つまり、複数のドハティ増幅器に温度差が生じないようにそれぞれの増幅素子を冷却する必要がある。
図3は、並列構成の二組のドハティ増幅器を同一の放熱器に搭載した配置例を示す従来技術の概念図である。すなわち、図3は、図1におけるクロスキャンセレーション方式の歪補償回路において、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を同一の放熱器(フィン)31に搭載した構成を示している。図3に示すように、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅素子C1及びピーク増幅素子P1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅素子C2及びピーク増幅素子P2が同一の放熱器31に搭載され、各増幅素子の温度バランスを図っている。
2002年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会資料『歪み相殺形電力合成増幅器の検討』 "High efficiency feed-forward amplifier using RF predistortion linerizerand the modified Doherty Amplifier",2004 IEEE MTT-S Digest "A New High Efficiency Power Amplifier For Modulared Wave",Proceedingof the Institude of Radio Engineers,Vol.24,No.9,September 1936
しかしながら、図3のような放熱器31の向きで第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を同じ放熱器31に搭載した構成だけでは、自然空冷による放熱作用によって第2のドハティ増幅器2の熱が第1のドハティ増幅器1側へ伝導するので、第2のドハティ増幅器2の温度より第1のドハティ増幅器1の温度の方が高くなって両者に温度差が生じる。そこで、図4の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31をファン32で下方から上方へ強制空冷する構成とすれば、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2の温度差は小さくなる。しかし、風の上流側にある第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2の熱は、風の下流側にある第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1の方へ伝導するので、常時動作するキャリア増幅器C1とキャリア増幅器C2には温度差Δtが生じる。そのため、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2の諸特性にばらつきが生じ、両者のドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。
また、図5の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31を複数のファン(例えば、2つのファン32a,32b)で横方向(つまり、図の左方から右方)へ強制空冷する構成にした場合は、複数のファン(2つのファン32a,32b)の風量ばらつきによって第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2で温度差Δtが生じる。その結果、各ドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、やはり出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。
また、図6の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31を大型のファン33で左方から右方へ強制空冷する構成にした場合は、放熱器31の中心部と外側で風量に差が生じる。そのため、放熱器31の中心部と外側で温度差が生じ、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2で温度差Δtが生じる。その結果、各ドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、やはり出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。また、大型のファン33を用いることによってドハティ増幅器の歪補償装置全体の構成が大型になるなどの不具合も生じる。
また、特に図示しないが、図3を想定して説明すると、放熱器31において空気の流通するラジエータ部分を除く放熱基板の厚みを厚くすれば熱抵抗が下がり、放熱基板の部分の熱伝導率が上昇して放熱基板上の熱分布を均一にすることができる。その結果、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができる。しかし、放熱基板の部分が厚くなることによって放熱器の総重量が増加してしまい、結果的に、ドハティ増幅器の歪補償装置全体が重くなってしまうなどの不具合が生じる。
本発明の目的は、並列構成された複数のドハティ増幅器の温度上昇値がほぼ同じになるようにして、電力のバランスと高効率な電力増幅と良好な歪補償を併せて実現することができるドハティ増幅器を提供することである。
本発明のドハティ増幅器は、複数のドハティ増幅回路が並列に接続されたドハティ増幅器であって、同一機能を有する複数の増幅素子が同一の放熱器に搭載される構成を採る。
本発明のドハティ増幅器によれば、同一機能を有する複数の増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、複数のドハティ増幅回路の諸特性を揃えることができる。その結果、複数のドハティ増幅回路を並列接続して構成したクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置などにおいて電力を高効率化することができると共に、良好な歪特性を実現することができる。
具体的な例として、常時動作している複数のキャリア増幅素子をほぼ同じ温度に維持することができると共に、ピーク電力が大きいときに動作する複数のピーク増幅素子もほぼ同じ温度に維持することができる。その結果、ドハティ増幅器の温度変化などによって生じる諸特性の劣化を防ぎ、電力の高効率化と良好な歪補償を実現することが可能となる。
クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせた従来の基地局歪補償電力増幅装置の構成を示すブロック図 ドハティ増幅器の基本的な構成を示すブロック図 並列構成の二組のドハティ増幅器を同一の放熱器に搭載した配置例を示す従来技術の概念図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 本発明の各実施の形態に適用される二組のドハティ増幅器を並列合成した回路図 図7に示す二組のドハティ増幅器を放熱器に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態1のドハティ増幅器の構成図 図7に示す二組のドハティ増幅器を多層基板に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態2のドハティ増幅器の構成図 実施の形態3に適用されるN−Wayドハティ増幅器の回路図 N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図における等価回路 N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図における効果的な回路の配置 N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図における等価回路 N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図における効果的な回路の配置 ピーク増幅素子の台数を変更することが可能なN−Wayドハティ増幅器の構成を示す実施の形態4のドハティ増幅器の構成図
