JP4586421B2 - 液浸対物レンズおよび顕微鏡観察装置 - Google Patents

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Description

本発明は、物体の液浸観察に用いられる液浸対物レンズおよび顕微鏡観察装置に関し、特に、半導体ウエハや液晶基板などの液浸観察に好適な液浸対物レンズおよび顕微鏡観察装置に関する。
半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、半導体ウエハや液晶基板(総じて「基板」という)に形成された回路パターンの欠陥や異物などの観察が、顕微鏡観察装置を用いて行われる。顕微鏡観察装置とは、基板を自動搬送する機構と光学顕微鏡システムとを結びつけたものである。光学顕微鏡システムの対物レンズは乾燥系であり、この対物レンズと観察対象の基板との間は空気などの気体で満たされる(例えば特許文献1を参照)。そして、より高い分解能での観察を実現するために、観察波長を紫外域とすることが提案されている。
特開2001−118896号公報
ところで、乾燥系の対物レンズを用いた装置では、対物レンズの開口数を“1”より大きくすることができないため、分解能の向上に限界がある。そこで、周知の液浸法を採用し、乾燥系の対物レンズに代えて液浸系の対物レンズを用いることが考えられる。液浸系の対物レンズを用いて、その先端と観察対象の基板との間を水などの液体で満たすことにより、液体の屈折率(>1)に応じて対物レンズの開口数を“1”より大きくすることができ、分解能を向上させることができる。
しかし、対物レンズを単に乾燥系から液浸系に交換するだけでは、上記の製造工程における基板の観察を効率よく行うことはできない。その観察を効率よく行うためには、液浸系の対物レンズの先端と基板との間に液体を供給する機構や、液体を回収する機構が必要である。このような機構としては、注射針状のノズル部材を対物レンズの周辺に外付けで配置し、ノズル部材を介して液体を供給/回収する構成が考えられる。ところが、ノズル部材を外付けで配置すると、対物レンズの周辺の構造が複雑化し、顕微鏡観察装置が大型化してしまう。このため、液体の供給/回収機構としては、対物レンズの周辺の構造が複雑化しないように工夫することが望まれる。なお、本件では液浸系の対物レンズを「液浸対物レンズ」という。
本発明の目的は、対物レンズの周辺の構造を簡素化しつつ液体の供給/回収機構を配置できる液浸対物レンズおよび顕微鏡観察装置を提供することにある。
本発明の液浸対物レンズは、1つ以上のレンズ素子と、前記レンズ素子を保持する鏡筒と、前記鏡筒の内部を貫通して設けられ前記レンズ素子の先端近傍の空間に液体を供給する供給液体流路と、該供給液体流路と独立して設けられ前記空間にある前記液体を回収する回収液体流路とを備え、前記供給液体流路と前記回収液体流路との開口は、それぞれ前記先端近傍の空間と対向する部位に設けられおり、前記回収液体流路の前記空間に近い部分は該空間に向かって先太り形状となっている。
なお、前記供給液体流路の前記開口の総面積S1と、前記回収液体流路の前記開口の総面積S2は、S1≦S2という関係を満足してもよい。
また、前記供給液体流路は、前記開口側の部分が前記レンズ素子の光軸に対して斜めに形成され、かつ、該部分の中心線が前記レンズ素子の焦点面または該焦点面よりも前記レンズ素子から離れた面で前記光軸と交わるように設けられてもよい。
本発明の顕微鏡観察装置は、観察対象の基板を支持する支持手段と、本発明の液浸対物レンズと、前記供給液体流路を用いて、前記レンズ素子の先端と前記基板との間の前記空間に液体を供給する供給手段と、前記回収液体流路を用いて、前記空間から前記液体を回収する回収手段とを備えたものである。
本発明によれば、対物レンズの周辺の構造を簡素化しつつ液体の供給/回収機構を配置することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の液浸対物レンズ10は、図1に示す通り、光軸10aに沿って配置された7個のレンズ素子11〜17と、レンズ素子11〜17を保持する鏡筒(20〜29)と、鏡筒(20〜29)の内部を貫通して設けられた2本の液体流路31,32とで構成される。図1のAA断面を図2(a)に示す。液浸対物レンズ10を下方(図1の矢印Bの方向)から見ると、図2(b)のようになっている。図1は液浸対物レンズ10の縦断面図であり、図2(b)のCC断面に相当する。液浸対物レンズ10の先端部分の構造などを説明する際には、適宜、図2(b)や図3(a)〜(d)を参照する。図3(a)〜(c)は、図2(b)のCC断面に相当する。図3(d)は、図2(b)のDD断面に相当する。
液浸対物レンズ10の鏡筒(20〜29)は、レンズ素子11〜17を所定の間隔で固定する金物20〜27と、金物20〜27の外側を覆うように構成された筒状部材28と、筒状部材28の下方に取り付けられた環状部材29とで構成される。このうち、筒状部材28と環状部材29は、Oリングなどのシール材35,36を挟んで締結され、液体流路31,32(詳細は後述)からの液漏れを防止している。なお、金物21〜27にはレンズ素子11〜17が取り付けられ、金物26,27の間に金物20が挿入される。
概略、2本の液体流路31,32は、鏡筒(20〜29)のうち筒状部材28と環状部材29の内部を貫通して設けられ、筒状部材28の貫通穴と環状部材29の貫通穴を連結したものとなっている。筒状部材28の貫通穴は、光軸10aに対して略平行に形成された管状の穴である。環状部材29の貫通穴は、光軸10aに対して斜めに形成され、下方ほど光軸10aに接近するように形成された管状の穴である。液体流路31,32それぞれの下方の一端は、開口31A,32Aである。
