JPWO2008044737A1 - 静電噴霧装置及び静電噴霧方法 - Google Patents
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Abstract
生物活性物質を絶縁性の基板1上に所望の形状で付着させる静電噴霧を用いた方法において、基板1上に所望の形状の導電層2を形成し、基板1と所定の距離をおいて配置される内部に電極線を有するキャピラリ40と、当該電極線に所定の高電圧を印加して生物活性物質を静電噴霧するための高圧電源15と、基板1とキャピラリ40との間に基板1と所定の距離を有し導電層2の形状と対応する貫通孔を有するカバー10と、を備え、導電層2上に生物活性物質を付着させるべき部分に対応してカバー10の位置合わせをして、所望のパターン形状の生物活性物質を静電噴霧により形成する。
Description
本発明は、溶液(生物活性を有する物質等を含む溶液)等を基板上に塗布する静電噴霧装置及び静電噴霧方法に関し、バイオチップの製造技術、及び基板上への前記溶液等の塗布技術を提供する。
生物活性物質(生物活性を有する物質)を含む溶液を静電噴霧し、生物活性を維持した状態で、基板上に、所望の形状の生物活性物質を形成する方法としては、日本の特開2001−281252号公報に開示された方法がある。以下の説明において、特開2001−281252号公報を特許文献1と略称する。特許文献1では、生物活性物質を基板上に所望の形状で形成するために、マスクと呼ばれる貫通孔を形成した部材を用いている。マスクに形成された貫通孔の形状とほぼ同一形状の生物活性物質が基板上に塗布されて形成される。生物活性物質を基板上に塗布する技術は、特許文献1に記載の静電噴霧を用いた技術以外にもいくつかあるが、特許文献1に記載の方法では、乾燥した状態で生物活性物質を基板表面に塗布することができるという特徴がある。
静電噴霧以外の方法では、基板上に、不完全な乾燥状態または溶液状態で、生物活性物質を塗布するため、塗布後に乾燥ムラに起因する塗布ムラが発生することが分かっている。特許文献1に開示されている静電噴霧による方法では、乾燥した状態の生物活性物質を基板上に塗布できるため、塗布後の乾燥ムラが発生せず、静電噴霧以外の方法と比較して、塗布均一性が優れているという特徴がある。
しかし、特許文献1の方法では、絶縁性材料で作製されるマスクの帯電状態が、噴霧された溶液に影響を与えることが分かっており、マスクの帯電が大きいほど基板上に形成される生物活性物質の形状が細くなり、塗布均一性にもばらつきを生じる。高精度な形状及び高い塗布均一性を得るためには、マスクの帯電状態が常に一定になるように制御する必要があった。マスクの帯電状態は、湿度の管理やイオナイザーによる除電を行うことにより、ある程度の制御は可能である。しかし、生物活性物質の形状や均一性に影響を与えない程に、帯電状態を制御することは困難であった。塗布均一性の測定の一般的な方法として、蛍光物質を含む溶液を基板上に塗布し、塗布後の蛍光値を測定することで塗布均一性を評価する方法がある。
塗布均一性は、一般的に、変動係数(Coefficient of Variance:CV)値と呼ばれる数値で表される。本明細書内でも塗布均一性を表す値としてCV値を用いるが、本明細書内でCV値とは、蛍光測定値の標準偏差を蛍光測定値の平均で除算し、100を乗算した値のことである。CV値が小さいほど塗布ムラや形状不良の少ない優れた塗布方法であると言える。
特許文献1の方法を用いて作製したバイオチップでは、塗布均一性が不十分であり、改善が望まれていた。
特許文献1の方法を用いて作製したバイオチップでは、塗布均一性が不十分であり、改善が望まれていた。
本発明は、従来の課題を解決するものであり、高い均一性を有して生物活性物質を所定の形状に塗布した基板を提供することを目的とするとともに、そのような基板の製造方法を提供することを目的とする。
従来の課題を解決するために、本発明の静電噴霧装置は、溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧装置において、前記基板上に所望のパターン形状の導電層を形成し、前記基板と所定の距離をおいて配置される内部に電極線を有するキャピラリと、当該電極線に所定の高電圧を印加して前記溶液を静電噴霧するための高圧電源と、前記基板と前記キャピラリとの間に前記基板に近接して配置され前記導電層の形状と対応する貫通孔を有するカバーと、を備え、前記導電層上に前記溶液を付着させるべき部分に対応して前記カバーの位置合わせをして当該溶液を静電噴霧して、所望のパターン形状の基板を形成するものである。
また、本発明の静電噴霧方法は、溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧方法において、前記基板上に所望のパターン形状の導電層を形成し、前記導電層の形状と対応する形状の貫通孔を有するカバーを前記基板から所定の距離を離して配置し、前記基板上に形成すべき所望のパターン形状の基準位置となる基準マークを形成し当該基準マークに基づいて前記カバーの貫通孔の位置を位置合わせし、前記基板上の導電層上に前記カバーを介して静電噴霧して前記前記溶液を積層して、所望のパターン形状の基板を形成するものである。
