JPWO2006093208A1 - 顕微鏡用アダプタおよび顕微鏡装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給/回収する顕微鏡装置を提供することを目的とする。そのため、液浸系の対物レンズ22と、対物レンズの先端51と基板との間に液体を吐出する吐出手段と、液体を吸引する吸引手段とを備える。対物レンズの先端の周囲には、先端と隣接する2箇所の各々に傾斜面52,53が設けられ、かつ、該傾斜面と隣接する箇所に、該傾斜面より対物レンズの物体側に突出した突出部54が設けられる。一方の傾斜面52は、先端から対物レンズの側面まで延在され、該側面において突出部と基板とで囲まれた開口部を形成する。吐出手段は、傾斜面52に設けられた管状部材23を含み、該管状部材の幅が傾斜面52の幅より狭く、該管状部材を用いて液体を吐出する。吸引手段は、他方の傾斜面53に設けられた管状部材24を含み、該管状部材の幅が管状部材23の幅より広く、該管状部材24を用いて開口部から空気を取り込みつつ液体を吸引する。
Description
本発明は、基板や標本の液浸観察に用いられる顕微鏡装置および対物レンズと標本や基板との間に設けられる顕微鏡用アダプタに関する。
基板(例えば半導体ウエハや液晶基板など)に形成された回路パターンの欠陥や異物などを高い分解能で観察するために、液浸系の対物レンズを用い、この対物レンズの先端と基板との間を水などの液体で満たし、液体の屈折率(>1)に応じて対物レンズの開口数を大きくすることが提案されている(例えば特開2005−83800号公報を参照)。また、コンパクトな装置構成とするために局所液浸の状態で観察することも提案されている。この場合は、基板の観察点ごとに、液体を局所的に供給して観察を行った後、その液体の回収が行われる。
しかし、上記の装置では、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給あるいは回収をすることができない。このため、高スループットで基板の液浸観察を行うことができなかった。
しかし、上記の装置では、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給あるいは回収をすることができない。このため、高スループットで基板の液浸観察を行うことができなかった。
本発明の目的は、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給あるいは回収が可能な顕微鏡用アダプタおよび顕微鏡装置を提供することにある。
上記課題の解決のため本発明の一態様による顕微鏡用アダプタは、
標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズの先端の周囲に設けられ、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記液浸対物レンズの像側に近づく方向に設けられた傾斜面と、
前記傾斜面と隣接する箇所に設けられ、前記傾斜面より前記液浸対物レンズの物体側に突出した突出部とを有し、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記液浸対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記標本とで囲まれた開口部を形成することを特徴とする。
また、本発明のもう1つの顕微鏡装置は、
観察対象の基板を支持する支持手段と、
液浸系の対物レンズと、
前記対物レンズの先端と前記基板との間に液体を吐出する吐出手段と、
前記液体を前記基板から吸引する吸引手段とを備え、
前記対物レンズの前記先端の周囲には、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記対物レンズの像側に近づく方向の傾斜面が設けられ、かつ、該傾斜面と隣接する箇所に、該傾斜面より前記対物レンズの物体側に突出した突出部が設けられ、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記基板とで囲まれた開口部を形成し、
前記吐出手段は、前記一方の傾斜面に設けられた第1の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記一方の傾斜面の幅より狭く、該第1の管状部材を用いて前記液体を吐出し、
前記吸引手段は、前記2箇所の傾斜面のうち他方に設けられた第2の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記第1の管状部材の幅より広く、該第2の管状部材を用いて前記開口部から空気を取り込みつつ前記液体を吸引する
ことを特徴とする。
また、本発明のもう1つの態様による顕微鏡用アダプタは、
標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズと前記標本との間に液体を保持する液体保持部と、
前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路と
を有することを特徴とする。
また、本発明のもう1つの態様による顕微鏡装置は、
標本を保持するステージと、液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズの先端と前記標本との間に液体を供給する液体供給手段と、前記液体を除去する液体除去手段とを有する顕微鏡と、
前記液浸対物レンズ或は前記顕微鏡との連結部と、前記液浸対物レンズと前記標本との間に前記液体を保持する液体保持部と、前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路とを有する顕微鏡用アダプタとを有し、
前記第1通路の一端は前記液体除去手段に連結されていることを特徴とする。
本発明の顕微鏡用アダプタおよび顕微鏡装置によれば、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給あるいは回収することができる。
上記課題の解決のため本発明の一態様による顕微鏡用アダプタは、
標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズの先端の周囲に設けられ、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記液浸対物レンズの像側に近づく方向に設けられた傾斜面と、
前記傾斜面と隣接する箇所に設けられ、前記傾斜面より前記液浸対物レンズの物体側に突出した突出部とを有し、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記液浸対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記標本とで囲まれた開口部を形成することを特徴とする。
また、本発明のもう1つの顕微鏡装置は、
観察対象の基板を支持する支持手段と、
液浸系の対物レンズと、
前記対物レンズの先端と前記基板との間に液体を吐出する吐出手段と、
前記液体を前記基板から吸引する吸引手段とを備え、
前記対物レンズの前記先端の周囲には、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記対物レンズの像側に近づく方向の傾斜面が設けられ、かつ、該傾斜面と隣接する箇所に、該傾斜面より前記対物レンズの物体側に突出した突出部が設けられ、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記基板とで囲まれた開口部を形成し、
前記吐出手段は、前記一方の傾斜面に設けられた第1の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記一方の傾斜面の幅より狭く、該第1の管状部材を用いて前記液体を吐出し、
前記吸引手段は、前記2箇所の傾斜面のうち他方に設けられた第2の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記第1の管状部材の幅より広く、該第2の管状部材を用いて前記開口部から空気を取り込みつつ前記液体を吸引する
ことを特徴とする。
また、本発明のもう1つの態様による顕微鏡用アダプタは、
標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズと前記標本との間に液体を保持する液体保持部と、
前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路と
を有することを特徴とする。
また、本発明のもう1つの態様による顕微鏡装置は、
標本を保持するステージと、液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズの先端と前記標本との間に液体を供給する液体供給手段と、前記液体を除去する液体除去手段とを有する顕微鏡と、
前記液浸対物レンズ或は前記顕微鏡との連結部と、前記液浸対物レンズと前記標本との間に前記液体を保持する液体保持部と、前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路とを有する顕微鏡用アダプタとを有し、
前記第1通路の一端は前記液体除去手段に連結されていることを特徴とする。
本発明の顕微鏡用アダプタおよび顕微鏡装置によれば、局所液浸による観察時に液体を効率よく供給あるいは回収することができる。
図1Aと1Bは、本発明の第1の実施形態の顕微鏡装置10の全体構成図であり、図1Aはその上面図、図1Bはその断面図である。
図2は、吐出ノズル23に接続された液体吐出装置(31〜35)と吸引ノズル24に接続された液体吸引装置(41〜44)の構成を示す図である。
図3Aと3Bは、対物レンズ22の先端51の周辺構成を説明する拡大図であり、図3Aは側方から見た概略断面図、図3Bはその底面図である。
図4は、傾斜面52,53の傾斜を誇張して示す図である。
図5Aと5Bとはそれぞれ、傾斜面52,53に対する突出部54の段差を説明する図である。
図6Aと6Bは、基板10Aを対向させたときに形成される開口部55を説明する図である。
図7Aと7Bは、円周上での流速分布についての計算結果を示す図である。
図8A,8B,8Cは、吐出直後の液体19の概略形状の一例を説明する、それぞれ側断面図、底面図、部分拡大図である。
図9A,9B,9Cは、吐出直後の液体19の概略形状の別の例を説明する図8A,8B,8Cと同様な図である。
図10A,10B,10Cは、吐出直後の液体19が2個に分離した場合を説明する図8A,8B,8Cと同様な図である。
図11は、本発明の第2の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の構成図である。
図12は、アダプタ125を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。
図13は、アダプタ125を底面から見た図である。
図14は、本発明の第3の実施形態の顕微鏡装置におけるアダプタ225を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。
図15は、アダプタ225を底面から見た図である。
図16は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置におけるアダプタ325を対物レンズ322に取り付けた状態を示す断面図である。
図17は、アダプタ325を底面から見た図である。
図18は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置の構成を示す図である。
図19は、本発明の第5の実施形態の液浸顕微鏡500の構成を示す図である。
図20は、液浸対物レンズ401と試料404を側面から見た図である。
図2は、吐出ノズル23に接続された液体吐出装置(31〜35)と吸引ノズル24に接続された液体吸引装置(41〜44)の構成を示す図である。
図3Aと3Bは、対物レンズ22の先端51の周辺構成を説明する拡大図であり、図3Aは側方から見た概略断面図、図3Bはその底面図である。
図4は、傾斜面52,53の傾斜を誇張して示す図である。
図5Aと5Bとはそれぞれ、傾斜面52,53に対する突出部54の段差を説明する図である。
図6Aと6Bは、基板10Aを対向させたときに形成される開口部55を説明する図である。
図7Aと7Bは、円周上での流速分布についての計算結果を示す図である。
図8A,8B,8Cは、吐出直後の液体19の概略形状の一例を説明する、それぞれ側断面図、底面図、部分拡大図である。
図9A,9B,9Cは、吐出直後の液体19の概略形状の別の例を説明する図8A,8B,8Cと同様な図である。
図10A,10B,10Cは、吐出直後の液体19が2個に分離した場合を説明する図8A,8B,8Cと同様な図である。
図11は、本発明の第2の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の構成図である。
図12は、アダプタ125を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。
図13は、アダプタ125を底面から見た図である。
図14は、本発明の第3の実施形態の顕微鏡装置におけるアダプタ225を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。
図15は、アダプタ225を底面から見た図である。
図16は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置におけるアダプタ325を対物レンズ322に取り付けた状態を示す断面図である。
図17は、アダプタ325を底面から見た図である。
図18は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置の構成を示す図である。
図19は、本発明の第5の実施形態の液浸顕微鏡500の構成を示す図である。
図20は、液浸対物レンズ401と試料404を側面から見た図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の顕微鏡装置10は、図1A,1Bに示す通り、ミニエンバイロメント装置(11〜15)と、その内部に設置された液浸顕微鏡20とで構成される。図1Aは顕微鏡装置10の上面図、図1Bは断面図である。ミニエンバイロメント装置(11〜15)の内部には、観察対象の基板10Aを自動搬送する機構16も設けられる。基板10Aは、半導体ウエハ又は液晶基板などである。顕微鏡装置10は、半導体回路素子又は液晶表示素子などの製造工程において、基板10Aに形成された回路パターンの欠陥や異物などの液浸観察(外観検査)を行う装置である。回路パターンは例えばエッチングパターンである。