ここで、第1実施形態の液浸対物レンズ10は、鏡筒(20〜29)の筒状部材28の上端に設けられた取付部37を利用して、図4に示す顕微鏡観察装置40の本体に固定される。さらに、2本の液体流路31,32のうち、一方の液体流路31は、上端側の継手38を介して、顕微鏡観察装置40の液体供給装置50の配管51に接続される。また、他方の液体流路32は、上端側の継手39を介して、顕微鏡観察装置40の液体回収装置60の配管61に接続される。
そして、液体供給装置50側の液体流路31は、レンズ素子11〜17の先端11A近傍の空間(つまり先端11Aと液浸観察の対象物との間)に、液浸媒質の液体30(図3(a)参照)を供給する際に用いられる。液体30は、液体流路31の開口31Aから吐出される。以下の説明では供給用の液体流路31を「吐出ノズル31」という。また、液体回収装置60側の液体流路32は、その空間から液体30を回収する際に用いられる。このとき、液体30は、液体流路32の開口32Aから吸引される。以下の説明では回収用の液体流路32を「吸引ノズル32」という。
なお、レンズ素子11〜17の先端11Aは、レンズ素子11〜17のうち最も物体側のレンズ素子11(先球)のレンズ面であり、略平坦な形状となっている。また、レンズ素子11を固定する金物21の先端も、同様の形状となっている。これらの平坦な先端部分(図3(b)に示す直径dの面)からレンズ素子11〜17の焦点面までの距離δは、液浸対物レンズ10の作動距離δに相当する。上記の液体30は、概略、直径dの平坦な面から距離δまでの空間に充填され(図3(a))、表面張力により「液滴」を形成する。レンズ素子11〜14は、液体30が充填されたときに、その収差が補正されるように設計されている。
次に、吐出ノズル31と吸引ノズル32について詳細に説明する。
吐出ノズル31は、下方の一端が開口31Aであり、開口31Aから液体30を吐出する(図3(a))。開口31Aは、鏡筒(20〜29)の表面のうち、レンズ素子11〜17の先端11A近傍の空間と対向する部位29A(図1)に設けられている。部位29Aは、光軸10aに対して傾斜した面であり、光軸10aに対する傾斜角を保ったまま光軸10aのまわりを一周させた形状(環状)となっている。開口31Aの形状は、図2(b)に示す通り、小さい円形である。
さらに、吐出ノズル31は、開口31A側の部分(環状部材29の貫通穴)が光軸10aに対して斜めに形成され、かつ、その中心線31B(図3(c))がレンズ素子11〜17の焦点面で光軸10aと交わるように設けられる。開口31A側の部分の傾斜角θを上記のように設定することで、レンズ素子11〜17の焦点面の光軸10a付近をターゲットとして開口31Aから液体30を吐出することができる。なお、吐出時の指向性を良くするために、顕微鏡観察装置40(図4)の液体供給装置50の能力を考慮して、吐出ノズル31の開口31Aの大きさを定めることが好ましい。
また、吐出ノズル31の開口31Aが設けられた部位29A(傾斜面)の傾きは、開口31A側の部分の傾斜角θに対して略直交するように定めることが好ましい。このように加工することで、吐出時の指向性を良くすることができる。さらに、開口31A側の部分の傾斜角θを考慮して、レンズ素子11(先球)を固定する金物21のうち、外部に露出したテーパ部分の傾斜角α(図3(b))を、「α≦θ」という関係を満足するように定めることが好ましい。
一方、吸引ノズル32は、下方の一端が開口32Aであり、開口32Aから液体30を吸引する(図3(a))。開口32Aは、上記した開口31Aと同様、レンズ素子11〜17の先端11A近傍の空間と対向する部位29A(傾斜面)に設けられている。開口32Aの形状は、図2(b)に示す通り、光軸10aを中心とする環状であり、部位29Aの周方向に沿って上記した開口31Aを除く部分に延在している。
このため、吐出ノズル31の開口31Aの総面積S1と、吸引ノズル32の開口32Aの総面積S2は、「S1≦S2」という関係を満足することになる。図2(b)の例では、開口32Aの総面積S2が、開口31Aの総面積S1より遙かに大きい。開口32Aを開口31Aより大きくし、部位29(傾斜面)の周方向に沿って延在させることで、液体30の略全周囲を開口32Aによって取り囲むことができる。このため、液体30を全周囲から吸引することができ、回収効率が向上する。
さらに、吸引ノズル32は、開口32A側の部分(環状部材29の貫通穴)が光軸10aに対して斜めに形成され、その傾斜角が上記の開口31A側の部分の中心線31B(図3(c))と略同じ角度になっている。このため、液体30を効率よく吸引することができ、加工し易いという利点もある。
また、吸引ノズル32の開口32A側の部分(環状部材29の貫通穴)は、光軸10aに垂直な面で切断したときの断面積が下方に向かって大きくなる先太り形状となっている。先太り形状の最も下方に位置する部位29(傾斜面)には、開口32Aの総面積S2を大きく確保するため、図3(d)に示すような溝32Bが設けられている。溝32Bの上側は、角度ψ(図2(b))で徐々に広がっている。このように、吸引ノズル32の開口32A側の部分を先太り形状とすることで、液体30を効率よく吸引することができる。
次に、上記した第1実施形態の液浸対物レンズ10を搭載した顕微鏡観察装置40(図4)の説明を行う。