また、本発明の静電噴霧方法は、正極性の高電圧を印加して溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧方法において、前記基板上に所望のパターン形状の複数の導電層を形成し、前記導電層の形状と対応する形状の貫通孔を有するカバーを前記基板から所定の距離を離して配置し、前記複数の導電層の内の静電噴霧すべき導電層をアース電位又はマイナス電位に設定するとともに他の導電層を当該電位より高く設定し、当該アース電位又はマイナス電位に設定される導電層を順次選択して前記複数の導電層に前記溶液を静電噴霧して、所望のパターン形状の基板を形成するものである。
本発明に係る静電噴霧装置及び静電噴霧方法によれば、基板上に生物活性物質などを含む溶液を所望の形状に均一性高く塗布することが可能となる。
以下に、本発明に係る所定の溶液を塗布した基板の作製方法に関して、好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。ここで、溶液とは、生物活性物質を有する溶液のことである。生物活性物質は、それ自体が液体、希釈液と混合した溶液又は、生物活性物質の検査試薬を含むものであり、以下の説明においては、単に生物活性物質という。生物活性物質は、一般的に、DNAや蛋白質などをいうが、もちろん、生物活性物質以外を含有する溶液の場合も同様に適用することができることは、当然である。
図1は、本発明に係る実施例1の静電噴霧装置及び静電噴霧方法を用いて生物活性物質を形成した基板の構造を示すものである。
図1において、基板1は、材料としてガラスを用い、当該基板1上に電気導電の導電層2を形成する。そして、導電層2の上に生物活性物質3を塗布する。基板材料は、ガラス以外のプラスチックや絶縁樹脂材料なども利用できる。生物活性物質3として、実施例1では、蛍光色素標識抗体タンパク(モレキュラープローブ製Alexa Fluor 568 標識Anti-goat IgG)を使用した。生物活性物質3は、導電層2上に導電層2にほぼ一致した形状で形成されている。図1に示すように、10本の導電層2の全てが接続線4により電気的に導電性が得られるように接続されており、接続線4及び導電層2の電位は接続部5に与えられた電位と等しくなるように構成されている。図1において、円形の破線内は、基板上の導電層2と生物活性物質3を示す断面図である。
図1に示す基板1の加工方法について、図2を参照しながら詳細に説明する。
(1)成膜工程
まず、成膜工程は、図2の(a)に示すように成膜工程で基板1に対して、銅薄膜を成膜する。実施例1では、導電層2に銅を使用した場合について記載するが、導電層2の材質としては、例えば、銅以外でも金、銀、白金、アルミなどの金属や、インジウム錫酸化物(ITO)などの非金属でも導電性があれば使用可能である。特に、バイオチップの用途では、基板1に付着させた生物活性物質3を基板1の裏表の両方から光学的に観察する場合があり、そのような用途では薄膜材料として透明で導電性を有するITOのような材料を用いる必要がある。
まず、成膜工程は、図2の(a)に示すように成膜工程で基板1に対して、銅薄膜を成膜する。実施例1では、導電層2に銅を使用した場合について記載するが、導電層2の材質としては、例えば、銅以外でも金、銀、白金、アルミなどの金属や、インジウム錫酸化物(ITO)などの非金属でも導電性があれば使用可能である。特に、バイオチップの用途では、基板1に付着させた生物活性物質3を基板1の裏表の両方から光学的に観察する場合があり、そのような用途では薄膜材料として透明で導電性を有するITOのような材料を用いる必要がある。
導電層2の成膜は図3に示す成膜装置を用いて行った。図3において、導体で構成される基板ホルダー32に基板1を固定する。基板ホルダー32は、当該基板ホルダー32に高周波電力を印加するため高周波電源に接続される。真空チャンバー31は、所定の真空度に排気するため、メインバルブ35を介して排気装置34に接続される。真空チャンバー31内には、基板1に、所定の真空度で加熱し蒸着する蒸着材料37を搭載する蒸着ポート36を備える。また、真空チャンバー31は、所定のガスを導入するガス導入管38を有し、真空チャンバー31の筐体は、アース39に接続されている。
まず、基板1を基板ホルダー32に設置後、真空チャンバー31内を真空引きする。真空チャンバー31内の圧力は1.0×10-3Pa以下にする。
次に、基板1のガラス基板表面をプラズマ処理する。プラズマ処理は基板1の表面を粗化する目的で行う。プラズマ処理時には真空チャンバー31内に純度99.9%以上の窒素ガスを導入し、圧力を5.0×10-2Paにし、高周波電源33により基板1を支持する基板ホルダー32に高周波電力を印加する。高周波電力の印加により、真空チャンバー31内にグロー放電が生じ、窒素プラズマが発生する。