〈発明の概要〉
本発明のドハティ増幅器は、複数のドハティ増幅器を並列合成する構成において、同一機能を有する増幅素子同士を同一の放熱器に配置して温度上昇の均一化を図っている。すなわち、ドハティ増幅器は、常時動作するキャリア増幅素子とピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子とによって構成されているので、基地局歪補償電力増幅装置などを構成する複数のドハティ増幅器の並列回路において、キャリア増幅器同士を同一の放熱器に搭載し、かつピーク増幅素子同士を他の同一の放熱器に搭載する。これによって、複数のドハティ増幅器の温度特性を揃えることができるので、ドハティ増幅器の温度変化などによって生じる諸特性の劣化を防ぐことができる。その結果、電力の高効率化と良好な歪補償を実現することが可能となり、高品質なクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置等を提供することができる。
次に、本発明のドハティ増幅器の具体的な実施の形態の幾つかについて詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態で用いる図面において、同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。なお、以下の説明では、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器とを組み合わせた基地局歪補償電力増幅装置、及び高出力なドハティ増幅器が必要な場合に複数のドハティ増幅回路を並列合成した電力増幅装置を想定した、複数のドハティ増幅回路の並列合成における実施の形態について述べることにする。
〈実施の形態1〉
図7は、本発明の各実施の形態に適用される二組のドハティ増幅回路を並列合成した回路図である。図7に示すように、二組のドハティ増幅器は、第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102が、入力側の分配器103及び出力側の合成器104によって並列に接続された構成となっている。第1のドハティ増幅器101は、常時動作するキャリア増幅素子C101及び第1のλ/4位相器RC101と、ピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子P101及び第2のλ/4位相器RP101との並列回路によって構成されている。また、第2のドハティ増幅器102は、常時動作するキャリア増幅素子C102及び第1のλ/4位相器RC102と、ピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子P102及び第2のλ/4位相器RP102との並列回路によって構成されている。なお、このような構成のドハティ増幅器の動作につては周知の技術であるのでその説明は省略する。
図8は、図7に示す二組のドハティ増幅器を放熱器に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態1のドハティ増幅器の構成図である。図8に示すように、キャリア増幅素子用放熱器106には、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102が搭載されている。また、ピーク増幅素子用放熱器107には、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102が搭載されている。つまり、キャリア増幅素子用放熱器106及びピーク増幅素子用放熱器107には、それぞれ同一機能を有する増幅素子が搭載されている。
そして、図7の回路構成で示したように、第1のドハティ増幅器101は第1のλ/4位相器RC101と第2のλ/4位相器RP101を図8のように回路接続し、第2のドハティ増幅器102は第1のλ/4位相器RC102と第2のλ/4位相器RP102を図8のように回路接続し、さらに、入力側の分配器103及び出力側の合成器104によって第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102とを並列に接続する。
図8のような放熱器上の素子配置の構成において、キャリア増幅素子C101とピーク増幅素子P101で第1のドハティ増幅器101を構成し、キャリア増幅素子C102とピーク増幅素子P102で第2のドハティ増幅器102を構成する。そして、これら2台(複数台)のドハティ増幅器を近接して構成することによってドハティ増幅器の並列合成を実現する。
これによって、同一機能を有する第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102は、同一の放熱器(つまり、キャリア増幅器用放熱器106)に搭載されているので、ほぼ同じ温度上昇値に維持することができる。また、他の同一機能を有する第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102は、同一の放熱器(つまり、ピーク増幅素子用放熱器107)に搭載されているので、ほぼ同じ温度上昇値に維持することができる。この結果、第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102を同じ特性に揃えることができるので、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器とを組み合わせた基地局歪補償電力増幅装置に適用しても、電力増幅の高効率化と良好な歪特性を実現することができる。
すなわち、一つの放熱器上に複数のキャリア増幅素子を配置し、他の放熱器上に複数のピーク増幅素子を配置するというように、複数のドハティ増幅器のうちで同じ機能を有する増幅素子同士を組み合わせて同一の放熱器に搭載し、回路接続によって複数台のドハティ増幅器を並列に接続することにより、複数のドハティ増幅器の温度特性を揃えることができる。その結果、電力増幅を高効率に維持しながら良好な歪補償を行うことができる。
なお、図8においては自然空冷を想定しているのでファンが備えられていないが、キャリア増幅素子用放熱器106の下部及びピーク増幅素子用放熱器107の下部にそれぞれファンを備えて強制空冷を行えば、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101及び第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102の温度上昇値をさらに均一に揃えることができると共に、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101及び第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102の温度上昇値もさらに均一に揃えることができる。
また、実施の形態1の変形例として、同一ウェハー上で形成されていてパッケージ化された複数の増幅素子、例えば、2つの増幅素子を交互に動作させて増幅を行うプッシュプル型増幅素子を用いたドハティ増幅器の構成にすることもできる。つまり、図8において、一方の信号で動作するトランジスタ増幅器(例えば、C101、C102)をキャリア増幅器用放熱器106に搭載し、他方の信号で動作するトランジスタ増幅器(例えば、P101、P102)をピーク増幅素子用放熱器107に搭載すれば、同じタイミングで動作する側の複数のトランジスタ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、温度変化に関わらずプッシュプル増幅器を安定的に動作させることができる。