顕微鏡観察装置40は、観察対象の基板40Aを支持するステージ(41,42)と、液浸観察部(10,45)と、液浸媒質の液体30を供給/回収する機構(31,32,50,60)とで構成される。また、顕微鏡観察装置40には、図示省略したが、制御部や、基板40Aを自動搬送する機構、TTL方式のオートフォーカス機構なども設けられる。基板40Aは、半導体ウエハや液晶基板である。顕微鏡観察装置40は、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、基板40Aに形成された回路パターンの欠陥や異物などの観察(外観検査)に用いられる。回路パターンは、例えばレジストパターンである。
ステージ(41,42)の説明を行う。ステージ(41,42)は、シリンジ41とXYZステージ42とで構成される。シリンジ41は、XYZステージ42により鉛直方向に移動可能、水平面内で移動可能に支持されている。基板40Aは、例えば現像装置から搬送されてシリンジ41の上面に載置され、例えば真空吸着により固定的に支持される。
なお、XYZステージ42は、基板40Aの焦点合わせ時に、シリンジ41を鉛直方向に移動させる。焦点合わせ動作は、不図示の制御部がオートフォーカス機構を用いて行う。また、XYZステージ42は、基板40Aの予め定めた観察点を液浸観察部(10,45)の視野内に位置決めする際、シリンジ41を水平面内で移動させる。XYZステージ42のベース部材は顕微鏡観察装置40の本体に固定されている。
液浸観察部(10,45)の説明を行う。液浸観察部(10,45)には、上記した第1実施形態の液浸対物レンズ10(図1〜図3参照)と、接眼レンズ45とが設けられる。液浸対物レンズ10および接眼レンズ45は、各々、顕微鏡観察装置40の本体に固定されている。液浸対物レンズ10は、液浸系の対物レンズであり、その先端と基板40Aとの間が液浸媒質(液体30)で満たされたときに、光学系(レンズ素子11〜17)の収差が補正されるように設計されている。液浸対物レンズ10の先端が、液体30に触れる部分となる。
顕微鏡観察装置40の本体内部(液浸対物レンズ10と接眼レンズ45との間)には、図示省略した照明光源などが設けられる。観察波長は、例えば可視域や紫外域である。なお、紫外域の波長の照明光源を用いる場合は、接眼レンズ45からの観察はできないので、接眼レンズ45の代わりにCCDカメラなどを設けて撮像し、モニタ装置に表示して観察する。
液浸観察部(10,45)では、接眼レンズ45の視野位置に基板40Aの拡大像(パターン像)が形成され、この像により基板40Aの観察が行われる。また、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間を満たす液体30の屈折率(>1)に応じて、液浸対物レンズ10の開口数を“1”より大きくすることができ、乾燥系の装置(対物レンズの開口数≦1)と比較して分解能を確実に向上させることができる。
ちなみに、分解能は、液浸対物レンズ10の開口数NAと、観察波長λと、定数kとを用いて、「分解能=k×λ/NA」と表される。定数kの値には、2線間の分解能を議論する場合、通常“0.5”が用いられる。また、液浸対物レンズ10の開口数NAは、液浸対物レンズ10の開き角βと、液浸対物レンズ10と基板40Aとの間の媒質の屈折率nとを用いて、「NA=n×sinβ」と表される。このように、分解能は、液浸対物レンズ10と基板40Aとの間の屈折率nの増加に逆比例して小さくなる(向上する)。
液体30を供給/回収する機構(31,32,50,60)の説明を行う。この機構(31,32,50,60)は、液体供給装置50と吐出ノズル31と吸引ノズル32と液体回収装置60とで構成される。吐出ノズル31と吸引ノズル32は、既に説明した通り、液浸対物レンズ10の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に設けられ、その先端(開口31A,開口32A)が液浸対物レンズ10の先端近傍に配置される。
液体供給装置50は、吐出ノズル31に接続された配管51と、配管51の途中に配置された2位置切り換え式の電磁弁52と、新しい清浄な液体5Aを収容する液体タンク53と、加圧ポンプ(54〜57)とで構成される。加圧ポンプ(54〜57)は、シリンダ54とピストン55と送りネジ56とモータ57とで構成される。
ピストン55は、モータ57の動力を直線運動に変換する送りネジ56に結合され、任意の速度で左右方向に往復移動可能である。ピストン55の移動速度は、モータ57の回転速度に応じて調整可能である。ピストン55の移動方向は、モータ57の回転方向に対応する。
シリンダ54は、電磁弁52の第1経路を介して液体タンク53に接続され、第2経路を介して吐出ノズル31に接続される。ただし、電磁弁52において、2つの経路が同時に開放されることはなく、常に何れか一方のみが開放され、接続状態に設定される。電磁弁52は、第1経路において、シリンダ54と液体タンク53との間の経路を接続/遮断する。また、電磁弁52は、第2経路において、シリンダ54と吐出ノズル31との間の経路を接続/遮断する。
電磁弁52において第1経路が開放され、シリンダ54と液体タンク53とが実際に接続された状態で、ピストン55を図中右方向に移動させることにより、液体タンク53の内部の液体5Aをシリンダ54の内部に導入することができる(液体5B)。
