本発明は、各種、各様の無線通信機器に用いられる複合アンテナ及びそれを用いた携帯端末に関するものである。
一般にダイバーシティアンテナのように複数のアンテナが用いられる通信装置においては、複数のアンテナ同士の間で電気的なアイソレーションを十分に取ることが重要となる。このため、このような複合アンテナにおいてはアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するため、アンテナと隣のアンテナとの間隔を大きく取っていた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、たとえば、特許文献1が知られている。近年、携帯電話などの移動体通信端末は小型化傾向が強く、このような複合アンテナを搭載する際には相隣接するアンテナの間隔を十分に確保することが難しくなり、結果的には電気的なアイソレーションを十分に確保することができないことが多かった。
特開2003−298340号公報
そこで、本発明はこのような問題を克服した、すなわち、電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化が図れる複合アンテナを提供するものである。
本発明は、グランドと、グランドに接続された第1給電点と、第1給電点に接続され、グランドと直交する軸または面に対して線対称形状または面対称形状または電気的に対称な第1導体と、第1導体に接続され、軸または面に対して線対称形状または面対称の形状または電気的に対称な第2導体と、軸または面の任意の位置に配置された第2給電点と、第2給電点と第2導体とを接続する第3導体と、第2給電点と第2導体とを接続し、軸または面に対して第3導体と線対称または面対称、または電気的に対称に配置された第4導体とを有する複合アンテナである。
本発明のこうした構成によれば、1つのアンテナエレメントがバランス型アンテナ及びアンバランス型アンテナの共通エレメントとして利用された対称構造を有するアンテナ構成により、バランス型アンテナとアンバランス型アンテナのそれぞれの給電点の電位変化が相互に抑制され、アンテナ間の電気的なアイソレーションも十分に確保することができる。これによって、複合アンテナを構成する各アンテナの電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化が図れる。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図2は、同複合アンテナにおいて第1給電点に給電するときの状態を示す斜視図である。
図3は、同複合アンテナにおいて第2給電点に電力を給電するときの状態を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態2にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態3にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図6は、本発明の実施の形態4にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図7は、本発明の実施の形態5にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図8は、本発明の実施の形態6にかかる第1の複合アンテナを示す斜視図である。
図9Aは、本発明の実施の形態6にかかる第2の複合アンテナを示す斜視図である。
図9Bは、本発明の実施の形態6にかかる第2の複合アンテナの別の例を示す斜視図である。
図10は、本発明の実施の形態7にかかる複合アンテナを示す上面図である。
図11は、本発明の実施の形態8にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図12は、本発明の実施の形態9にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図13は、同複合アンテナにかかる第1給電点に給電するときの状態を示す断面図である。
図14は、同複合アンテナにかかる第2給電点に電力を給電するときの状態を示す断面図である。
図15は、本発明の実施の形態10にかかる複合アンテナを示す断面図である。
図16は、本発明の実施の形態11にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図17は、本発明の実施の形態12にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図18は、本発明の実施の形態13にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図19は、本発明の実施の形態14にかかる複合アンテナを示す断面図である。
図20は、本発明の実施の形態15にかかる第1の複合アンテナを示す断面図である。
図21Aは、本発明の実施の形態15にかかる第2の複合アンテナを示す断面図である。
図21Bは、本発明の実施の形態15にかかる第3の複合アンテナを示す断面図である。
図22は、本発明の実施の形態16にかかる複合アンテナを示す斜視図である。
図23は、本発明の実施の形態17にかかる第1の複合アンテナを示す斜視図である。
図24は、本発明の実施の形態17にかかる第2の複合アンテナを示す斜視図である。
図25は、本発明の実施の形態17にかかる第3の複合アンテナを示す斜視図である。
符号の説明
1 グランド
2 第1給電点
3 軸
4 第1導体
5 第2導体
6 第2給電点
7 第3導体
8 第4導体
17 インダクタ
18 平面
19 メアンダ形状
20 天板
21 フロントガラス
22 第5導体
23 第3給電点
24 第6導体
25 第7導体
100,104,105,106,107,108,109A,109B,110,111,112,114,115,116,117,118,119,120,121A,121B,122,123,124,125 複合アンテナ
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかる複合アンテナ100を模式的に示した斜視図である。複合アンテナ100の基本的な構造は、ほぼ平面構造を有するグランド1と、グランド1に接続された第1給電点2と、第1給電点2に一端4aが接続され、グランド1とほぼ直交する軸3に対してほぼ線対称になるような形状を有し線対称に配置された第1導体4を備える。軸3は、グランド1のほぼ中央部に配置されている。また、複合アンテナ100は、第1導体4の他端4bに接続され、軸3に対して線対称になるような形状を有する第2導体5と、軸3上に配置された第2給電点6と、第2給電点6と第2導体5とを接続する第3導体7と、第2給電点6と第2導体5とを接続し、軸3に対して第3導体7と線対称に配置された第4導体8を有する。
複合アンテナ100は、第1給電点2から給電した場合、すなわち、第1給電点2に対して電力を供給した場合、アンバランス型アンテナとして作動する。一方、第2給電点6から給電した場合には、複合アンテナ100はバランス型アンテナとして作動する。
図2、図3を用いて、実施の形態1にかかる複合アンテナ100の動作を説明する。特に、第1給電点2と第2給電点6の間の電気的なアイソレーションが十分に確保することができる理由について説明する。
図2に示す複合アンテナ100において、第1給電点2から給電し、アンバランス型アンテナとして作動させた場合、図2に示すように第1給電点2から第1導体4を介して第2導体5を流れる電流9は、第1導体4と第2導体5との接続点10から遠ざかる方向、すなわち外方方向に向かって流れる。なお、図2においては、説明、作図の便宜上、電流9の向きは、接続点10を中心にして外方であるとして示している。しかし、電流9の向きは、第1給電点2に供給される信号の周波数に応じた周期によって、接続点10を中心にして外方方向と内方方向とに交互に切り替わる。
また、第1導体4と第2導体5は互いに軸3に対して共に線対称に配置されるような形状であるので、第1導体4と第2導体5との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。このため、第2導体5を流れる電流9は、軸3を中心にほぼ対称に流れる。第3導体7と第4導体8は、軸3に対して対称に配置されているので、軸3を中心に対称に流れる電流9により、第2給電点6及び第3導体7の接続点6aと、第2給電点6及び第4導体8の接続点6bとの間の電位差は常にほぼ零となる。こうした構成下においては、第1給電点2に給電し、アンバランス型アンテナとして使用する際に、第1給電点2から第2給電点6への電気的な干渉を排除することができるので、給電点と他の給電点の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
次に、第2給電点6から給電し、複合アンテナ100をバランス型アンテナとして作動させた動作について図3を用いて説明する。第2導体5に流れる電流11は、第2導体5の一方端部5aから他方端部5bに向けて一方向に流れる。ここで、第1導体4と第2導体5は、軸3に対して共に線対称に配置しているので、第2導体5と第1導体4との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。さらに、第2導体5が軸3に対してほぼ線対称の形状に形成されていることから、第2導体5における電圧分布は、第1導体4と第2導体5との接続点10において常にほぼ零となる。よって、第2給電点6に高周波信号を供給し、図1に示す複合アンテナ100をバランス型アンテナとして使用する場合には、第2給電点6から第1給電点2への不要な干渉が排除され、両者の給電間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
こうした構成によれば、従来、2本のアンテナ同士を電気的にアイソレーションするためにアンテナと他のアンテナとのアンテナ間距離を十分に大きくとる必要があった。しかし、本発明によれば、こうしたアンテナ同士の配置間隔を狭めることができるようになるので複合アンテナ100の小型化が図れる。また、従来、2組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明の複合アンテナ100によれば、2つの給電点で1つのアンテナエレメントを共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
また、図3においては、第2給電点6における複合アンテナのインピーダンス整合は、第2導体5と第3導体7の接続点14と、接続点10との間の距離、及び、第2導体5と第4導体8の接続点15と、接続点10の間の距離を調整することによって、取ることができる。このため、グランド1に近接して配置された通常のダイポールアンテナと比べてみてもインピーダンス整合を取ることが容易となる。
次に、本発明の複合アンテナ100の放射パターンについて説明する。第1給電点2から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第1導体4に生じる電流16(図2参照)である。第2導体5上に生じる電流9は接続点10に対して流れる向きが逆方向となるため、放射パターンには大きく影響しない。この結果、第2給電点6から信号を供給した場合の図1に示す複合アンテナ100の放射パターンは、XY面においてほぼ無指向性(偏波:Z軸)、±Z軸方向にヌル点を持つものとなる。
これに対し、第2給電点6から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第2導体5に生じる電流11(図3)であり、第1導体4には放射に寄与する電流は発生しない。また、第3導体7上の電流12と、第4導体8に流れる電流13は互いに逆方向に流れ、第3導体7と第4導体8との間隔が波長に対して狭ければ、放射パターンに大きく影響することはない。よって、第2給電点6から信号を供給した場合、図1に示す複合アンテナ100の放射パターンは、±X軸方向にヌル点を持つ。ここで、仮にグランド1が存在しなとすればYZ面において無指向性(偏波:X軸)となる。しかし、実際にはグランド1が存在しているため、このときの放射の振る舞いは、グランド1から反射され、+Z軸方向に最大利得を持つこととなる。
このように、±X軸方向と±Z軸方向においては、各給電点から信号を供給した場合のそれぞれの放射パターンが、お互いにヌル点を補う。また、±Y軸方向においては、偏波の異なる2つの放射パターンが存在することから、図1に示す複合アンテナ100を指向性ダイバーシティアンテナや偏波ダイバーシティアンテナとして使用することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。故に、図1に示すような小型で簡易なアンテナ構成とすることで、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能な円偏波アンテナを実現することができる。なお、グランド1の形状を各種各様に変更することによって円偏波が放射される方向には変化させることができる。