次に、基板1のガラス基板表面をプラズマ処理する。プラズマ処理は基板1の表面を粗化する目的で行う。プラズマ処理時には真空チャンバー31内に純度99.9%以上の窒素ガスを導入し、圧力を5.0×10-2Paにし、高周波電源33により基板1を支持する基板ホルダー32に高周波電力を印加する。高周波電力の印加により、真空チャンバー31内にグロー放電が生じ、窒素プラズマが発生する。
図3において、窒素プラズマの発生とともに基板1に第1の負のバイアス電圧が誘起され、基板1が窒素プラズマ処理される。実施例1では、第1の負のバイアス電圧を300Vとした。窒素プラズマ処理後に、真空チャンバー31内の圧力を1.0×10-4Pa以下まで真空引きする。真空引き後にアルゴンガスを導入し、真空チャンバー31内の圧力を1.0×10-2Paとし、蒸着ボート36から銅を蒸発させると同時に基板1を支持する基板ホルダー32に高周波電圧を印加する。高周波電圧の印加により真空チャンバー31内にグロー放電が生じ、アルゴンと銅のプラズマが発生する。アルゴンと銅のプラズマの発生とともに基板1には第2の負のバイアス電圧が誘起されるため、プラズマ中のアルゴンイオンおよび銅イオンは第2の負のバイアス電圧で加速されて基板1の表面に向かって加速される。
実施例1では第2の負のバイアス電圧を400Vにして銅成膜を行った。銅イオンが基板1の表面に衝突して銅薄膜を形成する効果と、イオン化していない銅が真空蒸着される効果とにより基板1の表面に銅薄膜が形成される。また、銅薄膜を形成させる速度を0.1nm/sec〜10nm/secの間で成膜開始から終了まで徐々に成膜速度を増加させるように制御した。上記の条件で膜厚が500nmとなるように成膜を行った。
(2)レジスト塗布工程からレジスト除去工程までについて
次に、図2の(b)から図2の(f)に示すようにレジスト塗布工程からレジスト除去工程について説明する。
銅薄膜を成膜した基板1上に、レジスト10をスピンコートにより塗布する。実施例1ではレジスト10として、OFPR800(粘度30cp)を用いた。次に、露光工程において、マスク7を介して、光8をレジスト10に照射する。実施例1で用いたレジスト10はポジ型レジストであるため、マスク7は、導電層2上に形成したいレジスト形状に一致する形状を有し、光8を遮光するように構成されている。マスク7の光8を遮光する領域は、マスク7の作製時に自由に設計できるため、所望の形状にレジスト10を露光することができる。
次に、図2の(b)から図2の(f)に示すようにレジスト塗布工程からレジスト除去工程について説明する。
銅薄膜を成膜した基板1上に、レジスト10をスピンコートにより塗布する。実施例1ではレジスト10として、OFPR800(粘度30cp)を用いた。次に、露光工程において、マスク7を介して、光8をレジスト10に照射する。実施例1で用いたレジスト10はポジ型レジストであるため、マスク7は、導電層2上に形成したいレジスト形状に一致する形状を有し、光8を遮光するように構成されている。マスク7の光8を遮光する領域は、マスク7の作製時に自由に設計できるため、所望の形状にレジスト10を露光することができる。
以上のようにしてレジスト10を光8により露光した後、現像液11に浸して現像した。現像液には、NMD−3を用いた。現像後、導電層2上のレジスト10は、現像工程の図2の(d)に示すように、光8の照射された部分が溶解し、光8が遮光された領域の形状に一致した形状にレジスト10が残る。
現像後、基板1をエッチング液12に浸す。エッチング液12には塩化第二鉄溶液を用いた。エッチングにより、図2の(e)のエッチング工程に示すように、レジスト10が形成されていない部分の導電層2は溶解して、基板1上から除去される。つまり、導電層2は、マスク7において光8が遮光された領域の形状に一致した形状に加工される。
エッチング後、基板1をレジスト剥離液13に浸すことによりレジスト10を溶解剥離した(図2の(f)参照)。
エッチング後、基板1をレジスト剥離液13に浸すことによりレジスト10を溶解剥離した(図2の(f)参照)。
以上の手順により、基板1上にパターニングされた導電層2を形成した基板を作製した。導電層2は、マスク7において光8が遮光された領域の形状に一致した形状に加工されている。マスク7の光8が遮光される領域の形状はマスク7の設計製作時に自由に作製できるため、上記手順により、基板1上に、任意の形状の導電層2を形成することが可能である。
実施例1と異なり、レジスト10にネガ型レジストを用いた場合には、マスク7の光8を透過する部分が、導電層2上に形成したいレジスト形状に一致するようにマスク7を作製することにより、所望の形状の導電層2が形成された基板1を作製することが可能である。
実施例1と異なり、レジスト10にネガ型レジストを用いた場合には、マスク7の光8を透過する部分が、導電層2上に形成したいレジスト形状に一致するようにマスク7を作製することにより、所望の形状の導電層2が形成された基板1を作製することが可能である。
(3)噴霧工程1及び噴霧工程2について