電磁弁52において第2経路が開放され、シリンダ54と吐出ノズル31とが実際に接続された状態で、ピストン55を図中左方向に移動させることにより、シリンダ54の内部の液体5Bを吐出ノズル31に送り出すことができる。送り出された液体5Bは、吐出ノズル31の先端から吐出し、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に到達する(液体30)。つまり、液体供給装置50により吐出ノズル31を介して液体30の供給が行われる。液体30の供給は、液浸観察の前に、不図示の制御部が自動的に行う。
シリンダ54から吐出ノズル31に送り出される液体5Bの量(つまり液体30の供給量V)は、シリンダ54の断面積Sとピストン55の移動量Xとの積に等しく(V=S・X)、ピストン55の移動量Xに応じて任意に調整することができる。また、液体30の供給速度は、ピストン55の移動速度に応じて任意に調整することができる。ピストン55の移動速度は、液体30が吐出ノズル31の先端から飛び散らないように遅く設定することが好ましい。
そして、液体30の供給量Vを適切にすることができれば、液体30は、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間において、表面張力により「液滴」を形成する。つまり、周囲に流れ出したり、逆に気泡が除去できなかったりすることはない。液体30が周囲に流れ出すのは、液体30の供給量Vが多すぎて表面張力の限界を超えた場合である。この場合、観察後に全ての液体30を回収するのが困難になる。また、気泡が残留するのは、液体30の供給量Vが少なすぎた場合である。この場合、液浸対物レンズ10による鮮明な像の形成が困難になる。液体30の適切な供給量Vとは、表面張力により、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に「液滴」を形成可能な量である。
液体回収装置60は、配管61を介して吸引ノズル32に接続された真空バッファタンク62と、配管63を介して真空バッファタンク62に接続された真空ポンプ64とで構成される。配管61,63は、真空バッファタンク62の上部に接続されている。真空バッファタンク62には、廃液6Aを排出するためのコック65が取り付けられている。なお、真空ポンプ64の代わりに工場内の真空装置(不図示)を配管63に接続しても良い。
液体回収装置60では、真空ポンプ64により、吸引ノズル32などを介して、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間の液体30を周りの空気と一緒に吸引する。つまり、液体30を基板40Aから除去する。吸引された液体30は、配管61を介して真空バッファタンク62に導かれ、そこで空気とは選別され、真空バッファタンク62に落下する(廃液6A)。そして空気のみが配管63を介して真空ポンプ64に導かれる。このように、吸引ノズル32を介して液体回収装置60により液体30が回収される。真空ポンプ64には空気のみを導くため、液体の流入により損傷することはない。配管63の途中に水分除去フィルタを設けてもよい。液体30の回収は、液浸観察の後で、不図示の制御部が自動的に行う。
なお、真空ポンプ64による吸い込み速度(真空排気の速度)は、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間隔に起因する空気漏れ量よりも、吸引ノズル32からの吸い込み量が大きくなるような条件とすることが好ましい。このことはベルヌーイの定理からも明白である。また、吸い込み作業の途中で、XYZステージ42を制御してシリンジ41を僅かに(≦δの範囲内で)上昇させ、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間隔を小さくし、この間隔に起因する空気漏れ量を小さくしてもよい。この場合、基板40Aに残存した液体30を効果的に吸引することができる。
本実施形態では、液浸媒質の液体30として例えば純水を使用する。純水は、半導体製造工程などで容易に大量入手できるものである。また、基板40A上のフォトレジストに対する悪影響がないため、基板40Aの非破壊検査が可能となる。また、純水は環境に対する悪影響もなく、不純物の含有量が極めて低いため、基板40Aの表面を洗浄する作用も期待できる。なお、半導体製造工程で使用される純水は一般に「超純水」と呼ばれる。これは一般に「純水」と呼ばれるものより純度が高い。本実施形態においても超純水を用いるのがより好ましい。
ここで、上記した構成要素のうち、吐出ノズル31と吸引ノズル32をステンレス(電解研磨して酸化被膜を形成したステンレス)鋼またはテフロン(登録商標)(フッ素樹脂PTFE)により構成し、シール材をテフロンまたはフッ素ゴムにより構成し、全ての配管51,61,…をステンレス鋼またはテフロンにより構成し、その他、液体30が触れる全ての面(ピストン55や液体タンク53や真空バッファタンク62の内面など)も、同様の材料で構成することが好ましい。これらのステンレス鋼とテフロンは、化学的に安定で、液体30に不純物(例えば金属イオン系など)が混入し難いという利点がある。
また、液体供給装置50の液体タンク53における液体5Aの残量をモニタするため、液体タンク53にフロートセンサ(液面計)と上限レベルセンサと下限レベルセンサを搭載し、各センサの出力を操作PC画面上で確認できるようにすることが好ましい。さらに、液体5Aが下限レベルセンサの位置に到達した時点で、操作PC画面上にワーニング表示を出すようにすることが好ましい。また、液体回収装置60の真空バッファタンク62にも同様のセンサを搭載し、廃液6Aが上限レベルセンサの位置に到達した時点で、操作PC画面上にワーニング表示を出すようにすることが好ましい。