このように構成することにより、各トランジスタ増幅器(または、各ドハティ増幅器)の温度特性を揃えるだけでなく、各トランジスタ増幅器(各ドハティ増幅器)を構成するデバイスの固有のバラツキや経年変化を揃えることができるので、各トランジスタ増幅器(各ドハティ増幅器)で合成された出力側の電力損失を防ぐことができる。その結果、複数のドハティ増幅器で構成された電力増幅装置などをメンテナンスフリーで運用することが可能となる。
また、一般的には、複数台のドハティ増幅器を製作する場合には、デバイスに固有なバラツキを補正するために、製作時において、ドハティ増幅器に使用される分配器や合成器を一台ずつ微調整する必要があるが、本実施の形態による増幅素子の組み合わせ構成にすることにより、分配器や合成器の調整工数を減らすことが可能となる。
さらに、実施の形態1の他の変形例として、出力容量の異なるプッシュプル型増幅素子を組み合わせて用いる場合は、同一電力のプッシュプル型増幅素子同士を同一の放熱器に搭載することもできる。例えば、図8において、10w型のプッシュプル型増幅素子(例えば、C101、C102)をキャリア増幅器用放熱器106に搭載し、20w型のプッシュプル型増幅素子(例えば、P101、P102)をピーク増幅素子用放熱器107に搭載すれば、同じ電力容量で動作する複数のプッシュプル型増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、温度変化に関わらずプッシュプル増幅器を安定的に動作させることができる。
また、このようにして出力容量の異なるプッシュプル型増幅素子を用いて回路を構成する場合、同一の電力容量のプッシュプル型増幅素子を同一の放熱器に構成することにより、独立した出力容量の異なる増幅素子を用いてプッシュプル増幅回路を構成する場合よりもコストを削減することができる。
〈実施の形態2〉
実施の形態2では多層基板に複数(二組)のドハティ増幅器を配置して並列合成する場合について説明する。図9は、図7に示す二組のドハティ増幅器を多層基板に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態2のドハティ増幅器の構成図である。
図9において、左図の第1の基板111には、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101とピーク増幅素子P101が第1のλ/4位相器及び第2のλ/4位相器と共にパターニングされているが、キャリア増幅素子C101側のパターンとピーク増幅素子P101側のパターンは、第1の基板111の図の上方側に偏ってやや隔てた配置でパターニングされている。
また、中図の第2の基板112には、第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102とピーク増幅素子P102が第1のλ/4位相器及び第2のλ/4位相器と共にパターニングされているが、キャリア増幅素子C102側のパターンとピーク増幅素子P102側のパターンは、第2の基板112の図の下方側に偏ってやや隔てた配置でパターニングされている。つまり、第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102及びピーク増幅素子P102は、第1の基板111と第2の基板112を重ねたときに、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101及びピーク増幅素子P101と上下の位置で重ならないようにずらしてパターニングされている。
このような第1の基板111と第2の基板112のパターニングにより、第1の基板111と第2の基板112を重ねて多層基板113にしたときには、図9の右図に示すように、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102が近接して配置され、かつ、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102が近接して配置された構成となる。つまり、同一機能を有する増幅素子同士が近接して配置された構成となる。
すなわち、第1の基板111と第2の基板112にそれぞれパターニングされた二組のドハティ増幅器101,102を多層基板113に積層した場合は、同一の機能を有する増幅素子同士が近接して配置された構成になるので、同一の機能を有する増幅素子をほぼ同じ温度に揃えることができる。これによって、複数のドハティ増幅器で並列構成した基地局歪補償電力増幅装置の電力増幅を高効率に維持しながら良好な歪補償を実現することができる。
〈実施の形態3〉
実施の形態3ではピーク増幅素子が多段接続されたN−Wayドハティ増幅器の構成について説明する。図10は、実施の形態3に適用されるN−Wayドハティ増幅器の回路図である。図10に示すように、1個のキャリア増幅素子C101に対してN個のピーク増幅素子P101−1〜P101−Nが並列に接続されてN−Wayドハティ増幅器を構成している。
図10のようにピーク増幅素子が多段接続された構成のN−Wayドハティ増幅器は、効率バックオフを大きくとっても効率の低下が少ない増幅器として知られている。すなわち、N−Wayドハティ増幅器は、1個のピーク増幅素子の出力最大振幅レベルと飽和電力レベルの差で表わされるバックオフを大きくとることができるので(つまり、1個のピーク増幅素子の出力最大振幅レベルを飽和電力レベルぎりぎりまで大きくすることができるので)、ピーク電力が増加するにしたがってピーク増幅素子の並列接続の個数を増加したときの電力効率を常に最大の状態を維持することが可能となる。
図11は、N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図であり、図11Aは等価回路、図11Bは効果的な回路の配置を示している。すなわち、図11は、ピーク増幅素子を2個並列にしたときの2−Wayドハティ増幅器を二組並列合成した場合のドハティ増幅器の構成を示している。キャリア増幅素子C101と2個のピーク増幅素子P101−1,P101−2が一組の2−Wayドハティ増幅器であり、キャリア増幅素子C102と2個のピーク増幅素子P102−1,P102−2がもう一組の2−Wayドハティ増幅器である。
図11Aの等価回路に示すように、二組の2−Wayドハティ増幅器において、一組の2−Wayドハティ増幅器のキャリア増幅素子C101と他の一組の2−Wayドハティ増幅器のキャリア増幅素子C102は、同一機能を有するので第1の放熱器121に配置されている。さらに、一組の2−Wayドハティ増幅器の1−Way目のピーク増幅素子P101−1と他の一組の2−Wayドハティ増幅器の1−Way目のピーク増幅素子P102−1は同一機能を有するので第2の放熱器122に配置し、かつ、一組の2−Wayドハティ増幅器の2−Way目のピーク増幅素子P101−2と他の一組の2−Wayドハティ増幅器の2−Way目のピーク増幅素子P102−2も同一機能を有するので第3の放熱器123に配置されている。つまり、同一Wayのピーク増幅素子は同一の放熱器に搭載されている。これによって、実施の形態1で述べた場合と同様に、同一機能を有するキャリア増幅素子同士をほぼ同じ温度にし、他の同一機能を有するピーク増幅素子同士をほぼ同じ温度にすることができる。
しかしながら、図11Aのような配置では、常時動作するキャリア増幅素子C101とキャリア増幅素子C102が、冷却風の上流側(図の下方側)にあるピーク増幅素子P101−1、P102−1、P101−2、P102−2からの熱の影響を受けるおそれがある。