ミニエンバイロメント装置(11〜15)は、筐体11と、その上面に設置された複数のファンフィルタユニット12〜15とで構成される。ファンフィルタユニット12〜15は、周囲(クリーンルーム内)の空気からゴミや塵などの微小な気体中パーティクルを除去した後、清浄な空気を筐体11の内部に導入する機構である(FFU;FAN FILTER UNIT)。筐体11の下面には不図示の通気口が形成され、ファンフィルタユニット12〜15からのダウンフローを外部(クリーンルーム内)に排気できるようになっている。図1Bの矢印は空気の流れを表している。
このように、ミニエンバイロメント装置(11〜15)の筐体11の内部は、基板10Aの液浸観察をクリーンな環境で行うために、清浄度を周囲(クリーンルーム内)より高くした局所環境(minienvironment)である。気体中パーティクルの除去は、ULPAフィルタ17によって行われる。また、筐体11の内部のうち液浸顕微鏡20の配置された空間には、ファンフィルタユニット12のケミカルフィルタ18によって有機系ガスやアンモニアガスなどの化学物質が除去された清浄な空気が導入され、T.O.C.(Total Organic Carbon:全有機炭素)などのアウトガスの少ない環境に保たれる。
液浸顕微鏡20には、基板10Aを支持するステージ部21と、液浸系の対物レンズ22と、液浸媒質の液体(不図示)の吐出に用いられる吐出ノズル23と、液体の吸引に用いられる吸引ノズル24とが設けられる。また、図示省略したが、液浸顕微鏡20には、照明光学系やTTL方式のオートフォーカス機構、制御部なども設けられる。
ステージ部21は、XYステージとZθステージとで構成される。基板10Aは、例えば現像装置から搬送されてZθステージの上面に載置され、例えば真空吸着により固定的に支持される。Zθステージは、基板10Aの焦点合わせ時に、基板10Aを鉛直方向に移動させる。焦点合わせ動作は、不図示の制御部がオートフォーカス機構を用いて行う。また、基板10Aの予め定めた観察点を対物レンズ22の視野内に位置決めする際、XYステージは、基板10Aを水平面内で移動させる。XYステージのベース部材は液浸顕微鏡20の本体に固定されている。
液浸系の対物レンズ22は、液浸顕微鏡20の本体に固定され、その先端と基板10Aとの間が液浸媒質の液体19(図2)で満たされたときに、光学系の収差が補正されるように設計されている。不図示の照明光学系には、照明光源などが設けられる。観察波長は、例えば可視域や紫外域である。可視域の場合は接眼レンズを用いた基板10Aの液浸観察が可能となる。また、紫外域の場合には、目視観察ができないので、接眼レンズの代わりにCCDカメラなどを設けて撮像し、モニタ装置に表示して液浸観察が行われる。
液浸媒質の液体19は、例えば純水である。純水は、半導体製造工程などで容易に大量入手できる。また、純水は、基板10Aのフォトレジストに対する悪影響がないため、基板10Aの非破壊検査が可能となる。また、純水は環境に対する悪影響もなく、不純物の含有量が極めて低いため、基板10Aの表面を洗浄する作用も期待できる。なお、半導体製造工程で使用される純水は一般に「超純水」と呼ばれる。これは、一般に「純水」と呼ばれるものより純度が高い。本実施形態においても超純水を用いるのがより好ましい。
吐出ノズル23は、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に位置する。この吐出ノズル23を用いて対物レンズ22の先端と基板10Aとの間に適量の液体19を吐出するために、吐出ノズル23には、図2に示す通り、液体吐出装置(31〜35)が接続される。液体吐出装置(31〜35)は、加圧ポンプ31と、水圧レギュレータ32と、最終フィルタ33と、超純水製造装置34と、液体タンク35とで構成される。
また、吸引ノズル24は、上記の吐出ノズル23と同様、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に位置する。この吸引ノズル24を用いて基板10Aから液体19を吸引するために、吸引ノズル24には、液体吸引装置(41〜44)が接続される。液体吸引装置(41〜44)は、液体回収用フィルタ41と、電磁弁42,43と、真空レギュレータ44とで構成される。真空レギュレータ44には、真空源の吸引ポンプが接続される。
さらに、本実施形態の顕微鏡装置10では、局所液浸による観察時に、液体19を効率よく供給/回収するために、対物レンズ22の先端の周囲にアダプタ25を一体的に取り付け、このアダプタ25を図3A、図3Bのような構成とした。図3Aには、図2と同様、アダプタ25などを側方から見た断面構成を示す。図3Aではアダプタ25の断面に点網かけを付した。また図3Bには、アダプタ25などを下方から見た構成を示す。
対物レンズ22の先端51は、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。また、先端51の中心部には、対物レンズ22の先玉2Aが露出している。
さらに、アダプタ25を取り付けたことにより、対物レンズ22の先端51の周囲には、先端51と隣接する2箇所の各々に傾斜面52,53が設けられ、かつ、傾斜面52,53と隣接する略U字状の箇所に突出部54が設けられる。
傾斜面52,53は、その中心線5A,5Bが対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれ、その傾斜を誇張して示した図4から分かるように、先端51から離れるほど対物レンズ22の像側に近づく方向に傾けられている。突出部54は、傾斜面52,53よりも対物レンズ22の物体側に突出した部位であり、さらに、その段差を誇張して示した図5A、図5Bから分かるように、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。この突出部54は先端51と同一面に含まれる。
傾斜面52,53の幅については次のようになっている。ここで、幅とは、傾斜面52,53の中心線5A,5Bと対物レンズ22の光軸O22とを含む面に対して垂直な方向の寸法を意味する。
一方の傾斜面52の幅は、先端51から所定距離までの内側部分と、所定距離から対物レンズ22の側面までの外側部分とで異なり、内側部分と比べて外側部分の方が大きい。また、内側部分における幅は、先端51からの距離に拘わらず略一定である。外側部分における幅は、先端51から離れるほど大きくなる。つまり、外側部分は略扇形状を成す。これに対し、他方の傾斜面53の幅は、その全体において、先端51からの距離に拘わらず略一定となっている。さらに、他方の傾斜面53の幅と一方の傾斜面52の内側部分の幅とは略等しい。
さらに、一方の傾斜面52は、先端51から対物レンズ22の側面まで延在されている。このため、基板10Aの液浸観察時に、基板10Aの観察点を対物レンズ22の光軸O22の近傍に位置決めし、基板10Aを対物レンズ22やアダプタ25に対向させると(図6A)、対物レンズ22の側面においては、図6Bに示すように、一方の傾斜面52と突出部54と基板10Aとで囲まれた開口部55が形成される。
この開口部55は、液浸観察のために対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間に供給された液体19(図2)を吸引する際の通気口として機能する。液浸観察の際、対物レンズ22の先端51(および突出部54)と基板10Aとは略平行に保たれ、その隙間δは0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。図2では液体19を分かりやすく示すために隙間δを拡大したが、実際の隙間δは図6Aのように非常に狭い。
液体19の吸引に用いられる吸引ノズル24は、開口部55とは反対側の傾斜面53に設けられる(図3)。また、傾斜面53と同じ角度に傾けられ、傾斜面53から滑らかに延在するように配置されている。
このため、液体19を吸引する際に、開口部55から取り込まれた空気は、一方の傾斜面52と基板10Aとの間(図5A)を通過した後、先端51と基板10Aとの間を通過し、さらに他方の傾斜面53と基板10Aとの間(図5B)を通過して、吸引ノズル24に導かれる。
そして、このような空気の流れと共に液体19の吸引が行われる。開口部55から吸引ノズル24までの空気の通路は、液体19を吸引する際に真空配管として機能し、さらに液体19の通路(つまり水路)としても機能する。
通路の断面積は、場所によって異なり、開口部55のところで最も大きく、先端51のところで最も小さくなる。さらに、開口部55から傾斜面53に沿って先端51に近づくほど小さくなり、先端51から傾斜面52に沿って吸引ノズル24に近づくと大きくなる。このように、通路の断面積を開口部55のところで最も大きくしたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。
また、本実施形態では、吸引ノズル24の幅を傾斜面53の幅と略等しく構成した(図3B)。この場合、吸引ノズル24の幅は傾斜面52の内側部分の幅とも略等しい。このため、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積は、上記した通路のうち先端51のところでの断面積と略等しくなる。なお、吸引ノズル24の幅(および傾斜面53の幅など)は、対物レンズ22の先玉2Aの光学的有効径以上とすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上記の幅広の吸引ノズル24に対し、吐出ノズル23を極細の構成とした。つまり、吐出ノズル23は、吸引ノズル24より幅の狭い極細の管状部材であり、その内径φ=0.1mm〜1mm程度である。また、吐出ノズル23は、上記した通路のうち傾斜面52の中に設けられ、その幅が傾斜面52より狭い。
対物レンズ22の光軸O22に垂直な面を基準とするとき、傾斜面52の角度θ(図4)は、5度から30度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、さらに5度から15度までの範囲の任意の角度に設定することがより好ましい。なお、吐出ノズル23の先端を対物レンズ22の先端51と同一面に配置して、液浸観察時の基板10Aの観察点に出来るだけ近接させることが好ましい。
また、本実施形態では、吐出ノズル23の先端と吸引ノズル24の先端とが、対物レンズ22の先端51を挟んで対向するように配置される。ただし、吐出ノズル23は傾斜面52と同じ角度に傾けられ、吸引ノズル24も傾斜面53と同じ角度に傾けられるため、厳密に言えば、吐出ノズル23の中心軸の延長線と吸引ノズル24の中心軸の延長線とが対物レンズ22の光軸O22上で交差するように配置される。吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸は対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれる。
上記構成の顕微鏡装置10において、図2の液体吐出装置(31〜35)では、液体タンク35に純水が注入され、液体タンク35の純水が超純水製造装置34のポンプによって汲み上げられ、イオン除去やバクテリア殺菌が行われた後、最終フィルタ33に送られる。そして、最終フィルタ33を通過した後、パーティクルなどの水質仕様を満たす超純水が得られる。この超純水は、不図示の制御部から吐出指令が出されるまでの間、液体タンク35に再び送られ、この液体タンク35と超純水製造装置34と最終フィルタ33とを循環することになる。循環はタイマーで管理される。
そして、不図示の制御部から吐出指令が出されると、最終フィルタ33からの超純水は、水圧レギュレータ32によって制御された水圧で加圧ポンプ31に供給され、加圧ポンプ31から吐出ノズル23を介して、基板10Aの観察点に液浸媒質の液体19として吐出される。
液体19を吐出する際、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間δは、0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。分かりやすくするために図2では液体19の高さ方向を拡大して示したが、実際の液体19の高さは上記の隙間δに応じて非常に低く、図6A,6Bのような隙間δの中に収まる。
液体タンク35の超純水が液浸媒質の液体19として使用され、液体タンク35が空に近づくと、このことが不図示のセンサによって検知され、新たな純水が自動的に液体タンク35に注入される。
上記の液体吐出装置(31〜35)を用いた1回の吐出動作によって吐出ノズル23から吐出される液体19の量(以下「吐出水量」)は、吐出流量と吐出時間との積で決まる。また、吐出流量は、吐出ノズル23の内径断面積と吐出速度との積で決まる。吐出ノズル23の内径断面積は既知である。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出速度と吐出時間との積で決まることになる。
さらに、本実施形態のように極細の吐出ノズル23を用いる場合、液体19の吐出速度v(m/s)は、ベルヌーイの定理から吐出ノズル23の内径断面積の項がほぼ0になるため、23℃における水の密度ρ=997.54(kg/m3)と、水圧ΔP(Pa)と、重力加速度g=9.8(m/s2)と、水の高低差Δz(m)とを用い、次の式(1)で表される。
v=√(2/ρ・ΔP+2・g・Δz)…(1)
そして、水の高低差Δz=0とすると、吐出速度vは、水圧ΔPによって決まることになる。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、水圧ΔPと吐出時間との積で決まることになり、加圧ポンプ31におけるストローク調整で制御可能となる。
ただし、水圧ΔPは、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間における損失を考慮して、ΔP=0.01〜0.1MPa程度とすることが好ましい。この場合、吐出速度v=4.5〜14.2m/s程度になる。水圧ΔP(吐出速度v)を略一定にすれば、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出時間によって制御可能となる。