図1に示す本発明の複合アンテナ100は、ダイバーシティアンテナとして使用することができるだけではなく、2つのシステム用の複合アンテナとしても使用することができる。これにより、各種各様のシステムが組み込まれる携帯電話のアンテナ本数の低減に貢献することができ、携帯電話の小型化が図れる。また、図1に示す複合アンテナ100は、共用器、または共用器の一部としても使用することができる。これにより、新たな共用器の設置を排除することができ、携帯電話等の通信機器の小型化が図れる。なお、共用器の一部として図1に示す複合アンテナ100を採用すれば、信号の通過ロスを低減させながら共用器を設計することが可能となる。これにより、携帯端末の受信器としてNF特性を向上し、送信器としてパワーアンプの消費電力を低減することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6に供給される信号の周波数は同一であっても良いし、異なっていても良い。第1給電点2と第2給電点6とに異なる周波数の信号を供給するようにすれば、いくつかの周波数を使用した各種各様のシステムが複合された通信機のアンテナに適用することが可能となる。
ここで、実施の形態1の骨子を図1を用いて要約すると次のとおりである。すなわち、本発明にかかる複合アンテナ100は、グランド(1)と、グランド(1)に接続された第1給電点(2)と、第1給電点(2)に接続され、グランド(1)と直交する軸(3)または面に対して線対称または面対称形状を有する第1導体(4)と、第1導体(4)に接続され、軸(3)または面に対して線対称形状または面対称の形状を有する第2導体(5)と、軸(3)または面の任意の位置に配置された第2給電点(6)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続する第3導体(7)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続し、軸(3)または面に対して第3導体(7)と線対称または面対称にまたは配置された第4導体(8)とを有する。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる複合アンテナ104の斜視図である。実施の形態2が実施の形態1と相違する主な点は、第2導体5の途中にインダクタ17が接続されている点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。そして、第2導体5が軸3に対して線対称ではなく、インダクタ17が接続された側のエレメント長はそれが接続されていない側のエレメント長よりも短くなるように設定している。これによって、両者の電気長は軸3に対して線対称に保つことができる。なお、第2導体5の電気長に関しては、軸3に対して線対称になるように、インダクタ17及び第2導体5のエレメント長が調整されている。
図4に示す複合アンテナ104は、構造的には対称性が十分に満足されてはいないものの、電気的には対称性が保たれている。このため、それぞれの給電点2,6の電流、電圧分布は実施の形態1とほぼ同様になる。それぞれの給電点2,6での電位変化がお互いに抑制され、給電点2と6の間において、電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。その結果、従来、2本のアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するために確保しなければならなかったアンテナと隣のアンテナとの距離を短くすることができるので、複合アンテナの小型化が図れる。また、従来、2組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明によれば、1つのアンテナエレメントを2つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
なお、図4においては、複合アンテナ104は軸3に対してほぼ線対称の形状を有するものとして説明した。しかし、グランド1に直交する任意の面に対して面対称の形状を有する複合アンテナとして構成してもその動作、作用、効果はほぼ同じである。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3にかかる複合アンテナ105の斜視図である。実施の形態3が実施の形態1と相違する主な点は、第2導体5の形状が2つの扇の要を当接させた形状となっている点、及び、第1導体4の形状が蛇行している点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。第1導体4及び第2導体5は、共に、軸3に対してほぼ線対称としているため、実施の形態1と同様のアンテナ動作を有することとなる。第2導体5の形状が2つの扇の要を当接させた形状であるため、より広帯域特性を得ることが可能となる。また、第1導体4が蛇行しているため、第1給電点2から給電したときの複合アンテナ105の共振周波数の大きさを下げることができ、その結果、複合アンテナ105の小型化を図ることができる。なお、第2導体5は軸3に対して線対称な円盤形状としても良い。これにより、さらに広帯域なアンテナを実現することができる。また、第1導体4は、軸3に対してほぼ線対称であれば、蛇行形状以外の形状でもあってもかまわない。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4にかかる複合アンテナ106の斜視図である。実施の形態4が実施の形態1と相違する主な点は、複合アンテナ106の形状が平面18に対して面対称となっている点、及び、第2導体5の一部がメアンダ形状19となっている点である。
平面18はグランド1のほぼ中央部に配置されている。複合アンテナ106が平面18に対して面対称となる構造を有している場合にも、実施の形態1と同様のアンテナ動作を得ることができる。このため、第1給電点2と第2給電点6との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。また、第2導体5の一部をメアンダ形状19とすることにより、第1給電点2及び第2給電点6からそれぞれ給電したときのそれぞれのアンテナの共振周波数を下げることができる。このように共振周波数を下げる第2導体5の形状は、平面18に対して面対称であればどのような形であっても良い。たとえば、第2導体5を方形状の平面としても良い。また、楕円形または円形のループ形状にしても良い。これにより、共振周波数を下げることができると共に、アンテナの広帯域特性を向上することも可能となる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5にかかる複合アンテナ107の斜視図である。実施の形態5が、実施の形態1と相違する主な点は、第3導体7が第2導体5の一方端部5aで接続される点、及び、第4導体8は第2導体5の他方端部5bで接続されている点である。これにより、第2給電点6から給電された場合には、複合アンテナ107はループアンテナとして作動する。第1給電点2から給電された場合には、複合アンテナ107はモノポールアンテナとして作動する。こうした構成によって、磁流型アンテナであるループアンテナと電流型アンテナであるモノポールアンテナとが複合されたアンテナを1つのアンテナエレメントにより構成することができる。こうした複合アンテナ107は、人体の近傍や自由空間といった色々な環境下での使用を可能にする。また、複合アンテナの小型化が図れる。
また、第2給電点6と第2導体5との間隔を狭くした場合、つまり第2導体5と第3導体7と第4導体8で作られる形状が、細長い矩形形状となった場合には、第2給電点6から給電すると複合アンテナ107をフォールデッドダイポールとして作動させることもできる。これにより第2給電点6からみたアンテナ入力インピーダンスを高く設計することができ、アンテナの広帯域化が可能となる。
(実施の形態6)
図8、図9A及び図9Bは、本発明の実施の形態6にかかる複合アンテナの斜視図である。実施の形態6が、実施の形態1と相違する主な点は、図8の複合アンテナ108に示されるように、第2導体5の形状が方形のフォールデッド形状となっている点である。これにより、第1給電点2から給電されたときのアンテナの共振周波数を下げることができる。また、第2給電点6から給電されたときのアンテナの放射抵抗を向上させることができ、広帯域特性を実現することができる。
第2導体5の形状は、図8に示したものの外に、図9Aに示すように複合アンテナ109Aは、楕円形のフォールデッド形状としても、図8に示す複合アンテナ108のものと同様の効果を奏する。
また、図8および図9Aにおいて、第2導体5の第1導体4と接続された辺と対向する辺に第3導体7及び第4導体8が接続されているが、第2導体5の第1導体4が接続されている辺側に第3導体7及び第4導体8を接続しても良い。これにより、図8及び図9Aと同様の効果を得ることができる。たとえば、図9Aに示す複合アンテナ109Aを変形して、図9Bに示すように別の複合アンテナ109Bとしても、図8及び図9Aと同様の効果を奏する。
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態7にかかる複合アンテナ110の上面図である。実施の形態7が、実施の形態1と相違する主な点は、グランド1の形状が軸3に対して線対称形状の方形の平面となっている点、及び、グランド1の端部に第1給電点2が接続されている点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。なお、図10に示す複合アンテナ110は、第2給電点6とグランド1は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8とグランド1も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2に給電した場合に、放射に寄与する電流がグランド1にも流れるため(特に±Z軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。また、グランド1のZ軸方向の電気長を、グランド1の長さを変えることにより調整することで、第1給電点に給電した場合のアンテナの広帯域化を図ることができる。
なお、図10に示すグランド1は、軸3に対して線対称となる形状を有している。しかし、グランド1において電流分布の低い部分の形状が軸3に対して必ずしも線対称でなくても、第1給電点2と第2給電点6との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、携帯端末等に実施の形態7の複合アンテナを使用することで、小型形状の指向性ダイバーシティアンテナまたは偏波ダイバーシティアンテナを実現することができる。
(実施の形態8)
図11は、本発明の実施の形態8にかかる複合アンテナ111の斜視図である。実施の形態8と実施の形態1との主な相違点は次のとおりである。すなわち、実施の形態1(図1〜図3)においては、グランド1は車の天板20で構成されている点、及び、第1給電点2が天板20の端部20aに接続されている点、及び、複合アンテナがフロントガラス21上に設置されている点である。これに対して、図11に示す実施の形態8においては、第2給電点6と天板20は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8と天板20も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2から給電した場合に、放射に寄与する電流は天板20上にも流れるため(特に±Y軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。この場合、放射パターンは、±Y軸方向に主にヌル点が発生し、概ね±X軸方向に最大利得を有するものとなる。つまり、放射パターンは、XY面において、概ね数字の「8」に似た形状パターンとなる。
これに対して、第2給電点6に給電した場合のアンテナの放射パターンは、第2導体5に流れる電流は主に放射に寄与し、天板20が反射板として作用することから、概ね−Y軸方向に最大利得を有し、概ね+Y軸方向に最小利得を有する放射パターンとなる。
このように、それぞれの給電点2,6に給電したときの、それぞれの放射パターンの最大利得方向が異なるため、車載指向性ダイバーシティアンテナとして、本発明の複合アンテナを使用することが可能となる。また、フロントガラス21に貼り付けられるダイバーシティアンテナは、ドライバーの視認性を遮らないような小型であることが望ましいので、このようなユーザニーズに適したアンテナ構成を実現することが可能となる。
また、デジタルテレビジョンのように、信号復調時に同期検波や伝搬路等化等の信号処理を行う場合には、車室内の散乱波を受信すると特性劣化に繋がる。このような車室内散乱波を受信しないような放射パターンを有するアンテナ、つまり、車室内方向のアンテナ利得が低いアンテナが求められている。さらに、車の進行方向に対して直交する方向(図11において±X軸方向)からの到来波は、ドップラー周波数が発生せず、信号復調時の特性劣化に繋がらないため、この方向からの到来波をより受信しやすいアンテナが求められている。そこで、第2給電点6から給電したときのアンテナの車室内方向放射利得は、天板20が反射板として機能することから低く抑えることができる。