次に、顕微鏡観察装置40における基板40Aの観察動作を説明する。基板40Aの観察動作は、不図示の制御部による自動制御である。液体供給装置50の電磁弁52は初期状態において第2経路が開放され、シリンダ54と吐出ノズル31とが配管51などを介して実際に接続された状態となっている。なお、顕微鏡観察装置40を用いた観察は、例えば、他の欠陥検査装置により検出された欠陥や異物などの原因やその状態を確認するための外観検査に相当する。
制御部は、基板40Aの観察動作の開始に先立ち、液体30の適切な供給量V(つまり表面張力により「液滴」を形成可能な量)を計算し、この供給量Vを実現するために必要なピストン55の移動量X(=V0/S)を“目標値”として計算する。そして、ピストン55の移動量Xの計算後、基板40Aの観察動作を開始する。
まず、観察対象の基板40Aをステージ(41,42)に搬送し、シリンジ41の上面に固定させる。次に、XYZステージ42を制御し、シリンジ41を水平面内で移動させて、基板40Aの予め定めた観察点を液浸対物レンズ10の視野内に位置決めする。さらに、シリンジ41を鉛直方向に移動させて、不図示のオートフォーカス機構を用いて、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間隔がほぼ所望の間隔(液浸対物レンズ10の作動距離δ)となる位置まで移動させる。
その後、液体30の供給を開始させる。つまり、液体供給装置50のモータ57を回転させて送りネジ56を移動させ、ピストン55を図中左方向に移動させる。ピストン55の移動により、シリンダ54の内部の液体5Bが電磁弁52(第2経路)と配管51とを介して吐出ノズル31に送り出され、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に到達する(液体30)。このとき、吐出ノズル31の開口31Aからの液体30は、基板40Aの光軸10a付近をターゲットとして吐出される。
そして、ピストン55の移動量Xが予め計算した“目標値”に一致した時点で、モータ57を停止させる。つまり、液体30の供給を停止させる。このように、ピストン55の移動量Xを予め計算した“目標値”に一致させ、精密な定量吐出を行うことで、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に供給された液体30の量を、表面張力により「液滴」を形成可能な量とすることができる。
液体30の供給が終了すると、オートフォーカス機構により、精密な焦点合わせを行った後、液浸観察可能となる。この状態で、観察者は、接眼レンズ45を介して、基板40Aの観察点の液浸観察を行う。液体30の供給量Vが適切で、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に気泡が残留しないため、基板40Aの観察点の鮮明な像を観察することができる。
なお、液体30を供給後、必要に応じて、液体供給装置50の電磁弁52の経路を切り換え(つまり第1経路を開放させ)、液体タンク53の清浄な液体5Aをシリンダ54の内部に取り込む。また、この取り込み後には、電磁弁52の経路を再び切り換えて、シリンダ54が吐出ノズル31に繋がるようにしておく。
そして観察者から「液浸観察終了」の指示を受け取ると、制御部は、液体回収装置60の真空ポンプ64を制御して、吸引ノズル32などを介して、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間から液体30を回収する。つまり、基板40Aに「液滴」が残らないようにする。このとき、基板40A上の液体30は、その略全周囲を取り囲むように設けられた開口32Aから効率よく吸引される。
基板40Aの中に他の観察点がある場合には、上記の動作を繰り返す。全ての観察点についての液浸観察が終わると、基板40Aをステージ(41,42)から回収して、基板40Aの観察動作を終了する。
上記したように、第1実施形態では、液浸対物レンズ10の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に吐出ノズル31と吸引ノズル32を設けたため、液浸対物レンズ10の周辺の構造を簡素化しつつ、液体30の供給/回収機構(31,32,50,60)を配置することができる。その結果、顕微鏡観察装置40の小型化が実現する。したがって、コンパクトな顕微鏡観察装置40を用いて、液浸法による基板40Aの観察を効率よく行うことが可能となる。
さらに、第1実施形態では、高精度なアライメント機構を設けなくても、液浸対物レンズ10の環状部材29の加工精度に応じて、吐出ノズル31と吸引ノズル32の先端(開口31A,開口32A)を、液浸対物レンズ10の先端近傍に精度良く位置決めすることができる。また、液浸対物レンズ10の開口数NAが大きく、その作動距離δが非常に小さくても(例えば0.1〜0.2mm程度であっても)、吐出ノズル31と吸引ノズル32の先端(開口31A,開口32A)を確実に位置決めすることができる。
また、第1実施形態では、吐出ノズル31の開口31A側の部分の傾斜角θを、開口31A側の部分の中心線31B(図3(c))がレンズ素子11〜17の焦点面で光軸10aと交わるように設定したため、レンズ素子11〜17の焦点面に位置決めされた基板40Aの光軸10a付近をターゲットとして液体30を吐出することができる。したがって、液浸対物レンズ10の先端と基板40Aとの間に素早く「液滴」を形成できる。