本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、傾斜面52に吐出ノズル23を設け、この吐出ノズル23を用いて液体19を吐出するため、液体19を対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間(つまり上記通路の最小断面積の部分)(液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積内)に収まるように適切に吐出することができる。また、吐出ノズル23として傾斜面52より幅の狭いものを用いるため、液体19の吐出水量の微調整が容易になる。したがって、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給することができる。
また、液体吸引装置(41〜44)では、真空レギュレータ44が真空源の吸引ポンプに接続され、電磁弁43を開放することで液体19の吸引が開始される。このとき、上記通路は真空配管として機能し、開口部55から取り込まれた空気の流れと共に液体19が上記通路を介して吸引ノズル24に導かれる。そして、吸引ノズル24により吸引された液体19は、液体回収用フィルタ41を介して空気と選別され、電磁弁42を介して排水される。なお、上記通路において十分な真空流量を確保するためには、吸引ノズル24から吸引ポンプまでの真空配管を太く短くして配管損失を小さくすることが好ましい。
本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52,53を設け、この傾斜面52,53と隣接して突出部54を設け、かつ、一方の傾斜面52の延長上に開口部55を形成し、他方の傾斜面53に吸引ノズル24を設け、吸引ノズル24を吐出ノズル23より幅広とし、この吸引ノズル24を用いて開口部55から空気を取り込みつつ液体19を吸引するため、局所液浸による観察時に液体19を効率よく回収することができる。
このように、本実施形態の顕微鏡装置10によれば、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給/回収できるため、高スループットで基板10Aの液浸観察を行える。さらに、液浸観察後の液体19を基板10Aから素早く確実に回収できるため、気体中に浮遊するパーティクル(例えば0.1μm以下)が液体19に付着して基板10Aを汚したり、液体19によって基板10Aが酸化されたりする問題を回避でき、パターンの微細化にも確実に対応可能となる。
また、本実施形態では、一方の傾斜面52の内側部分の幅と他方の傾斜面53の幅とを先端51からの距離に拘わらず略一定とし、互いに略等しくしたので、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間における空気の流れを各断面内で略均一にすることができ、この均一な空気の流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
さらに、本実施形態では、傾斜面52の内側部分と比べて外側部分の幅を広げたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。このため、真空流量を増やして効率よく液体19を吸引できる。
また、本実施形態では、傾斜面52の外側部分を扇形状として、その幅を先端51から離れるほど広げたので、開口部55から取り込まれた空気をスムーズに上記通路の内部に導くことができ、この流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
この場合、対物レンズ22の光軸O22を中心として半径R=19.5mmの円を想定したとき(図7A)、円周上での流速分布は例えば図7Bのようになる。計算では、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間隔h=0.5mm、吸込強さm=5305mm2/sec、流量Q=16667mm3/secとした。図7Bのカーブ(b)から分かるように、円周方向の流れは角度θ=0°で速度発散し、上記通路内でのY軸に垂直な流れはY=0(つまり光軸O22を通る中心線上)で最大値を取る。また、半径R=13mmの円を想定したときの計算結果は図7Bのカーブ(c)、半径R=6.5mmの円を想定したときの計算結果は図7Bのカーブ(d)のようになる。
さらに、本実施形態では、吸引ノズル24の幅(図3B)が傾斜面53および傾斜面52の内側部分の幅と略等しいので、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積が、上記通路の先端51での断面積と略等しくなる。このため、上記のように液体19を先端51と基板10Aとの間に収まるように適切に吐出すれば、この液体19を吸引ノズル24によって確実に吸引することができる。基板10Aの表面に凹凸パターンが形成されている場合でも、観察に用いた液体19を凹部に取り残すことなく確実に吸引できる。
また、本実施形態では、吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸が対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれるように配置したので、対物レンズ22の光軸O22と基板10Aとの交点付近(つまり上記通路の中心付近)に向けて、液体19を直接吐出することができる。このため、吐出直後に素早く液浸観察を行うことができ、また、液体19の回収もさらに効率的となる。
さらに、本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲の突出部54が対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成すため、液体19を吸引する際に上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくすることができる。このため、周囲からの空気の流れを抑えて、開口部55から取り込んだ空気を効率よく吸引ノズル24に導き、液体19を吸引することができる。
また、本実施形態の顕微鏡装置10では、吐出ノズル23から液体19を吐出する際の圧力と流量を制御し、図8A−8Cに示す通り、吐出直後の液体19が吐出ノズル23の先端と連結した状態で、液体19の吐出を終了することが好ましい。図8Aは図2と同様の側面図、図8Bは下方から見た図、図8Cは吐出ノズル23と吸引ノズル24を拡大した側面図である。
このように、吐出直後の液体19を一塊とし、上記通路の有効断面積内に収まるように吐出して、吐出ノズル23の先端と連結させることにより、液体19を吸引する際の真空配管内での理論上の管壁と液体19との隙間をなくし、液体19が一塊に近い状態のまま(つまり液体19が細切れになって取り残される事態を回避しつつ)確実に吸引することができる。このとき、真空圧を電磁弁43により素早くON/OFFして、瞬時に液体19を吸引することが好ましい。
なお、液体19を吐出した後、液浸観察を行っていると、対物レンズ22と基板10Aとの材質に依存した表面張力の関係によって、液体19(水滴)は安定する形へと少しずつ変形する。また、対物レンズ22あるいは基板10Aが表面張力の小さい材質(接触角が小さくて液体19が付着しやすい材質)の場合には、時間の経過により吐出ノズル23と液体19が切り離されることもある。しかし、液体19は一塊の状態に保たれるため、確実に吸引することができる。
さらに、本実施形態の顕微鏡装置10では、吐出ノズル23から液体19を吐出する際の圧力と流量を制御し、図9A−9Cに示す通り、吐出直後の液体19が吐出ノズル23および吸引ノズル24の各先端と連結した状態で、液体19の吐出を終了してもよい。この場合でも、吐出直後の液体19を一塊とし、上記通路の有効断面積内に収まるように吐出して、吐出ノズル23と吸引ノズル24の各先端を連結させることにより、液体19が一塊に近い状態のまま(つまり液体19が細切れになって取り残される事態を回避しつつ)確実に吸引することができる。
ただし、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの隙間δ、吐出ノズル23の位置、および、液体19の吐出水量(吐出時間と水圧)の関係によっては、図10A−10Cに示す通り、吐出直後の液体19が一塊とならずに2個に分離することもある。吐出完了の制御をしても吐出ノズル23が極細であるために、少量の水滴が続いて出るからである。液体19が2個の水滴9A,9Bに分離した場合、吸引ノズル24に近い方の水滴9Aは、吸引ノズル24によって吸引可能であるが、もう一方の水滴9Bは吸引できずに残ってしまう可能性がある。この水滴9Bの両脇から空気の吸引が始まるためである。
そこで、図10Bに示す通り、吐出ノズル23の近傍に極細の吸引ノズル26を設けることが好ましい。この場合、幅広の吸引ノズル24を用いて液体19の一部(水滴9A)を吸引した後、極細の吸引ノズル26によって液体19の残り(水滴9B)を吸引することになる。残りの水滴9Bは吐出ノズル23の先端に連結することが多いため、極細の吸引ノズル26によって確実に吸引することができる。これにより、両方の水滴9A,9Bを吸引することができる。
さらに、基板10Aの材質によって表面張力(接触角)が異なる場合には、基板10Aの物性情報(例えば接触角や表面張力や材質など)を予めレシピとして登録し、この物性情報に応じて液体19の吐出量を決定することが好ましい。このようにすることで、材質の異なる基板10Aの液浸観察を行う場合でも、その材質に応じた適切な水量の液体19を上記通路の有効断面積内に自動的に吐出することができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、その外側部分を扇形状としたが、本発明はこれに限定されない。傾斜面52の幅は、内側部分と外側部分とに拘わらず、先端51から側面までの全体において略一定幅としてもよい。この場合でも、上記通路の開口部55の断面積を先端51での断面積より大きく確保でき、効率的な吸引を行える。
また、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に突出部54を設け、この突出部54が先端51と同一面に含まれるように構成したが、本発明はこれに限定されない。突出部54を先端51より対物レンズ22の物体側に突出させてもよい。
さらに、上記した実施形態では、液体19を吸引する際の上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくするために、突出部54を対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状としたが、本発明はこれに限定されない。この突出部54が傾きを持つ場合でも、その傾き角度が傾斜面52,53の角度θ(図4)より緩やかな場合には、上記と同様の効果を得ることができる。突出部54の傾き角度の基準を対物レンズ22の光軸O22に垂直な面とする場合、その角度は例えば0度から1度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、限りなく0度に近づけることがより好ましい。
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡120の構成を示す図である。本実施形態は、図1A,1Bの実施形態の液浸顕微鏡20の構成およびアダプタ25の構成を変えたものである。図11において、検査される基板10Aは、ステージ部121上に載置され、対物レンズ122を用いて、接眼レンズ161あるいは不図示の撮像装置により観察される。検査される基板10Aは、図1Bの搬送機構16により自動的にステージ部121上に載置される。
対物レンズ122と基板10Aとの間にはアダプタ125が設けられる。アダプタ125は3方向に配置された3本の固定ネジ164(1本のみ図示)により対物レンズ122に取り付けられている。アダプタ125には、継手169を介して液体回収管163の一端が接続されており、液体回収管163の他端は図2の液体吸引装置(41〜44)に接続されている。
対物レンズ122の横には、基板10Aに液体19を供給する液体供給管162が配置されている。液体供給管162の先端部162aは、基板10Aの方向を向くように配置されている。液体供給管162の他端は図2の液体吐出装置(31〜35)に接続されている。
本実施形態においては、ステージ部121を移動させることにより、まず基板10Aの観察部を液体供給管162の先端部162aの下方に移動させる。そして、液体吐出装置(31〜35)は、液体を供給することにより、液体供給管162の先端部162aから液体19を基板10Aの観察部に滴下する。その後、ステージ部121を移動させることにより、液体19が滴下された観察部を対物レンズ122の下方に移動させ、基板10Aの観察部と対物レンズとの間が滴下された液体で満たされるようにする。このようにして、基板10Aの観察部を対物レンズ122の視野内に移動させる。
図12は、アダプタ125を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。アダプタ125は、対物レンズ122を中心として3方向に配置された3本の固定ネジ164により対物レンズ122に固定されている。対物レンズ122は生物の観察に用いられる液浸対物レンズと同様に、金属の枠の中に複数のガラスレンズが配置されたものであり、基板10Aを観察する先玉のみがレンズが露出した構成である。
図13は、アダプタ125を底面(基板10A側)から見た図である。アダプタ125には対物レンズ122の観察用の開口部155が中央に設けられており、顕微鏡120はこの開口部155を介して基板10Aを観察する。アダプタ125は、開口部155の中心と対物レンズ122の光軸とがほぼ一致するように、対物レンズ122に連結される。観察時には、対物レンズ122の先玉と基板10Aとの間が液体で満たされ、液浸対物レンズによる高分解能の観察がなされる。
開口部155にはさらに基板10A側の面に凹部165が設けられている。この凹部165はアダプタ125の内部に設けられた液体吸引通路168に繋がっており、さらに液体吸引通路168は継手169を介して液体回収管163に接続されている。