また、第1給電点2から給電したときのアンテナ放射パターンの最大利得方向は±X軸方向とすることができる。よって、図11に示すように、本発明の複合アンテナを車のフロントガラス21に配置させることにより、デジタルテレビジョンやデジタルラジオに最適なダイバーシティアンテナを小型に実現することが可能となり、受信特性の飛躍的向上を図ることが可能となる。
なお、本発明にかかる複合アンテナ111をフィルムアンテナにより構成しても良い。これにより、ドライバ−の視認性に悪影響を与えることなく、また、目障りにならないアンテナを実現することが可能となる。また、リアガラス上に複合アンテナを設置しても、同様の効果が得られる。
(実施の形態9)
図12は実施の形態9にかかる複合アンテナ112の斜視図である。複合アンテナ112は、ほぼ平面形状を成すグランド1と、グランド1に接続された第1給電点2と、第1給電点2に一端4aが接続され、グランド1に直交する軸3に対して線対称形状の第1導体4とを有する。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。また、複合アンテナ112は、第1導体4に接続され、軸3に対して線対称形状の第2導体5を備え、第2導体5のほぼ中央部は第1導体4の他端4bに接続されている。また、軸3上に設けた第2給電点6と、第2給電点6と第2導体5とを接続する第3導体7と、第2給電点6と第2導体5とを接続し、軸3に対して第3導体7と線対称に配置された第4導体8とを有する。
さらに、複合アンテナ112は、第2導体5と直交すると共に、軸3に対して電気的に対称に、かつ、線対称形状に設定された第5導体22と、軸3上に配置された第3給電点23と、第3給電点23と第5導体22とを接続する第6導体24と、第3給電点23と第5導体22とを接続し、軸3に対して第6導体24と電気的に対称であり、かつ、線対称に配置された第7導体25とを有する。
第1給電点2から給電した場合、図12に示す複合アンテナ112はアンバランス型アンテナとして作動する。第2給電点6及び第3給電点23から給電した場合には、図12の複合アンテナ112はバランス型アンテナとして作動する。
次に、図13、図14を用いて、実施の形態9に示す図12の複合アンテナ112の動作原理を説明する。特に、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションが十分に確保することができる理由について説明する。
図12に示す複合アンテナ112において、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を図13に示す。図13の第1給電点2から給電し、図12に示す複合アンテナ112をアンバランス型アンテナとして作動させた場合、図13に示されるように第1給電点2から第1導体4を介して第2導体5を流れる電流26は、第1導体4と第2導体5との接続点27を中心にして外方方向に流れる。なお、図13においては、説明の便宜上、電流26の向きは、接続点27を中心にして外方方向としたが、電流26の向きは、第1給電2に供給される信号の周波数に応じた周期で、接続点27を中心に外方方向と内方方向とを繰り返す。
また、第2導体5と第1導体4とが軸3に対して共に線対称形状であるので、第1導体4における第2導体5との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。このため、第2導体5に流れる電流26は、軸3を中心にほぼ対称に流れる。第3導体7と第4導体8は、軸3に対して線対称であるので、接続点27を中心に外方に流れる電流26により、第2給電点6及び第3導体7の接続点と、第2給電点6及び第4導体8の接続点の間の電位差が常にほぼ零となる。このため、第1給電点2に給電し、図12に示す複合アンテナ112をアンバランス型アンテナとして使用する際に、第2給電点6への干渉が排除され、両給電間における電気的なアイソレーションが十分に確保される状態となるのである。
図13において、第2導体5の電流分布に基づき第2給電点6と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションが確保される理由について説明した。これは、図12の第3給電点23と第1給電点2との間においても同様のことが言える。第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションも十分に確保することができる。
次に、第2給電点6から給電し、図12の複合アンテナ112をバランス型アンテナとして作動させた場合の動作原理を図14に基づいて説明する。図14は、図12の複合アンテナにおいて、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。第2導体5に流れる電流28は、第2導体5の一方端部5aから他方端部5bに向けて一方向に流れる。なお、第2導体5と第1導体4とが軸3に対して共に線対称形状であるので、第2導体5における第1導体4との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。
さらに、第2導体5が軸3に対してほぼ線対称形状に形成されていることから、第2導体5における電圧分布が、第1導体4と第2導体5の接続点27において常にほぼ零となる。よって、第2給電点6に信号を供給し、図12に示す複合アンテナ112をバランス型アンテナとして使用する場合には、第2給電点6から第1給電点2に対する不要な干渉が排除され、電気的なアイソレーションが十分に確保された状態となるのである。
図14において、第2導体5の電流分布に基づき第2給電点6と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションが確保される理由を説明したが、これは、図12の第3給電点23と第1給電点2との間においても同様のことが言える。第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、図12に示す複合アンテナ112において、第2給電点6及び第3給電点23からバランスよく給電された場合、第2導体5と第5導体22が直流的に接続された接続点27において電位がほぼ零となる。このため、第2給電点6から入力された信号が第5導体22へ漏れ込むという不具合を排除することができる。また、第2導体5と第5導体22は直交して配置されているため、第2導体5と第5導体22の間で電磁結合するという不具合を排除することができる。これは、第2導体5による放射の偏波方向と第5導体22による放射の偏波方向とが直交するためである。故に、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することが可能となる。
上述のように、従来、3本のアンテナ同士の電気的なアイソレーションを確保するために設けられていた比較的長いアンテナ間距離を設ける必要がなくなり、複合アンテナの小型化が図れる。また、従来、3組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明により、2つのアンテナエレメントを3つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
また、図14において、第2給電点6における複合アンテナのインピーダンス整合は、第2導体5と第3導体7の接続点31と接続点27の間の距離、及び、第2導体5と第4導体8の接続点32と接続点27の間の距離を調整することにより取ることができるため、グランド1に近接して配置された通常のダイポールアンテナと比較してインピーダンス整合を取ることが容易となる。このことは、第3給電点23において複合アンテナのインピーダンス整合をとる場合にもほぼ同様である。
次に、本発明の複合アンテナ112の放射パターンについて図13、図14を用いて説明する。第1給電点2から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第1導体4に生じる電流33であり、第2導体5に生じる電流26は接続点27に対して向きが逆方向となるので、放射には大きな影響は与えない。この結果、第2給電点6から信号を供給した場合には、図12に示す複合アンテナ112の放射パターンは、XY面においてほぼ無指向性(偏波方向:Z軸)で、概ね±Z軸方向にヌル点を持つものとなる。
これに対し、第2給電点6から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第2導体5に生じる電流28であり、第1導体4には放射に寄与する電流は発生しない。また、第3導体7の電流29と第4導体8上の電流30は互いに逆方向に流れる。このため、第3導体7と第4導体8の間隔が波長に対して狭ければ、放射パターンに大きく影響することはない。よって、第2給電点6から信号を供給した場合には、図12に示す複合アンテナ112の放射パターンは、概ね±X軸方向にヌル点を持ち、グランド1が仮に存在しなければYZ面において無指向性(偏波方向:X軸)となる。しかし、グランド1が存在しないとすれば、この放射パターンは、グランド1により反射され、概ね+Z軸方向に最大利得を持つこととなる。
図12において、第3給電点23から信号を供給した場合においても、第2給電点6から信号を供給した場合と同様の電流分布となる。そのときの放射パターンは、概ね±Y軸方向にヌル点を持ち、グランド1が存在しないとすればXZ面において無指向性(偏波方向:Y軸)となる。しかし、実際はグランド1が存在するため、−Z軸方向の放射はグランド1によって反射され、概ね+Z軸方向に最大利得を持つ放射パターンとなる。
このように、各給電点から信号を供給した場合のそれぞれの放射パターンが、お互いにヌル点を補うと共に、±X軸方向及び±Y軸方向においては各アンテナの偏波方向が異なることから、図12に示す複合アンテナ112を指向性ダイバーシティアンテナや偏波ダイバーシティアンテナとして使用することができる。
また、図12において、第1給電点2と第2給電点6に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。また、第1給電点2と第3給電点23に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±X軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。さらに、第2給電点6と第3給電点23に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Z軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。
このように、図12に示す複合アンテナ112は小型で簡易なアンテナ構成であるにもかかわらず、多方向に円偏波を放射させることが可能な円偏波アンテナを実現することができる。
なお、図12に示す本発明の複合アンテナ112は、ダイバーシティアンテナとして使用することができるだけでなく、3つのシステム用の複合アンテナとしても使用することができる。これにより、各種各様のシステムが組み込まれた携帯電話のアンテナ本数の低減に貢献することができ、携帯電話の小型化を図ることができる。
また、図12に示す複合アンテナ112は、共用器、または共用器の一部としても使用することができる。これにより、あらたに共用器を設置しなければならないという不具合を排除することができ、携帯電話等の通信機器の小型化が図れる。
なお、共用器の一部として図12に示す複合アンテナ112を使用するならば、信号の通過ロスを低減させながら共用器を設計することが可能となる。これにより、携帯端末の受信器としてのNF特性を向上し、送信器としてパワーアンプの消費電力を低減することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23に供給される信号の周波数は同一でも良いし、異なっていても良い。第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23とに異なる周波数の信号が供給される場合、数々の周波数を使用した色々なシステムが複合された通信機のアンテナとして、図12に示す複合アンテナ112を適用することが可能となる。
ここで実施の形態9の骨子を、図12を用いて要約すると次のとおりである。すなわち、本発明にかかる別の複合アンテナは、グランド(1)と、グランド(1)に接続される第1給電点(2)と、第1給電点(2)に接続され、グランド(1)と直交する軸(3)または面に対して線対称形状または面対称形状または電気的特性の対称性を有する第1導体(4)と、第2給電点(6)と、第2給電点(6)を通る任意の軸(3)に対し線対称形状または面対称形状を有し、かつ、第1導体(4)に接続される第2導体(5)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続する第3導体(7)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続すると共に任意の軸(3)に対し第3導体(7)とほぼ線対称に配置された第4導体(8)と、任意の軸(3)上に配置された第3給電点(23)と、第2導体(5)とほぼ直交して配置されると共に任意の軸(3)に対しほぼ線対称形状または面対称形状を有する第5導体(22)と、第3給電点(23)と第5導体(22)とを接続する第6導体(24)と、第3給電点(23)と第5導体(22)とを接続すると共に任意の軸(3)に対し第6導体(24)とほぼ線対称または面対称に配置された第7導体(25)とを有する。