そこで、図11Bの効果的な回路の配置図に示すように、常時動作していて多くの熱を発生させるキャリア増幅素子C101,C102を搭載した放熱器121を中心部に配置して、その両側に、ピーク増幅素子P101−1、P102−1を搭載した放熱器122と、ピーク増幅素子P101−2、P102−2を搭載した放熱器123を配置する。このような配置構成にすることによって、N−Wayドハティ増幅器においても各増幅素子の温度特性をさらに正確に揃えることができる。
図12は、N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図であり、図12Aは等価回路、図12Bは効果的な回路の配置を示している。すなわち、図12Aの等価回路が図11Aの等価回路と異なるところは、同じ容量のピーク増幅素子P101−1、P101−2を同一の放熱器122にまとめ、他の同じ容量のピーク増幅素子P102−1、P102−2を同一の放熱器123にまとめたところである。このようにすることによって、同じ容量同士のピーク増幅素子は熱の影響を受け難いので各ピーク増幅素子の温度をさらに均一にすることができる。
また、図12Bの効果的な回路の配置図に示すように、常時動作していて多くの熱を発生させるキャリア増幅素子C101,C102を搭載した放熱器121を中心部に配置して、その両側に、同じ容量のピーク増幅素子P101−1、P101−2を搭載した放熱器122と、他の同じ容量のピーク増幅素子P102−1、P102−2を搭載した放熱器123をそれぞれ配置する。このような配置構成にすることによって、N−Wayドハティ増幅器において各増幅素子の温度特性をさらに正確に揃えることができる。
また、図12に示すように、複数台のN−Wayドハティ増幅器において、同じ容量のピーク増幅素子を同じ放熱器上に配置した構成することにより、放熱器における温度分布が単純化されるのでN−Wayドハティ増幅器の回路設計を簡略化することができる。さらに、ドハティ増幅器の歪特性は常時動作しているキャリア増幅素子が支配的となるため、キャリア増幅素子を中心部に配置することによって、各キャリア増幅素子の温度上昇値が均一になるため、基地局歪補償電力増幅装置などに用いればより良好な歪特性を実現することができる。
〈実施の形態4〉
上記の実施の形態3ではピーク増幅素子を2個用いた2−Wayドハティ増幅器の構成例について説明したが、実際の基地局歪補償電力増幅装置などの回路ではN個のピーク増幅素子を用いたN−Wayドハティ増幅器で構成される場合が多い。そのような場合には、必要に応じてピーク増幅素子を数増しできるような構成にすることが望ましい。そこで実施の形態4ではN個のピーク増幅素子を接続できるN−Wayドハティ増幅器の構成について説明する。
図13は、ピーク増幅素子の台数を変更することが可能なN−Wayドハティ増幅器の構成を示す実施の形態4のドハティ増幅器の構成図である。図13に示す基本構成は図11Aの等価回路であり、入力側に50Ω線路からなる分配器131及び分配器132が配置され、出力側に50Ω線路からなる合成器133及び合成器134が配置されている。
図13の構成図では、図11の構成と同様に、キャリア増幅素子C101,C102が第1の放熱器121に配置され、1−Way目のピーク増幅素子P101−1,P102−1が第2の放熱器122に配置され、かつ、2−Way目のピーク増幅素子P101−2,P102−2が第3の放熱器123に配置されている。さらに、ピーク増幅素子をN−Wayまで数増しする場合は、一組の3−Way目のピーク増幅素子の入力側を分配器132に接続し、そのピーク増幅素子の出力側を合成器133に接続する。さらに、他の一組の3−Way目のピーク増幅素子の入力側を分配器131に接続し、そのピーク増幅素子の出力側を合成器134に接続する。
このようにして、二組のドハティ増幅器について、N−Way目のピーク増幅素子に至るまで、ピーク増幅素子の入力側を分配器131,132に順次接続すると共にピーク増幅素子の出力側を合成器133,134に順次接続して行けば、ピーク増幅素子がN個並列に構成されたN−Wayドハティ増幅器を構成することができる。
すなわち、実施の形態4においては、複数のピーク増幅素子を接続するための50Ω線路からなる分配器131,132及び合成器133,134をあらかじめ用意し、必要に応じてピーク増幅素子を順次に分配器131,132と合成器133,134に接続して行けばよい。このような構成にすることにより、N−Wayドハティ増幅器のピーク増幅素子の段数を容易に変更することが可能となる。
本発明によれば、ドハティ増幅器を並列合成した場合に同じ機能を有する増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にして高効率化と低歪化を実現することができるので、歪補償電力増幅装置や大容量の電力増幅装置などに有効に利用することができる。
本発明は、基地局歪補償方式の電力増幅装置などに用いられるドハティ増幅器に関し、特に、高い電力効率で歪補償を行うために温度特性の改善を図ったドハティ増幅器に関する。
従来より、基地局の電力増幅装置における高効率な歪補償方式として、逆特性の歪を作って本来の歪を相殺するプリディストーション方式と前方側に歪制御をかけるフィードフォワード方式とを組み合わせた、いわゆるクロスキャンセレーション方式が非特許文献1などに紹介されている。また、フィードフォワード方式とドハティ増幅器を用いた基地局歪補償電力増幅装置も非特許文献2などに紹介されている。さらに、上記のクロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせることによって、基地局歪補償電力増幅装置の更なる高効率化と低歪化を実現することが可能である。
図1は、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせた従来の基地局歪補償電力増幅装置の構成を示すブロック図である。すなわち、一般的なクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置において、図1に示すように、2つの主増幅器として第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を並列的な構成で使用することにより、基地局歪補償電力増幅装置をさらに高効率化することができる。図1において、第1のドハティ増幅器1は、その出力側の分配器4から、合成器9→遅延器8→分配器7→分配器3→第1のドハティ増幅器1に至る帰還経路によるフィードフォワード制御によって歪制御を行っている。また、第2のドハティ増幅器2は、第1のドハティ増幅器1に対して逆特性の歪を作って合成器6へ入力することにより(つまり、プリディストーションをかけることにより)、第1のドハティ増幅器1から分配器4→遅延器5→合成器6へ入力される歪を相殺している。これによって基地局歪補償電力増幅装置の高効率化と歪補償を併せて実現することができる。
また、図1に示すような基地局歪補償電力増幅装置に用いられるドハティ増幅器は、1936年にW.H.Doherty氏によって最初に考案されたものであり、例えば非特許文献3などに紹介されている。直交変数多重変調方式(OFDM:Orthogonal Frequency Divisional Multiplexing)などのように多数のキャリアを用いた信号波形の場合は、ピーク電力対平均電力の比が高くなるので、高い電力効率を得るためにドハティ増幅器が好んで用いられている。このように、ドハティ増幅器は増幅器の高効率化技術として広く知られている。図2は、ドハティ増幅器の基本的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、ドハティ増幅器は、常時動作しているキャリア増幅素子21及び第1のλ/4位相器22とピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子23及び第2のλ/4位相器24とによって構成されている。なお、このようなドハティ増幅器は周知の技術であるのでその動作については説明を省略する。