さらに、第1実施形態では、吐出ノズル31と吸引ノズル32の開口31A,32Aの総面積S1,S2が「S1<S2」という関係を満足するため、液体30を効率良く回収することができる。特に、吸引ノズル32の先端部分に図3(d)に示す溝32Bを設ける場合、その溝32Bに沿って液体30を吸引することができ、回収効率が向上する。
また、第1実施形態の顕微鏡観察装置40では、液浸観察の際、液体30の供給と回収を自動制御で行うため、作業者に対する負担が殆どなく、高スループットで基板40Aの液浸観察を行うことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の液浸対物レンズ70は、図5(a),(b)に示す通り、第1実施形態の吐出ノズル31(図2)に代えて2本の吐出ノズル71を設け、第1実施形態の吸引ノズル32に代えて2本の吸引ノズル72を設けたものであり、その他の構成は第1実施形態の液浸対物レンズ10と同じである。図5(a)は図1のAA断面に相当し、図5(b)は液浸対物レンズ70を下方から見た図である。
2本の吐出ノズル71は、光軸70aを挟んで対称に配置され、継手73と配管74を介して、図4に示す顕微鏡観察装置40の液体供給装置50に接続される。吐出ノズル71の開口71Aの形状は、小さい円形である。
2本の吸引ノズル72は、光軸70aを挟んで対称に配置され、継手75と配管76を介して、顕微鏡観察装置40の液体回収装置60に接続される。吸引ノズル72の開口72Aの形状は、光軸70aを中心とする環状であり、部位29Aの周方向に沿って上記した開口71Aを除く部分に延在している。
上記したように、第2実施形態では、液浸対物レンズ70の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に吐出ノズル71と吸引ノズル72を設けたため、液浸対物レンズ70の周辺の構造を簡素化しつつ、液体30の供給/回収機構(31,32,50,60)を配置することができる。その結果、顕微鏡観察装置40の小型化が実現する。したがって、コンパクトな顕微鏡観察装置40を用いて、液浸法による基板40Aの観察を効率よく行うことが可能となる。
また、第2実施形態では、吐出ノズル71と吸引ノズル72を2本ずつ設けたため、液体30の供給と回収をさらに効率よく行える。特に、2本の吐出ノズル71を光軸70aに対して対称に配置して、それぞれ光軸70a付近をターゲットとして液体30を吐出するたため、液浸対物レンズ70の先端と基板40Aとの間に素早く対称性の良い「液滴」を形成できる。
さらに、第2実施形態でも、吐出ノズル71と吸引ノズル72の開口71A,72Aの総面積S1,S2が「S1<S2」という関係を満足するため、液体30を効率良く回収することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の液浸対物レンズ80は、図6(a),(b)に示す通り、第1実施形態の吸引ノズル32(図2)に代えて3本の吸引ノズル81を設け、これらの吸引ノズル81の開口81Aを共通化したものであり、その他の構成は第1実施形態の液浸対物レンズ10と同じである。図6(a)は図1のAA断面に相当し、図6(b)は液浸対物レンズ80を下方から見た図である。
3本の吸引ノズル81は、継手82と配管83を介して、図4に示す顕微鏡観察装置40の液体回収装置60に接続される。3本の吸引ノズル81の開口81Aの形状は、光軸80aを中心とする環状であり、部位29Aの周方向に沿って上記した開口31Aを除く部分に延在している。
上記したように、第3実施形態では、液浸対物レンズ80の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に吐出ノズル31と吸引ノズル81を設けたため、液浸対物レンズ80の周辺の構造を簡素化しつつ、液体30の供給/回収機構(31,32,50,60)を配置することができる。その結果、顕微鏡観察装置40の小型化が実現する。したがって、コンパクトな顕微鏡観察装置40を用いて、液浸法による基板40Aの観察を効率よく行うことが可能となる。
また、第3実施形態では、3本の吸引ノズル81を設けたため、液体30の回収をさらに効率よく行える。
(第4実施形態)
第4実施形態の液浸対物レンズ90は、図7(a),(b)に示す通り、第2実施形態の吸引ノズル72(図5)に代えて6本の吸引ノズル91を設けたものであり、その他の構成は第1実施形態の液浸対物レンズ10と同じである。図7(a)は図1のAA断面に相当し、図7(b)は液浸対物レンズ90を下方から見た図である。
6本の吸引ノズル91は、継手92と配管93を介して、図4に示す顕微鏡観察装置40の液体回収装置60に接続される。6本の吸引ノズル81の開口81Aの形状は、各々、小さい円形である。6本の吸引ノズル81それぞれの開口81A側の部分(環状部材29の貫通穴)は、吐出ノズル71と同様、断面積が略一定である。また、液浸対物レンズ90では、部位29(傾斜面)の溝を省略した。
上記したように、第4実施形態では、液浸対物レンズ90の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に吐出ノズル71と吸引ノズル91を設けたため、液浸対物レンズ90の周辺の構造を簡素化しつつ、液体30の供給/回収機構(31,32,50,60)を配置することができる。その結果、顕微鏡観察装置40の小型化が実現する。したがって、コンパクトな顕微鏡観察装置40を用いて、液浸法による基板40Aの観察を効率よく行うことが可能となる。