(実施の形態10)
図15は実施の形態10にかかる複合アンテナ115の断面図である。特に、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。実施の形態10においては基本的には実施の形態9とほぼ同様である。
実施の形態10が実施の形態9と相違する主な点は、第2導体5の途中にインダクタ34が接続されている点である。そして、第2導体5が軸3に対して線対称ではなく、インダクタ34が接続されている側のエレメント長がインダクタ34が接続されていない側のエレメント長よりも短くなるように設定している。これによって、第2導体5の電気長は、軸3に対して線対称になるように、インダクタ34及び第2導体5のエレメント長が調整されることになる。すなわち、図15においては、構造的には対称性が十分に満足されていないものの、電気的には対称性が保たれている。このため、第1給電点2および第2給電点6の電流、電圧分布は実施の形態9とほぼ同様になる。従って、第1給電点2および第2給電点6の電位変化がお互いに抑制され、第1給電点2と第2給電点6の間の電気的なアイソレーションが十分に確保される。
また、図15に示した構成に加えて、図12に示した第5導体22を採用する場合には、図15における第2導体5と同様に、軸3に対して電気的な特性が対称性を保っていれば、構造的には非対称的であっても、第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションを確保することができる。
さらに、図15に示す第2導体の接続点27においては、軸3に対して電気的に対称性が保たれているため電位が零となり、結果的に、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。その結果、従来、2本のアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するために用意しなければならなかった比較的長いアンテナ間の距離を用意する必要がなくなる。これによって複合アンテナ115の小型化が図れる。また、従来、3組のアンテナエレメントを用意する必要があったものを、本発明により、2つのアンテナエレメントを3つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化を実現することができる。
なお、図15においては、軸3に対して線対称の形状を有する複合アンテナとして説明した。しかし、グランド1の任意の平面に対して面対称の形状を有する複合アンテナとして構成しても、その動作はほぼ同様である。
(実施の形態11)
図16は、実施の形態11にかかる複合アンテナ116の斜視図である。実施の形態11にかかる発明の効果は実施の形態9とほぼ同様である。実施の形態11が実施の形態9との相違する主な点は、図16に示されるように、第2導体5と第5導体22とが直流的に接続されていない点である。実施の形態11においては、このような構造であっても、実施の形態9と同様のアンテナ動作がなされ、同様の効果を奏する。また、第2導体5と第3導体9を接続する工程を省くことができるため、複合アンテナの製造工程を簡略化することができる。
また、図16に示す第4導体9と第6導体24と第7導体25を単純なダイポールアンテナで置き換えても良い。
(実施の形態12)
図17は実施の形態12にかかる複合アンテナ117の斜視図である。実施の形態12が実施の形態9と相違する主な点は、図17に示されるように、第2導体5と第5導体22とが1つの導体である円形導体35から構成されていることである。また、第1導体4の形状が蛇行している点である。第2導体5と第5導体22を1つの導体である円形導体35に置き換えても、複合アンテナは実施の形態9とほぼ同様に動作する。なお、第2導体5と第5導体22とにより、円形導体ではなく、正n角形導体(n=m×2+2、ただし、mは1以上の整数)を構成しても良い。
また、第1導体4は、軸3に対してほぼ線対称となっているため、実施の形態9と同様のアンテナ動作を有する。よって、実施の形態9と同様の効果を奏する。また、第2導体5と第5導体22を1つの円形導体35により実現することができるため、アンテナ構造上、強固なものとなると共に、複合アンテナ117の製造工程の簡略化が図れる。
(実施の形態13)
図18は、実施の形態13にかかる複合アンテナ118の斜視図である。基本的には実施の形態9とほぼ同様の効果を奏する。
実施の形態13が実施の形態9と相違する主な点は、図18に示されるように、第2導体5と第5導体22とが一体の長方形導体36からなる点である。長方形導体36は、YZ平面37及びXZ平面38に対してそれぞれ面対称または電気的に対称となる形状を有する。このため、複合アンテナ118は、実施の形態9と同様のアンテナ動作を有し、同様の効果を奏する。
また、第2導体5と第5導体22を1つの長方形導体36により実現することができるため、アンテナ構造上、強固なものとなると共に、複合アンテナの製造工程を簡略化することができる。さらに、長方形導体36の形状が長方形形状であるため、第1給電点2から給電した場合の複合アンテナの動作周波数を2つに増やすことができると共に広帯域化を図ることができる。つまり、第2給電点6から給電した場合の複合アンテナの共振周波数と第3給電点23から給電した場合の複合アンテナの共振周波数を異ならせることが可能となる。
(実施の形態14)
図19は実施の形態14にかかる複合アンテナ119の断面図である。特に、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。なお、実施の形態14は、基本的には実施の形態9のほぼ同じ効果を奏する。
実施の形態14が実施の形態9と大きく相違する主な点は、図19に示されるように、第3導体7が第2導体5の一方端部5aで接続される点、及び、第4導体8は第2導体5の他方端部5bで接続される点である。
これにより、第2給電点6から給電された場合には複合アンテナはループアンテナとして作動し、第1給電点2から給電された場合には複合アンテナはモノポールアンテナとして作動する。故に、磁流型アンテナであるループアンテナと電流型アンテナであるモノポールアンテナが複合されたアンテナを1つのアンテナエレメントにより構成することができ、人体の近傍や自由空間といった色々な環境下で使用可能に成ると共にアンテナの小型化が図れる。
また、第2給電点6と第2導体5の間隔を狭くした場合、すなわち、第2導体5と第3導体7と第4導体8で作られる形状が、細長い矩形(方形)形状となった場合、第2給電点6から給電すると複合アンテナをフォールデッドダイポールとして作動させることもできる。これにより第2給電点6から見たアンテナ入力インピーダンスを大きく設計することができ、アンテナの広帯域化が可能となる。なお、図19には示していないが、たとえば、図12に示した第5導体22及び第6導体24及び第7導体25を実施の形態14に付け加えることもできる。こうした構成下においても複合アンテナとしては、ほぼ同等の効果を奏する。こうした場合、第2導体5または第5導体22を方形または楕円形または円形のループ形状としても良い。
(実施の形態15)
図20、図21A、図21Bは、実施の形態15にかかる複合アンテナの断面図である。これらの図面は、複合アンテナ120,121A及び121Bは、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。なお、実施の形態15に示す複合アンテナ115は基本的には実施の形態9(図12)と同等の効果を奏する。
実施の形態15が実施の形態9と相違する主な点は、図20に示されるように、第2導体5の形状が方形のフォールデッド形状となっている点である。これにより、第1給電点2から給電されたときのアンテナの共振周波数を下げることができる。その結果、アンテナの小型化を図ることができる。また、第2給電点6から給電されたときのアンテナの放射抵抗を向上させることができ、広帯域特性を実現できることとなる。
第2導体5の形状は、図20に示したものの外に、図21Aに示すような楕円形のフォールデッド形状としても、図20と同様の効果を奏する。
また、図20および図21Aにおいては、第2導体5の第1導体4と接続された辺と対向する辺に第3導体7及び第4導体8が接続されている。なお、第2導体5の第1導体4が接続されている辺側に第3導体7及び第4導体8を接続しても良い。こうした構成であっても、同等の効果を奏する。たとえば、図21Bに示すような形で給電を行ったとしても、図20及び図21Aに示す複合アンテナ120,121Aと同様な効果を奏する。
(実施の形態16)
図22は、実施の形態16にかかる複合アンテナ122の斜視図である。実施の形態16が実施の形態9と相違する主な点は、図22に示されるように、グランド1の形状が軸3に対して線対称形状の方形の平面となっている点、及びグランド1の端部に第1給電点2が接続されている点である。なお、図22においては、第2給電点6とグランド1は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8とグランド1も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2に給電した場合に、放射に寄与する電流がグランド1にも流れるため(特に±Z軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。なお、放射パターンに関しては、実施の形態9とほぼ同様である。また、グランド1のZ軸方向の電気長を、グランド1の長さを変えることにより調整することで、第2給電点に給電した場合のアンテナの広帯域化を図ることができる。
なお、図22のグランド1は、軸3に対して線対称となる形状を有しているが、グランド1上において電流分布の低い部分の形状を軸3に対して必ずしも線対称に配置しなくとも、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、携帯端末等に実施の形態8の複合アンテナを使用することで、小型形状の指向性ダイバーシティアンテナまたは偏波ダイバーシティアンテナを実現することができる。
(実施の形態17)
図23、図24及び図25は実施の形態17にかかる複合アンテナ123,124及び125のそれぞれ斜視図である。実施の形態17が実施の形態9と相違する主な点は、図23に示されるように、複合アンテナが実施の形態9に示したグランド1及び第1給電点2及び第1導体4を有していない点である。
実施の形態17に示す複合アンテナ123は、2つのアンテナエレメントである第2導体5と第5導体22がそのほぼ中央位置で接続固定されており、アンテナ自体の強度を向上させることができる。
複合アンテナが第2給電点5及び第3給電点23からバランスよく給電された場合、第2導体5と第5導体22が直流的に接続されている接続点14aにおいて電位がほぼ零となる。このため、第2給電点5から入力された信号が第5導体22へ漏れ込むという不具合を排除することができる。また、第2導体5と第5導体22は直交して配置されているため、第2導体5と第5導体22の間で電磁結合するという不具合を排除することができる。これは、第2導体5による放射の偏波方向と第5導体22による放射の偏波方向とが直交するためである。故に、第2給電点6と第3給電点23との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することが可能となる。
また、図23に示した、構造的強度の更なる向上を図った複合アンテナの実施の形態を図24に示す。図24に示す複合アンテナ124は、第2導体5と第3導体9とが1つの導体である円形導体35からなる。これにより、複合アンテナ124の機械的強度の向上を図ることができる。また、第3給電点23から給電した場合、円形導体35と第3導体7及び第4導体8とがそれぞれ接続されている点を結ぶ直線上で零電位となり、同様に、第2給電点6から給電した場合、円形導体35と第6導体24及び第7導体25とがそれぞれ接続されている点を結ぶ直線上で零電位となる。このため、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
図25は、図24の複合アンテナの円形導体35を長方形導体36に置き換えた複合アンテナ125である。図25の複合アンテナにおいても、図24の複合アンテナと同様の機械的強度の向上効果を奏する。さらに、長方形導体36のX軸方向の電気長とY軸方向の電気長に差異があるため、第2給電点6から複合アンテナを見たときのアンテナの共振周波数と第3給電点23から複合アンテナを見たときのアンテナの共振周波数とが異なり、2周波数帯域で使用可能なアンテナを実現することができる。