次に、図2の(g)から図2の(h)に示すように、図2の(b)のレジスト塗布工程から図2の(f)のレジスト除去工程までで作製した基板1を、図4に示す静電噴霧装置にセットし、基板1の導電層2上に、生物活性物質3を塗布した。
次に、図2の(g)から図2の(h)に示すように、図2の(b)のレジスト塗布工程から図2の(f)のレジスト除去工程までで作製した基板1を、図4に示す静電噴霧装置にセットし、基板1の導電層2上に、生物活性物質3を塗布した。
図4において、キャピラリ40に挿入される電極線である高電圧線28は、高電圧電源14のプラス極側が接続され、高電圧電源14のマイナス極側は、レジスト除去工程後の基板1に接続される。このように、静電噴霧装置は、高電圧電源14が、キャピラリ40とレジスト除去工程後の基板1の間に電位差を発生させるように構成されている。高電圧電源14には制御装置45が接続されており、高電圧電源14が発生する電圧を制御する。また、カバー9が、基板1から所定の距離Xを離して配置される。カバー9には、生物活性物質を塗布するパターンの形状より少し大きい略同形状の貫通孔48が形成されている。
図5は実施例1において用いたカバー9の平面図である。実施例1においては、図5に示すように、貫通孔48の幅寸法Yは、1.5mm、貫通孔48の長さ寸法Zは、14mmとした。
図5は実施例1において用いたカバー9の平面図である。実施例1においては、図5に示すように、貫通孔48の幅寸法Yは、1.5mm、貫通孔48の長さ寸法Zは、14mmとした。
カバー9はキャピラリ40とレジスト除去工程後の基板1の間に配置され、レジスト除去工程後の基板1の表面の生物活性物質3を付着させたい部分が、貫通孔48と重なるように位置合わせする。カバー9と基板1の位置合わせの有効な方法については、後述する実施例2において説明する。
実施例1では、高電圧電源14によりキャピラリ40と基板ホルダー46上に載置されたレジスト除去工程後の基板1の間に電極線27、高電圧線28を介して3kVの電圧を加えた。また、キャピラリ40の先端からレジスト除去工程後の基板1の表面までの距離は35mmとし、キャピラリ40の先端は外形が50μmのものを使用した。カバー9の材質としては、厚さ0.1mmのガラスエポキシを用いた。噴霧量はキャピラリ内の溶液の液高さをCCDカメラにより画像認識し、計測することで、1μlitre噴霧した。実施例1では、図2の(g)の噴霧工程1に示すように、導電層2の1箇所にのみ生物活性物質3を付着させた。また、カバー9と導電層2の表面との間隔Xは、0.05mm以下になるように配置した。発明者らの実験に依れば、間隔Xが0.05mm以上あると、導電層2上に形成される生物活性物質3の形状が導電層2の形状よりも小さくなることが分かった。
上記の原因について、発明者らは次のように考察した。噴霧を開始すると、プラスに帯電した生物活性物質3の液滴が発生する。帯電した液滴は、カバー9や装置外壁にも拡散していき、付着する。付着した部分が絶縁性である場合、液滴の持つプラス電荷のために液滴が付着した部分はプラスに帯電する。カバー9は実施例1では、ガラスエポキシから作製されており、絶縁性材料であるため、噴霧中はプラスに帯電すると考えられる。カバー9がプラスに帯電しており、カバー9の貫通孔48を通過する液滴もプラスに帯電している。このため、液滴はカバー9から電気的な反発力を受け、貫通孔48よりも小さな形状で導電層2上に付着する。カバー9から導電層2までの間隔が長いと、液滴は、導電層2から離れた位置でカバー9の帯電による反発力を受けることになり、カバー9からの電気的な反発力で変化した軌道で、導電層2に到達するまでに長い距離を飛行することになる。そのため、噴霧された生物活性物質3の液滴が、導電層2に到達した時には、カバー9から導電層2までの間隔が短い場合に比較して、貫通孔48の形状より小さな形状で導電層2上に付着すると考えられる。
また、カバー9の貫通孔48における幅寸法Y及び長さ寸法Zは、導電層2の寸法より大きくすることが望ましい。導電層2と幅寸法Y及び長さ寸法Zが同じ寸法だと、導電層2の寸法より小さな寸法で、噴霧した生物活性物質3が導電層2上に付着するからである。この原因は、カバー9が帯電するためと考えられる。これに対応するために、実施例1では、導電層2のパターンに対応するカバー9に形成される幅寸法Yが1.5mm、長さ寸法Zが14mmであるのに対して、導電層2の寸法は、0.8mmと11mmであり、幅寸法Y及び長さ寸法Zが導電層2の形状寸法より大きくなるように作製する。
図2の(g)に示す噴霧工程1までで作製された基板1の表面を蛍光顕微鏡により観察した結果を図6に示す。蛍光測定には、OLYMPUS製蛍光顕微鏡BX51W1を用いた。観察倍率は1倍であり、20mWの出力で、波長540nmから590nmの励起光をサンプルに1秒間照射し、615nmから695nmの間の光を透過するフィルターを介して、サンプルの蛍光強度を測定した。実験は3回行い、それぞれの結果をサンプル1、サンプル2、サンプル3とした。図9にはサンプル1、サンプル2、サンプル3として測定された蛍光強度を示した。