アダプタ125の底面と基板10Aとの間にはわずかな隙間があり、観察終了後、対物レンズ122の先端と基板10Aとの間にあった液体は液体吸引装置(41〜44)により液体吸引通路168、液体回収管163を介して吸引され、除去される。このため、本実施形態のアダプタ125を設けることにより、観察終了後速やかに液体を除去することができる。対物レンズ122の先玉あるいは基板10Aと液体が接触する時間が長いほど、対物レンズ122の先玉あるいは基板10A上に汚れが発生しやすくなるが、汚れが発生する範囲が開口部155の範囲内であり、また、液体吸引通路168により速やかに液体を回収できる。
また、本実施形態では開口部155と液体吸引通路168との間に凹部165を設けたため、液体を液体吸引通路168に導きやすい構成となっている。
本実施形態では、説明のために対物レンズ122の先玉の直径に対して開口部155を大きく図示したが、汚れやバクテリアが発生する範囲をなるべく狭くするために、開口部155の大きさはなるべく狭くすることが好ましい。
また、基板10A上の液体を液体吸引通路168から除去する際に、液体吸引装置(41〜44)によって吸引するタイミングに合わせて、ステージ部121を上方向(対物レンズ122方向)に微動させても良い。
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の対物レンズに取り付けるアダプタの構成を示す図である。図12と異なるのは、液体供給通路が設けられていることである。
図14は、アダプタ225を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。本実施形態では、アダプタ225に液体供給通路267と液体吸引通路268とを設けている。第2の実施形態と同様に、アダプタ225は、対物レンズ122を中心とした3方向に配置された3本の固定ネジ164(図12参照)により対物レンズ122に固定されている。また図15は、アダプタ225を底面(基板10A側)から見た図である。
図14に示すように、アダプタ225は、継手269を介して図2の液体吐出装置(31〜35)に繋がれた液体供給通路267と、継手270を介して図2の液体吸引装置(41〜44)に繋がれた液体吸引通路268を備えている。
図15は、アダプタ225を底面(基板10A側)から見た図である。図15に示すように、開口部255には液体供給通路267に繋がった凹部265と、液体吸引通路268に繋がった凹部266とが設けられている。即ち、液体吐出装置(31〜35)から供給された液体は、液体供給通路267、凹部265、開口部255の中央部(基板10A上の観察される部分の上)、凹部266順に形成される経路をたどって供給され、その後、液体吸引装置(41〜44)によって、液体吸引通路268を介して除去される。また、アダプタ225の底面と基板10Aとの間にはわずかな隙間があり、基板10Aとアダプタ225が直接接しないようになっている。
なお、第2実施形態および第3実施形態では、アダプタの開口部155、255に凹部165、265、266を設けたことにより、液体の通路を形成したが、アダプタ125、225の開口部は円形とし、対物レンズ122の先玉付近の部材に凹部を設けることにより通路を形成する構成としても良い。
(第4の実施形態)
図18は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置の構成を示す図である。筐体380内に液浸顕微鏡320が設置されている。顕微鏡装置には、フィルタ・ファン・ユニット(FFU)330が設けられている。FFU330は、外気取り入れ口331と、取り入れた外気を下流に送出するファン332と、空気中の少なくとも有機ガスを捕集するケミカルフィルタ333と、空気中のダストを捕集するHEPAフィルタ334と、これらフィルタ333,334を透過した清浄な空気を吐出する供給ノズル335とから構成されている。
図16は、第4の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の対物レンズに取り付けるアダプタの構成を示す図である。図16は、アダプタ325を液浸顕微鏡320の対物レンズ322に取り付けた状態を示す断面図である。本実施形態では、アダプタ325に液体供給通路367と液体吸引通路368と気体供給通路371を設けている。液浸対物レンズ322の側面の周囲にネジ山362が切られており、アダプタ325のネジ部361と螺合することにより、アダプタ325は液浸対物レンズ322に取り付けられる。
アダプタ325の液体供給通路367は、継手369を介して液体吐出装置(31〜35)に繋がれている。液体吸引通路368は、継手370を介して液体吸引装置(41〜44)に繋がれている。さらに、気体供給通路371は継手372を介してFFU330の供給ノズル335と繋がれている。
アダプタ325には、アダプタ325と基板10A面との間の空間を囲むように、チャンバ373が設けられている。したがって、気体供給通路371から清浄な空気が噴出されると、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍(すなわち、液浸対物レンズ322と基板10A面の間)の液体の周囲にFFU330によって清浄化された有機物やパーティクルを含まない清浄な空気を供給することができる。これにより、液体の周囲は、清浄な空気により局部的にパージされ、液体が有機物を含む空気にさらされることがなく、液体中に、空気中の有機物が溶解することがない。
なお、FFU330からの清浄な空気の供給は、観察時のみ、電磁弁などの手段で行っても良いし、常時流したままにしておいても良い。
また、基板10A面とチャンバ373の下端縁との間は、若干の隙間があっても問題は無い。そのギャップ(α)は、液浸対物レンズ322と基板10A面との間のワーキングデイスタンス(W.D.)と同じか、それよりも僅かに大きくする。こうすることにより、チャンバ373内の空間は、その回りの大気より圧力が高くなる。そのため、清浄な空気は、上記ギャップ(α)から漏れて出ることができる。この時の圧力の関係は、
液体の圧力 > チャンバ373内空気の圧力 > チャンバ373外の大気圧
にしておけば、スムーズに液体を供給でき、さらに清浄でない大気がチャンバ373内に侵入することを防止することが出来る。
図17は、アダプタ325を底面(基板10A側)から見た図である。アダプタ325には、対物レンズ322による観察用の開口部355が中央に設けられている。アダプタ325は、開口部355の中心と対物レンズ322の光軸とがほぼ一致するように連結される。開口部355は、液体供給通路367に繋がった凹部365と液体吸引通路368に繋がった凹部366が設けられている。
第3の実施形態と同様にして、液体吐出装置(31〜35)から供給された液体は、液体供給通路367、凹部365、開口部355の中央部(基板10A上の観察される部分の上)、凹部366順に形成される経路をたどって供給され、その後、液体吸引装置(41〜44)によって、液体吸引通路368を介して除去される。
図16に示すように、液体供給通路367の先端367aは、対物レンズ322の先玉の近傍にはなく、対物レンズ322の側面322aの近傍にある。液体供給通路367から供給される液体19は、対物レンズ322の側面322aを伝って開口部355の中心部に供給される。側面322aの液体供給通路367の先端367a近傍位置から開口部355の中心部方向へ至る経路には、液体19が伝いやすいように溝が形成されている。
第1〜第4の実施形態に用いるアダプタに使用する材料としてはステンレス、PEEK材、フッ素樹脂系材料等を使用することができる。液体への溶出が無く、帯電しにくいものが好ましい。
第1〜第4の実施形態の対物レンズとアダプタとは吸引時にリークしにくいように密着していることが好ましい。対物レンズの外縁とアダプタとを嵌合させ、さらに密着性向上のため、対物レンズとアダプタの境界にシール材(接着剤、シールリング等)を設けても良い。
また、液体供給通路、液体吸引通路、開口部や凹部を形成するアダプタの表面に撥水コートを設けても良い。
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態において、アダプタ325の気体供給通路371を、FFU330の供給ノズル335と繋ぐことにより、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍の液体の周囲に清浄な空気を供給する構成としたが、気体供給通路371を、不活性ガスを供給するガス源に繋いでもよい。この構成は、図18において、供給ノズル335に繋がれたFFU330の代りにガス源を繋ぐことにより実現される。
ガス源から供給される不活性ガスは、供給ノズル335を経由して、気体供給通路371からチャンバ373内に供給される。不活性ガスは、N2、He、Ne、Arガス等のいずれであってもよい。不活性ガスの供給は、観察時のみ、電磁弁などの手段で行っても良いし、常時流したままにしておいても良い。
気体供給通路371から不活性ガスが噴出されると、液浸対物レンズの焦点位置近傍(すなわち、液浸対物レンズ322と基板10A面の間)の周囲を、不活性ガスで満たすことができる。
このような状態で液浸対物レンズ322と基板10A面の間に吐出される液体は、不活性ガス雰囲気中で吐出され、大気中の酸素を吸収しないことから、液体中の溶存酸素が増加することがない。すなわち、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍の液体の周囲は、不活性ガスにより局部的にパージされ、液体が酸素にさらされることがなく、液体中に酸素が溶け込むことがない。
(第5の実施形態)
図19に本発明の第5実施形態の液浸顕微鏡500の構成を示す。光源423から射出された照明光は、不図示の照明光学系を通って、ハーフミラー424で反射され液浸対物レンズ401に入射する。光源423としては水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどが使用される。本実施形態ではハーフミラー424を使用し、試料404の反射像を観察するが、試料404の蛍光像を観察する場合には、ハーフミラー424の換わりにダイクロイックミラーを配置すればよい。また試料404の透過像を観察する場合には、試料の下方に透過照明用の光源(不図示)を配置し、ハーフミラー424を光路から除去すればよい。
液浸対物レンズ401に入射した照明光は、液体19を介して試料404に照射される。試料404としては、工業顕微鏡の試料としては半導体ウエハや液晶基板などが使用される。また生物顕微鏡の試料としては、組織切片をスライドガラスとカバーガラスで封入したものなどが使用される。試料404で反射された照明光は、再度液体19を通り液浸対物レンズ401で集光され、ハーフミラー424を透過し、接眼レンズ420で試料404が観察される。
試料404は顕微鏡のXYZステージ412上に載置され、不図示のホルダーによって、XYZステージ412上に固定されている。XYZステージ412の中央部には液浸対物レンズ401の直径よりも小さな穴があいており、試料404の観察領域はこの穴の上部に配置される。XYZステージ412の穴は、試料404を透過観察する際に使用するもので、不図示の透過光源からの光を試料404の下方から試料404に照射し、液浸対物レンズ401で、試料404を透過した光を集光する。なお試料404を落射照明して観察する場合には、XYZステージ421に透過照明用の穴は必要ない。XYZステージ412は、フォーカスノブ422を操作することによってZ方向(光軸方向)に移動し、合焦される。液浸対物レンズ401の近傍には液体供給装置450の液体供給管454が配置されており、液体19が液浸対物レンズ401の側面に供給される。
図20に液浸顕微鏡500の液浸対物レンズ401と試料404を側面から見た図を示す。液浸対物レンズ401の側面の近傍には、液体供給装置450が配置されている。液体供給装置450は、液体19が貯められた液体貯蔵槽451、ポンプ453、液体供給管454から構成されている。液体貯蔵槽451に満たされた液体19はポンプ453によってくみ上げられ、液体供給管454によって液浸対物レンズ401の近傍に導かれる。液体供給管454は、保持具455によって液浸対物レンズ401の近傍に保持されている。液体供給管454の液体が供給される端面は、液浸対物レンズ401の側面に相対するように保持されており、液体供給管454の端面は液浸対物レンズ401の側面から1〜2mm程度離れて保持されている。液体供給装置450で液体貯蔵槽451に貯められた液体19を液浸対物レンズ401に供給する場合は、ポンプ453を観察者が操作して供給する。
次に本第5実施形態に示す液浸顕微鏡を使用して試料404を観察する動作について説明する。まずXYZステージ412に試料404を載置する。XYZステージ412上に載置された試料404は、不図示のホルダーで固定される。次に、試料404の観察領域を液浸対物レンズ401の視野に入る位置に移動させる。試料404が観察位置に移動したのを確認したら、試料404を液浸対物レンズ401の光軸方向に移動させ、液浸対物レンズ401に近づける。
次に液浸対物レンズ401と試料404との間に液体19を供給する。観察者が不図示のポンプスイッチを操作すると、液体貯蔵槽451に貯えられている液体がポンプ453で汲み上げられ、液体供給管454の端面から液体19が流れ出す。液体貯蔵槽451に貯えられている液体19としては、液浸対物レンズ401が水浸対物レンズの場合には水を使用し、油浸対物レンズの場合には所定の屈折率を持ったオイルを使用する。なお供給する液体19の量は、予め設定してあり、通常の場合は0.1ml以下である。
液体供給管454の端面から流れ出した液体19は、液体供給管454の端面と相対する液浸対物レンズ401の側面に吸着し、表面張力により滴状になる(図20、aの位置)。液浸対物レンズ401の側面に吸着した液体19は、重力により液浸対物レンズ401の側面を下方に移動する(図20、bの位置)。液浸対物レンズ401の先端は円錐状になっており、その先端部に液浸対物レンズ401を構成するレンズのうち最先端のレンズが配置されている。液浸対物レンズ401の下方に移動した液体19は、液浸対物レンズ401の先端の円錐状の部分を通って(図20、cの位置)、最先端のレンズ部に達する(図20、dの位置)。最先端のレンズに到達した液体19は、重力によって落下し、試料404上に移動する(図20、eの位置)。なお試料404の上面が液浸対物レンズ401の最先端レンズに十分近づいている場合には、液体3は試料404に落下せず、試料404と液浸対物レンズ401の最先端レンズとの間を満たすことになる以上のような動作で液体19は試料404の観察領域の上に供給される。