本発明にかかる複合アンテナ及び携帯端末は、電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化できるという効果を奏する。特に携帯電話用アンテナや車載アンテナなどのように小型化要望の強い移動体無線通信機器用アンテナにおいて有用であるので、その産業上の利用可能性は高い。
本発明は、各種、各様の無線通信機器に用いられる複合アンテナ及びそれを用いた携帯端末に関するものである。
一般にダイバーシティアンテナのように複数のアンテナが用いられる通信装置においては、複数のアンテナ同士の間で電気的なアイソレーションを十分に取ることが重要となる。このため、このような複合アンテナにおいてはアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するため、アンテナと隣のアンテナとの間隔を大きく取っていた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、たとえば、特許文献1が知られている。近年、携帯電話などの移動体通信端末は小型化傾向が強く、このような複合アンテナを搭載する際には相隣接するアンテナの間隔を十分に確保することが難しくなり、結果的には電気的なアイソレーションを十分に確保することができないことが多かった。
特開2003−298340号公報
そこで、本発明はこのような問題を克服した、すなわち、電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化が図れる複合アンテナを提供するものである。
本発明は、グランドと、グランドに接続された第1給電点と、第1給電点に接続され、グランドと直交する軸または面に対して線対称形状または面対称形状または電気的に対称な第1導体と、第1導体に接続され、軸または面に対して線対称形状または面対称の形状または電気的に対称な第2導体と、軸または面の任意の位置に配置された第2給電点と、第2給電点と第2導体とを接続する第3導体と、第2給電点と第2導体とを接続し、軸または面に対して第3導体と線対称または面対称、または電気的に対称に配置された第4導体とを有する複合アンテナである。
本発明のこうした構成によれば、1つのアンテナエレメントがバランス型アンテナ及びアンバランス型アンテナの共通エレメントとして利用された対称構造を有するアンテナ構成により、バランス型アンテナとアンバランス型アンテナのそれぞれの給電点の電位変化が相互に抑制され、アンテナ間の電気的なアイソレーションも十分に確保することができる。これによって、複合アンテナを構成する各アンテナの電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化が図れる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかる複合アンテナ100を模式的に示した斜視図である。複合アンテナ100の基本的な構造は、ほぼ平面構造を有するグランド1と、グランド1に接続された第1給電点2と、第1給電点2に一端4aが接続され、グランド1とほぼ直交する軸3に対してほぼ線対称になるような形状を有し線対称に配置された第1導体4を備える。軸3は、グランド1のほぼ中央部に配置されている。また、複合アンテナ100は、第1導体4の他端4bに接続され、軸3に対して線対称になるような形状を有する第2導体5と、軸3上に配置された第2給電点6と、第2給電点6と第2導体5とを接続する第3導体7と、第2給電点6と第2導体5とを接続し、軸3に対して第3導体7と線対称に配置された第4導体8を有する。
複合アンテナ100は、第1給電点2から給電した場合、すなわち、第1給電点2に対して電力を供給した場合、アンバランス型アンテナとして作動する。一方、第2給電点6から給電した場合には、複合アンテナ100はバランス型アンテナとして作動する。
図2、図3を用いて、実施の形態1にかかる複合アンテナ100の動作を説明する。特に、第1給電点2と第2給電点6の間の電気的なアイソレーションが十分に確保することができる理由について説明する。
図2に示す複合アンテナ100において、第1給電点2から給電し、アンバランス型アンテナとして作動させた場合、図2に示すように第1給電点2から第1導体4を介して第2導体5を流れる電流9は、第1導体4と第2導体5との接続点10から遠ざかる方向、すなわち外方方向に向かって流れる。なお、図2においては、説明、作図の便宜上、電流9の向きは、接続点10を中心にして外方であるとして示している。しかし、電流9の向きは、第1給電点2に供給される信号の周波数に応じた周期によって、接続点10を中心にして外方方向と内方方向とに交互に切り替わる。
また、第1導体4と第2導体5は互いに軸3に対して共に線対称に配置されるような形状であるので、第1導体4と第2導体5との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。このため、第2導体5を流れる電流9は、軸3を中心にほぼ対称に流れる。第3導体7と第4導体8は、軸3に対して対称に配置されているので、軸3を中心に対称に流れる電流9により、第2給電点6及び第3導体7の接続点6aと、第2給電点6及び第4導体8の接続点6bとの間の電位差は常にほぼ零となる。こうした構成下においては、第1給電点2に給電し、アンバランス型アンテナとして使用する際に、第1給電点2から第2給電点6への電気的な干渉を排除することができるので、給電点と他の給電点の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
次に、第2給電点6から給電し、複合アンテナ100をバランス型アンテナとして作動させた動作について図3を用いて説明する。第2導体5に流れる電流11は、第2導体5の一方端部5aから他方端部5bに向けて一方向に流れる。ここで、第1導体4と第2導体5は、軸3に対して共に線対称に配置しているので、第2導体5と第1導体4との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。さらに、第2導体5が軸3に対してほぼ線対称の形状に形成されていることから、第2導体5における電圧分布は、第1導体4と第2導体5との接続点10において常にほぼ零となる。よって、第2給電点6に高周波信号を供給し、図1に示す複合アンテナ100をバランス型アンテナとして使用する場合には、第2給電点6から第1給電点2への不要な干渉が排除され、両者の給電間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
こうした構成によれば、従来、2本のアンテナ同士を電気的にアイソレーションするためにアンテナと他のアンテナとのアンテナ間距離を十分に大きくとる必要があった。しかし、本発明によれば、こうしたアンテナ同士の配置間隔を狭めることができるようになるので複合アンテナ100の小型化が図れる。また、従来、2組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明の複合アンテナ100によれば、2つの給電点で1つのアンテナエレメントを共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
また、図3においては、第2給電点6における複合アンテナのインピーダンス整合は、第2導体5と第3導体7の接続点14と、接続点10との間の距離、及び、第2導体5と第4導体8の接続点15と、接続点10の間の距離を調整することによって、取ることができる。このため、グランド1に近接して配置された通常のダイポールアンテナと比べてみてもインピーダンス整合を取ることが容易となる。
次に、本発明の複合アンテナ100の放射パターンについて説明する。第1給電点2から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第1導体4に生じる電流16(図2参照)である。第2導体5上に生じる電流9は接続点10に対して流れる向きが逆方向となるため、放射パターンには大きく影響しない。この結果、第2給電点6から信号を供給した場合の図1に示す複合アンテナ100の放射パターンは、XY面においてほぼ無指向性(偏波:Z軸)、±Z軸方向にヌル点を持つものとなる。
これに対し、第2給電点6から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第2導体5に生じる電流11(図3)であり、第1導体4には放射に寄与する電流は発生しない。また、第3導体7上の電流12と、第4導体8に流れる電流13は互いに逆方向に流れ、第3導体7と第4導体8との間隔が波長に対して狭ければ、放射パターンに大きく影響することはない。よって、第2給電点6から信号を供給した場合、図1に示す複合アンテナ100の放射パターンは、±X軸方向にヌル点を持つ。ここで、仮にグランド1が存在しなとすればYZ面において無指向性(偏波:X軸)となる。しかし、実際にはグランド1が存在しているため、このときの放射の振る舞いは、グランド1から反射され、+Z軸方向に最大利得を持つこととなる。
このように、±X軸方向と±Z軸方向においては、各給電点から信号を供給した場合のそれぞれの放射パターンが、お互いにヌル点を補う。また、±Y軸方向においては、偏波の異なる2つの放射パターンが存在することから、図1に示す複合アンテナ100を指向性ダイバーシティアンテナや偏波ダイバーシティアンテナとして使用することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。故に、図1に示すような小型で簡易なアンテナ構成とすることで、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能な円偏波アンテナを実現することができる。なお、グランド1の形状を各種各様に変更することによって円偏波が放射される方向には変化させることができる。
図1に示す本発明の複合アンテナ100は、ダイバーシティアンテナとして使用することができるだけではなく、2つのシステム用の複合アンテナとしても使用することができる。これにより、各種各様のシステムが組み込まれる携帯電話のアンテナ本数の低減に貢献することができ、携帯電話の小型化が図れる。また、図1に示す複合アンテナ100は、共用器、または共用器の一部としても使用することができる。これにより、新たな共用器の設置を排除することができ、携帯電話等の通信機器の小型化が図れる。なお、共用器の一部として図1に示す複合アンテナ100を採用すれば、信号の通過ロスを低減させながら共用器を設計することが可能となる。これにより、携帯端末の受信器としてNF特性を向上し、送信器としてパワーアンプの消費電力を低減することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6に供給される信号の周波数は同一であっても良いし、異なっていても良い。第1給電点2と第2給電点6とに異なる周波数の信号を供給するようにすれば、いくつかの周波数を使用した各種各様のシステムが複合された通信機のアンテナに適用することが可能となる。
ここで、実施の形態1の骨子を図1を用いて要約すると次のとおりである。すなわち、本発明にかかる複合アンテナ100は、グランド(1)と、グランド(1)に接続された第1給電点(2)と、第1給電点(2)に接続され、グランド(1)と直交する軸(3)または面に対して線対称または面対称形状を有する第1導体(4)と、第1導体(4)に接続され、軸(3)または面に対して線対称形状または面対称の形状を有する第2導体(5)と、軸(3)または面の任意の位置に配置された第2給電点(6)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続する第3導体(7)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続し、軸(3)または面に対して第3導体(7)と線対称または面対称にまたは配置された第4導体(8)とを有する。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる複合アンテナ104の斜視図である。実施の形態2が実施の形態1と相違する主な点は、第2導体5の途中にインダクタ17が接続されている点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。そして、第2導体5が軸3に対して線対称ではなく、インダクタ17が接続された側のエレメント長はそれが接続されていない側のエレメント長よりも短くなるように設定している。これによって、両者の電気長は軸3に対して線対称に保つことができる。なお、第2導体5の電気長に関しては、軸3に対して線対称になるように、インダクタ17及び第2導体5のエレメント長が調整されている。