図7は、作製したサンプルの導電層2の形状を示している。測定点AからGは、図7中で、接続線4に近い側の導電層2上を測定点Aとし、接続線4から遠い側を測定点Gとし、その間を等間隔に分割して測定点BからFとした。図7中では、接続線4に近い位置PEが測定点Aであり、接続線4から遠い位置DEが測定点Gである。3回の実験でCV値として、2.1%から3.2%という値が得られた。発明者らの知る限りにおいて、従来の静電噴霧により、CV値3%程度の均一性が得られたという報告は今まで受け取っていない。発明者らは、特許文献1で開示されている従来の静電噴霧技術と比較して、塗布均一性を改善できる理由を以下のように考える。
特許文献1に記載の従来の静電噴霧技術では、マスクと呼ばれる貫通孔を有する部材で基板表面を覆うことにより、貫通孔の形状に対応した形状で、生物活性物質を基板上に塗布している。
特許文献1の方法により、マスクの貫通孔の形状に対応した形状で、生物活性物質を塗布することは可能である。しかし、マスクの帯電状態が、噴霧された溶液に影響を与えることが分かっており、マスクの帯電が大きいほど形成される生物活性物質の形状が細くなる。このため、高精度な形状で均一性の高い生物活性物質を基板上に形成するにはマスクの帯電状態が常に一定になるように管理する必要があった。マスクの帯電状態は、湿度の管理や、イオナイザーによる除電を行うことにより、ある程度の制御は可能であるが、生物活性物質の形状や均一性に影響を与えない程、帯電状態を制御することは困難であった。
本発明の方法では、基板1の表面に生物活性物質3を塗布したい形状と一致する形状の導電層2を形成しており、導電層2をアースまたはマイナス電位にすることにより、プラスに帯電した生物活性物質を含む小滴が、導電層2に収束し、導電層2の形状に一致した形状の生物活性物質を基板上に形成できる。本発明の静電噴霧装置におけるカバー9は、基板1の表面全面への微量な付着を防止するために用いられるものであり、特許文献1に記載のマスクと異なり、基板上に形成される生物活性物質の形状を決定しない。本発明において、基板1の表面に形成される生物活性物質3の形状は導電層2の形状により決定される。そのため、本発明におけるカバー9は特許文献1に記載のマスクと異なり、導電層2上に付着させる生物活性物質3の形状に比較して、帯電の影響が十分小さくなる程度にカバー9の貫通孔48の形状を大きく形成し、そのカバー9が基板1上に配置されている。カバー9の帯電は、基板1上に形成される生物活性物質3にほとんど影響を与えないため、帯電状態のばらつきによる基板1上に付着した生物活性物質3の形状や塗布均一性への影響はほとんどない。本発明の方法は、特許文献1に記載の方法に比較して、帯電状態のばらつきに起因した塗布均一性のばらつきを生じないため、優れた塗布均一性を得ることができる。
本発明において、カバー9の貫通孔48の幅寸法Y及び長さ寸法Zが、導電層2の寸法より大きいため、カバー9に覆われていない部分に生物活性物質3が付着することも考えられるが、発明者らの実験の結果においてはほとんど付着していなかった。導電層2が帯電した粒子を収束させる効果は、導電層2に近いほど強く働くため、カバー9の貫通孔48の幅寸法Y及び長さ寸法Zを導電層2の寸法より多少大きくしても、カバー9の貫通孔48を通過した小滴のほとんどが、導電層2に収束する。この結果、導電層2の周辺に生物活性物質がほとんど付着しないものと考えられる。即ち、導電層2上に生物活性物質が付着し、導電層2のない基板上の部分6には、生物活性物質はほとんど付着しない状態となる。
本発明の方法は、塗布均一性の改善以外にも、特許文献1に記載の従来の方法に比較して優れた点がある。本発明の方法では、基板1の表面に形成される生物活性物質3の形状は導電層2の形状により決定されため、基板1上に付着する生物活性物質3の形状の精度は、導電層2の加工精度により決定されることになる。導電層2の形状は、フォトリソグラフィ及びエッチング加工により形成され、非常に精度が高いため、生物活性物質3の形状を高精度に形成することができる。これに対して、特許文献1の方法は、マスクの貫通孔を通過した生物活性物質を含む液滴を、マスクの貫通孔の形状に対応した形状で、導電層に付着させるものであり、マスクの貫通孔は通常機械加工により行っている。このため、特許文献1の方法では、数十μm程度の加工誤差を生じる。マスクの貫通孔の形状が導電層上に付着する生物活性物質の形状を決定するため、生物活性物質の形状の精度は、数十μmの誤差を持つことになる。特許文献1に記載のマスクもフォトリソグラフィ及びエッチング加工により、貫通孔を形成することにより、高い精度を得ることは可能であるが、マスクの取り扱いの都合上、マスクは一定の剛性が必要であり、厚みを厚く作製する必要がある。そのため、貫通孔を形成する工程で相当な厚みをエッチングで除去する必要が生じ、加工時間が長時間になるため、加工コストが高くなるという問題を生じる。
更に、本発明では、キャピラリ内の液高さを画像認識するため、生物活性物質の噴霧量を、高精度に制御可能であり、基板1上に付着した生物活性物質3の形状は、前述のように非常に高精度である。このため、本発明の静電噴霧装置においては、高精度に制御された噴霧量を所定の高精度な形状内に噴霧可能であり、1回の噴霧で形成される生物活性物質の形状や塗布均一性だけでなく、複数回の噴霧で形成される複数の生物活性物質間の形状ばらつきや塗布均一性ばらつきも小さく抑えて塗布することが可能である。