図1に示すようなクロスキャンセレーション方式の歪補償回路においては、図2に示すような構成のドハティ増幅器を二組使用している。そこで、充分な歪補償を行うためには二組(複数)のドハティ増幅器(つまり、図1に示す第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2)の歪特性を揃える必要がある。そのためには二組(複数)のドハティ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値に揃える必要がある。つまり、二組(複数)のドハティ増幅器に温度差が生じるとクロスキャンセレーションの動作が安定しないので、二組(複数)のドハティ増幅器(図1に示す第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2)に温度差が生じないようにする必要がある。また、高出力なドハティ増幅器が必要な場合に
おいても、複数のドハティ増幅器を並列合成して使用する方法がとられるが、この場合においても、広い電力範囲に亘って高効率を維持するためには、これらの複数のドハティ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値に揃える必要がある。つまり、複数のドハティ増幅器に温度差が生じないようにそれぞれの増幅素子を冷却する必要がある。
図3は、並列構成の二組のドハティ増幅器を同一の放熱器に搭載した配置例を示す従来技術の概念図である。すなわち、図3は、図1におけるクロスキャンセレーション方式の歪補償回路において、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を同一の放熱器(フィン)31に搭載した構成を示している。図3に示すように、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅素子C1及びピーク増幅素子P1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅素子C2及びピーク増幅素子P2が同一の放熱器31に搭載され、各増幅素子の温度バランスを図っている。
2002年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会資料『歪み相殺形電力合成増幅器の検討』 "High efficiency feed-forward amplifier using RF predistortion linerizerand the modified Doherty Amplifier",2004 IEEE MTT-S Digest "A New High Efficiency Power Amplifier For Modulared Wave",Proceedingof the Institude of Radio Engineers,Vol.24,No.9,September 1936
しかしながら、図3のような放熱器31の向きで第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を同じ放熱器31に搭載した構成だけでは、自然空冷による放熱作用によって第2のドハティ増幅器2の熱が第1のドハティ増幅器1側へ伝導するので、第2のドハティ増幅器2の温度より第1のドハティ増幅器1の温度の方が高くなって両者に温度差が生じる。そこで、図4の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31をファン32で下方から上方へ強制空冷する構成とすれば、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2の温度差は小さくなる。しかし、風の上流側にある第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2の熱は、風の下流側にある第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1の方へ伝導するので、常時動作するキャリア増幅器C1とキャリア増幅器C2には温度差Δtが生じる。そのため、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2の諸特性にばらつきが生じ、両者のドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。
また、図5の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31を複数のファン(例えば、2つのファン32a,32b)で横方向(つまり、図の左方から右方)へ強制空冷する構成にした場合は、複数のファン(2つのファン32a,32b)の風量ばらつきによって第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2で温度差Δtが生じる。その結果、各ドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、やはり出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。
また、図6の構成図に示すように、第1のドハティ増幅器1と第2のドハティ増幅器2を搭載した放熱器31を大型のファン33で左方から右方へ強制空冷する構成にした場合は、放熱器31の中心部と外側で風量に差が生じる。そのため、放熱器31の中心部と外側で温度差が生じ、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2で温度差Δtが生じる。その結果、各ドハティ増幅器の出力電力に差が生じるので、やはり出力側の合成器6において電力損失が発生して電力効率を低下させる要因となる。また、大型のファン33を用いることによってドハティ増幅器の歪
補償装置全体の構成が大型になるなどの不具合も生じる。
また、特に図示しないが、図3を想定して説明すると、放熱器31において空気の流通するラジエータ部分を除く放熱基板の厚みを厚くすれば熱抵抗が下がり、放熱基板の部分の熱伝導率が上昇して放熱基板上の熱分布を均一にすることができる。その結果、第1のドハティ増幅器1のキャリア増幅器C1と第2のドハティ増幅器2のキャリア増幅器C2の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができる。しかし、放熱基板の部分が厚くなることによって放熱器の総重量が増加してしまい、結果的に、ドハティ増幅器の歪補償装置全体が重くなってしまうなどの不具合が生じる。
本発明の目的は、並列構成された複数のドハティ増幅器の温度上昇値がほぼ同じになるようにして、電力のバランスと高効率な電力増幅と良好な歪補償を併せて実現することができるドハティ増幅器を提供することである。
本発明のドハティ増幅器は、複数のドハティ増幅回路が並列に接続されたドハティ増幅器であって、同一機能を有する複数の増幅素子が同一の放熱器に搭載される構成を採る。
本発明のドハティ増幅器によれば、同一機能を有する複数の増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、複数のドハティ増幅回路の諸特性を揃えることができる。その結果、複数のドハティ増幅回路を並列接続して構成したクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置などにおいて電力を高効率化することができると共に、良好な歪特性を実現することができる。
具体的な例として、常時動作している複数のキャリア増幅素子をほぼ同じ温度に維持することができると共に、ピーク電力が大きいときに動作する複数のピーク増幅素子もほぼ同じ温度に維持することができる。その結果、ドハティ増幅器の温度変化などによって生じる諸特性の劣化を防ぎ、電力の高効率化と良好な歪補償を実現することが可能となる。