次にこの状態で観察者、不図示の液浸顕微鏡の接眼レンズ420で試料404を見ながら、XYZステージ412を光軸方向に移動させ試料404を合焦させ、飼料を観察する。試料404の1つの観察領域の観察が終了し別な領域を観察する場合には、試料404をXY方向(水平方向)に移動させた後、再度液体供給装置450によって試料404と液浸対物レンズ401との間に液体19を供給する。なお液体19が水の場合には、観察中に水が蒸発してしまうことがある。その場合にも再度液体供給装置450によって液体19を供給する事ができる。
本実施形態の液浸顕微鏡では、液浸対物レンズ401に使用する液体19を、液浸対物レンズ401の側面から供給し、液浸対物レンズの最先端部を通って試料404に供給するので、試料404の観察領域の上に確実に液体19を供給することができる。
本実施形態では、液浸対物レンズ401の側面は特に加工せずそのまま使用したが、液浸対物レンズ1の側面に液体19を液浸対物レンズ401の先端に導くための溝を設けても構わない。例えば、液体供給管454の端面と相対する液浸対物レンズ401の側面から、液浸対物レンズ401の最先端レンズの近傍まで直径2mm程度の半円状の溝を直線状に形成する。溝を形成することによって、液体19はこの溝に沿って確実に液浸対物レンズ401の最先端にまで導かれ、試料404上に滴下される。液浸対物レンズ401の側面に形成する溝は直線状のものに限定されず、螺旋状の溝を形成しても構わない。
なお本実施形態では液体供給装置450としてポンプ453を使用したものを示したが、観察者がスポイトで液体19を液浸対物レンズ401の側面に供給しても構わない。
また本実施形態では、液体19を液浸対物レンズ401の側面に吸着させ、最先端レンズに導いていたが、吸着させる場所はこれに限られず液浸対物レンズ401の最先端のレンズ周辺の円錐状の部分に吸着させても構わない。なお対物レンズの側面にはこの円錐状の部分も含まれる。
(第1の実施形態)
本実施形態の顕微鏡装置10は、図1A,1Bに示す通り、ミニエンバイロメント装置(11〜15)と、その内部に設置された液浸顕微鏡20とで構成される。図1Aは顕微鏡装置10の上面図、図1Bは断面図である。ミニエンバイロメント装置(11〜15)の内部には、観察対象の基板10Aを自動搬送する機構16も設けられる。基板10Aは、半導体ウエハ又は液晶基板などである。顕微鏡装置10は、半導体回路素子又は液晶表示素子などの製造工程において、基板10Aに形成された回路パターンの欠陥や異物などの液浸観察(外観検査)を行う装置である。回路パターンは例えばエッチングパターンである。
ミニエンバイロメント装置(11〜15)は、筐体11と、その上面に設置された複数のファンフィルタユニット12〜15とで構成される。ファンフィルタユニット12〜15は、周囲(クリーンルーム内)の空気からゴミや塵などの微小な気体中パーティクルを除去した後、清浄な空気を筐体11の内部に導入する機構である(FFU;FAN FILTER UNIT)。筐体11の下面には不図示の通気口が形成され、ファンフィルタユニット12〜15からのダウンフローを外部(クリーンルーム内)に排気できるようになっている。図1Bの矢印は空気の流れを表している。
このように、ミニエンバイロメント装置(11〜15)の筐体11の内部は、基板10Aの液浸観察をクリーンな環境で行うために、清浄度を周囲(クリーンルーム内)より高くした局所環境(minienvironment)である。気体中パーティクルの除去は、ULPAフィルタ17によって行われる。また、筐体11の内部のうち液浸顕微鏡20の配置された空間には、ファンフィルタユニット12のケミカルフィルタ18によって有機系ガスやアンモニアガスなどの化学物質が除去された清浄な空気が導入され、T.O.C.(Total Organic Carbon:全有機炭素)などのアウトガスの少ない環境に保たれる。
液浸顕微鏡20には、基板10Aを支持するステージ部21と、液浸系の対物レンズ22と、液浸媒質の液体(不図示)の吐出に用いられる吐出ノズル23と、液体の吸引に用いられる吸引ノズル24とが設けられる。また、図示省略したが、液浸顕微鏡20には、照明光学系やTTL方式のオートフォーカス機構、制御部なども設けられる。
ステージ部21は、XYステージとZθステージとで構成される。基板10Aは、例えば現像装置から搬送されてZθステージの上面に載置され、例えば真空吸着により固定的に支持される。Zθステージは、基板10Aの焦点合わせ時に、基板10Aを鉛直方向に移動させる。焦点合わせ動作は、不図示の制御部がオートフォーカス機構を用いて行う。また、基板10Aの予め定めた観察点を対物レンズ22の視野内に位置決めする際、XYステージは、基板10Aを水平面内で移動させる。XYステージのベース部材は液浸顕微鏡20の本体に固定されている。
液浸系の対物レンズ22は、液浸顕微鏡20の本体に固定され、その先端と基板10Aとの間が液浸媒質の液体19(図2)で満たされたときに、光学系の収差が補正されるように設計されている。不図示の照明光学系には、照明光源などが設けられる。観察波長は、例えば可視域や紫外域である。可視域の場合は接眼レンズを用いた基板10Aの液浸観察が可能となる。また、紫外域の場合には、目視観察ができないので、接眼レンズの代わりにCCDカメラなどを設けて撮像し、モニタ装置に表示して液浸観察が行われる。
液浸媒質の液体19は、例えば純水である。純水は、半導体製造工程などで容易に大量入手できる。また、純水は、基板10Aのフォトレジストに対する悪影響がないため、基板10Aの非破壊検査が可能となる。また、純水は環境に対する悪影響もなく、不純物の含有量が極めて低いため、基板10Aの表面を洗浄する作用も期待できる。なお、半導体製造工程で使用される純水は一般に「超純水」と呼ばれる。これは、一般に「純水」と呼ばれるものより純度が高い。本実施形態においても超純水を用いるのがより好ましい。
吐出ノズル23は、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に位置する。この吐出ノズル23を用いて対物レンズ22の先端と基板10Aとの間に適量の液体19を吐出するために、吐出ノズル23には、図2に示す通り、液体吐出装置(31〜35)が接続される。液体吐出装置(31〜35)は、加圧ポンプ31と、水圧レギュレータ32と、最終フィルタ33と、超純水製造装置34と、液体タンク35とで構成される。
また、吸引ノズル24は、上記の吐出ノズル23と同様、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に位置する。この吸引ノズル24を用いて基板10Aから液体19を吸引するために、吸引ノズル24には、液体吸引装置(41〜44)が接続される。液体吸引装置(41〜44)は、液体回収用フィルタ41と、電磁弁42,43と、真空レギュレータ44とで構成される。真空レギュレータ44には、真空源の吸引ポンプが接続される。
さらに、本実施形態の顕微鏡装置10では、局所液浸による観察時に、液体19を効率よく供給/回収するために、対物レンズ22の先端の周囲にアダプタ25を一体的に取り付け、このアダプタ25を図3A、図3Bのような構成とした。図3Aには、図2と同様、アダプタ25などを側方から見た断面構成を示す。図3Aではアダプタ25の断面に点網かけを付した。また図3Bには、アダプタ25などを下方から見た構成を示す。
対物レンズ22の先端51は、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。また、先端51の中心部には、対物レンズ22の先玉2Aが露出している。
さらに、アダプタ25を取り付けたことにより、対物レンズ22の先端51の周囲には、先端51と隣接する2箇所の各々に傾斜面52,53が設けられ、かつ、傾斜面52,53と隣接する略U字状の箇所に突出部54が設けられる。
傾斜面52,53は、その中心線5A,5Bが対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれ、その傾斜を誇張して示した図4から分かるように、先端51から離れるほど対物レンズ22の像側に近づく方向に傾けられている。突出部54は、傾斜面52,53よりも対物レンズ22の物体側に突出した部位であり、さらに、その段差を誇張して示した図5A、図5Bから分かるように、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。この突出部54は先端51と同一面に含まれる。
傾斜面52,53の幅については次のようになっている。ここで、幅とは、傾斜面52,53の中心線5A,5Bと対物レンズ22の光軸O22とを含む面に対して垂直な方向の寸法を意味する。
一方の傾斜面52の幅は、先端51から所定距離までの内側部分と、所定距離から対物レンズ22の側面までの外側部分とで異なり、内側部分と比べて外側部分の方が大きい。また、内側部分における幅は、先端51からの距離に拘わらず略一定である。外側部分における幅は、先端51から離れるほど大きくなる。つまり、外側部分は略扇形状を成す。これに対し、他方の傾斜面53の幅は、その全体において、先端51からの距離に拘わらず略一定となっている。さらに、他方の傾斜面53の幅と一方の傾斜面52の内側部分の幅とは略等しい。
さらに、一方の傾斜面52は、先端51から対物レンズ22の側面まで延在されている。このため、基板10Aの液浸観察時に、基板10Aの観察点を対物レンズ22の光軸O22の近傍に位置決めし、基板10Aを対物レンズ22やアダプタ25に対向させると(図6A)、対物レンズ22の側面においては、図6Bに示すように、一方の傾斜面52と突出部54と基板10Aとで囲まれた開口部55が形成される。
この開口部55は、液浸観察のために対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間に供給された液体19(図2)を吸引する際の通気口として機能する。液浸観察の際、対物レンズ22の先端51(および突出部54)と基板10Aとは略平行に保たれ、その隙間δは0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。図2では液体19を分かりやすく示すために隙間δを拡大したが、実際の隙間δは図6Aのように非常に狭い。
液体19の吸引に用いられる吸引ノズル24は、開口部55とは反対側の傾斜面53に設けられる(図3)。また、傾斜面53と同じ角度に傾けられ、傾斜面53から滑らかに延在するように配置されている。
このため、液体19を吸引する際に、開口部55から取り込まれた空気は、一方の傾斜面52と基板10Aとの間(図5A)を通過した後、先端51と基板10Aとの間を通過し、さらに他方の傾斜面53と基板10Aとの間(図5B)を通過して、吸引ノズル24に導かれる。
そして、このような空気の流れと共に液体19の吸引が行われる。開口部55から吸引ノズル24までの空気の通路は、液体19を吸引する際に真空配管として機能し、さらに液体19の通路(つまり水路)としても機能する。
通路の断面積は、場所によって異なり、開口部55のところで最も大きく、先端51のところで最も小さくなる。さらに、開口部55から傾斜面53に沿って先端51に近づくほど小さくなり、先端51から傾斜面52に沿って吸引ノズル24に近づくと大きくなる。このように、通路の断面積を開口部55のところで最も大きくしたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。
また、本実施形態では、吸引ノズル24の幅を傾斜面53の幅と略等しく構成した(図3B)。この場合、吸引ノズル24の幅は傾斜面52の内側部分の幅とも略等しい。このため、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積は、上記した通路のうち先端51のところでの断面積と略等しくなる。なお、吸引ノズル24の幅(および傾斜面53の幅など)は、対物レンズ22の先玉2Aの光学的有効径以上とすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上記の幅広の吸引ノズル24に対し、吐出ノズル23を極細の構成とした。つまり、吐出ノズル23は、吸引ノズル24より幅の狭い極細の管状部材であり、その内径φ=0.1mm〜1mm程度である。また、吐出ノズル23は、上記した通路のうち傾斜面52の中に設けられ、その幅が傾斜面52より狭い。
対物レンズ22の光軸O22に垂直な面を基準とするとき、傾斜面52の角度θ(図4)は、5度から30度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、さらに5度から15度までの範囲の任意の角度に設定することがより好ましい。なお、吐出ノズル23の先端を対物レンズ22の先端51と同一面に配置して、液浸観察時の基板10Aの観察点に出来るだけ近接させることが好ましい。
また、本実施形態では、吐出ノズル23の先端と吸引ノズル24の先端とが、対物レンズ22の先端51を挟んで対向するように配置される。ただし、吐出ノズル23は傾斜面52と同じ角度に傾けられ、吸引ノズル24も傾斜面53と同じ角度に傾けられるため、厳密に言えば、吐出ノズル23の中心軸の延長線と吸引ノズル24の中心軸の延長線とが対物レンズ22の光軸O22上で交差するように配置される。吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸は対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれる。
上記構成の顕微鏡装置10において、図2の液体吐出装置(31〜35)では、液体タンク35に純水が注入され、液体タンク35の純水が超純水製造装置34のポンプによって汲み上げられ、イオン除去やバクテリア殺菌が行われた後、最終フィルタ33に送られる。そして、最終フィルタ33を通過した後、パーティクルなどの水質仕様を満たす超純水が得られる。この超純水は、不図示の制御部から吐出指令が出されるまでの間、液体タンク35に再び送られ、この液体タンク35と超純水製造装置34と最終フィルタ33とを循環することになる。循環はタイマーで管理される。
そして、不図示の制御部から吐出指令が出されると、最終フィルタ33からの超純水は、水圧レギュレータ32によって制御された水圧で加圧ポンプ31に供給され、加圧ポンプ31から吐出ノズル23を介して、基板10Aの観察点に液浸媒質の液体19として吐出される。
液体19を吐出する際、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間δは、0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。分かりやすくするために図2では液体19の高さ方向を拡大して示したが、実際の液体19の高さは上記の隙間δに応じて非常に低く、図6A,6Bのような隙間δの中に収まる。