本発明の方法を用いて、複数の異なる生物活性物質を基板上に塗布したバイオチップを作製する場合には、図2の(g)の噴霧工程1の後に、図2の(h)の噴霧工程2を必要な回数だけ繰り返し行う。噴霧工程2では、基板1をカバー9に対して相対的に移動した後、噴霧を行う。噴霧に用いる生物活性物質3は、噴霧毎に異なる材料を用いることが可能であり、導電層2の形状は前述の露光・現像・エッチング工程で記載のように任意に形状を作製できるため、噴霧工程2を繰り返し行うことにより、所望の材料を所望の形状に形成したバイオチップを作製することが可能である。
本発明の方法では、噴霧前にカバー9の貫通孔48と生物活性物質3を塗布する導電層2とを位置合わせして基板1を配置する必要がある。位置合わせ精度が悪いと、カバー9の貫通孔48のエッジ部分が導電層2に近づくことになり、カバー9の帯電の影響が強く働くため、導電層2上に塗布される生物活性物質3の塗布均一性が悪化する。また、カバー9の貫通孔48のエッジ部分が導電層2を覆う程、位置合わせ誤差があると、カバー9で覆われた部分には、生物活性物質3が塗布されない。
本発明において、カバー9と基板1との位置合わせが重要であり、位置合わせに対する要求精度を緩和できれば、位置合わせ機構の簡素化による低コスト化や、位置合わせ時間の短縮が可能になるというメリットが得られる。位置合わせに対する要求精度を緩和するためには、カバー9の貫通孔48を大きな寸法にすることが効果的である。貫通孔48の寸法が大きければ、位置合わせ誤差を生じても、貫通孔48の寸法が小さい場合に比較して、カバー9のエッジと導電層2の間に大きな間隔をあけることができる。そのため、カバー9の帯電が、生物活性物質3の塗布均一性に与える影響を小さく抑えることができる。しかし、カバー9の貫通孔48の寸法を大きくすると、わずかであるが、導電層2周辺の基板1上に噴霧した生物活性物質3が付着することが確認されている。付着量は、貫通孔48の寸法に比例するため、付着量を減らすには、貫通孔48を小さくする方が望ましい。
つまり、貫通孔48の寸法を大きくして、カバー9と基板1の位置合わせ精度への要求を緩和するには、貫通孔48を大きくしても、導電層2周辺の基板1上への生物活性物質の付着を抑えられる方法が必要になる。発明者らは、貫通孔48の寸法を大きくしても、導電層2周辺の基板1上への生物活性物質の付着を抑えられる方法として、以下に説明する生物活性物質の付着抑制方法を発明した。
以下、導電層周辺の基板上への生物活性物質の付着抑制方法の詳細について前述の図2、図4及び図5、並びに図8A及び図8Bを用いて説明する。図8Aは実施例1の静電噴霧装置において、導電層にバイアス電圧を印加して基板製作を説明するための図であり、図8Bは、図8Aの静電噴霧装置内に配置された基板を示す平面図である。
図2の(a)に示す成膜工程と同じ手順で基板1上に導電層2を成膜する。次に、図2の(b)に示すレジスト塗布工程から図2の(f)に示すレジスト除去工程と同じ手順により、図8Bに示す形状の導電層2を加工する。図8Bにおいて、基板1には5つの導電層17から21が形成されている。レジスト10としては、ポジ型レジストのOFPR800(粘度30cp)を用いており、図8Bの導電層17から21に示すように、マスク7の光8を遮光する領域の形状は同じ形状である。
以上の手順により、基板1上に、第1の導電層17から第5の導電層21を作製した。
次に、第1の導電層17から第5の導電層21上に生物活性物質3を付着させるための手順について説明する。
レジスト除去工程後の第1の導電層17から第5の導電層21を形成した基板1を図4に示す静電噴霧装置のキャピラリ40の下部に配置する。そして、図8Aに示すように、目標導電層を、例えば第3の導電層19とした場合、第3の導電層19を貫通孔48の内側に対向して配置し、高電圧電源14のマイナス極に接続する。高電圧電源14のマイナス極はアース16に接続されているため、第3の導電層19はアース電位になる。残りの第1、2、4、5の導電層17、18、20、21は、直流電源15のプラス極に接続し、直流電源15のマイナス極をアース16に接続した。第1、2、4、5の導電層17、18、20、21は、アース電位より直流電源15の電圧分だけ高いプラスの電位、即ち、正のバイアス電圧が印加されている。このように構成することにより、生物活性物質3は第3の導電層19に付着しにくくなる。また、図4中のカバー9には、図5に示すように貫通孔48が形成されており、カバー9は、貫通孔48の内側に対向する位置に第3の導電層19が配置されるように位置合わせされる。貫通孔48の幅寸法Yは、2.0mm、長さ寸法Zは、14mmとし、貫通孔48の中心が第3の導電層19の中心と一致するように位置合わせした。このように位置合わせすることにより、第1、2、4、5の導電層17、18、20、21はカバー9によりある程度覆われた状態となり、キャピラリ40から噴霧された生物活性物質3の付着が防止される。図4に示したキャピラリ40は、X軸方向の位置調整を行うキャピラリホルダー41、Y軸方向の位置調整を行うキャピラリホルダー42、および各キャピラリホルダー41,42を固定する押え部材43を用いて保持されている。このように、キャピラリ40はチャンバー外壁47に対してX軸方向及びY軸方向における所定の位置に確実に固定され保持される。尚、ここで、X軸方向とは図4の紙面に対して直交する方向であり、Y軸方向とはX軸方向と直交する図4における左右方向である。