〈発明の概要〉
本発明のドハティ増幅器は、複数のドハティ増幅器を並列合成する構成において、同一機能を有する増幅素子同士を同一の放熱器に配置して温度上昇の均一化を図っている。すなわち、ドハティ増幅器は、常時動作するキャリア増幅素子とピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子とによって構成されているので、基地局歪補償電力増幅装置などを構成する複数のドハティ増幅器の並列回路において、キャリア増幅器同士を同一の放熱器に搭載し、かつピーク増幅素子同士を他の同一の放熱器に搭載する。これによって、複数のドハティ増幅器の温度特性を揃えることができるので、ドハティ増幅器の温度変化などによって生じる諸特性の劣化を防ぐことができる。その結果、電力の高効率化と良好な歪補償を実現することが可能となり、高品質なクロスキャンセレーション方式の基地局歪補償電力増幅装置等を提供することができる。
次に、本発明のドハティ増幅器の具体的な実施の形態の幾つかについて詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態で用いる図面において、同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。なお、以下の説明では、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器とを組み合わせた基地局歪補償電力増幅装置、及び高出力なドハティ増幅器が必要な場合に複数のドハティ増幅回路を並列合成した電力増幅装置を想定した、複数のドハティ増幅回路の並列合成における実施の形態について述べることにする。
〈実施の形態1〉
図7は、本発明の各実施の形態に適用される二組のドハティ増幅回路を並列合成した回路図である。図7に示すように、二組のドハティ増幅器は、第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102が、入力側の分配器103及び出力側の合成器104によって並列に接続された構成となっている。第1のドハティ増幅器101は、常時動作するキャリア増幅素子C101及び第1のλ/4位相器RC101と、ピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子P101及び第2のλ/4位相器RP101との並列回路によって構成されている。また、第2のドハティ増幅器102は、常時動作するキャリア増幅素子C102及び第1のλ/4位相器RC102と、ピーク電力が高いときのみ動作するピーク増幅素子P102及び第2のλ/4位相器RP102との並列回路によって構成されている。なお、このような構成のドハティ増幅器の動作につては周知の技術であるのでその説明は省略する。
図8は、図7に示す二組のドハティ増幅器を放熱器に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態1のドハティ増幅器の構成図である。図8に示すように、キャリア増幅素子用放熱器106には、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102が搭載されている。また、ピーク増幅素子用放熱器107には、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102が搭載されている。つまり、キャリア増幅素子用放熱器106及びピーク増幅素子用放熱器107には、それぞれ同一機能を有する増幅素子が搭載されている。
そして、図7の回路構成で示したように、第1のドハティ増幅器101は第1のλ/4位相器RC101と第2のλ/4位相器RP101を図8のように回路接続し、第2のドハティ増幅器102は第1のλ/4位相器RC102と第2のλ/4位相器RP102を図8のように回路接続し、さらに、入力側の分配器103及び出力側の合成器104によって第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102とを並列に接続する。
図8のような放熱器上の素子配置の構成において、キャリア増幅素子C101とピーク増幅素子P101で第1のドハティ増幅器101を構成し、キャリア増幅素子C102とピーク増幅素子P102で第2のドハティ増幅器102を構成する。そして、これら2台(複数台)のドハティ増幅器を近接して構成することによってドハティ増幅器の並列合成を実現する。
これによって、同一機能を有する第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102は、同一の放熱器(つまり、キャリア増幅器用放熱器106)に搭載されているので、ほぼ同じ温度上昇値に維持することができる。また、他の同一機能を有する第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102は、同一の放熱器(つまり、ピーク増幅素子用放熱器107)に搭載されているので、ほぼ同じ温度上昇値に維持することができる。この結果、第1のドハティ増幅器101と第2のドハティ増幅器102を同じ特性に揃えることができるので、クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器とを組み合わせた基地局歪補償電力増幅装置に適用しても、電力増幅の高効率化と良好な歪特性を実現することができる。
すなわち、一つの放熱器上に複数のキャリア増幅素子を配置し、他の放熱器上に複数のピーク増幅素子を配置するというように、複数のドハティ増幅器のうちで同じ機能を有する増幅素子同士を組み合わせて同一の放熱器に搭載し、回路接続によって複数台のドハティ増幅器を並列に接続することにより、複数のドハティ増幅器の温度特性を揃えることができる。その結果、電力増幅を高効率に維持しながら良好な歪補償を行うことができる。
なお、図8においては自然空冷を想定しているのでファンが備えられていないが、キャリア増幅素子用放熱器106の下部及びピーク増幅素子用放熱器107の下部にそれぞれファンを備えて強制空冷を行えば、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101及び第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102の温度上昇値をさらに均一に揃えることができると共に、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101及び第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102の温度上昇値もさらに均一に揃えることができる。
また、実施の形態1の変形例として、同一ウェハー上で形成されていてパッケージ化された複数の増幅素子、例えば、2つの増幅素子を交互に動作させて増幅を行うプッシュプル型増幅素子を用いたドハティ増幅器の構成にすることもできる。つまり、図8において、一方の信号で動作するトランジスタ増幅器(例えば、C101、C102)をキャリア増幅器用放熱器106に搭載し、他方の信号で動作するトランジスタ増幅器(例えば、P101、P102)をピーク増幅素子用放熱器107に搭載すれば、同じタイミングで動作する側の複数のトランジスタ増幅器の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、温度変化に関わらずプッシュプル増幅器を安定的に動作させることができる。
このように構成することにより、各トランジスタ増幅器(または、各ドハティ増幅器)の温度特性を揃えるだけでなく、各トランジスタ増幅器(各ドハティ増幅器)を構成するデバイスの固有のバラツキや経年変化を揃えることができるので、各トランジスタ増幅器