図4に示す複合アンテナ104は、構造的には対称性が十分に満足されてはいないものの、電気的には対称性が保たれている。このため、それぞれの給電点2,6の電流、電圧分布は実施の形態1とほぼ同様になる。それぞれの給電点2,6での電位変化がお互いに抑制され、給電点2と6の間において、電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。その結果、従来、2本のアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するために確保しなければならなかったアンテナと隣のアンテナとの距離を短くすることができるので、複合アンテナの小型化が図れる。また、従来、2組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明によれば、1つのアンテナエレメントを2つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
なお、図4においては、複合アンテナ104は軸3に対してほぼ線対称の形状を有するものとして説明した。しかし、グランド1に直交する任意の面に対して面対称の形状を有する複合アンテナとして構成してもその動作、作用、効果はほぼ同じである。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3にかかる複合アンテナ105の斜視図である。実施の形態3が実施の形態1と相違する主な点は、第2導体5の形状が2つの扇の要を当接させた形状となっている点、及び、第1導体4の形状が蛇行している点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。第1導体4及び第2導体5は、共に、軸3に対してほぼ線対称としているため、実施の形態1と同様のアンテナ動作を有することとなる。第2導体5の形状が2つの扇の要を当接させた形状であるため、より広帯域特性を得ることが可能となる。また、第1導体4が蛇行しているため、第1給電点2から給電したときの複合アンテナ105の共振周波数の大きさを下げることができ、その結果、複合アンテナ105の小型化を図ることができる。なお、第2導体5は軸3に対して線対称な円盤形状としても良い。これにより、さらに広帯域なアンテナを実現することができる。また、第1導体4は、軸3に対してほぼ線対称であれば、蛇行形状以外の形状でもあってもかまわない。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4にかかる複合アンテナ106の斜視図である。実施の形態4が実施の形態1と相違する主な点は、複合アンテナ106の形状が平面18に対して面対称となっている点、及び、第2導体5の一部がメアンダ形状19となっている点である。
平面18はグランド1のほぼ中央部に配置されている。複合アンテナ106が平面18に対して面対称となる構造を有している場合にも、実施の形態1と同様のアンテナ動作を得ることができる。このため、第1給電点2と第2給電点6との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。また、第2導体5の一部をメアンダ形状19とすることにより、第1給電点2及び第2給電点6からそれぞれ給電したときのそれぞれのアンテナの共振周波数を下げることができる。このように共振周波数を下げる第2導体5の形状は、平面18に対して面対称であればどのような形であっても良い。たとえば、第2導体5を方形状の平面としても良い。また、楕円形または円形のループ形状にしても良い。これにより、共振周波数を下げることができると共に、アンテナの広帯域特性を向上することも可能となる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5にかかる複合アンテナ107の斜視図である。実施の形態5が、実施の形態1と相違する主な点は、第3導体7が第2導体5の一方端部5aで接続される点、及び、第4導体8は第2導体5の他方端部5bで接続されている点である。これにより、第2給電点6から給電された場合には、複合アンテナ107はループアンテナとして作動する。第1給電点2から給電された場合には、複合アンテナ107はモノポールアンテナとして作動する。こうした構成によって、磁流型アンテナであるループアンテナと電流型アンテナであるモノポールアンテナとが複合されたアンテナを1つのアンテナエレメントにより構成することができる。こうした複合アンテナ107は、人体の近傍や自由空間といった色々な環境下での使用を可能にする。また、複合アンテナの小型化が図れる。
また、第2給電点6と第2導体5との間隔を狭くした場合、つまり第2導体5と第3導体7と第4導体8で作られる形状が、細長い矩形形状となった場合には、第2給電点6から給電すると複合アンテナ107をフォールデッドダイポールとして作動させることもできる。これにより第2給電点6からみたアンテナ入力インピーダンスを高く設計することができ、アンテナの広帯域化が可能となる。
(実施の形態6)
図8、図9A及び図9Bは、本発明の実施の形態6にかかる複合アンテナの斜視図である。実施の形態6が、実施の形態1と相違する主な点は、図8の複合アンテナ108に示されるように、第2導体5の形状が方形のフォールデッド形状となっている点である。これにより、第1給電点2から給電されたときのアンテナの共振周波数を下げることができる。また、第2給電点6から給電されたときのアンテナの放射抵抗を向上させることができ、広帯域特性を実現することができる。
第2導体5の形状は、図8に示したものの外に、図9Aに示すように複合アンテナ109Aは、楕円形のフォールデッド形状としても、図8に示す複合アンテナ108のものと同様の効果を奏する。
また、図8および図9Aにおいて、第2導体5の第1導体4と接続された辺と対向する辺に第3導体7及び第4導体8が接続されているが、第2導体5の第1導体4が接続されている辺側に第3導体7及び第4導体8を接続しても良い。これにより、図8及び図9Aと同様の効果を得ることができる。たとえば、図9Aに示す複合アンテナ109Aを変形して、図9Bに示すように別の複合アンテナ109Bとしても、図8及び図9Aと同様の効果を奏する。
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態7にかかる複合アンテナ110の上面図である。実施の形態7が、実施の形態1と相違する主な点は、グランド1の形状が軸3に対して線対称形状の方形の平面となっている点、及び、グランド1の端部に第1給電点2が接続されている点である。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。なお、図10に示す複合アンテナ110は、第2給電点6とグランド1は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8とグランド1も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2に給電した場合に、放射に寄与する電流がグランド1にも流れるため(特に±Z軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。また、グランド1のZ軸方向の電気長を、グランド1の長さを変えることにより調整することで、第1給電点に給電した場合のアンテナの広帯域化を図ることができる。
なお、図10に示すグランド1は、軸3に対して線対称となる形状を有している。しかし、グランド1において電流分布の低い部分の形状が軸3に対して必ずしも線対称でなくても、第1給電点2と第2給電点6との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、携帯端末等に実施の形態7の複合アンテナを使用することで、小型形状の指向性ダイバーシティアンテナまたは偏波ダイバーシティアンテナを実現することができる。
(実施の形態8)
図11は、本発明の実施の形態8にかかる複合アンテナ111の斜視図である。実施の形態8と実施の形態1との主な相違点は次のとおりである。すなわち、実施の形態1(図1〜図3)においては、グランド1は車の天板20で構成されている点、及び、第1給電点2が天板20の端部20aに接続されている点、及び、複合アンテナがフロントガラス21上に設置されている点である。これに対して、図11に示す実施の形態8においては、第2給電点6と天板20は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8と天板20も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2から給電した場合に、放射に寄与する電流は天板20上にも流れるため(特に±Y軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。この場合、放射パターンは、±Y軸方向に主にヌル点が発生し、概ね±X軸方向に最大利得を有するものとなる。つまり、放射パターンは、XY面において、概ね数字の「8」に似た形状パターンとなる。
これに対して、第2給電点6に給電した場合のアンテナの放射パターンは、第2導体5に流れる電流は主に放射に寄与し、天板20が反射板として作用することから、概ね−Y軸方向に最大利得を有し、概ね+Y軸方向に最小利得を有する放射パターンとなる。
このように、それぞれの給電点2,6に給電したときの、それぞれの放射パターンの最大利得方向が異なるため、車載指向性ダイバーシティアンテナとして、本発明の複合アンテナを使用することが可能となる。また、フロントガラス21に貼り付けられるダイバーシティアンテナは、ドライバーの視認性を遮らないような小型であることが望ましいので、このようなユーザニーズに適したアンテナ構成を実現することが可能となる。
また、デジタルテレビジョンのように、信号復調時に同期検波や伝搬路等化等の信号処理を行う場合には、車室内の散乱波を受信すると特性劣化に繋がる。このような車室内散乱波を受信しないような放射パターンを有するアンテナ、つまり、車室内方向のアンテナ利得が低いアンテナが求められている。さらに、車の進行方向に対して直交する方向(図11において±X軸方向)からの到来波は、ドップラー周波数が発生せず、信号復調時の特性劣化に繋がらないため、この方向からの到来波をより受信しやすいアンテナが求められている。そこで、第2給電点6から給電したときのアンテナの車室内方向放射利得は、天板20が反射板として機能することから低く抑えることができる。
また、第1給電点2から給電したときのアンテナ放射パターンの最大利得方向は±X軸方向とすることができる。よって、図11に示すように、本発明の複合アンテナを車のフロントガラス21に配置させることにより、デジタルテレビジョンやデジタルラジオに最適なダイバーシティアンテナを小型に実現することが可能となり、受信特性の飛躍的向上を図ることが可能となる。
なお、本発明にかかる複合アンテナ111をフィルムアンテナにより構成しても良い。これにより、ドライバ−の視認性に悪影響を与えることなく、また、目障りにならないアンテナを実現することが可能となる。また、リアガラス上に複合アンテナを設置しても、同様の効果が得られる。
(実施の形態9)
図12は実施の形態9にかかる複合アンテナ112の斜視図である。複合アンテナ112は、ほぼ平面形状を成すグランド1と、グランド1に接続された第1給電点2と、第1給電点2に一端4aが接続され、グランド1に直交する軸3に対して線対称形状の第1導体4とを有する。軸3はグランド1のほぼ中央部に配置されている。また、複合アンテナ112は、第1導体4に接続され、軸3に対して線対称形状の第2導体5を備え、第2導体5のほぼ中央部は第1導体4の他端4bに接続されている。また、軸3上に設けた第2給電点6と、第2給電点6と第2導体5とを接続する第3導体7と、第2給電点6と第2導体5とを接続し、軸3に対して第3導体7と線対称に配置された第4導体8とを有する。
さらに、複合アンテナ112は、第2導体5と直交すると共に、軸3に対して電気的に対称に、かつ、線対称形状に設定された第5導体22と、軸3上に配置された第3給電点23と、第3給電点23と第5導体22とを接続する第6導体24と、第3給電点23と第5導体22とを接続し、軸3に対して第6導体24と電気的に対称であり、かつ、線対称に配置された第7導体25とを有する。
第1給電点2から給電した場合、図12に示す複合アンテナ112はアンバランス型アンテナとして作動する。第2給電点6及び第3給電点23から給電した場合には、図12の複合アンテナ112はバランス型アンテナとして作動する。
次に、図13、図14を用いて、実施の形態9に示す図12の複合アンテナ112の動作原理を説明する。特に、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションが十分に確保することができる理由について説明する。
図12に示す複合アンテナ112において、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を図13に示す。図13の第1給電点2から給電し、図12に示す複合アンテナ112をアンバランス型アンテナとして作動させた場合、図13に示されるように第1給電点2から第1導体4を介して第2導体5を流れる電流26は、第1導体4と第2導体5との接続点27を中心にして外方方向に流れる。なお、図13においては、説明の便宜上、電流26の向きは、接続点27を中心にして外方方向としたが、電流26の向きは、第1給電2に供給される信号の周波数に応じた周期で、接続点27を中心に外方方向と内方方向とを繰り返す。