また、第4実施形態では、吸引ノズル91を小さい丸穴(断面積が略一定の穴)により構成するため、加工し易いという利点がある。なお、多数(6本)の吸引ノズル91を設けたため、液体30の回収効率が低下することはない。
(第5実施形態)
第5実施形態の液浸対物レンズ95は、図8(a),(b)に示す通り、第4実施形態の吐出ノズル71(図7)に代えて2本の吐出/吸引兼用ノズル96を設けたものであり、その他の構成は第1実施形態の液浸対物レンズ10と同じである。図8(a)は図1のAA断面に相当し、図8(b)は液浸対物レンズ95を下方から見た図である。
2本の吐出/吸引兼用ノズル96は、継手97と配管98を介して、図9に示す顕微鏡観察装置100の液体供給装置50と液体回収装置60の双方に接続される。ただし、配管98の途中には2位置切り換え式の電磁弁101が配置され、電磁弁101の一方の経路が開放されたときのみ、吐出/吸引兼用ノズル96と液体供給装置50とが実際に接続される。また、電磁弁101の他方の経路が開放されたときのみ、吐出/吸引兼用ノズル96と液体回収装置60とが実際に接続される。
上記したように、第5実施形態では、液浸対物レンズ95の鏡筒(20〜29)の内部を貫通して一体的に吐出/吸引兼用ノズル96と吸引ノズル91を設けたため、液浸対物レンズ95の周辺の構造を簡素化しつつ、液体30の供給/回収機構(31,32,50,60)を配置することができる。その結果、顕微鏡観察装置100の小型化が実現する。したがって、コンパクトな顕微鏡観察装置100を用いて、液浸法による基板40Aの観察を効率よく行うことが可能となる。
また、第5実施形態では、2本の吐出/吸引兼用ノズル96と6本の吸引ノズル91を用いて液体30の全周囲から吸引するため、液体30の回収効率が向上する。さらに、全てのノズル(91,96)を小さい丸穴により構成するため、加工し易いという利点がある。また、吐出ノズルまたは吸引ノズルとして機能する共有のノズル(つまり吐出/吸引兼用ノズル96)を設けるため、液浸対物レンズ95の鏡筒(20〜29)の内部を有効に利用することができる。吐出/吸引兼用ノズル96の数は、上記のような2本に限らず、1本でも3本以上でもよい。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、吸引ノズル(吐出/吸引兼用ノズルを含む)の開口の総面積S2を吐出ノズルの開口の総面積S1よりも大きくする例で説明したが、本発明はこれに限定されない。総面積S1,S2を同じとする場合にも、本発明を適用できる。この場合、液体30の回収を良好に行うことができる。
また、上記した実施形態では、吐出ノズルと吸引ノズルを別々に設ける例(第1実施形態〜第4実施形態)と、吐出/吸引兼用ノズルを部分的に設ける例(第5実施形態)とを説明したが、本発明はこれに限定されない。全てを吐出/吸引兼用ノズルとする場合にも、本発明を適用できる。全てを吐出/吸引兼用ノズルとする場合、液浸対物レンズに設ける液体流路(吐出/吸引兼用ノズル)の数を1本にすることもできる。
さらに、上記した実施形態では、吸引ノズルの開口側の部分(環状部材29の貫通穴)を先太り形状とする際、部位29(傾斜面)に溝32Bを設けたが、本発明はこれに限定されない。溝32Bを省略し、角度ψ(図2(b))で徐々に広がる部分のみで先太り形状を構成する場合にも、本発明を適用できる。先太り形状としては、小さい丸穴(断面積が略一定の穴)と溝32Bとの組み合わせでも構わない。
また、上記した実施形態では、吐出ノズルの開口側の部分(環状部材29の貫通穴)の中心線がレンズ素子11〜17の焦点面で光軸10aと交わるように傾斜角θを設定したが、本発明はこれに限定されない。開口側の部分の中心線が、焦点面よりも下方の面(レンズ素子から離れた面)で光軸10aと交わるように、その傾斜角θを設定してもよい。この場合には、焦点面よりも下方の面(レンズ素子から離れた面)の光軸10a付近をターゲットとして開口31Aから液体30を吐出することができる。
さらに、上記した実施形態では、液浸対物レンズ10を顕微鏡観察装置40の本体に固定したが、本発明はこれに限定されない。液浸対物レンズ10をレボルバに取り付け、他の乾燥系の対物レンズと切り換え可能にしても良い。また、上記した実施形態では、液体供給装置50において、モータ57と送りネジ56によってピストン55を駆動したが、これに代えてエアシリンダを設けてもよい。この場合、エアシリンダのストローク両端にリミットセンサを設けることが好ましい。また、純水を供給する手段として液体タンク53を用いたが、純水製造装置などを用いて純水を供給してもよい。
また、上記した実施形態では、接眼レンズ45による液浸観察の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。撮像素子とモニタを設け、モニタの表示画像により液浸観察を行っても構わない。接眼レンズ45による液浸観察と撮像素子およびモニタによる液浸観察との双方を行えるようにしても良いし、何れか一方でも良い。ただし、観察波長を紫外域(例えば深紫外域)とする場合には、接眼レンズを省略して撮像素子とモニタを設けることが好ましい。また、観察波長を紫外域とする場合には、顕微鏡観察装置40の本体の内部を窒素充填することが好ましい。液浸対物レンズ10と基板40Aとの間の光路は窒素充填されないが、液体30の供給された後で紫外光による観察を行うため、紫外光が周囲の空気(酸素)と光化学反応を起こすことはない。