レジスト除去工程後の第1の導電層17から第5の導電層21を形成した基板1を図4に示す静電噴霧装置のキャピラリ40の下部に配置する。そして、図8Aに示すように、目標導電層を、例えば第3の導電層19とした場合、第3の導電層19を貫通孔48の内側に対向して配置し、高電圧電源14のマイナス極に接続する。高電圧電源14のマイナス極はアース16に接続されているため、第3の導電層19はアース電位になる。残りの第1、2、4、5の導電層17、18、20、21は、直流電源15のプラス極に接続し、直流電源15のマイナス極をアース16に接続した。第1、2、4、5の導電層17、18、20、21は、アース電位より直流電源15の電圧分だけ高いプラスの電位、即ち、正のバイアス電圧が印加されている。このように構成することにより、生物活性物質3は第3の導電層19に付着しにくくなる。また、図4中のカバー9には、図5に示すように貫通孔48が形成されており、カバー9は、貫通孔48の内側に対向する位置に第3の導電層19が配置されるように位置合わせされる。貫通孔48の幅寸法Yは、2.0mm、長さ寸法Zは、14mmとし、貫通孔48の中心が第3の導電層19の中心と一致するように位置合わせした。このように位置合わせすることにより、第1、2、4、5の導電層17、18、20、21はカバー9によりある程度覆われた状態となり、キャピラリ40から噴霧された生物活性物質3の付着が防止される。図4に示したキャピラリ40は、X軸方向の位置調整を行うキャピラリホルダー41、Y軸方向の位置調整を行うキャピラリホルダー42、および各キャピラリホルダー41,42を固定する押え部材43を用いて保持されている。このように、キャピラリ40はチャンバー外壁47に対してX軸方向及びY軸方向における所定の位置に確実に固定され保持される。尚、ここで、X軸方向とは図4の紙面に対して直交する方向であり、Y軸方向とはX軸方向と直交する図4における左右方向である。
以上のような構成により、位置調整されたキャピラリ40に3kVの電圧を加え、第1、2、4、5の導電層17、18、20、21に+140Vの電圧を加えて、静電噴霧を行った。キャピラリ40の先端から目標導電層である第3の導電層19までの距離は35mmであった。このように実施した静電噴霧の後、導電層2周辺の基板1上の蛍光強度を測定したところ、貫通孔48の寸法が1.5mmの場合と同様に、生物活性物質3の付着はほとんど観察されなかった。このため、カバー9の貫通孔48の寸法を大きくしても、第1、2、4、5の導電層17、18、20、21にプラスのバイアス電圧を加えることにより、基板1上への生物活性物質3の付着を抑えた条件で、第3の導電層19上にのみ所定量の生物活性物質3を確実に塗布できることが分かった。以上のように、本発明においては貫通孔48の寸法を大きくできるため、基板1とカバー9の位置合わせ精度に対する要求を緩和することができる。
複数の異なる種類の生物活性物質3を付着させる場合には、静電噴霧すべき導電層をキャピラリ40の直下に移動していき、噴霧すべき導電層のみをアース電位に設定し、他の導電層を所定のプラスのバイアス電位に設定して、噴霧工程を行い、複数の導電層のそれぞれに対して上記の方法により順次所望の生物活性物質を形成することができる。
また、上記の実施例においては目標導電層である第3の導電層19をアース電位としたが、目標導電層をマイナス電位にすることにより、噴霧された生物活性物質を積極的に導電層上に集める効果が生じるため、生物活性物質の利用効率をさらに改善する効果が期待できる。
実施例1に記載のカバー9を使用して作製する基板1を量産する場合、静電噴霧工程を行う前に、基板1の位置を正確に調整して、固定するための効率的な方法が必要になる。理由として、カバー9を使用する場合には、カバー9の位置調整誤差が、貫通孔48と生物活性物質3を付着させたい位置との誤差になり、誤差が大きいと隣接する導電層2に不要な付着を生じるため、製品の品質上問題になる。位置調整誤差は小さく抑える必要があるが、噴霧毎に作業者が観察して調整していたのでは、調整に時間がかかり、効率的ではない。
実施例2では、位置調整時間の短縮と調整精度の向上を図るため、基板表面の電気的または光学的な性質を変化させるための位置調整用マークを形成しており、その位置調整用マークを形成する方法について以下に説明する。