また、第2導体5と第1導体4とが軸3に対して共に線対称形状であるので、第1導体4における第2導体5との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。このため、第2導体5に流れる電流26は、軸3を中心にほぼ対称に流れる。第3導体7と第4導体8は、軸3に対して線対称であるので、接続点27を中心に外方に流れる電流26により、第2給電点6及び第3導体7の接続点と、第2給電点6及び第4導体8の接続点の間の電位差が常にほぼ零となる。このため、第1給電点2に給電し、図12に示す複合アンテナ112をアンバランス型アンテナとして使用する際に、第2給電点6への干渉が排除され、両給電間における電気的なアイソレーションが十分に確保される状態となるのである。
図13において、第2導体5の電流分布に基づき第2給電点6と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションが確保される理由について説明した。これは、図12の第3給電点23と第1給電点2との間においても同様のことが言える。第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションも十分に確保することができる。
次に、第2給電点6から給電し、図12の複合アンテナ112をバランス型アンテナとして作動させた場合の動作原理を図14に基づいて説明する。図14は、図12の複合アンテナにおいて、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。第2導体5に流れる電流28は、第2導体5の一方端部5aから他方端部5bに向けて一方向に流れる。なお、第2導体5と第1導体4とが軸3に対して共に線対称形状であるので、第2導体5における第1導体4との電磁界結合は軸3に対してほぼ線対称となる。
さらに、第2導体5が軸3に対してほぼ線対称形状に形成されていることから、第2導体5における電圧分布が、第1導体4と第2導体5の接続点27において常にほぼ零となる。よって、第2給電点6に信号を供給し、図12に示す複合アンテナ112をバランス型アンテナとして使用する場合には、第2給電点6から第1給電点2に対する不要な干渉が排除され、電気的なアイソレーションが十分に確保された状態となるのである。
図14において、第2導体5の電流分布に基づき第2給電点6と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションが確保される理由を説明したが、これは、図12の第3給電点23と第1給電点2との間においても同様のことが言える。第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、図12に示す複合アンテナ112において、第2給電点6及び第3給電点23からバランスよく給電された場合、第2導体5と第5導体22が直流的に接続された接続点27において電位がほぼ零となる。このため、第2給電点6から入力された信号が第5導体22へ漏れ込むという不具合を排除することができる。また、第2導体5と第5導体22は直交して配置されているため、第2導体5と第5導体22の間で電磁結合するという不具合を排除することができる。これは、第2導体5による放射の偏波方向と第5導体22による放射の偏波方向とが直交するためである。故に、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することが可能となる。
上述のように、従来、3本のアンテナ同士の電気的なアイソレーションを確保するために設けられていた比較的長いアンテナ間距離を設ける必要がなくなり、複合アンテナの小型化が図れる。また、従来、3組のアンテナエレメントを用意する必要があったが、本発明により、2つのアンテナエレメントを3つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化が図れる。
また、図14において、第2給電点6における複合アンテナのインピーダンス整合は、第2導体5と第3導体7の接続点31と接続点27の間の距離、及び、第2導体5と第4導体8の接続点32と接続点27の間の距離を調整することにより取ることができるため、グランド1に近接して配置された通常のダイポールアンテナと比較してインピーダンス整合を取ることが容易となる。このことは、第3給電点23において複合アンテナのインピーダンス整合をとる場合にもほぼ同様である。
次に、本発明の複合アンテナ112の放射パターンについて図13、図14を用いて説明する。第1給電点2から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第1導体4に生じる電流33であり、第2導体5に生じる電流26は接続点27に対して向きが逆方向となるので、放射には大きな影響は与えない。この結果、第2給電点6から信号を供給した場合には、図12に示す複合アンテナ112の放射パターンは、XY面においてほぼ無指向性(偏波方向:Z軸)で、概ね±Z軸方向にヌル点を持つものとなる。
これに対し、第2給電点6から信号を供給した場合、放射に寄与する電流は、第2導体5に生じる電流28であり、第1導体4には放射に寄与する電流は発生しない。また、第3導体7の電流29と第4導体8上の電流30は互いに逆方向に流れる。このため、第3導体7と第4導体8の間隔が波長に対して狭ければ、放射パターンに大きく影響することはない。よって、第2給電点6から信号を供給した場合には、図12に示す複合アンテナ112の放射パターンは、概ね±X軸方向にヌル点を持ち、グランド1が仮に存在しなければYZ面において無指向性(偏波方向:X軸)となる。しかし、グランド1が存在しないとすれば、この放射パターンは、グランド1により反射され、概ね+Z軸方向に最大利得を持つこととなる。
図12において、第3給電点23から信号を供給した場合においても、第2給電点6から信号を供給した場合と同様の電流分布となる。そのときの放射パターンは、概ね±Y軸方向にヌル点を持ち、グランド1が存在しないとすればXZ面において無指向性(偏波方向:Y軸)となる。しかし、実際はグランド1が存在するため、−Z軸方向の放射はグランド1によって反射され、概ね+Z軸方向に最大利得を持つ放射パターンとなる。
このように、各給電点から信号を供給した場合のそれぞれの放射パターンが、お互いにヌル点を補うと共に、±X軸方向及び±Y軸方向においては各アンテナの偏波方向が異なることから、図12に示す複合アンテナ112を指向性ダイバーシティアンテナや偏波ダイバーシティアンテナとして使用することができる。
また、図12において、第1給電点2と第2給電点6に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Y軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。また、第1給電点2と第3給電点23に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±X軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。さらに、第2給電点6と第3給電点23に同一周波数の信号が供給される場合、互いの信号の位相を適宜調整することにより、ほぼ±Z軸方向に円偏波を放射させることが可能となる。なお、グランド1の形状により円偏波が放射される方向は変化する。
このように、図12に示す複合アンテナ112は小型で簡易なアンテナ構成であるにもかかわらず、多方向に円偏波を放射させることが可能な円偏波アンテナを実現することができる。
なお、図12に示す本発明の複合アンテナ112は、ダイバーシティアンテナとして使用することができるだけでなく、3つのシステム用の複合アンテナとしても使用することができる。これにより、各種各様のシステムが組み込まれた携帯電話のアンテナ本数の低減に貢献することができ、携帯電話の小型化を図ることができる。
また、図12に示す複合アンテナ112は、共用器、または共用器の一部としても使用することができる。これにより、あらたに共用器を設置しなければならないという不具合を排除することができ、携帯電話等の通信機器の小型化が図れる。
なお、共用器の一部として図12に示す複合アンテナ112を使用するならば、信号の通過ロスを低減させながら共用器を設計することが可能となる。これにより、携帯端末の受信器としてのNF特性を向上し、送信器としてパワーアンプの消費電力を低減することができる。
また、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23に供給される信号の周波数は同一でも良いし、異なっていても良い。第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23とに異なる周波数の信号が供給される場合、数々の周波数を使用した色々なシステムが複合された通信機のアンテナとして、図12に示す複合アンテナ112を適用することが可能となる。
ここで実施の形態9の骨子を、図12を用いて要約すると次のとおりである。すなわち、本発明にかかる別の複合アンテナは、グランド(1)と、グランド(1)に接続される第1給電点(2)と、第1給電点(2)に接続され、グランド(1)と直交する軸(3)または面に対して線対称形状または面対称形状または電気的特性の対称性を有する第1導体(4)と、第2給電点(6)と、第2給電点(6)を通る任意の軸(3)に対し線対称形状または面対称形状を有し、かつ、第1導体(4)に接続される第2導体(5)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続する第3導体(7)と、第2給電点(6)と第2導体(5)とを接続すると共に任意の軸(3)に対し第3導体(7)とほぼ線対称に配置された第4導体(8)と、任意の軸(3)上に配置された第3給電点(23)と、第2導体(5)とほぼ直交して配置されると共に任意の軸(3)に対しほぼ線対称形状または面対称形状を有する第5導体(22)と、第3給電点(23)と第5導体(22)とを接続する第6導体(24)と、第3給電点(23)と第5導体(22)とを接続すると共に任意の軸(3)に対し第6導体(24)とほぼ線対称または面対称に配置された第7導体(25)とを有する。
(実施の形態10)
図15は実施の形態10にかかる複合アンテナ115の断面図である。特に、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。実施の形態10においては基本的には実施の形態9とほぼ同様である。
実施の形態10が実施の形態9と相違する主な点は、第2導体5の途中にインダクタ34が接続されている点である。そして、第2導体5が軸3に対して線対称ではなく、インダクタ34が接続されている側のエレメント長がインダクタ34が接続されていない側のエレメント長よりも短くなるように設定している。これによって、第2導体5の電気長は、軸3に対して線対称になるように、インダクタ34及び第2導体5のエレメント長が調整されることになる。すなわち、図15においては、構造的には対称性が十分に満足されていないものの、電気的には対称性が保たれている。このため、第1給電点2および第2給電点6の電流、電圧分布は実施の形態9とほぼ同様になる。従って、第1給電点2および第2給電点6の電位変化がお互いに抑制され、第1給電点2と第2給電点6の間の電気的なアイソレーションが十分に確保される。
また、図15に示した構成に加えて、図12に示した第5導体22を採用する場合には、図15における第2導体5と同様に、軸3に対して電気的な特性が対称性を保っていれば、構造的には非対称的であっても、第3給電点23と第1給電点2の間の電気的なアイソレーションを確保することができる。
さらに、図15に示す第2導体の接続点27においては、軸3に対して電気的に対称性が保たれているため電位が零となり、結果的に、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。その結果、従来、2本のアンテナ間の電気的なアイソレーションを確保するために用意しなければならなかった比較的長いアンテナ間の距離を用意する必要がなくなる。これによって複合アンテナ115の小型化が図れる。また、従来、3組のアンテナエレメントを用意する必要があったものを、本発明により、2つのアンテナエレメントを3つの給電点で共有することが可能となるため、アンテナ構造の簡略化を実現することができる。
なお、図15においては、軸3に対して線対称の形状を有する複合アンテナとして説明した。しかし、グランド1の任意の平面に対して面対称の形状を有する複合アンテナとして構成しても、その動作はほぼ同様である。
(実施の形態11)