さらに、上記した実施形態では、基板40Aの観察点ごとに液体30を供給/回収する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。基板40Aの次の観察点までの距離が近い場合には、現在の観察点に供給されている液体30を回収することなく、XYZステージ42(つまり基板40A)を移動させてもよい。基板40Aの表面がある程度の疎水性を持ち、液浸対物レンズ10の先端がある程度の親水性を持つ場合には、液体30が液浸対物レンズ10の側に付着し続けようとする。このため、XYZステージ42(つまり基板40A)を移動させても、液体30を液浸対物レンズ10の先端に付着させておくことができ、次の観察点に到着したときに同じ液体30を利用して観察を行える。
また、上記した実施形態では、液体30として例えば純水を用いたが(水浸系)、本発明はこれに限定されない。その他、純水よりも屈折率の高い油(例えば液浸オイルやシリコンオイルなど)を液体30として用いてもよい(油浸系)。この場合、液体30を液浸対物レンズ10の先端に付着させながらXYZステージ42(つまり基板40A)を移動させるには、基板40Aの表面がある程度の親水性を持ち、液浸対物レンズ10の先端がある程度の疎水性を持つことが好ましい。
さらに、液体30として純水よりも表面張力の小さい液体(例えば界面活性剤を添加した液体、アルコール類、これらと純水との混合物)を用いることもできる。この場合には、基板40Aの回路パターンが微細な場合でも、液体30を回路パターンの凹部に確実に浸透させることができ、良好に観察できる。
また、上記した実施形態では、液浸系での観察後、基板40Aから液体30を除去するために、吸引ノズル32と液体回収装置60とを用いて液体30を回収したが、本発明はこれに限定されない。何らかの乾燥手段(例えば減圧乾燥など)を用いて、液体30を除去してもよい。この場合、液浸対物レンズの鏡筒に設けた液体流路(1つ以上)は、吐出ノズルのみとして用いられる。
さらに、上記した実施形態では、半導体ウエハや液晶基板などの液浸観察を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。その他、生物標本(例えば細胞)などの液浸観察にも、本発明の液浸対物レンズを用いることができる。
第1実施形態の液浸対物レンズ10の縦断面図である。 液浸対物レンズ10のAA断面図(a)と、液浸対物レンズ10を下方から見た図(b)である。 液浸対物レンズ10の先端部分を説明する縦断面図である。 顕微鏡観察装置40の全体構成を示す側面図である。 第2実施形態の液浸対物レンズ70の構成図である。 第3実施形態の液浸対物レンズ80の構成図である。 第4実施形態の液浸対物レンズ90の構成図である。 第5実施形態の液浸対物レンズ95の構成図である。 顕微鏡観察装置100の全体構成を示す側面図である。
符号の説明
10,70,80,90,95 液浸対物レンズ
11〜17 レンズ素子
20〜27 金物
28 筒状部材
29 環状部材
30 液体
31,71 液体流路(吐出ノズル)
32,72,81,91 液体流路(吸引ノズル)
40,100 顕微鏡観察装置
40A 基板
41 シリンジ
42 XYZステージ
45 接眼レンズ
50 液体供給装置
51,61,63,98 配管
52,101 電磁弁
53 液体タンク
54 シリンダ
55 ピストン
56 送りネジ
57 モータ
60 液体回収装置
62 真空バッファタンク
64 真空ポンプ
96 液体流路(吐出/吸引兼用ノズル)

Claims (4)

  1. 1つ以上のレンズ素子と、
    前記レンズ素子を保持する鏡筒と、
    前記鏡筒の内部を貫通して設けられ前記レンズ素子の先端近傍の空間に液体を供給する供給液体流路と、該供給液体流路と独立して設けられ前記空間にある前記液体を回収する回収液体流路とを備え、
    前記供給液体流路と前記回収液体流路との開口は、それぞれ前記先端近傍の空間と対向する部位に設けられおり、前記回収液体流路の前記空間に近い部分は該空間に向かって先太り形状となっている
    ことを特徴とする液浸対物レンズ。
  2. 請求項1に記載の液浸対物レンズにおいて、
    前記供給液体流路の前記開口の総面積S1と、前記回収液体流路の前記開口の総面積S2は、S1≦S2という関係を満足する
    ことを特徴とする液浸対物レンズ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液浸対物レンズにおいて、
    前記供給液体流路は、前記開口側の部分が前記レンズ素子の光軸に対して斜めに形成され、かつ、該部分の中心線が前記レンズ素子の焦点面または該焦点面よりも前記レンズ素子から離れた面で前記光軸と交わるように設けられる
    ことを特徴とする液浸対物レンズ。
  4. 観察対象の基板を支持する支持手段と、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液浸対物レンズと、
    前記供給液体流路を用いて、前記レンズ素子の先端と前記基板との間の前記空間に液体を供給する供給手段と、
    前記回収液体流路を用いて、前記空間から前記液体を回収する回収手段とを備えた
    ことを特徴とする顕微鏡観察装置。
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