液体タンク35の超純水が液浸媒質の液体19として使用され、液体タンク35が空に近づくと、このことが不図示のセンサによって検知され、新たな純水が自動的に液体タンク35に注入される。
上記の液体吐出装置(31〜35)を用いた1回の吐出動作によって吐出ノズル23から吐出される液体19の量(以下「吐出水量」)は、吐出流量と吐出時間との積で決まる。また、吐出流量は、吐出ノズル23の内径断面積と吐出速度との積で決まる。吐出ノズル23の内径断面積は既知である。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出速度と吐出時間との積で決まることになる。
さらに、本実施形態のように極細の吐出ノズル23を用いる場合、液体19の吐出速度v(m/s)は、ベルヌーイの定理から吐出ノズル23の内径断面積の項がほぼ0になるため、23℃における水の密度ρ=997.54(kg/m3)と、水圧ΔP(Pa)と、重力加速度g=9.8(m/s2)と、水の高低差Δz(m)とを用い、次の式(1)で表される。
v=√(2/ρ・ΔP+2・g・Δz)…(1)
そして、水の高低差Δz=0とすると、吐出速度vは、水圧ΔPによって決まることになる。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、水圧ΔPと吐出時間との積で決まることになり、加圧ポンプ31におけるストローク調整で制御可能となる。
ただし、水圧ΔPは、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間における損失を考慮して、ΔP=0.01〜0.1MPa程度とすることが好ましい。この場合、吐出速度v=4.5〜14.2m/s程度になる。水圧ΔP(吐出速度v)を略一定にすれば、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出時間によって制御可能となる。
本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、傾斜面52に吐出ノズル23を設け、この吐出ノズル23を用いて液体19を吐出するため、液体19を対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間(つまり上記通路の最小断面積の部分)(液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積内)に収まるように適切に吐出することができる。また、吐出ノズル23として傾斜面52より幅の狭いものを用いるため、液体19の吐出水量の微調整が容易になる。したがって、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給することができる。
また、液体吸引装置(41〜44)では、真空レギュレータ44が真空源の吸引ポンプに接続され、電磁弁43を開放することで液体19の吸引が開始される。このとき、上記通路は真空配管として機能し、開口部55から取り込まれた空気の流れと共に液体19が上記通路を介して吸引ノズル24に導かれる。そして、吸引ノズル24により吸引された液体19は、液体回収用フィルタ41を介して空気と選別され、電磁弁42を介して排水される。なお、上記通路において十分な真空流量を確保するためには、吸引ノズル24から吸引ポンプまでの真空配管を太く短くして配管損失を小さくすることが好ましい。
本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52,53を設け、この傾斜面52,53と隣接して突出部54を設け、かつ、一方の傾斜面52の延長上に開口部55を形成し、他方の傾斜面53に吸引ノズル24を設け、吸引ノズル24を吐出ノズル23より幅広とし、この吸引ノズル24を用いて開口部55から空気を取り込みつつ液体19を吸引するため、局所液浸による観察時に液体19を効率よく回収することができる。
このように、本実施形態の顕微鏡装置10によれば、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給/回収できるため、高スループットで基板10Aの液浸観察を行える。さらに、液浸観察後の液体19を基板10Aから素早く確実に回収できるため、気体中に浮遊するパーティクル(例えば0.1μm以下)が液体19に付着して基板10Aを汚したり、液体19によって基板10Aが酸化されたりする問題を回避でき、パターンの微細化にも確実に対応可能となる。
また、本実施形態では、一方の傾斜面52の内側部分の幅と他方の傾斜面53の幅とを先端51からの距離に拘わらず略一定とし、互いに略等しくしたので、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間における空気の流れを各断面内で略均一にすることができ、この均一な空気の流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
さらに、本実施形態では、傾斜面52の内側部分と比べて外側部分の幅を広げたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。このため、真空流量を増やして効率よく液体19を吸引できる。
また、本実施形態では、傾斜面52の外側部分を扇形状として、その幅を先端51から離れるほど広げたので、開口部55から取り込まれた空気をスムーズに上記通路の内部に導くことができ、この流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
この場合、対物レンズ22の光軸O22を中心として半径R=19.5mmの円を想定したとき(図7A)、円周上での流速分布は例えば図7Bのようになる。計算では、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間隔h=0.5mm、吸込強さm=5305mm2/sec、流量Q=16667mm3/secとした。図7Bのカーブ(b)から分かるように、円周方向の流れは角度θ=0°で速度発散し、上記通路内でのY軸に垂直な流れはY=0(つまり光軸O22を通る中心線上)で最大値を取る。また、半径R=13mmの円を想定したときの計算結果は図7Bのカーブ(c)、半径R=6.5mmの円を想定したときの計算結果は図7Bのカーブ(d)のようになる。
さらに、本実施形態では、吸引ノズル24の幅(図3B)が傾斜面53および傾斜面52の内側部分の幅と略等しいので、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積が、上記通路の先端51での断面積と略等しくなる。このため、上記のように液体19を先端51と基板10Aとの間に収まるように適切に吐出すれば、この液体19を吸引ノズル24によって確実に吸引することができる。基板10Aの表面に凹凸パターンが形成されている場合でも、観察に用いた液体19を凹部に取り残すことなく確実に吸引できる。
また、本実施形態では、吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸が対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれるように配置したので、対物レンズ22の光軸O22と基板10Aとの交点付近(つまり上記通路の中心付近)に向けて、液体19を直接吐出することができる。このため、吐出直後に素早く液浸観察を行うことができ、また、液体19の回収もさらに効率的となる。
さらに、本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲の突出部54が対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成すため、液体19を吸引する際に上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくすることができる。このため、周囲からの空気の流れを抑えて、開口部55から取り込んだ空気を効率よく吸引ノズル24に導き、液体19を吸引することができる。
また、本実施形態の顕微鏡装置10では、吐出ノズル23から液体19を吐出する際の圧力と流量を制御し、図8A−8Cに示す通り、吐出直後の液体19が吐出ノズル23の先端と連結した状態で、液体19の吐出を終了することが好ましい。図8Aは図2と同様の側面図、図8Bは下方から見た図、図8Cは吐出ノズル23と吸引ノズル24を拡大した側面図である。
このように、吐出直後の液体19を一塊とし、上記通路の有効断面積内に収まるように吐出して、吐出ノズル23の先端と連結させることにより、液体19を吸引する際の真空配管内での理論上の管壁と液体19との隙間をなくし、液体19が一塊に近い状態のまま(つまり液体19が細切れになって取り残される事態を回避しつつ)確実に吸引することができる。このとき、真空圧を電磁弁43により素早くON/OFFして、瞬時に液体19を吸引することが好ましい。
なお、液体19を吐出した後、液浸観察を行っていると、対物レンズ22と基板10Aとの材質に依存した表面張力の関係によって、液体19(水滴)は安定する形へと少しずつ変形する。また、対物レンズ22あるいは基板10Aが表面張力の小さい材質(接触角が小さくて液体19が付着しやすい材質)の場合には、時間の経過により吐出ノズル23と液体19が切り離されることもある。しかし、液体19は一塊の状態に保たれるため、確実に吸引することができる。
さらに、本実施形態の顕微鏡装置10では、吐出ノズル23から液体19を吐出する際の圧力と流量を制御し、図9A−9Cに示す通り、吐出直後の液体19が吐出ノズル23および吸引ノズル24の各先端と連結した状態で、液体19の吐出を終了してもよい。この場合でも、吐出直後の液体19を一塊とし、上記通路の有効断面積内に収まるように吐出して、吐出ノズル23と吸引ノズル24の各先端を連結させることにより、液体19が一塊に近い状態のまま(つまり液体19が細切れになって取り残される事態を回避しつつ)確実に吸引することができる。
ただし、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの隙間δ、吐出ノズル23の位置、および、液体19の吐出水量(吐出時間と水圧)の関係によっては、図10A−10Cに示す通り、吐出直後の液体19が一塊とならずに2個に分離することもある。吐出完了の制御をしても吐出ノズル23が極細であるために、少量の水滴が続いて出るからである。液体19が2個の水滴9A,9Bに分離した場合、吸引ノズル24に近い方の水滴9Aは、吸引ノズル24によって吸引可能であるが、もう一方の水滴9Bは吸引できずに残ってしまう可能性がある。この水滴9Bの両脇から空気の吸引が始まるためである。
そこで、図10Bに示す通り、吐出ノズル23の近傍に極細の吸引ノズル26を設けることが好ましい。この場合、幅広の吸引ノズル24を用いて液体19の一部(水滴9A)を吸引した後、極細の吸引ノズル26によって液体19の残り(水滴9B)を吸引することになる。残りの水滴9Bは吐出ノズル23の先端に連結することが多いため、極細の吸引ノズル26によって確実に吸引することができる。これにより、両方の水滴9A,9Bを吸引することができる。
さらに、基板10Aの材質によって表面張力(接触角)が異なる場合には、基板10Aの物性情報(例えば接触角や表面張力や材質など)を予めレシピとして登録し、この物性情報に応じて液体19の吐出量を決定することが好ましい。このようにすることで、材質の異なる基板10Aの液浸観察を行う場合でも、その材質に応じた適切な水量の液体19を上記通路の有効断面積内に自動的に吐出することができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、その外側部分を扇形状としたが、本発明はこれに限定されない。傾斜面52の幅は、内側部分と外側部分とに拘わらず、先端51から側面までの全体において略一定幅としてもよい。この場合でも、上記通路の開口部55の断面積を先端51での断面積より大きく確保でき、効率的な吸引を行える。
また、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に突出部54を設け、この突出部54が先端51と同一面に含まれるように構成したが、本発明はこれに限定されない。突出部54を先端51より対物レンズ22の物体側に突出させてもよい。
さらに、上記した実施形態では、液体19を吸引する際の上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくするために、突出部54を対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状としたが、本発明はこれに限定されない。この突出部54が傾きを持つ場合でも、その傾き角度が傾斜面52,53の角度θ(図4)より緩やかな場合には、上記と同様の効果を得ることができる。突出部54の傾き角度の基準を対物レンズ22の光軸O22に垂直な面とする場合、その角度は例えば0度から1度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、限りなく0度に近づけることがより好ましい。
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡120の構成を示す図である。本実施形態は、図1A,1Bの実施形態の液浸顕微鏡20の構成およびアダプタ25の構成を変えたものである。図11において、検査される基板10Aは、ステージ部121上に載置され、対物レンズ122を用いて、接眼レンズ161あるいは不図示の撮像装置により観察される。検査される基板10Aは、図1Bの搬送機構16により自動的にステージ部121上に載置される。
対物レンズ122と基板10Aとの間にはアダプタ125が設けられる。アダプタ125は3方向に配置された3本の固定ネジ164(1本のみ図示)により対物レンズ122に取り付けられている。アダプタ125には、継手169を介して液体回収管163の一端が接続されており、液体回収管163の他端は図2の液体吸引装置(41〜44)に接続されている。
対物レンズ122の横には、基板10Aに液体19を供給する液体供給管162が配置されている。液体供給管162の先端部162aは、基板10Aの方向を向くように配置されている。液体供給管162の他端は図2の液体吐出装置(31〜35)に接続されている。