図16は、実施の形態11にかかる複合アンテナ116の斜視図である。実施の形態11にかかる発明の効果は実施の形態9とほぼ同様である。実施の形態11が実施の形態9との相違する主な点は、図16に示されるように、第2導体5と第5導体22とが直流的に接続されていない点である。実施の形態11においては、このような構造であっても、実施の形態9と同様のアンテナ動作がなされ、同様の効果を奏する。また、第2導体5と第3導体9を接続する工程を省くことができるため、複合アンテナの製造工程を簡略化することができる。
また、図16に示す第4導体9と第6導体24と第7導体25を単純なダイポールアンテナで置き換えても良い。
(実施の形態12)
図17は実施の形態12にかかる複合アンテナ117の斜視図である。実施の形態12が実施の形態9と相違する主な点は、図17に示されるように、第2導体5と第5導体22とが1つの導体である円形導体35から構成されていることである。また、第1導体4の形状が蛇行している点である。第2導体5と第5導体22を1つの導体である円形導体35に置き換えても、複合アンテナは実施の形態9とほぼ同様に動作する。なお、第2導体5と第5導体22とにより、円形導体ではなく、正n角形導体(n=m×2+2、ただし、mは1以上の整数)を構成しても良い。
また、第1導体4は、軸3に対してほぼ線対称となっているため、実施の形態9と同様のアンテナ動作を有する。よって、実施の形態9と同様の効果を奏する。また、第2導体5と第5導体22を1つの円形導体35により実現することができるため、アンテナ構造上、強固なものとなると共に、複合アンテナ117の製造工程の簡略化が図れる。
(実施の形態13)
図18は、実施の形態13にかかる複合アンテナ118の斜視図である。基本的には実施の形態9とほぼ同様の効果を奏する。
実施の形態13が実施の形態9と相違する主な点は、図18に示されるように、第2導体5と第5導体22とが一体の長方形導体36からなる点である。長方形導体36は、YZ平面37及びXZ平面38に対してそれぞれ面対称または電気的に対称となる形状を有する。このため、複合アンテナ118は、実施の形態9と同様のアンテナ動作を有し、同様の効果を奏する。
また、第2導体5と第5導体22を1つの長方形導体36により実現することができるため、アンテナ構造上、強固なものとなると共に、複合アンテナの製造工程を簡略化することができる。さらに、長方形導体36の形状が長方形形状であるため、第1給電点2から給電した場合の複合アンテナの動作周波数を2つに増やすことができると共に広帯域化を図ることができる。つまり、第2給電点6から給電した場合の複合アンテナの共振周波数と第3給電点23から給電した場合の複合アンテナの共振周波数を異ならせることが可能となる。
(実施の形態14)
図19は実施の形態14にかかる複合アンテナ119の断面図である。特に、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。なお、実施の形態14は、基本的には実施の形態9のほぼ同じ効果を奏する。
実施の形態14が実施の形態9と大きく相違する主な点は、図19に示されるように、第3導体7が第2導体5の一方端部5aで接続される点、及び、第4導体8は第2導体5の他方端部5bで接続される点である。
これにより、第2給電点6から給電された場合には複合アンテナはループアンテナとして作動し、第1給電点2から給電された場合には複合アンテナはモノポールアンテナとして作動する。故に、磁流型アンテナであるループアンテナと電流型アンテナであるモノポールアンテナが複合されたアンテナを1つのアンテナエレメントにより構成することができ、人体の近傍や自由空間といった色々な環境下で使用可能に成ると共にアンテナの小型化が図れる。
また、第2給電点6と第2導体5の間隔を狭くした場合、すなわち、第2導体5と第3導体7と第4導体8で作られる形状が、細長い矩形(方形)形状となった場合、第2給電点6から給電すると複合アンテナをフォールデッドダイポールとして作動させることもできる。これにより第2給電点6から見たアンテナ入力インピーダンスを大きく設計することができ、アンテナの広帯域化が可能となる。なお、図19には示していないが、たとえば、図12に示した第5導体22及び第6導体24及び第7導体25を実施の形態14に付け加えることもできる。こうした構成下においても複合アンテナとしては、ほぼ同等の効果を奏する。こうした場合、第2導体5または第5導体22を方形または楕円形または円形のループ形状としても良い。
(実施の形態15)
図20、図21A、図21Bは、実施の形態15にかかる複合アンテナの断面図である。これらの図面は、複合アンテナ120,121A及び121Bは、第2導体5が存在するXZ面でカットしたときの断面図を示す。なお、実施の形態15に示す複合アンテナ115は基本的には実施の形態9(図12)と同等の効果を奏する。
実施の形態15が実施の形態9と相違する主な点は、図20に示されるように、第2導体5の形状が方形のフォールデッド形状となっている点である。これにより、第1給電点2から給電されたときのアンテナの共振周波数を下げることができる。その結果、アンテナの小型化を図ることができる。また、第2給電点6から給電されたときのアンテナの放射抵抗を向上させることができ、広帯域特性を実現できることとなる。
第2導体5の形状は、図20に示したものの外に、図21Aに示すような楕円形のフォールデッド形状としても、図20と同様の効果を奏する。
また、図20および図21Aにおいては、第2導体5の第1導体4と接続された辺と対向する辺に第3導体7及び第4導体8が接続されている。なお、第2導体5の第1導体4が接続されている辺側に第3導体7及び第4導体8を接続しても良い。こうした構成であっても、同等の効果を奏する。たとえば、図21Bに示すような形で給電を行ったとしても、図20及び図21Aに示す複合アンテナ120,121Aと同様な効果を奏する。
(実施の形態16)
図22は、実施の形態16にかかる複合アンテナ122の斜視図である。実施の形態16が実施の形態9と相違する主な点は、図22に示されるように、グランド1の形状が軸3に対して線対称形状の方形の平面となっている点、及びグランド1の端部に第1給電点2が接続されている点である。なお、図22においては、第2給電点6とグランド1は接続されておらず、また、第3導体7及び第4導体8とグランド1も接続されていない。
このような構成とすることで、第1給電点2に給電した場合に、放射に寄与する電流がグランド1にも流れるため(特に±Z軸方向)、第1給電点2に給電した場合のアンテナの放射抵抗が大きくなり、他回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、放射効率を向上させることが可能となる。なお、放射パターンに関しては、実施の形態9とほぼ同様である。また、グランド1のZ軸方向の電気長を、グランド1の長さを変えることにより調整することで、第2給電点に給電した場合のアンテナの広帯域化を図ることができる。
なお、図22のグランド1は、軸3に対して線対称となる形状を有しているが、グランド1上において電流分布の低い部分の形状を軸3に対して必ずしも線対称に配置しなくとも、第1給電点2と第2給電点6と第3給電点23との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
また、携帯端末等に実施の形態8の複合アンテナを使用することで、小型形状の指向性ダイバーシティアンテナまたは偏波ダイバーシティアンテナを実現することができる。
(実施の形態17)
図23、図24及び図25は実施の形態17にかかる複合アンテナ123,124及び125のそれぞれ斜視図である。実施の形態17が実施の形態9と相違する主な点は、図23に示されるように、複合アンテナが実施の形態9に示したグランド1及び第1給電点2及び第1導体4を有していない点である。
実施の形態17に示す複合アンテナ123は、2つのアンテナエレメントである第2導体5と第5導体22がそのほぼ中央位置で接続固定されており、アンテナ自体の強度を向上させることができる。
複合アンテナが第2給電点5及び第3給電点23からバランスよく給電された場合、第2導体5と第5導体22が直流的に接続されている接続点14aにおいて電位がほぼ零となる。このため、第2給電点5から入力された信号が第5導体22へ漏れ込むという不具合を排除することができる。また、第2導体5と第5導体22は直交して配置されているため、第2導体5と第5導体22の間で電磁結合するという不具合を排除することができる。これは、第2導体5による放射の偏波方向と第5導体22による放射の偏波方向とが直交するためである。故に、第2給電点6と第3給電点23との間の電気的なアイソレーションを十分に確保することが可能となる。
また、図23に示した、構造的強度の更なる向上を図った複合アンテナの実施の形態を図24に示す。図24に示す複合アンテナ124は、第2導体5と第3導体9とが1つの導体である円形導体35からなる。これにより、複合アンテナ124の機械的強度の向上を図ることができる。また、第3給電点23から給電した場合、円形導体35と第3導体7及び第4導体8とがそれぞれ接続されている点を結ぶ直線上で零電位となり、同様に、第2給電点6から給電した場合、円形導体35と第6導体24及び第7導体25とがそれぞれ接続されている点を結ぶ直線上で零電位となる。このため、第2給電点6と第3給電点23の間の電気的なアイソレーションを十分に確保することができる。
図25は、図24の複合アンテナの円形導体35を長方形導体36に置き換えた複合アンテナ125である。図25の複合アンテナにおいても、図24の複合アンテナと同様の機械的強度の向上効果を奏する。さらに、長方形導体36のX軸方向の電気長とY軸方向の電気長に差異があるため、第2給電点6から複合アンテナを見たときのアンテナの共振周波数と第3給電点23から複合アンテナを見たときのアンテナの共振周波数とが異なり、2周波数帯域で使用可能なアンテナを実現することができる。
本発明にかかる複合アンテナ及び携帯端末は、電気的なアイソレーションを確保しつつ小型化できるという効果を奏する。特に携帯電話用アンテナや車載アンテナなどのように小型化要望の強い移動体無線通信機器用アンテナにおいて有用であるので、その産業上の利用可能性は高い。
本発明の実施の形態1にかかる複合アンテナを示す斜視図
同複合アンテナにおいて第1給電点に給電するときの状態を示す斜視図
同複合アンテナにおいて第2給電点に電力を給電するときの状態を示す斜視図
本発明の実施の形態2にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態3にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態4にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態5にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態6にかかる第1の複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態6にかかる第2の複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態6にかかる第2の複合アンテナの別の例を示す斜視図
本発明の実施の形態7にかかる複合アンテナを示す上面図
本発明の実施の形態8にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態9にかかる複合アンテナを示す斜視図
同複合アンテナにかかる第1給電点に給電するときの状態を示す断面図
同複合アンテナにかかる第2給電点に電力を給電するときの状態を示す断面図
本発明の実施の形態10にかかる複合アンテナを示す断面図
本発明の実施の形態11にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態12にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態13にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態14にかかる複合アンテナを示す断面図
本発明の実施の形態15にかかる第1の複合アンテナを示す断面図
本発明の実施の形態15にかかる第2の複合アンテナを示す断面図
本発明の実施の形態15にかかる第3の複合アンテナを示す断面図
本発明の実施の形態16にかかる複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態17にかかる第1の複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態17にかかる第2の複合アンテナを示す斜視図
本発明の実施の形態17にかかる第3の複合アンテナを示す斜視図
符号の説明
1 グランド
2 第1給電点
3 軸
4 第1導体
5 第2導体
6 第2給電点
7 第3導体
8 第4導体
17 インダクタ
18 平面
19 メアンダ形状
20 天板
21 フロントガラス
22 第5導体
23 第3給電点
24 第6導体
25 第7導体
100,104,105,106,107,108,109A,109B,110,111,112,114,115,116,117,118,119,120,121A,121B,122,123,124,125 複合アンテナ