図9は、実施例2の位置調整用マーク52を形成した基板100の構造を示す図である。実施例2の基板100は、実施例1に記載の図1の基板1の表面に位置調整用マーク52を形成した構造を有している。位置調整用マーク52は、銅薄膜であり、細い直線形状である。位置調整用マーク52の形成は、図2の(c)から(f)に示す加工方法の露光工程からレジスト除去工程までの工程において導電層2の加工と同時に行った。具体的には、露光用マスクとして、図10に示した形状のマスク53を用いて、生物活性物質3を付着させる部分に加えて、位置調整用マーク52を形成する部分にもレジスト10が導電層2上に形成されるようにした。その後エッチングを行うことにより、レジスト10が形成されている部分以外の銅薄膜を溶解除去し、最後にレジスト10を除去することにより、生物活性物質3を付着させる部分に加えて、位置調整用マーク52を基板上に形成した。図10においてマスク53の斜線部分は光を遮光するように作製されている。
作製された基板100の位置調整用マーク52と導電層2は、前述のようにフォトリソグラフィで加工されるため、位置誤差は数μm以下に抑えられる。実施例2では位置調整用マーク52が銅薄膜で形成されているため、位置調整用マーク52は光を反射する。位置調整用マーク52の周辺はガラス表面であるため、光を透過する。この性質を利用して、位置調整用マーク52を画像認識することにより、自動で高精度に位置調整を行うことが可能である。カバー9に対して位置合わせする具体的な方法としては、カバー9の貫通孔48のエッジの一部分を画像認識し、位置調整用マーク52を貫通孔48のエッジから所定の位置に位置調整することにより、位置誤差を数μm以下にすることが可能である。実施例2では光学的な位置調整方法について説明したが、例えば、位置調整用マーク52は導電性であるため、電気抵抗値の変化を測定するための測定針により、基板上を走査することにより、位置調整用マーク52を認識し、カバー9のエッジの画像認識結果に対して位置調整する方法でも、高い位置調整精度が得られる。
本発明に係る静電噴霧装置及び静電噴霧方法は、微細な形状に均一的に材料を塗布することが可能であり、生物活性物質を基板上に所定の形状に塗布する必要があるバイオチップとして有用である。
Claims (7)
- 溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧装置において、
所望のパターン形状の導電層が形成された前記基板と所定の距離をおいて配置され、内部に電極線を有するキャピラリと、
前記電極線に所定の高電圧を印加して前記溶液を静電噴霧するための高圧電源と、
前記基板と前記キャピラリとの間に前記基板に近接して配置され、前記導電層の形状と対応する貫通孔を有するカバーと、
を備え、
前記カバーが前記導電層上の前記溶液を付着させるべき部分に対応して配置され、前記溶液が前記基板に対して前記カバーを介して静電噴霧されるよう構成された静電噴霧装置。 - 前記基板とカバーとの距離は、0.05mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧装置。
- 前記カバーに形成される貫通孔は、前記導電層の対応する形状より大きく形成されることを特徴とする請求項2に記載の静電噴霧装置。
- 溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧方法において、
前記基板上に所望のパターン形状の導電層を形成するステップ、
前記導電層の形状と対応する形状の貫通孔を有するカバーを前記基板から所定の距離を有して配置するステップ、
前記基板上に形成すべき所望のパターン形状の基準位置となる基準マークを形成し、当該基準マークに基づいて前記カバーの貫通孔の位置の位置合わせを行うステップ、及び
前記基板上の導電層上に前記カバーを介して静電噴霧して前記溶液を積層するステップ、を有する静電噴霧方法。 - 正極性の高電圧を印加して溶液を絶縁性の基板上に所望のパターン形状で付着させる静電噴霧方法において、
前記基板上に所望のパターン形状の複数の導電層を形成するステップ、
前記導電層の形状と対応する形状の貫通孔を有するカバーを前記基板から所定の距離を離して配置するステップ、
前記複数の導電層の内の静電噴霧すべき導電層をアース電位又はマイナス電位に設定するとともに他の導電層を当該電位より高く設定するステップ、及び
当該アース電位又はマイナス電位に設定される導電層を順次選択して前記複数の導電層に前記溶液を静電噴霧するステップ、を有する静電噴霧方法。 - 前記所定の距離は、0.05mm以下とすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の静電噴霧方法。
- 前記カバーに形成される貫通孔は、前記導電層の形状より大きく形成することを特徴とする請求項6に記載の静電噴霧方法。
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JP2653575B2 (ja) | カンチレバー体及びこれを用いた表面修正装置 |
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