本実施形態においては、ステージ部121を移動させることにより、まず基板10Aの観察部を液体供給管162の先端部162aの下方に移動させる。そして、液体吐出装置(31〜35)は、液体を供給することにより、液体供給管162の先端部162aから液体19を基板10Aの観察部に滴下する。その後、ステージ部121を移動させることにより、液体19が滴下された観察部を対物レンズ122の下方に移動させ、基板10Aの観察部と対物レンズとの間が滴下された液体で満たされるようにする。このようにして、基板10Aの観察部を対物レンズ122の視野内に移動させる。
図12は、アダプタ125を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。アダプタ125は、対物レンズ122を中心として3方向に配置された3本の固定ネジ164により対物レンズ122に固定されている。対物レンズ122は生物の観察に用いられる液浸対物レンズと同様に、金属の枠の中に複数のガラスレンズが配置されたものであり、基板10Aを観察する先玉のみがレンズが露出した構成である。
図13は、アダプタ125を底面(基板10A側)から見た図である。アダプタ125には対物レンズ122の観察用の開口部155が中央に設けられており、顕微鏡120はこの開口部155を介して基板10Aを観察する。アダプタ125は、開口部155の中心と対物レンズ122の光軸とがほぼ一致するように、対物レンズ122に連結される。観察時には、対物レンズ122の先玉と基板10Aとの間が液体で満たされ、液浸対物レンズによる高分解能の観察がなされる。
開口部155にはさらに基板10A側の面に凹部165が設けられている。この凹部165はアダプタ125の内部に設けられた液体吸引通路168に繋がっており、さらに液体吸引通路168は継手169を介して液体回収管163に接続されている。
アダプタ125の底面と基板10Aとの間にはわずかな隙間があり、観察終了後、対物レンズ122の先端と基板10Aとの間にあった液体は液体吸引装置(41〜44)により液体吸引通路168、液体回収管163を介して吸引され、除去される。このため、本実施形態のアダプタ125を設けることにより、観察終了後速やかに液体を除去することができる。対物レンズ122の先玉あるいは基板10Aと液体が接触する時間が長いほど、対物レンズ122の先玉あるいは基板10A上に汚れが発生しやすくなるが、汚れが発生する範囲が開口部155の範囲内であり、また、液体吸引通路168により速やかに液体を回収できる。
また、本実施形態では開口部155と液体吸引通路168との間に凹部165を設けたため、液体を液体吸引通路168に導きやすい構成となっている。
本実施形態では、説明のために対物レンズ122の先玉の直径に対して開口部155を大きく図示したが、汚れやバクテリアが発生する範囲をなるべく狭くするために、開口部155の大きさはなるべく狭くすることが好ましい。
また、基板10A上の液体を液体吸引通路168から除去する際に、液体吸引装置(41〜44)によって吸引するタイミングに合わせて、ステージ部121を上方向(対物レンズ122方向)に微動させても良い。
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の対物レンズに取り付けるアダプタの構成を示す図である。図12と異なるのは、液体供給通路が設けられていることである。
図14は、アダプタ225を対物レンズ122に取り付けた状態を示す断面図である。本実施形態では、アダプタ225に液体供給通路267と液体吸引通路268とを設けている。第2の実施形態と同様に、アダプタ225は、対物レンズ122を中心とした3方向に配置された3本の固定ネジ164(図12参照)により対物レンズ122に固定されている。また図15は、アダプタ225を底面(基板10A側)から見た図である。
図14に示すように、アダプタ225は、継手269を介して図2の液体吐出装置(31〜35)に繋がれた液体供給通路267と、継手270を介して図2の液体吸引装置(41〜44)に繋がれた液体吸引通路268を備えている。
図15は、アダプタ225を底面(基板10A側)から見た図である。図15に示すように、開口部255には液体供給通路267に繋がった凹部265と、液体吸引通路268に繋がった凹部266とが設けられている。即ち、液体吐出装置(31〜35)から供給された液体は、液体供給通路267、凹部265、開口部255の中央部(基板10A上の観察される部分の上)、凹部266順に形成される経路をたどって供給され、その後、液体吸引装置(41〜44)によって、液体吸引通路268を介して除去される。また、アダプタ225の底面と基板10Aとの間にはわずかな隙間があり、基板10Aとアダプタ225が直接接しないようになっている。
なお、第2実施形態および第3実施形態では、アダプタの開口部155、255に凹部165、265、266を設けたことにより、液体の通路を形成したが、アダプタ125、225の開口部は円形とし、対物レンズ122の先玉付近の部材に凹部を設けることにより通路を形成する構成としても良い。
(第4の実施形態)
図18は、本発明の第4の実施形態の顕微鏡装置の構成を示す図である。筐体380内に液浸顕微鏡320が設置されている。顕微鏡装置には、フィルタ・ファン・ユニット(FFU)330が設けられている。FFU330は、外気取り入れ口331と、取り入れた外気を下流に送出するファン332と、空気中の少なくとも有機ガスを捕集するケミカルフィルタ333と、空気中のダストを捕集するHEPAフィルタ334と、これらフィルタ333,334を透過した清浄な空気を吐出する供給ノズル335とから構成されている。
図16は、第4の実施形態の顕微鏡装置における液浸顕微鏡の対物レンズに取り付けるアダプタの構成を示す図である。図16は、アダプタ325を液浸顕微鏡320の対物レンズ322に取り付けた状態を示す断面図である。本実施形態では、アダプタ325に液体供給通路367と液体吸引通路368と気体供給通路371を設けている。液浸対物レンズ322の側面の周囲にネジ山362が切られており、アダプタ325のネジ部361と螺合することにより、アダプタ325は液浸対物レンズ322に取り付けられる。
アダプタ325の液体供給通路367は、継手369を介して液体吐出装置(31〜35)に繋がれている。液体吸引通路368は、継手370を介して液体吸引装置(41〜44)に繋がれている。さらに、気体供給通路371は継手372を介してFFU330の供給ノズル335と繋がれている。
アダプタ325には、アダプタ325と基板10A面との間の空間を囲むように、チャンバ373が設けられている。したがって、気体供給通路371から清浄な空気が噴出されると、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍(すなわち、液浸対物レンズ322と基板10A面の間)の液体の周囲にFFU330によって清浄化された有機物やパーティクルを含まない清浄な空気を供給することができる。これにより、液体の周囲は、清浄な空気により局部的にパージされ、液体が有機物を含む空気にさらされることがなく、液体中に、空気中の有機物が溶解することがない。
なお、FFU330からの清浄な空気の供給は、観察時のみ、電磁弁などの手段で行っても良いし、常時流したままにしておいても良い。
また、基板10A面とチャンバ373の下端縁との間は、若干の隙間があっても問題は無い。そのギャップ(α)は、液浸対物レンズ322と基板10A面との間のワーキングデイスタンス(W.D.)と同じか、それよりも僅かに大きくする。こうすることにより、チャンバ373内の空間は、その回りの大気より圧力が高くなる。そのため、清浄な空気は、上記ギャップ(α)から漏れて出ることができる。この時の圧力の関係は、
液体の圧力 > チャンバ373内空気の圧力 > チャンバ373外の大気圧
にしておけば、スムーズに液体を供給でき、さらに清浄でない大気がチャンバ373内に侵入することを防止することが出来る。
図17は、アダプタ325を底面(基板10A側)から見た図である。アダプタ325には、対物レンズ322による観察用の開口部355が中央に設けられている。アダプタ325は、開口部355の中心と対物レンズ322の光軸とがほぼ一致するように連結される。開口部355は、液体供給通路367に繋がった凹部365と液体吸引通路368に繋がった凹部366が設けられている。
第3の実施形態と同様にして、液体吐出装置(31〜35)から供給された液体は、液体供給通路367、凹部365、開口部355の中央部(基板10A上の観察される部分の上)、凹部366順に形成される経路をたどって供給され、その後、液体吸引装置(41〜44)によって、液体吸引通路368を介して除去される。
図16に示すように、液体供給通路367の先端367aは、対物レンズ322の先玉の近傍にはなく、対物レンズ322の側面322aの近傍にある。液体供給通路367から供給される液体19は、対物レンズ322の側面322aを伝って開口部355の中心部に供給される。側面322aの液体供給通路367の先端367a近傍位置から開口部355の中心部方向へ至る経路には、液体19が伝いやすいように溝が形成されている。
第1〜第4の実施形態に用いるアダプタに使用する材料としてはステンレス、PEEK材、フッ素樹脂系材料等を使用することができる。液体への溶出が無く、帯電しにくいものが好ましい。
第1〜第4の実施形態の対物レンズとアダプタとは吸引時にリークしにくいように密着していることが好ましい。対物レンズの外縁とアダプタとを嵌合させ、さらに密着性向上のため、対物レンズとアダプタの境界にシール材(接着剤、シールリング等)を設けても良い。
また、液体供給通路、液体吸引通路、開口部や凹部を形成するアダプタの表面に撥水コートを設けても良い。
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態において、アダプタ325の気体供給通路371を、FFU330の供給ノズル335と繋ぐことにより、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍の液体の周囲に清浄な空気を供給する構成としたが、気体供給通路371を、不活性ガスを供給するガス源に繋いでもよい。この構成は、図18において、供給ノズル335に繋がれたFFU330の代りにガス源を繋ぐことにより実現される。
ガス源から供給される不活性ガスは、供給ノズル335を経由して、気体供給通路371からチャンバ373内に供給される。不活性ガスは、N2、He、Ne、Arガス等のいずれであってもよい。不活性ガスの供給は、観察時のみ、電磁弁などの手段で行っても良いし、常時流したままにしておいても良い。
気体供給通路371から不活性ガスが噴出されると、液浸対物レンズの焦点位置近傍(すなわち、液浸対物レンズ322と基板10A面の間)の周囲を、不活性ガスで満たすことができる。
このような状態で液浸対物レンズ322と基板10A面の間に吐出される液体は、不活性ガス雰囲気中で吐出され、大気中の酸素を吸収しないことから、液体中の溶存酸素が増加することがない。すなわち、液浸対物レンズ322の焦点位置近傍の液体の周囲は、不活性ガスにより局部的にパージされ、液体が酸素にさらされることがなく、液体中に酸素が溶け込むことがない。
(第5の実施形態)
図19に本発明の第5実施形態の液浸顕微鏡500の構成を示す。光源423から射出された照明光は、不図示の照明光学系を通って、ハーフミラー424で反射され液浸対物レンズ401に入射する。光源423としては水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどが使用される。本実施形態ではハーフミラー424を使用し、試料404の反射像を観察するが、試料404の蛍光像を観察する場合には、ハーフミラー424の換わりにダイクロイックミラーを配置すればよい。また試料404の透過像を観察する場合には、試料の下方に透過照明用の光源(不図示)を配置し、ハーフミラー424を光路から除去すればよい。
液浸対物レンズ401に入射した照明光は、液体19を介して試料404に照射される。試料404としては、工業顕微鏡の試料としては半導体ウエハや液晶基板などが使用される。また生物顕微鏡の試料としては、組織切片をスライドガラスとカバーガラスで封入したものなどが使用される。試料404で反射された照明光は、再度液体19を通り液浸対物レンズ401で集光され、ハーフミラー424を透過し、接眼レンズ420で試料404が観察される。
試料404は顕微鏡のXYZステージ412上に載置され、不図示のホルダーによって、XYZステージ412上に固定されている。XYZステージ412の中央部には液浸対物レンズ401の直径よりも小さな穴があいており、試料404の観察領域はこの穴の上部に配置される。XYZステージ412の穴は、試料404を透過観察する際に使用するもので、不図示の透過光源からの光を試料404の下方から試料404に照射し、液浸対物レンズ401で、試料404を透過した光を集光する。なお試料404を落射照明して観察する場合には、XYZステージ421に透過照明用の穴は必要ない。XYZステージ412は、フォーカスノブ422を操作することによってZ方向(光軸方向)に移動し、合焦される。液浸対物レンズ401の近傍には液体供給装置450の液体供給管454が配置されており、液体19が液浸対物レンズ401の側面に供給される。
図20に液浸顕微鏡500の液浸対物レンズ401と試料404を側面から見た図を示す。液浸対物レンズ401の側面の近傍には、液体供給装置450が配置されている。液体供給装置450は、液体19が貯められた液体貯蔵槽451、ポンプ453、液体供給管454から構成されている。液体貯蔵槽451に満たされた液体19はポンプ453によってくみ上げられ、液体供給管454によって液浸対物レンズ401の近傍に導かれる。液体供給管454は、保持具455によって液浸対物レンズ401の近傍に保持されている。液体供給管454の液体が供給される端面は、液浸対物レンズ401の側面に相対するように保持されており、液体供給管454の端面は液浸対物レンズ401の側面から1〜2mm程度離れて保持されている。液体供給装置450で液体貯蔵槽451に貯められた液体19を液浸対物レンズ401に供給する場合は、ポンプ453を観察者が操作して供給する。
次に本第5実施形態に示す液浸顕微鏡を使用して試料404を観察する動作について説明する。まずXYZステージ412に試料404を載置する。XYZステージ412上に載置された試料404は、不図示のホルダーで固定される。次に、試料404の観察領域を液浸対物レンズ401の視野に入る位置に移動させる。試料404が観察位置に移動したのを確認したら、試料404を液浸対物レンズ401の光軸方向に移動させ、液浸対物レンズ401に近づける。