(各ドハティ増幅器)で合成された出力側の電力損失を防ぐことができる。その結果、複数のドハティ増幅器で構成された電力増幅装置などをメンテナンスフリーで運用することが可能となる。
また、一般的には、複数台のドハティ増幅器を製作する場合には、デバイスに固有なバラツキを補正するために、製作時において、ドハティ増幅器に使用される分配器や合成器を一台ずつ微調整する必要があるが、本実施の形態による増幅素子の組み合わせ構成にすることにより、分配器や合成器の調整工数を減らすことが可能となる。
さらに、実施の形態1の他の変形例として、出力容量の異なるプッシュプル型増幅素子を組み合わせて用いる場合は、同一電力のプッシュプル型増幅素子同士を同一の放熱器に搭載することもできる。例えば、図8において、10w型のプッシュプル型増幅素子(例えば、C101、C102)をキャリア増幅器用放熱器106に搭載し、20w型のプッシュプル型増幅素子(例えば、P101、P102)をピーク増幅素子用放熱器107に搭載すれば、同じ電力容量で動作する複数のプッシュプル型増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にすることができるので、温度変化に関わらずプッシュプル増幅器を安定的に動作させることができる。
また、このようにして出力容量の異なるプッシュプル型増幅素子を用いて回路を構成する場合、同一の電力容量のプッシュプル型増幅素子を同一の放熱器に構成することにより、独立した出力容量の異なる増幅素子を用いてプッシュプル増幅回路を構成する場合よりもコストを削減することができる。
〈実施の形態2〉
実施の形態2では多層基板に複数(二組)のドハティ増幅器を配置して並列合成する場合について説明する。図9は、図7に示す二組のドハティ増幅器を多層基板に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態2のドハティ増幅器の構成図である。
図9において、左図の第1の基板111には、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101とピーク増幅素子P101が第1のλ/4位相器及び第2のλ/4位相器と共にパターニングされているが、キャリア増幅素子C101側のパターンとピーク増幅素子P101側のパターンは、第1の基板111の図の上方側に偏ってやや隔てた配置でパターニングされている。
また、中図の第2の基板112には、第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102とピーク増幅素子P102が第1のλ/4位相器及び第2のλ/4位相器と共にパターニングされているが、キャリア増幅素子C102側のパターンとピーク増幅素子P102側のパターンは、第2の基板112の図の下方側に偏ってやや隔てた配置でパターニングされている。つまり、第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102及びピーク増幅素子P102は、第1の基板111と第2の基板112を重ねたときに、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101及びピーク増幅素子P101と上下の位置で重ならないようにずらしてパターニングされている。
このような第1の基板111と第2の基板112のパターニングにより、第1の基板111と第2の基板112を重ねて多層基板113にしたときには、図9の右図に示すように、第1のドハティ増幅器101のキャリア増幅素子C101と第2のドハティ増幅器102のキャリア増幅素子C102が近接して配置され、かつ、第1のドハティ増幅器101のピーク増幅素子P101と第2のドハティ増幅器102のピーク増幅素子P102が近接して配置された構成となる。つまり、同一機能を有する増幅素子同士が近接して配置された構成となる。
すなわち、第1の基板111と第2の基板112にそれぞれパターニングされた二組のドハティ増幅器101,102を多層基板113に積層した場合は、同一の機能を有する増幅素子同士が近接して配置された構成になるので、同一の機能を有する増幅素子をほぼ同じ温度に揃えることができる。これによって、複数のドハティ増幅器で並列構成した基地局歪補償電力増幅装置の電力増幅を高効率に維持しながら良好な歪補償を実現することができる。
〈実施の形態3〉
実施の形態3ではピーク増幅素子が多段接続されたN−Wayドハティ増幅器の構成について説明する。図10は、実施の形態3に適用されるN−Wayドハティ増幅器の回路図である。図10に示すように、1個のキャリア増幅素子C101に対してN個のピーク増幅素子P101−1〜P101−Nが並列に接続されてN−Wayドハティ増幅器を構成している。
図10のようにピーク増幅素子が多段接続された構成のN−Wayドハティ増幅器は、効率バックオフを大きくとっても効率の低下が少ない増幅器として知られている。すなわち、N−Wayドハティ増幅器は、1個のピーク増幅素子の出力最大振幅レベルと飽和電力レベルの差で表わされるバックオフを大きくとることができるので(つまり、1個のピーク増幅素子の出力最大振幅レベルを飽和電力レベルぎりぎりまで大きくすることができるので)、ピーク電力が増加するにしたがってピーク増幅素子の並列接続の個数を増加したときの電力効率を常に最大の状態を維持することが可能となる。
図11は、N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図であり、図11Aは等価回路、図11Bは効果的な回路の配置を示している。すなわち、図11は、ピーク増幅素子を2個並列にしたときの2−Wayドハティ増幅器を二組並列合成した場合のドハティ増幅器の構成を示している。キャリア増幅素子C101と2個のピーク増幅素子P101−1,P101−2が一組の2−Wayドハティ増幅器であり、キャリア増幅素子C102と2個のピーク増幅素子P102−1,P102−2がもう一組の2−Wayドハティ増幅器である。
図11Aの等価回路に示すように、二組の2−Wayドハティ増幅器において、一組の2−Wayドハティ増幅器のキャリア増幅素子C101と他の一組の2−Wayドハティ増幅器のキャリア増幅素子C102は、同一機能を有するので第1の放熱器121に配置されている。さらに、一組の2−Wayドハティ増幅器の1−Way目のピーク増幅素子P101−1と他の一組の2−Wayドハティ増幅器の1−Way目のピーク増幅素子P102−1は同一機能を有するので第2の放熱器122に配置し、かつ、一組の2−Wayドハティ増幅器の2−Way目のピーク増幅素子P101−2と他の一組の2−Wayドハティ増幅器の2−Way目のピーク増幅素子P102−2も同一機能を有するので第3の放熱器123に配置されている。つまり、同一Wayのピーク増幅素子は同一の放熱器に搭載されている。これによって、実施の形態1で述べた場合と同様に、同一機能を有するキャリア増幅素子同士をほぼ同じ温度にし、他の同一機能を有するピーク増幅素子同士をほぼ同じ温度にすることができる。
しかしながら、図11Aのような配置では、常時動作するキャリア増幅素子C101とキャリア増幅素子C102が、冷却風の上流側(図の下方側)にあるピーク増幅素子P101−1、P102−1、P101−2、P102−2からの熱の影響を受けるおそれがある。
そこで、図11Bの効果的な回路の配置図に示すように、常時動作していて多くの熱を
発生させるキャリア増幅素子C101,C102を搭載した放熱器121を中心部に配置して、その両側に、ピーク増幅素子P101−1、P102−1を搭載した放熱器122と、ピーク増幅素子P101−2、P102−2を搭載した放熱器123を配置する。このような配置構成にすることによって、N−Wayドハティ増幅器においても各増幅素子の温度特性をさらに正確に揃えることができる。