次に液浸対物レンズ401と試料404との間に液体19を供給する。観察者が不図示のポンプスイッチを操作すると、液体貯蔵槽451に貯えられている液体がポンプ453で汲み上げられ、液体供給管454の端面から液体19が流れ出す。液体貯蔵槽451に貯えられている液体19としては、液浸対物レンズ401が水浸対物レンズの場合には水を使用し、油浸対物レンズの場合には所定の屈折率を持ったオイルを使用する。なお供給する液体19の量は、予め設定してあり、通常の場合は0.1ml以下である。
液体供給管454の端面から流れ出した液体19は、液体供給管454の端面と相対する液浸対物レンズ401の側面に吸着し、表面張力により滴状になる(図20、aの位置)。液浸対物レンズ401の側面に吸着した液体19は、重力により液浸対物レンズ401の側面を下方に移動する(図20、bの位置)。液浸対物レンズ401の先端は円錐状になっており、その先端部に液浸対物レンズ401を構成するレンズのうち最先端のレンズが配置されている。液浸対物レンズ401の下方に移動した液体19は、液浸対物レンズ401の先端の円錐状の部分を通って(図20、cの位置)、最先端のレンズ部に達する(図20、dの位置)。最先端のレンズに到達した液体19は、重力によって落下し、試料404上に移動する(図20、eの位置)。なお試料404の上面が液浸対物レンズ401の最先端レンズに十分近づいている場合には、液体3は試料404に落下せず、試料404と液浸対物レンズ401の最先端レンズとの間を満たすことになる以上のような動作で液体19は試料404の観察領域の上に供給される。
次にこの状態で観察者、不図示の液浸顕微鏡の接眼レンズ420で試料404を見ながら、XYZステージ412を光軸方向に移動させ試料404を合焦させ、飼料を観察する。試料404の1つの観察領域の観察が終了し別な領域を観察する場合には、試料404をXY方向(水平方向)に移動させた後、再度液体供給装置450によって試料404と液浸対物レンズ401との間に液体19を供給する。なお液体19が水の場合には、観察中に水が蒸発してしまうことがある。その場合にも再度液体供給装置450によって液体19を供給する事ができる。
本実施形態の液浸顕微鏡では、液浸対物レンズ401に使用する液体19を、液浸対物レンズ401の側面から供給し、液浸対物レンズの最先端部を通って試料404に供給するので、試料404の観察領域の上に確実に液体19を供給することができる。
本実施形態では、液浸対物レンズ401の側面は特に加工せずそのまま使用したが、液浸対物レンズ1の側面に液体19を液浸対物レンズ401の先端に導くための溝を設けても構わない。例えば、液体供給管454の端面と相対する液浸対物レンズ401の側面から、液浸対物レンズ401の最先端レンズの近傍まで直径2mm程度の半円状の溝を直線状に形成する。溝を形成することによって、液体19はこの溝に沿って確実に液浸対物レンズ401の最先端にまで導かれ、試料404上に滴下される。液浸対物レンズ401の側面に形成する溝は直線状のものに限定されず、螺旋状の溝を形成しても構わない。
なお本実施形態では液体供給装置450としてポンプ453を使用したものを示したが、観察者がスポイトで液体19を液浸対物レンズ401の側面に供給しても構わない。
また本実施形態では、液体19を液浸対物レンズ401の側面に吸着させ、最先端レンズに導いていたが、吸着させる場所はこれに限られず液浸対物レンズ401の最先端のレンズ周辺の円錐状の部分に吸着させても構わない。なお対物レンズの側面にはこの円錐状の部分も含まれる。
Claims (26)
- 標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズの先端の周囲に設けられ、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記液浸対物レンズの像側に近づく方向に設けられた傾斜面と、
前記傾斜面と隣接する箇所に設けられ、前記傾斜面より前記液浸対物レンズの物体側に突出した突出部とを有し、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記液浸対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記標本とで囲まれた開口部を形成することを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項1に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記他方の傾斜面の幅は、前記先端からの距離に拘わらず略一定であり、
前記一方の傾斜面の幅は、前記先端から所定距離までの内側部分と比べて該所定距離から前記側面までの外側部分の方が大きく、前記内側部分において前記先端からの距離に拘わらず略一定であり、前記他方の傾斜面の幅と略等しい
ことを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項2に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記一方の傾斜面の幅は、前記外側部分において前記先端から離れるほど大きくなる
ことを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記突出部は、前記液浸対物レンズの光軸に対して略垂直な平面形状を成す
ことを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 観察対象の基板を支持する支持手段と、
液浸系の対物レンズと、
前記対物レンズの先端と前記基板との間に液体を吐出する吐出手段と、
前記液体を前記基板から吸引する吸引手段とを備え、
前記対物レンズの前記先端の周囲には、前記先端と隣接する2箇所の各々に、前記先端から離れるほど前記対物レンズの像側に近づく方向の傾斜面が設けられ、かつ、該傾斜面と隣接する箇所に、該傾斜面より前記対物レンズの物体側に突出した突出部が設けられ、
前記2箇所の傾斜面のうち一方は、前記先端から前記対物レンズの側面まで延在され、該側面において前記突出部と前記基板とで囲まれた開口部を形成し、
前記吐出手段は、前記一方の傾斜面に設けられた第1の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記一方の傾斜面の幅より狭く、該第1の管状部材を用いて前記液体を吐出し、
前記吸引手段は、前記2箇所の傾斜面のうち他方に設けられた第2の管状部材を含み、該管状部材の幅が前記第1の管状部材の幅より広く、該第2の管状部材を用いて前記開口部から空気を取り込みつつ前記液体を吸引する
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5に記載の顕微鏡装置において、
前記他方の傾斜面の幅は、前記先端からの距離に拘わらず略一定であり、
前記一方の傾斜面の幅は、前記先端から所定距離までの内側部分と比べて該所定距離から前記側面までの外側部分の方が大きく、前記内側部分において前記先端からの距離に拘わらず略一定であり、前記他方の傾斜面の幅と略等しい
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項6に記載の顕微鏡装置において、
前記一方の傾斜面の幅は、前記外側部分において前記先端から離れるほど大きくなる
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項6または請求項7に記載の顕微鏡装置において、
前記第2の管状部材の幅は、前記他方の傾斜面の幅と略等しい
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記第1の管状部材の中心軸と、前記第2の管状部材の中心軸とは、前記対物レンズの光軸と共に同一面に含まれる
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記突出部は、前記対物レンズの光軸に対して略垂直な平面形状を成す
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記対物レンズの前記先端の近傍には、前記第1の管状部材の先端が位置し、
前記吐出手段は、前記液体を吐出する際の圧力と流量を制御し、吐出直後の前記液体が前記第1の管状部材の先端と連結した状態で前記液体の吐出を終了する
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記対物レンズの前記先端の近傍には、前記第1の管状部材および前記第2の管状部材の各先端が位置し、
前記吐出手段は、前記液体を吐出する際の圧力と流量を制御し、吐出直後の前記液体が前記第1の管状部材および前記第2の管状部材の各先端と連結した状態で前記液体の吐出を終了する
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記吸引手段は、前記第2の管状部材に加え、前記第1の管状部材の近傍に設けられた第3の管状部材を含み、前記第2の管状部材を用いて前記液体の一部を吸引した後、前記第3の管状部材によって前記液体の残りを吸引する
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項5から請求項7の何れか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記吐出手段は、予めレシピとして登録された前記基板の物性情報に応じて前記液体の吐出量を決定する
ことを特徴とする顕微鏡装置。 - 標本の外観検査を行う顕微鏡用の液浸対物レンズと前記標本との間に着脱可能に取り付けられるアダプタであって、
前記顕微鏡との連結部と、
前記液浸対物レンズと前記標本との間に液体を保持する液体保持部と、
前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路と
を有することを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項15に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記液体を前記液体保持部に供給するための第2通路を有することを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 標本を保持するステージと、液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズの先端と前記標本との間に液体を供給する液体供給手段と、前記液体を除去する液体除去手段とを有する顕微鏡と、
前記液浸対物レンズ或は前記顕微鏡との連結部と、前記液浸対物レンズと前記標本との間に前記液体を保持する液体保持部と、前記液体保持部から前記液体を除去するための第1通路とを有する顕微鏡用アダプタとを有し、
前記第1通路の一端は前記液体除去手段に連結されていることを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項17に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタは、前記液体を前記液体保持部に供給するための第2通路を有し、前記第2通路の一端は前記液体供給手段に連結されていることを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項17または請求項18に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタは前記顕微鏡と着脱可能に連結する連結部を備えることを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項18に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタの前記第2通路から供給される前記液体が、前記液浸対物レンズの側面を伝って前記液浸対物レンズの先端と前記標本との間に供給されるように前記第2通路の供給口が設けられていることを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項20に記載の顕微鏡装置において、
前記液浸対物レンズの側面には、前記液体を流す溝が形成されていることを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項16に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記液浸対物レンズの焦点位置近傍に気体を供給するための第3通路を有することを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項16に記載の顕微鏡用アダプタにおいて、
前記液浸対物レンズの焦点位置近傍の周囲を取り囲むチャンバを有することを特徴とする顕微鏡用アダプタ。 - 請求項18に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタは、前記液浸対物レンズの焦点位置近傍に気体を供給するための第3通路を有し、
前記顕微鏡は、空気中の少なくとも有機ガスを捕集して、清浄な空気を送出するフィルタ・ファン手段と、前記清浄な空気を前記第3通路へと導く案内手段とを備えたことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項18に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタは、前記液浸対物レンズの焦点位置近傍に気体を供給するための第3通路を有し、
前記顕微鏡は、不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記不活性ガスを、前記第3通路へと導く案内手段と
を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。 - 請求項24または請求項25に記載の顕微鏡装置において、
前記顕微鏡用アダプタは、前記液浸対物レンズの焦点位置近傍の周囲を取り囲むチャンバを有することを特徴とする顕微鏡装置。
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