図12は、N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図であり、図12Aは等価回路、図12Bは効果的な回路の配置を示している。すなわち、図12Aの等価回路が図11Aの等価回路と異なるところは、同じ容量のピーク増幅素子P101−1、P101−2を同一の放熱器122にまとめ、他の同じ容量のピーク増幅素子P102−1、P102−2を同一の放熱器123にまとめたところである。このようにすることによって、同じ容量同士のピーク増幅素子は熱の影響を受け難いので各ピーク増幅素子の温度をさらに均一にすることができる。
また、図12Bの効果的な回路の配置図に示すように、常時動作していて多くの熱を発生させるキャリア増幅素子C101,C102を搭載した放熱器121を中心部に配置して、その両側に、同じ容量のピーク増幅素子P101−1、P101−2を搭載した放熱器122と、他の同じ容量のピーク増幅素子P102−1、P102−2を搭載した放熱器123をそれぞれ配置する。このような配置構成にすることによって、N−Wayドハティ増幅器において各増幅素子の温度特性をさらに正確に揃えることができる。
また、図12に示すように、複数台のN−Wayドハティ増幅器において、同じ容量のピーク増幅素子を同じ放熱器上に配置した構成することにより、放熱器における温度分布が単純化されるのでN−Wayドハティ増幅器の回路設計を簡略化することができる。さらに、ドハティ増幅器の歪特性は常時動作しているキャリア増幅素子が支配的となるため、キャリア増幅素子を中心部に配置することによって、各キャリア増幅素子の温度上昇値が均一になるため、基地局歪補償電力増幅装置などに用いればより良好な歪特性を実現することができる。
〈実施の形態4〉
上記の実施の形態3ではピーク増幅素子を2個用いた2−Wayドハティ増幅器の構成例について説明したが、実際の基地局歪補償電力増幅装置などの回路ではN個のピーク増幅素子を用いたN−Wayドハティ増幅器で構成される場合が多い。そのような場合には、必要に応じてピーク増幅素子を数増しできるような構成にすることが望ましい。そこで実施の形態4ではN個のピーク増幅素子を接続できるN−Wayドハティ増幅器の構成について説明する。
図13は、ピーク増幅素子の台数を変更することが可能なN−Wayドハティ増幅器の構成を示す実施の形態4のドハティ増幅器の構成図である。図13に示す基本構成は図11Aの等価回路であり、入力側に50Ω線路からなる分配器131及び分配器132が配置され、出力側に50Ω線路からなる合成器133及び合成器134が配置されている。
図13の構成図では、図11の構成と同様に、キャリア増幅素子C101,C102が第1の放熱器121に配置され、1−Way目のピーク増幅素子P101−1,P102−1が第2の放熱器122に配置され、かつ、2−Way目のピーク増幅素子P101−2,P102−2が第3の放熱器123に配置されている。さらに、ピーク増幅素子をN−Wayまで数増しする場合は、一組の3−Way目のピーク増幅素子の入力側を分配器132に接続し、そのピーク増幅素子の出力側を合成器133に接続する。さらに、他の一組の3−Way目のピーク増幅素子の入力側を分配器131に接続し、そのピーク増幅
素子の出力側を合成器134に接続する。
このようにして、二組のドハティ増幅器について、N−Way目のピーク増幅素子に至るまで、ピーク増幅素子の入力側を分配器131,132に順次接続すると共にピーク増幅素子の出力側を合成器133,134に順次接続して行けば、ピーク増幅素子がN個並列に構成されたN−Wayドハティ増幅器を構成することができる。
すなわち、実施の形態4においては、複数のピーク増幅素子を接続するための50Ω線路からなる分配器131,132及び合成器133,134をあらかじめ用意し、必要に応じてピーク増幅素子を順次に分配器131,132と合成器133,134に接続して行けばよい。このような構成にすることにより、N−Wayドハティ増幅器のピーク増幅素子の段数を容易に変更することが可能となる。
本発明によれば、ドハティ増幅器を並列合成した場合に同じ機能を有する増幅素子の温度上昇値をほぼ同じ値にして高効率化と低歪化を実現することができるので、歪補償電力増幅装置や大容量の電力増幅装置などに有効に利用することができる。
クロスキャンセレーション方式とドハティ増幅器を組み合わせた従来の基地局歪補償電力増幅装置の構成を示すブロック図 ドハティ増幅器の基本的な構成を示すブロック図 並列構成の二組のドハティ増幅器を同一の放熱器に搭載した配置例を示す従来技術の概念図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 ドハティ増幅器を搭載した放熱器を強制空冷した従来技術の構成図 本発明の各実施の形態に適用される二組のドハティ増幅器を並列合成した回路図 図7に示す二組のドハティ増幅器を放熱器に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態1のドハティ増幅器の構成図 図7に示す二組のドハティ増幅器を多層基板に搭載したときの各素子の配置を示す実施の形態2のドハティ増幅器の構成図 実施の形態3に適用されるN−Wayドハティ増幅器の回路図 N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図における等価回路 N−Wayドハティ増幅器を用いて二組のドハティ増幅器を並列合成した実施の形態3のドハティ増幅器の構成図における効果的な回路の配置 N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図における等価回路 N−Wayドハティ増幅器において同じ容量のピーク増幅素子を同一の放熱器にまとめた実施の形態3の変形例のドハティ増幅器の構成図における効果的な回路の配置 ピーク増幅素子の台数を変更することが可能なN−Wayドハティ増幅器の構成を示す実施の形態4のドハティ増幅器の構成図

Claims (8)

  1. 複数のドハティ増幅回路が並列に接続されたドハティ増幅器であって、
    同一機能を有する複数の増幅素子が同一の放熱器に搭載されるドハティ増幅器。
  2. 同一機能を有する複数の増幅素子は複数のキャリア増幅素子であり、別な同一機能を有する複数の増幅素子は複数のピーク増幅素子であり、
    前記複数のキャリア増幅素子は第1の放熱器に搭載され、前記複数のピーク増幅素子は第2の放熱器に搭載される請求項1に記載のドハティ増幅器。
  3. 前記ピーク増幅素子がN個並列に接続されたN−Wayドハティ増幅器であるとき、同一のWayにあるピーク増幅素子は同一の放熱器に搭載される請求項2に記載のドハティ増幅器。
  4. 前記ピーク増幅素子がN個並列に接続されたN−Wayドハティ増幅器であるとき、同一容量のピーク増幅素子は同一の放熱器に搭載される請求項2に記載のドハティ増幅器。
  5. 前記ピーク増幅素子を搭載した第2の放熱器が複数個あるとき、前記複数のキャリア増幅素子を搭載した第1の放熱器を中心に配置し、その両側に前記複数の第2の放熱器を配置する請求項3に記載のドハティ増幅器。
  6. 前記N−Wayドハティ増幅器の入力側及び出力側に、前記ピーク増幅素子の接続個数を自在に増減できる分配器及び合成器を備える請求項3に記載のドハティ増幅器。
  7. 複数のドハティ増幅回路が並列に接続されたドハティ増幅器であって、
    第1の基板に第1のドハティ増幅回路をパターニングし、第2の基板に第2のドハティ増幅回路をパターニングして、前記第1の基板と前記第2の基板を積層して多層基板を構成したとき、同一機能を有する複数の増幅素子が近接して配置されるドハティ増幅器。
  8. 同一機能を有する複数の増幅素子は複数のキャリア増幅素子であり、別な同一機能を有する複数の増幅素子は複数のピーク増幅素子であり、
    前記複数のキャリア増幅素子が近接して配置されると共に、前記複数のピーク増幅素子が近接して配置される請求項7に記載のドハティ増幅器。
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